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特許7514393空調機、制御方法及びコンピュータ可読記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】空調機、制御方法及びコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240703BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240703BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240703BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20240703BHJP
【FI】
F25B1/00 321L
F25B1/00 331E
F24F11/64
F25B1/00 304T
F25B1/00 385Z
F24F110:12
F24F140:20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023521622
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 CN2021122394
(87)【国際公開番号】W WO2022142564
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】202011635938.2
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517344192
【氏名又は名称】広東美的制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA AIR-CONDITIONING EQUIPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Lingang Road,Beijiao,Shunde,Foshan,Guangdong,China
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】王金鋒
(72)【発明者】
【氏名】鄭豪
(72)【発明者】
【氏名】黄貴華
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102954631(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107655152(CN,A)
【文献】特開2002-061992(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106766001(CN,A)
【文献】国際公開第2019/058464(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F24F 11/00 ー 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラ、温度センシングアセンブリ、及び冷媒循環回路が設置される空調機であって、
前記冷媒循環回路は、コンプレッサと、室外熱交換器と、過冷器と、膨張弁と、気液分離器と、電気制御弁と、前記コントローラを放熱させるための放熱器とを含み、
前記コンプレッサに給気口が設置され、前記気液分離器に給液口と排気口が設置され、前記室外熱交換器が前記過冷器のメイン回路と前記膨張弁とを介して前記給液口に接続され、前記排気口が前記過冷器のサブ回路、前記放熱器および前記電気制御弁を介して前記給気口に接続され、
前記温度センシングアセンブリは、室外環境温度と前記室外熱交換器の冷媒出口温度を取得するために用いられ、
前記コントローラは、前記コントローラに対する前記放熱器の放熱能力を調節するように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節するために用いられる、
空調機。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度とを比較し、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との比較結果に基づいて前記電気制御弁の開度を調節するために用いられ、
前記電気制御弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される、
請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
前記冷媒循環回路は、室内熱交換器をさらに含み、前記気液分離器に液出口がさらに設置され、前記室内熱交換器が前記液出口に接続され、
前記温度センシングアセンブリはさらに、室内環境温度と前記室内熱交換器のコイル温度を取得するために用いられ、
前記コントローラはさらに、前記空調機の送風温度を調節するように、前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節するために用いられる、
請求項2に記載の空調機。
【請求項4】
前記コントローラはさらに、
前記室内環境温度と前記コイル温度とを比較し、前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、前記室内環境温度と前記コイル温度との比較結果に基づいて前記膨張弁の開度を調節するために用いられ、
前記膨張弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される、
請求項3に記載の空調機。
【請求項5】
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすまで、前記コントローラは、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節する操作及び前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節する操作を調節周期毎に1回実行し、
前記調節周期は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される、
請求項4に記載の空調機。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節する操作を実行する前に、前記室外環境温度が室外環境温度閾値を超えていることに応じて、初期開度でプリセット時間だけ運行するように前記電気制御弁を制御するために用いられる、
請求項1に記載の空調機。
【請求項7】
空調機の制御方法であって、前記空調機にコントローラ、温度センシングアセンブリ、及び冷媒循環回路が設置され、前記冷媒循環回路は、コンプレッサと、室外熱交換器と、過冷器と、膨張弁と、気液分離器と、電気制御弁と、前記コントローラを放熱させるための放熱器とを含み、前記コンプレッサに給気口が設置され、前記気液分離器に給液口と排気口が設置され、前記室外熱交換器が前記過冷器のメイン回路と前記膨張弁とを介して前記給液口に接続され、前記排気口が前記過冷器のサブ回路、前記放熱器および前記電気制御弁を介して前記給気口に接続され、
前記制御方法は、
前記温度センシングアセンブリによって室外環境温度と前記室外熱交換器の冷媒出口温度を取得することと、
前記コントローラに対する前記放熱器の放熱能力を調節するように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節することと、を含む、
空調機の制御方法。
【請求項8】
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節することは、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度とを比較することと、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との比較結果に基づいて前記電気制御弁の開度を調節することと、を含み、
前記電気制御弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される、
請求項7に記載の空調機の制御方法。
【請求項9】
前記冷媒循環回路は、室内熱交換器をさらに含み、前記気液分離器に液出口がさらに設置され、前記室内熱交換器が前記液出口に接続され、
前記制御方法は、
前記温度センシングアセンブリによって室内環境温度と前記室内熱交換器のコイル温度を取得することと、
前記空調機の送風温度を調節するように、前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節することと、をさらに含む、
請求項8に記載の空調機の制御方法。
【請求項10】
前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節することは、
前記室内環境温度と前記コイル温度とを比較することと、
前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、前記室内環境温度と前記コイル温度との比較結果に基づいて前記膨張弁の開度を調節することと、を含み、
前記膨張弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される、
請求項9に記載の空調機の制御方法。
【請求項11】
前記室内環境温度と前記コイル温度との比較結果に基づいて前記膨張弁の開度を調節した後、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすまで、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節すること、及び前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節することを調節周期毎に繰り返して実行することをさらに含み、
前記調節周期は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される、
請求項10に記載の空調機の制御方法。
【請求項12】
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節する前に、
