(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/14 K
(21)【出願番号】P 2023138897
(22)【出願日】2023-08-29
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井上 元太
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119591(JP,A)
【文献】特開昭64-002983(JP,A)
【文献】特開2011-037570(JP,A)
【文献】特開2011-057323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられ、利用者の手を検知することにより入力操作を受け付ける入力部を有する行先階登録装置と、
前記行先階登録装置からの出力情報に応じてかごの運行を制御する制御装置と、を備え
るエレベータシステムであって、
前記行先階登録装置は、
前記入力操作が行われたときに、前記制御装置に行先階の登録を指示する登録指示情報を出力するよう構成され、
前記制御装置は、
前記入力部に利用者の手を検知させることにより行先階情報を入力する前記入力操作が行われた後に、行先階の登録を行うよう構成され、
前記エレベータシステムは、前記入力操作が行われてから前記制御装置が行先階の登録を行うまでの間に、前記入力部において前記入力操作と異なるキャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成され
、
前記入力部において、前記入力操作が行われた状態から手が継続的に検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成され、
前記入力部は、タッチパネルであり、
前記タッチパネルにおいて、当該タッチパネルのうち前記入力操作の際に手が接触した部分から連続して手のスライド移動が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されている、エレベータシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記入力操作が行われてから前記制御装置が行先階の登録を行うまでの間に、前記入力部において前記入力操作と異なるキャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成される、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記行先階登録装置は、複数設けられ、
各々の前記行先階登録装置は、
それぞれ異なる識別情報を有し、
前記入力操作が行われたとき、前記登録指示情報及び前記識別情報を、前記制御装置に出力し、
前記入力部において、前記キャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録の阻止に関する阻止情報及び前記識別情報を、前記制御装置に出力するよう構成される、請求項
2に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル等に手を検知させることにより乗場やかごで行先階を登録する行先階登録装置を備えたエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、行先階を登録するタッチパネル式の操作盤を備えたエレベータシステムが知られている(特許文献1)。このエレベータシステムは、かご内に設けられた操作盤と、かごの運転制御等を行うエレベータ制御装置と、を備える。操作盤は、各階床に対応した行先階ボタンを表示するとともに、登録された行先階を取り消すための取消ボタンを一時的に表示する。具体的に、操作盤は、行先階ボタンに手が接触したとき、あるいは、行先階ボタンがスワイプ操作されたとき、取消ボタンを表示する。このエレベータシステムでは、利用者は、行先階を誤って登録した場合に、行先階ボタンに対する手の接触やスワイプ操作により一時的に表示された取消ボタンに手を接触させることにより、行先階の登録を取り消すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利用者が行先階ボタンに手を接触させた後、誤った行先階を登録したと気づいた時点で、既に行先階が登録されていることがあり、この登録に応じてかごの運転が開始されることがある。この場合、エレベータシステムにおける運行効率が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、入力部において手が検知されることにより行先階を登録できる行先階登録装置において、利用者の誤った入力操作による行先階の登録を阻止するとともに、運行効率の低下を抑制したエレベータシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータシステムは、
エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられ、利用者の手を検知することにより入力操作を受け付ける入力部を有する行先階登録装置と、
前記行先階登録装置からの出力情報に応じてかごの運行を制御する制御装置と、を備え、
前記行先階登録装置は、
前記入力操作が行われたときに、前記制御装置に行先階の登録を指示する登録指示情報を出力するよう構成され、
前記制御装置は、
前記入力部に利用者の手を検知させることにより行先階情報を入力する前記入力操作が行われた後に、行先階の登録を行うよう構成され、
前記入力操作が行われてから前記制御装置が行先階の登録を行うまでの間に、前記入力部において前記入力操作と異なるキャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されている。
【0007】
かかる構成によれば、行先階の登録前の誤った入力操作による行先階の登録を阻止することで、誤った入力操作に応じたかごの運転を未然に防ぐことができ、運行効率の低下を抑制できる。
【0008】
前記エレベータシステムは、
