(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ステアバイワイヤシステム及び操舵制御方法
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20240703BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20240703BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20240703BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D6/00
B62D113:00
(21)【出願番号】P 2023504533
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(86)【国際出願番号】 CN2020104608
(87)【国際公開番号】W WO2022016553
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リン,ミンゼォ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヨンション
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,ドォンハオ
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110254502(CN,A)
【文献】独国特許発明第102013014133(DE,B3)
【文献】特開2005-178453(JP,A)
【文献】特開2020-090180(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第03100789(FR,A1)
【文献】英国特許出願公開第02270776(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
B62D 6/00
B62D 113/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアバイワイヤシステムであって、当該ステアバイワイヤシステムは、ステアリングコラムと、制限装置とを含み、該制限装置は、固定ロッドと、摺動ブロックと、可動制限ブロックと
、摺動駆動モータと、を含み、
前記摺動ブロックは、前記固定ロッド上に位置し、前記摺動ブロックは、前記ステアリングコラムが回転するにつれて
、前記摺動駆動モータの駆動を介して前記固定ロッド上を摺動でき、
前記可動制限ブロックは前記固定ロッド上に位置し、前記ステアリングコラムがターゲット回転範囲内で回転するようにするために、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するのを制限するため前記固定ロッド上を摺動でき、
前記可動制限ブロックが前記摺動ブロックを制限すると、前記摺動駆動モータは、前記可動制限ブロックが前記摺動ブロックに接触するように駆動するとともに、前記可動制限ブロックが前記摺動ブロックと接触するのを維持するために前記可動制限ブロックの駆動を依然として継続して前記摺動ブロックに推力を与え、前記摺動ブロックが摺動を続けるのを制限する、ステアバイワイヤシステム。
【請求項2】
前記制限装置はギアをさらに含み、該ギアは前記ステアリングコラムにスリーブされるとともに、前記ステアリングコラムと同期的に回転し、前記摺動ブロックは前記ギアと係合するラックを有し、前記摺動ブロックは前記ギアと係合し、前記ギアが前記ステアリングコラムと共に回転する場合、前記ギアは、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するように押す、請求項1に記載のステアバイワイヤシステム。
【請求項3】
前記固定ロッドはネジであり、前記摺動ブロック及び前記可動制限ブロックの双方はボールナットであり、前記摺動ブロック及び前記可動制限ブロックの双方は前記固定ロッドにスリーブされ、前記摺動ブロック及び前記可動制限ブロックは、前記固定ロッド上で螺旋状に摺動できる、請求項1又は2に記載のステアバイワイヤシステム。
【請求項4】
前記可動制限ブロックは、前記ステアリングコラムの回転角が、前記ステアバイワイヤシステムが位置する車両の操舵可能ホイールの回転角と一致しない場合に、前記摺動ブロックが前記ステアリングコラムを押して回転させて、前記ステアリングコラムと前記操舵可能ホイールとの間の回転角偏差が補正されるようにするために、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するよう押すようにさらに構成されている、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のステアバイワイヤシステム。
【請求項5】
前記可動制限ブロックは、前記ステアバイワイヤシステムが位置する前記車両のステアリングホイールが戻ろうとしており、前記ステアバイワイヤシステムの戻り駆動モータが故障していることが検出された場合、前記摺動ブロックが前記ステアリングコラムを押して回転させて、前記ステアリングホイールが戻るようにするために、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するよう押すようにさらに構成されている、請求項
4に記載のステアバイワイヤシステム。
【請求項6】
前記ターゲット回転範囲は、前記ステアバイワイヤシステムが位置する前記車両の前記操舵可能ホイールの回転範囲と、記憶されたステアリング比とに基づく計算を通じて具体的に取得され、該ステアリング比は、前記操舵可能ホイールの回転角に対する前記車両の前記ステアリングホイールの回転角の比であり、
前記操舵可能ホイールの回転範囲は、作動状態にある前記車両の走行パラメータに基づく計算を通じて取得される、前記操舵可能ホイールの制限回転範囲以下の回転範囲であり、前記走行パラメータは、前記車両の車両速度及び作動状態にある前記車両の最大ヨーレートを含み、前記操舵可能ホイールの制限回転範囲は、前記車両の属性値である、請求項
5に記載のステアバイワイヤシステム。
【請求項7】
前記ステアバイワイヤシステムは固定制限ブロックをさらに含み、該固定制限ブロックは、前記固定ロッドの端部に固定されるとともに、前記ステアリングコラムが制限回転範囲内で回転するよう制限するために、前記可動制限ブロックが前記固定ロッド上で摺動するのを制限するように構成され、前記ステアリングコラムの制限回転範囲は、前記ステアリングコラムの最大ターゲット回転範囲であり、前記ステアバイワイヤシステムが位置する前記車両の前記操舵可能ホイールの制限回転範囲に基づく計算を通じて取得される、請求項
4乃至
6のいずれか一項に記載のステアバイワイヤシステム。
【請求項8】
操舵制御方法であって、当該方法は、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のステアバイワイヤシステムに適用され、当該方法は、
ステアリングコラムのターゲット回転範囲を取得することと、
前記ステアリングコラムの回転範囲と、可動制限ブロックの摺動範囲との間の対応関係に基づいて、前記可動制限ブロックの、前記ステアリングコラムのターゲット回転範囲に対応するターゲット摺動範囲を取得することと、
前記ステアリングコラムが前記ターゲット回転範囲内で回転するようにするために、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するのを制限するために前記可動制限ブロックが前記ターゲット摺動範囲内で摺動するように制御することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記ステアリングコラムのターゲット回転範囲を取得することは、
前記ステアバイワイヤシステムが位置する、作動状態にある車両の走行パラメータと、該車両の操舵可能ホイールの制限回転範囲とを取得することと、
前記走行パラメータに基つく計算を通じて取得され、前記操舵可能ホイールの制限回転範囲以下の回転範囲を、前記操舵可能ホイールの回転範囲として用いることと、
前記操舵可能ホイールの回転範囲と、記憶されたステアリング比とに基づいて、前記ステアリングコラムの前記ターゲット回転範囲を計算することと、
を含み、
前記走行パラメータは、前記車両の車両速度及び作動状態にある前記車両の最大ヨーレートを含み、前記操舵可能ホイールの制限回転範囲は前記車両の属性値であり、前記ステアリング比は、前記操舵可能ホイールの回転角に対する前記ステアバイワイヤシステムが位置する前記車両のステアリングホイールの回転角の比である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記ステアリングコラムの現在の回転角と、前記ステアバイワイヤシステムが位置する前記車両の前記操舵可能ホイールの現在の回転角と、前記ステアリングコラムの回転角と前記操舵可能ホイールの回転角との間の記憶されたターゲット対応関係とを取得することと、
前記ステアリングコラムの現在の回転角と、前記操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係が前記ターゲット対応関係に合致しないことが検出された場合、前記ステアリングコラムの回転角は前記操舵可能ホイールの回転角と一致しないと判定することと、
前記ステアリングコラムの現在の回転角と前記操舵可能ホイールの現在の回転角との間の回転角偏差に基づいて、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するように押すよう前記可動制限ブロックを制御することと、
前記ステアリングコラムの現在の回転角と、前記操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係が、前記ターゲット対応関係に合致していることが検出された場合、前記ステアリングコラムの回転角は、前記操舵可能ホイールの回転角と一致していると判定し、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するように押すのを停止するよう前記可動制限ブロックを制御することと、
をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記ステアバイワイヤシステムが位置する前記車両の前記ステアリングホイールが戻ろうとしており、前記ステアバイワイヤシステムの戻り駆動モータが故障していることが検出された場合、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するように押すよう前記可動制限ブロックを制御することと、
前記ステアリングホイールが戻ったことが検出された場合、前記摺動ブロックが前記固定ロッド上で摺動するように押すのを停止するよう前記可動制限ブロックを制御することと、
をさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
車両であって、当該車両は、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のステアバイワイヤシステムを含む、車両。
【請求項13】
コントローラであって、当該コントローラは、請求項
8乃至
11のいずれか一項に記載の操舵制御方法を行うように構成されている、コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、車両の操舵技術の分野に関し、具体的にはステアバイワイヤシステム及び操舵制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアバイワイヤシステムは、電気信号を用いることにより車両の操舵を制御するシステムであり、ステアリングホイールと、操舵可能ホイールとの間の機械接続装置がキャンセルされる。
【0003】
ステアバイワイヤシステムは、ステアリングコントローラ、ステアリング駆動モータ、ステアリングホイール、ステアリングコラム等を主に含む。ステアリング駆動モータの出力軸は、回転を介してステアリングホイールに接続されている。ステアリングホイールは、ステアリングコラムの端部に取り付けられる。ステアリングコラムは、ステアリングホイールの回転角及びトルクを収集するためのセンサを有する。このように、運転手がステアリングホイールを操作すると、ステアリングコントローラは、センサを用いることによりステアリングホイールの回転角及びトルクを取得し、その後、ステアリングホイールの回転角及びトルクに基づいて、ステアリングドライブモータを制御し、ステアリングホイールを駆動して操舵し得る。
【0004】
