(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】対称ビーム増倍を伴う画像導波路
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2022500145
(86)(22)【出願日】2020-07-05
(86)【国際出願番号】 IL2020050753
(87)【国際公開番号】W WO2021001841
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-16
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エイタン・ロネン
(72)【発明者】
【氏名】ロネン・クリキ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・マイケルズ
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0285348(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0250431(US,A1)
【文献】特開2014-132328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの眼に画像を表示するための光学システムであって、
(a)平行である2つの平面の主外面(12,14)を有する光ガイド光学要素(LOE)(10)であって、前記主外面(12,14)での内部反射による前記LOE(10)内での画像照明の伝播をサポートする、LOE(10)と、
(b)前記LOE(10)のカップリングアウト領域に設けられ、前記LOE(10)から前記ユーザの前記眼(100)に向かって前記画像照明の少なくとも一部をカップリングアウトするように構成された、カップリングアウト構成と、
(c)コリメート像に対応する画像照明を生成するための画像プロジェクタ(20)であって、前記画像照明を前記LOE(10)に導入して内部反射によって前記LOE(10)内を伝播させるように前記LOE(10)に光学的にカップリングされている、画像プロジェクタ(20)と、を備え、
前記LOE(10)が、前記カップリングアウト領域とは異なるビーム増倍管領域をさらに含み、前記ビーム増倍管領域が、n個の内部平面ビームスプリッタ(24)を有し、nは1以上の整数であり、各ビームスプリッタ(24)が、前記LOE(10)の内部にあり、かつ前記主外面(12,14)に平行であり、前記n個のビームスプリッタ(24)が、前記主外面(12,14)間の前記LOE(10)の厚さを等しい厚さの(n+1)層に細分し、
各ビームスプリッタ(24)は、1/(i+1)による内部反射により前記LOE(10)内を伝播する画像照明のための反射率を有し、ここで、iは、連番のビームスプリッタ(24)のインデックスであり、iについて1~nであり、
前記
n個の内部平面ビームスプリッタ(24)は、内部反射により前記LOE(10)内を伝播する画像照明について1/2の反射率を有すると共に、前記LOE(10)の主外面(12,14)の間で反射されるコリメートされた画像の最も浅い角度の光線の少なくとも一サイクルの半分で前記LOE(10)に沿って延び
る第1のビームスプリッタを含み、
前記LOE(10)及び/又は前記LOE(10)への前記画像プロジェクタ(20)のカップリングは、前記ビーム増倍管領域に進入する前記画像照明が前記LOE(10)
の主外面(12,14)に垂直な方向における前記LOE(10)の
断面の部分断面を充填するように構成され、前記LOE(10)の
前記部分断面の充填は、前記LOE(10)の
前記部分断面内の全点における前記コリメートされた画像の各ピクセルに対応する光線の存在により規定され
、前記部分断面の面積は、前記部分断面を含む前記断面の全面積の1/(n+1)に対応する、光学システム。
【請求項2】
前記カップリングアウト構成が、前記LOE(10)内に配置され、かつ前記主外面(12,14)に対して斜めに配向された、複数の相互平行な部分反射面(16)を含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記カップリングアウト構成が、前記LOE(10)の前記カップリングアウト領域に設けられ、かつ前記画像照明の一部を前記ユーザの前記眼(100)に向かって漸進的にカップリングアウトするように構成された、少なくとも1つの回折光学要素(18)を含む、請求項1又は2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記LOE(10)は、前記主外面(12,14)に垂直な入力アパーチャを有し、前記ビームスプリッタ(24)が前記入力アパーチャまで延び、前記画像プロジェクタ(20)は、前記入力アパーチャの全ての点で前記コリメートされた画像の各ピクセルに対応する光線を導入するように前記入力アパーチャに光学的にカップリングされる、請求項1に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野および背景技術
本発明は、光学システムに関するものであり、特に、照明ビームが対称的に増倍される導波路を使用する画像表示システムに関するものである。
【0002】
本発明の実施の例示的な状況として、様々な光学ディスプレイは、ユーザの眼の反対側の画像プロジェクタからの画像を伝達するための光ガイド光学要素(LOE)(交換可能に「導波路」または「基板」と呼ばれる)を使用し、それは、典型的には部分反射器の配置によって、または回折光学素子によって、眼に向かってカップリングアウトされている。
【0003】
