(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】積層型半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240704BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240704BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240704BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01L25/08 B
H01L23/02 C
(21)【出願番号】P 2020181091
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】313003358
【氏名又は名称】東北マイクロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】元吉 真
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0308455(US,A1)
【文献】国際公開第2013/141091(WO,A1)
【文献】特表2008-533743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側集積回路を集積した上側半導体基板と、
該上側半導体基板の主面に設けられた上側絶縁層と、
該上側絶縁層の周辺に沿って周回して閉じた平面パターンを構成する上側封止パターン部と、
前記上側絶縁層に、主面の少なく共一部で構成されるチップ搭載領域が対向するように配置された下側チップと、
該下側チップの前記主面上に配置され、前記上側封止パターン部の配置に対応したパターンを構成し、前記チップ搭載領域の周辺を周回し、前記上側封止パターン部との固相拡散接合により金属学的接続体を構成する下側封止パターン部と、
を備え、
前記チップ搭載領域、前記上側絶縁層及び前記金属学的接続体の内部に気密空間を形成
し、
前記上側封止パターン部は、互いに平行に走行する壁状のパターンを含み、前記下側封止パターン部は、互いに平行に走行する壁状のパターンを含み、
前記下側封止パターン部と前記上側封止パターン部の平面パターンは、互いに複数箇所で交わる、互いに位相の異なるメアンダラインのパターンを構成していることを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項2】
前記下側封止パターン部又は前記上側封止パターン部は、金又は金を含む合金のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の積層型半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体チップを積層した積層型半導体装置に係り、特に平面パタ-ンが微細化され高速動作する積層型半導体装置にも適用可能な気密封止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(大規模集積回路)のデザインルールはますます微細化され、三次元等の積層化の傾向にある。集積回路のデザインルールの微細化が進むと、外部回路と接続する入出力電極のピッチも微細化される。5G以降の世代では、高速動作の要請も加わり、能動素子の平面パターンのデザインルールが10nm以下となり、能動素子の平面パターンの微細化に伴い入出力電極のピッチ間隔は10μm以下になる。入出力電極のピッチ間隔が狭くなると、従来から用いられてきた半田バンプ電極の採用が困難になる。半田バンプ電極では半田を塗布するために錫―銀(SnAg)メッキをするのが一般的であるが、SnAgメッキの高さがばらつく。又半田が溶融する際のはみ出しが問題になり、半田バンプ電極を用いた構造では、入出力電極のピッチ間隔を15μm以下にすることは困難となる。
【0003】
半田バンプ電極が採用可能な世代の半導体のパッケージングにおいては、樹脂封止や、エポキシ樹脂等の液状硬化性樹脂、又は異方性導電膜(ACF)若しくは非導電性膜(NCF)等のアンダーフィルを用いた気密封止構造が採用されていた。しかし、5G以降の世代で要請される高速動作の環境では、入出力電極のピッチ間隔を10μm以下の微細化が必要となり、本発明の明細書で説明するような金(Au)バンプの採用が必要になる。入出力電極のピッチ間隔が10μm以下に微細化が進むと、従来用いられていた樹脂封止やアンダーフィルを用いた気密封止構造が採用できなくなる。従来の半田バンプの場合は、対向電極と接触した場合、「ぬれ」により電極表面に半田が広がり、NCFのようなポリマーを接合界面から押し出す性質がある。一方、次世代の微細化された半導体集積回路の構造に好適なAuバンプは固相拡散で接合するため、接合界面にNCFのようなポリマーが僅かでも残っていると、固相拡散が阻害され、金属学的な接合ができなくなる。なお、入出力電極のピッチ間隔が10μm以下の積層型半導体装置であっても、下側チップと上側チップの接合の前に、樹脂でアンダーフィルパタンを作ることは、可能ではある。しかし、微細化されたAuバンプとの合わせ余裕を取る必要がある問題に加え、接合後にチップ間に間隙や気泡が入るという重大な問題が発生する恐れがある。間隙や気泡が入ると、温度サイクル試験において間隙や気泡の圧力が変わるので、バンプ接合部分に繰り返しストレスが入る。更には、間隙や気泡に湿気が入ると気化してチップの破壊の恐れも発生する。このため、5G以降の世代で要請される高速動作の環境では、アンダーフィルを用いない気密封止構造が待望される。
【0004】
なお、ピッチが15μm以上の粗いデザインルールが採用可能な半田バンプ電極の世代において、ベース基板と封止用キャップとの間に異方性べローズリングを用いた蛇腹構造によって気密封止するパッケージング技術が提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1に記載された発明は、半導体チップ内の半田バンプ電極の温度変化に伴う延びと封止部の金属の延びとの差による力学的な熱応力のアンバランスを考慮したものである。即ち、特許文献1に記載された発明は、半田バンプ電極を用いた旧世代の半導体装置に用いるパッケージング技術に固有の事情から、温度サイクルによる半田バンプ電極のクラックの発生を防止することを技術的課題としている。つまり、特許文献1に記載された発明は、入出力電極のピッチ間隔が10μm以下の微細化と高速化の世代になり、半田バンプ電極の使用が制限された積層型半導体装置の固有の事情やそれに伴う技術的課題を考慮したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、入出力電極のピッチ間隔が10μm以下の微細化構造が採用される場合であっても、プロセス工程数の増大を招くことなく安価且つ簡単に、信頼性の高い気密封止が可能な積層型半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、(a)上側集積回路を集積した上側半導体基板と、(b)この上側半導体基板の主面に設けられた上側絶縁層と、(c)この上側絶縁層の周辺に沿って周回して閉じた平面パターンを構成する上側封止パターン部と、(d)上側絶縁層に、主面の少なく共一部で構成されるチップ搭載領域が対向するように配置された下側チップと、(e)この下側チップの主面上に配置され、上側封止パターン部の配置に対応したパターンを構成し、チップ搭載領域の周辺を周回し、上側封止パターン部との固相拡散接合により金属学的接続体を構成する下側封止パターン部を備える積層型半導体装置であることを要旨とする。本発明の態様に係る積層型半導体装置において、下側チップのチップ搭載領域、上側絶縁層及び金属学的接続体の内部に気密空間を形成している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入出力電極のピッチ間隔が10μm以下の微細化構造が採用される場合であっても、プロセス工程数の増大を招くことなく安価且つ簡単に、信頼性の高い気密封止が可能な積層型半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置を示す斜視図(鳥瞰図)である。
【
図2】第1実施形態に係る積層型半導体装置に用いる下側チップの概略を説明する鳥瞰図である。
【
図3】
図1に示した積層型半導体装置に用いる上側チップの平面図である。
【
図4】
図1に示した積層型半導体装置に用いる下側チップの平面図である。
【
図5】
図3のV-V方向から見た断面図であって、気密封止前の状態を説明する構造図である。
【
図6】
図5に対応する断面図であって、気密封止工程後の状態を説明する構造図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る積層型半導体装置に用いる上側チップの平面図である。
【
図8】第2実施形態に係る積層型半導体装置に用いる下側チップの平面図である。
【
図9】第2実施形態に係る積層型半導体装置の断面図であって、気密封止前の状態を説明する構造図である。
【
図10】
図9に対応する断面図であって、気密封止工程後の状態を説明する構造図である。
【
図11】
図11(a)は、第2実施形態に係る積層型半導体装置の上側チップに設けられる鋸波状メアンダラインのトポロジを示す平面図で、
図11(b)は、
図11(a)の上側チップを搭載する下側チップに設けられる鋸波状メアンダラインのトポロジを示す平面図で、
図11(c)は、上側チップの鋸波状メアンダラインと下側チップの鋸波状メアンダラインの交差による金属学的接合の箇所が、周期的に複数発生することを説明する平面図である。
【
図12】
図12(a)は、第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の上側チップに設けられる波形メアンダラインのトポロジを示す平面図で、
図12(b)は、
図12(a)の上側チップを搭載する下側チップに設けられる波形メアンダラインのトポロジを示す平面図で、
図12(c)は、上側チップの波形メアンダラインと下側チップの波形メアンダラインの交差による金属学的接合の箇所が、周期的に複数発生することを説明する平面図である。
【
図13】
図13(a)は、第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の上側チップに設けられる半円弧状メアンダラインのトポロジを示す平面図で、
図13(b)は、
図13(a)の上側チップを搭載する下側チップに設けられる半円弧状メアンダラインのトポロジを示す平面図で、
図13(c)は、上側チップの半円弧状メアンダラインと下側チップの半円弧状メアンダラインの交差による金属学的接合の箇所が、周期的に複数発生することを説明する平面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る積層型半導体装置の構成の一部を説明する図で、下側チップがインターポーザの場合を示す鳥瞰図である。