操舵可能ホイールは回転範囲を有するため、制限位置まで回転されると、操舵可能ホイールは回転を続けることができないが、ステアリングホイールは制限なく回転できる。このように、ステアリングホイールの回転範囲が操舵可能ホイールの回転範囲と一致しない場合があり、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、ステアバイワイヤシステム及び操舵制御方法を提供して、従来の技術における、操舵可能ホイールには回転範囲の制限があるが、ステアリングホイールには回転範囲の制限がないという問題を解消できる。技術的な解決策は次のとおりである。
【0006】
一態様によれば、ステアバイワイヤシステムが提供され、ステアバイワイヤシステムはステアリングコラム及び制限装置を含む。制限装置は、固定ロッド、摺動ブロック及び可動制限ブロックを含む。摺動ブロックは固定ロッド上に位置し、摺動ブロックは、ステアリングコラムが回転するときに固定ロッド上を摺動できる。可動制限ブロックは固定ロッド上に位置し、固定ロッド上を摺動でき、摺動ブロックが固定ロッド上を摺動するのを制限する。したがって、ステアリングコラムはターゲット回転範囲内で回転する。
【0007】
1つの例では、ステアバイワイヤシステムはさらにステアリングホイールを含み得る。ステアリングホイールはステアリングコラムの端部に固定されている。ステアリングコラムはステアリングホイールと同期的に回転し得る。例えば、ステアリングホイールが回転すると、ステアリングコラムは駆動されて同期的に回転でき、ステアリングコラムが回転すると、ステアリングホイールも駆動されて同期的に回転できるため、ステアリングコラムの回転角は、ステアリングホイールの回転角を表すために用いられてもよく、ステアリングコラムのトルクも、ステアリングホイールのトルクを表すために用いられ得る。したがって、本明細書では、ステアリングコラムの回転角はステアリングホイールの回転角と等しくてもよく、ステアリングコラムの回転範囲はステアリングホイールの回転範囲と等しくてもよい。
【0008】
ステアリングホイールの回転角及びトルクを得るために、ステアリングコラムに回転角センサ及びトルクセンサが設置され得る。これに対応して、ステアリングコラムにトルクセンサ及び回転角センサが設置される。トルクセンサは、ステアリングコラムの回転の間に生じるトルクを収集できる。回転角センサは、ステアリングコラムの回転の間に生じる回転角を収集できる。ステアリングコラムのトルク及び回転角は、それぞれステアリングホイールのトルク及び回転角として用いられ得る。
【0009】
1つの例では、ステアバイワイヤシステムのステアリング駆動モータが車両の操舵可能ホイールに接続されている。操舵可能ホイールは、車両の左前輪及び右前輪であり得る。このように、トルクセンサ及び回転角センサを用いることによりステアリングホイールのトルク及び回転角を得た後に、ステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラは、車両のワイヤ制御操舵を実施するために、ステアリング駆動装置を制御して操舵可能ホイールを駆動し操舵する。
【0010】
操舵可能ホイールの回転は制限されており、操舵可能ホイールは制限なしに回転できない。したがって、操舵可能ホイールの回転に適応するためには、ステアリングホイールの回転も制限する必要がある。これに対応して、ステアバイワイヤシステムは制限装置をさらに含む。制限装置は、ステアリングホイールがターゲット回転範囲内で回転するようにするために、固定ロッド上の摺動ブロック及び可動制限ブロックの摺動と、摺動ブロックとステアリングコラムとの間の回転接続とを介して、ステアリングホイールの回転を制限する。ターゲット回転範囲は、ステアバイワイヤシステムが位置する車両の走行パラメータに基づく計算することにより得られる。
【0011】
ステアバイワイヤシステムは、制限装置を用いてステアリングホイールの回転を制限し得るため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転することが分かる。このように、ステアリングホイールの回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転する。これは、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御を促進し、運転の安全性を促進する。
【0012】
可能な実施では、制限装置はギアをさらに含む。ギアはステアリングコラムにスリーブされ、ステアリングコラムと同期的に回転する。摺動ブロックは、ギアと係合するラックを有する。摺動ブロックはギアと係合する。ギアがステアリングコラムと共に回転する場合、ギアは、固定ロッド上で摺動するように摺動ブロックを押す。
【0013】
1つの例では、摺動ブロックは固定ロッドにスリーブされ、摺動ブロックの外壁はギアと係合し、ギアはステアリングコラムにスリーブされ、ステアリングコラムと共に同期的に動くことができる。このように、ステアリングコラムが回転すると、ステアリングコラムにスリーブされているギアも、ステアリングコラムと共に回転する。ギアは摺動ブロックと係合するため、ギアが回転した場合、摺動ブロックを押して固定ロッド上で摺動させることができる。加えて、摺動ブロックが固定ロッド上を摺動すると、ギアは押されて回転し得る。ギア及びステアリングコラムは同期的に回転するため、摺動ブロックとステアリングコラムとの間の回転接続が実施される。
【0014】
摺動ブロックと、ステアリングコラムとの間の回転接続は、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動し移動する場合に、ステアリングコラムの回転を駆動できることを意味し、そのステアリングコラムの回転は、摺動ブロックを駆動して、固定ロッド上で摺動し移動させることもできることが分かる。
【0015】
加えて、摺動ブロックとステアリングコラムの間には回転接続があるため、固定ロッド上での摺動ブロックの摺動範囲を制限して、ステアリングコラムの回転範囲が制限され得る。ステアリングホイールの回転範囲を表すためにステアリングコラムの回転範囲が用いられ得るため、摺動ブロックの摺動は、ステアリングホイールの回転範囲を制限するために制限され得る。
【0016】
摺動ブロックに接触するために摺動させると、摺動ブロックの摺動を制限するために可動制限ブロックを固定ロッド上でロックすることができるため、摺動ブロックは可動制限ブロックに向かう方向に摺動を続けることができない。可動制限ブロックは摺動ブロックの摺動範囲を制限できることが分かる。摺動ブロックの摺動範囲が制限されると、ステアリングコラムの回転範囲が制限される。ステアリングコラムはステアリングホイールと同期的に回転するため、ステアリングホイールの回転範囲が制限される。
【0017】
制限装置の可動制限ブロックは、摺動ブロックの摺動範囲を制限し、ステアリングホイールの回転範囲をさらに制限し得るため、ステアリングホイールはターゲット回転範囲内で回転することが分かる。
【0018】
可能な実施では、固定ロッドはネジであり、摺動ブロック及び可動制限ブロックの双方はボールナットである。摺動ブロック及び可動制限ブロックの双方は固定ロッドにスリーブされている。摺動ブロック及び可動制限ブロックは固定ロッドの上を螺旋状に摺動できる。
【0019】
摺動ブロック及び可動制限ブロックの双方はボールナットであり、固定ロッドはネジである。このように、摺動ブロックはネジの上を螺旋状に摺動し、可動制限ブロックはネジの上を螺旋状に摺動する。加えて、ボールは摺動ブロックの螺旋溝内にあり、ボールは可動制限ブロックの螺旋溝内にあるため、摺動ブロックと固定ロッドとの間の摩耗を減らし、可動制限ブロックと固定ロッドとの間の摩耗を減らし、制限装置の寿命を延ばすことができる。
【0020】
可能な実施では、ステアバイワイヤシステムは摺動駆動モータをさらに含む。摺動駆動モータは、可動制限ブロックが固定ロッド上を摺動するように駆動する。
【0021】
1つの例では、ステアバイワイヤシステムは1つの摺動駆動モータを含み得る。摺動駆動モータは、上述の複数の可動制限ブロックが固定ロッド上を摺動するように駆動するように構成されている。あるいは、摺動駆動モータの数は、可動制限ブロックの数と同じであり得る。各可動制限ブロックは、1つの摺動駆動モータを用いることにより駆動される。この実施形態では、ステアバイワイヤシステムに含まれる摺動駆動モータの数に制限が設けられていない。当業者は、実際の状況に基づいて柔軟に数を選択してよい。
【0022】
1つの例では、可動制限ブロックが摺動ブロックを制限しているときに、摺動駆動モータが可動制限ブロックを摺動ブロックに接触するように駆動した場合、摺動駆動モータは、可動制限ブロックと摺動ブロックとの接触を維持するために可動制限ブロックの駆動を依然として継続し、摺動ブロックに推力を与えて、摺動ブロックが摺動を続けるのが防止される。
【0023】
可能な実施では、可動制限ブロックは、ステアリングコラムの回転角が、操舵可能ホイールの回転角と一致しない場合に、摺動ブロックがステアリングコラムを駆動し回転させて、ステアリングホイールと操舵可能ホイールとの間の回転角偏差が補正されるようにするために、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するように押すようさらに構成されている。
【0024】
ステアリングコラムの回転角はステアリングホイールの回転角と等しい場合があるため、ステアリングホイールの回転角と操舵可能ホイールの回転角との一致は、ステアリングコラムの回転角と操舵可能ホイールの回転角との一致ともいい、ステアリングホイールの回転角と操舵可能ホイールの回転角との一致を、ステアリングコラムの回転角と操舵可能ホイールの回転角との一致ともいう。
【0025】
ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との一致とは、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との対応関係が、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との予め記憶されたターゲット対応関係と合致することを意味する。不一致とは、ステアリングホイールの回転角と操舵可能ホイールの回転角との対応関係が、ターゲット対応関係と合致しないことを意味する。
【0026】
1つの例では、ステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラは、回転角センサを用いることによりステアリングホイールの現在の回転角を取得し、操舵可能ホイールに設置されている回転角センサを用いることにより操舵可能ホイールの現在の回転角を取得し、ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との対応関係が、予め記憶されているターゲット対応関係と一致するかどうか検出する。ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との対応関係が、予め記憶されたターゲット対応関係と一致しない場合、ステアリングコントローラは、ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の回転角偏差を計算し得る。そして、回転角偏差に基づいて、対応する可動制限ブロックを制御して、摺動ブロックを押し、固定ロッド上で回転角偏差を解消する方向に摺動させる。摺動ブロックとステアリングコラムとの間に回転接続があるため、ステアリングホイールと操舵可能ホイールとの間の回転角偏差を解消するためにステアリングコラムを回転させることができる。
【0027】
操舵可能ホイールの調整によるタイヤ摩耗を緩和するために、ステアリングホイールの回転角が操舵可能ホイールの回転角と一致するように調整して、タイヤが保護され得ることが分かる。ステアリングホイールの回転角及び操舵可能ホイールの回転角を動的に調整することで、ステアリングホイールと操舵可能ホイールとの間のアライメントの精度を改善できる。
【0028】
可能な実施では、可動制限ブロックは、ステアリングホイールが戻ろうとしており、ステアバイワイヤシステムの戻り駆動モータが故障していることが検出された場合、摺動ブロックがステアリングコラムを駆動して回転させて、ステアリングホイールが戻るようにするために、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するように押すようさらに構成されている。
【0029】
ステアリングホイールが戻るプロセスでは、ステアリングホイールの自動戻り速度を制御するために可動制限ブロックの摺動速度が制御され得る。
【0030】
1つの例では、ワイヤ制御操舵が、ステアリングホイールが戻ろうとしているが、戻り駆動モータが故障し、ステアリングコラムを駆動してステアリングホイールを駆動し自動で戻らせることができない場合、対応する可動制限ブロックを制御し、摺動ブロックを押して、ステアリングホイールが自動で戻る方向に摺動させる得るため、ステアリングホイールは、摺動ブロックの摺動の間に自動で戻る。ステアリングホイールを自動で戻るように駆動する戻り駆動モータが故障していても、ステアリングホイールが自動で戻ることを実施できることが分かる。
