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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】飛行体及び動力装置
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/06 20060101AFI20240704BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240704BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240704BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20240704BHJP
【FI】
B64D27/06
B64C27/08
B64C39/02
B64D27/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021020021
(22)【出願日】2021-02-10
(62)【分割の表示】P 2020560420の分割
【原出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014869
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110413(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139661(WO,A1)
【文献】特開2018-052227(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144753(US,A1)
【文献】中国実用新案第209581892(CN,U)
【文献】特開2019-172059(JP,A)
【文献】中国実用新案第205952311(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0349264(US,A1)
【文献】国際公開第2006/048205(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0007093(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 27/06
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置と、
前記動力装置に接続され、第1の貫通空間を有するプロペラと、
所定の機能を有し、前記第1の空間及び第1の貫通空間により形成される内部空間内に少なくとも一部分を位置する機能部と、を有し、
前記機能部は、
前記内部空間に少なくとも一部を位置し、内部が噴射対象物を通過可能であり、回転しない構成である支持部と、
前記支持部に接続され、前記噴射対象物を噴射する噴射手段を含み、
前記第1の空間は、前記動力装置の上面及び下面が開口して貫通する第2の貫通空間である、
飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
さらに、前記支持部は、前記第1空間のうち前記プロペラと接する前記動力装置の一方側とは異なる他方側から突出している、
飛行体。
【請求項3】
上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置と、
前記動力装置に接続され、第1の貫通空間を有するプロペラと、
所定の機能を有し、前記第1の空間及び第1の貫通空間により形成される内部空間内に少なくとも一部分を位置する機能部と、を有し、
前記機能部は、
前記内部空間に少なくとも一部を位置し、内部が噴射対象物を通過可能であり、回転しない構成である支持部と、
前記支持部に接続され、前記噴射対象物を噴射する噴射手段を含み、
前記第1の空間は、前記動力装置の上面及び下面が開口して貫通する第2の貫通空間である、
回転翼部。
【請求項4】
請求項に記載の回転翼部であって、
さらに、前記支持部は、前記第1空間のうち前記プロペラと接する前記動力装置の一方側とは異なる他方側から突出している、
