(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】マイクロLEDディスプレイリペア装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240704BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240704BHJP
B23K 26/351 20140101ALI20240704BHJP
【FI】
G09F9/00 352
G09F9/00 338
H01L33/00 H
B23K26/351
(21)【出願番号】P 2021187176
(22)【出願日】2021-11-17
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】514058692
【氏名又は名称】チャム エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スン チョル
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン ホ
(72)【発明者】
【氏名】シム,ホン ドゥク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ソル,ボン ホ
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-129658(JP,A)
【文献】特開2021-051167(JP,A)
【文献】特開2020-008751(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0063200(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H01L 33/00-33/64
B23K 26/351
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロLEDディスプレイの欠陥をリペアするリペア装置であって、
マイクロLEDチップと前記マイクロLEDチップを駆動するための回路パターンを含んでいるマイクロLEDディスプレイを把持するステージと、
前記マイクロLEDディスプレイの欠陥がある部位を除去するためのレーザーを供給するレーザーソースと、前記レーザーソースから発生されるレーザーを前記マイクロLEDディスプレイの欠陥がある部位をリペアするために、あらかじめ設定された一定領域を除去するため経路を変更して照射する光学モジュールと、
前記光学モジュールでマイクロLEDディスプレイの欠陥がある部位を除去した後、正常動作するマイクロLEDチップを除去された部位に実装する実装モジュールと、
前記レーザーソースから供給されるレーザーの波長や出力を含むレーザーの特性を
調節し、前記光学モジュールを除去する一定領域の位置及びサイズを
調節する制御部と、を含み、
前記光学モジュールは、前記あらかじめ設定された一定領域に対して、マイクロLED
チップの動作に必要な電力を供給するマイクロLEDディスプレイの下部回路パターンがあらわれる深さまで前記正常動作するマイクロLEDチップを前記回路パターンに実装できるように、前記欠陥がある部位の保護膜及び異常マイクロLEDチップを含む前記回路パターンの上部構造物を除去し、
前記制御部は、第1段階として前記保護膜を除去し、第2段階として前記異常マイクロLEDチップを除去するようにレーザーの特性を
調節することを特徴とするマイクロLEDディスプレイリペア装置。
【請求項2】
前記回路パターンには、マイクロLEDチップを駆動する駆動ラインと、予備ラインとを含み、
前記光学モジュールが削除することがあらかじめ設定された一定領域は、前記マイクロLEDディスプレイの中に欠陥があるマイクロLED素子が位置された部位または、欠陥のあるマイクロLED素子に最も近い補助ラインがある部位であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロLEDディスプレイリペア装置。
【請求項3】
前記光学モジュールが前記マイクロLEDディスプレイ内の欠陥部位をレーザーを照射して除去した後に、除去された後残っている異物を洗浄するための洗浄モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロLEDディスプレイリペア装置。
【請求項4】
前記洗浄モジュールは、前記欠陥部位に残っている異物を除去するために、あらかじめ設定された気体を吹くエアブロワー方式であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロLEDディスプレイリペア装置。
【請求項5】
前記光学モジュールは、前記レーザーソースから供給されるレーザーを前記マイクロLEDディスプレイの欠陥部位に照射するためにレーザー経路を変更するスキャナを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロLEDディスプレイリペア装置。
