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特許7514562ゴースト画像を軽減するための光学デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】ゴースト画像を軽減するための光学デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240704BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240704BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/01
H04N5/64 511A
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022553204
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 IL2021050294
(87)【国際公開番号】W WO2021191889
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】62/993,100
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローネン,イータン
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,エドガー
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106104(JP,A)
【文献】特開2018-109738(JP,A)
【文献】特開2018-060155(JP,A)
【文献】特表2019-514057(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044198(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/077601(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
少なくとも2つの主表面を有する光透過基板であって、前記2つの主表面間の内部反射によって光を誘導するための、光透過基板と、
前記2つの主表面間の内部反射によって誘導された前記光を前記光透過基板から観察者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、
光学配置と、を備え、
前記光学配置、前記2つの主表面のうちの少なくとも一方と関連付けられ、
前記光学配置は、第1の光学素子と、前記光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられた界面領域を画定するように、前記第1の光学素子に光学的にカップリングされた第2の光学素子と、を含み、
前記光学配置は、外部シーンから発し、所与の範囲の入射角で前記光学配置に入射する光線が、前記界面領域で偏向されるように配備されていることを特徴とする、光学デバイス。
【請求項2】
前記第1および第2の光学素子が、各々、前記界面領域の屈折率よりも高い屈折率を有する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記界面領域が、エアギャップとして形成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記界面領域が、低屈折率材料の透明層として形成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第1および第2の光学構成要素が、各々、複数の表面を含み、前記界面領域を画定するように、前記複数の表面のうちの対応する表面を介して、対応して構成され、かつ隣接して配置されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第1および第2の光学素子の各々が、第1および第2の互いに平行な表面と、前記第1および第2の互いに平行な表面に対して傾斜している第3の表面と、を有するプリズムであり、前記第1および第2の光学素子が、前記第3の表面で互いに光学的にカップリングされている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記光学配置が、レンズとして形成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記界面領域が、線形表面プロファイルを有する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記界面領域が、非線形表面プロファイルを有する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記界面領域が、一対の平行な面を有する第2の光透過基板と、前記平行な面に対して傾斜した、前記第2の光透過基板内に配備された複数の部分反射面と、を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記部分反射面の各々が、一対の透明層と、前記一対の透明層の間に配備された、低屈折率材料でコーティングされた粗い透明層とを含み、前記一対の透明層の各々が、前記低屈折率材料の屈折率よりも高い屈折率を有する、請求項10に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記所与の範囲の角度で前記外部シーンから発する前記光線が、内部反射によって前記第1の光学素子内でトラップされるように、前記界面領域で偏向される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記第1の光学素子は、第1の表面と、前記第1の表面に直交する又は略直交する、第2の表面とを有し、
前記所与の範囲の角度で前記外部シーンから発する前記光線が、前記第1の光学素子の第1の表面を介して前記光学配置に入り、前記界面領域で反射され、前記第1の光学素子の前記第1の表面で反射され、前記界面領域で前記第1の光学素子の第2の表面に向かって、かつ前記光透過基板から離れて反射される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記第1の光学素子の前記第2の表面が、光収集または散逸構成要素と関連付けられている、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記所与の範囲の角度の外側の範囲の角度で前記外部シーンから発する光線が、前記第1の光学素子の第1の表面を介して前記光学配置に入り、前記界面領域によって透過され、前記第2の光学素子の第1の表面を介して前記光学配置から出て、前記観察者の前記眼の方へ前記光透過基板を通過する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記光学配置は、前記光学配置がない場合、前記外部シーンから前記所与の範囲の角度で発する前記光線が、前記光透過基板に入り、前記光学カップリングアウト構成によって前記光透過基板から前記観察者の前記眼に向かってカップリングアウトされるようになっている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記光透過基板に直交する配向で、かつ前記光透過基板の端部に配備された第2の光学配置をさらに備える、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記光学カップリングアウト構成が、前記光透過基板内に位置する少なくとも1つの部分反射面を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記光学カップリングアウト構成が、前記光透過基板を少なくとも部分的に横断する複数の部分反射面を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項20】
コリメートされた画像に対応する光波を前記光透過基板内に導入するように、前記光透過基板の近位端にカップリングされた画像プロジェクタをさらに備え、前記界面領域が、前記近位端の反対側にある前記光透過基板の遠位端付近に位置する前記部分反射面のサブセットにわたる、請求項19に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記光学カップリングアウト構成が、前記2つの主表面のうちの一方と関連付けられた回折素子を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項22】
コリメートされた画像が、前記光透過基板内の内部反射によって伝播し、かつ前記光学カップリングアウト構成によって前記光透過基板からカップリングアウトされるように、前記コリメートされた画像に対応する光波を前記光透過基板内に導入するように、前記光透過基板にカップリングされた画像プロジェクタをさらに備える、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項23】
前記画像プロジェクタから前記コリメートされた画像を受信し、かつ前記コリメートされた画像を前記光透過基板にカップリングインするために、前記光透過基板および前記画像プロジェクタと関連付けられた光学カップリングイン構成をさらに備える、請求項22に記載の光学デバイス。
【請求項24】
光学デバイスであって、
一対の面を有する光透過基板であって、前記一対の面間の内部反射によって光を誘導するための、光透過基板と、
前記一対の面間の内部反射によって誘導された前記光を前記光透過基板から観察者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、
少なくとも1つの光学素子であって、一対の平行な主表面と、前記一対の平行な主表面に対して傾斜した第3の主表面とを含む複数の表面を有し、前記光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられた、少なくとも1つの光学素子と、を備え、
前記少なくとも1つの光学素子の屈折率よりも低い屈折率を有する界面領域が、前記第3の主表面によって少なくとも部分的に画定され、
前記少なくとも1つの光学素子は、外部シーンから発し、前記一対の平行な主表面の主表面のうちの他方に所与の範囲の入射角で入射する光線が前記界面領域において偏向されるように、前記光透過基板の前記一対の面のうちの1つと関連付けられている前記一対の平行な主表面の主表面のうちの1つとともに、配備されていることを特徴とする、光学デバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光学素子の前記複数の表面が、第4の表面をさらに含み、前記所与の範囲の角度で前記外部シーンから発する前記光線が、前記一対の平行な主表面の前記主表面のうちの前記他方を介して前記少なくとも1つの光学素子に入り、前記界面領域で反射され、前記一対の平行な主表面の前記主表面のうちの前記他方で反射され、前記界面領域で前記第4の表面に向かって、かつ前記光透過基板から離れて反射される、請求項24に記載の光学デバイス。
【請求項26】
前記第4の表面が、光収集または散逸構成要素と関連付けられている、請求項25に記載の光学デバイス。
【請求項27】
前記界面領域が、前記第3の主表面に光学的にカップリングされた透明プレートによって部分的にさらに画定される、請求項24に記載の光学デバイス。
【請求項28】
光学デバイスであって、
少なくとも2つの主表面を有する光透過基板であって、前記2つの主表面間の内部反射によって光を誘導するための、光透過基板と、
前記2つの主表面間の内部反射によって誘導された前記光を前記光透過基板から観察者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、
前記2つの主表面のうちの少なくとも一方と関連付けられ、かつ前記光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられた界面領域を画定するように隣接して位置付けられた一対の光学素子を含む光学配置と、を備え、
