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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】炭酸飲料及び炭酸感向上方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20240704BHJP
   B21D 51/44 20060101ALI20240704BHJP
   B65D 17/32 20060101ALI20240704BHJP
   B65D 17/40 20060101ALI20240704BHJP
   C12G 3/04 20190101ALN20240704BHJP
【FI】
A23L2/00 T
B21D51/44 C
B21D51/44 H
B65D17/32
B65D17/40
C12G3/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020001716
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021108560
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】岩丸 忠義
(72)【発明者】
【氏名】山本 明
(72)【発明者】
【氏名】大越 俊幸
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206016(JP,A)
【文献】特表2015-526353(JP,A)
【文献】特開2004-123208(JP,A)
【文献】実開昭62-182221(JP,U)
【文献】特開2004-001871(JP,A)
【文献】特開2003-012049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D
B21D
C12C
C12G
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面に切断線を有する飲料缶に充填された炭酸飲料であって、
前記飲料缶は、
前記天面に取り付けられると共に指が引っ掛けられる引掛部、及び前記引掛部が引き上げられたときに前記天面を押し下げる押し下げ部、を有するプルタブを備え、
前記天面は、前記押し下げ部に押し下げられたときに前記切断線で切断されて前記飲料缶の内側に入り込んで前記天面に開口を形成する開口形成部を有し、
前記切断線は、前記切断線に沿って凹凸が並ぶ波形形状を有し、
前記波形形状の前記凹凸は、前記炭酸飲料が通る部分であり、前記開口の内側に突出する複数の凸部、及び前記開口の外側に窪む複数の凹部を含んでいる、
炭酸飲料。
【請求項2】
前記天面は、前記切断線から見て前記プルタブの反対側に位置する凹凸面を含んでおり、
前記凹凸面は、前記天面の内側に窪む複数の凹条部と、前記複数の凹条部の間に設けられて前記天面の外側に突出する複数の凸条部とを含んでおり、
前記凹条部及び前記凸条部のそれぞれは、前記天面の外縁と前記切断線との間において前記切断線に交差する交差方向に線状に延びている、
請求項1に記載の炭酸飲料。
【請求項3】
前記切断線は、U字状とされており、
前記波形形状の前記凹凸は、前記切断線に沿って周期的に形成されている、
請求項1又は2に記載の炭酸飲料。
【請求項4】
前記複数の凸条部のそれぞれの幅は、前記複数の凹条部のそれぞれの幅よりも広い、
請求項2に記載の炭酸飲料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭酸飲料及び炭酸感向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から炭酸飲料としては種々のものが知られている。特開2004-359339号公報には、アルミ缶に充填されたビール、清涼炭酸飲料水及び酎ハイが記載されている。このアルミ缶は、天面に、呑み口とは別に空気穴を有する。このアルミ缶では、空気穴が開けられることによって、飲用時にビール等が滑らかに流れ出し口元に生じる発泡が抑制される。このアルミ缶は、口元に生じる発泡を抑制することによって炭酸飲料を喉元で適度に発泡させ、喉元での発泡によって爽快感の向上を図っている。
【0003】
特開2003-335338号公報には、ビール又は発泡酒が充填された飲料缶が記載されている。飲料缶の天蓋部には、ビール又は発泡酒を注ぐ注ぎ口を形成する注ぎ口構造が設けられている。注ぎ口構造は、指で引き上げられると共に引き上げられたときに天蓋部を押し下げるプルタブを備える。天蓋部には、切り込み部と、切り込み部を介して切断されて飲料缶の内部に入り込む3つの蓋片部とが形成されている。
【0004】
プルタブは、蓋片部を押し下げる3つの突起部を備えており、各突起部が各蓋片部を押し下げることにより、呑み口となる3つの開口が形成される。3つの突起部は櫛歯状に形成されており、3つの開口のそれぞれは縦長のスリット状に形成される。飲用時にビール又は発泡酒にスリット状の3つの開口を通過させることにより、きめ細かい泡の形成を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-359339号公報
【文献】特開2003-335338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、飲料缶に充填された炭酸飲料では、飲用時における炭酸からの刺激感を高め、炭酸感を向上させることが望まれる場合がある。前述した飲料缶では、ビール又は発泡酒においてきめ細かい泡を形成して泡のクリーミー感を高めることは可能である。しかしながら、上記の飲料缶は炭酸感を高める構成を備えていないため、飲用時における炭酸感を向上させることが求められる。
【0007】
本開示は、飲用時における炭酸感を向上させることができる炭酸飲料及び炭酸感向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る炭酸飲料は、天面に切断線を有する飲料缶に充填された炭酸飲料であって、飲料缶は、天面に取り付けられると共に指が引っ掛けられる引掛部、及び引掛部が引き上げられたときに天面を押し下げる押し下げ部、を有するプルタブを備え、天面は、押し下げ部に押し下げられたときに切断線で切断されて飲料缶の内側に入り込んで天面に開口を形成する開口形成部を有し、切断線は、切断線に沿って凹凸が並ぶ波形形状を有する。
【0009】
この炭酸飲料は天面に切断線を有する飲料缶に充填されており、切断線は切断線に沿って凹凸が並ぶ波形形状を有する。従って、プルタブの引掛部が引き上げられて押し下げ部が天面の開口形成部を押し下げたときに、開口の縁に凹凸が並ぶ波形形状が形成される。この状態で炭酸飲料を飲用すると、炭酸飲料は開口の縁に形成された波形形状の凹凸の部分を通る。よって、飲用前に炭酸飲料は波形形状の凹凸の部分を通るので、飲用前に炭酸飲料が接触する開口の縁の面積を大きくすることができる。その結果、炭酸飲料が凹凸の部分を通るときに炭酸飲料に含まれた二酸化炭素が刺激を受けやすくなるので、飲用時における炭酸感を向上させることができる。
【0010】
また、天面は、切断線から見てプルタブの反対側に位置する凹凸面を含んでおり、凹凸面は、天面の内側に窪む複数の凹条部と、複数の凹条部の間に設けられて天面の外側に突出する複数の凸条部とを含んでおり、凹条部及び凸条部のそれぞれは、天面の外縁と切断線との間において切断線に交差する交差方向に線状に延びていてもよい。この場合、炭酸飲料を飲用する前に、炭酸飲料は複数の凹条部及び凸条部の間を通る。よって、飲用前に天面に形成された凹条部及び凸条部を含む凹凸面を炭酸飲料が通るので、飲用前に炭酸飲料が接触する天面の面積を大きくすることができる。従って、飲用前に炭酸飲料が凹凸面を通ることにより、炭酸飲料に含まれた二酸化炭素がより刺激を受けやすくなるので、飲用時における炭酸感をより向上させることができる。
【0011】
また、切断線は、U字状とされており、波形形状の凹凸は、切断線に沿って周期的に形成されていてもよい。この場合、波形形状の凹凸がU字状とされた切断線に沿って周期的に形成されているので、飲用時における炭酸感をより確実に向上させることができる。
【0012】
また、複数の凸条部のそれぞれの幅は、複数の凹条部のそれぞれの幅よりも広くてもよい。この場合、天面に細い凹条部を形成すればよいので、天面における凹凸面の加工を容易に行うことができる。
【0013】
本開示に係る炭酸感向上方法は、炭酸飲料の炭酸感を向上させる炭酸感向上方法であって、天面に切断線を有すると共に、切断線に沿って凹凸が並ぶ波形形状が形成された飲料缶に炭酸飲料を充填する工程と、飲用時に炭酸飲料を切断線の波形形状に通すことにより炭酸飲料の炭酸感を向上させる工程と、を備える。
【0014】
この炭酸感向上方法は、凹凸が並ぶ波形形状を有する切断線を飲料缶に形成し、波形形状が形成された飲料缶に炭酸飲料を充填する。飲用時に切断線を切断して天面に開口を形成すると、開口の縁に波形形状の凹凸が形成される。この炭酸感向上方法では、飲用時に炭酸飲料を切断線の波形形状に通すことにより炭酸感を向上させる。従って、飲用前に炭酸飲料は波形形状の凹凸の部分を通るので、炭酸飲料が飲料前に接触する開口の縁の面積を大きくすることができる。従って、飲用時における炭酸感を向上させることができる。
【0015】
この炭酸感向上方法では、炭酸飲料は、アルコール度数が9%未満の飲料、又はシトラス系の飲料であってもよい。この場合、飲用時における炭酸感をより顕著に向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、飲用時における炭酸感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る炭酸飲料が充填されると共に炭酸感向上方法が適用される例示的な飲料缶を示す平面図である。
図2図1の飲料缶の缶蓋を示す断面図である。