前記室外環境温度が室外環境温度閾値を超えている場合、初期開度でプリセット時間だけ運行するように前記電気制御弁を制御することをさらに含む、
請求項7に記載の空調機の制御方法。
【請求項13】
空調機であって、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され且つプロセッサ上で実行できるコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する時に請求項7~12のいずれか一項に記載の空調機の制御方法を実現する、
空調機。
【請求項14】
コンピュータに請求項7~12のいずれか一項に記載の空調機の制御方法を実行させるためのコンピュータ実行可能な命令が記憶される、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月31日に提出された、出願番号が202011635938.2、名称が「空調機、制御方法及びコンピュータ可読記憶媒体」の中国特許出願の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、本出願に参照として取り込まれる。
【0002】
本発明は、空調機技術分野に関し、特に空調機、制御方法及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の空調機のコントローラは、主に放熱ファンなどの放熱器によって放熱されるが、このような放熱方式は、放熱効率が低く、放熱効果が不足している。コントローラが大電力空調機の作動に使用され、又はコントローラが高温動作環境に使用される場合、放熱器でコントローラを迅速に放熱できなければ、コントローラの温度が過熱しやすい。高温は、コントローラの耐用年数に深刻な影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術において存在する技術課題の一つを少なくとも解決し、コントローラに対する放熱能力を向上させることができる空調機、制御方法及びコンピュータ可読記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本発明の実施例は、空調機を提供する。前記空調機にコントローラ、温度センシングアセンブリ、及び冷媒循環回路が設置され、
前記冷媒循環回路は、コンプレッサと、室外熱交換器と、過冷器と、膨張弁と、気液分離器と、電気制御弁と、前記コントローラを放熱させるための放熱器とを含み、
前記コンプレッサに給気口が設置され、前記気液分離器に給液口と排気口が設置され、前記室外熱交換器が前記過冷器のメイン回路と前記膨張弁によって前記給液口に接続され、前記排気口が前記過冷器のサブ回路、前記放熱器と前記電気制御弁によって前記給気口に接続され、
前記温度センシングアセンブリは、室外環境温度と前記室外熱交換器の冷媒出口温度を取得するために用いられ、
前記コントローラは、前記コントローラに対する前記放熱器の放熱能力を調節するように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節するために用いられる。
【0006】
本発明の実施例による空調機は、以下の有益な効果を少なくとも有する。冷房状態下で、コンプレッサで圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器で凝縮され、室外熱交換器で凝縮された冷媒が過冷器のメイン回路を通過した後に気液分離器に入って気液分離され、気液分離器の排気口から出た低温ガス冷媒が過冷器のサブ回路を通過する。過冷器において、過冷器のサブ回路における低温ガス冷媒は、過冷器のメイン回路に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷却能力を向上させる。過冷器のサブ回路を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラを放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口から改めてコンプレッサに戻って圧縮されて循環を実現する。排気口から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラの温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラに短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁の開度を調節することによって、過冷器のサブ回路と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0007】
上記空調機において、前記コントローラは、具体的には、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度とを比較し、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との比較結果に基づいて前記電気制御弁の開度を調節するために用いられ、
ここで、前記電気制御弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される。
【0008】
冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて電気制御弁の開度の調節量を決定し、すなわち冷媒出口温度と室外環境温度の両方の数値関係が異なると、電気制御弁の開度の調節量が異なる。過冷器のサブ回路を通過した冷媒の量が冷媒出口温度に影響を与え、冷媒出口温度がまた電気制御弁への調節に逆に作用するので、電気制御弁の開度と冷媒出口温度は、相互に影響し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節するという効果を実現する。
【0009】
上記空調機において、前記冷媒循環回路は、室内熱交換器をさらに含み、前記気液分離器に液出口がさらに設置され、前記室内熱交換器が前記液出口に接続され、
前記温度センシングアセンブリは、室内環境温度と前記室内熱交換器のコイル温度を取得するためにも用いられ、
前記コントローラは、前記空調機の送風温度を調節するように、前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節するためにも用いられる。
【0010】
膨張弁の開度を調節することによって、気液分離器に入った冷媒の量を調節し、さらに液出口から室内熱交換器に入った液冷媒の量を調節することができる。液冷媒が液出口から室内熱交換器に入って蒸発し、室内熱交換器を通過した冷媒がコンプレッサに改めて戻って圧縮されて循環を実現する。室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁の開度を調節することによって、室内熱交換器を通過した冷媒の量を調節し、さらに空調機の送風温度を調節する。
【0011】
上記空調機において、前記コントローラは、具体的には、
前記室内環境温度と前記コイル温度とを比較し、前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、前記室内環境温度と前記コイル温度との比較結果に基づいて前記膨張弁の開度を調節するためにも用いられ、
ここで、前記膨張弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される。
【0012】
室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁の開度の調節量を決定し、すなわち室内環境温度とコイル温度の両方の数値関係が異なると、膨張弁の開度の調節量が異なる。膨張弁の開度の調節量が大きい場合、室内熱交換器を通過した冷媒の変化量が大きい。膨張弁の開度の調節量が小さい場合、室内熱交換器を通過した冷媒の変化量が小さい。室内熱交換器を通過した冷媒の量が空調機の送風温度に影響を与えてさらに室内環境温度に影響を与え、室内環境温度がまた膨張弁への調節に逆に作用するので、膨張弁の開度と室内環境温度は、相互に影響し、さらに空調機の送風温度を調節するという効果を実現する。
【0013】
上記空調機において、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすまで、前記コントローラは、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節する操作及び前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節する操作を調節周期毎に1回実行し、
ここで、前記調節周期は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される。
【0014】
膨張弁の開度への調節は、排気口から過冷器のサブ回路に流れるガス冷媒の量に影響を与え、さらにコイル温度と冷媒出口温度に影響を与えるので、電気制御弁の開度を調節する操作と膨張弁の開度を調節する操作を周期的に繰り返して実行する必要があり、それによって、最終的に管温カップリングの効果を達成する。また室外環境温度、室内環境温度が時間とともに変化するので、室外環境温度と冷媒出口温度との関係に基づいて電気制御弁の開度を改めて調節して室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁の開度を改めて調節する必要がある。しかし、頻繁に調節すると空調機の作動安定性に影響しやすく、冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて調節周期を決定し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0015】
上記空調機において、前記コントローラは、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節する操作を実行する前に、前記室外環境温度が室外環境温度閾値を超えていることに応じて、初期開度でプリセット時間だけ運行するように前記電気制御弁を制御するためにも用いられる。
【0016】
コントローラが所在する作動環境温度は、室外環境温度に関連する。室外環境温度が低い場合、コントローラの作動環境温度が低く、コントローラの作動によって発生した熱は、室外環境に放出されやすい。室外環境温度が室外環境温度閾値を超えている場合、コントローラを放熱させる必要がある。その状況を回避するために、コントローラを予備冷却し、電気制御弁を低数値の初期開度でプリセット時間だけ運行するように制御し、コントローラを該時間内に放熱器に徐々に適応させてその放熱を適切な温度に徐々に降温させる必要がある。
