(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
H01L21/306 J
(21)【出願番号】P 2020130230
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光敏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌治
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 真治
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050349(JP,A)
【文献】特開2017-160515(JP,A)
【文献】実開昭60-129130(JP,U)
【文献】特開平06-191818(JP,A)
【文献】特開2000-021869(JP,A)
【文献】特開2007-000739(JP,A)
【文献】特開平03-038037(JP,A)
【文献】特開2004-079990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留して、基板を浸漬するための処理槽と、
前記処理液中に気泡として気体を供給する複数の開口を有する気泡供給管と、
前記気泡供給管に前記気体を供給する気体供給管と、
前記気泡供給管の状態に起因する物理量を、前記気体供給管を介して検出する物理量検出部と、
前記物理量に基づいて、前記複数の開口の状態を判定する判定部と
を備え
、
前記物理量検出部は、
前記気体供給管中の圧力を検出する圧力計と、
前記気体供給管に供給する前記気体の流量を制御する調整バルブと
を含み、
前記物理量は、
前記気体供給管中の圧力と、
前記調整バルブの開度と
を示し、
前記調整バルブは、前記基板を処理するときに、前記気体供給管に第1流量の前記気体を供給し、
前記判定部は、
前記気体供給管に前記第1流量の前記気体を供給した際の前記開度に基づいて、前記複数の開口の状態を判定し、
前記気体供給管に、前記第1流量より多い第2流量の前記気体を供給した際の前記気体供給管中の圧力に基づいて、前記複数の開口の状態を確定する、基板処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、第1時間に検出された前記物理量である基準物理量と、第2時間に検出された前記物理量である検出物理量とを比較し、前記複数の開口の状態を判定し、
前記第1時間と前記第2時間とは、異なる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1時間は、前記基板を処理する前の時を示し、
前記第2時間は、前記基板を処理した後の時を示し、
前記判定部は、
前記基準物理量と前記検出物理量との差分に基づいて、前記複数の開口の状態が異常であるか否かを判定する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
処理液で基板を処理する基板処理方法であって、
複数の開口を有する気泡供給管に気体供給管を介して気体を供給して、気泡として前記気体を前記処理液中に供給する工程と、
前記気泡供給管の状態に起因する物理量を、前記気体供給管を介して検出する工程と、
前記物理量に基づいて、前記複数の開口の状態を判定する工程と
を含
み、
前記物理量は、
前記気体供給管中の圧力と、
調整バルブの開度と
を示し、
前記状態を判定する前記工程では、
前記気体供給管に第1流量の前記気体を供給した際の前記開度に基づいて、前記複数の開口の状態を判定し、
前記気体供給管に、前記第1流量より多い第2流量の前記気体を供給した際の前記気体供給管中の圧力に基づいて、前記複数の開口の状態を確定する、基板処理方法。
【請求項5】
前記状態を判定する前記工程では、第1時間に検出された前記物理量である基準物理量と、第2時間に検出された前記物理量である検出物理量とを比較し、前記複数の開口の状態を判定し、
前記第1時間と前記第2時間とは、異なる、請求項
4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第1時間は、前記基板を処理する前の時を示し、
前記第2時間は、前記基板を処理した後の時を示し、
前記状態を判定する前記工程では、前記基準物理量と前記検出物理量との差分に基づいて、前記複数の開口の状態が異常であるか否かを判定する、請求項5に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置及び液晶表示装置等の電子部品に用いられる基板は、基板処理装置によって処理されることが知られている。基板は、処理槽内の処理液に浸漬することによって基板の処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年における半導体基板上に形成される素子の微細化や三次元化に伴い、基板の処理を均一化する要請が高まっている。例えば、三次元構造を有するNAND素子は、立体的な凹凸構造を有する積層構造を有している。素子パターンの凹凸構造の凹部に処理液が滞留した場合には、凹部内の液置換が不十分となる。そのため、凹部を含む基板全体に対して充分に液置換を促す手段として、処理槽に浸漬した基板の下方に気泡発生器(気泡供給管)を配置し、気泡発生器から気泡を発生させて処理槽内の液置換を促進するという技術がある。
【0004】
特許文献1には、こうした気泡発生器の適用例が記載されている。特許文献1の基板処理装置では、燐酸水溶液を貯留した処理槽に基板を浸漬し基板を処理する際に、処理槽において浸漬した基板の下方に配置した気泡発生器から気泡を発生させる。気泡発生器は、筒状であり、多数の吐出口(多数の開口)を有する。気泡発生器の一端には、気泡発生器に混合気体を供給する気体供給配管が接続されている。そして、気泡発生器は、混合気体を各吐出口から燐酸水溶液中に吹き出すことによって、混合気体の気泡を燐酸水溶液中に発生させる。
【0005】
発生した気泡は、処理槽内に載置された複数の基板と基板との間の間隙を上昇しつつ、燐酸水溶液を循環させる。この循環により、基板上に形成された素子パターン周囲の液置換が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板を燐酸処理した結果、燐酸水溶液に溶出した成分は、気泡発生器にも析出する可能性がある。
【0008】
