(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】冷間プレス機の圧力制御方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20240703BHJP
B21B 37/58 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
B21B37/58 D
(21)【出願番号】P 2023527057
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021121479
(87)【国際公開番号】W WO2023050101
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】范暁云
(72)【発明者】
【氏名】林徳銘
(72)【発明者】
【氏名】謝国涛
(72)【発明者】
【氏名】程涛
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/100561(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/151855(WO,A1)
【文献】特開2011-088172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
B21B 37/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度を取得するステップと、
現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第1相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定し、又は、現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定し、前記第1相関関係は極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、前記冷間プレス機出力圧力の間の相関関係であり、前記第2相関関係は極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、前記冷間プレス機調整圧力の間の相関関係である、ステップと、
前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機を制御して圧力を出力し、それにより前記冷間プレス機は、次の時点では前記冷間プレス機出力圧力に応じて前記極性シートを冷間プレスするステップと、
を含むことを特徴とする、冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項2】
前記現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第1相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定するステップは、
前記現在の圧延速度及び前の時点の圧延速度に基づき、前記冷間プレス機の現在の動作状況を決定するステップと、
前記現在の厚さと前記現在の圧延速度、及び前記現在の動作状況に対応する第1相関関係に基づいて、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、
を含み、
前記現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップは、
前記現在の圧延速度及び前の時点の圧延速度に基づき、前記冷間プレス機の現在の動作状況を決定するステップと、
前記現在の厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記現在の動作状況に対応する第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項3】
前記現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さを取得するステップは、
前記極性シートの現在の前記冷間プレス機の操作側における現在の第1厚さ及び前記冷間プレス機の伝動側における現在の第2厚さを取得するステップを含み、
前記現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第1相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定するステップは、
前記現在の第1厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記操作側に対応する予め設定された第1相関関係に基づき、前記操作側に対応する第1冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、
前記現在の第2厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記伝動側に対応する予め設定された第1相関関係に基づき、前記伝動側に対応する第2冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、
を含み、
前記現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップは、
前記現在の第1厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記操作側に対応する予め設定された第2相関関係に基づき、前記操作側に対応する第1冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、
前記現在の第2厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記伝動側に対応する予め設定された第2相関関係に基づき、前記伝動側に対応する第2冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、
を含み、
前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機を制御して圧力を出力するステップは、
前記第1冷間プレス機出力圧力又は前記第1冷間プレス機調整圧力に基づいて、前記冷間プレス機の操作側を制御して圧力を出力するステップと、
前記第2冷間プレス機出力圧力又は前記第2冷間プレス機調整圧力に基づいて、前記冷間プレス機の伝動側を制御して圧力を出力するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項4】
前記第1相関関係は、前記極性シートに単位厚さの変化が発生した時に対応する前記冷間プレス機において調整する必要がある単位厚さ調整圧力、及び冷間プレス機の圧延速度と冷間プレス機調整圧力との間の第2相関サブテーブルを含み、前記冷間プレス機調整圧力は、厚さ調整圧力及び速度調整圧力を含み、
前記現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップは、
前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たすか否かを判断し、及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たすか否かを判断するステップと、
前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たす場合、前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差、及び前記単位厚さ調整圧力に基づき、現在の厚さ調整圧力を決定するステップと、
前記現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たす場合、前記現在の圧延速度が位置する速度範囲、及び異なる速度範囲に対応する調整圧力に基づき、前記現在の圧延速度に対応する現在の速度調整圧力を決定するステップと、
を含み、
対応して、前記冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機を制御して圧力を出力する前記ステップは、
前記現在の厚さ調整圧力及び/又は前記現在の速度調整圧力並びに前記冷間プレス機の現在の実際の出力圧力に基づいて、前記冷間プレス機を制御して圧力を出力するステップを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項5】
前記第1圧力制御条件は、
連続してn1回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第1厚さ変化閾値より大きいこと、又は、
連続してn2回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第2厚さ変化閾値より小さいことであり、
前記n1及び前記n2は、いずれも1以上の正の整数であり、前記第1厚さ変化閾値は、前記第2厚さ変化閾値より大きいことを特徴とする、請求項4に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項6】
前記第2圧力制御条件は、現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第1速度変化閾値より大きいこと、又は現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第2速度変化閾値より小さいことであり、
前記現在の圧延速度の変化状況は、前記冷間プレス機の現在の圧延速度と前回の圧延速度との間の差であり、前記第1速度変化閾値は、前記第2速度変化閾値より大きいことを特徴とする、請求項4に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項7】
前記第1相関関係及び前記第2相関関係は、厚さ、速度、圧力を変数値とする回帰モデルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項8】
前記冷間プレス機が停止して再起動した後、前記方法はさらに、
前記極性シートの冷間プレス後の最新の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の最新の現在の圧延速度を取得するステップと、
前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の前記回帰モデルに基づき、前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、