図3図1の飲料缶を開封した状態の例を示す平面図である。
図4】実施例に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法の実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率及び角度等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
本開示において、「炭酸感」は、炭酸飲料に溶けていた二酸化炭素が炭酸ガスの気泡となって発生し当該気泡の発生時に飲用者の口の内部を刺激したときに飲用者が得る刺激を示している。例えば、「炭酸感」は、炭酸飲料が常圧に戻るときに生じる二酸化炭素の気泡から得られるシュワシュワとした喉ごし等の刺激感、発泡感、爽快感又は清涼感を含んでおり、炭酸飲料からの気泡の発生時に飲用者の口内の感覚細胞に生じる圧覚を含んでいてもよい。本実施形態では、刺激感を用いて炭酸感を評価している。刺激感とは、舌上及び喉を通過するときに炭酸ガスの突き刺すような感覚を示している。
【0020】
図1は、実施形態に係る炭酸飲料が充填された飲料缶1を示す平面図である。飲料缶1は、例えば、有底円筒状とされている。飲料缶1は、一例として、アルミニウム製、又はスチール製である。例えば、飲料缶1は、アルミニウム合金によって構成された金属板から成形されている。飲料缶1は、ステイオンタブ型の2ピース缶又は3ピース缶であってもよい。
【0021】
飲料缶1は、一例として、円形状とされた底部と、底部の外縁から直立する円筒状の胴部2と、胴部2の上端に位置する円形状の蓋部3とを備える。蓋部3は、例えば、ステイオンタブ式の缶蓋である。一例として、胴部2は、その上部に、上方に向かうに従って徐々に縮径する縮径部2bを有する。
【0022】
飲料缶1に充填される炭酸飲料は、チューハイ、ハイボール、サワー、ビール、発泡酒若しくはRTD(Ready To Drink)等のアルコール飲料、又は、コーラ、ソーダ若しくはサイダー等のアルコールを含まない清涼飲料を含んでいる。更に、飲料缶1に充填される炭酸飲料は、ノンアルコールビール等のビールテイスト飲料を含んでいてもよい。
【0023】
図2は、飲料缶1の蓋部3の断面図である。図1及び図2に示されるように、飲料缶1の蓋部3は、例えば、鉛直上方に向けられる天面4と、天面4の外縁4gの窪み4hから立ち上がる環状の立ち上がり部5と、飲料缶1を開放するプルタブ12が設けられた開放機構10とを有する。
【0024】
天面4はパネル面とも称される。天面4の反対側(飲料缶1の内側)を向く蓋部3の裏面3bは、例えば、粗面部(微小な凹凸が形成された部位)を有しない平坦面とされている。立ち上がり部5は、例えば、胴部2に対する蓋部3の巻き締めの結果得られるフランジ部に相当する。
【0025】
一例として、立ち上がり部5は飲料缶1の上端を構成しており、立ち上がり部5を有することにより天面4は飲料缶1の上端より窪んでいる。天面4及び立ち上がり部5のそれぞれは、円形状とされていてもよい。例えば、立ち上がり部5は、金属板が逆U字状に湾曲した形状を有するため、飲用者が立ち上がり部5を触っても怪我等は抑制される。
【0026】
開放機構10は、天面4において長円状に形成された凹部6の内側に設けられてもよい。凹部6は、例えば、プルタブ12が延びる方向に相当する第1方向D1に長く帯びる形状を有し、第1方向D1に交差する第2方向D2に一定の幅を有する。第1方向D1は、後述する開口形成部4bとプルタブ12とが並ぶ方向に相当する。第2方向D2は、例えば、平面視において第1方向D1に直交する方向である。
【0027】
凹部6の幅は、第1方向D1の一方側から他方側(図1の上側から下側)に向かうに従って徐々に広がっている。凹部6の外縁には、例えば、凹部6から天面4の径方向外側に向かうに従って徐々に高くなる傾斜面7が形成されている。一例として、傾斜面7は、第1方向D1に長く延びる環状とされている。
【0028】
開放機構10は、飲料缶1に充填された炭酸飲料を飲用するときに飲料缶1を開放するための機構である。開放機構10は、例えば、天面4に取り付けられたリベット11と、リベット11に回転可能に取り付けられたプルタブ12とを備える。プルタブ12は、タブとも称される。
【0029】
飲料缶1の天面4は、リベット11の第1方向D1の一方側(例えば図1の紙面の下側)においてU字状の開口8(図3参照)を形成する開口形成部4bを含む。リベット11は、例えば、円形状とされており、天面4の中央に取り付けられている。例えば、リベット11はプルタブ12を回転可能に支持している。この場合、プルタブ12は、天面4の上方で天面4に沿う平面に沿って回転可能とされている。
【0030】
プルタブ12は、リベット11から第1方向D1に長く延びると共に指が引っ掛けられる引掛部12cを有する延在部12bと、リベット11から延在部12bの反対側に延びる押し下げ部12dと、を有する。プルタブ12は、延在部12bから押し下げ部12dに向かって長く延びる形状とされている。プルタブ12は、その外周全体にR加工がなされているので、プルタブ12を触って指を切る事態を回避することができる。