【0017】
第2の態様によれば、本発明の実施例は、空調機の制御方法を提供する。前記空調機にコントローラ、温度センシングアセンブリ、及び冷媒循環回路が設置され、前記冷媒循環回路は、コンプレッサと、室外熱交換器と、過冷器と、膨張弁と、気液分離器と、電気制御弁と、前記コントローラを放熱させるための放熱器とを含み、前記コンプレッサに給気口が設置され、前記気液分離器に給液口と排気口が設置され、前記室外熱交換器が前記過冷器のメイン回路と前記膨張弁によって前記給液口に接続され、前記排気口が前記過冷器のサブ回路、前記放熱器と前記電気制御弁によって前記給気口に接続され、
前記制御方法は、
前記温度センシングアセンブリによって室外環境温度と前記室外熱交換器の冷媒出口温度を取得することと、
前記コントローラに対する前記放熱器の放熱能力を調節するように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節することと、を含む。
【0018】
本発明の実施例による空調機の制御方法は、以下の有益な効果を少なくとも有する。冷房状態下で、コンプレッサで圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器で凝縮され、室外熱交換器で凝縮された冷媒が過冷器のメイン回路を通過した後に気液分離器に入って気液分離され、気液分離器の排気口から出た低温ガス冷媒が過冷器のサブ回路を通過する。過冷器において、過冷器のサブ回路における低温ガス冷媒は、過冷器のメイン回路に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷房量を向上させる。過冷器のサブ回路を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラを放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口から改めてコンプレッサに戻って圧縮されて循環を実現する。排気口から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラの温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラに短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁の開度を調節することによって、過冷器のサブ回路と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0019】
上記空調機の制御方法において、前述した、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節することは、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度とを比較することと、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との比較結果に基づいて前記電気制御弁の開度を調節することと、を含み、
ここで、前記電気制御弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される。
【0020】
冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて電気制御弁の開度の調節量を決定し、すなわち冷媒出口温度と室外環境温度の両方の数値関係が異なると、電気制御弁の開度の調節量が異なる。過冷器のサブ回路を通過した冷媒の量が冷媒出口温度に影響を与え、冷媒出口温度がまた電気制御弁への調節に逆に作用するので、電気制御弁の開度と冷媒出口温度は、相互に影響し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節するという効果を実現する。
【0021】
上記空調機の制御方法において、前記冷媒循環回路は、室内熱交換器をさらに含み、前記気液分離器に液出口がさらに設置され、前記室内熱交換器が前記液出口に接続され、
前記制御方法は、
前記温度センシングアセンブリによって室内環境温度と前記室内熱交換器のコイル温度を取得することと、
前記空調機の送風温度を調節するように、前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節することと、をさらに含む。
【0022】
膨張弁の開度を調節することによって、気液分離器に入った冷媒の量を調節し、さらに液出口から室内熱交換器に入った液冷媒の量を調節することができる。液冷媒が液出口から室内熱交換器に入って蒸発し、室内熱交換器を通過した冷媒がコンプレッサに改めて戻って圧縮されて循環を実現する。室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁の開度を調節することによって、室内熱交換器を通過した冷媒の量を調節し、さらに空調機の送風温度を調節する。
【0023】
上記空調機の制御方法において、前述した、前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節することは、
前記室内環境温度と前記コイル温度とを比較することと、
前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、前記室内環境温度と前記コイル温度との比較結果に基づいて前記膨張弁の開度を調節することと、を含み、
ここで、前記膨張弁の開度の調節量は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される。
【0024】
室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁の開度の調節量を決定し、すなわち室内環境温度とコイル温度の両方の数値関係が異なると、膨張弁の開度の調節量が異なる。膨張弁の開度の調節量が大きい場合、室内熱交換器を通過した冷媒の変化量が大きい。膨張弁の開度の調節量が小さい場合、室内熱交換器を通過した冷媒の変化量が小さい。室内熱交換器を通過した冷媒の量が空調機の送風温度に影響を与えてさらに室内環境温度に影響を与え、室内環境温度がまた膨張弁への調節に逆に作用するので、膨張弁の開度と室内環境温度は、相互に影響し、さらに空調機の送風温度を調節するという効果を実現する。
【0025】
上記空調機の制御方法において、前記室内環境温度と前記コイル温度との比較結果に基づいて前記膨張弁の開度を調節した後、
前記室外環境温度と前記冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ前記室内環境温度と前記コイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすまで、前述した、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節すること、及び前述した、前記室内環境温度と前記コイル温度に基づいて前記膨張弁の開度を調節することを調節周期毎に繰り返して実行することをさらに含み、
ここで、前記調節周期は、前記冷媒出口温度と前記室外環境温度に基づいて決定される。
【0026】
膨張弁の開度への調節は、排気口から過冷器のサブ回路に流れるガス冷媒の量に影響を与え、さらにコイル温度と冷媒出口温度に影響を与えるので、電気制御弁の開度を調節する操作と膨張弁の開度を調節する操作を周期的に繰り返して実行する必要があり、それによって、最終的に管温カップリングの効果を達成する。また室外環境温度、室内環境温度が時間とともに変化するので、室外環境温度と冷媒出口温度との関係に基づいて電気制御弁の開度を改めて調節して室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁の開度を改めて調節する必要がある。しかし、頻繁に調節すぎると空調機の作動安定性に影響しやすい。冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて調節周期を決定し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0027】
上記空調機の制御方法において、前記室外環境温度と前記冷媒出口温度に基づいて前記電気制御弁の開度を調節する前に、
前記室外環境温度が室外環境温度閾値を超えている場合、初期開度でプリセット時間だけ運行するように前記電気制御弁を制御することをさらに含む。
【0028】
コントローラが所在する作動環境温度は、室外環境温度に関連する。室外環境温度が低い場合、コントローラの作動環境温度が低く、コントローラの作動によって発生した熱は、室外環境に放出されやすい。室外環境温度が室外環境温度閾値を超えている場合、コントローラを放熱させる必要がある。その状況を回避するために、コントローラを予備冷却し、電気制御弁を低数値の初期開度でプリセット時間だけ運行するように制御し、コントローラを該時間内に放熱器に徐々に適応させてその放熱を適切な温度に徐々に降温させる必要がある。
【0029】
第3の態様によれば、本発明の実施例は、空調機を提供する。前記空調機は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され且つプロセッサ上で運行できるコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する時に第2の態様の実施例に記載の空調機の制御方法を実現する。
【0030】
