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特許7514589表示制御装置、表示制御システム及び表示制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御システム及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/215 20240101AFI20240704BHJP
【FI】
B60K35/215
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021160167
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023050027
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】池本 尚生
(72)【発明者】
【氏名】北島 修孝
(72)【発明者】
【氏名】川越 睦
(72)【発明者】
【氏名】大賀 健司
(72)【発明者】
【氏名】中澤 正和
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-145310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1イベントに対応する第1情報を表示する第1表示部、及び、第2イベントに対応する第2情報を表示する第2表示部を搭載した車両に用いられる表示制御装置であって、
前記第1表示部及び前記第2表示部に対して前記第1情報及び前記第2情報の表示を制御する制御部と、
運転者の視線を特定することで、運転者の視線を示す情報である視線情報を出力する視線特定部と、
前記視線特定部が出力した前記視線情報に示される視線が、前記車両に搭載された前記第1表示部及び前記第2表示部を含む複数の表示部のうちのいずれかの表示部に重なったことを判定する認知表示処理部と、
前記複数の表示部のうちの視線の重なったことが判定された表示部を第3表示部と特定し、特定した前記第3表示部に誘導表示させるための誘導表示処理部とを備え、
前記制御部は、
前記視線情報を取得し、
取得した前記視線情報に示される視線が前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれにも向いていない場合、
前記第1イベントの発生によって前記第1表示部が前記第1情報を表示しているときに、さらに前記第2イベントが発生すると、前記第2情報の表示位置を少なくとも前記第1表示部に変更させ、
前記第2イベントの発生によって前記第2表示部が前記第2情報を表示しているときに、さらに前記第1イベントが発生すると、前記第1情報の表示位置を少なくとも前記第2表示部に変更させ、
前記誘導表示は、前記第1情報の表示位置を変更させた表示先の表示部、及び、前記第2情報の表示位置を変更させた表示先の表示部に運転者の視線を誘導する標識の表示である
表示制御装置。
【請求項2】
前記誘導表示処理部は、前記視線特定部が出力した前記視線情報に示される視線が前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれにも向いていない場合、前記第3表示部に前記誘導表示させる
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記誘導表示処理部は、前記第3表示部に前記誘導表示を開始させた時点から所定期間が経過しても、前記誘導表示が指し示す表示部に運転者の視線が向いていない場合、前記第3表示部に表示させた前記誘導表示を停止する
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
さらに、前記第1情報の表示位置を変更する場合に前記第1表示部及び前記第2表示部のうちから表示先の表示部を決定し、前記第2情報の表示位置を変更する場合に前記第1表示部及び前記第2表示部のうちから表示先となる表示部を決定する表示先決定部を備え、
前記制御部は、前記表示先決定部が決定した前記表示部に前記第1情報と前記第2情報とを表示させる
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1情報に設定されている重要度が第1値以上の場合、前記第1情報の表示態様を変更し、変更した前記第1情報と前記第2情報とを、前記表示先決定部が決定した前記表示部に表示させ、
前記第2情報に設定されている重要度が前記第1値以上の場合、前記第2情報の表示態様を変更し、前記第1情報と変更した前記第2情報とを、前記表示先決定部が決定した前記表示部に表示させる
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示態様を変更して表示するとは、前記第1情報及び前記第2情報において、大きく表示する、色を変更して表示する、位置を変更して表示する、点滅して表示することを含む
請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1情報及び前記第2情報のそれぞれに設定されている重要度において、前記第1情報及び前記第2情報のうちから第2値以上の情報を抽出し、
抽出した前記第2値以上の前記情報に関連する情報である関連情報と前記第1情報及び前記第2情報とを、前記表示先決定部が決定した前記表示部に表示させる
請求項4~6のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1情報及び前記第2情報に設定されている重要度において、前記第1情報及び前記第2情報のうちから第2値未満の情報を抽出し、
抽出した前記第2値未満の前記情報を表示している表示部から削除する
請求項1~7のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第2情報の表示位置を前記第1表示部に変更させた場合又は前記第1情報の表示位置を前記第2表示部に変更させた場合、前記第1情報に前記第1表示部に関する情報を付加して表示させ、前記第2情報に前記第2表示部に関する情報を付加して表示させる
請求項1~8のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第2情報の表示位置を前記第1表示部に変更させた場合、前記第3表示部に前記第1情報及び前記第2情報のそれぞれを簡易化した情報を表示し、
前記第1情報の表示位置を前記第2表示部に変更させた場合も、前記第3表示部に前記第1情報及び前記第2情報のそれぞれを簡易化した情報を表示する
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、取得した前記視線情報に示される視線が前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれにも向いていない場合、
前記第1イベント及び前記第2イベントの発生によって前記第1表示部が前記第1情報及び前記第2情報を表示しているときに、さらに第3イベントが発生すると、前記第3イベントに対応する第3情報の表示位置を前記第1表示部に変更させ、
前記第1イベント及び前記第2イベントの発生によって前記第2表示部が前記第1情報及び前記第2情報を表示しているときに、さらに前記第3イベントが発生すると、前記第3イベントに対応する前記第3情報の表示位置を前記第2表示部に変更させる
請求項1~10のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第3イベントの重要度が第3値未満の場合、前記第3イベントに対応する前記第3情報を前記第1表示部及び前記第2表示部に表示させない
請求項11に記載の表示制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記第1情報の表示位置を前記第1表示部及び前記第2表示部のそれぞれに変更し、
前記第2情報の表示位置を前記第1表示部及び前記第2表示部のそれぞれに変更する
請求項1~12のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項14】
第1表示部と、
第2表示部と、
前記第1表示部と前記第2表示部の表示を制御する請求項1~13のいずれか1項に記載の表示制御装置とを備える
表示制御システム。
【請求項15】
第1イベントに対応する第1情報を表示する第1表示部、及び、第2イベントに対応する第2情報を表示する第2表示部を搭載した車両に用いられる表示制御方法であって、
前記第1表示部及び前記第2表示部に対して前記第1情報及び前記第2情報の表示をコンピュータが制御し、
前記コンピュータは、
運転者の視線を示す情報である視線情報を取得し、
取得した前記視線情報に示される視線が前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれにも向いていない場合、
前記第1イベントの発生によって前記第1表示部が前記第1情報を表示しているときに、さらに前記第2イベントが発生すると、前記第2情報の表示位置を少なくとも前記第1表示部に変更させ、
前記第2イベントの発生によって前記第2表示部が前記第2情報を表示しているときに、さらに前記第1イベントが発生すると、前記第1情報の表示位置を少なくとも前記第2表示部に変更させ、
前記視線情報に示される視線が、前記車両に搭載された前記第1表示部及び前記第2表示部を含む複数の表示部のうちのいずれかの表示部に重なったことを判定し、
前記複数の表示部のうちの視線の重なったことが判定された表示部を第3表示部と特定し、特定した前記第3表示部に誘導表示させ、