回転翼部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体及び動力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する)を利用したサービスの実用化に向けた取り組みが進んでいる。それに伴い、飛行体の性能向上や効率化が求められている。また、実務においては、様々なパーツを機体に取り付けることで所定の機能を飛行体に付加することがあり、特許文献1には、着陸時の衝撃を緩衝することが可能な着陸脚を備えた飛行体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/179827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の飛行体は着陸脚の支持部材を機体のアームやフレーム(以下、「保持部」と総称する。)に直接取り付ける方法を用いているが、飛行体の機体構成の効率化の観点から構成部材がより少ないほうが好ましい。そして、従来の機体構成を大きく変更することなく所定の機能を有するパーツやパーツを支持する部材(以下、「機能部」と称する。)を備えられるようにすることが望ましい。
【0005】
また、特許文献1のプロペラが牽引式(プル式)であることから、保持部の上部にモータ及びプロペラ(以下、「回転翼部」と総称する。)が取り付けられており、機能部(着陸脚)を保持部の下部に取り付け可能である。しかしながら、プロペラが推進式(プッシャー式)である場合には保持部の下部に回転翼がすでに取り付けられているため、保持部の下部に機能部を取り付けようとすると、当該回転翼によりその配置が限定される。特に、着陸脚の場合には着陸時の安定性が高い配置(例えば機体中心から離れた位置である回転翼付近など)とすることが困難である。したがって、特に着陸脚の場合は、牽引式(プル式)、推進式(プッシャー式)どちらの方式の飛行体にも使用可能な構成であることが望ましい。また、他の機能部についても配置が制限される点においては同様である。
【0006】
そこで、本発明は、機能部を機体に設ける際の機体構成の効率性及び柔軟性を向上させた飛行体、及び、当該効率性及び柔軟性の向上のための構成を有する動力装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置と、第1の貫通空間を有し、前記動力装置に接続されるプロペラと、所定の機能を有し、前記第1の空間及び第1の貫通空間により形成される内部空間内に少なくとも一部分を位置する機能部と、を有する、ことを特徴とする飛行体を提供することができる。
【0008】
本発明によれば、上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置であって、前記動力装置は、所定の機能を提供する機能部を備え、前記機能部は、前記第1の空間に少なくとも一部分を位置し、かつ、回転しない構成を含む、ことを特徴とする動力装置を提供することができる。
【0009】
本発明によれば、上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置であって、前記動力装置は、所定の機能を提供する機能提供部に接続される支持部を備え、前記支持部は、前記第1の空間に少なくとも一部分を位置し、かつ、回転しない構成を含む、ことを特徴とする動力装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、飛行体構成の効率性及び柔軟性を向上する飛行体、及び、当該効率性及び柔軟性の向上のための構成を有する動力装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態における動力装置の上面から見た概念図である。
図2図1の動力装置にプロペラを接続し側面から見た概念図である。
図3図2の動力装置を分解し側面から見た概念図である。
図4】本発明の第1の実施の形態における飛行体の側面図である。
図5】本発明の第2及び第3の実施の形態における飛行体の側面図である。
図6】本発明の他の実施の形態における動力装置を分解し側面から見た概念図である。
図7】本発明の実施の形態における飛行体の機能ブロック図である。
図8】本発明の第4の実施の形態における飛行体の側面図である。
図9図8の飛行体の上面図である。
図10】既存技術における飛行体がプロペラガードを備えたときを示す側面図である。
図11図10の飛行体の上面図である。
図12】本発明の第5の実施の形態における飛行体の側面図である。
図13】既存技術における飛行体がノズルを備えたときを示す側面図である。
図14】本発明の第6の実施の形態における飛行体の側面図である。
図15】本発明の第7の実施の形態における飛行体の側面図である。
図16】本発明の第7の実施の形態における飛行体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置と、
第1の貫通空間を有し、前記動力装置に接続されるプロペラと、
所定の機能を有し、前記第1の空間及び第1の貫通空間により形成される内部空間内に少なくとも一部分を位置する機能部と、を有する、
ことを特徴とする飛行体。
[項目2]
項目1に記載の飛行体であって、
前記機能部は、回転しない構成を含む、
ことを特徴とする飛行体。
[項目3]
項目1または項目2のいずれかに記載の飛行体であって、
