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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20240703BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61N1/39
A61B18/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023543508
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2021030896
(87)【国際公開番号】W WO2023026346
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮本 久生
(72)【発明者】
【氏名】中神 一樹
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/136798(WO,A1)
【文献】特開2004-65529(JP,A)
【文献】国際公開第2019/200127(WO,A1)
【文献】特開2019-80792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 - A61N 1/39
A61B 18/00 - A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心腔内に挿入されて除細動を行う除細動カテーテルと、この除細動カテーテルの電極に直流電圧を印加する電源装置とを備えたカテーテルシステムであって、
前記除細動カテーテルは、絶縁性のチューブ部材と、前記チューブ部材の先端領域に装着された複数の第1電極からなる第1DC電極群と、前記第1DC電極群から基端側に離間して前記チューブ部材の前記先端領域に装着された、複数の第2電極からなる第2DC電極群と、前記第1DC電極群を構成する前記第1電極の各々に先端が接続された複数の第1リード線からなる第1リード線群と、前記第2DC電極群を構成する前記第2電極の各々に先端が接続された複数の第2リード線からなる第2リード線群とを備えてなり、
前記電源装置は、コンデンサを備えたDC電源部と、外部入力に基いて前記DC電源部を制御するとともに、前記DC電源部からの直流電圧の出力回路を有する演算処理部とを有し、
前記除細動カテーテルにより除細動を行うときには、前記DC電源部から、前記演算処理部の前記出力回路を経由して、前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群とに互いに異なる極性の電圧が印加され、
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動を行うことに先立って、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して、前記第1DC電極群から選ばれた1個の第1電極と、前記第2DC電極群から選ばれた1個の第2電極との間のインピーダンスが測定されるように制御することを特徴とする心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項2】
前記電源装置の前記演算処理部は、前記第1DC電極群またはこれを構成する前記第1電極と、前記第2DC電極群またはこれを構成する前記第2電極との間のインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定回路を有し、
前記電源装置は、前記第1リード線の各々の基端または前記第2リード線の各々の基端に接続され、前記基端の各々を、前記出力回路または前記インピーダンス測定回路に接続させることのできる複数のスイッチかならなるスイッチ群を有し、
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動を行うことに先立って、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して、前記第1DC電極群から選ばれた1個の第1電極と、前記第2DC電極群から選ばれた1個の第2電極との間のインピーダンスが、前記インピーダンス測定回路によって測定されるように、前記スイッチ群を制御することを特徴とする請求項1に記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項3】
前記第1DC電極群は、n個(nは2以上の整数)の前記第1電極から構成され、前記第2DC電極群はn個の前記第2電極から構成され、
前記電源装置の前記演算処理部は、前記第1DC電極群の先端からk番目(kは1~nの何れかの整数)の第1電極と、前記第2DC電極群の先端からk番目の第2電極との間のインピーダンスが、n回にわたり測定されるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項4】
前記電源装置の前記演算処理部は、測定された複数のインピーダンスのすべてが所定の値以下である場合にのみ除細動を行うことができるよう前記DC電源部を制御することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項5】
前記電源装置は表示手段を備えており、
前記電源装置の前記演算処理部は、所定の値を超えるインピーダンスが測定された場合に、当該インピーダンスが測定された第1電極と第2電極との組合せを表示するよう前記表示手段を制御することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の心腔内除細動カテー
テルシステム。
【請求項6】
前記電源装置の前記演算処理部は、所定の値を超えるインピーダンスが測定された原因となった第1電極および/または第2電極を特定し、当該電極を表示するよう前記表示手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項7】
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動が行われた後において、再度、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して、前記第1DC電極群から選ばれた1個の第1電極と、前記第2DC電極群から選ばれた1個の第2電極との間のインピーダンスが測定されるように制御することを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項8】
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動が行われた直後に、前記第1電極と前記第2電極との間のインピーダンスの測定が開始されるよう制御することを特徴とする請求項7に記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項9】
前記電源装置の前記演算処理部は、さらに、前記第1DC電極群と前記第2DC電極群との間のインピーダンスが測定されるよう制御することを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項10】
心電計を更に備えた心腔内除細動カテーテルシステムであって、
前記電源装置は、前記DC電源部と、入力手段である外部スイッチと、前記演算処理部と、前記除細動カテーテルの第1DC電極群および第2DC電極群のそれぞれに電気的に接続されるカテーテル接続コネクタと、前記心電計の入力端子に接続される心電計接続コネクタと、前記カテーテル接続コネクタに接続されているとともに前記心電計接続コネクタおよび前記演算処理部に接続された分岐接続部とを備えてなり、
前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群および/または前記第2DC電極群を構成する前記電極により心内電位を測定するときには、前記除細動カテーテルからの心電位情報が、前記カテーテル接続コネクタ、前記分岐接続部および前記心電計接続コネクタを経由して前記心電計に入力され、
前記除細動カテーテルにより除細動を行うときには、前記DC電源部から、前記演算処理部の出力回路、前記分岐接続部および前記カテーテル接続コネクタを経由して、前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群とに、互いに異なる極性の電圧が印加され、
前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群との間のインピーダンス、または前記第1電極と前記第2電極との間のインピーダンスを測定するときには、測定されたインピーダンス情報が、前記カテーテル接続コネクタ、前記分岐接続部および前記演算処理部のインピーダンス測定回路を経由して、当該演算処理部に入力されることを特徴とする請求項2に記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項11】
心腔内に挿入されて除細動を行う除細動カテーテルと、この除細動カテーテルの電極に直流電圧を印加する電源装置とを備えたカテーテルシステムであって、
前記除細動カテーテルは、絶縁性のチューブ部材と、前記チューブ部材の先端領域に装着された複数の第1電極からなる第1DC電極群と、前記第1DC電極群から基端側に離間して前記チューブ部材の前記先端領域に装着された、複数の第2電極からなる第2DC電極群と、前記第1DC電極群を構成する前記第1電極の各々に先端が接続された複数の第1リード線からなる第1リード線群と、前記第2DC電極群を構成する前記第2電極の各々に先端が接続された複数の第2リード線からなる第2リード線群とを備えてなり、
前記電源装置は、コンデンサを備えたDC電源部と、演算処理部とを備えてなり、前記演算処理部は、外部入力に基いて前記DC電源部を制御するとともに、前記DC電源部か
らの直流電圧の出力回路と、前記第1DC電極群と前記第2DC電極群との間のインピーダンス並びに前記第1DC電極群または前記第2DC電極群を構成する電極間のインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定回路を有し、
前記除細動カテーテルにより除細動を行うときには、前記DC電源部から、前記演算処理部の前記出力回路を経由して、前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群とに互いに異なる極性の電圧が印加され、
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動を行うことに先立って、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して、前記第1DC電極群および前記第2DC電極群から選ばれた2つの電極の間のインピーダンスが、前記インピーダンス測定回路によって測定されるように制御することを特徴とする心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項12】
