(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/04 20060101AFI20240703BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240703BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
F16F15/04 E
F16F15/02 L
E04H9/02 331D
(21)【出願番号】P 2023193408
(22)【出願日】2023-11-14
(62)【分割の表示】P 2020083371の分割
【原出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504242342
【氏名又は名称】株式会社免制震ディバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】中南 滋樹
(72)【発明者】
【氏名】吉橋 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 久也
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091447(JP,A)
【文献】特開平10-280730(JP,A)
【文献】中国実用新案第215293265(CN,U)
【文献】特開2016-196294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
F16C 29/00-31/06
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の構造である上部構造物と下部基礎構造との間に設けられ建築物を支承する免震装置であって、
仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交し、
上部構造物を支持する基礎板構造である上部フランジプレートと、
前記上部フランジプレートを支持し前記X軸の軸方向に延びるレール構造である上部リニアレールと前記上部リニアレールに複数のボールを介して下方から上下方向及びY軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記X軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部リニアブロックとを有する直動構造である上部リニアガイドと、
下部基礎構造に支持される基礎板構造である下部フランジプレートと、
前記下部フランジプレートに支持され前記Y軸の軸方向に延びるレール構造である下部リニアレールと前記下部リニアレールに複数のボールを介して上方から上下方向及びX軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記Y軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部リニアブロックとを有する直動構造である下部リニアガイドと、
前記上部リニアブロックと前記下部リニアブロックとの間に設けられる板状の輪郭をもつ中間板構造であるゴムシムと、
前記上部リニアガイドと前記下部リニアガイドのうちの少なくとも一方の直動構造であるリニアガイドに対応して設けられ前記リニアガイドのレール構造であるリニアレールに沿って前記リニアレールを支持する基礎板構造であるフランジプレートに支持される構造である水平変形機能バックアップ構造と、
を備え、
前記ボールが損傷したとき前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される、
ことを特徴とする免震装置。
【請求項2】
前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが当接することを検知するセンサである当接検知センサと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項4】
前記ゴムシムの寸法変化を測定するセンサである寸法変化検知センサと、
を備え、
予め準備された寸法変化と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定できる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項5】
前記ボールが損傷したとき前記リニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束され前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置
【請求項6】
前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが接近することを検知するセンサである接近検知センサと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項7】
前記接近検知センサが前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との上下方向の隙間が狭くなるにつれ順番にオン/オフする複数の検知スイッチを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、損傷した際の軸力保持機能または水平変形機能を補助するバックアップ構造または損傷を推定できる構造をもつ免震装置に係る。
【背景技術】
【0002】
建築物を支承するのに免震装置を用いることがある。
免震装置は、建築物の柱下に設置され長期荷重を常時支持する。
直動転がり免震装置は、ボールの転がりを使用する免震装置である。
直動転がり免震装置は、免震周期を調整するために持ちいられ、復元機能や減衰機能をもたない免震装置である。
地震が発生した際に直動転がり免震装置はボールの転がりを利用して建築物の水平方向への移動を許し、建築物または建築物の内部の財産を守る。
【0003】
例えば、直動転がり免震装置は、直動溝をもつリニアレールとボールを介して直動溝に沿って移動できるリニアブロックとで構成される一対のリニアガイドを互いに交差して設けられる。地震が発生するとリニアブロックが直動軸に沿って移動し転がり摩擦が発生する。
例えば、一対のリニアガイドが上から見て十字型、キ型、井型のどれか1つの型に交差して設けられる。
直動転がり免震装置は、他の形式の免震装置や減衰装置と組み合わされて、全体として建築物に希望の振動抑制機能を発揮する。
【0004】
ボールが転がることで作動する機械要素を用いて直線運動する部分をもつ直動転がり免震装置には、直動するとボールとボールを案内する溝に大きな負荷がかかる。
ボールとボールを案内する溝とは、定格荷重以内の鉛直荷重が作用することを前提に設計されている。
【0005】
直動転がり免震装置は、復元機能を持たないため、鉛入り積層ゴム免震装置など復元機能や減衰機能を持つ免震装置と併用して用いられる。
一般的に、直動転がり免震装置の鉛直剛性は鉛入り積層ゴム免震装置の鉛直剛性より高い。
そのため、鉛入り積層ゴム免震装置のクリープなどの影響により、想定を越える鉛直荷重が直動転がり免震装置に作用することがある。
近年、想定を越える地震が発生する。例えば想定を越える加速度が建築物に作用することがある。
また、地震により建築物を支持する基礎が予期しない沈下をすることがある。
【0006】
その様な事態が発生すると直動転がり免震装置に予期しない損傷が発生することが予測される。
従来の応急点検では、外観目視による装置の状態や、鉛直変位の縮み量と荷重との関係から装置の健全性を判断している。
鉛直変位を計測する計測点は免震層の高さ、または装置高さである。
鉛直変位の縮み量が統計的なデータにより危険と判断される場合には、建築物をジャッキアップするなどし、ジャッキアップ荷重により実際に装置にかかっていた鉛直荷重などを推定し、装置の健全性を判断する。
また、実験等で、装置がささえる鉛直荷重と水平荷重を計測し、荷重の異常な上昇値や異常な金属音などが生じた場合に損傷と判断する。
損傷と判断したとき、装置を解体し内部構造の確認により損傷の有無を確認する。
【0007】
リニアガイドを利用した免震装置は、想定以上の鉛直荷重がかかると、リニアガイドのエンドプレートが孕み、中のボールが飛び出す可能性がある。また、装置には鉛直縮みが生じて周辺の梁部材などに変形が生じ、建築物に被害が及ぶ恐れもある。
この様になって装置は一時的に鉛直軸力の保持力を維持する。しかし、鉛直縮みがある状態で地震などが生じると、装置が水平方向に動こうとしてさらに建築物に大きな損傷をあたえる恐れがある。
【0008】
従来の点検などで用いられる鉛直変位の縮み量は数mm単位であり、判断に必要な鉛直変位量はさらに小さく、実際に免震層の高さや装置高さを計測して既存データと比較しても、適切に損傷の有無を判定するのが困難である。
建築物をジャッキアップして実際の鉛直荷重を測定するには大きな労力と時間を要する。
【0009】
上記の点を考慮して、実際にジャッキアップして鉛直荷重を測定したり、免震層の高さや装置高さを変位計で測定することなく、鉛直変位の縮み量を確実に把握する手段が求められていた。また、何らかの損傷により装置が鉛直方向に縮んだ場合でも、免震装置の鉛直荷重保持機能をバックアップしたいという要請があった。さらにボールなどが損傷した状態でも建築物へ被害を及ぼさずに水平方向変位を補助することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平08-296642号