【請求項6】
前記実装モジュールは、前記光学モジュールから削除された後、露出された下部回路パターンに正常なマイクロLEDチップを実装するために下部回路パターンの上部に導電性インクを噴射するインクモジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロLEDディスプレイリペア装置。
【請求項7】
マイクロLEDディスプレイの欠陥をリペアする方法であって、
マイクロLEDチップとマイクロLEDチップを駆動するための回路パターンを含むマイクロLEDディスプレイをステージに移動させる段階;
前記マイクロLEDディスプレイの欠陥がある部位を除去するためのレーザーソースから供給されるレーザーを光学モジュールを介して経路を変更して、マイクロLEDディスプレイに照射して一定領域を除去するステップ;
前記光学モジュールを介して除去された一定領域に実装モジュールを介して正常なLEDチップを実装するステップ;
制御部を介して前記レーザーソースから供給されるレーザーの波長や出力を含むレーザーの特性を
調節し、前記光学モジュールを除去する一定領域の位置及びサイズを
調節するステップを含み、
前記一定領域を除去するステップで、前記光学モジュールは除去される一定領域に対して、マイクロLEDチップの動作に必要な電力を供給しているマイクロLEDディスプレイの下部回路パターンがあらわれる深さまで、前記正常動作するマイクロLEDチップを前記回路パターンに実装できるように、前記欠陥がある部位の保護膜及び異常マイクロLEDチップを含む前記回路パターンの上部構造物を除去し、
前記制御部は、第1段階として前記保護膜を除去し、第2段階として前記異常マイクロLEDチップを除去するようにレーザーの特性を
調節することを特徴とするマイクロLEDディスプレイリペア方法。
【請求項8】
前記一定領域を除去する段階で、
前記回路パターンには、マイクロLEDチップを駆動する駆動ライン、予備の補助ラインを含み、
前記光学モジュールが削除する一定領域は、前記マイクロLEDディスプレイの中欠陥があるマイクロLED素子が配置され部位または、欠陥のあるマイクロLED素子に最も近い補助ラインがある部位であることを特徴とする請求項7に記載のマイクロLEDディスプレイリペア方法。
【請求項9】
前記光学モジュールを介して一定領域を除去した後、削除された後一定領域に残っている異物を洗浄モジュールを介して洗浄するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のマイクロLEDディスプレイリペア方法。
【請求項10】
前記洗浄する段階で、
前記洗浄モジュールは、前記一定領域に残っている異物を除去するために、あらかじめ設定された種類の気体を吹いてくれるエアブロワー方式で洗浄することを特徴とする請求項9に記載のマイクロLEDディスプレイリペア方法。
【請求項11】
前記正常なLEDチップを実装する段階で、
前記実装モジュールは、前記光学モジュールによって削除された後、露出された下部回路パターンに正常なマイクロLEDチップを実装するために、インクモジュールを介して下部回路パターンの上部に導電性インクを噴射する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のマイクロLEDディスプレイリペア方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥のあるマイクロLEDディスプレイをリペアするリペア装置及び方法に関するものである。より詳細には、従来LCD、OLEDディスプレイに発生した欠陥をリペアする装置は、TFTアレイの回路パターンを切断したり、つなぐ方法で欠陥部位をリペアしたが、本発明のマイクロLEDディスプレイは、従来の方式ではなく、マイクロLEDディスプレイに適合するように、欠陥のあるマイクロLEDチップを除去し、正常に動作するマイクロLEDチップを実装する方法でマイクロLEDディスプレイをリペアするリペア装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、TV、スマートフォンなどに使用されているディスプレイでFPD(Flat Panel Display)と総称されるLCD、OLEDなどのフラットパネルディスプレイが広く普及している。しかし、LCDだけでなく、OLEDも欠点が多く、マイクロLEDを活用するディスプレイに対して研究が活発に行われており、大面積、超高解像度で実装されたマイクロLEDディスプレイが徐々に普及している。
【0003】
LCDとOLEDの場合、様々な短所が存在するが、LCDの場合、色の再現度などに限界があり、自発光ではなくて、バックライトのような光源が必要なので、薄型で実装するのが難しく、フレキシブルディスプレイに実装するのに困難な問題があり、OLEDの場合、色再現性と完璧な明暗比の具現など、様々な長所があるが、バーンインという致命的な問題点がある。
