(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】加湿システム、オゾン発生器、及び加湿方法
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240704BHJP
F24F 8/40 20210101ALI20240704BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20240704BHJP
【FI】
F24F6/00 E
F24F8/40
F24F7/003
(21)【出願番号】P 2021091173
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504136993
【氏名又は名称】独立行政法人国立病院機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 秀一
(72)【発明者】
【氏名】阪田 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】横山 崇広
(72)【発明者】
【氏名】今泉 潤哉
(72)【発明者】
【氏名】西山 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】奥村 俊英
(72)【発明者】
【氏名】水溪 由希
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-281725(JP,A)
【文献】特開2014-040996(JP,A)
【文献】特開2014-037964(JP,A)
【文献】特開2005-037104(JP,A)
【文献】特開2001-074300(JP,A)
【文献】特開2015-075302(JP,A)
【文献】特開2016-017717(JP,A)
【文献】特開2006-046810(JP,A)
【文献】特開2001-091001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00-6/18
F24F 7/003
F24F 8/40
F24F 11/00-11/89
A61L 9/00-9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を有する空調部と、
自身の外部に対する通知を行う通知部と、
前記空調部及び前記通知部を制御する制御部と、
を備えた加湿システムであって、
前記空調部は、前記加湿部がウィルス不活化又は殺菌のための所定の急速加湿動作を行う第1状態に少なくとも切り替わり、
前記通知部は、前記外部空間の相対湿度を下げることを促す通知を行う第2状態に少なくとも切り替わり、
前記制御部は、少なくとも前記第2状態にする制御から前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御に切り替えた後、前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御から少なくとも前記第2状態にする制御に切り替える切替制御を、繰り返す
加湿システム。
【請求項2】
前記急速加湿動作は、前記外部空間の相対湿度を2.0(%/min)以上の速度で上昇させる加湿動作である
請求項1に記載の加湿システム。
【請求項3】
前記急速加湿動作は、前記外部空間に対して570(ml/h)以上の速度で水蒸気又はミストを供給する加湿動作である
請求項1又は請求項2に記載の加湿システム。
【請求項4】
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を有する空調部と、
前記空調部を制御する制御部と、
を備えた加湿システムであって、
前記空調部は、前記外部空間とは異なる別空間から、前記外部空間に乾燥空気を導入する乾燥空気導入部を備え、
前記空調部は、前記加湿部がウィルス不活化又は殺菌のために前記外部空間を加湿する第1状態と、前記乾燥空気導入部が前記外部空間に乾燥空気を導入する状態である第2状態と、に切り替わり、
前記制御部は、前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替制御を、繰り返す
加湿システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り替えた後、前記外部空間の相対湿度が所定の下限値に達した場合に、前記第1状態に切り替える
請求項4に記載の加湿システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り替えた後、所定時間が経過した場合に、前記空調部を前記第1状態に切り替える
請求項4に記載の加湿システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記外部空間の相対湿度が所定の上限値に達した場合に、前記第2状態に切り替える
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の加湿システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、設定時間が経過した場合に、前記第2状態に切り替える
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の加湿システム。
【請求項9】
請求項4から請求項8のいずれか一項に記載の加湿システムと、
前記外部空間にオゾンを供給するオゾン供給部と、
を有するオゾン発生器。
【請求項10】
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を備えた空調部と、前記空調部を制御する制御部と、を用い、前記外部空間を加湿する加湿方法であって、
前記空調部は、前記外部空間とは異なる別空間から、前記外部空間に乾燥空気を導入する乾燥空気導入部を備え、
前記空調部は、前記加湿部がウィルス不活化又は殺菌のために前記外部空間を加湿する第1状態と、前記乾燥空気導入部が前記外部空間に乾燥空気を導入する状態である第2状態と、に切り替わり、
前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替制御を、前記制御部が繰り返す
加湿方法。
【請求項11】
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を有する空調部と、自身の外部に対する通知を行う通知部と、前記空調部及び前記通知部を制御する制御部と、を用い、前記外部空間を加湿する加湿方法であって、
前記空調部は、前記加湿部がウィルス不活化又は殺菌のための所定の急速加湿動作を行う第1状態に少なくとも切り替わり、
前記通知部は、前記外部空間の相対湿度を下げることを促す通知を行う第2状態に少なくとも切り替わり、
少なくとも前記第2状態にする制御から、前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御に切り替えた後、前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御から、少なくとも前記第2状態にする制御に切り替える切替制御を、前記制御部が繰り返す