前記界面領域が、前記光学素子の屈折率よりも小さい屈折率を有し、前記光学配置は、外部シーンから発し、所与の範囲の入射角で前記光学配置に入射する光線が、前記界面領域で偏向されるように配備されていることを特徴とする、光学デバイス。
【請求項29】
光学デバイスであって、
少なくとも第1および第2の主平面を有する第1の光透過基板であって、前記第1および第2の主平面間の内部反射によって光を誘導するための、第1の光透過基板と、
前記第1および第2の主平面間の内部反射によって誘導された前記光を前記第1の光透過基板から観察者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、
光学配置と、を備え、
前記光学配置は、少なくとも2つの主表面を有する第2の光透過基板であって、前記第2の光透過基板の前記2つの主表面のうちの一方が、前記第1の光透過基板の前記第1または第2の主表面と関連付けられている、第2の光透過基板と、
前記光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられた界面領域を画定するように、前記第2の光透過基板の前記2つの主表面に対して傾斜して、前記第2の光透過基板の一部分内に配備された複数の部分反射面と、を含
前記光学配置は、外部シーンから発し、所与の範囲の入射角で前記光学配置に入射する光線が、前記界面領域で偏向または吸収されるように配備されていることを特徴とする、光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月23日に出願された米国仮特許出願第62/993,100号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、基板誘導型光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
近眼ディスプレイ(NED)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、およびヘッドアップディスプレイ(HUD)の光学配置では、観察者の眼が位置するエリア(一般に眼球運動ボックスまたはEMBと称される)をカバーするために大きい開口を必要とする。コンパクトなデバイスを実装するために、観察者の眼に投影される画像は、大きい開口を生成するために増倍される小さい開口を有する小さい光学画像ジェネレータ(プロジェクタ)によって生成される。
【0004】
一次元での開口増倍へのアプローチが、その内部で画像が内部反射によって伝播する透明な材料の平行面のスラブに基づいて開発されている。画像波面の一部は、傾斜して角度が付けられた部分反射器を使用すること、またはスラブの片面に回折光学素子を使用することのいずれかによって、スラブからカップリングアウトされる。そのようなスラブは、本明細書では、光ガイド光学素子(LOE)、光透過基板、または光学導波路と称される。そのような開口増倍の原理が、図1に概略的に示されており、図1は、画像を生成し、画像の開口拡大を実行する光学デバイス10を示す。光学デバイス10は、透明な材料から形成され、内部反射(好ましくは全内部反射であるが、必須ではない)によって光を誘導するための一対の平行な主外部表面(面)14、16を有する光ガイド光学素子12を有する。画像プロジェクタ18(矩形として概略的に表される)は、ここでは、ビームにまたがるサンプル光線20Aおよび20Bを含む照明ビーム20によって概略的に表されるように、投影された画像20を生成する。投影された画像20は、基板内の内部反射によってトラップされる反射光線24を生成し、光線26も生成するように、ここではプリズム22(互換的に「ウェッジ」もしくは「プリズム」と称される)によって概略的に示される光学カップリングイン構成22によって、光ガイド光学素子12にカップリングインされる。ここで、カップリングウェッジ22は、3つの主表面を含み、そのうちの1つは、LOE12の傾斜した縁面28の隣に位置する(またはそれと共通である)(縁部28は、面14、16に対して傾斜する角度にある)。
【0005】
カップリングイン画像20は、面14、16からの繰り返される内部反射によって基板12に沿って伝播し、平行な面14、16に対して斜角(αsur)で、30と総称される一連の部分反射面30a、30b、30c、30d、30e、30fによってここでは概略的に示される光学カップリングアウト構成30に衝突し、画像強度の一部は、表面14からアイレリーフ(ER)距離40でEMB38に位置する観察者の眼36の瞳孔34に向かって、光線32Aおよび32Bとして基板からカップリングアウトされるように、反射される。基板12の透明性により、観察者は、外部シーン(すなわち、実際のシーン)のビューにオーバーレイされた、カップリングアウトされた画像20を基板12の前面側で(すなわち、面16で)見ることができ、これは、光学デバイス10が、拡張現実(AR)システムの一部として配備されるときに特に有用である。
【0006】
ゴースト画像を生じさせる可能性のある、画像20の望ましくない反射を最小限に抑えるために、部分反射面30は、好ましくは、第1の範囲の入射角に対して低い反射率を有する一方で、第2の範囲の入射角に対して所望の部分反射率を有するようにコーティングされ、ここで、部分反射面30の法線に対して小さな傾斜を有する光線(ここでは角度βrefとして表される)は、カップリングアウトするための反射光線を生成するために分割される一方、(法線に対して)高い傾斜の光線は、ごくわずかな反射で伝達される。
【0007】
投影された画像20は、コリメートされた画像であり、すなわち、各ピクセルは、観察者から遠く離れたシーンからの光に相当する、対応する角度の平行光線のビームによって表される(コリメートされた画像は、「無限遠にコリメートされる」と称される)。ここでは、画像は、画像内の単一の点、典型的には画像の重心に対応する光線によって単純に表されるが、実際には、この中心ビームの各側への角度の範囲が含まれ、それらの光線は、対応する角度の範囲で基板にカップリングインされ、および同様に、対応する角度でカップリングアウトされ、それにより、観察者の眼36に異なる方向で到達する画像の部分に対応する視野(FOV)を作成する。
【0008】
ゴースト画像を生じさせる可能性のある画像20の望ましくない反射に加えて、画像プロジェクタ18からの画像20が、面14、16からの繰り返される内部反射によって基板12に沿って伝播し、カップリングアウト構成30によってカップリングアウトされることを可能にする、基板12およびカップリングアウト構成30の光学特性が、外部シーン(すなわち、現実世界のシーン)からの望ましくない光を観察者の眼36に向かって偏向させ、それによって外部シーンのゴースト画像をもたらし得る。
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様は、外部シーン内のソースから発する光によって引き起こされるゴースト画像を軽減するための光学デバイスを提供する。
【0010】
本発明の実施形態の教示によれば、光学デバイスが提供される。光学デバイスは、少なくとも2つの主表面を有する光透過基板であって、主表面間の内部反射によって光を誘導するための、光透過基板と、2つの主表面間の内部反射によって誘導された光を、光透過基板から視聴者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、光学配置であって、2つの主表面のうちの少なくとも一方と関連付けられ、第1の光学素子と、光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられた界面領域を画定するように、第1の光学素子に光学的にカップリングされている第2の光学素子と、を含む、光学配置と、を備え、光学配置は、外部シーンから発し、所与の範囲の入射角で光学配置に入射する光線が、界面領域で偏向されるように配備されている。
【0011】
任意選択的に、第1および第2の光学素子は、各々、界面領域の屈折率よりも高い屈折率を有する。
【0012】
任意選択的に、界面領域は、エアギャップとして形成される。
【0013】
任意選択的に、界面領域は、低インデックス材料の透明層として形成される。
【0014】
任意選択的に、第1および第2の光学構成要素は、各々、複数の表面を含み、界面領域を画定するように、複数の表面のうちの対応する表面を介して、対応して構成され、かつ隣接して配置される。
【0015】
任意選択的に、第1および第2の光学素子の各々は、第1および第2の互いに平行な表面と、第1および第2の互いに平行な表面に対して傾斜している第3の表面と、を有するプリズムであり、第1および第2の光学素子は、第3の表面で互いに光学的にカップリングされている。
【0016】
任意選択的に、光学配置は、レンズとして形成される。
【0017】
任意選択的に、界面領域は、線形表面プロファイルを有する。
【0018】
任意選択的に、界面領域は、非線形表面プロファイルを有する。
【0019】
任意選択的に、界面領域は、一対の平行な面を有する第2の光透過基板と、平行な面に対して傾斜した、第2の光透過基板内に配備された複数の部分反射面と、を含む。
【0020】
任意選択的に、部分反射面の各々は、一対の透明層と、一対の透明層の間に配備された、低屈折率材料でコーティングされた粗い透明層と、を含み、一対の透明層の各々は、低屈折率材料の屈折率よりも高い屈折率を有する。
【0021】
任意選択的に、所与の範囲の角度で外部シーンから発する光線は、内部反射によって、第1の光学素子内でトラップされるように、界面領域において偏向される。
【0022】
任意選択的に、所与の範囲の角度で外部シーンから発する光線は、第1の光学素子の第1の表面を介して光学配置に入り、界面領域で反射され、第1の光学素子の第1の表面で反射され、界面領域で第1の光学素子の第2の表面に向かって、かつ光透過基板から離れて反射される。
【0023】
任意選択的に、第1の光学素子の第2の表面は、光収集または散逸構成要素と関連付けられている。
【0024】
任意選択的に、所与の範囲の角度の外側の範囲の角度で外部シーンから発する光線は、第1の光学素子の第1の表面を介して光学配置に入り、界面領域によって透過され、第2の光学素子の第1の表面を介して光学配置から出て、視聴者の眼の方へ光透過基板を通過する。
【0025】
任意選択的に、光学配置は、光学配置がない場合、外部シーンから所与の範囲の角度で発する光線が、光透過基板に入り、光学カップリングアウト構成によって光透過基板から視聴者の眼に向かってカップリングアウトされるようになっている。
【0026】
任意選択的に、光学デバイスは、光透過基板に直交する配向で、かつ光透過基板の端部に配備された第2の光学配置をさらに備える。
【0027】
任意選択的に、光学カップリングアウト構成は、光透過基板内に位置する少なくとも1つの部分反射面を含む。
【0028】
任意選択的に、光学カップリングアウト構成は、光透過基板を少なくとも部分的に横断する複数の部分反射面を含む。
【0029】
任意選択的に、光学デバイスは、コリメートされた画像に対応する光波を光透過基板内に導入するように、光透過基板の近位端にカップリングされた画像プロジェクタをさらに備え、界面領域は、近位端の反対側にある光透過基板の遠位端付近に位置する部分反射面のサブセットにわたる。
【0030】
任意選択的に、光学カップリングアウト構成は、2つの主表面のうちの一方と関連付けられた回折素子を含む。
【0031】
任意選択的に、光学デバイスは、コリメートされた画像が、光透過基板内の内部反射によって伝播し、かつ光学カップリングアウト構成によって光透過基板からカップリングアウトされるように、コリメートされた画像に対応する光波を光透過基板内に導入するように、光透過基板にカップリングされた画像プロジェクタをさらに備える。
【0032】
任意選択的に、光学デバイスは、画像プロジェクタからコリメートされた画像を受信し、コリメートされた画像を光透過基板にカップリングインするための、光透過基板および画像プロジェクタと関連付けられた光学カップリングイン構成をさらに備える。
【0033】