【0004】
マイクロLEDは、従来のLCD、OLEDの問題をすべて解決できるディスプレイとして非常に小さなLEDチップを配列して画像を表現するディスプレイである。最近LEDチップのサイズを非常に小さく製造することができていることによってLCD、OLEDディスプレイの解像度とほぼ同じ解像度を実現することができ、LCDとは異なり、自発光が可能であり、OLEDのバーンインのような問題が全くなく、輝度がLCD、OLEDに比べて高いため、次世代ディスプレイとして脚光を浴びている。
【0005】
ディスプレイの製造中には、様々な異物によってピクセルのon/offがされていない欠陥(defect)が発生することになるが、このような欠陥が発生すると不良でディスプレイ全体を廃棄しなければならなので、製造コストが上昇する問題がある。製造コスト及び不良率を低めるために欠陥を修復するリペア工程が製造工程に不可欠で含まれる。
【0006】
従来は、FPD製造工程中に異物等により発生する欠陥を修理するリペア工程を介して不良率を下げてきたが、従来のリペア工程はFPDに含まれている配線がショートした場合ショートした部分をレーザーでカッティングしたり、配線が切れた場合切れた配線をMetal sourceとレーザーを用いて連結する工程で行われていた。
【0007】
このような従来のリペア工程は画素に1:1で対応するTFTアレイで発生する欠陥を修理する方法でリペア工程が行われていたが、これらの欠陥以外にもマイクロLEDディスプレイの場合、ピクセルに対応するLEDチップ自体が動作をしない欠陥も存在するのでこれらの欠陥は従来のリペア工程ではリペアがされない問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、従来のリペア装置では、リペアできないマイクロLEDディスプレイの欠陥をリペアすることができるマイクロLEDディスプレイリペア装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア装置は、マイクロLEDチップとマイクロLEDチップを駆動するための回路パターンを含むマイクロLEDディスプレイを把持するステージと、前記マイクロLEDディスプレイの中で、欠陥のある部位を除去するためのレーザーを供給するレーザーソースと、前記レーザーソースから発生されるレーザーを前記マイクロLEDディスプレイの欠陥がある部位をリペアするためにあらかじめ設定された一定領域を除去するためのパスを変更して照射する光学モジュールを含み、前記光学モジュールは、あらかじめ設定された一定領域のマイクロLEDチップの動作に必要な電力を供給しているマイクロLEDディスプレイの下部回路パターンがあらわれる深さに除去することを特徴とする。
【0010】
また、前記回路パターンには、マイクロLEDチップを駆動する駆動ラインと予備の補助ラインとを含み、前記光学モジュールが、あらかじめ設定された削除する一定領域は、前記マイクロLEDディスプレイの欠陥があるマイクロLED素子がある部位または、欠陥のあるマイクロLED素子に最も近い補助線がある部位であることを特徴とする。
【0011】
また、前記光学モジュールが、前記マイクロLEDディスプレイ内の欠陥部位の上にレーザーを照射して除去した後に、削除された後残っている異物を洗浄するための洗浄モジュールをさらに含む。
【0012】
また、前記洗浄モジュールは、前記欠陥部位に残っている異物を除去するために、あらかじめ設定された気体を吹くエアブロワー方式であることを特徴とする。
【0013】
また、前記光学モジュールは、前記レーザーソースから供給されるレーザーを前記マイクロLEDディスプレイの欠陥部位に照射するためにレーザーパスを変更するスキャナを含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記光学モジュールからマイクロLEDディスプレイの欠陥部位を除去した後、正常に動作するマイクロLEDチップを除去された部位に実装する実装モジュールをさらに含む。
【0015】
また、前記実装モジュールは、前記光学モジュールから削除された後、露出された下部回路パターンの上にマイクロLEDチップを実装するために下部回路パターンの上部に導電性インクを噴射するインクのモジュールをさらに含む。
【0016】
また、上記のような目的を達成するために、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア方法は、マイクロLEDチップとマイクロLEDチップを駆動するための回路パターンを含むマイクロLEDディスプレイをステージに移動させる段階;前記マイクロLEDディスプレイの欠陥がある部位を除去するためのレーザーソースから供給されるレーザーを光学モジュールを介してパスを変更して、マイクロLEDディスプレイに照射して一定領域を除去する段階;前記光学モジュールを介して除去された一定領域に正常なLEDチップを実装する段階を含む。