前記機能部の一部は、前記プロペラの第1の貫通空間から突出している、
ことを特徴とする飛行体。
[項目4]
項目1乃至項目3のいずれかに記載の飛行体であって、
前記第1の空間は、前記動力装置を貫通する第2の貫通空間である、
ことを特徴とする飛行体。
[項目5]
項目1乃至項目4のいずれかに記載の飛行体であって、
前記機能部として、着陸時に地面と接触する接地部を含む、
ことを特徴とする飛行体。
[項目6]
項目1乃至項目5のいずれかに記載の飛行体であって、
前記機能部の一部は、前記プロペラと接する前記動力装置の一方側とは異なる他方側から突出している、
ことを特徴とする飛行体。
[項目7]
項目1乃至項目6のいずれかに記載の飛行体であって、
前記機能部は、
前記内部空間に少なくとも一部分を位置する支持部と、
前記支持部に接続され、前記所定の機能を提供する機能提供部を含む、
ことを特徴とする飛行体。
[項目8]
項目7に記載の飛行体であって、
前記機能提供部として、着陸時に地面と接触する接地部を含む、
ことを特徴とする飛行体。
[項目9]
項目7または項目8のいずれかに記載の飛行体であって、
前記機能提供部として、プロペラガードを含む、
ことを特徴とする飛行体。
[項目10]
項目7乃至項目9のいずれかに記載の飛行体であって、
前記機能提供部として、噴射手段を含む、
ことを特徴とする飛行体。
[項目11]
上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置であって、
前記動力装置は、所定の機能を提供する機能部を備え、
前記機能部は、前記第1の空間に少なくとも一部分を位置し、かつ、回転しない構成を含む、
ことを特徴とする動力装置。
[項目12]
上面又は下面の少なくとも一方が開口している第1の空間を有する動力装置であって、
前記動力装置は、所定の機能を提供する機能提供部に接続される支持部を備え、
前記支持部は、前記第1の空間に少なくとも一部分を位置し、かつ、回転しない構成を含む、
ことを特徴とする動力装置。
[項目13]
項目11または項目12のいずれかに記載の動力装置であって、
前記第1の空間は、前記動力装置を貫通する貫通空間である、
ことを特徴とする動力装置。
【0013】
<本発明による実施形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体について、図面を参照しながら説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0014】
図1及び図2には、本発明の実施の形態による飛行体が備える動力装置20としてアウターロータ型のモータが例示されている。動力装置20は、例えば永久磁石21を有するロータ22と、巻線23を有するステータ24とを備えている。プロペラ110は、動力装置20と接続しており、動力装置20の回転に応じて回転し、プロペラ110の揚力発生面から揚力を発生させることが可能である。
【0015】
なお、動力装置20の構成はこれに限らず、後述の内部空間及び機能部10を備える構成であればよい。例えば、インナーロータ型のモータである場合には、パイプ状の中空構造と中空シャフトを有するモータであって、当該中空シャフト内の貫通空間を後述の第1の空間として用いた構成としてもよい。
【0016】
動力装置20は、図1及び図3等に例示されるように、例えば上面視中央に位置する空間25(以下、「第1の空間25」と称する。)を備えている。この第1の空間25は、動力装置20の上面又は下面の少なくとも一方が開口しており、機能部10を動力装置20から突き出すことが可能となっている。例えば、図3においては、動力装置20の上面のみが開口している構成であり、図4においては、動力装置20の上面及び下面が開口してる構成である。なお、図1では第1の空間25の開口が上面視中央に位置するが、上面視中央に限らず、機能部10がプロペラ110の動作を阻害しない位置であれば何れの場所に位置していてもよい。また、プロペラ110も第1の貫通空間112を備えている。ここで、動力装置20の第1の空間25及びプロペラ110の第1の貫通空間112が互いに接続された空間を「内部空間」と称する。これらの各空間は、それぞれ直線的であってもよいし、折れ曲がっていたり、曲線的であったりしていてもよく、その形状は特段限定されない。
【0017】
本発明の実施の形態による飛行体の備える機能部10は、例えば図3に示されるように、ステータ24の上面視中央から突出しており、ロータ22を第1の空間25を介して動力装置20から突き出る構成となっていてもよい。さらには、機能部10は、プロペラ110も貫通して突き出るよう構成されており、例えば図4に示されるように、機能部10自体が例えば飛行体100の着陸脚などとして機能する。また、例えば図5に示されるように、機能部10は、内部空間に少なくとも一部を位置する支持部11と、当該支持部11に接続され、所定の機能(例えば、着陸脚)を提供する部材を機能提供部12とから構成されていてもよい。