【文献】特開2018-091447号
【文献】特開2019-132728号
【文献】特開2019-206862号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明者は、上記の事態を解決するためにボールが転がることで作動する機械要素を用いて直線運動する部分をもつ免震装置において軸力保持機能または水平変形機能をバックアップできる構造または損傷を推定できる構造を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、上下一対の構造である上部構造物と下部基礎構造との間に設けられ建築物を支承する免震装置を、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交し、上部構造物を支持する基礎板構造である上部フランジプレートと、前記上部フランジプレートを支持し前記X軸の軸方向に延びるレール構造である上部リニアレールと前記上部リニアレールに複数のボールを介して下方から上下方向及びY軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記X軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部リニアブロックとを有する直動構造である上部リニアガイドと、下部基礎構造に支持される基礎板構造である下部フランジプレートと、前記下部フランジプレートに支持され前記Y軸の軸方向に延びるレール構造である下部リニアレールと前記下部リニアレールに複数のボールを介して上方から上下方向及びX軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記Y軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部リニアブロックとを有する直動構造である下部リニアガイドと、前記上部リニアブロックと前記下部リニアブロックとの間に設けられる板状の輪郭をもつ中間板構造であるゴムシムと、前記上部リニアガイドと前記下部リニアガイドのうちの少なくとも一方の直動構造であるリニアガイドに対応して設けられ前記リニアガイドのレール構造であるリニアレールに沿って少なくとも据付け状態で前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックのある位置で)前記リニアレールを支持する基礎板構造であるフランジプレートに支持される構造である軸力保持機能バックアップ構造と、を備え、据付け状態で前記リニアブロックの前記フランジプレートに向いた面と前記軸力保持機能バックアップ構造とが当接できる、ものとした。
【0013】
上記本発明の構成において、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交する。、上部フランジプレートは、上部構造物を支持する基礎板構造である。上部リニアガイドは、前記上部フランジプレートを支持し前記X軸の軸方向に延びるレール構造である上部リニアレールと前記上部リニアレールに複数のボールを介して下方から上下方向及びY軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記X軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部リニアブロックとを有する直動構造である。下部フランジプレートは、下部基礎構造に支持される基礎板構造である。下部リニアガイドは、前記下部フランジプレートに支持され前記Y軸の軸方向に延びるレール構造である下部リニアレールと前記下部リニアレールに複数のボールを介して上方から上下方向及びX軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記Y軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部リニアブロックとを有する直動構造である。ゴムシムは、前記上部リニアブロックと前記下部リニアブロックとの間に設けられる板状の輪郭をもつ中間板構造である。
軸力保持機能バックアップ構造は、前記上部リニアガイドと前記下部リニアガイドのうちの少なくとも一方の直動構造であるリニアガイドに対応して設けられ、前記リニアガイドのレール構造であるリニアレールに沿って少なくとも据付け状態で前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックのある位置で前記リニアレールを支持する基礎板構造であるフランジプレートに支持される構造である。据付け状態で前記リニアブロックの前記フランジプレートに向いた面と前記軸力保持機能バックアップ構造とが当接できる。
その結果、予期しない荷重が作用しても軸力保持機能を補助できる。
【0014】
上記目的を達成するため、上下一対の構造である上部構造物と下部基礎構造との間に設けられ建築物を支承する免震装置を、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交し、上部構造物を支持する基礎板構造である上部フランジプレートと、前記上部フランジプレートを支持し前記X軸の軸方向に延びるレール構造である上部リニアレールと前記上部リニアレールに複数のボールを介して下方から上下方向及びY軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記X軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部リニアブロックとを有する直動構造である上部リニアガイドと、下部基礎構造に支持される基礎板構造である下部フランジプレートと、前記下部フランジプレートに支持され前記Y軸の軸方向に延びるレール構造である下部リニアレールと前記下部リニアレールに複数のボールを介して上方から上下方向及びX軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記Y軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部リニアブロックとを有する直動構造である下部リニアガイドと、前記上部リニアブロックと前記下部リニアブロックとの間に設けられる板状の輪郭をもつ中間板構造であるゴムシムと、前記上部リニアガイドと前記下部リニアガイドのうちの少なくとも一方の直動構造であるリニアガイドに対応して設けられ前記リニアガイドのレール構造であるリニアレールに沿って前記リニアレールを支持する基礎板構造であるフランジプレートに支持される構造である水平変形機能バックアップ構造と、を備え、前記ボールが損傷したとき前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される、ものとした。
【0015】
上記本発明の構成において、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交する。上部フランジプレートは、上部構造物を支持する基礎板構造である。上部リニアガイドは、前記上部フランジプレートを支持し前記X軸の軸方向に延びるレール構造である上部リニアレールと前記上部リニアレールに複数のボールを介して下方から上下方向及びY軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記X軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部リニアブロックとを有する直動構造である。下部フランジプレートは、下部基礎構造に支持される基礎板構造である。下部リニアガイドは、前記下部フランジプレートに支持され前記Y軸の軸方向に延びるレール構造である下部リニアレールと前記下部リニアレールに複数のボールを介して上方から上下方向及びX軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合し前記Y軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部リニアブロックとを有する直動構造である。ゴムシムは、前記上部リニアブロックと前記下部リニアブロックとの間に設けられる板状の輪郭をもつ中間板構造である。水平変形機能バックアップ構造が、前記上部リニアガイドと前記下部リニアガイドのうちの少なくとも一方の直動構造であるリニアガイドに対応して設けられ前記リニアガイドのレール構造であるリニアレールに沿って前記リニアレールを支持する基礎板構造であるフランジプレートに支持される構造である。前記ボールが損傷したとき前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される、
その結果、予期しない荷重が作用してボールが損傷しても水平変形機能を補助できる。
【0016】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0017】
また、本発明の実施形態に係る免震装置は、前記リニアブロックと前記軸力保持機能バックアップ構造とが当接することを検知するセンサである当接軸力検知センサと、を備える。
上記本発明に係る実施形態の構成により、当接軸力検知センサは、前記リニアブロックと前記軸力保持機能バックアップ構造とが当接することを検知するセンサである。