前記第1DC電極群および前記第2DC電極群から選ばれた2つの前記電極が、互いに隣り合う電極であることを特徴とする請求項11に記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項13】
前記インピーダンス測定回路を含む前記演算処理部の一部が前記電源装置の外部に配置されていることを特徴とする請求項2または11に記載の心腔内除細動カテーテルシステム。
【請求項14】
アブレーションを行うための電極カテーテルと、前記電極カテーテルの電極にエネルギーを印加する電源装置とを備えたカテーテルシステムであって、
前記電極カテーテルは、絶縁性のチューブ部材と、前記チューブ部材の先端領域に装着された複数の電極からなる電極群と、前記電極群を構成する前記電極の各々に先端が接続された複数のリード線からなるリード線群とを備えてなり、
前記電源装置は、電源部と、外部入力に基いて前記電源部を制御する演算処理部とを備えてなり、前記演算処理部は、前記電源部からのエネルギーの出力回路と、前記電極群を構成する電極間のインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定回路を有し、
前記電極カテーテルによりアブレーションを行うときには、前記電源部から、前記演算処理部の前記出力回路を経由して、前記電極群を構成する前記電極にエネルギーが印加され、
前記電源装置の前記演算処理部は、アブレーションを行うことに先立って、前記電極群を構成するすべての電極に対して、前記電極群から選ばれた2つの電極の間のインピーダンスが前記インピーダンス測定回路によって測定されるように制御することを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項15】
パルスフィールドアブレーションを行うための請求項14に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルシステムに関し、特に、心腔内に挿入される除細動カテーテルと、この除細動カテーテルの電極に直流電圧を印加する電源装置とを備えた心腔内除細動カテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動等を起こした心臓の除細動治療を行うための心腔内除細動カテーテルシステムとして、本出願人は、心腔内に挿入されて除細動を行う除細動カテーテルと、この除細動カテーテルの電極に直流電圧を印加する電源装置と、心電計とを備え;前記除細動カテーテルは、絶縁性のチューブ部材の先端領域に装着された複数のリング状電極からなる第1電極群と、前記第1電極群から基端側に離間して前記チューブ部材に装着された複数のリング状電極からなる第2電極群と、前記第1電極群を構成する電極の各々に先端が接続された複数のリード線からなる第1リード線群と、前記第2電極群を構成する電極の各々に先端が接続された複数のリード線からなる第2リード線群とを備えてなり;前記電源装置は、DC電源部と、前記除細動カテーテルの第1リード線群および第2リード線群の基端側に接続されるカテーテル接続コネクタと、前記心電計の入力端子に接続される心電計接続コネクタと、外部スイッチの入力に基いて前記DC電源部を制御するとともに、当該DC電源部からの直流電圧の出力回路を有する演算処理部と、1回路2接点の切替スイッチからなり、共通接点に前記カテーテル接続コネクタが接続され、第1接点に前記心電計接続コネクタが接続され、第2接点に前記演算処理部が接続された切替部とを備えてなり;前記除細動カテーテルの第1電極群および/または第2電極群を構成する電極により心電位を測定するときには、切替部において第1接点が選択され、前記除細動カテーテルからの心電位情報が、前記電源装置の前記カテーテル接続コネクタ、前記切替部および前記心電計接続コネクタを経由して前記心電計に入力され、前記除細動カテーテルにより除細動を行うときには、前記電源装置の前記演算処理部によって前記切替部の接点が第2接点に切り替わり、前記DC電源部から、前記演算処理部の出力回路、前記切替部および前記カテーテル接続コネクタを経由して、前記除細動カテーテルの前記第1電極群と、前記第2電極群とに、互いに異なる極性の電圧が印加されるカテーテルシステムを提案している(下記特許文献1参照)。
【0003】
この心腔内除細動カテーテルシステムによれば、心臓カテーテル術中に心房細動等を起こした心臓に対して、除細動に必要かつ十分な電気エネルギーを確実に供給することができる。また、除細動治療を必要としないときには、カテーテルシステムを構成する除細動カテーテルを心電位測定用の電極カテーテルとして用いることができる。
特許文献1に記載された心腔内除細動カテーテルシステムによる除細動治療において、「心電位測定モード」にある電源装置のモード切替スイッチを入力することにより、電源装置のモードが一定時間(例えば1秒間)「除細動モード」に切り替わる。この間に、除細動カテーテルの第1電極群と第2電極群との間のインピーダンスが測定される。その後、印加エネルギー設定スイッチを入力して、除細動を行う際に印加する電気エネルギーを設定し、充電スイッチを入力することにより、測定されたインピーダンスと設定した電気エネルギーに基いて決定される電圧がDC電源部にチャージされる。チャージ完了後、エネルギー印加スイッチを入力することにより、切替部の接点が第1接点から第2接点に切り替わり(これにより、電源装置のモードが「心電位測定モード」から「除細動モード」に切り替わり)、演算処理部からの制御信号を受けたDC電源部から、演算処理部の出力回路、切替部およびカテーテル接続コネクタを経由して、除細動カテーテルの第1電極群と、第2電極群とに、互いに異なる極性の直流電圧が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4545216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカテーテルシステムを構成する除細動カテーテルにおいて、第1リード線群を構成する複数のリード線および第2リード線群を構成する複数のリード線のうち、一部のリード線が断線していることが考えられる。
一部のリード線が断線している除細動カテーテルによっては、所期の治療ができないばかりか、断線しているリード線が接続された電極以外の電極に印加されるエネルギーが増大(除細動エネルギーが集中)して、当該電極が位置している部位において、患者の心腔内組織に損傷を及ぼすリスクが考えられる。
なお、リード線の断線は、除細動治療中に、除細動を行ったことによるピーク電流の影響や患者の体動などにより起こることも考えられる。
【0006】
しかしながら、一部のリード線が断線していることを把握することはきわめて困難である。例えば、一部のリード線の断線に伴い、第1電極群と第2電極群との間で測定されるインピーダンスは上昇するが、電極群間のインピーダンスの値は患者によってもバラツキがあるため、インピーダンスの上昇が認められても、それが直ちに断線によるものであると判断することはできない。
また、断線したリード線が接続された電極により測定される心電図にはノイズが生じる傾向があるが、このノイズについても断線によるものかどうか判断することはできない。特に、除細動を行った直後における心電図にはノイズが生じやすく、このノイズの原因は断線以外である場合が多い。
【0007】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、除細動カテーテルを構成するリード線の断線を迅速かつ確実に検知することができる除細動カテーテルシステムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、リード線が断線しているときに除細動が行われることを防止することができる除細動カテーテルシステムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、断線しているリード線(これが接続されている電極)を特定してオペレータに認識させることができる除細動カテーテルシステムを提供することにある。
本発明の第4の目的は、除細動治療中にリード線が断線した場合でも、これを検知することができる除細動カテーテルシステムを提供することにある。
本発明の第5の目的は、電極カテーテルを構成するリード線の断線を迅速かつ確実に検知することができるカテーテルシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムは、心腔内に挿入されて除細動を行う除細動カテーテルと、この除細動カテーテルの電極に直流電圧を印加する電源装置とを備えたカテーテルシステムであって、
前記除細動カテーテルは、絶縁性のチューブ部材と、前記チューブ部材の先端領域に装着された複数の第1電極からなる第1DC電極群と、前記第1DC電極群から基端側に離間して前記チューブ部材の前記先端領域に装着された、複数の第2電極からなる第2DC電極群と、前記第1DC電極群を構成する前記第1電極の各々に先端が接続された複数の第1リード線からなる第1リード線群と、前記第2DC電極群を構成する前記第2電極の各々に先端が接続された複数の第2リード線からなる第2リード線群とを備えてなり、
前記電源装置は、コンデンサを備えたDC電源部と、外部入力に基いて前記DC電源部
を制御するとともに、前記DC電源部からの直流電圧の出力回路を有する演算処理部とを有し、
前記除細動カテーテルにより除細動を行うときには、前記DC電源部から、前記演算処理部の前記出力回路を経由して、前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群とに互いに異なる極性の電圧が印加され、
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動を行うことに先立って、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して(前記第1電極および前記第2電極のすべてが選ばれるまで繰り返して)、前記第1DC電極群から選ばれた1個の第1電極と、前記第2DC電極群から選ばれた1個の第2電極との間のインピーダンスが測定されるように制御することを特徴とする。
【0009】
(2)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記電源装置の前記演算処理部は、前記第1DC電極群またはこれを構成する前記第1電極と、前記第2DC電極群またはこれを構成する前記第2電極との間のインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定回路を有し、
前記電源装置は、前記第1リード線の各々の基端または前記第2リード線の各々の基端に接続され、前記基端の各々を、前記出力回路または前記インピーダンス測定回路に接続させることのできる複数のスイッチかならなるスイッチ群を有し、
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動を行うことに先立って、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して(前記第1電極および前記第2電極のすべてが選ばれるまで繰り返して)、前記第1DC電極群から選ばれた1個の第1電極と、前記第2DC電極群から選ばれた1個の第2電極との間のインピーダンスが、前記インピーダンス測定回路によって測定されるように、前記スイッチ群を制御することが好ましい。