本発明の教示の実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、一対の面を有する光透過基板であって、面間の内部反射によって光を誘導するための、光透過基板と、面間の内部反射によって誘導された光を、光透過基板から視聴者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、少なくとも1つの光学素子であって、一対の平行な主表面と、一対の平行な主表面に対して傾斜し、光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられている第3の主表面とを含む複数の表面を有する、少なくとも1つの光学素子と、を備え、少なくとも1つの光学素子の屈折率よりも低い屈折率を有する界面領域が、第3の主表面によって少なくとも部分的に画定され、少なくとも1つの光学素子は、外部シーンから発し、所与の範囲の入射角で一対の平行な主表面の主表面のうちの他方に入射する光線が界面領域で偏向されるように、光透過基板の面のうちの1つと関連付けられている一対の平行な主表面の主表面のうちの1つとともに、配備される。
【0034】
任意選択的に、少なくとも1つの光学素子の複数の表面は、第4の表面をさらに含み、所与の範囲の角度で外部シーンから発する光線は、一対の平行な主表面の主表面のうちの他方を介して少なくとも1つの光学素子に入り、界面領域で反射され、一対の平行な主表面の主表面のうちの他方で反射され、界面領域で第4の表面に向かって、かつ光透過基板から離れて反射される。
【0035】
任意選択的に、第4の表面は、光収集または散逸構成要素と関連付けられる。
【0036】
任意選択的に、界面領域は、第3の主表面に光学的にカップリングされた透明プレートによって部分的にさらに画定される。
【0037】
本発明の教示の実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、少なくとも2つの主表面を有する光透過基板であって、主表面間の内部反射によって光を誘導するための、光透過基板と、2つの主表面間の内部反射によって誘導された光を、光透過基板から視聴者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、光学配置であって、2つの主表面のうちの少なくとも一方と関連付けられ、光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられた界面領域を画定するように、隣接して位置付けられた一対の光学素子を含む、光学配置と、を備え、界面領域は、光学素子の屈折率よりも小さい屈折率を有し、光学配置は、外部シーンから発し、所与の範囲の入射角で光学配置に入射する光線が、界面領域で偏向されるように配備される。
【0038】
本発明の教示の実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、少なくとも第1および第2の主表面を有する第1の光透過基板であって、第1および第2の主表面間の内部反射によって光を誘導するための、第1の光透過基板と、第1および第2の主表面間の内部反射によって誘導された光を、第1の光透過基板から視聴者の眼に向かってカップリングアウトするための光学カップリングアウト構成と、光学配置であって、少なくとも2つの主表面を有する第2の光透過基板であって、第2の光透過基板の2つの主表面のうちの一方が、第1の光透過基板の第1または第2の主表面と関連付けられている、第2の光透過基板と、光学カップリングアウト構成の少なくとも一部分と関連付けられた界面領域を画定するように、第2の光透過基板の2つの主平面に対して傾斜した、第2の光透過基板の一部分内に配備された複数の部分反射面と、を含む、光学配置と、を備え、光学配置は、外部シーンから発し、所与の範囲の入射角で光学配置に入射する光線が、界面領域で偏向または吸収されるように配備される。
【0039】
本文書の文脈内では、「誘導された」という用語は、概して、光透過材料内でトラップされた光が、光透過材料を通して伝播方向に伝播するように、光透過材料の主外部表面での内部反射によって、光透過材料(例えば、基板)内でトラップされる光を指す。伝播光が、所与の角度範囲内にある入射角で光透過材料の主外部表面に入射されるとき、光透過基板内を伝播する光は、内部反射によってトラップされる。トラップされた光の内部反射は、全内部反射の形態であり得、それによって、臨界角度(光透過材料の屈折率および透過性光が配備されている媒体、例えば、空気の屈折率によって部分的に定義される)よりも大きい角度で光透過材料の主外部表面に入射する伝播光は、主外部表面で内部反射を受ける。代替的に、トラップされた光の内部反射は、所与の角度範囲内の主外部表面に入射する光の反射を達成するために、光透過材料の主外部表面に適用される角度選択的な反射コーティングなどのコーティングによって実現され得る。
【0040】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の方法および材料が、本発明の実施形態の実施または試験に使用され得るが、例示的な方法および/または材料が、以下に記載されている。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が支配する。さらに、材料、方法、および例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。詳細な、図面への具体的な言及について、示された細目は、例として、および本発明の実施形態の例示的な考察の目的のためであることを強調しておく。これに関して、図面と併せてなされた説明により、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかになる。
【0042】
ここで、図面に注意を向けると、図面では、同様の参照番号または文字は、対応するまたは同様の構成要素を示す。
図1】近眼ディスプレイで使用するための、部分反射面を採用する従来技術の光ガイド光学素子(LOE)の、上記の概略側面図である。
図2図1のLOEの前側の外部シーン内のソースから、部分反射面のうちの1つによって、外部シーンのゴースト画像を形成するように観察者の眼に向かって発する代表的な光線の偏向を示す概略側面図である。
図3図1のLOEの裏側の外部シーン内のソースから、部分反射面のうちの1つによって、外部シーンのゴースト画像を形成するように観察者の眼に向かって発する、代表的な光線の偏向を示す概略側面図である。
図4】ゴースト画像を引き起こす光線の角度分布を示す概略側面図である。
図5】LOEと、LOEの前面と関連付けられた光学配置とを含み、ゴースト画像を引き起こす光線を偏向させる界面領域を画定するように、互いに光学的にカップリングされた一対の光学素子を有する、本発明の一実施形態に従って構築された、動作可能な光学デバイスの概略側面図である。
図6図5の光学配置の構成要素を示す概略側面図である。
図7】VIIと指定された図6の領域の拡大図である。
図8】界面領域が、薄い透明プレートとして実装されている図5の光学配置の概略側面図である。
図9図5および図6の光学配置の界面領域によるサンプル光線の偏向を示す概略側面図である。
図10】所与の範囲の入射角にわたって図5および図6の光学配置に衝突する光線の光強度分布のヒートマップのプロットである。
図11図5と同様の概略側面図であるが、光学配置は、LOEの裏面と関連付けられている。
図12】本発明の別の実施形態による、湾曲した主表面の対を有する、ゴースト画像を引き起こす光線を偏向させる光学配置の概略側面図である。
図13】本発明の別の実施形態による、湾曲した主表面および平らな主表面の対を有する、ゴースト画像を引き起こす光線を偏向させる光学配置の概略側面図である。
図14】本発明の別の実施形態による、図5の光学配置に類似するが、非線形表面プロファイルを有する界面領域を備える、ゴースト画像を引き起こす光線を偏向させる光学配置の概略側面図である。
図15】本発明の別の実施形態による、図13の光学配置に類似するが、非線形表面プロファイルを有する界面領域を備える、ゴースト画像を引き起こす光線を偏向させる光学配置の概略側面図である。
図16】本発明の別の実施形態による、部分反射面のセットを使用する光透過基板として形成された界面領域を有する、ゴースト画像を引き起こす光線を偏向させる光学配置の概略側面図である。
図17図16の界面領域の部分反射面のうちの代表的な1つの構造を示す概略側面図である。
図18図16と同様の光学配置の概略側面図であるが、界面領域は、複数の互いに平行な吸収面を有する。
図19図5と同様の概略側面図であるが、第2の光学配置が、LOEに直交する配向で、光学デバイスの画像プロジェクタの位置またはその近くに配備されている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施形態は、外部シーン内のソースから発する光によって引き起こされるゴースト画像を軽減するための光学デバイスを提供する。
【0044】
本発明による光学デバイスの原理および動作は、本明細書に添付された図面を参照してより良く理解され得る。
【0045】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に述べられた、ならびに/または図面および/もしくは例に示された構成要素および/または方法の構築の詳細および配置への適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、または様々な方式で実践または実施することができる。
【0046】
はじめに、図2および図3は、外部シーンの一部である、ソース42からの望ましくない光が、眼36に向かって偏向されて、外部シーンのゴースト画像をもたらす例示的なシナリオを説明するために注釈が付けられた、図1からの基板12および部分反射面30の部分の再現である。ソース42は、典型的には、例えば、太陽などの自然照明源、および例えば、ランプ、ディスプレイ画面、電球などの人工照明源を含む、外部シーン内に照明を提供し得る任意の光源である。図2では、基板12は、面16がソース42に対して対向関係にある状態で、配備されている。ソース42から発する光を表すサンプル光線44は、グレージング角(大きい入射角、またはAOI)で面16に当たり、屈折を介して点46で基板12に入る。光線44は、面14において主平面によって(点48で)、部分反射面30のうちの1つ(この例では部分反射面30b)に向かって部分的に反射され、この部分反射面30が、光線44を、基板12を出て、眼36に向かって伝播するように、面14を通して反射して戻す。光線44のソースが、画像プロジェクタ20ではなく、むしろ現実世界のものであるという事実に起因して、基板12内の光線44の伝播は、(全)内部反射によるものではない。したがって、面14に垂直かつFOV内に(光線32Aおよび32Bとして)基板12から出射する図1の画像20とは対照的に、眼36に向かって偏向される光線44の割合は、面16に対して傾斜した角度で、かつFOVの外側で、基板12から出射する。
【0047】
図3では、ソース42は、眼36と同じ、基板12側に位置する。ここで、光線44は、点50においてグレージング角(大きなAOI)で面14に当たり、屈折を介して点50で基板12に入る。次いで、光線44は、部分反射面30のうちの1つ(この例では、部分反射面30b)の1つに衝突し、この部分反射面30が、光線44を、眼36に向かって基板12を出るように、面14を通して反射して戻す。
【0048】
図2および図3に描写される、ゴースト画像が、FOVの外側にあり、典型的には、所与の部分反射面から最大1つの反射を経験するシナリオにおける望ましくない光線から生じるゴースト画像は、以下、互換的にゴーストと称される。
【0049】
