(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】バイオソースゲル化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240704BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240704BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240704BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240704BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240704BHJP
A61K 8/97 20170101ALI20240704BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20240704BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240704BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240704BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240704BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20240704BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240704BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240704BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240704BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240704BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240704BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240704BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240704BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240704BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240704BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/36
A61K8/81
A61K8/97
A61K8/98
A61K9/06
A61K47/04
A61K47/06
A61K47/08
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/46
A61P29/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P39/06
A61P43/00 105
A61Q1/00
A61Q1/04
A61Q1/06
A61Q1/14
A61Q5/00
A61Q13/00 100
A61Q17/04
A61Q19/00
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2019551518
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2018056773
(87)【国際公開番号】W WO2018172228
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505036674
【氏名又は名称】トータルエナジーズ マーケティング サービシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スワボダ,ベンジャマン
(72)【発明者】
【氏名】コンティ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フランシス,ラシダ
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-503070(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185046(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2181694(EP,A1)
【文献】特開2000-26238(JP,A)
【文献】特開平8-73313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化組成物であって、
前記ゲル化組成物の総重量に対して、
-炭化水素油の総重量に対して、90重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~10重量%の範囲の含有量のノルマルパラフィンと、90%以上の含有量の生体由来の炭素と、を有する、少なくとも1種の炭化水素油であって、ASTM D86規準に従って230℃~340℃の範囲の沸点を有する少なくとも1種の炭化水素油を少なくとも50重量%と、
イソプレン、ブタジエン、スチレン、及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー又はコポリマーの中から選択されるゲル化ポリマ
ーの中から選択される少なくとも1種のゲル化剤を少なくとも0.5重量%と、
を含む、ゲル化組成物。
【請求項2】
前記ゲル化ポリマーが、イソプレン、ブタジエン、スチレンの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー又はコポリマーの中から選択される、請求項
1に記載のゲル化組成物。
【請求項3】
前記ゲル化ポリマーが、少なくとも1種のスチレンモノマーと、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンの中から選択される少なくとも1種のモノマーとを含むコポリマーである、請求項
1又は
2に記載のゲル化組成物。
【請求項4】
前記ゲル化ポリマーが、星形ポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、櫛型ポリマー、ラジアルポリマー、及びそれらの組み合わせの中から選択される、請求項
1~
3のいずれか1項に記載のゲル化組成物。
【請求項5】
前記ゲル化ポリマーが、スチレン/ブタジエンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、水素化スチレン/ブタジエンコポリマー、水素化スチレン/イソプレンコポリマー、水素化ポリイソプレンクロスポリマー、ポリイソプレンホモポリマー、水素化スチレン熱可塑性ホモポリマー、液状ゴム、及びそれらの混合物の中から選択される、請求項
1~
4のいずれか1項に記載のゲル化組成物。
【請求項6】
前記炭化水素油が、14個~18個の炭素原子を含む非環状イソパラフィンの中から選択される、請求項1~
5のいずれか1項に記載のゲル化組成物。
【請求項7】
前記炭化水素油が:
-炭化水素油の総重量に対して、90重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィン、
-95%以上の含有量の生体由来の炭素、
-炭化水素油の総重量に対して、10重量%以下の含有量のノルマルパラフィン;及び/又は
-炭化水素油の総重量に対して、1%重量以下の含有量のナフテン系化合物;及び/又は
-炭化水素油の総重量に対して、500重量ppm以下の含有量の芳香族化合物、を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載のゲル化組成物。
【請求項8】
前記炭化水素油が:
-ASTM D86規準に従って235℃~330℃の範囲の沸点、及び/又は
-OECD306規準に従って測定される、少なくとも60%の28日目の生分解性、及び/又は
-EN ISO2719規準に従って110℃以上の引火点、
を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載のゲル化組成物。
【請求項9】
前記ゲル化組成物の総重量に対して、50重量%~99重量%の炭化水素油と、1重量%~50重量%の前記ゲル化剤とを含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載のゲル化組成物。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の少なくとも1種のゲル化組成物を含む、化粧用、皮膚用、又は医薬用の組成物。
【請求項11】
前記化粧用、皮膚用、又は医薬用の組成物の総重量に対して、0.5重量%~80重量%の前記ゲル化組成物を含む、請求項
10に記載の化粧用、皮膚用、又は医薬用の組成物。
【請求項12】
植物油、前記ゲル化組成物の前記炭化水素油以外の炭化水素油、植物性バター、脂肪族アルコール及びエーテル、油性エステル、アルカン並びにシリコーンオイルの中から選択される少なくとも1種の脂肪性物質と、及び/又は少なくとも1種の添加剤と、を含む、請求項
10又は
11に記載の化粧用、皮膚用、又は医薬用の組成物。
【請求項13】
局所塗布のための、請求項1~
9のいずれか1項に記載のゲル化組成物の使用、又は請求項
10~12のいずれか1項に記載の化粧用、皮膚用、又は医薬用の組成物の使用。
【請求項14】
皮膚又は毛髪用のケア製品として、メイクアップ製品として、ヘアケア製品として、メイクアップリムーバーとして、付香された製品として、日焼け止め製品として、リップケア製品としての、請求項
13に記載の使用。
【請求項15】
アンチエイジング剤としての、請求項1~
9のいずれか1項に記載のゲル化組成物、又は請求項
10~
12のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
請求項1~
