(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】シール部材診断方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/36 20060101AFI20240703BHJP
F16J 15/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01M3/36
F16J15/00 E
(21)【出願番号】P 2024023105
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 篤信
(72)【発明者】
【氏名】野澤 貴
(72)【発明者】
【氏名】小鹿 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 環
(72)【発明者】
【氏名】澤田 瑞恵
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石川 和也
(72)【発明者】
【氏名】小坂 祐暁
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-173097(JP,A)
【文献】特許第7151005(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00
G01M 3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部を開閉する扉と枠体との間隙に圧縮された状態で設けられ前記間隙をシールするシール部材の状態を診断するシール部材診断方法であって、
前記シール部材と同等の性質を有する試験体を用意し、前記試験体の性能が、前記構造物に要求される限界漏洩流量に達する圧縮永久ひずみを限界圧縮永久ひずみとして取得する限界圧縮永久ひずみ取得工程と、
前記扉を開放することで前記シール部材の圧縮を解放し、非圧縮状態での前記シール部材の変形量を取得する変形量取得工程と、
前記変形量取得工程にて取得した前記シール部材の変形量を用いて、前記シール部材の圧縮永久ひずみを算出する圧縮永久ひずみ算出工程と、
前記圧縮永久ひずみ算出工程にて算出した圧縮永久ひずみが前記限界圧縮永久ひずみ以上であるときには、前記シール部材の性能が限界に達したと判定する判定工程と、
を備えるシール部材診断方法。
【請求項2】
構造物の開口部を開閉する扉と枠体との間隙に圧縮された状態で設けられ前記間隙をシールするシール部材の状態を診断するシール部材診断方法であって、
前記シール部材と同等の性質を有する試験体を用意し、前記試験体の性能が、前記構造物に要求される限界漏洩流量に達する圧縮永久ひずみを限界圧縮永久ひずみとして取得する限界圧縮永久ひずみ取得工程と、
前記限界圧縮永久ひずみに達した前記試験体
に荷重測定用治具を押込み前記試験体に作用する荷重から算出した圧縮応力を限界圧縮応力として取得する限界圧縮応力取得工程と、
前記扉を開放することで前記構造物による前記シール部材の圧縮を解放し、
前記荷重測定用治具を前記シール部材に押込み前記シール部材に作用する荷重を取得する荷重取得工程と、
前記荷重取得工程にて計測した荷重を用いて、前記構造物により圧縮された状態で前記シール部材に生じる圧縮応力を算出する圧縮応力算出工程と、
前記圧縮応力算出工程にて算出した圧縮応力が前記限界圧縮応力未満であるときには、前記シール部材の性能が限界に達したと判定する判定工程と、
を備えるシール部材診断方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシール部材診断方法において、
前記試験体を複数用意し、複数の前記試験体を異なる温度条件で劣化させて前記試験体の圧縮永久ひずみが前記限界圧縮永久ひずみに達する時間を求め、求めた前記時間と前記シール部材の使用環境温度とを用いて、前記シール部材の使用環境温度での前記限界圧縮永久ひずみに達する時間を前記シール部材の寿命として予測する寿命予測工程をさらに備える、
シール部材診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気密性や液密性が求められる構造物では、構造物の開口部の扉等の間隙にゴムなどから形成されたシール部材が圧縮状態で設けられる。圧縮されることで気密性や液密性など(以下、「性能」と称する)を発揮するシール部材は、長期間の圧縮で変形して性能が維持できなくなるおそれがある。そのため、定期的にシール部材の点検が行われ、シール部材の状態が診断される。シール部材の性能は、圧縮永久ひずみが増大するにつれ低下するため、シール部材の圧縮永久ひずみに基づいてシール部材の状態を診断することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された方法では、構造物を開放して現にその構造物に使用されていたシール部材を取得し、シール部材の厚さを測定する。