前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて、停止して再起動した後の前記冷間プレス機が圧力を出力するように制御し、それにより前記冷間プレス機は次の時点で前記冷間プレス機出力圧力に基づいて前記極性シートに対して冷間プレスを行うステップと、
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項9】
前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の前記回帰モデルに基づき、前記現在の厚さと前記現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定し、前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて、停止して再起動した後の前記冷間プレス機が圧力を出力するように制御するステップの後、前記方法はさらに、
前記冷間プレス機が最新に出力した圧力値において、前記極性シートの最新の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の最新の現在の圧延速度を再取得するステップと、
再取得した前記最新の現在の厚さが予め設定された厚さの合理的な条件を満たし、且つ再取得した前記最新の現在の圧延速度が予め設定された速度の合理的な条件を満たす場合、再取得した前記最新の現在の厚さ、再取得した前記最新の現在の圧延速度、及び前記圧力値に基づき、前記回帰モデルのモデルパラメータを更新するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の冷間プレス機の圧力制御方法。
【請求項10】
プロセッサと、メモリと、通信バスと、を含み、
前記通信バスはプロセッサとメモリとの間の接続通信に用いられ、
前記プロセッサは請求項1~9のいずれか一項に記載の冷間プレス機の圧力制御方法を実現するように、メモリに記憶された1つ又は複数のプログラムを実行することに用いられることを特徴とする、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池製造分野に関し、具体的には冷間プレス機の圧力制御方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池極性シートの製造過程は、一般的にスラリーの製造、塗膜、乾燥、圧延、切断等の工程を含み、メーカーの違い又は電池の違いにより製造工程は変更される可能性があるが、極性シートの圧延はいずれも必要不可欠な工程である。極性シートは圧延されることで一定の圧粉密度に達し、これは電池のエネルギー密度の向上に非常に重要である。
【0003】
現在の極性シートの圧延は一般的にローラ冷間プレス技術を用いて実現され、即ち冷間プレス機を利用して極性シートを圧延することにより、極性シートが設計の圧粉密度に達するようにする。従来の冷間プレス機の圧力制御方法は、冷間プレス機に対応する圧延速度及び圧力を予め設定し、それにより冷間プレス機が動作した後、設定された速度及び圧力に基づき極性シートに対して冷間プレスを行う方法である。
【0004】
しかし、従来の方法では、圧力と実際の速度が整合しない場合がある。従来の冷間プレス機の圧力制御技術は、冷間プレス機の圧延速度のみに基づいて圧力制御を行っており、実際のニーズを十分に満たすことができず、圧延後の極性シートの誤差が大きい。
【発明の概要】
【0005】
上記問題に鑑み、本願は、従来の冷間プレス機の圧力制御技術が実際のニーズを十分に満たすことができず、圧延後の極性シートの誤差が大きいという問題を解決するための、冷間プレス機の圧力制御方法及び電子機器を提供する。
【0006】
第1態様によれば、本願は、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度を取得するステップと、現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第1相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定し、又は、現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定し、前記第1相関関係は極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、前記冷間プレス機出力圧力の間の相関関係であり、前記第2相関関係は極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、前記冷間プレス機調整圧力の間の相関関係であるステップと、前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機を制御して圧力を出力し、それにより前記冷間プレス機は、次の時点では前記冷間プレス機出力圧力に応じて前記極性シートを冷間プレスするステップと、を含む冷間プレス機の圧力制御方法を提供する。
【0007】
本願が提供する技術的解決手段において、圧延速度が変動する場合、冷間プレス機が出力する圧力を現在の圧延速度に基づき適応的に調整することができ、それにより冷間プレス機が出力する圧力を冷間プレス機の実際の圧延速度と整合させる。また、本願が提供する技術的解決手段は、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと、冷間プレス機の現在の圧延速度の2種類のデータを組み合わせて冷間プレス機の圧力制御を行い、これにより冷間プレス機の圧力制御を行う時、冷間プレス機の圧延速度が、極性シートに必要とされる圧力に与える影響を考慮するだけでなく、極性シートの厚さが、必要とされる圧力に与える影響も考慮し、冷間プレス機が出力する圧力を実際のニーズにより適合させて、得られた極性シートの誤差をより小さくする。
【0008】
いくつかの実施例において、現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第1相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定するステップは、前記現在の圧延速度及び前の時点の圧延速度に基づき、前記冷間プレス機の現在の動作状況を決定するステップと、前記現在の厚さと前記現在の圧延速度、及び前記現在の動作状況に対応する第1相関関係に基づいて、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、を含み、現時点の前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップは、前記現在の圧延速度及び前の時点の圧延速度に基づき、前記冷間プレス機の現在の動作状況を決定するステップと、前記現在の厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記現在の動作状況に対応する第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、を含む。
【0009】
なお、実際の応用過程において、冷間プレス機に目標の圧延速度を設定し且つ起動した後、冷間プレス機の圧延速度は目標の圧延速度までそのまま急激に変化するのではなく、その中間に圧延速度が徐々に上昇する段階が存在し、その後、目標の圧延速度に達して、相対的に安定した状態になる。また、冷間プレス機が停止又は減速する場合、同様に圧延速度が徐々に低下する段階が存在する。圧延速度が徐々に上昇し、圧延速度が安定して保持され、圧延速度が徐々に低下するというそれぞれの段階は、冷間プレス機にとって、実質的に異なる動作状況にある。発明者らは多数の実験の結果、これらの異なる動作状況下で有する第1相関関係と第2相関関係に顕著な相違が存在し、すなわち異なる動作状況下で、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス目標に達するために必要な圧力の三者の間にある相関関係に大きな違いがあり、良好な汎用性を有しないことを発見した。上記実現するための手段において、異なる動作状況での第1相関関係又は第2相関関係を用いて冷間プレス機の圧力制御を行い、これにより冷間プレス機の圧力制御を、異なる動作状況が実際に有する相関関係に基づいて実現させ、汎用の相関関係を用いて圧力制御を実現する形態に比べて、冷間プレス機が出力する圧力を実際のニーズにより適合させることができ、得られた極性シートの誤差をより小さくする。
【0010】
いくつかの実施例において、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さを取得するステップは、前記極性シートの現在の前記冷間プレス機の操作側における現在の第1厚さ及び前記冷間プレス機の伝動側における現在の第2厚さを取得するステップを含み、
現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第1相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定するステップは、前記現在の第1厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記操作側に対応する予め設定された第1相関関係に基づき、前記操作側に対応する第1冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、前記現在の第2厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記伝動側に対応する予め設定された第1相関関係に基づき、前記伝動側に対応する第2冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、を含み、
現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップは、前記現在の第1厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記操作側に対応する予め設定された第2相関関係に基づき、前記操作側に対応する第1冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、前記現在の第2厚さ及び前記現在の圧延速度、さらに前記伝動側に対応する予め設定された第2相関関係に基づき、前記伝動側に対応する第2冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、を含み、
前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機を制御して圧力を出力するステップは、前記第1冷間プレス機出力圧力又は前記第1冷間プレス機調整圧力に基づいて、前記冷間プレス機の操作側を制御して圧力を出力するステップと、前記第2冷間プレス機出力圧力又は前記第2冷間プレス機調整圧力に基づいて、前記冷間プレス機の伝動側を制御して圧力を出力するステップと、を含む。
