(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】油揚げの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 11/45 20210101AFI20240704BHJP
【FI】
A23L11/45 108Z
(21)【出願番号】P 2020021260
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390022002
【氏名又は名称】オーケー食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓隆
(72)【発明者】
【氏名】三原 静香
(72)【発明者】
【氏名】三浦 七海
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-029116(JP,Y1)
【文献】特開2010-130961(JP,A)
【文献】特開平07-308165(JP,A)
【文献】特開2019-083691(JP,A)
【文献】実公昭36-002586(JP,Y1)
【文献】特開2002-085003(JP,A)
【文献】特開平02-190160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先ず常法より製造された豆腐を主原料にし、混合又は乳化する第1工程と、混合又は乳化し連続的に供給される混合原料を圧延装置で幅広の帯状に連続的に圧延して油揚げ用豆腐生地を作成する第2工程と、
幅広の帯状に圧延した混合原料をフライ装置で連続的にフライして幅広帯状の油揚げを製造する第3工程と、から
なり、
前記フライ装置は、各層仕切りで仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層と、中温層と、中高温層と、高温層が連続配置され、
前記低温層は、油の中に帯状の混合材料を載せて中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中高温層と高温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで送る網状のコンベアを備え、
前記高温層は、フライされた帯状の油揚げを乗せてフライ装置外に送り出すコンベアを備え、
前記第3工程において、前記中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、帯状の混合原料の先端が通過する時にだけ下げられるように構成されていることを特徴とする油揚げの製造方法。
【請求項2】
先ず常法より製造された豆腐を主原料にし、混合又は乳化する第1工程と、混合又は乳化し連続的に供給される混合原料を圧延装置で幅広の帯状に連続的に圧延して油揚げ用豆腐生地を作成する第2工程と、
幅広の帯状に圧延した混合原料をフライ装置で連続的にフライして幅広帯状の油揚げを製造する第3工程と、
フライされた幅広帯状の油揚げをカッター装置で規定のサイズにカットする第4工程と、からなり、
前記フライ装置は、各層仕切りで仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層と、中温層と、中高温層と、高温層が連続配置され、
前記低温層は、油の中に帯状の混合材料を載せて中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中高温層と高温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで送る網状のコンベアを備え、
前記高温層は、フライされた帯状の油揚げを乗せてフライ装置外に送り出すコンベアを備え、
前記第3工程において、前記中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、帯状の混合原料の先端が通過する時にだけ下げられるように構成されていることを特徴とする油揚げの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の第4工程において、前記カッター装置は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッターと、上下して進行方向にカットする第2カッターとを備えることを特徴とする油揚げの製造方法
【請求項4】
請求項1または2に記載の第1工程において、主原料に細かく裁断した野菜などの副原料を追加して混合又は乳化することを特徴とする油揚げの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一旦常法より製造された豆腐を主原料とした油揚げの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の油揚げの製造方法は、特許文献1に示すように、常法より帯状に製造された豆腐生地を規定のサイズ(例えば5cm角)にカットした後、フライすることにより例えば10cm角に膨化した油揚げを製造している。