測定したシール部材の厚さを用いて圧縮永久ひずみを求め、求めた圧縮永久ひずみに基づいてシール部材の状態を診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、シール部材の交換時期が到来したか否かを判定するための圧縮永久ひずみの明確な基準はない。そのため、シール部材の性能が著しく低下する前にシール部材を交換するように、シール部材の使用者がシール部材における圧縮永久ひずみの基準を必要以上に厳しく設定し、シール部材の交換時期を管理しているのが現状である。その結果、シール部材の交換頻度が多くなり、維持保全費用が増大している。また、特許文献1の診断方法は、現に構造物に設けられているシール部材そのものを外して長時間かけて行うものであり、診断中の構造物の気密性や液密性が確保できないという課題がある。
【0006】
そこで、本発明者らはこの課題を解決するために、シール部材と同等の性質を有する試験体を用意し、この試験体を用いて構造物に要求される限界漏洩流量に達する圧縮永久ひずみを限界圧縮永久ひずみとして取得するとともにこの限界圧縮永久ひずみを基準としてシール部材の交換時期の判定を行えばシール部材の交換時期が到来したか否かの判断を客観的かつ明確な基準で行うことができることを知見し本発明に至ったものである。
【0007】
本発明は、構造物に求められる気密性や液密性を損なうことなく、シール部材の交換時期を客観的かつ明確な基準で適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、構造物の開口部における扉と枠体との間隙に圧縮された状態で設けられ間隙をシールするシール部材の状態を診断するシール部材診断方法であって、シール部材と同等の性質を有する試験体を用意し、試験体の性能が、構造物に要求される限界漏洩流量に達する圧縮永久ひずみを限界圧縮永久ひずみとして取得する限界圧縮永久ひずみ取得工程と、扉を開放することでシール部材の圧縮を解放し、非圧縮状態でのシール部材の変形量を取得する変形量取得工程と、変形量取得工程にて取得したシール部材の変形量を用いて、シール部材の圧縮永久ひずみを算出する圧縮永久ひずみ算出工程と、圧縮永久ひずみ算出工程にて算出した圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみ以上であるときには、シール部材の性能が限界に達したと判定する判定工程と、を備える。
【0009】
また、本発明は、構造物の開口部における扉と枠体との間隙に圧縮された状態で設けられ間隙をシールするシール部材の状態を診断するシール部材診断方法であって、シール部材と同等の性質を有する試験体を用意し、試験体の性能が、構造物に要求される限界漏洩流量に達する圧縮永久ひずみを限界圧縮永久ひずみとして取得する限界圧縮永久ひずみ取得工程と、限界圧縮永久ひずみに達した試験体に荷重測定用治具を押込み試験体に作用する荷重から算出した圧縮応力を限界圧縮応力として取得する限界圧縮応力取得工程と、扉を開放することで構造物によるシール部材の圧縮を解放し、荷重測定用治具をシール部材に押込みシール部材に作用する荷重を計測する荷重計測工程と、荷重計測工程にて計測した荷重を用いて、構造物により圧縮された状態でシール部材に生じる圧縮応力を算出する圧縮応力算出工程と、圧縮応力算出工程にて算出した圧縮応力が限界圧縮応力未満であるときには、シール部材の性能が限界に達したと判定する判定工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構造物に求められる気密性や液密性を損なうことなく、シール部材の交換時期を客観的かつ明確な基準で適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】シール部材を備える構造物の概略を示す断面図である。
【
図2】(a)は、非圧縮状態の初期のシール部材1の断面図であり、(b)は、圧縮状態のシール部材1の断面図であり、(c)は、所定時間圧縮したのち圧縮を解放した状態のシール部材1の断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るシール部材診断方法のフローチャートである。
【
図4】限界圧縮永久ひずみ取得工程において用いられる試験装置の概略図の一例である。
【
図5】
図4に示す試験装置を用いた試験により得られる漏洩流量と圧縮永久ひずみとの関係を示すグラフの一例である。
【
図6】試験体における圧縮永久ひずみの経時変化を示すグラフの一例である。
【
図7】限界圧縮永久ひずみに達する時間と温度との関係を示すグラフの一例である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るシール部材診断方法のフローチャートである。
【
図9】限界圧縮応力取得工程において用いる試験装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
