特許 7514637 ドア構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-07-03

(45)【発行日】2024-07-11

(54)【発明の名称】ドア構造

(51)【国際特許分類】

   E05B 49/00 20060101AFI20240704BHJP

   E05B 1/00 20060101ALI20240704BHJP

   E05B 65/06 20060101ALI20240704BHJP

   E06B 1/52 20060101ALI20240704BHJP

【ＦＩ】

E05B49/00 M

E05B1/00 311A

E05B49/00 K

E05B65/06 B

E06B1/52

【請求項の数】 3

(21)【出願番号】P 2020046353

(22)【出願日】2020-03-17

(65)【公開番号】P2021147804

(43)【公開日】2021-09-27

【審査請求日】2023-01-04

(73)【特許権者】

【識別番号】504163612

【氏名又は名称】株式会社ＬＩＸＩＬ

(74)【代理人】

【識別番号】100106002

【弁理士】

【氏名又は名称】正林 真之

(74)【代理人】

【識別番号】100165157

【弁理士】

【氏名又は名称】芝 哲央

(74)【代理人】

【識別番号】100126000

【弁理士】

【氏名又は名称】岩池 満

(74)【代理人】

【識別番号】100160794

【弁理士】

【氏名又は名称】星野 寛明

(72)【発明者】

【氏名】熊本 貴一

(72)【発明者】

【氏名】清水 裕太

(72)【発明者】

【氏名】酒井 秀忠

【審査官】秋山 斉昭

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１０－１０１１２４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－１４８０１５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０００－３２８８２３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－３２０７９０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２０－１２２６１（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０５Ｂ １／００－８５／２８

Ｅ０６Ｂ １／５２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

建物開口部を形成するドア枠と、
前記ドア枠に対して開閉可能に取り付けられた扉体と、
前記扉体に設けた開閉操作部と、
出没可能なラッチ出没体がドア枠に設けられ、前記ラッチ出没体を受入れ可能な凹部が、前記ラッチ出没体が設けられたドア枠の対向する位置に設けられ、
制御部により、前記ラッチ出没体の前記凹部への係合が解除され、
前記制御部による前記ラッチ出没体の前記凹部への係合の解除の駆動は、前記開閉操作部に設けられたスイッチにより行われるドア構造。

【請求項2】

建物開口部を形成するドア枠と、
前記ドア枠に対して開閉可能に取り付けられた扉体と、
前記扉体に設けた開閉操作部と、
出没可能なラッチ出没体がドア枠に設けられ、前記ラッチ出没体を受入れ可能な凹部が、前記ラッチ出没体が設けられたドア枠の対向する位置に設けられ、
制御部により、前記ラッチ出没体の前記凹部への係合が解除され、
前記制御部による前記ラッチ出没体の前記凹部への係合の解除の駆動は、前記開閉操作部の近傍の人を検知するセンサーにより行われるドア構造。

【請求項3】

前記ラッチ出没体には、複数の入力装置が接続されている請求項１～請求項２のいずれかに記載のドア構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ドア構造に関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、玄関ドアにおいては、ハンドル操作とラッチ解除が連動している構成が知られている（例えば、特許文献１参照）。また、マンション用ドアにおいては、いわゆる袖パネルを有するタイプが存在する（例えば、特許文献２、３参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１５－０８６６６７号公報

【文献】特開２００６－０２２５８４号公報

【文献】特開２００７－０９２４０７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

前述の従来の特許文献１に記載の玄関ドアにおいては、ラッチを解除するには、ハンドル操作が必須である。また、前述の従来の特許文献２、３に記載のマンション用ドアの袖パネルには、インターホンや電気錠等を格納可能であるが、ドアを仮保持するためのラッチは、ドア本体に設けられており、ラッチ解除するためには、やはりハンドルを操作する必要がある。このため、ドア本体の構造が複雑化し、またラッチ解除の構成の制約上、ハンドルの位置が所定の範囲に制限される。この結果、ドアのデザインの自由度が低かった。

【0005】

本発明は、ドアのデザインの自由度を高めることが可能なドア構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明は、建物開口部を形成するドア枠と、前記ドア枠に対して開閉可能に取り付けられた扉体と、前記扉体に設けた開閉操作部と、前記開閉操作部の操作と連動せずに出没可能な凸部がドア枠、扉体のいずれかに設けられ、前記凸部を受入れ可能な凹部が、前記凸部が設けられたドア枠、もしくは扉体の対向する位置に設けられたドア構造に関する。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本発明に係るドア構造の一実施形態における屋外側を示す正面図である。

