(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20240704BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240704BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/00
B60L15/20 Z
(21)【出願番号】P 2019094044
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-05-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 充彦
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0144070(US,A1)
【文献】特開2015-182600(JP,A)
【文献】特開2001-080570(JP,A)
【文献】特開2002-240772(JP,A)
【文献】特開平09-156571(JP,A)
【文献】特開平09-207866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40 - 6/75
B62J 45/00
B60L 1/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを制御し、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の比率を、前記人力駆動力に応じて変更するように構成される制御部と、
記憶部と、を含み、
前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力が最大値よりも小さくなるように前記モータを制御し、かつ、前記人力駆動力のトルクが前記予め定める第1値になると、前記モータによるアシスト力が前記最大値となるように前記モータを制御するように構成され、
前記予め定める第1値は、50Nm以上130Nm以下の範囲の値であり、
前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが前記予め定める第1値以下の少なくとも一部の範囲において、前記人力駆動車が停止状態から発進する場合における前記人力駆動力の増加に対する前記モータの出力の増加の第1変化率が、前記人力駆動車が走行中の場合における前記人力駆動力の増加に対する前記モータの出力の増加の第2変化率よりも高くなるように、前記モータを制御するように構成され、
前記人力駆動力のトルクが前記予め定める第1値以下の範囲において、前記第1変化率および前記第2変化率は、いずれも、前記人力駆動力のトルクと前記モータの出力との関係が曲線によって表される変化率であり、
前記記憶部は、前記予め定める第1
値を変更可能に記憶するように構成され、
前記制御部は、前記記憶部に記憶され
ている
前記予め定める第1値を、50Nmから130Nmまでの範囲
内において変更するように
前記記憶部を制御する、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記比率が200パーセント以下になるように、前記モータを制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい予め定める第2値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルクよりも小さくなるように、前記モータを制御し、
前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第2値以上の場合、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルク以上になるように、前記モータを制御するように構成される、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルクよりも小さくなるように、前記モータを制御するように構成される、請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルクよりも小さくなるように、前記モータを制御するように構成される、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい場合、前記人力駆動力のトルクの増加幅に対する、前記モータによるアシスト力のトルクの増加幅の変化率が変化するように、前記モータを制御するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい場合、前記人力駆動力のトルクの増加幅に対する、前記モータによるアシスト力のトルクの増加幅の変化率が、前記人力駆動力のトルクが大きくなるほど、大きくなるように、前記モータを制御するように構成される、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい予め定める第3値よりも小さい値から前記予め定める第3値以上になると、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動させるように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記人力駆動力の増加に応じて前記モータの出力を増加させる場合と、前記人力駆動力の減少に応じて前記モータの出力を減少させる場合と、において、前記比率が異なるように、前記モータを制御するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記人力駆動力の増加に応じて前記モータの出力を増加させる場合における前記比率が、前記人力駆動力の減少に応じて前記モータの出力を減少させる場合における前記比率よりも大きくなるように前記モータを制御するように構成される、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを制御し、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の比率を、前記人力駆動力に応じて変更するように構成される制御部と、
記憶部と、を含み、
前記制御部は、前記人力駆動力の仕事率が予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力が最大値よりも小さくなるように前記モータを制御し、かつ、前記人力駆動力の仕事率が前記予め定める第1値になると、前記モータによるアシスト力が前記最大値となるように前記モータを制御するように構成され、
前記予め定める第1値は、300ワット以上600ワット以下の範囲の値であり、
前記制御部は、前記人力駆動力の仕事率が前記予め定める第1値以下の少なくとも一部の範囲において、前記人力駆動車が停止状態から発進する場合における前記人力駆動力の増加に対する前記モータの出力の増加の第1変化率が、前記人力駆動車が走行中の場合における前記人力駆動力の増加に対する前記モータの出力の増加の第2変化率よりも高くなるように、前記モータを制御するように構成され、
前記人力駆動力の仕事率が前記予め定める第1値以下の範囲において、前記第1変化率および前記第2変化率は、いずれも、前記人力駆動力の仕事率と前記モータの出力との関係が曲線によって表される変化率であり、
前記記憶部は、前記予め定める第1
値を変更可能に記憶するように構成され、
前記制御部は、前記記憶部に記憶され
ている
前記予め定める第1値を、300ワット以上600ワット以下までの範囲
内において変更するように
前記記憶部を制御する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている人力駆動車は、人力駆動力に対するモータによるアシスト力の比率が予め定める比率になるようにモータを制御するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、モータを好適に制御可能な人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを制御し、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の比率を、前記人力駆動力に応じて変更するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力が最大値よりも小さくなるように前記モータを制御し、かつ、前記人力駆動力のトルクが前記予め定める第1値になると、前記モータによるアシスト力が前記最大値となるように前記モータを制御するように構成され、前記予め定める第1値は、50Nm以上130Nm以下の範囲の値である。
第1側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが50Nm以上130Nm以下の範囲の値である予め定める第1値になるとモータによるアシスト力を最大値にするため、人力駆動力のトルクが50Nm以上130Nm以下の範囲の値である予め定める第1値になるまでモータによるアシスト力を増加できる。このため、モータを好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、記憶部をさらに含み、前記記憶部は、前記予め定める第1値に関する情報を変更可能に記憶するように構成される。
第2側面の制御装置によれば、記憶部に記憶される予め定める第1値を変更できるため、ライダおよび走行環境等に適した予め定める第1値を設定できる。
【0007】
