IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トキワの特許一覧

<>
  • 特許-塗布容器 図1
  • 特許-塗布容器 図2
  • 特許-塗布容器 図3
  • 特許-塗布容器 図4
  • 特許-塗布容器 図5
  • 特許-塗布容器 図6
  • 特許-塗布容器 図7
  • 特許-塗布容器 図8
  • 特許-塗布容器 図9
  • 特許-塗布容器 図10
  • 特許-塗布容器 図11
  • 特許-塗布容器 図12
  • 特許-塗布容器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/28 20060101AFI20240704BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240704BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20240704BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
B65D17/28
A45D34/04 510Z
A45D34/00 510A
B65D25/20 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020140998
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036672
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】谷 仁一
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-256148(JP,A)
【文献】特開2010-022724(JP,A)
【文献】特開2002-211620(JP,A)
【文献】特表2013-537502(JP,A)
【文献】特開2012-202300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/28
A45D 34/04
A45D 34/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布材が露出する開口を有し、前記開口から露出する前記塗布材を保持する筒状の本体と、
前記開口から露出する前記塗布材を覆う筒状のキャップと、
前記本体及び前記キャップを互いに接続すると共に、切り離されることによって前記本体から前記キャップを分離可能とされた切り離し部と、
を備え、
前記切り離し部は、前記開口から前記本体の軸線方向に離間した位置において前記キャップと前記本体の外周面とを互いに接続し、
前記キャップの内部には、前記キャップの内面と、前記切り離し部と、前記外周面とによって、凹部が画成されている、
塗布容器。
【請求項2】
前記キャップは、前記塗布材を覆う筒状部と、前記軸線方向に対して交差する方向に前記筒状部から突出する羽根部と、を有する、
請求項1に記載の塗布容器。
【請求項3】
前記羽根部は、前記塗布材の情報を表示する情報表示部を有する、
請求項2に記載の塗布容器。
【請求項4】
前記キャップは、前記本体に対して回転させることによって前記切り離し部を介して前記本体から分離可能とされており、
前記切り離し部は、前記回転させる方向である回転方向に沿って並ぶと共に前記キャップ及び前記本体を互いに接続する複数の接続部と、前記回転方向に沿って並ぶ2つの前記接続部の間に位置する複数の空間部と、を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の塗布容器。
【請求項5】
前記本体の前記外周面には、前記開口から前記軸線方向に離間した位置において拡径する段差が形成されており、
前記切り離し部は、前記段差の前記開口側に位置する凹部に形成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被塗布部への塗布を行う塗布材を備える塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から塗布容器については種々のものが知られている。例えば、実用新案登録第2604462号公報には、ペースト状充填物を収容する筒状の収納容器が記載されている。収納容器は、円筒状の上部主壁部と、上部主壁部の仕切壁部に対向する円筒状の下部主壁部とを備え、下部主壁部の内部に仕切壁部に対向するペースト状充填物が充填されている。ペースト状充填物は、下部主壁部の仕切壁部側の端部において露出している。