【0011】
なお、実際の応用において、冷間プレス機のローラは操作側と伝動側に分けられ、操作側とは、冷間プレス機のローラのユーザ操作台に近接する側であり、伝動側とは冷間プレス機のローラのユーザ操作台から離れており、モータに接続されて制御されて回転する側である。モータとの接続距離が異なる等の要因の影響を受け、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス目標に達するために必要な圧力の三者の間に相関関係があり、操作側と伝動側との間に一定の差が存在する。上記実現するための手段において、伝動側の極性シートの厚さ及び伝動側の第1相関関係又は第2相関関係を用いた伝動側の圧力制御と、操作側の極性シートの厚さ及び操作側の第1相関関係又は第2相関関係を用いた操作側の圧力制御をそれぞれ実現することにより、冷間プレス機のローラの両側に対する差別化した圧力制御を実現することができ、出力される圧力を実際のニーズにより適合させ、得られた極性シートの誤差をより小さくする。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第1相関関係は、前記極性シートに単位厚さの変化が発生した時に対応する前記冷間プレス機において調整する必要がある単位厚さ調整圧力、及び冷間プレス機の圧延速度と冷間プレス機調整圧力との間の第2相関サブテーブルを含み、前記冷間プレス機調整圧力は、厚さ調整圧力及び速度調整圧力を含み、
現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度、さらに予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップは、前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たすか否かを判断し、及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たすか否かを判断するステップと、前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たす場合、前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差、及び前記単位厚さ調整圧力に基づき、現在の厚さ調整圧力を決定するステップと、前記現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たす場合、前記現在の圧延速度が位置する速度範囲、及び異なる速度範囲に対応する調整圧力に基づき、前記現在の圧延速度に対応する現在の速度調整圧力を決定するステップと、を含み、
対応して、前記冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機を制御して圧力を出力するステップは、前記現在の厚さ調整圧力及び/又は前記現在の速度調整圧力、並びに前記冷間プレス機の現在の実際の出力圧力に基づいて、前記冷間プレス機を制御して圧力を出力するステップを含む。
【0013】
上記実現するための手段において、第1圧力制御条件及び第2圧力制御条件を設定することにより、頻繁すぎる圧力制御の発生を回避し、冷間プレス過程において、圧力制御頻数を極性シートの厚さが許容する許容誤差の範囲内に制御することができ、それにより頻繁な制御が冷間プレス機の耐用年数に影響を与えることを回避する。単位厚さ調整圧力、及び冷間プレス機の圧延速度と冷間プレス機調整圧力との間の第2相関サブテーブルを予め取得することにより、圧力制御を行う時に、厚さの変化と速度の変化に対する個別の制御を実現し、それにより従来の冷間プレス機の制御ロジックにより適合させることができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第1圧力制御条件は、連続してn1回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第1厚さ変化閾値より大きいこと、又は、連続してn2回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第2厚さ変化閾値より小さいことであり、前記n1及び前記n2はいずれも1以上の正の整数であり、前記第1厚さ変化閾値は前記第2厚さ変化閾値より大きい。
【0015】
上記実現するための手段において、極性シートの現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差を判断の基準とすることにより、極性シートの現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差に冷間プレスの効果を反映させることができ、従って上記解決手段により、極性シートの冷間プレスの効果が良好ではないと識別した場合、直ちに圧力制御を行って、極性シートの冷間プレスの効果を保証することができる。
【0016】
いくつかの実施例において、前記第2圧力制御条件は、現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第1速度変化閾値より大きいこと、又は現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第2速度変化閾値より小さいことであり、前記現在の圧延速度の変化状況は前記冷間プレス機の現在の圧延速度と前回の圧延速度との間の差であり、前記第1速度変化閾値は前記第2速度変化閾値より大きい。
【0017】
上記実現するための手段において、冷間プレス機の現在の圧延速度と前回の圧延速度との間の差を判断の基準とすることにより、圧延速度が大きく変化する状況を効果的に識別することができ、直ちに圧力制御を行って、極性シートの冷間プレスの効果を保証することができる。
【0018】
いくつかの実施例において、前記第1相関関係及び前記第2相関関係は、厚さ、速度、圧力を変数値とする回帰モデルである。
【0019】
上記実現するための手段において、回帰モデルで第1相関関係又は第2相関関係を実現し、これにより第1相関関係又は第2相関関係を構築する時に、大量のサンプリングで対応する回帰シミュレーションを構築するだけでよく、解決手段の実現が簡単で、信頼性がある。
【0020】
いくつかの実施例において、前記冷間プレス機が停止して再起動した後、前記方法はさらに、前記極性シートの冷間プレス後の最新の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の最新の現在の圧延速度を取得するステップと、前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の前記回帰モデルに基づき、前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて、停止して再起動した後の前記冷間プレス機が圧力を出力するように制御し、それにより前記冷間プレス機は次の時点で前記冷間プレス機出力圧力に基づいて前記極性シートに対して冷間プレスを行うステップと、を含む。
【0021】
上記実現するための手段において、冷間プレス機を停止して再起動した後、停止して再起動する前の回帰モデルに基づいて圧力制御を行い、冷間プレス機が停止して再起動した後の初期段階で正常に動作することを保証し、且つ冷間プレスの効果をある程度保証することができる。
【0022】
いくつかの実施例において、前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の前記回帰モデルに基づき、前記現在の厚さと前記現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定し、前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて、停止して再起動した後の前記冷間プレス機が圧力を出力するように制御するステップの後、前記方法はさらに、前記冷間プレス機が最新に出力した圧力値において、前記極性シートの最新の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の最新の現在の圧延速度を再取得するステップと、再取得した前記最新の現在の厚さが予め設定された厚さの合理的な条件を満たし、且つ再取得した前記最新の現在の圧延速度が予め設定された速度の合理的な条件を満たす場合、再取得した前記最新の現在の厚さ、再取得した前記最新の現在の圧延速度、及び前記圧力値に基づき、前記回帰モデルのモデルパラメータを更新するステップと、を含む。
【0023】
上記実現するための手段において、再取得した最新の現在の厚さ、再取得した最新の現在の圧延速度、及び圧力値により、回帰モデルのモデルパラメータを更新し、これにより回帰モデルに対する自動更新を実現し、さらに型の交換、ローラギャップ調整、ローラ交換、装置メンテナンス等の、装置部品の状況が大きく変化するシーンにおいて、この解決手段は自己適応を実現することができ、手作業の介入による再モデリングを必要としないことを保証する。
【0024】
第2態様によれば、本願はさらにプロセッサと、メモリと、通信バスと、を含み、前記通信バスはプロセッサとメモリとの間の接続通信を実現することに用いられ、前記プロセッサはそれにより上記いずれかの冷間プレス機の圧力制御方法を実現するように、メモリに記憶された1つ又は複数のプログラムを実行することに用いられる電子機器を提供する。
【0025】
上記説明は本出願の技術的解決手段の概要に過ぎず、本出願の技術的解決手段をより明確に理解するために、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本願の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確に理解できるようにするために、以下に本出願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、理解すべきことは、以下の図面は本願のいくつかの実施例を示しているに過ぎず、範囲を限定するものと見なすべきではなく、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の関連する図面を取得することができる。
【0027】
【
図1】本願の実施例に係る冷間プレス機の圧力制御方法のフローチャートである。
【
図2】本願の実施例に係る別の冷間プレス機の圧力制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例に係るより具体的な冷間プレス機の圧力制御フローチャートである。
【
図4】本願の実施例に係る冷間プレス機の圧力制御装置の構造概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に図面を参照しながら、本願の技術的解決手段の実施例を詳細に説明する。以下の実施例は本願の技術的解決手段をより明確に説明するためにのみ用いられ、例に過ぎず、これにより本願の保護範囲を限定するものではない。