【0017】
また、前記一定領域を除去する段階で、前記光学モジュールは、削除される一定領域のマイクロLEDチップの動作に必要な電力を供給しているマイクロLEDディスプレイの下部回路パターンがあらわれる深さに除去することを特徴とする。
【0018】
また、前記一定領域を除去する段階で、前記回路パターンには、マイクロLEDチップを駆動する駆動ラインと、予備の補助ラインとを含み、前記光学モジュールが削除する一定領域は、前記マイクロLEDディスプレイの欠陥のあるマイクロLED素子がある部位または欠陥のあるマイクロLED素子に最も近い 補助ラインがある部位であることを特徴とする。
【0019】
また、前記光学モジュールを介して一定領域を除去した後、削除された後一定領域に残っている異物を洗浄モジュールを介して洗浄する段階をさらに含む。
【0020】
また、前記洗浄する段階で、前記洗浄モジュールは前記欠陥部位に残っている異物を除去するために、あらかじめ設定された種類の気体を吹いてくれるエアブロワー方式で洗浄することを特徴とする。
【0021】
また、前記正常なLEDチップを実装する段階で、前記実装モジュールは、前記光学モジュールによって削除された後、露出された下部回路パターンにマイクロLEDチップを実装するために、インクモジュールを介して下部回路パターンの上部に導電性インクを噴射する段階をさらに含む。
【発明の効果】
【0022】
以上のような構成の本発明は、従来のリペア方式ではリペアできないマイクロLEDディスプレイの欠陥をリペアすることができる効果がある。
【0023】
また、欠陥があるLEDチップをリペアするために一定領域を削除した後、洗浄を介してリペアの成功率を最大化することができる効果がある。
【0024】
また、欠陥のあるLEDチップを削除したり不能にした後、インクを使用して正常なLEDチップを実装することにより、マイクロLEDディスプレイに最適化されたリペアを行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に基づくマイクロLEDディスプレイリペア装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア装置を介して一定部分を除去した後、洗浄する過程を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア装置を介してリペアするマイクロLEDを作動不能にする過程を示す図面である。
【
図4】
図4は、本発明のマイクロLEDディスプレイの回路パターンの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア装置の実装モジュールを介して実装される過程を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明のリペアが行われた後のマイクロLEDディスプレイの断面を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア方法を示す順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下で図面を参照して、本発明によるマイクロLEDディスプレイリペア装置及び方法について詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例に基づくマイクロLEDディスプレイリペア装置の斜視図であり、
図2は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア装置を介して一定部分を除去した後、洗浄する過程を示す図であり、
図3は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア装置を介してリペアするマイクロLEDを作動不能にする過程を示す図面であり、本発明のマイクロLEDディスプレイの回路パターンの一例を示す図であり、
図4は、本発明のマイクロLEDディスプレイの回路パターンの一例を示す図であり、
図5は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア装置の実装モジュールを介して実装される過程を示す図であり、
図6は、本発明のリペアが行われた後のマイクロLEDディスプレイの断面を示す図であり、
図7は、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア方法を示す順序図である。
【0028】