加湿方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿システム、オゾン発生器、及び加湿方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加湿器の一例が開示されている。特許文献1の加湿器は、インフルエンザウィルスの不活化と温度と湿度の相関関係を利用し、相関データから検出した室温に対応する湿度を選んで自動設定し、自動設定された湿度が得られるように加湿運転を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加湿器は、インフルエンザウィルスの不活化と温度と湿度の相関関係を利用し、室内の温度に基づいて、ウィルスが不活化する湿度に自動設定するものである。この加湿器では、室内の温度が変動しないと、室内の湿度は自動設定された湿度に維持されるように調整される。従って、この加湿器では、ある程度の不活化効果が得られる可能性はあるが、湿度の上昇によって得られる不活化効果や殺菌効果はそれほど期待できない。
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、相対湿度を上昇させる動作によってウィルスの不活化又は殺菌を効果的に行い得る技術を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つである加湿システムは、
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を有する空調部と、
前記空調部を制御する制御部と、
を備えた加湿システムであって、
前記空調部は、前記加湿部が所定の急速加湿動作を行う第1状態と、前記第1状態のときよりも前記外部空間に対する加湿を抑える状態である第2状態と、に切り替わり、
前記制御部は、前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替制御を、繰り返す。
【0007】
上記の加湿システムは、急速加湿動作により外部空間の相対湿度をより速い速度で上昇させることができるため、この急速加湿動作の期間には、外部空間においてウィルスの不活化効果又は殺菌効果が高くなりやすい。しかも、上記の加湿システムは、急速加湿動作によって相対湿度が高まった後には、第2状態に切り替えることで湿度上昇を抑制し、その後、再び急速加湿動作を行うように繰り返すことができるため、急速加湿動作を行う期間をより確保することができる。よって、「外部空間におけるウィルス不活化又は殺菌」をより効果的に行うことができる。
【0008】
上記の加湿システムにおいて、前記空調部は、前記外部空間を除湿する除湿部又は前記外部空間に乾燥空気を導入する乾燥空気導入部の少なくともいずれかを備えていてもよい。前記第2状態は、前記除湿部が前記外部空間を除湿する状態又は前記乾燥空気導入部が前記外部空間に乾燥空気を導入する状態の少なくともいずれかの状態であってもよい。
【0009】
この加湿システムのように、第2状態のときに除湿部が外部空間を除湿又は乾燥空気導入部が外部空間に乾燥空気を導入すれば、急速加湿動作によって相対湿度が上昇した後に、より速い速度で相対湿度を下げることができる。よって、この加湿システムは、「より早期に急速加湿動作を再開し、再開した急速加湿動作の期間をより確保する」という観点で、有利である。
【0010】
本発明の一つである加湿システムは、
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を有する空調部と、
自身の外部に対する通知を行う通知部と、
前記空調部及び前記通知部を制御する制御部と、
を備えた加湿システムであって、
前記空調部は、前記加湿部が所定の急速加湿動作を行う第1状態に少なくとも切り替わり、
前記通知部は、前記外部空間の湿度の抑制を促す通知を行う第2状態に少なくとも切り替わり、
前記制御部は、少なくとも前記第2状態にする制御から前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御に切り替えた後、前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御から少なくとも前記第2状態にする制御に切り替える切替制御を、繰り返す。
【0011】
上記の加湿システムは、急速加湿動作(第1状態のときの動作)により外部空間の相対湿度をより速い速度で上昇させることができるため、この急速加湿動作の期間には、外部空間においてウィルスの不活化効果又は殺菌効果が高くなりやすい。しかも、上記の加湿システムは、急速加湿動作によって相対湿度が高まった後には、第2状態に切り替えることで湿度上昇が抑制されやすくなり、その後、再び急速加湿動作を行うように繰り返すことができるため、急速加湿動作を行う期間をより確保することができる。よって、「外部空間におけるウィルス不活化又は殺菌」をより効果的に行うことができる。
【0012】
上記の加湿システムにおいて、上記急速加湿動作は、上記外部空間の相対湿度を2.0(%/min)以上の速度で上昇させる加湿動作であってもよい。
【0013】
このような速度で急速加湿動作が行われれば、外部空間におけるウィルス不活化又は殺菌の効果がより一層高い。
【0014】
上記の加湿システムにおいて、上記急速加湿動作は、上記外部空間に対して570(ml/h)以上の速度で水蒸気又はミストを供給する加湿動作であってもよい。
【0015】
このような速度で急速加湿動作が行われれば、外部空間におけるウィルス不活化又は殺菌の効果がより一層高い。
【0016】
本発明の一つである加湿システムは、
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を有する空調部と、
前記空調部を制御する制御部と、
を備えた加湿システムであって、
前記空調部は、前記外部空間を除湿する除湿部又は前記外部空間に乾燥空気を導入する乾燥空気導入部の少なくともいずれかを備え、
前記空調部は、前記加湿部が前記外部空間を加湿する第1状態と、前記除湿部が前記外部空間を除湿する状態又は前記乾燥空気導入部が前記外部空間に乾燥空気を導入する状態の少なくともいずれかの状態である第2状態と、に切り替わり、
前記制御部は、前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替制御を、繰り返す。
【0017】
上記の加湿システムは、第1状態のときに外部空間の相対湿度を上昇させるため、この上昇期間には、外部空間においてウィルスの不活化効果又は殺菌効果が得られやすい。しかも、この加湿システムは、第1状態によって外部空間の相対湿度を高めた後に、第2状態に切り替えて外部空間を強制的に除湿するため、より速い速度で相対湿度を下げることができる。よって、この加湿システムは、「外部空間の相対湿度を上昇させる上昇動作をより早期に再開し、再開した上昇動作の期間をより確保する」という観点で、有利である。よって、この加湿システムは、「外部空間のウィルス不活化又は殺菌」をより効果的に行うことができる。
【0018】
上記の加湿システムにおいて、前記制御部は、前記空調部を前記第1状態から前記第2状態に切り替えた後、前記外部空間の相対湿度が所定の下限値に達した場合に、前記空調部を前記第1状態に切り替えてもよい。
【0019】
上記の加湿システムは、下限値を基準として外部空間の相対湿度が下がりすぎることをより正確に抑えることができ、「下限値以上で相対湿度が上昇する期間」をより確保することができる。
【0020】
上記の加湿システムにおいて、前記制御部は、前記空調部を前記第1状態から前記第2状態に切り替えた後、所定時間が経過した場合に、前記空調部を前記第1状態に切り替えてもよい。
【0021】
上記の加湿システムは、外部空間の相対湿度が下がりすぎることを時間的な基準に従って抑えることができ、より早期に第1状態を再開することができる。
【0022】