前記入力部において、前記入力操作が行われた状態から手が継続的に検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、利用者は、行先階を入力した状態から入力部に手を検知させたままとすることで、行先階の登録を阻止し、例えば、この後に手を離してから新たな入力操作を行うことにより、改めて適切な行先階を登録することができる。このように、誤った入力操作による行先階の登録の阻止を迅速に行い、適切な行先階の登録を迅速に行うことができる。また、キャンセル操作は、入力部において手が検知されてから手が検知されなくなるまでの間に行われる必要があるため、利用者の入力操作が適切であった場合に、この利用者とは別の利用者の操作によって、この入力操作による行先階の登録が妨げられることを防ぐことができる。
【0010】
前記エレベータシステムでは、
前記制御装置は、
前記入力部において、前記入力操作を行った手が検知されなくなってから前記第一の所定時間が経過したとき、行先階の登録を行い、
前記入力部において、前記入力操作を行った手が検知されなくなってから前記第一の所定時間以内に前記キャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、利用者は、入力部により入力操作を行った手が検知されなくなった後でも、(入力後の画面を見た時点で)入力操作が誤っていたことに気づけば、行先階の登録前に誤った入力操作による行先階の登録を阻止できるため、誤った入力操作に応じたかごの運転を未然に防ぐことができ、運行効率の低下を確実に抑制できる。
【0012】
前記エレベータシステムでは、
前記入力部は、タッチパネルであり、
前記タッチパネルにおいて、当該タッチパネルのうち前記入力操作の際に手が接触した部分に対する操作を含む操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、誤った入力操作を行った利用者は、タッチパネル内の誤って操作した部分を認識しているため、この部分を利用して誤った入力操作による行先階の登録を阻止することで、例えば、別途取消ボタンといった専用ボタンを設ける必要が無く、利用者はキャンセル操作の際にこの専用ボタンを探す必要が無い。また、キャンセル操作の際に、タッチパネル内の誤って操作した部分に対して操作を行う必要があるため、入力操作を行った利用者とは別の利用者、例えば、入力操作を行った利用者の次の利用者の操作によって、この入力操作による行先階の登録が誤ってキャンセルされにくくなる。
【0014】
前記エレベータシステムでは、
前記入力部は、タッチパネルであり、
前記タッチパネルにおいて、当該タッチパネルのうち前記入力操作の際に手が接触した部分で手が継続的に検知されたとき、又は、前記タッチパネルのうち前記入力操作の際に手が接触した部分から連続して手のスライド移動が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、誤った入力操作を行った利用者は、タッチパネル内の誤って操作した部分の長押し動作やこの部分を起点とするスライド動作によりキャンセル操作を行うことができる。
【0016】
前記エレベータシステムでは、
前記制御装置は、前記入力操作が行われてから前記制御装置が行先階の登録を行うまでの間に、前記入力部において前記入力操作と異なるキャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、行先階の登録を行わない構成を制御装置に設けることで、行先階の登録前に誤った入力操作による行先階の登録を阻止することができる。
【0018】
前記エレベータシステムでは、
前記行先階登録装置は、複数設けられ、
各々の前記行先階登録装置は、
それぞれ異なる識別情報を有し、
前記入力操作が行われたとき、前記登録指示情報及び前記識別情報を、前記制御装置に出力し、
前記入力部において、前記キャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録の阻止に関する阻止情報及び前記識別情報を、前記制御装置に出力するよう構成されていてもよい。
【0019】
かかる構成によれば、制御装置は、識別情報により入力操作やキャンセル操作の対象の行先階登録装置を判別することができるため、複数の行先階登録装置を備えるエレベータシステムに対して適用可能である。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本発明によれば、入力部において手が検知されることにより行先階を登録できる行先階登録装置において、利用者の誤った入力操作による行先階の登録を阻止するとともに、運行効率の低下を抑制したエレベータシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータシステムのブロック図である。
【
図2】
図2は、前記エレベータシステムで行先階の登録を行う際の表示を示す模式図である。
【
図3】
図3は、前記エレベータシステムで行先階の登録を阻止する際の表示を示す模式図である。
【
図4】
図4は、前記エレベータシステムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図5】
図5は、変形例に係るエレベータシステムでの行先階の登録を阻止する際の表示を示す模式図である。
【
図6】
図6は、変形例に係るエレベータシステムでの行先階の登録を行う際の表示を示す模式図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るエレベータシステムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すように、エレベータシステム1は、かご10と、エレベータの乗場に設けられた行先階登録装置2と、かご10の運行を制御する制御装置3と、を備える。本実施形態では、エレベータシステム1には、複数のかご10が設けられ、具体的には、A号機、B号機、C号機に対応する三台のかご10が設けられている。なお、エレベータシステム1に、一台のかご10のみが設けられていてもよい。このエレベータシステム1では、かご10は、地下2階から9階までの間で昇降可能であり、地下2階から9階までの各階床に停止可能である。
【0024】
さらに、このエレベータシステム1では、利用者は、行先階登録装置2に対して入力操作を行うことにより、行先階の登録が可能である。このエレベータシステム1には、一階床当たり二台の行先階登録装置2が設けられているが、一階床当たり一台、又は、三台以上の複数の行先階登録装置2が設けられてもよい。
【0025】