【
図15】
図14に示したインターポーザとしての下側チップを説明する断面図である。
【
図16】本発明の第4実施形態に係る積層型半導体装置の気密封止前の状態を説明する図で、第1実施形態で説明した
図3のV-V方向から見た断面図に対応する図である。
【
図17】本発明の第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の気密封止前の状態を説明する図である。
【
図18】本発明の第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の気密封止前の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照ながら本発明の第1~第4実施形態を説明する。図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1~第4実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0011】
また、以下の第1~第4実施形態の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。したがって、180°回転の場合は、以下の説明における「下側チップ」を「上側チップ」と読み替え、「上側チップ」を「下側チップ」と読み替えても良いことは勿論である。
【0012】
(第1実施形態)
図1及び
図6に示すように、本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置は、下側チップ10Aと、下側チップ10Aに搭載された上側チップ10Bの積層構造をなしている。
図2、
図3及び
図5に示すように、下側チップ10Aは、下側半導体基板11Aと、下側半導体基板11Aの主面(上面)の表面領域に配置される下側集積回路と、下側半導体基板11Aの主面上(上面上)に下側集積回路を覆うように設けられる下側絶縁層13Aと、下側絶縁層13A上において下側半導体基板11Aの主面の縁部に沿って周回する帯状の下側封止パターン部14Aを備える。下側集積回路は、例えば3nm~7nmのデザインルールで設計された微細パタ-ンで高速動作を可能にしている。多くの半導体チップと同様に、
図3では下側チップ10Aが矩形である場合を例示しており、帯状の下側封止パターン部14Aも、下側チップ10Aの周辺に沿った矩形の額縁状パターン(穴あき矩形パターン)で、閉じたパターンを構成している。しかしながら、下側チップ10Aが矩形である必然性はなく、下側チップ10Aが矩形でない場合は、下側封止パターン部14Aも下側チップ10Aの形状に適合した平面パターンとなるのは勿論である。
【0013】
一方、
図3及び
図5に示すように、第1実施形態に係る積層型半導体装置の上側チップ10Bは、上側半導体基板11Bと、上側半導体基板11Bの主面の表面領域に配置される上側集積回路と、上側集積回路を覆うように上側半導体基板11Bの主面上に設けられた上側絶縁層13Bと、上側絶縁層13B上において上側半導体基板11Bの主面の縁部に沿って周回する帯状の第2封止部ランド14Bと、第2封止部ランド14B上において上側半導体基板11Bの縁部に沿って、互いに間隔を空けて、かつ隣接しながら平行に延びる封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iを備える。上側集積回路は、下側チップ10Aの下側集積回路と同様に、3nm~7nmのデザインルールで設計された微細で高速動作可能な平面パターンを有している。第2封止部ランド14B、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iで、上側チップ10Bの「上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)」を構成している。
図6から分かるように、下側封止パターン部14Aと上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)が固相拡散接合することにより金属学的接続体(14A,15
o,15
i)が構成されている。下側絶縁層13A、上側絶縁層13B及び金属学的接続体(14A,15
o,15
i)の内部に気密空間が形成されている。
【0014】
図2及び
図4に示すように、下側チップ10Aの下側封止パターン部14Aの周回パターンの内側には中空円筒状の下側バンプB
p1,B
p2,B
p3,……,B
pmが10μm以下のピッチで配列されている。下側バンプB
p1,B
p2,B
p3,……,B
pmの配列の方向に定義される、下側封止パターン部14Aが構成する矩形額縁状パターンの辺を「第1辺」と定義すると、第1辺に連続し第1辺に直交する矩形額縁状パターンの第2辺に沿って、下側チップ10Aの中央部周辺には中空円筒状の下側バンプB
q1,B
q2,B
q3,……,B
qnが10μm以下のピッチで配列されている。第2辺に連続し第2辺に直交する矩形額縁状パターンの第3辺に沿って、下側チップ10Aの中央部周辺には中空円筒状の下側バンプB
r1,B
r2,B
r3,……,B
rmが10μm以下のピッチで配列されている。第3辺に連続し第3辺に直交する矩形額縁状パターンの第4辺に沿って、下側チップ10Aの中央部周辺には中空円筒状の下側バンプB
s1,B
s2,B
s3,……,B
snが10μm以下のピッチで配列されている。
【0015】
このため、下側バンプB
p1,B
p2,B
p3,……,B
pmの配列、下側バンプB
q1,B
q2,B
q3,……,B
qnの配列、下側バンプB
r1,B
r2,B
r3,……,B
rmの配列、及び下側バンプB
s1,B
s2,B
s3,……,B
snの配列によって、下側封止パターン部14Aが構成する矩形額縁状パターンの内側に、別の矩形額縁状パターンが構成されている。下側バンプB
p1,B
p2,B
p3,……,B
pm;B
q1,B
q2,B
q3,……,B
qn;B
r1,B
r2,B
r3,……,B
rm;B
s1,B
s2,B
s3,……,B
snの配列は、下側集積回路の入出力電極となるボンディングパッドのパターンの配列に対応させることができる。なお、以下の説明では下側バンプB
p1,B
p2,B
p3,……,B
pm;B
q1,B
q2,B
q3,……,B
qn;B
r1,B
r2,B
r3,……,B
rm;B
s1,B
s2,B
s3,……,B
snを、「下側バンプB
ij」と包括的表現で略記する場合がある(i=p,q,r,s:j=1~n、又は1~mの正の整数)。なお、例示した下側バンプB
ijは、中空円筒状の形状に限定されるものではなく、下側バンプB
ijの配列も
図2及び
図4に示すような一重の矩形に周回的に配置される場合に限定されるものではない。下側バンプB
ijの配列は、下側チップ10Aの周辺を二重若しくは三重以上の多重に周回する矩形や同心円状に周回する平面パターンや、下側チップ10Aにアレイ状に配列される平面パターンでも構わない。
【0016】
下側半導体基板11Aは、例えば、シリコン基板が採用可能であるが、説明の便宜上の例示に過ぎない。下側半導体基板11Aは、炭化ケイ素(SiC)やガリウムヒ素(GAAs)等の化合物半導体でもよい。下側半導体基板11Aの表面には、例えば、DRAMやSRAM等のメモリ、固体撮像装置の画素アレイ、演算回路、制御回路、入出力回路、センス回路、増幅回路等の回路ブロックや画素アレイを有する下側集積回路が設けられた構造が採用可能であるが、これらも例示に過ぎない。下側絶縁層13Aは、例えば、シリコン酸化膜(SiO2膜)、シリコン窒化膜(Si3N4膜)、燐珪酸ガラス膜(BSG膜)、フッ素含有酸化膜(SiOF膜)、炭素含有酸化膜(SiOC膜)等の無機系絶縁層の他、メチル含有ポリシロキサン(SiCOH)、水素含有ポリシロキサン(HSQ)、ポーラスメチルシルセスキオキサン膜やポリアリレン膜等の有機系絶縁層が使用可能で、これらの種々の絶縁膜層を組み合わせて積層して、多様な多層構造の多層配線絶縁層を構成することが可能である。下側絶縁層13Aは、フィールド絶縁膜のみの単層構造であってもよく、又は上述の種々の絶縁材料を組み合わせた多層構造であってもよく、多層構造の場合は、最上層がパッシベーション膜として機能できる。
【0017】
下側絶縁層13Aの上面は、化学的機械研磨(CMP)などの研磨方法により高精度に平坦化されていることが望ましい。下側封止パターン部14Aは、下側絶縁層13Aに亀裂などの破損を生じさせないように、十分な強度を有し、必要なサイズを有するものとする。中空円筒状の下側バンプBij及び下側封止パターン部14Aには、例えば金(Au)等のビッカース硬さが20Hv~30Hv程度の軟らかい金属が使用可能である。更に、Auを80%以上含むAu-シリコン(Si),Au-ゲルマニウム(Ge),Au-アンチモン(Sb),Au-錫(Sn),Au-鉛(Pb),Au-亜鉛(Zn),Au-銅(Cu)等のビッカース硬さが15Hv~120Hv程度のAu合金も使用可能である。Snを90%含むAu-90Sn合金のビッカース硬さは、Snの低硬度性が顕著になり16Hv程度となる。ビッカース硬さが比較的小さなAu合金の下層にニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti),タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)等の高融点金属材料を含む層を構成した多層構造で下側封止パターン部14Aを構成しても構わない。
【0018】
図示を省略しているが、中空円筒状の下側バンプBijの下層となる下側バンプ用ランド部にNi、Cr、Ti等の等の高融点金属材料を含ませて、下側バンプ用ランド部を下側バンプBijの底部に接触させてもよい。下側バンプ用ランド部は多層配線絶縁層を構成する下側絶縁層13Aの内部に埋め込まれていてもよく、下側バンプ用ランド部と下側バンプBijはビアで互いに接続されることができる。下側バンプ用ランド部は、下側集積回路の入出力電極となるボンディングパッドにビア等を介して電気的に接続されている。
【0019】
図5に示すように、平行に延びる封止用外壁15
oと封止用内壁15
iの底部は互いに接続されているので、平行に延びる方向を長手方向としたとき、上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)の長手方向に垂直な断面はU字型をなしている。既に述べたとおり、第1実施形態に係る積層型半導体装置では、下側チップ10Aに形成される下側封止パターン部14Aが、矩形額縁状パターンであると仮定した場合の例示的な説明である。このため、
図3に示すように、上側チップ10Bに設けられる第2封止部ランド14Bも、下側封止パターン部14Aのパターンに対応し、下側封止パターン部14Aとほぼ鏡像関係に近い矩形額縁状パターンで、閉じたパターンを構成している。しかしながら、下側封止パターン部14Aが矩形額縁状でない場合は、第2封止部ランド14Bも下側封止パターン部14Aの形状を投影した平面パターンで閉じたパターンを構成することは勿論である。
