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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20240704BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240704BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61F13/56 211
A61F13/49 311
A61F13/49 315
A61F13/62
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020118026
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015295
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 好美
(72)【発明者】
【氏名】南岡 政宏
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-345890(JP,A)
【文献】実開平05-039531(JP,U)
【文献】特開平11-299832(JP,A)
【文献】特開2010-148961(JP,A)
【文献】特開2011-229984(JP,A)
【文献】特開2003-275244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体と、該吸収体の非肌対向面側に配された外装体とを具備し、前身頃及び後身頃それぞれにおける該外装体の縦方向に沿う両側縁部どうしが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型吸収性物品であって、
前記ウエスト開口部に、該ウエスト開口部の周方向に沿って伸長状態で弾性部材が配されてウエストギャザーが形成されているとともに、
前記レッグ開口部に、該レッグ開口部の周方向に沿って伸長状態で弾性部材が配されてレッグギャザーが形成されており、
前記パンツ型吸収性物品は、前記ウエスト開口部及び前記レッグ開口部の周長の変更が独立に可能であり且つ変更後の該周長の維持が可能なウエスト締結機構及びレッグ締結機構を、外部から視認可能なように、前記前身頃における前記サイドシール部以外の位置に有しており、
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構はそれぞれ、幅方向と、該幅方向よりも寸法の長い長手方向を有する略矩形形状を有し、
前記ウエスト締結機構は、該ウエスト締結機構の長手方向が前記ウエスト開口部の周方向と略一致するように配置されており、
前記レッグ締結機構は、該レッグ締結機構の長手方向が前記レッグ開口部の周方向と略一致するように配置されており、
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構はそれぞれ、前記長手方向の一端寄りに位置し且つ該ウエスト締結機構及び該レッグ締結機構を前記前身頃に接合させるための固定部位と、該長手方向の他端寄りに位置し且つ変更後の前記周長を維持するための止着部位とを備えており、
前記止着部位は、該止着部位により前記周長を変更する前の状態及び該止着部位による該周長の維持状態において外部に露出しない位置に設けられており、
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構はそれぞれ、前記止着部位を前記前身頃の中央側に向け、前記固定部位を前記サイドシール部側に向けて配されており、
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構はそれぞれ、前記止着部位により前記周長を変更する前の状態及び該止着部位による該周長の維持状態のいずれにおいても、前記パンツ型吸収性物品の厚み方向において、前記サイドシール部と重ならないようになされ
ており、
前記ウエスト締結機構は、前記パンツ型吸収性物品の厚み方向において、前記ウエストギャザーと重ならない位置に配されており、
前記レッグ締結機構は、前記パンツ型吸収性物品の厚み方向において、前記レッグギャザーと重ならない位置に配されている、パンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記ウエスト締結機構は、該ウエスト締結機構の前記長手方向に長い形状の基材シートを備え、
前記レッグ締結機構は、該レッグ締結機構の前記長手方向に長い形状の基材シートを備え、
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構それぞれにおいて、前記固定部位は前記基材シートの一端寄りに位置し、前記止着部位は該基材シートの他端寄りに位置しており、
前記ウエスト締結機構における前記基材シートの幅が、前記レッグ締結機構における前記基材シートの幅よりも広くなっている、請求項1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記固定部位及び前記止着部位は、前記基材シートにおける同一の面に位置しており、
前記ウエスト締結機構は、前記ウエスト開口部寄りの位置に2箇所設けられており、