制御装置3は、各かご10に対して乗場呼びの割当等の群管理制御を行う。この群管理では、制御装置3は、所定の階床の乗場において行先階登録装置2により乗場呼びが入ったときに、利用者等の輸送効率が高くなるように、複数の号機のかご10から前記乗場呼びに適したかご10を選択し、この選択されたかご10を乗場呼びの入った乗場に向かわせる。また、制御装置3は、入力操作が行われた後に、行先階の登録を行うよう構成される。このエレベータシステム1には、一つの制御装置3が設けられている。
【0026】
行先階登録装置2は、利用者の入力操作により行先階を登録する(乗場呼びを行う)ための装置である。また、行先階登録装置2は、入力操作が行われたときに、制御装置3に行先階の登録を指示する登録指示情報を出力するよう構成されている。さらに、行先階登録装置2は、利用者の手を検知することにより入力操作を受け付ける入力部4を有する。本実施形態では、行先階登録装置2は、入力操作後の入力結果や行先階の登録結果等を示す表示部5を有する。行先階登録装置2は、登録指示情報の出力を判断して実行する判断部6を有する。この行先階登録装置2は、
図2(a)~
図2(c)にも示すように、利用者の手が接触したことを検知する物理ディスプレイであるタッチパネル20を備える。なお、
図2、
図3、
図5、
図6における手(指)は、利用者の手の動作を示している。
【0027】
本実施形態では、行先階登録装置2は、入力部4において入力操作が行われてから入力操作を行った手が検知されなくなったとき、制御装置3が行先階の登録を行うよう構成されている。具体的には、行先階登録装置2は、入力部4において入力操作が行われてから入力操作を行った手が検知されなくなったとき、制御装置3に登録指示情報を出力するよう構成されている。また、行先階登録装置2は、入力操作が行われてから制御装置3が行先階の登録を行うまでの間に、キャンセル操作が検知されたとき、制御装置3が行先階の登録を行わないよう構成されている。具体的には、行先階登録装置2は、入力操作が行われてから制御装置3が行先階の登録を行うまでの間に、キャンセル操作が検知されたとき、登録指示情報を削除し、制御装置3に登録指示情報を出力しないよう構成されている。本実施形態では、行先階の登録を阻止するキャンセル操作は、予め登録された操作である。キャンセル操作の詳細については後述する。
【0028】
判断部6は、入力部4に入力された行先階情報等を記憶する記憶部、及び、必要なタイミングで登録指示情報の出力を行う処理部を含む。
【0029】
表示部5は、
図2(a)~
図2(c)に示すように、タッチパネル20の全体で構成されている。本実施形態では、タッチパネル20は、入力部4及び表示部5を兼ねている。表示部5は、行先階を示すテンキーを表示する。このテンキーは、例えば、数字を示すキー、地下を示す「-」キー、及び、非常階を示す「☆」キーを含む。また、表示部5は、利用者に行先階の入力操作を促す情報(例えば、「Please enter destination」といったメッセージ)を表示する。さらに、表示部5は、入力操作中の行先階に関する情報(例えば、「1」)を表示する。表示部5は、行先階の入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報(例えば、「A」)及び行先階に関する行先階情報(例えば、「Floor 1」)の少なくともいずれか一方を表示し、本実施形態では、号機情報及び行先階情報の両方を表示する。
【0030】
入力部4は、タッチパネル20であり、具体的には、タッチパネル20のうち行先階を示すテンキーが表示されている部分である。この行先階登録装置2では、入力操作は、利用者の手がタッチパネル20に接触する操作であり、具体的には、利用者の手がタッチパネル20のテンキーに接触する操作である。
【0031】
本実施形態では、入力部4は、地下2階から9階までの各階を行先階として受け付ける。例えば、行先階として「1階」を入力したい場合には、利用者が指等により「1」のキーを触ればよい。また、行先階として「地下2階」を入力したい場合には、利用者が指等により「-」「2」のキーを順に触ればよい。
【0032】
行先階登録装置2は、入力部4において、入力操作が行われた状態から手が継続的に(例えば、2秒以上)検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されている。具体的には、行先階登録装置2は、タッチパネル20において、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分に対する操作を含む操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されている。より具体的には、行先階登録装置2は、タッチパネル20において、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分で手が継続的に検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されている。即ち、キャンセル操作は、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分の長押し操作である。
【0033】
例えば、「1階」の入力操作による行先階の登録を阻止する場合には、利用者が入力操作の際に指等により「1」のキーを触れた状態で所定時間維持する、即ち、「1」のキーを長押しすればよい。また、「地下2階」の入力操作による行先階の登録を阻止する場合には、利用者が指等により「-」「2」のキーを順に触れた後(入力操作の後)、そのまま「2」のキーを長押しすればよい。
【0034】
制御装置3は、行先階登録装置2からの出力情報に応じてかご10の運行を制御する。本実施形態では、制御装置3は、行先階登録装置2から登録指示情報が出力されたとき、複数の号機のかご10から登録指示情報に対応するかご10を選択し、この選択されたかご10を乗場呼びの入った乗場に向かわせる。
【0035】
以下、エレベータシステム1における一連の処理について説明する。まず、エレベータシステム1における行先階の登録を行う際の処理について、
図2(a)~
図2(c)、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0036】
行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かを判断する(ステップS01)。表示部5は、入力操作が行われていないとき、デフォルト表示を行っている(