溶出成分が気泡発生器の吐出口に析出沈着した状態では、いわゆる目詰まり(clogging)となり、供給される気泡の粒形、分布、上昇速度が変動する可能性がある。その結果、基板処理の均一性に影響を及ぼす可能性がある。よって、定期的に処理槽から燐酸水溶液を排出し、開口の状態を目視で確認していた。その結果、開口の状態を確認するには、手間がかかった。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、気泡供給管の開口の状態を容易に確認することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、処理槽と、気泡供給管と、気体供給管と、物理量検出部と、判定部とを備える。前記処理槽は、処理液を貯留して、基板を浸漬する。前記気泡供給管は、前記処理液中に気泡として気体を供給する複数の開口を有する。前記気体供給管は、前記気泡供給管に前記気体を供給する。前記物理量検出部は、前記気泡供給管の状態に起因する物理量を、前記気体供給管を介して検出する。前記判定部は、前記物理量に基づいて、前記複数の開口の状態を判定する。前記物理量検出部は、前記気体供給管中の圧力を検出する圧力計と、前記気体供給管に供給する前記気体の流量を制御する調整バルブとを含み、前記物理量は、前記気体供給管中の圧力と、前記調整バルブの開度とを示し、前記調整バルブは、前記基板を処理するときに、前記気体供給管に第1流量の前記気体を供給し、前記判定部は、前記気体供給管に前記第1流量の前記気体を供給した際の前記開度に基づいて、前記複数の開口の状態を判定し、前記気体供給管に、前記第1流量より多い第2流量の前記気体を供給した際の前記気体供給管中の圧力に基づいて、前記複数の開口の状態を確定する。
【0011】
本発明の基板処理装置は、前記判定部は、第1時間に検出された前記物理量である基準物理量と、第2時間に検出された前記物理量である検出物理量とを比較し、前記複数の開口の状態を判定し、前記第1時間と前記第2時間とは、異なることが好ましい。
【0012】
本発明の基板処理装置は、前記第1時間は、前記基板を処理する前の時を示し、前記第2時間は、前記基板を処理した後の時を示し、前記判定部は、前記基準物理量と前記検出物理量との差分に基づいて、前記複数の開口の状態が異常であるか否かを判定することが好ましい。
【0018】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、処理液で基板を処理する基板処理方法であって、複数の開口を有する気泡供給管に気体供給管を介して気体を供給して、気泡として前記気体を前記処理液中に供給する工程と、前記気泡供給管の状態に起因する物理量を、前記気体供給管を介して検出する工程と、前記物理量に基づいて、前記複数の開口の状態を判定する工程とを含む。前記物理量は、前記気体供給管中の圧力と、調整バルブの開度とを示し、前記状態を判定する前記工程では、前記気体供給管に第1流量の前記気体を供給した際の前記開度に基づいて、前記複数の開口の状態を判定し、前記気体供給管に、前記第1流量より多い第2流量の前記気体を供給した際の前記気体供給管中の圧力に基づいて、前記複数の開口の状態を確定する。
【0019】
本発明の基板処理方法は、前記状態を判定する前記工程では、第1時間に検出された前記物理量である基準物理量と、第2時間に検出された前記物理量である検出物理量とを比較し、前記複数の開口の状態を判定し、前記第1時間と前記第2時間とは、異なることが好ましい。
【0020】
本発明の基板処理方法は、前記第1時間は、前記基板を処理する前の時を示し、前記第2時間は、前記基板を処理した後の時を示し、前記状態を判定する前記工程では、前記基準物理量と前記検出物理量との差分に基づいて、前記複数の開口の状態が異常であるか否かを判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、気泡供給管の開口の状態を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】(a)は、本発明の実施形態1に係る基板が処理液に浸漬される前の状態を示す図である。(b)は、実施形態1に係る基板が処理液に浸漬された状態を示す図である。
【
図2】実施形態1に係る基板処理装置を示す模式図である。
【
図3】実施形態1に係る基板処理装置が判定処理を実行している状態を示す図である。
【
図4】実施形態1に係る気泡供給管に供給される気体の流量と、基準圧力と検出圧力との差分との関係を示すグラフである。
【
図5】実施形態1に係る気泡供給管に供給される気体の流量と、基準圧力と検出圧力との差分との関係を示すグラフである。
【
図6】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態1に係る基板処理装置を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る複数の循環処理液供給部材及び複数の気泡供給管を示す模式的平面図である。
【
図9】実施形態1に係る基板処理装置が判定処理を実行している状態を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る基板処理装置が判定処理を実行している状態を示す図である。
【
図11】実施形態2に係る気泡供給管に供給される気体の流量と、基準開度と検出開度との絶対差との関係を示すグラフである。
【
図12】実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態3に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態3に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0029】
<実施形態1>
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置100A及び基板処理方法を説明する。まず、
図1を参照して、基板処理装置100Aを説明する。
図1は、基板処理装置100Aを示す模式的斜視図である。具体的には、
図1(a)及び
図1(b)は、基板Wを処理槽110に投入する前及び後の基板処理装置100Aの模式的斜視図である。
【0030】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、基板処理装置100Aは、処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。なお、基板処理装置100Aは、処理液LQによって多数の基板Wを所定数ずつ処理してもよい。所定数は、1以上の整数である。
【0031】
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板及び太陽電池用基板等を含む。
【0032】
処理液LQにより、複数の基板Wには、エッチング処理、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去及び洗浄のうちの少なくとも1つが行われる。例えば、基板処理装置100Aは、シリコン基板からなる基板Wのパターン形成側の表面に対して、シリコン酸化膜(SiO2膜)及びシリコン窒化膜(SiN膜)のエッチング処理を施す。このようなエッチング処理では、基板Wの表面からシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のうちのいずれかを除去する。
