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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】共同募集支援システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240703BHJP
   G06Q 30/01 20230101ALI20240703BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20240703BHJP
【FI】
G06Q30/0601 312
G06Q30/01
G06Q40/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023220734
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2023-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518112996
【氏名又は名称】アフラック生命保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】金沢 正男
(72)【発明者】
【氏名】奥西 正裕
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲士
(72)【発明者】
【氏名】柴田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】森 絢野
(72)【発明者】
【氏名】宮房 任
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7378028(JP,B1)
【文献】特許第7311199(JP,B1)
【文献】特開2021-193534(JP,A)
【文献】特開2020-187680(JP,A)
【文献】特開2004-133705(JP,A)
【文献】特開2002-269329(JP,A)
【文献】特開2001-350922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同募集支援システムであって、
規制業種から情報提供の委託を受けた第1の委託先が運用管理する情報処理システムとして構成された第1の委託先システムとの間で通信可能な構成を有し、前記規制業種が運用管理する情報処理システムとして構成されている委託元システムと、
前記委託元システムとの間で通信可能な構成を有し、保険契約の締結の代理または媒介を行う行為である顧客募集業務に該当しない募集関連行為の委託を前記規制業種から受けた第2の委託先が運用管理する情報処理システムとして構成されている第2の委託先システムと
を備え、
前記委託元システムは、
前記第1の委託先システムから、少なくとも連絡先情報を含む顧客情報を表す1次顧客データを取得するデータ取得部と、
前記1次顧客データに基づいて、当該1次顧客データで特定される各顧客に対して前記募集関連行為を実行するためのスクリプトデータを含む顧客データを生成する顧客データ生成部と
を含み、
前記第2の委託先システムは、
オペレータが前記1次顧客データで特定される各顧客に対して前記スクリプトデータに従った前記募集関連行為を実行することにより前記顧客データを更新すると、当該更新された顧客データを取得するデータ管理部と、
前記規制業種から前記顧客募集業務の直接の委託を受けた第3の委託先が運用管理する顧客管理システムとの間で、当該更新された顧客データを連携する顧客管理システムと
を含む、ことを特徴とする共同募集支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の共同募集支援システムであって、
前記募集関連行為は、前記オペレータにより行われる顧客との対話のプロセスを含み、
前記顧客データ生成部は、前記1次顧客データに基づいて、顧客との対話の際に前記オペレータにより参照されるべき話法スクリプトデータを前記スクリプトデータとして決定するように構成されている、共同募集支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の共同募集支援システムであって、前記募集関連行為は、当該更新された顧客データを取得するために顧客から同意を得るプロセスを含み、当該更新された顧客データは、当該同意が得られた顧客情報を含む、共同募集支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の共同募集支援システムであって、当該更新された顧客データは、前記オペレータにより入力された、前記募集関連行為の実行結果のデータを含む、共同募集支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の共同募集支援システムであって、前記第2の委託先システムは、前記募集関連行為の実行結果のデータを集計して統計的な集計データを生成する集計部を含む、共同募集支援システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の共同募集支援システムであって、前記1次顧客データは、前記第1の委託先の事業に関する顧客情報を含む、共同募集支援システム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の共同募集支援システムであって、前記第2の委託先システムの当該顧客管理システムは、前記第1の委託先システムにおける顧客管理システムとの間で、当該更新された顧客データを連携するように構成されている、共同募集支援システム。
【請求項8】
規制業種から情報提供の委託を受けた第1の委託先が運用する情報処理システムとして構成された第1の委託先システムとの間で通信可能な構成を有し、前記規制業種が運用する情報処理システムとして構成されている委託元システムと、前記委託元システムとの間で通信可能な構成を有し、保険契約の締結の代理または媒介を行う行為である顧客募集業務に該当しない募集関連行為の委託を前記規制業種から受けた第2の委託先が運用管理する情報処理システムとして構成されている第2の委託先システムとを備えた共同募集支援システムにおいて実行される方法であって、
前記委託元システムが、前記第1の委託先システムから、少なくとも連絡先情報を含む顧客情報を表す1次顧客データを取得するステップと、
前記委託元システムが、前記1次顧客データに基づいて、当該1次顧客データで特定される各顧客に対して前記募集関連行為を実行するためのスクリプトデータを含む顧客データを生成するステップと、
オペレータが前記1次顧客データで特定される各顧客に対して前記スクリプトデータに従った前記募集関連行為を実行することにより前記顧客データを更新すると、前記第2の委託先システムが当該更新された顧客データを取得するステップと、
前記第2の委託先システムが、前記規制業種から前記顧客募集業務の直接の委託を受けた第3の委託先が運用管理する顧客管理システムとの間で、当該更新された顧客データを連携するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記募集関連行為は、前記オペレータにより行われる顧客との対話のプロセスを含み、
前記顧客データを生成する当該ステップは、前記1次顧客データに基づいて、顧客との対話の際に前記オペレータにより参照されるべき話法スクリプトデータを前記スクリプトデータとして決定するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、前記募集関連行為は、当該更新された顧客データを取得するために顧客から同意を得るプロセスを含み、当該更新された顧客データは、当該同意が得られた顧客情報を含む、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、当該更新された顧客データは、前記オペレータにより入力された、前記募集関連行為の実行結果のデータを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記第2の委託先システムが前記募集関連行為の実行結果のデータを集計して統計的な集計データを生成するステップをさらに備える方法。
【請求項13】
請求項8または9に記載の方法であって、前記1次顧客データは、前記第1の委託先の事業に関する顧客情報を含む、方法。
【請求項14】
請求項8または9に記載の方法であって、前記第2の委託先システムが、前記第1の委託先システムにおける顧客管理システムとの間で、当該更新された顧客データを連携するステップをさらに備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保険会社などの規制業種から委託を受けた複数の委託先による共同募集を支援するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生命保険や損害保険などの保険の顧客募集業務を支援するシステム化技術は、たとえば、特開2003-016267号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1には、複数の代理店による共同募集を支援する代理店支援システムが開示されている(同文献の段落[0012]など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-016267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生命保険や損害保険などの保険の顧客募集業務(すなわち、保険契約の締結の代理または媒介)の委託については、法律上原則として、保険会社から第三者への直接の委託しか認められておらず、再委託(復代理)は認められていない。たとえば、保険会社から直接の委託を受けた代理店が保険募集を外部に委託することは、再委託に該当するので原則として認められない。保険の顧客募集業務に限らず、再委託が原則として認められていない規制業種の顧客募集業務を支援するシステムについては、再委託の原則禁止という制約があるために、規制業種から顧客募集業務の委託を受けた複数の委託先による共同募集を効率的かつ柔軟に支援できるシステムを構築することが難しいという事情があった。