ここで、ゴーストを軽減/低減するために、本発明の実施形態に従って構築され、かつ動作可能である、一般的に100と指定された光学デバイスの構造および動作の様々な態様を例示する図5図19を参照する。光学デバイス100は、概して、光学デバイス10の構成要素のすべてを含むが、特定の範囲のAOIで到達する光を偏向させるための光偏向光学配置102(以下、「光学配置」と称される)も含む。より具体的には、光学デバイス100は、透明な材料(ガラスなど)から形成され、表面14のうちの1つが視聴者/観察者の眼36に対して対向関係の状態で配備された一対の主外部表面(面)14、16を有する光ガイド光学素子12(LOE、光透過基板、または光学導波路とも称される)と、面14、16のうちの一方または両方と関連付けられた光学カップリングアウト構成30(基板12を少なくとも部分的に横断する部分反射面の配列として概略的に表現される)と、光学カップリングイン構成22(ここではプリズムによって概略的に示される)を介してLOE12にカップリングインされるコリメートされた画像を生成するための画像投影配置(すなわち、画像プロジェクタ)18と、を含む。光学配置102は、面14、16のうちの少なくとも一方と関連付けられ、特定の非限定的な実施形態では、概して、好適に高い屈折率(好ましくは、1.5~1.9の範囲)を有する材料から形成され、互いに光学的にカップリングされて、2つの光学素子の屈折率よりも小さい、好適に低い屈折率(好ましくは、1~1.35の範囲)を有する界面領域を画定する2つの光学素子を含む。
【0050】
光学配置102は、外部シーン内のソース(例えば、ソース42)から発する、所与の範囲のAOIにわたって光学配置102(特に、光学配置102の光学素子のうちの第1のもの)に入射する光線(光線44によって表され、以下、互換的に「望ましくない光」と称される)が、界面領域で偏向されるように、配備される。界面領域は、望ましくない光を基板12および光学カップリングアウト構成30から偏向させ、それによって、望ましくない光が眼36に到達するのを防止する。望ましくない光は、一般に、光学配置102がない場合にゴーストを生成するであろう、所与の範囲のAOIで光学配置102に入射する光線の特定のセットとして定義される。
【0051】
光学配置102の構造および動作を詳細に説明する前に、まず、外部シーンからの望ましくない光(光線44によって表される)はFOVの外側にあるので、望ましくない光がEMBに到達する(すなわち、眼36に到達する)ために、偏向された/反射された光は、LOE12の縁または端部を出るべきであることに留意されたい。これが、図4に概略的に示されており、図4は、LOE12の遠位端11またはその近くに位置する部分反射面30a、30b、30cを介して、眼36(EMB内)に到達する望ましくない光線43の角度分布を示す。これは、外部シーンのゴースト画像を軽減するために、部分反射面30のセットのアクティブエリアの縁にある望ましくない光線のみが、光学配置102によって偏向される必要があることを意味する。加えて、面14、16の右から法線まで測定された、特定のグレージング角を上回る所与の範囲の角度(すなわち、所与の角度分布)で面14、16に衝突する光線のみが、光学配置102によって偏向される必要がある。本文脈では、LOE12の遠位端11は、図面の左側にあるように任意に定義されており、LOE12の近位端13(図面の右側)と反対側にあり、画像プロジェクタ18および光学カップリングイン構成22は、LOE12の近位端13またはその付近に位置する。
【0052】
上記を念頭に置いて、LOE12の前部に位置する外部シーン内の光源によって(すなわち、図2のように、面16が、光源を有する外部シーンに対して対向関係にあるとき)引き起こされるゴースト画像に対処する/該ゴースト画像を軽減するために、面16に配備された光学配置102を示す図5を参照する。前述のように、特定の実施形態では、光学配置102は、一般に、光学カップリングアウト構成30の少なくとも一部分と関連付けられた界面領域108(代替的に「境界表面」または「境界層」と称される)を画定するように、対応して構成され、かつ互いに光学的にカップリングされる、本明細書では第1の光学構成要素104および第2の光学構成要素106として示される、少なくとも2つの光学構成要素から形成される。好適な実施形態では、界面領域108は、アクティブエリアの端部の部分反射面30、すなわち、LOE12の遠位端11により近接して位置する最後の数個の部分反射面と関連付けられている。図示の例では、界面領域108は、30a、30b、30cを指定されている最後の3つの部分反射面30と関連付けられている。
【0053】
図6および図7は、特定の実施形態による、LOE、カップリングプリズム、および画像プロジェクタなしの光学配置102のより詳細な図を示す。図7は、VIIを指定されている図6の領域の拡大図を示す。図5図10に示される実装例のいくつかなどの特定の非限定的な実装例では、光学構成要素104、106は、光学配置102が、概して矩形の断面(すなわち、紙面内の矩形形状)を形成するように、一対の、対応して構成されたプリズムとして実装される。そのような実装例では、これらのプリズム104、106は、(必ずしもというわけではないが)好ましくは紙面内の四角形である。ここで、これらのプリズム104、106の具体的な構造および特性について説明する。
【0054】
第1の光学素子104は、一般に、105a、105b、105c、105dを指定されている少なくとも4つの平らな主表面(すなわち、面)を含む複数の表面を含む。表面105aおよび105bは、好ましくは、互いに平行であり、異なる長さである。例示的な実施形態では、表面105aの長さは、表面105bの長さ(長さは水平軸に沿って測定される)よりも大きい。表面105cは、表面105a、105bのそれぞれの第1の端部の間に延在し、表面105a、105bに対して傾斜している。図7では、斜角αは、表面105aと、表面105cとの間に形成される角度である。表面105dは、2つの表面105a、105bのそれぞれの第2の端部(第1の端部の反対側)の間に延在し、(必ずしもというわけではないが)好ましくは表面105a、105bに直交する。
【0055】
同様に、第2の光学素子106は、概して、107a、107b、107c、107dを指定されている少なくとも4つの平らな主表面を含む複数の表面(すなわち、面)を含む。表面107aおよび107bは、示されるように、互いに平行であり得、異なる長さである。例示的な実施形態では、表面107bの長さは、表面107aの長さよりも大きい。表面107cは、表面107a、107bのそれぞれの第1の端部の間に延在し、表面107a、107bに対して傾斜している。図7に示される実施形態では、同じ斜角αが、表面107bと、表面107cとの間に形成されている。表面107dは、2つの表面107a、107bのそれぞれの第2の端部(第1の端部と反対側)の間に延在する。表面107dは、表面107a、107bに直交してもよく、または直交しなくてもよい。図5図10に示される実施形態では、表面105a、107aは、表面105b、107b、および表面105c、107cと同様に、同一平面上にある。
【0056】
前述のように、光学素子104、106は、対応して構成される。特に、光学素子104、106は、機械的または光学的取り付けを介して表面105c、107cを互いに隣接して配置することによって、互いに光学的にカップリングされる。表面105c、107cの隣接配置は、表面105c、107cに位置する界面領域108を画定する。明らかであるはずであるように、界面領域108は、(光学配置102の構成要素の幾何学形状に起因して)表面105a、105b、107a、107bに対して傾斜している。図5図10に示される実施形態などの特定の非限定的な実施形態では、表面105c、107cの各々は、線形表面プロファイルを有するように平面であり、その結果、界面領域108も、線形表面プロファイルを有する(界面領域は、紙面内で線形である)。
【0057】
前述のように、光学素子104、106は、好適に高い屈折率を有する材料(「高屈折率材料」と称される)から形成され、界面領域108は、光学素子104、106の屈折率よりも低い(すなわち、より小さい)好適に低い屈折率を有する材料(「低屈折率材料」と称される)から形成される。光学素子104、106を形成するために使用され得る材料の例としては、異なるタイプのガラス(例えば、約1.52の屈折率としてのBK7)、ポリマーなどが挙げられる。界面領域108を形成するために使用され得る材料の例は、以下の段落に提供される。
【0058】
図5に示される実施形態では、光学配置102は、面16と、表面105b、107bとの間の光学カップリングを介して面16に配備されている。光学配置102の幾何学的形状は、界面領域108が、LOE12の面14、16に対して傾斜するようになっている。好ましくは、光学配置102は、面16が、表面105b、107に平行であるように、LOE12に光学的にカップリングされている。特定の非限定的な実装例では、光学カップリングは、面16と、表面105b、107bとの間に配備された光学接着剤の層によって実現される。他の非限定的な実装例では、光学カップリングは、機械的取り付けによって実現され得、それにより、光学配置102は、表面105b、107bが面16に隣接し、エアギャップが、表面105b、107bと、面16との間に維持された状態で、機械的に位置付けられる。
【0059】
界面領域108は、様々な方式で実装され得る。非限定的な実装例の1つのセットでは、界面領域108は、約1の屈折率を有するように、エアギャップとして実装される。そのようなエアギャップは、例えば、表面105bが(例えば、機械的取り付け、光学接着剤などを介して)面16の第1の部分に隣接した状態で、第1の光学素子104を配備すること、および表面105c、107cの間に均一なエアギャップを維持するように、表面107bが、(例えば、機械的取り付け、光学接着剤などを介して)面16の第2の部分に隣接した状態で、第2の光学素子106を配備することによって、実装され得る。他の非限定的な実装例では、界面領域108は、光学接着剤の層、固体誘電体材料の層、薄膜誘電体コーティング、または低インデックス材料の薄い透明プレートなどの透明な低インデックス材料の薄層として実装される。そのような実装例では、光学素子104、106は、エアギャップの実装例と同様に配備され得、透明な低インデックス材料の薄層は、表面105c、107cにおける光学素子104、106の間に配備され得る。
【0060】
約1.3の屈折率を有する光学接着剤が市販されている。そのような光学接着剤は、表面105c、107cのいずれか上に堆積され得る。固体誘電体材料も、例えば、開発されたエアロゲル材料のファミリの形態で、市販されている。これらのエアロゲル材料は、1.1~1.2の範囲の屈折率を有し、安定した機械的性質も有する。そのようなエアロゲル材料は、表面105c、107cのいずれかに適用され得る。代替的に、必要な反射特性(すなわち、低いAOIでは透過性で、より大きなAOIでは高反射性)を有する薄膜誘電体コーティングが、表面105c、107cのいずれかに適用され得る。
【0061】
図8は、界面領域108が、薄い透明プレート114として実装される、本開示の特定の実施形態による非限定的な実装例を示す。そのような実施形態では、透明プレート114は、2対の互いに平行な側面(すなわち、表面、面)109a、109b、111a、111bを含む。ここで、プレート114は、光学素子104、106の寸法に対応して寸法決めされ、特に、側面111a、111bの長さは、側面109a、109b間の距離が、(表面105a、105b間および/または表面107a、107b間で測定された)光学素子104、106の厚さに対応するように、表面105c、107cの長さに対応する。したがって、側面109a、109bは、側面111a、111bよりも短く、非矩形の平行四辺形断面を形成し、すなわち、透明なプレート114の隣接する側面は、互いに斜角になっている。特に、側面111a、109b間、および側面111b、109a間の角度は、(表面105c、107cの傾斜配備に従って)αである。そのような実装例では、透明プレート114の短い側面のうちの一方109aは、表面105a、107aと同一平面上にある一方、透明プレート114の短い側面のうちの他方109bは、表面105b、107bと同一平面上にある。透明プレート114の長い側面のうちの一方111aは、表面105cに光学的に取り付けられ、表面105cと実質的に(すなわち、効果的に)一致し、長い側面のうちの他方111bは、表面107cに光学的に取り付けられ、表面107cと実質的に一致する。側面111a、111bは、光学接着剤の薄層を介して、それぞれの表面105c、107cに光学的に取り付けられ得る。代替的に、薄い透明プレート114は、側面111a、111bが、それぞれの表面105c、107cに隣接し、かつそれぞれの表面105c、107cと実質的に一致する状態で、機械的に位置付けられ得る。図8に示されるように、側面111a、111bと、それぞれの表面105c、107cとの間のギャップのサイズは、例示の明確化のために誇張されており、実際には、そのようなギャップは、好ましくは実質的には存在しないことに留意されたい。