図2(a)参照)。デフォルト表示では、表示部5は、入力補助情報(「Please enter destination」といったメッセージ)、及び、入力部4を構成するテンキーを表示する。
【0037】
入力部4における入力操作がない場合(ステップS01においてNo)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かの判断(ステップS01)を繰り返す。
【0038】
入力部4における入力操作があった場合(ステップS01においてYes)、表示部5は、入力操作中に、入力操作表示を行う(ステップS02)。入力操作表示では、表示部5は、入力部4の入力操作に対応する部分(タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分)を入力部4の入力操作が無い部分(タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触していない部分)と区別できるよう表示する(
図2(b)参照)。本実施形態では、入力部4の入力操作に対応する部分を区別する表示として、入力操作があったキーの色を異ならせる表示を行う。なお、このような区別する表示は、入力操作に対応するキーを点滅させる表示、このキーに記載されている数字の太さを異ならせる表示や、このキーを大きく表示したりする表示等であってもよい。
【0039】
次に、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4におけるキャンセル操作があるか否かを判断する(ステップS03)。本実施形態では、判断部6は、入力部4において、入力操作が行われた状態から手が継続的に(例えば、2秒以上)検知されたか否かを判断する。このとき、表示部5は、入力操作表示を行ったままである。入力部4におけるキャンセル操作が検知されない場合(ステップS03においてNo)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなったか否かを判断する(ステップS04)。
【0040】
入力部4におけるキャンセル操作が検知されず、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなった場合(ステップS03においてNo、ステップS04においてYes)、行先階登録装置2(判断部6)は、登録指示情報を制御装置3に出力する(ステップS05)。本実施形態では、入力部4において、入力操作が行われた状態から手が継続的に検知されない状態で、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなった場合、判断部6は、登録指示情報を制御装置3に出力する。なお、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなった場合とは、タッチパネル20から手が離れた場合である。
【0041】
さらに、制御装置3は、行先階登録装置2から出力された登録指示情報に応じて、行先階の登録を行う(ステップS06)。具体的に、制御装置3は、登録指示情報に応じて、複数の号機のかご10から適したかご10を選択し、この選択されたかご10を乗場呼びの入った乗場に向かわせる。
【0042】
次に、表示部5は、登録結果表示を行う(ステップS07)。登録結果表示では、表示部5は、入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報(例えば、「A」)及び行先階に関する行先階情報(例えば、「Floor 1」)を表示する(
図2(c)参照)。その後、表示部5は、デフォルト表示を行い(ステップS08、
図2(a)参照)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かの判断(ステップS01)に戻る。
【0043】
なお、入力部4におけるキャンセル操作がなく、入力部4において入力操作を行った手を検知している場合(ステップS03においてNo、ステップS04においてNo)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4におけるキャンセル操作があるか否かの判断に戻る(ステップS03)。
【0044】
次に、エレベータシステム1における行先階の登録の阻止する際の処理について、
図3(a)~
図3(c)、及び
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
ステップS01、ステップS02、及びステップS03については、上述と同様に行う。また、この処理を行う間、表示部5は、
図3(a)に示すデフォルト表示、
図3(b)における入力操作表示を行う。
【0046】
入力部4におけるキャンセル操作があった場合(ステップS03においてYes)、表示部5は、キャンセル操作中にキャンセル操作表示を行う(ステップS09)。キャンセル操作表示では、表示部5は、入力部4のキャンセル操作に対応する部分(タッチパネル20のうちキャンセル操作の際に手が接触した部分)を、入力部4のキャンセル操作が無い部分(タッチパネル20のうちキャンセル操作の際に手が接触していない部分)と区別できるよう表示する(
図3(c)参照)。本実施形態では、入力部4のキャンセル操作に対応する部分を区別する表示として、キャンセル操作があったキーの色を異ならせる表示を行う。なお、このような区別する表示は、キャンセル操作に対応するキーを点滅させる表示、このキーに記載されている数字の太さを異ならせる表示や、このキーを大きく表示したりする表示等であってもよい。
【0047】
また、本実施形態では、表示部5は、入力操作表示と、キャンセル操作表示とで同じ表示を行っているが、異なる表示を行ってもよい。例えば、表示部5は、入力部4の入力操作に対応する部分を区別する表示として、入力操作があったキーの色を異ならせる表示を行い、入力部4のキャンセル操作に対応する部分を区別する表示として、キャンセル操作があったキーを点滅させる表示を行ってもよい。
【0048】