【0003】
露出するペースト状充填物の形状は球面状とされており、仕切壁部はペースト状充填物の形状に倣う球面状とされている。上部主壁部と下部主壁部との間には、厚肉部と、厚肉部から収納容器の周方向に沿って延びる薄肉部とが配置されている。上部主壁部の外周面における厚肉部の反対側には矢印が表示されており、上部主壁部の矢印の部分を押すと薄肉部が破断してペースト状充填物が露出する。
【0004】
破断前において、上部主壁部の下部主壁部との反対側には拡径部が形成されており、拡径部の内径は下部主壁部の外径にほぼ等しい。従って、上部主壁部を下部主壁部から破断させた後には、上部主壁部の拡径部を下部主壁部に嵌着することが可能とされている。上部主壁部の拡径部をペースト状充填物が露出する下部主壁部に嵌着することにより、上部主壁部を蓋体として使用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第2604462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した収納容器では、上部主壁部と下部主壁部との間に破断される薄肉部が設けられており、ペースト状充填物は下部主壁部から上部主壁部に球面状に突出している。また、薄肉部の破断された部分は、ペースト状充填物が露出する開口となる。従って、ペースト状充填物の径方向外側に破断される薄肉部が位置するので、薄肉部を破断するときに薄肉部の切り口、又は上部主壁部の内壁がペースト状充填物に接触することがある。
【0007】
上記のように、薄肉部で切り離すときに収納容器の一部がペースト状充填物等の塗布材に接触することがあるので、切り離す時に塗布材が損傷する可能性がある。従って、切り離しを行うときに塗布材を傷つけないようにすることが求められる。また、薄肉部の切り離された部分であって塗布材が露出する開口の縁は、切り離しによって表面が荒れていることがある。よって、肌等の被塗布部に塗布材を塗布するときに、切り離しによって荒れている部分が被塗布部に接触する懸念があるので、塗布材の使用感において改善の余地がある。
【0008】
本開示は、切り離しを行うときに塗布材を傷つけないようにすることができると共に使用感を良好にすることができる塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る塗布容器は、塗布材が露出する開口を有し、開口から露出する塗布材を保持する筒状の本体と、開口から露出する塗布材を覆う筒状のキャップと、本体及びキャップを互いに接続すると共に、切り離されることによって本体からキャップを分離可能とされた切り離し部と、を備え、切り離し部は、開口から本体の軸線方向に離間した位置においてキャップと本体の外周面とを互いに接続し、キャップの内部には、キャップの内面と、切り離し部と、外周面とによって、凹部が画成されている。
【0010】
この塗布容器は、塗布材を保持する筒状の本体と筒状のキャップとを備える。本体は塗布材を露出する開口を有し、キャップは開口に露出する塗布材を覆う。本体とキャップとの間には、本体及びキャップを互いに接続する切り離し部が設けられており、切り離し部で切り離すことによって本体からキャップを分離可能とされている。切り離し部は、塗布材が露出する開口から本体の軸線方向に離間した位置に設けられており、開口から離間した位置において本体の外周面とキャップとを互いに接続する。よって、切り離し部が開口から軸線方向に離間した位置に設けられるので、切り離し部で切り離しを行ったときにキャップ等の塗布材への接触を回避することができる。すなわち、開口から離れた位置で切り離しが行われるので、切り離しを行ったときにおけるキャップ等の塗布材への接触を回避できる。従って、切り離しを行ったときに塗布材を損傷しないようにして塗布材を保護することができる。また、仮に切り離しを行った箇所が荒れていたとしても、切り離し部は開口から軸線方向に離間した位置に設けられるので、塗布材を被塗布部に当てて塗布を行うときに荒れている部分が被塗布部に接触することを回避することができる。従って、荒れている部分の被塗布部への接触を回避できるので、塗布材の使用感を良好にすることができる。
【0011】
キャップは、塗布材を覆う筒状部と、軸線方向に対して交差する方向に筒状部から突出する羽根部と、を有してもよい。この場合、切り離しのために本体に対してキャップを手で回転させるときに、筒状部から突出する羽根部に手が引っ掛かるので回転を弱い力で容易に行うことができる。
【0012】
羽根部は、塗布材の情報を表示する情報表示部を有してもよい。この場合、キャップの筒状部から突出する羽根部を、情報を表示する情報表示部として有効利用することができる。すなわち、羽根部が筒状部から羽根状に突出することにより、羽根部の外側の面を情報表示部として有効利用することができる。