【0010】
このような構成の除細動カテーテルシステムによれば、第1DC電極群から選ばれた1個の第1電極と、第2DC電極群から選ばれた1個の第2電極との間で測定されたインピーダンスが所定の値以下である場合には、これらの電極に接続されているリード線(第1リード線および第2リード線)が断線していないと判断することができ、測定されたインピーダンスが所定の値を超えている場合には、これらの電極に接続されているリード線の少なくとも一方が断線していると判断することができる。
また、インピーダンスの測定は、第1DC電極群を構成するすべての第1電極および第2DC電極群を構成するすべての第2電極を対象にして行われる(構成電極のすべてが選ばれるまでインピーダンスの測定が繰り返される)ので、これらの電極に接続されているすべてのリード線について、断線の有無をチェックすることができる。
【0011】
(3)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記第1DC電極群は、n個(nは、2以上の整数)の前記第1電極から構成され、前記第2DC電極群はn個の前記第2電極から構成され、
前記電源装置の前記演算処理部は、前記第1DC電極群の先端からk番目(kは1~nの何れかの整数)の第1電極と、前記第2DC電極群の先端からk番目の第2電極との間のインピーダンスが(前記インピーダンス測定回路よって)n回にわたり測定されるように、(前記スイッチ群を)制御することが好ましい。
【0012】
このような構成の除細動カテーテルシステムによれば、第1DC電極群の先端からk(1,2,3・・・・n-2,n-1,n)番目の第1電極と、第2DC電極群の先端からk(1,2,3・・・・n-2,n-1,n)番目の第2電極との間のインピーダンスが測定され、n回の測定によって、第1DC電極群を構成するn個の第1電極の各々に接続されたn本の第1リード線および第2DC電極群を構成するn個の第2電極の各々に接続されたn本の第2リード線について断線の有無をチェックすることができる。
また、インピーダンスが測定される電極間の距離が実質的に同一であるため、電極間の距離が異なることによる測定値への影響(誤差)を排除することができる。
【0013】
(4)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記電源装置の前記演算処理部は、測定された複数のインピーダンスのすべてが所定の値以下である場合にのみ除細動を行うことができるよう前記DC電源部を制御することが好ましい。
【0014】
このような構成の除細動カテーテルシステムによれば、所定の値を超えるインピーダンスが1回でも測定された場合には、直流電圧の印加(除細動)が行われないので、リード線の断線に起因する組織損傷の発生を確実に回避することができる。
【0015】
(5)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記電源装置は表示手段を備えており、前記電源装置の前記演算処理部は、所定の値を超えるインピーダンスが測定された場合に、当該インピーダンスが測定された第1電極と第2電極との組合せを表示するよう前記表示手段を制御することが好ましい。
【0016】
このような構成の除細動カテーテルシステムによれば、所定の値を超えるインピーダンスが測定された第1電極および第2電極にそれぞれ接続されているリード線の少なくとも一方が断線していることを把握することができる。
【0017】
(6)上記(5)の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記電源装置の前記演算処理部は、所定の値を超えるインピーダンスが測定された原因となった第1電極および/または第2電極を特定し、当該電極を表示するよう前記表示手段を制御することが好ましい。
【0018】
このような構成の除細動カテーテルシステムによれば、断線しているリード線を特定してオペレータに認識させることができる。
【0019】
ここに、原因となった電極は、所定の値を超えるインピーダンスが測定された第1電極および第2電極の各々と、所定の値以下のインピーダンスが測定された第2電極および第1電極の各々との間のインピーダンスを測定することにより特定することができる。
例えば、第1DC電極群の先端から3番目の第1電極と、第2DC電極群の先端から3番目の第2電極との間のインピーダンスのみが所定の値を超えた場合に、先端から3番目の第1電極と、先端から2番目の第2電極との間のインピーダンスを測定するとともに、先端から2番目の第1電極と、先端から3番目の第2電極との間のインピーダンスを測定する。
【0020】
このとき、先端から3番目の第1電極と、先端から2番目の第2電極との間のインピーダンスが所定の値を超えていれば、先端から3番目の第1電極に接続された第1リード線が断線していると判断することができ、先端から2番目の第1電極と、先端から3番目の第2電極との間のインピーダンスが所定の値を超えていれば、先端から3番目の第2電極に接続された第2リード線が断線していると判断することができる。
【0021】
(7)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記電源装置の前記演算処理部は、除細動が行われた後において、再度、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して、前記第1DC電極群から選ばれた1個の第1電極と、前記第2DC電極群から選ばれた1個の第2電極との間のインピーダンスが測定されるように制御することが好ましい。
【0022】
このような構成の心腔内除細動カテーテルシステムによれば、除細動を行った後に断線
が生じたときには、これを認識することができ、除細動治療を中止して患者の安全を確保することができる。
【0023】
(8)上記(7)の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記電源装置の前記演算処理部は、除細動が行われた直後にインピーダンスの測定が開始されるよう制御することが好ましい。
【0024】
このような構成の心腔内除細動カテーテルシステムによれば、除細動が行われた後、心電位が安定するまでの待機時間を利用してインピーダンスの測定を行うことにより、待機時間を有効利用して、次に除細動を行うまでの時間を短縮することができる。
ここに、「インピーダンスの測定を直ちに開始する」とは、例えば、次の除細動を行うための操作(例えば、除細動/インピーダンス測定モードとするためのモード切替スイッチの入力)を待たないで測定を開始することを意味する。
【0025】
(9)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記電源装置の前記演算処理部は、さらに、前記第1DC電極群と前記第2DC電極群との間(電極群間)のインピーダンスが測定されるよう制御することが好ましい。
【0026】
(10)上記(2)の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、心電計を更に備えてなり、
前記電源装置は、前記DC電源部と、入力手段である外部スイッチと、前記演算処理部と、前記除細動カテーテルの第1DC電極群および第2DC電極群のそれぞれに電気的に接続されるカテーテル接続コネクタと、前記心電計の入力端子に接続される心電計接続コネクタと、前記カテーテル接続コネクタに接続されているとともに前記心電計接続コネクタおよび前記演算処理部に接続された分岐接続部とを備えてなり、
前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群および/または前記第2DC電極群を構成する前記電極(第1電極および/または第2電極)により心内電位を測定するときには、前記除細動カテーテルからの心電位情報が、前記カテーテル接続コネクタ、前記分岐接続部および前記心電計接続コネクタを経由して前記心電計に入力され、
前記除細動カテーテルにより除細動を行うときには、前記DC電源部から、前記演算処理部の出力回路、前記分岐接続部および前記カテーテル接続コネクタを経由して、前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群とに、互いに異なる極性の電圧が印加され、
前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群との間のインピーダンス、または前記第1電極と前記第2電極との間のインピーダンスを測定するときには、測定されたインピーダンス情報が、前記カテーテル接続コネクタ、前記分岐接続部および前記演算処理部のインピーダンス測定回路を経由して、当該演算処理部に入力されることが好ましい。
【0027】
(11)本発明の心腔内除細動カテーテルシステムは、心腔内に挿入されて除細動を行う除細動カテーテルと、この除細動カテーテルの電極に直流電圧を印加する電源装置とを備えたカテーテルシステムであって、
前記除細動カテーテルは、絶縁性のチューブ部材と、前記チューブ部材の先端領域に装着された複数の第1電極からなる第1DC電極群と、前記第1DC電極群から基端側に離間して前記チューブ部材の前記先端領域に装着された、複数の第2電極からなる第2DC電極群と、前記第1DC電極群を構成する前記第1電極の各々に先端が接続された複数の第1リード線からなる第1リード線群と、前記第2DC電極群を構成する前記第2電極の各々に先端が接続された複数の第2リード線からなる第2リード線群とを備えてなり、
前記電源装置は、コンデンサを備えたDC電源部と、演算処理部とを備えてなり、前記演算処理部は、外部入力に基いて前記DC電源部を制御するとともに、前記DC電源部か
らの直流電圧の出力回路と、前記第1DC電極群と前記第2DC電極群との間のインピーダンス並びに前記第1DC電極群または前記第2DC電極群を構成する電極間のインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定回路を有し、
前記除細動カテーテルにより除細動を行うときには、前記DC電源部から、前記演算処理部の前記出力回路を経由して、前記除細動カテーテルの前記第1DC電極群と前記第2DC電極群とに互いに異なる極性の電圧が印加され、
前記電源装置の前記演算処理部は、除細動を行うことに先立って、前記第1DC電極群を構成するすべての前記第1電極および前記第2DC電極群を構成するすべての前記第2電極に対して(前記第1電極および前記第2電極のすべてが選ばれるまで繰り返して)、前記第1DC電極群および前記第2DC電極群から選ばれた2つの電極の間のインピーダンスが、前記インピーダンス測定回路によって測定されるように制御することを特徴とする。
このような構成の心腔内除細動カテーテルシステムによれば、第1電極と第2電極との間のインピーダンスだけでなく、同一のDC電極群間(第1電極と第1電極との間および第2電極と第2電極との間)のインピーダンスも測定することができる。