前記誘導表示は、前記第1情報の表示位置を変更させた表示先の表示部、及び、前記第2情報の表示位置を変更させた表示先の表示部に運転者の視線を誘導する標識の表示である
表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置、表示制御システム及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1には、複数の表示部にそれぞれ異なる情報を表示する情報表示システムであって、運転者の視線を特定する視線特定手段と、表示情報が表示された表示部に視線特定手段が特定した運転者の視線が向いていない場合、表示情報が表示された表示部に運転者の視線を誘導するための誘導処理を実行する誘導処理実行手段とを備える情報表示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6281376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の情報表示システムでは、複数の表示部にそれぞれ異なる情報が表示された場合、それぞれの表示部に対して運転者の視線を順番に誘導する。この場合、運転者は、それぞれの表示部に視線を向けるため、誘導に煩わしさを覚えるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、運転者が表示部に視線を向けるときに感じる煩わしさを抑制することができる表示制御装置、表示制御システム及び表示制御方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る表示制御装置は、第1イベントに対応する第1情報を表示する第1表示部、及び、第2イベントに対応する第2情報を表示する第2表示部を搭載した車両に用いられる表示制御装置であって、前記第1表示部及び前記第2表示部に対して前記第1情報及び前記第2情報の表示を制御する制御部と、運転者の視線を特定することで、運転者の視線を示す情報である視線情報を出力する視線特定部と、前記視線特定部が出力した前記視線情報に示される視線が、前記車両に搭載された前記第1表示部及び前記第2表示部を含む複数の表示部のうちのいずれかの表示部に重なったことを判定する認知表示処理部と、前記複数の表示部のうちの視線の重なったことが判定された表示部を第3表示部と特定し、特定した前記第3表示部に誘導表示させるための誘導表示処理部とを備え、前記制御部は、前記視線情報を取得し、取得した前記視線情報に示される視線が前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれにも向いていない場合、前記第1イベントの発生によって前記第1表示部が前記第1情報を表示しているときに、さらに前記第2イベントが発生すると、前記第2情報の表示位置を少なくとも前記第1表示部に変更させ、前記第2イベントの発生によって前記第2表示部が前記第2情報を表示しているときに、さらに前記第1イベントが発生すると、前記第1情報の表示位置を少なくとも前記第2表示部に変更させ、前記誘導表示は、前記第1情報の表示位置を変更させた表示先の表示部、及び、前記第2情報の表示位置を変更させた表示先の表示部に運転者の視線を誘導する標識の表示である。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な側面は、システム、装置、方法、記憶媒体、又は、コンピュータプログラムで実現されてもよく、システム、装置、方法、記憶媒体、及び、コンピュータプログラムの任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示制御装置等は、運転者が誘導によって感じる煩わしさを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る表示制御システムにおける複数の表示部が車両に搭載されている様子を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る表示制御システムを示すブロック図である。
図3A図3Aは、実施の形態に係る表示制御システムの第3表示部の誘導表示をしてから所定期間が経過後に誘導表示を停止した様子を示す図である。
図3B図3Bは、実施の形態に係る表示制御システムの第1表示部に第1情報、第2情報及び第3情報を表示した様子を示す図である。
図3C図3Cは、実施の形態に係る表示制御システムの第1表示部及び第2表示部に第1情報及び第2情報を表示した様子を示す図である。
図4A図4Aは、実施の形態に係る表示制御システムの第1表示部に第1情報を表示した様子を示す図である。
図4B図4Bは、実施の形態に係る表示制御システムの第1表示部に第1情報及び第2情報を表示した様子を示す図である。
図5A図5Aは、実施の形態に係る表示制御システムの処理動作を示すフローチャートである。
図5B図5Bは、実施の形態に係る表示制御システムの別の処理動作を示すフローチャートである。
図6A図6Aは、実施の形態の変形例1に係る表示制御システムの第1表示部と第3表示部との距離、及び、第2表示部と第3表示部との距離を示す図である。
図6B図6Bは、実施の形態の変形例1に係る表示制御システムの第2表示部に第1情報及び第2情報を表示した様子を示す図である。
図7A図7Aは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システムの第1表示部において第1情報を第2情報よりも大きく表示した様子を示す図である。
図7B図7Bは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システムの第1表示部において第1情報の色を変更して表示した様子を示す図である。
図7C図7Cは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システムの第1表示部において第1情報及び第2情報の位置を変更して表示した様子を示す図である。
図7D図7Dは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システムの第1表示部において第1情報を点滅して表示した様子を示す図である。
図8図8は、実施の形態の変形例3に係る表示制御システムの第1表示部に第1情報及び第2情報と、第1情報の関連情報とを表示した様子を示す図である。
図9図9は、実施の形態の変形例4に係る表示制御システムの第1表示部に表示した第1情報及び第2情報のうち、重要度が低下した第2情報を第1表示部から削除した様子を示す図である。
図10図10は、実施の形態の変形例5に係る表示制御システムの第1表示部に第1情報及び第2情報と、第1表示部に関する情報及び第2表示部に関する情報とを表示した様子を示す図である。
図11図11は、実施の形態の変形例6に係る表示制御システムの第3表示部に第1情報を簡易化した情報及び第2情報を簡易化した情報を表示した様子を示す図である。
図12A図12Aは、その他の変形例に係る表示制御システムの第1表示部に第1情報を表示し、かつ第2表示部に第2情報を表示した様子を示す図である。
図12B図12Bは、その他の変形例に係る表示制御システムの第2表示部に表示した第2情報を停止する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(実施の形態)
<構成>
図1は、実施の形態に係る表示制御システム2における複数の表示部が車両1に搭載されている様子を示す図である。図1では、車両1の車室内を例示している。なお、図1では、第1表示部11に第1情報及び第2情報が合わせて表示された場合を例示しているが、第2表示部12及び/又は第3表示部13にはこれら情報が合わせて表示されてもよい。以降の図においても同様である。図2は、実施の形態に係る表示制御システム2を示すブロック図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、表示制御システム2は、車両1に搭載される。車両1には、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13を含む複数の表示部が搭載されている。表示制御システム2は、複数の表示部に情報を表示させ、運転者が表示部に表示させた情報に視線を向けていない場合に、運転者に対して情報を表示させた表示部に視線を向けさせる誘導を行う。
【0015】
具体的には、表示制御システム2は、複数の表示部と、通信部14と、撮像部15と、表示制御装置20とを備える。
【0016】
[表示部]
複数の表示部は、車両1に搭載されるセンターディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、メーターディスプレイ及びパッセンジャーディスプレイ等の車載用の表示部である。また、車両1の後退時においては、複数の表示部は、撮像部15によって撮像された画像を表示することで、バックモニタとして機能することができる。
【0017】
複数の表示部は、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13を含んでいる。なお、図1では、3つの表示部を例示しているが、これには限定されない。表示制御システム2は、4つ以上の表示部を含んでいてもよく、2つの表示部を含んでいてもよい。また、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13は、表示部の一例である。
【0018】
例えば図1では、第1表示部11がパッセンジャーディスプレイである場合を例示している。第1表示部11は、車両1に搭載されるオーディオ装置、カーテレビ等のように楽曲情報、マルチメディア情報等の表示に適している。ここで、楽曲情報は音楽に関する情報である。また、マルチメディア情報は、映像及び音楽等に関する動的コンテンツである。