【0031】
可能な実施では、ターゲット回転範囲は、具体的には、操舵可能ホイールの回転範囲と、記憶されたステアリング比とに基づく計算を介して得られる。ステアリング比は、操舵可能ホイールの回転角に対するステアリングホイールの回転角の比である。操舵可能ホイールの回転範囲は、作動状態にある車両の走行パラメータに基づく計算を介して得られる、操舵可能ホイールの制限回転範囲以下の回転範囲である。走行パラメータは、車両の速度と、作動状態にある車両の最大ヨーレートを含む。操舵可能ホイールの制限回転範囲は、車両の属性値である。
【0032】
1つの例では、作動状態にある操舵可能ホイールの最大回転角は、作動状態にある車両の走行パラメータに基づいて計算されてもよく、最大回転角は、操舵可能ホイールの制限回転角以下である。操舵可能ホイールの回転範囲は、操舵可能ホイールの回転方向に基づいて得られる。次に、予め記憶されたステアリング回転比と、操舵可能ホイールの、制限回転角以下の最大回転角とに基づいて、ステアリングホイールの最大回転角が計算され得る。その後、ステアリングホイールの回転方向に基づいて、ステアリングホイールのターゲット回転範囲が得られる。
【0033】
操舵可能ホイールの制限回転角及び回転方向に基づいて得られた操舵可能ハンドルの回転範囲は、操舵可能ホイールの制限回転範囲である。この場合、操舵可能ホイールの、操舵可能ハンドルの回転角とステアリング比とに基づいて得られた回転角を、ステアリングホイールの制限回転角といい、ステアリングホイールの、ステアリングホイールの制限回転角及び回転方向に基づいて得られたターゲット回転範囲は、ステアリングホイールの制限回転範囲である。
【0034】
可能な実施では、ステアバイワイヤシステムは固定制限ブロックをさらに含む。固定制限ブロックは、固定ロッドの端部に固定されるとともに、ステアリングホイールが制限回転範囲内で回転するよう制限するために、可動制限ブロックが固定ロッド上で摺動するのを制限するように構成されている。ステアリングホイールの制限回転範囲は、ステアリングホイールの最大ターゲット回転範囲であり、操舵可能ホイールの制限回転範囲に基づく計算を介して得られる。
【0035】
可動制限ブロックがステアリングホイールを制限すると、可動制限ブロックも固定ロッド上を摺動できるため、運転手がステアリングホイールを過度な強度で操作しすぎると、摺動ブロックは可動制限ブロックを押して固定ロッド上で摺動させ得る。その結果、可動制限ブロックは摺動ブロックの摺動を制限できない。
【0036】
上述の事態が起こるのを回避し、ステアリングホイールが制限回転範囲を有するようにするため、これに対応して、ステアバイワイヤシステムは固定制限ブロックをさらに含む。固定制限ブロックは固定ロッドの端部に固定され、ステアリングホイールが制限回転範囲内で回転するよう制限するために、可動制限ブロックが固定ロッド上で摺動するのを制限するように構成されている。
【0037】
ステアリングホイールのターゲット回転範囲がステアリングホイールの制限回転範囲の場合、ステアリングホイールが最大回転角まで時計回りに回転すると、左側の可動制限ブロックが左側の固定制限ブロックに接触し、ステアリングホイールが最大回転角まで反時計回りに回転すると、右側の可動制限ブロックが右側の固定制限ブロックに接触する。2つの可動制限ブロック間の距離が、固定ロッド上の摺動ブロックの制限摺動範囲である。
【0038】
別の態様によれば、本願は操舵制御方法をさらに提供し、本方法は、
ステアリングコラムのターゲット回転範囲を取得することと、
ステアリングコラムの回転範囲と、可動制限ブロックの摺動範囲との間の対応関係に基づいて、可動制限ブロックの、ステアリングコラムのターゲット回転範囲に対応するターゲット摺動範囲を取得することと、
ステアリングコラムがターゲット回転範囲内で回転するようにするために、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するのを制限するために可動制限ブロックがターゲット摺動範囲内で摺動するように制御することと、を含む。
【0039】
1つの例では、ステアリングコントローラは、先ず、ステアリングコントローラが位置されている車両の走行パラメータが取得し、走行パラメータに基づいて作動状態にある操舵可能ホイールの回転範囲を計算した後に、ステアリングホイールのターゲット回転範囲を計算する。ステアリングホイールの回転範囲と、可動制限ブロックの摺動範囲との対応関係は、ステアバイワイヤシステムに予め記憶されている。ステアリングホイールのターゲット回転範囲を計算した後に、ステアリングコントローラは、可動制限ブロックの、ステアリングホイールのターゲット回転範囲に対応するターゲット摺動範囲を見つけ得る。
【0040】
可動制限ブロックのターゲット摺動範囲を見つけた後、ステアリングコントローラは、可動制限ブロックの摺動駆動モータを制御して、可動制限ブロックを駆動し、ターゲット位置に移動させ得る。可動制限ブロックのデフォルト位置とターゲット位置との間の距離が可動制限ブロックのターゲット摺動範囲であり、可動制限ブロックのデフォルト位置は、可動制限ブロックが固定制限ブロックと接触する位置である。2つの可動制限ブロックはターゲット摺動範囲内で摺動する。これにより、摺動ブロックが特定の範囲内で摺動するように制限されるため、ステアリングホイールがターゲット回転範囲内で回転するようにさらに制限する。
【0041】
ステアバイワイヤシステムは、ステアリングホイールの回転を制限するために制限装置を用いるため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転することが分かる。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転するため、ステアリングホイールの回転は操舵可能ホイールの回転と一致する。これにより、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御が促進され、運転の安全性が促進される。
【0042】
可能な実施では、ステアリングコラムのターゲット回転範囲を取得することは、
ステアバイワイヤシステムが位置する車両の走行パラメータと、該車両の操舵可能ホイールの制限回転範囲とを取得することと、
走行パラメータに基づく計算を介して取得され、操舵可能ホイールの制限回転範囲以下の回転範囲を、操舵可能ホイールの回転範囲として用いることと、
操舵可能ホイールの回転範囲と、記憶されたステアリング比とに基づいて、ステアリングコラムのターゲット回転範囲を計算することと、
を含む。
【0043】
走行パラメータは、車両の車両速度及び作動状態にある車両の最大ヨーレートを含む。操舵可能ホイールの制限回転範囲は車両の属性値である。ステアリング比は、操舵可能ホイールの回転角に対するステアリングホイールの回転角の比である。
【0044】
操舵可能ホイールは制限回転範囲を有するため、これに対応して、走行パラメータに基づく計算を介して得られる、操舵可能ホイールの制限回転範囲以下の回転範囲が、操舵可能ホイールの回転範囲として用いられ得る。そして、操舵可能ホイールの回転範囲と、予め記憶されたステアリング比とに基づいて、ステアリングホイールのターゲット回転範囲が計算される。ステアリング比は、操舵可能ホイールの回転角に対するステアリングホイールの回転角の比、すなわち、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との対応関係である。
【0045】
可能な実施では、本方法は、
ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角と、ステアリングホイールの回転角と操舵可能ホイールの回転角との間の記憶されたターゲット対応関係とを取得することと、
ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係がターゲット対応関係に合致しないことが検出された場合、ステアリングホイールの回転角は操舵可能ホイールの回転角と一致しないと判定することと、
ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の回転角偏差に基づいて、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するように押すよう可動制限ブロックを制御することと、
ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係が、ターゲット対応関係に合致していることが検出された場合、ステアリングホイールの回転角は、操舵可能ホイールの回転角と一致していると判定し、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するように押すのを停止するよう可動制限ブロックを制御することと、をさらに含む。
【0046】
ステアリングホイール及び操舵可能ホイールが回転するプロセスで、ステアリングホイールの操舵と、操舵可能ホイールの操舵との間にずれがある場合、すなわち、予め記憶された対応関係と合致しない場合、可動制限ブロックは摺動ブロックをさらに押して摺動させ得るため、ステアリングホイールが回転して、ステアリングホイールの操舵と、操舵可能ホイールの操舵との偏差が解消され、ステアリングホイールの操舵と、操舵可能ホイールの操舵との間のアライメントの精度が改善されることが分かる。
【0047】
可能な実施では、前記方法は、
ステアリングホイールが戻ろうとしており、ステアバイワイヤシステムの戻り駆動モータが故障していることが検出された場合、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するように押すよう可動制限ブロックを制御することと、
ステアリングホイールが戻ったことが検出された場合、摺動ブロックが固定ロッド上で摺動するように押すのを停止するよう可動制限ブロックを制御することと、をさらに含む。
【0048】
ステアリングホイールが自動的に戻るように駆動する戻り駆動モータが故障により壊れても、制限装置はステアリングホイールが自動的に戻るよう駆動することができるため、ステアリングホイールの自動戻り機能を確実にできることが分かる。
【0049】
別の態様によれば、車両がさらに提供され、車両は上述のステアバイワイヤシステムを含み得る。
【0050】
別の態様によれば、コントローラがさらに提供され、コントローラは上述の操舵制御方法を行うように構成され得る。
【0051】
本願のこの実施形態では、ステアバイワイヤシステムは、ステアリングホイールの回転を制限するために制限装置を用いり得るため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転する。このように、ステアリングホイールの回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転する。これにより、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御が促進され、運転の安全性が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本願の一実施形態に係るステアバイワイヤシステムの構造の概略図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施形態に係るステアバイワイヤシステムの構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施形態に係る、
制限装置のギア
と摺動ブロック
との間の回転接続の構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本願の一実施形態に係るステアバイワイヤシステムの構造の概略図である。
【
図5】
図5は、本願の一実施形態に係るステアバイワイヤシステムの構造の概略図である。
【
図6】
図6は、本願の一実施形態に係る、左側にある可動制限ブロック及び固定制限ブロックが、ギアの時計回りの回転を制限する構造の概略図である。
【
図7】
図7は、本願の一実施形態に係る、右側にある可動制限ブロック及び固定制限ブロックが、ギアの反時計回りの回転を制限する構造の概略図である。
【
図8】
図8は、本願の一実施形態に係る、固定制限ブロック及び可動制限ブロックが摺動ブロックの摺動を制限する構造の概略図である。
【
図9】
図9は、本願の一実施形態に係る、可動制限ブロックが摺動ブロックを右側に押して
摺動させてギアを反時計回りに回転させる構造の概略図である。
【
図10】
図10は、本願の一実施形態に係る、可動制限ブロックが摺動ブロックを左側に押して
摺動させてギアを時計回りに回転させる構造の概略図である。
【
図11】
図11は、本願の一実施形態に係る、ステアバイワイヤシステムの構造の概略図である。
【
図12】
図12は、本願の一実施形態に係る、操舵制御
手順の概略
図である。
【
図13】
図13は、本願の一実施形態に係る、ステアリングホイールと、操舵可能ホイールとの回転角偏差の補正の