その結果、予期しない荷重が免震装置に作用していることを推定できる。
【0018】
また、本発明の実施形態に係る免震装置は、前記リニアブロックと前記軸力保持機能バックアップ構造との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記リニアブロックと前記軸力保持機能バックアップ構造との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される。
その結果、予期しない荷重が免震装置に作用したときも安定してXY方向に移動できる。
【0019】
また、前記軸力保持機能バックアップ構造の母材の弾性率が前記リニアブロックの母材の弾性率より小さい。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記軸力保持機能バックアップ構造の母材の弾性率が前記リニアブロックの母材の弾性率より小さい。
その結果、予期しない荷重が免震装置に作用したときも、前記軸力保持機能バックアップ構造がたわみつつリニアガイドの軸力保持機能を補助できる。
【0020】
また、前記リニアガイドのレール構造であるリニアレールに沿って前記リニアレールを支持する基礎板構造であるフランジプレートに支持される構造である水平変形機能バックアップ構造と、を備え、前記ボールが損傷したとき前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される。
上記本発明の実施形態の構成により、水平変形機能バックアップ構造は、前記リニアガイドのレール構造であるリニアレールに沿って前記リニアレールを支持する基礎板構造であるフランジプレートに支持される構造である。前記ボールが損傷したとき前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される。
その結果、予期しない荷重が作用して前記ボールが損傷しても水平変形機能を補助できる。
【0021】
また、前記軸力保持機能バックアップ構造が前記リニアブロックの前記フランジプレートに向いた面と前記水平変形機能バックアップ構造とに挟まれて設けられる板構造である。
上記本発明の実施形態の構成により、前記軸力保持機能バックアップ構造の板構造が前記リニアブロックの前記フランジプレートに向いた面と前記水平変形機能バックアップ構造とに挟まれて設けられる。
その結果、予期しない荷重が作用しても軸力保持機能を補助でき、かつ前記ボールが損傷しても水平変形できる。
【0022】
また、前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される。
上記本発明の実施形態の構成により、前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される。
その結果、予期しない荷重によりボールが損傷しても、安定して水平変形できる。
【0023】
また、前記ボールが損傷したとき前記リニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束され前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される。
上記本発明の実施形態の構成により、前記ボールが損傷したとき前記リニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束され前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される。
その結果、予期しない荷重が作用してボールが損傷してもX軸またはY軸方向の水平変形機能を補助できる。
【0024】
また、前記ゴムシムの寸法変化を測定するセンサである寸法変化センサと、を備え、予め準備された寸法変化と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定できる。
上記本発明の実施形態の構成により、寸法変化センサが、前記ゴムシムの寸法の変化を測定するセンサである。予め準備された寸法変化と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定できる。
その結果、免震装置に作用した荷重を推定できる。
【0025】
また、前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが当接することを検知するセンサである当接検知センサと、を備える。
上記本発明の実施形態の構成により、当接検知センサが、前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが当接することを検知するセンサである。
その結果、免震装置の損傷を推定できる。
【0026】
また、前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが接近することを検知するセンサである接近検知センサと、を備える。
上記本発明の実施形態の構成により、接近検知センサが、前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが接近することを検知する。
その結果、免震装置の損傷を推定できる。
【0027】
また、前記接近検知センサが前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との上下方向の隙間が狭くなるにつれ順番にオン/オフする複数の検知スイッチを有する。
上記本発明の実施形態の構成により、前記接近検知センサの複数の検知スイッチが前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との上下方向の隙間が狭くなるにつれ順番にオン/オフする。
その結果、免震装置の損傷を推定できる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明に係る直動転がり免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
ゴムシムを間に挟んで上下に重なるX軸の軸方向またはY軸の軸方向に延びるリニアレールとリニアレールに複数のボールを介して上下方向及び水平方向の移動を拘束される様に嵌合し軸方向に相対移動可能に案内されるリニアブロックとでできたリニアガイドにおいて、リニアレールに沿って据付け状態でリニアブロックのある位置で軸力保持機能バックアップ構造がフランジプレートに支持され、据付け状態で前記リニアブロックの前記フランジプレートに向いた面と前記軸力保持機能バックアップ構造とが当接できる様にしたので、予期しない荷重が作用しても軸力保持機能を補助できる。
ゴムシムを間に挟んで上下に重なるX軸の軸方向またはY軸の軸方向に延びるリニアレールとリニアレールに複数のボールを介して上下方向及び水平方向の移動を拘束される様に嵌合し軸方向に相対移動可能に案内されるリニアブロックとでできたリニアガイドにおいて、リニアレールに添って延びる水平変形機能バックアップ構造がフランジプレートに支持され、前記ボールが損傷したとき前記リニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して軸方向に沿って案内される様にしたので、予期しない荷重が作用して前記ボールが損傷しても水平変形機能を補助できる。
また、軸力検知センサが、前記リニアブロックと前記軸力保持機能バックアップ構造とが当接していることを検知する様にしたので、予期しない荷重が免震装置に作用していることを推定できる。
また、前記リニアブロックと前記軸力保持機能バックアップ構造との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される様にしたので、予期しない荷重が免震装置に作用したときも安定してXY方向に移動できる。
また、前記軸力保持機能バックアップ構造の母材の弾性率が前記リニアブロックの母材の弾性率より小さい様にしたので、予期しない荷重が免震装置に作用したときも、前記軸力保持機能バックアップ構造がたわみつつリニアガイドの軸力保持機能を補助できる。
また、前記ボールが損傷したとき前記リニアガイドのブロック構造であるリニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される様にしたので、予期しない荷重が作用して前記ボールが損傷しても水平変形機能を補助できる。
また、前記軸力保持機能バックアップ構造の板構造が前記リニアブロックの前記フランジプレートに向いた面と前記水平変形機能バックアップ構造とに挟まれて設けられる様にしたので、予期しない荷重が作用しても軸力保持機能を補助でき、かつ前記ボールが損傷しても水平変形できる。
また、前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される様にしたので、予期しない荷重によりボールが損傷しても、安定して水平変形できる。
また、前記ボールが損傷したとき前記リニアブロックが前記水平変形機能バックアップ構造に当接して前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束され前記リニアブロックが嵌合する前記リニアレールの延びる軸方向に沿って案内される様にしたので、予期しない荷重が作用してボールが損傷してもX軸またはY軸方向の水平変形機能を補助できる。