さらに、行先階登録装置2(判断部6)は、登録指示情報を削除する(ステップS10)。本実施形態では、入力部4におけるキャンセル操作があった場合とは、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分の長押しが検知された場合である。登録指示情報が削除されることにより、行先階登録装置2(判断部6)は、登録指示情報を制御装置3に出力することが無いため、制御装置3は、行先階の登録を行わない。その後、表示部5は、デフォルト表示を行い(ステップS08、
図3(a)参照)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かの判断(ステップS01)に戻る。
【0049】
以上のエレベータシステム1では、行先階登録装置2は、入力操作が行われてから制御装置3が行先階の登録を行うまでの間に、キャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わない。このように、行先階の登録前の誤った入力操作による行先階の登録を阻止することで、誤った入力操作に応じたかご10の運転を未然に防ぐことができ、運行効率の低下を抑制できる。
【0050】
本実施形態のエレベータシステム1では、行先階登録装置2は、入力操作が行われた状態から手が継続的に検知されたとき、行先階の登録を行わない。そのため、利用者は、行先階を入力した状態から入力部4に手を検知させたままとすることで、行先階の登録を阻止し、例えば、この後に手を離してから新たな入力操作を行うことにより、改めて適切な行先階を登録することができる。このように、誤った入力操作による行先階の登録の阻止を迅速に行い、適切な行先階の登録を迅速に行うことができる。また、キャンセル操作は、入力部において手が検知されてから手が検知されなくなるまでの間に行われる必要があるため、利用者の入力操作が適切であった場合に、この利用者とは別の利用者の操作によって、この入力操作による行先階の登録が妨げられることを防ぐことができる。
【0051】
また、本実施形態のエレベータシステム1では、誤った入力操作を行った利用者は、タッチパネル20内の誤って操作した部分を認識しているため、この部分を利用した操作(タッチパネル20内の誤って操作した部分の長押し動作)を行い、誤った入力操作による行先階の登録を阻止することで、例えば、別途取消ボタンといった専用ボタンを設ける必要が無く、利用者はキャンセル操作の際にこの専用ボタンを探す必要が無い。また、キャンセル操作の際に、タッチパネル20内の誤って操作した部分に対して操作を行う必要があるため、入力操作を行った利用者とは別の利用者、例えば、入力操作を行った利用者の次の利用者の操作によって、この入力操作による行先階の登録が誤ってキャンセルされにくくなる。さらに、キャンセル操作は、入力操作が行われてから制御装置3が行先階の登録を行うまでの間に、行う必要があるため、入力操作を行った利用者とは別の利用者、例えば、入力操作を行った利用者の次の利用者の操作によって、この入力操作による行先階の登録が誤ってキャンセルされにくい。
【0052】
なお、本発明のエレベータシステムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0053】
上記実施形態では、キャンセル操作は、タッチパネル20の長押し操作であったが、タッチパネル20のスライド操作であってもよい。例えば、行先階登録装置2は、
図5(a)~
図5(c)に示すように、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分(例えば、「1」のキー)から連続して手のスライド移動が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。この場合においても、誤った入力操作を行った利用者は、タッチパネル20内の誤って操作した部分(例えば、「1」のキー)を起点とするスライド動作により、キャンセル操作を行うことができる。
【0054】
行先階登録装置2は、通常の入力操作の際には行いづらい上向きの動きを含むスライド操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていることが好ましい。また、この構成では、入力部4は、テンキーに加えて、タッチパネル20におけるテンキーの上側に位置する補助部を備えている。なお、行先階登録装置2は、タッチパネル20において下向きのスライド操作、又は、横向きのスライド操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。また、行先階登録装置2は、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分から連続して所定距離(例えば、20mm~50mm)以上の距離の手のスライド移動が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。
【0055】
この構成では、行先階登録装置2は、入力部4において、入力部4のうち入力操作の際に手が検知された部分(例えば、「1」のキー)から、入力部4のうち入力操作の際に手が検知された部分と異なる終点部分(具体的には、タッチパネル20のテンキーの上側に位置する補助部)までのスライド操作が検知されたとき、行先階の登録を取り消すよう構成される。この場合、入力部4において、スライド操作の開始が検知されたとき、表示部5は、終点部分に該終点部分を示すアイコン(例えば、ゴミ箱のイラストアイコン)を表示してもよい。また、表示部5は、終点部分を示すアイコンの代わりに、入力操作の際に手が検知された部分から終点部分までの方向を示すアイコン(例えば、矢印のアイコン)を表示してもよい。かかる構成によれば、行先階の登録の取り消し操作の終点部分やこの操作の移動方向が、アイコンの表示によりわかりやすくなる。
【0056】
上記実施形態では、行先階登録装置2は、入力操作が行われてから入力部4において入力操作を行った手が検知されなくなったとき、行先階の登録を行うよう構成されていたが、これに限定されない。行先階登録装置2は、入力部4において入力操作を行った手が検知されなくなったときから第一の所定時間が経過したとき、行先階の登録を行うよう構成されていてもよい。第一の所定時間は、例えば、約2~3秒間である。
【0057】
この構成において、入力操作により行先階が登録される場合、表示部5による表示は以下のように切り替わる。表示部5は、デフォルト表示を行った状態から(
図6(a)参照)、入力操作があったときに入力操作表示を行い(