手順の概略
図である。
【
図14】
図14は、本願の一実施形態に係る、ステアリングホイールの時計回り回転及び反時計回り回転の制限の
手順の概略
図である
【
図15】
図15は、本願の一実施形態に係る、駆動モータが故障した場合に、ステアリングホイールが戻り、ステアリングホイールが制限される
手順の概略
図である。
【0053】
参照符号
1.ステアリングホイール;2.ステアリングコラム;3.制限装置;4.戻り駆動モータ;21.トルクセンサ;22.回転角センサ;31.固定ロッド;32.摺動ブロック;33.可動制限ブロック;34.ギア;35.摺動駆動モータ;36.固定制限ブロック;37.ダンパ;33A.第1の可動制限ブロック;33B.第2の可動制限ブロック;35A.第1の摺動駆動モータ;35B.第2の摺動駆動モータ
【発明を実施するための形態】
【0054】
本願の一実施形態は、ステアバイワイヤシステムを提供する。ステアバイワイヤシステムは、知的自動車、新エネルギー自動車又は自動運転車に適用され得る。これらの車は総称して車両と呼ばれ得る。ステアバイワイヤシステムは、電気信号を用いることにより車両の操舵を制御するシステムであり、ステアリングホイールと、操舵可能ホイールとの間の機械接続装置がキャンセルされるため、ステアリングホイールの回転と操舵可能ホイールの回転とが互いに独立する。本実施形態は、ステアリングホイールの回転範囲を制御でき、ステアリングホイールの操舵と、操舵可能ホイールの操舵との一致を維持でき、ステアリングホイールの自動的な戻りを制御等できるステアバイワイヤシステムを提供する。
【0055】
図1に示すように、ステアバイワイヤシステムは、ステアリングホイール1、ステアリングコラム2及び制限装置3を含む。制限装置3は、固定ロッド31、摺動ブロック32及び可動制限ブロック33を含む。ステアリングホイール1は、ステアリングコラム2の端部に位置する。摺動ブロック32は固定ロッド31上に位置し、摺動ブロック32は固定ロッド31上で摺動でき
る。摺動ブロック32は回転
を介してステアリングコラム2に接続されている
ため、ステアリングコラム2がステアリングホイール1と共に回転すると、摺動ブロック32は、ステアリングコラム2の回転に伴って固定ロッド31上で摺動できる。可動制限ブロック33は固定ロッド31上に位置し、摺動ブロック32が固定ロッド31上で摺動するのを制限するために可動制限ブロック33は固定ロッド31上で摺動できるため、ステアリングホイール1はターゲット回転範囲内で回転する。ターゲット回転範囲は、ステアバイワイヤシステムが位置する車両の
走行パラメータ
に基づく計算
を介して得られる。
【0056】
制限装置3は、ステアリングホイール1が「制限のない」から「回転範囲を有する」回転に変化し、ステアリングホイール1の操舵が制限されるように、ステアリングホイール1を制限するように構成され得る。制限装置3は、ステアリングホイール1と操舵可能ホイールとの間に回転角偏差がある場合に、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵とが一致し、揃うようにするために、ステアリングホイール1の回転角を補正するようさらに構成され得る。制限装置3は、ステアリングホイール1が自動的に戻ることができるようにさらに構成され得る。具体的な実施構造及びプロセスについては、以下の説明を参照されたい。
【0057】
1つの例では、
図1に示すように、ステアリングホイール1はステアリングコラム2の端部に固定され、ステアリングコラム2をステアリングホイール1と同期的に回転させることができる。例えば、ステアリングホイール1が回転すると、ステアリングコラム2が同期的に回転するよう駆動させることができる。ステアリングコラム2が回転すると、ステアリングホイール1
も同期的に回転するよう駆動させることができる
ため、ステアリングホイール1の回転角を表すためにステアリングコラム2の回転角を用いてもよく、ステアリングホイール1のトルクを表すためにステアリングコラム2のトルクを用いてもよい。したがって、本明細書では、ステアリングコラムの回転角は、ステアリングホイールの回転角と等しくてもよく、ステアリングコラムの回転範囲は、ステアリングホイールの回転範囲と等しくてもよい。
【0058】
これに対応して、ステアリングホイール1の回転角及びトルクを得るために、ステアリングコラム2に回転角センサ及びトルクセンサが設置され得る。これに対応して、
図1に示すように、ステアリングコラム2にトルクセンサ21及び回転角センサ22が設置されている。トルクセンサ21は、ステアリングコラム2
の回転
の間に生じるトルクを収集できる。回転角センサ22は、ステアリングコラム2の回転の間
に生じる回転角を収集できる。ステアリングコラム2のトルク及び回転角は、それぞれステアリングホイール1のトルク及び回転角として用いられ得る。トルクセンサ21及び回転角センサ22の双方は、ステアリングコントローラが、ステアリングホイール1に対して運転手により行われた操作を取得し、運転手によって行われた操作に基づいて車両の操舵及び直進を制御することができるように、収集したデータをステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラに送信し得る。
【0059】
ステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラは、ステアバイワイヤシステムのコントローラであってもよく、車両の操舵を制御するように構成されるか又はステアバイワイヤシステムが位置する車両の全体的な車両コントローラであり得る。これは本実施形態では限定されない。
【0060】
1つの例では、ステアバイワイヤシステムのステアリング駆動モータが車両の操舵可能ホイールに接続されている。操舵可能ホイールは、車両の左前輪及び右前輪であり得る。このように、トルクセンサ21及び回転角センサ22を用いることによりステアリングホイール1のトルク及び回転角を取得した後に、ステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラは、車両のワイヤコントロール操舵を実施するために、ステアリング駆動装置を制御して操舵可能ホイールを駆動し操舵することができる。
【0061】
操舵可能ホイールの回転は制限され
ており、操舵可能ホイールは制限なく回転することはできない。したがって、操舵可能ホイールの回転に適合するために、ステアリングホイール1の回転も制限する必要がある。これに対応して、
図1に示すように、ステアバイワイヤシステムは制限装置3をさらに含む。制限装置3は、ステアリングホイール1がターゲット回転範囲内で回転するようにするために、固定ロッド31上での摺動ブロック32及び可動制限ブロック33の摺動と、摺動ブロック32及びステアリングコラム2との回転接続と
を介してステアリングホイール1の回転を制限し得る。ターゲット回転範囲は、ステアバイワイヤシステムが位置する車両の
走行パラメータ
に基づく計算
を介して得られる。
【0062】
先ず、制限装置の具体的な実施構造を説明し、その後にステアリングホイール1のターゲット回転範囲を計算するプロセスを説明する。
【0063】
本実施形態の説明を容易にするために、「左」、「右」、「時計回り」、「反時計回り」等で示される方位又は位置関係が導入され、その全ては、添付の図面に示す方位又は位置関係に基づく。これは、本解決策の説明を容易にするためのものにすぎず、具体的に限定されない。加えて、本明細書で言及される「第1」、「第2」等は、説明のためにのみに用いられ、相対的な重要性を示すか又は暗示するものと理解すべきでない。
【0064】
図1に示すように、摺動ブロック32は固定ロッド31上に位置し、固定ロッド31上を左
方向及び右
方向に摺動できる。摺動ブロック32及び固定ロッド31の設置方法は次の通りであり得る。摺動ブロック32は管状構造を有し、固定ロッド31上にスリーブされ得るため、摺動ブロック32は固定ロッド31に沿って左
方向及び右
方向に摺動できる。摺動ブロック32と固定ロッド31との間の摩擦を低減するために、摺動ブロック32はボールナットであり、固定ロッド31はネジ山を有するネジであり得るため、摺動ブロック32は固定ロッド31上を螺旋状に左
方向及び右
方向に摺動できる。加えて、摺動ブロック32の螺旋溝にボールが入ってい
るため、摺動ブロック32と固定ロッド31との間の摩耗を低減し、制限装置3の寿命を延ばすことができる。
【0065】
摺動ブロック32が固定ロッド31上を摺動したときにステアリングコラム2が回転し、ステアリングコラム2が回転したときに摺動ブロック32が固定ロッド31上を摺動できるようにするために、これに対応して、摺動ブロック32とステアリングコラム2との間に回転接続があり得る。回転接続とは、摺動ブロック32が主要部として摺動した場合にステアリングコラム2が駆動されて回転し、ステアリングコラム2が主要部として回転した場合に、摺動ブロック32が駆動されて摺動することを意味する。摺動ブロック32及びステアリングコラム2の動きは関連し、回転接続を形成する。
【0066】
摺動ブロック32とステアリングコラム2との間の回転接続は、ネジ接続を介して実施され得る。これに対応して、
図2に示すように、制限装置3はギア34をさらに含み得る。ギア34はステアリングコラム2にスリーブされ、ステアリングコラム2と同期的に回転する。
図3に示すように、摺動ブロック32は、ギア34と係合するラックを有する。摺動ブロック32
はギア34と係合してステアリングコラム2
と回転接続
を実施する。例えば、ステアリングコラム2と共にギア34が回転すると、ギア34は、摺動ブロック32が固定ロッド31上で摺動するように押
し得る。別の例として、摺動ブロック32が固定ロッド31上を摺動すると、摺動ブロック32はギア34が回転するように押
し得る。ギア34
はステアリングコラム2にスリーブされているため、ステアリングコラム2と同期的に回転できる。
【0067】
摺動ブロック32は固定ロッド31にスリーブされ、摺動ブロック32の外壁はギア34と係合し、ギア34はステアリングコラム2にスリーブされ、ステアリングコラム2と同期的に動くことができる。このように、ステアリングコラム2が回転すると、ギア34は摺動ブロック32を固定ロッド31上で摺動させるために押してもよく、摺動ブロック32が固定ロッド31上を摺動した場合、ギア34を回転させるために押し得る。ギア34の回転はステアリングコラム2の回転であるため、摺動ブロック32とステアリングコラム2の間の回転接続が実施される。
【0068】
摺動ブロック32とステアリングコラム2との回転接続は、摺動ブロック323が固定ロッド31上を摺動し移動する際にステアリングコラム2の回転を駆動でき、ステアリングコラム2の回転も摺動ブロック32を駆動して固定ロッド31上で摺動し移動させることができることを意味することが分かる。
【0069】
加えて、摺動ブロック32とステアリングコラム31との間に回転接続があるため、ステアリングコラム2の回転範囲を制限するために固定ロッド31上の摺動ブロック32の摺動範囲が制限され得る。ステアリングホイール1の回転範囲を表すためにステアリングコラム2の回転範囲が用いられ得る。したがって、ステアリングホイール1の回転範囲を制限するために摺動ブロック32の摺動が制限され得る。
【0070】
これに対応して、
図1に示すように、制限装置3は可動制限ブロック33を含む。可動制限ブロック33は固定ロッド31上に位置し、固定ロッド31上を摺動できる。摺動ブロック32に接触するように摺動する場合、可動制限ブロック31は、摺動ブロック32が可動制限ブロック33に向かう方向に摺動を続けることができなくなるようにするために、摺動ブロック32の摺動を制限するため固定ロッド31上でロックされ得る。可動制限ブロック33は摺動ブロック32の摺動範囲を制限できることが分かる。摺動ブロック32の摺動範囲が制限されると、ステアリングコラム2の回転範囲が制限される。ステアリングコラム2はステアリングホイール1と同期的に回転す
るため、ステアリングホイール1の回転範囲
も制限される。
【0071】
可動制限ブロック33を固定ロッド31に取り付ける方法は次の通りであり得る。可動制限ブロック33は管状構造を有しており、固定ロッド31にスリーブされ、固定ロッド31上を左方向及び右方向に摺動できる。可動制限ブロック33と固定ロッド31との間の摩擦を低減するために、可動制限ブロック33はボールナットであり、固定ロッド31はネジ山を有するネジであり得るため、可動制限ブロック33は固定ロッド31上を左方向及び右方向に螺旋状に摺動できる。加えて、可動制限ブロック33の螺旋溝にはボールが入っているため、可動制限ブロック33と固定ロッド31との間の摩耗を低減し、制限装置3の寿命を延ばすことができる。
【0072】