【0013】
キャップは、本体に対して回転させることによって切り離し部を介して本体から分離可能とされており、切り離し部は、回転させる方向である回転方向に沿って並ぶと共にキャップ及び本体を互いに接続する複数の接続部と、回転方向に沿って並ぶ2つの接続部の間に位置する複数の空間部と、を有してもよい。この場合、切り離し部は、複数の接続部が回転方向に沿って間欠的に設けられるので、弱い力でキャップを回転させても本体からキャップを容易に切り離すことができる。
【0014】
本体の外周面には、開口から軸線方向に離間した位置において拡径する段差が形成されていてもよく、切り離し部は、段差の開口側に位置する凹部に形成されていてもよい。この場合、段差の開口側に位置する凹部に切り離し部が形成されているので、切り離しの後に当該切り離しの箇所が荒れたとしても当該荒れた部分が本体の外周面から突出しないようにすることができる。すなわち、切り離しによって荒れた部分が生じたとしても、この荒れた部分は凹部に形成されるので当該荒れた部分を本体の外周面に突出しにくくすることができる。従って、切り離しによって荒れた部分が被塗布部に接触する可能性を一層低減させることができるので、塗布材の使用感を更に良好にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、切り離しを行うときに塗布材を傷つけないようにすることができると共に使用感を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る塗布容器を示す側面図である。
図2図1の塗布容器を図1とは異なる方向から見た側面図である。
図3図1の塗布容器の使用方法を模式的に示す斜視図である。
図4図1の塗布容器の本体部における外面の一部を拡大した図である。
図5図1のA-A線断面図である。
図6図1の塗布容器の本体部における内面の一部を拡大した断面図である。
図7図1の塗布容器のキャップ及び本体の一部を拡大した断面図である。
図8図1の塗布容器の切り離し部を拡大した断面図である。
図9図8の切り離し部で切り離しがなされている状態を示す断面図である。
図10図8の切り離し部を更に拡大した断面図である。
図11図8の切り離し部とは別の変形例に係る切り離し部を示す断面図である。
図12図1の塗布容器の切り離し部の一部を拡大した斜視図である。
図13図1の塗布容器におけるキャップの羽根部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る塗布容器の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法及び比率は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
図1は、本実施形態に係る塗布容器1を示す側面図である。図2は、塗布容器1を図1とは異なる方向から見た側面図である。図3は、使用される塗布容器1の例を示す斜視図である。図1図3に示されるように、塗布容器1は、軸線方向D1に沿って延びる棒状を呈する本体2と、本体2から切り離し部10を介して切り離されるキャップ3とを備える。本開示において、「軸線」とは、塗布容器の中心軸を示しており、「軸線方向」とは、塗布容器の軸線が延びる方向である。「軸線方向」は、例えば、塗布容器1の長手方向と一致する。
【0019】
塗布容器1は、例えば、塗布材である化粧料Mを保持する化粧料容器である。本開示において、「塗布材」とは、塗布対象である被塗布部に塗布されるものを示している。「塗布材」は、例えば、化粧料、パフ、スポンジ、チップ、含浸体若しくはブラシ等の化粧料塗布具、又は、筆若しくは文房具等の描画材であってもよい。「被塗布部」とは、塗布材によって塗布される対象のものを示しており、例えば、塗布容器1の使用者の肌、又は紙等が挙げられる。
【0020】
一例として、塗布容器1は、少量化粧料容器であって、テスター又は試供品として用いられる。この場合、塗布容器1は、化粧料を繰り出す繰出容器等と比較して、簡易な構成を有する。例えば、キャップ3は、本体2に対して回転方向D2に沿って回転させることにより、切り離し部10が破断して本体2から分離される。
【0021】
本体2は、化粧料Mが露出する開口2bを有する。キャップ3が本体2から分離されると、本体2が保持する化粧料Mが開口2bと共に露出して、塗布容器1が使用に供される。回転方向D2は、塗布容器1の軸線Xを中心としてキャップ3が回転する方向を示している。
【0022】