【0028】
(12)上記(11)の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記第1DC電極群および前記第2DC電極群から選ばれた2つの前記電極が、互いに隣り合う電極(第1電極および/または第2電極)であることが好ましい。
このような構成の心腔内除細動カテーテルシステムによれば、インピーダンスが測定される電極間の距離を最小にすることができ、電極間の距離が大きくなることによる測定値への影響(誤差)を排除することができる。
【0029】
(13)上記(2)または(11)の心腔内除細動カテーテルシステムにおいて、前記インピーダンス測定回路を含む前記演算処理部の一部が前記電源装置の外部に配置されていてもよい。
【0030】
(14)本発明のカテーテルシステムは、アブレーションを行うための電極カテーテルと、前記電極カテーテルの電極にエネルギーを印加する電源装置とを備えたカテーテルシステムであって、
前記電極カテーテルは、絶縁性のチューブ部材と、前記チューブ部材の先端領域に装着された複数の電極からなる電極群と、前記電極群を構成する前記電極の各々に先端が接続された複数のリード線からなるリード線群とを備えてなり、
前記電源装置は、電源部と、外部入力に基いて前記電源部を制御する演算処理部とを備えてなり、前記演算処理部は、前記電源部からのエネルギーの出力回路と、前記電極群を構成する電極間のインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定回路を有し、
前記電極カテーテルによりアブレーションを行うときには、前記電源部から、前記演算処理部の前記出力回路を経由して、前記電極群を構成する前記電極にエネルギーが印加され、
前記電源装置の前記演算処理部は、アブレーションを行うことに先立って、前記電極群を構成するすべての電極に対して、前記電極群から選ばれた2つの電極の間のインピーダンスが前記インピーダンス測定回路によって測定されるように制御することを特徴とする。
【0031】
(15)上記(14)のカテーテルシステムは、パルスフィールドアブレーション(PFA)を行うために好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のカテーテルシステムによれば、リード線の断線を迅速かつ確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の心腔内除細動カテーテルシステムの一実施形態を示すブロック図である。
図2図1に示したカテーテルシステムを構成する除細動カテーテルを示す説明用平面図である。
図3図1に示したカテーテルシステムを構成する除細動カテーテルを示す説明用平面図(寸法および硬度を説明するための図)である。
図4図2のA-A断面を示す横断面図である。
図5図2のB-B断面、C-C断面、D-D断面を示す横断面図である。
図6図2に示した除細動カテーテルの一実施形態のハンドルの内部構造を示す斜視図である。
図7図1に示したカテーテルシステムにおいて、除細動カテーテルのコネクタと、電源装置のカテーテル接続コネクタとの連結状態を模式的に示す説明図である。
図8図1に示したカテーテルシステムにおける電源装置の動作および操作を示すフローチャートである。
図9図1に示したカテーテルシステムにおいて、主電源スイッチをONした後の心電位測定モードにおける心電位情報の流れを示すブロック図である。
図10図1に示したカテーテルシステムにおいて、モード切替スイッチの入力後の除細動/インピーダンス測定モードにおける電極群間のインピーダンスの測定値に係る情報および心電位情報の流れを示すブロック図である。
図11図1に示したカテーテルシステムにおいて、モード切替スイッチを入力してから一定時間経過後の心電位測定モードにおける心電位情報の流れを示すブロック図である。
図12図1に示したカテーテルシステムにおいて、印加準備スイッチの入力後における心電位情報の流れを示すブロック図である。
図13図1に示したカテーテルシステムにおいて、印加実行スイッチの入力後における心電位情報の流れを示すブロック図である。
図14図1に示したカテーテルシステムにおいて、印加実行スイッチの入力後における直流電圧印加時の状態を示すブロック図である。
図15A】インピーダンスの測定と直流電圧の印加とを切り替えるための回路図であり、第1電極と第2電極との間のインピーダンスを測定可能な状態を示している。
図15B】インピーダンスの測定と直流電圧の印加とを切り替えるための回路図であり、第1DC電極群と第2DC電極群との間のインピーダンスを測定可能な状態を示している。
図15C】インピーダンスの測定と直流電圧の印加とを切り替えるための回路図であり、第1DC電極群と第2DC電極群とに直流電圧を印加可能な状態を示している。
図16A】インピーダンスの測定と直流電圧の印加とを切り替えるための回路図であり、隣り合う第1電極間のインピーダンスを測定可能な状態を示している。
図16B】インピーダンスの測定と直流電圧の印加とを切り替えるための回路図であり、隣り合う第2電極間のインピーダンスを測定可能な状態を示している。
図16C】インピーダンスの測定と直流電圧の印加とを切り替えるための回路図であり、第1DC電極群と第2DC電極群との間のインピーダンスを測定可能な状態を示している。
図16D】インピーダンスの測定と直流電圧の印加とを切り替えるための回路図であり、第1DC電極群と第2DC電極群とに直流電圧を印加可能な状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の心腔内除細動カテーテルシステムは、除細動カテーテ
ル100と、電源装置700と、心電計800と、心電位測定手段900とを備えている。
図2図6に示すように、本実施形態のカテーテルシステムを構成する除細動カテーテル100は、マルチルーメンチューブ10と、ハンドル20と、第1DC電極群31Gと、第2DC電極群32Gと、基端側電位測定電極群33Gと、第1リード線群41Gと、第2リード線群42Gと、第3リード線群43Gとを備えている。
【0035】
図4および図5に示すように、マルチルーメンチューブ10には、4つのルーメン(第1ルーメン11、第2ルーメン12、第3ルーメン13、第4ルーメン14)が形成されている。
【0036】
図4および図5において、15は、ルーメンを区画するフッ素樹脂層、16は、低硬度のナイロンエラストマーからなるインナー(コア)部、17は、高硬度のナイロンエラストマーからなるアウター(シェル)部であり、図4における18は、編組ブレードを形成するステンレス素線である。
【0037】
本実施形態における除細動カテーテル100を構成するハンドル20は、ハンドル本体21と、摘まみ22と、ストレインリリーフ24とを備えている。摘まみ22を回転操作することにより、マルチルーメンチューブ10の先端部を偏向(首振り)させることができる。
【0038】
マルチルーメンチューブ10の先端領域には、第1DC電極群31G、第2DC電極群32Gおよび基端側電位測定電極群33Gが装着されている。ここに、「電極群」とは、同一の極を構成し(同一の極性を有し)、または、同一の目的を持って、狭い間隔(例えば5mm以下)で装着された複数の電極の集合体をいう。
【0039】
第1DC電極群31Gは、マルチルーメンチューブ10の先端領域に装着された8個のリング状の第1電極31から構成されている。第1DC電極群31Gを構成する第1電極31は、第1リード線群41Gを構成する第1リード線41および後述するコネクタを介して、電源装置700のカテーテル接続コネクタ72に接続されている。
除細動カテーテル100の使用時(心腔内に配置されるとき)において、第1DC電極群31Gは、例えば冠状静脈洞(CS)に位置する。
【0040】
第2DC電極群32Gは、第1DC電極群31Gの装着位置から基端側に離間してマルチルーメンチューブ10の先端領域に装着された8個のリング状の第2電極32から構成されている。第2DC電極群32Gを構成する第2電極32は、第2リード線群42Gを構成する第2リード線42および後述するコネクタを介して、電源装置700のカテーテル接続コネクタ72に接続されている。
除細動カテーテル100の使用時(心腔内に配置されるとき)において、第2DC電極群32Gは、例えば右心房(RA)に位置する。
【0041】
基端側電位測定電極群33Gは、第2DC電極群32Gの装着位置から基端側に離間してマルチルーメンチューブ10の先端領域に装着された4個のリング状の第3電極33から構成されている。基端側電位測定電極群33Gを構成する第3電極33は、第3リード線群43Gを構成する第3リード線43および後述するコネクタを介して、電源装置700のカテーテル接続コネクタ72に接続されている。
除細動カテーテル100の使用時(心腔内に配置されるとき)において、基端側電位測定電極群33Gは、例えば上大静脈(SVC)に位置する。
【0042】
除細動カテーテル100の先端には、先端チップ35が装着されている。
この先端チップ35には、リード線は接続されておらず、本実施形態では電極として使用していない。
【0043】
図4および図5に示される第1リード線群41Gは、第1DC電極群31Gを構成する8個の第1電極31の各々に接続された8本の第1リード線41の集合体である。
第1リード線群41Gにより、第1DC電極群31Gを構成する8個の第1電極31の各々を電源装置700に電気的に接続することができる。
【0044】
第1DC電極群31Gを構成する8個の第1電極31は、それぞれ、異なる第1リード線41に接続される。第1リード線41の各々は、その先端部分において第1電極31の内周面に溶接されるとともに、マルチルーメンチューブ10の管壁に形成された側孔から第1ルーメン11に進入する。第1ルーメン11に進入した8本の第1リード線41は、第1リード線群41Gとして、第1ルーメン11に延在する。
【0045】
図4および図5に示される第2リード線群42Gは、第2DC電極群32Gを構成する8個の第2電極32の各々に接続された8本の第2リード線42の集合体である。
第2リード線群42Gにより、第2DC電極群32Gを構成する8個の第2電極32の各々を電源装置700に電気的に接続することができる。
【0046】
第2DC電極群32Gを構成する8個の第2電極32は、それぞれ、異なる第2リード線42に接続される。第2リード線42の各々は、その先端部分において第2電極32の内周面に溶接されるとともに、マルチルーメンチューブ10の管壁に形成された側孔から第2ルーメン12に進入する。第2ルーメン12に進入した8本の第2リード線42は、第2リード線群42Gとして、第2ルーメン12に延在する。
【0047】
上記のように、第1リード線群41Gが第1ルーメン11に延在し、第2リード線群42Gが第2ルーメン12に延在していることにより、両者は、マルチルーメンチューブ10内において完全に絶縁隔離されている。このため、除細動に必要な電圧が印加されたときに、第1リード線群41G(第1DC電極群31G)と、第2リード線群42G(第2DC電極群32G)との間の短絡を確実に防止することができる。
【0048】
図4に示される第3リード線群43Gは、基端側電位測定電極群33Gを構成する第3電極33の各々に接続された4本の第3リード線43の集合体である。