【0020】
図3に示すように、上側チップ10Bの第2封止部ランド14Bの周回パターンの内側には、下側バンプB
p1,B
p2,B
p3,……,B
pmの配列に合わせて、中空四角筒状の上側バンプB
up1,B
up2,B
up3,……,B
upmが10μm以下のピッチで配列されている。上側バンプB
up1,B
up2,B
up3,……,B
upmの配列の方向に沿った第2封止部ランド14Bの矩形額縁状パターンの辺を「上側矩形第1辺」と定義すると、上側矩形第1辺に連続し上側矩形第1辺に直交する上側矩形第2辺に沿って、上側チップ10Bの中央部周辺には中空四角筒状の上側バンプB
uq1,B
uq2,B
uq3,……,B
uqnが、下側バンプB
q1,B
q2,B
q3,……,B
qnの配列に合わせて10μm以下のピッチで配列されている。上側矩形第2辺に連続し上側矩形第2辺に直交する上側矩形第3辺に沿って、上側チップ10Bの中央部周辺には中空四角筒状の上側バンプB
ur1,B
ur2,B
ur3,……,B
urmが、下側バンプB
r1,B
r2,B
r3,……,B
rmの配列に合わせて10μm以下のピッチで配列されている。
【0021】
上側矩形第3辺に連続し上側矩形第3辺に直交する上側矩形第4辺に沿って、上側チップ10Bの中央部周辺には中空四角筒状の上側バンプB
us1,B
us2,B
us3,……,B
usnが、下側バンプB
s1,B
s2,B
s3,……,B
snの配列に合わせて10μm以下のピッチで配列されている。上側バンプB
up1,B
up2,B
up3,……,B
upm;B
uq1,B
uq2,B
uq3,……,B
uqn;B
ur1,B
ur2,B
ur3,……,B
urm;B
us1,B
us2,B
us3,……,B
usnの配列は、上側集積回路の入出力電極となるボンディングパッドのパターンの配列に対応している。なお、以下の説明では上側バンプB
up1,B
up2,B
up3,……,B
upm;B
uq1,B
uq2,B
uq3,……,B
uqn;B
ur1,B
ur2,B
ur3,……,B
urm;B
us1,B
us2,B
us3,……,B
usnを、「上側バンプB
uij」と包括的表現で略記する場合がある(i=p,q,r,s:j=1~n、又は1~mの正の整数)。なお、例示した上側バンプB
uijも、中空四角筒状の形状に限定されるものではない。又、上側バンプB
uijの配列も
図3に示すような矩形に周回的に配置される場合に限定されるものではなく、例えば下側バンプB
ijの配列がマトリクス等のアレイ状であれば、下側バンプB
ijの配列に合わせて」、上側バンプB
uijも上側チップ10Bにアレイ状に配列される。
【0022】
上側半導体基板11Bは、下側半導体基板11Aと同様に、シリコン基板が採用可能であるが、例示でありシリコン基板に限定されるものではない。上側半導体基板11Bの表面には、例えば、メモリ、演算回路、制御回路、入出力回路、センス回路、増幅回路等の回路ブロックを含む上側集積回路が設けられていてよい。上側絶縁層13Bは、例えば、SiO2膜、Si3N4膜、BSG膜、SiOF膜、SiOC膜等の無機系絶縁層の他、SiCOH、HSQ、ポーラスメチルシルセスキオキサン膜やポリアリレン膜等の有機系絶縁層が使用可能で、これらの種々の絶縁膜層を組み合わせて積層して、多様な多層構造の多層配線絶縁層を構成することが可能である。上側絶縁層13Bは、フィールド絶縁膜のみの単層構造であってもよく、又は、上述の種々の絶縁材料を組み合わせた多層構造であってもよい。多層構造の場合は、最上層がパッシベーション膜として機能できる。上側絶縁層13Bの上面は、CMPなどの研磨方法により高精度に平坦化されていることが望ましい。
【0023】
図3に示すように封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iは、平面パターンとしては2本のラインからなる周回するパターンでそれぞれ閉じた矩形を構成し、上側半導体基板11Bの縁部に沿って周回している。封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iの平面パターンは、矩形リング状に閉じていることが好ましいが、その一部が気密封止に影響がない程度に途切れている場合を排除するものではない。第1実施形態に係る積層型半導体装置の上側チップ10Bプの周辺を、平行壁のトポロジを維持して、矩形リング状に周回する封止用平行垂直壁構造(15
o,15
i)は、例えば特開2019-190775号で本発明者が開示した筒状のバンプの四角筒状の製造方法と同様な方法でも製造できる。下側チップ10Aに用いる円筒状の下側バンプB
ijも特開2019-190775号に開示した手法によって製造可能である。即ち、上側チップ10Bの周辺に設ける封止用平行垂直壁構造(15
o,15
i)は、中央部付近に設ける上側バンプB
uijと同時に、特開2019-190775号に開示した手法によって製造可能である。
【0024】
その他、上側チップ10Bの周辺に設ける封止用平行垂直壁構造(15o,15i)は、半導体集積回路の製造方法として採用されている種々のサイドウォール技術によって容易に形成することができる。例えば上側チップ10Bの周辺を周回する断面矩形のフォトレジスト膜のパターンを土台として形成し、このフォトレジスト膜のパターンの垂直側壁を含むように真空蒸着やスパッタリングでAuやAu合金等の金属膜を全面に堆積する手法でも可能である。その後、土台としてのフォトレジスト膜のパターンの上面に堆積された金属膜をエッチバック等により選択的に除去し、更に土台としてのフォトレジスト膜を除去すれば、2枚の垂直側壁が平行に対向する封止用平行垂直壁構造(15o,15i)が形成できる。このような周知のサイドウォール・プロセスにより形成可能な平行垂直壁のことを第1実施形態に係る積層型半導体装置では「サイドウォール・パターン」と称することとする。
【0025】
中空四角筒状の上側バンプBuijの材料には、常圧ないし減圧下での加熱圧着若しくは超音波加熱圧着等の圧力により中空円筒状の下側バンプBijと固相拡散接合することが容易な金属が好ましい。同様に、封止用外壁15o及び封止用内壁15iは、加熱圧着若しくは超音波加熱圧着等によりそれぞれ下側封止パターン部14Aとの固相拡散接合が容易な金属が好ましい。封止用外壁15o及び封止用内壁15iは、上側バンプBuijと同一材料から構成されていてもよい。例えば、下側バンプBijと下側封止パターン部14AがAu又はAu合金で構成されている場合には、上側バンプBuij並びにU字型をなす封止用外壁15o及び封止用内壁15iには、AuやAu-Si,Au-Ge,Au-Sb,Au-Sn,Au-Pb,Au-Zn,Au-Cu等のAu合金が採用可能である。
【0026】
封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iは、下側封止パターン部14Aに対して熱圧着されたときに、それ自身が変形し、下側封止パターン部14Aと固相拡散接合して金属学的に接合して金属学的接続体(14A,15
o,15
i)を構成することにより気密封止を実現するものである。封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iを、厚さ70~700nm程度の垂直側壁からなるサイドウォール・パターンとすることで、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iが圧着時の力によって容易に変形し易いという特徴を生かすことができる。封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iは、上側バンプB
uijと同一材料を用いて同一プロセスで形成できるので、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iの形成に際し、余分な工程数の増大は伴わず、安価に製造できる。封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iが容易に変形できるので、製造歩留まりの高い、信頼性の高い気密封止を、プロセス工程数の増大を招くことなく安価且つ簡単に実現できる。好ましくは、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iを、厚さ100~300nm程度の直側壁にすることで、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iが圧着時の力によって容易に変形し易いという特徴がより顕著になる。気密封止後は、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iは変形しているので、
図5に示すような垂直側壁の態様を失っており、金属学的接続体(14A,15
o,15
i)は
図6に示すような互いに畳み込まれた非規則な曲面を含む不定形な形状となる。
【0027】
図5に示すように、第2封止部ランド14Bは、U字型を構成する封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iの下地となる部材である。第2封止部ランド14Bは、下側チップ10Aと上側チップ10Bとの気密封止時において、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iにかかる圧力を吸収/分散し、かつ上側絶縁層13Bに亀裂などの破損を生じさせないように、十分な強度を有し、必要なサイズを有することが好ましい。このため第2封止部ランド14Bは、例えば、Ti、Ni、Cr、Ta、Mn、Ru、W、等の高融点金属材料の下層を含むAu又はAu合金との多層構造で構成できる。図示を省略しているが、上側バンプB
uijの下層(
図5の表示の方向では上側の層)となる上側バンプ用ランド部にNi、Cr、Ti等の等の高融点金属材料を含ませて、上側バンプ用ランド部を上側バンプB
uijの底部に接触させてもよい。上側バンプ用ランド部は多層配線絶縁層を構成する上側絶縁層13Bの内部に埋め込まれていてもよく、上側バンプ用ランド部と上側バンプB
uijは、ビアで互いに接続されることができる。上側バンプ用ランド部は、上側集積回路の入出力電極となるボンディングパッドにビア等を介して電気的に接続されている。
【0028】
以上、説明したように、下側チップ10Aの縁部に沿って、帯状の下側封止パターン部14Aで閉じたパターンを構成し、上側チップ10Bの縁部に沿って周回する閉じたパターンとして上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)が、下側封止パターン部14Aに対応する大きさと形状で、少なく共一部が鏡像関係をなすように構成されている。したがって、第1実施形態に係る積層型半導体装置によれば、入出力電極のピッチ間隔が10μm以下の微細化された平面パターンを有する半導体集積回路を搭載した場合であっても、下側封止パターン部14Aと上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)とを圧着して金属学的に接合して