上記の加湿システムにおいて、前記制御部は、前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記外部空間の相対湿度が所定の上限値に達した場合に、前記空調部を前記第2状態に切り替えてもよい。
【0023】
上記の加湿システムは、上限値を基準として外部空間の相対湿度が上がりすぎることをより正確に抑えることができ、「上限値以下で相対湿度が上昇する期間」をより確保することができる。
【0024】
上記の加湿システムにおいて、前記制御部は、前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、設定時間が経過した場合に、前記空調部を前記第2状態に切り替えてもよい。
【0025】
上記の加湿システムは、外部空間の相対湿度が上がりすぎることを時間的な基準に従って抑えることができる。
【0026】
本発明の一つであるオゾン発生器は、上記のいずれかの加湿システムと、前記外部空間にオゾンを供給するオゾン供給部と、を有する。
【0027】
上記のオゾン発生器は、外部空間にオゾンを供給する機能に加え、外部空間の相対湿度を上昇させる動作によって「外部空間のウィルス不活化又は殺菌」を効果的に行う機能も実現することができる。
【0028】
本発明の一つである加湿方法は、
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を備えた空調部と、前記空調部を制御する制御部と、を用い、前記外部空間を加湿する加湿方法であって、
前記空調部は、前記加湿部が所定の急速加湿動作を行う第1状態と、前記第1状態のときよりも前記外部空間に対する加湿を抑える状態である第2状態と、に切り替わり
前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替制御を、前記制御部が繰り返す。
【0029】
上記の加湿方法は、急速加湿動作により外部空間の相対湿度をより速い速度で上昇させることができるため、この急速加湿動作の期間には、外部空間においてウィルスの不活化効果又は殺菌効果が高くなりやすい。しかも、上記の加湿方法は、急速加湿動作によって相対湿度が高まった後には、第2状態に切り替えることで湿度上昇を抑制し、その後、再び急速加湿動作を行うように繰り返すことができるため、急速加湿動作を行う期間をより確保することができる。よって、「外部空間におけるウィルス不活化又は殺菌」をより効果的に行うことができる。
【0030】
上記の加湿方法において、前記空調部は、前記外部空間を除湿する除湿部又は前記外部空間に乾燥空気を導入する乾燥空気導入部の少なくともいずれかを備えていてもよい。前記第2状態は、前記除湿部が前記外部空間を除湿する状態又は前記乾燥空気導入部が前記外部空間に乾燥空気を導入する状態の少なくともいずれかの状態であってもよい。
【0031】
この加湿方法のように、第2状態のときに除湿部が外部空間を除湿すれば、急速加湿動作によって相対湿度が上昇した後に、より速い速度で相対湿度を下げることができる。よって、この加湿方法は、「より早期に急速加湿動作を再開し、再開した急速加湿動作の期間をより確保する」という観点で、有利である。
【0032】
本発明の一つである加湿方法は、
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を備えた空調部と、前記空調部を制御する制御部と、を用い、前記外部空間を加湿する加湿方法であって、
前記空調部は、前記外部空間を除湿する除湿部又は前記外部空間に乾燥空気を導入する乾燥空気導入部の少なくともいずれかを備え、
前記空調部は、前記加湿部が前記外部空間を加湿する第1状態と、前記除湿部が前記外部空間を除湿する状態又は前記乾燥空気導入部が前記外部空間に乾燥空気を導入する状態の少なくともいずれかの状態である第2状態と、に切り替わり、
前記空調部を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた後、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替制御を、前記制御部が繰り返す。
【0033】
上記の加湿方法は、第1状態のときに外部空間の相対湿度を上昇させるため、この上昇期間には、外部空間においてウィルスの不活化効果又は殺菌効果が得られやすい。しかも、この加湿方法は、第1状態によって外部空間の相対湿度を高めた後に、第2状態に切り替えて外部空間を強制的に除湿するため、より速い速度で相対湿度を下げることができる。よって、この加湿方法は、「外部空間の相対湿度を上昇させる上昇動作をより早期に再開し、再開した上昇動作の期間をより確保する」という観点で、有利である。
【0034】
本発明の一つである加湿方法は、
自身の外側の外部空間を加湿する加湿部を有する空調部と、自身の外部に対する通知を行う通知部と、前記空調部及び前記通知部を制御する制御部と、を用い、前記外部空間を加湿する加湿方法であって、
前記空調部は、前記加湿部が所定の急速加湿動作を行う第1状態に少なくとも切り替わり、
前記通知部は、前記外部空間の湿度の抑制を促す通知を行う第2状態に少なくとも切り替わり、
少なくとも前記第2状態にする制御から、前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御に切り替えた後、前記第2状態を停止しつつ前記第1状態にする制御から、少なくとも前記第2状態にする制御に切り替える切替制御を、前記制御部が繰り返す。
【0035】
上記の加湿方法は、急速加湿動作(第1状態のときの動作)により外部空間の相対湿度をより速い速度で上昇させることができるため、この急速加湿動作の期間には、外部空間においてウィルスの不活化効果又は殺菌効果が高くなりやすい。しかも、上記の加湿方法は、急速加湿動作によって相対湿度が高まった後には、第2状態に切り替えることで湿度上昇が抑制されやすくなり、その後、再び急速加湿動作を行うように繰り返すことができるため、急速加湿動作を行う期間をより確保することができる。よって、「外部空間におけるウィルス不活化又は殺菌」をより効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、相対湿度を上昇させる動作によってウィルスの不活化又は殺菌を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、第1実施形態の加湿システムの構成を簡略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の加湿システムにおいて行われる繰り返し制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1実施形態の加湿システムにおいて繰り返し制御がなされた場合の外部空間での相対湿度の変化例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に関連する実験の結果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、第2実施形態の加湿システムにおいて繰り返し制御がなされた場合の外部空間での相対湿度の変化例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、第3実施形態の加湿システムにおいて繰り返し制御がなされた場合の外部空間での相対湿度の変化例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、他の実施形態の加湿システムの構成を簡略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.第1実施形態
1-1.加湿システム1の構成