FPDは、最近まで、LCDやOLEDが代表的なディスプレイであったが、前に説明したように、LCDは自発光ではなく、バックライトのような光源が必要であり、バックライトの限界のため、ある程度の曲率を有する湾曲した(curved)ディスプレイは可能だが、フォルダブルのようなフレキシブルディスプレイに適用できない問題があり、OLEDの場合、自発光が可能であるが、有機発光物質(有機EL)を利用したことにより、バーンインのように耐久性が落ちる問題がある。このような従来LCD、OLEDと同じFPDの問題のために、自発光が可能で、バーンインのような問題がないマイクロLEDディスプレイが脚光を浴びている。
【0029】
従来のFPDは、製造工程中の異物によって不良ピクセルが発生してこのような不良ピクセルが正常に動作するようにするリペア工程を必須的に含んでいる。リペア工程は、FPDの製造過程で異物によってピクセルが正常に動作しない問題を解決するために、異物によって回路パターンに断線が発生する場合これをつなぐワイヤリングと、短絡が発生した場合、これを切断する切断工程が主である。マイクロLEDディスプレイも、
図3に示した一例のように下部に駆動ライン(DL)と駆動ライン(DL)が動作しない場合の予備として活用するための補助ライン(AL)などの回路パターンがある基板があり、マイクロLEDの回路パターン基板には、従来のリペア工程がそのまま適用されることができる。マイクロLEDディスプレイは、非常に小さなLEDチップがピクセル数だけ実装された形態として従来のFPDと構成が異なるので、従来のリペア工程ではなく他の方式のリペアが必要で本発明は、このようなマイクロLEDディスプレイに特化したリペア方式のリペア装置および方法のことである。
【0030】
本発明のマイクロLEDリペア装置は、マイクロLEDチップとこのチップを駆動するための駆動ライン(DL)、補助ライン(AL)を含む回路パターンがあるマイクロLEDディスプレイのリペアのために、上部にマイクロLEDディスプレイを把持するステージ(100)とマイクロLEDディスプレイの欠陥部位をリペアするために一定部位を除去するためのレーザーを供給するレーザーソース(200)とレーザーソース(200)から供給されるレーザーのパスを変更して欠陥部位に照射する光学モジュール(300)を含めて行われる。マイクロLEDディスプレイは、前に説明したように回路パターンの上にLEDチップを実装させディスプレイを構成するが、LEDチップを実装してからディスプレイの保護のために保護膜(20)を形成するのが普通である。これらの保護膜(20)は、いくつかの種類を使用できるが、透明な材質であることは当然であり、実装されたLEDチップの破損を防止できる耐久性を備えていなければならない。保護膜(20)の一例として、一方の方向にだけ電気を通す異方性導電膜であるACF(Anisotropic Conductive Film)を使用することができる。異方性導電膜であるACFを使用する理由は、基板に実装されたLEDチップを保護するためのことが最大の理由だが、ACF内に微細な導電性粒子が、LEDチップと基板の回路との接続を強化する効果もあるからだ。光学モジュール(300)を介してマイクロLEDディスプレイの一定領域を削除するときは、ACFのような保護膜(20)の下部に設けられた駆動ライン(DL)、補助ライン(AL)などの回路パターンがあらわれる深さに加工するのが好ましい。これは、回路パターンの上に、正常なLEDチップを実装する際に駆動ライン(DL)または補助ライン(AL)との電気的接続が必要だからである。
図6には、駆動ライン(DL)と補助ライン(AL)との両方の電気的接続がされているように図示されているが、これは駆動ライン(DL)がある部位を除去して接続することと補助線(AL)のある部位を除去して接続することの両方を全部表現することで、どちらかの一方の回路ラインと接続しても駆動に問題はない。ただし、先に説明したように異常なマイクロLEDを回路パターンが現れるように除去することもできるが、
図3に図示したように異常なマイクロLEDの一定部位を切断して、異常なマイクロLEDを動作させないようにした後、補助的に用意された回路パターンに正常なマイクロLEDを実装する方式でリペアを行うこともできる。無論、異常なマイクロLEDを完全に除去した後、正常なマイクロLEDを実装する方式に比べてマイクロLEDの実装位置が元と違って、とても精密なリペアとは言えないが、元のマイクロLEDが位置する部分と補助的に設けられた回路パターンとの間隙が大きくないため、リペア効果には差が大きくなく、洗浄過程が容易であり、除去過程で副産物がほとんどないため、リペアをより効率的に遂行できる長所がある。勿論長所と短所があるので、リペアが行われる環境を勘案して決定することが望ましい。
【0031】
また、レーザーソース(200)、光学モジュール(300)を介してレーザーを照射して、マイクロLEDディスプレイの一定部位を除去する場合だけでなく、異常なマイクロLEDを不溶化する場合でも、正常なLEDチップを実装する工程が必要で、そのために回路パターン上に残っている異物(F)を除去するために異物(F)を洗浄する洗浄モジュール(400)と洗浄が終わった後、正常なLEDチップを実装するための実装モジュール(500)をさらに含むことが、一つの装置でリペア工程を一度に仕上げすることができるという面で望ましい。
