(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】衛生設備および関連する角度付きドア
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20240704BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20240704BHJP
E06B 3/40 20060101ALI20240704BHJP
E06B 3/70 20060101ALI20240704BHJP
E05F 15/73 20150101ALI20240704BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20240704BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
E04H1/12 301
E04B1/343 R
E06B3/40
E06B3/70 E
E05F15/73
A47K17/00
E03D9/00 Z
(21)【出願番号】P 2022501133
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020064620
(87)【国際公開番号】W WO2021004687
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522009857
【氏名又は名称】エンゲル,ハルトムート エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル,ハルトムート エス.
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-228965(JP,A)
【文献】実開昭63-136188(JP,U)
【文献】特開平03-228720(JP,A)
【文献】特開2004-350894(JP,A)
【文献】特開2008-267104(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109208942(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0232685(US,A1)
【文献】実開平06-012657(JP,U)
【文献】実開平05-089784(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E06B 3/90
E06B 3/54 - 3/88
E06B 3/36
E06B 3/40
E05F 15/73
A47K 17/00
E03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ衛生ユニットを含み、ロック可能なピボットドアを介して閉じることができる少なくとも1つの衛生空間を備えた衛生設備であって、
前記ピボットドアは、全領域に亘って透明な材料で構成された透明戸(3)と、不透明な材料で構成された不透明戸(4)と、を有する二枚戸の角度付きドア(3,4)として構成され、
前記透明戸(3)は、未使用すなわち空き状態の衛生ユニット(2)を含む衛生空間を閉じ、
前記不透明戸(4)は、衛生空間(1)に利用者が入るときに前記透明戸(3)を旋回させることによって、占有状態に対応する閉位置に移動される、衛生設備。
【請求項2】
前記角度付きドア(3,4)を旋回させ、ロックし、ロック解除するための操作要素(5,6)は、前記戸(3,4)の両方が相互に接する内面にのみ提供されることを特徴とする請求項1に記載の衛生設備。
【請求項3】
前記操作要素(5,6)は、身体に関連する操作ストリップとして構成され、特に、腰、大腿部、または足によって作動することができ
ることを特徴とする請求項2に記載の衛生設備。
【請求項4】
前記不透明戸(4)はステンレス鋼で構成され、前記透明戸(3)は透明なガラスで構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の衛生設備。
【請求項5】
前記角度付きドア(3,4)は、分離可能なように自動駆動装置に接続され、前記自動駆動装置は、操作要素およびセンサのうちの少なくとも1つによってトリガーされることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の衛生設備。
【請求項6】
前記角度付きドアの前記2つの戸(3,4)は、緊急時に互いに分離可能なように設計されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の衛生設備。
【請求項7】
前記透明戸(3)は、そのロック状態における前記透明戸(3)の位置に関連する少なくとも1つのセンサ、特に前記衛生空間(1)内の洗浄、フラッシング、および乾燥プロセスのうちの少なくとも1つを制御する少なくとも1つのセンサの、制御および駆動要素として用いられることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の衛生設備。
【請求項8】