図6に示したような金属学的接続体(14A,15
o,15
i)を構成することにより、プロセス工程数の増大を招くことなく安価且つ簡単に、下側チップ10Aと上側チップ10Bの間の気密封止をすることが可能になる。
【0029】
(第2実施形態)
図10に示すように、本発明の第2実施形態に係る積層型半導体装置は、下側チップ20Aと、下側チップ20Aに搭載された上側チップ20Bの積層構造をなしている点では第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様である。しかし、
図9及び
図10に示すように、下側チップ20Aは、下側半導体基板11Aと、下側半導体基板11Aの主面の表面領域に配置される下側集積回路と、下側半導体基板11Aの主面上(上面上)に下側集積回路を覆うように設けられる下側絶縁層23Aと、下側絶縁層23A上において下側半導体基板11Aの主面の縁部に沿って周回する帯状の第1封止部ランド14Aと、第1封止部ランド14A上において下側半導体基板11Aの縁部に沿って、互いに間隔を空けて、かつ隣接しながら平行に蛇行する封止用外壁17
o及び封止用内壁17
iを備える。即ち、第1封止部ランド14A、封止用外壁17
o及び封止用内壁17
iで、下側チップ20Aの「下側封止パターン部(14A,17
o,17
i)」を構成している点で、第1実施形態に係る積層型半導体装置の構成とは異なる。下側集積回路は例えば3nm~7nmのデザインルールで設計された微細パタ-ンである点でも、第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様である。多くの半導体チップと同様に、
図8では下側チップ20Aが矩形である場合を例示しており、帯状の第1封止部ランド14Aも、下側チップ20Aの周辺に沿った矩形の額縁状パターン(穴あき矩形パターン)で、閉じたパターンを構成している。しかしながら、下側チップ20Aが矩形である必然性はなく、下側チップ20Aが矩形でない場合は、第1封止部ランド14Aも下側チップ20Aの形状に適合した平面パターンとなるのは勿論である。
【0030】
一方、
図7及び
図9に示すように、第2実施形態に係る積層型半導体装置の上側チップ20Bは、上側半導体基板11Bと、上側半導体基板11Bの主面の表面領域に配置される上側集積回路と、上側集積回路を覆うように上側半導体基板11Bの主面上に設けられた上側絶縁層23Bと、上側絶縁層23B上において上側半導体基板11Bの主面の縁部に沿って周回する帯状の第2封止部ランド14Bと、第2封止部ランド14B上において上側半導体基板11Bの縁部に沿って、互いに間隔を空けて、かつ隣接しながら平行に蛇行する封止用外壁16
o及び封止用内壁16
iを備える。上側集積回路は、下側チップ20Aの下側集積回路と同様に、3nm~7nmのデザインルールで設計された微細で高速動作可能な平面パターンを有している。第2封止部ランド14B、封止用外壁16
o及び封止用内壁16
iで、上側チップ20Bの「上側封止パターン部(14B,16
o,16
i)」を構成している。
図10から分かるように、下側封止パターン部(14A,17
o,17
i)と上側封止パターン部(14B,16
o,16
i)が固相拡散接合することにより金属学的接続体(14A,14B,18)が構成されている。下側絶縁層23A、上側絶縁層23B及び金属学的接続体(14A,14B,18)の内部に気密空間が形成されている。
【0031】
図2に示した平面パターンと同様であるが、
図8に示すように、第1封止部ランド14Aが構成する矩形額縁状パターンの内側に、複数の下側バンプB
ijが矩形額縁状パターンとして10μm以下のピッチで配列された場合を例示している(i=p,q,r,s:j=1~n、又は1~mの正の整数)。又、
図3に示したのと同様であるが、
図7に示すように、上側チップ20Bの第2封止部ランド14Bの周回パターンの内側には、複数の中空四角筒状の上側バンプB
uijが矩形額縁状パターンとして10μm以下のピッチで配列されている場合を例示している。
【0032】
下側半導体基板11A及び上側半導体基板11Bは、例えば、シリコン基板であり、下側半導体基板11A及び上側半導体基板11Bの表面には、例えば、メモリ、演算回路、制御回路、入出力回路、センス回路、増幅回路等の回路ブロックを有する下側集積回路が設けられている。下側絶縁層23A及び上側絶縁層23Bは、例えば、SiO2膜、Si3N4膜、BSG膜、SiOF膜、SiOC膜等の無機系絶縁層の他、SiCOH、HSQ、ポーラスメチルシルセスキオキサン膜やポリアリレン膜等の有機系絶縁層が使用可能で、これらの種々の絶縁膜層を組み合わせて積層して、多様な多層構造の多層配線絶縁層を構成することが可能である。下側絶縁層23A及び上側絶縁層23Bは、フィールド絶縁膜のみの単層構造であってもよく、又は、上述の種々の絶縁材料を組み合わせた多層構造であってもよい。多層構造の場合は、最上層がパッシベーション膜として機能できる。下側絶縁層23A及び上側絶縁層23Bの上面は、CMPなどの研磨方法により高精度に平坦化されていることが望ましい。
【0033】
図7に示すように上側チップ20Bの封止用外壁16
o及び封止用内壁16
iは、平面パターンとしては2本のラインが蛇行しながら周回するパターンでそれぞれ閉じたメアンダライン形状を構成し、上側チップ20Bの縁部に沿って周回している。封止用外壁16
o及び封止用内壁16
iが平面パターンとして、2本の鋸波状メアンダラインとして蛇行している構造の詳細は
図11(a)に示している。
図8に示すように下側チップ20Aの封止用外壁17
o及び封止用内壁17
iは、平面パターンとしては2本のラインが蛇行しながら周回するパターンでそれぞれ閉じたメアンダライン形状を構成し、下側チップ20Aの縁部に沿って周回している。封止用外壁17
o及び封止用内壁17
iが平面パターンとして、2本の鋸波状メアンダラインとして蛇行している構造の詳細は
図11(b)に示している。
図11(a)に示した2本の鋸波状メアンダラインと、
図11(b)に示した2本の鋸波状メアンダラインは位相が異なるので、
図11(c)に示すように、上側チップ20Bの封止用外壁16
o及び封止用内壁16
iは、複数箇所で下側チップ20Aの封止用外壁17
o及び封止用内壁17
iと交差している。
図11(c)では上から2番目の交差箇所を丸印で囲み、符号Zをラベリングしている。
【0034】
上側チップ20Bの封止用外壁16o及び封止用内壁16iと、下側チップ20Aの封止用外壁17o及び封止用内壁17iの両方が、それぞれ直線状の平行2線の場合、封止用外壁16oと封止用外壁17oが同一線上で重なり、封止用内壁17iと封止用内壁16iが同一線上で重なるので、封止用外壁16o等を潰す際に大きな力が必要になる。又、封止用外壁16oと封止用外壁17oの積層の際の位置ずれ、封止用内壁17iと封止用内壁16iの積層の際の位置ずれにより、封止用外壁16o等を潰す際の必要力が変わる。また、下側チップ20Aと上側チップ20Bの仮接続による電気的特性の評価をして下側チップ20A又は上側チップ20Bに不良が発見された場合、チップリペアをすることが必要になる。チップリペアのプロセスを考慮すると、弱い力で下側チップ20Aと上側チップ20Bとを仮接続をして、弱い力で不良が発見されたチップを弱い力で取り除きたいという要望もある。
【0035】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、上下の封止壁を鋸波状に蛇行させておけば、
図11(c)に示すように、下側チップ20Aと上側チップ20Bを接合させる場合に、交差箇所Zに合わせずれが起きても、交差箇所Zを点における仮接合にすることできるので、熱圧着の際に加える圧力を均一に設定できるメリットが出る。更に、交差箇所を点接触にすることできるので、熱圧着の際に加える圧力を弱くすることができるので、リペアしやすいというメリットも出る。なお、
図11(a)及び
図11(b)では、上下の封止壁を蛇行させた場合を例示しているが、下側チップ20Aと上側チップ20Bのいずれか一方の側だけ蛇行させるようにしても、合わせずれが起きても、点接合の利点により、熱圧着の際に加える圧力を均一にし、リペアしやすいという有利な効果を奏することができる。
【0036】
第2実施形態に係る積層型半導体装置の封止用外壁16o、封止用内壁16i、封止用外壁17o及び封止用内壁17iの平面パターンは、メアンダライン状の周回パターンで閉じていることが好ましいが、メアンダラインの一部が気密封止に影響がない程度に途切れている場合を排除するものではない。第2実施形態に係る積層型半導体装置に用いるメアンダライン状の水平パターンを有して周回する封止用平行垂直壁構造(16o,16i)及び封止用平行垂直壁構造(17o,17i)は、第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様に、サイドウォール技術によって容易に形成することができる。封止用平行垂直壁構造(16o,16i)は、メアンダライン状の溝部又は土台パターンを用いた周知のサイドウォール・プロセスを適用して、上側バンプBuijの製造工程と同一プロセスで形成できるので、封止用平行垂直壁構造(16o,16i)の形成に際し、余分な工程数の増大は伴わず、安価に製造できる。又、封止用平行垂直壁構造(17o,17i)は、メアンダライン状の溝部又は土台パターンを用いた周知のサイドウォール・プロセスを適用して、下側バンプBijの製造工程と同一プロセスで形成できるので、封止用平行垂直壁構造(17o,17i)の形成に際し、余分な工程数の増大は伴わず、安価に製造できる。
【0037】
中空四角筒状の上側バンプBuijの材料には、常圧ないし減圧下での加熱圧着若しくは超音波加熱圧着等の圧力により中空円筒状の下側バンプBijと固相拡散接合することが容易な金属が好ましい。同様に、上側チップ20Bの封止用外壁16o及び封止用内壁16iは、加熱圧着若しくは超音波加熱圧着等によりそれぞれ、下側チップ20Aの封止用外壁17o及び封止用内壁17iとの固相拡散接合が容易な金属が好ましい。封止用外壁16o及び封止用内壁16iは、上側バンプBuijと同一材料から構成されていてもよく、封止用外壁17o及び封止用内壁17iは、下側バンプBijと同一材料から構成されていてもよい。例えば、下側バンプBijと第1封止部ランド14AがAu又はAu合金で構成されている場合には、下側バンプBij、上側バンプBuij、封止用外壁16o、封止用内壁16i、封止用外壁17o及び封止用内壁17iには、AuやAu-Si,Au-Ge,Au-Sb,Au-Sn,Au-Pb,Au-Zn,Au-Cu等のAu合金が採用可能である。
【0038】