9のいずれか1項に記載のゲル化組成物、又は請求項
10若しくは
11に記載の組成物を、塗布する少なくとも1つの工程を含む、皮膚の美容処理の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性として分類され、生体由来で且つ大部分がイソパラフィン系である少なくとも1種の炭化水素油を含むゲル化組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、前記ゲル化組成物を含む化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物、及びそれらの使用に関する。
【0003】
また、本発明は、化粧用製品、皮膚用製品、又は医薬製品の製剤化のための前記ゲル化組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の技術的内容
化粧用製品は種々の形態で存在する。それらの化粧用製品は、エマルジョン(乳化剤によって安定化された水相と脂肪相の間の混合物)、又は完全に水性、若しくは完全に無水(脂肪相のみ)のいずれかの形態であってもよい。手触りを付与するため、又は脂肪相の粘度を増加させるため、エマルジョン又は無水の製品のいずれかにおいて、当業者は、無極性油とゲル化剤の間の混合物である脂肪相ゲルを使用する。これらのゲルは、グロス、唇用の保湿剤、皮膚用のクリーム、又は日焼け止め製品の製剤化に特に使用される。しかしながら、それらのゲルは、ヘアケア製品、脱毛クリーム、及びデオドラントにも見られる。
【0005】
また、これらのゲルは、製薬、ホームケア、及び一般産業にも用途を有する可能性がある。
【0006】
そのため、無極性ゲルは、無極性油とゲル化剤の混合物である。無極性油は、鉱物油、植物油、シリコーンオイル、又はイソパラフィンであってもよい。ゲル化剤は、多くの場合、エチレン/プロピレンスチレンコポリマー、又はブチレン/エチレン/スチレンコポリマー、又はポリイソブテン、ポリデセン若しくはイソプレンのコポリマー(又はさらに(encore)SEBS、SBS、SIS、TPE、・・・)等のポリマーである。これらのコポリマーは、典型的には、Kraton又はKurarayによって販売されている。
【0007】
最も広く普及しているゲルは、鉱物油ベースによるゲルである。これらの油とコポリマーとの間の適合性は非常に良好であり、実際、コポリマーの無極性構造はこれらの油と非常に適合する。鉱物油ベースによるゲルの主な不利益は次の通りである:化石起源の油及び製品の粘質な手触り。
【0008】
特許文献1は、少なくとも1種の粉体化合物と、少なくとも1種の接着促進性材料とを含む化粧用及び/又は生理学的組成物に関する。特許文献2の文献は、ポリマーゲル化剤、非揮発性油、及びメチルポリメタクリレートの粒子を含む無水化粧用組成物に関する。これら2つの文献は、本発明に定義される生体由来の炭化水素油を開示していない。
【0009】
この不利益(化石又は石油化学の起源)を克服するため、植物油又はエステルベースによるゲルが研究された(例えば、特許文献3における)。エステル又は植物油等の酸化油とコポリマーの間の適合性は良好ではなく、製剤化が困難な組成物をもたらす場合がある。さらに、エステルも化学起源である。植物油に関して(効果的には、バイオソース起源の)、それらの植物油は、コポリマーとの乏しい適合性に加えて、悪臭を放つようになる、及び酸化されやすく、通常、抗酸化剤の使用を必要とするという主な不利益を有する。これらの植物油の不安定性は、特に、相当量のヘテロ原子及び/又は不飽和を含む分子の存在に起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO02/05760
【文献】EP1584322
【文献】US2011/0045983A1
【発明の概要】
【0011】
したがって、脂肪相とゲル化化合物の間に良好な適合性を有し、抗酸化剤の添加を必要としない、バイオソース(生体由来)脂肪相を含む、ゲル化組成物(又はゲル)を取得するニーズがなおも存在する。
【0012】
本出願人は、驚いたことに、このニーズが、大部分がイソパラフィンを含み、それが安定な組成物を提供することを可能とする、生体由来の脂肪相を有する新たなゲル化組成物によって満たされることを見出した。
【0013】
本発明は、生体由来の原材料に由来するイソパラフィン系ゲル化組成物を提供する目的を有する。
【0014】
また、本発明は、それらの使用に対して適合した特性を有する安定なゲル化組成物を提案する目的を有する。
【0015】
これらの目的は新たなゲル化組成物により達成される。本発明は:
ゲル化組成物の総重量に対して、
-炭化水素油の総重量に対して、90重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~10重量%の範囲の含有量のノルマルパラフィンと、90%以上の含有量の生体由来の炭素とを有する、少なくとも1種の炭化水素油を少なくとも50重量%と、
-少なくとも1種のゲル化剤であって:
i.イソプレン、ブタジエン、スチレン、及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー又はコポリマーから選択されるゲル化ポリマー、
ii.非ポリマーゲル化剤、
の中から選択される少なくとも1種のゲル化剤を少なくとも0.5重量%と、
を含むゲル化組成物に関する。
【0016】
本発明の実施形態によれば、ゲル化剤は、イソプレン、ブタジエン、スチレン及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー又はコポリマーの中から選択される。
【0017】
本発明の実施形態によれば、ゲル化ポリマーは、イソプレン、ブタジエン、スチレンの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー又はコポリマーの中から選択されるゲル化ポリマーである。
【0018】
本発明の実施形態によれば、ポリマーは、少なくとも1種のスチレンモノマーと、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンの中から選択される少なくとも1種のモノマーとを含むコポリマーである。
【0019】
本発明の実施形態によれば、ポリマーは、星形ポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、櫛型ポリマー、ラジアルポリマー、及びそれらの組み合わせのなかから選択される。
【0020】
本発明の実施形態によれば、ポリマーは、スチレン/ブタジエンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、水素化スチレン/ブタジエンコポリマー、水素化スチレン/イソプレンコポリマー、水素化ポリイソプレンクロスポリマー、ポリイソプレンホモポリマー、水素化スチレン熱可塑性ホモポリマー、液状ゴム、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0021】
別の実施形態によれば、ゲル化剤は、鉱物フィラー、ワックス、アンモニウム塩、及び金属塩の中から選択される非ポリマーゲル化剤である。
【0022】
本発明の実施形態によれば、炭化水素油は、14個~18個の炭素原子を含む非環状イソパラフィンの中から選択される。
【0023】
本発明の実施形態によれば、炭化水素油は:
-炭化水素油の総重量に対して、90重量%~100重量%、好ましくは95重量%~100重量%、優先的には98重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィン、
-95%以上、好ましくは98%以上、優先的には100%の含有量の生体由来の炭素、
-炭化水素油の総重量に対して、10以下、好ましくは5重量%以下、優先的には2重量%以下の含有量のノルマルパラフィン;及び/又は
-炭化水素油の総重量に対して、1%重量以下、好ましくは0.5重量%以下、優先的には100重量ppm以下の含有量のナフテン系化合物;及び/又は
-炭化水素油の総重量に対して、500重量ppm以下、好ましくは300重量ppm以下、優先的には100重量ppm以下、より優先的には50重量ppm以下、有利には20重量ppm以下の含有量の芳香族化合物、を含む。
【0024】
本発明の実施形態によれば、炭化水素油は:
-ASTM D86規準に従って230℃~340℃、好ましくは235℃~330℃、より優先的には240℃~325℃の範囲の沸点、及び/又は
-少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、優先的には少なくとも75%、更に優先的には少なくとも80%の、OECD 306規準に従って測定される28日目の生分解性、及び/又は
-EN ISO 2719規準に従って110℃以上の引火点、を有する。
【0025】
本発明の実施形態によれば、炭化水素油は、温度80℃~180℃、及び圧力50bar~160barにおいて、脱酸素化及び/又は異性化された生体由来の供給原料の接触水素化の方法によって得られる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、ゲル化組成物は、該ゲル化組成物の総重量に対して、50重量%~99重量%、好ましくは60重量%~95重量%、より好ましくは70重量%~90重量%の炭化水素油と、1重量%~50重量%、好ましくは5重量%~40重量%、より好ましくは10重量%~30重量%の好ましくはゲル化ポリマーの中から選択される前記ゲル化剤とを含む。
【0027】
また、本発明は、組成物の総重量に対して、好ましくは、0.5重量%~80重量%、優先的には1重量%~50重量%、有利には5重量%~30重量%の範囲の量で、少なくとも1種の本発明によるゲル化組成物を含む、化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物に関する。
【0028】
本発明の実施形態によれば、本発明による化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物は:
-植物油、前記エモリエント組成物の炭化水素油以外の炭化水素油、植物性バター、脂肪族アルコール及びエーテル、油性エステル、アルカン並びにシリコーンオイルの中から選択される少なくとも1種の脂肪性物質、及び/又は