【0003】
しかしながら、従来の油揚げの製造方法では、フライ過程の前に幅広い帯状に製造された豆腐生地を規定のサイズにカットする際、豆腐生地の端は端材として切り取られ、油揚げにはならない。この端材は従来少しずつまた豆腐に戻して再利用するか、がんもどきのような練り製品の原料として使用することもあるが、食感が悪いため、ほんの一部を使用するにとどまり、多くは廃棄処分するしかなかった。
【0004】
また、従来の油揚げの製造方法では、豆腐生地を規定のサイズにカットした後にフライするため、膨化不足や過剰膨化を原因とするサイズ不良や変形などの不良廃棄品が発生するという問題があった。
また、南関あげのような豆腐質が無いくらいに薄い揚げを作るためには、その原料となる豆腐生地も当然非常に薄いものでなければならず、従来の油揚げ製造に従って、フライする前に規定サイズに切ってしまうと、フライヤー投入時に破れてしまったり、その薄さからフライヤーの中で型スパンからすり抜けて漂ったり沈んだりしてしまい、横や底部に溜まったり、一つの型スパンに複数入ってしまったり、うまく製造することができない。そのため、今現在南関あげのような極薄い油揚げは手加工で1枚1枚揚げるしか方法がないという問題があった。
【0005】
また、通常の油揚げでは、豆乳を凝固剤で凝固させ押し固めて脱水する際、温度や内容物など非常に細かい違いで油揚げの膨化不足または過剰膨化を引き起こすので、豆腐生地の原料に色素や野菜などの副原料を少量でも入れると膨化不良を起こすなど品質に大きな影響を及ぼすため、入れることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、従来廃棄処分されていたサイズカットによる豆腐生地の端材の発生が無く、サイズ不良や変形などの不良廃棄品が出ることも無く、従来の方法により発生した豆腐生地の端材も有効に利用することができると共に、豆腐生地が残らないような極薄い油揚げ(例えば南関あげ・松山揚げ)を連続的に製造をすることができ、かつ、豆腐生地の原料に色素や野菜などの副原料を加えることができる油揚げの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1記載の油揚げの製造方法は、先ず常法より製造された豆腐を主原料にし、混合又は乳化する第1工程と、混合又は乳化し連続的に供給される混合原料を圧延装置で幅広の帯状に連続的に圧延して油揚げ用豆腐生地を作成する第2工程と、
幅広の帯状に圧延した混合原料をフライ装置で連続的にフライして幅広帯状の油揚げを製造する第3工程と、
からなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の油揚げの製造方法は、請求項1記載の油揚げの製造方法の第1工程において、先ず常法より製造された豆腐を主原料にし、これに膨化剤を加えた状態で混合又は乳化することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の油揚げの製造方法は、先ず常法より製造された豆腐を主原料にし、混合又は乳化する第1工程と、混合又は乳化し連続的に供給される混合原料を圧延装置で幅広の帯状に連続的に圧延して油揚げ用豆腐生地を作成する第2工程と、
幅広の帯状に圧延した混合原料をフライ装置で連続的にフライして幅広帯状の油揚げを製造する第3工程と、
フライされた幅広帯状の油揚げをカッター装置で規定のサイズにカットする第4工程と、
からなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の油揚げの製造方法は、請求項3記載の油揚げの製造方法の第1工程において、先ず常法より製造された豆腐を主原料にし、これに膨化剤を加えた状態で混合又は乳化することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の油揚げの製造方法は、請求項1~4のいずれか1項に記載の第2工程において、前記圧延装置は、第1工程を経て連続的に供給される混合原料を上下で挟んで送る下側コンベアと、上側コンベアと、上側コンベアの上面で混合材料を送り出し前後方向に往復移動して規定寸法で幅広に圧延する圧延ローラと、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の油揚げの製造方法は、請求項1~5のいずれか1項に記載の第3工程において、前記フライ装置は、各層仕切りで仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層と、中温層と、中高温層と、高温層が連続配置され、
前記低温層は、油の中に帯状の混合材料を載せて中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中高温層と高温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで送る網状のコンベアを備え、