本開示の第3側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを制御し、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の比率を、前記人力駆動力に応じて変更するように構成される制御部と、記憶部と、を含み、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力が最大値よりも小さくなるように前記モータを制御し、かつ、前記人力駆動力のトルクが前記予め定める第1値になると、前記モータによるアシスト力が前記最大値となるように前記モータを制御するように構成され、前記記憶部は、前記予め定める第1値に関する情報を変更可能に記憶するように構成される。
第3側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが予め定める第1値になるまでモータによるアシスト力を増加でき、さらに、記憶部に記憶される予め定める第1値を変更できるため、ライダおよび走行環境等に適した第1値を設定できる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記比率が200パーセント以下になるように、前記モータを制御するように構成される。
第4側面の制御装置によれば、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の比率を200パーセント(%)以下にするので、モータの大型化を抑制できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい予め定める第2値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルクよりも小さくなるように、前記モータを制御し、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第2値以上の場合、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルク以上になるように、前記モータを制御するように構成される。
第5側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが予め定める第2値よりも小さい場合、モータによるアシスト力を抑制して、電力の消費を抑制でき、人力駆動力のトルクが予め定める第2値以上の場合、ライダの負荷を低減できる。
【0010】
本開示の第4側面に従う第6側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルクよりも小さくなるように、前記モータを制御するように構成される。
第6側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが予め定める第1値よりも小さい場合、モータによるアシスト力を抑制して、電力の消費を抑制できる。さらに、モータの大型化を抑制できる。
【0011】
本開示の第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記モータによるアシスト力のトルクが前記人力駆動力のトルクよりも小さくなるように、前記モータを制御するように構成される。
第7側面の制御装置によれば、モータによるアシスト力を抑制して、電力の消費を抑制できる。さらに、モータの大型化を抑制できる。
【0012】
本開示の第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい場合、前記人力駆動力のトルクの増加幅に対する、前記モータによるアシスト力のトルクの増加幅の変化率が変化するように、前記モータを制御するように構成される。
第8側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが、予め定める第1値よりも小さい場合、人力駆動力のトルクの増加幅に対する、モータによるアシスト力のトルクの増加幅の変化率が変化するように、モータを制御できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい場合、前記人力駆動力のトルクの増加幅に対する、前記モータによるアシスト力のトルクの増加幅の変化率が、前記人力駆動力のトルクが大きくなるほど、大きくなるように、前記モータを制御するように構成される。
第9側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが、予め定める第1値よりも小さい場合、人力駆動力のトルクの増加幅に対する、モータによるアシスト力のトルクの増加幅の変化率が、人力駆動力のトルクが大きくなるほど、大きくなるように、モータを制御できる。
【0014】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが、前記予め定める第1値よりも小さい予め定める第3値よりも小さい値から前記予め定める第3値以上になると、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動させるように構成される。
第10側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが、予め定める第1値よりも小さい予め定める第3値よりも小さい値から予め定める第3値以上になると、人力駆動力に応じてモータを駆動できる。このため、人力駆動力のトルクが第3値になるまでモータによるアシスト力を発生させないようにできる。
【0015】
本開示の第1から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力のトルクが前記予め定める第1値以下の少なくとも一部の範囲において、前記人力駆動車が停止状態から発進する場合における前記人力駆動力の増加に対する前記モータの出力の増加の第1変化率が、前記人力駆動車が走行中の場合における前記人力駆動力の増加に対する前記モータの出力の増加の第2変化率よりも高くなるように、前記モータを制御するように構成される。
第11側面の制御装置によれば、人力駆動力のトルクが予め定める第1値以下の少なくとも一部の範囲において人力駆動車が停止状態から発進する場合における人力駆動力の増加に対するモータの出力の増加の第1変化率と、人力駆動車が走行中の場合における人力駆動力の増加に対するモータの出力の増加の第2変化率とがそれぞれ好適な変化率になるように、モータを制御できる。このため、人力駆動車が停止状態から発進する場合のライダの負荷を低減できる。
【0016】
本開示の第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力の増加に応じて前記モータの出力を増加させる場合と、前記人力駆動力の減少に応じて前記モータの出力を減少させる場合と、において、前記比率が異なるように、前記モータを制御するように構成される。
第12側面の制御装置によれば、人力駆動力の増加に応じて前記モータの出力を増加させる場合と、人力駆動力の減少に応じてモータの出力を減少させる場合と、のそれぞれに好適な比率になるように、モータを制御できる。
【0017】
本開示の第12側面に従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力の増加に応じて前記モータの出力を増加させる場合における前記比率が、前記人力駆動力の減少に応じて前記モータの出力を減少させる場合における前記比率よりも大きくなるように前記モータを制御するように構成される。
第13側面の制御装置によれば、人力駆動力の増加に応じてモータの出力を増加させる場合における比率が、人力駆動力の減少に応じてモータの出力を減少させる場合における比率よりも大きくなるので、人力駆動車を加速させるときにライダの負荷を低減し、人力駆動車を減速させるときに電力の消費を制御できる。
【0018】
本開示の第14側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを制御し、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の比率を、前記人力駆動力に応じて変更するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動力の仕事率が予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力が最大値よりも小さくなるように前記モータを制御し、かつ、前記人力駆動力の仕事率が前記予め定める第1値になると、前記モータによるアシスト力が前記最大値となるように前記モータを制御するように構成され、前記予め定める第1値は、300ワット以上600ワット以下の範囲の値である。
第14側面の制御装置によれば、人力駆動力の仕事率が300ワット以上600ワット以下の範囲の値である予め定める第1値になるとモータによるアシスト力を最大値にするため、人力駆動力の仕事率が300ワット以上600ワット以下の範囲の値である予め定める第1値になるまでモータによるアシスト力を増加できる。このため、モータを好適に制御できる。
【0019】
本開示の第15側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを制御し、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の比率を、前記人力駆動力に応じて変更するように構成される制御部と、記憶部と、を含み、前記制御部は、前記人力駆動力の仕事率が予め定める第1値よりも小さい場合、前記モータによるアシスト力が最大値よりも小さくなるように前記モータを制御し、かつ、前記人力駆動力の仕事率が前記予め定める第1値になると、前記モータによるアシスト力が前記最大値となるように前記モータを制御するように構成され、前記記憶部は、前記予め定める第1値に関する情報を変更可能に記憶するように構成される。