化粧料Mは、一例として、棒状化粧料である。化粧料Mは、例えば、アイブロウであり、塗布容器1はアイブロウ保持容器である。しかしながら、化粧料Mは、アイライナー、コンシーラー又はリップライナー等、アイブロウ以外のものであってもよく特に限定されない。
【0023】
本体2は、軸線方向D1に延びる棒状を呈する。本体2は、例えば、切り離し部10から離れるに従って徐々に拡径する外周面4bを有する先筒部4と、先筒部4の切り離し部10との反対側において軸線方向D1に延在する摘まみ部5とを備える。摘まみ部5は、例えば指で摘まみやすいように、回転方向D2に沿って並ぶ複数の凸部5bを備える。複数の凸部5bのそれぞれは、軸線方向D1に沿って延びる長円状とされている。
【0024】
図4は、本体2の開口2bの反対側から摘まみ部5を見た図である。図4に示されるように、摘まみ部5の凸部5bは、先端が丸められた山状を呈する。例えば、凸部5bは、摘まみ部5の外面5cから斜めに延びると共に回転方向D2に沿って並ぶ一対の傾斜面5dと、一対の傾斜面5dの間において摘まみ部5の径方向外側に突出する湾曲部5fとを有する。例えば、摘まみ部5は8個の凸部5bを備え、8個の凸部5bが回転方向D2に沿って等間隔に並んでいる。なお、摘まみ部5の凸部の形状は、上記の凸部5bに限られない。
【0025】
図1図3に示されるように、キャップ3は、本体2の開口2b及び化粧料Mを覆う筒状部3bと、軸線方向D1に対して交差する方向D3に筒状部3bから突出する羽根部3cとを有する。筒状部3bは、切り離し部10側の端部に、筒状部3bが縮径する方向に傾斜する傾斜面3kを有する。羽根部3cは、例えば、筒状部3bから広がるように方向D3に延び出している。すなわち、羽根部3cは、方向D3に沿って筒状部3bから筒状部3bの両側に突出している。羽根部3cは、軸線方向D1及び方向D3の双方に延在する主面3dを有する板状を呈する。
【0026】
主面3dは、後に詳述する情報表示部6を含む。情報表示部6は塗布材の情報を表示する部位である。「塗布材の情報」とは、塗布材に関する情報を示しており、例えば、塗布材の製造に関する情報(一例として製造地)、容器の情報、種類、名称、銘柄、規約の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0027】
主面3dは、例えば、平坦状を呈する。主面3dは、一例として、角丸長方形状を呈する。例えば、主面3dは、軸線方向D1に延びる一対の短辺3fと、一対の短辺3fの一端同士の間において方向D3に延在する長辺3gと、一対の短辺3fの他端同士の間において方向D3の中央に向かうに従って突出する山部3hとを有する。羽根部3cは、山部3hが切り離し部10側を向くと共に、長辺3gは切り離し部10の反対側を向くように筒状部3bに固定されている。
【0028】
キャップ3は、羽根部3cを筒状部3bに固定する固定部3pを備え、例えば、複数の固定部3pが軸線方向D1に沿って並んでいる。1つの固定部3pと軸線方向D1に隣接する固定部3pとの間には隙間3qが形成されており、複数の隙間3qが軸線方向D1に沿って並んでいる。
【0029】
例えば、固定部3pの軸線方向D1の長さは、隙間3qの軸線方向D1の長さよりも短い。固定部3pは、例えば、点状とされている。このように固定部3pが点状に形成されることにより、羽根部3cが厚くなる部分を減らすことができるので、キャップ3の成形に伴うヒケの発生を抑制することができる。
【0030】
図5は、図1のA-A線断面図である。図5に示されるように、塗布容器1は、例えば、一体成形されている。この場合、軸線方向D1の一方側及び他方側のそれぞれに金型が配置され、軸線方向D1に沿って並ぶ一対の金型で射出成形を行うことによって容易に塗布容器1を製造できる。一例として、塗布容器1の材料はPP(ポリプロピレン)である。しかしながら、塗布容器1の材料は、PPに限られず、他の樹脂材料であってもよい。
【0031】
本体2は、例えば、軸線方向D1の一方側に開口2bを有すると共に、軸線方向D1の他方側に開口2cを有する筒状を呈する。本体2は、開口2bから軸線方向D1に延在すると共に化粧料Mが挿入される第1内部空間2dと、開口2cから軸線方向D1に延在する第2内部空間2fとを有する。
【0032】
本体2は、更に、第1内部空間2dと第2内部空間2fとを仕切る壁部2gを有し、壁部2gには軸線方向D1に貫通する貫通孔2hが形成されている。第2内部空間2fは、壁部2gから先筒部4の外周面4bに倣うように拡径する内面2jによって画成されている。よって、本体2における先筒部4の部分の肉厚を一定に近づけることが可能となるので、ヒケの発生防止に寄与する。
【0033】