第3リード線群43Gにより、基端側電位測定電極群33Gを構成する第3電極33の各々を電源装置700に電気的に接続することができる。
【0049】
基端側電位測定電極群33Gを構成する4個の第3電極33は、それぞれ、異なる第3リード線43に接続されている。第3リード線43の各々は、その先端部分において第3電極33の内周面に溶接されるとともに、マルチルーメンチューブ10の管壁に形成された側孔から第3ルーメン13に進入する。第3ルーメン13に進入した4本の第3リード線43は、第3リード線群43Gとして、第3ルーメン13に延在する。
【0050】
上記のように、第3ルーメン13に延在している第3リード線群43Gは、第1リード線群41Gおよび第2リード線群42Gの何れからも完全に絶縁隔離されている。このため、除細動に必要な電圧が印加されたときに、第3リード線群43G(基端側電位測定電極群33G)と、第1リード線群41G(第1DC電極群31G)または第2リード線群42G(第2DC電極群32G)との間の短絡を確実に防止することができる。
【0051】
図4および図5において65はプルワイヤである。
プルワイヤ65は、第4ルーメン14に延在し、マルチルーメンチューブ10の中心軸
に対して偏心して延びている。プルワイヤ65の先端部分は、ハンダによって先端チップ35に固定されている。一方、プルワイヤ65の基端部分は、ハンドル20の摘まみ22に接続されており、摘まみ22を操作することによってプルワイヤ65が引っ張られ、これにより、マルチルーメンチューブ10の先端部が偏向する。
【0052】
本実施形態における除細動カテーテル100は、ハンドル20の内部においても、第1リード線群41Gと、第2リード線群42Gと、第3リード線群43Gとが絶縁隔離されている。
【0053】
図6は、本実施形態における除細動カテーテル100のハンドルの内部構造を示す斜視図である。図6に示すように、マルチルーメンチューブ10の基端部は、ハンドル20の先端開口に挿入され、これにより、マルチルーメンチューブ10とハンドル20とが接続されている。
【0054】
ハンドル20の基端部には、円筒状のコネクタ50が内蔵されている。
ハンドル20の内部には、3つのリード線群(第1リード線群41G、第2リード線群42G、第3リード線群43G)の各々が挿通される3本の絶縁性チューブ(第1絶縁性チューブ26、第2絶縁性チューブ27、第3絶縁性チューブ28)が延在している。
【0055】
第1絶縁性チューブ26の先端部は、マルチルーメンチューブ10の第1ルーメン11に挿入され、これにより、第1絶縁性チューブ26は、第1リード線群41Gが延在する第1ルーメン11に連結されている。
第1絶縁性チューブ26は、ハンドル20の内部に延在する第1の保護チューブ61の内孔を通ってコネクタ50の近傍まで延びており、第1リード線群41Gの基端部をコネクタ50の近傍に案内する挿通路を形成している。
第1絶縁性チューブ26の基端開口から延び出した第1リード線群41Gは、8本の第1リード線41にばらされ、これら第1リード線41の各々は、コネクタ50の先端面に配置されたピン端子の各々にハンダにより接続固定されている。
【0056】
第2絶縁性チューブ27の先端部は、マルチルーメンチューブ10の第2ルーメン12に挿入され、これにより、第2絶縁性チューブ27は、第2リード線群42Gが延在する第2ルーメン12に連結されている。
第2絶縁性チューブ27は、ハンドル20の内部に延在する第2の保護チューブ62の内孔を通ってコネクタ50の近傍まで延びており、第2リード線群42Gの基端部をコネクタ50の近傍に案内する挿通路を形成している。
第2絶縁性チューブ27の基端開口から延び出した第2リード線群42Gは、8本の第2リード線42にばらされ、これら第2リード線42の各々は、コネクタ50の先端面に配置されたピン端子の各々にハンダにより接続固定されている。
【0057】
第3絶縁性チューブ28の先端部は、マルチルーメンチューブ10の第3ルーメン13に挿入され、これにより、第3絶縁性チューブ28は、第3リード線群43Gが延在する第3ルーメン13に連結されている。
第3絶縁性チューブ28は、ハンドル20の内部に延在する第2の保護チューブ62の内孔を通ってコネクタ50の近傍まで延びており、第3リード線群43Gの基端部をコネクタ50の近傍に案内する挿通路を形成している。
第3絶縁性チューブ28の基端開口から延び出した第3リード線群43Gは、4本の第3リード線43にばらされ、これら第3リード線43の各々は、コネクタ50の先端面に配置されたピン端子の各々にハンダにより接続固定されている。
【0058】
上記のような構成を有する本実施形態における除細動カテーテル100によれば、第1
絶縁性チューブ26内に第1リード線群41Gが延在し、第2絶縁性チューブ27内に第2リード線群42Gが延在し、第3絶縁性チューブ28内に第3リード線群43Gが延在していることで、ハンドル20の内部においても、第1リード線群41Gと、第2リード線群42Gと、第3第3リード線43Gとを完全に絶縁隔離することができる。
【0059】
図1に示したように、本実施形態のカテーテルシステムを構成する電源装置700は、DC電源部71と、カテーテル接続コネクタ72と、心電計接続コネクタ73と、外部スイッチ(入力手段)74と、演算処理部75と、分岐接続部76を構成する第1ON/OFFスイッチ761および第2ON/OFFスイッチ762と、心電図入力コネクタ77とを備えている。
【0060】
DC電源部71にはコンデンサが内蔵されている。
【0061】
カテーテル接続コネクタ72には、除細動カテーテル100の第1リード線群41G、第2リード線群42Gおよび第3リード線群43Gの各々の基端が接続されている。
これにより、カテーテル接続コネクタ72は、第1DC電極群31G、第2DC電極群32Gおよび基端側電位測定電極群33Gのそれぞれに電気的に接続されている。
【0062】
カテーテル接続コネクタ72は、除細動カテーテル100のコネクタ50と接続され、第1リード線群41G、第2リード線群42Gおよび第3リード線群43Gの基端側と電気的に接続される。
【0063】
図7に示すように、除細動カテーテル100のコネクタ50と、電源装置700のカテーテル接続コネクタ72とが、コネクタケーブルC1によって連結されることにより、
第1リード線群を構成する8本の第1リード線41を接続固定したピン端子51(実際には8個)と、カテーテル接続コネクタ72の端子721(実際には8個)、
第2リード線群を構成する8本の第2リード線42を接続固定したピン端子52(実際には8個)と、カテーテル接続コネクタ72の端子722(実際には8個)、
第3リード線群を構成する4本の第3リード線43を接続固定したピン端子53(実際には4個)と、カテーテル接続コネクタ72の端子723(実際には4個)が、それぞれ接続されている。
【0064】
ここに、カテーテル接続コネクタ72の端子721および端子722は、第1ON/OFFスイッチ761に接続され、端子723は、第1ON/OFFスイッチ761を経ることなく心電計接続コネクタ73に直接接続されている。
これにより、第1DC電極群31Gおよび第2DC電極群32Gにより測定された心電位情報は、第1ON/OFFスイッチ761を経由して心電計接続コネクタ73に到達し、基端側電位測定電極群33Gにより測定された心電位情報は、第1ON/OFFスイッチ761を経ることなく、心電計接続コネクタ73に到達する。
【0065】
心電計接続コネクタ73は、心電計800の入力端子に接続されている。
入力手段である外部スイッチ74は、電源装置700を起動させる主電源スイッチ740、心電位測定モードと除細動/インピーダンス測定モードとを切り替えるためのモード切替スイッチ741、除細動の際に印加する電気エネルギーを設定するための印加エネルギー設定スイッチ742、設定された電気エネルギーに基いて決定される電圧をDC電源部に蓄積するための充電スイッチ743、除細動を行う準備(リレーの切替え)をするためのエネルギー印加準備スイッチ744、電気エネルギーを印加して除細動を実行するためのエネルギー印加実行スイッチ745からなる。
これら外部スイッチ74からの入力信号はすべて演算処理部75に送られる。
【0066】
演算処理部75は、外部スイッチ74の入力に基づいて、DC電源部71、第1ON/OFFスイッチ761および第2ON/OFFスイッチ762を制御する。
この演算処理部75は、DC電源部71からの直流電圧を第2ON/OFFスイッチ762を介して除細動カテーテル100の電極に出力するための出力回路751と、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gまたはこれを構成する第1電極31と、第2DC電極群32Gまたはこれを構成する第2電極32との間のインピーダンス(IMP)を測定するためのIMP測定回路752と、動作確認(テスト)のために使用する抵抗値既知の内部抵抗753と、出力回路751およびIMP測定回路752の各々の接続先を内部抵抗753と第2ON/OFFスイッチ762との間で切り替える切替部754とを有している。
【0067】
出力回路751により、図7に示したカテーテル接続コネクタ72の端子721(最終的には、除細動カテーテル100の第1DC電極群31G)と、カテーテル接続コネクタ72の端子722(最終的には、除細動カテーテル100の第2DC電極群32G)とが互いに異なる極性となる(一方の電極群が-極のときには、他方の電極群は+極となる)ように直流電圧を印加することができる。
【0068】
IMP測定回路752により、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gと、第2DC電極群32Gとの間のインピーダンスを測定することができ、第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間(電極群間)のインピーダンスの測定値は、DC電源部71に蓄積させる目標電圧の決定に利用される。
【0069】
第1ON/OFFスイッチ761は、カテーテル接続コネクタ72に接続されるとともに心電計接続コネクタ73に接続されている。
第2ON/OFFスイッチ762は、カテーテル接続コネクタ72に接続されるとともに演算処理部75に接続されている。
【0070】
第1ON/OFFスイッチ761を「ON」とし、第2ON/OFFスイッチ762を「OFF」とすることにより、除細動カテーテル100からの心電位情報を、カテーテル接続コネクタ72、第1ON/OFFスイッチ761および心電計接続コネクタ73を経由して心電計800に入力させることができる(心電位測定モード)。
【0071】
また、切替部754を介して出力回路751と第2ON/OFFスイッチ762とが接続されている状態で、第1ON/OFFスイッチ761を「OFF」とし、第2ON/OFFスイッチ762を「ON」とすることにより、DC電源部71から、演算処理部75の出力回路751、切替部754、第2ON/OFFスイッチ762およびカテーテル接続コネクタ72を経由して、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとに互いに異なる極性の電圧を印加することができる(除細動/インピーダンス測定モード)。