前記高温層は、フライされた帯状の油揚げを乗せてフライ装置外に送り出すコンベアを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の油揚げの製造方法は、請求項6記載の第3工程において、前記中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、帯状の混合原料の先端が通過する時にだけ下げられるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8記載の油揚げの製造方法は、請求項2~7のいずれか1項に記載の第1工程において、
前記第4工程において、前記カッター装置は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッターと、上下して進行方向にカットする第2カッターとを備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9記載の油揚げの製造方法は、請求項1~8のいずれか1項に記載の第1工程において、主原料と膨化剤に細かく裁断した野菜などの副原料を追加して混合又は乳化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の油揚げの製造方法では、上述のように構成されるため、以下の効果が得られる。
この発明では、上述のように常法より製造された豆腐が主原料であるため、従来の方法により発生した豆腐の端材も有効に利用することができると共に、薄い油揚げを製造することができる。
【0018】
請求項2記載の油揚げの製造方法では、以下の効果が得られる。
従来の油揚げの製造方法では、豆乳を凝固させた豆腐生地を熱いうちに圧力をかけて脱水する、この方法は再生豆腐生地油揚げであり粉末状の副原料により水分を奪いこれを脱水工程とし、通常水分が水蒸気になるときに油揚げを押し広げて膨化させるが、この発明では、製造された豆腐生地に膨化剤を混合した状態でフライすることで膨化剤で膨化させるため、油揚げの膨化率を膨化剤の配合で決めることができるようになる。すなわち、膨化剤をいれなくても膨化はするが、膨化剤を使用することで伸び率を任意に増やすことができる。
【0019】
請求項3記載の油揚げの製造方法では、上述のように常法より製造された豆腐生地が主原料であるため、従来の方法により発生した豆腐生地の端材も有効に利用することができると共に、薄い油揚げを製造することができる。
また、上述のように、幅広の帯状に圧延した混合材料を繋がったまま先にフライ装置で連続的にフライして幅広帯状の油揚げを製造した後に、カッター装置で規定のサイズにカットすることで、豆腐生地が残らないような極薄い油揚げ(例えば南関あげ・松山揚げ)を連続的に製造をすることが可能となった。
【0020】
請求項4記載の油揚げの製造方法では、以下の効果が得られる。
従来の油揚げの製造方法では、豆乳を凝固させた豆腐生地を熱いうちに圧力をかけて脱水する、この方法は再生豆腐生地油揚げであり粉末状の副原料により水分を奪いこれを脱水工程とし、通常水分が水蒸気になるときに油揚げを押し広げて膨化させるが、この発明では、製造された豆腐生地に膨化剤を混合した状態でフライすることで膨化剤で膨化させるため、油揚げの膨化率を膨化剤の配合で決めることができるようになる。
【0021】
請求項5記載の油揚げの製造方法では、上述のように、第1工程を経て連続的に供給される混合原料を上下で挟んで送る下側コンベアと、上側コンベアと、上側コンベアの上面で混合材料を送り出し前後方向に往復移動して規定寸法で幅広に圧延する圧延ローラと、を備えることで、手作業と同様の手順で連続的に薄くきれいな幅広に圧延することができる。
【0022】
請求項6記載の油揚げの製造方法では、上述のように、前記フライ装置は、各層仕切りで仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層と、中温層と、中高温層と、高温層が連続配置され、低温層は、油の中に帯状の混合材料を載せて中温層に送る網状のコンベアを備え、中温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベアを備え、中高温層と高温層は、帯状の混合材料を油内に押さえ込んで送る網状のコンベアを備え、高温層は、フライされた帯状の油揚げを乗せてフライ装置外に送り出すコンベアを備えることで、薄く幅広い混合材料を連続的にフライしてふっくらとした薄い油揚げを製造することができる。
【0023】
請求項7記載の油揚げの製造方法では、上述のように、前記中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、帯状の混合原料の先端が通過する時にだけ下がるように構成されることで、フライ装置の各層が仕切りで仕切られていても、中温層でフライされた薄い混合材料の先端を通過させることができる。