本体2の第1内部空間2dは、化粧料Mを保持する保持部2kと、保持部2kよりも拡径する拡径部2mとを有する。保持部2kは、化粧料Mの外周に対向する内面2pと、内面2pから突出する突出部2qとを有する。保持部2kは、例えば、複数の突出部2qを有し、各突出部2qは軸線方向D1に沿って延在している。一例として4個の突出部2qが回転方向D2に沿って等間隔に並んでいる。
【0034】
軸線方向D1に沿って延びる突出部2qは、軸線方向D1の端部に、開口2bに向かうに従って幅(回転方向D2の長さ)が狭くなる先細部2vを有する。拡径部2mは、保持部2kと開口2bの間に設けられている。一例として、拡径部2mは、保持部2kから拡径する第1テーパ面2rと、第1テーパ面2rから軸線方向D1に延びる内周面2sと、内周面2sから開口2bに拡径する第2テーパ面2tとを含む。
【0035】
図6は、軸線方向D1に直交する平面で本体2の保持部2kを切断した断面図である。図5及び図6に示されるように、突出部2qは、例えば、本体2の径方向内側を向くと共に先端が丸められたV字状を呈する。具体的には、突出部2qは、内面2pから斜めに延びると共に回転方向D2に沿って並ぶ一対の傾斜面2wと、一対の傾斜面2wの間において本体2の径方向内側に突出する湾曲面2xとを有する。この突出部2qは化粧料Mに食い込む部位に相当し、突出部2qが化粧料Mの外周面に食い込むことによって保持部2kに化粧料Mが保持される。なお、突出部の形状は、上記の突出部2qに限られない。
【0036】
本体2から切り離し部10を介して切り離される前において、キャップ3は、切り離し部10から離れるに従って徐々に拡径する内面3rと、内面3rの切り離し部10との反対側に設けられる開口3vとを有する。キャップ3の内部には、内面3rと、切り離し部10と、先筒部4の外周面4bとによって、凹部3sが画成されている。凹部3sは、例えば、回転方向D2に延在する円周状凹部である。
【0037】
凹部3sの径方向の幅は、本体2の開口2bから切り離し部10に向かうに従って徐々に狭くなっている。前述したように、キャップ3は、切り離し部10を介して本体2から切り離すことが可能とされており、キャップ3の軸線方向D1の向きを逆にして本体2に装着することが可能である。
【0038】
本体2に装着されたキャップ3では、開口3vが本体2の根元側(開口2bから軸線方向D1に離れた外周面4b)に向けられると共に破断された切り離し部10の部分が開口となって露出する。この開口に栓が挿入されてもよい。この場合、化粧料Mが高揮発性材料によって構成されている場合、化粧料Mの揮発を抑制することができる。
【0039】
キャップ3は、内面3rに、本体2の外周面4bに当接する突部3tを有し、突部3tが外周面4bに当接することによって本体2に装着される。図7は、軸線方向D1に直交する平面で本体2に装着されたキャップ3の突部3tを切断した断面図である。図5及び図7に示されるように、突部3tは、キャップ3の径方向内側に突出する湾曲面3wを有する。軸線方向D1に直交する平面で切断した断面において、例えば、湾曲面3wは円弧状に湾曲している。この突部3tの湾曲面3wが本体2の外周面4bに当接することによって、本体2にキャップ3が装着される。
【0040】
例えば、突部3tは軸線方向D1に沿って延びる線状とされており、突部3tの幅(回転方向D2の長さ)は開口3vから離れるに従って狭くなっている。突部3tの軸線方向D1の一端は、開口3vよりもキャップ3の軸線方向D1の中央側に位置しており、例えば、軸線方向D1に突出する丸みを帯びている。突部3tの軸線方向D1の他端は、切り離し部10よりもキャップ3の軸線方向D1の中央側に位置している。キャップ3が切り離し部10を介して本体2から切り離される前の状態において、例えば、突部3tの軸線方向D1の他端は本体2の開口2bに対向している。
【0041】
図8は、切り離し部10の周辺を拡大した本体2及びキャップ3の断面図である。図8に示されるように、切り離し部10は、本体2の開口2bから軸線方向D1に離間した位置に設けられる。すなわち、切り離し部10は、本体2の先端に位置する開口2bよりも本体2の根元側に形成されており、本体2の先筒部4の外周面4bとキャップ3の軸線方向D1の端部(傾斜面3k)とを互いに接続する。
【0042】