【0005】
たとえば、保険会社から顧客募集業務の直接の委託を受けた代理店は、顧客対応業務のための人員(たとえば、コールセンターのオペレータ)及びこれに関する情報処理システムのすべてを自前で用意しなければならず、当該顧客対応業務の全部または一部を外部へ委託することができないことがあるが、その理由は、顧客対応業務の外部への委託が、保険募集の再委託に該当するおそれがあるためである。そのような自前の情報処理システムを持たなければならない代理店のコスト負担は大きいという課題がある。
【0006】
上記に鑑みて本開示の目的は、規制業種の顧客募集業務の再委託ができない場合でも、複数の委託先による共同募集を効率的かつ柔軟に支援することを可能にする共同募集支援システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様による共同募集支援システムは、規制業種から情報提供の委託を受けた第1の委託先が運用管理する情報処理システムとして構成された第1の委託先システムとの間で通信可能な構成を有し、前記規制業種が運用管理する情報処理システムとして構成されている委託元システムと、前記委託元システムとの間で通信可能な構成を有し、前記規制業種から顧客募集に該当しない募集関連行為の委託を受けた第2の委託先が運用管理する情報処理システムとして構成されている第2の委託先システムとを備え、前記委託元システムは、前記第1の委託先システムから、少なくとも連絡先情報を含む顧客情報を表す1次顧客データを取得するデータ取得部と、前記1次顧客データに基づいて、当該1次顧客データで特定される各顧客に対して前記募集関連行為を実行するためのスクリプトデータを含む顧客データを生成する顧客データ生成部とを含み、前記第2の委託先システムは、オペレータが前記1次顧客データで特定される各顧客に対して前記スクリプトデータに従った前記募集関連行為を実行することにより前記顧客データを更新すると、当該更新された顧客データを取得するデータ管理部と、前記規制業種から顧客募集行為の直接の委託を受けた第3の委託先が運用管理する顧客管理システムとの間で、当該更新された顧客データを連携する顧客管理システムとを含むことを特徴とする。
【0008】
本開示の第2の態様による方法は、規制業種から情報提供の委託を受けた第1の委託先が運用する情報処理システムとして構成された第1の委託先システムとの間で通信可能な構成を有し、前記規制業種が運用する情報処理システムとして構成されている委託元システムと、前記委託元システムとの間で通信可能な構成を有し、前記規制業種から顧客募集に該当しない募集関連行為の委託を受けた第2の委託先が運用管理する情報処理システムとして構成されている第2の委託先システムとを備えた共同募集支援システムにおいて実行される方法であって、前記委託元システムが、前記第1の委託先システムから、少なくとも連絡先情報を含む顧客情報を表す1次顧客データを取得するステップと、前記1次顧客データに基づいて、当該1次顧客データで特定される各顧客に対して前記募集関連行為を実行するためのスクリプトデータを含む顧客データを生成するステップと、オペレータが前記1次顧客データで特定される各顧客に対して前記スクリプトデータに従った前記募集関連行為を実行することにより前記顧客データを更新すると、前記第2の委託先システムが当該更新された顧客データを取得するステップと、前記規制業種から顧客募集行為の直接の委託を受けた第3の委託先が運用管理する顧客管理システムとの間で、当該更新された顧客データを連携するステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の第1及び第2の態様によれば、顧客募集業務の再委託の原則禁止という募集規制を適切に守りつつ、規制業種から委託を受けた複数の委託先による共同募集を効率的かつ柔軟に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る共同募集支援システムを含むシステム構成を示す概略図である。
図2】1次顧客データの例を示すテーブルの図である。
図3】スクリプトデータを含む顧客データの例を示すテーブルの図である。
図4】話法スクリプトデータの一部の例を示すテーブルの図である。
図5】更新された顧客データの例を示すテーブルの図である。
図6】各システムのハードウェア構成例である情報処理装置(コンピュータ)を概略的に示すブロック図である。