観察された画像の均一性を達成するために、導波路は、投影された像およびその共役像で均一に「充填される」必要がある。これは、画像プロジェクタのサイズおよび光学設計の他の様々な側面に設計上の制限を課す。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、対称ビーム増倍を伴う光ガイド光学システムである。
【0005】
本発明の実施形態の教示によれば、ユーザの眼に画像を表示するための光学システムであって、(a)平行である2つの平面の主外面を有する光ガイド光学要素(LOE)であって、主外面での内部反射によるLOE内の画像照明の伝播をサポートする、LOEと、(b)LOEのカップリングアウト領域に関連付けられ、LOEからユーザの眼に向かって画像照明の少なくとも一部をカップリングアウトするように構成された、カップリングアウト構成と、(c)コリメート像に対応する画像照明を生成するための画像プロジェクタであって、画像照明をLOEに導入して内部反射によってLOE内を伝播するようにLOEに光学的にカップリングされている、画像プロジェクタと、を備え、LOEが、カップリングアウト領域とは異なる対称ビーム増倍管領域をさらに含み、対称ビーム増倍管領域が、n個の内部平面ビームスプリッタを有し、nは正の整数であり、各ビームスプリッタが、LOEの内部にあり、かつ主外面に平行であり、n個のビームスプリッタが、主外面間のLOEの厚さを等しい厚さの(n+1)層に細分し、LOEおよび/または画像プロジェクタのLOEへのカップリングが、対称ビーム増倍管領域に入る画像照明が、(i)コリメート像の共役がないコリメート像に対応する画像照明で、もしくはコリメート像がないコリメート像の共役を伴う画像照明で、層のうちの少なくとも2つを充填するか、または(ii)コリメート像およびコリメート像の共役の両方に対応する画像照明で、層のうちの1つのみを充填する、ように構成されている、光学システムを提供する。
【0006】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、LOEが、主外面に垂直である入力アパーチャを有し、n個のビームスプリッタが、入力アパーチャまで延在し、画像プロジェクタが、入力アパーチャに光学的にカップリングされて、コリメート像の共役がないコリメート像で入力アパーチャを充填する。
【0007】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、LOEが、層のうちの1つに対応する入力アパーチャを有し、画像プロジェクタが、入力アパーチャに光学的にカップリングされて、コリメート像およびコリメート像の共役で層のうちの1つを充填する。
【0008】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、n=1であり、ビームスプリッタの反射率が、1/2である。
【0009】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、n=2であり、ビームスプリッタのうちの第1のものの反射率が、1/2であり、ビームスプリッタのうちの第2のものの反射率が、1/3である。
【0010】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、カップリングアウト構成が、LOE内に配置され、かつ主外面に対して斜めに配向された、複数の相互平行な部分反射面を含む。
【0011】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、カップリングアウト構成が、LOEに関連付けられ、かつ画像照明の一部をユーザの眼に向かって漸進的にカップリングアウトするように構成された、少なくとも1つの回折光学要素を含む。
【0012】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、ユーザの眼に画像を表示するための光学システムであって、(a)平行な2つの平面の主外面を有する光ガイド光学要素(LOE)であって、主外面での内部反射によるLOE内の画像照明の伝播をサポートする、LOEと、(b)コリメート像に対応する画像照明をLOEに導入して、第1の伝播方向にLOE内を伝播するためのカップリングイン領域と、(c)LOEのカップリングアウト領域に関連付けられ、LOEからユーザの眼に向かって画像照明の少なくとも一部をカップリングアウトするように構成された、カップリングアウト構成と、(d)LOEに関連付けられ、画像照明を第1の伝播方向から漸進的にリダイレクトして、カップリングアウト構成に向かって第2の伝播方向にLOE内を伝播するように構成された、アパーチャ拡大構成と、(e)アパーチャ拡大構成とカップリングアウト領域との間に挿入された対称ビーム増倍管領域であって、対称ビーム増倍管領域が、n個の内部平面ビームスプリッタを有し、nは正の整数であり、各ビームスプリッタが、LOEの内部にあり、かつ主外面に平行であり、n個のビームスプリッタが、主外面間のLOEの厚さを等しい厚さの(n+1)層に細分する、対称ビーム増倍管領域と、を備える、光学システムも提供する。
【0013】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、n個の内部平面ビームスプリッタが、LOE内を伝播する画像照明に対応する角度範囲に対する第1の反射率と、小さな入射角の場合の、第1の反射率よりも低い第2の反射率と、を有するn個の角度選択性ビームスプリッタとして実装される。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、アパーチャ拡大構成が、LOE内に配置され、かつ主外面に対して斜めに配向された、複数の相互平行な部分反射面を含む。