【0019】
また、図1では、第2表示部12がセンターディスプレイである場合を例示している。第2表示部12は、車両1に搭載されるナビゲーション装置等のようにナビゲーション情報等の表示に適している。ここで、ナビゲーション情報は、経路誘導として交差点及び分岐等において音声及び/又は矢印アイコンで表示した進行方向に関する情報である。
【0020】
また、図1では、第3表示部13がヘッドアップディスプレイである場合を例示している。第3表示部13は、誘導表示に適している。
【0021】
なお、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13の位置、情報を表示する機能等はあくまでも一例である。
【0022】
第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13が表示する情報は、上述に限定されない。つまり、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のそれぞれは、周辺情報、ナビゲーション情報、楽曲情報、マルチメディア情報、災害情報、計測器情報及び交通情報等を表示することができる。
【0023】
ここで、周辺情報とは、車両1の周囲に存在する他車両、人、壁及び電柱等の障害物との距離、他車両及び人等の移動体の速度、移動体の移動方向等に関する情報である。また、災害情報とは、例えば、事故の発生地点、事故内容、災害の発生地点、災害内容等に関する情報である。また、計測器情報は、車両1の速度、エンジンの回転数、ガソリン残量等に関する自車両の情報である。また、交通情報は、交通機関の運行状態(混雑度合い、混雑地点)、走行可能な道路、通行止めの道路等に関する情報である。
【0024】
第1表示部11は、車両1の進行方向に沿って見た場合、第2表示部12よりもさらに左側に配置されている。また、第2表示部12は、車両1のインスツルメントパネル近傍において、車幅方向の中央部分に配置されている。このため、運転者は、第1表示部11及び第2表示部12を見る際、車両1のフロントウインドから視線を逸らすことで、第1表示部11及び第2表示部12を見ることができる。
【0025】
また、第3表示部13は、車両1の進行方向に沿って見た場合、第2表示部12よりも右側に配置されている。具体的には、第3表示部13は、ハンドル及び運転席の前方に配置されている。つまり、運転者が車両1を運転する際、主に運転者の視線の先には第3表示部13が位置しているため、第3表示部13は、運転者が視認し易い場所に位置している。
【0026】
[通信部14]
通信部14は、例えば車両1に搭載された通信インタフェースであり、車両1と外部端末との通信を可能にする。また、通信部14は、外部端末から周辺情報、災害情報及び交通情報等の情報を取得し、取得した周辺情報、災害情報及び交通情報等を表示制御装置20へ出力する。これにより、表示制御装置20は、周辺情報、災害情報及び交通情報等を複数の表示部に表示させることができる。なお、通信部14は、表示制御装置20に備えられていてもよい。
【0027】
[撮像部15]
撮像部15は、例えば車両1に搭載された車載カメラであり、車両1の周囲及び車室内を撮像することができる。撮像部15は、車両1の周囲を撮像した画像を複数の表示部のうちの少なくとも1つに表示させることができる。
【0028】
また、撮像部15は、車室内を撮像することができる。撮像部15は、運転者を撮像した画像を、表示制御装置20の視線特定部22に出力してもよい。
【0029】
[表示制御装置20]
表示制御装置20は、第1イベントに対応する第1情報を表示する第1表示部11、及び、第2イベントに対応する第2情報を表示する第2表示部12を搭載した車両1に用いられる。例えば、運転者が車両1を運転している際に、他車両が接近するというイベントが発生すると、表示制御装置20は、イベントに対応する他車両の接近を示す情報を取得し、他車両の接近を示す情報を第1表示部11及び/又は第2表示部12に表示する。また、表示制御装置20は、このようなイベントを他車両から取得してもよく、車両1の外部装置から取得してもよく、車両1に搭載されている撮像部15から取得してもよい。
【0030】
ここで、第1イベント及び第2イベントとは、例えば、車両1の左側と右側に移動体が接近したり車両1の後退時に車両1が物体に接近したりする等の移動体及び物体である障害物の接近、交差点及び分岐等の経路誘導、事故又は災害の発生地点とその内容、ガソリン残量不足、混雑の発生地点、通行止めの道路等である。
【0031】
また、ここで、第1情報及び第2情報は、障害物の接近を示す情報を含む周辺情報、交差点及び分岐等の経路誘導を示す情報を含むナビゲーション情報、事故又は災害の発生地点とその内容を示す情報を含む災害情報、ガソリン残量不足を示す情報を含む計測器情報、混雑の発生地点と通行止めの道路を示す情報を含む交通情報等である。
【0032】
具体的には、表示制御装置20は、取得処理部21と、視線特定部22と、認知表示処理部23と、誘導表示処理部24と、表示先決定部25と、記憶部26と、制御部27とを備える。表示制御装置20は、制御部27において、制御プログラムを実行することにより、取得処理部21、視線特定部22、認知表示処理部23、誘導表示処理部24及び表示先決定部25をソフトウェアによって仮想的に実現してもよい。また、表示制御装置20は、制御部27と、取得処理部21、視線特定部22、認知表示処理部23、誘導表示処理部24及び表示先決定部25とが一体の集積回路としてハードウェアにより実現してもよい。
【0033】
取得処理部21は、第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれの表示内容を示す情報を取得する。また、取得処理部21は、取得した第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれの表示内容を示す情報を表示先決定部25に出力する。これにより、表示先決定部25は、情報を表示させる表示部を決定することができる。また、取得処理部21は、第3表示部13の表示内容を示す情報を取得してもよい。この場合、取得処理部21は、取得した第3表示部13の表示内容を示す情報を表示先決定部25に出力してもよい。
【0034】
視線特定部22は、運転者の視線を特定するための周知の視線解析処理を実行することにより、運転者の視線を特定する。具体的には、視線特定部22は、撮像部15によって撮像された運転者の画像から、運転者の眼球を抽出し、抽出した眼球の動き及び状態等から運転者の視線を特定する。また、視線特定部22は、運転者の視線を特定することで、視線情報を制御部27、誘導表示処理部24等に出力する。ここで、視線情報とは、運転者の視線を示す情報である。
【0035】
また、視線特定部22は、運転者の視線を特定すると、特定した視線に基づいて、運転者の注視点の位置を特定することもできる。ここで、注視点とは、運転者が注視している点であり、運転者からの視線の先にある視線の対象となる特定の点である。
【0036】
認知表示処理部23は、視線特定部22が出力した視線情報に示される視線が複数の表示部のうちのいずれかの表示部に重なっているか否か判定する。つまり、認知表示処理部23は、複数の表示部のうち視線特定部22が特定した視線と重なった運転者の視線方向に存在する表示部を特定する。本実施の形態では、認知表示処理部23は、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のうち、運転者の視線方向に存在する表示部を特定する。
【0037】
具体的には、認知表示処理部23は、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のそれぞれの属性情報を記憶部26から読み出すことで、運転者の注視点が第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のうちのいずれかに存在しているか否かを判定する。ここで、属性情報とは、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のそれぞれの車室内における配置位置、大きさ、形状等を示す情報である。つまり、認知表示処理部23は、属性情報と、視線特定部22が特定した運転者の視線又は運転者の注視点の位置を示す位置座標とを照合する。これにより、認知表示処理部23は、運転者の視線が、第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のうちのいずれの表示部に重なっているか否かを判定する。
【0038】
なお、本実施の形態では、運転者の視線が車両1のハンドル前方に存在する表示部を第3表示部13とし、この第3表示部13と運転者の視線が重なる場合に第3表示部13に誘導表示する場合を例示している。つまり、図1に示される場合に限定されず、運転者の視線によっては、図1の第1表示部11及び第2表示部12が、第3表示部13として機能してもよい。本実施の形態では、説明の便宜上、あくまでも、車両1のハンドル前方に存在する表示部を第3表示部13として設定しているだけである。運転者の視線によっては、車両1のハンドル前方に存在する表示部が第1表示部11又は第2表示部12になり得、第1表示部11又は第2表示部12が第3表示部13になり得る。また、図1以降の図においても同様である。
【0039】