【0072】
また、切替部754を介してIMP測定回路752と第2ON/OFFスイッチ762とが接続されている状態で、第1ON/OFFスイッチ761を「OFF」とし、第2ON/OFFスイッチ762を「ON」とすることにより、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間のインピーダンスを測定することができる。
【0073】
第1ON/OFFスイッチ761および第2ON/OFFスイッチ762の「ON」と「OFF」の切替えは、外部スイッチ74であるモード切替スイッチ741およびエネルギー印加準備スイッチ744の入力に基いて演算処理部75により制御される。
【0074】
IMP測定回路752は、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gと、第2DC電極群32Gとの間(電極群間)のインピーダンスを測定することができるとともに、第1DC電極群31Gを構成する第1電極31と、第2DC電極群32Gを構成する第2電極32との間(電極間)のインピーダンスを測定することもできる。
【0075】
演算処理部75は、除細動を行うことに先立って、第1DC電極群31Gを構成する8個の第1電極31(図15A~15Cに示す311~318)および第2DC電極群32Gを構成する8個の第2電極32(図15A~15Cに示す321~328)に対して(すなわち、すべての構成電極を測定対象にして)、1個の第1電極31と、1個の第2電極32との間のインピーダンスがIMP測定回路752によって測定されるように:後述するスイッチ群を制御する。
【0076】
図15A図15Cは、第1DC電極群31Gを構成する第1電極311~318の各々と、第2DC電極群32Gを構成する第2電極321~328の各々との間(電極間)のインピーダンスの測定と;第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間(電極群間)のインピーダンスの測定と;第1DC電極群31Gおよび第2DC電極群32Gへの直流電圧の印加(除細動の実行)とを切り替えるための回路構成を模式的に示している。
【0077】
図15A図15Cにおいて、789は、その共通接点にON/OFFスイッチ781~788が接続され、第1接点に出力回路751が接続され、第2接点にIMP測定回路752が接続された切替スイッチである。
799は、その共通接点にON/OFFスイッチ791~798が接続され、第1接点に出力回路751が接続され、第2接点にIMP測定回路752が接続された切替スイッチである。
【0078】
781~788は、第1電極311~318の各々と、切替スイッチ789との間に設けられたON/OFFスイッチである。ON/OFFスイッチ781~788は、第1電極311~318の各々に先端が接続された8本の第1リード線の各々の基端に接続され、第1リード線の各々の基端の各々を、切替スイッチ789を介して、出力回路751またはIMP測定回路752に接続させることができる。
【0079】
791~798は、第2電極321~328の各々と、切替スイッチ799との間に設けられたON/OFFスイッチである。ON/OFFスイッチ791~798は、第2電極321~328の各々に先端が接続された8本の第2リード線の各々の基端に接続され、第2リード線の各々の基端の各々を、切替スイッチ799を介して、出力回路751またはIMP測定回路752に接続させることができる。
【0080】
ON/OFFスイッチ781~788および791~798により、本実施形態におけるスイッチ群が構成されている。
ON/OFFスイッチ781~788および791~798によるスイッチ群、並びに切替スイッチ789および799は、電源装置700の内部に配置されている。
【0081】
ON/OFFスイッチ781~788および791~798における「ON」と「OFF」の切替え、並びに、切替スイッチ789および799における「第1接点」と「第2接点」の切替えは演算処理部75によって制御される。
【0082】
図15Aでは、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第2接点(IMP測定回路752)が選択されているとともに、ON/OFFスイッチ781~788のうちスイッチ781のみが「ON」であり、ON/OFFスイッチ791~798のうち
スイッチ791のみが「ON」である。これにより、第1電極311と第2電極321との間(電極間)のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0083】
このように、スイッチ781~788のうち、78X(Xは1~8の整数)で示されるスイッチのみを「ON」とし、スイッチ791~798のうち、79Y(Yは1~8の整数)で示されるスイッチのみを「ON」とすることにより、31Xで示される第1電極と、32Yで示される第2電極との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0084】
上記において、X=Yであること、すなわち、第1DC電極群31Gの先端からk番目(kは1~8の何れかの整数)の第1電極31kと、第2DC電極群32Gの先端からk番目の前記第2電極32kとの間のインピーダンスの測定を8回にわたり行うことにより、第1電極311~318および第2電極321~328のすべてを測定対象として選択することができる。
【0085】
図15Bでは、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第2接点(IMP測定回路752)が選択されているとともに、スイッチ781~788およびスイッチ791~798のすべてが「ON」である。これにより、第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間(電極群間)のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0086】
図15Cでは、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第1接点(出力回路751)が選択されているとともに、スイッチ781~788およびスイッチ791~798のすべてが「ON」である。これにより、出力回路751を経由して、第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとに互いに異なる極性の電圧を印加して、除細動を実行することが可能になる。
【0087】
心電図入力コネクタ77は、演算処理部75に接続され、また、心電計800の出力端子に接続される。
この心電図入力コネクタ77により、心電計800から出力される心電位情報(通常、心電計800に入力された心電位情報の一部)を演算処理部75に入力することができ、演算処理部75では、この心電位情報に基いて、DC電源部71、第1ON/OFFスイッチ761および第2ON/OFFスイッチ762を制御することができる。
【0088】
本実施形態のカテーテルシステムを構成する心電計800(入力端子)は、電源装置700の心電計接続コネクタ73に接続され、除細動カテーテル100(第1DC電極群31G、第2DC電極群32Gおよび基端側電位測定電極群33Gの構成電極)により測定された心電位情報は、心電計接続コネクタ73から心電計800に入力される。
【0089】
また、心電計800(他の入力端子)は心電位測定手段900にも接続され、心電位測定手段900により測定された心電位情報も心電計800に入力される。
ここに、心電位測定手段900としては、12誘導心電図を測定するために患者の体表面に貼付される電極パッド、患者の心臓内に装着される電極カテーテル(除細動カテーテル100とは異なる電極カテーテル)を挙げることができる。
【0090】
心電計800(出力端子)は、電源装置700の心電図入力コネクタ77に接続され、心電計800に入力された心電位情報(除細動カテーテル100からの心電位情報および心電位測定手段900からの心電位情報)の一部を、心電図入力コネクタ77から演算処理部75に送ることができる。
【0091】
本実施形態における除細動カテーテル100は、除細動治療を必要としないときには、心電位測定用の電極カテーテルとして用いることができる。
【0092】
除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gおよび/または第2DC電極群32Gを構成する電極によって測定された心電位は、カテーテル接続コネクタ72、第1ON/OFFスイッチ761および心電計接続コネクタ73を経由して心電計800に入力される。
また、除細動カテーテル100の基端側電位測定電極群33Gを構成する電極によって測定された心電位は、カテーテル接続コネクタ72から、第1ON/OFFスイッチ761を通ることなく直接心電計接続コネクタ73を経由して心電計800に入力される。
【0093】
除細動カテーテル100からの心電位情報(心電位波形)は、心電計800のモニタ(図示省略)に表示される。
また、除細動カテーテル100からの心電位情報の一部(例えば、第1DC電極群31Gを構成する第1電極31(第1極と第2極)間の電位差)を、心電計800から、心電図入力コネクタ77を経由して演算処理部75に入力することができる。
【0094】
上記のように、心臓カテーテル術中において除細動治療を必要としないときには、除細動カテーテル100を心電位測定用の電極カテーテルとして用いることができる(心電位測定モード)。
そして、心臓カテーテル術中において心房細動が起こったときには、電極カテーテルとして使用していた除細動カテーテル100によって直ちに除細動治療を行うことができる(除細動/インピーダンス測定モード)。この結果、心房細動が起きたときに、除細動のためのカテーテルを新に挿入するなどの手間を省くことができる。
【0095】
以下、本実施形態の心腔内除細動カテーテルシステムによる除細動治療の一例について、図8に示すフローチャートに沿って説明する。
【0096】
(1)電源装置700の主電源スイッチ740をONにする(STEP1)。
【0097】
(2)除細動カテーテル100を電源装置700(カテーテル接続コネクタ72)に接続する(STEP2)。
ここに、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gは冠状静脈洞(CS)に位置させ、第2DC電極群32Gは右心房(RA)に位置させ、基端側電位測定電極群33Gは上大静脈(SVC)に位置させている。
【0098】
(3)主電源スイッチ740をONにしたときの電源装置700のモード(初期モード)は「心電位測定モード」である(STEP3、図9)。
図9に示すように、第1ON/OFFスイッチ761が「ON」の状態であり、第2ON/OFFスイッチ762が「OFF」の状態である。