また、予め準備されたゴムシムの寸法の変化と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定できる様にしたので、免震装置に作用した荷重を推定できる。
また、当接検知センサが前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが当接することを検知する様にしたので、免震装置の損傷を推定できる。
また、接近検知センサが前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造とが接近することを検知する様にしたので、免震装置の損傷を推定できる。
また、前記接近検知センサの複数の検知スイッチが前記リニアブロックと前記水平変形機能バックアップ構造との上下方向の隙間が狭くなるにつれ順番にオン/オフする様にしたので、複数の検知スイッチのオン/オフにより免震装置の損傷を推定できる。
その結果、免震装置において軸力保持機能または水平変形機能をバックアップできる構造または損傷を推定できる構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る建築物の概念図である。
【
図2】本発明の実施形態を含む免震層の概念図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る免震装置その1の部分図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る免震装置その2の部分図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る免震装置その3の部分図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態に係る免震装置その4の部分図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態に係る免震装置その5の部分図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分図である。
【
図9】本発明の第三の実施形態に係る免震装置その1の部分図である。
【
図10】本発明の第三の実施形態に係る免震装置その2の部分図である。
【
図11】本発明の第三の実施形態に係る免震装置その3の部分図である。
【
図12】本発明の第三の実施形態に係る免震装置その4の部分図である。
【
図13】本発明の第三の実施形態に係る免震装置その5の部分図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る鉛直変位と鉛直荷重の相関関係図である。
【
図15】本発明の第三の実施形態に係る免震装置その6の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0031】
本発明の実施形態に係る免震装置31は、上下一対の構造である上部構造物と下部基礎構造との間に設けられ建築物10を支承する構造である。
以下では、
図1に示す様に、建築物10を支持する免震装置が直動転がり免震装置31と鉛プラグ入り積層ゴム免震装置32とで構成されているとして、説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態を含む免震層の概念図である。
直動転がり免震装置31は、一対のリニアガイドが上から見て十字型に交差して設けられているとして、説明する。
直動転がり免震装置31と建築物10との上部構造では、上部アンカープレート11と上部フランジプレート100uとが上部アンカーボルト12で接続されている。
直動転がり免震装置31と基礎20との下部構造では、下部アンカープレート21と下部フランジプレート100dとが下部アンカーボルト22で接続されている。
直動転がり免震装置31は、ボール110の転がり運動を介して建築物10を支承する。
直動転がり免震装置31は、上下方向に高い剛性をもち、水平方向に抵抗無く移動できる特性をもつ。
鉛プラグ入り積層ゴム免震装置32は、積層されたゴム板と鋼板とを介して建築物10を支承する。鉛プラグ入り積層ゴム免震装置32は、減衰機能を有する鉛プラグが充填されている。
鉛プラグ入り積層ゴム免震装置32は、上下方向の剛性が直動転がり免震装置31の剛性より小さく、水平方向に大きな弾性係数をもつ特性をもつ。
直動転がり免震装置31と鉛プラグ入り積層ゴム免震装置32とを組み合わせて、所望の振動特性をもつ免震装置を得ることができる。
【0033】
以下に、本発明の第一乃至第三の実施形態に係る免震装置31を、順番に説明する。
本発明の第一乃至第三の実施形態に係る免震装置31は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と下部バックアップ構造230dとで構成される。
本発明の第一乃至第三の実施形態に係る免震装置31は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と上部バックアップ構造(図示せず)とで構成されてもよい。
本発明の第一乃至第三の実施形態に係る免震装置31は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と上部バックアップ構造(図示せず)と下部バックアップ構造230dとで構成されてもよい。
以下では、本発明の第一乃至第三の実施形態に係る免震装置31を、下部バックアップ構造をもつものの図を基に、説明する。
本発明の第一の実施形態に係る免震装置31は、下部バックアップ構造として軸力保持機能バックアップ構造を持つ。
本発明の第二の実施形態に係る免震装置31は、下部バックアップ構造として軸力保持機能バックアップ構造と水平変形機能バックアップ構造とを持つ。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置31は、下部バックアップ構造として水平変形機能バックアップ構造を持つ。
説明の容易のため、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交するとして、説明する。
【0034】
最初に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置31その1乃至その5を、図を基に説明する。
【0035】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置その1を、図を基に、説明する。
図3は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置その1の下部構造の部分図である。
【0036】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置その1は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dと上部バックアップ構造(図示せず)と下部バックアップ構造230dとで構成される。
【0037】
上部フランジプレート(図示せず)は、上部構造物を支持する基礎板構造である。
例えば、上部構造物は、建築物10の最下層に設けられる基礎梁である。
【0038】
下部フランジプレート100dは、下部基礎構造に支持される基礎板構造である。
例えば、下部基礎構造は、建築物を据付ける基礎20に打ち込まれた基礎杭に支持されるスラブ構造である。
直動転がり免震装置31は、下部フランジプレート100dに支持され、上部フランジプレート(図示せず)を支持する。
【0039】
上部リニアガイド(図示せず)は、上部リニアレール(図示せず)と上部リニアブロック(図示せず)とで構成される。
【0040】
上部リニアレール(図示せず)は、上部フランジプレート(図示せず)を支持しX軸の軸方向に延びるレール構造である。
上部リニアレール(図示せず)は、後述するボール110が転動する溝がX軸の軸方向にそって延びる様に設けられる。
【0041】
上部リニアブロック220uは、上部リニアレール(図示せず)に複数のボール110を介して下方から上下方向及びY軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合しX軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である。
【0042】
上部バックアップ構造(図示せず)は、上部リニアレール(図示せず)が支持する上部フランジプレート(図示せず)に固定される構造である。
【0043】
下部リニアガイド200dは、下部リニアレール210dと下部リニアブロック220dとで構成される。
下部リニアガイド200dは、下部リニアレール210dと下部リニアブロック220dと下部バックアップ構造230dとで構成されてもよい。
【0044】
下部リニアレール210dは、下部フランジプレート100dを支持しY軸の軸方向に延びるレール構造である。
下部リニアレール210dは、後述するボール110が転動する溝がY軸にそって延びる様に設けられる。
【0045】
下部リニアブロック220dは、下部リニアレール210dに複数のボール110を介して下方から上下方向及びX軸の軸方向の移動を拘束される様に嵌合しY軸の軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である。
【0046】
下部バックアップ構造230dは、下部リニアレール210dを支持する下部フランジプレート100dに固定される構造である。
【0047】