前記レッグ締結機構は、前記レッグ開口部寄りの位置にそれぞれ1箇所ずつ設けられている、請求項2に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構それぞれにおける前記基材シートの幅が前記サイドシール部の長さの1/4以下である、請求項2又は3に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
前記ウエストギャザーに隣接し且つ該ウエストギャザーよりもレッグギャザー寄りの位置に前記ウエスト締結機構が2箇所設けられているとともに、
前記各レッグギャザーに隣接し且つ該レッグギャザーよりもウエストギャザー寄りの位置に前記レッグ締結機構がそれぞれ1箇所ずつ設けられている、請求項2ないし4のいずれか一項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項6】
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構それぞれにおける前記基材シートは、該基材シートの隅部が丸みを帯びた曲線状になっている、請求項2ないし5のいずれか一項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項7】
前記ウエスト締結機構及び前記レッグ締結機構それぞれにおける前記基材シートが、該基材シートの長手方向に沿って伸縮性を有している、請求項2ないし6のいずれか一項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項8】
前記ウエストギャザーのうち、前記前身頃に位置する部分の伸長応力が、前記後身頃に位置する部分の伸長応力よりも高くなっている、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項9】
前記外装体のうち前記前身頃に位置する部分の最表面を構成するシートは、該シートの坪量が35g/m以上60g/m以下である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつなどのパンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
老化、怪我や病気、先天的などの理由で、腰周り長に対して、脚周り長が細い人々がいることが知られている。そのような人々が通常のパンツ型おむつを着用した場合、レッグギャザーの伸縮の範囲内では十分なフィット性が得られず、おむつと脚周りとの間に隙間が生じてしまい、脚周りからの排泄物の漏れに対して不安を与えてしまうことがある。そこで、腰周り長及び脚周り長を独立で調整可能なパンツ型おむつが提案されている。
【0003】
例えば本出願人は先に、ウエスト開口部の周縁部に、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されていない未接合部分を有し、該未接合部分の腹側部側又は背側部側に、他方の側に対して着脱自在に止着可能な締結手段が設けられている使い捨ておむつを提案した(特許文献1参照)。この使い捨ておむつにおいては、レッグ開口部側の周縁部に、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されていない未接合部分を有し、該未接合部分の腹側部側又は背側部側に、他方の側に対して着脱自在に止着可能な脚周り締結手段も設けられている。
【0004】
これとは別に本出願人は、両側が引き裂き可能に結合されている使い捨てパンツにおいて、両側部のウエスト開口部近傍及びレッグ開口部近傍の外表面に、該パンツの他の外表面と着脱自在で、ウエスト開口サイズ又はレッグ開口サイズを調節可能な締結手段を設けることを提案した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-160686号公報
【文献】特開2008-142357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の技術によれば、おむつの腰周り長及び脚周り長を独立して調整することが可能である。しかし、腰周り長及び脚周り長を調整するための締結部材がおむつのサイドシール部に位置していることから、該サイドシール部が硬く形成されることがある。また、締結手段が必ずしも前身頃側に位置している訳ではないので、腰周り長及び脚周り長の調整の操作性が良好とはいえない。
したがって本発明の課題は、腰周り長及び脚周り長の独立した調整を容易に行うことができ且つ着用感が良好なパンツ型吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸収体と、該吸収体の非肌対向面側に配された外装体とを具備し、前身頃及び後身頃それぞれにおける該外装体の縦方向に沿う両側縁部どうしが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型吸収性物品であって、
前記パンツ型吸収性物品は、前記ウエスト開口部及び前記レッグ開口部の周長の変更が独立に可能であり且つ変更後の該周長の維持が可能な締結機構を、外部から視認可能なように、前記前身頃における前記サイドシール部以外の位置に有しており、
前記締結機構は、変更後の前記周長を維持するための止着部位を備えており、