【0062】
前述のように、界面領域108は、光学カップリングアウト構成30の少なくとも一部分と関連付けられ、図5に示される例示的な配備構成では、最後の3つの部分反射面30a、30b、30cと関連付けられている。特に、界面領域108は、最後の部分反射面30aの少なくとも一部にわたり、部分反射面30b、30cの全体にわたる。この配備は、第1の所与の範囲の入射角で光学配置102に入射する光線が、最後の2つの部分反射面30a、30bから反射されて、眼36に到達するのを防止する。
【0063】
表面105a、105b、107a、107bの相対的な長さが、斜角αを決定し、その逆もまた同様であることに留意されたい。界面領域108は、部分反射面30の一部(典型的には、部分反射面30の最大で半分)にのみと関連付けられる必要があるので、光学素子104の長さは、光学素子106の長さよりも著しく短く、表面105bの長さは、表面107aの長さよりも著しく短いことにさらに留意されたい。本文脈では、光学素子104、106の長さは、それぞれ、表面105a、107bの長さによって画定され、表面105a、105b、107a、107bの長さは、(表面105dと、107dとの間に及ぶ)水平軸に沿って測定される。特定の非限定的な実装例では、表面107bは、表面105aの長さの約2倍である長さを有し、表面107aは、表面105bの長さの約5倍である長さを有する。そのような実装例では、表面105aは、表面105bの長さの約1.5倍である長さを有し、表面107bは、表面107aの長さの約4倍である長さを有する。2つの光学素子104、106の表面長さの乗法因子は、例えば、部分反射面の数および所望の斜角αを含む様々な因子に依存し得る。例えば、界面領域108と関連付けられるべき部分反射面の数は、選択され得、これが、斜角αを指示し、これが、次に、表面105a、105b、107a、107bの対応する長さを指示する。
【0064】
図9は、2つの入射光線、すなわち、光線44および光線60の例によって、光学配置102の構成要素との光線の相互作用を示す。例示の明確化のために、界面領域108の厚さは、図7および図8に示される界面領域厚さと比較して、大幅に低減されている。光線44は、光学配置102がない場合にゴーストを生じるであろう第1の所与の範囲の入射角で光学配置102に入射する光線の特定のセット内の光線を表す。光線60は、第1の所与の範囲の外側の第2の所与の範囲の入射角で光学配置102に入射する光線を表す。第2の範囲の入射角の光線は、光学配置102がない場合にゴーストをもたらさないであろうため、第2の所与の範囲の光線は、光学配置102による影響をほとんど受けないことが好ましい。第2の光学素子106は、そのような光線が、光学配置102による影響をほとんど受けないことを確実にし、かつこれらの光線が光学素子104に到達するAOIと同じ(またはほぼ同じ)AOIで、これらの光線がLOE12に到達することを可能にする。
【0065】
まず、光線60の横断を見ると、光線60は、ほぼ0°のAOI(すなわち、表面105aにほぼ垂直)で、光学配置102の光学素子104の表面105aに入射する。入射光線60は、表面105cを介して光学配置102に入り、(光学素子104の屈折率と、界面領域108の屈折率とによって定義される)臨界角θ未満のAOI(界面領域108の法線に対して測定される)で界面領域108に衝突し、その結果、光線60は、界面領域108に入る(すなわち、その中に透過される)。光線60は、第1の光学素子104の高屈折率から界面領域108の低屈折率への変化に起因して、ある程度の屈折を経験し得る。次いで、光線60は、界面領域108を出て、第2の光学素子106に入り、界面領域108の低屈折率から第2の光学素子106の高屈折率への変化に起因して、ある程度の屈折を受け得る。光学素子104、106は、好ましくは同じ屈折率を有するため、高インデックスから低インデックスへ、さらに高インデックスへの移行に起因する光線60の複屈折が、光線60の伝播方向が、光学配置102による影響をほとんど受けないことを確実にする。言い換えれば、入射光線60は、伝播角度の大きな変化なしに、界面領域108を通って伝播し、その結果、光線60は、光学素子104を(表面105cを介して)出たときとほぼ同じ角度で、光学素子106に(表面107cを介して)に入る。加えて、光学素子104、106の対応する構成および共通の屈折率により、光線60は、(光学素子104の表面105aを介して)光学配置102に入り、ほぼ同じ角度で(光学素子106の表面107bを介して)光学配置102を出る。
【0066】
図面には示されていないが、光学配置102を出た後、光線60は、光線60が表面105aに衝突したのとほぼ同じAOIで、LOE12の面16に衝突する。この特定の例では、AOIは、約0°であり、光線60は、面16を介してLOE12に入り、(反射なしに、または部分反射面30からの無視できるほど少量の反射を伴って)LOE12を直接通過し、観察者の眼36によって見られるように、面14を介してLOE12を出る。したがって、光学配置102は、外部シーンの観察者の視界を遮らない。
【0067】
光線44は、グレージング角(θinを指定された、表面105aに対して大きなAOI)で、光学配置102の表面105aに入射する。光線44の強度の一部分は、光線45aとして光学配置102にカップリングインされ、透過光線45aは、(光学素子104の屈折率と、光学配置102が配備されている媒体、例えば、空気の屈折率と、を使用して、スネルの法則に従ってθinから計算され得る)θの角度で伝播する。透過した光線45aは、(界面領域108の法線に対して測定された)θのAOIで、界面領域108に衝突する。角度θは、以下の式、θ=θ+α、を使用して計算され得る(式中、αは、表面107bと、表面107cとの間に形成される斜角である。
【0068】
θが臨界角度θよりも大きい場合、光線45aは、反射光線45bとして、界面領域108で全内部反射される(すなわち、全内部反射TIRを受ける)。TIR反射光線45bは、表面105aに向かって後方に伝播して戻り、反射光線45cとして界面領域108に向かって伝播して戻るように、表面105aで内部反射を受ける。反射光線45cは、表面105dに向かって反射光線45dとして反射されるように、界面領域108から最終反射を受けるまで、光学素子104を通って伝播し続ける。反射光線45dは、光学素子104の表面105dと関連付けられた光収集/散逸構成要素110に到達し、光収集/散逸構成要素110が、光線45dと関連付けられた強度を収集する、および/または散逸させる。光収集/散逸構成要素110は、表面105dに配備され得、例えば、吸収体または拡散体として含む、様々な方式で実装され得る。吸収体および拡散体は、当業者に周知である。吸収体として実装される場合、光収集/散逸構成要素110は、例えば、表面105dに塗布または堆積された、例えば、黒色の光吸収性塗料などの光吸収材料の層として実装され得る。
【0069】
光学配置102の設計パラメータ、特に、角度α、および界面領域108ならびに光学素子104、106の屈折率は、入射角の第1の所与の範囲のAOIで光学配置102に入射するすべての光線が、内部反射によって光学配置102にカップリングインされ、そのような光線がLOE12に入ること、および部分反射面30によって眼36に向かってLOE12からカップリングアウトされること(そのようなカップリングアウトされた光線は、外部シーンのゴースト画像として現れる)を防止するように、光収集/散逸構成要素110で収集および/または散逸されることを確実にするであろう臨界角θを生成するために選択され得る。
【0070】
前述のように、光学素子104、106は、好ましくは1.5~1.9の範囲の屈折率ηを有する高インデックス材料から好ましくは形成され、界面領域108は、好ましくは1~1.35の範囲の屈折率ηを有する低インデックス材料から好ましくは形成される。当技術分野で既知のように、臨界角度θ=sin-1(η/η)。したがって、上記の例示的な範囲のηおよびηを使用すると、臨界角度は、約33.7°(η=1.8およびη=1の場合)~60.1°(η=1.5およびη=1.3の場合)の範囲の値をとり得る。
【0071】
図10は、図5および図6の光学配置102に衝突する、第1の所与の範囲の入射角の光線の光強度分布のヒートマップを示し、光学素子104、106は、1.59の屈折率を有する材料から構築され、界面領域108は、1.1の屈折率とα=2.5とを有する。ヒートマップは、表面105a、107aと関連付けられて配備された、ランバート分布を有する点源からの光を収集するために、表面105b、107bと関連付けられて配備された検出器の強度分布を示す。垂直軸の光の分布は、180°のスパンを有し、水平軸に沿った片側で先端を切り取ったような形をしている(界面領域108のスパンを表す)。71°を超えるAOIで光学配置102(この場合、光学素子106の表面107a)に入射する光は、内部反射によって光学配置102にカップリングインされ、界面領域108によって、LOE12から離れて(かつ光収集/散逸構成要素110に向かって)偏向される。概して、第1の所与の範囲の入射角で光学配置102(すなわち、光学素子104の表面105a)に入射する望ましくない光線の影響を軽減するために、光学配置102の光学パラメータ(例えば、α、界面領域108の屈折率、光学素子104、106の屈折率など)が、選択され得る。第1の範囲の入射角は、典型的には56°~86°であるが、光学デバイスの特定の構成に応じて変化し得る。例えば、特定の光学構成では、第1の範囲の入射角は、70°~86°である一方で、他の構成では、55°~86°である。光学配置102の光学パラメータはまた、典型的には-90°~45°の範囲の、(第1の範囲の外側の)第2の所与の範囲の入射角で光学配置102(すなわち、光学素子104の表面105a)に入射する光線が、光学配置102による影響をほとんど受けないように、選択され得る(例示的な光線60で前に考察されたように)。
【0072】
ここで図11を参照すると、LOE12の後部にある外部シーン内の光源によって(すなわち、図3のように、面14が、光源を有する外部シーンに対して対向関係にあるときに)引き起こされるゴースト画像に対処する/該ゴースト画像を軽減するために、面14に配備された光学配置102が、示されている。ここで、光学配置102の構造は、少数の主要な違いを除いて、図5図9を参照して前述された構造とほぼ同じである。第1に、かつ最も注目すべきことに、光学配置102は、面16と、表面105b、107bとの間の光学カップリングを介して、面14に配備されている。第2に、図11に例示される配備構成は、光学カップリングイン構成22を収容するように、(LOE12の近位端と、遠位端との間の方向、すなわち水平軸にわたる)長さ寸法に沿って(図5に例示される配備構成と比較して)光学素子106の先端切除を必要とし得る。第3に、光学配置102は、LOE12の後部の光源から生じるであろうゴーストを軽減するように配備されるため、界面領域は、最後の数個の部分反射面(この例では、部分反射面30a、30b)の全体にわたり、後続の部分反射面(この例では、部分反射面30cの少なくとも一部にわたり、部分反射面30b、30cの全体にわたる。この配備は、第1の所与の範囲の入射角で光学配置102に入射する光線が、最後の2つの部分反射面30a、30bから反射されて、眼36に到達するのを防止する。
【0073】