-好ましくは乳化剤から選択される少なくとも1種の添加剤、を含む。
【0029】
また、本発明は、局所塗布のための、特に皮膚又は毛髪用のケア製品、メイクアップ製品として、ヘアケア製品として、メイクアップリムーバーとして、付香された製品として、日焼け止め製品として、グロス又は唇用の保湿スティック等の唇のケア製品としての、本発明によるゲル化組成物、又は本発明による化粧用、皮膚用若しくは医薬の組成物の使用を目的とする。
【0030】
本発明の実施形態によれば、本発明によるゲル化組成物、又は化粧用、皮膚用若しくは医薬の組成物は、アンチエイジング剤として使用される。
【0031】
また、本発明は、本発明によるゲル化組成物、又は本発明による化粧用、皮膚用若しくは医薬の組成物を、好ましくは広げることによって、塗布する少なくとも1つの工程を含む皮膚の美容処理の方法に関する。
【0032】
また、本発明は、薬物としての、本発明によるゲル化組成物、又は本発明による化粧用、皮膚用若しくは医薬の組成物の使用の目的を有する。
【0033】
一実施形態によれば、本発明によるゲル化組成物、又は本発明による化粧用、皮膚用若しくは医薬の組成物は、抗酸化剤及び/又は抗ラジカル剤及び/又は抗炎症剤及び/又は抗アポトーシス剤及び/又は抗菌剤及び/又は抗真菌剤として使用される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は以下の成分を含むゲル化組成物に関する:
-ゲル化組成物の総重量に対して、
-炭化水素油の総重量に対して、90重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~10重量%の範囲の含有量のノルマルパラフィンと、90%以上の含有量の生体由来の炭素とを有する、少なくとも1種の炭化水素油を少なくとも50重量%と、
-少なくとも1種のゲル化剤であって、
i.スチレン、イソプレン、ブタジエン、及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーから得られるホモポリマー及びコポリマーから選択されるゲル化ポリマー、並びに
ii.好ましくは鉱物フィラー、ワックス、アンモニウム塩、及び金属塩の中から選択される非ポリマーゲル化剤
の中から選択される少なくとも1種のゲル化剤の少なくとも0.5重量%と、
を含む。
【0035】
本発明によるゲル化組成物は、非刺激性で、生分解性であり、においのない組成物を得ることを可能とする。
【0036】
本発明によるゲル化組成物は、特に、安定した化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物を得ることを可能とする。その安定性は、本発明に定義される炭化水素が、不飽和化合物及び/又はヘテロ原子を含む化合物の割合が低い、さらには実質的に又は完全にそれらを含まないという事実に由来する。
【0037】
予備的に、本明細書及び以下の特許請求の範囲において、「の間」の表現は言及される制限値を含むと理解されなければならないことに留意されたい。
【0038】
ゲル化組成物:
本発明の実施形態によれば、本発明によるゲル化組成物は:
-50重量%~99.5重量%、より好ましくは60重量%~99重量%、優先的には70重量%~98重量%、より優先的には80重量%~95重量%、更に優先的には85重量%~93重量%の炭化水素油と、
-0.5重量%~50重量%、好ましくは1重量%~40重量%、優先的には2重量%~30重量%、より優先的には5重量%~20重量%、更に優先的には7重量%~15重量%の少なくとも1種のゲル化剤とを含む。
【0039】
本発明の実施形態によれば、本発明によるゲル化組成物は:
-50重量%~99.5重量%、より好ましくは60重量%~99重量%、優先的には70重量%~98重量%、より優先的には80重量%~95重量%、更に優先的には85重量%~93重量%の炭化水素油と、
-0.5重量%~50重量%、好ましくは1重量%~40重量%、優先的には2重量%~30重量%、より優先的には5重量%~20重量%、更に優先的には7重量%~15重量%の、イソプレン、ブタジエン、スチレン及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーの中から選択される少なくとも1種のゲル化ポリマーとを含む。
【0040】
本発明の実施形態によれば、ゲル化組成物は、23℃で測定される(実験部分に記載される方法による)、3mPa.s~750,000mPa.sの範囲の粘度を有する。
【0041】
したがって、本発明によるゲル化組成物は、より好ましくは単一の脂肪相を含む。
【0042】
炭化水素油:
本発明によるゲル化組成物は、該組成物の総重量に対して、より好ましくは、50重量%~99.5重量%、優先的には60重量%~99重量%、より優先的には70重量%~98重量%、有利には80重量%~95重量%の範囲の含有量の炭化水素油を含む。
【0043】
本発明による炭化水素油の有意量の存在は、ゲル化組成物の化粧学的な、薬学的な及び/又は皮膚科学的な品質:皮膚の心地よい感触、ケア、光沢及び保護に寄与する。
【0044】
本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、好ましくは、炭化水素油の総重量に対して、90重量%以上、優先的には95重量%以上、有利には98重量%以上の含有量のイソパラフィン系化合物を含む。
【0045】
一実施形態によれば、本発明により使用される炭化水素油に存在するイソパラフィン系化合物は、12個~30個の炭素原子、好ましくは13個~19個の炭素原子、より好ましくは14個~18個の炭素原子を含む。
【0046】
本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、好ましくは10重量%以下、優先的には5重量%以下、有利に2重量%以下の含有量のノルマルパラフィンを含む。
【0047】
本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、有利には、大部分のイソパラフィンと、小部分のノルマルパラフィンとを含む。これらのイソパラフィンは、有利には、非環状イソパラフィンである。より好ましくは、ゲル化組成物の炭化水素油は、イソパラフィンとノルマルパラフィンとの質量比が、少なくとも12:1、優先的には15:1、より優先的には20:1である。さらにより有利には、本発明によるゲル組成物の炭化水素油は、ノルマルパラフィンを含まない。
【0048】
一実施形態によれば、本発明による炭化水素油は、好ましくは、90重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0%~10%の範囲の含有量のノルマルパラフィンとを含み、優先的には95%~100%のイソパラフィンと、0%~5%のノルマルパラフィンとを含み、より優先的には98%~100%のイソパラフィンと、0%~2%のノルマルパラフィンとを含む。
【0049】
一実施形態によれば、本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、好ましくは、90重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0%~10%の範囲の含有量のノルマルパラフィンとを含み、優先的には12個~30個の炭素原子、より好ましくは14個~18個の炭素原子、より好ましくは14個~17個の炭素原子を含むアルカンの中から選択されるイソパラフィンを95%~100重量%含む。
【0050】
一実施形態によれば、本発明により使用される炭化水素油は:
-炭化水素油の総重量に対して、15個の炭素原子を有するイソパラフィン及び16個の炭素原子を有するイソパラフィンを合計で80重量%~98重量%の範囲の量で、又は
-炭化水素油の総重量に対して、16個の炭素原子を有するイソパラフィン、17個の炭素原子を有するイソパラフィン、及び18個の炭素原子を有するイソパラフィンを合計で80重量%~98重量%の範囲の量で、又は
-炭化水素油の総重量に対して、17個の炭素原子を有するイソパラフィン、及び18個の炭素原子を有するイソパラフィンを合計で80重量%~98重量%の範囲の量で含む。
【0051】
本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、好ましくは1重量%以下、優先的には0.5重量%以下、より優先的には100重量ppm以下の含有量のナフテン系化合物を含む。
【0052】
別の好ましい実施形態によれば、本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、90重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~10重量%の範囲の含有量のノルマルパラフィンと、1重量%以下の含有量のナフテンとを含む。優先的には、炭化水素油は、95重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~5重量%のノルマルパラフィンと、0.5重量%以下の含有量のナフテンとを含む。より優先的には、炭化水素油は、98重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~2重量%のノルマルパラフィンと、100重量ppm以下の含有量のナフテンとを含む。
【0053】
本発明によるゲル化組成物において使用される炭化水素油は、有利には芳香族化合物を含まない。例えば、芳香族化合物の含有量は、例えばUV分光法によって測定される、500重量ppm以下、好ましくは300重量ppm以下、優先的には100重量ppm以下、より優先的には50重量ppm以下、有利には20重量ppm以下と理解される。
【0054】
イソパラフィン、n-パラフィン、ナフテン及び/又は芳香族の炭化水素油の重量による含有量は、当業者によく知られている方法に従って決定され得る。非限定的な例として、ガスクロマトグラフィーによる方法が挙げられる。
【0055】