まず、
図1から
図7を参照して、第1実施形態に係るシール部材診断方法について説明する。
【0014】
図1は、シール部材1を備える構造物2の概略を示す断面図である。
図1に示すように、構造物2は、開口部3aを形成する枠体3と、枠体3に設けられる扉4と、を有している。扉4は、
図1に示す矢印方向に回転可能であり、開口部3aを開閉する。
図1では、扉4を閉じた状態が示されている。開口部3aは、例えば作業員が通過するための出入り口である。
【0015】
シール部材1は、開口部3aの周縁に沿って枠体3に設けられている。シール部材1は、例えば、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ふっ素ゴムなどからなり予め工場で成形され、枠体3に取付けられている。扉4には、枠体3に向けて突出する突起物5が設けられている。扉4を閉じた状態では、突起物5は、シール部材1に押込まれる。その結果、シール部材1は、突起物5により圧縮され、気密性や液密性などの性能を発揮する。
【0016】
図1では、枠体3にシール部材1が設けられ扉4に突起物5が設けられているが、枠体3に突起物5が設けられ扉4にシール部材1が設けられていてもよい。換言すれば、シール部材1は、構造物2の開口部3aを開閉する扉4と枠体3との間隙に突起物5により圧縮された状態で設けられていればよい。
【0017】
圧縮されることで気密性や液密性などの性能を発揮するシール部材1は、長期間の圧縮で変形して所期の性能を発揮できなくなるおそれがある。シール部材1が所期の性能を発揮できない場合には、シール部材1を交換する必要がある。シール部材の交換時期が到来したか否かを判定するために、定期的にシール部材1の点検が行われ、シール部材1の状態が診断される。本実施形態は、シール部材1の状態を診断するために用いられる。
【0018】
シール部材1の性能は、シール部材1の圧縮永久ひずみと相互に関係しあう。そこで、本実施形態では、圧縮永久ひずみに基づいてシール部材1の状態を診断する。シール部材1の圧縮永久ひずみについて、
図2を参照して説明する。
図2(a)は、圧縮されていない初期のシール部材1の断面図であり、
図2(b)は、突起物5で圧縮状態(扉4が閉じた状態)のシール部材1の断面図であり、
図2(c)は、突起物5で所定時間圧縮されたのち圧縮が解放された状態(扉4が解放された状態)のシール部材1の断面図である。
【0019】
図2(c)に示すように、シール部材1は、圧縮が解放されても、初期の状態(
図2(a))には完全に戻らず、ひずみが残留した状態となる。シール部材1に残留するひずみは、圧縮状態の時間が長いほど大きくなる。シール部材1に残留するひずみが圧縮永久ひずみであり、圧縮永久ひずみは、次の式(1)により算出される。
【0020】
圧縮永久ひずみ=(t0-t2)/t1×100 ・・・ (1)
ただし、
t0:初期状態のシール部材1の基準点からの高さ
t1:突起物5の押込量
t2:圧縮が解放された状態のシール部材1において、突起物5が押込まれていた部分の基準点からの高さ
【0021】
初期状態のシール部材1の高さt
0は、構造物2にシール部材1が設けられた後、使用される前(より具体的には、シール部材1が枠体3に取付けられ後であり、扉4を閉めてシール部材1が圧縮される前である。これを「初期状態」という)のシール部材1の測定により得られる値であり、例えばシール部材1が枠体3に取付けられた後の検査時に計測することで得られる値である。突起物5の押込量t
1は、シール部材1を圧縮する機構(例えば
図1に示す扉4)の設計により定まる値であり、シール部材1の表面からの突起物5の押込み量で既知の値である。これに加えて、実際に構造物2が使用された後において、扉4の開放により圧縮が解放された状態のシール部材1の高さt
2を取得することで、式(1)により、圧縮永久ひずみを取得することが可能となる。
【0022】
式(1)におけるt0-t2は、シール部材1の体積収縮と圧縮後におけるシール部材1の変形量である。初期状態の高さt0と実際に構造物2が使用された後の高さt2は、枠体3表面を基準点とした距離を、例えば非接触のレーザ変位計や3Dスキャナを用いて測定することができる。測定は、扉4と枠体3との間隙に設けられたシール部材1を切り取ったり、一時的に取り外したりすることなく、設置されたままの状態でシール部材1の高さを測定できる手段であればよいが、レーザ変位計を用いることで、より精度よく測定することができる。
【0023】
図3は、本実施形態に係るシール部材診断方法のフローチャートである。
図3に示すように、シール部材の診断方法は、事前評価工程S1、性能限界値算出工程S2、限界圧縮永久ひずみ取得工程S3、寿命予測工程S4、現地計測工程S5、変形量取得工程S6、圧縮永久ひずみ算出工程S7及び判定工程S8を備える。以下、各工程について、詳述する。
