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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】バッグ
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/00 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A45C3/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022119586
(22)【出願日】2022-07-27
(65)【公開番号】P2024017137
(43)【公開日】2024-02-08
【審査請求日】2022-07-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520192887
【氏名又は名称】有限会社ゼーノ
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾允
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】長馬 望
【審判官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3040177(JP,U)
【文献】特開2002-325613(JP,A)
【文献】実開昭58-82119(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の収納物を収納する本体部の外側の側方に、前記第1の収納物と異なる第2の収納物を収納可能とする容量可変の収納部を設けた皮革地から成るバッグであって、
前記容量可変の収納部は、前記本体部の底部から外側に延在し、更に前記底部に対して上側に折曲して上方に立ち上げ、前記本体部と対面させたシート状の外面部と、該外面部から内折線を隔てて左右両側方にそれぞれ延在すると共に、前記外面部と対面する前記本体部の一部でもある内面部との間に折り癖により折り返えされ前記外面部を前記内面部にほぼ密着させる摺動片と、該摺動片に左右方向に沿って長孔を設け、前記内面部に前記長孔に摺動自在に挿入して係止する係止具を設け、前記摺動片を前記内面部の表面側に連結すると共に、前記摺動片を前記内面部に対して左右方向に摺動しながら前記内面部側に引き寄せる摺動手段を設け、
前記容量可変の収納部に前記第2の収納物が収納されていない状態にあっては、前記摺動片の折り癖により前記外面部は前記内面部との間隙が小さくされ、前記容量可変の収納部に前記第2の収納物を収納すると、前記第2の収納物の厚みに対応して前記摺動片が前記長孔を介して前記係止具に沿って前記内面部に対し相対的に左右方向に摺動し、前記外面部と前記内面部との間隙が拡開されると共に、前記係止具により前記摺動片が前記内面部側に引き寄せられ、前記摺動片の折り癖により前記外面部が前記第2の収納物を前記内面部側に押さえ付けることを特徴とするバッグ。
【請求項2】
前記本体部及び前記容量可変の収納部の開放部を上方から覆う蓋体を設けたことを特徴とする請求項1に記載のバッグ。
【請求項3】
前記係止具は前記長孔に挿通する軸部と、該軸部の先端に設けられた止め具とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のバッグ。
【請求項4】
前記外面部の左右両側から延在する摺動片の先端同士の間をゴムバンドにより引き合うように連結したことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばショルダバッグ、ハンドバッグ、財布、ランドセル等のバッグ類において、容量可変の収納部を設けたバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バッグ類においては、通常は厚みの小さな形態のバッグであっても、厚みの大きな書類、書籍を収納する場合に、例えば特許文献1の財布の収納部50のように、蛇腹状のマチ部を拡げて収納可能容量を大きくして、使用することが通常である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5431613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この場合に収納部がマチ部によって拡がり易い構造とされているので、厚みの薄い特定の収納物を収納した場合に、この特定の収納物が脱落し易いという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、通常では容量が不時に拡大することがない容量可変の収納部を設けて、厚みの大きな収納物を収納しても、収納物を適度に押さえ付けて収納物が脱落し難いバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るバッグは、第1の収納物を収納する本体部の外側の側方に、前記第1の収納物と異なる第2の収納物を収納可能とする容量可変の収納部を設けた皮革地から成るバッグであって