別の好ましい実施形態によれば、本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、90重量%~100重量%の含有量のイソパラフィンと、0重量%~10重量%の含有量のノルマルパラフィンと、1重量%以下の含有量のナフテンと、500重量ppm以下の含有量の芳香族化合物とを含む。優先的には、炭化水素油は、95重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~5重量%のノルマルパラフィンと、0.5重量%以下の含有量のナフテンと、300重量ppm以下、好ましくは100重量ppm未満、優先的には50重量ppm未満、有利には20重量ppm未満の含有量の芳香族化合物とを含む。また、優先的には、炭化水素油は、95重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~5重量%のノルマルパラフィンと、100重量ppm以下の含有量の芳香族化合物とを含む。より優先的には、炭化水素油は、98重量%~100重量%の範囲の含有量のイソパラフィンと、0重量%~2重量%のノルマルパラフィンと、100重量ppm以下の含有量のナフテンと、100重量ppm以下の含有量の芳香族化合物とを含む。
【0056】
また、本発明によるゲル化組成物において使用される炭化水素油は、好ましくは非常に低い含有量の硫黄化合物を有し、典型的には5重量ppm以下、優先的には3重量ppm以下、より優先的には0.5重量ppm以下であって、従来の低含有量硫黄分析器を使用して検出することができないほど低いレベルである。
【0057】
また、本発明によるゲル化組成物において使用される炭化水素油は、より好ましくは、EN ISO 2719規準に従って、110℃以上、優先的には120℃以上、より優先的には140℃以上の引火点を有する。典型的には110℃超の高い引火点は、炭化水素油の過敏な引火性を回避することにより、特に、一方で、貯蔵及び輸送の間の安全性の問題を克服することを可能とする。
【0058】
また、炭化水素油は、より好ましくは20℃で0.01kPa以下の蒸気圧を有する。
【0059】
また、一実施形態によれば、より好ましくは、本発明によるゲル化組成物において使用される炭化水素油は、EN ISO2719規準に従って110℃以上の引火点、及び20℃で0.01kPa以下の蒸気圧を有する。優先的には、炭化水素油は、120℃以上の引火点、及び20℃で0.01kPa以下の蒸気圧を有する。より優先的には、炭化水素油は、130℃以上の引火点、及び20℃で0.01kPa以下の蒸気圧を有する。
【0060】
本発明による組成物において使用される炭化水素油は、可燃性、におい及び揮発性の問題を克服することを可能とする沸点、引火点及び蒸気圧を有する。
【0061】
本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、さらに、EN ISO3104規準に従い、40℃で5cSt以下、優先的には4cSt以下、より優先的には3cSt以下の動粘度を有する。
【0062】
炭化水素油を得る方法:
炭化水素油のかかる組成物を以下の方法で得ることができる。本発明による炭化水素油は、バイオマスの変換に由来する炭化水素留分である。
【0063】
「バイオマスの変換に由来する」という用語は、生体由来の原料から生産された炭化水素留分を意味する。
【0064】
好ましくは、生体由来の炭化水素留分は、水素化脱酸素(HDO:hydrodeoxygenation)、及び異性化(ISO:isomerisation)の工程を含む方法によって得られる。水素化脱酸素(HDO)の工程は、生物学的なエステル又はトリグリセリドの構成要素の構造の分解、酸素化されたリン及び硫黄の化合物の排除、及びオレフィン性結合の水素化をもたらす。次いで、水素化脱酸素反応からの生成物を異性化する。分留の工程は、好ましくは水素化脱酸素、及び異性化の工程に続いて行われ得る。有利には、次いで、本発明による望ましい炭化水素油の仕様を得るため、目的の留分を水素化処理工程、その後、蒸留工程に供する。
【0065】
植物油、動物脂肪、魚油及びそれらの混合物からなる群から選択される、バイオマス又は生体由来の原料とも称される生物学的供給原料に対して、このHDO/ISO法を実施する。好適な生体由来の原料は、例えば、菜種油、キャノーラ油、トーロール(tallol)、ヒマワリ油、ダイズ油、麻実油、オリーブ油、アマニ油、カラシ油、ヤシ油、落花生油、ヒマシ油、ヤシ油、獣脂等の動物脂肪、再利用された食用脂肪(dietary fat)、遺伝子操作された原料、並びに藻類及び細菌等の微生物によって産生された生物学的原料である。生物学的原料から得られた縮合生成物、エステル又は他の誘導体も原料として使用され得る。
【0066】
好ましくは、生体由来の原料は、エステル又はトリグリセリド誘導体である。構成成分のエステル又はトリグリセリドの構造を分解し、酸素化されたリン及び硫黄の化合物を排除するため、この材料を最初に水素化脱酸素(HDO)の工程、また同時にオレフィン性結合の水素化に供する。生体由来の原料の水素化脱酸素(HDO)のこの工程の後、そのようにして得られた生成物の異性化を行って、炭化水素鎖の分岐をもたらし、低温でのパラフィンの特性が改善される。
【0067】
HDO工程の間、水素及び生体由来の原材料を、同時に又は向流で接触水素化脱酸素床を通過させる。HDO工程の間、圧力及び温度は、それぞれ20barから150barの間、及び200℃から500℃の間である。従来知られている水素化脱酸素触媒をこの工程の間に使用する。HDO工程の前に二重結合の二次反応を防止するため、オプションで、生体由来の原料を穏やかな条件下で予備水素化に供してもよい。水素化脱酸素の工程の後、上記反応に由来する生成物を、水素及び生成物、並びにオプションでn-パラフィンの混合物を同時に又は向流で接触水素化脱酸素床を通過させる、異性化(ISO)の工程に供する。ISO工程の間、圧力及び温度は、それぞれ20barから150barの間、及び200℃から500℃の間である。従来知られている異性化触媒をこの工程の間に使用する。
【0068】
また、追加の二次的方法を実施してもよい(中間混合物、トラッピング、又はそのようなその他の方法等)。
【0069】
目的の留分を得るために、オプションでHDO/ISO工程からの生成物を分留してもよい。
【0070】
様々なHDO/ISO法が文献に記載されている。WO2014/033762の出願は、向流で行われる予備水素化の工程、水素化脱酸素(HDO)の工程及び異性化の工程を含む方法を記載する。EP1728844は、植物及び動物を起源とする化合物の混合物から炭化水素化合物を製造する方法を記載する。この方法は、例えば、アルカリ金属塩等の汚染物質を除去することを可能とする混合物を予備処理する工程の後、水素化脱酸素(HDO)の工程及び異性化の工程を含む。EP2084245は、例えば、ヒマワリ油、菜種油、キャノーラ油、ヤシ油又はパイン油等の植物油といった遊離脂肪酸を含む混合物中に任意に脂肪酸エステルを含有する生体由来の混合物の水素化脱酸素の後の、特定の触媒上での水素異性化による、ディーゼルとして又はディーゼル組成物において使用され得る炭化水素混合物を製造する方法を記載する。EP2368967は、かかる方法、及びこの方法によって得られる生成物を記載する。WO2016/185046の出願は、本発明により使用される炭化水素油を得る方法を記載し、該炭化水素油は、温度80℃~180℃、及び圧力50bar~160barにおいて、脱酸素化及び異性化された生体由来の供給原料の接触水素化の方法によって得られる。
【0071】
有利には、生体由来の原料は、EN ISO 20846規準に従って、15ppm未満、好ましくは8ppm未満、優先的には5ppm未満、より優先的には1ppm未満の硫黄を含む。理想的には、供給原料は、バイオソース起源の原料としていかなる硫黄も含まない。
【0072】
水素化処理の工程の前に、予備分留の工程を行ってもよい。水素化ユニットの投入量(input)におけるより狭い留分は、そのユニット排出量(output)において狭い留分を得ることを可能にする。実際、予備分留された留分の沸点は220℃から330℃の間であるのに対し、予備分留されていない留分は、典型的には150℃から360℃の間の沸点を有する。
【0073】
次いで、HDO/ISO法からの脱酸素化及び異性化された供給原料を水素化する。
【0074】
水素化ユニットで使用される水素は、典型的には高純度水素である。「高純度」という用語は、例えば99%超の純度の水素を意味するが、他のグレードを使用することもできる。
【0075】
水素化の工程は、触媒によって実施される。典型的な水素化触媒は塊又は担持状のいずれによるものであってもよく、以下の金属:ニッケル、白金、パラジウム、レニウム、ロジウム、タングステン酸ニッケル、ニッケル-モリブデン、モリブデン、コバルト-モリブデンを含んでもよい。担体は、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ又はゼオライトであってもよい。
【0076】
好ましい触媒は、その比表面積が、ニッケルベースの触媒又は塊状の触媒1g当たり100m2から200m2の間である、アルミナ担体上のニッケルベースを含む触媒である。水素化条件は、典型的には以下の通りである:
-圧力:50bar~160bar、好ましくは80bar~150bar、より優先的には90bar~120bar;
-温度:80℃~180℃、好ましくは120℃~160℃、より優先的には150℃~160℃;
-液空間速度(LHSV:Liquid Hourly Space velocity):0.2時間-1~5時間-1、好ましくは0.4時間-1~3時間-1、より優先的には0.5時間-1~0.8時間-1;
-水素による処理速度:上に言及される条件に適合され、処理される供給原料1トン当たり最大200Nm3の範囲まで可能である。
【0077】
リアクターの温度は、典型的には、約100barの圧力で150℃~160℃であり、一方、単位時間当たりの空間速度は、処理される供給原料の量及び第1の水素化リアクターのパラメーターに従って適合された処理速度で約0.6時間-1である。
【0078】
水素化は、1台又は直列の数台のリアクターにおいて行われてもよい。リアクターは、1又は複数の触媒床を備えてもよい。触媒床は、一般的には固定触媒床である。
【0079】
水素化の方法は、好ましくは2台又は3台のリアクター、好ましくは3台のリアクターを含み、より優先的には直列の3台のリアクターにおいて行われる。
【0080】
第1のリアクターは、硫黄化合物のトラップ、並びに実質的に全ての不飽和化合物及び最大約90%の芳香族化合物の水素化を可能とする。第1のリアクターからの生成物は、実質的に硫黄化合物を含んでいない。第2の段階、すなわち第2のリアクターにおいて、芳香族の水素化が継続するため、最大99%の芳香族が水素化される。