図11に示される配備構成における光学配置102の一般的な動作原理は、図5に示される配備構成における動作原理と同一または類似である。図11では、所与の範囲のAOIで表面105aに入射する、面14と関連付けられて、画像プロジェクタ18の近くに配備された(外部シーン内の)ソースからの光は、光学素子104の表面105aを介して光学配置102にカップリングインされ、反射光線として表面105aに向かって反射されるように、界面領域108で全内部反射によって反射される。次いで、この反射光線は、表面105aにおいて、界面領域108に向かって反射されて戻され、界面領域108は、反射光線を、表面105dに向かって反射し、表面105dは、表面105d上に配備され、および/または表面105dと関連付けられた光収集/散逸構成要素を有する。
【0074】
明らかであるはずであるように、図5および図11に示される配備構成は、LOE12の前側(すなわち、面16)の外部シーン内の光源の第1のセット、およびLOE12の後側(すなわち、面14)の外部シーン内の光源の第2のセットの影響に対処する/該影響を軽減するために、組み合わせて使用され得る。言い換えれば、第1の光学配置102は、(図5のように)面16と関連付けられて配備され得、第2の光学配置102は、(図11のように)面14と関連付けられて配備され得る。
【0075】
ここで図12を参照すると、本開示の別の実施形態による光偏向光学配置202が示されている。光学配置102と同様に、光学配置202は、界面領域208を画定するように互いに光学的にカップリングされ(かつ互いに隣接して配置され)ている、対応して構成されている第1および第2の光学構成要素204、206から形成される。考察されるように、前述の実施形態の光学構成要素104、106とは異なり、光学構成要素204、206は、湾曲した主表面を有しており、その結果、光学構成要素204、206が互いにカップリングされると、光学配置202は、2つの連続する湾曲した主表面を有するレンズ状の形状を形成する。
【0076】
図示のように、第1の光学素子204は、205a、205b、205c、205dと指定されている少なくとも4つの主表面(すなわち、面)を含む複数の表面を含む。表面205aおよび205bは、それぞれ、凹状曲面および凸状曲面である。光学素子102と同様に、表面205aは、表面205bよりも長く、表面205cは、2つの表面205a、205bのそれぞれの第1の端部の間に延在し、表面205a、205bに対して傾斜している。
【0077】
表面205dは、2つの表面205a、205bのそれぞれの第2の端部(第1の端部の反対側)の間に延在し、(必ずしもというわけではないが)好ましくはLOE12の面14、16に平行であり、光学配置202と、LOE12との間の光学カップリングの一部を提供する。特に、表面205dは、LOE12の遠位端またはその近くで、光学配置202を面16の一部分に光学的にカップリングする。
【0078】
第2の光学素子206は、207a、207b、207c、207dを指定されている少なくとも4つの主表面を含む複数の表面(すなわち、面)を含む。表面207aおよび205bは、それぞれ、凸状曲面および凹状曲面である。光学素子102と同様に、表面207bは、表面207aよりも長い(かつ表面207bの長さは、表面205aの長さよりも大きく、表面207aの長さは、表面205bの長さよりも大きい)。表面207cは、2つの表面207a、207bのそれぞれの第1の端部の間に延在し、表面207a、207bに対して傾斜している。
【0079】
表面207dは、2つの表面207a、207bのそれぞれの第2の端部(第1の端部と反対側)の間に延在し、(必ずしもというわけではないが)好ましくはLOE12の面14、16に平行であり、最も好ましくは、表面205dと同一平面上にある。表面207dは、光学配置202と、LOE12との間の光学カップリングの一部を提供する。特に、表面207dは、LOE12の近位端またはその近くで、光学配置202を面16の一部分に光学的にカップリングする。
【0080】
表面205a、205b、207a、207bは、各々、ある程度の曲率を有するため、表面205cと、表面205a、205bとの間の斜角、および表面207cと、表面207a、207bとの間の斜角は、混合角度(mixed angles)である。したがって、表面205a、205c間の斜角は、表面205cと、表面205a、205c間の交点における表面205aの接線との間で測定される。同様に、表面205b、205c間の斜角は、表面205cと、表面205b、205c間の交点における表面205bの接線との間で測定される。同様に、表面207a、205c間の斜角は、表面207cと、表面207a、207c間の交点における表面207aの接線との間で測定される。同様に、表面207b、207c間の斜角は、表面207cと、表面207b、207c間の交点における表面207bの接線との間で測定される。これらの斜角は、上述の光学配置102と同様に、界面領域208の傾斜配備を画定する。
【0081】
図12から分かるように、光学素子204、206の光学カップリング(隣接配置)は、好ましくは、表面205bおよび207bが、光学配置202の連続した凹状曲面面の一部を形成すること、および表面205aおよび205bが、光学配置202の連続した凸状曲面の一部を形成すること、をもたらす。
【0082】
光収集/散逸構成要素(図9の光収集/散逸構成要素110と同様)は、内部反射によって光学素子204を通って伝播する望ましくない光を収集するか、または散逸させるように、表面205dに近接する主表面205aの部分と関連付けられ得る。
【0083】
図13は、本開示の別の実施形態による、光偏向光学配置302を示す。光学配置102、202と同様に、光学配置302は、界面領域308を画定するように互いに光学的にカップリングされ(かつ互いに隣接して配置され)ている、対応して構成されている第1および第2の光学構成要素304、306から形成される。第1の光学素子304は、複数の表面を含むが、光学配置102、202の光学素子とは異なり、光学素子304は、主に、305a、305b、305cと指定されている紙面内の3つの主表面(すなわち、面)によって画定される。表面205aと同様に、表面305aは、凸状曲面である。表面305bは、平らな表面であり、表面305cは、2つの表面305a、305bのそれぞれの第1の端部の間に延在し、表面305a、305bに対して傾斜している。表面305a、305bは、2つの表面305a、305bのそれぞれの第2の端部で接合されている。光収集/散逸構成要素は、内部反射によって光学素子304を通って伝播する望ましくない光を収集するか、または散逸させるように、表面305bに近接する主表面305aの部分と関連付けられ得る。
【0084】
第2の光学素子306もまた、主に、307a、307b、307cと指定されている、紙面内の3つの主表面(すなわち、面)によって画定される。表面207aと同様に、表面307aは、凸状曲面である。表面307bは、好ましくは表面305bと同一平面上にある平らな表面である。表面307cは、2つの表面307a、307bのそれぞれの第1の端部の間に延在し、表面307a、307bに対して傾斜している。表面307a、307bは、2つの表面307a、307bのそれぞれの第2の端部で接合されている。
【0085】
図13から分かるように、光学素子304、306の光学カップリング(隣接配置)は、好ましくは、光学配置302が、一般的な平凸構造を有するように、表面305bおよび307bが、光学配置202の連続した平らな表面の一部を形成すること、および表面305aおよび305bが、光学配置202の連続した凸状曲面の一部を形成すること、をもたらす。
【0086】
図13に示される実施形態では、光学配置302は、面16と、表面305b、307bとの間の光学カップリングを介して面16に配備されている。特定の好ましいが非限定的な実装例では、光学カップリングは、機械的カップリングによって実現され、それにより、光学配置302は、(図5図9を参照して説明された実施形態と同様に)表面305b、307bが面16に隣接し、エアギャップが、表面305b、307bと、面16との間に維持された状態で、機械的に位置付けられる。
【0087】
図面には示されていないが、図12および図13の光学配置202、302は、LOE12の後部に位置する外部シーン内の光源によって引き起こされるゴースト画像に対処する/該ゴースト画像を軽減するために、(図11と同様に)面14と関連付けられて配備され得る。そのような配備は、図11の配備構成で説明された光学配置102の修正(例えば、光学素子206、306の先端部切除、および部分反射面と関連する界面領域208、308の配置)と同様の、光学配置202の修正を必要とし得ることに留意されたい。通常、屈折力を有する光学表面が、LOE12と、眼36との間に導入される場合、光学表面は、平凹表面であることに留意されたい。光学表面が平凹であることは、光学カップリングアウト構成30を介してLOE12からカップリングアウトされた照明(例えば、図1のビーム20)の、無限遠よりも近い距離での結像を可能にする。
【0088】
これまで説明された実施形態は、線形表面プロファイルを有する界面領域を画定する、隣接して配置され、対応して構成された2つの光学素子を有する光偏向光学配置に関するものであったが、界面領域の表面プロファイルが非線形である他の実施形態も、可能である。図14および図15は、そのような非線形の界面領域を有する光学配置の例を示す。
【0089】
まず図14を参照すると、光学配置102に類似するが、非線形表面プロファイルを有する界面領域を有する、本開示の実施形態による光偏向光学配置402が示されている。光学配置402の類似の構成要素は、光学配置402の構成要素のラベルが数字「4」で始まることを除いて、光学配置102のものと同様にラベル付けされる。光学配置402は、界面領域408が非線形表面プロファイル、好ましくは二次元(2D)もしくは一次元(1D)の凸状または半凸状の表面プロファイルを有するように、表面405c、407cが、曲面(すなわち、ある程度の曲率を有する)であることを除いて、構造および動作において光学配置102とほぼ同一である。そのような実施形態では、表面405cは、概して凸状または半凸状であり、表面407cは、概して凹状または半凹状である。光収集/散逸構成要素は、内部反射によって光学素子404を通って伝播する望ましくない光を収集するか、または散逸させるように、主表面405dと関連付けられ得る。
【0090】
図15は、光学配置302に類似する、本開示の別の実施形態による光偏向光学配置502を示す。光学配置502の類似の構成要素は、光学配置502の構成要素のラベルが数字「5」で始まることを除いて、光学配置302のものと同様にラベル付けされる。光学配置502は、界面領域508が非線形表面プロファイル、好ましくは凸状または半凸状の表面プロファイルを有するように、表面505c、507cが、(光学配置402と同様の)曲面であることを除いて、構造および動作において光学配置302とほぼ同一である。光収集/散逸構成要素は、内部反射によって光学素子504を通って伝播する望ましくない光を収集するか、または散逸させるように、表面505bに近接する主表面505aの部分と関連付けられ得る。
【0091】
光学配置402、502の構造の結果として、表面405a、505aに入射する光線は、界面領域408、508の変化する表面プロファイルに供され、その結果、入射光線のAOIは、位置(すなわち、界面領域における入射点の位置)に応じて変化する。結果として、光学配置402、502は、界面領域の曲率が(図面におけるLOE12の近位端から遠位端への方向に)急激になるにつれて、偏向された光線の角度分布が増加するため、より大きなFOVにわたって光線を偏向し得る。
【0092】
これまで説明された実施形態は、エアギャップまたは透明な低インデックス材料の層(例えば、光学接着剤の層、固体誘電体材料の層、または低インデックス材料の薄い透明プレート)として形成された界面領域に関するものであったが、界面領域が、例えば、基板内に埋め込まれた一連の部分反射器の形態の、より決定的な光学構造を有する他の実施形態も可能である。図16は、そのような実施形態による、光偏向光学配置602の非限定的な実装例を示す。光学配置602は、光学配置102に類似するが、一連の部分反射面を有する界面領域を含む。光学配置602の類似の構成要素は、光学配置602の構成要素のラベルが数字「6」で始まることを除いて、光学配置102のものと同様にラベル付けされる。