図1に示される加湿システム1は、加湿システム1自身が配置された空間の湿度を調整する機能を備えた空調システムである。加湿システム1は、少なくとも自身の外側の外部空間90を加湿する機能を有する。以下で説明される代表例では、加湿システム1は、外部空間90を除湿する機能も有する。加湿システム1は、オゾンガスを発生する機能も有しており、オゾン発生器の一例に相当する。
【0039】
加湿システム1は、情報処理部10、空調部20、オゾン供給部30、湿度センサ40、ケース4、などを備える。
図1の例では、情報処理部10、空調部20、オゾン供給部30、湿度センサ40がケース4内に収容され、これらが一体化したユニットとして加湿システム1が構成されている。
【0040】
制御部12は、プログラムに基づいて、通信、表示、記憶、演算、その他の制御などを行い得る情報処理装置である。制御部12は、情報受信機能、情報送信機能、演算機能、その他の情報処理機能を有する。制御部12は、オゾン供給部30の動作を制御する。制御部12は、空調部20を制御する。
【0041】
通信部17は、公知の有線通信方式又は公知の無線通信方式によって加湿システム1の外部に設けられた外部装置と通信を行う装置である。通信部17は、制御部12と協働し、外部装置との間で通信を行う。表示部16は、制御部12と協働して表示動作を行う装置である。表示部16は、ランプを有していてもよく、文字、数字等の記号や絵柄などの画像を表示する画像表示装置を有していてもよい。記憶部18は、情報を記憶する装置である。制御部12は、記憶部に対する情報の記録や、記憶部からの情報の読み出しを行う。
【0042】
湿度センサ40は、外部空間90の相対湿度を検出するセンサである。湿度センサ40は、相対湿度を検出し得る公知の湿度センサとして構成されている。
図1の例では、湿度センサ40等を収容するケース4において、開口部4Aが設けられており、湿度センサ40が配置された空間と外部空間90とが連通している。湿度センサ40が配置された空間には、外部空間90に存在する空気が流れ込み得る。
【0043】
空調部20は、加湿部22を有する。
図1の例では、加湿部22によって空調部20が構成されるが、空調部20は、加湿部22以外の装置や部品を有していてもよい。加湿部22は、加湿システム1の外部の空間を加湿する装置である。
図1の例では、加湿部22は、自身の外側の外部空間90を加湿する。加湿部22は、加湿装置24、ファン26、供給路28を備える。加湿部22は、外部空間90に対して供給路28を介して水蒸気又はミストを供給することで外部空間90の湿度を上昇させる。
【0044】
加湿装置24は、水蒸気又はミストを発生する装置である。加湿装置24が水蒸気又はミストを発生させる方式は、公知の様々な方式を採用することができ、例えば、スチーム式、超音波式、気化式、ハイブリッド式などの公知方式を採用し得る。加湿装置24は、自身が発生させた水蒸気又はミストを供給路28に送り込む。
【0045】
供給路28は、加湿装置24にて発生した水蒸気又はミストを加湿システム1の外部の空間(
図1の例では外部空間90)へ誘導する流路であり、例えば管路である。供給路28内は外部空間90に連通する。供給路28を流れる気体の流量及び流速は、ファン26によって調整される。ファン26は、ブロワー(送風機)として構成される。ファン26は、例えば複数の羽根を有する回転体(図示省略)と、この回転体を回転する動力部(図示が省略されたモータ等)と、動力部の回転を調整する駆動回路(図示省略)とを有しており、駆動回路は、回転体の回転数を制御部12から指示された回転数に制御する。ファン26を構成する回転体の回転数が大きくなるほど、供給路28を流れる気体の流量及び流速は大きくなる。
【0046】
加湿装置24が一定の発生速度で水蒸気又はミストを発生させる場合、ファン26の回転数が大きくなるほど、供給路28を介して流れる水蒸気又はミストの流量及び流速は大きくなる。従って、制御部12は、ファン26の回転数を調整することで、水蒸気又はミストの供給速度(単位時間当たりに外部空間90に供給される水蒸気又はミストの量)を調整することができる。
【0047】
空調部20は、除湿部を有していてもよい。以下で説明される代表例では、加湿部22が除湿部の一例に相当する。但し、この例に限定されず、空調部20は、加湿部22とは異なる装置として除湿部が設けられていてもよい。いずれの場合でも、除湿部は、コンプレッサー方式、デシカント方式、ハイブリッド方式などの公知の方式で空間を除湿し得る。加湿部22が除湿部としても機能し得る代表例では、加湿部22は、公知の除湿装置と同様の方法で外部空間90を除湿する。
【0048】
オゾン供給部30は、加湿システム1の外側の空間(
図1の例では外部空間90)にオゾンガスを供給する装置である。オゾン供給部30は、オゾン発生装置32、ファン36、供給路38を備える。オゾン発生装置32は、オゾン(オゾンガス)を発生させる装置である。オゾン発生装置32がオゾンガスを発生させる方式は、公知の様々な方式が採用され得る。例えば、オゾン発生装置32は、紫外線式、電気分解式、放電式などの公知方式によってオゾンガスを発生させる。オゾン発生装置32は、自身が発生させたオゾンガスを供給路38に送り込む。
【0049】
供給路38は、オゾン発生装置32にて発生したオゾンガスを加湿システム1の外側の外部空間90へ誘導する流路であり、例えば管路である。供給路38を流れる気体の流量及び流速は、ファン36によって調整される。ファン36は、ブロワー(送風機)として構成される。ファン36は、例えば複数の羽根を有する回転体(図示省略)と、この回転体を回転する動力部(図示が省略されたモータ等)と、動力部の回転を調整する駆動回路(図示省略)とを有しており、駆動回路は、回転体の回転数を制御部12から指示された回転数に制御する。ファン36を構成する回転体の回転数が大きくなるほど、供給路38を流れる気体の流量及び流速は大きくなる。
【0050】
オゾン発生装置32が一定の発生速度でオゾンガスを発生させる場合、ファン36の回転数が大きくなるほど、供給路38を介して流れるオゾンガスの流量及び流速は大きくなる。従って、制御部12は、ファン36の回転数を調整することで、オゾンガスの供給速度(単位時間当たりに空間90に供給されるオゾンガスの量)を調整することができる。
【0051】
1-2.加湿システム1における制御
加湿システム1によってなされる加湿方法では、空調部20を、加湿部22が所定の急速加湿動作を行う第1状態と、第1状態のときよりも外部空間90に対する加湿を抑える状態である第2状態と、に切り替える。そして、制御部12は、空調部20を第2状態から第1状態に切り替えた後、第1状態から第2状態に切り替える切替制御を、繰り返す。
【0052】
上記加湿方法は、例えば、制御部12が
図2のような流れで制御(繰り返し制御)を行うことにより実施される。
図2に示される繰り返し制御は、第1開始条件が成立した場合に実行される第1モードの制御である。第1モードは、ウィルスの不活化又は殺菌を行うモードである。制御部12は、第1モード以外のモードが実施可能とされていてもよい。例えば、第1開始条件とは異なる第2開始条件が成立した場合に、制御部12が第2モードの制御を実行し、例えば、外部空間90の相対湿度を予め設定された設定湿度に維持するように動作してもよい。
【0053】
制御部12は、第1開始条件が成立した場合に、
図2に示される繰り返し制御を実行する。第1開始条件は、例えば、「制御部12に対して加湿システム1内の電源部(図示省略)から電力の供給が開始されたこと」であってもよく、「情報処理部10に設けられた操作部(図示省略)に対して所定の開始操作がなされたこと」であってもよく、「制御部12に対して電力が供給されている状態で、予め定められた設定条件が成立したこと(例えば、予め定められた開始時刻に達したこと、外部空間90が予め定められた所定温度に達したこと等)」であってもよい。