【0081】
第3のリアクーにおける第3の段階は、例えば300℃超の高い沸点を有する生成物の場合であっても、500ppm以下、好ましくは300ppm以下、優先的には100ppm以下、より優先的には50ppm以下、理想的には20ppm以下の芳香族の含有量を得ることを可能とする、最終段階である。
【0082】
2台又は3台又はそれ以上の触媒床を有するリアクターを使用することができる。触媒は、各リアクター中に変化する量で又は本質的に等しい量で存在してもよく;3台のリアクターに対して、重量による量は、例えば、0.05~0.5/0.10~0.70/0.25~0.85、好ましくは0.07~0.25/0.15~0.35/0.4~0.78、より優先的には0.10~0.20/0.20~0.32/0.48~0.70であってもよい。
【0083】
また、3台のリアクターに代えて1台又は2台の水素化リアクターを使用することもできる。
【0084】
また、一対のリアクターで構成される第1のリアクターで交互に実施してもよい。この方法の操作性は:特に、第1のリアクターが最初に飽和された触媒を含む(実質的に全ての硫黄が触媒上に及び/又は触媒中に捕捉される)場合に頻繁に変化させなければならない、触媒の容易な充填及び非充填を可能とする。
【0085】
2つ、3つ又はそれ以上の触媒床が設置される単一のリアクターを使用することもできる。
【0086】
各反応の温度及び熱水バランスを制御するため、あるリアクターから別のリアクター又はある触媒床から別の触媒床まで溶出物を冷却するように、再利用システムに又はリアクター間にクエンチボックスを挿入することが必要な場合がある。好ましい実施形態によれば、冷却又はクエンチの仲介は存在しない。
【0087】
一実施形態によれば、上記方法からの生成物及び/又は分離された気体は、少なくとも部分的には水素化リアクターの供給システムにおいて再利用される。この希釈は、制御される限度で、特に第1の段階で上記反応の発熱性を維持するのに寄与する。さらに、再利用することは反応前の熱交換、またより良好な温度制御を可能とする。
【0088】
水素化ユニットの溶出物は、主に水素化生成物及び水素を含む。フラッシュ分離器を使用して、溶出物を気相、主に残留水素、及び液相、主に水素化炭化水素留分へと分離する。上記方法を、高圧、中間の圧力、そして大気圧に非常に近い低い圧力で、3台のフラッシュ分離器を使用して行うことができる。
【0089】
フラッシュ分離器の上部で収集される気体水素を、水素化ユニットの供給システム、又はリアクター間の水素化ユニットの異なるレベルで再利用することができる。
【0090】
一実施形態によれば、最終生成物は、大気圧で分離される。次いで、最終生成物を真空分留ユニットに直接供給する。好ましくは、分留は、10mbarから50mbarsの間、より優先的には約30mbarsの圧力で行われる。
【0091】
分留は、分留カラムから様々な炭化水素流体を同時に除去することが可能な方法で行われ、その方法でそれらの炭化水素の沸点があらかじめ特定され得る。
【0092】
したがって、初留点及び終点によって供給原料を適合させることにより、水素化リアクター、分離器及び分留ユニットを、中間タンクを使用することを必要とせずに、直接に接続させ得る。この水素化と分留の統合は、装置数の削減及び省エネルギーと組み合わされた最適化された熱統合を可能とする。
【0093】
本発明のゲル化組成物において使用される炭化水素油は、有利には、ASTM D86規準に従って測定される、230℃~340℃、好ましくは235℃~330℃、より優先的には240℃~325℃の範囲の蒸留範囲DR(℃単位)を有する炭化水素留分である。好ましくは、初留点と終点との差は、80℃以下、優先的には70℃以下、より優先的には60℃以下、有利には40℃~50℃である。炭化水素油は、上記に記載される範囲に含まれる蒸留範囲の1つ又は複数の留分を含み得る。
【0094】
有利には、本発明のゲル化組成物において使用される炭化水素油は、完全に飽和されている。好ましくは、炭化水素油の構成成分は、12個~30個の炭素原子、優先的には13個~19個の炭素原子、より優先的には14個~18個の炭素原子を含むイソパラフィンのなかから選択される。
【0095】
本発明によるゲル化組成物は、有利には、50重量%以下の含有量のイソヘキサデカンを含む。
【0096】
本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、理想的には、生体由来の原料が処理されたものである。「バイオ炭素」という用語は、以下に指定されるように、炭素が天然起源であって、生体材料に由来することを示す。バイオ炭素の含有量及び生体材料の含有量は、同じ値を示す表現である。再生可能な起源の材料又は生体材料は、炭素が大気から光合成によって(ヒューマンスケールで)最近固定されたCO2に由来する有機物である。生体材料(100%天然起源の炭素)は、10-12超、典型的には1.2×10-12の14C/12Cの同位体比を有するのに対し、化石原料は比が0である。実際、同位体14Cは大気中で形成され、そして、長くても20年~30年の時間の尺度で光合成を介して吸収される。14Cの半減期は5730年である。したがって、光合成、主に一般的には植物に由来する材料は、必然的に最大含有量の同位体14Cを有する。
【0097】
生体材料又はバイオ炭素の含有量の決定は、ASTM D 6866-12規準、方法B(ASTM D 6866-06)及びASTM D 7026(ASTM D 7026-04)に従ってなされる。本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、少なくとも90%の含有量の生体材料を有する。この含有量は有利にはより高く、特に95%以上、好ましくは98%以上であり、有利には100%に等しい。
【0098】
特に高含有量の生体材料に加えて、本発明によるゲル化組成物の炭化水素油は、特に良好な生分解性を有する。有機化学物質製品の生物分解は、微生物の代謝活性による化学物質の複雑性の減少を指す。好気条件では、微生物は有機物質を二酸化炭素、水及びバイオマスに変換する。OECD 306法は海水中の個々の物質の生分解性の評価に使用される。この方法によれば、炭化水素油は、28日目に少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、有利には少なくとも80%の生物分解性を有する。
【0099】
ポリマータイプ及び非ポリマータイプの少なくとも1種のゲル化剤:
本発明によるゲル化組成物は、ゲル化ポリマー又は非ポリマーゲル化剤のタイプの1種又は複数種のゲル化剤を含んでもよく、そのため炭化水素油をゲル化することを可能とする。
【0100】
「ゲル化ポリマー」という用語は、本発明によれば、本発明に定義される炭化水素油を含む無極性油からゲル化組成物又はゲルを形成することができるポリマーを含むと理解されなければならない。
【0101】
「非ポリマーゲル化剤」という用語は、本発明によれば、ポリマーとは異なり、本発明に定義される炭化水素油を含む無極性油からゲル化組成物又はゲルを形成することができる化合物を含むと理解されなければならない。
【0102】
少なくとも1種のゲル化剤は、ゲル化組成物の総重量の0.5重量%~50重量%、好ましくはしくは1重量%~40重量%、より好ましくは5重量%~30重量%を占める場合がある。
【0103】
本発明の実施形態によるゲル化組成物において使用されるゲル化ポリマーは、イソプレン、ブタジエン、スチレン及び(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物の中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーの中から選択される。
【0104】
「ホモポリマー」という用語は、本発明によれば、単一で同じモノマーから得られるポリマーを含むと理解されなければならない。
【0105】
「コポリマー」という用語は、本発明によれば、少なくとも2つの異なるモノマーから得られるポリマーを含むと理解されなければならない。
【0106】
「イソプレン、ブタジエン、スチレン、及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー」という用語は、本発明によれば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、及び(メタ)アクリレートホモポリマーを含むと理解されなければならない。
【0107】
「イソプレン、ブタジエン、スチレン、及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むコポリマー」という用語は、本発明によれば、イソプレン、ブタジエン、スチレン、及び(メタ)アクリレートの中から選択される少なくとも1種のモノマーから得られるコポリマーを含むと理解されなければならない。本発明によるゲル化組成物において使用されコポリマーは、その他の種類のモノマーを含んでもよい。
【0108】
本発明の実施形態によるゲル化組成物において使用されるポリマーは、例えば、溶液、水性懸濁液、又は分散液の形態を有してもよい。
【0109】
一実施形態によれば、ポリマーは、星形ポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、櫛型ポリマー、ラジアルポリマー、及びそれらの組み合わせの中から選択される。
【0110】
本発明の実施形態によれば、ゲル化ポリマーは、イソプレン、ブタジエン、スチレンの中から選択される少なくとも1種のモノマーを含むホモポリマー又はコポリマーの中から選択されるゲル化ポリマーである。
【0111】
一実施形態によれば、ゲル化ポリマーは、少なくとも1種のスチレンモノマーを含む。一実施形態によれば、本発明に従って使用されるポリマーのスチレン単位の含有量は、ポリマーの総重量に対して、5重量%~50%重量、より好ましくは10重量~40重量%の範囲である。
【0112】
一実施形態によれば、ゲル化ポリマーは、スチレンモノマーの中から、及び、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンの中から選択される1種又は複数種のモノマーから選択される。
【0113】