【0024】
(1.1 事前評価工程)
事前評価工程S1では、シール部材1の圧縮永久ひずみの事前評価を行う。具体的には、診断対象となるシール部材1と同等の性質を有する試験体を複数用意し、複数(例えば3つ)の異なる温度条件に設定された定温恒温槽に試験体を入れて試験体を劣化させ、各試験体における圧縮永久ひずみの経時変化を求める。試験体は、例えばシール部材1の素材と同じ素材から形成される。また、試験体は、シール部材1の使用状況と同様に突起物5の押込量t1で圧縮された状態で定温恒温槽に入れられる。試験体における圧縮永久ひずみは、前述の式(1)を用いて算出される。
【0025】
温度条件は、シール部材1の使用可能温度以下であってシール部材1の使用環境温度以上の温度であることが好ましく、この場合には、試験体を加速劣化させることができ、事前評価工程S1に要する時間を短縮することができる。例えば、シール部材1の使用可能温度が120℃でありシール部材1の使用環境温度が室温(20℃前後)である場合には、事前評価工程S1での温度条件を50℃、70℃、90℃とすることができる。
【0026】
複数の異なる温度条件で試験体を劣化させるのは、後述するアレニウスプロットを用いた寿命予測において複数の異なる温度条件での圧縮永久ひずみの経時変化が必要となるためである。一例として3つの温度条件を設定したが、温度条件のパラメータを増やすほどアレニウスプロットを用いた寿命予測の精度を向上させることができる。
【0027】
なお、事前評価工程S1において、温度に加えて、湿度及び外力(例えば応力)も評価パラメータに入れてもよい。
【0028】
(1.2 性能限界値算出工程)
性能限界値算出工程S2では、試験体の気密性や液密性についての性能試験を行い、試験体の性能が開口部3aを形成する構造物2(
図1参照)に要求される限界漏洩流量に達する性能限界値を取得する。診断対象となるシール部材1に必要な性能は、一律に定められるものではなく、それが設けられる構造物2に求められる限界漏洩流量によって個々に異なる。シール部材1と同等の性質を有する試験体における構造物2に求められる限界漏洩流量に応じた性能限界値を取得することにより、構造物2に求められる限界漏洩流量に応じたシール部材1の性能限界値を把握することが可能となる。
【0029】
図4は、試験体の気密性や液密性についての性能試験において用いられる試験装置100の概略図の一例である。
図4に示すように、試験装置100は、試験槽10と、試験槽10に固定された模擬枠20と、模擬枠20に連結された模擬扉30と、を備えている。試験槽10と模擬枠20とによって流体(例えば水)を貯留するための貯留空間Sが画定されている。模擬枠20には開口部20aが形成されており、模擬扉30は、開口部20aを開閉可能である。
【0030】
試験体は、開口部20aの周縁に沿って模擬枠20に設けられる。模擬扉30には、模擬突起物31が設けられており、模擬扉30を閉じた状態では、模擬突起物31は、試験体に押込まれる。模擬扉30は、ボルト21及びナット22を介して模擬枠20に連結されている。ボルト21とナット22とを相対回転させることにより、試験体への模擬突起物31の押込量を調節可能である。
【0031】
また、試験装置100は、流体を貯留するタンク41と、タンク41から貯留空間Sへ流体を供給する供給通路42と、貯留空間Sから流体を排出する排出通路43と、を備えている。供給通路42及び排出通路43にそれぞれ設けられたバルブ44、45を開閉することにより、貯留空間Sにおける流体の圧力が変化する。試験槽10には圧力計46が設けられており、貯留空間Sにおける流体の圧力を測定可能である。したがって、貯留空間Sにおける流体の圧力を所望の値に制御可能である。
【0032】
開口部20aの下方には、模擬突起物31と試験体との間から漏洩する流体を受ける容器51と、容器51が受けた流体の重量を図る計量器52と、が設けられている。計量器52は、例えば電子天秤である。容器51が受ける流体の単位時間当たりの量が、模擬突起物31と試験体との間から漏洩する流体の流量(以下、「漏洩流量」と称する)であり、試験体の性能に相当する。
【0033】
ここまでに述べた性能限界値算出工程S2における試験体の気密性や液密性についての性能試験では、事前評価工程S1にて加速劣化させた圧縮永久ひずみが異なる複数の試験体を用いる。
【0034】
図4に示される試験装置100では、模擬扉30は、模擬枠20に対して貯留空間Sの側に配置されており水圧方向に閉じる構造となっている。試験体の性能試験は、模擬扉30が模擬枠20に対して貯留空間Sとは反対側に配置されており水圧方向とは逆方向に閉じる構造の試験装置を用いても行われる。
【0035】
(1.3 限界圧縮永久ひずみ取得工程)
限界圧縮永久ひずみ取得工程S3では、シール部材1の性能限界に対応するシール部材1の圧縮永久ひずみを限界圧縮永久ひずみとして取得する。シール部材1と同等の性質を有する試験体における構造物2に求められる限界漏洩流量に応じた限界圧縮永久ひずみを取得することにより、構造物2に求められる限界漏洩流量に応じたシール部材1の限界圧縮永久ひずみを把握することが可能となる。