【0054】
制御部12は、第1開始条件が成立した場合に
図2に示される繰り返し制御を開始し、まず、ステップS1において空調部20を初期状態とする。初期状態は、後述される加湿抑制動作が行われる状態であってもよく、後述される急速加湿動作が行われる状態であってもよく、空調部20が加湿動作や除湿動作を停止した状態であってもよい。
【0055】
制御部12は、ステップS1で空調部20を初期状態にした後、処理をステップS2に進め、湿度センサ40が検出する外部空間90の相対湿度に基づき、外部空間90の相対湿度が予め定められた上限値Rt1以上であるか否かを判定する。
【0056】
制御部12は、ステップS2において、外部空間90の相対湿度が上限値Rt1以上でないと判定した場合(S2でNoの場合)、処理をステップS3に進め、空調部20に急速加湿動作を行わせる。一般に加湿動作は 、外部空間90の相対湿度を1.3(%/min)以上の速度、または、380(ml/h)以上の速度で上昇させる加湿動作である。この場合、室温(25℃)における25m3の空間の相対湿度を15(min)で20%(例えば、相対湿度が40%から60%)上昇させることができる。これに対し、急速加湿動作は、例えば、外部空間90の相対湿度を2.0(%/min)以上の速度で上昇させる加湿動作である。この場合、室温(25℃)における25m3の空間の相対湿度を10(min)で20%(例えば、相対湿度が40%から60%)上昇させることができる。望ましくは、急速加湿動作は、外部空間90の相対湿度を4.0(%/min)以上の速度で上昇させる加湿動作であると良い。この場合、室温(25℃)における25m3の空間の相対湿度を5(min)で20%(例えば、相対湿度が40%から60%)上昇させることができる。急速加湿動作の一例としては、例えば、20/3(%/min)の速度で外部空間90の相対湿度を上昇させる動作が挙げられる。そのため、 さらに望ましくは、急速加湿動作は、外部空間90の相対湿度を6.7(%/min)以上の速度で上昇させる加湿動作であると良い。この場合、室温(25℃)における25m3の空間の相対湿度を3(min)で20%(例えば、相対湿度が40%から60%)上昇させることができる。急速加湿動作において外部空間90の相対湿度を上昇させる速度は、20.0(%/min)以下であると良い。
【0057】
急速加湿動作は、例えば、外部空間90に対して570(ml/h)以上の速度で水蒸気又はミストを供給する加湿動作であっても良い。この場合、室温(25℃)における25m3の空間の相対湿度を10(min)で20%(例えば、相対湿度が40%から60%)上昇させることができる。望ましくは、急速加湿動作は、外部空間90に対して1150(ml/h)以上の速度で水蒸気又はミストを供給する加湿動作であると良い。この場合、室温(25℃)における25m3の空間の相対湿度を5(min)で20%(例えば、相対湿度が40%から60%)上昇させることができる。急速加湿動作の一例としては、例えば、外部空間90に対して1910(ml/h)の速度で水蒸気又はミストを供給する加湿動作が挙げられる。そのため、さらに望ましくは、急速加湿動作は、外部空間90に対して1910(ml/h)以上の速度で水蒸気又はミストを供給する加湿動作であると良い。この場合、室温(25℃)における25m3の空間の相対湿度を3(min)で20%(例えば、相対湿度が40%から60%)上昇させることができる。急速加湿動作において外部空間90に水蒸気又はミストを供給する速度は、5730(ml/h)以下であるとよい。
【0058】
なお、制御部12は、ステップS3の処理を開始する時点で既に空調部20に急速加湿動作を行わせている場合、ステップS3の処理では、空調部20に急速加湿動作を行わせる制御を継続する。制御部12は、ステップS3において空調部20に急速加湿動作を行わせる制御を開始又は継続した場合、ステップS4において、予め定められた終了条件が成立したか否かを判定する。
【0059】
制御部12は、ステップS4において、上記終了条件が成立したと判定した場合(S4でYesの場合)、
図2に示される繰り返し制御を終了する。制御部12は、ステップS4において、上記終了条件が成立していないと判定した場合(S4でNoの場合)、処理をステップS2に戻し、外部空間90の相対湿度が上限値Rt1以上であるか否かを判定する。上限値Rt1は、例えば、50%以上且つ80%以下の範囲であることが望ましい。上限値Rt1は、例えば60%である。
【0060】
制御部12は、ステップS2において、外部空間90の相対湿度が上限値Rt1以上であると判定した場合(S2でYesの場合)、処理をステップS5に進め、空調部20を加湿抑制状態とする。加湿抑制状態は、第2状態の一例に相当する。加湿抑制状態は、第1状態(急速加湿動作が行われている状態)のときよりも外部空間90に対する加湿を抑える状態である。加湿抑制状態は、第1状態(急速加湿動作が行われている状態)のときよりも外部空間90の相対湿度の上昇速度が抑えられる。また、加湿抑制状態は、第1状態(急速加湿動作が行われている状態)のときよりも外部空間90に対する水蒸気又はミストの供給速度が抑えられる。
【0061】
以下で説明される代表例では、制御部12は、加湿抑制状態のときに加湿部22に除湿動作を行わせる。つまり、代表例では、第2状態は、加湿部22(除湿部)が外部空間90を除湿する状態である。従って、加湿抑制状態(第2状態)のときには、外部空間90に存在する水蒸気又はミストが加湿部22(除湿部)によって除去される。
【0062】
なお、制御部12は、ステップS5の処理を開始する時点で既に加湿抑制状態である場合、ステップS5の処理では、加湿抑制状態を継続する。制御部12は、ステップS5において加湿抑制状態を開始又は継続した場合、処理をステップS6に進め、湿度センサ40が検出する外部空間90の相対湿度に基づき、外部空間90の相対湿度が予め定められた下限値Rt2以下であるか否かを判定する。制御部12は、ステップS6において、外部空間90の相対湿度が下限値Rt2以下であると判定した場合(S6でYesの場合)、処理をステップS3に進め、空調部20に急速加湿動作を行わせる。下限値Rt2は、上限値Rt1よりも低い値である。下限値Rt2は、例えば、10%以上且つ50%以下の範囲であることが望ましい。下限値Rt2は、例えば40%である。
【0063】
制御部12は、ステップS6において、外部空間90の相対湿度が下限値Rt2以下でないと判定した場合(S6でNoの場合)、処理をステップS7に進め、予め定められた終了条件が成立したか否かを判定する。制御部12は、ステップS7において、上記終了条件が成立したと判定した場合(S7でYesの場合)、
図2に示される繰り返し制御を終了する。制御部12は、ステップS7において、上記終了条件が成立していないと判定した場合(S7でNoの場合)、処理をステップS5に戻し、加湿抑制状態を継続する。ステップS7の判定に用いられる終了条件は、ステップS4の判定に用いられる終了条件と同一であってもよく、異なっていてもよい。この終了条件は、例えば、「制御部12に対する電力供給が停止したこと」であってもよく、「情報処理部10に設けられた操作部(図示省略)に対して所定の終了操作がなされたこと」であってもよく、「制御部12に対して電力が供給されている状態で、予め定められた設定条件が成立したこと(例えば、予め定められた終了時刻に達したこと、外部空間90が予め定められた所定温度に達したこと等)」であってもよい。
