(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】建物の屋根の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240704BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20240704BHJP
【FI】
E04D13/18
H02S20/23 A
(21)【出願番号】P 2020062244
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桶屋 匡
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-146538(JP,A)
【文献】特開2000-170325(JP,A)
【文献】特開2009-019365(JP,A)
【文献】特開2006-037643(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0115275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00- 3/40
E04D 13/00-15/07
H02S 20/00-20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の化粧スレートと複数枚の建材型の太陽電池モジュールとが葺かれた隅棟を有する屋根を備える建物
の屋根の施工方法であって、
前記太陽電池モジュールは、前記化粧スレートの幅サイズ及び流れサイズの各々を、整数倍したサイズで
形成し、
前記屋根には、
流れ方向に隣り合う前記太陽電池モジュールの隅部を結ぶ線が、前記隅棟の傾斜に沿うように、前記太陽電池モジュールをずらして
施工し、
前記太陽電池モジュールのサイズは、前記屋根の勾配、及び前記屋根の軒の長さに基づいて決定する、
建物の屋根の施工方法。
【請求項2】
前記屋根の勾配が4.4寸の場合、幅サイズが、前記化粧スレートの幅サイズと同一で、流れサイズが、前記化粧スレートの流れサイズの2倍、或いは3倍に設定される前記太陽電池モジュールを施工し、
前記屋根の勾配が4.4寸~8.8寸であって、前記屋根の勾配が所定勾配よりも大きい場合、流れサイズが、化粧スレートの流れサイズの3倍以上に設定される前記太陽電池モジュールを施工し、
前記屋根の軒の長さが所定長よりも長い場合、幅サイズが、前記化粧スレートの幅サイズの2倍以上に設定される前記太陽電池モジュールを施工する、
請求項1に記載の建物の屋根の施工方法。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールが前記化粧スレートの幅サイズの1/N倍(Nは自然数)ずらして葺かれる、
請求項1に記載の建物の屋根の施工方法。
【請求項4】
前記自然数Nは、2、又は3である、
請求項3に記載の建物の屋根の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材型の太陽電池モジュールが葺かれた屋根を備える建物の屋根の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池セルを配置して屋根材と一体に構成した、いわゆる建材型の太陽電池モジュールが知られている(特許文献1参照)。この種の太陽電池モジュールのサイズは、太陽電池セルのサイズに依拠し、建材の化粧スレートのサイズとは無関係に定められる。
太陽電池モジュールのサイズを、太陽電池セルのサイズと無関係に、化粧スレートのサイズに依拠して定めることは可能である。この場合、並べて配置される太陽電池セルの個数が少なくなり、個々の太陽電池モジュールのモジュール出力が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建物の屋根に、複数枚の化粧スレートと複数枚の建材型の太陽電池モジュールとを葺く場合、それぞれのサイズが異なると、屋根材の加工手間が多くなり、太陽電池モジュール際で廃材が多くなる。また、太陽電池モジュールのサイズを化粧スレートのサイズに依拠させた場合、個々の太陽電池モジュールのモジュール出力が低下することから、屋根への設置容量の低下が問題となる。