本発明の実施例による空調機、以下の有益な効果を少なくとも有する。冷房状態下で、コンプレッサで圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器で凝縮され、室外熱交換器で凝縮された冷媒が過冷器のメイン回路を通過した後に気液分離器に入って気液分離され、気液分離器の排気口から出た低温ガス冷媒が過冷器のサブ回路を通過する。過冷器において、過冷器のサブ回路における低温ガス冷媒は、過冷器のメイン回路に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷房量を向上させる。過冷器のサブ回路を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラを放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口から改めてコンプレッサに戻って圧縮されて循環を実現する。排気口から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラの温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラに短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁の開度を調節することによって、過冷器のサブ回路と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0031】
第4の態様によれば、本発明の実施例は、コンピュータに第2の態様の実施例に記載の制御方法を実行させるためのコンピュータ実行可能な命令が記憶されるコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0032】
本発明の実施例によるコンピュータ可読記憶媒体は、以下の有益な効果を少なくとも有する。コンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコンピュータ実行可能な命令を空調機に応用する場合、空調機が冷房状態にある時、コンプレッサで圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器で凝縮され、室外熱交換器で凝縮された冷媒が過冷器のメイン回路を通過した後に気液分離器に入って気液分離され、気液分離器の排気口から出た低温ガス冷媒が過冷器のサブ回路を通過する。過冷器において、過冷器のサブ回路における低温ガス冷媒は、過冷器のメイン回路に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷房量を向上させる。過冷器のサブ回路を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラを放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口から改めてコンプレッサに戻って圧縮されて循環を実現する。排気口から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラの温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラに短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁の開度を調節することによって、過冷器のサブ回路と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラに対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0033】
本発明の他の特徴と利点は、後の明細書で説明され、部分的に明細書から明らかになるか、又は本発明を実施することによって理解される。本発明の目的と他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び添付図面において特に指摘されている構造によって実現され且つ取得されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施例による空調機の構造概略図である。
図2】本発明の一実施例による空調機の制御方法のフローチャートである。
図3】本発明の一実施例による空調機の制御方法のフローチャートである。
図4】本発明の一実施例による空調機の制御方法のフローチャートである。
図5】本発明の一実施例による空調機の制御方法の例1のフローチャートである。
図6】本発明の一実施例による空調機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本部分は、本発明の具体的な実施例について詳細に記述し、本発明の好ましい実施例は、添付図面で示されており、添付図面は、明細書の文字部分の記述を図形で補足することで、本発明の各技術的特徴及び全体的な技術案を直感的かつイメージ的に理解することができるようにすることを目的とするが、本発明の保護範囲を制限するものとして理解されるべきではない。
【0036】
本発明の説明において、第1、第2が説明されている場合、それらは、単に技術的特徴を区別することを目的としたものであり、相対的重要性を指示又は暗示し、又は指示された技術的特徴の数を暗示し、又は指示された技術的特徴の前後関係を暗示していると理解されるべきではない。
【0037】
本発明の説明において、別途明確な限定がない限り、設置、取り付け、接続等の用語は、広義に理解すべきであり、当業者は、技術的解決手段の具体的な内容を結び付けて、上記用語の本発明における具体的な意味を合理的に確定することができる。
【0038】
本発明の実施例は、コントローラに対する放熱能力を向上させることができる空調機、制御方法及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0039】
以下では、添付図面を参照しながら、本発明の実施例をさらに説明する。
【0040】
図1を参照すると、本発明の第1の態様の実施例は、空調機を提供する。空調機は、冷房モードのみを有する空調機であってもよく、冷房モードと暖房モードを有する空調機であってもよい。
【0041】
空調機には、コントローラ500、温度センシングアセンブリ、及び冷媒循環回路が設置される。冷媒循環回路は、コンプレッサ100と、室外熱交換器200と、室内熱交換器600と、過冷器300と、気液分離器700と、四方弁800と、膨張弁420と、電気制御弁410と、コントローラ500を放熱するための放熱器とを含む。コンプレッサ100に給気口110が設置される。気液分離器700に給液口710、排気口720と液出口730が設置される。室外熱交換器200は、過冷器300のメイン回路310によって給液口710に接続される。排気口720は、過冷器300のサブ回路320、放熱器と電気制御弁410によって給気口110に接続される。膨張弁420は、過冷器300と給液口710との間に取り付けられる。室内熱交換器600は、液出口730に接続される。
温度センシングアセンブリは、室外環境温度と室外熱交換器200の冷媒出口温度を取得するために用いられる。
コントローラ500は、コントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節するように、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節するために用いられる。
【0042】
本発明の実施例による空調機は、冷房状態下で、コンプレッサ100で圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器200で凝縮され、室外熱交換器200で凝縮された冷媒が過冷器300のメイン回路310を通過した後に気液分離器700に入って気液分離され、気液分離器700の排気口720から出た低温ガス冷媒が過冷器300のサブ回路320を通過する。過冷器300において、過冷器300のサブ回路320における低温ガス冷媒は、過冷器300のメイン回路310に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器200の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷房量を向上させる。過冷器300のサブ回路320を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラ500を放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口110から改めてコンプレッサ100に戻って圧縮されて循環を実現する。排気口720から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラ500の温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口720から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路320で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラ500に短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節することによって、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0043】
なお、四方弁800によって冷房モードと暖房モードのコンプレッサ100と室外熱交換器200、室内熱交換器600との管路接続方式を変更し、さらに冷媒の流れを変更する。暖房モード下で、通常、室外環境温度が低く、コントローラ500が所在する作動環境温度が低く、冷媒が通過した放熱器を利用して放熱する必要がなく、消費電力を削減することができる。したがって、電気制御弁410が閉じられ、気液分離器700の排気口720からガス冷媒が流出して過冷器300のサブ回路320及び放熱器を通過することはなくなる。
【0044】
なお、放熱器は、コントローラ500に対する放熱器の放熱を容易にするように、コントローラ500に直接又はコントローラ500に近接した位置に取り付けられている。
【0045】
なお、冷媒循環回路におけるコンプレッサ100、室外熱交換器200、室内熱交換器600、過冷器300、気液分離器700、四方弁800、電気制御弁410と膨張弁420は、いずれも従来技術のデバイスである。
【0046】
空調機において、コントローラ500は、具体的には、室外環境温度と冷媒出口温度とを比較し、室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、室外環境温度と冷媒出口温度との比較結果に基づいて電気制御弁410の開度を調節するために用いられる。ここで、電気制御弁410の開度の調節量は、冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定される。
【0047】
冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて電気制御弁410の開度の調節量を決定し、すなわち冷媒出口温度と室外環境温度の両方の数値関係が異なると、電気制御弁410の開度の調節量が異なる。電気制御弁410の開度の調節量が大きい場合、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過した冷媒の変化量が大きい。電気制御弁410の開度の調節量が小さい場合、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過した冷媒の変化量が小さい。過冷器300のサブ回路320を通過した冷媒の量が冷媒出口温度に影響を与え、冷媒出口温度がまた電気制御弁410への調節に逆に作用するので、電気制御弁410の開度と冷媒出口温度は、相互に影響し、冷媒出口温度がまた放熱器を通過した冷媒温度に作用し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節するという効果を実現する。
【0048】
なお、室外環境温度と冷媒出口温度とを比較し、室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、室外環境温度と冷媒出口温度との比較結果に基づいて電気制御弁410の開度を調節することは、具体的には、
T1≦T2の場合、電気制御弁410の開度は、△P1増加し、T1≧T2-aの場合、電気制御弁410の開度は、△P1減少し、第1の条件T2-a≦T1≦T2を満たすまで値を繰り返して調節する。ここで、T1は、冷媒出口温度であり、T2は、室外環境温度であり、aは、定数である。冷媒出口温度と室外環境温度とを近づけ、相対平衡状態にするように、aの値は、2を取ってもよい。他の例では、aの値は、他の数値、例えば1を取ってもよい。
【0049】
また、電気制御弁410の開度の調節量△P1が冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定されることは、具体的には、
|T1-T2+1|≧3の場合、△P1の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P1の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P1の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P1の値は、1である。
【0050】
なお、△P1の値は、電気制御弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0051】
上記空調機において、コントローラ500は、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節する操作を実行する前に、室外環境温度が室外環境温度閾値を超えていることに応じて、初期開度でプリセット時間だけ運行するように電気制御弁410を制御するためにも用いられる。具体的には、室外環境温度閾値は、43摂氏度であり、プリセット時間は、10minである。もちろん、他の実施例では、室外環境温度閾値とプリセット時間は、空調機電力、エネルギー消費及び空調機の作動環境に基づいて決定されてもよい。
【0052】
コントローラ500が所在する作動環境温度は、室外環境温度に関連する。室外環境温度が低い場合、コントローラ500が所在する作動環境温度が相対的に低く、且つコントローラ500の作動によって発生した熱は、室外環境に放出されやすい。室外環境温度が室外環境温度閾値を超えている場合、すなわちコントローラ500が所在する作動環境温度が相対的に高い場合、コントローラ500を放熱する必要がある。しかし、最初に放熱器を通過した冷媒の量が大きくて冷媒の温度が低い場合、放熱器とコントローラ500の両者の相対温度が大きく、コントローラ500に衝撃的な影響を与えやすい。その状況を回避するために、コントローラ500を予備冷却する必要があり、電気制御弁410を低数値の初期開度でプリセット時間だけ運行するように制御する。このように、放熱器を通過した冷媒の量が小さく、コントローラ500を該時間内に放熱器に徐々に適応させてその放熱を適切な温度に徐々に降温させる。
【0053】
上記空調機において、温度センシングアセンブリは、室内環境温度と室内熱交換器600のコイル温度を取得するためにも用いられる。コントローラ500は、空調機の送風温度を調節するように、室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節するためにも用いられる。
【0054】
膨張弁420の開度を調節することによって、室外熱交換器200の冷媒出口から過冷器300のメイン回路310を通過して気液分離器700に入った冷媒の量を調節し、さらに液出口730から室内熱交換器600に入った液冷媒の量を調節することができる。液冷媒が液出口730から室内熱交換器600に入ってガス冷媒に蒸発して室内環境を降温し、室内熱交換器600を通過した冷媒がコンプレッサ100に改めて戻って圧縮されて循環を実現する。室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節することによって、室内熱交換器600を通過した冷媒の量を調節し、さらに空調機の送風温度を調節する。
【0055】
上記空調機において、コントローラ500は、具体的には、室内環境温度とコイル温度とを比較し、室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、室内環境温度とコイル温度との比較結果に基づいて膨張弁420の開度を調節するためにも用いられる。ここで、膨張弁420の開度の調節量は、冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定される。
【0056】
室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度の調節量を決定し、すなわち室内環境温度とコイル温度の両方の数値関係が異なると、膨張弁420の開度の調節量が異なる。膨張弁420の開度の調節量が大きい場合、室内熱交換器600を通過した冷媒の変化量が大きい。膨張弁420の開度の調節量が小さい場合、室内熱交換器600を通過した冷媒の変化量が小さい。室内熱交換器600を通過した冷媒の量が空調機の送風温度に影響を与えてさらに室内環境温度に影響を与え、室内環境温度がまた膨張弁420への調節に逆に作用するので、膨張弁420の開度と室内環境温度は、相互に影響し、さらに空調機の送風温度を調節するという効果を実現する。
【0057】
なお、室内環境温度とコイル温度とを比較し、室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、室内環境温度とコイル温度との比較結果に基づいて膨張弁420の開度を調節することは、具体的には、
T3≦T4-bの場合、膨張弁420の開度は、△P増加し、T3≧T4-cの場合、膨張弁420の開度は、△P2減少し、第2の条件T4-c≦T3≦T4-bを満たすまで値を繰り返して調節する。ここで、T3は、コイル温度であり、T4は、室内環境温度であり、bとcは、定数である。bの値は、14を取ってもよく、bの値は、17を取ってもよく、bとcの値は、具体的には、ユーザに設置される送風温度によるものである。もちろん、他の例では、bとcの値は、他の数値を取ってもよい。
【0058】
また、膨張弁420の開度の調節量△P2が冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定されることは、具体的には、
|T1-T2+1|≧3の場合、△P2の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P2の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P2の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P2の値は、1である。
【0059】
なお、△P2の値は、膨張弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0060】
上記空調機において、コントローラ500は、室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすまで、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節する操作、及び室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節する操作を調節周期毎に1回実行する。ここで、調節周期は、冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定される。
【0061】
膨張弁420の開度への調節は、液出口730から室内熱交換器600へ流れる液冷媒の量に影響を与えるだけでなく、排気口720から過冷器300のサブ回路320へ流れるガス冷媒の量に影響を与え、さらにコイル温度と冷媒出口温度に影響を与えるので、電気制御弁410の開度を調節する操作と膨張弁420の開度を調節する操作を周期的に繰り返して実行する必要がある。それによって、最終的に管温カップリングの効果を達成し、すなわち室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たす。また室外環境温度、室内環境温度が時間とともに変化するので、室外環境温度と冷媒出口温度との関係に基づいて電気制御弁410の開度を改めて調節して室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を改めて調節する必要がある。しかし、電気制御弁410の開度と膨張弁420の開度を頻繁に調節すると、空調機の作動安定性に影響しやすい。冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて調節周期を決定し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0062】
なお、調節周期TSが冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定されることは、具体的には、