前記止着部位は、該止着部位により前記周長を変更する前の状態及び該止着部位による該周長の維持状態において外部に露出しない位置に設けられている、パンツ型吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、腰周り長及び脚周り長の独立した調整を容易に行うことができ且つ着用感が良好なパンツ型吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明のパンツ型吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの自然状態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつのII-II線断面図である。
図3図3は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの、腰周り長及び脚周り長を調整した後の状態を示す斜視図である。
図4図4は、本発明のパンツ型吸収性物品の他の実施形態の展開且つ伸長状態における前身頃の非肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
図5図5は、本発明のパンツ型吸収性物品の更に他の実施形態の展開且つ伸長状態における前身頃の非肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
図6図6は、本発明のパンツ型吸収性物品の更に他の実施形態の展開且つ伸長状態における前身頃の非肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明のパンツ型吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」とも言う。)1が示されている。
【0011】
おむつ1は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する長手方向Xとこれに直交する幅方向Yとを有する縦長の形状をしている。おむつ1は、着用者の股間部に配される股下部B並びにその前後に延在する腹側部A及び背側部Cを有する。
【0012】
おむつ1は、図1に示すように、吸収性本体4と、該吸収性本体4の非肌対向面側に配された外装体5とを具備する。
【0013】
外装体5は、図1及び図2に示すように、おむつ1の外面を形成する非肌対向面側の外層シート51と、肌対向面側の内層シート52と、外層シート51と内層シート52との間に間欠的に配された複数の弾性部材53,54とを有している。
【0014】
「肌対向面」は、おむつ又はその構成部材(例えば外装体)に着目したときに、おむつの着用時に着用者の肌に向けられる面であり、「非肌対向面」は、おむつの着用時に着用者の肌とは反対側に向けられる面である。また「着用時」及び「着用状態」は、おむつの適正な着用位置が維持されて着用された状態を指す。
【0015】
おむつ1は、図1に示すように、長手方向Xの中央に位置する縦方向中心線CLxを境界として着用時に着用者の前側(腹側)に配される前身頃Fと着用者の背側(後側)に配される後身頃Rとに区分される。腹側部Aはおむつ1の前身頃Fの一部であり、背側部Cはおむつ1の後身頃Rの一部である。股下部Bは、おむつ1の前身頃Fから後身頃Rに亘って存在する。
【0016】
おむつ1においては、図1に示すように、前身頃F及び後身頃Rそれぞれにおける外装体5の縦方向Xに沿う両側縁部どうしが接合されている。これにより、おむつ1には一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WH及び一対のレッグ開口部LHが形成されている。
【0017】
おむつ1においては、図1に示すように、ウエスト開口部WHに、その周方向に沿って伸長状態で弾性部材53が配されている。弾性部材53は、腹側部A及び背側部Cそれぞれにおける長手方向Xに沿う各側部どうしの間、すなわち一対のサイドシール部S,S間の全域に配されている。弾性部材53は、自然状態において収縮し、それにより、ウエスト開口部WHの周縁部にウエストギャザーWGが形成される。
【0018】
おむつ1においては、図1に示すように、レッグ開口部LHに、その周方向に沿って伸長状態で弾性部材54が配されている。弾性部材54は、自然状態において収縮し、それにより、レッグ開口部LHの周縁部にレッグギャザーLGが形成される。
【0019】
おむつ1は、図1に示すように、前身頃Fに締結機構10を有している。締結機構10は、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHの周長を調整した状態で維持するために用いられるものである。締結機構10の具体的な使用方法は後述する。
【0020】
締結機構10は、前身頃Fにおける外装体5の外面に取り付けられている。締結機構10は、前身頃Fにおける長手方向Xに沿う各側部どうし間、すなわち一対のサイドシール部S,S間に位置している。締結機構10は、サイドシール部Sとおむつ1の厚み方向において重ならない位置に配されている。換言すれば、締結機構10はサイドシール部S以外の位置に配されている。
【0021】
本実施形態において、締結機構10は、図1に示すように、前身頃Fに4箇所に設けられている。4つの締結機構10は、ウエスト開口部WH寄りの位置に設けられた一対のウエスト締結機構10W,10Wと、各レッグ開口部LH寄りの位置にそれぞれ設けられた一対のレッグ締結機構10L,10Lとからなる。
【0022】
ウエスト締結機構10Wは幅方向と、該幅方向よりも寸法の長い長手方向を有する略矩形形状を有している。ウエスト締結機構10Wは、その長手方向が該ウエスト開口部WHの周方向と略一致するように配置されている。
【0023】