個々の太陽電池モジュールのサイズをあまり大型化すると、重量が重くなり、施工作業性が悪くなり、屋根上での取り回しが悪くなる、など様々な問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、施工作業性、屋根上での取り回しを悪化させず、設置容量の低下を抑制し、太陽電池モジュール際での化粧スレートの廃材を少なくした、太陽電池モジュールが葺かれた屋根を備える建物の屋根の施工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数枚の化粧スレートと複数枚の建材型の太陽電池モジュールとが葺かれた隅棟を有する屋根を備える建物の屋根の施工方法であって、前記太陽電池モジュールは、前記化粧スレートの幅サイズ及び流れサイズの各々を、整数倍したサイズで形成し、前記屋根には、流れ方向に隣り合う前記太陽電池モジュールの隅部を結ぶ線が、前記隅棟の傾斜に沿うように、前記太陽電池モジュールをずらして施工し、前記太陽電池モジュールのサイズは、前記屋根の勾配、及び前記屋根の軒の長さに基づいて決定する。
【0007】
本発明は、上記建物において、前記太陽電池モジュールのサイズは、前記屋根の勾配、及び前記屋根の軒の長さに基づいて決定されることを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記建物において、前記太陽電池モジュールが前記化粧スレートの幅サイズの1/N倍(Nは自然数)ずらして葺かれる、ことを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記建物において、自然数Nは、2、又は3である、ことを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記建物において、前記太陽電池モジュールは、前記化粧スレートの幅サイズを1倍にし、前記化粧スレートの流れサイズを2以上の整数倍にしたサイズで形成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の建物の屋根の施工方法によれば、施工作業性、屋根上での取り回しを悪化させず、設置容量kWの低下を抑制し、太陽電池モジュール際での化粧スレートの廃材を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】太陽電池モジュールが葺かれた屋根の一例を示す平面図である。
【
図3】太陽電池モジュールの設置構造の一例を示す断面図である。
【
図5】太陽電池モジュールが葺かれた屋根の別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の太陽電池モジュールが葺かれる建物10の一例を示す斜視図である。建物10は、例えば、居住用の家屋である。なお、図においてNは北を、Sは南を、Eは東を、Wは西を、それぞれ示す。
建物10は屋根20を備える。屋根20は、
図2に示すように平面視において矩形状に形成される。屋根20は屋根面23S、屋根面24E、屋根面25N、屋根面26W、大棟21、及び、二対の隅棟22を有する、いわゆる寄棟屋根である。屋根面23S、24E、25N、26Wの勾配は、互いに等しくなるように形成され、勾配は4.4寸に形成される。屋根面23Sは南側、屋根面24Eは東側、屋根面25Nは北側、屋根面26Wは西側の屋根面である。
【0014】
屋根面23S、及び屋根面25Nの各々は、
図2に示すように平面視において略台形状に形成される。屋根面24E及び屋根面26Wの各々は、平面視において略三角形状に形成される。
大棟21は屋根20の頂部に形成される。大棟21において屋根面23Sと屋根面25Nとが隣接する。大棟21には、大棟21に沿って棟包21aが取り付けられている。
4つの隅棟22の各々は、大棟21の両側の端部から、屋根面23Sと屋根面24Eとが隣接する位置、屋根面24Eと屋根面25Nとが隣接する位置、屋根面25Nと屋根面26Wとが隣接する位置、及び、屋根面26Wと屋根面23Sとが隣接する位置に沿って斜め下方に延びるように形成される。また、隅棟22の各々には、隅棟22に沿って、棟包22aが取り付けられている。
【0015】
図2は太陽電池モジュール31が葺かれた屋根20の一例を示す平面図である。なお、
図2において、化粧スレート2の構成を示すために棟包21a、及び棟包22aを破線で示した。