【0032】
本発明のステージ(100)は、マイクロLEDディスプレイのリペア工程を実行するために、上部にマイクロLEDディスプレイを把持固定する構成である。ステージ(100)のサイズは、リペアするマイクロLEDディスプレイのサイズに応じて設定することが好ましいが、リペア工程を実行中にディスプレイの流動を防止するために音圧を利用する構成または、下部に照明が必要な場合に照明のために透明に構成するなど、リペア工程の環境に応じてステージ(100)の詳細な構成は、多様に構成することができることはもちろんである。
【0033】
本発明のレーザーソース(200)は、リペア工程を実行するために、レーザーを供給する構成である。レーザーソース(200)から供給されるレーザーは、リペアするマイクロでLEDディスプレイの特性に応じてCWレーザーを使用することも、パルスタイプを使用することもできる。また、レーザーの波長帯も除去工程の効率化のために、適切な波長帯を使用することが好ましく、レーザーの出力も同様である。
【0034】
本発明の光学モジュール(300)は、レーザーソース(200)から供給されるレーザーの経路を変更して欠陥を修復するために適切な位置に照射する構成である。光学モジュール(300)は、複数のミラーとレンズで構成されているのが一般的だが、レーザーソース(200)から供給されるレーザーをマイクロLEDディスプレイに直接照射するスキャナを活用する方式と、適切な焦点距離を持った対物レンズを用いる方式に大別できる。スキャナを利用する方式の場合、レーザーを直接照射することにより、光学モジュール(300)の構成が簡単になり、迅速な経路の変更が可能であるという長所があるが、リペア工程を撮影する画像モジュールをさらに構成する場合、レーザー照射の過程と画像取得が別の構成で行われるため、座標系を一致させるのが面倒でリペア過程を有機的に制御することが難しいという短所がある。多数のミラーと対物レンズを利用する方式の場合、構成が複雑になる欠点があるが、レーザー照射のための光学系と画像撮影のための光学系を1つの構成で処理することができるので、レーザー照射と撮影を一つの座標系内で処理することができ、リペア過程を有機的に処理することができる長所がある。どのような方法でも、マイクロLEDディスプレイのリペア工程に適用することができ、リペア工程が行われる環境と特性を勘案して決定することが望ましい。
【0035】
光学モジュール(300)は、欠陥のあるマイクロLEDディスプレイにレーザーを照射してリペアする部分を除去するのに、前に説明したようにマイクロLEDディスプレイは、下部に回路パターンがある基板と基板の上にLEDチップを実装した後、これを保護するための保護膜(20)からなる。光学モジュール(300)は、マイクロLEDディスプレイの 保護膜(20)を除去し、正常なLEDチップ(10)を実装するために下部に回路パターンがあらわれる深さ(D)まで保護膜(20)を除去する。従来は、回路パターンを切断したり、つなぐためにメタルを塗布し、レーザーで焼結する工程を行ったが、マイクロLEDディスプレイの場合、LEDチップを実装する工程を経てリペアが行われるため、回路パターンを切断したり、つなぐ工程がなく、保護膜(20)を回路パターンがあらわれる深さ(D)まで除去する工程が必要である。勿論、異常なマイクロLEDを不溶化する場合には回路パターンが現れる深さまで加工する必要はなく、異常なマイクロLEDが動作しない程度に切断する工程が必要である。
【0036】
また、光学モジュール(300)は、マイクロLEDディスプレイで欠陥のあるLEDチップがある部位を直接削除することができ、予備の駆動ライン(DL)に使用される補助ライン(AL)のある部位を除去することもできる。欠陥のある部位を直接削除する場合、正常に動作していないLEDチップまで除去しなければならなので 除去過程が複雑で、異物が多く発生するかもしれない短所があるが、正常に動作していないLEDチップを不能化する工程が必要ない長所がある。補助ライン(AL)のある部位を除去する場合、正常に動作していないLEDチップを不能化する工程が必要であるが保護膜(20)だけを除去するから、除去工程が簡単な長所がある。
【0037】