上側チップ20Bの封止用外壁16o及び封止用内壁16iは、下側チップ20Aの封止用外壁17o及び封止用内壁17iに対して熱圧着されたときに、互いに変形し、互いに固相拡散接合して金属学的に接合することにより気密封止を実現するものである。封止用外壁16o、封止用内壁16i、封止用外壁17o及び封止用内壁17iを、厚さ70~700nm程度、好ましくは100~300nm程度のサイドウォール・パターンとすることで、封止用外壁16o、封止用内壁16i、封止用外壁17o及び封止用内壁17iのそれぞれが、圧着時の力によって容易に変形し易いという特徴を生かすことができる。圧着時の力によって容易に変形することで、封止用外壁16o及び封止用内壁16iを、封止用外壁17o及び封止用内壁17iと容易に固相拡散接合することができ、追加の工程数の増大を伴うことなく気密封止を実現することが可能となる。
【0039】
図9に示すように、平行に蛇行する封止用外壁17
oと封止用内壁17
iの底部は互いに接続されているので、平行に蛇行する方向を長手方向としたとき、下側封止パターン部(14A,17
o,17
i)の長手方向に垂直な断面はU字型をなしている。又、平行に蛇行する封止用外壁16
oと封止用内壁16
iの底部は互いに接続されているので、平行に蛇行する方向を長手方向としたとき、上側封止パターン部(14B,16
o,16
i)の長手方向に垂直な断面はU字型をなしている。第2実施形態に係る積層型半導体装置では、下側チップ20Aに形成される第1封止部ランド14Aが、矩形額縁状パターンであると仮定した場合の例示的な説明である。このため、
図8に示すように、上側チップ20Bに設けられる第2封止部ランド14Bも、第1封止部ランド14Aのパターンに対応し、第1封止部ランド14Aとほぼ鏡像関係に近い矩形額縁状パターンで、閉じたパターンを構成している。しかしながら、第1封止部ランド14Aが矩形額縁状でない場合は、第2封止部ランド14Bも第1封止部ランド14Aの形状を投影した平面パターンで閉じたパターンを構成することは勿論である。
【0040】
図9に示すように、第1封止部ランド14Aは、U字型を構成する封止用外壁17
o及び封止用内壁17
iの下地となる部材である。第1封止部ランド14Aは、下側チップ20Aと上側チップ20Bとの気密封止時において、封止用外壁17
o及び封止用内壁17
iにかかる圧力を吸収/分散し、かつ下側絶縁層23Aに亀裂などの破損を生じさせないように、十分な強度を有し、必要なサイズを有することが好ましい。同様に、第2封止部ランド14Bは、U字型を構成する封止用外壁16
o及び封止用内壁16
iの下地となる部材である。第2封止部ランド14Bは、下側チップ20Aと上側チップ20Bとの気密封止時において、封止用外壁16
o及び封止用内壁16
iにかかる圧力を吸収/分散し、かつ上側絶縁層23Bに亀裂などの破損を生じさせないように、十分な強度を有し、必要なサイズを有することが好ましい。このため第1封止部ランド14A及び第2封止部ランド14Bは、例えば、Ti、Ni、Cr、Ta、Mn、Ru、W、等の高融点金属材料の下層を含むAu又はAu合金との多層構造で構成できる。
【0041】
図示を省略しているが、中空円筒状の下側バンプB
ijの下層となる下側バンプ用ランド部にNi、Cr、Ti等の等の高融点金属材料を含ませて、下側バンプ用ランド部を下側バンプB
ijの底部に接触させてもよい。下側バンプ用ランド部は多層配線絶縁層を構成する下側絶縁層23Aの内部に埋め込まれていてもよく、下側バンプ用ランド部と下側バンプB
ijは、ビアで互いに接続されることができる。下側バンプ用ランド部は、下側集積回路の入出力電極となるボンディングパッドにビア等を介して電気的に接続されている。同様に、中空四角筒状の上側バンプB
uijの下層(
図9の表示の方向では上側の層)となる上側バンプ用ランド部にNi、Cr、Ti等の等の高融点金属材料を含ませて、上側バンプ用ランド部を上側バンプB
uijの底部に接触させてもよい。上側バンプ用ランド部は多層配線絶縁層を構成する上側絶縁層23Bの内部に埋め込まれていてもよく、上側バンプ用ランド部と上側バンプB
uijは、ビアで互いに接続されることができる。上側バンプ用ランド部は、上側集積回路の入出力電極となるボンディングパッドにビア等を介して電気的に接続されている。
【0042】
以上、説明したように、下側チップ20Aの縁部に沿って、下側封止パターン部(14A,17
o,17
i)で閉じたパターンを構成し、上側チップ20Bの縁部に沿って周回する閉じたパターンとして上側封止パターン部(14B,16
o,16
i)が、下側封止パターン部(14A,17
o,17
i)に対応して構成され、メアンダラインが複数の箇所で周期的に交差している。交差部が多くの箇所で周期的に発生するため、気密封止をより完全なものとすることができる。したがって、第2実施形態に係る積層型半導体装置によれば、入出力電極のピッチ間隔が10μm以下の微細化された平面パターンを有する半導体集積回路を搭載した場合であっても、下側封止パターン部(14A,17
o,17
i)と上側封止パターン部(14B,16
o,16
i)とを圧着して金属学的に接合して
図10に示したような金属学的接続体(14A,14B,18)を構成することにより、プロセス工程数の増大を招くことなく安価且つ簡単に、下側チップ20Aと上側チップ20Bの間の気密封止をすることが可能になる。
【0043】
なお、
図11では直線状に折れ曲がる鋸波状メアンダラインのトポロジを示したが、
図12に示す平行波形メアンダラインのトポロジでも構わない。
図12(a)には、第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の上側チップ20Bの封止用外壁31
o及び封止用内壁31
iの平面パターンの一部を第2封止部ランド14Bのパターンと対比して示している。
図12(a)は一部の断片的なパターンの開示でしかないが、封止用外壁31
o及び封止用内壁31
iも、
図7と同様に、2本の平行波形メアンダラインが等間隔で蛇行しながら、複数の上側バンプB
uijの配列の周りに配置されている。この結果、マクロな全体としては閉じた平面パターンを構成し、上側チップ20Bの縁部に沿って周回している。
図12(b)には、下側チップ20Aの封止用外壁32
o及び封止用内壁32
iが、平面パターンとして2本の平行波形メアンダラインを構成し、蛇行しながら周回するパターンの一部を、下側チップ20Aのパターンと対比して示されている。
【0044】
一部の断片的なパターンしか開示していないが、
図8に示した平面レイアウト構成と同様に、
図12(b)に示す2本の平行波形メアンダラインが、等間隔で蛇行しながら、複数の下側バンプB
ijの配列の周りに配置されている。この結果、マクロな全体としては閉じた平面パターンを構成し、下側チップ20Aの縁部に沿って周回している。
図12(a)に示した封止用外壁31
o及び封止用内壁31
iが構成する2本の平行波形メアンダラインと、
図12(b)に示した封止用外壁32
o及び封止用内壁32
iが構成する2本の平行波形メアンダラインの位相が異なるので、
図12(c)に示すように、封止用外壁31
o及び封止用内壁31
iが構成する2本の平行波形メアンダラインと、封止用外壁32
o及び封止用内壁32
iが構成する2本の平行波形メアンダラインは複数箇所で周期的に交差する。この結果、固相拡散接合により金属学的に接合する箇所が周期的に連続し、気密封止の信頼性が向上する。
【0045】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、上下の封止壁を波型に蛇行させておけば、
図12(c)に示すように、下側チップ20Aと上側チップ20Bを接合させる場合に、交差箇所に合わせずれが起きても、交差箇所を点における仮接合にすることできるので、熱圧着の際に加える圧力を均一に設定できるメリットが出る。更に、交差箇所を点接触にすることできるので、熱圧着の際に加える圧力を弱くすることができるので、リペアしやすいというメリットも出る。なお、
図12(a)及び
図12(b)では、上下の封止壁を蛇行させた場合を例示しているが、下側チップ20Aと上側チップ20Bのいずれか一方の側だけ蛇行させるようにしても、合わせずれが起きても、点接合の利点により、熱圧着の際に加える圧力を均一にし、リペアしやすいという有利な効果を奏することができる。
【0046】
なお、
図11では平行鋸波状メアンダライン、
図12では平行波形メアンダラインのトポロジを示したが、
図13に示す平行半円弧状メアンダラインのトポロジでも構わない。
図13(a)には、第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の上側チップ20Bの封止用外壁33
o及び封止用内壁33
iの平面パターンの一部を第2封止部ランド14Bのパターンと対比して示している。
図13(a)は一部の断片的なパターンの開示でしかないが、封止用外壁33
o及び封止用内壁33
iも、
図7と同様に2本の平行半円弧状メアンダラインが等間隔で蛇行しながら、複数の上側バンプB
uijの配列の周りに配置されている。この結果、マクロな全体としては閉じた平面パターンを構成し、上側チップ20Bの縁部に沿って周回している。
図13(b)には、下側チップ20Aの封止用外壁34
o及び封止用内壁34
iが、平面パターンとして2本の平行半円弧状メアンダラインを構成し、蛇行しながら周回するパターンの一部を、下側チップ20Aのパターンと対比して示されている。
【0047】
一部の断片的なパターンの開示に過ぎないが、
図8に示した構成と同様に、
図13(b)に示す2本の平行半円弧状メアンダラインが、等間隔で蛇行しながら、複数の下側バンプB
ijの配列の周りに配置されている。この結果、マクロな全体としては閉じた平面パターンを構成し、下側チップ20Aの縁部に沿って周回している。
図13(a)に示した封止用外壁33
o及び封止用内壁33
iが構成する2本の平行半円弧状メアンダラインと、
図13(b)に示した封止用外壁34
o及び封止用内壁34
iが構成する2本の平行半円弧状メアンダラインの位相が異なるので、
図13(c)に示すように、封止用外壁33
o及び封止用内壁33
iが構成する2本の平行半円弧状メアンダラインと、封止用外壁34
o及び封止用内壁34
iが構成する2本の平行半円弧状メアンダラインは複数箇所で周期的に交差する。この結果、固相拡散接合により金属学的に接合する箇所が周期的に連続し、気密封止の信頼性が向上する。
【0048】
図13(a)及び
図13(b)に示すように、上下の封止壁を周期的な半円弧のように蛇行させておけば、
図13(c)に示すように、下側チップ20Aと上側チップ20Bを接合させる場合に、交差箇所に合わせずれが起きても、交差箇所を点における仮接合にすることできるので、熱圧着の際に加える圧力を均一に設定できるメリットが出る。更に、交差箇所を点接触にすることできるので、熱圧着の際に加える圧力を弱くすることができるので、リペアしやすいというメリットも出る。なお、