【0036】
図5は、試験装置100を用いた性能試験により得られる漏洩流量と圧縮永久ひずみとの関係を示すグラフである。
図5に示すグラフでは、横軸が圧縮永久ひずみであり縦軸が漏洩流量である。性能試験は、事前評価工程S1にて加速劣化させた圧縮永久ひずみがCS1、CS2(ただし、CS1<CS2)である2つの試験体を用いて行われており、プロットは、測定値を示す。実線は、2つのプロットを結ぶ直線である。
【0037】
構造物2(
図1参照)に要求される限界漏洩流量L
limは、構造物2の設計段階で定められる値であり、既知である。限界漏洩流量L
limは、単位時間あたりの流量であり、その単位は例えばm
3/hrである。
図5では、一点鎖線は、限界漏洩流量L
limを示している。限界漏洩流量L
limを示す一点鎖線と、測定値のプロットを結ぶ直線と、の交点の横軸座標値が、構造物2(
図1参照)に要求される限界漏洩流量に達する試験体の限界圧縮永久ひずみCS
limである。以上により、試験体の限界圧縮永久ひずみの取得が完了する。
【0038】
図5では、測定値が2つである場合が示されているが、測定値が3つ以上の場合には、測定値のなるべく近くを通るように引かれた近似線を用いればよい。
【0039】
図5に示すグラフを作成する気密性や液密性についての性能試験を行うにあたり、貯留空間Sにおける流体の圧力及び試験体への模擬突起物31の押込量は、構造物2(
図1参照)に作用する流体の圧力及びシール部材1への突起物5の押込み量と同等とする。これにより、試験体の試験条件を、構造物2におけるシール部材1に求められる仕様に近づけることができ、限界圧縮永久ひずみをより適切に取得することができる。
【0040】
(1.4 寿命予測工程)
寿命予測工程S4では、シール部材1の使用環境温度での限界圧縮永久ひずみに達する時間をシール部材1の寿命として予測する。使用環境温度に応じたシール部材1の寿命を予測することにより、後述する現地計測工程S5を行うタイミングを適切に設定することができる。例えば、シール部材1の使用時間が予測された寿命に近づくにつれ現地計測工程S5を行う頻度を増やすように現地計測工程S5を行うタイミングを設定することができる。また、シール部材1の使用時間から予測された寿命までの残寿命を見積もることができ、構造物に求められる性能を損なうことなく、シール部材1の交換を行うタイミングを設定することができる。これにより、シール部材1の交換時期を客観的かつ明確な基準でより適切に管理することができる。
【0041】
寿命予測工程S4では、事前評価工程S1において求めた試験体における圧縮永久ひずみの経時変化と、限界圧縮永久ひずみ取得工程S3において求めた試験体の限界圧縮永久ひずみと、が用いられる。
【0042】
まず、試験体の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみに達する時間を複数の異なる温度条件ごとに求める。
【0043】
図6は、試験体における圧縮永久ひずみの経時変化を示すグラフの一例である。温度条件はT1、T2、T3(ただし、T1<T2<T3)である。
図6に示すグラフでは、横軸が時間であり縦軸が圧縮永久ひずみである。プロットは、測定値を示し、実線は、測定値のなるべく近くを通るように引かれた近似線を示す。横軸と平行に延びる直線は、限界圧縮永久ひずみCS
limを示す。
【0044】
限界圧縮永久ひずみCSlimを示す直線と、温度条件T1での測定値の近似線と、の交点の横軸座標値が、温度条件T1において試験体の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみに達する時間T1limである。同様に、限界圧縮永久ひずみCSlimを示す直線と、温度条件T2での測定値の近似線と、の交点の横軸座標値が、温度条件T2において試験体の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみに達する時間T2limである。限界圧縮永久ひずみCSlimを示す直線と、温度条件T3での測定値の近似線と、の交点の横軸座標値が、温度条件T3において試験体の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみに達する時間T3limである。
【0045】
以上により、試験体の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみに達する時間の取得が完了する。
【0046】
次に、シール部材1の使用環境温度での限界圧縮永久ひずみに達する時間を算出する。
図7は、限界圧縮永久ひずみに達する時間と温度との関係を示すグラフの一例である。
図7に示すグラフでは、横軸が温度(絶対温度)の逆数であり縦軸が時間の対数である。プロットは、