、前記容量可変の収納部は、前記本体部の底部から外側に延在し、更に前記底部に対して上側に折曲して上方に立ち上げ、前記本体部と対面させたシート状の外面部と、該外面部から内折線を隔てて左右両側方にそれぞれ延在すると共に、前記外面部と対面する前記本体部の一部でもある内面部との間に折り癖により折り返えされ前記外面部を前記内面部にほぼ密着させる摺動片と、該摺動片に左右方向に沿って長孔を設け、前記内面部に前記長孔に摺動自在に挿入して係止する係止具を設け、前記摺動片を前記内面部の表面側に連結すると共に、前記摺動片を前記内面部に対して左右方向に摺動しながら前記内面部側に引き寄せる摺動手段を設け、前記容量可変の収納部に前記第2の収納物が収納されていない状態にあっては、前記摺動片の折り癖により前記外面部は前記内面部との間隙が小さくされ、前記容量可変の収納部に前記第2の収納物を収納すると、前記第2の収納物の厚みに対応して前記摺動片が前記長孔を介して前記係止具に沿って前記内面部に対し相対的に左右方向に摺動し、前記外面部と前記内面部との間隙が拡開されると共に、前記係止具により前記摺動片が前記内面部側に引き寄せられ、前記摺動片の折り癖により前記外面部が前記第2の収納物を前記内面部側に押さえ付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るバッグは、常時は偏平とされていても、厚みの大きな収納物を収納すると、その厚みに応じて拡開され、収納物を押さえ付けながらの収納を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のショルダバッグの使用状態の斜視図である。
図2】容量可変収納部を展開した状態の斜視図である。
図3】容量可変収納部を組立て、外面部の一部を切欠した状態の斜視図である。
図4】摺動片同士をゴムバンドで連結した状態の斜視図である。
図5】実施例2の容量可変収納部を展開した状態の斜視図である。
図6】容量可変収納部を組立て、外面部の一部を切欠した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1のショルダバッグ1において、容量可変収納部に例えば厚さの大きな書籍を収納し、蓋部を開いた状態の斜視図である。
【0011】
このショルダバッグ1は、例えば厚さ1.5mmのシート状の皮革地を所定の形状に裁断して縫製により製作されている。本体部2は複数部分に区画され通常の厚さの収納物を収納可能な収納部3a、3bを有しており、側部には例えば書籍Bを収納した内容量が可変の容量可変収納部4が設けられている。また、本体部2の裏側から、収納部3、4の開放部を上方から覆う蓋部5が延在されており、本体部2の両側には肩紐6が付設されている。
【0012】
図2は容量可変収納部を平面状に展開した状態の斜視図であり、図中の点線は内折線を示している。容量可変収納部4では、本体部2の底部から延在された皮革地から成る連結部4aと、この連結部4aの外側に連設された外面部4bとを有している。更に、外面部4bの左右両側に、四角片状の摺動片4c、4c’がそれぞれ延在されており、摺動片4c、4c’は外面部4bに対し、内側に折り返し可能に折り癖が付されている。
【0013】
外面部4bの上辺には収納物を取り出し易くするための切込み4dが設けられ、摺動片4c、4c’の上部の2個所には、連結部4aと平行な左右方向に沿って、例えば幅3mm、長さ20mmのスリット孔状の長孔4e、4e’がそれぞれ穿孔されている。
【0014】
一方、本体部2側に設けられた内面部4fには、長孔4e、4e’内に挿入し、その左右の長手方向に沿って相対的に摺動可能な一対の擬宝珠状の係止具4g、4g’が、長孔4e、4e’に対応して固定して配置されている。係止具4g、4g’は金属製又は合成樹脂製とされ、径2.5mm、長さ4mm程度の軸部4hの先端には、係止具4g、4g’が長孔4e、4e’から抜け難くするための径8mm程度の円板状の止め部4iが設けられている。
【0015】
容量可変収納部4の組立時には、図3に示すように、外面部4bは連結部4aから上方に立ち上げられて、本体部2の内面部4fと対面し、外面部4bと内面部2bの間に、外面部4bから内側に折り返された摺動片4c、4c’が介在される。
【0016】
外面部4bを立ち上げると、両側の摺動片4c、4c’がそれぞれ外面部4bから内方に折り癖により約180度、折り返される。摺動手段として、摺動片4c、4c’に設けられた長孔4e、4e’内に係止具4g、4g’を挿入することにより、連結部4a、外面部4b、内面部4f、摺動片4c、4c’により囲まれ、上部が開放された容量可変収納部4が得られる。
【0017】
また、蓋部5の外側の例えば2個所には、雌型ホック7が取り付けられ、外面部4bの表面に設けられた雄型ホック8と結合可能とされている。この蓋部5の長さに余裕を持たせておけば、収納物の厚みが変化しても蓋部5としての対応が可能である。
【0018】
容量可変収納部4に何も収納されていない状態においては、摺動片4c、4c’の折り癖により、外面部4bは内面部4fにほぼ密着した偏平状態となり、係止具4g、4g’は長孔4e、4e’の長手方向に沿った対応個所に位置している。
【0019】