図7】共同募集支援システムにおける処理シーケンスの例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照しつつ、本開示に係る実施形態及びその変形例について詳細に説明する。なお、図面全体において同一符号が付された構成要素は、同一構成及び同一機能を有するものとする。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係る共同募集支援システム1を含むシステム構成を示す概略図である。図1に示されるように共同募集支援システム1は、生命保険会社や損害保険会社などの保険会社Aが運用管理する情報処理システムとして構成された委託元システム10を備えている。委託元システム10は、通信ネットワークなどの通信路(図示せず)を介して外部システムと通信可能な通信インタフェース(通信I/F)11を備えている。
【0013】
保険会社Aは、事業会社B、代理店Cの受託業務部門C1、代理店Cの顧客募集部門C2、及び代理店Dに対して、それぞれ、業務の委託を行う委託元である。事業会社Bは、保険会社Aから、当該事業会社Bの業務に関する顧客の情報提供の委託を受けた委託先(第1の委託先)であり、代理店Cの受託業務部門C1は、保険会社Aから保険の顧客募集業務(すなわち、保険契約の締結の代理または媒介)に該当しない募集関連業務の委託を受けた委託先(第2の委託先)である。代理店Cの顧客募集部門C2は、保険会社Aから所定の委託範囲内で保険の顧客募集業務の直接の委託を受けた委託先(第3の委託先)であり、代理店Dも、保険会社Aから所定の委託範囲内で保険の顧客募集業務の直接の委託を受けた委託先(別の第3の委託先)である。事業会社Bは、代理店部門B1を有し、この代理店部門B1は、保険会社Aから所定の委託範囲内で保険の顧客募集業務の直接の委託を受けた委託先(さらに別の第3の委託先)である。
【0014】
受託業務部門C1における募集関連業務としては、主に、受託業務部門C1の人員(オペレータ)により行われる顧客との対話のプロセスと、受託業務部門C1の人員(オペレータ)が対話を通じて顧客の個人情報を取得したりアポイントメント(電話、オンラインまたは対面での会合の約束)を取得したりするために当該顧客から同意(パーミッション)を得るプロセスとが挙げられる。
【0015】
事業会社Bは、営利を目的として経済活動をする会社、たとえば、商品を生産し提供する企業やサービスを提供する企業である。事業会社Bは、情報処理システムとして構成された委託先システム20を運用管理している。委託先システム20は、通信ネットワークなどの通信路(図示せず)を介して外部システムと通信可能な通信インタフェース(通信I/F)21と、事業会社Bの事業に関する顧客情報(個人、会社ないしは組織の情報)が蓄積された顧客データベースを有する事業顧客管理システム27と、代理店部門B1が運用管理する代理業顧客管理システム28とを備えている。代理業顧客管理システム28は、保険業務に関する顧客情報(個人、会社ないしは組織の情報)が蓄積された顧客データベースを有する。
【0016】
さらに委託先システム20は、事業顧客管理システム27の顧客データを通信I/F21を通じて委託元システム10に供給するデータ供給部22を備えている。この顧客データには、少なくとも顧客への連絡先情報(たとえば、電話番号、電子メールアドレス)が含まれている。データ供給部22は、API(Application Programming Interface)または電子メールなどの手段により所定フォーマットの顧客データをファイル単位で委託元システム10に送信することができる。
【0017】
保険会社Aが運用管理する委託元システム10は、通信I/F11と、委託先システム20から通信I/F11を介して受信された顧客データを1次顧客データとして取得するデータ取得部12と、1次顧客データに基づいてスクリプトデータを含む顧客データを生成する顧客データ生成部13と、話法スクリプトデータが蓄積されたスクリプトデータベース(スクリプトDB)17と、保険業務に関する顧客情報(個人、会社ないしは組織の情報)が蓄積された顧客データベースを有する顧客管理システム18とを備えている。
【0018】
図2は、1次顧客データの例を示すテーブルの図である。テーブル中の黒く塗りつぶされた丸印は、入力項目を表している。図2に示される1次顧客データは、「委託先固有の識別子」、「氏名」、「生年月日」、「性別」、「電話番号」、「電子メールアドレス」及び「購買履歴」などのデータ項目を含む。
【0019】
図1に示される顧客データ生成部13は、1次顧客データに基づいて、当該1次顧客データで特定される各顧客に対して募集関連行為を実行するためのスクリプトデータを含む顧客データを生成するように構成されている。
【0020】