【0093】
図示される非限定的な実装例では、光学配置602は、2つの光学素子604、606であって、それらの間に形成された界面領域608を有する、光学素子604、606を含む。界面領域608は、平行な主外部表面612a、612b、614a、614bの第1および第2の対を有する光透過基板610として形成され、表面612a、612b間に延在し、表面612a、612bに対して傾斜した、基板610内に配備された一連の部分反射面630a、630b、630c、630d、630e、630f(一括して630を指定される)を含む。
【0094】
2つの光学素子604および606の各々は、それぞれ、605a、605b、605c、605d、および607a、607b、607c、607dを指定されている少なくとも4つの平らな主表面(すなわち、面)を含む複数の表面を含む。表面605a、605bは、互いに平行であり、それぞれ、互いに平行な表面607a、607aと同一平面上にある。特定の非限定的な実装例では、表面605a、605bは、表面605c、605dに直交し、表面607a、607bは、好ましくは表面607c、607dに直交する。そのような実装例では、界面領域608は、表面の第2の対の表面のうちの1つ614aが、表面605cと光学的にカップリングされ、第2の対の表面のうちの他方614bが、表面607cと光学的にカップリングされた状態で、光学素子604、606の間に配備された矩形のスラブ型基板610として形成される。他の非限定的な実装例では、表面605c、607cは、表面605a、605b、607a、607bに対して傾斜している。
【0095】
表面605a、612a、607aは、表面605b、612b、607bによって形成される別の単一の連続表面(620bを指定されている)に平行である単一の連続表面(620aを指定されている)の一部を形成する。
【0096】
さらに他のより好ましいときもある非限定的な実装例では、光学配置602は、一般に、単体の矩形のスラブ型基板であって、平行な表面620a、620bを有し、かつ表面620a、620b間に延在し、表面620a、620bに対して傾斜した、スラブ型基板内に配備された部分反射面630を有する、単体の矩形のスラブ型基板、として形成される。そのような単体実装は、製造複雑性の低減という点で、非単体実装に対する特定の利点を有し得る。
【0097】
実装例にかかわらず、光学配置602は、部分反射面630が、光学カップリングアウト構成30と関連付けられるように配備される。好ましいが非限定的な実装例では、部分反射面630は、光学カップリングアウト構成30の全体にわたり、部分反射面のセット30、630の各々において、部分反射器間に1対1の関係が存在する。これが、図16に示されており、部分反射面630のうちの各部分反射面の投影は、部分反射面30のうちのそれぞれ1つの投影にわたる。例えば、部分反射面630aの投影は、部分反射面30aの投影にわたり、投影平面は、表面620a、620b、14、16の平面に平行である。
【0098】
(表面620a、620bの間で測定される)基板610の厚さは、LOE12の厚さ未満であることに留意されたい。したがって、部分反射面30および630が配備される斜角は、異なっている。
【0099】
以下の段落は、部分反射面630の好ましい光学的特性を説明した。まず、部分反射面630は、好ましくは、高いAOIに対して反射性であり、低いAOIで透過性である(AOIは、部分反射面630の平面の法線を測定される)。この光学特性は、臨界角度θよりも大きい角度で界面領域に衝突する光線が、界面領域で反射される、前述の実施形態で考察された界面領域のものと同様である。
【0100】
加えて、光が、部分反射面630のうちの1つによる誘導内に反射されて、反射面630のうちの別のものによって元の方向に反射されて戻る(この現象は「二重反射」と称される)のを防止するために、部分反射面630を散乱表面として実装することが、有利であり得る。二重反射は、図16に概略的に示されており、代表的な入射光線44は、屈折光線45aとして、表面620aを介して光学配置602にカップリングインされる。光線45aは、表面のうちの1つ630eに衝突し、反射光線45bとして反射され、反射光線45bは、表面のうちの隣接する1つ630dに衝突し、反射光線45cとして反射される。次に、光45cは、光線45dとして、表面620bを介して光学配置602から屈折されて出る。散乱特性を採用することにより、二重反射光も二重散乱されて、元の方向を失うであろう。したがって、部分反射面630は、より大きなAOIに対して反射性および散乱/拡散特性を有する。
【0101】
しかしながら、部分反射面630はまた、より小さいAOIに対して鏡面的に透明(specularly transparent)であるべきである。高AOIでの拡散反射特性と、低AOIでの鏡面透明性(specular transparency)とを有する部分反射面を構築することは、非常に粗い拡散ガラス上に低屈折率材料の非常に薄い層を堆積させることによって達成され得る。例えば、約1μmの厚さを有するフッ化マグネシウム(MgF)の層を、約10μmの表面粗さ(Ra)を有する拡散ガラス上に堆積させて、部分反射面630を構築することができる。
【0102】
加えて、光学配置602の材料が部分的に吸収性である場合、光学配置602をまっすぐ通って伝播する光(光線60など)は、わずかに吸収される一方で、光線44(および関連付けられた屈折光線ならびに反射光線45a~45c)は、吸収材料の内部ではるかに長い距離を伝播し、それにより、光線44、45a~45dの強度を著しく低減させるであろう。そのような部分的に吸収性の材料の一例が、明るいソースの存在下でより暗くなる(すなわち、より多くを吸収する)フォトクロミック材料である。したがって、例えば、光学デバイスが、特定のAOIで光学配置に衝突する太陽光の存在下で、屋外使用のために配備される場合、ゴースト反射が非常に明るくなる可能性があると、フォトクロミック材料が黒色に遷移して、ゴースト画像を劇的に減少させるであろう。さらに、表面630が部分的に吸収性である場合、これらの表面630を通って反射される光は、2回吸収される一方、表面630を通過する光は、1回だけ吸収されるであろう。光線60の透過および光線44、45a~45dの遮断における違いは、幾分限られていることに留意されたい。したがって、これらの光線間のより良好な識別を提供し得る光学構造が、好ましい場合がある。
【0103】
図17は、そのような好ましいときもある光学構造の一例を示す。ここで、部分反射面(部分反射面630を表す)は、低屈折率材料634(MgFなど)の薄い層でコーティングされた粗い表面632(表面粗さを表すことを意図した曲線によって概略的に表される)を、材料634の屈折率よりも大きいほぼ同じ高屈折率を有する2つの透明層(光学素子)636、638の間に挟むことによって構築される。これにより、低AOIでクリアな鏡面透明性の表面、かつ高AOIで拡散反射生表面が、もたらされる。
【0104】
透明層636、638は、互いに光学的にカップリングされ、それにより、材料634でコーティングされた表面632の形態の界面領域を画定する。部分反射面630の各々は、一対の高インデックス光学素子の間に、低インデックスコーティングされた粗い表面を挟むことによって実装されるので、界面領域608は、複数の界面領域(すなわち、部分反射面630の各1つについて1つの界面領域)を含む。
【0105】
図18は、光学配置602に類似する、本開示の別の実施形態による、ゴースト画像に対処するための光学配置702の非限定的な実装例を示す。光学配置702の類似の構成要素は、光学配置702の構成要素のラベルが数字「7」で始まることを除いて、光学配置602のものと同様にラベル付けされる。光学配置602と同様に、光学配置702は、光透過基板710内に配備された、互いに平行な表面730のセットを採用する。しかしながら、光学配置602と、光学配置702との間には、いくつかの重要な違いがある。1つの重要な違いが、表面730の基本的な光学原理である。本実施形態では、表面730は、吸収性であり、面730を通過するすべての光を遮断する。これが、図18に概略的に示されており、入射光線44は、屈折光線45aとして、表面720aを介して光学配置にカップリングインされる。光線45aは、表面730のうちの1つに衝突し、その表面によって吸収され、それにより、光線44がLOE12に到達するのを防止する。したがって、光学配置702は、厳密には「光偏向」光学配置ではなく、「光吸収」光学配置である。
【0106】
別の重要な違いは、表面730が、表面630と比較して、より大きな傾斜角で配備され、部分反射面30に対して反対方向に配備されていることである。大きな傾斜角は、より多くの表面が基板710内に詰め込まれることを可能にする。これが、図18に明確に例示されており、図18は、表面730a~730fを、複数の平行表面730のうちの数個の単なる例として示す。部分反射面30に対する表面730の位置、ならびに表面730の配備角度は、表面730が、ユーザ/視聴者を妨害しないことを確実にする。図示のように、表面730は、(LOE12の遠位端またはその近くにある部分反射面30と関連付けられて)LOE12の左側領域にのみ配置/位置付けされている。通常、75°~85°(表面720bの平面に対して測定される)の範囲内の大きい傾斜角、および部分反射面30に対して反対の傾斜方向が、表面730の配備位置と組み合わされて、法線に近い角度で表面720aに衝突する外部シーン光線(例えば、光線60)が非常に小さいことを確実にする。したがって、法線に近い角度で表面720aに衝突する外部シーンからの光の大部分は、光学配置702をまっすぐ通過するであろう。
【0107】
表面730は、図17を参照して前述したものと同様の構造を使用して実装され得、ここで、材料634は、透明層636および638のものと同様の屈折率を有して吸収性であるべきことを期待する。
【0108】
光学配置の実装例にかかわらず、光学配置は、好ましくは、観察者が、妨害されない外部シーンの視界を有することを確実にするように、LOE12の全幅にわたる(すなわち、LOE12の近位端と、遠位端との間にわたる)ことに留意されたい。
【0109】
本開示の実施形態による光学デバイスは、観察者(視聴者)の耳に掛けるためのサイドアームを備えた眼鏡フレームとして実装されるヘッドマウントメカニカルボディを有する眼鏡フォームファクタで実装されるときに利益を得るように使用され得る。そのような眼鏡フォームファクタの例は、米国特許第8,432,614号などのいくつかの同一所有者の特許文献に見出され得、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そのような非限定的な実装例では、画像プロジェクタ18および光学カップリングイン構成22は、眼鏡フレームのテンプルの近くに位置する。ヘルメットマウントフォームファクタ、および他のヘッドアップディスプレイフォームファクタならびにニアアイディスプレイフォームファクタなどの他のフォームファクタもまた、明らかに本発明の範囲内にあることに留意されたい。
【0110】
観察者の背後およびこめかみ側から発生する望ましくない光線がEMBに到達するのを防ぐために、眼鏡フレームのサイドアームの1つまたはその付近に、第2の光学配置を配備することが特に有利であり得る。図19は、そのような配備構成に従って配備された第2の光学配置102’を示す。例示の配備構成では、第2の光学配置102’は、第1の光学配置102と同様であり、第2の光学配置102’の類似の構成要素は、第2の光学配置102’の構成要素のラベルが、「プライム」(’)を付加されることを除き、第1の光学配置102の構成要素と同様にラベル付けされる。
【0111】
第2の光学配置102’は、LOE12に直交する(および光学配置102に直交する)配向で、かつ表面105b’、107b’が眼36と対向関係にある状態で、LOE12の近位端(すなわち、画像プロジェクタ18および光学カップリングイン構成22の近く)に配備される。光学配置102’と、LOE12との間の直交配向は、一般に、光学配置102’およびLOE12の伸長方向の直交性を指す。例示の実施形態では、LOE12(および第1の光学配置102)は、水平軸に任意に対応する伸長方向を有し、第2の光学配置102’は、垂直軸に対応する伸長方向を有する。