本発明の実施形態によれば、ポリマーは、スチレンブロックコポリマーの中から、より好ましくは少なくとも1種のエラストマーブロックを含むスチレンブロックコポリマーの中から選択される。好ましくは、スチレンブロックコポリマーは、SIS(ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレン)、SIBS(ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリブタジエン-ポリスチレン)、SBS(ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン-ポリ(エチレンブチレン)-ポリスチレン)、及びSEPS(ポリスチレン-ポリ(エチレンプロピレン)-ポリスチレンからなる群から選択される。かかるポリマーは、例えば、市販品であるKraton(登録商標)G1702(SEP)、G1650(SEBS)、D1101(SEBSとSEPの混合物)であり、Kratonから入手可能である。
【0114】
本発明の実施形態によれば、ポリマーはイソプレンから得られるホモポリマー及びコポリマーの中から選択される。ポリマーは、例えば、ポリイソプレンの中から選択され得る。そのようなポリマーは、例えば、市販品であるKraton(登録商標)G1750(EP)又はCariflex(登録商標)IRであり、Kratonから入手可能である。
【0115】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリマーは、スチレン/ブタジエンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、水素化スチレン/ブタジエンコポリマー、水素化スチレン/イソプレンコポリマー、水素化ポリイソプレンクロスポリマー、ポリイソプレンホモポリマー、水素化スチレン加熱可塑性ホモポリマー、液状ゴム、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0116】
ポリマーは、ゲル化組成物の総重量の0.5重量%~50重量%、好ましくは1重量%~40重量%、より好ましくは5重量%~30重量%を占めてもよい。
【0117】
本発明の別の実施形態によれば、ゲル化剤は、好ましくは鉱物フィラー、ワックス、アンモニウム塩及び金属塩の中から選択される非ポリマーゲル化剤であり、より好ましくは鉱物フィラー、ワックス及び金属塩の中から選択される非ポリマーゲル化剤である。
【0118】
使用され得る鉱物フィラーの中でも、粘土、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウム等のシリケート、シリカ及びヘクトライトが挙げられ得る。鉱物フィラーの表面は改質されてもよく、又は改質されていなくてもよく、表面改質の場合には、表面改質は、生体由来の又は非生体由来のグラフトを使用して実施され得る。
【0119】
使用され得るワックス(非ポリマー)の中でも、植物蝋などの天然ワックス、動物蝋、オゾケライト、及びセレシン蝋が挙げられ得る。植物蝋は、シア、ツバキ、ヒマワリ、キャンデリア、カルナウバの蝋の中から選択され得る。動物蝋は、ミツロウの中から選択され得る。
【0120】
金属塩のなかでも、ステアリン酸亜鉛が挙げられ得る。
【0121】
本発明の実施形態によれば、ゲル化剤は、以下の中から選択される非ポリマーゲル化剤である:
-粘土、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウム、シリカ、及びヘクトライトの中から選択される鉱物フィラー、
-植物蝋、動物蝋、オゾケライト、及びセレシン蝋の中から選択されるワックス、
-金属塩。
【0122】
非ポリマーゲル化剤は、ゲル化組成物の総重量の0.5重量%~50重量%、好ましくは1重量%~40重量%、より好ましくは5重量%~30重量%を占めてもよい。
【0123】
本発明の実施形態によれば、ゲル化組成物は、本発明に定義される少なくとも1種のポリマーゲル化剤と、少なくとも1種の非ポリマーゲル化剤とを含む。
【0124】
本発明によるゲル化組成物は、より好ましくは非水性である。
【0125】
一実施形態によれば、ゲル化組成物は、より好ましくは、実質的には抗酸化剤を含まず、言い換えれば、ゲル化組成物、好ましくは、抗酸化剤が150重量ppm未満、さらに好ましくは抗酸化剤が100重量ppm未満であり、さらに好ましくは抗酸化剤を完全に含まず、抗酸化剤は、BHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)等のヒンダードフェノールタイプの化合物の中から選択され得る。
【0126】
本発明の実施形態によれば、ゲル化組成物は、上に定義される1種又は複数種の炭化水素油、及び上に定義される1種又は複数種のゲル化剤からなる。
【0127】
本発明の実施形態によれば、ゲル化組成物は、上に定義される少なくとも1種の炭化水素油、及び上に定義される少なくとも1種のポリマーからなる。
【0128】
本発明は、上に定義されるゲル化組成物に関し、より好ましくは:
-その質量の100%に対して:
i)15個~19個の炭素原子を含む直鎖アルカン3.7%、
ii)15個~19個の炭素原子を含むイソアルカン96%、
iii)15個~19個の炭素原子を含むシクロアルカン0.3%、を含む混合物と、
-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー/アクリロイルジメチルタウレートアクリレートコポリマー(INCI名)と、から成り、
混合物/コポリマーの質量比が15/2である組成物を除く;
及び/又は:
-その質量100%に対して:
i)15個~19個の炭素原子を含む直鎖アルカン3.7%、
ii)15個~19個の炭素原子を含むイソアルカン96%%、
iii)15個~19個の炭素原子を含むシクロアルカン0.3%、を含む混合物M’1と、
-その質量100%に対して:
i)15個~19個の炭素原子を含む直鎖アルカン13.20重量%、
ii)15個~19個の炭素原子を含むイソアルカン55.00重量%、
iii)15個~19個の炭素原子を含むシクロアルカン31.80重量%、を含む混合物M’2と、
-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー/アクリロイルジメチルタウレートアクリレートコポリマー(INCI名)と、から成り、
混合物M’1/混合物M’2/コポリマーの質量比が12/3/2である組成物を除く。
【0129】
ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー/アクリロイルジメチルタウレートアクリレートコポリマーは無極性油と共にゲルを形成することができないことは確かに注目され得る。この種のポリマーは、おそらくは、水相を有するゲルを形成することができる。
【0130】
ゲル化組成物の作製:
ゲル化組成物は、ゲルを製剤化するため当業者に良く知られている任意の方法に従って作製され得る。例えば、本発明によるゲル化組成物は、下記工程を含む方法によって作製され得る:
-炭化水素油と、ゲル化剤、特にゲル化ポリマーとを混合する工程;
-炭化水素油と、ゲル化剤、特にゲル化ポリマーとの混合物をより好ましくは40℃~180℃の範囲、又は60℃~150℃の範囲の温度まで加熱する工程;
-均質な混合物が得られるまで加熱した混合物を撹拌する工程;
-均質な混合物を典型的には周囲温度(約25℃)まで冷却する工程。
【0131】
別の実施形態によれば、炭化水素油は、ゲル化剤、特にゲル化ポリマーと混合する前にあらかじめ加熱される。
【0132】
添加剤:
また、本発明によるゲル化組成物を、検討される分野、特に化粧品、皮膚科学、又は薬学の分野で通常使用される任意のアジュバント(補助剤)又は添加剤と混合してもよい。もちろん、当業者は、本発明によるゲル化組成物に本来付随する有利な特性が検討される添加によって変更されない又は実質的に変更されないような方法で、本発明による組成物の任意の少なくとも1種の添加剤を選択することを確認する。(これらのアジュバントの水溶性又は脂溶性の性質に従って)含有され得る従来の添加剤のうち、特に、アニオン性発泡界面活性剤(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム等)、両性界面活性剤(アルキルベタイン、ココアンホジ酢酸二ナトリウム等)又は10超のHLBを有する非イオン性界面活性剤(POE/PPG/POE、アルキルポリグルコシド、ポリグルセリル-3ヒドロキシラウリルエーテル等);塩化ベンザルコニウム等の防腐剤;金属イオン封鎖剤(EDTA);抗酸化剤;香料;可溶性染料、色素及び真珠層等の色素;テカリ防止、テンソル(tensor)、美白又は角質除去のフィラー;日焼け止めフィルタ;化粧用又は皮膚用の有効成分、及び親水性又は親油性の皮膚の美容特性を改善する効果を有する薬剤;電解質が挙げられ得る。これらの様々なアジュバントの量は、検討される分野で従来使用されているものであり、例えば、組成物の総重量の0.01%~20%である。本発明のゲル化組成物において使用され得る有効成分として、ビタミンA(レチノール、すなわちベータ-カロテン)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB3(ナイアシンアミド)等の水溶性又は脂溶性のビタミン、これらのビタミンの誘導体(特にエステル)、及びそれらの混合物;防腐剤;2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(又はトリクロサン)、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(又はトリクロカルバン)等の抗菌性有効成分;抗脂漏薬;過酸化ベンゾイル、ナイアシン(vit.PP)等の抗菌剤;カフェイン等の痩身剤;蛍光増白剤、及び組成物の最終目的に対する任意の有効成分、並びにそれらの混合物の例が挙げられ得る。
【0133】
化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物:
また、本発明は、本発明によるゲル化組成物と、
-植物油、植物性バター、脂肪族アルコール及びエーテル、油性エステル、アルカン、及びシリコーンオイルのなかから、好ましくは油性エステルの中から選択される少なくとも1種の脂肪性物質、
及び/又は