【0033】
処理液LQは、例えば、薬液である。処理液LQは、例えば、燐酸(H3PO4)、アンモニアと過酸化水素水と水とが混合された混合液、又は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。例えば、処理液LQとして、略89質量%の燐酸(H3PO4)と略11質量%の水(脱イオン水)とが混合された略157℃の溶液(以下、「燐酸液」と記載する。)が用いられると、基板Wの表面からシリコン窒化膜(SiN膜)が除去される。換言すれば、処理液LQとして、不純物を含有せず、高温、高酸濃度の溶液が用いられ、処理液LQは、シリコン(Si4+)を溶解していく。なお、基板Wを処理できる限りにおいては、処理液LQの種類は特に限定されない。また、処理液LQの温度も特に限定されない。
【0034】
具体的には、基板処理装置100Aは、処理槽110と、基板保持部120とを備える。
【0035】
処理槽110は、処理液LQを貯留する。具体的には、処理槽110は、処理液LQを貯留する。具体的には、処理槽110は、内槽112及び外槽114を含む二重槽構造を有している。内槽112及び外槽114はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。内槽112は、処理液LQを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽114は、内槽112の上部開口の外周面に設けられる。
【0036】
基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。複数の基板Wは、第1方向D10(Y方向)に沿って一列に配列される。換言すれば、第1方向D10は、複数の基板Wの配列方向を示す。第1方向D10は、水平方向に略平行である。また、複数の基板Wの各々は、第2方向D20に略平行である。第2方向D20は、第1方向D10に略直交し、水平方向に略平行である。
【0037】
具体的には、基板保持部120は、リフターを含む。基板保持部120は、複数の基板Wを保持した状態で鉛直上方又は鉛直下方に移動する。基板保持部120が鉛直下方に移動することにより、基板保持部120によって保持されている複数の基板Wは、内槽112に貯留されている処理液LQに浸漬される。
【0038】
図1(a)では、基板保持部120は、処理槽110の内槽112の上方に位置する。基板保持部120は、複数の基板Wを保持したまま鉛直下方(Z方向)に下降する。これにより、複数の基板Wが処理槽110に投入される。
【0039】
図1(b)に示すように、基板保持部120が処理槽110にまで下降すると、複数の基板Wは、処理槽110内の処理液LQに浸漬する。実施形態1では、基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに、所定間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。
【0040】
詳細には、基板保持部120は、本体板122と、保持棒124とを更に含む。本体板122は、鉛直方向(Z方向)に延びる板である。保持棒124は、本体板122の一方の主面から水平方向(Y方向)に延びる。
図1(a)及び
図1(b)の例では、3つの保持棒124が本体板122の一方の主面から水平方向に延びる。複数の基板Wは、所定間隔をあけて整列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が当接されて起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0041】
基板保持部120は、昇降ユニット126を更に含んでもよい。昇降ユニット126は、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112内に位置する処理位置(
図1(b)に示す位置)と、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112の上方に位置する退避位置(
図1(a)に示す位置)との間で本体板122を昇降させる。従って、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理液LQに浸漬される。
【0042】
続けて
図2を参照して、気泡供給管180A及び気体供給部200を説明する。
図2は、実施形態1に係る基板処理装置100Aを示す模式図である。なお、
図2は、基板処理装置100Aが基板処理を実行している状態を示す図である。基板処理とは、処理液LQによって基板Wを処理することである。また、開いているバルブを白色で示し、閉じているバルブを黒色で示している。
【0043】
図2に示すように、基板処理装置100Aは、少なくとも1個の気泡供給管180Aと、気体供給部200とを更に備える。
【0044】
気体供給部200は、気体供給源263から供給される気体を、気体供給管261Aを通して、気泡供給管180Aに供給する。気体供給部200が気泡供給管180Aに供給する気体は、例えば、不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、窒素(N2)、又は、アルゴン(Ar)である。
【0045】
具体的には、気体供給部200は、供給機構251Aと、気体供給管261Aとを含む。供給機構251Aは、バルブ211Aと、流量計217Aと、調整バルブ219Aとを含む。バルブ211A、流量計217A、及び、調整バルブ219Aは、この順番に気体供給管261Aの下流から上流に向かって、気体供給管261Aに配置される。
【0046】
調整バルブ219Aは、開度(以下、「開度OAn」と記載する。)を調節して、気泡供給管180Aに供給される気体の流量を調整する。「流量」は、例えば、単位時間当たりに単位面積を通過する流量を示す。具体的には、調整バルブ219Aは、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0047】
流量計217Aは、気体供給管261Aを流れる気体の流量を計測する。調整バルブ219Aは、流量計217Aの計測結果に基づいて気体の流量を調整する。なお、例えば、調整バルブ219Aは、マスフローコントローラーの調整バルブであってもよい。
【0048】
バルブ211Aは、気体供給管261Aを開閉する。つまり、バルブ211Aは、気体供給管261Aからの気泡供給管180Aに対する気体の供給と供給停止とを切り替える。
【0049】
続けて気泡供給管180Aについて説明する。気泡供給管180Aは、処理液LQ中に複数の気泡(多数の気泡)を発生し、処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて複数の気泡(多数の気泡)を供給する。気泡供給管180Aは、例えば、バブラーである。
【0050】
気泡供給管180Aは、略筒形状を有する。気泡供給管180Aは、例えば、管である。気泡供給管180Aは、第1方向D10に延びている。