これにより、第1DC電極群31Gおよび/または第2DC電極群32Gの構成電極により測定された心電位情報は、カテーテル接続コネクタ72、第1ON/OFFスイッチ761、心電計接続コネクタ73を経由して心電計800に入力される。また、基端側電位測定電極群33Gの構成電極によって測定された心電位情報は、カテーテル接続コネクタ72、心電計接続コネクタ73を経由して心電計800に入力される。心電計800に入力されたこれらの心電位情報は、心電図入力コネクタ77を経由して演算処理部75に入力される。
また、心電位測定手段900(体表面に貼付した電極パッド)によって測定された心電位情報(12誘導心電図)も心電計800に入力され、心電位測定手段900による心電位情報も心電図入力コネクタ77を経由して演算処理部75に入力される。
図9に示した演算処理部75において、切替部754を介して、IMP測定回路752と内部抵抗753とが接続されており、この段階では、IMP測定回路752によって内
部抵抗753の抵抗値を測定し、既知の抵抗値に合致しているか否かを確認(テスト)することができる。
【0099】
(4)モード切替スイッチ741を入力する(STEP4)。
【0100】
(5)モード切替スイッチ741が入力されたことにより、電源装置700のモードが「除細動/インピーダンス測定モード」となる(STEP5、図10)。
図10に示すように、第1ON/OFFスイッチ761が「OFF」の状態となり、第2ON/OFFスイッチ762が「ON」の状態となる。
また、図10に示した演算処理部75では、切替部754を介して、IMP測定回路752と第2ON/OFFスイッチ762とが接続されている。
なお、第1ON/OFFスイッチ761が「OFF」の状態になることにより、カテーテル接続コネクタ72から、第1ON/OFFスイッチ761を経由して心電計接続コネクタ73に至る経路が遮断されるので、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gおよび第2DC電極群32Gの構成電極からの心電位情報は、心電計800に入力することはできない(従って、この心電位情報を演算処理部75に送ることもできない。)。但し、第1ON/OFFスイッチ761を経由しない基端側電位測定電極群33Gの構成電極からの心電位情報は心電計800に入力される。
【0101】
(6)演算処理部75のIMP測定回路752により、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gを構成する第1電極311~318の各々と、第2DC電極群32Gを構成する第2電極321~328の各々との間(電極間)のインピーダンスが順次測定される(STEP6、図10図15A)。
【0102】
先ず、図15Aに示すように、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第2接点(IMP測定回路752)を選択するとともに、スイッチ781~788のうちスイッチ781のみを「ON」とし、スイッチ791~798のうちスイッチ791のみを「ON」とする。これにより、第1電極311と第2電極321との間のインピーダンスを測定する。
次に、スイッチ781を「OFF」、スイッチ782を「ON」とし、スイッチ791を「OFF」、スイッチ792を「ON」とすることにより、第1電極312と第2電極322との間のインピーダンスを測定する。
次に、スイッチ782を「OFF」、スイッチ783を「ON」とし、スイッチ792を「OFF」、スイッチ793を「ON」とすることにより、第1電極313と第2電極323との間のインピーダンスを測定する。
以下、同様にして、「ON」にするスイッチのペア(78X,79X)を切り替えて、第1電極314と第2電極324との間、第1電極315と第2電極325との間、第1電極316と第2電極326との間、第1電極317と第2電極327との間、第1電極318と第2電極328との間のインピーダンスを測定する。
以上のようにして8回にわたり行われる電極間インピーダンスの測定に要する時間は数秒間程度とされる。
【0103】
(7)STEP6で測定された8つのインピーダンスのすべてが所定の値以下であるか否かを判断し、すべてのインピーダンスが所定の値以下である場合には、STEP8に進み、少なくとも1つのインピーダンスが所定の値を超えている場合には、除細動治療を中断または中止してSTEP2に戻る(STEP7)。
少なくとも1つのインピーダンスが所定の値を超えている場合に、演算処理部75は、一部のリード線が断線していると判断し、第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとに直流電圧を印加するための制御信号をDC電源部71に送ることはない。これにより、除細動を実行するための事後の操作(後述するSTEP10、11、13、17の操作
)をオペレータが行ったとしても当該操作は無効となる。
ここに、断線の有無の判断基準となる「所定の値」としては、例えば500Ωとされる。
少なくとも1つのインピーダンスが所定の値を超えていたことは、電源装置700に備えられた表示手段(図示せず)に表示され、またはアラームなどによりオペレータに通知される。これにより、オペレータは、除細動カテーテル100の交換などのため除細動治療を中断または中止することができる。
【0104】
(8)演算処理部75のIMP測定回路752により、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間(電極群間)のインピーダンスが測定される(STEP8、図10図15B)。
【0105】
図15Bに示すように、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第2接点(IMP測定回路752)を選択するとともに、スイッチ781~788およびスイッチ791~798のすべてを「ON」とする。これにより、第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間(電極群間)のインピーダンスの測定が可能となる。
電極群間インピーダンスの測定に要する時間は1秒間程度とされる。
【0106】
(9)電源装置700のモードが「心電位測定モード」に戻る(STEP9、図11)。
図11に示すように、第1ON/OFFスイッチ761が「ON」の状態となり、第2ON/OFFスイッチ762が「OFF」の状態となる。
また、図11に示した演算処理部75では、切替部754を介して、出力回路751と内部抵抗753とが接続されており、この段階では、内部抵抗753に直流電圧を印加することが可能であり、設定したとおりの電気エネルギーを内部抵抗753に印加することができるか否かを確認(テスト)することができる。
【0107】
(10)印加エネルギー設定スイッチ742を入力して、除細動の際の印加エネルギーを設定する(STEP10)。
本実施形態における電極装置700によれば、印加エネルギーは1Jから30Jまで、1J刻みで設定することができる。
【0108】
(11)充電スイッチ743を入力する(STEP11)。
【0109】
(12)STEP8で測定された電極群間のインピーダンスと、STEP10で設定された電気エネルギーとに基づいて決定された目標電圧がDC電源部に蓄積される(STEP12)。
【0110】
(13)エネルギー印加準備スイッチ744を入力する(STEP13)。
【0111】
(14)エネルギー印加準備スイッチ744が入力されたことにより、演算処理部75からの制御信号を受けて、第1ON/OFFスイッチ761が「ON」の状態を維持し、第2ON/OFFスイッチ762が「OFF」から「ON」に切り替わる(STEP14、図12)。
また、図12に示した演算処理部75では、切替部754を介して、出力回路751と第2ON/OFFスイッチ762とが接続されている。
【0112】
(15)除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gおよび/または第2DC電極群32Gの構成電極からの心電位情報に係る心電図を目視により確認する(STEP15)。このとき、基端側電位測定電極群33Gの構成電極からの心電位情報および/または心電位測定手段900による心電位情報に係る心電図を併せて確認してもよい。
【0113】
(16)心電図においてモード切替え等に伴うドリフト(ベースラインの動揺)が収まっているか否かを判断し、収まっている場合にはSTEP17に進み、収まっていな場合にはSTEP15に戻る(STEP16)。
【0114】
(17)エネルギー印加実行スイッチ745を入力する(STEP17)。
【0115】
(18)エネルギー印加実行スイッチ745が入力されたことにより、演算処理部75からの制御信号を受けて、第2ON/OFFスイッチ762が「ON」の状態を維持し、第1ON/OFFスイッチ761が「ON」から「OFF」に切り替わり、カテーテル接続コネクタ72から心電計接続コネクタ73に至る経路が直ちに遮断される(STEP18、図13)。これにより、電源装置700のモードが「除細動/インピーダンス測定モード」となり、心電計800に直流電圧が印加されることはない。
【0116】
(19)演算処理部75からの制御信号を受けたDC電源部71から、演算処理部75の出力回路751および切替部754、第2ON/OFFスイッチ762並びにカテーテル接続コネクタ72を経由して、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gと、第2DC電極群32Gとに、互いに異なる極性の直流電圧が印加される(STEP19、図14図15C)。
【0117】
(20)DC電源部71からの電圧の印加が停止した後、電源装置700のモードが「心電位測定モード」に戻り、除細動カテーテル100の第1DC電極群31Gおよび第2DC電極群32Gの構成電極からの心電位情報が、心電計800に入力される(STEP20)。
【0118】
(21)心電計800のモニタに表示される、除細動カテーテル100の構成電極(第1DC電極群31G、第2DC電極群32Gおよび基端側電位測定電極群33Gの構成電極)からの心電位情報(心電図)、並びに、心電位測定手段900からの心電位情報(12誘導心電図)を観察し、「正常」であれば終了とし、「正常でない(心房細動が治まっていない)」場合には、STEP4に戻る(STEP21)。
【0119】
本実施形態のカテーテルシステムによれば、電極間のインピーダンスの測定を8回行うことにより、第1電極311~318および第2電極321~328の各々に接続されている16本のリード線(第1リード線41および第2リード線42)について断線の有無をチェックすることができる。
【0120】
また、インピーダンスを測定するために選択した第1電極31と第2電極32との離間距離が、8回の測定において同一であるため、電極間の距離が異なることによる測定値への影響(誤差)を排除することができる。
また、少なくとも1つのインピーダンスが所定の値を超えている場合には、直流電圧の印加(除細動)が行われないので、リード線の断線に起因する組織損傷の発生を確実に回避することができる。
【0121】
また、切替部754によりIMP測定回路752と内部抵抗753とを接続することにより、IMP測定回路752によって内部抵抗753の抵抗値を測定し、IMP測定回路752を含むインピーダンスの測定系統の動作状態を確認することができる。