【0029】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本出願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの類語は、排他的ではないものを意図している。
【0030】
本願の実施例の説明において、「第1」「第2」等の用語は異なる対象を区別するためのものであるに過ぎず、相対的な重要性を示す又は暗示し又は示された技術的特徴の数量、特定の順序又は主従関係を暗示的に示すものと理解すべきではない。本願の実施例の説明において、特に明確に限定しない限り、「複数」は2つ以上である。
【0031】
本明細書における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各所にこの語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0032】
本願の実施例の記載における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本明細書において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0033】
本願の実施例の説明において、「複数」という用語は2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数組」は2組以上(2組を含む)を指し、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0034】
本願の実施例の説明において、「中心」「縦方向」「横方向」「長さ」「幅」「厚さ」「上」「下」「前」「後」「左」「右」「垂直」「水平」「上部」「底部」「内」「外」「時計回り」「反時計回り」「軸方向」「径方向」「周方向」等の用語が指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本願の実施例を説明しやすくし、説明を簡略化するためのものに過ぎず、対象の装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され及び操作されるべきであることを指示又は暗示するものではなく、従って本願の実施例を限定するものと理解すべきではない。
【0035】
本願の実施例の説明において、特に明確に規定及び限定しない限り、「取り付ける」「つながっている」「接続」「固定」等の用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体であってもよい。機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよく、2つの素子内部の連通又は2つの部品の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0036】
実施例1
現在、市場の情勢が発展していることから、動力電池の応用はますます広がっている。動力電池は水力、火力、風力及び太陽光発電所等のエネルギー貯蔵電源システムへの応用にとどまらず、電動自転車、電動バイク、電気自動車等の電動車両、及び軍事装備及び航空宇宙等の複数の分野に広く応用されている。動力電池の応用分野が絶えず拡大するのに伴って、市場におけるその需要量も絶えず拡大している。市場の需要量が絶えず増加するのに伴い、動力電池の品質に対する要件もますます高くなっている。
【0037】
本発明者らは、動力電池の製造過程において、従来の電池極性シートの冷間プレス過程は、一般的に冷間プレス機に対して対応する運転速度及び圧力を予め設定し、それにより冷間プレス機が動作した後、設定された速度及び圧力に基づいて極性シートに対して冷間プレスを行う方法であることに注目した。しかしながら、冷間プレス機は起動から停止までの全過程において、圧延速度が常に設定された圧延速度に安定しているわけではなく、現在の方法では、圧力と実際の圧延速度が整合しない場合がある。圧力と実際の圧延速度が整合しないと、圧延後の極性シートにおいて、圧粉密度が予め設定された誤差要件を満たさないという状況が生じる可能性があり、それにより極性シートの品質が低下し、製造された電池のエネルギー密度が低下する。
【0038】
従来の冷間プレス機の圧力制御技術が実際のニーズを十分に満たすことができず、圧延後の極性シートの誤差が大きいという課題を解決するために、出願人は研究により、極性シートの冷間プレス過程において、極性シートの冷間プレス後の効果と所期の目標との合致を保証するために、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス機に印加される圧力の三者の間に、内在する相互補完の相関関係があることを発見した。本願において、該相関関係を予め構築し且つ保存することにより、さらに現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度を取得し、該相関関係に基づき、圧延速度が変動する場合、冷間プレス機が出力する圧力を適応的に調整し、それにより冷間プレス機が出力した圧力を冷間プレス機の実際の圧延速度と整合させる。また、本願は極性シートの厚さが、必要とされる圧力に与える影響を考慮するだけでなく、冷間プレス機の圧延速度が、極性シートに必要とされる圧力に与える影響も考慮し、冷間プレス機が出力する圧力を実際のニーズにより適合させて、得られた極性シートの誤差をより小さくする。
【0039】
以下に、
図1を参照し、
図1は本願の実施例に係る冷間プレス機の圧力制御方法を示し、ステップS101~ステップS103を含む。
【0040】
ステップS101では、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度を取得する。
【0041】
なお、本願の実施例において、冷間プレス機又は冷間プレス機の周辺に厚さ測定装置を設置して、極性シートが冷間プレスされた後の現在の厚さを収集することができる。なお、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さとは、極性シートが現在圧延されて、冷間プレスされた後の厚さである。
【0042】
なお、本願の実施例において、冷間プレス機にさらに速度センサ又は回転数センサを設置して、冷間プレス機の現在の圧延速度を収集することができる。
【0043】
ステップS102では、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度、及び予め設定された第1相関関係に基づき、極性シートの現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定する。
【0044】
なお、本願の実施例において、第1相関関係とは、極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、冷間プレス機出力圧力の間の相関関係である。
【0045】
本願の実施例において、第1相関関係は、技術者が予め極性シートを冷間プレスした後、極性シートにおける設定要件を満たす各サンプリング点において、対応する極性シートの冷間プレス後の厚さ、その時の冷間プレス機の圧延速度及びその時の冷間プレス機出力圧力を大量に収集し、それに基づいて構築された第1相関関係であってもよい。
【0046】
ステップS103では、冷間プレス機出力圧力に基づいて冷間プレス機を制御して圧力を出力し、それにより冷間プレス機は、次の時点では冷間プレス機出力圧力に基づいて極性シートを冷間プレスする。
【0047】
なお、本願の実施例において、冷間プレス機出力圧力とは冷間プレス機が最終的に出力する必要がある圧力の値である。極性シートの現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定した後、冷間プレス機を制御して該冷間プレス機出力圧力に基づいて圧力を出力するだけでよい。
【0048】
また、
図2を参照し、
図2は本願の実施例に係る別の冷間プレス機の圧力制御方法を示し、ステップS201~ステップS203を含む。
【0049】
ステップS201では、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度を取得する。
【0050】
同様に、本願の実施例において、冷間プレス機又は冷間プレス機の周辺に厚さ測定装置を設置して、極性シートが冷間プレスされた後の現在の厚さを収集することができる。冷間プレス機にさらに速度センサ又は回転数センサを設置して、冷間プレス機の現在の圧延速度を収集することができる。
【0051】
ステップS202では、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度と予め設定された第2相関関係とに基づき、極性シートの現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度とに対応する冷間プレス機調整圧力を決定する。
【0052】
なお、本願の実施例において、第2相関関係とは、極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、冷間プレス機調整圧力の間の相関関係である。
【0053】
本願の実施例において、第2相関関係は、技術者が予め極性シートを冷間プレスした後、極性シートにおける設定要件を満たす各サンプリング点において、対応する極性シートの冷間プレス後の厚さ、その時の冷間プレス機の圧延速度及び前の時点に対して調整されたその時点での冷間プレス機の圧力を大量に収集し、それに基づいて構築された第2相関関係であってもよい。
【0054】
ステップS203では、冷間プレス機調整圧力に基づいて冷間プレス機を制御して圧力を出力し、それにより冷間プレス機は、次の時点では冷間プレス機出力圧力に基づいて極性シートを冷間プレスする。
【0055】
本願の実施例において、冷間プレス機調整圧力とは、冷間プレス機の調整を必要とする圧力値であり、その値が正の場合は圧力を増加させることを示し、負の場合は圧力を減少させることを示す。極性シートの現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度とに対応する冷間プレス機調整圧力を決定した後、冷間プレス機を制御して現在出力されている圧力に基づき、対応する冷間プレス機調整圧力を増加又は減少させるだけで制御を完了することができる。
【0056】
以上、第1相関関係又は第2相関関係により、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度の変化に伴って、冷間プレス機から出力された圧力を適応的に調整し、それにより冷間プレス機が出力した圧力を冷間プレス機の実際の圧延速度及び極性シートの冷間プレス後の実際の冷間プレスの効果と整合させ、冷間プレス機が出力する圧力を実際のニーズにより適合させて、得られた極性シートの誤差をより小さくする。