図6に示すグラフを用いて求めた時間の対数を示し、実線は、プロットのなるべく近くを通るように引かれた近似線を示す。
【0047】
シール部材1の使用環境温度は、構造物2の設計段階で想定される値であり、既知である。また、設計段階の想定値を用いずとも、構造物2の実際の環境温度を測定して用いてもよい。
図7では、シール部材1の使用環境温度をT0として示している。使用環境温度T0の逆数を示す直線と、近似線と、の交点の縦軸座標値が、使用環境温度T0での限界圧縮永久ひずみに達する予測の時間の対数である。
【0048】
以上により、シール部材1の寿命の予測が完了する。なお、
図7に示すグラフは、アレニウスプロットと呼ばれる。アレニウスプロットは、高温条件で加速劣化させた試験体の物性変化を取得し、ある物性値までの試験時間を温度条件毎に求めてグラフにしたものである。
【0049】
アレニウスプロットにおける近似線の回帰式を求めて、設計上の(または実際の)シール部材1の使用環境となる温度条件、または実際に計測した温度を入力することで、シール部材1の使用環境温度でのシール部材1の寿命を予測することができる。これにより、後述する現地計測工程S5を行うタイミングを適切に設定することができる。これにより、シール部材1の交換時期を客観的かつ明確な基準でより適切に管理することができる。
【0050】
(1.5 現地計測工程)
現地計測工程S5では、構造物2に設けられたシール部材1の寸法を計測する。具体的には、構造物2にシール部材1が設けられた直後の使用される前(より具体的には、シール部材1が枠体3に取付けられ後であり、扉4を閉めてシール部材1が圧縮される前である。これを「初期状態」という)の計測と、実際に使用された後における計測と、2つの時系列での計測工程に分けられる。初期状態における計測として、具体的には
図2(a)の初期状態のシール部材1の高さt
0を枠体3に設けた基準点からの距離として計測しておく(なお、扉4にシール部材1が設けられる場合は、扉4に設けた基準点からのシール部材1の高さを計測することになる)。実際に使用された後における計測として、具体的には
図2(b)に示される実際に使用されている状態から、
図2(c)に示される圧縮状態が開放された状態のシール部材1の窪み1aの高さを初期状態の計測と同じように枠体3に設けた基準点からの距離として計測する。これらの高さ計測は、例えば非接触のレーザ変位計や3Dスキャナを用いて測定する。測定は、扉4と枠体3との間隙に設けられたシール部材1を切り取ったり、一時的に取り外したりすることなく、設置されたままの状態でシール部材1の高さを測定できる手段であればよいが、レーザ変位計を用いることで、より精度よく測定することができる。
【0051】
(1.6 変形量取得工程)
変形量取得工程S6では、構造物2に設けられたシール部材1の変形量を取得する。シール部材1の変形量は、現地計測工程S5における計測によって得られた初期状態のシール部材1の高さt0と圧縮が解放された状態の使用中のシール部材1の高さt2より取得することができる。圧縮後におけるシール部材1の変形量は、式(1)におけるt0-t2として算出される。シール部材1の変形量にはシール部材1の体積収縮量も含まれる。
【0052】
(1.7 圧縮永久ひずみ算出工程)
圧縮永久ひずみ算出工程S7では、突起物5の押込量t
1と、変形量取得工程S6にて取得したシール部材1の変形量と、を用いて、前述の式(1)からシール部材1の圧縮永久ひずみを算出する。突起物5の押込量t
1は、
図1に示す扉4の設計により定まるシール部材1表面からの突起物5の押込み量の値であり、既知の値である。
【0053】
(1.8 判定工程)
判定工程S8では、圧縮永久ひずみ算出工程S7にて算出したシール部材1の圧縮永久ひずみと、限界圧縮永久ひずみ取得工程S3にて性能試験の試験結果から算出したシール部材1の限界圧縮永久ひずみと、を比較する。圧縮永久ひずみ算出工程S7にて算出したシール部材1の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみ以上であるときには、シール部材1の性能が限界に達した(シール部材1の寿命が来ており、交換を要する)と判定する。限界圧縮永久ひずみは、限界圧縮永久ひずみ取得工程S3において、構造物2に要求される限界漏洩流量に基づいて取得されているため、構造物2に要求される限界漏洩流量に対してシール部材1の性能が限界に達したか否かを正確に判定することができる。したがって、シール部材1の交換時期を客観的かつ明確な基準で適切に管理することができる。
【0054】
なお、判定工程S8では、圧縮永久ひずみ算出工程S7にて算出したシール部材1の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみ未満であるときには、シール部材1の性能が限界に達していない(まだシール部材1を継続使用しうる)と判定する。