第15側面の制御装置によれば、人力駆動力の仕事率が予め定める第1値になるまでモータによるアシスト力を増加でき、さらに、記憶部に記憶される予め定める第1値を変更できるため、ライダおよび走行環境等に適した第1値を設定できる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の人力駆動車用の制御装置は、モータを好適に制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図2】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置の電気的な構成を示すブロック図。
【
図3】
図2の記憶部に記憶される予め定める第1値に関する情報と対応し、人力駆動力のトルクと、モータによるアシスト力のトルクとの関係、および、人力駆動力のトルクと比率との関係を示すグラフ。
【
図4】
図2の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートの第1部分。
【
図5】
図2の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートの第2部分。
【
図6】
図2の制御部によって実行され、記憶部に記憶される予め定める第1値を変更する処理のフローチャート。
【
図7】第2実施形態の記憶部に記憶される予め定める第1値に関する情報と対応し、人力駆動力のトルクと、モータによるアシスト力のトルクとの関係、および、人力駆動力のトルクと比率との関係を示すグラフ。
【
図8】第2実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートの第1部分。
【
図9】第1変形例の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図10】第2変形例の記憶部に記憶される予め定める第1値に関する情報と対応し、人力駆動力の仕事率と、モータによるアシスト力の仕事率との関係、および、人力駆動力の仕事率と比率との関係を示すグラフ。
【
図11】第3変形例の記憶部に記憶される予め定める第1値に関する情報と対応し、人力駆動力のトルクと、モータによるアシスト力のトルクとの関係、および、人力駆動力のトルクと比率との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
図1から
図6を参照して、第1実施形態の人力駆動車用の制御装置40について説明する。以下、人力駆動車用の制御装置40を、単に制御装置40と記載する。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力Hによって駆動することができる車である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車も含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0023】
人力駆動車10は、第1車輪12Aと第2車輪12Bと、を含む。本実施形態では、第1車輪12Aは前輪を含み、第2車輪12Bは後輪を含む。人力駆動車10は、クランク14をさらに含む。人力駆動車10は、車体16をさらに備える。車体16は、フレーム18をさらに備える。クランク14には、人力駆動力Hが入力される。クランク14は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸14Aと、クランク軸14Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム14Bとを含む。各クランクアーム14Bには、一対のペダル20がそれぞれ連結される。本実施形態では、後輪が、駆動輪である。駆動輪は、クランク14が回転することによって駆動される。駆動輪は、フレーム18に支持される。クランク14と駆動輪とは、駆動機構22によって連結される。駆動機構22は、クランク軸14Aに結合される第1回転体24を含む。クランク軸14Aと第1回転体24とは、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク14が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク14が後転した場合に、第1回転体24を後転させないように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0024】
第2回転体26は、駆動輪に連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と駆動輪との間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転した場合に、駆動輪を前転させ、第2回転体26が後転した場合に、駆動輪を後転させないように構成される。
【0025】
第2車輪12Bが前輪を含み、第1車輪12Aが後輪を含んでいてもよい。車体16は、フロントフォーク30、ステム32、および、ハンドルバー34をさらに含む。フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪が取り付けられている。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪として説明するが、前輪が駆動輪であってもよく、前輪および後輪の両方が駆動輪であってもよい。
【0026】
人力駆動車10は、人力駆動車用のバッテリ36を含む。バッテリ36は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ36は、制御装置40に電力を供給する。バッテリ36は、好ましくは、制御装置40と有線または無線によって通信可能に接続される。バッテリ36は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)によって制御部42と通信可能である。
【0027】
人力駆動車10は、モータ38を含む。モータ38は、人力駆動車10に推進力を付与するように構成される。モータ38は、電気モータを含む。モータ38は、ペダル20から後輪までの人力駆動力Hの動力伝達経路、または、前輪に回転を伝達するように設けられる。ペダル20から後輪までの人力駆動力Hの動力伝達経路は、後輪を含む。本実施形態では、モータ38は、第1回転体24に回転を伝達するように設けられる。モータ38は、前輪または後輪の少なくとも1つに設けられてもよく、例えばハブモータによって構成されてもよい。モータ38およびモータ38が設けられるハウジングは、ドライブユニットを構成する。モータ38とクランク軸14Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、クランク軸14Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク14の回転力によってモータ38が回転しないように第3ワンウェイクラッチが設けられる。モータ38の出力は、減速機を介して人力駆動力Hの動力経路に入力されてもよい。
【0028】
制御装置40は、制御部42を含む。制御部42は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部42は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御装置40は、記憶部44をさらに含む。記憶部44には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部44は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。
【0029】
制御装置40は、好ましくは、モータ38の駆動回路46をさらに備える。駆動回路46と、制御部42とは、好ましくは、モータ38のハウジングに設けられる。駆動回路46と、制御部42とは、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路46は、インバータ回路を含む。駆動回路46は、バッテリ36からモータ38に供給される電力を制御する。駆動回路46は、制御部42と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路46は、制御部42からの制御信号に応じてモータ38を駆動させる。
【0030】
制御装置40は、人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。制御装置40は、さらに、人力駆動車10の走行速度Vおよびクランク軸14Aの回転速度の少なくとも1つに応じて、モータ38を制御してもよい。好ましくは、制御装置40は、車速センサ48、クランク回転センサ50、および、トルクセンサ52をさらに備える。人力駆動力Hは、トルクHTで表されてもよく、仕事率HWで表されてもよい。
【0031】