【0051】
気泡供給管180Aは、第1端部180aと、第2端部180bとを有する。第1端部180aは、第1方向D10における気泡供給管180Aの両端部のうちの一方端部である。第2端部180bは、第1方向D10における気泡供給管180Aの両端部のうちの他方端部である。
【0052】
第1端部180aには、気体供給管261Aが接続される。具体的には、気泡供給管180Aは、気体供給管261Aに着脱自在である。第1端部180aは、気体供給管261Aが接続されている部分を除き、閉塞されている。第2端部180bは閉塞されている。
【0053】
具体的には、気泡供給管180Aは、流路FW0を更に有する。流路FW0には気体が流れる。流路FW0は、気泡供給管180Aの内部に第1方向D1に沿って形成される。流路FW0は、一端が開口し、気体供給管261Aに連通する。流路FW0の他端は閉じた構造となっている。
【0054】
また、気泡供給管180Aは、流路FW0に連通する複数の気泡供給孔Gを更に有する。気泡供給孔Gは、開口の一例である。気泡供給孔Gは、例えば円形である。気泡供給孔Gの孔径は、例えば、数十μm~数百μmのオーダーである。また、例えば、1つの気泡供給管180Aに設けられる気泡供給孔Gの数は、例えば、40個又は60個である。
【0055】
気泡供給管180Aにおいて、複数の気泡供給孔Gは、第1方向D10に所定間隔をあけて略一直線上に配置される。気泡供給管180Aにおいて、各気泡供給孔Gは、気泡供給管180Aの上面部に設けられる。なお、気泡供給孔Gから気泡を供給できる限りにおいては、気泡供給孔Gの位置は特に限定されない。また、気泡供給管180Aにおいて、複数の気泡供給孔Gは、等間隔に配置されていてもよいし、不等間隔に配置されていてもよい。
【0056】
気泡供給管180Aの材質は、例えば、石英、又は、合成樹脂である。合成樹脂は、耐酸性を有する点で、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、又は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)である。
【0057】
特に、気泡供給管180Aの材質が合成樹脂であると、気泡供給管180Aの加工が容易である。更に、気泡供給管180Aの材質がPFAであると、曲げ加工が容易である。例えば、気泡供給管180AをL字状に加工することも可能である。従って、気泡供給管180Aと他の配管との継ぎ目を少なくできる。その結果、気泡供給管180Aの耐久性を向上できる。
【0058】
気泡供給管180Aは、処理槽110の内部に配置される。詳細には、気泡供給管180Aは、処理槽110の内部において、処理槽110の底部に配置される。具体的には、気泡供給管180Aは、処理槽110の内槽112に配置される。詳細には、気泡供給管180Aは、内槽112の内部において、内槽112の底部に配置される。更に詳細には、基板Wを処理する時には、気泡供給管180Aは、処理液LQ中の所定深さHAの位置に配置される。所定深さHAは、処理液LQの液面から気泡供給孔Gまでの距離を示す。気泡供給管180Aは、内槽112の底部に固定される。気泡供給管180Aは、内槽112の底部に接触していてもよいし、内槽112の底部に対して離隔していてもよい。
【0059】
続けて、制御装置U4について説明する。基板処理装置100Aは、制御装置U4を更に備える。
【0060】
制御装置U4は、基板処理装置100Aの各構成を制御する。例えば、制御装置U4は、基板保持部120及び気体供給部200を制御する。
【0061】
制御装置U4は、例えば、コンピューターである。詳細には、制御装置U4は、制御部10と、記憶装置20とを含む。
【0062】
記憶装置20は、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶装置20は、例えば、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリーを含む。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブを含む。
【0063】
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。具体的には、制御部10は、流量制御部11を含む。
【0064】
流量制御部11は、基板Wを処理する時に、気体供給部200を制御することで、気体供給管261Aに第1流量F1の気体を供給する。具体的には、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを調節し、気体供給管261Aに第1流量F1の気体を供給する。第1流量F1は、基板Wを処理するための流量である。従って、気体供給管261Aを通って第1流量F1の気体が気泡供給管180Aに供給される。その結果、処理液LQ中に、気泡供給管180Aの複数の気泡供給孔Gから複数の気泡が供給される。
【0065】
続けて
図3を参照して、圧力計253Aを説明する。
図3は、基板処理装置100Aが判定処理を実行している状態を示す図である。判定処理とは、気泡供給管180Aの状態を判定することである。実施形態1では、処理槽110の処理液LQから複数の基板Wが引き上げられている。
【0066】
図3に示すように、基板処理装置100Aは、圧力計253Aを更に備える。圧力計253Aは、物理量検出部の一例である。
【0067】
圧力計253Aは、気体供給管261Aを介して物理量を検出する。物理量は、気泡供給管180Aの状態に起因する量である。実施形態1では、圧力計253Aは、気体供給管261A中の圧力を検出する。実施形態1では、物理量は、気体供給管261A中の圧力を示す。圧力計253Aは、バルブ211Aと流量計217Aとの間に接続されている。その結果、バルブ211Aが開いていると、圧力は気泡供給管180A中の圧力を示す。
【0068】
流量制御部11は、気泡供給管180Aの状態を判定する時に、気体供給部200を制御することで、気体供給管261Aに第2流量F2の気体を供給する。具体的には、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを調節し、気体供給管261Aに第2流量F2の気体を供給する。第2流量F2は、第1流量F1より多い。第2流量F2は、気泡供給管180Aの状態を判定するための流量である。第2流量F2は、例えば第1流量F1の2倍以上10倍以下であることが好ましい。従って、気体供給管261Aを通って第2流量F2の気体が気泡供給管180Aに供給される。その結果、処理液LQ中に、気泡供給管180Aの複数の気泡供給孔Gから複数の気泡が供給される。
【0069】
基板処理装置100Aでは、制御部10は、判定部12を更に含む。
【0070】