認知表示処理部23は、それぞれの属性情報及び視線情報に基づいて、運転者の視線が第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のうちのいずれかに向いている場合、つまり運転者の注視点が第1表示部11、第2表示部12及び第3表示部13のうちのいずれかに存在している場合、運転者の視線が表示部に重なったと判定する。認知表示処理部23は、運転者の視線と重なった表示部を、運転者が認識している視線先の表示部として特定する。この場合、認知表示処理部23は、情報を表示している状態の表示部に視線特定部22が特定した視線と重なったとき、その表示部を運転者が認識している表示部として特定する。
【0040】
また、認知表示処理部23は、表示部を特定した判定結果として、運転者の視線と重なった表示部を示す情報、又は、全ての表示部が運転者の視線と重なっていないことを示す情報を制御部27に出力する。
【0041】
誘導表示処理部24は、複数の表示部のうちの視線の重なったことが判定された表示部を第3表示部13と特定し、特定した第3表示部13に誘導表示させる。具体的には、誘導表示処理部24は、視線特定部22が出力した視線情報に示される運転者の視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、運転者の視線を誘導する誘導処理を実行することで、第3表示部13に誘導表示させる。ここで、誘導表示は、第1情報の表示位置を変更させた表示先の表示部、及び、第2情報の表示位置を変更させた表示先の表示部に運転者の視線を誘導する標識の表示である。なお、表示制御システム2では、運転者が車両1の前方を向いているものであるため、ハンドルの前方に配置されている表示部を第3表示部13と設定していてもよい。
【0042】
また、図2及び図3Aに示すように、誘導表示処理部24は、第3表示部13に誘導表示を開始させた時点から所定期間が経過しても、誘導表示が指し示す表示部に運転者の視線が向いていない場合、第3表示部13に表示させた誘導表示を停止してもよい。図3Aは、実施の形態に係る表示制御システム2の第3表示部13の誘導表示をしてから所定期間が経過後に誘導表示を停止した様子を示す図である。図3Aでは、誘導表示の停止を二点鎖線で示している。つまり、運転者は第1表示部11及び/又は第2表示部12に表示させた第1情報及び第2情報を見たくない場合があるため、誘導表示処理部24が誘導表示を開始させた時点から所定期間後に第3表示部13から誘導表示を消すことで、運転者は誘導表示による煩わしさを感じ難い。また、図3Aでは、運転者の視線が第3表示部13に向いている場合を実線で示し、運転者の視線が第1表示部11に向いている場合を破線で示している。以降の図においても同様である。
【0043】
図1及び図2に示すように、表示先決定部25は、第1情報及び第2情報を表示させる1以上の表示部として、複数の表示部のうちの少なくとも1以上の表示部を決定する。具体的には、表示先決定部25は、取得処理部21から表示内容を示す情報を取得すると、第1情報の表示位置を変更する場合に第1表示部11及び第2表示部12のうちから表示先の表示部を決定し、第2情報の表示位置を変更する場合に第1表示部11及び第2表示部12のうちから表示先となる表示部を決定する。ここで、第1情報及び第2情報を表示とは、第1情報及び第2情報を1つの表示部に表示することである。また、2つの表示部に第1情報及び第2情報を表示する場合、第1表示部11に第1情報及び第2情報を表示させ、かつ、第2表示部12にも第1情報及び第2情報を表示させる。
【0044】
なお、第1表示部11及び第2表示部12のうちの一方に第1情報及び第2情報を表示させた場合、他方の表示部に第1情報又は第2情報を表示させておいてもよい。この場合、誘導表示処理部24は、他方の表示部に対して誘導表示しなくてもよい。
【0045】
また、表示先決定部25は、決定した表示部における表示画面内の表示領域を決定してもよい。表示領域は、表示画面において位置、大きさ及び形等が表示先決定部25によって決定された領域である。
【0046】
また、表示先決定部25は、決定した表示先を示す情報を制御部27に出力する。ここで、表示先を示す情報は、表示先決定部25が決定した表示部を特定する識別子等の情報である。
【0047】
記憶部26には、属性情報、複数の表示部に表示させる第1情報及び第2情報を含む情報、誘導表示が予め記憶されている。また、記憶部26は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の一次記憶装置を含む。また、記憶部26は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の二次記憶装置、光ディスク及びSDカード等の三次記憶装置を含んでいてもよい。
【0048】
制御部27は、第1表示部11及び第2表示部12に対して第1情報及び第2情報の表示を制御する。このとき、制御部27は、表示先決定部25が決定した表示部に第1情報又は第2情報の表示位置を変更する。つまり、制御部27は、表示先決定部25から表示先を示す情報を取得すると、第1情報又は第2情報の表示位置を変更することで、表示先を示す情報に示される表示部に第1情報と第2情報とを合わせて表示させる。これにより、第1表示部11及び/又は第2表示部12には、第1情報と第2情報とが纏めて表示される。ここで、制御部27は、コンピュータの一例である。
【0049】
また、制御部27は、視線情報を取得し、取得した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第1イベントの発生によって第1表示部11が第1情報を表示しているときに、さらに第2イベントが発生すると、第2情報の表示位置を少なくとも第1表示部11に変更させる。また、制御部27は、視線情報を取得し、取得した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第2イベントの発生によって第2表示部12が第2情報を表示しているときに、さらに第1イベントが発生すると、第1情報の表示位置を少なくとも第2表示部12に変更させる。このように、2つのイベントが発生した場合、制御部27は、2つのイベントに対応する2つの情報を1つの表示部に合わせて表示する。
【0050】
また、図3Bに示すように、制御部27は、取得した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第1イベント及び第2イベントの発生によって第1表示部11が第1情報及び第2情報を表示しているときに、さらに第3イベントが発生すると、第3イベントに対応する第3情報の表示位置を第1表示部11に変更させる。また、制御部27は、取得した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第1イベント及び第2イベントの発生によって第2表示部12が第1情報及び第2情報を表示しているときに、さらに第3イベントが発生すると、第3イベントに対応する第3情報の表示位置を第2表示部12に変更させる。図3Bは、実施の形態に係る表示制御システム2の第1表示部11に第1情報、第2情報及び第3情報を表示した様子を示す図である。このように、3つのイベントが発生した場合、制御部27は、3つのイベントに対応する3つの情報を1つの表示部に合わせて表示する。また、4つ目以降のイベントが発生した場合も同様である。なお、図3Bでは、第1表示部11に第1情報、第2情報及び第3情報が合わせて表示された場合を例示しているが、第2表示部12及び第3表示部13にこれら情報が合わせて表示されてもよい。
【0051】
また、制御部27は、第2情報の表示位置を少なくとも第1表示部11に変更させたり、第1情報の表示位置を少なくとも第2表示部12に変更させたりする。このため、図3Cに示すように、制御部27は、第1情報の表示位置を第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれに変更してもよい。また、制御部27は、第2情報の表示位置を第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれに変更してもよい。図3Cは、実施の形態に係る表示制御システム2の第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれに第1情報及び第2情報を表示した様子を示す図である。例えば、2つのイベントが発生した場合、制御部27は、2つのイベントに対応する2つの情報を、全ての表示部に表示させてもよい。また、3つ以上のイベントが発生した場合、制御部27は、3つ以上のイベントに対応する3つ以上の情報を、全ての表示部に表示させてもよい。このため、全ての表示部には、同じ情報が表示される。
【0052】
<処理動作>
次に、本実施の形態における表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の処理動作について説明する。
【0053】
[動作例1]
図4Aは、実施の形態に係る表示制御システム2の第1表示部11に第1情報を表示した様子を示す図である。図4Bは、実施の形態に係る表示制御システム2の第1表示部11に第1情報及び第2情報を表示した様子を示す図である。図5Aは、実施の形態に係る表示制御システム2の処理動作を示すフローチャートである。
【0054】
ここでは、第1イベントの発生によって第1表示部11に第1情報を表示させる際に、さらに第2イベントが発生した場合の表示制御システム2の処理動作について説明する。なお、第2イベントの発生によって第2表示部12に第2情報を表示させる際に、さらに第1イベントが発生した場合も同様の処理動作であるため、説明を省略する。
【0055】
まず、図5Aに示すように、取得処理部21は、第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれの表示内容を示す情報を取得する(S11)。