【0018】
図6には、本発明の実施の形態による飛行体の備える機能部10の変形例を例示する。機能部10は、動力装置20及びプロペラ110を含む回転翼部を保持する飛行体の保持部120a及び120b(例えば、モータマウント(不図示)を有する場合は、これも含む)等の動力装置20の外部にある構成から突出していてもよい。また、機能部10は、機能部10を固定する部材(不図示)を介して間接的に突出するものでもよい。そして、これらの機能部10は、動力装置20の第1の空間及びプロペラ110の第1の貫通空間を介して、動力装置20及びプロペラ110から突き出るよう構成され得る。
【0019】
なお、機能部10は、動力装置20のロータ22に触れず、少なくとも支持部11が回転しない構成、または、機能部10全体が回転しない構成としてもよい。もしくは、貫通シャフトを有する場合には、機能部10は、動力装置20が当該貫通シャフトに触れない、または、ベアリング等を用いて当該貫通シャフトに接する構成としてもよい。そうすることで、機能部10は、動力装置20の回転の影響を受けずに回転しない構成としてもよい。なお、これらの形態は簡略化した例示にすぎず、必要な部材を適宜追加してもよい。
【0020】
このように、動力装置20及びプロペラ110の内部空間を利用することで、従来の機体構成を大きく変更することなく所定の機能を有する機能部10を容易に備えることができる。また、プロペラ110が牽引式(プル式)であるか推進式(プッシャー式)であるかに関わらず、回転翼の上下の空間を利用して機能部10を配置することが可能となるため、その配置が特段限定されることもない。
【0021】
なお、機能部10は、様々な機能を持つことができる。機能部10は、例えば、着陸脚、点灯装置、アンテナ、プロペラガード、噴射手段(ノズル)、ヒートシンク、整流装置、車輪、空力パーツ、搭載物の支持用部材などとすることが可能である。
【0022】
機能提供部12は、要件等に合わせて複数種のアタッチメントとして支持部11に接続および取り換え可能な構成としてもよい。取り替えを可能とする場合には、支持部11の取り付け部が規格化され、複数種類のアタッチメントを容易に付け替えられるようにしていることが望ましい。取り付け部のアタッチメント接続構成は、コネクターやネジ等の、周知の接続方法を備えることにより、簡便に付け替えを行うことが可能となる。
【0023】
また、機能部10は、動力装置20の回転と独立した動作が可能なため、動力装置20とは別に設けられたサーボやモータ等により、所定の回動や揺動を行うことも可能である。これにより、例えば、ノズルの向きを変更したり、空力パーツの角度を変更したりする。
【0024】
<飛行体100の構成>
図4等に例示される飛行体100は、飛行を行うために少なくともプロペラ110や動力装置20等の要素を備えており、それらを動作させるためのエネルギー(例えば、二次電池や燃料電池、化石燃料等)を搭載していることが望ましい。
【0025】
なお、図示されている飛行体100は、本発明の構造の説明を容易にするため簡略化されて描かれており、例えば、制御部等の詳しい構成は図示していない。
【0026】
飛行体100は、例えば図の矢印Dの方向(-Y方向)を進行方向とするものであってもよい。なお、以下の説明において、以下の定義に従って用語を使い分けることがある。前後方向:+Y方向及び-Y方向、上下方向(または鉛直方向):+Z方向及び-Z方向、左右方向(または水平方向):+X方向及び-X方向、進行方向(前方):-Y方向、後退方向(後方):+Y方向、上昇方向(上方):+Z方向、下降方向(下方):-Z方向
【0027】
プロペラ110a、110bは、動力装置20からの出力を受けて回転する。プロペラ110a、110bが回転することによって、飛行体100を出発地から離陸させ、移動させ、目的地に着陸させるための推進力が発生する。なお、プロペラ110a、110bは、右方向への回転、停止及び左方向への回転等が可能である。
【0028】
本発明の飛行体100が備えるプロペラ110は、1以上の羽根を有している。任意の羽根(回転子)の数(例えば、1、2、3、4、またはそれ以上の羽根)でよい。また、羽根の形状は、平らな形状、曲がった形状、よじれた形状、テーパ形状、またはそれらの組み合わせ等の任意の形状が可能である。なお、羽根の形状は変化可能である(例えば、伸縮、折りたたみ、折り曲げ等)。羽根は対称的(同一の上部及び下部表面を有する)または非対称的(異なる形状の上部及び下部表面を有する)であってもよい。羽根はエアホイル、ウイング、または羽根が空中を移動される時に動的空気力(例えば、揚力、推力)を生成するために好適な幾何学形状に形成可能である。羽根の幾何学形状は、揚力及び推力を増加させ、抗力を削減する等の、羽根の動的空気特性を最適化するために適宜選択可能である。