車速センサ48は、人力駆動車10の走行速度Vに応じた情報を出力するように構成される。車速センサ48は、好ましくは、人力駆動車10の車輪に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ48は、好ましくは、車輪が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速センサ48は、人力駆動車10の車輪の回転速度に応じた情報を出力するように構成される。車速センサ48は、車輪の回転速度に応じた信号を出力するように構成される。制御部42は、車輪の回転速度に基づいて人力駆動車10の走行速度Vを算出できる。制御部42は、例えば車輪の回転速度に関する情報と、車輪の半径または直径に関する情報とを用いて、人力駆動車10の走行速度Vを算出するように構成される。車輪の半径または直径に関する情報は、例えば記憶部44に記憶される。車速センサ48は、好ましくは、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含む。車速センサ48は、人力駆動車10のフレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク30に設けられ、前輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。本実施形態において、車速センサ48は、車輪が1回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ48は、例えば、加速度センサ、または、GPS受信機を含んでいてもよく、人力駆動車10の走行速度Vに応じた情報を出力する構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0032】
クランク回転センサ50は、クランク軸14Aの回転速度に応じた情報を出力するように構成される。クランク回転センサ50は、例えば、人力駆動車10のフレーム18に取り付けられる。クランク回転センサ50は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸14A、クランク軸14Aに連動して回転する部材、または、クランク軸14Aから第1回転体24までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク軸14Aに連動して回転する部材は、モータ38の出力軸、または、減速機を構成する部材などを含む。クランク回転センサ50は、クランク軸14Aの回転速度に応じた信号を出力する。磁石は、クランク軸14Aから第1回転体24までの人力駆動力Hの動力伝達経路において、クランク軸14Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、クランク軸14Aと第1回転体24との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、磁石は、第1回転体24に設けられてもよい。クランク回転センサ50は、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよく、クランク軸14Aの回転速度に応じた情報を出力する構成であれば、どのような構成であってもよい。クランク回転センサ50は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部42に接続される。
【0033】
トルクセンサ52は、クランク14に入力される人力駆動力HのトルクHTに応じた情報を出力するように構成される。トルクセンサ52は、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、好ましくは、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサ52は、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサ52は、動力伝達経路、または、動力伝達経路に含まれる部材の近傍に設けられる。動力伝達経路に含まれる部材は、例えば、クランク軸14A、クランク軸14Aと第1回転体24との間において人力駆動力Hを伝達する部材、クランクアーム14B、または、ペダル20である。トルクセンサ52は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部42に接続される。人力駆動力Hの仕事率HWは、トルクセンサ52によって検出されたトルクとクランク回転センサ50によって検出されたクランク軸14Aの回転速度とを乗算することによって得られる。トルクセンサ52は、例えばフレーム18、クランク軸14Aを支持する支持部、または、後輪のハブ、などに設けられてもよく、クランク14に入力される人力駆動力HのトルクHTに応じた情報を出力する構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0034】
制御部42は、モータ38を制御し、人力駆動力Hに対するモータ38によるアシスト力Mの比率Aを、人力駆動力Hに応じて変更するように構成される。人力駆動車10の人力駆動力HのトルクHTに対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTのトルク比率を、比率ATと記載する場合がある。制御部42は、例えば、人力駆動力Hの仕事率HW(ワット)に対するモータ38によるアシスト力Mの仕事率MW(ワット)の仕事率の比率を比率AWと記載する場合がある。制御部42は、例えば、人力駆動力Hと比率Aとの対応関係の少なくとも一部が互いに異なる複数の制御モードから選択される1つの制御モードによってモータ38を制御するように構成される。人力駆動力Hの仕事率HWは、人力駆動力Hとクランク軸14Aの回転速度Nとの乗算によって算出される。モータ38の出力が減速機を介して人力駆動力Hの動力経路に入力される場合は、減速機の出力を、アシスト力Mとする。減速機がない場合、アシスト力Mの仕事率MWは、モータ38のトルクと、モータ38の回転速度との乗算によって算出される。減速機がある場合は、アシスト力Mの仕事率MWは、減速機の出力トルクと、減速機の出力回転速度との乗算によって算出される。モータ38またはモータ38の周囲には、モータ38の回転速度に応じた信号を出力するモータ回転速度センサが設けられる。制御部42は、モータ回転速度センサに接続され、モータ回転速度センサの出力信号に応じて、モータ38の回転速度を算出できる。減速機がある場合、記憶部44は、減速機の減速比に関する情報を記憶するように構成される。制御部42は、モータ38の回転速度と、減速機の減速比に関する情報とに応じて、減速機の出力回転速度を算出できる。記憶部44は、例えば、モータ38の制御指令とモータ38の出力トルクとの関係を示す情報を記憶している。制御部42は、例えば、記憶部44に記憶されているモータ38の制御指令とモータ38の出力トルクとの関係を示す情報に応じて、モータ38の出力トルクを算出できる。制御部42は、例えば、モータ38の出力トルクと、減速機の減速比に関する情報とに応じて、減速機の出力トルクを算出できる。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTまたは仕事率HWに応じて、制御指令をモータ38の駆動回路46に出力するように構成される。制御指令は、例えばトルク指令値を含む。複数の制御モードは、モータ38を駆動しない制御モードを含んでいてもよい。制御部42は、1つの制御モードのみによってモータ38を制御するように構成されてもよい。
【0035】
例えば、制御部42は、走行速度Vが予め定める第1速度VA以上になると、モータ38を停止する。予め定める第1速度VAは、例えば、時速45Kmである。予め定める速度は、時速45Km未満であってもよく、例えば、時速25Kmであってもよい。
【0036】
制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1よりも小さい場合、モータ38によるアシスト力Mが最大値MXよりも小さくなるようにモータ38を制御し、かつ、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1になると、モータ38によるアシスト力Mが最大値MXとなるようにモータ38を制御するように構成される。予め定める第1値HT1は、50Nm以上130Nm以下の範囲の値である。好ましくは、予め定める第1値HT1は、70Nm以上110Nm以下の範囲の値である。
【0037】
アシスト力MがトルクMTによって表される場合、トルクMTは、モータ38によって発生するアシストトルクを含む。モータ38の出力が、減速機を介して人力駆動力Hの動力経路に入力される場合は、アシストトルクは、減速機の出力トルクを含む。アシスト力MがトルクMTによって表される場合、制御部42は、トルクMTが最大値MTX以下になるようにモータ38を制御する。好ましくは、最大値MTXは、70Nm以上90Nm以下の範囲の値である。最大値MTXは、例えば、80Nmである。好ましくは、最大値MTXは、モータ38の出力特性によって決定される。制御部42は、例えば、複数の制御モードにおいて、それぞれ最大値MXが異なるように、モータ38を制御するように構成されてもよい。
【0038】
複数の制御モードは、予め定める第1制御モードと、予め定める第2制御モードとを含んでいてもよい。制御部42は、予め定める第1制御モードにおいて、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1になると、モータ38によるアシスト力Mが最大値MXとなるようにモータ38を制御するように構成される。制御部42は、予め定める第2制御モードにおいて、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1とは異なる予め定める値になると、アシスト力Mが最大値MXとなるようにモータ38を制御するように構成されてもよい。制御部42は、複数の制御モードの全てにおいて、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1になると、モータ38によるアシスト力Mが最大値MXとなるようにモータ38を制御するように構成されてもよい。
【0039】
好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが、予め定める第1値HT1よりも小さい場合、モータ38によるアシスト力MのトルクMTが人力駆動力HのトルクHTよりも小さくなるように、モータ38を制御するように構成される。本実施形態では、制御部42は、モータ38によるアシスト力MのトルクMTが人力駆動力HのトルクHTよりも小さくなるように、モータ38を制御するように構成される。本実施形態では、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、モータ38によるアシスト力MのトルクMTが人力駆動力HのトルクHTよりも小さくなるように、モータ38を制御するように構成される。