【0057】
本願のいくつかの実施形態において、回帰モデルを構築することができ、構築された回帰モデルを第1相関関係又は第2相関関係とする。
【0058】
例示的に、極性シートにおける冷間プレス後の設定要件を満たす各サンプリング点に対応する収集された極性シートの冷間プレス後の厚さ、その時の冷間プレス機の圧延速度及びその時の冷間プレス機出力圧力に基づいて回帰モデルを構築し、該回帰モデルを第1相関関係とする。
【0059】
なお、本願の実施例において、第1相関関係とすることができる回帰モデルを構築するために、各サンプリング点を、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス機出力圧力を座標軸とする三次元座標系にマッピングし、さらにフィッティング等の方法により、回帰モデルを得ることができる。
【0060】
例示的に、極性シートにおける冷間プレス後の設定要件を満たす各サンプリング点に対応する収集された極性シートの冷間プレス後の厚さ、その時の冷間プレス機の圧延速度及び前の時点に対して調整されたその時点での冷間プレス機の圧力に基づいて回帰モデルを構築し、該回帰モデルを第2相関関係とする。
【0061】
なお、本願の実施例において、第2相関関係とすることができる回帰モデルを構築するために、各サンプリング点を、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス機調整圧力を座標軸とする三次元座標系にマッピングし、さらにフィッティング等の方法により、回帰モデルを得ることができる。
【0062】
なお、本願の実施例において、回帰モデルは線形回帰モデルであってもよく、且つ構造はz=a+b*x+c*yである。ただし、zは極性シートの冷間プレス後の厚さであり、xは冷間プレス機の圧延速度であり、yは冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力であり、a、b、cはモデルパラメータで、決定された定数値である。また、回帰モデルは、z=a+b*x2+c*y2のような非線形回帰モデルであってもよい。本願の実施例において、用いられる回帰モデルの実現形式は限定されない。
【0063】
なお、本願の実施例において、構築された回帰モデルにそのまま基づいて、取得された現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ(即ちz値)と冷間プレス機の現在の圧延速度(即ちx値)を代入することにより、対応して必要なy値(即ち冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力)を得ることができ、さらに上記ステップS103又はステップS203に基づいて冷間プレス機の圧力出力を制御することができる。
【0064】
さらに、本出願の実施例において、上記回帰モデルをテーブル化し、得られたテーブルを第1相関関係又は第2相関関係とすることができる。
【0065】
例示的に、予め設定された値の間隔に応じて、異なる極性シートの厚さ、異なる圧延速度で、対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を取り、離散型データテーブルを得て、例えば以下の表1に示すとおりである。
【0066】
【0067】
なお、離散型データテーブルを得た後、使用時に、まず極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度について、前記表に同じデータが存在するか否かを判断し、同じデータが存在する場合、前記表に基づいて冷間プレス機調整圧力を決定することができる。
【0068】
又は、使用時に、まず極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度がどの2つの数値範囲内にあるかを判断し、該数値範囲の小さい値(又は大きい値、技術者により設定されてもよい)に基づいて、冷間プレス機調整圧力を決定することができる。例えば、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度がそれぞれz1及びx1であり、且つz1がz0+Δzより大きいがz0+2Δzより小さく、x1がx0より大きいがx0+Δxより小さい場合、z0+Δz、x0に対応する冷間プレス機出力圧力を得て、極性シートの現在の厚さと前記冷間プレス機の現在の圧延速度とに対応する冷間プレス機調整圧力はy1であると決定することができる。
【0069】
なお、前記表に示されるのは第2相関関係であり、従って決定されるのは冷間プレス機調整圧力であり、第1相関関係をテーブル化する方法及びテーブルを使用する方法は上記方法と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0070】
なお、第2相関関係について、発明者らは多数の実験の結果、冷間プレス機調整圧力が、極性シートの厚さの変化に必要とされる調整圧力と、圧延速度の変化に必要とされる調整圧力との和と見なすことができることを発見した。従って、本願の実施例において、第2相関関係は、極性シートの厚さと冷間プレス機の単位厚さ調整圧力との間の相関関係表(例えば、以下の表2)、及び圧延速度と速度調整圧力との間の相関関係表(例えば、以下の表3)によって記録することができる。
【0071】
【0072】
なお、単位厚さ調整圧力とは、極性シートの単位厚さが変化した時に対応する前記冷間プレス機が調整すべき単位厚さ調整圧力である。本願において、表2における極性シートの厚さの列は範囲を表しており、例えばz0であれば、z0(含む)からz0+Δz(含まない)までの厚さ範囲を表す。
【0073】
【0074】
なお、本願において、表3における圧延速度の列は範囲を表し、例えば、x0であれば、x0(含む)からx0+Δx(含まない)までの圧延速度範囲を表す。
【0075】
なお、本願の実施例において、範囲の分割、即ち△z、△xの値は、技術者が極性シートの冷間プレスのプロセス要件に基づいて設定することができる。
【0076】
使用時に、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度を取得した後、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さを表2に対応させ、冷間プレス機の現在の圧延速度を表3に対応させるだけで、すべての冷間プレス機調整圧力を決定することができる。
【0077】
例示的に、厚さ調整圧力について言えば、現在の厚さが表2におけるどの範囲内に対応するかを判断することで、対応する単位厚さ調整圧力を決定し、さらに極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差に、該単位厚さ調整圧力を乗算することで、現在の厚さ調整圧力を得ることができる。
【0078】
なお、実際の応用において、発明者らは多数の実験の結果、異なる厚さ範囲について、極性シートの単位厚さが変化しても、対応する冷間プレス機において調整する必要がある単位厚さ調整圧力はほぼ同じであることを発見した。従って、本願の実施例の好ましい実施形態において、表2を1つの単位厚さ調整圧力に簡略化することができ、それにより極性シートの冷間プレス後の現在の厚さを取得した後、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差に該単位厚さ調整圧力を乗算するだけで、現在の厚さ調整圧力を得ることができる。
【0079】
例示的に、速度調整圧力について言えば、現在の圧延速度が存在する速度範囲が、表3のどの範囲内に対応するかを判断することで、現在の圧延速度に対応する現在の速度調整圧力を決定することができる。
【0080】
なお、上記形態において、圧力制御効果を保証し、同時に圧力を頻繁に制御することによる冷間プレス機の耐用年数に及ぼす影響を回避するために、現在の厚さ調整圧力及び現在の速度調整圧力を決定する前に、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たすか否かを判断し、及び冷間プレス機の現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たすか否かを判断することができる。
【0081】
極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たす場合に、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差、及び単位厚さ調整圧力に基づき、現在の厚さ調整圧力を決定する。
【0082】
冷間プレス機の現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たす場合に、現在の圧延速度が位置する速度範囲に基づき、異なる速度範囲に対応する調整圧力に基づいて、現在の圧延速度に対応する現在の速度調整圧力を決定する。
【0083】
なお、第1圧力制御条件を満たすが、第2圧力制御条件を満たさない場合、決定された現在の厚さ調整圧力を冷間プレス機調整圧力として、それにより冷間プレス機を制御して圧力を出力する。第1圧力制御条件を満たさないが、第2圧力制御条件を満たす場合、決定された現在の速度調整圧力を冷間プレス機調整圧力として、それにより冷間プレスを制御して圧力を出力する。第1圧力制御条件及び第2圧力制御条件をいずれも満たす場合、決定された現在の厚さ調整圧力及び速度調整圧力の和を冷間プレス機調整圧力として、それにより冷間プレス機を制御して圧力を出力する。第1圧力制御条件及び第2圧力制御条件がいずれも満たされない場合、圧力調整は行われない。
【0084】
本願の実施例において、第1圧力制御条件は、連続してn1回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第1厚さ変化閾値より大きいこと、又は、連続してn2回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第2厚さ変化閾値より小さいことであってもよい。
【0085】
n1及びn2はいずれも1以上の正の整数であり、その値は技術者が実際の必要に応じて設定することができ、例えば、1又は2に設定することができる。また、第1厚さ変化閾値は、第2厚さ変化閾値よりも大きくなければならない。
【0086】
本願の実施例において、第2圧力制御条件は、現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第1速度変化閾値より大きいこと、又は現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第2速度変化閾値より小さいことであってもよい。
【0087】