【0029】
また、本発明の飛行体100が備えるプロペラは、固定ピッチ、可変ピッチ、また固定ピッチと可変ピッチの混合などが考えられるが、これに限らない。
【0030】
動力装置20は、プロペラ110の回転を生じさせるものであり、例えば、駆動ユニットは、電気モータ又はエンジン等を含むことが可能である。羽根は、モータによって駆動可能であり、モータの回転軸(例えば、モータの長軸)の周りに回転する。
【0031】
羽根は、すべて同一方向に回転可能であるし、独立して回転することも可能である。羽根のいくつかは一方の方向に回転し、他の羽根は他方方向に回転する。羽根は、同一回転数ですべて回転することも可能であり、夫々異なる回転数で回転することも可能である。回転数は移動体の寸法(例えば、大きさ、重さ)や制御状態(速さ、移動方向等)に基づいて自動又は手動により定めることができる。
【0032】
飛行体100は、フライトコントローラやプロポ等により、風速と風向に応じて、各モータの回転数や、飛行角度を決定する。これにより、飛行体は上昇・下降したり、加速・減速したり、方向転換したりといった移動を行うことができる。
【0033】
飛行体100は、事前または飛行中に設定されるルートやルールに準じた自律的な飛行や、プロポを用いた操縦による飛行を行うことができる。
【0034】
<飛行体100の機能ブロック図>
図7には、飛行体100の機能ブロック図が示されており、図7の機能ブロックは最低限の参考構成である。フライトコントローラは、所謂処理ユニットである。処理ユニットは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。処理ユニットは、図示しないメモリを有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うために処理ユニットが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。メモリは、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラやセンサ類から取得したデータは、メモリに直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。
【0035】
処理ユニットは、回転翼機の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ、θ及びθ)を有する回転翼機の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために回転翼機の推進機構(動力装置20等)を制御する。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0036】
処理ユニットは、1つ以上の外部のデバイス(例えば、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部と通信可能である。送受信機は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。例えば、送受信部は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。送受信部は、センサ類で取得したデータ、処理ユニットが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0037】
本実施の形態によるセンサ類は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0038】
<第1の実施の形態の詳細>
図4には、本発明の第1の実施の形態として、機能部10が着陸脚として機能する場合の構成を例示する。
【0039】
上述のとおり、垂直離着陸を行う飛行体100において、飛行体100が着陸面に接する時、着陸脚同士の間隔は広い方が安定する。そうすると、保持部120の伸長などをせずに間隔を広く取ることができる着陸脚の設置位置は、例えば回転翼の下方付近となる。しかしながら、着陸脚は、特にプロペラ110が推進式である場合には、プロペラ110と接触しないように、プロペラ回転面を避けて設ける必要が生じる。そのため、機体中心側に避ける場合には着陸脚の間隔が狭くなり、機体外側に避ける場合には着陸脚接続のために保持部120の伸長が必要となる。したがって、従来の構成では、特にプロペラ110が推進式である場合には、着陸の安定性向上と機体の効率向上を両立することは困難であった。
【0040】
そこで、図4に示される第1の実施の形態においては、機能部10が動力装置20の第1の空間25及びプロペラ110の第1の貫通空間112からなる内部空間を利用して、プロペラ110が推進式の飛行体100においても動力装置20の下方に着陸脚を設けることを可能とする。