具体的には、顧客データ生成部13は、1次顧客データで特定される顧客に対して企画番号すなわち識別子(ID)を割り当てる。企画番号は、事業会社単位で割り当て可能である。また顧客データ生成部13は、顧客管理システム18の顧客データベースを参照して、1次顧客データで特定される各顧客が既契約者であるかどうかを確認する。そして顧客データ生成部13は、スクリプトDB17を参照して1次顧客データに適合する話法スクリプトデータをスクリプトデータとして決定し、当該スクリプトデータを含む顧客データを生成することができる。話法スクリプトデータは、受託業務部門C1の人員(オペレータ)が顧客との対話の際に参照されるべきデータである。1次顧客データで特定される各顧客が既契約者であるとき、顧客データ生成部13は、当該既契約者の情報及び当該スクリプトデータを含む顧客データを生成することができる。顧客データ生成部13は、生成された顧客データを、通信I/F11を通じて、受託業務部門C1が運用管理する委託先システム30に送信する。
【0021】
図3は、スクリプトデータを含む顧客データの例を示すテーブルの図である。テーブル中の黒く塗りつぶされた丸印は、今回の入力項目を表しており、白抜きの丸印は、以前の入力項目、すなわち1次顧客データで既に入力されていた項目を表している。図3に示される顧客データは、図2に示したデータ項目に加えて、「企画番号」、「保険会社の既契約者情報」、「スクリプトデータ」、「同意(パーミッション)取得の可否」、「同意(パーミッション)の内容」、「同意を得ようとした日時」及び「顧客との対話内容」といったデータ項目を含む。テーブル中の「同意(パーミッション)取得の可否」、「同意(パーミッション)の内容」、「同意を得ようとした日時」及び「顧客との対話内容」は、未入力の項目であり、受託業務部門C1の人員(オペレータ)が顧客との対話を通じて入力すべきものである。「保険会社の既契約者情報」としては、たとえば、証券番号、商品種別コード、商品種別名、保険の種類名、ステータス(現在の状態)、保険期間、契約日、保険有効日、契約処理日、契約者情報(たとえば、氏名、生年月日、性別)、被保険者情報(たとえば、氏名、生年月日、性別)、親族情報(たとえば、氏名、生年月日、性別)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
図4は、話法スクリプトデータの一部の例を示すテーブルの図である。図4に示されるスクリプトデータは、「本人確認」、「趣旨説明」、「サービス紹介」、「同意(パーミッション)取得」及び「日程調整」といったカテゴリごとに少なくとも1つの話法スクリプトを含む。顧客データ生成部13は、このような話法スクリプトデータを、1次顧客データで特定される各顧客の属性(たとえば、在住地域、年齢、性別、家族の有無)に応じて決定することができる。
【0023】
次に、受託業務部門C1が運用管理する委託先システム30は、図1に示されるように、通信ネットワークなどの通信路(図示せず)を介して外部システムと通信可能な通信インタフェース(通信I/F)31と、データ管理部32と、集計部33と、顧客管理システム37とを備えている。また受託業務部門C1は、委託先システム30と連携して動作するコンタクトシステム39を運用管理している。
【0024】
本実施形態の共同募集支援システム1は、保険会社Aが運用管理する委託元システム10と、受託業務部門C1が運用管理する委託先システム30及びコンタクトシステム39とを含んで構成され得る。なお、共同募集支援システム1は、顧客募集部門C2が運用管理する後述の委託先システム40をさらに含んで構成されてもよい。
【0025】
コンタクトシステム39は、オペレータOp1が、顧客Crの通信端末T1を介して当該顧客Crと対話する際に使用する通信手段及び入力機器を備えた情報処理システムである。通信手段としては、たとえば、電話機器、電子メールシステム、チャットシステム、あるいはSNS(Social networking service)システムが挙げられる。入力機器としては、キー入力デバイス、マウスなどのポインティングデバイス、タッチパネル、あるいは音声認識デバイスが挙げられる。顧客Crの通信端末T1としては、携帯電話端末、スマートフォンなどの移動体通信機器、または通信機能を有するPC(Personal Computer)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
委託先システム30のデータ管理部32は、委託元システム10から通信I/F31を介して顧客データを受信すると、当該顧客データをコンタクトシステム39のデータベースと連携することができる。オペレータOp1は、コンタクトシステム39の通信手段及び入力機器を使用して、顧客データに含まれるスクリプトデータ(たとえば図4に示されるデータ)を参照しつつ、スクリプトデータに従った募集関連行為を実行し、その実行結果のデータを入力することができる。
【0027】