【0031】
プルタブ12は、リベット11を囲むU字状とされた開口部12fと、リベット11から見て開口形成部4b側に位置する凹部12gとを有する。一例として、凹部12gは、開口部12fよりもプルタブ12の第1方向D1の端部側に形成されている。例えば、凹部12gは、プルタブ12の外縁よりも下方(飲料缶1の内側)に突出している。押し下げ部12dは、凹部12g、及び凹部12gの周囲を含む領域を示している。
【0032】
図1及び図3に示されるように、プルタブ12は、リベット11から見て押し下げ部12dの反対側に引掛部12cを有する。引掛部12cの下に指が入れられて引掛部12cが引き上げられることにより、押し下げ部12dが天面4の開口形成部4bを押し込み、開口形成部4bが飲料缶1の内側に入り込んで開口8が形成される。開口8の形状は、例えば、U字状の並口とされている。なお、開口8の形状は、第2方向D2の両端側に広がる広口であってもよく、適宜変更可能である。
【0033】
開口形成部4bは、飲料缶1を開放する前には天面4(凹部6)と切断線9を介して一体化されている。切断線9は、スコア、スコア線又は易破断線とも称される。プルタブ12の引掛部12cが引き上げられて押し下げ部12dが開口形成部4bを押し下げることにより、開口形成部4bが切断線9に沿って切断されて開口8が形成される。
【0034】
開口形成部4bは、リベット11側に位置する折り曲げ部4cを有し、折り曲げ部4cを軸として飲料缶1の内側に入り込む。切断線9は、飲料缶1の開放前は開口形成部4bの外周に沿うように形成されている。切断線9は、折り曲げ部4cの一端から凹部6の外周に沿って延び、折り曲げ部4cの他端まで延在している。すなわち、切断線9は、折り曲げ部4cの一端と折り曲げ部4cの他端との間においてU字状に形成されている。
【0035】
切断線9は、切断線9に沿って凹凸21が並ぶ波形形状20を有する。例えば、凹凸21は、切断線9に沿って周期的に形成されている。すなわち、波形形状20は複数の凹凸21を有し、複数の凹凸21は一定間隔ごとに形成されている。凹凸21は、開口8の内側に突出する凸部22と、開口8の外側に窪む凹部23とを含む。
【0036】
波形形状20は複数の凸部22及び複数の凹部23を含んでおり、例えば、複数の凸部22及び複数の凹部23のそれぞれは一定間隔ごとに形成されている。一例として、凸部22は切断線9に沿って上底が湾曲する台形状とされており、凹部23はV字状とされている。例えば、凸部22の幅(切断線9に沿った方向の長さ)は凹部23の幅よりも広い。例えば、2つの凹部23の間に凸部22が形成されている。一例として、凹部23の数は9であり凸部22の数は8である。
【0037】
なお、凸部22及び凹部23の数、形状、大きさ及び配置態様は上記の例に限られず適宜変更可能である。開口形成部4bは、凸部22及び凹部23に対応する凹部4d及び凸部4fを有する。飲料缶1の開放前には、凹部4dと凸部22、及び凸部4fと凹部23のそれぞれが互いに接合している。
【0038】
切断線9と天面の外縁4gとの間には凹凸面25が形成されている。凹凸面25は、第1方向D1に沿って延びる複数の凹条部26と、複数の凹条部26の間に設けられて天面4の外側に突出する複数の凸条部27とを含んでいる。なお、凸条部27の突出量は、例えば、天面4の凹凸面25以外の部分の高さと同程度である。一例として、凹条部26の幅B1は凸条部27の幅B2よりも狭い。しかしながら、凸条部27の突出量、凹条部26の窪み量、凹条部26の幅、及び凸条部27の幅は適宜変更可能である。
【0039】
凹凸面25は複数の凹条部26を含んでおり、例えば、複数の凹条部26のそれぞれは第1方向D1に直線状に延びている。各凹条部26は、一例として、U字状に窪んでいる。複数の凹条部26は、第2方向D2に沿って並んでおり、例えば、第2方向D2に沿って一定間隔ごとに設けられる。
【0040】
凹凸面25の第2方向D2の両端のそれぞれには凹条部26が形成されており、各凹条部26は傾斜面7から外縁4gに向かって延びている。複数の凸条部27のそれぞれは、複数の凹条部26の間に配置されており、第1方向D1に沿って延びている。凹条部26及び凸条部27は、第2方向D2に沿って交互に並んでおり、例えば、周期的に並んでいる。
【0041】
次に、本実施形態に係る炭酸感向上方法について説明する。まず、前述したように、天面4に切断線9を有すると共に切断線9に沿って凹凸21が並ぶ波形形状20が形成された飲料缶1に炭酸飲料を充填する(炭酸飲料を充填する工程)。このとき、炭酸飲料を胴部2に充填して胴部2に蓋部3を巻き締めすることによって飲料缶1への炭酸飲料の充填を完了する。飲料缶1に充填された炭酸飲料の飲料時において、プルタブ12が引き上げられて押し下げ部12dが開口形成部4bを押し下げて切断線9を切断することにより、開口8が形成される。このように開口8が形成されることによって飲料缶1が開放される。