【0015】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、カップリングアウト構成が、LOE内に配置され、かつ主外面に対して斜めに配向された、複数の相互平行な部分反射面を含み、カップリングアウト構成の部分反射面が、アパーチャ拡大構成の部分反射面に対して非平行である。
【0016】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、アパーチャ拡大構成が、LOEに関連付けられ、かつ画像照明の一部を第1の伝播方向から第2の伝播方向に漸進的にリダイレクトするように構成された、少なくとも1つの回折光学要素を含む。
【0017】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、カップリングアウト構成が、LOEに関連付けられ、かつ画像照明の一部をユーザの眼に向かって漸進的にカップリングアウトするように構成された、少なくとも1つの回折光学要素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。
【
図1A】本発明の実施形態による対称ビーム増倍を伴う画像投影導波路システムを示す概略側面図であり、それぞれ反射ビーム指向成分および回折ビーム指向成分を使用する。
【
図1B】本発明の実施形態による対称ビーム増倍を伴う画像投影導波路システムを示す概略側面図であり、それぞれ反射ビーム指向成分および回折ビーム指向成分を使用する。
【
図2】従来のカップリングイン形状によるカップリングインウェッジを使用した導波路の概略側面図である。
【
図3A】
図2の導波路に導入された異なるサイズの照明アパーチャが、それぞれ、導波路を完全に充填することおよび部分的に充填することを達成した結果を示す。
【
図3B】
図2の導波路に導入された異なるサイズの照明アパーチャが、それぞれ、導波路を完全に充填することおよび部分的に充填することを達成した結果を示す。
【
図4A】
図1Aの対称ビーム増倍を伴う画像投影導波路システムの製造における段階の概略的描写である。
【
図4B】
図1Aの対称ビーム増倍を伴う画像投影導波路システムの製造における段階の概略的描写である。
【
図5A】
図1Aまたは
図1Bの導波路のカップリングイン構成のタイプの概略的描写であり、制御された非対称性を示す。
【
図5B】
図1Aまたは
図1Bの導波路のカップリングイン構成のタイプの概略的描写であり、制御された非対称性を示す。
【
図5C】
図1Aまたは
図1Bの導波路のカップリングイン構成のタイプの概略的描写であり、制御された非対称性を示す。
【
図6】
図1Aの対称ビーム増倍を伴う画像投影導波路システムに画像プロジェクタをカップリングするための第1の好ましい構成を示す概略側面図である。
【
図7】
図1Aの対称ビーム増倍を伴う画像投影導波路システムに画像プロジェクタをカップリングするための第2の好ましい構成を示す概略側面図である。
【
図8A】それぞれ光線追跡シミュレーションに使用されるモデルに対応する
図7の構成のそれぞれ側面図および正面図である。
【
図8B】それぞれ光線追跡シミュレーションに使用されるモデルに対応する
図7の構成のそれぞれ側面図および正面図である。
【
図8C】非対称カップリングイン画像照明のための画像投影導波路システムの出力を示す
図8Aと同様の図である。
【
図9】共役像を欠く非対称カップリングイン画像照明のための導波路内の照明パターンの概略的描写である。
【
図10A】本発明の一態様による対称ビーム増倍管の効果を示す
図9と同様の概略的描写である。
【
図10B】
図10Aと同様の図であるが、対称ビーム増倍管を通って伝播する際のアパーチャの各部分の照明から生じる強度分布を別々に示す。
【
図10C】
図10Aと同様の図であるが、対称ビーム増倍管を通って伝播する際のアパーチャの各部分の照明から生じる強度分布を別々に示す。
【
図11A】導波路の厚さを3層に分割する2つのビームスプリッタを有する対称ビーム増倍管についての
図10Bおよび
図10Cと同様の図であり、2つの層は、共役像がない画像照明で照明される。
【
図11B】導波路の厚さを3層に分割する2つのビームスプリッタを有する対称ビーム増倍管についての
図10Bおよび
図10Cと同様の図であり、2つの層は、共役像がない画像照明で照明される。
【
図12A】本発明のさらなる態様による、画像プロジェクタが薄い導波路を画像とその共役の両方で充填し、その後、画像が対称ビーム増倍管によってより厚い導波路に拡大される、光学配置の概略側面図である。
【
図13A】導波路の厚さを4つの層に分割する3つのビームスプリッタを有する対称ビーム増倍管についての
図10Cと同様の概略的描写であり、対称ビーム増倍管を通るアパーチャの1つの層における1つの像の伝播を示す。
【
図13B】
図13Aと同様の図であり、各ビームスプリッタに0.25または0.5の等しい反射率を使用する効果を示す。
【
図13C】
図13Aと同様の図であり、各ビームスプリッタに0.25または0.5の等しい反射率を使用する効果を示す。
【
図14A】アパーチャ拡大の2つの段階の間に中間対称ビーム増倍管を使用する2次元光学アパーチャ拡大のための導波路のそれぞれ側面図および正面図である。
【
図14B】アパーチャ拡大の2つの段階の間に中間対称ビーム増倍管を使用する2次元光学アパーチャ拡大のための導波路のそれぞれ側面図および正面図である。
【
図15A】それぞれ対称ビーム増倍管がある場合とない場合の、
図14Aの導波路内の照明の分布を示す概略側面図である。
【
図15B】それぞれ対称ビーム増倍管がある場合とない場合の、
図14Aの導波路内の照明の分布を示す概略側面図である。
【