【0041】
着陸脚は、地面と接触する接地部を備えており、また、着陸時や飛行体を置く際の衝撃緩和を行うダンパー等を備えていてもよい。
【0042】
これにより、プロペラ110が推進式である場合であっても、着陸の安定性向上と機体の効率向上を両立することが可能となる。
【0043】
また、飛行体の設計において、プロペラ110に接続される動力装置20と、保持部120a及び120bとは、想定される負荷の観点から堅牢に取り付けることが一般的である。したがって、特に機能部10が着陸脚である場合には、着陸時に負荷のかかる着陸脚を、動力装置20等と同じまたは近い場所に取り付けることが可能となり、堅牢とする場所を集中させることができるため、重量増加や重心の分散を抑えることができる。
【0044】
<第2の実施の形態の詳細>
図5には、本発明の第2の実施の形態として、機能部10の機能提供部12が着陸脚として機能する場合の構成を例示する。
【0045】
図5に例示されるように、例えば牽引式のプロペラ110を使用する飛行体100においては、従来同様に着陸脚を回転翼及び保持部120a及び120bの下方付近に備える際に、プロペラ110に配置を制限されるものではない。しかしながら、動力装置20の第1の空間25及びプロペラ110の第1の貫通空間112により構成される内部空間を利用することにより、より簡易な構成により着陸脚を設けることが可能となる。また、図5に例示されるように機能部10は、動力装置20から突出している支持部11と、当該支持部11に接続され、着陸脚としての機能を提供する機能提供部12とから構成されていてもよい。
【0046】
<第3の実施の形態の詳細>
図5には、本発明の第3の実施の形態として、機能部10の機能提供部12が点灯装置(例えばLED等)やアンテナ装置として機能する場合の構成を例示する。
【0047】
図5に例示されるように、例えば牽引式のプロペラ110を使用する飛行体100であっても、機能部10を回転翼部の上方に設けることも可能である。より具体的には、例えば、点灯装置またはアンテナ装置などを機能提供部12として回転翼部の上方に設けることも可能である。なお、図5に示した構成は、牽引式のプロペラ110を使用する飛行体100であるが、これに代えて推進式のプロペラ110を使用する飛行体100に備えることも可能である。また、機能部10は、プロペラ110の接続側に設ける構成に限らず、推進式の飛行体の上方または下方、牽引式の飛行体の上方または下方、推進式および牽引式の飛行体の上下両方向に設ける構成といった何れの構成にも利用が可能である。これにより、構成部品を少なくするなどして機体の重量増加を減らしたり、配置の柔軟性を向上したりなどの飛行体の効率を向上することが可能となる。
【0048】
<第4の実施の形態の詳細>
図8及び図9には、本発明の第4の実施の形態として、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12がプロペラガードとして機能する場合の構成を例示する。
【0049】
プロペラガード取り付け作業に際して飛行体100の上面からの取り付けが可能なため、図10及び図11のような側方からの取り付けや下方からの取り付けに比べ、飛行体100が着陸した状態でのプロペラガードの取り付けおよび取り外し作業が容易となる。
【0050】
なお、図8及び図9に示した構成は、機能部10を牽引式のプロペラ110を使用する飛行体100であるが、これに代えて推進式のプロペラ110を使用する飛行体100に備えることも可能である。また、機能部10は、プロペラ110の接続側に設ける構成に限らず、推進式の飛行体の上方または下方、牽引式の飛行体の上方または下方、推進式および牽引式の飛行体の上下両方向に設ける構成といった何れの構成にも利用が可能である。これにより、構成部品を少なくするなどして機体の重量増加を減らしたり、配置の柔軟性を向上したりなどの飛行体の効率を向上することが可能となる。
【0051】
<第5の実施の形態の詳細>
図12には、本発明の第5の実施の形態として、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12が噴射手段として機能する場合の構成を例示する。
【0052】
機能部10は、所定の液体や粉粒体を通すパイプやホースであり、必要に応じて、図12に例示されるように、パイプ等を支持部11の構成の一部とし、当該パイプ等に接続される、散布や噴霧、噴射を行う噴射手段(ノズル)を機能提供部12としてもよく、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12を飛行体100の下方側に設けることによって、プロペラ110の後流を利用して液体や粉粒体を対象物に強く当てたり、より遠くまで飛ばしたりといった効果を得る。