具体的には、コンタクトシステム39は、スクリプトデータを視覚的または聴覚的な信号に変換して出力するデバイスを備えているので、オペレータOp1は、スクリプトデータをリアルタイムに参照しつつ顧客Crとの対話を実行することが可能である。オペレータOp1は、顧客Crとの対話を通じて、顧客の個人情報の取得やアポイントメント(電話、オンラインまたは対面での会合の約束)の取得のために当該顧客から同意(パーミッション)を得ることを試み、その結果を入力することができる。オペレータOp1が募集関連行為の実行結果を入力することにより顧客データが更新される。コンタクトシステム39は、当該更新された顧客データを委託先システム30と連携する。このとき、データ管理部32は、当該更新された顧客データを取得しこれを顧客管理システム37の顧客データベースに反映させる。
【0028】
図5は、更新された顧客データの例を示すテーブルの図である。テーブル中の黒く塗りつぶされた丸印は、今回の入力項目を表しており、白抜きの丸印は、以前の入力項目を表している。図5に示される顧客データでは、図3に示したデータ項目のうち、「同意(パーミッション)取得の可否」、「同意(パーミッション)の内容」、「同意を得ようとした日時」及び「顧客との対話内容」といったデータ項目が入力されている。
【0029】
顧客データが更新された後は、委託先システム30の顧客管理システム37は、当該更新された顧客データを、事業会社Bが運用管理する事業顧客管理システム27との間で連携するとともに、顧客募集部門C2が運用管理する委託先システム40の顧客管理システム48との間で連携することができる。具体的には、顧客管理システム37は、当該更新された顧客データのうち、事業会社Bの業務に関して更新された顧客情報(特に、当該顧客から同意が得られた顧客情報)を抽出して事業顧客管理システム27との間で連携することができる。これにより、事業会社Bは、連携された顧客情報を自らの事業に資することができる。また、顧客管理システム37は、当該更新された顧客データのうち、顧客募集部門C2の保険業務に関して更新された顧客情報(特に、当該顧客から同意が得られた顧客情報)を抽出して委託先システム40の顧客管理システム48との間で連携することができる。
【0030】
集計部33は、オペレータOp1による募集関連行為の実行結果のデータを集計して統計的な集計データを生成する機能を有する。集計データの値としては、たとえば、事業会社ごとの同意(パーミッション)の取得率、及び、オペレータごとの同意(パーミッション)の取得率が挙げられるが、これらに限定されるものではない。集計部33は、生成された集計データを顧客管理システム37の顧客データベースに記録することができる。顧客管理システム37は、集計データを、事業顧客管理システム27との間、及び委託先システム40の顧客管理システム48との間で連携することができる。
【0031】
次に、顧客募集部門C2が運用管理する委託先システム40は、通信ネットワークなどの通信路(図示せず)を介して外部システムと通信可能な通信インタフェース(通信I/F)41と、顧客管理システム48とを備えている。顧客管理システム48は、上記の更新された顧客データを委託先システム30の顧客管理システム37との間で連携すると、当該更新された顧客データは、通信I/F41を介して、代理店Dが運用管理する委託先システム50の顧客管理システム58との間、保険会社Aが運用管理する顧客管理システム18との間、及び、事業会社Bの代理店部門B1が運用管理する代理業顧客管理システム28との間で連携される。これにより、顧客募集部門C2、代理店D、保険会社A及び代理店部門B1は、連携された顧客データを閲覧することができる。
【0032】
顧客募集部門C2は、委託先システム40と連携して動作するコンタクトシステム49を運用管理している。オペレータOp2は、コンタクトシステム49の通信手段及び入力機器を使用して、顧客管理システム37の顧客データベースの内容を参照しつつ、顧客Crに対して保険の顧客募集行為などを実行し、その実行結果のデータを入力することができる。たとえば、オペレータOp2は、顧客Crとの対話を通じて、保険募集を直接の目的としない相談(たとえばライフプランの相談)、保険募集に関する相談、あるいはアポイントメント(電話、オンラインまたは対面での会合の約束)の取得を行うことが可能である。オペレータOp2が顧客募集行為などの実行結果を入力することにより顧客データが更新されると、コンタクトシステム49は、当該更新された顧客データを顧客管理システム48に反映させる。当該更新された顧客データは、通信I/F41を介して、代理店Dが運用管理する委託先システム50の顧客管理システム58との間、保険会社Aが運用管理する顧客管理システム18との間、事業会社Bの代理店部門B1が運用管理する代理業顧客管理システム28との間で連携される。これにより、顧客募集部門C2、代理店D、保険会社A及び代理店部門B1は、連携された顧客データを閲覧することができる。
【0033】
代理店Dが運用管理する委託先システム50は、通信ネットワークなどの通信路(図示せず)を介して外部システムと通信可能な通信インタフェース(通信I/F)51と、顧客管理システム58とを備えている。代理店Dは、顧客管理システム58に連携された顧客情報を用いて、保険の顧客募集行為などを行うことができる。