【0064】
制御部12が
図2のような繰り返し制御を継続して行うと、空調部20を第2状態(加湿抑制状態)から第1状態(急速加湿動作を行う状態)にする切り替え(即ち、ステップS6でYesと判定されることによる切り替え)を行った後、第1状態から第2状態にする切り替え(即ち、ステップS2でYesと判定されることによる切り替え)を行うような切替制御を、複数回繰り返すことができる。
【0065】
上述された加湿システム1では、外部空間90の相対湿度を、例えば
図3のように変化させることができる。
図3の例は、
図2の制御を開始した時点で、外部空間90の相対湿度が下限値Rt2未満である場合の例である。
図3のように、制御部12は、空調部20を第1状態(急速加湿動作を行う状態)から第2状態(加湿抑制状態)に切り替えた後、外部空間90の相対湿度が下限値Rt2に達した場合に、空調部20を第1状態に切り替えることができる。そして、制御部12は、空調部20を第2状態(加湿抑制状態)から第1状態(急速加湿動作を行う状態)に切り替えた後、外部空間90の相対湿度が上限値Rt1に達した場合に、空調部20を第2状態に切り替えることができる。制御部12は、このような動作により、第1状態と第2状態を交互に繰り返すことができる。
【0066】
1-3.効果の例
加湿システム1は、急速加湿動作により外部空間90の相対湿度をより速い速度で上昇させることができるため、この急速加湿動作の期間には、外部空間90においてウィルスの不活化効果又は殺菌効果が高くなりやすい。しかも、加湿システム1は、急速加湿動作によって相対湿度が高まった後には、第2状態に切り替えることで湿度上昇を抑制し、その後、再び急速加湿動作を行うように繰り返すことができるため、急速加湿動作を行う期間をより確保することができる。よって、「外部空間90におけるウィルス不活化又は殺菌」をより効果的に行うことができる。
【0067】
例えば、使用環境によっては、加湿しすぎることが望まれない環境や、ある程度低い湿度を維持することが望ましいような環境では、高湿度状態を継続的に維持することが難しい場合もある。或いは、湿度がある程度高い環境では、ウィルス不活化効果又は殺菌効果が得られる場合もあるが、湿度を急上昇させることによって一層の効果を生じさせることは難しい。この点に関し、加湿システム1では、第2状態(加湿抑制状態)によって湿度を抑えることを可能としつつ、急速加湿動作の期間をより確保することで、ウィルス不活化効果又は殺菌効果を一層高めることができるため、上述のような問題に対処しやすい。また、加湿システム1は、複雑な手段や高価な手段を採用することを抑えて簡易且つ安価にウィルス不活化効果又は殺菌効果を得ることができる。
【0068】
加湿システム1において、外部空間90の相対湿度を2.0(%/min)以上の速度で上昇させるように急速加湿動作が行われれば、外部空間90におけるウィルス不活化又は殺菌の効果がより一層高い。
【0069】
加湿システム1において、外部空間90に対して570(ml/h)以上の速度で水蒸気又はミストを供給する加湿動作が行われれば、外部空間90におけるウィルス不活化又は殺菌の効果がより一層高い。
【0070】
加湿システム1は、第2状態のときに除湿部が外部空間を除湿し、急速加湿動作によって相対湿度が上昇した後に、より速い速度で相対湿度を下げることができる。よって、加湿システム1は、「より早期に急速加湿動作を再開し、再開した急速加湿動作の期間をより確保する」という観点で、有利である。
【0071】
加湿システム1は、下限値Rt2を基準として外部空間90の相対湿度が下がりすぎることをより正確に抑えることができ、「下限値Rt2以上で相対湿度が上昇する期間」をより確保することができる。
【0072】
加湿システム1は、上限値Rt1を基準として外部空間90の相対湿度が上がりすぎることをより正確に抑えることができ、「上限値Rt1以下で相対湿度が上昇する期間」をより確保することができる。
【0073】
加湿システム1は、オゾン発生器として機能し、「外部空間90にオゾンを供給する機能」と「外部空間90の相対湿度を上昇させる動作によって外部空間90のウィルス不活化又は殺菌を効果的に行う機能」とを共に実現することができる。
【0074】
1-4.実験結果
次の説明は、第1実施形態の効果に関連する実験に関する。
図4には、空間の相対湿度を急上昇させることによるウィルス抑制効果を評価する実験の結果が示される。この実験では、室温(25℃)における25m
3の大きさの空間にインフルエンザウィルスを浮遊させた状態で上記空間の相対湿度を一定湿度に保つ実験Aと、室温(25℃)における25m
3の大きさの空間にインフルエンザウィルスを浮遊させた状態で上記空間の相対湿度を急上昇させる実験Bとで、ウィルスの量の変化を確認した。
【0075】
実験Aでは、25m
3の空間にインフルエンザウィルスを浮遊させた状態で、この空間の相対湿度を60%に保ちつつ3分間継続した。一方、実験Bでは、25m
3の空間にインフルエンザウィルスを浮遊させた状態で、この空間の相対湿度を、3分間で40%から60%に急上昇させた。実験A,Bのいずれにおいても、上記3分間の開始時点と上記3分間の終了時点で、空間内のインフルエンザウィルスの量を確認した。
図4には、実験A,Bのそれぞれ結果が示される。
図4のグラフにおいて、横軸は経過時間であり、縦軸は、25m
3の空間内の1m
3当たりの空気中に含まれるインフルエンザウィルスの量を示す値(具体的には、感染価)である。横軸において、「0」は、上記3分間の開始時点であり、「3」は、上記3分間の終了時点である。
【0076】
図4に示される実験結果では、空間をある程度高い湿度(60%)で維持するよりも、それ以下の湿度(40%~60%)の範囲で急上昇させるほうが、インフルエンザウィルスの減少度合いが大きいことが確認された。
【0077】
2.第2実施形態
第2実施形態の加湿システム1は、
図2に示される繰り返し制御における「第2状態から第1状態に切り替える条件」のみが第1実施形態の加湿システム1と異なる。具体的には、第2実施形態の加湿システム1は、
図2の繰り返し制御におけるステップS6の処理のみが第1実施形態と異なり、ステップS6の判定では、加湿抑制状態が所定時間継続したか否かを判定する。なお、第2実施形態の加湿システム1も、
図1の構成をなす。
【0078】
第2実施形態の加湿システム1では、制御部12が、
図2のような繰り返し制御を行っている場合、第1状態(急速加湿動作を行っている状態)を継続しているときに、ステップS4の終了条件が成立しておらず且つ外部空間90の相対湿度が上限値Rt1未満であれば、制御部12は、ステップS3の処理を繰り返し、第1状態を継続する。制御部12は、このように第1状態を継続しているときに外部空間90の相対湿度が上限値Rt1以上に達した場合には、ステップS2でYesと判定し、ステップS5において加湿抑制状態とする。制御部12は、ステップS5の処理の後、ステップS6では、第1実施形態のステップS6の代わりに、「加湿抑制状態が所定時間T2継続したか否か」を判定し、加湿抑制状態が所定時間T2継続している場合(ステップS6でYesの場合)には、処理をステップS3に進める。このように、第2実施形態の加湿システム1では、制御部12は、空調部20を第1状態から第2状態に切り替えた後、第2状態が所定時間T2経過した場合に、空調部20を第1状態に切り替えるように動作する。
【0079】