屋根面25Nと屋根面26Wには、複数枚の化粧スレート2が葺かれている。化粧スレート2の基本サイズは、例えば、幅サイズ910mm、流れサイズ182mmの矩形状に形成される。幅サイズは、幅方向Dbのサイズを示し、流れサイズは、流れ方向Daのサイズを示す。
【0016】
屋根面23Sと屋根面24Eには、複数枚の化粧スレート2と、複数枚の建材型の太陽電池モジュール31と、が葺かれている。屋根面23Sと屋根面24Eの、太陽電池モジュール31際の化粧スレート2は、基本サイズから適宜のサイズに切断されて、化粧スレートピース2bとして使用される。
【0017】
屋根面23S、及び屋根面24Eの各々において、一対の隅棟22間に太陽電池モジュール31が葺かれる。以下では、屋根面23Sについて主に説明する。
太陽電池モジュール31の幅サイズWbは化粧スレート2の幅サイズW2の1倍のサイズで形成され、太陽電池モジュール31の流れサイズWaは化粧スレート2の流れサイズW1の3倍のサイズで形成される。例えば、幅サイズ910mm、流れサイズ546mmの矩形状に形成される。
【0018】
本実施形態では、南の屋根面23Sに対し、上記サイズの複数の太陽電池モジュール31が葺かれる。太陽電池モジュール31は、流れ方向Daに並ぶ太陽電池モジュール31の各隅部31gを結ぶ直線L1が、隅棟22の傾斜に沿うように、ずらして葺かれる。直線L1は、太陽電池モジュールの隅部を結ぶ線の一例に対応する。
【0019】
太陽電池モジュール31は、軒27に沿って配置される。太陽電池モジュール31は、流れ方向Daの最下段の列に左右対称に9個、その上の列には幅方向Dbに幅サイズWbの2分の1ずらして同左右対称に8個、その上の列には幅方向Dbに幅サイズWbの2分の1ずらして7個、その上には幅方向Dbに幅サイズWbの2分の1ずらして6個、その上には幅方向Dbに幅サイズWbの2分の1ずらして5個、その上には幅方向Dbに幅サイズWbの2分の1ずらして4個、合計39個である。
【0020】
最上段の4個の太陽電池モジュール31の上の列には、上記サイズの複数の化粧スレート2が千鳥状に葺かれている。流れ方向に並ぶ太陽電池モジュール31の各隅部31gを結ぶ直線L1の近傍には、化粧スレート2を適宜の寸法に切断した、複数の化粧スレートピース2bが葺かれている。
【0021】
斜線を付した化粧スレートピース2bは、化粧スレート2を幅サイズWbの半分の寸法に切断したピースであり、施工が簡単で、余剰の廃料を少なくできる。屋根面23Sの全域に複数の太陽電池モジュール31が葺かれるため、太陽電池モジュール31際の化粧スレートピース2bは少なく、廃材が少なくなる。
【0022】
図3は屋根面23Sに葺かれる太陽電池モジュール31の断面図である。
太陽電池モジュール31は、太陽電池パネル311、ベース板金312、裏受材313、上フレーム314、及び下フレーム315を備え、複数の太陽電池セルを収容する。
ベース板金312は、図示しないビス等により屋根20の野地板200上に固定される。野地板200は水平方向に対して、角度θの勾配4.4寸で形成されている。ベース板金312の流れ方向Daのサイズは、太陽電池パネル311の流れ方向Daのサイズよりも大きく形成され、ベース板金312の幅方向Dbのサイズは、太陽電池パネル311の幅方向Dbのサイズよりも大きく形成される。
【0023】
ベース板金312の上面には、裏受材313、上フレーム314、及び下フレーム315が取り付けられる。裏受材313上に太陽電池パネル311が載置される。上フレーム314は太陽電池パネル311の上部をベース板金312に固定する。下フレーム315は太陽電池パネル311の下部をベース板金312に固定する。
また、流れ方向Daにおいて上側に位置する太陽電池モジュール31の下フレーム315に、その下側に位置する太陽電池モジュール31の上フレーム314が差し込まれる。屋根面24Eに葺かれる太陽電池モジュール31の設置構造も同様である。
【0024】
図4は、太陽電池モジュールサイズの検討図である。
本実施形態では、太陽電池モジュール31のサイズを化粧スレート2のサイズに依拠して定めている。すなわち、太陽電池モジュール31の幅方向Dbの幅サイズWbを、化粧スレート2のサイズと等しく910mmと設定し、太陽電池モジュール31の流れ方向Daの流れサイズWaを、1倍(182mm)、2倍(364mm)、或いは3倍(546mm)と変化させて検討している。