【0034】
上記した委託元システム10及び委託先システム20,30,40の間の通信路としては、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:Local Area Network)、あるいはインターネットなどの広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
上記した共同募集支援システム1における委託元システム10及び委託先システム20,30,40の各システムは、一台の情報処理装置で実現されてもよいし、あるいは、通信路を介して相互接続された複数台の情報処理装置からなる分散処理システムで実現されてもよい。また各システムの全部または一部は、物理的なサーバ及びストレージなどのハードウェア機器を企業自らが管理するオンプレミス(on-premise)の形態で実現されてもよいし、あるいは、ハードウェア機器を企業自らが管理せずに済むクラウド(cloud)の形態で実現されてもよい。クラウドとは、他の事業者が用意したサービスをインターネットを通じて利用することをいう。
【0036】
図6は、各システムのハードウェア構成例である情報処理装置(コンピュータ)60を概略的に示すブロック図である。情報処理装置60は、デジタル信号処理を実行するプロセッサ61,ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)62,不揮発性メモリ63,大容量メモリ64,入出力インタフェース回路65,通信インタフェース回路66及び信号路67を含んで構成されている。信号路67は、プロセッサ61,RAM62,不揮発性メモリ63,大容量メモリ64,入出力インタフェース回路65及び通信インタフェース回路66を相互に接続するためのバスである。RAM62は、プロセッサ61がデジタル信号処理を実行する際に使用されるデータ記憶領域である。プロセッサ61がCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を内蔵する場合には、不揮発性メモリ63は、プロセッサ61により実行されるソフトウェアまたはファームウェアのプログラムコードを記憶するデータ記憶領域を有する。通信インタフェース回路66は、通信ネットワークNWを介して外部通信システムと通信可能な構成を有する。
【0037】
次に、図7を参照しつつ、共同募集支援システム1の全体の処理の例について説明する。図7は、共同募集支援システム1における処理シーケンスの例を示す概略図である。
【0038】
図7を参照すると、事業会社Bが運営管理する委託先システム20は、1次顧客データを委託元システム10に送信する。委託元システム10において、データ取得部12が委託元システム20から送信された1次顧客データを取得すると、顧客データ生成部13は、当該1次顧客データに企画番号を割り当て(ステップST10a)、当該1次顧客データで特定される各顧客に対して募集関連行為を実行するためのスクリプトデータを決定し(ステップST10b)、当該企画番号及び当該スクリプトデータを含む顧客データを生成する(ステップST10c)。その後、顧客データ生成部13は、通信I/F11を通じて、顧客データを、受託業務部門C1が運用管理する委託先システム30に送信する。
【0039】
委託先システム30において、委託元システム10から送信された顧客データを取得すると、データ管理部32は、当該顧客データをコンタクトシステム39のデータベースと連携する(ステップST30a)。これにより、オペレータOp1は、コンタクトシステム39の通信手段及び入力機器を使用して、顧客データに含まれるスクリプトデータを参照しつつ、スクリプトデータに従った募集関連行為を実行し、その実行結果のデータを入力することで顧客データを更新することができる。コンタクトシステム39は、当該更新された顧客データを委託先システム30と連携する。すなわち、データ管理部32は、当該更新された顧客データを取得して顧客管理システム37に反映させる(ステップST30b)。次いで、顧客管理システム37は、当該更新された顧客データのうち、事業会社Bの業務に関して更新された顧客情報(当該顧客から同意が得られた同意情報を含む)を抽出して委託先システム20の事業顧客管理システム27との間で連携する。また、顧客管理システム37は、当該更新された顧客データのうち、顧客募集部門C2の保険業務に関して更新された顧客情報(当該顧客から同意が得られた同意情報を含む)を抽出して委託先システム40の顧客管理システム48との間で連携する。
【0040】
次に、委託先システム20においては、事業顧客管理システム27は、委託先システム30との間で連携された顧客データで自己の顧客データベースを更新する(ステップST20a)。一方、委託先システム40においては、顧客管理システム48は、委託先システム30との間で連携された顧客データで自己の顧客データベースを更新する(ステップST40a)。