【0042】
飲料缶1の開放後に飲料缶1の内部の炭酸飲料が飲用時に通る経路について説明する。まず、飲料缶1の内部に充填されていた炭酸飲料は、蓋部3の裏面3b(凹凸面25の裏側の面)である平坦面を通り、その後、切断線9の波形形状20の凹凸21の間を通って飲料缶1から流れ出る。このとき、波形形状20の凹凸21の間に炭酸飲料を通すことによって炭酸飲料の炭酸感を向上させる(炭酸感を向上させる工程)。そして、飲料缶1から流れ出た炭酸飲料を凹凸面25の凹条部26及び凸条部27の間に通らせて更に炭酸感を向上させる(炭酸感を向上させる工程)。凹凸面25を通った炭酸飲料は飲料缶1から離れた後に飲用者の口に達して飲用される。
【0043】
次に、本実施形態に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法から得られる作用効果について詳細に説明する。この炭酸飲料及び炭酸感向上方法において、炭酸飲料は天面4に切断線9を有する飲料缶1に充填されており、切断線9は切断線9に沿って凹凸21が並ぶ波形形状20を有する。従って、プルタブ12の引掛部12cが引き上げられて押し下げ部12dが天面4の開口形成部4bを押し下げたときに、開口8の縁(切断線9)に凹凸21が並ぶ波形形状20が形成される。
【0044】
この状態で炭酸飲料を飲用すると、炭酸飲料は開口8の縁に形成された波形形状20の凹凸21の部分を通る。よって、飲用前に炭酸飲料は波形形状20の凹凸21の部分を通るので、飲用前に炭酸飲料が接触する開口8の縁の面積を大きくすることができる。飲用前に炭酸飲料が凹凸21を通ることによって炭酸飲料の二酸化炭素が刺激を受けることにより、飲用時における炭酸感を向上させることができる。
【0045】
また、天面4は、切断線9から見てプルタブ12の反対側に位置する凹凸面25を含んでおり、凹凸面25は、天面4の内側に窪む複数の凹条部26と、複数の凹条部26の間に設けられて天面4の外側に突出する複数の凸条部27と、を含んでいてもよい。凹条部26及び凸条部27のそれぞれは、天面4の外縁4gと切断線9との間において切断線9に交差する交差方向である第1方向D1に線状に延びていてもよい。
【0046】
この場合、炭酸飲料を飲用する前に、炭酸飲料は複数の凹条部26及び凸条部27の間を通る。よって、飲用時に天面4に形成された凹条部26及び凸条部27を含む凹凸面25を炭酸飲料が通るので、飲用前に炭酸飲料が接触する天面4の面積を大きくすることができる。従って、飲用前に炭酸飲料の二酸化炭素が凹凸面25を通って刺激を受けることにより、飲用時における炭酸感をより向上させることができる。
【0047】
また、切断線9は、U字状とされており、波形形状20の凹凸21は、切断線9に沿って周期的に形成されていてもよい。この場合、波形形状20の凹凸21がU字状とされた切断線9に沿って周期的に形成されているので、飲用時における炭酸感をより確実に向上させることができる。
【0048】
また、複数の凸条部27のそれぞれの幅B2は、複数の凹条部26の幅B1よりも広くてもよい。この場合、天面4に細い凹条部26を形成すればよいので、天面4における凹凸面25の加工を容易に行うことができる。
【0049】
更に、本実施形態に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法では、炭酸飲料に炭酸感を向上させる原料が入っていない。すなわち、炭酸飲料は通常の炭酸飲料であり、炭酸感向上方法では通常の炭酸飲料を充填するだけで炭酸感を向上させることが可能とされている。従って、飲料缶1に通常の炭酸飲料を充填することによって炭酸感を向上させることができるので、炭酸感を容易に向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る飲料缶1では、蓋部3の裏面3b(凹凸面25の裏側の面)が粗面部を有しない平坦面とされている。ところで、例えば、飲料缶1にビール等の発泡性飲料が充填されている場合に蓋部3の裏面3bに粗面部を形成して飲料缶1からの注出時に発泡性飲料にクリーミー感を持たせることが考えられる。
【0051】
しかしながら、本実施形態に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法では、蓋部3の裏面3bに粗面部が形成されていなくても(蓋部3の裏面3bが平坦面であっても)、波形形状20及び凹凸面25に炭酸飲料を通すことによって炭酸感を向上させることができる。従って、炭酸飲料の炭酸感を向上させると共に、蓋部3の構成を簡易にすることができる。但し、蓋部3の裏面3bに粗面部が形成されていてもよい。
【0052】
以上、本開示に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、炭酸飲料の種類及び原料、並びに、炭酸感向上方法の各工程の順序及び内容は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0053】