【0040】
好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1よりも小さい場合、人力駆動力HのトルクHTが増加するほどモータ38によるアシスト力Mが増加するように、モータ38を制御するように構成される。本実施形態では、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1よりも小さい場合、人力駆動力HのトルクHTが増加するほどモータ38によるアシスト力MのトルクMTが増加するように、モータ38を制御するように構成される。
【0041】
好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが、予め定める第1値HT1よりも小さい場合、人力駆動力HのトルクHTの増加幅に対する、モータ38によるアシスト力MのトルクMTの増加幅の変化率RTが変化するように、モータ38を制御するように構成される。好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが、予め定める第1値HT1よりも小さい場合、人力駆動力HのトルクHTの増加幅に対する、モータ38によるアシスト力MのトルクMTの増加幅の変化率RTが、人力駆動力HのトルクHTが大きくなるほど、大きくなるように、モータ38を制御するように構成される。
【0042】
好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが、予め定める第1値HT1よりも小さい予め定める第2値HT2において、人力駆動力HのトルクHTとモータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係を示すグラフが変曲点を持つように、モータ38を制御するように構成される。人力駆動力HのトルクHTとモータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係を示すグラフは、人力駆動力HのトルクHTとモータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係を示す曲線、または、人力駆動力HのトルクHTとモータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係を示す近似曲線によって表される。
【0043】
好ましくは、制御部42は、比率Aが200パーセント以下になるように、モータ38を制御するように構成される。本実施形態では、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、比率Aが100パーセント以下になるように、モータ38を制御するように構成される。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、比率ATが200パーセント以上になるように、モータ38を制御するように構成されてもよい。制御部42は、予め定める第1制御モードにおいて、比率ATが100パーセント以下になるように、モータ38を制御するように構成され、予め定める第2制御モードにおいて、比率ATが100パーセント以上になるように、モータ38を制御するように構成されてもよい。
【0044】
好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが、予め定める第1値HT1よりも小さい予め定める第3値HT3よりも小さい値から予め定める第3値HT3以上になると、人力駆動力Hに応じてモータ38を駆動させるように構成される。好ましくは、予め定める第3値HT3は、3Nm以上10Nm以下の値である。例えば、予め定める第3値HT3は、5Nmである。
【0045】
好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以下の少なくとも一部の範囲において、人力駆動車10が停止状態から発進する場合における人力駆動力Hの増加に対するモータ38の出力の増加の第1変化率R1が、人力駆動車10が走行中の場合における人力駆動力Hの増加に対するモータ38の出力の増加の第2変化率R2よりも高くなるように、モータ38を制御するように構成される。例えば、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以下の少なくとも一部の範囲は、例えば0Nm以上50Nm以下の範囲を含み、好ましくは、例えば5Nm以上3Nm以下の範囲を含む。第1変化率R1は、人力駆動車10が停止状態から発進する場合における人力駆動力HのトルクHTの増加に対する、モータ38によるアシスト力MのトルクMTの増加の第1変化率RT1を含む。第2変化率R2は、人力駆動車10が走行中の場合における人力駆動力HのトルクHT増加に対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTの増加の第2変化率RT2を含む。好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以下の少なくとも一部の範囲において、人力駆動車10が停止状態から発進する場合における人力駆動力HのトルクHTの増加に対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTの増加の第1変化率RT1が、人力駆動車10が走行中の場合における人力駆動力HのトルクHT増加に対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTの増加の第2変化率RT2よりも高くなるように、モータ38を制御するように構成される。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以下の少なくとも一部の範囲において、第1変化率RT1が、第2変化率RT2以下になるように、モータ38を制御してもよい。
【0046】
好ましくは、制御部42は、人力駆動力Hの増加に応じてモータ38の出力を増加させる場合と、人力駆動力Hの減少に応じてモータ38の出力を減少させる場合と、において、比率Aが異なるように、モータ38を制御するように構成される。好ましくは、制御部42は、人力駆動力Hの増加に応じてモータ38の出力を増加させる場合と、人力駆動力Hの減少に応じてモータ38の出力を減少させる場合と、において、比率ATが異なるように、モータ38を制御するように構成される。好ましくは、制御部42は、人力駆動力Hの増加に応じてモータ38の出力を増加させる場合における比率Aが、人力駆動力Hの減少に応じてモータ38の出力を減少させる場合における比率Aよりも大きくなるようにモータ38を制御するように構成される。好ましくは、制御部42は、人力駆動力Hの増加に応じてモータ38の出力を増加させる場合における比率ATが人力駆動力Hの減少に応じてモータ38の出力を減少させる場合における比率ATよりも大きくなるようにモータ38を制御するように構成される。
【0047】
制御部42は、人力駆動力Hの増加に応じてモータ38の出力を増加させる場合における比率Aが、人力駆動力Hの減少に応じてモータ38の出力を減少させる場合における比率A以下になるようにモータ38を制御するように構成されてもよい。制御部42は、人力駆動力Hの増加に応じてモータ38の出力を増加させる場合における比率ATが、人力駆動力Hの減少に応じてモータ38の出力を減少させる場合における比率ATと等しくなるようにモータ38を制御するように構成されてもよい。
【0048】
記憶部44は、予め定める第1値HT1に関する情報を記憶する。記憶部44は、さらに人力駆動力Hに応じてモータ38を制御するための制御情報を記憶する。本実施形態では、制御情報は、人力駆動車10が停止状態から発進する場合に制御部42が用いる第1制御情報と、人力駆動車10が走行中の場合に制御部42が用いる第2制御情報と、を含む。制御情報は、例えば、人力駆動力HのトルクHTと、モータ38によるアシスト力Mとを対応付けたテーブル、関数、および、マップの少なくとも1つを含む。好ましくは、制御情報は、人力駆動力HのトルクHTと、モータ38によるアシスト力MのトルクMTとを対応付けたテーブル、関数、および、マップの少なくとも1つを含む。制御情報は、例えば、人力駆動力HのトルクHTと、比率Aとを対応付けたテーブル、関数、および、マップの少なくとも1つを含んでいてもよい。制御情報が、例えば、人力駆動力HのトルクHTと、比率Aとを対応付けたテーブル、関数、および、マップの少なくとも1つを含む場合、モータ38によるアシスト力MのトルクMTが最大値MTXになると、人力駆動力HのトルクHTが大きくなっても、制御部42は、モータ38によるアシスト力MのトルクMTが最大値MTXとなるようにモータを制御する。
【0049】
図3に示す破線L11は、第2制御情報と対応する人力駆動力HのトルクHTと、モータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係の一例を示す。破線L11において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3よりも小さい場合のモータ38によるアシスト力MのトルクMTは、0Nmである。破線L11は人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3以上予め定める第1値HT1以下の範囲において、下に凸を有する曲線であってもよく、直線であってもよく、上に凸を有する曲線であってもよく、折れ曲がり線であってもよい。破線L11が人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3以上予め定める第1値HT1以下の範囲において、折れ曲がり線になる場合、制御部42は、人力駆動力Hの変化に応じてモータ38によるアシスト力MのトルクMTが急激に変化しないように、破線L11の折れ曲がり点およびその近傍における人力駆動力Hの変化に対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTの変化の応答速度が低下するようにモータ38を制御してもよい。