前記衛生空間(1)に設けられたトイレ(2)の便座(7)には、洗浄乾燥ステーション(9)、特に視認できる洗浄乾燥ステーション(9)が設けられており、前記洗浄乾燥ステーション(9)は、前記便座(7)を持ち上げた位置で前記便座(7)を収容し、前記便座(7)のピボット運動と同様に、前記透明戸(3)の位置に応じて制御可能であることを特徴とする請求項7に記載の衛生設備。
【請求項9】
前室の無いまたは共通の前室があるユニセックス用途のために、各衛生空間(1)は、すべての利用者が視覚的に直接アクセス可能な、環境的に閉鎖されたユニット式衛生空間として設計されることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の衛生設備。
【請求項10】
互いに実質的に直角に配置された2枚の戸(3,4)を備えた角度付きドアであって、一方の戸(3)が、その全範囲に亘って透明材
料で構成され、他方の戸(4)が、不透明な材
料で構成され、衛生およびトイレ空間、特に公衆の衛生空間および/またはトイレ空間のための旋回可能な端部として使用される角度付きドア。
【請求項11】
前記2枚の戸(3,4)が、固定された角度位置で分離させることが可能であることを特徴とする請求項10に記載の角度付きドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ衛生ユニットを含み、ロック可能なピボットドアを介して閉じることができる少なくとも1つの衛生空間を備えた衛生設備に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面所、特にトイレ設備など、公衆にアクセス可能な衛生設備は、常に衛生的に問題がなく、安全な場所として利用者に提供される必要がある。
【0003】
ただし、これは非常に多くの場合、特に監督者のいない設備では、利用者は、観察されておらず、清掃する義務がないと感じているため、対応する書面による指示にもかかわらず、利用者は、後続の利用者に関係なく、各自の場所を多かれ少なかれ汚れた状態のままに放置し、実際、通常は監視されないままである。
【0004】
その結果、利用者は、キュービクル(小部屋)すなわち衛生空間に入る前に、その衛生ユニットがどのような状態なのか分からず、さらに悪いことに、人がドアの後ろに隠れているのか、またはドアが部分的に開いているだけなのかどうかを確認できないことがよくあるため、そのような公共施設は、利用者が不安感を持って入ることになる。
【0005】
これはすべて、利用者の間に明白なまたはサブリミナルな困惑と不安感をもたらし、その結果、そのような公共の設備はしばしば回避される。
【0006】
ドアを開けなくても、それぞれのトイレの衛生状態を外部から判断することのできる屋内トイレは、インターネットからYouTube(登録商標)の「Toilettentur Glas」として知られるようになった。その目的のために、ガラスで構成されたセルフカラーのトイレドアが提供されており、そのドアは、トイレが占有されていないときは透明で、トイレが占有されてロックされると、ガラスの色が変わり不透明になる。透明から不透明への切り替えは、関連する電子機器を使用して電圧を印加することによって実現される。
【0007】
このソリューションは非常にコストがかかるため、高品質の屋内システムでしか検討できないという事実とは別に、このソリューションには、電源に障害が発生した場合、または外部からアクセス可能な緊急開放時の操作が発生した場合に、ドアが透明になり、利用者は恥ずかしい状況に陥る可能性があるという欠点がある。
【0008】
丸型ユニットとして設計された衛生設備の湾曲した引き戸のシーケンス制御は、特許文献1から知られている。
【0009】
キュービクルコンパートメントを既存の空間から分離するための壁本体は、特許文献2から知られており、壁本体には、それぞれの仕切られたキュービクルコンパートメントにアクセスできるドアが設けられている。キュービクルコンパートメントは、この点で、それぞれ角度付き回転ドアがキュービクルコンパートメント内の脚によってロッカーボックスを分離するように組み立てられた角度付き回転ドアのみで構成することができる。この点で回転ドアが開位置に回転している場合、ロッカーボックス全体が壁本体のレベルの前に移動するため、簡単にアクセスすることができる。
【0010】
公衆トイレ設備は特許文献3から知られており、その特徴は、外部から個別にアクセスでき、側面と内壁で互いに分離されているトイレ用区画を有することである。この点で、それぞれの外部ドアは、ピボットドアまたはスイングドアとして、あるいは引き戸として構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】中国特許出願公開第109208942号明細書
【文献】独国特許出願公開第1554348号明細書
【文献】独国特許出願公開第4400049号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記の不利な点を排除し、そのような設備の衛生基準を、利用者が入室前であっても検証できるようにし、設備の開放性と明快さにより、利用者に高い安全感を与え、そして、利用者が衛生空間に入る前に感じた高い衛生基準を維持するように、利用者を感情的に誘導することに貢献する、公衆衛生設備、特に公衆トイレ設備の解決策を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