【0056】
次に、取得処理部21は、第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれの表示内容を示す情報に基づいて、すでに表示している第1情報が第1表示部11及び第2表示部12のうちのいずれかの表示部に表示されているか否かを判定する(S12)。本処理動作では、図4Aに示すように、第1情報が第1表示部11にすでに表示されている場合を例示している。
【0057】
次に、第1情報が第1表示部11及び第2表示部12のうちの少なくともいずれかの表示部に表示されていることを取得処理部21が判定した場合(S12でYES)、表示先決定部25は、情報を表示させる新しい表示先を決定する(S13)。つまり、表示先決定部25は、第1表示部11及び第2表示部12のうちから、第2情報の表示位置を変更する表示先の表示部を決定する。本処理動作では、図4Aに示すように第1情報が第1表示部11にすでに表示されているため、表示先決定部25は、第2情報を表示させる新しい表示先、つまり第1情報と第2情報とを表示させる表示部を第1表示部11と決定する。
【0058】
次に、図4B及び図5Aに示すように、第1情報がいずれの表示部にも表示されていないことを取得処理部21が判定した場合(S12でNO)、又は、ステップS13を経由した場合、制御部27は、情報を表示する(S14)。具体的には、S12でNOを経由した場合、第1情報がいずれの表示部にも表示されていないため、第2情報は、表示位置が変更されず、本来表示される表示部である第2表示部12に表示される。一方、ステップS13を経由した場合、第1情報がすでに第1表示部11に表示されているため、第2情報は、第1表示部11に第1情報と合わせて表示される。
【0059】
次に、視線特定部22は、撮像部15によって撮像された運転者の画像から、運転者の眼球を抽出し、抽出した眼球の動き及び状態等から運転者の視線を特定する(S15)。具体的には、視線特定部22は、運転者の視線を特定すると、特定した視線に基づいて、運転者の注視点の位置を特定する。また、視線特定部22は、運転者の視線を特定することで、視線情報を制御部27、誘導表示処理部24等に出力する。
【0060】
次に、認知表示処理部23は、第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれの属性情報と視線情報とに基づいて、運転者の視線先の表示部を特定する(S16)。つまり、認知表示処理部23は、視線情報に示される運転者の注視点が第1表示部11及び第2表示部12のうちのいずれかに存在している場合、運転者の視線が表示部に重なったと判定する。認知表示処理部23は、運転者の視線が重なった表示部を示す情報を制御部27に出力する。
【0061】
次に、制御部27は、情報を表示した表示部に運転者の視線が重なったか否かを判定する(S17)。具体的には、S12でNOを経由した場合、制御部27は、認知表示処理部23から取得した当該情報に示される運転者の視線が重なった表示部と、第2情報を表示する第2表示部12とが一致しているか否かを判定する。一方、ステップS13を経由した場合、制御部27は、認知表示処理部23から取得した当該情報に示される運転者の視線が重なった表示部と、第2情報の表示位置を変更させた表示先(変更先)の第1表示部11とが一致しているか否かを判定する。
【0062】
制御部27は、情報を表示した表示部に運転者の視線が重なっていると判定した場合(S17でYES)、図5Aのフローチャートの処理動作を終了する。
【0063】
一方、情報を表示した表示部に運転者の視線が重なっていないことを制御部27が判定した場合(S17でNO)、誘導表示処理部24は、第3表示部13に誘導表示させる(S18)。これにより、第3表示部13には、誘導表示として、運転者の視線を誘導する標識が表示される。そして、ステップS18の処理が終了後、図5Aのフローチャートの処理動作は、ステップS15に戻る。
【0064】
なお、図5Aのフローチャートにおいて、さらに別のイベントが発生した場合、表示制御システム2は、ステップS11から処理をやり直してもよい。
【0065】
[動作例2]
図5Bは、実施の形態に係る表示制御システム2の別の処理動作を示すフローチャートである。
【0066】
まず、図5Bに示すように、誘導表示処理部24は、第3表示部13に誘導表示を開始させた時点から所定期間が経過したか否かを判定する(S21)。
【0067】
誘導表示処理部24は、第3表示部13に誘導表示を開始させた時点から所定期間が経過していないことを判定した場合(S21でNO)、ステップS21を繰り返す。
【0068】
一方、誘導表示処理部24は、第3表示部13に誘導表示を開始させた時点から所定期間が経過したことを判定した場合(S21でYES)、第3表示部13に表示させた誘導表示を停止する(S22)。
【0069】
そして、誘導表示処理部24は、図5Bのフローチャートの処理動作を終了する。
【0070】
<作用効果>
次に、本実施の形態における表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の作用効果について説明する。
【0071】
上述したように、本実施の形態に係る表示制御装置20は、第1イベントに対応する第1情報を表示する第1表示部11、及び、第2イベントに対応する第2情報を表示する第2表示部12を搭載した車両1に用いられる表示制御装置20であって、第1表示部11及び第2表示部12に対して第1情報及び第2情報の表示を制御する制御部27を備える。また、制御部27は、運転者の視線を示す情報である視線情報を取得し、取得した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第1イベントの発生によって第1表示部11が第1情報を表示しているときに、さらに第2イベントが発生すると、第2情報の表示位置を少なくとも第1表示部11に変更させ、第2イベントの発生によって第2表示部12が第2情報を表示しているときに、さらに第1イベントが発生すると、第1情報の表示位置を少なくとも第2表示部12に変更させる。
【0072】
例えば、従来技術では、以下のような問題がある。車両を駐車位置に後退しながら駐車させる場合、車両後方の死角に存在する物体の画像を表示部に表示させ、車両の側方の様子を示す画像を別の表示部に表示させることがある。また、車両が高速道路を走行する際に、分岐又は合流の案内画像を表示部に表示させ、車両の速度超過時に警告画像を別の表示部に表示させることがある。また、車両が右折する際に、車両の右側から迫ってくる別の移動体が存在する場合、さらに別の移動体が車両の左側から迫ってくる場合がある。この場合、従来技術では、車両の右側から迫ってきた画像を表示部に表示させて、当該表示部に向けて誘導表示する。その後、車両の左側から迫ってきた画像を別の表示部に表示させて、別の表示部に向けて誘導表示する。しかしながら、運転者は、誘導表示を見て、表示部を見た後に、さらに誘導表示を見て、別の表示部を見ることになるため、煩わしさを覚える。
【0073】
しかしながら、本実施の形態によれば、例えば、イベントの発生によって情報が表示部に表示されている場合に、別のイベントが発生すると、別のイベントに対応する別の情報を、すでに情報を表示している表示部に表示先を変更することができる。つまり、表示制御装置20は、1つの表示部に2つの情報を表示することができる。このため、従来技術のように2つの情報が別々の表示部に分散して表示される場合に比べて、本実施の形態では、運転者は、2つの情報を表示した表示部だけを見ればよくなるため、煩わしさを覚え難い。
【0074】
したがって、この表示制御装置20では、運転者が表示部に視線を向けるときに感じる煩わしさを抑制することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る表示制御システム2は、第1表示部11と、第2表示部12と、第1表示部11と第2表示部12の表示を制御する表示制御装置20とを備える。
【0076】
この表示制御システム2においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0077】
また、本実施の形態に係る表示制御方法は、第1イベントに対応する第1情報を表示する第1表示部11、及び、第2イベントに対応する第2情報を表示する第2表示部12を搭載した車両1に用いられる表示制御方法であって、第1表示部11及び第2表示部12に対して第1情報及び第2情報の表示をコンピュータが制御する。そして、コンピュータは、運転者の視線を示す情報である視線情報を取得し、取得した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第1イベントの発生によって第1表示部11が第1情報を表示しているときに、さらに第2イベントが発生すると、第2情報の表示位置を少なくとも第1表示部11に変更させ、第2イベントの発生によって第2表示部12が第2情報を表示しているときに、さらに第1イベントが発生すると、第1情報の表示位置を少なくとも第2表示部12に変更させる。
【0078】
この表示制御方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0079】
また、本実施の形態に係る表示制御装置20において、車両1には、第1表示部11及び第2表示部12を含む複数の表示部が搭載される。また、表示制御装置20は、さらに、運転者の視線を特定することで、視線情報を出力する視線特定部22と、視線特定部22が出力した視線情報に示される視線が複数の表示部のうちのいずれかの表示部に重なったことを判定する認知表示処理部23と、複数の表示部のうちの視線の重なったことが判定された表示部を第3表示部13と特定し、特定した第3表示部13に誘導表示させるための誘導表示処理部24とを備える。そして、誘導表示は、第1情報の表示位置を変更させた表示先の表示部、及び、第2情報の表示位置を変更させた表示先の表示部に運転者の視線を誘導する標識の表示である。