【0055】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0056】
本実施形態では、扉4の開放による非圧縮状態でのシール部材1の高さを用いて算出した圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみ以上であるときにシール部材1の性能が限界に達したと判定する。限界圧縮永久ひずみは、構造物2に要求される限界漏洩流量に基づいて取得されるため、構造物2に要求される限界漏洩流量に対してシール部材1の性能が限界に達したか否かを正確に判定することができる。したがって、シール部材1の交換時期を客観的かつ明確な基準で適切に管理することができる。
【0057】
また、本実施形態では、シール部材1と同等の性質を有する試験体を複数用意し、複数の試験体を異なる温度条件で劣化させて試験体の圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみに達する時間を求め、求めた時間とシール部材1の使用環境温度とを用いて、シール部材1の使用環境温度での限界圧縮永久ひずみに達する時間をシール部材1の寿命として予測する。そのため、現地計測工程S5における実際に使用された後におけるシール部材1の計測を行うタイミングを、予測した寿命に基づいて適切に設定することができる。したがって、シール部材1の交換時期を客観的かつ明確な基準でより適切に管理することができる。
【0058】
<第2実施形態>
次に、
図8及び
図9を参照して、第2実施形態に係るシール部材診断方法について説明する。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。また、シール部材1を備える構造物2の概略を示す断面図は、
図1に示す断面図と同じであるため、ここでは図示を省略する。
【0059】
図8は、本発明の第2実施形態に係るシール部材診断方法のフローチャートである。
図8に示すように、本実施形態は、限界圧縮永久ひずみ取得工程S3の後に限界圧縮応力取得工程S13を行う点で、第1実施形態と相違する。また、現地計測工程S15は、シール部材1に作用する荷重を計測する点で第1実施形態と相違する。さらに、本実施形態は、第1実施形態における変形量取得工程S6、圧縮永久ひずみ算出工程S7に代えて、荷重取得工程S16、圧縮応力算出工程S17を行う点で、第1実施形態と相違する。最後に、本実施形態は、判定工程S18において、限界圧縮応力と圧縮応力とを用いる点で、第1実施形態と相違する。
【0060】
本実施形態における事前評価工程S1、性能限界値算出工程S2、限界圧縮永久ひずみ取得工程S3、寿命予測工程S4は、第1実施形態と同じである。そのため、以下では、限界圧縮応力取得工程S13、現地計測工程S15、荷重取得工程S16、圧縮応力算出工程S17及び判定工程S18について詳述する。
【0061】
(2.1 限界圧縮応力取得工程)
限界圧縮応力取得工程S13では、シール部材1と同等の性質を有する試験体が、限界圧縮永久ひずみに達した際の圧縮応力を限界圧縮応力として取得する。シール部材1は、突起物5で押し潰されて圧縮変形時に応力が生じるが、この圧縮応力は流体の圧力に対する抵抗力とみなすことができる。シール部材1の圧縮状態が継続すると時間とともに変形量も大きくなり圧縮応力が小さくなる。限界圧縮永久ひずみと同じように限界圧縮応力をあらかじめ取得しておくことで、構造物2において想定されるシール部材1にかかる流体の圧力の大きさに応じたシール部材1の性能限界の判定が可能になる。
【0062】
図9は、限界圧縮応力取得工程S13において用いる試験装置200の概略図である。
図9に示すように試験装置200は、試験体を支持する支持板210と試験体に荷重測定用治具220を押込む押込み機構230と、荷重測定用治具220から試験体に作用する荷重を測定する測定部240と、を備える。荷重測定用治具220の形状は、構造物2における突起物5(
図1参照)と同じ形状であることが好ましい。荷重測定用治具220の押込み量は、
図1に示す扉4の設計により定まるシール部材1表面からの突起物5の押込み量の値であり、既知の値である。
【0063】
圧縮応力は、次の式(2)により算出される。
【0064】
圧縮応力=F/A ・・・ (2)
ただし、
F:荷重測定用治具220から試験体に作用する荷重
A:荷重測定用治具220の試験体への押込面積
【0065】
荷重測定用治具220から試験体に作用する荷重Fは、測定部240により測定される値であり、荷重測定用治具220の試験体への押込面積Aは、試験装置200の使用者が任意に設定できる値である。したがって、試験装置200を用いることで、式(2)によりシール部材1と同等の性質を有する試験体の圧縮応力を取得することができる。
【0066】