ステアリングホイール1は時計回り及び反時計回りに回転できるため、制限装置3は、ステアリングホイール1の時計回りの回転を制限する必要があり、ステアリングホイール1の反時計回りの回転も制限する必要がある。これに対応して、少なくとも2つの可動制限ブロック33があり、少なくとも2つの可動制限ブロック33は対でグループ化されている。グループ内の一方の可動制限ブロック33は、ステアリングホイール1の時計回りの回転を制限するように構成され、他方の可動制限ブロック33はステアリングホイール1の反時計回りの回転を制限するように構成されている。ステアリングホイール1の時計回りの回転を制限するように構成された特定の可動制限ブロック又はステアリングホイール1の反時計回りの回転を制限するように構成された特定の可動制限ブロックは、摺動ブロック32の摺動方向と、ステアリングホイール1の回転方向との間の対応関係に関連する。これは本願では限定されない。当業者であれば、実際の要件に基づいて可動制限ブロックを柔軟に制限し得る。
【0073】
例えば、
図1に示すように、2つの可動制限ブロック33がある。2つの可動制限ブロック33は摺動ブロック32の両側にそれぞれ位置している。すなわち、摺動ブロック32は2つの可動制限ブロック33の間に位置している。
摺動ブロック32の左側にある可動制限ブロック33は、摺動ブロック32が左に摺動するのを制限するように構成され、
摺動ブロック32の右側にある可動制限ブロック33は、摺動ブロック32が右に摺動するのを制限するように構成されている。このように、2つの可動制限ブロック33は、摺動ブロック32が特定の摺動範囲内で摺動するよう制限する。
【0074】
別の例として、
図4に示すように、4つの可動制限ブロック33があり、2つの可動制限ブロック
毎に1つのグループ
が形成
されるため、制限装置3は可動制限ブロックの2つのグループを含む。可動制限ブロック33の一方のグループは第1の可動制限ブロック33Aと呼ばれ、可動制限ブロック33の他方のグループは第2の可動制限ブロック33Bと呼ばれ得る。
図4に示すように、2つの第1の可動制限ブロック33Aは、摺動ブロック32の両側にそれぞれ位置し、2つの第2の可動制限ブロック33Bは、2つの第1の可動制限ブロック33Aの両側にそれぞれ位置し得る。
より具体的には、
図4に示すように、摺動ブロック32は2つの第1の可動制限ブロック33Aの間に位置する。一方の第1の可動制限ブロック33Aは摺動ブロック32と、一方の第2の可動制限ブロック33Bとの間に位置し、他方の第1の可動制限ブロック33Aは、摺動ブロック32と他方の第2の可動制限ブロック33Bとの間に位置する。第1の可動制限ブロック33Aは、摺動ブロック32に対して第1のレベルの制限を行い、第2の可動制限ブロック33Bは摺動ブロック32に対して第2のレベルの制限を行い得る。これは、摺動ブロック32に対する制限効果を
改善できる。
【0075】
本実施形態は、制限装置3に含まれる可動制限ブロック33の数に制限を設けない。当業者は、実際の要件に基づいて柔軟に数を選択し得る。説明を容易にするために、
図1に示す2つの可動制限ブロック33を一例として用い得る。
【0076】
1つの例では、摺動ブロック32固定ロッド31上で摺動させるために駆動する動力は、ステアリングホイール1からのものであり得るか又は可動制限ブロック33に押されることによるものであり得る。可動制限ブロック33を固定ロッド31上で摺動させるために駆動する動力は、摺動駆動モータ36からのものであり得る。これに対応して、
図1に示すように、ステアバイワイヤシステムは、摺動駆動モータ35をさらに含み得る。可動制限ブロック33は、摺動駆動モータ35
の駆動を介して固定ロッド31上を摺動する。
【0077】
ステアバイワイヤシステムは、1つの摺動駆動モータ35を含み得る。1つの摺動駆動モータ35は、上述の複数の可動制限ブロック33を駆動して固定ロッド31上で摺動させるように構成されている。あるいは、摺動駆動モータ35の数は可動制限ブロック33の数と同じであってもよい。各可動制限ブロック33は、1つの摺動駆動モータ35を用いることにより駆動される。例えば、
図1及び
図4に示すように、第1の可動制限ブロック33Aは、第1の摺動駆動モータ35Aによって駆動され、第2の可動制限ブロック33Bは、第2の摺動駆動モータ35Bによって駆動される。この実施形態は、ステアバイワイヤシステムに含まれる摺動駆動モータ35の数に制限を設けない。当業者は、実際の状況に基づいて数を柔軟に選択し得る。
【0078】
1つの例では、可動制限ブロック33が摺動ブロック32を制限しているときに、摺動駆動モータ35は、可動制限ブロック33が摺動ブロック32に接触するように駆動した場合、摺動駆動モータ35は、摺動ブロック32に推力を加えるために可動制限ブロック33と摺動ブロック32との間の接触を維持するために、駆動制限ブロック33の駆動を依然続けるため、摺動ブロック32が摺動を続けるのが防止される。
【0079】
ステアリングホイール1は、操舵可能ホイールと同様に、ステアリングホイール1も回転範囲を有するように制限される。加えて、ステアリングホイール1の回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。したがって、ステアリングホイール1の回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲に基づいて計算する必要がある。ステアリングホイール1の回転範囲を計算した後に、ステアリングホイール1が計算された回転範囲内で回転するようにするために、可動制限ブロック33の摺動範囲は、摺動ブロック32の摺動範囲を制限するために制御され得る。
【0080】
車両の安定した走行を確かなものにするため、操舵可能ホイールの回転範囲をリアルタイムで動的に調整するために、操舵可能ホイールは異なる作動状態で最適な回転範囲を有する。最適な回転範囲は、作動状態にある操舵可能ホイールのターゲット回転範囲と呼ばれ得る。作動状態にある操舵可能ホイールのターゲット回転範囲は、車両の走行パラメータを用いることにより計算され得る。走行パラメータは、作動状態にある車両の速度及び最大ヨーレートを含み得る。作動状態にある操舵可能ホイールのターゲット回転範囲は、以下の式を用いることにより計算を通じて得られ得る。
【0081】
【0082】
上記の式では、δfは作動状態にある操舵可能ホイールの最大回転角を表し、単位はradであり、mは車両の重量を表し、車両の属性値であるとともに単位はkgであり、Cは、車両の前車軸と後車軸との間の軸距離を表し、単位はmであるとともに車両の属性値であり、aは、車両の前車軸と質量中心との間の距離を表し、単位はmであるとともに車両の属性値であり、bは車両の後車軸と質量中心との間の距離を表し、単位はmであるとともに車両の属性値であり、cafは前車軸のコーナリング剛性を表し、単位はN/radであるとともに車両の属性値であり、carは後車軸のコーナリング剛性を表し、単位はN/radであるとともに車両の属性値であり、uは車両の速度を表し、単位はm/秒であるとともに車両の状態値であり、ωmは車両が作動状態で耐えることができる最大ヨーレートを表し、単位はrad/秒であり、車両の状態値である。
【0083】
操舵可能ホイールの回転は対称である。つまり、操舵可能ホイールは時計回りにも、反時計回りにも回転できる。操舵可能ホイールは最大回転角まで時計回りに回転し、最大回転角まで反時計回りに回転する。したがって、ステアバイワイヤシステムが、作動状態にある操舵可能ホイールの最大回転角δfを決定した後、負のδfから正のδfまでの角度範囲が作動状態にある操舵可能ホイールのターゲット回転範囲をなす。
【0084】
作動状態にある操舵可能ホイールのターゲット回転範囲は、車両が安全且つ安定して運転される最適な回転範囲である。操舵可能ホイールは制限回転範囲をさらに有する。操舵可能ホイールの制限回転範囲は、操舵可能ホイールが操舵できる最大範囲であり、車両の属性値である。したがって、作動状態にある操舵可能ホイールのターゲット回転範囲は、操舵可能ホイールの制限回転範囲以下である。したがって、作動状態にある操舵可能ホイールのターゲット回転範囲は、作動状態における走行パラメータに基づいて計算され、操舵可能ホイールの制限回転範囲以下の回転範囲である。
【0085】
操舵可能ホイールの制限回転範囲は、操舵可能ホイールの制限回転角に基づいて得られる。したがって、作動状態にある操舵可能ホイールの最大回転角は、作動状態における走行パラメータに基づく計算を介して得られ、操舵可能ホイールの制限回転角以下の回転角である。
【0086】
作動状態にある操舵可能ホイールの最大回転角を求めた後に、作動状態にあるステアリングホイール1の最大回転角は、下記の式を用いることにより求められ得る。
【0087】
【0088】
式中、δSは、作動状態にあるステアリングホイールの最大回転角を表し、単位はradであり、iはステアリング比を表し、寸法単位を有さず、τは補正量、すなわち誤差補正値を表し、単位はradである。
【0089】
同様に、ステアリングホイールの回転も対称である。ステアバイワイヤシステムが作動状態にあるステアリングホイールの最大回転角δSを決定した後、負のδSから正のδSまでの角度範囲が、作動状態にあるステアリングホイールのターゲット回転範囲をなす。
【0090】
操舵可能ホイールの、操舵可能ホイールの制限回転角及び回転方向に基づいて得られた回転範囲は、操舵可能ホイールの制限回転範囲である。この場合、ステアリングホイールの、操舵可能ホイールの制限回転角と、ステアリング比とに基づいて得られた回転角を、ステアリングホイールの制限回転角といい、ステアリングホイールの、ステアリングホイールの制限回転角及び回転方向に基づいて得られたターゲット回転範囲は、ステアリングホイールの制限回転範囲である。
【0091】
このように、操舵可能ホイールが負のδfから正のδfまでの回転範囲内で回転すると、制限装置3は、ステアリングホイール1が負のδSから正のδSまでの回転範囲内で回転するよう制御することができる。ステアバイワイヤシステムは、ステアリングホイールがもはや制限なく回転せずに、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転するようにするために、制限装置を用いてステアリングホイールの回転を制限し得ることが分かる。このように、ステアリングホイールの回転範囲が操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転する。これにより、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御が促進され、運転の安全性が促進される。
【0092】
加えて、ステアバイワイヤシステムの制限装置3は、操舵可能ホイールが制限回転範囲内で回転するよう制限するだけでなく、作動状態における走行パラメータに基づいて、ステアリングホイール1の回転範囲を動的に調整し得る。例えば、車両は、作動状態1である回転範囲を有し、作動状態2では別の回転範囲を有する。操舵可能ホイールの回転範囲は、車両が置かれている状態に基づいて調整できる。しかしながら、ステアリングホイール1の回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲に基づいて計算される。したがって、運転の安全性を改善するために、ステアリングホイール1の回転範囲も実際の作業状態に基づいて動的に調整できる。
【0093】
上記から、操舵可能ホイールは制限回転範囲を有することが分かる。これに対応して、操舵可能ホイールのターゲット回転範囲が制限回転範囲の場合、ステアリングホイール1のターゲット回転範囲も制限回転範囲に達する。可動制限ブロック33がステアリングホイールを制限する場合、可動制限ブロック33も固定ロッド31上を摺動できるため、運転手がステアリングホイールを過度な強度で操作した場合、摺動ブロック32も可動制限ブロック33を押して固定ロッド31上を摺動させ得る。その結果、可動制限ブロック33は摺動ブロック32の摺動を制限できない。
【0094】
上記の状況が起こるのを回避し、ステアリングホイール1が制限回転範囲を有することができるようにするために、これに対応して、
図5に示すように、ステアバイワイヤシステムは固定制限ブロック36をさらに含む。固定制限ブロック36は、固定ロッド31の端部に固定され、可動制限ブロック33が固定ロッド31上を摺動するのを制限し、ステアリングホイール1が制限回転範囲内で回転するよう制限するように構成されている。
【0095】
ステアリングホイール1のターゲット回転範囲がステアリングホイール1の制限回転範囲である場合、
図6に示すように、ステアリングホイール1が最大回転角まで時計回りに回転すると、左側の可動制限ブロック33は左側の固定制限ブロック36に接触する。
図7に示すように、ステアリングホイール1が最大回転角まで反時計回りに回転すると、右側の可動制限ブロック33は右側の固定制限ブロック36に接触する。
図6及び
図7に示すように、2つの可動制限ブロック33の距離は、固定ロッド31上の摺動ブロック32の制限摺動範囲である。
【0096】
例えば、運転手が
過度の強度でステアリングホイールを時計回り
に操作
した場合、ステアリングホイール1は時計回りに回転する。
図6に示すように、ステアリングコラム2のギア34