判定部12は、圧力計253Aで検出された圧力(以下、「圧力PAn」と記載する。)に基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。具体的には、判定部12は、圧力PAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。nは1又は2である。詳細には、判定部12は、第1時間t1に検出された圧力PA1と、第2時間t2に検出された圧力PA2とを比較し、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。圧力PA1は、基準物理量の一例である。圧力PA1は、第1時間t1に検出された圧力(以下、「基準圧力PA1」と記載する場合がある。)を示す。圧力PA2は、検出物理量の一例である。圧力PA2は、第2時間t2に検出された圧力(以下、「検出圧力PA2」と記載する場合がある。)を示す。第1時間t1と第2時間t2とは、異なる。具体的には、第1時間t1は、基板Wを処理する前の時を示す。例えば、第1時間t1は、複数の気泡供給孔Gの状態が初期状態である時を示す。初期状態は、気泡供給管180Aを取付けた時、又は、気泡供給管180Aを取付けた直後の複数の気泡供給孔Gの状態を示す。例えば、初期状態では、複数の気泡供給孔Gが処理液LQの影響を実質的に受けておらず、未使用時の気泡供給管180Aにおける複数の気泡供給孔Gの孔径が実質的に維持されている。第2時間t2は、基板Wを処理した後の時を示す。例えば、第2時間t2は、基板Wを処理することを複数回実行した後の時を示し、第2時間t2は、実験的又は経験的に定められる。基準圧力PA1は、記憶装置20に記憶されている。
【0071】
ここで
図4及び
図5を参照して、複数の気泡供給孔Gの状態と、圧力PAnとの関係について説明する。
図4及び
図5は、気泡供給管180Aに供給される気体の流量と、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAとの関係を示すグラフである。
図4及び
図5において、横軸は気泡供給管180Aに供給される気体の流量を示し、縦軸は基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAを示している。基準圧力PA1は、孔径260μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aを基板処理装置100Aに配置した時の圧力を示す。孔径260μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aは、初期状態(正常な状態)の気泡供給管180Aを示す。
【0072】
図4において、検出圧力PA21は、60個の気泡供給孔Gの内の5個の気泡供給孔Gが塞がれた気泡供給管180Aを、基板処理装置100Aに配置した時の検出圧力を示す。差分ΔPA21は、基準圧力PA1と検出圧力PA21との差分を示す。なお、5個の気泡供給孔Gが塞がれた気泡供給管180Aに代えて、60個の気泡供給孔Gの周縁部に、少量の成分(例えば、シリカ(Si))が析出した気泡供給管180Aを用いてもよい。
【0073】
また、検出圧力PA22は、60個の気泡供給孔Gの内の10個の気泡供給孔Gが塞がれた気泡供給管180Aを、基板処理装置100Aに配置した時の検出圧力を示す。差分ΔPA22は、基準圧力PA1と検出圧力PA22との差分を示す。なお、10個の気泡供給孔Gが塞がれた気泡供給管180Aに代えて、60個の気泡供給孔Gの周縁部に、多量の成分(例えば、シリカ(Si))が析出した気泡供給管180Aを用いてもよい。
【0074】
図4に示すように、差分ΔPA22は、差分ΔPA21より大きかった。従って、判定部12は、圧力PAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定できる。その結果、気泡供給管180Aを目視で確認する必要がない。よって、複数の気泡供給孔Gの状態を容易に確認できる。
【0075】
また、差分ΔPA21及び差分ΔPA22は、流量を大きくすればするほど、大きくなった。従って、第2流量F2を第1流量F1より多くすることにより、複数の気泡供給孔Gの状態の変化が小さくても、差分ΔPAは大きくなる。その結果、複数の気泡供給孔Gの状態を、精度よく確認できる。
【0076】
また、
図5において、検出圧力PA23は、孔径300μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aを、基板処理装置100Aに配置した時の検出圧力を示す。換言すれば、孔径300μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aは、60個の気泡供給孔Gの大きさが広げられた気泡供給管180Aを示す。つまり、孔径300μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aは、60個の気泡供給孔Gの周縁部が処理液LQに溶出した気泡供給管180Aを示す。差分ΔPA23は、基準圧力PA1と検出圧力PA23との差分を示す。
【0077】
図5に示すように、差分ΔPA23は、流量を大きくすればするほど、小さくなった。従って、判定部12は、圧力PAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定できる。その結果、気泡供給管180Aを目視で確認する必要がない。よって、複数の気泡供給孔Gの状態を容易に確認できる。
【0078】
また、差分ΔPA23は、流量を大きくすればするほど、小さくなった。従って、第2流量F2を第1流量F1より多くすることにより、複数の気泡供給孔Gの状態の変化が小さくても、差分ΔPAの絶対値は大きくなる。その結果、複数の気泡供給孔Gの状態を、精度よく確認できる。
【0079】
詳細には、判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であるか否かを判定する。具体的には、判定部12は、差分ΔPAが第1閾値TH1以上である場合に、複数の気泡供給孔Gが異常であると判定部12は判定する。第1閾値TH1は、複数の気泡供給孔Gが小さくなったり塞がったりして、複数の気泡供給孔Gの状態が異常である時の数値を示す。また、判定部12は、差分ΔPAが第2閾値TH2以下である場合に、複数の気泡供給孔Gが異常であると判定部12は判定する。第2閾値TH2は、複数の気泡供給孔Gが大きくなったり広がったりして、複数の気泡供給孔Gの状態が異常である時の数値を示す。更に、差分ΔPAが第2閾値TH2以上第1閾値TH1未満である場合に、複数の気泡供給孔Gの状態が正常であると判定部12は判定する。
【0080】
以上、
図1から
図5を参照して説明したように、実施形態1によれば、判定部12は、圧力PAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。その結果、気泡供給管180Aを目視で確認する必要がない。よって、複数の気泡供給孔Gの状態を容易に確認できる。また、複数の気泡供給孔Gの状態を個人差が無く確認できる。