現在の圧延速度の変化状況とは、冷間プレス機の現在の圧延速度と前の時点の圧延速度との間の差である。また、第1速度変化閾値は、第2速度変化閾値よりも大きくなければならない。
【0088】
本願の実施例において、第1厚さ変化閾値、第2厚さ変化閾値、第1速度変化閾値及び第2速度変化閾値は技術者が実際の必要に応じて設定することができる。
【0089】
なお、実際の応用過程において、冷間プレス機に目標の圧延速度を設定し且つ起動した後、冷間プレス機の圧延速度は目標の圧延速度までそのまま急激に変化するのではなく、その中間に圧延速度が徐々に上昇する段階が存在し、その後、目標の圧延速度に達して、相対的に安定した状態になる。また、冷間プレス機が停止又は減速する場合、同様に圧延速度が徐々に低下する段階が存在する。圧延速度が徐々に上昇し、圧延速度が安定して保持され、圧延速度が徐々に低下するというそれぞれの過程は、冷間プレス機にとって、実質的に異なる動作状況にある。発明者らは多数の実験の結果、これらの異なる動作状況下で有する第1相関関係と第2相関関係に顕著な相違が存在し、すなわち異なる動作状況下で、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス目標に達するために必要な圧力の三者の間にある相関関係に大きな違いがあり、良好な汎用性を有しないことを発見した。
【0090】
このため、本願の実施例のいくつかの実施形態において、第1相関関係又は第2相関関係を構築する場合、各動作状況に対して、各動作状況に対応する第1相関関係又は第2相関関係を個別に構築することができる。
【0091】
次に、冷間プレス機の圧力制御を行う場合、まず冷間プレス機の現在の圧延速度及び前の時点での圧延速度に基づき、冷間プレス機の現在の動作状況を決定し、さらに極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度、及び現在の動作状況に対応する第1相関関係又は第2相関関係に基づき、極性シートの現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定することができる。
【0092】
なお、各動作状況に対応する第1相関関係又は第2相関関係の構築方法は、前述の部分を参照することができ、相違は、各動作状況に対応する第1相関関係又は第2相関関係が、各動作状況におけるサンプリング点のデータに基づいて構築されることである。
【0093】
なお、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度、及び現在の動作状況に対応する第1相関関係又は第2相関関係に基づき、極性シートの現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定するプロセスは上記の部分を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0094】
なお、本願の実施例において、現在の動作状況を正確に決定するために、以下の方法で動作状況の検出を行うことができる。
【0095】
現在の圧延速度が予め設定された標準運転速度範囲内になく、且つ現在の圧延速度が前の時点での圧延速度より速く、且つ現在の圧延速度の前の時点における圧延速度に対する速度変化率が第1設定変化率閾値より大きい場合、冷間プレス機の現在の動作状況は速度上昇動作状況であると決定する。
【0096】
現在の圧延速度及び前の時点での圧延速度がいずれも標準運転速度範囲内にある場合、冷間プレス機の現在の動作状況は定常速度動作状況であると決定する。
【0097】
現在の圧延速度が標準運転速度範囲内になく、且つ現在の圧延速度が前の時点における圧延速度より遅く、且つ前の時点における圧延速度の現在の圧延速度に対する速度変化率が第3設定変化率閾値より大きい場合、冷間プレス機の現在の動作状況は減速動作状況であると決定する。
【0098】
上記方法により、現在の動作状況に対する決定を効果的に実現することができる。また、データをサンプリングして第1相関関係又は第2相関関係を構築する過程において、上記方法により、各サンプリング点が属する動作状況を決定することもできる。
【0099】
なお、実際の応用において、冷間プレス機のローラは操作側と伝動側に分けられ、操作側とは、冷間プレス機のローラのユーザ操作台に近接する側であり、伝動側とは冷間プレス機のローラのユーザ操作台から離れており、モータに接続されて制御されて回転する側である。モータとの接続距離が異なる等の要因の影響を受け、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス目標に達するために必要な圧力の三者の間に相関関係があり、操作側と伝動側との間に一定の差が存在する。
【0100】
このため、本願の実施例において、それぞれ冷間プレス機の操作側及び伝動側に対して、それぞれ対応する第1相関関係又は第2相関関係を確立することができる。
【0101】
従って、ステップS101及びステップS201において、冷間プレスの操作側における極性シートの現在の第1厚さ及び冷間プレスの伝動側における現在の第2厚さを取得することができる。
【0102】
さらに、ステップS102において、現在の第1厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度、及び操作側に対応する予め設定された第1相関関係に基づき、操作側に対応する第1冷間プレス機出力圧力を決定し、現在の第2厚さと現在の圧延速度、及び伝動側に対応する第1相関関係に基づき、伝動側に対応する第2冷間プレス機出力圧力を決定することができる。
【0103】
ステップS202において、現在の第1厚さと現在の圧延速度、及び操作側に対応する第2相関関係に基づき、操作側に対応する第1冷間プレス機調整圧力を決定し、現在の第2厚さと現在の圧延速度、及び伝動側に対応する第2相関関係に基づき、伝動側に対応する第2冷間プレス機調整圧力を決定することができる。
【0104】
さらに、ステップS103において、第1冷間プレス機出力圧力に基づいて冷間プレス機の操作側を制御して圧力を出力し、第2冷間プレス機出力圧力に基づいて冷間プレス機の伝動側を制御して圧力を出力する。
【0105】
ステップS203において、第1冷間プレス機調整圧力に基づいて冷間プレス機の操作側を制御して圧力を出力し、第2冷間プレス機調整圧力に基づいて冷間プレス機の伝動側を制御して圧力を出力する。
【0106】
このように、伝動側の極性シートの厚さ及び伝動側の第1相関関係又は第2相関関係を用いて伝動側の圧力制御を実現し、操作側の極性シートの厚さ及び操作側の第1相関関係又は第2相関関係を用いて操作側の圧力制御をそれぞれ実現することにより、冷間プレス機のローラの両側に対する差別化した圧力制御を実現することができ、出力される圧力を実際のニーズにより適合させ、得られた極性シートの誤差をより小さくする。
【0107】
なお、本願の実施例において、冷間プレス機のプレスローラの回転軸方向に沿って、N個(Nは0より大きい偶数)の厚さ測定装置及び速度センサを均一に設置することができ、それにより各側の毎回のサンプリングにおいてN/2個のサンプリング点を有し、両側のサンプルデータが十分であることを保証する。
【0108】
なお、本願の実施例において、冷間プレス機が停止して再起動した後、冷間プレス効果を保証するために、最新の現在の厚さと最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の回帰モデルに基づき、最新の現在の厚さと最新の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定することができる。
【0109】
それにより冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力に基づいて、停止して再起動した後の冷間プレス機を制御して圧力を出力し、冷間プレス機は次の時点では冷間プレス機出力圧力に基づいて極性シートを冷間プレスする。
【0110】
なお、上記停止して再起動する前の回帰モデルに基づき、最新の現在の厚さと最新の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定する過程は、停止して再起動する前の回帰モデルに基づいて、最新の現在の厚さ及び最新の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を直接計算して得る過程であってもよい。また、該過程は停止して再起動する前の回帰モデルに基づいて決定されテーブル化された第1相関関係又は第2相関関係から、最新の現在の厚さ及び最新の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を得る過程であってもよい。
【0111】
なお、型の交換、ローラのギャップ調整、ローラ交換、装置のメンテナンス等の装置部材の状況が大きく変化する状況において、従来の回帰モデルは偏差が大きい可能性があり、適用性が高くない。
【0112】
そのため、本願の実施例において、最新の現在の厚さと最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の回帰モデルに基づき、現在の厚さと現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定し、冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力に基づいて、停止して再起動した後の冷間プレス機が圧力を出力するように制御する後、冷間プレス機が最新に出力した圧力値において、極性シートの最新の現在の厚さ及び冷間プレス機の最新の現在の圧延速度を再取得することができる。
【0113】
再取得した最新の現在の厚さが予め設定された厚さの合理的な条件を満たし、且つ再取得した最新の現在の圧延速度が予め設定された速度の合理的な条件を満たす場合、再取得した最新の現在の厚さ、再取得した最新の現在の圧延速度、及び冷間プレス機が圧力を出力した圧力値に基づき、回帰モデルのモデルパラメータを更新する。
【0114】
例示的に、回帰モデルが第1相関関係を特徴付ける回帰モデルである場合、再取得した最新の現在の厚さ、再取得した最新の現在の圧延速度、及び冷間プレス機が出力した圧力値を新たなサンプルとしてサンプルセットに加えて新たにフィッティングするだけで、回帰モデルのモデルパラメータに対する更新を実現する。
【0115】
回帰モデルが第2相関関係を特徴付ける回帰モデルである場合、再取得した最新の現在の厚さ、再取得した最新の現在の圧延速度、及び冷間プレス機の最新の出力された圧力値と前の時点で出力された圧力値との間の差を新たなサンプルとしてサンプルセットに加えて新たにフィッティングするだけで、回帰モデルのモデルパラメータに対する更新を実現する。
【0116】