|T1-T2+1|≧3の場合、TSの値は、30sであり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、TSの値は、45sであり、|T1-T2+1|<2の場合、TSの値は、60sである。なお、TSの値は、空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0063】
図5を参照する、以下では1つの具体的な例で空調機の制御方法について説明する。
本例における空調機の制御方法の具体的なフローは、以下の通りである。
冷房モード下で、室外環境温度が43摂氏度を超えている場合、電気制御弁410は、初期開度でオンして10min運行する。
T1≦T2の場合、電気制御弁410の開度は、△P1増加し、T1≧T2-aの場合、電気制御弁410の開度は、△P1減少する。
T3≦T4-bの場合、膨張弁420の開度は、△P2増加し、T3≧T4-cの場合、膨張弁420の開度は、△P2減少する。
T2-a≦T1≦T2とT4-c≦T3≦T4-bを同時に満たすまで、△P1調節と△P2調節のステップを調節周期TS毎に実行する。
ここで、|T1-T2+1|≧3の場合、△P1の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P1の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P1の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P1の値は、1である。なお、△P1の値は、電気制御弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
|T1-T2+1|≧3の場合、△P2の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P2の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P2の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P2の値は、1である。なお、△P2の値は、膨張弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
|T1-T2+1|≧3の場合、TSの値は、30sであり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、TSの値は、45sであり、|T1-T2+1|<2の場合、TSの値は、60sである。なお、TSの値は、空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0064】
図2を参照すると、本発明の第2の態様の実施例は、空調機の制御方法を提供する。空調機には、コントローラ500、温度センシングアセンブリ、及び冷媒循環回路が設置される。冷媒循環回路は、コンプレッサ100と、室外熱交換器200と、室内熱交換器600と、過冷器300と、気液分離器700と、四方弁800と、膨張弁420と、電気制御弁410と、コントローラ500を放熱するための放熱器とを含む。コンプレッサ100に給気口110が設置される。気液分離器700に給液口710、排気口720と液出口730が設置される。室外熱交換器200は、過冷器300のメイン回路310によって給液口710に接続される。排気口720は、過冷器300のサブ回路320、放熱器と電気制御弁410によって給気口110に接続される。膨張弁420は、過冷器300と給液口710との間に取り付けられる。室内熱交換器600は、液出口730に接続される。
制御方法は、
温度センシングアセンブリによって室外環境温度と室外熱交換器200の冷媒出口温度を取得するステップS110と、
コントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節するように、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節するステップS120とを含む。
【0065】
本発明の実施例による空調機の制御方法は、以下の有益な効果を少なくとも有する。冷房状態下で、コンプレッサ100で圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器200で凝縮され、室外熱交換器200で凝縮された冷媒が過冷器300のメイン回路310を通過した後に気液分離器700に入って気液分離され、気液分離器700の排気口720から出た低温ガス冷媒が過冷器300のサブ回路320を通過する。過冷器300において、過冷器300のサブ回路320における低温ガス冷媒は、過冷器300のメイン回路310に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器200の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷房量を向上させる。過冷器300のサブ回路320を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラ500を放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口110から改めてコンプレッサ100に戻って圧縮されて循環を実現する。排気口720から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラ500の温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口720から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路320で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラ500に短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節することによって、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0066】
なお、四方弁800によって冷房モードと暖房モードのコンプレッサ100と室外熱交換器200、室内熱交換器600との管路接続方式を変更し、さらに冷媒の流れを変更する。暖房モード下で、通常、室外環境温度が低く、コントローラ500が所在する作動環境温度が低く、冷媒が通過した放熱器を利用して放熱する必要がなく、消費電力を削減することができる。したがって、電気制御弁410が閉じられ、気液分離器700の排気口720からガス冷媒が流出して過冷器300のサブ回路320及び放熱器を通過することはなくなる。
【0067】
なお、放熱器は、コントローラ500に対する放熱器の放熱を容易にするように、コントローラ500に直接又はコントローラ500に近接した位置に取り付けられている。
【0068】
なお、冷媒循環回路におけるコンプレッサ100、室外熱交換器200、室内熱交換器600、過冷器300、気液分離器700、四方弁800、電気制御弁410と膨張弁420は、いずれも従来技術のデバイスである。
【0069】
上記空調機の制御方法において、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節することは、具体的には、室外環境温度と冷媒出口温度とを比較することと、室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、室外環境温度と冷媒出口温度との比較結果に基づいて電気制御弁410の開度を調節することとを含む。ここで、電気制御弁410の開度の調節量は、冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定される。
【0070】
冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて電気制御弁410の開度の調節量を決定し、すなわち冷媒出口温度と室外環境温度の両方の数値関係が異なると、電気制御弁410の開度の調節量が異なる。電気制御弁410の開度の調節量が大きい場合、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過した冷媒の変化量が大きい。電気制御弁410の開度の調節量が小さい場合、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過した冷媒の変化量が小さい。過冷器300のサブ回路320を通過した冷媒の量が冷媒出口温度に影響を与え、冷媒出口温度がまた電気制御弁410への調節に逆に作用するので、電気制御弁410の開度と冷媒出口温度は、相互に影響し、冷媒出口温度がまた放熱器を通過した冷媒温度に作用し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節するという効果を実現する。
【0071】
ここで、室外環境温度と冷媒出口温度とを比較し、室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たすように、室外環境温度と冷媒出口温度との比較結果に基づいて電気制御弁410の開度を調節することは、具体的には、
T1≦T2の場合、電気制御弁410の開度は、△P1増加し、T1≧T2-aの場合、電気制御弁410の開度は、△P1減少し、第1の条件T2-a≦T1≦T2を満たすまで値を繰り返して調節する。ここで、T1は、冷媒出口温度であり、T2は、室外環境温度であり、aは、定数である。冷媒出口温度と室外環境温度とを近づけ、相対平衡状態にするように、aの値は、2を取ってもよい。他の例では、aの値は、他の数値、例えば1を取ってもよい。
【0072】
また、電気制御弁410の開度の調節量△P1が冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定されることは、具体的には、
|T1-T2+1|≧3の場合、△P1の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P1の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P1の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P1の値は、1である。
【0073】
なお、△P1の値は、電気制御弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0074】