【0081】
また、判定部12は、第1時間t1に検出された基準圧力P1と、第2時間t2に検出された検出圧力P2とを比較し、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。その結果、第1時間t1から第2時間t2までにおける複数の気泡供給孔Gの状態からの変化を確認できる。
【0082】
また、第1時間t1は、基板Wを処理する前の時を示す。その結果、初期状態(新品)の気泡供給管180からの変化を確認できる。
【0083】
ここで、
図2及び
図3に示すように、基板処理装置100Aは、排液部170を更に備える。排液部170は、処理槽110の処理液LQを排出する。
【0084】
具体的には、排液部170は、排液配管170aと、バルブ170bとを含む。そして、処理槽110の内槽112の底壁には、排液配管170aが接続される。排液配管170aにはバルブ170bが配置される。バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQは排液配管170aを通って外部に排出される。排出された処理液LQは排液処理装置(図示しない)へと送られ、処理される。詳細には、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する前に、バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQの一部は排液配管170aを通って外部に排出される。その結果、気泡供給管180Aは、処理液LQ中の所定深さHBの位置に配置される。所定深さHBは、処理液LQの液面から気泡供給孔Gまでの距離を示す。所定深さHBは、所定深さHAより低く、0であってもよい。よって、判定処理で、処理液LQの影響を抑制し、複数の気泡供給孔Gの状態を、精度よく確認できる。
【0085】
また、基板処理装置100Aは、洗浄液供給部190を更に備える。洗浄液供給部190は、配管190aと、バルブ190bと、洗浄液供給源190cとを含む。配管190aには、バルブ190bが配置される。配管190aには、洗浄液供給源190cからの洗浄液が供給される。洗浄液は、例えばフッ化水素酸(HF)を採用することができる。バルブ190bが開かれると、洗浄液が内槽112内に供給される。その結果、判定処理後に、気泡供給孔Gの周縁部に析出した成分(例えば、シリカ(Si))、及び、シリカ(Si)と水(H2O)との反応で生成した酸化シリコン(SiO2)を溶解できる。よって、複数の気泡供給孔Gの状態を回復できる。
【0086】
次に、
図6を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理方法を説明する。
図6は、実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S14を含む。基板処理方法は、基板処理装置100Aによって実行される。
【0087】
まず、工程S1において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQに複数の基板Wを浸漬する。
【0088】
次に、工程S2において、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを調節し、気泡供給管180Aに第1流量F1の気体を供給する。
【0089】
次に、工程S3において、流量制御部11は、複数の基板Wを処理した後、バルブ211Aを閉じて、気泡供給管180Aに気体を供給することを停止する。
【0090】
次に、工程S4において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQから複数の基板Wを引き上げる。
【0091】
次に、工程S5において、バルブ170bが所定期間、開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQの一部は、排液配管170aを通って外部に排出される。所定期間は、所定深さHAから所定深さHBに変化するための期間を示す。
【0092】
次に、工程S6において、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを調節し、気泡供給管180Aに第2流量F2の気体を供給する。
【0093】
次に、工程S7において、圧力計253Aは、気体供給管261Aを介して検出圧力PA2を検出する。
【0094】
次に、工程S8において、流量制御部11は、バルブ211Aを閉じて、気泡供給管180Aに気体を供給することを停止する。
【0095】
次に、工程S9において、判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAがいずれの範囲に属するかを判定する。
【0096】
工程S9で判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第2閾値TH2以上第1閾値TH1未満である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が正常であると判定し、基板処理方法が終了する。
【0097】
また、工程S9で判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第1閾値TH1以上である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が異常である(複数の気泡供給孔Gが詰まっている)と判定し、処理は、工程S10に進む。
【0098】
工程S10において、バルブ170bが所定期間、開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQは、排液配管170aを通って外部に排出される。所定期間は、内槽112内から処理液LQが無くなる期間を示す。
【0099】
次に、工程S11において、バルブ190bが開かれると、洗浄液が内槽112内に供給される。
【0100】
次に、工程S12において、バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている洗浄液は、排液配管170aを通って外部に排出される。そして、基板処理方法が終了する。
【0101】
一方、工程S9で判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第2閾値TH2以下である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が異常である(複数の気泡供給孔Gが広がっている)と判定し、処理は、工程S13に進む。
【0102】
工程S13において、バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQは、排液配管170aを通って外部に排出される。