好適な例は、太陽電池モジュール31の幅方向Dbの幅サイズWbが、化粧スレート2のサイズと等しく910mmであり、太陽電池モジュール31の流れ方向Daの流れサイズWaが、3倍(546mm)である。
【0025】
モジュール出力比較は、流れサイズWaが1倍(182mm)のときの出力を100とした場合の出力の比を示す。流れサイズWaが2倍(364mm)のとき300、3倍(546mm)のとき600である。太陽電池モジュール31のセルはインチ単位で形成されるため、寸単位で形成される化粧スレート2のサイズには適合させ難い。本実施形態では、太陽電池モジュール31のサイズを、化粧スレート2のサイズに適合させており、モジュール外径サイズの割には収容されるセルの個数が少なくなる。したがって、流れサイズWaが182mmの整数倍となるときの、モジュールの面積においてセルの面積が占める割合は低くなる。この低下分は屋根への充填率%で補われる。
また、モジュールの面積において、セルの面積が占める割合の百分率をセル充填率と記載している。セル充填率(%)は、1倍(182mm)36.7%、2倍(364mm)が55.0%、3倍(546mm)が73.3%である。太陽電池モジュール31のサイズが大きくなることによって、セルの面積が占める割合は高くなる。
【0026】
屋根への充填率(%)は、1倍(182mm)が79.6%、2倍(364mm)が75.5%、3倍(546mm)が72.1%である。充填率(%)は、流れサイズWaが3倍(546mm)よりも大きくなると、さらに小さくなる。
図2を参照して、太陽電池モジュール31の流れサイズWaが大きくなると、隅棟22の近傍には、太陽電池モジュール31の葺かれない略三角形状のスペースが広がり、充填率(%)を低下させる。
【0027】
設置容量比較は、1倍(182mm)のときの設置容量を100とした場合の設置容量の比を示す。設置容量(kW)は、モジュール出力×設置枚数である。設置枚数は、1倍(182mm)のとき124枚、2倍(364mm)のとき62枚、3倍(546mm)のとき39枚であるから、設置容量比較は、2倍(364mm)のとき140、3倍(546mm)のとき180である。部品点数比較は、1倍(182mm)のときを100とした場合の部品点数の比を示す。2倍(364mm)のとき60であり、3倍(546mm)のとき45である。1倍(182mm)のとき、部品点数が2倍(364mm)のとき、3倍(546mm)のときと比べて、多くなることから、1倍(182mm)は、モジュール重量(kg)は軽いが、施工作業性が悪くなり、実用上採用し難い。
【0028】
本実施形態では、総合評価として、最良「◎」、良「〇」、可「△」とした。
望ましい形態は、2倍(364mm)又は3倍(546mm)である。1倍~3倍において、屋根への充填率(%)や、設置容量については、実用上大きな差異はない。太陽電池モジュール31は、サイズを2倍、3倍と大きくすると、設置枚数、及び部品点数は少なくなり、施工作業性は向上する。
太陽電池モジュール31は、サイズを2倍、3倍と大きくすると、モジュール重量は重くなる。ただし、施工作業性においては、3倍(546mm)の10kg程度までは、許容できるモジュール重量である。
したがって、3倍(546mm)が最良「◎」で、2倍(364mm)が良「〇」で、1倍(182mm)が可「△」としている。
【0029】
以上の検討結果に基づいて、本実施形態では、屋根面23Sの勾配θを4.4寸とし、太陽電池モジュール31の幅サイズWbを、化粧スレート2の幅サイズW2と同一、その流れサイズWaを、化粧スレート2の流れサイズW1の2倍、或いは3倍に設定している。
【0030】
本実施形態では、太陽電池モジュール31のサイズを化粧スレート2のサイズに依拠して定めているため、一個の太陽電池モジュール31に収容されるセルの個数は少なくなっている。したがって、一個当たりのモジュール出力は減少する。ただし、複数の太陽電池モジュール31は、流れ方向に並ぶ太陽電池モジュール31の各隅部31gを結ぶ直線L1が、隅棟22の傾斜に沿うように、太陽電池モジュール31がずらして葺かれているため、
図4の検討図に示すように、屋根への充填率%が、1倍(182mm)が76.9%、2倍(364mm)が75.5%%、3倍(546mm)が72.1%と、ともに、高い充填率%を維持できる。したがって、屋根20の設置容量kWを、比較的高い容量に維持できる。