【0112】
第2の光学配置102’は、LOE12に直交するサイドアームのうちの1つまたはその付近に配備されるので、光学素子104’の幾何学形状は、光学素子104の幾何学形状とは異なり得ることに留意されたい。特に、(図中の垂直軸に沿って測定される)光学素子104’、106’の長さは、光学素子104、106の長さと比較して、先端切除され得る。さらに、(図中の垂直軸に沿って測定される)表面105a’、105b’の長さは、好ましくは、表面105a、105bの対応する長さよりもかなり短い。特定の実施形態では、光学素子104’は、紙面内で3面プリズムを形成するように、3つの主表面によって画定される(すなわち、表面105b’は、0の有効長を有する)。さらに、表面105a’、105c’間の斜角の測定値は、表面105a、105c間の斜角の測定値と異なる場合がある。
【0113】
図19の2つの直交配向の光学配置は、図5を参照して説明された光学配置として実装されるように示されているが、2つの直交配向の光学配置は、前述の光学配置のいずれかに従って実装され得ることに留意されたい。さらに、2つの直交配向の光学配置は、必ずしも同じ実装例のものである必要はない。例えば、第1の光学配置は、図12を参照して説明された光学配置として実装され得、第2の光学配置は、図5を参照して説明された光学配置として実装され得る。
【0114】
眼鏡フォームファクタまたは他のヘッドアップディスプレイフォームファクタおよびニアアイディスプレイのフォームファクタでの光学デバイスの実装例の文脈では、湾曲した主表面を有する光学素子から形成される光学配置(光学配置202、302、502など)は、視覚障害を有する観察者に利点を提供し得る。例えば、光学配置202、302、502は、レンズとして形成されるか、またはレンズの一部として形成され得、それにより、表面205a、207a、305a、307a、505a、507aは、光学配置がない場合に比較的小さいAOI(例えば、0°~34°の範囲のAOI)で面16に衝突するであろう外部シーンから発する光に補正屈折力を適用し得、それにより、外部シーンの観察者の視界を改善する。例示の非限定的な実装例では、光学配置202、302、502は、(図12および図13のように)外部シーンと、LOE12との間に配備されたとき、0.5Dの屈折力を有し、(図11のように)LOE12と、眼との間に配備された場合、-0.5Dの屈折力を有することに留意されたい。
【0115】
本開示の実施形態による光学デバイスは、部分反射面30のセットとして実装される光学カップリングアウト構成30の文脈でこれまで説明されてきたが、セット部分反射面30は、光学カップリングアウト構成の1つの非限定的な実装例の単なる例示であり、他の光学カップリング構成を使用して、画像光をLOE12からカップリングアウトすることができる。光学カップリングアウト構成は、LOE12内ですでに伝播している画像入射光の一部を、内部反射によって、画像入射光の偏向された部分がLOE12を出るような角度に偏向させる任意の光学カップリング配置であり得る。そのような好適な光学カップリング配置の他の例には、これらに限定されないが、面14、16のいずれかに配置された1つ以上の回折光学素子およびビームスプリッタ配置が含まれる。そのような光学カップリング配置はまた、外部シーンからの入射光が、特定の範囲のグレージング角で外面14、16に衝突する場合、ゴーストを誘発し得る。したがって、上述の本開示の実施形態による光偏向または吸収光学配置は、そのような回折またはビーム分割光学カップリング配置を利用する光透過基板と組み合わせて使用されるとき、ゴースト画像を軽減するのにも好適である。
【0116】
本明細書で考察されるゴースト軽減技術は、これまで平行面のスラブ型光学導波路の文脈で説明されてきたが、本明細書に記載の実施形態による光偏向または吸収光学配置は、他の光学導波路アーキテクチャと組み合わせて使用され得ることにさらに留意されたい。背景セクションで考察されたように、一次元での開口増加へのアプローチが、その内部で画像が内部反射によって伝播する透明な材料の平行平面のスラブに基づいて開発されている。また、様々な光学導波路構成を使用して、二次元での開口増加が開発されていることに留意されたい。一例の構成では、二次元の開口拡大は、第1および第2の光学導波路によって実現される。第1の光学導波路は、矩形断面を形成する平行な主外部表面の2つの対を有する。相互に平行な部分反射面の第1のセットは、第1の光学導波路を光学導波路の伸長方向に対して傾斜して横断する。第1の光学導波路に光学的にカップリングされた第2の光学導波路は、スラブ型導波路を形成する一対の平行な主外部表面を有する。相互に平行な部分反射面の第2のセットは、第2の光学導波路を第2の光学導波路の主外部表面に対して傾斜して横断する。さらに、部分反射面の第1のセットを含む平面は、好ましくは、部分反射面の第2のセットを含む平面に対して傾斜している。2つの光学導波路間の光学カップリング、および部分反射面の2つのセットの配備および構成は、画像が、第1の光学導波路の平行な主要な外部表面の両方の対に対して傾斜するカップリング角度で伝播の初期方向で第1の光学導波路にカップリングされるとき、画像が、第1の光学導波路からカップリングアウトされ、第2の光学導波路にカップリングインされるように、部分反射面の第1のセットで反射された画像のある割合の強度で、第1の光学導波路に沿って(すなわち、二次元で)4倍の内部反射によって前進し、次いで、部分反射面の第2のセットで反射された画像のある割合の強度で、観察者の眼によって見られる可視画像として、第2の光学導波路からカップリングアウトされるように、第2の光学導波路内で(すなわち、一次元で)2倍の内部反射を通って伝播するようなものである。そのような二次元開口乗算器のさらなる詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,564,417号を含む、様々な特許文献に見出すことができる。
【0117】
本開示の実施形態による光偏向または吸収光学配置は、光学導波路の主表面のうちの1つの前方に位置する外部シーン内の光源によって引き起こされるゴースト画像に対処する/該ゴースト画像を軽減するために、光学導波路の主表面のうちの1つと関連付けられて配備され得る。
【0118】
別の例の構成では、二次元の開口拡大は、第1および第2のスラブ型光学導波路によって実現される。第1の光学導波路は、スラブ型導波路を形成する平行な主外部表面の2つの対を有する。互いに平行な内部の部分反射面の第1のセットは、平行な主外部表面の2つの対に対して斜角で、第1の光学導波路を横断する。第2の光学導波路はまた、平行な主外部表面の2つの対を有する。互いに平行な内部の部分反射面の第2のセットは、第2の光学導波路の平行な主外部表面の2つの対に対して斜角で、第2の光学導波路を横断する。さらに、部分反射面の第1のセットを含む平面は、部分反射面の第2のセットを含む平面に対して傾斜するかまたは垂直である。2つの光学導波路間の光学カップリング、および2つの部分反射面の配備および構成は、画像が第1の光学導波路にカップリングインされるときに、画像が、第1の光学導波路からカップリングアウトされ、第2の光学導波路にカップリングインされるように、部分反射面の第1のセットで反射された画像のある割合の強度で、第1の誘導された方向で外部表面の対のうちの1つの外部表面間の第1の光学導波路内の2倍の内部反射を通って伝播し、次いで、観察者の眼によって見られる可視画像として、第2の光学導波路からカップリングアウトされるように、部分反射面の第2のセットで反射された画像のある割合の強度で、第2の誘導された方向(第1の誘導された方向に対して傾斜する)で、第2の光学導波路の外部表面の対のうちの1つの外部表面間の第2の光学導波路内の2倍の内部反射を通って伝播するようなものである。そのような二次元開口乗算器のさらなる詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,551,544号を含む、様々な特許文献に見出すことができる。
【0119】
本開示の実施形態による光偏向または吸収光学配置は、光学導波路の主表面のうちの1つの前方に位置する外部シーン内の光源によって引き起こされるゴースト画像に対処する/該ゴースト画像を軽減するために、光学導波路の主表面のうちの1つと関連付けられて配備され得る。
【0120】
図面には示されていないが、本明細書に記載の様々な光学デバイスの画像プロジェクタ18は、一般に、画像光を生成するための液晶オンシリコン(LCoS)、有機発光ダイオード(OLED)などのマイクロディスプレイと、画像を無限遠にコリメートするための対応するコリメーティング光学系と、を含む。マイクロディスプレイが反射型ディスプレイまたは透過型ディスプレイに実装されるとき、照明構成要素(1つ以上のLEDなど)および照明光学系(ビームスプリッタなど)もまた、光照明構成要素からのマイクロディスプレイに導き、画像光をコリメーティング光学系に導くように、画像プロジェクタ18に含まれる。
【0121】
本明細書に記載の様々な光学デバイスのカップリングプリズム22は、光学カップリングイン構成の1つの非限定的な実装例の単なる例示であり、他の光学カップリング構成を使用して、画像プロジェクタ20からの画像光をLOE12にカップリングインすることができることにさらに留意されたい。光学カップリングイン構成は、画像光の一部を、LOE12内の内部反射によって誘導されるように、適切な角度でLOE12内に偏向する任意の光学カップリング配置であり得る。そのような好適な光学カップリング配置の他の例としては、以下に限定されないが、カップリングインリフレクタの形態の反射面、および回折光学素子が挙げられる。
【0122】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱しない多くの修正および変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用的な応用または技術的な改善を最も良く説明するために、または当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0123】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0124】
「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、実例、または例示として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、および/または他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0125】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、または任意の好適な部分的な組み合わせで、または本発明の他の任意の記載された実施形態で好適であるとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0126】
添付の特許請求の範囲が多重の依存関係なしに起草されている点において、これは、このような複数の依存関係を許可しない法域の正式な要件に対応するためにのみ行われている。特許請求の範囲を多重依存にすることによって暗示されるであろう特徴のすべての可能な組み合わせが明示的に想定されており、本発明の一部とみなされるべきであることに留意されたい。
【0127】
本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に収まるすべてのこのような代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
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図5
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