【0103】
次に、工程S14において、気泡供給管180Aが、新たな気泡供給管180Aに交換される。そして、基板処理方法が終了する。
【0104】
以上、
図6を参照して説明したように、実施形態1によれば、判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であるか否かを判定する。具体的には、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第1閾値TH1以上である場合には、気泡供給管180Aの複数の気泡供給孔Gを洗浄できる。一方、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第2閾値TH2以下である場合には、気泡供給管180Aが、新しい気泡供給管180Aに交換される。その結果、複数の気泡供給孔Gの状態を適切に回復できる。
【0105】
続けて
図7を参照して、基板処理装置100Aを詳細に説明する。
図7は、基板処理装置100Aを示す図である。
【0106】
基板処理装置100Aは、複数の循環処理液供給部材130と、循環部140とを更に備える。
【0107】
循環部140は、基板処理で、処理槽110に貯留されている処理液LQを循環させて、処理液LQを循環処理液供給部材130の各々に供給する。
【0108】
循環部140は、配管141と、ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145及びバルブ146を含む。ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145及びバルブ146は、この順番に配管141の上流から下流に向かって配置される。
【0109】
配管141は、処理槽110から排出された処理液LQを再び処理槽110に導く。配管141の下流端に、複数の循環処理液供給部材130が接続される。
【0110】
ポンプ142は、配管141から複数の循環処理液供給部材130に処理液LQを送る。従って、循環処理液供給部材130は、配管141から供給された処理液LQを処理槽110に供給する。ヒーター143は、配管141を流れる処理液LQを加熱する。ヒーター143により、処理液LQの温度が調整される。フィルター144は、配管141を流れる処理液LQをろ過する。
【0111】
調整バルブ145は、配管141の開度を調節して、複数の循環処理液供給部材130に供給される処理液LQの流量を調整する。具体的には、調整バルブ145は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。バルブ146は配管141を開閉する。
【0112】
複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110の内槽112に処理液LQを供給する。複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110の内槽112の内部において、内槽112の底部に配置される。複数の循環処理液供給部材130の各々は、略筒形状を有する。複数の循環処理液供給部材130の各々は、例えば、管である。
【0113】
具体的には、複数の循環処理液供給部材130の各々は、複数の処理液吐出孔Pを有する。
図7では、1つの循環処理液供給部材130に対して1つの処理液吐出孔Pだけが表れている。複数の循環処理液供給部材130の各々は、複数の処理液吐出孔Pから処理液LQを内槽112に供給する。
【0114】
基板処理装置100Aは、処理液供給部150と、希釈液供給部160とを更に備える。
【0115】
処理液供給部150は、処理液LQを処理槽110に供給する。処理液LQは、例えば、略85質量%の燐酸(H3PO4)と略15質量%の水(脱イオン水)とが混合された溶液を採用することができる。
【0116】
処理液供給部150は、ノズル152と、配管154と、バルブ156とを含む。ノズル152は処理液LQを内槽112に吐出する。ノズル152は、配管154に接続される。配管154には、処理液供給源TKAからの処理液LQが供給される。配管154には、バルブ156が配置される。
【0117】
バルブ156が開かれると、ノズル152から吐出された処理液LQが、内槽112内に供給される。
【0118】
希釈液供給部160は、希釈液を処理槽110に供給する。
【0119】
希釈液供給部160は、ノズル162と、配管164と、バルブ166とを含む。ノズル162は、希釈液を外槽114に吐出する。ノズル162は、配管164に接続される。配管164に供給される希釈液は、DIW(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水及び希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかを採用することができる。配管164には、希釈液供給源TKBからの希釈液が供給される。配管164には、バルブ166が配置される。バルブ166が開かれると、ノズル162から吐出された希釈液が、外槽114内に供給される。
【0120】
また、処理槽110は、蓋116を更に有する。蓋116は、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。蓋116が閉じることにより、蓋116は、内槽112の上部開口を塞ぐことができる。
【0121】
蓋116は、開戸部116aと、開戸部116bとを有する。開戸部116aは、内槽112の上部開口のうちの一方側に位置する。開戸部116aは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。開戸部116bは、内槽112の上部開口のうちの他方側に位置する。開戸部116bは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。開戸部116a及び開戸部116bが閉じて内槽112の上部開口を覆うことにより、処理槽110の内槽112を塞ぐことができる。なお、蓋116は、不図示の排気機構を有してもよい。
【0122】
続けて
図7及び
図8を参照して、複数の気泡供給管180及び気体供給部200を説明する。
図8は、複数の循環処理液供給部材130及び複数の気泡供給管180を示す模式的平面図である。
【0123】
図8に示すように、基板処理装置100Aは、気体供給ユニット280Aを備えている。具体的には、気体供給ユニット280Aは、少なくとも1個の気泡供給管180と、少なくとも1個の支持部材185とを含む。更に具体的には、気体供給ユニット280Aは、複数の気泡供給管180と、複数の支持部材185とを含む。
【0124】
複数の気泡供給管180及び複数の支持部材185は、処理槽110の内部に配置される。詳細には、複数の気泡供給管180は、処理槽110の内部において、処理槽110の底部110aに配置される。具体的には、複数の気泡供給管180は、処理槽110の内槽112に配置される。詳細には、複数の気泡供給管180は、内槽112の内部において、内槽112の底部110aに配置される。