【0031】
太陽電池モジュール31のサイズは、屋根面23Sの勾配、及び一対の隅棟22の間に配置される軒27の長さに基づいて決定しても良い。
本実施形態は、屋根面23Sの勾配θが4.4寸~8.8寸の屋根面に適用できる。例えば、屋根面23Sの角度θが4.4寸~8.8寸となる場合、角度θが大きくなるほど、大棟21と軒27との間の距離は長くなる。
角度θが大きくなった場合には、太陽電池モジュール31の流れ方向DaのサイズWaを化粧スレート2の幅サイズW2の3倍以上としてもよい。これにより、屋根面23Sに葺かれる太陽電池モジュール31の枚数を少なくできる。
【0032】
太陽電池モジュール31の幅サイズWaは、一対の隅棟22の間に配置される軒27、28の長さに基づいて決定しても良い。軒27の長さLAが長い場合には、太陽電池モジュール31の幅サイズを化粧スレート2の幅サイズW2の2倍以上とし、太陽電池モジュール31の枚数を少なくできる。
太陽電池モジュール31の枚数を減少させると、太陽電池モジュール31間の配線接続の作業量や、屋根面23S、24Eの施工作業量を低減でき、太陽電池モジュール31際の化粧スレート2の廃材を低減できる。
【0033】
太陽電池モジュール31をずらす際は、太陽電池モジュール31の各隅部31gを結ぶ直線L1が、隅棟22の傾斜に沿うように、ずらせば良い。
上記実施形態では、化粧スレート2の基本サイズを、幅サイズW2が910mm、流れサイズW1が182mmとした。この場合の、太陽電池モジュール31のずれ量は、化粧スレート2の幅サイズW2の1/2倍とした。これにより、太陽電池モジュール31際の化粧スレート2の廃材を低減できる。
【0034】
太陽電池モジュール31間の幅方向Dbへのずれ量は、化粧スレート2の幅サイズW2の1/N倍(Nは自然数)として決定してもよい。
例えば、化粧スレート2の基本サイズが、幅サイズW2が910mm、流れサイズW1が182mmよりも少ない、110mmとする。
この場合には、太陽電池モジュール31間の幅方向Dbへのずれ量は、化粧スレート2の幅サイズW2の1/3倍として決定しても良い。
【0035】
この場合、太陽電池モジュール31際の化粧スレート2の加工が容易である。例えば、化粧スレート2の幅サイズW2は、1/Nもしくは、(N-1)/Nに加工されるため、加工された残りの化粧スレート2の活用が容易である。
【0036】
図5は、他の実施形態を示す。
屋根20の屋根面23Sには、複数枚の化粧スレート2と、複数枚の建材型の太陽電池モジュール32と、が葺かれる。太陽電池モジュール32の幅サイズWbは、化粧スレート2の幅サイズW2と同一である。また、太陽電池モジュール32の流れサイズWeは、化粧スレート2の流れサイズW1の2倍である。
【0037】
太陽電池モジュール32は、隣り合う太陽電池モジュール32の隅部を結ぶ直線L2が隅棟22の傾斜に沿うように、ずらして葺かれる。直線L2は、「太陽電池モジュールの隅部を結ぶ線」の一例に対応する。
【0038】
図5においては、軒27から上方向に向けて、1列目と2列目は幅方向Dbにずらさずに葺き、3列目は2列目に対して、幅方向Dbに距離1/2Wbずらして葺き、4列目は3列目に対して、幅方向Dbに距離1/2Wbずらして葺く。また、5列目は4列目に対して、幅方向Dbにずらさずに葺き、6列目は5列目に対して、幅方向Dbに距離1/2Wbずらして葺く。7列目は6列目に対して、幅方向Dbに距離1/2Wbずらして葺き、8列目は7列目に対して、幅方向Dbに距離1/2Wbずらして葺く。9列目は8列目に対して、幅方向Dbにずらさずに葺き、10列目は9列目に対して、幅方向Dbに距離1/2Wbずらして葺く。
なお、屋根面23Sの勾配は4.4寸である。化粧スレート2の基本サイズは、上記実施形態のサイズと同じである。
【0039】
本実施形態では、太陽電池モジュール32の流れサイズWeが、化粧スレート2の流れサイズW1の2倍(364mm)であり、