図3において、例えば、トルクMTの最大値MTXは、予め定める第1値HT1以下である。
【0050】
図3に示す二点鎖線L31は、第1制御情報と対応する人力駆動力HのトルクHTと、モータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係の一例を示す。二点鎖線L31の少なくとも
一部は下に凸を有する曲線であってもよく、直線であってもよく、上に凸を有する曲線であってもよく、折れ曲がり線であってもよい。二点鎖線L31が折れ曲がり線になる場合、制御部42は、人力駆動力Hの変化に応じてモータ38によるアシスト力MのトルクMTが急激に変化しないように、二点鎖線L31の折れ曲がり点およびその近傍における人力駆動力Hの変化に対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTの変化の応答速度が低下するようにモータ38を制御するように構成されてもよい。
【0051】
図3に示す一点鎖線L21は、第2制御情報と対応する人力駆動力HのトルクHTと、比率ATとの関係の一例を示す。一点鎖線L21において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3よりも小さい場合の比率ATは0%である。一点鎖線L21は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3以上予め定める第1値HT1以下の場合、人力駆動力HのトルクHTの増加に応じて増加し、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、人力駆動力HのトルクHTの増加に応じて直線状に減少する折れ曲がり線になる。
【0052】
図4および
図5を参照して、モータ38を制御する処理について説明する。制御部42は、制御部42に電力が供給されると、人力駆動力に応じてモータ38を制御する制御モードが選択されている場合、処理を開始して
図4に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部42は、
図4のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS11からの処理を繰り返す。制御部42が1つの制御モードのみによってモータ38を制御するように構成される場合には、制御部42に電力が供給されると、処理を開始して
図4に示すフローチャートのステップS11に移行する。
【0053】
制御部42は、ステップS11において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3よりも小さい値から予め定める第3値HT3以上になったか否かを判定する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3よりも小さい値から予め定める第3値HT3以上になっていない場合、処理を終了する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3よりも小さい値から予め定める第3値HT3以上になった場合、ステップS12に移行する。
【0054】
制御部42は、ステップS12において、モータ38を駆動し、ステップS13に移行する。制御部42は、ステップS13において、人力駆動車10が停止状態から発進したか否かを判定する。制御部42は、人力駆動車10が停止状態から発進した場合、ステップS14に移行する。制御部42は、例えば、車速センサ48から信号を受信していない状態が予め定める第1時間以上継続している状態において、車速センサ48から信号を受信すると、ステップS14に移行する。制御部42は、ステップS14において、第1制御情報に応じてモータ38を制御し、ステップS20に移行する。
【0055】
制御部42は、ステップS13において、人力駆動車10が停止状態から発進していないと判定した場合、ステップS15に移行する。制御部42は、例えば車速センサ48から信号を受信していない状態が予め定める第1時間未満の場合、ステップS15に移行する。制御部42は、人力駆動車10が走行中の場合、ステップS15に移行する。制御部42は、ステップS15において、第2制御情報に応じてモータ38を制御し、ステップS16に移行する。制御部42は、ステップS15において、例えば、人力駆動力Hが増加する場合、
図3の破線L11に対応するモータ38のアシスト力Mになるようにモータ38を制御する。制御部42は、ステップS15において、例えば、人力駆動力Hが減少する場合、
図3の破線L41に対応するモータ38のアシスト力Mになるようにモータ38を制御する。
【0056】
制御部42は、ステップS16において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上か否かを判定する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、ステップS17に移行する。制御部42は、ステップS17において、モータ38によるアシスト力Mが最大値MXになるようにモータ38を制御し、ステップS18に移行する。制御部42は、ステップS16において、人力駆動力Hが予め定める第1値HT1以上ではない場合、ステップS18に移行する。
【0057】
制御部42は、ステップS18において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第4値HT4以下か否かを判定する。予め定める第4値HT4は、予め定める第1値HT1よりも小さい。好ましくは、予め定める第4値HT4は、予め定める第3値HT3よりも小さい。予め定める第4値HT4は、例えば、0Nm以上4Nm以下の値である。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第4値HT4以下ではない場合、ステップS15に移行する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第4値HT4以下の場合、ステップS19に移行する。制御部42は、ステップS19において、モータ38を停止し、処理を終了する。
【0058】
制御部42は、ステップS20において、走行速度Vが予め定める第2速度VX以上であるか否かを判定する。予め定める第2速度VXは、予め定める第1速度VAよりも小さく、好ましくは、予め定める第1速度VAの半分よりも小さい。予め定める第2速度VXは、好ましくは時速5km以上10Km以下の範囲の値である。制御部42は、ステップS20において、走行速度Vが予め定める第2速度VX以上であると判定すると、ステップS15に移行する。制御部42は、ステップS20において、走行速度Vが予め定める第2速度VX以上ではないと判定すると、ステップS21に移行する。
【0059】
制御部42は、ステップS21において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上か否かを判定する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、ステップS22に移行する。制御部42は、ステップS22において、モータ38によるアシスト力Mが最大値MXになるようにモータ38を制御し、ステップS23に移行する。制御部42は、ステップS21において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上ではない場合、ステップS23に移行する。
【0060】
制御部42は、ステップS23において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第4値HT4以下か否かを判定する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第4値HT4以下ではない場合、ステップS14に移行する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第4値HT4以下の場合、ステップS19に移行する。第1制御情報における予め定める第1値HT1は、第2制御情報における予め定める第1値HT1と異なっていてもよい。
【0061】
好ましくは、記憶部44は、予め定める第1値HT1に関する情報を変更可能に記憶するように構成される。制御部42は、例えば、人力駆動車10に設けられる操作部P1の操作、または、外部装置からの信号に応じて予め定める第1値HT1を変更可能に構成される。制御装置40は、外部装置P2と通信可能に接続されるインタフェース54を含んでいてもよい。インタフェース54は、制御部42と電気的に接続される。インタフェース54は、例えば通信線の接続ポートおよび無線通信装置の少なくとも一方を含む。外部装置は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、および、パーソナルコンピュータを含む。好ましくは、制御部42は、記憶部44に記憶される予め定める第1値HT1を、50Nmから130Nmまでの範囲において変更するように構成される。制御部42は、例えば、記憶部44に記憶される予め定める第1値HT1を、70Nm以上90Nm以下の範囲において変更するように構成される。