図16】カップリングインアパーチャに関連付けられた第1の対称ビーム増倍管と、光学アパーチャ拡大の2段階の中間に配置された第2の対称ビーム増倍管と、を使用する2次元アパーチャ拡大を伴う表示システムの概略的等尺性描写である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、対称ビーム増倍を伴う光ガイド光学システムである。
【0020】
本発明による光学システムの原理および動作は、図面および添付の説明を参照することによってより良く理解することができる。
【0021】
ここで図面を参照すると、
図1Aおよび
図1Bは、アイモーションボックス(EMB)102と呼ばれる領域内に位置するユーザの眼100に画像を表示するための光学システムの典型的な実装を概略的に示している。このシステムは、光ガイド光学要素(LOE)10(交換可能に「導波路」または「基板」と呼ばれる)であって、平行である2つの平面の主外面12、14を有し、主外面での内部反射によるLOE内での画像照明の伝播をサポートする、LOEを含む。カップリングアウト構成は、LOE10のカップリングアウト領域に関連付けられ、LOEからユーザの眼100に向かって画像照明の少なくとも一部をカップリングアウトするように構成されている。特定の実施形態では、カップリングアウト構成は、
図1Aに示されるように、LOE内に配置され、かつ主外面に対して斜めに配向された、相互平行な部分反射面16のセットとして実装される。他の実施形態では、カップリングアウト構成は、
図1Bに示されるように、LOE10に関連付けられ、かつ画像照明の一部をユーザの眼に向かって漸進的にカップリングアウトするように構成された、少なくとも1つの回折光学要素18として実装される。
【0022】
交換可能に「POD」と呼ばれる画像プロジェクタ20は、コリメート像に対応する画像照明を生成する。画像プロジェクタ20は、画像照明をLOEに導入して、内部反射によってLOE内を伝播するように、LOE10に光学的にカップリングされている。本発明のデバイスで使用されるPODは、コリメート像を生成するように構成されることが好ましく、すなわち、コリメート像では、各画像ピクセルの光は、ピクセルの位置に対応する角度方向で、無限遠にコリメートされた平行ビームである。従って、画像照明は、2次元の視野角に対応する角度範囲に及ぶ。
【0023】
画像プロジェクタ20は、典型的には、LCOSチップなどの空間光変調器を照明するために配置された少なくとも1つの光源を含む。空間光変調器は、画像の各ピクセルの投影強度を変調し、それによって画像を生成する。代替的に、または追加的に、画像プロジェクタは、ビームの強度がピクセル単位で動きと同期して変化し、それによって各ピクセルに所望の強度を投影しながら、プロジェクタの画像平面を横切ってレーザ光源からの照明を走査する、典型的には高速走査ミラーを使用して実装される走査配置を含み得る。どちらの場合も、無限遠にコリメートされる出力投影画像を生成するために、コリメート光学系が提供される。上記の構成要素のいくつかまたはすべては、典型的には、当技術分野でよく知られているように、反射光学系を使用して、1つ以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブまたは他のプリズム配置の表面に配置される。代替的に、反射および/または屈折光学系を備えた自由空間光学系の実装を使用してもよい。画像プロジェクタの詳細は、それ自体は本発明の一部ではなく、提示を単純化するために、画像プロジェクタは、個々の構成要素を示す試みなしに、ここでは破線のボックスとして概略的に表されている。
【0024】
画像プロジェクタ20とLOE10との光学的カップリングは、例えば、斜めに角度を付けられた入力面を有するカップリングプリズムを介して、または反射カップリング配置を介して、LOEのサイドエッジおよび/もしくは主外面のうちの1つを介してなど、任意の適切な光学的カップリングによって達成され得る。ウェッジプリズムを介したカップリングインの例は、PCT公開第WO2015/162611号に見出され得る。ミラーを使用するカップリングインの様々な例は、PCT公開第WO2001/095027号に見出され得る。以下に別段の定めがある場合を除いて、カップリングイン構成の詳細は、典型的には、本発明にとって重要ではなく、ここでは、LOE10のエッジ表面に適用されるウェッジプリズム22の非限定的な例として概略的に示されている。さらに、カップリングインプリズムを使用して本明細書に示される本発明の実装は、反射カップリングイン配置を使用して等しく実装することができ、逆もまた同様である。カップリングイン構成は、
図2ではα
podとして示されている、PODとLOEとの間の角度を決定する。
【0025】
図2および
図3Aは、従来のアプローチによるウェッジプリズム22を使用するカップリングイン構成を示している。LOEは、すべての光の伝播角(「視野(fields)」または「視野(field of view)」-FOVとも呼ばれる)にわたってかつEMB102全体を通して、均一な分布で人間の眼に画像照明を提供する必要がある。このためには、各視野のアパーチャを均一に光で充填する必要がある。言い換えると、コリメート像内のピクセルに対応する任意の照明角度に対して、LOEの主表面に垂直な平面内のLOEの断面全体が、LOEボリュームの任意の点でコリメート像とその共役の両方のすべてのピクセルに対応する光線が存在するように、画像とその反射(共役)の両方で充填される必要がある。この結果を達成するために、
図3Aに示されるように、比較的大きなアパーチャの画像プロジェクタ20が、LOEの1つの主表面12への延長部とともに使用され、その結果、LOE10のアパーチャは、画像の完全な直接照明および表面12から内部反射された共役像の全反射照明を受けた。画像プロジェクタ20は、この方法でLOEアパーチャを充填するために、対応する大きなアパーチャを持たなければならない。