【0053】
既存のマルチコプター型農薬散布機体においては、同様の効果を利用する場合、図13に示されるように、飛行体の保持部120a及び120bとは別途に液体や粉粒体を通すパイプ等を外部に設けている。本発明による機能部10では、飛行体の保持部120a及び120bの内部に液体や粉粒体を通すパイプ等を設けることにより、別途パイプ等を外側に設けた飛行体100と比較して、飛行時の空気抵抗を減少させることができる。
【0054】
なお、図12に示した構成は、牽引式のプロペラ110を使用する飛行体100であるが、これに代えて推進式のプロペラ110を使用する飛行体100に備えることも可能である。しかしながら、プロペラ110の接続側へ機能部10を設ける構成に限らず、推進式の飛行体の上方または下方、牽引式の飛行体の上方または下方、推進式および牽引式の飛行体の上下両方向に機能部10を設ける構成といった何れの構成にも利用が可能である。これにより、構成部品を少なくするなどして機体の重量増加を減らしたり、配置の柔軟性を向上したりなどの飛行体の効率を向上することが可能となる。さらに、噴射方向は、上述のとおり、プロペラ後流の流れる方向と同一方向であると、効率よくプロペラ後流を利用する等の効果が見込まれる。
【0055】
<第6の実施の形態の詳細>
図14には、本発明の第6の実施の形態として、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12がヒートシンクとして機能する場合の構成を例示する。
【0056】
図14に例示されるように、プロペラ110の回転により発生する後流の動きを利用して、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12を動力装置20のヒートシンクとして設けることができる。熱伝導率の高い素材を用いることで動力装置20内部に発生する熱を外部へと引き、外気に触れる面積を増やすだけでなく、プロペラ110の後流によりヒートシンク付近の気流が滞留し難いため、効率よく動力装置20の冷却を行うことが可能となる。
【0057】
特に、防水や防滴を考慮した動力装置20は、水や塵の進入を防ぐため、密閉性が高くなる。このような動力装置20においては、動力装置20内部に外気を取り込まないため動力装置20内部の冷却が困難である。そのため、ヒートシンクの拡大による冷却性能の向上が効果的である。
【0058】
なお、ヒートシンクの構成の例として、周知のヒートシンク機構で用いられているヒートパイプと呼ばれるパイプ形状のものや、プロペラ後流の気流を妨げないよう考慮したシロッコファン形状がある。
【0059】
<第7の実施の形態の詳細>
図15及び図16には、本発明の第7の実施の形態として、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12が整流装置として機能する場合の構成を例示する。
【0060】
飛行体100が備えるプロペラ110が回転した時、後流が発生する。図15に例示されるように、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12が、後流が発生する側に気流の整流装置として設けられることにより、飛行効率低下につながる後流の渦の発生を防止し、飛行効率の向上を可能にする。
【0061】
また、図16に示されるように、飛行体100がVTOL機体であった場合、垂直離着陸時およびホバリング時以外の、水平飛行時等では動力装置20を前後方向に向かって使用する。この時、動力装置20の前後となる、動力装置20のプロペラ接続側ならびにプロペラ接続側の逆側に気流の整流装置として機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12を設けることで、飛行体100の飛行効率を向上させる。
【0062】
なお、機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12が、複数の機能を備える場合、例えば、ヒートシンクとして作用する金属素材を用いて整流効果のある形状を機体下方に設けることとしてもよい。このとき機能部10、または、当該機能部10のうち機能提供部12は、ヒートシンク及び整流装置並びに着陸脚としての機能を兼ねることが可能となる。このように機能を集約することで、空気抵抗の増加や重量の増加を防ぐことが可能となる。
【0063】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
10 機能部
11 支持部
12 機能提供部
20 動力装置
25 第1の空間
100 飛行体
110 プロペラ
112 第1の貫通空間
120 保持部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16