図4の検討図における、2倍(364mm)に相当する。したがって、屋根への充填率(%)は82.9%、設置枚数は62枚、設置容量(kW)は3.10kwとなる。重量(kg)は3倍(546mm)のものよりも軽くなり、施工作業性が良くなり、実用上採用できる。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施形態においては、複数枚の化粧スレート2と複数枚の建材型の太陽電池モジュール31とが葺かれた隅棟22を有する屋根20を備える建物10であって、太陽電池モジュール31は、化粧スレート2の幅サイズW2及び流れサイズW1の各々を、整数倍したサイズで形成され、屋根20には、流れ方向Daに隣り合う太陽電池モジュール31の隅部を結ぶ線である直線L1が、隅棟22の傾斜に沿うように、前記太陽電池モジュールがずらして葺かれる。
これによれば、施工作業性、屋根20上での取り回しを悪化させず、設置容量(kW)の低下を抑制し、太陽電池モジュール31際での化粧スレート2の廃材を少なくできる。
屋根20に葺かれた建材型の太陽電池モジュール31の屋根面23Sへの充填率を向上できる。化粧スレート2が寸単位で形成される場合、太陽電池モジュール31に配置される太陽電池セルはインチ単位で形成されるため、太陽電池モジュール31に配置される太陽電池セルの個数が少なくなる。しかし、屋根面23Sに葺かれる太陽電池モジュール31の充填率を向上することにより、太陽電池モジュール31全体の効率の低下を抑制できる。
また、太陽電池モジュール31が葺かれない部分の面積を低減することにより、加工が必要となる化粧スレート2の枚数を低減できる。加工の作業が低減するので、太陽電池モジュール31の施工作業の効率を向上することができる。
【0041】
本発明の実施形態においては、太陽電池モジュール31のサイズは、屋根20の勾配、及び屋根20の軒27の長さに基づいて決定される。
これによれば、屋根20の形状に応じて、太陽電池モジュール31のサイズを決定することによって、太陽電池モジュール31が葺かれない部分の面積を低減し、加工が必要となる化粧スレート2の枚数を低減でき、施工作業の効率を向上することができる。
【0042】
本発明の実施形態においては、太陽電池モジュール31が化粧スレート2の幅サイズW2の1/N倍(Nは自然数)ずらして葺かれる。
これによれば、屋根20の美観を向上できるとともに、加工が必要となる化粧スレート2の枚数を低減することによって、太陽電池モジュール31の施工作業の効率を向上できる。また、化粧スレート2の施工により生じる廃材を低減できる。
【0043】
本発明の実施形態においては、自然数Nは、2、又は3である。
これによれば、太陽電池モジュール31を葺く場合において、化粧スレート2の加工を容易にすることができ、太陽電池モジュール31の施工作業の効率を向上することができる。
【0044】
本発明の実施形態においては、太陽電池モジュール31は、化粧スレート2の幅サイズW2を1倍にし、化粧スレート2の流れサイズW1を2以上の整数倍にしたサイズで形成される。
太陽電池モジュール31の枚数を低減することによって、太陽電池モジュールの施工作業の効率を向上することができる。
また、太陽電池モジュール31の面積を大きくすることで、太陽電池モジュール31に配置される太陽電池セルの個数を増大できる。
【0045】
上述の実施形態は、本発明の一実施の態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
実施形態において、太陽電池モジュール31の幅サイズWbを化粧スレート2の幅サイズW2の1倍、太陽電池モジュール31の流れサイズWaを化粧スレート2の流れサイズの3倍としたが、太陽電池モジュール31は、化粧スレート2の幅サイズW2及び流れサイズW1の各々を、整数倍したサイズで形成され整数倍したサイズで形成してもよい。
また、流れ方向Daに隣り合う太陽電池モジュール31の隅部を結ぶ線は、曲線であってもよい。
【0046】
化粧スレート2のサイズは、幅サイズ910mm、流れサイズ182mmの矩形状に限定されるものではなく、屋根面を葺くのに使用される化粧スレートのサイズを適用してもよい。
太陽電池モジュール31が葺かれる屋根面は、屋根面23S、及び屋根面24Eに限定されるものではなく、屋根面23S、屋根面24E、屋根面25N、及び屋根面26Wの内の1つ又は複数の組合わせてであっても良い。
また、太陽電池モジュール31が葺かれる屋根20は、寄棟屋根の他に、方形造り屋根、入母屋屋根であっても良い。
【符号の説明】
【0047】
2 化粧スレート
10 建物
20 屋根
22 隅棟
23S 屋根面
31 太陽電池モジュール
L1 直線