【0026】
「充填」条件が満たされない場合、眼に照らされた光は均等に分散されない。この基準を満たさない狭い照明ビームの例が
図3Bに示され、より小さな画像プロジェクタ20が、他の点では
図3Aと同様の光学構成で使用される。アパーチャの充填が不足している場合、LOEを出る光は均等に分散されない。LOEの充填の不均一性は、小さなアパーチャのプロジェクタの使用、小さなカップリングイン形状の使用、内部ファセット反射の特定の構成を含むが、これらに限定されないいくつかの理由で発生する可能性がある。
【0027】
図1A、
図1Bおよび
図4A~
図16に示される本発明の一態様は、様々な構成に関し、その構成では、コリメート像の光が、主要な平行な外面のペアを有する光ガイド光学要素(LOE)によってガイドされるが、完全には充填されず、特に、LOEに沿ったすべての点で画像/画像-共役のペアになることなく画像が伝播する。そのような状況では、本発明の一態様によれば、カップリングアウト領域とは異なる対称ビーム増倍管領域をLOE10に提供することが特に効果的であることが見出され、対称ビーム増倍管領域は、n個の内部平面ビームスプリッタ24を有し、nは正の整数であり、各ビームスプリッタ24は、LOE10の内部にあり、かつ主外面12、14に平行である。n個のビームスプリッタは、主外面間のLOEの厚さを同じ厚さの(n+1)層に細分する。したがって、n=1の最も単純で特に好ましい例では、ビームスプリッタ24は、2つの主外面の間の中間面に位置する部分反射面として実装され、最も好ましくは、部分反射面は、約50%の反射率を有する。そのような対称ビーム増倍管領域は、典型的には、
図4Aに示されるように、1つのプレート上のコーティングとしてビームスプリッタを提供し、次にそのプレートを別の同様のプレートと結合することによって実装される。次に、ビーム増倍管領域は、
図4Bに概略的に示されているように、他の要素と統合されて、全体的なLOE構造を形成する。
【0028】
本発明の対称ビーム増倍管は、LOEの部分的充填の特定の非対称形態と特に相乗効果を有し、ビーム増倍の対称性は、短距離にわたって完全なビーム均一性を迅速に達成することが見出された。このような相乗効果の特に重要なシナリオは、LOE10の構成および/または画像プロジェクタ20とLOE10とのカップリングが、対称ビーム増倍管領域に入る画像照明が、(i)コリメート像の共役がないコリメート像に対応する画像照明で(
図5B)、もしくはコリメート像がないコリメート像の共役を伴う画像照明で(
図5C)、層のうちの少なくとも2つを充填するか、または(ii)コリメート像およびコリメート像の共役の両方に対応する画像照明で(
図5A)、層のうちの1つのみを充填する、ようなものである。
【0029】
本発明のこの態様によって最適に対処される1つのタイプの非対称性の典型的なシナリオが
図9に示され、そこでは、図示のようにLOEの左エッジとして取られる任意の開始点で、コリメート像のある視野(特定のピクセルに対応する角度方向)に対応する光が、示されているように下向き方向に伝播してLOEの厚さ全体にわたって存在するが、共役像の対応する視野が欠落している。ここでは、下向きに伝播する画像は、下向きの矢印で表され、上向きに伝播する共役像は、上向きの矢印で表されている。画像が混在する領域は、両矢印で表されている。光は、示されるように右に向かって伝播し、LOEの下部の主表面で全内部反射を受けて共役像に変換され、共役像は、上面で反射されて元の画像を再び生成するまで、上向きに角度を付けて伝播する。(このプロセスは、光がLOEからカップリングアウトされるまで、ここに図示されているものを超えて続行される。)画像とその共役がLOEの厚さを「充填」していないことがすぐにわかる。実際、このシナリオでは、画像とその共役のそれぞれがLOEのボリュームの半分(画像が伝播している断面において)に存在し、一部の領域で互いに重なり、一部は完全に「暗い」領域(この描写では影なしである)と重なっている。
【0030】
図10Aに示されるように、中間面50%ミキサは、欠落している共役像の非常に迅速な「内部充填(filling in)」を達成し、その結果、非常に短い距離内で、LOEの完全な充填が達成されることが見出された。このミキシングを達成するために必要な長さは、理想的には、LOEの上面と下面の間で跳ね返る画像の最も浅い角度の光線の1サイクルの半分以下である。両方の画像の均一な照明パターンによるLOEのこの非常に迅速な充填は、対称ビーム増倍管への入力での制御された非対称状態とビーム増倍管自体の対称性との間の上記の特定の相乗効果の結果である。
【0031】
欠落した共役像のこの完了および画像強度の再分布が発生するメカニズムは、LOEの上半分および下半分の画像の照度および伝播方向を別々に考慮することによって、
図10Bおよび
図10Cに概略的に示されている。
図10Bは、下向きに伝播するLOEの上半分で始まる画像強度についてのLOEの上半分と下半分との間の強度分布を示しており、
図10Cは、導波路の下半分で下向きに始まる画像について同じことを示している。LOEに沿った「サイクル」全体が示されているが、半サイクル後にすでに均一な画像強度分布が達成されていることに留意する。矢印の方向(主画像またはその共役のいずれかに対応する伝播の方向を表す)から、LOE全体も両方の画像で充填されていることが理解されよう。(この文献全体を通して、「主画像」と「共役像」は任意に識別され、交換可能であることに留意されたい。すなわち、どちらか、または場合によっては両方を使用して、画像を観察者に伝えることができ、また、ユーザに向けて投影される画像は、画像プロジェクタから注入されたものと同じ画像である場合もあれば、その共役である場合もある。)
【0032】