【0080】
これによれば、運転者の視線を特定することで、運転者の視線先にある表示部に誘導表示させることができる。このため、運転者は、誘導表示に気付くことができるため、誘導表示が指し示す表示部を視認して、当該表示部に表示された第1情報及び第2情報を纏めて認識することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る表示制御装置20において、誘導表示処理部24は、視線特定部22が出力した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第3表示部13に誘導表示させる。
【0082】
これによれば、第1表示部11及び第2表示部12に運転者の視線が向いていない場合、誘導表示処理部24は、第3表示部13に誘導表示させることができる。このため、運転者は、第3表示部13の誘導表示に従って視線を移動させることで、誘導表示が指し示す表示部を視認することができる。その結果、運転者は表示部に表示されている第1情報及び第2情報を視認することができるため、第1情報及び第2情報を纏めて運転者に認識させることができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る表示制御装置20において、誘導表示処理部24は、第3表示部13に誘導表示を開始させた時点から所定期間が経過しても、誘導表示が指し示す表示部に運転者の視線が向いていない場合、第3表示部13に表示させた誘導表示を停止する。
【0084】
これによれば、運転者が表示部に表示された情報を見たくない場合があるため、所定期間が経過後に誘導表示を停止することで、運転者が感じる誘導表示による煩わしさを抑制することができる。また、誘導表示が第3表示部13から消えるため、運転者は運転が妨げられ難くなるため、車両1の安全な走行を維持することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る表示制御装置20は、第1情報の表示位置を変更する場合に第1表示部11及び第2表示部12のうちから表示先の表示部を決定し、第2情報の表示位置を変更する場合に第1表示部11及び第2表示部12のうちから表示先となる表示部を決定する表示先決定部25を備える。そして、制御部27は、表示先決定部25が決定した表示部に第1情報と第2情報とを表示させる。
【0086】
これによれば、第1情報の表示位置を変更する表示先の表示部及び第2情報の表示位置を変更する表示先の表示部を決定することができる。このため、運転者の視線に対して見やすい位置にある表示部に第1情報と第2情報とを表示させることができる。このため、運転者における第1情報及び第2情報の視認性を向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る表示制御装置20において、制御部27は、取得した視線情報に示される視線が第1表示部11及び第2表示部12のいずれにも向いていない場合、第1イベント及び第2イベントの発生によって第1表示部11が第1情報及び第2情報を表示しているときに、さらに第3イベントが発生すると、第3イベントに対応する第3情報の表示位置を第1表示部11に変更させ、第1イベント及び第2イベントの発生によって第2表示部12が第1情報及び第2情報を表示しているときに、さらに第3イベントが発生すると、第3イベントに対応する第3情報の表示位置を第2表示部12に変更させる。
【0088】
これによれば、第1イベント及び第2イベントと異なる第3イベントが発生した場合、第3情報と第1情報及び第2情報とを所定の表示部に表示することができる。つまり、表示制御装置20は、1つの表示部に3つの情報を纏めて表示することができる。このため、運転者は、3つの情報が纏めて表示された表示部だけを見ればよくなるため、煩わしさを覚え難い。
【0089】
また、本実施の形態に係る表示制御装置20において、制御部27は、第1情報の表示位置を第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれに変更する。そして、制御部27は、第2情報の表示位置を第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれに変更する。
【0090】
これによれば、車両1に搭載される複数の表示部のそれぞれに第1情報と第2情報とを表示することができる。つまり、複数の表示部には、同じ情報が表示される。このため、運転者における第1情報及び第2情報の視認性をより向上させることができる。また、車両1に同乗している同乗者における第1情報及び第2情報の視認性を向上させることもできる。
【0091】
(実施の形態の変形例1)
本変形例に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法について図6A及び図6Bを用いて説明する。
【0092】
図6Aは、実施の形態の変形例1に係る表示制御システム2の第1表示部11と第3表示部13との距離L1、及び、第2表示部12と第3表示部13との距離L2を示す図である。図6Bは、実施の形態の変形例1に係る表示制御システム2の第2表示部12に第1情報及び第2情報を表示した様子を示す図である。
【0093】
本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法では、運転者の視線に最も近い表示部に第1情報及び第2情報を表示できる点で実施の形態の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法と相違する。本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の構成及び機能は、実施の形態等のフィルター装置の構成及び機能と同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0094】
図6Aに示すように、本変形例の表示先決定部25は、第1表示部11及び第2表示部12において、視線特定部22が出力した視線情報に示される視線に最も近い表示部を特定し、特定した表示部に決定する。つまり、本変形例の視線特定部22は、運転者の視線を特定することで、視線情報を制御部27及び表示先決定部25に出力する。
【0095】
具体的には、表示先決定部25は、属性情報及び視線情報に基づいて視線に最も近い表示部を特定し、特定した表示部に決定する。より具体的には、表示先決定部25は、記憶部26に格納されている第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれの属性情報を読み出すことで、属性情報に示される車室内における第1表示部11及び第2表示部12のそれぞれの配置位置と、視線特定部22が出力した視線情報に示される運転者の注視点の位置とを照合する。これにより、表示先決定部25は、視線特定部22が出力した視線情報に示される視線に最も近い表示部を特定し、特定した表示部に決定する。本変形例では、表示先決定部25は、第1表示部11と第3表示部13との距離L1、及び、第2表示部12と第3表示部13との距離L2を算出し、第2表示部12が第1表示部11よりも第3表示部13に近いため、第2表示部12に決定する。
【0096】
また、制御部27は、表示先決定部25が決定した視線に最も近い表示部に第1情報と第2情報とを合わせて表示させる。具体的には、制御部27は、表示先決定部25から表示先を示す情報を取得すると、表示先を示す情報に示される運転者の注視点に最も近い表示部に第1情報と第2情報とを合わせて表示させる。これにより、第1表示部11及び/又は第2表示部12には、第1情報と第2情報とが合わせて表示される。本変形例では、図6Bに示すように、表示先決定部25は、決定した第2表示部12に第1情報と第2情報とを合わせて表示する。
【0097】
このような本変形例に係る表示制御装置20において、表示先決定部25は、第1表示部11及び第2表示部12において、視線特定部22が出力した視線情報に示される視線に最も近い表示部を特定し、特定した表示部に決定する。そして、制御部27は、表示先決定部25が決定した視線に最も近い表示部に第1情報と第2情報とを表示させる。
【0098】
これによれば、運転者の視線の先に近い表示部に第1情報と第2情報とを表示させることができる。その結果、運転者の視線移動量の増大を抑制することができるため、運転者は、第1情報と第2情報とを纏めて視認し易くなり、運転者が表示部に視線を向けるときに感じる煩わしさをより抑制することができる。
【0099】
(実施の形態の変形例2)
本変形例に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法について図7A図7Dを用いて説明する。
【0100】
図7Aは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システム2の第1表示部11において第1情報を第2情報よりも大きく表示した様子を示す図である。図7Bは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システム2の第1表示部11において第1情報の色を変更して表示した様子を示す図である。図7Cは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システム2の第1表示部11において第1情報及び第2情報の位置を変更して表示した様子を示す図である。図7Dは、実施の形態の変形例2に係る表示制御システム2の第1表示部11において第1情報を点滅して表示した様子を示す図である。なお、図7A図7B及び図7Dにおいて、第1情報について表示態様を変更した場合を例示しているが、第2情報の表示態様を変更してもよい。図7Dでは、第1情報が点滅する場合を一点鎖線で示している。