これにより、回帰モデルに対する自動更新を実現し、さらに型の交換、ローラギャップ調整、ローラ交換、装置メンテナンス等の、装置部品の状況が大きく変化するシーンにおいて、この解決手段は自己適応を実現することができ、手作業の介入による再モデリングを必要としないことを保証する。
【0117】
なお、本願の実施例において、毎回1巻の極性シートの冷間プレスが完了すると、その回の完了過程で得られた設計要件に適合する各回の圧力データと対応する圧延速度及び極性シートの厚さとを自動的に記憶し、これらのデータに基づき、回帰モデルのフィッティングを改めて行って、回帰モデルを更新することができる。
【0118】
なお、テーブル化された第1相関関係又は第2相関関係を用いて圧力制御を実現する解決手段については、回帰モデルのモデルパラメータの更新を行った後、改めてテーブル化して、後続の圧力制御の信頼性を保証する必要がある。
【0119】
なお、本願の実施例において、厚さの合理的な条件は、連続してm回取得された最新の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差が予め設定された第3厚さ変化閾値以下であり、且つ予め設定された第4厚さ変化閾値以上であることであってもよい。
【0120】
mは1以上の正の整数であり、第3厚さ変化閾値は第4厚さ変化閾値よりも大きい。
【0121】
本願の実施例において、速度の合理的な条件は、再取得した最新の現在の圧延速度と前回取得した最新の現在の圧延速度との差が予め設定された第3速度変化閾値以下であり、且つ、再取得した最新の現在の圧延速度と前回取得した最新の現在の圧延速度との差が予め設定された第4速度変化閾値以上であることであってもよい。
【0122】
第3速度変化閾値は、第4速度変化閾値よりも大きい。
【0123】
本願の実施例において、第3厚さ変化閾値、第4厚さ変化閾値、第3速度変化閾値及び第4速度変化閾値は、技術者が実際の必要に応じて設定することができる。
【0124】
なお、本願の実施例において、目標厚さはプロセス要件に基づいて設定された厚さの値である。
【0125】
本願の実施例が提供する冷間プレス機の圧力制御方法は、圧延速度が変動する場合、冷間プレス機が出力する圧力を現在の圧延速度に基づき適応的に調整することができ、それにより冷間プレス機が出力する圧力を冷間プレス機の実際の圧延速度と整合させる。また、本願の実施例が提供する冷間プレス機の圧力制御方法は、極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと、冷間プレス機の現在の圧延速度の2種類のデータを組み合わせて冷間プレス機の圧力制御を行い、これにより冷間プレス機の圧力制御を行う時、冷間プレス機の圧延速度が、極性シートに必要とされる圧力に与える影響を考慮するだけでなく、極性シートの厚さが、必要とされる圧力に与える影響も考慮し、冷間プレス機が出力する圧力を実際のニーズにより適合させて、得られた極性シートの誤差をより小さくする。
【0126】
実施例2
本実施例は実施例1に基づいて、より具体的な実現過程を例として、本願の技術的解決手段をさらに例示的に説明する。
【0127】
まず、動作状況の分類を行い、冷間プレス機の動作過程を速度上昇動作状況、定常速度動作状況及び減速動作状況に分類する。
【0128】
各動作状況において設定要件を満たし、各サンプリング点に対応する極性シートの冷間プレス後の厚さ、その時の冷間プレス機の圧延速度及びその時の冷間プレス機出力圧力をそれぞれ収集する。
【0129】
各サンプリング点のデータは、各サンプリング点が冷間プレスの操作側に属するか伝動側に属するかに応じて区分される。
【0130】
動作状況を単位として、各動作状況内の操作側に対応する各サンプリング点のデータを、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス機出力圧力を座標軸とする三次元座標系にマッピングし、フィッティングする方法により、各動作状況内の操作側の回帰モデルをそれぞれ取得する。
【0131】
動作状況を単位として、各動作状況内の伝動側に対応する各サンプリング点のデータを、極性シートの冷間プレス後の厚さ、冷間プレス機の圧延速度及び冷間プレス機出力圧力を座標軸とする三次元座標系にマッピングし、フィッティングする方法により、各動作状況内の伝動側の回帰モデルをそれぞれ取得する。
【0132】
回帰モデル構造は、z=a+b*x+c*yである。zは極性シートの冷間プレス後の厚さであり、xは冷間プレス機の圧延速度であり、yは冷間プレス機出力圧力であり、a、b、cはモデルパラメータで、決定された定数値である。
【0133】
各回帰モデルを得た後、プロセス要件に基づき、各回帰モデルに対してテーブル化処理を行い、極性シートに単位厚さの変化が発生した場合に対応する冷間プレス機において調整する必要がある単位厚さ調整圧力、及び冷間プレス機の圧延速度と速度調整圧力との間の第2相関サブテーブルを得るために変換を行う。
【0134】
例示的に、1つの固定されたx値を設定し、次に2つの単位変化のz値を取り、それにより2つのy値を得て、さらにこの2つのy値の差を取ることにより、冷間プレス機において調整する必要がある単位厚さの調整圧力XTを得ることができる。
【0135】
第2相関サブテーブルについては、1つの固定されたz値(例えば目標厚さ値)を取り、次にプロセス要件に応じて速度範囲の分割を行い、例えば、10m/分を1つの範囲として、該速度範囲内の複数の速度値に対応する冷間プレス機出力圧力を計算し、各速度値に対応する冷間プレス機出力圧力の間の圧力の差を計算し、且つ平均値を取り、それにより該速度範囲に対応する速度調整圧力を得て、第2相関サブテーブルを構築する。
【0136】
例示的に、0m/分(含む)から10m/分(含まない)までの速度範囲に対して、z値を目標厚さ値とし、x値が0、1、2、3、4、5、6、7、8、9である時に、それぞれ対応する冷間プレス機出力圧力をy0~y9とする。y1とy0の差、y2とy1の差、y3とy2の差、…y9とy8の差を順に計算し、△y1から△y9を得て、△y1から△y9の平均値を取り、即ち0m/分(含む)から10m/分(含まない)の速度範囲に対応する速度調整圧力である。
【0137】
その後、それに基づいて冷間プレス圧力制御を行うことができる。
【0138】
図3を参照すると、
まず、冷間プレス機が起動し、ローラが回転を開始したか否かを判断するステップと、
現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと冷間プレス機の現在の圧延速度を検出するステップと、
現時点での冷間プレス機の動作状況を決定するステップと、を含む。判断方法は実施例1の記載を参照し、ここでは説明を省略する。
【0139】
冷間プレス機の現在の圧延速度が前の時点の圧延速度に比べて10m/分増加又は減少したか否かを判断する。
【0140】
増加していれば、該動作状況に対応する第2相関サブテーブルを呼び出し、現在の圧延速度が位置する速度範囲を決定して、対応する速度調整圧力を得る。現在の圧延速度が前の時点の圧延速度に比べて10m/分増加した場合、冷間プレス機を制御して該速度調整圧力を増加させる。現在の圧延速度が前の時点での圧延速度に比べて10m/分減少している場合、冷間プレス機を制御して該速度調整圧力を減少させる。
【0141】
極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差が1μm未満であることが、2回連続して発生したか否か、又は極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差が1μmより大きいことが、2回連続して発生したか否かを判断する。
【0142】
極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差が1μm未満であることが、2回連続して発生した場合、単位厚さ調整圧力XTに現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差を乗算して、厚さ調整圧力を得る。冷間プレスを制御して、該厚さ調整圧力を減少させる。
【0143】
極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差が1μmより大きいことが、2回連続して発生した場合、単位厚さ調整圧力XTに現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差を乗算して、厚さ調整圧力を得る。冷間プレスを制御して、該厚さ調整圧力を増加させる。
【0144】
1巻の極性シートの冷間プレスが完了する毎に、その回の完了過程で得られた設計要件に適合する各回の圧力データと対応する圧延速度及び極性シートの厚さを自動的に記憶し、これらのデータに基づき、回帰モデルのフィッティングを改めて行って、回帰モデルを更新し、且つ単位厚さ調整圧力及び第2相関サブテーブルを更新する。
【0145】
実施例3
同一の発明趣旨に基づき、本願の実施例はさらに冷間プレス機の圧力制御装置400及びサービス要求処理装置200を提供する。
図4を参照すると、
図4は
図1及び
図2に示す方法を用いるサービス要求処理装置を示す。なお、装置400の具体的な機能は上記の説明を参照することができ、繰り返しを避けるために、ここでは詳細な説明を省略する。装置400は、ソフトウェア又はファームウェアの形式でメモリに記憶されるか又は装置400のオペレーティングシステムに固定された少なくとも1つのソフトウェア機能モジュールを含む。具体的には、
図4を参照すると、装置400は、取得モジュール401と、決定モジュール402と、制御モジュール403を含む。
【0146】
前記取得モジュール401は、現時点での極性シートの冷間プレス後の現在の厚さ及び冷間プレス機の現在の圧延速度を取得するために用いられ、
前記決定モジュール402は、現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと前記冷間プレス機の現在の圧延速度、及び予め設定された第1相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さと前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定し、又は、現時点での前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと前記冷間プレス機の現在の圧延速度、及び予め設定された第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さと前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定し、前記第1相関関係は極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、冷間プレス機出力圧力の間の相関関係であり、前記第2相関関係は極性シートの厚さ、冷間プレス機の圧延速度、冷間プレス機調整圧力の間の相関関係であるために用いられ、