例えば、炭酸飲料が充填される飲料缶の各部の形状、大きさ、材料及び配置態様は、前述した飲料缶1のものに限られず、適宜変更可能である。具体的には、前述の実施形態では、胴部2、蓋部3及び底部を備えると共に、リベット11及びプルタブ12を天面4に備える飲料缶1について説明した。しかしながら、胴部、蓋部、底部、リベット及びプルタブの形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述の実施形態のものに限られず適宜変更可能である。
【0054】
(実施例)
続いて、本開示に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法の実施例について説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限定されない。実施例では、後述する実験を行い、実施例に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法の有効性を確認した。
【0055】
(実験1)
実験1では、後述する実施例1~12及び比較例1~6に係る炭酸飲料に対して炭酸感を評価する官能評価を行った。実施例1~12のそれぞれは前述した波形形状20が形成された切断線9、及び凹凸面25、の少なくともいずれかを有する飲料缶1に飲料A~Fのそれぞれを充填した例を示している。一方、比較例1~6のそれぞれは波形形状20及び凹凸面25のいずれも形成されていない飲料缶に飲料A~Fのそれぞれを充填した例を示している。
【0056】
実験1では、蓋部3(凹凸面25)の裏面3bに粗面部が形成されていない飲料缶1に炭酸飲料を充填し、飲用者に飲料缶1に充填された飲料A~飲料Fのそれぞれを飲用させた。そして、飲用者が飲用した炭酸飲料の炭酸感を評価する官能評価を行った。炭酸感を評価する飲用者は、合計5名とした。
【0057】
この5名の飲用者は、炭酸感を識別する事前実験を行った10名以上の飲用者のうち、当該事前実験において炭酸感を適切に識別することができた飲用者である。この官能評価では、飲用時に得られた炭酸感が強いほど評点を高くし(最大値を7とした)、飲用時に得られた炭酸感が弱いほど評点を低くした(最小値を1とした)。5名の飲用者のそれぞれに、比較例1~6の評点を4(基準点)としたときの実施例1~12の炭酸感を1点~7点の間で採点させた。実施例1~12及び比較例1~6の詳細は以下の通りである。
【0058】
(実施例1)
飲料Aを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Aを各飲用者に飲用させた。なお、実施例1で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有しない。飲料Aは、アルコールが入っていない炭酸水である。飲料Aの炭酸ガスの圧力は2.3kg/cmである。
(実施例2)
飲料Aを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Aを各飲用者に飲用させた。なお、実施例2で用いた飲料缶1は、凹凸面25(図1参照)を有する。
(比較例1)
飲料Aを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Aを各飲用者に飲用させた。なお、比較例1で用いた飲料缶は、凹凸面25を有しない。
(実施例3)
飲料Bを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Bを各飲用者に飲用させた。なお、実施例3で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有しない。飲料Bは、アルコール度数3%のシトラス系(レモン系)のチューハイである。
(実施例4)
飲料Bを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Bを各飲用者に飲用させた。なお、実施例4で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
(比較例2)
飲料Bを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Bを各飲用者に飲用させた。なお、比較例2で用いた飲料缶は、凹凸面25を有しない。
(実施例5)
飲料Cを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Cを各飲用者に飲用させた。なお、実施例5で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有しない。飲料Cは、アルコール度数9%のシトラス系(レモン系)のチューハイである。
(実施例6)
飲料Cを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Cを各飲用者に飲用させた。なお、実施例6で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