【0101】
本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法では、表示部に表示する第1情報及び第2情報の表示態様を変更して表示できる点で実施の形態の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法と相違する。本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の構成及び機能は、実施の形態等のフィルター装置の構成及び機能と同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0102】
制御部27は、第1情報に設定されている重要度が第1値以上の場合、第1情報の表示態様を変更し、変更した第1情報と第2情報とを合わせて、表示先決定部25が決定した表示部に表示させる。また、制御部27は、第2情報に設定されている重要度が第1値以上の場合、第2情報の表示態様を変更し、第1情報と変更した第2情報とを合わせて、表示先決定部25が決定した表示部に表示させる。ここで、表示態様を変更して表示させるとは、第1情報及び第2情報において、大きく表示する、色を変更して表示する、位置を変更して表示する、点滅して表示することを含む。これにより、表示部は、重要度が第1値以上の情報を大きく表示したり、色を変更して表示したり、位置を変更して表示したり、点滅して表示したりする。また、重要度は、予め設定された値であり、記憶部26に格納されている。重要度は、車両に乗車している人の安全性に関わるものが高く設定されてもよい。また、第1値も予め設定された値である。安全性に関わるものとは、車両1に接近する移動体の存在、車両1の周囲に人が存在していること等である。また、重要度が低い情報には、例えば、ガソリン残量等を示す情報である。
【0103】
また、図7Cでは、第1情報が第2情報よりも重要度が高い場合を例示している。第1情報の表示位置は第2情報よりも運転者側に位置している。このため、運転者に対して重要度が高い情報の視認性を高めることができる。
【0104】
このような本変形例に係る表示制御装置20において、制御部27は、第1情報に設定されている重要度が第1値以上の場合、第1情報の表示態様を変更し、変更した第1情報と第2情報とを、表示先決定部25が決定した表示部に表示させ、第2情報に設定されている重要度が第1値以上の場合、第2情報の表示態様を変更し、第1情報と変更した第2情報とを、表示先決定部25が決定した表示部に表示させる。
【0105】
これによれば、重要度が第1値以上の情報であれば、当該情報の重要度は高いため、重要度の高い情報の表示態様を変更することができる。このため、運転者は、重要度の高い情報を視認し易くなる。
【0106】
このような本変形例に係る表示制御装置20において、表示態様を変更して表示するとは、第1情報及び第2情報において、大きく表示する、色を変更して表示する、位置を変更して表示する、点滅して表示することを含む。
【0107】
これによれば、運転者は、重要度の高い情報が強調されるため、重要度の高い情報をより視認し易くなる。
【0108】
(実施の形態の変形例3)
本変形例に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法について図8を用いて説明する。
【0109】
図8は、実施の形態の変形例3に係る表示制御システム2の第1表示部11に第1情報及び第2情報と、第1情報の関連情報とを表示した様子を示す図である。なお、図8では、第1情報の関連情報を例示しているが、あくまでも一例でありこれに限定されない。例えば、第2情報の関連情報が第1表示部11に表示されていてもよい。
【0110】
本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法では、情報の表示先を変更して、重要度の高い情報に関連する情報と第1情報及び第2情報とを表示部に表示できる点で実施の形態の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法と相違する。本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の構成及び機能は、実施の形態等のフィルター装置の構成及び機能と同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0111】
制御部27は、第1情報及び第2情報のそれぞれに設定されている重要度において、重要度の高い情報を抽出する。具体的には、制御部27は、第1情報及び第2情報のそれぞれに設定されている重要度において、第1情報及び第2情報のうちから第2値以上の情報を抽出する。また、制御部27は、抽出した第2値以上の情報に関連する情報である関連情報と第1情報及び第2情報とを表示先決定部25が決定した表示部に表示させる。つまり、制御部27は、第1イベント及び第2イベントが発生した場合、例えば第1情報の重要度が第2値以上である場合、重要度の高い第1情報に関連情報を付加(関連付けて表示)し、当該関連情報、第1情報及び第2情報を表示部に表示させる。なお、図8では、第1情報の重要度が第2値以上である場合を例示しているが、第2情報に関連情報を付加する場合もあれば、第1情報及び第2情報のそれぞれに関連情報を付加する場合もある。これにより、表示部には、第2値よりも重要度の高い情報だけが表示される。また、第2値は、予め設定された値である。
【0112】
このような本変形例に係る表示制御装置20において、制御部27は、第1情報及び第2情報のそれぞれに設定されている重要度において、第1情報及び第2情報のうちから第2値以上の情報を抽出し、抽出した第2値以上の情報に関連する情報である関連情報と第1情報及び第2情報とを、表示先決定部25が決定した表示部に表示させる。
【0113】
これによれば、重要度が第2値以上の情報であれば、当該情報の重要度は高いため、当該情報に関連する情報である関連情報と第1情報及び第2情報とを所定の表示部に表示することができる。このため、運転者は、重要度の高い情報及び当該情報に関連する情報を視認することができる。
【0114】
(実施の形態の変形例4)
本変形例に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法について図9を用いて説明する。
【0115】
図9は、実施の形態の変形例4に係る表示制御システム2の第1表示部11に表示した第1情報及び第2情報のうち、重要度が低下した第2情報を第1表示部11から削除した様子を示す図である。図9では、削除した第2情報を二点鎖線とドットのハッチングで示している。
【0116】
本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法では、重要度が低下した情報を表示部から削除できる点で実施の形態の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法と相違する。本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の構成及び機能は、実施の形態等のフィルター装置の構成及び機能と同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。重要度が低下した情報とは、車両1に接近した移動体が離れていく等を示す情報である。
【0117】
制御部27は、第1情報及び第2情報に設定されている重要度において、第1情報及び第2情報のうちから第2値未満の情報を抽出する。また、制御部27は、抽出した第2値未満の情報を表示している表示部から削除する。つまり、制御部27は、第1イベント及び第2イベントが発生した場合、情報の表示先を変更して表示部に第1情報及び第2情報を表示させるが、例えば第1情報及び第2情報の少なくとも一方の情報の重要度が第2値よりも低くなった場合、第2値よりも重要度が低くなった情報を表示部から削除する。これにより、表示部には、第2値よりも重要度の高い情報だけが表示される。図9では、第1表示部11から第2情報を削除した場合を例示しているが、第1情報の重要度が第2値未満になれば第1表示部11から第1情報を削除してもよい。
【0118】
このような本変形例に係る表示制御装置20において、制御部27は、第1情報及び第2情報に設定されている重要度において、第1情報及び第2情報のうちから第2値未満の情報を抽出し、抽出した第2値未満の情報を表示している表示部から削除する。
【0119】
これによれば、重要度が低くなった情報を表示部から削除することができる。これにより、表示部には第2値よりも重要度の高い情報だけが表示される。このため、運転者は、重要度の高い情報だけを視認し易くなる。
【0120】
(実施の形態の変形例5)
本変形例に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法について図10を用いて説明する。
【0121】
図10は、実施の形態の変形例5に係る表示制御システム2の第1表示部11に第1情報及び第2情報と、第1表示部11に関する情報及び第2表示部12に関する情報とを表示した様子を示す図である。
【0122】