以下では、上部フランジプレート(図示せず)と下部フランジプレート100dとを上下一対のフランジプレート100と呼称し、上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイド200dとを上下一対のリニアガイド200と呼称し、上部リニアレール(図示せず)と下部リニアレール210dとを上下一対のリニアレール210と呼称し、上部リニアブロック220uと下部リニアブロック220dとを上下一対のリニアブロック220と呼称し、上部バックアップ構造(図示せず)と下部バックアップ構造230dとを上下一対のバックアップ構造230と呼称する。
【0048】
上部バックアップ構造(図示せず)と下部バックアップ構造230dとは、軸力保持機能バックアップ構造231で構成される。
【0049】
軸力保持機能バックアップ構造231は、上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイド200dのうちの少なくとも一方の直動構造であるリニアガイド200に(対応して)設けられる。
軸力保持機能バックアップ構造231は、リニアレール210に沿って少なくとも据付け状態でリニアブロック220のある位置でリニアレール210を支持するフランジプレート100に支持される構造である。
軸力保持機能バックアップ構造231は、リニアレール210に沿ってリニアレール210を支持するフランジプレート100に支持される構造であってもよい。
【0050】
据付け状態でリニアブロック220のフランジプレート100に向いた面と軸力保持機能バックアップ構造231とが当接できる。
例えば、据付け状態でリニアブロック220のフランジプレート100に向いた面と軸力保持機能バックアップ構造231とが当接する。
例えば、据付け状態でリニアブロック220のフランジプレート100に向いた面と軸力保持機能バックアップ構造231とが極めて僅かの隙間をあけて対面する。
【0051】
図3に、上から見てリニアブロック220の大きさに略一致する一体の板構造である軸力保持機能バックアップ構造231がフランジプレート100に固定され、板構造である軸力保持機能バックアップ構造231の上面の一部がリニアブロック220のフランジプレート100に向いた面に当接する様子が示される。
この様にすると、予期しない大きな荷重が免震装置に作用したとき、リニアブロック220が受ける軸力の一部を一体の板構造である軸力保持機能バックアップ構造231が支える。その結果、軸力保持機能バックアップ構造231がリニアガイド200の軸力保持機能を補助できる。
【0052】
軸力保持機能バックアップ構造231の母材の弾性率とリニアブロックの母材の弾性率とが異なってもよい。
軸力保持機能バックアップ構造231の母材の弾性率がリニアブロックの母材の弾性率より小さくてもよい。
この様にすると、軸力保持機能バックアップ構造231の母材の弾性率とリニアブロックの母材の弾性率とを一定の関係になるように選択すると、予期しない大きな荷重が免震装置に作用したとき、リニアブロック220が受ける軸力と板構造である軸力保持機能バックアップ構造231が受ける軸力の比を所望の関係に調整できる。その結果、軸力保持機能バックアップ構造231がリニアガイド200の軸力保持機能を補助できる。
【0053】
次に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置その2を、図を基に、説明する。
図4は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置その2の下部構造の部分図である。
【0054】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置その2は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dと軸力保持機能バックアップ構造231とで構成される。
上部フランジプレート(図示せず)、下部フランジプレート100d、上部リニアガイド(図示せず)、下部リニアガイド200d、軸力保持機能バックアップ構造231との主要構造は、上述したものと同じなので、説明を省略し、異なる点のみを説明する。
【0055】
図4に、上から見てリニアブロック220dの大きさに略一致する複数(例えば2枚)の重なった板構造である軸力保持機能バックアップ構造231がフランジプレート100に固定され、板構造である軸力保持機能バックアップ構造231の上面の一部がリニアブロック220のフランジプレート100に向いた面に当接する様子が示される。
この様にすると、予期しない大きな荷重が免震装置に作用したとき、リニアブロック220が受ける軸力の一部を複数(例えば、2枚)の重なった板構造である軸力保持機能バックアップ構造231が支える。その結果、軸力保持機能バックアップ構造231がリニアガイド200の軸力保持機能を補助できる。
例えば、2枚の重なった板構造は、上部板構造231aと下部板構造231bとで構成される。
【0056】
据付け時に、板厚の異なる複数の板構造を組み合わせて軸力保持機能バックアップ構造231を作ることができ、軸力保持機能バックアップ構造231の設置が容易になる。
また、地震が発生し、免震装置が水平変形した際に、複数の重なった板構造の幾つかが軸力保持機能バックアップ構造231から剥がれ落ちて、その後の水平変形が円滑になる。
例えば、地震が発生し、免震装置が水平変形した際に、上部板構造231aが軸力保持機能バックアップ構造231から剥がれ落ちて、その後の水平変形が円滑になる。
【0057】
次に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置その3を、図を基に、説明する。
図5は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置その3の下部構造の部分図である。
【0058】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置その3は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dと軸力保持機能バックアップ構造231とで構成される。
上部フランジプレート(図示せず)、下部フランジプレート100d、上部リニアガイド(図示せず)、下部リニアガイド200d、軸力保持機能バックアップ構造231との主要構造は、上述したものと同じなので、説明を省略し、異なる点のみを説明する。
【0059】
図5に、上から見てリニアブロック220dの大きさに略一致する複数(例えば2枚)の板構造である軸力保持機能バックアップ構造231がフランジプレート100に固定され、板構造である軸力保持機能バックアップ構造231の上面の一部がリニアブロック220のフランジプレート100に向いた面に当接する様子が示される。
この様にすると、予期しない大きな荷重が免震装置に作用したとき、リニアブロック220が受ける軸力の一部を複数構造(例えば、2枚構造)の板構造である軸力保持機能バックアップ構造231が支える。その結果、軸力保持機能バックアップ構造231がリニアガイド200の軸力保持機能を補助できる。
例えば、2枚の重なった板構造は、上部板構造231aと下部板構造231bとで構成される。
【0060】
軸力保持機能バックアップ構造231は、複数の板構造が互いにテーパ状に重なって構成される。
例えば、上部板構造231aと下部板構造231bとの互いに対面する面が逆テーパになっている。
据付け時に、テーパ状に重なる複数の板構造の重なり具合を調整して厚みを選択して軸力保持機能バックアップ構造231を作ることができ、軸力保持機能バックアップ構造231の設置が容易になる。
また、地震が発生し、免震装置が水平変形した際に、複数の重なった板構造の幾つかが軸力保持機能バックアップ構造231から剥がれ落ちて、その後の水平変形が円滑になる。
例えば、地震が発生し、免震装置が水平変形した際に、上部板構造231aが軸力保持機能バックアップ構造231から剥がれ落ちて、その後の水平変形が円滑になる。
【0061】
次に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置31その4を、図を基に、説明する。
図6は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置31その4の下部構造の部分図である。
【0062】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置その4は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dと軸力保持機能バックアップ構造231と当接軸力検知センサ260とで構成される。
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dと軸力保持機能バックアップ構造231との構成は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置その1のものと同じなので、説明を省略する。
【0063】
当接軸力検知センサ260は、上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイド200dのうちの少なくとも一方のリニアガイド200に対応して設けられ、リニアブロック220と軸力保持機能バックアップ構造231とが当接していることを検知するセンサである。