図9は、切り離し部10で切り離しがなされている状態を示す断面図である。図8及び図9に示されるように、本実施形態に係る塗布容器1では、切り離し部10が本体2の開口2bではなく、開口2bよりも本体2の根元側に形成されている。切り離し部10が開口2bから離間した位置に設けられることにより、本体2からキャップ3を分離して化粧料Mを塗布するときに、切り離した部分が被塗布部に当たらないようにすることが可能となる。また、切り離し部10が開口2bから露出する化粧料Mから離間しているので、切り離し部10を介してキャップ3を分離するときに化粧料Mが傷つくことを回避することも可能となる。具体的には、本体2からキャップ3を分離しようとするときに、キャップ3の内面3rは、化粧料Mではなく、先筒部4の外周面4bに接触する。従って、化粧料Mへのキャップ3の接触を回避できるので、化粧料Mが傷つかないようにすることができる。
【0043】
図10は、図8の切り離し部10を更に拡大した断面図である。図8図10に示されるように、本体2(先筒部4)の外周面4bには、開口2bから軸線方向D1に離間した位置において拡径する段差4cが形成されており、切り離し部10は段差4cの開口2b側に位置する凹部4gに形成されている。段差4cは、切り離し部10に向かって窪むように傾斜する傾斜面4dを有する。
【0044】
切り離し部10は、例えば、キャップ3(傾斜面3k)からキャップ3の径方向内側に延びる第1外面11と、第1外面11の径方向内側の端部から傾斜面4dまで延びる第2外面12と、キャップ3の内面3rから開口2bの反対側に斜めに延びる内面13とによって形成される。切り離し部10は、第2外面12及び内面13を含む肉薄部14を備える。
【0045】
凹部4gは、例えば、第2外面12及び傾斜面4dを含むと共に、回転方向D2に延在するV字溝である。本体2に対してキャップ3を回転方向D2に回転させると、切り離し部10の凹部4gの開口2b側に位置する肉薄部14が引き延ばされ、その後、肉薄部14が破断することによって本体2からキャップ3が分離される。
【0046】
以上、切り離し部10の形状の例について説明した。しかしながら、切り離し部の形状は、前述した例に限られない。例えば、図11に示されるように、段差4cが、傾斜面4dと、傾斜面4dの下端(径方向内側の端部)に位置する底面4fとを有し、切り離し部20は、前述した第2外面12に代えて、第1外面11の径方向内側の端部から底面4fまで延びる第2外面22を含んでいてもよい。
【0047】
切り離し部20は、第2外面22と内面13とを含む肉薄部24と、回転方向D2に延在する断面台形状の凹部である溝25に形成されている。この切り離し部20を備える塗布容器1であっても、切り離し部10と同様、本体2に対してキャップ3を回転させると、溝25の開口2b側の肉薄部24が引き延ばされ、その後、肉薄部24が破断することによって本体2からキャップ3が分離される。
【0048】
図12は、本体2及びキャップ3の外側から見た切り離し部10を示す図である。図12に示されるように、例えば、切り離し部10は、回転方向D2に沿って並ぶと共にキャップ3及び本体2を互いに接続する複数の接続部16と、回転方向D2に沿って並ぶ2つの接続部16の間に位置する複数の空間部17とを有する。
【0049】
接続部16は、例えば、前述した第1外面11、第2外面12及び内面13を含んでおり、空間部17は第2外面12を有しない。すなわち、空間部17は、第2外面12に相当する部位に開口を有し、空間部17では本体2及びキャップ3が互いに分離している。切り離し部10では、例えば、接続部16及び空間部17が回転方向D2に沿って交互に並んでおり、接続部16が回転方向D2に沿って間欠的に形成されている。接続部16及び空間部17の数は、一例として4である。しかしながら、接続部16及び空間部17の数は、4に限定されない。
【0050】
前述したように、キャップ3は羽根部3cを有し、羽根部3cの主面3dには情報表示部6が設けられる。図13は、情報表示部6を示す平面図である。図13に示されるように、情報表示部6は、主面3dの全面に設けられていてもよいし、主面3dの一部に設けられていてもよい。
【0051】
情報表示部6は、例えば、平坦面を有する。情報表示部6は、例えば、塗布容器1の製品名、塗布容器1の種類、化粧料Mの種類(一例としてアイブロウ、コンシーラー等)、会社名、部署名、製造国、製造場所の住所、化粧料Mの容量、化粧料Mの重さ、及び、化粧料Mの色彩の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0052】
情報表示部6は、例えば、文字情報6bとマーク6cとを含んでいてもよい。文字情報6bは、前述した塗布容器1の製品名等の文字情報を示している。マーク6cは、例えば、化粧料Mの種別を示す印である。情報表示部6は、本体2に対してキャップ3を回転させて分離する分離方法を示す説明又は印(例えば、回転方向D2に延びる矢印)を含んでいてもよい。この説明又は印は筒状部3bに表示されていてもよい。この場合、塗布容器1の使用者に、キャップ3を回転させて分離することを促すことができるので、相応しくない方法で本体2からキャップ3が分離されることを抑制できる。