図13(a)及び
図13(b)では、上下の封止壁を蛇行させた場合を例示しているが、下側チップ20Aと上側チップ20Bのいずれか一方の側だけ蛇行させるようにしても、合わせずれが起きても、点接合の利点により、熱圧着の際に加える圧力を均一にし、リペアしやすいという有利な効果を奏することができる。
【0049】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る積層型半導体装置では、インターポーザとしての下側チップ21Aと、下側チップ21Aに搭載された上側チップの積層構造をなす場合を例示的に説明する。
図14及び
図15に示すように、下側チップ21Aは、高比抵抗又は半絶縁性のシリコン基板と、シリコン基板の主面の縁部に沿って周回する帯状の下側封止パターン部14Aを備える。第1及び第2実施形態に係る積層型半導体装置とは異なり、下側チップ21Aはインターポーザであるので、下側チップ21Aには半導体集積回路が集積化されてはいない。つまり、
図14及び
図15に示した下側チップ21Aは、下側チップ21Aの更に下層側に、半導体集積回路が集積化された他のチップが存在することを予定している。
【0050】
図15に示すように、第3実施形態に係る積層型半導体装置の下側チップ21Aはシリコン基板を貫通する複数のシリコン貫通ビアTSV
p5,TSV
i3,TSV
i8,TSV
r3を備えている。
図15は
図14のXV-XV方向から見た断面図であるので、下側チップ21Aに設けられるシリコン貫通ビアのうちの一部が示されている。一番右側のシリコン貫通ビアTSV
p5は、下側チップ21Aの表面に設けられた外周表面ランドL
p5に接続されている。右から2番目のシリコン貫通ビアTSV
i3は下側チップ21Aの表面に設けられた内周表面ランドL
i3に接続され、右から3番目のシリコン貫通ビアTSV
i8は下側チップ21Aの表面に設けられた内周表面ランドL
i8に接続され、内周表面ランドL
i8は下側チップ21Aの表面に設けられた表面配線を介して下側バンプB
r3に接続されている。左端のシリコン貫通ビアTSV
r3は下側チップ21Aの表面に設けられた外周表面ランドL
r3に接続されている。
【0051】
なお、第3実施形態に係る積層型半導体装置の下側チップ21Aの構造において、シリコン基板の主面上にインターポーザ絶縁層(下側絶縁層)が設けられ、このインターポーザ絶縁層上においてシリコン基板の主面の縁部に沿って周回する帯状の下側封止パターン部14Aを備えるようにしてもよい。下側チップ21Aはインターポーザとして、下側チップ21Aの下層に配置される集積回路の入出力電極に電気的に接続され、三次元構造の積層型半導体装置を構成する。下側チップ21Aの下層に配置される集積回路は、第1~第4実施形態と同様な、3nm~7nmのデザインルールで設計された微細パタ-ン集積回路で構わない。しかし、
図14から分かるように、インターポーザは入出力電極のピッチ変更素子の機能を有するので、下側チップ21Aの下層に配置される集積回路は、10nm以上のデザインルールで設計された比較的粗い平面パターンのトポロジであっても対応可能である。なお、
図14では下側チップ21Aが矩形である場合を例示しており、帯状の下側封止パターン部14Aも、下側チップ21Aの周辺に沿った矩形の額縁状パターン(穴あき矩形パターン)で、閉じたパターンを構成している。しかしながら、下側チップ21Aが矩形でない場合は、下側封止パターン部14Aも下側チップ21Aの形状に適合した平面パターンとなるのは勿論である。
【0052】
図14に示すように、第3実施形態に係る積層型半導体装置の下側チップ21Aの下側封止パターン部14Aの周回パターンの内側には下側バンプB
ijが10μm以下のピッチで配列されている。下側チップ21Aの右側の辺に沿って円形の外周表面ランドL
p1,L
p2,L
p3,……,L
pmが配列されている。外周表面ランドL
p1,L
p2,L
p3,……,L
pmの直下には、
図15において図示が省略された他のシリコン貫通ビアを含めて、シリコン貫通ビア配置され、直下のシリコン貫通ビアが対応する外周表面ランドにそれぞれ接続されている。即ち、外周表面ランドL
pjは、対応するシリコン貫通ビアTSV
pjに、独立して接続されることにより、下側チップ21Aの更に下層側の半導体集積回路の入出力電極のいずれかと電気的に接続され三次元構造の一部をなしている。外周表面ランドL
p1,L
p2,L
p3はそれぞれ表面配線により下側バンプB
p1,B
p2,B
p3に順に接続され、外周表面ランドL
pmは下側バンプB
pmに接続されているが、
図14に示すように下側バンプB
pjに接続されていない外周表面ランドL
pjも存在する。
【0053】
第3実施形態に係る積層型半導体装置の下側チップ21Aにおいて、外周表面ランドL
p1,L
p2,L
p3,……,L
pmの配列の方向の辺を「第1辺」と定義すると、第1辺に連続し第1辺に直交する第2辺に沿って、下側チップ21Aの中央部周辺には円形の外周表面ランドL
q1,L
q2,L
q3,……,L
qnが配列されている。外周表面ランドL
p1,L
p2,L
p3,……,L
pmの直下には
図15において図示が省略された他のシリコン貫通ビアを含めて、シリコン貫通ビア配置され、直下のシリコン貫通ビアが対応する外周表面ランドにそれぞれ接続されている。即ち、外周表面ランドL
qjは、対応するシリコン貫通ビアTSV
qjに独立して接続されることにより、下側チップ21Aの更に下層側の半導体集積回路の入出力電極のいずれかと電気的に接続され三次元構造の一部をなしている。下側バンプB
qjに接続されている外周表面ランドL
qjと、下側バンプB
qjに接続されていない外周表面ランドL
qjが存在する。第2辺に連続し第2辺に直交する矩形パターンの第3辺に沿って、下側チップ21Aの中央部周辺には円形の外周表面ランドL
r1,L
r2,L
r3,……,L
rmが配列されている。
【0054】
外周表面ランドL
r1,L
r2,L
r3,……,L
rmの直下には
図15において図示が省略された他のシリコン貫通ビアを含めて、シリコン貫通ビア配置され、直下のシリコン貫通ビアが対応する外周表面ランドにそれぞれ接続されている。即ち、外周表面ランドL
rjは、対応するシリコン貫通ビアTSV
rjに接続されることにより、下側チップ21Aの更に下層側の半導体集積回路の入出力電極のいずれかと電気的に接続され三次元構造の一部をなしている。下側バンプB
rjに接続されている外周表面ランドL
rjと、下側バンプB
rjに接続されていない外周表面ランドL
rjが存在する。
【0055】
第3辺に連続し第3辺に直交する矩形パターンの第4辺に沿って、下側チップ21Aの中央部周辺には円形の外周表面ランドL
s1,L
s2,L
s3,……,L
snが配列されている。外周表面ランドL
s1,L
s2,L
s3,……,L
snの直下には
図15において図示が省略された他のシリコン貫通ビアを含めて、シリコン貫通ビア配置され、直下のシリコン貫通ビアが対応する外周表面ランドにそれぞれ接続されている。即ち、外周表面ランドL
sjは、対応するシリコン貫通ビアTSV
sjに接続されることにより、更に下層側の半導体集積回路の入出力電極のいずれかと電気的に接続され三次元構造の一部をなしている。下側バンプB
sjに接続されている外周表面ランドL
sjと、下側バンプB
sjに接続されていない外周表面ランドL
sjが存在する。
図14に示すように、下側バンプB
ijの矩形の配列の内側には円形の内周表面ランドL
i1,L
i2,L
i3,……が配列されている。内周表面ランドL
i1,L
i2,L
i3,……の直下には
図15において図示が省略された他のシリコン貫通ビアを含めて、シリコン貫通ビア配置され、直下のシリコン貫通ビアが対応する内周表面ランドにそれぞれ接続されている。即ち、内周表面ランドL
ikは、対応するシリコン貫通ビアTSV
ikに接続されることにより、更に下層側の半導体集積回路の入出力電極のいずれかと電気的に接続され三次元構造の一部をなしている。下側バンプB
ijに接続された内周表面ランドL
ikと、下側バンプB
ijに接続されていない内周表面ランドL
ikが存在する。
【0056】
第1実施形態に係る積層型半導体装置で説明したのと同様に、第3実施形態に係る積層型半導体装置においても、インターポーザとしての下側チップ21Aの下側封止パターン部14Aに対応して、図示を省略した上側チップの縁部に沿って周回する閉じたパターンとして上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)が構成されている。第1及び第2実施形態に係る積層型半導体装置で説明したとおり、図示を省略した上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)は、上側バンプB
uijの形成と同一のプロセスで形成できるので、上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)の形成には、プロセス工程数の増大を招くことがない。よって、第3実施形態に係る積層型半導体装置においても、上側チップに集積される集積回路の入出力電極のピッチ間隔が10μm以下の微細化された平面パターンを有する半導体集積回路を搭載した場合であっても、下側封止パターン部14Aと上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)とを圧着して金属学的に接合することにより、
図6に示した例と同様な金属学的接続体(14A,15
o,15
i)を構成される。したがって、下側チップ21Aがインターポーザであっても、プロセス工程数の増大を招くことなく安価且つ簡単に、下側チップ21Aと上側チップの間の気密封止をして三次元構造の積層型半導体装置を構成することが可能になる。
【0057】
(第4実施形態)
本発明の第1~第3実施形態に係る積層型半導体装置においては、上側チップに配列されたAu又はAu合金からなる上側バンプB
uijと、上側バンプB
uijの配列に合わせて下側チップに配列されたAu又はAu合金からなる下側バンプB
ijが、周辺部に設けられた金属学的接続体によって構成される気密空間の内部で固相拡散接合する例を示したが、例示に過ぎない。上側バンプB
uij及び下側バンプB
ijのいずれかが、平行平板状のボンディングパッドとして平坦な表面を構成していても構わない。
図16に示すように、本発明の第4実施形態に係る積層型半導体装置の気密封止前の段階における構造は、下側チップ40Aと、下側チップ40Aに搭載された上側チップ10Bの積層構造をなしている点では第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様である。更に、