ウエスト締結機構10Wは、図1及び図2に示すように、ウエストギャザーWGに隣接した位置に設けられている。詳細には、ウエスト締結機構10Wは、ウエストギャザーWGよりもレッグギャザーLG寄りの位置に設けられている。ウエスト締結機構10Wは、ウエストギャザーWGとおむつ1の厚み方向において重ならない位置に配されている。この位置にウエスト締結機構10Wを配することで、ウエスト締結機構10Wによってウエスト開口部WHの周長を変更したときに、レッグ開口部LHの周長が意図せず一緒に変更されてしまうことを効果的に防ぐことができる。
【0024】
一方、レッグ締結機構10Lは、図1に示すように、各レッグ開口部LH,LH寄りの位置にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。レッグ締結機構10Lは、幅方向と、該幅方向よりも寸法の長い長手方向を有する略矩形形状を有している。レッグ締結機構10Lは、その長手方向がレッグ開口部LHの周方向と略一致するように設けられている。
【0025】
レッグ締結機構10Lは、図1に示すように、各レッグギャザーLGに隣接し且つレッグギャザーLGよりもウエストギャザーWG寄りの位置に設けられている。したがってレッグ締結機構10Lは、レッグギャザーLGとおむつ1の厚み方向において重ならない位置に配されている。レッグ締結機構10LがレッグギャザーLGに隣接した位置に設けられていることにより、レッグ締結機構10Lによりレッグ開口部LHの周長を変更したときに、ウエスト開口部WHの周長が意図せず一緒に変更されてしまうことを効果的に防ぐことができる。
【0026】
ウエスト締結機構10G及びレッグ締結機構10Lは、図1に示すように、外部から視認可能なように外装体5の外面に取り付けられている。締結機構10の非肌対向面側には他の部材は配されておらず、締結機構10の非肌対向面側は他の部材によって被覆されていない。したがって、おむつ1の胴周り及び脚周りの周長をウエスト締結機構10G及びレッグ締結機構10Lによって調整し得ることを直感的に着用者又は介助者に認識させることができる。
【0027】
ウエスト締結機構10Wは、図1及び図3に示すように、ウエスト開口部WHの周長の変更が独立に可能であるように構成されている。同様に、レッグ締結機構10Lは、レッグ開口部LHの周長の変更が独立に可能であるように構成されている。ウエスト開口部WHの周長の変更が独立に可能であるとは、レッグ開口部LHの周長に実質的な影響を与えることなく、ウエスト開口部WHの周長を変更できることを意味する。レッグ開口部LHの周長の変更が独立に可能であるとは、ウエスト開口部WHの周長に実質的な影響を与えることなく、レッグ開口部LHの周長を変更できることを意味する。
【0028】
更に、ウエスト締結機構10Wは、ウエスト開口部WHの変更後の周長の維持が可能であるように構成されている。同様に、レッグ締結機構10Lも、レッグ開口部LHの変更後の周長の維持が可能であるように構成されている。この目的のために、ウエスト締結機構10W及びレッグ締結機構10Lは、図1及び図2に示すように、基材シート11と固定部位13と止着部位12とを備えていることが好ましい。基材シート11は一方向に長い矩形形状を有している。
【0029】
基材シート11の外形は、ウエスト締結機構10W及びレッグ締結機構10Lの外形をなしている。本実施形態においては、ウエスト締結機構10Wにおける基材シート11の寸法と、レッグ締結機構10Lにおける基材シート11の寸法とは同一になっている。基材シート11の材料としては、例えば、不織布、樹脂フィルム等が挙げられる。
【0030】
固定部位13は基材シート11の長手方向に沿う一端寄りに位置している。一方、止着部位12は基材シート11の長手方向に沿う他端寄りに位置している。締結機構10は、止着部位12をおむつ1の中央側に向け、固定部位13をサイドシール部S側に向けて配されている。また、ウエスト締結機構10W及びレッグ締結機構10Lはいずれも、図2に示すように、基材シート11における止着部位12が設けられている側の面を、外装体5の非肌対向面側に向けて、前身頃Fに取り付けられている。
【0031】
固定部位13は、ウエスト締結機構10W及びレッグ締結機構10Lとおむつ1の前身頃Fとを接合させる部位である。固定部位13を形成する方法は特に制限されない。例えば、基材シート11と、外装体5の最表面を構成するシートとを接着剤等により固定することにより形成することができる。あるいは、基材シート11と、外装体5の最表面を構成するシートとを融着することにより形成することができる。
【0032】
固定部位13は、基材シート11の幅方向の全域に亘って形成することができる。つまり、固定部位13の幅と基材シート11の幅とを同一にすることができる。これに代えて、基材シート11の幅よりも、固定部位13の幅を狭くしてもよい。
【0033】
止着部位12は、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHの変更後の周長を維持するための部位である。止着部位12は、該止着部位12により前記周長を変更する前の状態及び該止着部位12による該周長の維持状態において外部に露出しない位置に設けられている。こうすることで、おむつ1を装着している状態で及びおむつ1を脱着するときに、止着部位12が手等の身体と擦れることを防ぐことができる。また、おむつ1を装着している状態で、止着部位12が衣服等に接触してダメージを与えてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