図3を参照すると、空調機の制御方法の別の実施例では、
温度センシングアセンブリによって室外環境温度と室外熱交換器200の冷媒出口温度を取得するステップS210と、
コントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節するように、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節するステップS220と、
温度センシングアセンブリによって室内環境温度と室内熱交換器600のコイル温度を取得するステップS230と、
空調機の送風温度を調節するように、室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節するステップS240と、を含む。
【0075】
膨張弁420の開度を調節することによって、室外熱交換器200の冷媒出口から過冷器300のメイン回路310を通過して気液分離器700に入った冷媒の量を調節し、さらに液出口730から室内熱交換器600に入った液冷媒の量を調節することができる。液冷媒が液出口730から室内熱交換器600に入ってガス冷媒に蒸発して室内環境を降温し、室内熱交換器600を通過した冷媒がコンプレッサ100に改めて戻って圧縮されて循環を実現する。室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節することによって、室内熱交換器600を通過した冷媒の量を調節し、さらに空調機の送風温度を調節する。
【0076】
上記空調機の制御方法において、室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節することは、室内環境温度とコイル温度とを比較することと、室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、室内環境温度とコイル温度との比較結果に基づいて膨張弁420の開度を調節することとを含む。ここで、膨張弁420の開度の調節量は、冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定される。
【0077】
室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度の調節量を決定し、すなわち室内環境温度とコイル温度の両方の数値関係が異なると、膨張弁420の開度の調節量が異なる。膨張弁420の開度の調節量が大きい場合、室内熱交換器600を通過した冷媒の変化量が大きい。膨張弁420の開度の調節量が小さい場合、室内熱交換器600を通過した冷媒の変化量が小さい。室内熱交換器600を通過した冷媒の量が空調機の送風温度に影響を与えてさらに室内環境温度に影響を与え、室内環境温度がまた膨張弁420への調節に逆に作用するので、膨張弁420の開度と室内環境温度は、相互に影響し、さらに空調機の送風温度を調節するという効果を実現する。
【0078】
なお、室内環境温度とコイル温度とを比較し、室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすように、室内環境温度とコイル温度との比較結果に基づいて膨張弁420の開度を調節することは、具体的には、
T3≦T4-bの場合、膨張弁420の開度は、△P2増加し、T3≧T4-cの場合、膨張弁420の開度は、△P2減少し、第2の条件T4-c≦T3≦T4-bを満たすまで値を繰り返して調節する。ここで、T3は、コイル温度であり、T4は、室内環境温度であり、bとcは、定数である。bの値は、14を取ってもよく、bの値は、17を取ってもよく、bとcの値は、具体的には、ユーザに設置される送風温度によるものである。もちろん、他の例では、bとcの値は、他の数値を取ってもよい。
【0079】
また、膨張弁420の開度の調節量△P2が冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定されることは、具体的には、
|T1-T2+1|≧3の場合、△P2の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P2の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P2の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P2の値は、1である。
【0080】
なお、△P2の値は、膨張弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0081】
図4を参照すると、空調機の制御方法の別の実施例では、
室外環境温度が室外環境温度閾値を超えていると、初期開度でプリセット時間だけ運行するように電気制御弁410を制御するステップS310と、
温度センシングアセンブリによって室外環境温度と室外熱交換器200の冷媒出口温度を取得するステップS320と、
コントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節するように、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節するステップS330と、
温度センシングアセンブリによって室内環境温度と室内熱交換器600のコイル温度を取得するステップS340と、
空調機の送風温度を調節するように、室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節するステップS350と、を含む。
【0082】
コントローラ500が所在する作動環境温度は、室外環境温度に関連する。室外環境温度が低い場合、コントローラ500が所在する作動環境温度が相対的に低く、且つコントローラ500の作動によって発生した熱は、室外環境に放出されやすい。室外環境温度が室外環境温度閾値を超えている場合、すなわちコントローラ500が所在する作動環境温度が相対的に高い場合、コントローラ500を放熱する必要がある。しかし、最初に放熱器を通過した冷媒の量が大きくて冷媒の温度が低い場合、放熱器とコントローラ500の両者の相対温度が大きく、コントローラ500に衝撃的な影響を与えやすい。その状況を回避するために、コントローラ500を予備冷却する必要があり、電気制御弁410を低数値の初期開度でプリセット時間だけ運行するように制御する。このように、放熱器を通過した冷媒の量が小さく、コントローラ500を該時間内に放熱器に徐々に適応させてその放熱を適切な温度に徐々に降温させる。
【0083】
なお、室外環境温度閾値とプリセット時間は、空調機電力、エネルギー消費及び空調機の作動環境に基づいて決定されてもよい。
【0084】
空調機の制御方法の別の実施例では、室内環境温度とコイル温度との比較結果に基づいて膨張弁420の開度を調節した後、
室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たすまで、室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節すること、及び室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を調節することを調節周期毎に繰り返して実行することをさらに含む。ここで、調節周期は、冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定される。
【0085】
膨張弁420の開度への調節は、液出口730から室内熱交換器600へ流れる液冷媒の量に影響を与えるだけでなく、排気口720から過冷器300のサブ回路320へ流れるガス冷媒の量に影響を与え、さらにコイル温度と冷媒出口温度に影響を与えるので、電気制御弁410の開度を調節する操作と膨張弁420の開度を調節する操作を周期的に繰り返して実行する必要がある。それによって、最終的に管温カップリングの効果を達成し、すなわち室外環境温度と冷媒出口温度との間の数値関係が第1の条件を満たし、且つ室内環境温度とコイル温度との間の数値関係が第2の条件を満たす。また室外環境温度、室内環境温度が時間とともに変化するので、室外環境温度と冷媒出口温度との関係に基づいて電気制御弁410の開度を改めて調節して室内環境温度とコイル温度に基づいて膨張弁420の開度を改めて調節する必要がある。しかし、電気制御弁410の開度と膨張弁420の開度を頻繁に調節すると、空調機の作動安定性に影響しやすい。冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて調節周期を決定し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0086】
なお、調節周期TSが冷媒出口温度と室外環境温度に基づいて決定されることは、具体的には、
|T1-T2+1|≧3の場合、TSの値は、30sであり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、TSの値は、45sであり、|T1-T2+1|<2の場合、TSの値は、60sである。なお、TSの値は、空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0087】
図5を参照する、以下では1つの具体的な例で空調機の制御方法について説明する。
本例における空調機の制御方法の具体的なフローは、以下の通りである。
冷房モード下で、室外環境温度が43摂氏度を超えている場合、電気制御弁410は、初期開度でオンして10min運行する。
T1≦T2の場合、電気制御弁410の開度は、△P1増加し、T1≧T2-aの場合、電気制御弁410の開度は、△P1減少する。
T3≦T4-bの場合、膨張弁420の開度は、△P2増加し、T3≧T4-cの場合、膨張弁420の開度は、△P2減少する。
T2-a≦T1≦T2とT4-c≦T3≦T4-bを同時に満たすまで、△P1調節と△P2調節のステップを調節周期TS毎に実行する。
ここで、|T1-T2+1|≧3の場合、△P1の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P1の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P1の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P1の値は、1である。なお、△P1の値は、電気制御弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