本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法では、第1表示部11に関する情報及び第2表示部12に関する情報と第1情報及び第2情報とを表示できる点で実施の形態の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法と相違する。本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の構成及び機能は、実施の形態等のフィルター装置の構成及び機能と同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0123】
制御部27は、情報の表示先を変更して第2情報と第1情報とを第1表示部11に表示させた場合、第1表示部11に関する情報、及び、第2表示部12に関する情報と第1情報及び第2情報とを表示させる。また、制御部27は、情報の表示先を変更して第1情報と第2情報とを第2表示部12に表示させた場合、第1表示部11に関する情報、及び、第2表示部12に関する情報と第1情報及び第2情報とを表示させる。例えば、制御部27は、第1イベント及び第2イベントが発生した場合、表示部に第1情報及び第2情報を表示させるが、第1情報が本来表示される第1表示部11に関する情報と、第2情報が本来表示される第2表示部12に関する情報も当該表示部に表示する。つまり、制御部27は、第1情報に第1表示部11に関する情報を付加(関連付けて表示)し、第2情報に第2表示部12に関する情報を付加した状態で、1つの表示部に纏めて表示する。
【0124】
このような本変形例に係る表示制御装置20において、制御部27は、第2情報の表示位置を第1表示部11に変更させた場合、第1表示部11に関する情報及び第2表示部12に関する情報と、第1情報及び第2情報とを表示させ、第1情報の表示位置を第2表示部12に変更させた場合も、第1表示部11に関する情報及び第2表示部12に関する情報と、第1情報及び第2情報とを表示させる。
【0125】
通常、運転者は、車室内に配置されている表示部の配置によって、表示部に表示される情報の違いを把握している。例えば、車両の左側に配置された左表示部と、車両の右側に配置された右表示部とを車両が搭載している場合、運転者は、直感的に、車両に対して左側の情報が左表示部に表示され、車両に対して右側の情報が右表示部に表示されるものであることを把握していると考えられる。
【0126】
そこで本変形例に係る表示制御装置20では、第1表示部11に関する情報及び第2表示部12に関する情報と第1情報及び第2情報とを表示させることで、運転者は、第1情報が第1表示部11に対応し、第2情報が第2表示部12に対応していることを把握することができる。このため、運転者は、第1情報及び第2情報をより正確に把握することができるようになる。
【0127】
(実施の形態の変形例6)
本変形例に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法について図11を用いて説明する。
【0128】
図11は、実施の形態の変形例6に係る表示制御システム2の第3表示部13に第1情報を簡易化した情報及び第2情報を簡易化した情報を表示した様子を示す図である。
【0129】
本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法では、第3表示部13に第1情報及び第2情報のそれぞれを簡易化した情報を表示できる点で実施の形態の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法と相違する。本変形例の表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法の構成及び機能は、実施の形態等のフィルター装置の構成及び機能と同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0130】
制御部27は、情報の表示先を変更して第2情報と第1情報とを第1表示部11に表示させた場合、及び、第1情報と第2情報とを第2表示部12に表示させた場合、第3表示部13に第1情報及び第2情報のそれぞれを簡易化した情報を表示する。例えば、制御部27は、第1イベント及び第2イベントが発生した場合、表示部に第1情報及び第2情報を表示させるが、第1情報及び第2情報のそれぞれを簡易化した情報も第3表示部13に表示する。ここで、簡易化した情報は、例えば、第1情報を簡易的に示した情報、及び、第2情報を簡易的に示した情報を含む。
【0131】
このような本変形例に係る表示制御装置20において、制御部27は、第2情報の表示位置を第1表示部11に変更させた場合、第3表示部13に第1情報及び第2情報のそれぞれを簡易化した情報を表示し、第1情報の表示位置を第2表示部12に変更させた場合も、第3表示部13に第1情報及び第2情報のそれぞれを簡易化した情報を表示する。
【0132】
これによれば、第3表示部13は、第1情報及び第2情報のそれぞれを簡易化した情報を表示することができる。このため、運転者は、第3表示部13を視認するだけで、第1情報及び第2情報を把握することができる。また、運転者は、さらに詳細を見たければ、誘導表示が指し示す先の表示部を視認することで、第1情報及び第2情報を認識することができる。
【0133】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る表示制御装置、表示制御システム及び表示制御方法について、上記実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0134】
例えば、上記実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法において、図12Aは、その他の変形例に係る表示制御システム2の第1表示部11に第1情報を表示し、かつ第2表示部12に第2情報を表示した様子を示す図である。図12Bは、その他の変形例に係る表示制御システム2の第2表示部12に表示した第2情報を停止する様子を示す図である。図12Bでは、削除した第2情報を二点鎖線とドットのハッチングで示している。図12A及び図12Bに示すように、例えば、第1イベントの発生によって第1表示部11が第1情報を表示しているときに、さらに第2イベントが発生した場合、制御部27は、第2イベントに対応する第2情報の重要度が第2値未満であれば、第2情報を第1情報と合わせて第1表示部11に表示させずに、第1情報だけを第1表示部11に表示させてもよい。ここで、制御部27は、第2表示部12に第2情報を表示させてもよく、第2情報を全ての表示部に表示させなくてもよい。この場合、誘導表示処理部24は、第1表示部11に対してのみ運転者の視線を誘導する標識の表示である誘導表示を行ってもよい。なお、第1イベントが第2イベントよりも先に発生した場合を説明したが、第2イベントが第1イベントよりも先に発生することによって第2表示部12が第2情報を表示しているときに、さらに第1イベントが発生した場合においても同様である。
【0135】
上記実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6に係る表示制御装置20、表示制御システム2及び表示制御方法において、制御部27は、第3イベントの重要度が第3値未満の場合、第3イベントに対応する第3情報を第1表示部11及び第2表示部12に表示させなくてもよい。また、第3値は、予め設定された値であってもよい。これによれば、重要度の低い情報を表示させないため、表示部には第3値よりも重要度の高い情報だけが表示される。このため、運転者は、重要度の高い情報だけを視認し易くなるため、重要度の高い情報を認識することが容易になる。
【0136】
また、上記実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6に係る表示制御装置、表示制御システム及び表示制御方法に含まれる構成の表示制御装置は典型的に集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0137】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0138】
なお、上記実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0139】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6は例示された数字に制限されない。
【0140】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0141】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0142】
なお、上記の実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び各実施の形態の変形例1~6における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本開示は、例えば複数の表示装置を搭載した車両、車両以外のその他の装置及びシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 車両
2 表示制御システム
11 第1表示部(表示部)
12 第2表示部(表示部)
20 表示制御装置
22 視線特定部
23 認知表示処理部
24 誘導表示処理部
25 表示先決定部
27 制御部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B