図5には、第2実施形態の加湿システム1での動作の具体例が示される。第2実施形態の加湿システム1では、制御部12は、空調部20を第1状態で継続しているときに外部空間90の相対湿度が上限値Rt1以上に達した場合に、空調部20を第1状態から第2状態に切り替え、切り替え後、第2状態を所定時間T2にわたって維持し、第2状態が所定時間T2経過した場合には、空調部20を第1状態に切り替える。制御部12は、このようにして、第1状態と第2状態を交互に切り替える切替動作を繰り返す。
【0080】
第2実施形態の加湿システム1は、第1実施形態と同様の効果に加えて、外部空間90の相対湿度が下がりすぎることを時間的な基準に従って抑えることができ、より早期に第1状態を再開することができる。
【0081】
2.第3実施形態
第3実施形態の加湿システム1は、
図2に示される繰り返し制御における「第1状態から第2状態に切り替える条件」のみが第1実施形態の加湿システム1と異なる。具体的には、第3実施形態の加湿システム1は、
図2の繰り返し制御におけるステップS2の処理のみが第1実施形態と異なる。第3実施形態の加湿システム1では、制御部12は、ステップS2において、「急速加湿動作が未実施又は急速加湿動作の状態が設定時間T1継続したか」を判定する。なお、第2実施形態の加湿システム1も、
図1の構成をなす。
【0082】
第3実施形態の加湿システム1では、制御部12は、ステップS1の直後のステップS2の判定では、急速加湿動作が未実施であるためYesと判定され、ステップS5において第2状態(加湿抑制状態)とされる。制御部12は、第2状態(加湿抑制状態)を継続しているときにステップS7の終了条件が成立しておらず且つ外部空間90の相対湿度が下限値Rt2を超えていれば、ステップS5の処理を繰り返し、第2状態を継続する。制御部12は、第2状態(加湿抑制状態)を継続しているときに相対湿度が下限値Rt2以下に達した場合には、ステップS6においてYesと判定し、処理をステップS3に進めて急速加湿動作を開始する。制御部12は、ステップS3の処理の後、ステップS4の終了条件が成立していなければ、ステップS2において急速加湿動作の状態(第1状態)が設定時間T1継続したか否かを判定し、急速加湿動作の状態が設定時間T1継続している場合(ステップS2でYesの場合)、処理をステップS5に進める。このように、第3実施形態の加湿システム1では、制御部12は、空調部20を第2状態から第1状態に切り替えた後、設定時間T1が経過した場合に、空調部20を第2状態に切り替えることができる。
【0083】
図6には、第3実施形態の加湿システム1での動作の具体例が示される。第3実施形態の加湿システム1では、制御部12は、空調部20を第2状態で継続しているときに外部空間90の相対湿度が下限値Rt2以下に達した場合に、空調部20を第2状態から第1状態に切り替え、空調部20を第2状態から第1状態に切り替えた後、第1状態が設定時間T1経過した場合に、空調部20を第2状態に切り替えるように動作する。
【0084】
第3実施形態の加湿システム1は、第1実施形態と同様の効果に加えて、外部空間90の相対湿度が上がりすぎることを時間的な基準に従って抑えることができる。
【0085】
4.第4実施形態
第4実施形態の加湿システム1は、
図1に示される第1実施形態と同様の構成をなすため、以下の説明では
図1が参照される。但し、第4実施形態の加湿システム1は、
図1の構成の細部と、
図2の制御のステップS5とが第1実施形態と異なり、その他の点は、第1実施形態と同様である。具体的には、第4実施形態の加湿システム1は、空調部20が、除湿部の代わりに、乾燥空気導入部を有している。そして、ステップS5では、「加湿抑制状態のときに加湿部22に除湿動作を行わせる制御」に代えて、「加湿抑制状態のときに乾燥空気導入部(例えば加湿部22)に乾燥空気を導入させる制御」を行う。
【0086】
以下で説明される代表例では、加湿部22が乾燥空気導入部の一例に相当する。但し、この例に限定されず、空調部20は、加湿部22とは異なる装置として乾燥空気導入部が設けられていてもよい。いずれの場合でも、乾燥空気とは、上述の第1状態のときの外部空間90の相対湿度よりも、相対湿度の小さい空気である。乾燥空気は、上記第1状態のときの外部空間90の相対湿度よりも、相対湿度が10%以上小さい空気であることが好ましく、相対湿度が20%以上小さい空気であることがより好ましい。乾燥空気導入部は、外部空間90とは異なる別空間に乾燥空気が存在する場合に、当該別空間から外部空間90内に乾燥空気を導入するように機能し得る空気移動装置として構成されていてもよい。この場合、空気移動装置は、例えば、外部空間90と別空間とに連通する連通部(配管、換気口等)と、この連通部内の空気を別空間側から外部空間90側に流動させる流動装置(ファン、ブロワ等)と、連通部を遮断状態と開放状態とに切り替える開閉部(弁、シャッタ等)とを有しているとよい。なお、ここで説明した空気移動装置はあくまで一例であり、この例に限定されない。例えば、空気移動装置は、上記外部空間90又は別空間に存在する空気を自身の内部に吸引しつつ、自身の内部において、この空気から水分を除去して乾燥空気とし、生成した乾燥空気を外部空間90に供給するような装置であってもよい。或いは、別空間において乾燥空気が存在することが明らか又は可能性が高いような環境では、空気移動装置は、上記別空間と上記外部空間90との間で換気を行う装置(換気扇、換気装置等)などであってもよい。
【0087】
第4実施形態でも、制御部12は、ステップS2において、外部空間90の相対湿度が上限値Rt1以上であると判定した場合(S2でYesの場合)、処理をステップS5に進め、空調部20を加湿抑制状態とする。第4実施形態でも、加湿抑制状態は、第2状態の一例に相当し、第1状態(急速加湿動作が行われている状態)のときよりも外部空間90に対する加湿を抑える状態である。第4実施形態では、制御部12は、加湿抑制状態のときに、外部空間90に乾燥空気を導入する動作を加湿部22(乾燥空気導入部)に行わせる。つまり、第4実施形態では、第2状態は、加湿部22(乾燥空気導入部)が外部空間90に乾燥空気を導入する状態である。乾燥空気を導入する態様は、例えば、乾燥空気が存在する別空間と外部空間90との間で換気を行う態様であってよく、乾燥空気が存在する別空間から外部空間90に乾燥空気を導入しつつ、外部空間90に存在する空気を上記別空間とは異なる他の空間に排出するような態様であってもよい。
【0088】
制御部12は、ステップS5において加湿抑制状態とする場合、別空間に乾燥空気が存在することが明らか又は可能性が高いような環境では、別空間の相対湿度を確認せずに、別空間から外部空間90内に乾燥空気を導入するように空気移動装置を動作させてもよい。或いは、制御部12は、ステップS5において加湿抑制状態とする場合、別空間の相対湿度を検出し、上記乾燥空気に該当する相対湿度である場合に、別空間から外部空間90内に乾燥空気を導入するように空気移動装置を動作させてもよい。
【0089】
第4実施形態の加湿システム1でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。更に、加湿抑制状態のときには、乾燥空気の導入によって湿度の低下を一層促進することができる。
【0090】
なお、上述された第4実施形態の代表例では、空調部20が乾燥空気導入部を有していたが、空調部20が上記乾燥空気導入部に加え、第1実施形態と同様の除湿部をも有していてもよい。この場合、制御部12は、加湿抑制状態の際に、外部空間90を除湿させる動作を除湿部に行わせる制御と、外部空間90に乾燥空気を導入させる動作を乾燥空気導入部に行わせる制御とを並行して行ってもよい。
【0091】
5.第5実施形態
第5実施形態の加湿システム1は、
図1に示される第1実施形態と同様の構成をなすため、以下の説明では
図1が参照される。但し、第5実施形態の加湿システム1は、