|T1-T2+1|≧3の場合、△P2の値は、4であり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、△P2の値は、3であり、1.5≦|T1-T2+1|<2の場合、△P2の値は、2であり、|T1-T2+1|<1.5の場合、△P2の値は、1である。なお、△P2の値は、膨張弁の具体的な弁型番及び空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
|T1-T2+1|≧3の場合、TSの値は、30sであり、2≦|T1-T2+1|<3の場合、TSの値は、45sであり、|T1-T2+1|<2の場合、TSの値は、60sである。なお、TSの値は、空調機の具体的な作動電力と所在する作動環境に基づいて調節されてもよい。
【0088】
図6を参照すると、本発明の第3の態様の実施例は、空調機900を提供する。空調機900は、メモリ920と、プロセッサ910と、メモリ920に記憶されてプロセッサ910上で実行できるコンピュータプログラムとを含む。プロセッサ910は、コンピュータプログラムを実行する時に第2の態様の実施例の空調機の制御方法を実行し、例えば以上に記述されている図2における制御方法のステップS110~ステップS120、図3における制御方法のステップS210~ステップS240、図4における制御方法のS310~ステップS350及び図5における制御方法のステップを実行する。
【0089】
本発明の実施例による空調機900は、冷房状態下で、コンプレッサ100で圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器200で凝縮され、室外熱交換器200で凝縮された冷媒が過冷器300のメイン回路310を通過した後に気液分離器700に入って気液分離され、気液分離器700の排気口720から出た低温ガス冷媒が過冷器300のサブ回路320を通過する。過冷器300において、過冷器300のサブ回路320における低温ガス冷媒は、過冷器300のメイン回路310に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器200の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷房量を向上させる。過冷器300のサブ回路320を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラ500を放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口110から改めてコンプレッサ100に戻って圧縮されて循環を実現する。排気口720から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラ500の温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口720から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路320で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラ500に短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節することによって、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0090】
具体的には、プロセッサ910とメモリ920とは、バス又は他の形態によって接続を実現してもよい。
【0091】
具体的には、メモリ920は、非過渡状態コンピュータ可読記憶媒体として、非過渡状態ソフトウェアプログラム及び非過渡状態コンピュータ実行可能なプログラム、例えば本発明の第2の態様の実施例の制御方法を記憶するために用いることができる。プロセッサ910は、メモリ920に記憶される非過渡状態ソフトウェアプログラム及び命令を実行することによって、上記本発明の第2の態様の実施例の制御方法を実現する。
【0092】
メモリ920は、記憶プログラム領域と記憶データ領域を含んでもよい。ここで、記憶プログラム領域は、オペレーティングシステム、少なくとも1つ本発明の機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、記憶データ領域は、上記本発明の第2の態様の実施例の制御方法を実行するために必要なデータ等を記憶することができる。なお、メモリ920は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、非過渡状態メモリ、例えば少なくとも1つのディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ、又は他の非過渡状態ソリッド記憶デバイスをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、メモリ920は、プロセッサ910に対してリモートに設置されるメモリを選択可能に含み、これらのリモートメモリは、ネットワークによって該端末に接続されることができる。上記ネットワークの実例は、インターネット、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク及びその組み合わせを含むが、それらに限らない。
【0093】
本発明の第4の態様の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータに第2の態様の実施例の制御方法を実行させ、例えば以上に記述されている図2における制御方法のステップS110~ステップS120、図3における制御方法のステップS210~ステップS240、図4における制御方法のS310~ステップS350及び図5における制御方法ステップを実行させるためのコンピュータ実行可能な命令が記憶される。
【0094】
本発明の実施例によるコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコンピュータ実行可能な命令を空調機に応用する場合、空調機が冷房状態にある時、コンプレッサ100で圧縮された高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器200で凝縮され、室外熱交換器200で凝縮された冷媒が過冷器300のメイン回路310を通過した後に気液分離器700に入って気液分離され、気液分離器700の排気口720から出た低温ガス冷媒が過冷器300のサブ回路320を通過する。過冷器300において、過冷器300のサブ回路320における低温ガス冷媒は、過冷器300のメイン回路310に対して吸熱降温を行い、室外熱交換器200の凝縮出口の温度を低下させ、さらに過冷度を高めて冷房量を向上させる。過冷器300のサブ回路320を通過した冷媒が再び放熱器を通過してコントローラ500を放熱させ、放熱器で放熱機能を果たした冷媒が給気口110から改めてコンプレッサ100に戻って圧縮されて循環を実現する。排気口720から出たガス冷媒の温度が低く、コントローラ500の温度を迅速に低下させるという効果を果たすことができる。且つ、排気口720から出たガス冷媒が過冷器のサブ回路320で熱を吸収するため、冷媒温度が低すぎて放熱器に凝縮水を生じさせてコントローラ500に短絡が発生することを避ける。室外環境温度と冷媒出口温度に基づいて電気制御弁410の開度を調節することによって、過冷器300のサブ回路320と放熱器を通過する冷媒の量を調節し、さらにコントローラ500に対する放熱器の放熱能力を調節する。
【0095】
以上に記述されている装置の実施例は、例示的なものに過ぎず、ここで分離された部品として説明されるユニットは、物理的に分離されてもよく、又は物理的に分離されなくてもよく、すなわち、一つの場所に位置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布されてもよい。実際の必要に応じて、そのうちの一部又は全部のモジュールを選択して、本実施例の方案の目的を実現してもよい。
【0096】
上記で開示された方法におけるステップの全部又は一部、システムは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア及びそれらの適切な組み合わせとして実施されてもよい。いくつかの物理的アセンブリの一部又はすべては、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定の用途向け集積回路などの集積回路として実施してもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体もしくは非一時的媒体と通信媒体もしくは一時的媒体を含んでもよいコンピュータ可読媒体上に分布してもよい。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報例えばコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータを記憶するための任意の方法もしくは技術において実施される揮発性と不揮発性、リムーバブルとリムーバブルでない媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多機能ディスクDVDもしくは他のディスク記憶、カートリッジ、磁気テープ、ディスク記憶もしくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために用いることができるとともに、コンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体を含むが、それらに限らない。なお、当業者には周知のように、通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波や他の伝送メカニズムのような変調データ信号における他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含んでもよい。
【0097】
以上、添付図面に関連して本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識の範囲内で、本発明の目的を逸脱することなく種々の変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6