図6(b)参照)、入力操作を行った手が検知されなくなったとき(入力操作を行った手がタッチパネル20から離れたとき)、入力後表示を行う(
図6(c)参照)。デフォルト表示では、表示部5は、入力補助情報(「Please enter destination」といったメッセージ)、及び、入力部4を構成するテンキーを表示する。入力操作表示では、表示部5は、入力部4の入力操作に対応する部分(タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分)を入力部4の入力操作が無い部分(タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触していない部分)と区別できるよう表示する。入力後表示では、表示部5は、入力部4の入力操作に対応する部分(タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分)を、入力部4の入力操作が無い部分(タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触していない部分)と区別できるよう表示する。さらに、入力部4において入力操作を行った手が検知されなくなったときから第一の所定時間が経過したとき、表示部5は、
図6(d)に示すように、登録結果表示を行う。登録結果表示では、表示部5は、入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報(例えば、「A」)及び行先階に関する行先階情報(例えば、「Floor 1」)を表示する。
【0058】
また、この構成において、行先階登録装置2は、入力部4において、入力操作を行った手が検知されなくなってから第一の所定時間以内にキャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。具体的には、行先階登録装置2は、入力部4において入力操作が検知されたとき、第一の所定時間だけ、制御装置3への登録指示情報の出力を保留し、入力操作を行った手が検知されなくなってから第一の所定時間が経過するまでの間に、入力部4においてキャンセル操作が検知されれば、登録指示情報を制御装置3に出力しないよう構成されていてもよい。なお、この場合、行先階登録装置2は、入力操作を行った手が検知されなくなってから第一の所定時間が経過するまでの間に、入力部4においてキャンセル操作が検知されなければ、登録指示情報を制御装置3に出力するよう構成される。また、この場合、キャンセル操作は、例えば、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分に対するダブルタップ操作や、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分に対して第一の所定時間よりも短い間隔で行われる複数回のタップ操作であってもよい。即ち、行先階登録装置2は、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分で、入力操作から第一の所定時間未満(2秒未満)に2回以上手が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。また、行先階登録装置2は、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分で、第一の所定時間未満(2秒未満)の間隔で複数回の手が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されていてもよい。
【0059】
以下、入力部4において入力操作を行った手が検知されなくなったときから第一の所定時間が経過したとき、行先階の登録を行うよう構成された行先階登録装置2を備えたエレベータシステム1における一連の処理について、
図6(a)~
図6(d)及び
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かを判断する(ステップS11)。表示部5は、入力操作が行われていないとき、デフォルト表示を行う(
図6(a)参照)。
【0061】
入力部4における入力操作がない場合(ステップS11においてNo)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かの判断(ステップS11)を繰り返す。
【0062】
入力部4における入力操作があった場合(ステップS11においてYes)、表示部5は、入力操作中に、入力操作表示を行う(ステップS12、
図6(b)参照)。
【0063】
次に、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなったか否かを判断する(ステップS13)。具体的には、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4において入力操作を行った手が離れたか否かを判断する。このとき、表示部5は、入力操作表示を行ったままである。
【0064】
入力部4において入力操作を行った手を検知している場合(ステップS13においてNo)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなったか否かの判断(ステップS13)を繰り返す。
【0065】
入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなった場合(ステップS13においてYes)、表示部5は、入力後表示を行う(ステップS14、
図6(c)参照)。
【0066】
次に、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4におけるキャンセル操作があるか否かを判断する(ステップS15)。本実施形態では、判断部6は、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分に対するダブルタップ操作があるか否かを判断する。このとき、表示部5は、入力後表示を行ったままである。入力部4におけるキャンセル操作がない場合(ステップS15においてNo)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなってから第一の所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS16)。
【0067】