【0041】
顧客管理システム48の顧客データベースが更新されると、当該顧客管理システム48、委託先システム50の顧客管理システム58、委託元システム10の顧客管理システム18、及び、委託先システム20の代理業顧客管理システム28の間でデータ連携がなされる(ステップST50a,ST10d,ST20b)。
【0042】
以上に説明したように、保険会社Aが運用管理する委託元システム10は、事業会社Bが運用管理する委託先システム20から取得された1次顧客データに基づき、募集関連行為(たとえば同意を得るプロセス)のためのスクリプトデータを含む顧客データを生成することができる。受託業務部門C1のコンタクトシステム39は、その顧客データの連携を受けるので、受託業務部門C1のオペレータOp1は、各顧客に適したスクリプトデータに従って募集関連行為を実行することができる。受託業務部門C1の委託先システム30は、募集関連行為を通じて更新された顧客データを、顧客募集部門C2が運用管理する委託先システム40の顧客管理システム48と連携することができる。これにより、顧客募集部門C2は、当該更新された顧客データを用いて顧客募集行為などを行うことができる。さらに顧客管理システム48は、当該更新された顧客データを、委託先システム50の顧客管理システム58、委託元システム10の顧客管理システム18、及び代理店部門B1の代理業顧客管理システム28と連携することができる。したがって、共同募集支援システム1は、顧客募集業務の再委託の原則禁止という募集規制を適切に守りつつ、複数の委託先による共同募集を効率的かつ柔軟に支援することができる。
【0043】
なお、本実施形態の共同募集支援システム1は、保険会社Aの顧客募集業務の再委託ができない場合を想定したものであるが、これに限定されるものではない。共同募集支援システム1は、保険会社以外の規制業種の顧客募集業務の再委託ができない場合にも適用可能である。
【0044】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、事業会社Bの数は1つであるが、この数に限定されるものではない。本実施形態の共同募集支援システム1は、複数の事業会社が運用管理する複数の委先システムに対しても適用され得る。
【0045】
以上、本開示に係る種々の実施形態及びその変形例について説明したが、上記の実施形態及びその変形例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記実施形態の変更、追加及び改良を適宜行うことができることが理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて解釈されるべきであり、さらにその均等物を含むものと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
1:共同募集支援システム、10:委託元システム、11:通信インタフェース(通信I/F)、12:データ取得部、13:顧客データ生成部、17:スクリプトデータベース(スクリプトDB)、18:顧客管理システム、20,30,40,50:委託先システム、21,31,41,51:通信インタフェース(通信I/F)、22:データ供給部、17:事業顧客管理システム、28:代理業顧客管理システム、32:データ管理部、33:集計部、37:顧客管理システム、39:コンタクトシステム、48:顧客管理システム、49:コンタクトシステム、58:顧客管理システム、60:情報処理装置、61:プロセッサ、62:ランダムアクセスメモリ(RAM)、63:不揮発性メモリ、64:大容量メモリ、65:入出力インタフェース回路、66:通信インタフェース回路、67:信号路、NW:通信ネットワーク、T1:通信端末、Op1,Op2:オペレータ、Cr:顧客、T1:通信端末。
【要約】
【課題】複数の委託先による共同募集を効率的かつ柔軟に支援することを可能にする共同募集支援システムを提供する。
【解決手段】共同募集支援システム1は、規制業種が運用管理する委託元システム10と、規制業種から募集関連行為の委託を受けた委託先が運用管理する委託先システム30とを備える。委託先システム20は、規制業種から情報提供の委託を受けた委託先により運用管理される。委託元システム10は、委託先システム20から1次顧客データを取得して、各顧客に対して募集関連行為を実行するためのスクリプトデータを含む顧客データを生成する。オペレータが各顧客に対してスクリプトデータに従った募集関連行為を実行することにより顧客データを更新すると、委託先システム30は、規制業種から顧客募集行為の直接委託を受けた委託先が運用管理する顧客管理システム48との間で、当該更新された顧客データを連携する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7