【0062】
好ましくは、予め定める第1値HT1は、人力駆動車10の走行時における人力駆動力HのトルクHTの最大値HTXと対応して設定される。最大値HTXは、例えば、ライダの予め定める時間の走行における平均最大出力である。人力駆動車10の走行時における最大値HTXは、ユーザが決定した自身に適した値であってもよく、製造者がテスト等によって決定した値であってもよい。一般的なライダにおける人力駆動車10の走行時における最大値HTXは、50Nm以上130Nm以下の範囲の値である。本実施形態の制御装置40によれば、人力駆動力HのトルクHTが最大値HTXになるまで、モータ38によるアシスト力Mが増加するため、人力駆動力HのトルクHTが最大値HTXになった場合にライダがモータ38によるアシスト力Mの不足を感じにくい。
【0063】
図6を参照して、記憶部44に記憶される予め定める第1値HT1を変更する処理について説明する。制御部42は、制御部42に電力が供給されると、処理を開始して
図6に示すフローチャートのステップS24に移行する。制御部42は、
図6のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS24からの処理を繰り返す。
【0064】
制御部42は、ステップS24において、予め定める第1値HT1の変更要求があるか否かを判定する。制御部42は、例えば、人力駆動車10に設けられる操作部P1、または、外部装置P2から、予め定める第1値HT1を変更するための信号を受信した場合、予め定める第1値HT1の変更要求があると判定する。制御部42は、予め定める第1値HT1の変更要求がない場合、処理を終了する。制御部42は、予め定める第1値HT1の変更要求がある場合、ステップS25に移行する。
【0065】
制御部42は、ステップS25において、記憶部44に記憶される予め定める第1値HT1を変更し、処理を終了する。制御部42は、ステップS25において、予め定める第1値HT1に関する情報を変更することによって予め定める第1値HT1を変更する。制御部42は、予め定める第1値HT1の変更要求に応じて、予め定める第1値HT1の数値を1Nmずつ変更してもよく、予め定める第1値HT1の数値を予め定める値ずつ変更してもよく、予め定める複数の数値から1つを選択して予め定める第1値HT1に設定してもよい。予め定める第1値HT1に関する情報を、例えば、操作部P1に設けられる表示装置、操作部P1とは別に人力駆動車10に設けられる表示装置、または、外部装置P2に設けられる表示装置が表示することによって、ユーザは現在の予め定める第1値HT1を把握することができる。
【0066】
<第2実施形態>
図2、
図5、
図7、および、
図8を参照して、第2実施形態の制御装置40について説明する。第2実施形態の制御装置40は、人力駆動力HのトルクHTが、0Nmから0Nmよりも大きくなると人力駆動力Hに応じてモータ38を駆動させるように構成される点以外は、第1実施形態の制御装置40と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0067】
制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが、0Nmから0Nmよりも大きくなると、人力駆動力Hに応じてモータ38を駆動させるように構成される。
【0068】
図7に示す破線L12は、第2制御情報と対応する人力駆動力HのトルクHTと、モータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係の一例を示す。破線L12は人力駆動力HのトルクHTが0Nm以上予め定める第1値HT1以下の範囲において、下に凸を有する曲線であってもよく、直線であってもよく、上に凸を有する曲線であってもよく、折れ曲がり線であってもよい。破線L12が人力駆動力HのトルクHTが0Nm以上予め定める第1値HT1以下の範囲において、折れ曲がり線になる場合、制御部42は、人力駆動力Hの変化に応じてモータ38によるアシスト力MのトルクMTが急激に変化しないように、破線L12の折れ曲がり点およびその近傍における人力駆動力Hの変化に対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTの変化の応答速度が低下するようにモータ38を制御してもよい。
【0069】
図7に示す一点鎖線L22は、予め定める第1値HT1に関する情報と対応する人力駆動力HのトルクHTと、比率ATとの関係の一例を示す。一点鎖線L22は、人力駆動力HのトルクHTが0Nm以上の場合、人力駆動力HのトルクHTの増加に応じて増加し、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、人力駆動力HのトルクHTの増加に応じて直線状に減少する折れ曲がり線になる。
図7において、例えば、トルクMTの最大値MTXは、予め定める第1値HT1と等しい。
【0070】
図8および
図5を参照して、モータ38を制御する処理について説明する。制御部42は、制御部42に電力が供給されると、処理を開始して
図8に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部42は、
図8のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0071】
制御部42は、ステップS31において、人力駆動力HのトルクHTが0Nmから0Nmよりも大きくなったか否かを判定する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが0Nmから0Nmよりも大きくなっていない場合、処理を終了する。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが0Nmから0Nmよりも大きくなった場合、ステップS12に移行する。制御部42は、ステップS12以降において、第1実施形態の
図4および
図5のステップS12以降と同様の処理を実行する。
【0072】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
・第1実施形態、または、第1実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、
図4および
図5のステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS14、ステップS18、ステップS19、ステップS20、ステップS21、ステップS22、および、ステップS23の処理を省略してもよい。第1実施形態、または、第1実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、
図4および
図5のステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS14、ステップS16、ステップS17、ステップS18、ステップS19、ステップS20、ステップS21、ステップS22、および、ステップS23の処理を省略してもよい。第2実施形態、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、
図8のステップS31、ステップS12、ステップS13、ステップS14、ステップS18、ステップS19、ステップS20、ステップS21、ステップS22、および、ステップS23の処理を省略してもよい。第2実施形態、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、
図8のステップS31、ステップS12、ステップS13、ステップS14、ステップS16、ステップS17、ステップS18、ステップS19、ステップS20、ステップS21、ステップS22、および、ステップS23の処理を省略してもよい。例えば、
図4、
図5、および
図8に示す処理を
図9に示す処理に変更してもよい。
図9を参照して、モータ38を制御する処理について説明する。制御部42は、制御部42に電力が供給されると、処理を開始して
図9に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部42は、
図9のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS41からの処理を繰り返す。
制御部42は、ステップS41において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上か否かを判定する。制御部42は、人力駆動力H
のトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、ステップS42に移行する。制御部42は、ステップS42において、モータ38によるアシスト力Mが最大値MXになるようにモータ38を制御し、処理を終了する。制御部42は、ステップS41において、人力駆動力H
のトルクHTが予め定める第1値HT1以上ではない場合、ステップS43に移行する。制御部42は、ステップS43において、第2制御情報に応じてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0074】
・第1実施形態、第2実施形態、第1実施形態の変形例、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、
図4、
図5、または
図8のステップS13、ステップS14、ステップS20、ステップS21、ステップS22、および、ステップS23の処理を省略してもよい。この場合、制御部42は、ステップS12の処理を実行すると、ステップS15に移行する。
【0075】