【0053】
情報表示部6は、更に、情報端末によって認識可能な識別コード6dを含んでいてもよい。情報端末は、例えば、携帯端末であり、携帯端末は携帯電話又はタブレット等、携帯可能な端末を含んでいる。識別コード6dは、例えば、塗布容器1のインターネットサイトにアクセスするためのQRコード(登録商標)である。
【0054】
前述したように、情報表示部6が平坦面を有し、当該平坦面に識別コード6dが表示されている場合、情報端末によって識別コード6dを認識させやすくすることが可能となる。情報表示部6が識別コード6dを含む場合、例えば、試供品として塗布容器1を入手した使用者が識別コード6dから塗布容器1のインターネットサイトにアクセスすることにより、塗布容器1の詳細な情報を使用者に提供することが可能となる。なお、識別コード6dは、例えば、バーコードであってもよく、QRコードに限定されない。
【0055】
次に、本実施形態に係る塗布容器1から得られる作用効果について説明する。図8に示されるように、塗布容器1は、化粧料Mを保持する筒状の本体2と筒状のキャップ3とを備える。本体2は化粧料Mを露出する開口2bを有し、キャップ3は開口2bに露出する化粧料Mを覆う。本体2とキャップ3との間には、本体2及びキャップ3を互いに接続する切り離し部10が設けられており、切り離し部10で切り離すことによって本体2からキャップ3を分離可能となる。
【0056】
切り離し部10は、化粧料Mが露出する開口2bから本体2の軸線方向D1に離間した位置に設けられており、開口2bから離間した位置において本体2の外周面4bとキャップ3とを互いに接続する。よって、切り離し部10が開口2bから軸線方向D1に離間した位置に設けられるので、切り離し部10で切り離しを行ったときにキャップ3等の化粧料Mへの接触を回避することができる。
【0057】
すなわち、開口2bから離れた位置で切り離しが行われるので、切り離しを行ったときにおけるキャップ3等の化粧料Mへの接触を回避できる。従って、切り離しを行ったときに化粧料Mを損傷しないようにして化粧料Mを保護することができる。本実施形態では、図9に示されるように、先筒部4の外周面4bがキャップ3の内面3rに接触することにより、キャップ3の化粧料Mへの接触を回避することができる。また、仮に切り離しを行った箇所が荒れていたとしても、切り離し部10は開口2bから軸線方向D1に離間した位置に設けられるので、化粧料Mを肌等の被塗布部に当てて塗布を行うときに荒れている部分が被塗布部に接触することを回避することができる。従って、荒れている部分の被塗布部への接触を回避できるので、化粧料Mの使用感を良好にすることができる。更に、荒れた部分を肌に当たりにくくすることができるので、安全性を高めることができる。
【0058】
本実施形態において、キャップ3は、化粧料Mを覆う筒状部3bと、軸線方向D1に対して交差する方向に筒状部3bから突出する羽根部3cと、を有する。よって、切り離しのために本体2に対してキャップ3を手で回転させるときに、筒状部3bから突出する羽根部3cに手が引っ掛かるので回転を弱い力で容易に行うことができる。すなわち、羽根部3cは筒状部3bから筒状部3bの径方向外側に張り出しているので、径方向外側に張り出す羽根部3cを手で回すことで容易にキャップ3を回転させることができる。
【0059】
本実施形態において、羽根部3cは、化粧料Mの情報を表示する情報表示部6を有する。よって、キャップ3の筒状部3bから突出する羽根部3cを、情報を表示する情報表示部6として有効利用することができる。すなわち、羽根部3cが筒状部3bから羽根状に突出することにより、羽根部3cの外側の主面3dを情報表示部6として有効利用することができる。
【0060】
図12に示されるように、本実施形態に係るキャップ3は、本体2に対して回転させることによって切り離し部10を介して本体2から分離可能とされており、切り離し部10は、回転させる方向である回転方向D2に沿って並ぶと共にキャップ3及び本体2を互いに接続する複数の接続部16と、回転方向D2に沿って並ぶ2つの接続部16の間に位置する複数の空間部17と、を有する。よって、切り離し部10は、複数の接続部16が回転方向D2に沿って間欠的に設けられるので、弱い力でキャップ3を回転させても本体2からキャップ3を容易に切り離すことができる。
【0061】