【図2】本発明に係るドア構造の一実施形態におけるラッチ装置の解除を示す図である。

【図3】本発明に係るドア構造の一実施形態の第１の変形例におけるラッチの解除を示す図である。

【図4】本発明に係るドア構造の一実施形態の第２の変形例におけるラッチの解除を示す図である。

【図5】本発明に係るドア構造の一実施形態の第３の変形例における屋外側を示す正面図である。

【図6】本発明に係るドア構造の一実施形態の第４の変形例におけるラッチの解除を示す図である。

【図7】本発明に係るドア構造の一実施形態の第５の変形例におけるラッチの解除を示す図である。

【図8】本発明に係るドア構造の一実施形態の第６の変形例における屋外側を示す正面図である。

【図9】本発明に係るドア構造の一実施形態の第７の変形例におけるラッチの解除を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図１は、ドア構造１００の屋外側を示す正面図である。図２は、ドア構造のラッチ装置３０の解除を示す図である。
以下の説明においては、ドア本体２の幅方向を「幅方向」とし、ドア本体２の戸先側を「戸先側」とし、ドア本体２の戸先側と反対側である吊元側を「吊元側」とし、閉じた状態でのドア本体２の厚さ方向を「奥行方向（見込み方向）」とし、ドア本体２の長手方向を「上下方向」として説明する。

【0009】

図１に示すように、ドア構造１００は、枠体１１Ａと、枠体１１Ａ内に開閉可能に設けられた扉体としてのドア１と、を備えている。枠体１１Ａは、ドア枠１１Ｂと、袖パネル４と、を有している。ドア枠１１Ｂは、上枠１１ａと、下枠１１ｂと、戸先側の縦枠１１ｃと、吊元側の縦枠１１ｄと、を有して四方枠状に枠組みされている。ドア枠１１Ｂ内に、ドア１及び袖パネル４が、幅方向に隣接して配置されている。袖パネル４は、ドア１の幅方向の一方側である戸先側に配置されている。

【0010】

袖パネル４は、枠体１１Ａに含まれており、ドア枠１１Ｂの上枠１１ａ、下枠１１ｂ及び戸先側の縦枠１１ｃに固定されている。袖パネル４には、ラッチ機構を構成するラッチ装置３０、電気錠装置４０、施解錠装置５０、及び、ラッチ解除スイッチ６０と、図示しない制御部と、が設けられている。

【0011】

ドア１は、ヒンジを中心として、吊元側の縦枠１１ｄが開放されるように回動して開くように構成されている。ドア１は、ドア本体２と、ラッチ機構３と、を有している。本実施形態のドア１は、屋外用のドア、屋内用ドアのいずれとしても用いられることができるように構成されている。

【0012】

ドア本体２は、上下方向に長い略長方形の板状に形成されている。ドア本体２のデザインは、後述のように、高い自由度で適宜設定可能である。ドア本体２には、ドア１を開閉する利用者が把持可能な開閉操作部としてのハンドル２１が固定されて設けられている。ハンドル２１は、ドア本体２の長手方向である上下方向に延びて形成されている。利用者は、ハンドル２１を把持して、ドア本体２を押したり引いたりしてドア１を開閉することが可能である。なお、ハンドル２１の操作とラッチ解除スイッチ６０の操作とが連動していない為、ハンドル２１を自由な位置に設けることが可能である。

【0013】

ハンドル２１には、図示しない静電スイッチが電気的に接続されている。図示しない静電スイッチには、図示しない赤外線送信機及びドア本体２に設けられた図示しない電池が電気的に接続されている。図示しない赤外線送信機及び図示しない電池は、図示しない制御部に電気的に接続されている。

【0014】

ラッチ装置３０は、凸部としてのラッチ出没体３１１を有するラッチボルト３１を有しており、ラッチボルト３１のラッチ出没体３１１は、袖パネル４の側端面４ａから、ドア１側に出没可能に設けられている。ラッチボルト３１のラッチ出没体３１１は、ドア１の戸先側の端面に形成された凹部２ａに係合することにより、ドア１が仮保持された状態が維持される。

【0015】

電子機器としての電気錠装置４０は、認証部を有しており、認証部は、袖パネル４の一方側の表面に設けられている。認証部は、袖パネル４において電気の供給を受け、所定の情報を読み取り、読み取った結果を認証信号として制御部に送信する。所定の情報とは、具体的にはカード情報であるが、その他、顔情報等適宜設定可能である。