本発明のこの態様は、これまで主に、それを2つの等しい部分に分割するLOEの中間面に配置された単一の部分反射器を参照して示されてきたが、その原理は、厚さをn=1、2、3などの「n+1」セクションに均等に分割するように、LOEの主表面に平行に配置された「n」個の部分反射器に一般化できることに留意されたい。この場合、連続する反射器の好ましい反射率は1/2、1/3、…1/(n+1)である。例として、
図11Aおよび
図11Bは、反射率1/2および1/3を有する2つの部分反射器によって3つの部分に細分され、その共役がない画像がLOEの3つの層のうちの2つに注入される導波路の強度分布および共役像充填を示している。ここでも、図示されている例では、分布の強度は、半サイクル内で迅速に均一になり、3つの層のうちの2つに注入されると、LOEの厚さ全体にわたって画像とその共役の両方が生成されている。描写を簡単にするために、各層/厚さの3分の1の入力強度が100%であるものとしてラベル付けされている。
【0033】
様々な部分反射器の反射率は、それらの所望の値によって識別されていることが理解されるが、反射率の比率は、すべての場合において正確に定義または正確に達成できるとは限らないパラメータであり、ここでの意図は、サンプリングされた場合に得られる強度分布がLOEの厚さ全体で均一であると視覚的に認識される理論値(例えば、0.5)に十分に近い値を参照することである。単一の反射層(n=1)の場合、半サイクル後に、画像と共役像の間の強度差がΔであるR=0.5+Δの反射率が得られ、より一般的には、m回の半サイクルの後、(m-1)*Δmの強度差が得られることになる。典型的には、5~10%のΔは、1回の半サイクル後でも視覚的に許容可能である。反射率の±5%、さらには±10%の変動は、場合によっては、視覚的に許容できるほど十分に最適に近い結果をもたらし得る。部分反射層とLOEの主外面との間の平行性を維持する必要があり、厚さを等分に細分することは、ビーム増倍プロセス中に不均一な強度のストライプを生成することを回避するために、好ましくは10%以内の精度で、好ましくはもっと正確に実行される。
【0034】
構造的に、ビーム増倍構成の部分反射率は、金属コーティング、構造部分反射器(例えば、水玉模様の反射器)、および多層誘電体コーティングが挙げられるがこれらに限定されない、任意の適切な部分反射層またはコーティングを使用して実装することができる。観察者が外部の「実際の」シーンを見る領域に部分反射層を配置することが望ましい場合(特に、
図14A~
図16を参照して以下に図示する特定の実施形態に排他的に関連するわけではないが)、部分反射コーティングを、コーティングが直接見たシーンからの光の減衰を少なくするように小さな角度(ビームスプリッタに垂直に近い)で低い反射率を持ちながら、LOE内での画像光伝播の角度に対応する範囲の角度で50%の反射率(または複数のビームスプリッタの実装の場合は上記のシーケンスによる対応する所望の反射率)を有する角度依存反射コーティングを使用して、実装することが好ましい。このような角度依存反射率を持つ層は、必要な特性がフレネル反射特性と本質的に類似しているため、多層誘電体コーティングを使用して容易に実現でき、製造が容易である。そのような角度依存反射率を提供するための多層コーティングの設計は、当技術分野で一般的な慣行のように、標準的なソフトウェアパッケージを使用して実行することができ、適切なコーティングを多くの供給元から商業的に入手することができる。したがって、提示を簡潔にするために、ここでは詳細については説明しない。
【0035】
この場合、主画像と共役像との間の最適な均一性は、LOEの厚さの2/3(上部2/3、または下部2/3、または上部と下部の部分が1/3ずつである中央1/3のいずれか)をカバーするカップリングインアパーチャを介して画像を注入することによって達成される。
【0036】
図12Aは、本発明の対称ビーム増倍管と特に相乗効果を有する、すなわち、LOEの1つの層が画像およびその共役の両方で充填され、他の層は最初は画像照明がない、入力状態の代替形態を概略的に示している。
図12Bおよび
図12Cは、LOEの厚さが増加する点で始まる対称ビーム増倍管を介した画像および共役像の分布を示している。この場合、図示されているように下向きに伝播する画像は、完全な均一性に達するまでに2/3サイクルかかる。これは、この場合、1/2反射器と1/3反射器を交換すると、短縮される。このシナリオでは、カップリングインが比較的薄い層に対してのみ達成される必要があり、LOEの厚さを増やすことが望ましい状況で役立つことがあるため、小さなプロジェクタアパーチャとカップリングプリズムの使用が容易になる。
【0037】
図13Aは、LOEの厚さを4等分に分割する)、それぞれ反射率1/4、1/3、および1/2を有する3つの反射器を有するさらなる例を示しており、LOEに沿って最も長い長さをとってLOEの厚さ全体でその強度を等しくするが、LOEの上面と下面との間の反射は1サイクル未満である、アパーチャの部分を示している。そのような例は、好みに応じて、LOEの厚さの半分の厚さにわたって、もしくはLOEの厚さ全体にわたって、1つの画像(その共役なし)のみを提供するか、または画像とその共役を1つの層に完全にカップリングする、入力アパーチャを使用して、LOEの厚さの均一な充填を提供することができる。
【0038】
開示された反射率の特定のシーケンスは、等しい部分反射率を有する複数のビームスプリッタを使用して達成することができない方法で、照度の迅速な等化を達成することに留意されたい。比較例として、
図13Bおよび
図13Cは、部分反射層の3つすべてが0.25(
図13B)または0.5(
図13C)のいずれかの同じ反射率を有する
図13Aと同様の場合である。どちらの場合も、