図10に示されるように、本実施形態において、本体2の外周面4bには、開口2bから軸線方向D1に離間した位置において拡径する段差4cが形成されており、切り離し部10は、段差4cの開口2b側に位置する凹部4gに形成されている。よって、段差4cの開口2b側に位置する凹部4gに切り離し部10が形成されているので、切り離しの後に当該切り離しの箇所が荒れたとしても当該荒れた部分が本体2の外周面4bから突出しないようにすることができる。
【0062】
すなわち、切り離しによって荒れた部分が生じたとしても、この荒れた部分は凹部4gに形成されるので当該荒れた部分を本体2の外周面4bから突出しないようにすることができる。従って、切り離しによって荒れた部分が被塗布部に接触する可能性を一層低減させることができるので、化粧料Mの使用感を更に良好にすることができる。
【0063】
以上、本開示に係る塗布容器の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変更することも可能である。すなわち、塗布容器の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した実施形態に限定されず適宜変更可能である。
【0064】
例えば、前述の実施形態では、接続部16が回転方向D2に沿って間欠的に形成されている切り離し部10について説明した。しかしながら、切り離し部の態様は切り離し部10に限定されない。例えば、周囲よりも肉薄となっていて空間部17を有しない切り離し部であってもよい。
【0065】
前述の実施形態では、羽根部3cの主面3dに情報表示部6が設けられるキャップ3について説明した。しかしながら、前述したように、情報表示部6に表示される情報は特に限定されない。また、羽根部3cの主面3d以外の箇所に情報表示部が設けられていてもよいし、情報表示部を有しない羽根部であってもよい。
【0066】
前述の実施形態では、筒状部3bと羽根部3cとを備え、軸線方向D1に沿って並んでいる複数の固定部3pに羽根部3cが固定されている例について説明した。しかしながら、羽根部は、固定部3pを介して固定されたものでなくてもよく、例えば、筒状部3bの表面から板状に突出した部位であってもよい。また、前述の実施形態では、羽根部3cが方向D3に沿って筒状部3bから筒状部3bの両側に突出しているキャップ3について説明した。しかしながら、キャップの羽根部の形状は、例えば、筒状部3bから筒状部3bの片側に突出する形状であってもよく、筒状部3bから両側に突出する形状に限定されない。更に、羽根部を有しないキャップを備えていてもよい。
【0067】
前述の実施形態では、本体2の先筒部4における段差4cの開口2b側に切り離し部10が形成されている例について説明した。しかしながら、切り離し部が形成される場所は、塗布体が露出する開口から離間した位置であればよく、適宜変更可能である。更に、前述の実施形態では、化粧料Mがアイブロウであり、塗布容器1がアイブロウ保持容器である例について説明した。しかしながら、本開示に係る塗布容器は、例えば、アイライナー、コンシーラー又はリップライナー等、種々の棒状化粧料に対しても適用させることができる。
【0068】
前述の実施形態では、塗布材が化粧料Mである例について説明した。しかしながら、塗布材は、化粧料M以外のものであってもよく、例えば、液状化粧料等の液体を含浸するブラシ、筆又はスポンジ等であってもよい。更に、塗布容器は、化粧料容器以外の容器であってもよく、塗布材として描画材を備える筆記具、デザイン用ペンシル又は文房具等であってもよい。このように、塗布容器は、種々の容器に適用させることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…塗布容器、2b,2c…開口、2d…第1内部空間、2f…第2内部空間、2g…壁部、2h…貫通孔、2j…内面、2k…保持部、2m…拡径部、2p…内面、2q…突出部、2r…第1テーパ面、2s…内周面、2t…第2テーパ面、2v…先細部、2w…傾斜面、2x…湾曲面、3…キャップ、3b…筒状部、3c…羽根部、3d…主面、3f…短辺、3g…長辺、3h…山部、3k…傾斜面、3p…固定部、3q…隙間、3r…内面、3s…凹部、3t…突部、3v…開口、3w…湾曲面、4…先筒部、4b…外周面、4c…段差、4d…傾斜面、4f…底面、4g…凹部、5…摘まみ部、5b…凸部、5c…外面、5d…傾斜面、5f…湾曲部、6…情報表示部、6b…文字情報、6c…マーク、6d…識別コード、10,20…切り離し部、11…第1外面、12,22…第2外面、13…内面、14,24…肉薄部、16…接続部、17…空間部、25…溝、D1…軸線方向、D2…回転方向、D3…方向、M…化粧料、X…軸線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13