【0016】

図示しない制御部は、電気錠装置４０の認証部から送信される認証信号を判断して、所定の条件の場合に、デッドボルト３５が解錠される。

【0017】

施解錠装置５０は、図示しないシリンダー錠と、ドア本体２の屋内側表面に設けられシリンダー錠の施解錠操作が可能な図示しないサムターンと、を有している。ドア１を開閉する利用者（以下、「利用者」と言う）が、屋外側からシリンダー錠又は屋内側からサムターンを回転させることにより、デッドボルト３５が解錠される。

【0018】

電子機器としてのラッチ解除スイッチ６０は、ラッチ装置３０の奥行方向の両側、即ち、ラッチ装置３０の見込み方向の屋内側及び屋外側にそれぞれ設けられており、袖パネル４において電気の供給を受ける。利用者がラッチ解除スイッチ６０を押すと、ラッチボルト３１のラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除される。即ち、ハンドル２１とラッチ出没体３１１とは、物理的に接続されておらず切り離されて構成されており、ラッチボルト３１は、電気的にラッチ出没体３１１を駆動する。

【0019】

次に、解錠してドア１を開く際の動作について説明する。解錠してドア１を開く際には、利用者は、カードキーのカード情報を電気錠装置４０の認証部に読み取らせるとともに、ハンドル２１に触れる。これにより、図示しない赤外線送信機から送信された赤外線が、袖パネル４に設けられた赤外線受光部３２に受光され、赤外線受光部３２に電気的に接続された制御部による制御により、電気錠装置４０による認証信号により認証が完了した場合に、デッドボルト３５が解錠され、ラッチボルト３１のラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除される。
解錠してドア１を開き屋内に入る際の動作について説明する。解錠してドア１を開く際には、電気的手段、もしくは機械的手段によりデッドボルト３５を解錠、図示しない静電スイッチ若しくはラッチ解除スイッチ６０の操作により、ラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除され、ドア本体２の屋外側に設けられたハンドル２１を引き屋内側へ入る。一定時間が経過すると、錠は自動施錠させる。
より詳細には、利用者は、カードキーのカード情報を操作部としての電気錠装置４０の認証部に読み取らせることにより、電気的手段である電気錠によりデッドボルト３５の、ドア１の凹部２ｂへの係合が解除され解錠される。そして、利用者がハンドル２１に触れることにより、若しくはラッチ解除スイッチ６０の操作により、ラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除される。
手動で解錠する場合には、図示しないシリンダー錠により、デッドボルト３５の、ドア１の凹部２ｂへの係合が解除され解錠される。そして、利用者がハンドル２１に触れることにより、若しくはラッチ解除スイッチ６０の操作により、ラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除される。
解錠してドア１を開き屋外に出る際の動作について説明する。前述のように、カードキーのカード情報を電気錠装置４０の認証部に読み取らせることにより、まず電気的手段である電気錠によりデッドボルト３５の、ドア１の凹部２ｂへの係合が解除され解錠される。そして、利用者がハンドル２１に触れることにより、ラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除される。そして利用者は、ドア本体２の屋内側に設けられたハンドル２１を引き、屋外へ出る。一定時間が経過すると、錠は自動施錠される。

【0020】

以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態においては、ドア構造１００は、袖パネル４に設けられ、ハンドル２１の操作と連動せずに出没可能なラッチ出没体３１１が袖パネル４に設けられ、ラッチ出没体３１１を受入れ可能な凹部２ａが、ラッチ出没体３１１が設けられた袖パネル４の対向する位置に設けられている。これにより、ハンドル２１でラッチ解除をする必要が無い為、ハンドル２１を自由な位置に取り付けることが可能となり、ドア１のデザインの自由度が高めることが可能となる。また、ラッチや電気錠等をドア本体２内に格納する必要が無くなった為、ドア１のデザインの自由度を高めることが可能となる。

【0021】

また、本実施形態においては、ドア枠は、袖パネル４を含む。これにより、ラッチ装置３０に電気を供給する電源を袖パネル４に設ける構成とすることができ、ドア１のデザインの自由度を高めることが可能となる。

【0022】

本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、本実施形態においては、静電スイッチが用いられていたが、この構成に限定されない。例えば、静電スイッチに代えて、袖パネル４に人感センサーを設けて、利用者の手がハンドル２１に触れる位置にあることを検知するようにしてもよい。