(比較例3)
飲料Cを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Cを各飲用者に飲用させた。なお、比較例3で用いた飲料缶は、凹凸面25を有しない。
(実施例7)
飲料Dを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Dを各飲用者に飲用させた。なお、実施例7で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有しない。飲料Dは、アルコール度数3%のシトラス系以外のチューハイ(桃系フレーバーのチューハイ)である。
(実施例8)
飲料Dを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Dを各飲用者に飲用させた。なお、実施例8で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
(比較例4)
飲料Dを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Dを各飲用者に飲用させた。なお、比較例4で用いた飲料缶は、凹凸面25を有しない。
(実施例9)
飲料Eを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Eを各飲用者に飲用させた。なお、実施例9で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有しない。飲料Eは、アルコール度数9%のシトラス系以外のチューハイ(桃系フレーバーのチューハイ)である。
(実施例10)
飲料Eを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Eを各飲用者に飲用させた。なお、実施例10で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
(比較例5)
飲料Eを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Eを各飲用者に飲用させた。なお、比較例5で用いた飲料缶は、凹凸面25を有しない。
(実施例11)
飲料Fを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Fを各飲用者に飲用させた。なお、実施例11で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有しない。飲料Fは、アルコール度数5%であって麦芽比率50%以上のビールである。
(実施例12)
飲料Fを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、この飲料缶1に充填されている飲料Fを各飲用者に飲用させた。なお、実施例12で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
(比較例6)
飲料Fを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Fを各飲用者に飲用させた。なお、比較例6で用いた飲料缶は、凹凸面25を有しない。
【0059】
以上の実施例1~12及び比較例1~6を含む実験1の飲用者による評価結果を後述の表1、表2及び図4に示している。表1及び表2のそれぞれは、比較例1~6及び実施例1~12のそれぞれから各飲用者が得た刺激感(炭酸感)の評点の平均値と標準偏差を示している。図4は、5人の評価者の評点の平均値を比較例1~6及び実施例1~12ごとに示すグラフである。
【0060】
表1、表2及び図4に示されるように、波形形状20が形成されている切断線9を有する飲料缶1に飲料A~Fのそれぞれを充填した実施例1~12のそれぞれでは、比較例1~6のそれぞれよりも高い評点が得られることが分かった。これにより、波形形状20が形成されている切断線9により、飲料A~Fのいずれであっても強い炭酸感を得られていることが分かる。
【0061】
また、アルコール度数が高い(例えば9%)炭酸飲料(飲料C及び飲料E)よりもアルコール度数が低い(例えば3%)炭酸飲料(飲料D)、及び清涼飲料水(炭酸水、飲料A)の方が強い炭酸感を得られている。そして、飲料A(清涼飲料水(炭酸水))の炭酸感、及び飲料D(アルコール度数3%のシトラス系以外のチューハイ)の炭酸感が最も強いことが分かった。また、炭酸飲料が、アルコール度数が9%未満の飲料(飲料A、飲料B、飲料D若しくは飲料F)、又はシトラス系の飲料(飲料B若しくは飲料C)である場合、炭酸感の平均値が5以上となり、飲用時における炭酸感をより顕著に向上させることができる。
【0062】
【表1】

【表2】
【0063】
(実験2)
実験2では、以下の実施例13~15及び比較例7~9に係る炭酸飲料に対して炭酸感を評価する官能評価を行った。実験2では、蓋部3の裏面3bに粗面部が形成されている飲料缶1に炭酸飲料を充填した点が実験1と異なっている。