前記制御モジュール403は、前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機を制御して圧力を出力し、それにより前記冷間プレス機は、次の時点では前記冷間プレス機出力圧力に応じて前記極性シートを冷間プレスするために用いられる。
【0147】
本願の実施例において、前記決定モジュール402は、具体的には、
前記現在の圧延速度及び前の時点の圧延速度に基づいて、前記冷間プレス機の現在の動作状況を決定するステップと、前記現在の厚さ及び前記現在の圧延速度、及び前記現在の動作状況に対応する第1相関関係に基づいて、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、
前記現在の圧延速度及び前の時点の圧延速度に基づき、前記冷間プレス機の現在の動作状況を決定するステップと、前記現在の厚さ及び前記現在の圧延速度、及び前記現在の動作状況に対応する第2相関関係に基づき、前記極性シートの現在の厚さ及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、に用いられる。
【0148】
本願の実施例において、前記取得モジュール401は、具体的には、前記極性シートの現在の前記冷間プレス機の操作側における現在の第1厚さ及び前記冷間プレス機の伝動側における現在の第2厚さを取得するステップに用いられる。
【0149】
前記決定モジュール402は、具体的には、
前記現在の第1厚さと前記現在の圧延速度、及び前記操作側に対応する予め設定された第1相関関係に基づき、前記操作側に対応する第1冷間プレス機出力圧力を決定し、前記現在の第2厚さと前記現在の圧延速度、及び前記伝動側に対応する予め設定された第1相関関係に基づき、前記伝動側に対応する第2冷間プレス機出力圧力を決定するステップと、
前記現在の第1厚さと前記現在の圧延速度、及び前記操作側に対応する第2相関関係に基づき、前記操作側に対応する第1冷間プレス機調整圧力を決定し、前記現在の第2厚さと前記現在の圧延速度、及び前記伝動側に対応する予め設定された第2相関関係に基づき、前記伝動側に対応する第2冷間プレス機調整圧力を決定するステップと、に用いられる。
【0150】
前記制御モジュール403は、具体的には、前記第1冷間プレス機出力圧力又は前記第1冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機の操作側を制御して圧力を出力し、前記第2冷間プレス機出力圧力又は前記第2冷間プレス機調整圧力に基づいて前記冷間プレス機の伝動側を制御して圧力を出力するステップに用いられる。
【0151】
本願の実施例の実現可能な実施形態において、前記第1相関関係は、前記極性シートに単位厚さの変化が発生した時に対応する前記冷間プレス機において調整する必要がある単位厚さ調整圧力、及び冷間プレス機の圧延速度と冷間プレス機調整圧力との間の第2相関サブテーブルを含み、前記冷間プレス機調整圧力は、厚さ調整圧力及び速度調整圧力を含む。
【0152】
前記決定モジュール402は、具体的には、前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たすか否かを判断し、及び前記冷間プレス機の現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たすか否かを判断するステップと、前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さが予め設定された第1圧力制御条件を満たす場合、前記極性シートの冷間プレス後の現在の厚さと予め設定された目標厚さとの間の差、及び前記単位厚さ調整圧力に基づき、現在の厚さ調整圧力を決定するステップと、前記現在の圧延速度が予め設定された第2圧力制御条件を満たす場合、前記現在の圧延速度が位置する速度範囲、及び異なる速度範囲に対応する調整圧力に基づいて、前記現在の圧延速度に対応する現在の速度調整圧力を決定するステップと、に用いられる。
【0153】
前記制御モジュール403は、具体的には、前記現在の厚さ調整圧力及び/又は前記現在の速度調整圧力、及び前記冷間プレス機の現在の実際の出力圧力に基づいて、前記冷間プレス機を制御して圧力を出力するステップに用いられる。
【0154】
上記実現可能な実施形態において、前記第1圧力制御条件は、連続してn1回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第1厚さ変化閾値より大きいこと、又は、連続してn2回取得した前記極性シートの現在の厚さと前記予め設定された目標厚さとの間の差が、予め設定された第2厚さ変化閾値より小さいことであり、前記n1及び前記n2はいずれも1以上の正の整数であり、前記第1厚さ変化閾値は前記第2厚さ変化閾値より大きい。
【0155】
上記実現可能な実施形態において、前記第2圧力制御条件は、現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第1速度変化閾値より大きいこと、又は現在の圧延速度の変化状況が予め設定された第2速度変化閾値より小さいことであり、前記現在の圧延速度の変化状況は前記冷間プレス機の現在の圧延速度と前回の圧延速度との間の差であり、前記第1速度変化閾値は前記第2速度変化閾値より大きい。
【0156】
本願の実施例の実現可能な実施形態において、前記第1相関関係及び前記第2相関関係は、厚さ、速度、圧力を変数値とする回帰モデルである。
【0157】
上記実現可能な実施形態の実現可能な例において、前記取得モジュール401はさらに、前記冷間プレス機が停止して再起動した後、前記極性シートの冷間プレス後の最新の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の最新の現在の圧延速度を取得するステップに用いられ、
前記決定モジュール402はさらに、前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の前記回帰モデルに基づき、前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定するステップに用いられる。
【0158】
前記制御モジュール403はさらに、前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて停止して再起動した後の前記冷間プレス機を制御して圧力を出力し、それにより前記冷間プレス機は、次の時点では前記冷間プレス機出力圧力に基づいて前記極性シートを冷間プレスするステップに用いられる。
【0159】
上記実現可能な例において、前記取得モジュール401はさらに、前記最新の現在の厚さと前記最新の現在の圧延速度、及び停止して再起動する前の前記回帰モデルに基づき、前記現在の厚さと前記現在の圧延速度に対応する冷間プレス機出力圧力又は冷間プレス機調整圧力を決定し、前記冷間プレス機出力圧力又は前記冷間プレス機調整圧力に基づいて、停止して再起動した後の前記冷間プレス機が圧力を出力するように制御するステップの後、前記冷間プレス機が最新に出力した圧力値において、前記極性シートの最新の現在の厚さ及び前記冷間プレス機の最新の現在の圧延速度を再取得するするステップに用いられ、
前記制御モジュール403はさらに、再取得した前記最新の現在の厚さが予め設定された厚さの合理的な条件を満たし、且つ再取得した前記最新の現在の圧延速度が予め設定された速度の合理的な条件を満たす場合、再取得した前記最新の現在の厚さ、再取得した前記最新の現在の圧延速度、及び前記圧力値に基づき、前記回帰モデルのモデルパラメータを更新するステップに用いられる。
【0160】
なお、説明を簡潔にするために、実施例1で説明した内容の一部は、本実施例では詳細な説明を省略する。
【0161】
実施例4
図5を参照すると、本実施例はプロセッサ501と、メモリ502と、通信バス503と、を含む電子機器を提供する。
【0162】
通信バス503は、プロセッサ501とメモリ502との間の接続通信を実現するために用いられる。
【0163】
メモリ502には、本願の実施例が提供する中間層における要求変換器、プロセスプロセッサ及び応答変換器を実現するためのプログラムコードが記憶される。
【0164】
プロセッサ501はメモリ502に記憶されたプログラムコードを呼び出し、上記実施例2における冷間プレス機の圧力制御方法を実現することに用いられる。
【0165】
理解すべきこととして、
図5に示される構造は例示的なものに過ぎず、電子機器は
図5に示されるよりも多いか又は少ないアセンブリを含むもの、又は
図5に示されるものとは異なる構成を有するものであってもよい。
【0166】
なお、本実施例が提供する電子機器は冷間プレス機自体であってもよく、また、冷間プレス機内にインストールされ、又は冷間プレス機と通信接続されるPLC(Programmable Logic Controller、プログラマブルロジックコントローラ)であってもよい。
【0167】
本実施例はさらに、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、USBメモリ、SDカード(Secure Digital Memory Card、セキュアデジタルカード)、MMC(Multimedia Card、マルチメディアカード)カード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に上記各ステップを実現する1つ又は複数のプログラムが記憶され、この1つ又は複数のプログラムは1つ又は複数のプロセッサにより実行することができ、それにより上記実施例1及び/又は実施例2における冷間プレス機の圧力制御方法を実現する。ここでは説明を省略する。
【0168】
最後に説明すべきことは、以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前述の各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者は以下のことを理解すべきである。それは依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうち一部又は全部の技術的特徴を等価置換することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の実質を本出願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではなく、それらはいずれも本出願の特許請求の範囲及び明細書の範囲に包含されるべきである。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造又は実行順序の矛盾が存在しない限り、いずれも任意の形態で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。