図1では、説明の便宜上、一対のレッグ締結機構10L,10Lのうち、一方のレッグ締結機構10Lの止着部位12が露出した状態が示されているが、実際のおむつ1では、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHの周長を変更する前の状態において、4つの締結機構10はすべて、止着部位12が前身頃Fに止着している状態となっている。換言すれば、本実施形態では、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHの周長を変更する前の状態において、4つの締結機構10それぞれの止着部位12は外部に露出していない。
【0035】
本実施形態において止着部位12は、基材シート11における1箇所にのみ設けられている。本実施形態において、止着部位12は、基材シート11の幅方向の全域に亘って配することができる。これに代えて、基材シート11の幅よりも、止着部位12の幅を狭くしてもよい。基材シート11の長手方向に沿う止着部位12の長さは、固定部位13の長さよりも長くすることができ、あるいは同等又は短くすることができる。
【0036】
止着部位12は、例えば、基材シート11の一面に面ファスナーのオス部材を配することにより形成することができる。また、基材シート11の一面に感圧接着剤等を塗布することにより形成することもできる。
【0037】
本実施形態のおむつ1は、以下のようにして使用することができる。
まず、ウエスト開口部WHの周長を調整する場合について説明する。ウエスト締結機構10Wの止着部位12がおむつ1の前身頃Fに止着している場合、該止着部位12を前身頃Fから剥がす。次に、ウエスト締結機構10Wにおける止着部位12側を把持し、おむつ1の前身頃Fにおける幅方向の中央側へ引っ張る。ウエスト締結機構10Wを前記中央側へ引っ張ることにより、ウエスト開口部WHの周長が短くなる。そして、ウエスト締結機構10Wを引っ張った状態のまま、図3に示すように、ウエスト締結機構10Wの止着部位12をおむつ1の前身頃Fに止着する。以上の操作により、ウエスト開口部WHの周長を短くすることができる。
【0038】
次に、レッグ開口部LHの周長を調整する場合について説明する。レッグ締結機構10Lの止着部位12がおむつ1の前身頃Fに止着している場合、該止着部位12を前身頃Fから剥がす。次に、レッグ締結機構10Lにおける止着部位12側を把持し、おむつ1の股下部B側へ引っ張る。レッグ締結機構10Lを股下部B側へ引っ張ることにより、レッグ開口部LHの周長が短くなる。そして、レッグ締結機構10Lを引っ張った状態のまま、図3に示すように、レッグ締結機構10Lの止着部位12をおむつ1の前身頃Fに止着する。以上の操作により、レッグ開口部LHの周長を短くすることができる。あるいは、レッグ締結機構10Lにおける止着部位12側を把持し、おむつ1の前身頃Fにおける幅方向の中央側へ引っ張り、レッグ締結機構10Lを引っ張った状態のまま、レッグ締結機構10Lの止着部位12をおむつ1の前身頃Fに止着することによってもレッグ開口部LHの周長を短くすることができる。
【0039】
本実施形態のおむつ1によれば、図3に示すように、各締結機構10W,10Lによって、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHの周長を変更した状態を維持することが可能であるので、腰周り長及び脚周り長の独立した調整を容易に行うことができる。
【0040】
更に、本実施形態のおむつ1は、図1ないし図3に示すように、前身頃Fにおけるサイドシール部S以外の位置に締結機構10を有しているので、着用感が良好である。詳細にはサイドシール部Sと締結機構10とがおむつ1の厚み方向に重なっている場合には、サイドシール部Sと、締結機構10における固定部位13とが重なり多層の部分が生じてしまう。サイドシール部Sや固定部位13は複数の部材どうしの融着等によって形成されていることから、おむつ1の他の部位に比して硬く形成されることが多い。したがって、サイドシール部Sと締結機構10とが重なる場合には、重なった部分が更に硬くなり、該重なった部分によって着用者が異物感を知覚してしまう場合がある。これに対して本実施形態のおむつ1においては、締結機構10はサイドシール部S以外の位置に配されているので、サイドシール部Sと締結機構10とがおむつ1の厚み方向に重なることで生じる硬い部分を有さない。その結果、本実施形態のおむつ1は、着用者が異物感を知覚しにくく、着用感が良好になる。
【0041】
おむつ1においては、ウエストギャザーWGのうち、前身頃Fに位置する部分の伸長応力が、後身頃Rに位置する部分の伸長応力よりも高くなっていることが好ましい。これにより、おむつ1の着用時に、ウエスト締結機構10Wが着用者の腹側に偏倚しやすくなる。このことに起因して、椅子等に座っているときに背もたれ等で背中が擦れた場合であっても、着用者が背中に異物感を知覚することを防ぐことができる。また、おむつ1の着用時にウエスト締結機構10Wが着用者の腹側に偏倚するので、ウエスト締結機構10Wの操作性が良好となる。これらの効果を一層顕著にする観点から、ウエストギャザーWGにおける前身頃Fに位置する部分の伸長応力は、ウエストギャザーWGにおける後身頃Rに位置する部分の伸長応力に対して、好ましくは130%以上、より好ましくは140%以上、更に好ましくは150%以上であり、また好ましくは300%以下、より好ましくは250%以下、更に好ましくは220%以下である。
【0042】