図16に示すように、下側チップ40Aは、下側半導体基板11Aと、下側半導体基板11Aの主面の表面領域に配置される下側集積回路と、下側半導体基板11Aの主面上に下側集積回路を覆うように設けられる下側絶縁層13Aと、下側絶縁層13A上において下側半導体基板11Aの主面の縁部に沿って周回する帯状の下側封止パターン部14Aを備える点でも第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様である。
【0058】
しかし、
図16の断面図上には、両側に配置された下側封止パターン部14Aのパターンの内側に、断面図上に位置するボンディングパッドP
pi及びボンディングパッドP
riが、それぞれ平行平板状のパターンとして示されている点で、第1実施形態に係る積層型半導体装置の構成とは異なる。一方、
図16に示すように、第4実施形態に係る積層型半導体装置の上側チップ10Bは、上側半導体基板11Bと、上側半導体基板11Bの主面の表面領域に配置される上側集積回路と、上側集積回路を覆うように上側半導体基板11Bの主面上に設けられた上側絶縁層13Bと、上側絶縁層13B上において上側半導体基板11Bの主面の縁部に沿って周回する帯状の第2封止部ランド14Bと、第2封止部ランド14B上において上側半導体基板11Bの縁部に沿って、互いに間隔を空けて、かつ隣接しながら平行に走行する封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iを備える点で、上側チップ10Bに関しては、第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様である。
図16の断面図上では、両側に配置された上側チップ10Bの第2封止部ランド14Bのパターンの内側には、下側チップ40AのボンディングパッドP
pi及びボンディングパッドP
riの配列位置に合わせて、上側バンプB
upi及び上側バンプB
uriが配列されている構造が図示されている。
【0059】
第2封止部ランド14B、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iで、第4実施形態に係る積層型半導体装置の上側チップ10Bの「上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)」を構成している。接合後の状態の図示を省略しているが、
図6に示した構成と同様に、下側封止パターン部14Aの表面と上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)が固相拡散接合することにより金属学的接続体が構成され、下側絶縁層13A、上側絶縁層13B及び金属学的接続体の内部に気密空間が形成される。平面パターンの図示を省略しているが、
図4に示した平面レイアウトと同様に、下側封止パターン部14Aが構成する矩形額縁状パターンの内側に、複数のボンディングパッドP
ijが矩形に沿ったパターンとして配列された場合(i=p,q,r,s:j=1~n、又は1~mの正の整数)を前提として、
図16の断面図を図示している。同様に、
図3に示した平面レイアウトと同様に、上側チップ10Bの第2封止部ランド14Bの周回パターンの内側には、複数の中空四角筒状の上側バンプB
uijが矩形額縁状パターンとして配列されている場合を前提として、
図16の断面図を図示している。
【0060】
中空四角筒状の上側バンプBuijの材料には、常圧ないし減圧下での加熱圧着若しくは超音波加熱圧着等の圧力により中空円筒状のボンディングパッドPijと固相拡散接合することが容易な金属が好ましい。同様に、上側チップ10Bの封止用外壁15o及び封止用内壁15iは、加熱圧着若しくは超音波加熱圧着等によりそれぞれ、下側チップ40Aの下側封止パターン部14Aの表面との固相拡散接合が容易な金属が好ましい。封止用外壁15o及び封止用内壁15iは、上側バンプBuijと同一材料、且つ同一プロイセスで構成されていてもよい。下側封止パターン部14Aは、ボンディングパッドPijと同一材料、且つ同一プロイセスで構成されていてもよい。例えば、ボンディングパッドPijと下側封止パターン部14Aを、アルミニウム(Al)やAl-Si等のAl合金で形成すれば、ボンディングパッドPijと下側封止パターン部14Aを同一プロイセスできる。ボンディングパッドPijと下側封止パターン部14Aを、同一のAu又はAu-Si,Au-Ge,Au-Sb等のAu合金で形成しても、ボンディングパッドPijと下側封止パターン部14Aを同一プロイセスできる。同様に、上側バンプBuij、封止用外壁15o、封止用内壁15iも、同一のAuやAu合金を採用することにより、上側バンプBuij、封止用外壁15o、封止用内壁15iも、同一プロセスで形成でき、工程数の増大を招くことがない。
【0061】
以上、説明したように、第4実施形態に係る積層型半導体装置によれば、第1実施形態に係る積層型半導体装置の下側バンプB
ijが、平行平板状のボンディングパッドP
ijとして平坦な表面を構成している場合であっても、下側封止パターン部14Aと上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)とを圧着して金属学的に接合して
図16に示したような金属学的接続体を構成することにより、工程数の増大を招くことなく安価且つ簡単に、下側チップ40Aと上側チップ10Bの間の気密封止をすることが可能になる。
【0062】
(第4実施形態の第1変形例)
図17は、本発明の第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の気密封止前の段階の構造を示すが、下側チップ41Aと、下側チップ41Aに搭載された上側チップ10Bとの積層構造である点で
図16に示した第4実施形態に係る積層型半導体装置の構成と同様である。しかし、平行平板状のボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riが、それぞれ下側半導体基板11Aの表面(上面)のレベルに設けられ、下側半導体基板11Aの主面上に設けられる下側絶縁層13Aの表面(上面)のレベルより低い点で、
図16に示した構造とは異なる。
図17に示す下側チップ41Aが下側半導体基板11Aと、下側半導体基板11Aの主面の表面領域に配置される下側集積回路と、下側半導体基板11Aの主面上に下側集積回路を覆うように設けられる下側絶縁層13Aと、下側絶縁層13A上において下側半導体基板11Aの主面の縁部に沿って周回する帯状の下側封止パターン部14Aを備える構成は、
図16に示した構造と同様である。
【0063】
図16に示した第4実施形態に係る積層型半導体装置では、ボンディングパッドP
pi及びボンディングパッドP
riが下側絶縁層13Aの上面のレベルに設けられていたので、下側半導体基板11Aの表面の中間電極(表面電極)とボンディングパッドP
pi及びボンディングパッドP
riの間にはコンタクトビアがそれぞれ存在している。これに対して、
図17に示す第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置では、コンタクトビアは不要になるので、
図16に示した構造よりも更に簡潔な構造になっている。
図17の断面図では、両側に配置された下側封止パターン部14Aのパターンの内側に、ボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riが下側半導体基板11Aの表面に接した平行平板状のパターンとして配置されていている。
【0064】
図17に示すように、第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の上側チップ10Bは、上側半導体基板11Bと、上側半導体基板11Bの主面の表面領域に配置される上側集積回路と、上側集積回路を覆うように上側半導体基板11Bの主面上に設けられた上側絶縁層13Bを備える。更に
図16に示した構造と同様に、上側チップ10Bは、上側絶縁層13B上において上側半導体基板11Bの主面の縁部に沿って周回する帯状の第2封止部ランド14Bと、第2封止部ランド14B上において上側半導体基板11Bの縁部に沿って、平行に走行する封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iを備える。下側チップ41AのボンディングパッドG
piの配列位置に合わせて、上側バンプB
upiが配置されているので、下側絶縁層13Aに設けられた開口部(コンタクトホール)を介して、上側バンプB
upiの先端部がボンディングパッドG
piの表面と固相拡散接合する。同様に、下側チップ41AのボンディングパッドG
riの配列位置に合わせて上側バンプB
uriが配置されているので、下側絶縁層13Aに設けられた開口部を介して、上側バンプB
uriの先端部がボンディングパッドG
riの表面と固相拡散接合する。
【0065】
下側チップ41Aの縁部に沿って、下側封止パターン部14Aで閉じたパターンを構成し、上側チップ10Bの縁部に沿って周回する閉じたパターンとして上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)が、下側封止パターン部14Aに対応して構成されているでは
図16と同様である。しかし、
図17に示す第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のように、ボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riが、下側半導体基板11Aの表面レベルに設けられている場合であっても、下側封止パターン部14Aと上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)との金属学的接続体による気密封止をする際に、下側チップ41Aに設けられた下側集積回路と上側チップ10Bに設けられた上側集積回路との電気的接続を達成することが可能になる。
【0066】
(第4実施形態の第2変形例)
図18は、本発明の第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の気密封止前の段階の構造を示すが、平行平板状のボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riが、それぞれ下側半導体基板11Aの主面上に設けられる下側絶縁層13Aの表面(上面)のレベルより低い点で、
図17に示した第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の構造と同様である。
図18では、下側チップ41Aを構成するp
-型の下側半導体基板11Aには、下側半導体基板11Aの主面の表面領域に模式的に配置されたn
+領域を含む下側集積回路が示されているが、単なる例示に過ぎず下側集積回路の構成等に関しては種々の態様があることは勿論である。下側半導体基板11Aの主面上には例示したn
+領域を囲むようにシャロウ・トレンチ・アイソレーション(STI)構造をなす素子分離絶縁膜19Aが設けられ、この素子分離絶縁膜19Aの上に下側絶縁層13Aが堆積されている点で、