図13Aで均一性を達成したのと同じ経路長の後、強度分布は依然として均一にはほど遠い。
【0039】
前述のように、対称ビーム増倍管の最適なパフォーマンスは、入力照明がビーム増倍管構造との相乗効果を持つ明確に定義された非対称性を持っている場合に達成される。このため、特に好ましい実装の第1のセットでは、ビームスプリッタ24は、主外面12、14に有利に垂直である、LOE10の入力アパーチャ26まで延在する。本発明の特定の実装によれば、画像プロジェクタ20は、入力アパーチャを、コリメート像の共役がないコリメート像で満たすように、入力アパーチャ26に光学的にカップリングされる。そのような光学的カップリングを達成するための2つの例示的な構成が、
図6および
図7に概略的に示されている。
【0040】
図6では、カップリングプリズム22が、画像プロジェクタ20からの画像の中心(公称)光線にほぼ垂直なカップリングイン面を提供し、画像が事前の反射なしに入力アパーチャ26に入るのを可能にする。カップリングインされた画像は、共役がない単一の画像であり、対称ビーム増倍管は、説明されているように画像/共役の組み合わせを再構築する。
【0041】
図7は、カップリングプリズム22’が、LOEの垂直入力アパーチャ26に到達する前に画像が1回の反射を受ける表面を提供するように構成される、機能的に類似した配置を示している。この構成は、LOEの平面に対して大きな角度で延び、LOEの端を超えて延びるバルクを最小限に抑えた、画像プロジェクタの配向を容易にし、これは、特定の実用的な実装、特に眼鏡フレーム形状を採用するニアアイディスプレイに特に有利となり得る。
【0042】
図8Aおよび
図8Bは、それぞれ、LOE10に対するEMB102の相対位置を示す
図7のデバイスの実装の側面図および正面図であり、
図8Cは、光線追跡ソフトウェアがこの設計を通じて投影された画像の特定のピクセル視野を分析した結果である。カップリングインされた画像は、共役がない画像を提供するカップリングインにもかかわらず、EMBに均一に配送されることがわかる。
【0043】
これらのカップリングイン構成のコンパクトさは、それらを
図2および
図3Aに示される従来のアプローチと比較することによってより良く理解される。その場合、LOEの1つの面がLOEアパーチャを超えて延長され、カップリングインウェッジを提供して、画像とその共役の両方でアパーチャを充填し、特に、非常に大きな(グレージング)伝播角がある場合は、カップリングインメカニズムには、以下の2つの主問題がある。
1.ウェッジのサイズは、φ
mがグレージング角に近づくと劇的に増加するdTan(φ
m)に匹敵するので、大きい。
2.LOEとPODとの間の角度は、中央FOV伝播α
pod=90+φ
c(ここで、φ
cは中央FOV伝播角である)により支配され、いくつかのシステムにとってはあまり魅力的ではないかもしれない。例えば。サイドポッドシステム(ガラスなど)の場合、α
podは、約110度であり、φ
c=60°の場合に、α
pod=150°であることが望ましい。
【0044】
対照的に、
図6および
図7の配置は、垂直入力アパーチャ26を介して、その共役がない、1つの画像のみでカップリングインするので、カップリングプリズム22のサイズは、もはやTan(φ
m)に対してではなく、コサイン関数:Cos(φ
m)に対するものである。
図7に示すように、フォールディングファセットを使用して光の伝播角を分割し、α
podを変更する場合、これにより、幾何学的設計に追加の自由度が導入される。ここに示す例では、導波路の入力アパーチャに入る画像の中心伝播角は60度であるが、ウェッジとして機能するフォールディングプリズムにより、ポッド角α
podは、106.5であり、アパーチャサイズは比較的小さくなっている。
【0045】
本明細書で定義される特定の構成を使用して、LOEの厚さ全体にわたる画像強度の迅速な等化のために、本発明のビーム増倍管配置は、任意選択で、LOEの比較的短いセクションに沿って選択的に配置され得、それは、典型的にはLOEの厚さの約5倍以下、場合によってはLOEの厚さの3倍以下であり得る。より長い部分反射面の使用はビーム充填の均一性に悪影響を与えないが、LOEの短い長さにわたって効果的なビーム増倍を達成する能力は、設計のコンパクトさに関して大きな利点を提供し、反射器の散乱効果を最小限に抑え、および部分反射器を、観察者が実世界を見るLOEの表示領域の外側に保つ。
【0046】
本発明のこの態様は、LOEを画像およびその共役で直接充填するための配置が実行不可能であるか、またはサイズおよび/もしくはフォームファクタなど、その他の設計考慮事項上の妥協なしに行うことができない状況において、コンパクトで効率的なシステム設計を容易にするために、広範囲の状況および構成において有利に使用され得る。
【0047】
50%中間面ビームスプリッタ構成に必要なビームスプリッタ24の長さは、典型的には、LOE内を伝播する視野のすべての部分からの最大アパーチャの半分(すなわち、半サイクル)である。この長さは、L
m=0.5dTan(φ
m)で与えられ、式中、dはLOEの厚さであり、φ
mは、LOEの法線に対するすべての視野の最大伝播角である(
図3Bを参照)。
【0048】
構造的に、ミキサは典型的には、対向する表面の1つに適用された必要なビームスプリッタコーティングを有する対応する数の層を光学的に結合し、次いで、本明細書に図示されている様々な例に従って、組み立てられたスタックを、最終的なLOEを組み立てるために必要な他のセクションと統合することによって製造される。任意選択で、部品の組み立て後、主外面を再研磨して、接合部全体で相互平行性と連続性を確保する。任意選択で、上に示した
図6または