はそれにしたがって時計回りに回転するため、ギア34と係合する摺動ブロック32は左側に摺動して、左側の可動制限ブロック33を押し左側に摺動させる。しかしながら、左側の可動制限ブロック33が左側の固定制限ブロック36と接触している場合、固定制限ブロック36は固定ロッド31に固定されているため、摺動ブロック32は左側に摺動を続けることができない。
したがって、ステアリングホイール1は時計回りに回転を続け
ることができないため、ステアリングホイール1は
、時計回り回転方向にステアリングホイール1の制限回転角
に達する。この場合、操舵可能ホイールも
、時計回り回転方向に操舵可能ホイールの制限回転角
に達する。
【0097】
別の例として、運転手が
過度な強度でステアリングホイールを反時計回り
に操作
した場合、ステアリングホイール1は反時計回りに回転する。
図7に示すように、ステアリングコラム2のギア34
はそれにしたがって反時計回りに回転するため、ギア34と係合する摺動ブロック32は右側に摺動して、右側の可動制限ブロック33を押し右側に摺動させる。しかしながら、右側の可動制限ブロック33が右側の固定制限ブロック36と接触している場合、固定制限ブロック36は固定ロッド31に固定されているため、摺動ブロック32は右側に摺動を続けることができない。
したがって、ステアリングホイール1は反時計回りに回転を続け
ることができないため、ステアリングホイール1は
、反時計回り回転方向にステアリングホイール1の制限回転角
に達する。この場合、操舵可能ホイールも
、反時計回り回転方向に操舵可能ホイールの制限回転角
に達する。
【0098】
固定制限ブロック36は、ステアリングホイール1の制限回転範囲を制限し得るため、操舵可能ホイールが操舵可能ホイールの制限回転角に達すると、ステアリングホイール1もステアリングホイール1の制限回転角に達することが分かる。したがって、操舵可能ホイールが制限回転角に達するが、ステアリングホイールは回転を続けることができる場合を避けるために、ステアリングホイール1の回転は、操舵可能ホイールの回転と一致している。
【0099】
本願では、作動状態におけるステアリングホイールのターゲット回転範囲を計算した後、ワイヤ制御操舵は、ステアリングホイールの回転範囲と、可動制限ブロック33の摺動範囲との間の予め記憶された対応関係に基づいて、可動制限ブロック33の、ステアリングホイールのターゲット回転範囲に対応するターゲット摺動範囲を取得し得る。可動制限ブロックのターゲット摺動範囲を取得した後、ワイヤ制御操舵は、可動制限ブロックをデフォルト位置からターゲット摺動範囲の別の境界位置に摺動させるよう制御し得る。
【0100】
図8に示すように、左側の可動制限ブロック33のデフォルト位置は、左側の可動制限ブロック33が固定制限ブロックと接する位置であり、S
10と表記される。右側の可動制限ブロック33のデフォルト位置は、右側の可動制限ブロック33が固定制限ブロック36と接触する位置であり、S
20と表記される。ワイヤ制御操舵は、左側の可動制限ブロック33をデフォルト位置S
10から第1のターゲット位置S
11に摺動させるよう制御し得る。第1のターゲット位置S
11は、左側の可動制限ブロックのターゲット摺動範囲の境界位置である。ワイヤ制御操舵は、右側の可動制限ブロック33をデフォルト位置S
20から第2のターゲット位置S
12に摺動させるようさらに制御し得る。第2のターゲット位置S
12は、右側の可動制限ブロックのターゲット摺動範囲の境界位置である。S
10とS
11との間の距離が左側の可動制限ブロック33のターゲット摺動範囲であり、S
20とS
12との間の距離が右側の可動制限ブロック33のターゲット摺動範囲である。S
11及びS
12は、車両の作動状態に基づいて動的に変更され得る。つまり、ステアリングホイール1のターゲット回転範囲が変化すると、S
11及びS
12も
それにしたがって変化する。
【0101】
このように、摺動ブロック32は、S11
とS12
との間の摺動に制限され、ステアリングホイール1は、ターゲット回転範囲内での回転に制限される。つまり、ステアリングホイールは、ターゲット回転範囲の左側境界位置まで反時計回りに回転でき、ターゲット回転範囲の右側境界位置まで時計回りに回転できる。
【0102】
しかしながら、運転手が
過度な強度でステアリングホイール
を操作
した場合、ステアリングホイールは、現在の作動状態におけるターゲット回転範囲を超えて時計回りに回転する。この場合、
図6に示すように、左側の固定制限ブロック36は、ステアリングホイールが回転を続けるのを
防止する。ステアリングホイールが現在の作動状態におけるターゲット回転範囲を超えて反時計回りに回転すると、
図6に示すように、右側の固定制限ブロック36は、ステアリングホイールが回転を続けるのを防止する。
【0103】
ステアバイワイヤシステムの制限装置3は、ステアリングホイール1の操舵を制限するだけでなく、操舵可能ホイールの操舵と、ステアリングホイール1の操舵との不一致を補正するために、ステアリングホイール1の操舵も調整し得る。
【0104】
一般に、回転角センサ22を用いることによりステアリングホイール1の回転角を得た後、ステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラは、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の予め記憶されたターゲット対応関係に基づいて、操舵可能ホイールの回転角を取得し得る。そして、ステアリングコントローラは、ステアリングホイールの操舵が、ステアリングホイールの操舵と一致するように、得られた回転角に基づいて、操舵可能ホイールを駆動し操舵するようステアリング駆動装置を制御し得る。
【0105】
しかしながら、操舵可能ホイールの操舵がステアリングホイールの操舵と一致しないことがある。例えば、操舵可能ホイールの操舵が、ステアリングホイールの操舵に追従しない場合又は操舵可能ホイールの操舵がステアリングホイールの操舵を超える場合である。この場合、操舵可能ホイールの操舵又はステアリングホイールの操舵を補正する必要がある。操舵可能ホイールの操舵が補正される場合、タイヤの摩耗が起こることがあり、タイヤの損傷が深刻になる。したがって、ステアリングホイールの操舵が補正され得る。これに対応して、可動制限ブロック33は、ステアリングホイール1の回転角が操舵可能ホイールの回転角と一致しない場合に、摺動ブロック32がステアリングコラム2を駆動し回転させて、ステアリングホイール1と操舵可能ホイールとの回転角偏差が補正されるようにするために、摺動ブロック32を押して固定ロッド31上で摺動させるようさらに構成されている。
【0106】
ステアリングホイール1の回転角と、操舵可能ホイールの回転角との一致は、ステアリングホイール1の回転角と、操舵可能ホイールの回転角との対応関係が、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の予め記憶されたターゲット対応関係と合致することを意味する。不一致とは、ステアリングホイール1の回転角と、操舵可能ホイールの回転角との対応関係が、ターゲット対応関係と合致しないことを意味する。
【0107】
1つの例では、ステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラは、回転角センサ22を用いることによりステアリングホイールの現在の回転角を取得し、操舵可能ホイールに設置された回転角センサを用いることにより操舵可能ホイールの現在の回転角を取得し、ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係が、予め記憶されたターゲット対応と一致するかどうかを検出する。ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係が、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の予め記憶されたターゲット対応関係と一致しない場合、ステアリングホイールの回転角は、操舵可能ホイールの回転角と一致していない。ステアリングコントローラは、ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の回転角偏差を計算してもよく、そして、回転角偏差に基づいて、回転角偏差を解消する方向に摺動ブロック32を固定ロッド31上で摺動させるために押すよう対応する可動制限ブロック33を制御する。摺動ブロック32とステアリングコラム2との間には回転接続があるため、ステアリングホイールと、操舵可能ホイールとの間の回転角偏差を解消するために、ステアリングコラム2が回転できる。
【0108】
例えば、ステアリングホイール1が操舵可能ホイールに対して時計回りに回転する場合、ステアリングホイールは、回転角偏差を解消するために反時計回りに回転する必要がある。
図9に示すように且つ
図3を参照して、摺動ブロック32の左側の可動制限ブロック33は、制御されて摺動ブロック32と接触するよう右
方向に摺動し、摺動ブロック32を押して右
方向に摺動させる。
図9に示すように、摺動ブロック32が右
方向に摺動すると、ギア34が反時計回りに回転し、さらにステアリングホイールが反時計回りに回転
するため、ステアリングホイール1と操舵可能ホイールとの間の回転角偏差が解消される。
図9の直線矢印は摺動ブロック32の摺動方向を示し、
図9の回転矢印はギア34の回転方向を示す。
【0109】
別の例として、ステアリングホイール1が操舵可能ホイールに対して反時計回りに回転する場合、ステアリングホイールは、回転角偏差を補正するために時計回りに回転する必要がある。
図10に示すように且つ
図3を参照して、摺動ブロック32の右側の可動制限ブロック33は、制御されて摺動ブロック32と接触するよう左
方向に摺動し、摺動ブロック32を押して左
方向に摺動させる。
図10に示すように、摺動ブロック32が左
方向に摺動すると、ギア34が時計回りに回転し、さらにステアリングホイールが時計回りに回転
するため、ステアリングホイール1と操舵可能ホイールとの間の回転角偏差が解消される。
図10の直線矢印は摺動ブロック32の摺動方向を示し、
図10の回転矢印はギア34の回転方向を示す。
【0110】
ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の一致は、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の対応関係が、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の予め記憶されたターゲット対応関係と一致していることを意味する。ターゲット対応関係は、車両のステアリング比と呼ばれ得る。
【0111】
ステアリングホイール1の回転角は、操舵可能ホイールの調整によって生じるタイヤ摩耗を緩和し、タイヤを保護するために、操舵可能ホイールの回転角と一致するように調整され得ることが分かる。ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角とを動的に調整することで、ステアリングホイールと、操舵可能ホイールとの間のアライメントの精度を改善できる。
【0112】
ステアバイワイヤシステムの制限装置3は、ステアリングホイール1の操舵を制限し、操舵可能ホイールの操舵と、ステアリングホイール1の操舵との不一致を補正するためにステアリングホイール1の操舵を調整するだけでなく、ステアリングホイール1を自動的に戻すように駆動することができる。
【0113】
これに対応して、ステアバイワイヤシステムのステアリングコントローラは、摺動ブロック32がステアリングコラム2を駆動して回転させ、ステアリングホイール1が戻るようにするために、摺動ブロック32を押して固定ロッド31上で摺動させるように可動制限ブロック33を制御し得る。ステアリングホイール1が戻るプロセスにおいて、ステアリングホイール1の自動戻り速度を制御するために可動制限ブロック33の摺動速度が制御され得る。
【0114】
例えば、運転手がステアリングホイール1を特定の位置まで時計回りに回転させるために操作し、その後に
ステアリングホイール1から手を離すと、ステアリングホイール1は戻るために反時計回りに回転する必要がある。ステアリングホイール1が戻るために反時計回りに回転させることができるように、
図9に示すように、摺動ブロック32の左側の可動制限ブロック33は、右
方向に摺動して摺動ブロック32と接触し、摺動ブロック32が特定の速度で右
方向に摺動するように押す。摺動ブロック32が特定の速度で右
方向に摺動すると、ギア
34は反時計回りに回転し得る。ギア
34が反時計回りに回転するプロセスで、ステアリングコラム2及びステアリングホイール1の双方が反時計回りに回転するため、ステアリングホイール1は反時計回りに回転する。ステアリングホイール1が戻り位置にあることが検出された場合、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33が摺動ブロック32を右