本発明の光学モジュール(300)はマイクロLEDディスプレイで欠陥のあるLEDチップがある部位を除去したり余分の駆動ライン(DL)で使用する補助ライン(AL)がある部位を除去する構成だが、マイクロLEDチップの大きさによって除去する部位の大きさが変わることになる。また、ディスプレイは画面を表示するためにRED、GREEN、BLUEの3色を出すチップからなるが、欠陥のあるチップがRGBのいずれかの一つなら当該チップだけを除去することもできるが、LEDチップの大きさが小さいか、一つのチップからなる場合、RGBのいずれかの一つに欠陥があってもRGBチップを全て除去しなければならないこともある。本発明の光学モジュール(300)はリペア工程を行うマイクロLEDディスプレイの解像度によって除去する部位の大きさを調節する。本発明は、このように除去する部位の大きさを調節するために、制御部(未図示)の制御によって除去が必要な部位の位置とサイズを調節することになる。特に除去する部位の大きさは5マイクロメートルより大きく、100マイクロメートルより小さいように設定することが望ましい。これは除去する部位のサイズがあまりに小さい場合レーザーを利用して除去するのが難しいこともあり、除去する部位のサイズが大きすぎる場合、除去するのに所要する時間があまりにもかかるからだ。除去する部位のサイズが5マイクロメートルより小さかったり、100マイクロメートルより大きい場合、欠陥のあるLEDチップを暗点化するリペア方法の方がより望ましい。また、あらかじめ設定された時間内に欠陥部位のLEDチップを除去するため、制御部はレーザーソース(200)を制御して出力を上げたり、除去に使用する波長帯を異なることもできる。また、除去するLEDチップの厚さは30マイクロメートルより小さい場合に、本発明の光学モジュール(300)により除去することが望ましいが、これは、前に説明したように除去するのにかかる時間が過度に大きくなるため、不用化する方策を活用するか、レーザーソース(200)から発生するレーザーの出力、波長帯などレーザーの特性を調節して除去することが効率的である。すなわち、1段階でLEDチップを保護している保護膜を除去した後、2段階でLEDチップを除去することが望ましい。これは保護膜とLEDチップの材質が異なるため、効率的な除去のためにはレーザーの特性を異にすることが必要であるためである。
【0038】
本発明の洗浄モジュール(400)は、光学モジュール(300)を介して除去した部位の異物(F)を除去して洗浄する構成である。レーザーを使用して保護膜(20)などを除去する場合、除去された領域内に 除去工程中に発生した異物(F)が存在することもあり、これらの異物(F)が、通常のLEDチップ(10)の実装時に回路パターンとの接触不良を生じる可能性があるので、洗浄工程を実行することが望ましい。
【0039】
洗浄モジュール(400)が洗浄する方式には、洗浄液を使用する方式と洗浄ガスを吹いてくれるエアブロワー方式を使用できるが、洗浄液を使用する方式の場合、洗浄効果は抜群だが、洗浄液を回収する構成を別に設けなければならずクリーンルーム環境でリペア工程が行われるため洗浄工程中や後処理が非常に難しい。エアブロアー方式の場合、洗浄液を使用する方法よりも、洗浄効果が低下するかもしれないが、洗浄工程が非常に簡易で洗浄モジュール(400)の構成も簡易にできる。洗浄に使用される気体の場合、マイクロLEDディスプレイの保護膜(20)の構成に応じて取捨選択することができるが、洗浄効果の最大化のために二酸化炭素を使用することが望ましい。
【0040】
本発明の実装モジュール(500)は、光学モジュール(300)を介して、一定領域の保護膜(20)を除去し、洗浄モジュール(400)を介して回路パターン上の異物(F)を除去した後、LEDチップを実装する工程を実行する構成である。LEDチップの実装のために、本発明の実装モジュール(500)の一実施例で、銀(Ag)のような導電性インクをノズル部(510)を介して駆動ライン(DL)や補助ライン(AL)の上に噴射するインク噴射方式を使用する。インク噴射方式を使用する場合、LEDチップと回路パターンとの間に電気的接触を非常に簡易に構成でき、微量のインクを非常に微細な幅の回路パターンに正確に噴射できる長所がある。微量のインクを正確な位置に適切に噴射するためにEHD(electrohydrodynamics)方式のインク噴射方式を使用することが望ましい。勿論実装モジュール(500)は、インク噴射のための構成だけではなく、通常のLEDチップ(10)をインクが噴射された位置に正確に位置させる移送モジュールを含むことができる。また、
図5と同じく、通常のLEDチップ(10)を実装した後、保護膜(20)を塗布する構成をさらに含むことができる。
【0041】
以下、本発明のマイクロLEDディスプレイリペア方法を
図7を参照して説明するが、重複する説明は省略する。
【0042】
本発明のマイクロLEDディスプレイリペア方法は、マイクロLEDチップと、このチップを駆動するための回路パターンが含まれている欠陥をリペアするマイクロLEDディスプレイをステージ(100)に移動させた後、吸引などを介して固定する(S100)。ステージ(100)に固定されたマイクロLEDディスプレイにレーザーソース(200)から供給されるレーザーを光学モジュール(300)を介して経路を変更して、マイクロLEDディスプレイの欠陥部位に照射して、その領域を除去する(S110)。光学モジュール(300)を介して除去された一定領域に正常なLEDチップを実装する(S120)。
【符号の説明】
【0043】
ステージ : 100
レーザーソース: 200
光学モジュール: 300
洗浄モジュール: 400
実装モジュール: 500