最初に述べたような衛生設備から始めて、この目的は、ピボットドアが、好ましくはその全領域にわたって透明な材料からなる戸と、不透明な材料からなる戸と、を有する二枚戸の角度付きドアとして構成されるという点で実質的に充足され、透明戸は、未使用または空き状態の衛生ユニットを含む衛生空間を閉鎖し、不透明戸は、衛生空間に入るときに透明戸を回転させることによって、占有状態に対応する閉じた位置に移行させる。
【0014】
従来の不透明なピボットドアを、好ましくは互いに直角にオフセットして配置されるとともに、一方では透明な材料で構成され、他方では不透明な材料で構成された戸を有する二枚戸の角度付きドアに置き換えるというアイディアにより、屋外設備と建物の公衆トイレの両方に対し、驚くべき方法で、シンプルで堅牢な破壊防止ソリューションを提供することを可能にし、それにより、各キュービクルに提供される衛生ユニットに払われる努力に関係なく、透明性と、見通すのが困難または不可能な空間領域の回避を通じて、そのような設備の衛生と安全性の向上または保証に貢献する。
【0015】
本発明による解決策により、環境的に閉鎖された衛生空間が常に生成されるまたは存在するので、その空間へのアクセスを直接行うことができる。それにより、他の方法では必要な前室(anteroom)は省略される。
【0016】
要求された方法で常に照らし出される衛生空間は、既に透明な戸を通して離れたところから見通すことができるので、特に夜間や、例えば孤独な駐車スペースで、局所的な状況をうまく制御できるという感覚が大幅に向上する。
【0017】
したがって、衛生空間は、その状態または清潔さに関して入る前にチェックすることができ、その後、各利用者は、空間がすぐに完全に見通せることを、またはそこを離れた後に再び見通せることも明確に認識する。この「社会的統制」により、利用者はスペースを完全にきれいな状態に保つことを強いられる。
【0018】
本発明の特に有利な実施形態は、角度付きドアを旋回、ロック、およびロック解除するための操作要素が、両方の戸の相互に面する内面にのみ提供され、操作要素が、特に身体関連操作部として、すなわち、特に腰、大腿部、または足によって操作することができ、好ましくは戸の下3分の1の領域に配置される操作ストリップとして構成されることを特徴とする。
【0019】
これらの機能の実質的な重要性は、通常のハンドル付きのドアが使用される既知の衛生設備での最も単純な場合において、つまり、洗面台のある前室への入口ドアと、個別の女性/男性用エリアへのドアと、キュービクルドアの場合において、それらのドアがハンドルを介して開閉され、それぞれの場合に出入りするときにロックノブが操作される場合に、ドアハンドルおよびロックノブとの手の接触が少なくとも11回必要となることが判明した時に特に明らかとなる。手を洗った後でも、通常、入口ドアの最後の2回の手の接触が必要となる。
【0020】
空間ドアが自動化されている場合でさえ、キュービクルドアだけでも、ハンドルでドアを開き、ハンドルでドアを閉じ、ロックを閉じ、ロックを開き、ハンドルでドアを開き、そしてハンドルでドアを閉じる、6回の手の接触が必要となる。
【0021】
ドアハンドルが細菌で最も汚染されていることが常に知られていること、つまり汚染が便座よりもかなり多いことを考慮に入れると、既知の設備では細菌の伝染のリスクがどれほど高いかが予想できる。
【0022】
対照的に、腰、大腿部、または足の形態の身体関連の操作要素を備えた本発明によるピボットドアの場合、透明なドアは、実際には、それぞれの場合に入る人に沿って移動して、その後ろの2番目の不透明戸を自動的に閉鎖する。したがって、片手での接触も、よく行われるような厄介な「肘の操作」も必要としない。したがって、衛生空間に入るときと出るときの両方で、本発明により、細菌感染に対する絶対的に効果的な保護が達成される。
【0023】
原則として、不透明戸にはすべての種類の既知の材料を使用できるが、高品質のソリューションを実装するにはステンレス鋼を使用することが好ましい。透明戸は、好ましくは透明なガラスで構成される。
【0024】
本発明のさらなる実施形態の変形例によれば、角度付きドアはまた、操作要素および/またはセンサによってトリガーすることができ、純粋にドアの機械的な操作へのおそらく望ましい移行のために分離させることができる自動駆動装置に接続することができる。この場合、角度付きドアの回転運動は、そのような駆動装置からわかるように、入る人にスムーズに適応することができる。実際には、利用者の感情的な安全というおなじみの側面を備えた機械的操作が好ましい。さらに、角度付きドアの2つの戸は、特に緊急時に互いに分離させることができるように設計される。
【0025】
本発明に基づく本発明の更に重要な、好ましくは使用される態様は、透明な戸が、少なくとも1つのセンサの制御および作動部材として使用されることであり、これは、特にロック状態における透明な戸の位置に関連するとともに、特に照明や、キュービクル内の洗浄、フラッシング、および/または乾燥プロセスを制御する。
【0026】
透明戸を制御部材として使用することにより、例えば、忘れられたフラッシュに追いつき、消毒プロセスなどをトリガーすることも可能にする。