方向に摺動させるために押すのを停止するよう制御するために、ギア
34は回転を停止し、ステアリングホイール1も戻り位置に留まる。
【0115】
別の例として、運転手がステアリングホイール1を特定の位置まで反時計回りに回転させるために操作し、その後に
ステアリングホイール1から手を離すと、ステアリングホイール1は戻るために時計回りに回転する必要がある。ステアリングホイール1が戻るために時計回りに回転させることができるように、
図10に示すように、摺動ブロック32の右側の可動制限ブロック33は、左
方向に摺動して摺動ブロック32と接触し、摺動ブロック32が特定の速度で左
方向に摺動するように押す。摺動ブロック32が特定の速度で左
方向に摺動すると、ギア
34は時計回りに回転し得る。ギア
34が時計回りに回転するプロセスで、ステアリングコラム2及びステアリングホイール1の双方が時計回りに回転するため、ステアリングホイール1は時計回りに回転する。ステアリングホイール1が戻り位置にあることが検出された場合、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33が摺動ブロック32を左
方向に摺動させるために押すのを停止するよう制御するために、ギア
34は回転を停止し、ステアリングホイール1も戻り位置に留まる。
【0116】
加えて、
図1及び
図2に示すように、ステアバイワイヤシステムには戻り駆動モータ4をさらに含んでもよく、戻り駆動モータ4は、ステアリングホイール1が自動的に戻るよう駆動させるためにステアリングコラム2を駆動するように構成されている。
【0117】
1つの例では、ワイヤ制御操舵が、ステアリングホイールが戻ろうとしているが、戻り駆動モータ4が故障しており、ステアリングコラム2を駆動してステアリングホイール1が自動的に戻るように駆動できないことが検出された場合、摺動ブロック32を押して、ステアリングホイール1が自動的に戻ることができる方向に摺動させるために、対応する可動制限ブロック33を上記の方法に基づいて制御するため、摺動ブロック32の摺動の間にステアリングホイール1は自動的に戻ることができる。
【0118】
1つの例では、ステアリングホイール1を操作する手触りを運転手に与えるために
、それに対応して、図11に示すように、制限装置3はダンパ37をさらに含み得る。
図11に示すように、ダンパ37はギア34に取り付けてもよく、ダンパ37の位置は固定ロッド31の位置の反対側である。運転手がステアリングホイールを操作する場合、ダンパ37はギア34の回転に抵抗を与える。これにより、操作のための手触りが運転手にもたらされる。
【0119】
1つの例では、ステアバイワイヤシステムが位置する車両は、安定性制御システムをさらに含む。ステアバイワイヤシステムの動作の間に、車両の速度が高すぎるか、非常ブレーキがかけられるか、ヨーレートが比較的大きくても、車両を安定させ、車両の転倒等の事故を防ぐために安定性制御システムを始動させることができる。
【0120】
上記の説明に基づいて、ステアバイワイヤシステムは、ステアリングホイール1の回転を制限するために制限装置3を用いり得るため、ステアリングホイール1はもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイール1も制限位置まで回転する。
【0121】
可動制限ブロック33がステアリングホイール1を制限回転範囲内で回転させるように制限できない場合、固定制限ブロック36がステアリングホイール1を制限回転範囲内で回転させるようさらに制限し得るため、操舵可能ホイールが操舵可能ホイールの制限回転範囲内で回転すると、ステアリングホイール1も、ステアリングホイール1の制限回転範囲内で回転する。したがって、ステアリングホイール1の回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。これにより、車両の安全の安全性が促進される。
【0122】
ステアリングホイール1及びステアリングホイールが回転するプロセスで、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵との間にずれがある場合、すなわち、予め記憶された対応関係と合致しない場合、ステアリングホイール1が回転し、ステアリングホイール1と操舵可能ホイールとの間の回転角偏差を解消して、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵との間のアライメントの精度が改善されるようにするために、可動制限ブロック33は摺動ブロック32をさらに押して摺動させ得る。
【0123】
ステアバイワイヤシステムの戻り駆動モータ4が故障した場合又はステアバイワイヤシステムが戻り駆動モータを有さない場合、可動制限ブロック33は摺動ブロック32をさらに押して摺動させ得る。ステアリングホイール1は回転することができるため、ステアリングホイール1が自動的に戻る。
【0124】
ステアリングホイール1の回転が制限されるプロセスでは、
図6に示すように、ステアリングホイールの時計回りの回転が制限されている場合、摺動ブロック32
の左
方向への摺動
を制限するために左側の可動制限ブロック33及び左側の固定制限ブロック36が用いられる。
図7に示すように、ステアリングホイールの反時計回りの回転を制限されている場合、摺動ブロック32
の右
方向への摺動
を制限するために右側の可動制限ブロック33及び右側の固定制限ブロック36が用いられる。
【0125】
図9に示すように、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵との偏差が補正されるプロセスでは、ステアリングホイール1が反時計回りに回転できる場合、ステアリングホイール1と操舵可能ホイールとの偏差を解消するためにステアリングホイール1が反時計回りに回転されるようにするために、左側の可動
制限ブロック33が摺動ブロック32を右
方向に押す。
図10に示すように、ステアリングホイール1が時計回りに回転できる場合、ステアリングホイール1と操舵可能ホイールとの偏差を解消するためにステアリングホイール1が時計回りに回転されるようにするために、右側の可動ストップ33は、摺動ブロック32を押して左
方向に摺動させる。
【0126】
ステアリングホイール1が自動的に戻ることができるようにするために可動制限ブロック33が摺動ブロック32を押すプロセスでは、ステアリングホイール1が戻り位置まで反時計回りに回転できる場合、
図9に示すように、ステアリングホイール1が反時計回りで回転するようにするために、左側の可動制限ブロック33は、摺動ブロック32を押して、特定の速度で右
方向に摺動させる。ステアリングホイール1が戻り位置まで反時計回りで回転する場合、左側の可動制限ブロック33は、摺動ブロック32が右側に摺動しないように押すのを止める。ステアリングホイール1が戻り位置に時計回りで回転できる場合、
図10に示すように、ステアリングホイール1が時計回りで回転するようにするために、右側の可動制限ブロック33は、摺動ブロック32を押して、特定の速度で左
方向に摺動させる。ステアリングホイール1が戻り位置まで時計回りで回転する場合、右側の可動制限ブロック33は、摺動ブロック32が左
方向に摺動しないように押すのを止める。
【0127】
本願のこの実施形態では、ステアバイワイヤシステムは、制限装置を用いてステアリングホイールの回転を制限し得るため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転するため、ステアリングホイールの回転範囲が操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。これは、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御を促進し、運転の安全性を促進する。
【0128】
本願の一実施形態は車両をさらに提供し、車両は知的自動車、新エネルギー車、自動運転車等であり得る。車両は、上述のステアバイワイヤシステムを含み得る。例えば、ステアバイワイヤシステムは、制限装置を用いてステアリングホイールの回転を制限し得るため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転する。このように、ステアリングホイールの回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転する。これは、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御を促進し、運転の安全性を促進する。
【0129】
本願の一実施形態は、操舵制御方法をさらに提供する。本方法は、上述のステアバイワイヤシステムによって行われ、ステアバイワイヤシステムにおいてステアリングコントローラによって具体的に行われ、
図12に示す手順に基づいて行われ得る。
【0130】
ステップ111では、ステアバイワイヤシステムが位置する車両の操舵可能ホイールの回転範囲が取得され、操舵可能ホイールの回転範囲に基づいて、ステアリングホイール1のターゲット回転範囲が計算される。
【0131】
1つの例では、ステアリングコントローラは、先ず、車両の走行パラメータ、例えば、作動状態における車両の速度及び車両の最大ヨーレートを取得し得る。次に、作動状態における操舵可能ホイールの最大回転角δfを計算するために、走行パラメータが上記式1を入れられる。また、作動状態における操舵可能ホイールの最大回転角δfに基づいて、作動状態における操舵可能ホイールの回転範囲が得られる。その後、記憶されたステアリング回転比と、作動状態における操舵可能ホイールの最大回転角δfに基づいて、作動状態におけるステアリングホイール1の最大回転角、すなわち、作動状態におけるステアリングホイールの最大回転角δSが上記式2にしたがって計算される。次に、作動状態におけるステアリングホイールの最大回転角δSに基づいて、作動状態におけるステアリングホイールのターゲット回転範囲が計算され得る。
【0132】
操舵可能ホイールは制限回転範囲を有するため、これに対応して、走行パラメータに基づく計算を介して得られ、操舵可能ホイールの制限回転範囲以下の回転範囲が操舵可能ホイールの回転範囲として用いられ得る。例えば、走行パラメータに基づく計算を介して得られる、操舵可能ホイールの制限回転角以下の最大回転角は、作動状態における操舵可能ホイールの最大回転角として用いられ、次に、作動状態における操舵可能ホイールの最大回転角を基づいて、作動状態における操舵可能ホイールの回転範囲が計算される。
【0133】
ステップ112では、ステアリングホイール1の回転範囲と、可動制限ブロック33の摺動範囲との対応関係に基づいて、可動制限ブロック33の、ステアリングホイール1のターゲット回転範囲に対応するターゲット摺動範囲が取得される。
【0134】
一例では、ステアリングホイール1の回転範囲と可動制限ブロック33の摺動範囲との対応は、ステアバイワイヤ方式であらかじめ記憶されている。ステアリングホイール1のターゲット回転範囲を計算した後、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33のターゲット摺動範囲であって、ステアリングホイール1のターゲット回転範囲に対応するターゲット摺動範囲を見つけることができる。
【0135】
ステップ113では、ステアリングホイール1がターゲット回転範囲内で回転するようにするために、可動制限ブロック33がターゲット摺動範囲内で摺動するように制御して摺動ブロック32が固定ロッド31上で摺動するのを制限する。
【0136】
1つの例では、可動制限ブロック33のターゲット摺動範囲を見つけた後に、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33を駆動してターゲット位置に動かすために、可動制限ブロック33の摺動駆動モータ35を制御する。可動制限ブロック33のデフォルト位置とターゲット位置との間の距離が、可動制限ブロック33のターゲット摺動範囲であり、可動制限ブロック33のデフォルト位置は、可動制限ブロック33が固定制限ブロック36と接触する位置である。可動制限ブロック33はターゲット摺動範囲内で摺動し、それは摺動ブロック32が特定の範囲内を摺動するように制限するため、ステアリングホイール1がターゲット回転範囲内で回転するようさらに制限する。
【0137】
例えば、
図8に示すように、ステアリングコントローラは、左側の可動制限ブロック33がデフォルト位置S
10から第1のターゲット位置S
11まで右
方向に移動するよう制御し、右側の可動制限ブロック33をデフォルト位置S20から第2のターゲット位置S
12まで左
方向に移動するように制御する。左側の可動制限ブロックのデフォルト位置S
10と第1のターゲット位置S
11との間の範囲は、左側の可動制限ブロック33のターゲット摺動範囲であり、右側の可動制限ブロックのデフォルト位置S20と第2のターゲット位置S12との間の範囲は、右側の可動制限ブロック33のターゲット摺動範囲である。第1のターゲット位置S11と、第2のターゲット位置S12との間の摺動範囲は、摺動ブロック32の摺動範囲である。このように、摺動ブロック32