入力部4におけるキャンセル操作がなく、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなってから第一の所定時間が経過していない場合(ステップS15においてNo、ステップS16においてNo)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4におけるキャンセル操作があるか否かの判断に戻る(ステップS15)。
【0068】
入力部4におけるキャンセル操作が検知されず、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなってから第一の所定時間が経過した場合(ステップS15においてNo、ステップS16においてYes)、行先階登録装置2(判断部6)は、登録指示情報を制御装置3に出力する(ステップS17)。本実施形態では、入力部4において、タッチパネル20のうち入力操作の際に手が接触した部分に対するダブルタップ操作がなく、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなってから第一の所定時間が経過した場合、判断部6は、登録指示情報を制御装置3に出力する。なお、入力部4において入力操作を行った手を検知しなくなったときとは、タッチパネル20から手が離れたときである。制御装置3は、行先階登録装置2から出力された登録指示情報に応じて、行先階の登録を行う(ステップS18)。さらに、表示部5は、登録結果表示を行う(ステップS19、
図6(d)参照)。その後、表示部5は、デフォルト表示を行い(ステップS20、
図6(a)参照)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かの判断(ステップS11)に戻る。
【0069】
入力部4におけるキャンセル操作があった場合(ステップS15においてYes)、表示部5は、キャンセル操作表示を行い(ステップS21)、行先階登録装置2(判断部6)は、登録指示情報を削除する(ステップS22)。本実施形態では、入力部4におけるキャンセル操作があった場合とは、タッチパネル20のうち入力操作の後に、入力部4において入力操作を行った手を2回以上検知した場合(例えば、ダブルタップ操作を検知した場合)である。これにより、行先階登録装置2(判断部6)は、登録指示情報を制御装置3に出力することが無いため、制御装置3は、行先階の登録を行わない。その後、表示部5は、デフォルト表示を行い(ステップS20)、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4における入力操作があるか否かの判断(ステップS11)に戻る。
【0070】
このエレベータシステム1によれば、利用者は、入力部4により入力操作を行った手が検知されなくなった後でも、(入力後表示を見た時点でも)入力操作が誤っていたことに気づけば、行先階の登録前に誤った入力操作による行先階の登録を阻止できる。そのため、誤った入力操作に応じたかご10の運転を未然に防ぐことができ、運行効率の低下を確実に抑制できる。
【0071】
上記実施形態では、行先階登録装置2は、入力部4において、入力操作が行われた状態から手が継続的に検知されたとき、又は、入力部4のうち入力操作の際に手が接触した部分に対する操作を含む操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないように構成されていたが、別の状態で手が検知されたとき、行先階の登録を行わないように構成されていてもよい。例えば、行先階登録装置2は、入力部4において、入力部4のうち入力操作の際に手が接触した部分以外を起点とするスライド操作、入力部4に「×」等の記号、数字、文字等を描く操作が検知されたとき、行先階の登録を行わなくてもよい。また、行先階登録装置2は、入力部4において、行先階として登録不可能なキー(「9」「9」の連続入力や「0」の入力)が入力されたとき、行先階の登録を行わなくてもよい。また、キャンセル操作は、予め登録された操作でなくてもよく、行先階登録装置2は、入力部4において、入力操作以外の操作を行う手が検知されたとき、行先階の登録を行わなくてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、入力部4は、地下2階から9階までの各階を行先階として受け付けていたが、二桁以上の数値で示される行先階を受け付けてもよい。この場合、制御装置3は、入力部4において、第二の所定時間内に手を複数回検知したとき、複数桁の行先階の登録を行えばよい。例えば、行先階として「10階」を入力したい場合には、第二の所定時間内(例えば、1秒以内)に利用者が指等により「1」「0」のキーを順に触れればよい。この入力部4は、「0」~「9」のキーを含むテンキーで行先階を入力できるため、様々な行先階の登録が可能であるとともに、行先階登録装置2のサイズを小さくすることができる。
【0073】
さらに、この場合、入力部4において第二の所定時間内の複数回の手の検知における最後の検知が行われてから(例えば、「1」「0」のキーの検知のうち「0」のキーの検知が行われてから)、行先階が登録されるまでの間に、キャンセル操作が検知されたとき、複数桁の行先階全体の登録(例えば、「10階」の登録)を行わないこととしてもよい。かかる構成によれば、利用者は、二桁以上の行先階全体の登録を阻止できる。そのため、この構成では、行先階のうち一の位以外に誤りがあったときであっても、キャンセル操作の後に適切な行先階を登録することができる。
【0074】
タッチパネル20のテンキーは、エンターキー(決定キー)を含んでもよい。この構成では、行先階登録装置2は、入力部4において、数字を示すキーで手を検知し、この手が検知されなくなってから第三の所定時間内にエンターキーで手を検知したときに、行先階の登録を行えばよい。また、この構成では、行先階登録装置2は、入力部4において、数字を示すキーで手を検知してからエンターキーの操作までに、キャンセル操作を検知したとき、行先階の登録を行わない。なお、行先階登録装置2は、入力部4において、数字を示すキーで手を検知してさらにエンターキーで手を検知した後、エンターキーで手を検知したときから第一の所定時間内にキャンセル操作を検知したとき、行先階の登録を行わない構成であってもよい。
【0075】