おむつ1においては、ウエストギャザーWGと同様に、レッグギャザーLGのうち、前身頃Fに位置する部分の伸長応力が、後身頃Rに位置する部分の伸長応力よりも高くなっていることが好ましい。これにより、おむつ1の着用時に、レッグ締結機構10Lが着用者の腹側に偏倚しやすくなる。このことに起因して、椅子等に座っているときに背もたれ等で背中が擦れた場合であっても、着用者が背中に異物感を知覚することを防ぐことができる。また、おむつ1の着用時にレッグ締結機構10Lが着用者の腹側に偏倚するので、レッグ締結機構10Lの操作性が良好となる。これらの効果を一層顕著にする観点から、レッグギャザーLGにおける前身頃Fに位置する部分の伸長は、レッグギャザーLGにおける後身頃Rに位置する部分の伸長応力に対して、好ましくは130%以上、より好ましくは140%以上、更に好ましくは150%以上であり、また好ましくは300%以下、より好ましくは250%以下、更に好ましくは220%以下である。
【0043】
伸長応力は以下のようにして測定することができる。
<伸長応力の測定方法>
ウエストギャザーWG及びレッグギャザーLGそれぞれの部分から、配されている弾性部材53,54の全本数が含まれるように且つ該弾性部材53,54の伸縮方向が長手方向になるようにサンプルを切り出す。サンプルのサイズは、自然長で幅50mm×長さ150mmとなるようにする。切り出したサンプルをチャック間距離が100mmとなるように引っ張り試験機のチャックに固定して、300mm/分の速度で引っ張る。チャック間が200mmの時の応力を伸長応力とする。
【0044】
おむつ1においては、外装体5のうち前身頃Fに位置する部分の最表面を構成するシートは、高坪量の不織布であることが好ましい。これにより、締結機構10を着脱した際の剪断力によって該シートが破壊されてしまい締結不能となることを効果的に防止することができる。このような効果が確実に奏されるようにする観点から、外装体のうち前身頃Fに位置する部分の最表面を構成するシートは、その坪量が好ましくは35g/m以上、より好ましくは38g/m以上であり、また好ましくは60g/m以下、より好ましくは55g/m以下であり、また好ましくは35g/m以上60g/m以下、より好ましくは38g/m以上55g/m以下である。
【0045】
外装体5のうち前身頃Fに位置する部分の最表面を構成するシートの坪量は以下のようにして測定することができる。
<坪量の測定方法>
外装体5を構成するシートどうしがホットメルト接着剤で張り合わされている場合は、有機溶剤を用いてホットメルト接着剤のみを溶かし最表面を構成するシートをはぎ取る。その後最表面を構成するシートに残っている溶剤を十分に乾燥させた後、該シートを100×100mmのサイズにカットしたものの質量値から坪量を算出する。同様の方法での測定を3回行い、その平均値を坪量とする。外装体5が2層構成とされており、各層を構成するシートどうしが溶着により貼り合わされている場合は、最表面を構成するシートにダメージを極力与えないように該シートを剥ぎ取り、該シートを100×100mmのサイズにカットしたものの質量値から坪量を算出する。同様の方法での測定を3回行い、その平均値を坪量とする。
【0046】
おむつ1においては、図1に示すように、締結機構10における基材シート11はその幅Lがサイドシール部Sの長さDの1/4以下となっていることが好ましい。基材シート11の幅Lとは、固定部位13での幅Lを意味する。固定部位13の幅が一定でない場合、固定部位13の幅が最大となる幅を、固定部位13の幅Lとする。基材シート11の幅Lがサイドシール部Sの長さDの1/4以下となっていることにより、締結機構10によってウエスト開口部WHの周長又はレッグ開口部LHの周長を調整したときに、周長を調整しようとした部分の周長のみならず、それ以外の部分の周長までも調整されてしまうことを防ぐことができる。このような効果が奏されるようにする観点から、前記幅Lは、サイドシール部Sの長さDに対してより好ましくは1/5以下である。
サイドシール部Sの長さDに対する基材シート11の幅Lの比の下限値は、ウエスト開口部WHの周長又はレッグ開口部LHの周長を調整した後に、止着部位12が不意に外れたりせず調整後の周長を維持するという観点から、1/6とすることができる。
【0047】
サイドシール部Sの長さDは、おむつ1が大人用のおむつである場合、好ましくは10cm以上、より好ましくは12cm以上であり、また好ましくは26cm以下、より好ましくは25cm以下であり、好ましくは10cm以上26cm以下、より好ましくは12cm以上25cm以下である。
【0048】
基材シート11の幅Lは、おむつ1が大人用のおむつである場合、締結機構10を引っ張りやすくする観点から、好ましくは1.7cm以上、より好ましくは2.0cm以上であり、また、締結機構10によって周長を調整しようとした部分以外の周長が調整されてしまうことを防ぐ観点から、好ましくは6.5cm以下、より好ましくは5.2cm以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは1.7cm以上6.5cm以下、より好ましくは2.0cm以上5.2cm以下である。
【0049】
締結機構10における基材シート11は、図1に示すように、その隅部が丸みを帯びた曲線状になっていることが好ましい。こうすることで、基材シート11の隅部に手等が触れた場合であっても、違和感を知覚しにくくすることができる。
【0050】