【0024】
請求項8記載の油揚げの製造方法では、上述のように、前記カッター装置は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッターと、上下して進行方向にカットする第2カッターとを備えることで、所定寸法の油揚げを連続的に製造することができる。
【0025】
請求項9記載の油揚げの製造方法では、上述のように、常法より製造された豆腐が主原料であるため、豆腐に副原料を混合する際に色素や野菜などの副原料を加えることができ、これにより色付きや野菜などを含んだ油揚げを製造することが可能になる。また、常法より製造された豆腐に膨化剤を混合することで、膨張効果によって副原料を混合しても柔らかくふっくらした油揚げを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例1の油揚げの製造方法の第1工程~第4工程の概略を示す斜視図である。
【
図2】従来品との突き刺し強度比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
実施例1の油揚げの製造方法を
図1に基づいて説明する。
まず、常法より製造された豆腐を主原料にし、これに膨化剤を加えた状態で混合又は乳化する第1工程と、
図1に示すように、混合又は乳化し連続的に供給される混合原料1aを圧延装置2で幅広の帯状に連続的に圧延し油揚げを作成する第2工程と、幅広の帯状に圧延した混合原料1bをフライ装置3で連続的にフライして幅広帯状の油揚げ1cを製造する第3工程と、フライされた幅広帯状の油揚げ1cをカッター装置4で規定のサイズにカットする第4工程と、からなる。
【0029】
前記圧延装置2は、第1工程を経て連続的に供給される混合原料1aを上下で挟んで送る下側コンベア2aと、上側コンベア2bと、上側コンベア2bの上面で混合材料1aを送り出し前後方向に往復移動して規定寸法で幅広に圧延する圧延ローラ2cと、を備える。
【0030】
前記フライ装置3は、各層仕切り35で仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層3aと、中温層3bと、中高温層3cと、高温層3dが連続配置されている
前記低温層3aは、油の中に帯状の混合材料1bを載せて中温層3bに送る網状のコンベア31を備え、
前記中温層3bは、低温フライされた帯状の混合材料1bを油内に押さえ込んで上下動しながら中温層3cに送る網状のコンベア32を備え、この中温層3cを通過することで膨化剤により幅約2倍に膨化した薄い油揚げ1cになる。
前記中高温層3cと高温層3dは、中温層3cと中高温層3dでそれぞれ中温及び中高温フライされた油揚げ1cを油内に押さえ込んで送る網状のコンベア33、33を備え、
前記高温層3dは、高温層3dでフライされた油揚げ1cを乗せてフライ装置3外に送り出すコンベア34を備える。
【0031】
また、前記中温層3bと中高温層3cの間と、中高温層3cと高温層3dとの間を仕切る間仕切り35が、中温層3b又は中高温層3cでフライされた薄い油揚げ1cの先端が通過する時にだけ手動で下げられるように構成されている。
【0032】
また、前記第4工程において、前記カッター装置4は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッター4aと、上下して進行方向にカットする第2カッター4cとを備えている。
【0033】
次に、実施例1の作用効果を説明する。
この実施例1の油揚げの製造方法によれば、以下の効果が得られる。
まず、従来の油揚げの製造方法では、豆乳を凝固させた豆腐を熱いうちに圧力をかけて脱水する、この方法は再生豆腐生地油揚げであり粉末上の副原料により水分を奪いこれを脱水工程とし、通常水分が水蒸気になるときに油揚げを押し広げて膨化させるが、この実施例1では、製造された豆腐に膨化剤を混合した状態でフライすることで膨化剤で膨化させるため、油揚げの膨化率を膨化剤の配合で決めることができるようになる。すなわち、膨化剤をいれなくても少し膨化はするが、膨化剤を使用することで伸び率を任意に増やすことができる。
【0034】
また、常法より製造された豆腐が主原料であるため、従来の方法により発生した豆腐の端材も有効に利用することができると共に、薄い油揚げを製造することができる。
また、上述のように、幅広の帯状に圧延した混合材料1bを繋がったまま先にフライ装置3で連続的にフライして幅広帯状の油揚げを製造した後に、カッター装置4で規定のサイズにカットすることで、豆腐生地が残らないような極薄い油揚げ(例えば南関あげ・松山揚げ)を連続的に製造をすることが可能となった。
【0035】
また、まず規定の幅で帯状に圧延した混合原料1aを連続的にフライして幅広帯状の油揚げ1cを製造した後に、規定のサイズにカットするため、従来廃棄処分されていたサイズカットによる豆腐生地の端材が発生することがないと共に、サイズ不良や変形などの不良廃棄品が出ることがない。