-上述の添加剤の中から、好ましくはアニオン性発泡界面活性剤(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム等)、両性界面活性剤(アルキルベタイン、ココアンホジ酢酸二ナトリウム等)又は10超のHLBを有する非イオン性界面活性剤(POE/PPG/POE、アルキルポリグルコシド、ポリグルセリル-3ヒドロキシラウリルエーテル等)の中から選択される少なくとも1種の添加剤と、
を含む、化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物の目的を有する。
【0134】
脂肪性物質は、好ましくは、極性が低い脂肪性物質の中から選択される。
【0135】
植物油の例は、特に、麦芽、ヒマワリ、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アプリコット、トウゴマ、シア、アボカド、オリーブ、ダイズ油、スイートアーモンド、ヤシ、菜種、綿、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、アルファルファ、ポピー、スクアッシュ、ゴマ、カボチャ、菜種、クロフサスグリ、マツヨイグサ、キビ、オオムギ、キノア、ライムギ、ベニバナ種子、ククイ、トケイソウ、ローズヒップ、又はツバキの油である。
【0136】
植物性バターは、植物油と同じ特性を有する脂肪性物質である。この2つの違いは、バターは周囲温度で固体形態であるという事実にある。また、植物油とは対照的に、バターが抽出される原料(果肉、種子又はアーモンド)は、脂肪の抽出のため細かく挽いた後、加熱される。植物油として、より良好な保存を提供するため、においを中和するため、色及び粘度を改善するため、バターを精製してもよい。抗酸化物質及び栄養が豊富であることから、植物性バターの美容特性は、皮膚の弾力を改善し、表皮に保護膜を残し脱水を軽減することによって外部攻撃から保護し、皮膚の天然の皮脂膜(hydrolipidic film)を再生することによって修復及び鎮静する。植物性バターの例は、特にシアバター、カカオバター、マンゴーバター、ショレア(shorea)バター、又はオリーブバターである。
【0137】
脂肪族アルコール及びエステルは、顕著な特性、特に成膜、軟化剤(エモリエント)、保湿、軟化及び保護の特性を有する脂肪性ワックス状長鎖物質である。それらは、保湿油及び乳化剤として作用する。脂肪族アルコール又はエーテルの例は、以下:セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、セテアリルアルコール、ジカプリリルエーテル、ステアリルエーテル、又はオクチルドデカノール(それらのINCI名によって識別される)である。
【0138】
油性エステル又はエステル化油は、脂肪酸(より長鎖の酸、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等)とアルコール(脂肪族アルコール又はグリセロール等の多価アルコール)の間の反応の生成物である。これらの油は、イソプロピルパルミテートの場合のように石油化学製品に由来する物質を含む。油性エステルの例は、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、カプリル酸カプリン酸ヤシアルキル、エルカ酸オレイル、リノール酸オレイル、オレイン酸デシル、又はPPG-3ベンジルエーテルミリステート(それらのINCI名によって識別される)である。
【0139】
「シリコーンオイル又はポリシロキサン」という用語は、少なくとも1つのシリコン原子を含む油、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油を意味する。シリコーンオイルとして、特にフェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、ジメチコーン又はシクロペンタシロキサン(それらのINCI名によって識別される)が挙げられる。
【0140】
この化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物は、生理学的に許容可能な媒体、すなわち、有害な副次的作用を有さず、特に、許容できない発赤、再発(flare-ups)、緊張又は刺すような痛みを使用者に対してもたらさない媒体を含む。この媒体は、オプションで、水及び/又は前述のゲル化組成物に加えて脂肪性物質として少なくとも1種の油を含む。
【0141】
一実施形態によれば、化粧用、皮膚用又は医薬の組成物は、該組成物の総重量に対して、0.5重量%~80重量%、好ましくは1重量%~50重量%、有利には5重量%~30重量%の範囲の上に記載されるゲル化組成物の含有量を有する。
【0142】
好ましくは、脂肪性物質が植物油の中から選択される場合、脂肪性物質は、化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物重量の好ましくは50重量%未満、更に好ましくは30重量%未満を占める。
【0143】
好ましくは、脂肪性物質がシリコーンオイル又はポリシロキサンの中から選択される場合、脂肪性物質は、化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物の重量の好ましくは40重量%未満、更に好ましくは30重量%未満を占める。
【0144】
したがって、本発明による化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物は、オプションで導入される添加剤により及び/又はオプションで導入される水相により、無水組成物、油中水型エマルジョン(W/O)、水中油型エマルジョン(O/W)又は多相エマルジョン(特にW/O/W又はO/W/O)、ナノエマルジョン等のエマルジョン、又は分散液であってもよい。
【0145】
組成物が水中油型のエマルジョンである場合、好ましくは、本発明は、その質量100%に対して、以下を含む水中油(E)型の局所用途のエマルジョンに関するものではない:
-化粧学的に許容可能な水相(A)50重量%~90重量%、
-その質量100%に対して以下を含む、脂肪相(F)10重量%~50重量%:
-直鎖又は分岐鎖、環状又は非環状の飽和炭化水素であって、そのうちの少なくとも95重量%が15個~19個の炭素原子を含む飽和炭化水素の混合物(M1)の10重量%~50重量%、より詳しくは15重量%~40重量%;
-少なくとも1種の水中油型の界面活性剤0.5重量%~15重量%、
-太陽からの紫外線照射に対する少なくとも1種の保護剤5重量%~30重量%、
-少なくとも1種の油及び/又はワックスであって、かかる油及び/又はかかるワックスは混合物(M1)の定義を満たさないと理解される、油及び/又はワックスの0重量%~80重量%。
【0146】
組成物が水中油型のエマルジョンである場合、好ましくは、本発明は、その質量の100%に対して、以下を含む、水中油型(E)のエマルジョンに関するものではない:
-その質量100%に対して、グリセロールを1重量%~30重量%を含む、化粧学的に許容可能な水相(A)40重量%~90重量、並びに
-その質量100%に対して、直鎖又は分岐鎖、環状又は非環状の飽和炭化水素の混合物(M1)1重量%~25重量%を含む脂肪相(F)10重量%~60重量%であって、そのうち少なくとも95重量%は15個~19個の炭素原子を含み、少なくとも1種の水中油型の界面活性剤0.5%~15%を含む。
【0147】
本発明による化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物は、例えば、メイクアップリムーバー又は皮膚、唇のクリーニング用の組成物、日焼け止め(U.V.保護)又は日焼け後の組成物、皮膚のマッサージ用組成物、シャワーケアバーム組成物、制汗剤組成物、マスク組成物、リペアバーム組成物、顔並びに手(ピーリング粒子を含む場合)用のスクラブ及び/又はピーリング組成物、メイクアップリ組成物、シェービング組成物、及びアフターシェーブバーム組成物、付香された組成物、ワイプ用組成物を構成し得る。
【0148】
本発明の組成物は、有利には、4週間以上、有利には6週間以上の持続期間の安定性を有するという事実を特徴とし、その安定性は、周囲温度で、40℃で及び50℃で撹拌せずに貯蔵した後に評価され、色の目視評価、嗅覚評価及び/又は粘度の測定の態様に対応している。
【0149】
ゲル化組成物の使用:
本発明は、皮膚、唇又は付属器官(爪、頭皮、及び毛髪を含む)に対する局所塗布のための上に定義される組成物の化粧用、皮膚用、医薬用の使用の目的を更に有する。
【0150】
本発明は、スキンケア製品(セラム、クレーム、バーム等)として、衛生製品として、日焼け止め/日焼け後の製品として、メイクアップ製品として、メイクアップリムーバーとして、付香された製品として、デオドラント製品として、唇用のグロス又は保湿用のスティック等の唇のケア製品として、上に定義される化粧用、皮膚用、又は医薬の組成物の化粧用、皮膚用、又は医薬用の使用の目的を更に有する。
【0151】
本発明によるゲル化組成物を、好ましくは皮膚の外観を良くするため及び/又は毛髪を強くするため及び/又は老化を遅らせるため及び/又はしわの出現を遅らせるため及び/又はしわを減少させるため及び/又は皮膚を引き締めるための有効成分として使用することができる。特に、本発明者らは、ゲル化組成物が抗酸化効果と並んで抗ラジカル効果を有することを発見した。
【0152】
本発明によるゲル化組成を、好ましくは有効成分、薬物として使用することができる。
【0153】
本発明の態様によれば、ゲル化組成物を、抗酸化剤及び/又は抗ラジカル剤及び/又は抗炎症剤及び/又は抗アポトーシス剤及び/又は抗菌剤及び/又は抗真菌剤として使用することができる。
【0154】
本発明は、上に定義される組成物を皮膚、唇及び/又は付属器官に塗布する少なくとも1つの工程を含む、皮膚を処理する美容の、皮膚化学的な、又は薬学的な方法の目的を更に有する。
【0155】
また、本発明の組成物を、上に定義されるもの以外の成分又は層を含む、化粧用組成物、皮膚用組成物、又は医薬組成物の製剤化に使用することができる。これは、特にケア用、衛生用、メイクアップ用の組成物の処方となり得る。
【0156】
美容処理の方法:
最後に、本発明は、本発明による組成物を、皮膚、唇又は付属器官に好ましくは広げることによって塗布する少なくとも1つの工程を含む、美容処理の方法にも関する。