例えば、当接軸力検知センサは、タッチセンサである。
当接軸力検知センサ260は、リニアブロック220と軸力保持機能バックアップ構造231とが当接していることから、軸力保持機能バックアップ構造231が軸力保持機能を補助していると判断できる。
当接軸力検知センサ260は、上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイド200dのうちの少なくとも一方のリニアガイド200に(対応して)設けられ、リニアブロック220と軸力保持機能バックアップ構造231とが一定の軸力以上で当接していることを検知するセンサであってもよい。
例えば、当接軸力検知センサ260は圧力センサである。
当接軸力検知センサ260の検知する圧力の増加から、軸力保持機能バックアップ構造231が軸力保持機能を補助していると判断できる。
【0064】
次に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置31その5を、図を基に、説明する。
図6は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置31その5の下部構造の部分図である。
【0065】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置その4は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dと軸力保持機能バックアップ構造231とで構成される。
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dと軸力保持機能バックアップ構造231との構成は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置その1のものと同じなので、説明を省略する。
【0066】
リニアブロック220と軸力保持機能バックアップ構造231との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材Mで被覆される。
図7に、軸力保持機能バックアップ構造231のリニアブロック220に当接する面が低摩擦材Mで被覆される様子が示される。
この様にすると、地震が発生し、免震装置が水平変形機能を発揮するとき、リニアブロック220が軸力保持機能バックアップ構造231の上を安定して移動できる。
低摩擦材Mは、軸力保持機能バックアップ構造231を構成する板構造の上に張られていてもよい。
低摩擦材Mは、軸力保持機能バックアップ構造231を構成する板構造の上が改質されていてもよい。
【0067】
次に、本発明の第二の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図8は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の下部構造の部分図である。
【0068】
本発明の第二の実施形態に係る免震装置は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dとバックアップ構造230とで構成される。
バックアップ構造230は、軸力保持機能バックアップ構造231と水平変形機能バックアップ構造232とで構成される。
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dの構造は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置で説明したものと同じなので説明を省略する。
軸力保持機能バックアップ構造231の構成の主要部は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置におけるものと同じなので、異なる点のみを説明する。
水平変形機能バックアップ構造232は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の説明において詳細に後述するので、説明を省略する。
【0069】
図8に、上から見てリニアブロック220dの大きさに略一致する一体の板構造である軸力保持機能バックアップ構造231が水平変形機能バックアップ構造232を介してフランジプレート100に支持され、板構造である軸力保持機能バックアップ構造231の上面の一部がリニアブロック220のフランジプレート100に向いた面に当接する様子が示される。
この様にすると、予期しない大きな荷重が免震装置に作用したとき、リニアブロック220が受ける軸力の一部を一体の板構造である軸力保持機能バックアップ構造231が支える。その結果、軸力保持機能バックアップ構造231がリニアガイド200の軸力保持機能を補助できる。
【0070】
この様にするとバックアップ構造230は、リニアガイド200の軸力保持機能と水平変形機能を補助できる。
また、地震が発生し、免震装置が水平変形した際に、複数の重なった板構造の力保持機能バックアップ構造231が水平変形機能バックアップ構造232から剥がれ落ちて、その後の水平変形機能を円滑に補助できる。
【0071】
最後に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置31その1乃至その6を、図を基に順に説明する。
【0072】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置その1を、図を基に、説明する。
図9は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その1の下部構造の部分図である。
【0073】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置その1は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dとバックアップ構造230とで構成される。
バックアップ構造230は、水平変形機能バックアップ構造232とで構成される。
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dとゴムシム300と下部リニアガイド200dの構造は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置で説明したものと同じなので、説明を省略する。
【0074】
水平変形機能バックアップ構造232は、上部リニアガイド図示せずと下部リニアガイド200dのうちの少なくとも一方のリニアガイド200に設けられ、リニアレール210に沿ってフランジプレート100に支持される構造である。
水平変形機能バックアップ構造232は、上部リニアガイド図示せずと下部リニアガイド200dのうちの少なくとも一方のリニアガイド200に設けられ、リニアレール210に沿って延びフランジプレート100に支持される構造である。
【0075】
ボール110が損傷したときリニアブロック220が水平変形機能バックアップ構造232に当接してリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内される。
ボール110が損傷したとき、リニアブロック220がリニアレール210に接触しない様に、リニアブロック220が水平変形機能バックアップ構造232に当接してリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内される。
例えば、水平変形機能バックアップ構造232が底部板構造232bで構成される。
ボール110が損傷したとき、リニアブロック220が底部板構造232bに当接してリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内される。
【0076】
ボール110が損傷したときリニアブロック220がリニアレール210に当接してリニアブロック220の嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束されリニアブロック220の嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内されてもよい。
ボール110が損傷したとき、リニアブロック220がリニアレール210の上部に接触しない様に、リニアブロック220がリニアレール210に当接してリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束されリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内されてもよい。
例えば、リニアブロック220とリニアレール210との隙間の上下方向の寸法v1が、リニアブロック220と底部板構造232bとの隙間の上下方向の寸法v2より大きい。
【0077】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その2を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その2の下部構造の部分図である。
【0078】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置その2は、上部フランジプレート図示せずと上部リニアガイド図示せずと下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232と当接検知センサ240で構成される。