図1の構成の細部と、
図2の制御のステップS5とが第1実施形態と異なり、その他の点は、第1実施形態と同様である。第5実施形態の加湿システム1は、空調部20が、除湿部を有していなくてもよく、有していてもよい。
【0092】
第5実施形態でも、制御部12は、ステップS2において、外部空間90の相対湿度が上限値Rt1以上であると判定した場合(S2でYesの場合)、処理をステップS5に進め、加湿抑制状態とする。第5実施形態でも、加湿抑制状態は、第2状態の一例に相当する。但し、第5実施形態の第2状態は、外部空間90の湿度の抑制を促す通知を行う状態である。第5実施形態の加湿システム1では、制御部12は、ステップS5の加湿抑制状態が継続する間、外部空間90の湿度の抑制を促す表示を表示部16に行わせる。この例では、表示部16が通知部の一例に相当する。「外部空間90の湿度の抑制を促す表示」は、例えば、「換気を行ってください」といった換気を促すメッセージの表示やその旨の他の表示やその旨の音声報知であってもよく、「乾燥空気を導入してください」といった乾燥空気の導入を促すメッセージ表示やその旨の他の表示やその旨の音声報知であってもよく、「除湿を行ってください」といった除湿を促すメッセージ表示やその旨の他の表示やその旨の音声報知であってもよく、「加湿を停止してください」といった加湿停止を促すメッセージやその旨の他の表示やその旨の音声報知であってもよい。上述の例において、メッセージ表示は、例えば表示部16において画面に文字情報を表示して行うことができる。上述の例において、その他の表示は、ランプ表示やコード番号の表示などによって行うことができる。音声報知は、ブザー音やアラームを発することによって行うことができる。
【0093】
第5実施形態の例では、上記加湿抑制状態が継続している間(ステップS5が繰り返される間)、空調部20の加湿動作を停止させることが望ましいが、空調部20において加湿動作が継続していてもよい。或いは、上記加湿抑制状態のときに除湿部による除湿が並行して行われてもよい。
【0094】
第5実施形態の加湿システム1でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。更に、加湿抑制状態のときには、「外部空間90の湿度の抑制を促す通知」によって外部空間90の湿度抑制が促進される可能性を高めることができる。
【0095】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
【0096】
上述された実施形態の説明では、供給路28内の流速を調整する流速調整装置の一例としてファン26が例示されるが、供給路28内の流速を調整可能な他の流速調整装置(例えば、流体の速度を調整し得る公知の他種の流速調整装置)が併用されたり、置き換えられたりしてもよい。例えば、加湿システム1において、ファン26に代えて、又はファン26を併用する構成で、流量調整弁によって供給路28の流量(流速)を調整する方法を採用してもよい。いずれの場合でも、加湿装置2が一定の発生速度で水蒸気又はミストを発生させる場合、流速調整装置が供給路28内の流速を増大させるほど、単位時間当たりに外部空間90に供給される水蒸気又はミストの量を増大させることができる。
【0097】
上述された実施形態の説明では、流速調整装置(ファン26等)によって供給路28内の流速を調整することで外部空間90に対する水蒸気又はミストの供給速度を調整する方法を説明したが、この例に限定されない。例えば、加湿システム1は、流速調整装置(ファン26等)を省略し、又は流速調整装置(ファン26等)と併用し、加湿装置24による水蒸気又はミストの発生速度(加湿装置24から供給路28への単位時間当たりの水蒸気又はミストの供給量)を調整することで、外部空間90に対する水蒸気又はミストの供給速度を調整してもよい。
【0098】
上述された実施形態では、オゾン発生装置32と加湿装置24とが別体として構成されていたが、これらが一体的に構成されていてもよい。つまり、オゾン発生装置32が水蒸気又はミストを放出する加湿機能を有していてもよい。このようにオゾン発生装置32が加湿機能を有している場合、ファン26を省略し、ファン36によってオゾンの供給度合い及び水蒸気又はミストの供給度合いを調整してもよい。
【0099】
上述された実施形態では、加湿部22が除湿部としても機能したが、加湿部22とは別の装置として除湿部が設けられていてもよい。
【0100】
上述された実施形態の説明では、加湿抑制状態として除湿部が外部空間90を除湿する例が説明されたが、この例に限定されない。例えば、加湿抑制状態は、空調部20が外部空間90に対する加湿も除湿も行わない状態であってもよい。或いは、加湿抑制状態は、空調部20が急速加湿動作のときよりも加湿度合いを抑えた状態(例えば、急速加湿動作のときよりも水蒸気又はミストの供給速度を抑えた状態)で加湿を行う状態であってもよい。
【0101】
制御部12は、
図2の繰り返し制御において、空調部20を第1状態から第2状態に切り替えた後、所定時間T2が経過した場合に、空調部20を第2状態から第1状態に切り替えるように動作し、空調部20を第2状態から第1状態に切り替えた後、設定時間T1が経過した場合に、空調部20を第2状態に切り替えてもよい。この場合の所定時間T2と設定時間T1は同一であっても異なっていてもよい。
【0102】
上述された実施形態では、加湿システム1は一体的な装置として構成されているが、この例に限定されない。加湿システム1を構成する複数の装置は、分離していてもよい。加湿システム1を構成する複数の装置が分離している場合、装置間で有線通信又は無線通信がなされるとよい。
図7には、構成する複数の装置が分離した加湿システム100が例示される。
図7の例では、情報処理部10は、
図1の情報処理部10と同様の構成をなす。オゾン供給部30は、
図1のオゾン供給部30と同様の構成をなす。上述された実施形態では、加湿システム1において、単一の湿度センサ40が設けられているが、
図7のように複数の湿度センサ40A,40B,40Cが外部空間90において互いに異なる場所にそれぞれ配置されていてもよい。湿度センサ40A,40B,40Cは、
図1の湿度センサ40と同様の構成をなす。
図7の例では、湿度センサ40A,40B,40Cが検出する相対湿度は、通信によって情報処理部10に与えられる。制御部12は、外部空間90の相対湿度を決める場合、湿度センサ40A,40B,40Cが検出するそれぞれの相対湿度に対して統計的な演算を行い、外部空間90の相対湿度を決定してもよい。湿度センサ40A,40B,40Cが検出する複数の相対湿度の平均値、最大値、最小値、中央値などを外部空間90の相対湿度として決定してもよい。上述された実施形態では、加湿システム1において、単一の空調部20が設けられているが、この例に限定されない。
図7のように複数の空調部20A,20B,20Cが外部空間90において互いに異なる場所にそれぞれ配置されていてもよい。空調部20A,20B,20Cは、
図1の空調部20と同様の構成をなす。
図7の例では、急速加湿動作を行う場合、複数の空調部20A,20B,20Cによって第1実施形態と同様の上昇速度又は供給速度で急速加湿を行えばよい。
図7の例では、加湿抑制状態(第2状態)にする場合、複数の空調部20A,20B,20Cによって第1実施形態と同様に加湿抑制状態とすればよい。
【0103】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1 :加湿システム
12 :制御部
20,20A,20B,20C :空調部
22 :加湿部(除湿部)
30 :オゾン供給部
40,40A,40B,40C :湿度センサ
90 :外部空間