【0064】
実施例13~15のそれぞれは波形形状20が形成された切断線9及び凹凸面25を有する飲料缶1に飲料を充填した例を示している。比較例7~9のそれぞれは凹凸面25を有し、波形形状20が形成されていない切断線を有する飲料缶に飲料を充填した例を示している。実験2の実験方法は、前述した実験1と同様であり、5名の飲用者に対して実験1と同様の方法で炭酸飲料を飲用させ、そのときの炭酸感を評価させる官能評価を行った。実施例13~15及び比較例7~9の詳細は以下の通りである。
【0065】
(実施例13)
飲料Aを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、飲料缶1に充填されている飲料Aを各飲用者に飲用させた。なお、実施例13で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。飲料Aは、アルコールが入っていない炭酸水である。飲料Aの炭酸ガスの圧力は2.3kg/cmである。
(比較例7)
飲料Aを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Aを各飲用者に飲用させた。なお、比較例7で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
(実施例14)
飲料Bを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、飲料缶1に充填されている飲料Bを各飲用者に飲用させた。なお、実施例14で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。飲料Bは、アルコール度数3%のシトラス系(レモン系)のチューハイである。
(比較例8)
飲料Bを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Bを各飲用者に飲用させた。なお、比較例8で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
(実施例15)
飲料Eを波形形状20が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填し、飲料缶1に充填されている飲料Eを各飲用者に飲用させた。なお、実施例15で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。飲料Eは、アルコール度数9%のシトラス系以外のチューハイ(桃系フレーバーのチューハイ)である。
(比較例9)
飲料Eを波形形状が形成されていない切断線を有する飲料缶に充填し、この飲料缶に充填されている飲料Eを各飲用者に飲用させた。なお、比較例9で用いた飲料缶1は、凹凸面25を有する。
【0066】
以上の実施例13~15及び比較例7~9を含む実験2の飲用者による評価結果を以下の表3に示している。表3は比較例7~9及び実施例13~15のそれぞれから飲用者が得た炭酸感の平均値を示している。
【0067】
【表3】
【0068】
表3に示されるように、波形形状20が形成されている切断線9及び凹凸面25を有する飲料缶1に飲料を充填した実施例13~15のそれぞれでは、比較例7~9のそれぞれよりも高い評点を得られることが分かった。このように、波形形状20が形成されている切断線9及び凹凸面25により、各炭酸飲料において高い炭酸感を得られていることが分かる。また、アルコール度数が高い(例えば9%)の炭酸飲料(飲料E)よりも、アルコール度数が低い(例えば3%)の炭酸飲料(飲料B)、及び清涼飲料水(炭酸水、飲料A)の方が強い炭酸感を得られていることが分かった。
【0069】
更に、実験2では、波形形状20及び凹凸面25が形成された切断線9を有する飲料缶1に充填された炭酸飲料において強い炭酸感を得られており、実験1と同様の結果が得られている。すなわち、蓋部3の裏面3bに粗面部が形成されていない飲料缶1を用いた実験1の場合、裏面3bに粗面部が形成されている飲料缶1を用いた実験2の場合と同様の結果が得られていることが分かる。従って、裏面3bに粗面部を有しない場合であっても、粗面部を有する場合と同様、前述した実施例1~15に係る炭酸飲料及び炭酸感向上方法では強い炭酸感を得られることが分かった。
【符号の説明】
【0070】
1…飲料缶、2…胴部、2b…縮径部、3…蓋部、3b…裏面、4…天面、4b…開口形成部、4c…折り曲げ部、4d…凹部、4f…凸部、4g…外縁、4h…窪み、5…立ち上がり部、6…凹部、7…傾斜面、8…開口、9…切断線、10…開放機構、11…リベット、12…プルタブ、12b…延在部、12c…引掛部、12d…押し下げ部、12f…開口部、12g…凹部、20…波形形状、21…凹凸、22…凸部、23…凹部、25…凹凸面、26…凹条部、27…凸条部、B1,B2…幅、D1…第1方向、D2…第2方向。
図1
図2
図3
図4