説明の容易のため、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交するとして、説明する。
【0079】
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232との主要な構成は、第三の実施形態に係る免震装置その1のものと同じなので、異なる構成のみを説明する。
【0080】
ボール110が損傷したときの作用は本発明の第三の実施形態に係る免震装置その1の作用と同じなの、説明を省略する。
【0081】
当接検知センサ240は、上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイド200dのうちの少なくとも一方のリニアガイド200に設けられ、リニアブロック220とバックアップ構造230とが当接することを検知するセンサである。
当接検知センサ240は、上部当接検知センサ240uで構成されてもよい。
当接検知センサ240は、下部当接検知センサ240dで構成されてもよい。
当接検知センサ240は、上部当接検知センサ240uと下部当接検知センサ240dとで構成されてもよい。
当接検知センサ240は、いわゆるタッチセンサであってもよい。
当接検知センサ240は、静電容量の変化を検知して当接を検知するタッチセンサであってもよい。
当接検知センサ240は、接触による電気抵抗の変化を検知して当接を検知するタッチセンサであってもよい。
当接検知センサ240は、接触による内部スイッチのオン/オフの変化を検知して当接を検知するタッチセンサであってもよい。
【0082】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その3を、図を基に、説明する。
図11は、本発明の第三の実施形態に係る直動転がり免震装置の部分図である。
【0083】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置その3は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド図示せずと下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232と当接検知センサ240で構成される。
説明の容易のため、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交するとして、説明する。
【0084】
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232と当接検知センサ240の主要な構成は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その2ものと同じなので、異なる構成のみを説明する。
【0085】
ボール110が損傷したときの作用は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その2の作用と同じなので、省略する。
【0086】
上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイドのうちの少なくとも一方のリニアガイドに設けられ、リニアブロック220とバックアップ構造230との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材Mで被覆される。
上部リニアブロック220uと上部バックアップ構造(図示せず)の少なくとも一方の当接する面が低摩擦材Mで被覆されてもよい。
下部リニアブロック220dと上部バックアップ構造(図示せず)の少なくとも一方の当接する面が低摩擦材Mで被覆されてもよい。
例えば、リニアブロック220とバックアップ構造231の少なくとも一方の当接する面が低摩擦材Mで被覆される。
低摩擦材Mは、リニアブロック220とバックアップ構造231の少なくとも一方の当接する面に貼り付けられたものでもよい。
低摩擦材Mは、リニアブロック220とバックアップ構造231の少なくとも一方の当接する面を改質されたものでもよい。
例えば、低摩擦材Mは、リニアブロック220とバックアップ構造231の少なくとも一方の当接する面に低摩擦物質を含浸されて改質されたものである。
【0087】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その4を、図を基に、説明する。
図12は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その4の下部構造の部分図である。
【0088】
本発明の第三の実施形態に係る直動転がり免震装置その4は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232と接近検知センサ250で構成される。
説明の容易のため、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交するとして、説明する。
【0089】
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232と接近検知センサ250の主要な構成は、第一の実施形態に係る直動転がり免震装置ものと同じなので、異なる構成のみを説明する。
【0090】
水平変形機能バックアップ構造232は、底部板構造232bと壁部板構造232wとで構成される。
ボール110が損傷したときリニアブロックが底部板構造232bと壁部板構造232wとに当接して、リニアレール210の延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束され、リニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内されてもよい。
ボール110が損傷したとき、リニアブロック220がリニアレール210に接触しない様に、リニアブロック220が底部板構造232bと壁部板構造232wとに当接して、リニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束され、リニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内されてもよい。
例えば、リニアブロック220とリニアレール210との隙間の水平方向の寸法h1が、リニアブロック220と壁部板構造232wとの隙間の水平方向の寸法h2より大きい。
【0091】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その5を、図を基に、説明する。
図13は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その5の下部構造の部分図である。
【0092】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置その5は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と当接検知センサ240と寸法変化センサ310とで構成される。
説明の容易のため、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交するとして、説明する。
【0093】
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と当接検知センサ240の主要な構成は、第三の実施形態に係る直動転がり免震装置その4ものと同じなので、異なる構成のみを説明する。
【0094】
ボール110が損傷したときの作用は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その4の作用と同じなので、省略する。
【0095】
寸法変化センサ310は、ゴムシム300の寸法変化を測定するセンサである。
予め準備された寸法の変化と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定できる。
【0096】
寸法変化センサ310は、鉛直変位センサであってもよい。
鉛直変位センサは、ゴムシム300の鉛直変位の変化を測定するセンサである。
予め、鉛直変位と鉛直荷重の相関関係を準備し、予め準備された鉛直変位と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定する。
図14は、鉛直変位と鉛直荷重の相関関係を表した図である。
例えば、実測された鉛直変位がD1のときは静定格荷重P0の1.0倍と推測できる。この値は長期荷重に相当する。実測された鉛直変位がD2のときは静定格荷重P0の2.0倍と推測できる。この値は短期荷重に相当する。実測された鉛直荷重がD3のときは静定格荷重P0と3.34倍と推測できる。この値は限界荷重に相当する。
【0097】
寸法変化センサ310は、周囲長センサであってもよい。
例えば、周囲長センサは、ゴムシム300のX軸とY軸とに沿った周囲長の変化を測定するセンサである。
例えば、鉛直荷重が大きくなると鉛直変位が大きくなる。
例えば、周囲長センサは、ゴムシム300のX軸とY軸とに沿った周囲を囲う様に設けられた電線の抵抗値を測定するセンサである。
例えば、鉛直荷重が大きくなると鉛直変位が大きくなり抵抗値が変化する。
予め、鉛直変位と鉛直荷重の相関関係を準備し、予め準備された鉛直変位と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定できる。