【0023】

具体的には、図３に示すように、解錠してドア１を開く際には、利用者は、カードキーのカード情報を電気錠装置４０の認証部に読み取らせるとともに、手Ｈでハンドル２１に触れる。これにより、ハンドル２１近傍にある利用者の手Ｈが、人感センサー３２Ａにより検知され、電気錠装置４０による認証信号により認証が完了した場合に、ラッチボルト３１のラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除される。図３は、ドア構造の前記実施形態の第１変形例におけるラッチ装置３０の解除を示す図である。

【0024】

また、ハンドル２１に設けた自己発電スイッチ２０１Ｂによりラッチ出没体３１１を駆動させるようにしてもよい。

【0025】

具体的には、例えば、図４に示すように、ハンドル２１には、自己発電による電気により赤外線送信機から信号を送信する自己発電スイッチ２０１Ｂが設けられている。自己発電スイッチ２０１Ｂは、ハンドル２１を駆動することにより、自己発電する。そして電気錠装置４０による認証信号により認証が完了した場合に、自己発電した電気により図示しない赤外線送信機から赤外線受光部３２へ信号を送信して、ラッチボルト３１のラッチ出没体３１１の、ドア１の凹部２ａへの係合が解除される。図４は、ドア構造の前記実施形態の第２変形例におけるラッチ装置３０の解除を示す図である。

【0026】

また、ラッチ装置３０は、袖パネル４に設けられていたが、この構成に限定されない。例えば、図５に示すように、ラッチ装置３０Ｄ及びラッチ装置３０Ｄを駆動する電源は、ドア本体２に設けられていてもよい。より具体的には、ハンドル２１に図示しない静電スイッチが設けられ、図６に示すように、図示しない静電スイッチにより、ラッチ出没体３１１を駆動させてドア本体２に設けられたラッチ装置３０Ｄ（図５参照）の解除が行われてもよい。図５は、構造の一実施形態の第３の変形例における屋外側を示す正面図である。図６は、ドア構造の一実施形態の第４の変形例におけるラッチの解除を示す図である。

【0027】

削除

【0028】

また、本実施形態においては、ドア枠１１Ｂは、袖パネル４を含んでいたが、この構成に限定されない。例えば、ドア枠は、ドア枠に対して開閉可能な子扉により構成されてもよく、また、方立により構成されてもよい。

【0029】

また、ラッチ装置は、枠体の一部に設けられていてもよい。具体的には、例えば、図８に示すように、ラッチ装置３０が縦枠１１ｃに設けられ、電気錠装置４０、施解錠装置５０、及び、ラッチ解除スイッチ６０は、ドア本体２に設けられる。これに伴い、ラッチ装置３０、電気錠装置４０に電気を供給する電源は、縦枠１１ｃ、ドア本体２とのそれぞれに設けられる。図８は、ドア構造の前記実施形態の第６の変形例における屋外側を示す正面図である。また、図９に示すように、枠体１１ｃの幅が小さい場合には、ラッチ装置３０Ｄについても、電気錠装置４０、施解錠装置５０、及び、ラッチ解除スイッチ６０と同様に、ドア本体２に設けられてもよい。図９は、ドア構造の一実施形態の第７の変形例におけるラッチ装置３０Ｄの解除を示す図である。

【0030】

削除

【0031】

また、上記実施形態においては、人感センサー３２Ａや、静電スイッチ等の、ラッチ装置３０に接続された入力装置によって、人がハンドル２１に触れたことを検知等してラッチ装置の解除を行ったが、人感センサー３２Ａや、静電スイッチに限定されない。
例えば、入力装置としては、人感センサー３２Ａや、静電スイッチによる検知に代えて、カメラを用いて人の顔を認証してもよい。または、ミリ波レーダーを用いて、ドアのすぐ近くにいる人を認証してもよい。または、赤外線センサーを用いて、動く人を感知して認証してもよい。又は、熱感知センサーを用いて、人の体温を感知して認証してもよい。また、入力装置は、電気的装置のみならず機械的装置であってもよい。また、これらの入力装置は、１つ設けられてもよく、２つ以上設けられてもよい。

【符号の説明】

【0032】

１…ドア
２…ドア本体
４…袖パネル
１１Ａ…枠体（ドア枠）
１１Ｂ…ドア枠
１１ａ…上枠（横枠）
１１ｂ…下枠（横枠）
１１ｃ…縦枠
１１ｄ…縦枠
３０…ラッチ装置
４０…電気錠装置
７０…インターホン
８０…指紋認証装置
１００…ドア構造

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】