が、左側の可動制限ブロック33が留まる第1のターゲット位置S
11と、右側の可動制限ブロック33が留まる第2のターゲット位置S
12との間の範囲内で摺動
する場合、ステアリングホイール1は、ターゲット回転範囲内で回転する。左側の可動制限ブロックは、ステアリングホイールの時計回りの回転を制限するために第1ターゲット位置S
11に位置する。右側の可動制限ブロックは、ステアリングホイールの反時計回りの回転を制限するために第2ターゲット位置S
12に位置する。
【0138】
ステアバイワイヤシステムは、制限装置を用いてステアリングホイールの回転を制限し得るため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転するため、ステアリングホイールの回転範囲が操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。これは、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御を促進し、運転の安全性を促進する。
【0139】
本方法は、ステアリングホイールの回転角が操舵可能ホイールの回転角と常に一致するようにするために、ステアリングホイールの回転角を調整するためにさらに用いられ得る。これに対応して、先ず、ステアリングコントローラは、ステアリングホイール1の現在の回転角、操舵可能ホイールの現在の回転角及びステアリングホイール1の回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の記憶されたターゲット対応関係を取得し得る。次に、ステアリングホイール1の現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係がターゲット対応関係と合致しないことが検出された場合、ステアリングコントローラは、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵とが一致していないと判定する。その後、ステアリングコントローラは、ステアリングホイール1の現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の回転角偏差に基づいて、可動制限ブロック33を制御し、摺動ブロック32を押して固定ロッド31上で摺動させる。最後に、ステアリングホイール1の現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角との間の対応関係がターゲット対応関係に合致していると検出された場合、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33を制御し、固定ロッド31上を摺動させるために摺動ブロック32を押すのを停止させる。
【0140】
ステアリングホイール1及び操舵可能ホイールが回転するプロセスで、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵との間にずれがある場合、すなわち、予め記憶された対応関係と合致しない場合、可動制限ブロック33は、摺動ブロック32をさらに押して摺動させ得るため、ステアリングホイール1が回転して、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵との偏差が解消され、ステアリングホイール1の操舵と、操舵可能ホイールの操舵との間のアライメントの精度が改善されることが分かる。
【0141】
本方法は、ステアリングホイールの自動的な戻りを制御するためにさらに用いられ得る。これに対応して、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33を制御し、摺動ブロック33を押して固定ロッド31上で摺動させ得る。ステアリングホイール1が戻ることが検出されると、ステアリングコントローラは可動制限ブロック33を制御し、固定ロッド31上を摺動させるために摺動ブロック33を押すのを停止させる。
【0142】
例えば、通常の場合、ステアリングホイールが自動的に戻るようにするために、ステアバイワイヤシステムの戻り駆動モータ4がステアリングコラム2を駆動し回転させる。しかしながら、戻り駆動モータ4が故障した場合、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33を制御し、摺動ブロック33が押されて、特定の速度で固定ロッド31上を摺動させ得る。ステアリングホイール1が戻ることが検知された場合、ステアリングコントローラは、可動制限ブロック33を制御し、固定ロッド31上を摺動させるために摺動ブロック33を押すのを停止させる。
【0143】
ステアリングホイール1が自動的に戻るように駆動する戻り駆動モータ4が壊れることにより故障しても、制限装置3はステアリングホイール1が自動的に戻るよう駆動することができるため、ステアリングホイール1の自動戻り機能を確実にできることが分かる。
【0144】
上記から、制限装置は、ステアリングホイールの回転を制限するだけでなく、ステアリングホイールの回転角を調整するために、ステアリングホイールの操舵が操舵可能ホイールの操舵と常に一致し、ステアリングホイールと、操舵可能ホイールとの間のアラインメントの精度が改善され、ステアリングホイールは自動的に戻るように駆動されることが分かる。
【0145】
上記の説明に基づいて、ステアバイワイヤシステムが車両を操舵するために制御する場合には、少なくとも以下のいくつかのシナリオが含まれ得る。1つのシナリオは、制限装置がステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角とを揃えるプロセスである。1つのシナリオは、制限装置がステアリングホイールの回転を制限するシナリオである。別のシナリオは駆動モータが故障するシナリオ、例えば、摺動駆動モータが故障するか又は戻り駆動モータが故障するプロセスである。以上のいくつかのシナリオを以下で詳細に説明する。
【0146】
ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角とを揃えるプロセスでは、車両の電源が投入された後に、ステアバイワイヤシステムはアライメントを定期的に行い、アラインメントは
図13に示す手順に基づいて行われ得る。
【0147】
ステップ121で、ステアリングホイールの回転角センサ及び操舵可能ホイールの回転角センサを用いることにより、ステアリングホイールの現在の回転角と、操舵可能ホイールの現在の回転角とがそれぞれ取得され、ステアリングホイールの回転角と、操舵可能ホイールの回転角との間の予め記憶された対応関係に基づいて、ステアリングホイールの回転角が操舵可能ホイールの回転角と一致するかどうかがさらに判定される。ステアリングホイールの回転角が操舵可能ホイールの回転角と一致している場合はステップ126に進み、アラインメントが終了する。ステアリングホイールの回転角が操舵可能ホイールの回転角と一致していない場合はステップ122に進み、ステアリングホイールが操舵可能ホイールに対して反時計回りに偏向しているかどうか判定する。ステアリングホイールが操舵可能ホイールに対して反時計回りに偏向している場合はステップ124に進む。ステアリングホイールが操舵可能ホイールに対して反時計回りに偏向していない場合はステップ123に進み、次にステップ125に進む。ステップ124及びステップ125が行われた後、ステップ126に進み、アラインメントが終了する。
【0148】
ステップ124では、右側の摺動駆動モータが始動して、右側の可動制限ブロックを駆動し、摺動ブロックを押して左方向に摺動させるため、ステアリングコラムがステアリングホイールを駆動して時計回りに回転させて、ステアリングホイールと操舵可能ホイールと間の偏向を補正する。ステップ125では、左側の摺動駆動モータが始動して、左側の可動制限ブロックを駆動し、摺動ブロックを押して右方向に摺動させるため、ステアリングコラムがステアリングホイールを駆動して反時計回りに回転させて、ステアリングホイールと操舵可能ホイールと間の偏向を補正する。
【0149】
ステアリングホイールの回転を制限するシナリオでは、車両の電源が入れられた後に、ステアバイワイヤシステムは、現在の作動状態に基づいて、作動状態にあるステアリングホイールのターゲット回転範囲を計算し、ターゲット回転範囲を求めた後に、
図14に示す手順に基づいて、ステアリングホイールがターゲット回転範囲内で回転するように制御し得る。
【0150】
ステップ131では、ステアリングホイールが時計回りに操舵されるかどうか判定される。ステアリングホイールが時計回りに操舵される場合、ステップ132に進むか又はステアリングホイールが時計回りに操舵されない場合はステップ135に進むか又はステップ139に進む。ステップ132では、摺動ブロックの左側の摺動駆動モータが始動し、左側の可動制限ブロックを駆動して第1のターゲット位置まで右方向に動かし、ステアリングホイールの時計回りの回転を制限する。その後、ステップ133に進む。運転手が過度な強度でステアリングホイールを操作したため、ステアリングホイールの回転がターゲット回転範囲を超えてしまう。この場合、ステップ134に進む。ステアリングホイールの時計回りの回転を制限するために左側の固定制限ブロックが用いられ、車両の安定した走行を確かなものにするために車両の安定制御システムが始動する。
【0151】
同様に、ステアリングホイールが反時計回りに回転していると判定された後に、ステップ136に進んでもよい。摺動ブロックの右側の摺動駆動モータが始動し、右側の可動制限ブロックを駆動して第2のターゲット位置まで左方向に移動させて、ステアリングホイールの反時計回りの回転を制限する。そして、ステップ137に進む。運転手が過度な強度でステアリングホイールを操作したため、ステアリングホイールの回転がターゲット回転範囲を超えてしまう。この場合、ステップ138に進む。ステアリングホイールの時計回りの回転を制限するために左側の固定制限ブロックが用いられ、車両の安定した走行を確かなものにするために車両の安定制御システムが始動する。
【0152】
ステアリングホイールの回転を制限されているシナリオでは、ステアリングホイールが自動的に戻ることが検出された場合、ステップ139はステップ140に進み得る。戻り駆動モータを制御してステアリングコラムを駆動し、ステアリングホイールを駆動して自動的に戻す。
【0153】
駆動モータが故障するシナリオでは、車両の電源が入れられた後に、ステアバイワイヤシステムは、摺動駆動モータ及び戻り駆動モータが故障しているかどうかをリアルタイムで検出し得る。
図15に示すように、摺動駆動モータが故障しているかどうかがステップ141で判定される。摺動駆動モータが故障している場合、ステップ142に進む。ステアリングホイールの回転を制限するために、摺動ブロックの摺動を制限するため摺動ブロックの両側にある固定制限ブロックが用いられる。戻り駆動モータが故障しているかどうかがステップ143で判定される。戻り駆動モータが故障している場合、ステップ144に進む。ステアリングホイールの戻りに必要な回転方向に基づいて対応する可動制限ブロックを決定し、摺動ブロックを押して固定ロッド上を摺動させるため、ステアリングコラムがステアリングホイールを駆動して自動的に戻す。
【0154】
本願のこの実施形態では、ステアバイワイヤシステムは、制限装置を用いてステアリングホイールの回転を制限し得るため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転する。このように、ステアリングホイールの回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転する。これは、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御を促進し、運転の安全性を促進する。
【0155】
本願の一実施形態はコントローラをさらに提供する。コントローラは、例えば、車両のコントローラであってもよく、車両のステアリングコントローラであり、上述の操舵制御方法を行うように構成され得る。この方法は、制限装置がステアリングホイールの回転を制限することができるようにするために用いられ得るため、ステアリングホイールはもはや制限なしに回転せず、操舵可能ホイールの回転範囲に対応するターゲット回転範囲内で回転する。このように、ステアリングホイールの回転範囲は、操舵可能ホイールの回転範囲と一致する。したがって、操舵可能ホイールが制限位置まで回転すると、ステアリングホイールも制限位置まで回転する。これは、車両の操舵に対する運転手の操作及び制御を促進し、運転の安全性を促進する。
【0156】
上記の説明は本願の一実施形態に過ぎず、本願を限定することを意図していない。本願の精神及び原理から逸脱することなく行われ得る修正、同等の置き換え又は改善は、本願の保護範囲内にあるものとする。