ここで、容量可変収納部4に図1に示すように、例えば厚い書籍を収納すると、書籍の厚みに対応して摺動片4c、4c’が、長孔4e、4e’を介して係止具4g、4g’に沿って摺動して両側に引き出され、外面部4bと本体部2との間隙が拡開され、厚い書籍を収納するに足る間隙となる。このとき、係止具4g、4g’は収納部4の厚みが大きくなるにつれ、長孔4e、4e’内を相対的に左右方向に摺動しながら、止め部4iにより摺動片4c、4c’を本体部2側に引き寄せるので、外面部4bと本体部2との間隙が必要以上に拡開することはない。なお、係止具4g、4g’は長孔4e、4e’の長さ範囲内において摺動可能であるので、容量可変収納部4はこの摺動範囲内においてその容量が可変となる。
【0020】
このように、本実施例1に係るショルダバッグ1においては、従来からの複数の収納部3a、3bには、通常、携帯を必要とする書類や小間物等の物品を収納するが、容量可変収納部4は収納部3a、3bには収納し難い厚さを有する書籍、書類等の収納が可能なので、容量可変収納部4を収納する物品の大きさに対応させて、その厚みつまり内容量が可変できる。
【0021】
従って、このショルダバッグ1は摺動片4c、4c’の外面部2aに対する折り癖によって、通常では小さくして使用することができるが、摺動手段である係止具4g、4g’に対する摺動片4c、4c’の左右方向の位置が、摺動範囲内において調節されることにより、容量可変収納部4に厚みの大きな収納物の収納を可能とする。
【0022】
なお、容量可変収納部4の外面部4bと内面部4fとの間が、使用中に必要以上に拡がることを防止するために、図4に示すように摺動片4c、4c’同士の端部間をゴムバンド9等で連結することも好適である。このゴムバンド9により、摺動片4c、4c’同士は引き合うので、外面部4bと内面部4fの間隙は常時、狭まるように付勢される。
【実施例2】
【0023】
図5は実施例2のショルダバッグ1’の組立前の容量可変収納部4’を展開した状態の斜視図であり、実施例1と同一の符号は同一の部材を示している。
【0024】
外面部4bの左右両側には、先端の幅を狭くした略三角形状の摺動片4j、4j’が延在されている。摺動手段として、摺動片4j、4j’の先端は例えば幅25mmのベルト部4k、4k’とされ、その最先端には幅40mm程度の係止片4l、4l’がそれぞれ付設されている。また、内面部4fの2個所には、例えば長さ30mmの2個ずつのスリット孔4m、4m’が、ベルト部4k、4k’に対応して上下方向に、10mm程度の間隔で並列して切欠されている。
【0025】
図6に示すように、ベルト部4k、4k’と係止片4l、4l’は、それぞれ2個ずつの一方のスリット孔4mに挿通され、他方のスリット孔4m’から内面部4fの外側に潜り抜けて引き出されている。係止片4l、4l’はスリット孔4m、4m’の長さよりも幅広に形成されているので、ベルト部4k、4k’がスリット孔4m、4m’に対し摺動しても、スリット孔4m、4m’から脱け出ないようにされている。
【0026】
実施例2においては、このような摺動手段を有する容量可変収納部4’が設けられているので、実施例1と同様に、摺動片4j、4j’の左右方向の位置により、外面部4bと内面部4fとの間隙を調節できるので、厚みの大きな収納物の収納が可能となる。
【0027】
なお、実施例2においても、摺動片4j、4j’同士をゴムバンド9により連結することも好ましい。なお、実施例2でゴムバンド9を使用する場合には、係止片4l、4l’は省略して、ゴムバンド9によりベルト部4k、4k’の端部同士を直接に連結してもよい。
【0028】
実施例においては皮革地を材料として説明したが、合成樹脂製のシートを用いても支障はない。また実施例では、摺動片4c、4c’及び4j、4j’と内面部4fの間に、摺動手段を2組ずつ設けたが、摺動手段は1組として、摺動片4c、4c’及び4j、4j’の内の何れか一方に設け、他方の摺動片4c、4c’及び4j、4j’は、摺動機能を持つことなく外面部4bと内面部4fの間に固定してもよい。
【0029】
なお、蓋部5を容量可変収納部4の外面部4bに係止するのは、実施例のようなホック7、8以外に、係止バンド、面ファスナ、マグネットホックなどを用いることができる。
【0030】
更に実施例においては、ショルダバッグについて説明したが、その他にも、ランドセル、ハンドバッグ等のバッグ類に、書籍やノートパソコン、タブレットなどを収納したり、財布に札束、スマートフォンなどを収納する場合に、本発明の容量可変収納部4を適用することできる。また、容量可変収納部4、4’に専用の蓋部を設けてもよい。
【0031】
また、説明中の寸法は例示であるので、この寸法に何ら拘わる必要はない。
【符号の説明】
【0032】
1 ショルダバッグ
2 本体部
3 収納部
4 容量可変収納部
4a 連結部
4b 外面部
4c、4c’、4j、4j’ 摺動片
4e、4e’ 長孔
4f 内面部
4g、4g’ 係止具
4k、4k’ ベルト部
4l、4l’ 係止片
4m、4m’ スリット孔
5 蓋部
9 ゴムバンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6