【0098】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その6を、図を基に、説明する。
図15は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その6の下部構造の部分図である。
【0099】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置その6は、上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232と接近検知センサ250で構成される。
説明の容易のため、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交するとして、説明する。
【0100】
上部フランジプレート(図示せず)と上部リニアガイド(図示せず)と下部フランジプレート100dと下部リニアガイド200dとゴムシム300と水平変形機能バックアップ構造232との主要な構成は、第三の実施形態に係る免震装置その4のものと同じなので、異なる構成のみを説明する。
【0101】
ボール110が損傷したときの作用は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置その4の作用と同じなので、省略する。
【0102】
接近検知センサ250は、上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイド200dのうちの少なくとも一方のリニアガイド200に設けられ、リニアブロック220とバックアップ構造230とが接近することを検知するセンサである。
接近検知センサ250は、上部リニアガイド(図示せず)に設けられてもよい。
接近検知センサ250は、下部リニアガイド200dに設けられてもよい。
上下一対の接近検知センサ250が、上部リニアガイド(図示せず)と下部リニアガイド200dとに各々に設けられてもよい。
接近検知センサ250は、リニアブロック220とバックアップ構造230との上下方向の隙間が狭くなるにつれ順番にオン/オフする複数の検知スイッチを有する。
例えば、接近検知センサ250は、リニアブロック220とバックアップ構造との上下方向の隙間が狭くなるにつれ順番にオン/オフする第一検知スイッチ251と第二検知スイッチ253と第三検知スイッチ253とで構成される。
【0103】
例えば、第一検知スイッチ251の隙間をv3、第二検知スイッチ252の隙間をv4、第三検知スイッチ253の隙間をv5とする。
例えば、v3は無負荷である初期状態から施工時に長期荷重が作用した縮み量を、v4はリニアブロック220とエンドプレート221との隙間を、v5はリニアブロック220とリニアレール210との隙間を表す。
図14の鉛直変位と鉛直荷重の相関関係で示すように、第一検知スイッチ251がオンを検知したときは施工時に長期荷重が静定格荷重の何倍であるか、第二検知スイッチ252がオンを検知したときはリニアブロック220とエンドプレート221が接触したときの荷重が静定格荷重の何倍程度であるか、第三検知スイッチ253がオンを検知したとkにはリニアブロック220とリニアレール210が接触したときの荷重が静定格荷重の何倍であるかを推測することができる。
なお、
図15では接近検知センサ250は仮想のY軸に添って3ヶ所に設置されているが、仮想のX軸に沿って設置されてもよいことは勿論である。
【0104】
本発明の実施形態に係る直動転がり免震装置31は、その構成により、以下の効果を有する。
ゴムシム300を間に挟んで上下に重なるX軸の軸方向またはY軸の軸方向に延びるリニアレール210とリニアレール210に複数のボール110を介して上下方向及び水平方向の移動を拘束される様に嵌合し軸方向に相対移動可能に案内されるリニアブロック220とでできたリニアガイド200において、リニアレール210に沿って据付け状態でリニアブロック220のある位置で軸力保持機能バックアップ構造231がフランジプレートに支持され、据付け状態でリニアブロック220のフランジプレートに向いた面と軸力保持機能バックアップ構造231とが当接できる様にしたので、予期しない荷重が作用しても軸力保持機能を補助できる。
ゴムシム300を間に挟んで上下に重なるX軸の軸方向またはY軸の軸方向に延びるリニアレール210とリニアレール210に複数のボール110を介して上下方向及び水平方向の移動を拘束される様に嵌合し軸方向に相対移動可能に案内されるリニアブロック220とでできたリニアガイド200において、リニアレール210に添って延びる水平変形機能バックアップ構造232がフランジプレートに支持され、ボール110が大きく損傷したときリニアブロック220が水平変形機能バックアップ構造232に当接して軸方向に沿って案内される様にしたので、予期しない荷重が作用してボール110が損傷しても水平変形機能を補助できる。
また、当接軸力検知センサ260が、リニアブロック220と軸力保持機能バックアップ構造231とが当接していることを検知する様にしたので、予期しない荷重が免震装置31に作用していることを推定できる。
また、リニアブロック220と軸力保持機能バックアップ構造231との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される様にしたので、予期しない荷重が免震装置31に作用したときも安定してXY方向に移動できる。
また、軸力保持機能バックアップ構造231の母材の弾性率がリニアブロック220の母材の弾性率より小さい様にしたので、予期しない荷重が免震装置31に作用したときも、軸力保持機能バックアップ構造231がたわみつつリニアガイド200の軸力保持機能を補助できる。
また、ボール110が損傷したときリニアガイド200のブロック構造であるリニアブロック220が水平変形機能バックアップ構造232に当接してリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内される様にしたので、予期しない荷重が作用してボール110が損傷しても水平変形機能を補助できる。
また、軸力保持機能バックアップ構造231の板構造がリニアブロック220のフランジプレートに向いた面と水平変形機能バックアップ構造232とに挟まれて設けられる様にしたので、予期しない荷重が作用しても軸力保持機能を補助でき、かつボール110が損傷しても水平変形できる。
また、リニアブロック220と水平変形機能バックアップ構造232との少なくとも一方の当接する面が低摩擦材で被覆される様にしたので、予期しない荷重によりボール110が損傷しても、安定して水平変形できる。
また、ボール110が損傷したときリニアブロック220が水平変形機能バックアップ構造232に当接してリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に交差する方向の移動を拘束されリニアブロック220が嵌合するリニアレール210の延びる軸方向に沿って案内される様にしたので、予期しない荷重が作用してボール110が損傷してもX軸またはY軸方向の水平変形機能を補助できる。
また、予め準備されたゴムシム300の寸法の変化と鉛直荷重の相関関係から鉛直荷重の変化を推定できる様にしたので、免震装置31に作用した荷重を推定できる。
また、当接検知センサ240がリニアブロック220と水平変形機能バックアップ構造232とが当接することを検知する様にしたので、免震装置31の損傷を推定できる。
また、接近検知センサ250がリニアブロック220と水平変形機能バックアップ構造232とが接近することを検知する様にしたので、免震装置31の損傷を推定できる。
また、接近検知センサ250の複数の検知スイッチがリニアブロック220と水平変形機能バックアップ構造232との上下方向の隙間が狭くなるにつれ順番にオン/オフする様にしたので、複数の検知スイッチのオン/オフにより免震装置31の損傷を推定できる。
【0105】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0106】
v1 隙間の上下方向の寸法
v2 隙間の上下方向の寸法
h1 隙間の水平方向の寸法
h2 隙間の水平方向の寸法
X X軸
Y Y軸
M 低摩擦材
10 建築物
11 上部アンカープレート
12 上部アンカーボルト
20 基礎
21 下部アンカープレート
22 下部アンカーボルト
31 直動転がり免震装置
32 鉛プラグ入り積層ゴム免震装置
100 フランジプレート
100u 上部フランジプレート
100d 下部フランジプレート
110 ボール
200 リニアガイド
200u 上部リニアガイド
200d 下部リニアガイド
210 リニアレール
210u 上部リニアレール
210d 下部リニアレール
220 リニアブロック
220u 上部リニアブロック
220d 下部リニアブロック
221u 上部エンドプレート
221d 下部エンドプレート
230 バックアップ構造
230u 上部バックアップ構造
230d 下部バックアップ構造
231 軸力保持機構バックアップ構造
231a 上部板構造
231b 下部板構造
232 水平変形機能バックアップ構造
232w 壁部板構造
232b 底部板構造
240 当接検知センサ
250 接近検知センサ
251 第一検知スイッチ
252 第二検知スイッチ
253 第三検知スイッチ
260 当接軸力検知センサ
300 ゴムシム
310 寸法変化センサ