図17に示した第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の構造とは異なる。n
+領域がpウェルに選択的に設定された複数の局所的半導体領域等であれば、pウェルを囲むようにSTI構造をなす素子分離絶縁膜19Aが設けられてもよい。そして、下側絶縁層13A上において下側半導体基板11Aの主面の縁部に沿って周回する帯状の下側封止パターン部14Aを備える構成は、
図17に示した構造と同様である。
【0067】
図18に示す第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置でも、
図17に示した構造と同様に
図16のコンタクトビアは不要になり、
図16に示した構造よりも更に簡潔な構造になっている。
図18の断面図では、両側に配置された下側封止パターン部14Aのパターンの内側に、ボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riが下側半導体基板11Aの表面に選択的にn
+領域に接した平行平板状のパターンとして配置されており、素子分離絶縁膜19Aが下側半導体基板11Aも表面に埋め込まれている点が、
図17に示した構造と異なる。n
+領域がpウェルに選択的に設定された複数の局所的半導体領域であれば、複数の局所的半導体領域にそれぞれ個別に接するように、ボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riが配置される。よって、具体的な集積回路のレイアウト構成においては、pウェル等の上にフィールド絶縁膜等の更に他の絶縁膜が形成され、フィールド絶縁膜等に設けられたコンタクトホールを介して、ボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riがn
+領域等と選択的に接続されるが、いずれにせよ、
図16に示したようなコンタクトビアは不要になる。
【0068】
図17に示した構造と同様に、上側チップ10Bは、上側絶縁層13B上において上側半導体基板11Bの主面の縁部に沿って周回する帯状の第2封止部ランド14Bと、第2封止部ランド14B上において上側半導体基板11Bの縁部に沿って、互いに間隔を空けて、かつ隣接しながら平行に走行する封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iを備える。下側チップ41AのボンディングパッドG
piの配列位置に合わせて、上側バンプB
upiが配置されているので、下側絶縁層13Aに設けられた開口部(コンタクトホール)を介して、上側バンプB
upiの先端部がボンディングパッドG
piの表面と固相拡散接合する。同様に、下側チップ41AのボンディングパッドG
riの配列位置に合わせて上側バンプB
uriが配置されているので、下側絶縁層13Aに設けられた開口部を介して、上側バンプB
uriの先端部がボンディングパッドG
riの表面と固相拡散接合する。
【0069】
図18に示す第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のように、ボンディングパッドG
pi及びボンディングパッドG
riが、下側半導体基板11Aの表面に埋め込まれたn
+領域の半導体領域に選択的に接して設けられ、素子分離絶縁膜19Aが下側半導体基板11Aも表面に埋め込まれて、下側半導体基板11Aの表面に凹凸形状がある場合であっても、下側封止パターン部14Aと上側封止パターン部(14B,15
o,15
i)との金属学的接続体による気密封止をする際に、下側チップ41Aに設けられた下側集積回路と上側チップ10Bに設けられた上側集積回路との電気的接続を達成することが可能になる。
【0070】
(その他の実施形態)
上記のように、第1~第4実施形態を用いて例示的に本発明の技術思想を説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明の技術的範囲を限定するものであると理解すべきではない。第1~第4実施形態で開示した技術思想の内容から当業者には様々な代替的な実施形態、実施例、及び運用技術が明らかとなろう。特に第1及び第2実施形態では、5G以降の世代を鑑み、下側チップと上側チップの双方に、デザインルールが微細化された半導体集積回路が集積化され、入出力電極のピッチ間隔を10μm以下にすることが要請される事情を考慮した場合を例示したが、本発明は第1及び第2実施形態で例示した状況に限定されるものではない。第3実施形態でも、上側チップに微細化された半導体集積回路が集積化される場合を例示したが、同様に、本発明は第3実施形態での例示に限定されるものではない。固相拡散接合により金属学的接続体を構成して気密封止する本発明の技術思想の特徴は、入出力電極のピッチ間隔が10μmを超える緩いデザインルールの古い世代の積層型半導体装置であっても、適用可能であることは勿論である。
【0071】
更に、第1~第4実施形態では1枚の下側チップの上に1枚の上側チップが1:1に搭載される例を示したが例示に過ぎない。下側チップのサイズを上側チップより大きくして、1枚の下側チップの上に複数枚の上側チップが搭載される構造でもよい。例えば、下側チップを口径の大きな親基板とし、この親基板の主面に定義される格子に沿って分割された単位素子領域のそれぞれに複数の上側チップを配列し、単位素子領域のそれぞれをチップ搭載領域として、それぞれのチップ搭載領域に、下側封止パターン部を配置してもよい。この場合、それぞれの下側封止パターン部は、複数の上側チップの配置に対応した下側チップの「少なく共一部の領域」にそれぞれ配置される。よって、下側チップの主面上に配置される複数の下側封止パターン部は、複数の上側封止パターン部の配置に対応したアレイ状に配置された複数のパターンになる。即ち、下側封止パターン部は下側チップの周辺に沿って周回するのではなく、少なく共一部の領域でそれぞれ構成される複数のチップ搭載領域の周辺を、対応する下側封止パターン部が、それぞれ個別に周回する。このようにして、複数のチップ搭載領域にアレイ状に配置された下側封止パターン部に対して、複数の上側チップの上側封止パターン部をそれぞれ固相拡散接合させて、複数のチップ搭載領域のそれぞれに独立した金属学的接続体を構成し、複数のチップ搭載領域のそれぞれに気密空間を個別に形成して気密封止しても良い。
【0072】
又、第1及び第2実施形態では上側チップに上側封止パターン部として互いに平行に走行する2枚の壁状のパターンを含む構成を説明したが、例示に過ぎない。更に第2実施形態では下側チップに下側封止パターン部として互いに平行に走行する2枚の壁状のパターンを含む構成を説明したが例示に過ぎない。壁状のパターンは1枚でもよく、信頼性を高めるために、3枚以上の互いに平行に走行する壁状のパターンを含む構成としてもよい。壁状のパターンを1枚にするには、垂直側壁を有するU溝をフォトレジスト膜のパターンで形成し、U溝の一方の垂直側壁にのみ金属膜が堆積するように斜め蒸着若しくは斜めスパッタリングをして、その後フォトレジスト膜のパターンを除去すれば良い。
図3等に示す封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iの平面パターンを例に説明すると、封止用外壁15
o及び封止用内壁15
iは周辺を囲むようにX-方向とY―方向にそれぞれ伸びて矩形を形成するので、具体的には、X-方向に直交する方向と、Y―方向に直交する方向のそれぞれにおいて斜め蒸着等をすることになる。
【0073】
壁状のパターンを3枚にするには、フォトレジスト膜に垂直側壁を有するU溝と、U溝の一方の壁にそってU溝と同じ幅の突部を有する台座パターンを形成して3つの垂直側壁を用意し、3つの垂直側壁のそれぞれに金属膜が堆積するように、両方向から斜め蒸着若しくは斜めスパッタリングをして、その後フォトレジスト膜のパターンを除去すれば良い。封止用外と封止用内壁は周辺を囲むようにX-方向とY―方向に伸びるので、実際には2方向にそって、それぞれ斜め蒸着等をするので計4回の斜め蒸着等をすることになる。壁状のパターンを4枚にするには、フォトレジスト膜に垂直側壁を有するU溝を平行に2本パターニングし、それぞれのU溝の垂直側壁に金属膜が堆積するように両方向から斜め蒸着若しくは斜めスパッタリングをして、その後フォトレジスト膜のパターンを除去すれば良い。
【0074】
更に第1及び第4実施形態では下側チップの下側絶縁層の上に、下側絶縁層の表面レベルにおいて下側絶縁層の周辺に沿って周回する平坦な帯状の下側封止パターン部を説明したが例示に過ぎない。更に第3実施形態では下側チップの上に、下側チップの表面レベルにおいて下側チップの周辺に沿って周回する平坦な帯状の下側封止パターン部を説明したが例示に過ぎない。下側封止パターン部の水平レベルは、下側絶縁層の表面レベルや下側チップの表面レベルより低いレベルとなる凹部に設けられていても構わない。下側絶縁層の表面レベルより低いレベルに下側封止パターン部を設ける場合は下側絶縁層の表面にU溝やV溝を彫り、このU溝の底部やV溝の傾斜した側壁に下側封止パターン部が設けられる。U溝の底部に帯状に設けるだけでなく、U溝の垂直側壁にも下側封止パターン部を設けても良く、U溝やV溝の側壁に下側封止パターン部を設けて周回する構成にすると、下側封止パターン部は平坦ではなくなり、2つ以上の面から構成される。第1及び第4実施形態の構成において下側絶縁層の表面にU溝やV溝を彫る場合は、U溝やV溝を深くして下側半導体基板まで彫り込んでもよい。
【0075】
更に、第1及び第4実施形態の構成において、下側絶縁層の表面レベルより低いレベルに第1封止部ランドを設けるように下側絶縁層の表面にU溝やV溝を彫る変形例(その他の実施形態)もある。このその他の実施形態では、U溝の底部やV溝の傾斜した側壁に第1封止部ランドを設け、この第1封止部ランドを基礎として、1封止部ランドの上に平行に走行する2枚の壁状のパターンを配置して、下側封止パターン部が設けられる。同様に、第3実施形態の構成において下側チップの表面レベルより低い凹部に下側封止パターン部を設ける場合は下側チップの表面にU溝やV溝を彫り、このU溝の底部やV溝の側壁に下側封止パターン部が設けることも可能である。第3実施形態の変形例となる構成において、U溝やV溝の側壁に下側封止パターン部を設けられる場合は、下側封止パターン部は平坦ではなくなる。
【0076】
その他、上記の第1~第4実施形態において説明される各構成を任意に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0077】
10A,20A,21A,40A,41A,42A…下側チップ、10B,20B…上側チップ、11A…下側半導体基板、11B…上側半導体基板、13A,23A…下側絶縁層、13B,23B…上側絶縁層、14A…下側封止パターン部(第1封止部ランド)、14B…第2封止部ランド、15i,16i,17i,32i,33i,34i…封止用内壁、15o,16o,17o,32o,33o,34o…封止用外壁、19A…素子分離絶縁膜