【0122】
また、切替部754により出力回路751と内部抵抗753とが接続することにより、出力回路751によって内部抵抗753に電気エネルギーを印加することにより、出力回路751を含む直流電圧の出力系統の動作状態を確認することができる。
【0123】
<第2実施形態>
この実施形態の心腔内除細動カテーテルシステムは、電極間インピーダンスの測定と、電極群間インピーダンスの測定と、直流電圧の印加(除細動の実行)とを切り替えるための回路構成が第1実施形態とは異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0124】
図16A図16Dは、第1DC電極群31Gから選ばれた2つの第1電極31の間のインピーダンス(電極間インピーダンス)の測定と;第2DC電極群32Gから選ばれた2つの第2電極32の間のインピーダンス(電極間インピーダンス)の測定と;第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間のインピーダンス(電極群間インピーダンス)の測定と;第1DC電極群31Gおよび第2DC電極群32Gへの直流電圧の印加(除細動の実行)とを切り替えるための回路構成を模式的に示している。
【0125】
図16A図16Dにおいて、図15A図15Cに示したものと同一の構成要素には、同一の符合を使用している。
図16A図16Dにおいて、7894は、共通接点にスイッチ787が接続され、第1接点に切替スイッチ789が接続され、第2接点に切替スイッチ799が接続された切替スイッチである。
7893は、共通接点にスイッチ785が接続され、第1接点に切替スイッチ789が接続され、第2接点に切替スイッチ7894が接続された切替スイッチである。
7892は、共通接点にスイッチ783が接続され、第1接点に切替スイッチ789が接続され、第2接点に切替スイッチ7893が接続された切替スイッチである。
7891は、共通接点にスイッチ781が接続され、第1接点に切替スイッチ789が接続され、第2接点に切替スイッチ7892が接続された切替スイッチである。
7994は、共通接点にスイッチ797が接続され、第1接点に切替スイッチ799が接続され、第2接点に切替スイッチ789が接続された切替スイッチである。
7993は、共通接点にスイッチ795が接続され、第1接点に切替スイッチ799が接続され、第2接点に切替スイッチ7994が接続された切替スイッチである。
7992は、共通接点にスイッチ793が接続され、第1接点に切替スイッチ799が接続され、第2接点に切替スイッチ7993が接続された切替スイッチである。
7991は、共通接点にスイッチ791が接続され、第1接点に切替スイッチ799が接続され、第2接点に切替スイッチ7992が接続された切替スイッチである。
切替スイッチ7891~7894および切替スイッチ7991~7994は、電源装置700の内部に配置されている。
【0126】
図16Aでは、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第2接点(IMP測定回路752)が選択されているとともに、切替スイッチ7891~7894および切替スイッチ7991~7994において第2接点が選択されている。
また、ON/OFFスイッチ781~788のうちスイッチ781および782のみが「ON」であり、ON/OFFスイッチ791~798のすべてが「OFF」である。
これにより、隣り合う第1電極311と第1電極312との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0127】
この状態から、スイッチ781および782を「OFF」とし、スイッチ783および784のみを「ON」とすることにより、第1電極313と第1電極314との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
この状態から、スイッチ783および784を「OFF」とし、スイッチ785および786のみを「ON」とすることにより、隣り合う第1電極315と第1電極316との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
この状態から、スイッチ785および786を「OFF」とし、スイッチ787および
788のみを「ON」とすることにより、隣り合う第1電極317と第1電極318との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0128】
図16Bでは、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第2接点(IMP測定回路752)が選択されているとともに、切替スイッチ7891~7894および切替スイッチ7991~7994において第2接点が選択されている。
また、ON/OFFスイッチ781~788のすべてが「OFF」であり、ON/OFFスイッチ791~798のうちスイッチ791および792のみが「ON」である。
これにより、隣り合う第2電極321と第2電極322との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0129】
この状態から、スイッチ791および792を「OFF」とし、スイッチ793および794のみを「ON」とすることにより、第2電極323と第2電極324との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
この状態から、スイッチ793および794を「OFF」とし、スイッチ795および796のみを「ON」とすることにより、隣り合う第2電極325と第2電極326との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
この状態から、スイッチ795および796を「OFF」とし、スイッチ797および798のみを「ON」とすることにより、隣り合う第2電極327と第2電極328との間のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0130】
図16Cでは、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第2接点(IMP測定回路752)が選択されているとともに、切替スイッチ7891~7894および切替スイッチ7991~7994において第1接点が選択されている。
また、スイッチ781~788およびスイッチ791~798のすべてが「ON」である。これにより、第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとの間(電極群間)のインピーダンスを測定することが可能となる。
【0131】
図16Dでは、切替スイッチ789および切替スイッチ799において第1接点(出力回路751)が選択されているとともに、切替スイッチ7891~7894および切替スイッチ7991~7994において第1接点が選択されている。
また、スイッチ781~788およびスイッチ791~798のすべてが「ON」である。これにより、出力回路751を経由して、第1DC電極群31Gと第2DC電極群32Gとに互いに異なる極性の電圧を印加して、除細動を実行することが可能になる。
【0132】
本実施形態のカテーテルシステムによれば、電極間のインピーダンスの測定を8回(第1電極31について4回、第2電極について4回)行うことにより、第1電極31(311~318)および第2電極32(321~328)の各々に接続されている16本のリード線(第1リード線41および第2リード線42)について断線の有無をチェックすることができる。
【0133】
また、インピーダンスを測定するために選択した第1電極31と第2電極32との離間距離が、8回の測定において同一かつ最短であるため、電極間の距離が異なったり、過大となったりすることによる測定値への影響(誤差)を排除することができる。
【0134】
なお、この実施形態では、同一のDC電極群間(隣り合う第1電極と第1電極との間および隣り合う第2電極と第2電極との間)のインピーダンスを測定したが、図16A図16Dに示す回路構成によれば、隣り合わない第1電極どうし(例えば、第1電極311と第1電極314)、隣り合わない第2電極どうし(例えば、第2電極321と第2電極324)、第1電極31と第2電極32との間のインピーダンスも測定することができる
【0135】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明のカテーテルシステムはこれらに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
例えば、図15A図15Cおよび図16A図16Dに示したON/OFFスイッチ781~788および791~798は、それぞれ、1回路2接点の切替スイッチであるが、これに代えて1回路1接点のスイッチを使用してもよい。
【0136】
本発明のカテーテルシステムは心腔内除細動カテーテルシステムに限定されるものではなく、複数の電極が装着された電極カテーテルと、これらの電極にエネルギーを印加する電源装置とを備えたカテーテルシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0137】
100 除細動カテーテル
10 マルチルーメンチューブ
11 第1ルーメン
12 第2ルーメン
13 第3ルーメン
14 第4ルーメン
15 フッ素樹脂層
16 インナー(コア)部
17 アウター(シェル)部
18 ステンレス素線
20 ハンドル
21 ハンドル本体
22 摘まみ
24 ストレインリリーフ
26 第1絶縁性チューブ
27 第2絶縁性チューブ
28 第3絶縁性チューブ
31G 第1DC電極群
31(311~318) 第1電極
32G 第2DC電極群
32(321~328) 第2電極
33G 基端側電位測定電極群
33 第3電極
35 先端チップ
41G 第1リード線群
41 第1リード線
42G 第2リード線群
42 第2リード線
43G 第3リード線群
43 リード線
50 除細動カテーテルのコネクタ
51,52,53 ピン端子
61 第1の保護チューブ
62 第2の保護チューブ
65 プルワイヤ
700 電源装置
71 DC電源部
72 カテーテル接続コネクタ
721,722,723 端子
73 心電計接続コネクタ
74 外部スイッチ(入力手段)
740 主電源スイッチ
741 モード切替スイッチ
742 印加エネルギー設定スイッチ
743 充電スイッチ
744 エネルギー印加準備スイッチ
745 エネルギー印加実行スイッチ(放電スイッチ)
75 演算処理部
751 出力回路
752 IMP測定回路
753 内部抵抗
754 切替部
761 第1ON/OFFスイッチ
762 第2ON/OFFスイッチ
77 心電図入力コネクタ
781~788 ON/OFFスイッチ
789 切替スイッチ
791~798 ON/OFFスイッチ
799 切替スイッチ
7891~7894 切替スイッチ
7991~7994 切替スイッチ
800 心電計
900 心電位測定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D