図7のものと同様のウェッジなどのカップリングイン要素を追加してもよい。ここに提示されたステップの順序は単なる例であり、代替の構築シーケンスおよび代替の構築技術もまた本発明の範囲内にあることを強調することが重要である。
【0049】
ここで、
図14A~
図16を参照して図示される、本発明の例示的な実施形態のさらなるセットに眼を向けると、いくつかの表示システムは、単一の導波路内に2段階の光学的拡大を含むLOEを使用する。このような場合、画像プロジェクタは、カップリングイン領域30にカップリングされて、コリメート像に対応する画像照明をLOEに導入して、LOE内を第1の伝播方向p
1(
図14B)に伝播させ、LOEのカップリングアウト領域32に関連付けられ、かつLOEからユーザの眼に向かって画像照明の少なくとも一部をカップリングアウトするように構成されたカップリングアウト構成である。前と同様に、カップリングアウト構成は、ここに図示されているように、および上記の
図1Aに示されているように、LOE内に配置され、かつ主外面に対して斜めに配向された、相互平行な部分反射面16のセットであり得るか、または
図1Bを参照して上で説明したように、少なくとも1つの回折光学素子として実装され得る。
【0050】
デバイスはまた、LOEに関連付けられ、かつ画像照明を第1の伝播方向p1から漸進的にリダイレクトして、LOE内を第2の伝播方向p2にカップリングアウト構成に向かって伝播させるように構成された、アパーチャ拡大構成34を含む。ここでも、アパーチャ拡大構成は、ここに図示されているように、LOE内に配置され、かつ主外面に対して斜めに配向された、複数の相互平行な部分反射面16’に基づいて、または1つ以上の回折光学要素(示されていない)に基づいてもよい。いずれの場合も、アパーチャ拡大構成34は、異なる面内軸に沿った拡大を達成するために、カップリングアウト構成とは異なって配向されている。
【0051】
アパーチャ拡大構成34の特定の実装は、画像の共役が望ましくない角度配向に反射され、効果的に失われる一方で、画像の1つをカップリングアウト領域32に向けてリダイレクトする結果となる。そのような場合、対称ビーム増倍管領域36は、好ましくは、アパーチャ拡大構成34とカップリングアウト領域32との間に介在し、画像/共役ペアをコンパクトに再構築し、導波路をカップリングアウトされる画像で充填する。構造的に、対称ビーム増倍管領域36は、好ましくは、上に開示された構造のビーム増倍管と同一であり、LOEの内部にあり、かつ主外面に平行であり、LOEの厚さを同じ厚さの(n+1)層に細分するn個の内部平面ビームスプリッタ24を有する。
【0052】
したがって、対称ビーム増倍管は、ここでは、
図14Aおよび
図14Bに提示されているように、いくつかの面内LOE間の仲介メカニズムと見なすことができる。上で説明したように、導波路(LOE)内のすべてのビームは、全内部反射(TIR)により、主表面間で「上」と「下」に跳ね返る。いくつかのLOE(または拡大の段階)が共通の主要な外部平行面を共有する単一のLOEとして面内でカップリングされている複合システム。反射アパーチャ拡大構成の場合、部分反射面がLOEの平面に垂直でない場合、1番目のLOE内の上昇ビームと下降ビームは異なる角度で反射される。その結果、上昇または下降の光線のみが最終的に観察者の眼へとカップリングアウトされる(一方、下降または上昇の光線は、アウトカップリングされた信号を汚染し得る、導波路内を伝播する不要な「ゴースト」画像と見なされる)。ただし、ファセットと視野角によっては、この効果によって導波路内に「穴」(暗いストライプ)が作成されることがあり、すなわち、
図15Aに示すように、2番目のLOEの入口アパーチャが部分的に充填されることがある(わかりやすくするために、眼に届く光線のみを示している)。この制限を克服するために、対称ビーム増倍管が2つのLOEの間に置かれ、それによって、2番目のLOEのアパーチャ全体が充填されるように、現在の光線(上昇または下降)を複製する(
図15B)。前と同じように、ミキサのサイズは、2番目のLOEで最も浅く伝播する視野のアパーチャサイズの少なくとも半分である必要がある。
【0053】
図16は、2段階のアパーチャ拡大を伴う複合導波路(LOE)の入力アパーチャ26に直接(典型的には、図示しないカップリングプリズムを介して)カップリングインする画像プロジェクタPOD20を使用するシステムを概略的に示している。この実施例は、上記の本発明の両方の態様を組み合わせて、PODカップリングインによって直接達成されないアパーチャ充填を実行するための第1の中間面50%ビームスプリッタ24を含み、斜めの部分反射内面の第1のセットを使用して実装されてアパーチャ拡大の第1の次元を達成し、画像照明をカップリングアウト領域32にリダイレクトする、アパーチャ拡大構成34がそれに続く。アパーチャ拡大構成34とカップリングアウト領域32との間に介在する対称ビーム増倍管領域36は、導波路の画像/共役充填を再構築し、ユーザの眼に向けて投影された画像の充填均一性をもたらす。
【0054】
ディスプレイは、典型的には、画像プロジェクタを作動させるためのコントローラを含んだ、典型的には、小型の搭載バッテリまたは他の適切な電源からの電力を使用する、様々な追加の構成要素を含むことが理解される。コントローラは、すべて当技術分野で知られるように、画像プロジェクタを駆動するための少なくとも1つのプロセッサまたは処理回路などのすべての必要な電子部品を含むことが理解される。これらの特徴は、それ自体は本発明の一部ではないため、ここでは詳細に説明しない。そのようなすべての特徴は、当業者によって容易に実施されるであろう。
【0055】
上記の説明は例としてのみ役立つことを意図し、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で他の多くの実施形態が可能であることが理解される。