【0036】
また、第2工程の圧延装置2が、第1工程を経て連続的に供給される混合原料1aを上下で挟んで送る下側コンベア2aと、上側コンベア2bと、上側コンベア2bの上面で混合材料1aを送り出し前後方向に往復移動して規定寸法で幅広に圧延する圧延ローラ2cと、を備えることで、圧延ローラ2cの往復移動により手作業と同様の手順で連続的に薄くきれいな幅広に圧延することができる。
【0037】
また、フライ装置3は、各層仕切り35で仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層3aと、中温層3bと、中高温層3cと、高温層3dが連続配置され、低温層3aは、油の中に帯状の混合材料1aを載せて中温層3bに送る網状のコンベア31を備え、中温層3bは、帯状の混合材料1aを油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベア32を備え、中高温層3cと高温層3dは、油揚げ1cを油内に押さえ込んで送る網状のコンベア33、33を備え、高温層3dは、油揚げ1cを乗せてフライ装置3外に送り出すコンベア34を備えることで、薄く幅広い混合材料1aを連続的にフライして膨化剤によりふっくらとした薄い油揚げ1cを製造することができる。
【0038】
また、中温層3bと中高温層3cの間と、中高温層3cと高温層3dとの間を仕切る間仕切り35が、油揚げ1cの先端が通過する時にだけ下がるように構成されることで、フライ装置3の各層が仕切り35で仕切られていても、中温層3bでフライされた油揚げ1cの先端を通過させることができる。
【0039】
また、カッター装置4は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッター4aと、上下して進行方向にカットする第2カッター4bとを備えることで、所定寸法の油揚げを連続的に製造することができる。
【0040】
なお、
図2~4は、稲荷の皮としての従来品と本発明品との特徴比較を示す。
図2の突き刺し強度比較に示すように、突き刺さる時に必要な力、つまり噛む時を想定した試験で、より柔らかい食感でありながら歯が刺さるまでの伸び、つまり弾力も備えていることを示している。
また、
図3の引張強度比較に示すように、2つのもので挟み引っ張った時の力のかかり具合、つまり手(箸)と口で稲荷を咥えて噛み切る時の稲荷寿司の引きを示し、柔らかくも伸び(引き)がある特徴を示している。つまり柔らかさと伸びやかさが両立していることを示している。
つまり、細かい気泡で全体を支えているので、グラフも滑らかで、全体に伸びながら優しく切れていく様子が表れている。これが商品の口当たり・歯切れがいいのに引きも供える・口どけの良さを形作っている。
また、
図4の食感比較に示すように、全ての項目で優れた特徴を有している。
【0041】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、相違点についてのみ説明する。
【実施例2】
【0042】
まず、この実施例2の油揚げの製造方法は、前記第1工程において、主原料と膨化剤に、更に、細かく裁断した野菜などの副原料を追加して混合又は乳化する点が、前記実施例1とは相違するものである。
【0043】
次に、この実施例2の作用効果を説明する。
この実施例2の油揚げの製造方法にあっては、常法より製造された豆腐生地が主原料であるため、豆腐生地に副原料を混合する際に色素や野菜などの副原料を加えることができ、これにより色付きや野菜などを含んだ油揚げを製造することが可能になる。
また、常法より製造された豆腐生地に膨化剤を混合することで、膨張効果によって副原料を混合しても柔らかくふっくらした油揚げを製造することができる。
【0044】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、製造された豆腐に膨化剤を混合した状態でフライする例を示したが、膨化剤をいれなくても膨化させることができる。
【0045】
また、実施例では、第2工程における圧延装置として、第1工程を経て連続的に供給される混合原料を上下で挟んで送る下側コンベアと、上側コンベアと、上側コンベアの上面で混合材料を送り出し前後方向に往復移動して規定寸法で幅広に圧延する圧延ローラと、を備えた例を示したが、
従来製法のように、豆乳を凝固させた豆腐生地を熱いうちに圧力をかけて脱水するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1a 混合材料
1b 混合材料
1c 油揚げ
2 圧延装置
2a 下側コンベア
2b 上側コンベア
2c 圧延ローラ
3 フライ装置
3a 低温層
3b 中温層
3c 中高温層
3d 高温層
31 網状のコンベア
32 網状のコンベア
33 網状のコンベア
34 コンベア
35 仕切り
4 カッター装置
4a 第1カッター
4b 第2カッター