【0157】
実施例
本明細書の残りの部分では、本発明の情報のため実施例を挙げるが、いかなる場合も本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。
【0158】
ゲル化組成物:
炭化水素油90重量%と、ポリマーの28重量/重量%の含有量のポリスチレンを含むスチレン及びエチレン/プロピレンに基づく直鎖ジブロック共重合体10重量%とを含むゲル化組成物。ゲル化組成物を、本発明に記載される方法に従って作製した。
【0159】
表1は、炭化水素油の物理化学的特性を共に分類する。
【0160】
【0161】
以下の規準及び方法を使用して、上記の特性を測定した:
-引火点:EN ISO 2719
-15℃での密度:EN ISO 1185
-40℃での粘度:EN ISO 3104
-アニリン点:EN ISO 2977
-沸点:ASTM D 86
-生分解性:OECD法306
-20℃の屈折率:ASTM D 1218
-蒸気圧:当業者によく知られている方法に従って計算した。
【0162】
ゲル化組成物の脂肪性物質との混和性の評価
試験した脂肪性物質は、以下の通りである:
-植物油:20℃で0.91の密度を有するメドウフォーム種子油(INCI名による)であって、以下を含む:
〇 ガドレイン酸(C20:1)58.0重量%~64.0重量%
〇 エルカ酸(C22:1 d13)10.0重量%~14.0重量%
〇 ドコセン酸(C22:1 d5)3.0重量%~6.0重量%
〇 ドコサジエン酸(C22:2)15.0重量%~21.0重量%
植物油の総重量に対して。
-油性エステル:イソノニルイソノナノエート(INCI名による)、市販品。
-シリコーンオイル:シクロペンタシロキサン(INCI名による)、市販品。
【0163】
操作は、重量パーセンテージ:10%、25%、50%、75%、及び90%を増加させて試験対象の脂肪性物質をゲル化組成物に添加しながら進行させることにより、ゲル化組成物と脂肪性物質との混和性を観察することから成る。これらの操作を継続して行う。各添加の間に混合物を観察する。添加を同じレシピエントにおいて行う。
【0164】
実験を、45gのゲル化組成物を用いて開始し、450gで終了することに基づいて行う。実際、ビーカーにある45gに基づいて添加を行う:
-10%:試験対象の脂肪性物質5gの添加。
-25%:先に得られた混合物に試験対象の脂肪性物質10gの添加(15*100/60=25)。
-50%:先に得られた混合物に試験対象の脂肪性物質30gの添加。
-75%:先に得られた混合物に試験対象の脂肪性物質90gの添加。
-90%:先に得られた混合物に試験対象の脂肪性物質270gの添加。
【0165】
最終混合物をガラス瓶に保管し、D+1に観察する。混合物は、沈殿物が視覚的に観察される場合に非混和性であるとされる。
【0166】
したがって、以下を観察した:
-本発明によるゲル化組成物は、植物油が50重量%までの範囲の量で存在する場合に、植物油と混和性である。
-本発明によるゲル化組成物は、油性エステルが90重量%までの範囲の量で存在する場合に、油性エステルと混和性である。
-本発明によるゲル化組成物は、シリコーンオイルが25重量%までの範囲の量で存在する場合に、シリコーンオイルと混和性である。
【0167】
ゲル化組成物の乳化剤との適合性の評価
エマルジョンの作製:
以下の水中油型(O/W)乳化剤を試験した:
-アニオン性乳化剤:Sensanov WR(登録商標)(Seppicから入手可能)、C20~22アルキルホスフェート及びC20~22アルコール(INCI名による)の製品に対応する。
【0168】
-2種類の非イオン性乳化剤:
〇 Montanov(登録商標)68(Seppicから入手可能)、セテアリルアルコール(及び)セテアリルグルコシド(INCI名による)に対応する。
〇 Simulsol(登録商標)165(Seppicから入手可能)、PEG-100ステアリン酸塩(及び)ステアリン酸グリセリル(INCI名による)の製品に対応する。
【0169】
-カチオン性乳化剤:lncronat(登録商標)Behenyl TMS(Crodaから入手可能)、セテアリルアルコール、ベヘントリモニウムメトサルフェート(INCI名による)の製品に対応する。
【0170】
また、油中水型(W/O)乳化剤も試験した:
-非イオン性化剤:Abil(登録商標)EM180(Evonikから入手可能)、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコーン(INCI名による)の製品に対応する。
【0171】
エマルジョン1~エマルジョン5を上記に記載される5種類の乳化剤を使用して作製した。下記表2は、試験したエマルジョン1~エマルジョン5の組成物を示す。
【0172】
エマルジョン(H/E)1~エマルジョン4を以下の操作手順に従って作製した:
-水を計量し、撹拌して、50℃まで加熱する。50℃において、グリセリンとキサンタンガムのプレミックスを急速に撹拌しながら注ぎ入れる。均質な相が得られるまで、撹拌を維持する。最後に、75℃~80℃(乳化剤による)まで継続する。
-脂肪相を計量し、撹拌して、75℃~80℃まで加熱する。
-75℃~80℃において、脂肪相を急速撹拌のもと、徐々に水相に注ぐ。次いで、冷却を開始する。
-72℃~75℃において、Turrax(登録商標)型のデバイスを9,500rpmで30秒使用してエマルジョンを撹拌する。
-次いで、冷却を継続する。
-50℃において、撹拌のもと防腐剤をエマルジョンに注ぐ。
-25℃において、pHを測定し、必要に応じて調製する(10%炭酸ナトリウム溶液を用いるか、又は
-50%クエン酸溶液を用いる):5.00~7.00の範囲が望ましい。
【0173】
エマルジョン(E/H)5を以下の操作手順に従って作製した:
-水及びグリセリンを計量し、撹拌する。塩、次いで防腐剤をそれに添加する。
-乳化剤を計量し、撹拌する。そこに、撹拌しながらエステルを添加し、次いで、ゲル化組成物
-2相が均質である場合:水相を脂肪相に一滴ずつゆっくりと添加する。
-三分の一超の水相を添加したところで添加を加速してもよい。
【0174】
【0175】
各エマルジョンの顕微鏡下での観察:
乳化剤との本発明によるゲル化組成物の適合性を、各エマルジョンの顕微鏡下での観察により視覚的に評価した。
【0176】
経時的な粘度の安定性:
また、エマルジョンの粘度を、予めサーモスタットを取り付けた200g瓶において24.5℃から25.5℃の範囲で1分間に亘ってBrookfield RV DVII+PROを使用して測定した。特に、経時的に:D0、D+1(24時間)、2週間、4週間、及び8週間において、粘度の変化を評価した。スコア「+」は満足できる安定性を意味し、スコア「++」は非常に良好な安定性を意味する。
【0177】
経時的なpHの安定性:
また、pHをD0(初期)から8週間目まで経時的に測定する。スコア「+」は、下降傾向の満足な経時的な安定性を意味し、温度においてスコア「++」は、温度のわずかな下降傾向を伴う良好な安定性を意味し、スコア「+++」は非常に良好な安定性を意味する。
【0178】
遠心分離時の安定性:
遠心分離を、D+1(24時間)で、4,000rpmで1時間30分間、エマルジョンに対して実施する。スコア「+」は、水のわずかな塩基形成を伴う満足な安定性を意味し、スコア「++」は、何らの不安定性もない非常に良好な安定性を意味する。
【0179】
これらの試験の結果を下記3に集める。
【0180】
【0181】
結論として、本発明によるゲル化組成物は、種々のタイプの乳化剤と適合性であることは注目に値し得るものである。
【0182】
ゲル化組成物を含む化粧用製剤の作製
-顔用クリーム
下記表4に示される組成物を有する顔用クリームを作製した。各原料の含有量を、クリーム組成物の総重量に対する重量パーセンテージとして示す。予め作製されたゲル化組成物の様々な原料に対して、INCI名(EU)を付す。
【0183】
【0184】
顔用クリームを作製する方法:
a)均質相が得られるまで、相Aの原料を撹拌し、75℃まで加熱する。
b)水及びedeta BDを計量する。撹拌し、加熱を開始する。50℃においてグリセリン+rhodicare Tプレミックスを導入する。なおも75℃まで加熱を継続しながら、均質な相が得られるまで撹拌を続ける。75℃において、クロロフェネシンを導入する。次いで、75℃において、1200rpmのもと、相A(工程aで得られた)を相B(工程bで得られた)に注ぐことによりエマルジョンを生成する。撹拌速度を維持することにより、冷却を開始する。72℃において、9500rpmで30秒間turraxを使用し、次いで適度な撹拌のもと冷却を続ける。
c)50℃において、phenoxetolを導入し、次いで、sepinov EMT10を散布する。均質な生成物が得られるまで、急速撹拌を維持する。次いで、適度な撹拌のもとで冷却を続ける。
d)周囲温度(23℃)において、相Dの成分を続けて添加する。pHを測定し、5.50~6.00のpHを得るため必要に応じて10%炭酸ナトリウム溶液を用いて調整する。
【0185】
-保湿ボディミルク
下記表5に示される組成を有する保湿ボディミルクを作製した。各原料の含有量を、クリーム組成物の総重量に対する重量パーセンテージとして示す。予め作製されたゲル化組成物の様々な原料に対して、INCI名(EU)を付す。
【0186】
【0187】
ボディミルクを作製する方法:
a)均質な相が得られるまで、相Aの化合物を撹拌し、80℃まで加熱する。
b)50℃まで加熱する間、均質な相が得られるまでEDTA及び相Bの水を撹拌する。50℃において、均質な層が得られたことを確認する間、zemea及びrhodicareTプレミックスを導入し、80℃まで加熱及び撹拌を続ける。80℃において、急速撹拌のもと、sepiplus Sを導入し、均質な相が得られるまで撹拌を維持する。80℃において、1200rpmのもと、相A(工程aで得られた)を相B(工程b)で得られた)に導入し、撹拌速度を維持することによって冷却を開始する。72℃においてクロロフェネシンを散布し、次いで9,500rpmで30秒間turraxを使用する。適度に撹拌し、冷却を継続する。
c)50℃において、相Cの成分を続けて導入し、次いで、適度な撹拌で冷却を継続する。
e)35℃において、相Dの成分を続けて導入し、各付加の間に適正な均一性を確認する。pHを測定し、5.50~6.00のpHを得るため必要に応じて調整する。