次に、本発明の別の実施形態について図4図6を参照しながら説明する。図4図6に示す実施形態については、図1図3に示す実施形態と異なる点についてのみ説明する。図4図6に示す実施形態について特に説明しない点は、図1図3に示す実施形態と同様であり、同実施形態についての説明が適宜適用される。
【0051】
図4に示す実施形態のおむつ1は、ウエスト締結機構10Wの幅L1と、レッグ締結機構10Lの幅L2とが異なっている。より具体的には、ウエスト締結機構10Wの幅L1の方が、レッグ締結機構10Lの幅L2よりも広くなっている。こうすることで、レッグ締結機構10Lによって、レッグ開口部LHの周長を調整したときに、レッグ開口部LHの周長を調整しやすく、且つ、ウエスト開口部WHの周長や、ウエスト開口部WHとレッグ開口部LHの間であり締結機構10が配されていない部分の周長が影響を受けにくくすることができ、脚周りをしっかりフィットさせることができる。また、ウエスト開口部WHの周長を変更するためにウエスト締結機構10Wを引っ張るのに要する力の方が、レッグ開口部LHの周長を変更するためにレッグ締結機構10Lを引っ張るのに要する力に比して大きいことも、ウエスト締結機構10Wの幅L1をレッグ締結機構10Lの幅L2よりも広くした理由の1つである。また、ウエスト締結機構10Wの幅L1が広いので、ウエスト開口部WHの周長を調整したときに、ウエスト締結機構10Wをしっかり止着させ、腰周りをしっかりフィットさせることもできる。
【0052】
このような効果が奏されるようにする観点から、L2に対するL1の比(L1/L2)は、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である。L2に対するL1の比(L1/L2)の上限値は、5とすることができる。
【0053】
図5に示す実施形態のおむつ1は、締結機構10における基材シート11が、その長手方向に沿って伸縮性を有している。また図5に示す実施形態のおむつ1は、基材シート11の長手方向に沿って間隔を置いて配置された複数の止着部位12を有している。本実施形態のおむつ1によれば、基材シート11が伸縮性を有しているので、ウエスト開口部WHの周長及びレッグ開口部LHの周長の調整が一層容易になる。また、おむつ1のフィット性をより向上させることができる。なお、図5においてはウエスト締結機構10W及びレッグ締結機構10Lの双方を構成する基材シート11が伸縮性を有することが示されているが、この実施形態に限られず、ウエスト締結機構10W及びレッグ締結機構10Lのいずれか一方において、基材シート11が伸縮性を有していてもよい。
【0054】
伸縮性シートとしては、例えば弾性樹脂を原料とする弾性繊維層の少なくとも一面に、実質的に非弾性の非弾性繊維層が配され、これらの繊維形態を保ったまま熱融着によって接合された積層不織布や、弾性樹脂を原料とするフィルム等が挙げられる。弾性繊維としては、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー又はポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ゴム等の弾性樹脂を原料とする繊維を用いることができる。また、非弾性繊維としては、熱可塑性樹脂を原料とした繊維を用いることができる。
【0055】
図5では、説明の便宜上、一対のレッグ締結機構10L,10Lのうち、一方のレッグ締結機構10Lの止着部位12が露出した状態が示されているが、実際のおむつ1では、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHの周長を変更する前の状態において、4つの締結機構10はすべて、止着部位12が前身頃Fに止着している状態となっている。換言すれば、図5に示す実施形態のおむつ1では、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHの周長を変更する前の状態において、4つの締結機構10それぞれの止着部位12は外部に露出していない。
【0056】
図6に示す実施形態のおむつ1は、これまで説明してきた実施形態と異なり、締結機構10は、固定部位13をおむつ1の中央側に向け且つ止着部位12をサイドシール部S側に向けて配されている。また締結機構10は、前身頃Fにおける幅方向の中央域に位置している。詳細には、ウエスト締結機構10Wは、前身頃Fの中央域におけるウエスト開口部WH寄りの位置に設けられており、レッグ締結機構10Lは、前身頃Fの中央域におけるレッグ開口部LH寄りの位置に設けられている。
【0057】
図6に示す実施形態のおむつ1は、以下のようにして使用することができる。
まず、ウエスト開口部WHの周長を調整する場合について説明する。ウエスト締結機構10Wの止着部位12がおむつ1の前身頃Fに止着している場合、該止着部位12を前身頃Fから剥がす。次に、ウエスト締結機構10Wにおける止着部位12側を把持し、おむつ1の前身頃Fにおけるサイドシール部S側へ引っ張る。ウエスト締結機構10Wをサイドシール部S側へ引っ張ることにより、ウエスト開口部WHの周長が短くなる。そして、ウエスト締結機構10Wを引っ張った状態のまま、ウエスト締結機構10Wの止着部位12をおむつ1の前身頃Fに止着する。以上の操作により、ウエスト開口部WHの周長を短くすることができる。
【0058】
次に、レッグ開口部LHの周長を調整する場合について説明する。レッグ締結機構10Lの止着部位12がおむつ1の前身頃Fに止着している場合、該止着部位12を前身頃Fから剥がす。次に、レッグ締結機構10Lにおける止着部位12側を把持し、おむつ1のサイドシール部S側へ引っ張る。レッグ締結機構10Lをサイドシール部S側へ引っ張ることにより、レッグ開口部LHの周長が短くなる。そして、レッグ締結機構10Lを引っ張った状態のまま、レッグ締結機構10Lの止着部位12をおむつ1の前身頃Fに止着する。以上の操作により、レッグ開口部LHの周長を短くすることができる。