【0027】
本発明のさらなる実施形態によれば、洗浄および乾燥ステーション、特に目に見える洗浄および乾燥ステーションが、キュービクルに設けられたトイレの便座に提供され、前記洗浄および乾燥ステーションは、その上げられた位置において便座を収容し、ちょうど便座のピボットの動きのように、透明戸の位置に応じて制御される。
【0028】
本発明のさらに有利な特別な特徴は、前室(anteroom)の無いまたは共通の前室のあるユニセックス用途のために、各衛生空間が、すべての利用者が視覚的に直接アクセスできる環境的に閉鎖されたユニット式の衛生空間として設計されることである。
【0029】
直接アクセス可能であり、最初は完全に見渡すことができ、入室後に安全に戸を閉じることのできる個別の衛生スペースを各利用者が使用できるため、性別の隔離を確実に省くことができる。この性別の隔離は、女性と男性にそれぞれ割り当てられた両方の区域を共通の閉鎖された前室の状況において分割する必要がある場合、または性別で区切られた2つの大きなトイレ設備が提供される場合に常に必要である。本発明による直接アクセス可能なユニセックスソリューションは、トイレのキュービクルの総数と同等の数で分散化されるようないくつかの小さなユニセックスグループ化を可能にし、前記ユニセックスグループ化はまた、より均一な利用が可能であるため、より良い使用を有する。
【0030】
衛生設備の容量を増やすという側面は、実際には重要な役割を果たす。サッカースタジアムや劇場、コンサートなどの、短時間に多くの需要が求められる大規模なイベントでは、特に休憩時間に、非常に多くの訪問者が同時にトイレを訪れる状況では、トイレは通常、訪問者の性別による割り当てに適していない。
【0031】
性別に中立な使用の可能性により、本発明に従って設計されたユニセックス空間は、性別に関係なく使用の同等の可能性を通じて著しく高い容量を有する。
【0032】
これは、空港、鉄道駅、学校、病院、ショッピングセンター、ホテルなどへの訪問者にも当てはまり、当然のことながら、分散型のより小さい1~2スペースシステムの都心部にも当てはまる。
【0033】
従来の配置と同じ数のトイレキュービクルを想定した場合でも、性別で区切られたエリアと、それによって不要になる可能性のある前室がなくなるため、必要な建物の容積が大幅に少なくなるか、あるいは、本発明により設計された大幅に容量の増加した多数のユニセックススペースが、同じ利用可能な建物の容積で可能となる。
【0034】
本発明の目的はまた、概ね、互いに実質的に直角に配置された2枚の戸を備えた角度付きドアであって、衛生およびトイレ空間、特に公衆の衛生空間および/またはトイレ空間のための旋回可能な端部として使用され、一方の戸が、特にその全範囲に亘って透明材料、好ましくはガラスで構成され、他方の戸が、不透明な材料、好ましくはステンレス鋼で構成された、角度付きドアの使用である。直角に配置された2つの戸は、特に緊急時に、固定された角度位置で分離させることが可能である。
【0035】
本発明のさらなる詳細および利点は、実施例の以下の説明および図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】2つの衛生空間を備え、それらの両方の空間が空き状態、すなわち未使用状態で示されている、本発明によるトイレ設備の概略図である。
【
図2】左側の衛生空間において、角度付きドアが空き状態から占有状態への移行、すなわち、人が部屋に入る状態で示されている、
図1の設備を示す図である。
【
図3】左側の衛生空間が占有状態で示され、右側の衛生空間が空き状態で示されている、
図1の設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
従来の公衆トイレやトイレ設備においては、一方では、多くの利用者が使用後に必要な方法でトイレを掃除し、衛生的に問題のない状態でトイレを出る準備ができておらず、他方では、このような設備は、ドアが場合によっては閉じているか、あるいは未使用の状態で部分的にしか開いていないために混乱することが多く、利用者がドアの後ろのスペースに人が隠れているのを恐れるに相違ないという根本的な問題がある。
【0038】
これらすべてが、それらの設備の衛生的美的状態がしばしば物足りないものであり、そのような設備を訪問するときにサブリミナルに不安な感情が利用者にもたらされる可能性があるという事実につながる。
【0039】
図1に示されるような本発明による衛生設備は、使用者が、キュービクルが審美的に清潔であり、明らかに「空き」であるかどうかを一目で見ることを可能にし、それにより、現在の衛生的美的状態がもはや人目につかないものではなく、サブリミナルに不安な感情がもはや生じない。
【0040】
少なくとも1つのトイレ2があり、便座7と、好ましくは洗浄ステーション9と、紙ホルダー、特に手洗い洗面器などの関連設備と、を備えた設備の各衛生スペース1が、本発明による角度付きピボットドアを備える。
【0041】
それらの角度付きドアの各々は、透明戸(transparent leaf)3と、不透明戸(opaque leaf)4と、を備え、透明戸3は、キュービクルの空き状態に関連付けられ、不透明戸4は、キュービクルの占有状態に関連付けられる。この点で、透明戸は、好ましくは透明なガラスで構成され、不透明戸4は、ステンレス鋼または別の不透明な材料で構成される。