シール部材1と同等の性質を有する試験体の限界圧縮応力は、限界圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみに達した試験体を試験装置200にセットし当該試験体に荷重測定用治具220を押込むことにより、取得することができる。これによりシール部材1の限界圧縮応力を把握することが可能となる。
【0067】
(2.2 現地計測工程)
現地計測工程S15では、構造物2に設けられたシール部材1を圧縮する機構(例えば
図1に示す扉4)の設計によって定められる押込み量で荷重測定用治具220をシール部材1に押込む試験を行い、そのときにシール部材1に作用する荷重を計測する。具体的には、
図1に示される状態から扉4を開いてシール部材1の圧縮を解放し、突起物5に代えて、試験装置200の荷重測定用治具220をシール部材1に押込む。このとき、シール部材1に作用する荷重を測定部240を用いて計測するとともに、押込面積Aの設定値を記録する。
【0068】
(2.3 荷重取得工程)
荷重取得工程S16では、構造物2に設けられたシール部材1が扉4から受ける荷重を取得する。シール部材1が扉4から受ける荷重は、現地計測工程S15で行った荷重測定用治具220を押込む試験で得られた、シール部材1に作用する荷重に相当する。荷重測定用治具220による押込み試験によって得られた荷重をシール部材1が扉4から受ける荷重とみなすことで、シール部材1が扉4から受ける荷重を取得することができる。
【0069】
(2.4 圧縮応力算出工程)
圧縮応力算出工程S17では、荷重取得工程S16にて計測したシール部材1が扉4から受ける荷重を用いて、シール部材1に生じる圧縮応力を算出する。シール部材1に生じる圧縮応力は、前述の式(2)を用いることにより算出される。式(2)において、荷重測定用治具220の押込面積Aは、試験装置200の設定値である。
【0070】
(2.5 判定工程)
判定工程S18では、圧縮応力算出工程S17にて算出したシール部材1の圧縮応力と、限界圧縮応力取得工程S13で算出した限界圧縮応力と、を比較する。圧縮応力算出工程S17にて算出したシール部材1の圧縮応力が限界圧縮応力未満であるときには、シール部材1の性能が限界に達した(シール部材1の寿命が来ており、交換を要する)と判定する。限界圧縮応力は、構造物2に要求される限界漏洩流量に基づいて取得されているため、構造物2に要求される限界漏洩流量に対してシール部材1の性能が限界に達したか否かを正確に判定することができる。したがって、シール部材1の交換時期を客観的かつ明確な基準で適切に管理することができる。
【0071】
なお、判定工程S18では、圧縮応力算出工程S17にて算出したシール部材1の圧縮応力が限界圧縮応力以上であるときには、シール部材1の性能が限界に達していない(まだシール部材1を継続使用しうる)と判定する。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0073】
1・・・・シール部材
1a・・・窪み
2・・・・構造物
3・・・・枠体
3a・・・開口部
4・・・・扉
5・・・・突起物
10・・・試験槽
20・・・模擬枠
20a・・開口部
21・・・ボルト
22・・・ナット
30・・・模擬扉
31・・・模擬突起物
41・・・タンク
42・・・供給通路
43・・・排出通路
44・・・バルブ
45・・・バルブ
46・・・圧力計
51・・・容器
52・・・計量器
100・・試験装置
200・・試験装置
210・・支持板
220・・荷重測定用治具
230・・押込み機構
240・・測定部
A・・・・押込面積
Llim・限界漏洩流量
S・・・・貯留空間
S1・・・事前評価工程
S2・・・性能限界値算出工程
S3・・・限界圧縮永久ひずみ取得工程
S13・・限界圧縮応力取得工程
S4・・・寿命予測工程
S5・・・現地計測工程
S15・・現地計測工程
S6・・・変形量取得工程
S16・・荷重取得工程
S7・・・圧縮永久ひずみ算出工程
S17・・圧縮応力算出工程
S8・・・判定工程
S18・・判定工程
T0・・・使用環境温度
T1・・・温度条件
T2・・・温度条件
T3・・・温度条件
t0・・・高さ
t1・・・押込量
t2・・・高さ
【要約】
【課題】構造物に求められる気密性や液密性を損なうことなく、シール部材の交換時期を客観的かつ明確な基準で適切に管理する。
【解決手段】シール部材診断方法は、シール部材1と同等の性質を有する試験体を用意し、試験体の性能が、構造物2に要求される限界漏洩流量に達する圧縮永久ひずみを限界圧縮永久ひずみとして取得する限界圧縮永久ひずみ取得工程S3と、シール部材1の圧縮を解放し、非圧縮状態でのシール部材1の高さを取得する変形量取得工程S6と、変形量取得工程S6にて取得したシール部材1の高さを用いて、シール部材1の圧縮永久ひずみを算出する圧縮永久ひずみ算出工程S7と、圧縮永久ひずみ算出工程S7にて算出した圧縮永久ひずみが限界圧縮永久ひずみ以上であるときには、シール部材1の性能が限界に達したと判定する判定工程S8と、を備える。
【選択図】
図3