上記実施形態では、行先階登録装置2は、乗場に設けられていたが、エレベータの乗場及びかご10の少なくとも一方に設けられていればよい。また、上記実施形態では、行先階登録装置2は、各階床の乗場に設けられていたが、エレベータシステム1が設けられた建物の各階床のうち一部の階床(例えば、エントランス階)の乗場にのみ設けられていてもよい。この場合、行先階登録装置2が設けられていない階床の乗場には、通常の乗場呼びボタン(上昇するかごを呼ぶ乗場呼びボタン及び下降するかごを呼ぶ乗場呼びボタン)が設けられてもよい。
【0076】
上記実施形態では、タッチパネル20は、テンキータイプであったが、登録可能な行先階の一覧が表示され、利用者がこれを選択することで行先階を入力可能なタイプであってもよい。また、行先階登録装置2の入力部4は、タッチパネル20であったが、押下により行先階を入力可能な行先階ボタンや赤外線センサ等により非接触での行先階の入力が可能な行先階ボタンであってもよい。この場合、行先階登録装置2は、行先階ボタン等の入力部4と、液晶ディスプレイ等の表示部5との組み合わせであってもよい。また、入力部4は、空気中(空間)に映像を結像させる空中タッチディスプレイであってもよい。この空中タッチディスプレイは、例えば、空中画像を生成するための光を出射する光源と、光源からの光を反射及び透過して空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、空中画像に対する利用者の入力操作を検知する検知部と、を有する構成としてもよい。
【0077】
上記実施形態では、行先階登録装置2が、行先階の登録の阻止を行うように構成されていたが、これに限定されない。行先階登録装置2の代わりに、制御装置3が、行先階の登録の阻止を行うように構成されてもよい。この場合、制御装置3は、入力部4において入力操作を行った手が検知されなくなったときから第一の所定時間が経過したとき、行先階の登録を行うよう構成されていてもよい。この場合、制御装置3は、入力操作が行われてから制御装置3が行先階の登録を行うまでの間に、入力部4において入力操作と異なるキャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成される。具体的には、行先階登録装置2は、入力操作が行われたとき制御装置3に登録指示情報を出力し、制御装置3は、登録指示情報が出力された場合に、第一の所定時間、行先階の登録処理を保留するよう構成されてもよい。入力操作を行った手が検知されなくなってから第一の所定時間が経過するまでの間に、入力部4においてキャンセル操作が検知されれば、行先階登録装置2はキャンセル指示情報を制御装置3に出力する。また、制御装置3は、入力操作を行った手が検知されなくなってから第一の所定時間が経過するまでの間に、入力部4においてキャンセル指示情報が出力されれば、行先階の登録を行わない。一方、制御装置3は、第一の所定時間が経過するまでの間にキャンセル指示情報が出力されなければ、行先階の登録を行う。この構成であっても、行先階の登録を行わない構成を制御装置3に設けることで、行先階の登録前の誤った入力操作による行先階の登録を阻止して、誤った入力操作に応じたかご10の運転を未然に防ぐことができ、運行効率の低下を抑制できる。
【0078】
制御装置3が、入力部4において入力操作が行われてから入力部4が入力操作を行った手が検知されなくなったとき行先階の登録を行うとともに、キャンセル操作が検知されたとき行先階の登録の阻止を行う構成では、行先階登録装置2は、入力部4において入力操作が行われてから入力部4が入力操作を行った手が検知されなくなったとき、登録指示情報を制御装置3に出力すればよい。また、制御装置3が、入力部4において入力操作を行った手が検知されなくなったときから第一の所定時間が経過したとき行先階の登録を行うとともに、キャンセル操作が検知されたとき行先階の登録の阻止を行う構成では、行先階登録装置2は、入力部4において入力操作が行われてから入力部4が入力操作を行った手が検知されなくなったとき、又は、入力部4において入力操作を行った手が検知されなくなったときから第一の所定時間よりも短い第四の所定時間が経過したとき、登録指示情報を制御装置3に出力すればよい。
【0079】
さらに、この構成では、複数の行先階登録装置2(本実施形態では、二台の行先階登録装置2の判断部6)は、それぞれ異なる識別情報を有するものとしてもよい。この場合、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4において入力操作が行われたとき、登録指示情報及び識別情報を、制御装置3に出力する。また、行先階登録装置2(判断部6)は、入力部4において、キャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録の阻止に関する阻止情報及び識別情報を、制御装置3に出力するよう構成される。この構成では、制御装置3は、識別情報により入力操作やキャンセル操作の対象の行先階登録装置2を判別することができるため、複数の行先階登録装置2を備えるエレベータシステム1に対して適用可能である。
【0080】
なお、この構成において、行先階登録装置2は、識別情報を有していなくてもよい。この場合、行先階登録装置2は、入力部4において入力操作が行われたとき、登録指示情報のみを制御装置3に出力し、入力部4においてキャンセル操作が検知されたとき、阻止情報のみ制御装置3に出力するよう構成されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…エレベータシステム、2…行先階登録装置、3…制御装置、4…入力部、5…表示部、6…判断部、20…タッチパネル
【要約】
【課題】入力部において手が検知されることにより行先階を登録できる行先階登録装置において、利用者の誤った入力操作による行先階の登録を阻止するとともに、運行効率の低下を抑制したエレベータシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、行先階登録装置と、かごの運行を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記入力部に利用者の手を検知させることにより行先階情報を入力する入力操作が行われた後に、行先階の登録を行い、前記入力操作が行われてから前記制御装置が行先階の登録を行うまでの間に、前記入力部において前記入力操作と異なるキャンセル操作が検知されたとき、行先階の登録を行わないよう構成されている。
【選択図】
図2