【0042】
角度付きドアの相互に近接する表面には、操作要素5,6がそれぞれのドアの下部領域に設けられ、それらの操作要素5,6により、2つの戸3,4のそれぞれが対応するキュービクル1を閉鎖する位置にロックされ、その位置からロックを解除することができる。
【0043】
図1が示すように、キュービクルは、使用されていない状態では、ガラス戸によって区画が環境的に密閉されており、キュービクルすなわち衛生空間が衛生的に問題のない状態にあり、清潔であるかどうかをすぐに確認することができる。さらに、人が隠れている可能性に対して不安感を引き起こしうる隠れた領域がないことがすぐに分かる。
【0044】
図2は、人が左側のキュービクル1に入る場合を示し、すなわち、ガラス戸のロックが、操作要素5または操作要素6を介して、腰、大腿部、または足の接触によって解放されて、角度付きドアが対応する人に沿って旋回し、それにより通路の開口部がガラス戸3によって解放され、人が完全にキュービクル内にいるときに、次の不透明戸4によって閉じられる。操作要素5,6および開口部を介したロック解除は、再び手を使わずに行うことができる。この目的のために、操作要素およびロック要素は、ドアの下部領域に配置され、それによりその上部要素は、例えば、大腿部によってトリガーされ、または下部要素は、足または車椅子のフットレストによってトリガーされ得る。
【0045】
代替的に、開プロセスを、モーションセンサにより操作要素なしで自動的にトリガーすることもできる。ドアの駆動も同様に自動方式で可能であるが、いずれの場合も、機械的な緊急作動システムが確実に提供される。したがって、特に緊急時に単一の戸を旋回させることができるように、2つの戸の間に解放可能なロックを提供することが特に可能である。
【0046】
図3は、
図1による設備を示し、左側に「占有された」キュービクルを示し、右側に実際には同様に閉められたキュービクルを示すが、これは完全に見えるため、衛生状態に関して明確に確認することもできる。
【0047】
図1~3に示される実施例では、トイレの使用後、センサを介して水洗がトリガーされ、便器が高圧で洗浄されることが提供される。便座7は、自動的に洗浄位置に上げられ、その洗浄および乾燥が、洗浄ステーション9において、および/またはガラス戸3を介したキュービクルの開放によって直ちにトリガーされ得る。
【0048】
キュービクル1を離れるには、利用者は、金属戸4に設けられた操作要素5,6を介して、そして実際に好ましくは再び腰、大腿部、または足を用いてドアロックを解除する必要がある。この場合、利用者がフラッシュを忘れた場合は、ドアまたは2つの戸の1つを使用してフラッシュをトリガーすることもできる。
【0049】
ガラス戸3が再びロック位置にある場合、暗闇で常に照らされている完全に目視できるキュービクル内でさらなるプロセスをトリガーすることができる。たとえば、自動高圧床掃除を行うことができ、これは、掃除時間の間、キュービクルがブロックされているためキュービクルに入ることができない待機中の訪問者も観察することができる。
【0050】
言及されるさらなる可能性は、障害のある利用者がトイレを使いやすくする可動ハンドル8の取り付けである。これらのハンドル8は、好ましくは天井側に取り付けられ、横方向の静止位置からトイレの領域に位置する利用者位置に移動することができ、その制御は再びセンサを介して行なわれ、ハンドル8の待機位置への復帰を、ガラス戸3を介して制御することもできる。
【0051】
また、言及されるべきは、透明から不透明に変化し、再び元に戻る本発明によるドアシステムにまだ精通していない利用者の適応も容易にするように、「空き」および「占有」の状態を、対応する色付き信号要素または照明要素によって示すことができることである。
【0052】
本発明による設備は、用途に応じて特に高い拡張または品質レベルで設計することができるが、上記のすべての本質的な利点は、単純な機械的解決策によっても提供されることに留意することが重要である。
【0053】
これは、透明なドアがすぐにキュービクル内の視界を提供し、待機している訪問者が、キュービクルが今現在どのような状態に置かれているかをすぐに見ることができることを、それぞれの利用者がキュービクルを離れるときに認識している、全ての実施形態の変形例に適用される。
【0054】
この社会的統制は、必然的に、利用者が注意深い検査の後にのみ衛生空間を離れるという結果をもたらす。つまり、利用者は、この社会的統制によって、「汚い下品な人」として認識されないために、キュービクルを清潔な状態に保ち、清潔な状態に保つように強く動機付けられる。
【0055】
既に上述した手の接触の回避と、それに関連する細菌感染の減少と併せて、この態様のプラスの効果は計り知れず、それは、例えば鉄道駅などの公共の衛生設備、ショッピングセンター、公共の場所、ホテル、レストランなどでの衛生状態の改善につながり、一時的に設置されたトイレの受け入れを増やすことさえできる。
【符号の説明】
【0056】
1…キュービクル(cubicle)
2…トイレ
3…ガラス戸(glass leaf)
4…金属戸(metal leaf)
5…操作要素
6…操作要素
7…便座
8…ハンドル
9…清掃ステーション