・第1実施形態、第2実施形態、第1実施形態の変形例、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1よりも小さい場合、モータ38によるアシスト力Mの仕事率MWが最大値MWXよりも小さくなるようにモータ38を制御し、かつ、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1になると、モータ38によるアシスト力Mの仕事率MWが最大値MWXとなるようにモータ38を制御するように構成されてもよい。制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1よりも小さい場合、人力駆動力Hの仕事率HWが増加するほどモータ38によるアシスト力Mの仕事率MWが増加するように、モータ38を制御するように構成されてもよい。最大値MWXは、250ワット以上600ワット以下の値である。最大値MWXは、一例では、500ワットである。最大値MWXは、別の例では、300ワットである。本変形例では、好ましくは、第1制御情報および第2制御情報は、人力駆動力HのトルクHTと、モータ38によるアシスト力Mの仕事率MWとを対応付けたテーブル、関数、および、マップの少なくとも1つを含む。本変形例では、第1変化率R1は、人力駆動車10が停止状態から発進する場合における人力駆動力Hの仕事率HWの増加に対する、モータ38によるアシスト力Mの仕事率MWの増加の第1変化率RW1を含む。第2変化率R2は、人力駆動車10が走行中の場合における人力駆動力Hの仕事率HWの増加に対するモータ38によるアシスト力Mの仕事率MWの増加の第2変化率RW2を含む。本変形例では、好ましくは、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以下の少なくとも一部の範囲において、人力駆動車10が停止状態から発進する場合における人力駆動力Hの仕事率HWの増加に対するモータ38によるアシスト力Mの仕事率MWの増加の第1変化率RW1が、人力駆動車10が走行中の場合における人力駆動力Hの仕事率HWの増加に対するモータ38によるアシスト力Mの仕事率MWの増加の第2変化率RW2よりも高くなるように、モータ38を制御するように構成される。
【0076】
・第1実施形態、第2実施形態、第1実施形態の変形例、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、人力駆動力HのトルクHTを人力駆動力Hの仕事率HWに置き換え、アシスト力MのトルクMTを、アシスト力Mの仕事率MWに置き換えてもよい。この場合、予め定める第1値HT1を、予め定める第1値HW1に置き換え、予め定める第2値HT2を、予め定める第2値HW2に置き換え、予め定める第3値HT3を、予め定める第3値HW3に置き換える。予め定める第1値HW1は、例えば、300ワット以上600ワット以下の範囲の値である。好ましくは、予め定める第1値HW1は、400ワット以上500ワット以下の範囲の値である。好ましくは、制御部42は、人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第1値HW1以上の場合、比率AWが200パーセント以下になるように、モータ38を制御するように構成される
。本変形例では、制御部42は、人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第1値HW1以上の場合、比率AWが150パーセント以下になるように、モータ38を制御するように構成される。本変形例では、好ましくは、第1制御情報および第2制御情報は、人力駆動力Hの仕事率HWと、モータ38によるアシスト力Mの仕事率MWとを対応付けたテーブル、関数、および、マップの少なくとも1つを含む。
図10に示す破線L13は、第2制御情報と対応する人力駆動力Hの仕事率HWと、モータ38によるアシスト力Mの仕事率MWとの関係の一例を示す。破線L13において、人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第3値HW3よりも小さい場合のモータ38によるアシスト力Mの仕事率MWは、0W(Watt)である。破線L13は人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第3値HW3以上予め定める第1値HW1以下の範囲において、下に凸を有する曲線であってもよく、直線であってもよく、上に凸を有する曲線であってもよく、折れ曲がり線であってもよい。破線L13が人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第3値HW3以上予め定める第1値HW1以下の範囲において、折れ曲がり線になる場合、制御部42は、人力駆動力Hの変化に応じてモータ38によるアシスト力Mの仕事率MWが急激に変化しないように、破線L13の折れ曲がり点およびその近傍における人力駆動力Hの変化に対するモータ38によるアシスト力Mの仕事率MWの変化の応答速度が低下するように、モータ38を制御してもよい。
図10に示す一点鎖線L23は、予め定める第1値HW1に関する情報と対応する人力駆動力Hの仕事率HWと、比率AWとの関係の一例を示す。一点鎖線L23において、人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第3値HW3よりも小さい場合の比率AWは0%である。一点鎖線L23は、人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第3値HW3以上の場合、人力駆動力Hの仕事率HWの増加に応じて増加し、人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第1値HW1以上の場合、人力駆動力Hの仕事率HWの増加に応じて直線状に減少する折れ曲がり線になる。
【0077】
・第1実施形態、第2実施形態、第1実施形態の変形例、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが、予め定める第1値HT1よりも小さい予め定める第2値HT2よりも小さい場合、モータ38によるアシスト力MのトルクMTが人力駆動力HのトルクHTよりも小さくなるように、モータ38を制御し、人力駆動力HのトルクHTが、予め定める第2値HT2以上の場合、モータ38によるアシスト力MのトルクMTが人力駆動力HのトルクHT以上になるように、モータ38を制御するように構成されてもよい。
図11に示す破線L14は、第2制御情報と対応する人力駆動力HのトルクHTと、モータ38によるアシスト力MのトルクMTとの関係の一例を示す。破線L14において、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3よりも小さい場合のモータ38によるアシスト力MのトルクMTは、0Nmである。破線L14は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3以上予め定める第1値HT1以下の範囲において、下に凸を有する曲線であってもよく、直線であってもよく、上に凸を有する曲線であってもよく、折れ曲がり線であってもよい。破線L14が人力駆動力HのトルクHTが予め定める第3値HT3以上予め定める第1値HT1以下の範囲において、折れ曲がり線になる場合、制御部42は、人力駆動力Hの変化に応じてモータ38によるアシスト力MのトルクMTが急激に変化しないように、破線L1
4の折れ曲がり点およびその近傍における人力駆動力Hの変化に対するモータ38によるアシスト力MのトルクMTの変化の応答速度が低下するようにモータ38を制御してもよい。
図11において、例えば、トルクMTの最大値MTXは、予め定める第1値HT1を超える値である。
図11に示す一点鎖線L24は、
図3に示す一点鎖線L21と同様に比率ATを示すように構成される。この変形例において、制御部42は、人力駆動力Hが予め定める第2値HT2の場合に比率ATが100パーセントになるように、モータ38を制御するように構成される。
【0078】
・第1実施形態、第2実施形態、第1実施形態の変形例、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、人力駆動力HのトルクHTが予め定める第1値HT1以上の場合、比率ATが200パーセントよりも大きくなるように、モータ38を制御するように構成されてもよい。第1実施形態、第2実施形態、第1実施形態の変形例、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、人力駆動力Hの仕事率HWが予め定める第1値HW1以上の場合、比率AWが200パーセントよりも大きくなるように、モータ38を制御するように構成されてもよい。
【0079】
・第1実施形態、第2実施形態、第1実施形態の変形例、または、第2実施形態の変形例を含む実施形態において、制御部42は、クランク回転速度の加速度、走行速度V、および、走行速度Vの加速度に応じて、第2変化率R2を変更してもよい。制御部42は、例えば、クランク回転速度の加速度が大きくなる場合、走行速度Vが大きくなる場合、および、走行速度Vが大きくなる場合の少なくとも1つの場合、人力駆動力HのトルクHTの変化に対するモータ38によるアシスト力Mの変化の応答速度を遅くする。制御部42は、例えば、クランク回転速度の加速度が小さくなる場合、走行速度Vが小さくなる場合、および、走行速度Vが小さくなる場合の少なくとも1つの場合、人力駆動力HのトルクHTの変化に対するモータ38によるアシスト力Mの変化の応答速度を速くする。
【0080】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0081】
10…人力駆動車、38…モータ、40…制御装置、42…制御部、44…記憶部。