【0059】
図6に示す実施形態のおむつ1によれば、締結機構10が前身頃Fにおける中央域に位置しているので、椅子等に座っているときに背もたれ等で背中が擦れた場合であっても、着用者が背中に異物感を知覚することを一層防ぐことができる。また、ウエスト締結機構10Wの操作性が良好である。
【0060】
次に、上述した各実施形態について共有する事項について説明する。上述した各実施形態において、吸収性本体4は、表面シート(不図示)及び裏面シート(不図示)の間に配された吸収体(不図示)を備えている。表面シートは吸収体の肌対向面側に配されており、裏面シートは吸収体の非肌対向面側に配されている。
【0061】
表面シートとしては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シートは、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シートの肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シートの肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シートを形成することもできる。
【0062】
一方、裏面シートとしては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。吸収性物品の肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シートの外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
【0063】
吸収体は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体、2枚の吸収性シート間に吸収性ポリマーが担持された積層構造体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
【0064】
上述の表面シート、裏面シート及び吸収体に加え、吸収性本体4には、パンツ型吸収性物品の具体的な用途に応じ、肌対向面側の長手方向に沿う両側部に、長手方向に沿って延びる防漏カフが配される場合がある。防漏カフは一般に、基端部と自由端とを備えている。防漏カフは、吸収性物品の肌対向面側に基端部を有し、肌対向面側から起立している。防漏カフは、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成されている。防漏カフの自由端又はその近傍には、糸ゴム等からなる弾性部材を伸長状態で配してもよい。パンツ型吸収性物品の着用状態においてこの弾性部材が収縮することによって、防漏カフが着用者の身体に向けて起立するようになり、表面シート上に排泄された液が、表面シート上を伝いパンツ型吸収性物品の幅方向外方へ漏れ出すことが効果的に阻止される。
【0065】
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
【0066】
例えば、上述した実施形態においては、ウエストギャザーWGとレッグギャザーLGとの間に胴周り弾性部材55が配されているが、おむつの種類によっては胴周り弾性部材55が配されていなくてもよい。胴周り弾性部材55が配されている場合、胴周り弾性部材55が配されている部分のうち、前身頃Fに位置する部分の伸長応力は、ウエストギャザーWGのうち、前身頃Fに位置する部分の伸長応力よりも小さいことが好ましい。こうすることにより、サイドシール部Sを着用者の腹側に一層偏倚させることができるので、椅子等に座っているときに背もたれ等で背中が擦れた場合であっても、着用者が背中に異物感を知覚することを防ぐことができる。
【0067】
また、外装体5における外層シート51は伸縮性シートであってもよい。
【0068】
また上述した各実施形態においては、外装体5が腹側部A、股下部B及び背側部Cに亘って連続していたが、外装体5は、腹側外装体、背側外装体及び股下外装体に別部材として区分されたパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
【0069】
また外装体5は、着用者の背側に配される背側外装体と腹側に配される腹側外装体とに分割されたものであってもよい。この場合、吸収性本体4が、背側外装体と腹側外装体との間に架け渡して固定される。
【0070】
また、本発明のパンツ型吸収性物品は、幼児又は成人用のパンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型の生理用ナプキン等であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 使い捨ておむつ
4 吸収性本体
5 外装体
51 外層シート
52 内層シート
53,54 弾性部材
10 締結機構
11 基材シート
12 止着部位
13 固定部位
WH ウエスト開口部
WG ウエストギャザー
LH レッグ開口部
LG レッグギャザー
L1,L2 基材シートの幅
X おむつの長手方向
Y おむつの幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6