【0125】
複数の気泡供給管180の各々は、対応する支持部材185によって支持される。具体的には、複数の気泡供給管180の各々は、対応する支持部材185に固定される。従って、気泡供給管180の変形を抑制できる。複数の支持部材185は、処理槽110の底部110aに固定される。具体的には、複数の支持部材185は、内槽112の底部110aに固定される。従って、基板Wを処理する時には、複数の気泡供給管180の各々は、処理液LQ中の所定深さHAの位置に配置される。
【0126】
詳細には、循環処理液供給部材130及び気泡供給管180は、平面視において、互いに略平行に、かつ、間隔をあけて配置される。平面視において、2つの循環処理液供給部材130のうちの一方は、2つの気泡供給管180の間に配置される。また、平面視において、2つの循環処理液供給部材130のうちの他方は、他の2つの気泡供給管180の間に配置される。更に、平面視において、4つの気泡供給管180のうち、真ん中の2つの気泡供給管180は、第2方向D20に対向している。
【0127】
具体的には、複数の気泡供給管180は、処理槽110(具体的には内槽112)において、互いに略平行に、かつ、第2方向D20に間隔をあけて配置される。気泡供給管180は、第1方向D10に延びている。複数の気泡供給管180の各々において、複数の気泡供給孔Gは、第1方向D10に間隔をあけて略一直線上に配置される。複数の気泡供給管180の各々において、各気泡供給孔Gは、気泡供給管180の上面部に設けられる。そして、各気泡供給孔Gは、処理槽110(具体的には内槽112)の底部において上方に向けて気泡を供給する。
【0128】
また、複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110(具体的には内槽112)において、互いに略平行に、かつ、第2方向D20に間隔をあけて配置される。循環処理液供給部材130は、第1方向D10に延びている。複数の循環処理液供給部材130の各々において、複数の処理液吐出孔Pは、第1方向D10に間隔をあけて略一直線上に配置される。複数の循環処理液供給部材130の各々において、各処理液吐出孔Pは、循環処理液供給部材130の上面部に設けられる。そして、各処理液吐出孔Pは、処理槽110(具体的には内槽112)の底部において上方に向けて処理液LQを吐出する。なお、
図7では処理液吐出孔Pは斜め上方を向いているがこれに限られず、処理液吐出孔Pは、下方又は側方を向いていてもよい。
【0129】
続けて
図8及び
図9を参照して、気体供給部200を説明する。
図9は、基板処理装置100Aが判定処理を実行している状態を示す図である。
図8及び
図9に示すように、気体供給部200は、複数の気泡供給管180の各々に、気泡を発生するための気体を供給して、複数の気泡供給管180の各々に、処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて複数の気泡を供給させる。具体的には、気体供給部200は、気体供給管260を含む。
【0130】
例えば、気体供給管260は、共通配管262と、複数の気体供給管261とを含む。複数の気体供給管261は、気体供給管261Aと、気体供給管261Bと、気体供給管261Cと、気体供給管261Dとを含む。
【0131】
共通配管262は、気体供給源263に接続される。具体的には、共通配管262の上流端が気体供給源263に接続される。気体供給源263は、共通配管262に気体を供給する。共通配管262は、各気体供給管261の上流端に接続される。
【0132】
気体供給管261Aの下流端は、気泡供給管180Aに接続される。気体供給管261Bの下流端は、気泡供給管180Bに接続される。気体供給管261Cの下流端は、気泡供給管180Cに接続される。気体供給管261Dの下流端は、気泡供給管180Dに接続される。この例では、気体は、共通配管262から各気体供給管261を通って、各気泡供給管180に供給される。
【0133】
図8及び
図9では、気体供給管260の論理的構成が示されている。従って、気体供給管260と各気泡供給管180との接続形態は、気体供給管260から各気泡供給管180に気体が供給できる限りにおいては、特に限定されない。なお、
図8及び
図9が気体供給管260の物理的構成を示していてもよい。
【0134】
気体供給部200は、気体供給機構250を更に含む。気体供給機構250は、気体供給管260を通して各気泡供給管180に気体を供給する。具体的には、気体供給機構250は、共通供給機構252と、複数の供給機構251を含む。複数の供給機構251は、供給機構251Aと、供給機構251Bと、供給機構251Cと、供給機構251Dとを含む。
【0135】
共通供給機構252は、圧力計252cと、レギュレーター252bと、バルブ252aとを含む。圧力計252cと、レギュレーター252bと、バルブ252aとは、この順番に共通配管262の下流から上流に向かって、共通配管262に配置される。圧力計252cは、共通配管262中の圧力を検出する。圧力計252cは、気体供給管261とレギュレーター252bとの間に接続されている。バルブ252aが開かれると、気体供給源263から気体が、共通配管262に供給される。
【0136】
供給機構251Aは、気体供給源263から供給される気体を、気体供給管261Aを通して、気泡供給管180Aに供給する。具体的には、供給機構251Aは、バルブ211Aと、流量計217Aと、調整バルブ219Aとに加えて、フィルター212Aを更に含む。フィルター212Aは、気体供給管261Aを流れる気体をろ過する。
【0137】
供給機構251Bは、気体供給源263から供給される気体を、気体供給管261Bを通して、気泡供給管180Bに供給する。供給機構251Cは、気体供給源263から供給される気体を、気体供給管261Cを通して、気泡供給管180Cに供給する。供給機構251Dは、気体供給源263から供給される気体を、気体供給管261Dを通して、気泡供給管180Dに供給する。供給機構251Bと供給機構251Cと供給機構251Dとの各々の構成は、供給機構251Aの構成と同様である。
【0138】
図9に示す基板処理装置100Aは、複数の圧力計253を更に備える。複数の圧力計253の各々は、物理量検出部の一例である。複数の圧力計253は、圧力計253Aと、圧力計253Bと、圧力計253Cと、圧力計253Dとを含む。
【0139】
圧力計253Aは、気体供給管261A中の圧力を検出する。圧力計253Bは、気体供給管261B中の圧力を検出する。圧力計253Cは、気体供給管261C中の圧力を検出する。圧力計253Dは、気体供給管261D中の圧力を検出する。気体供給管261A中の圧力、気体供給管261B中の圧力、気体供給管261C中の圧力、及び、気体供給管261D中の圧力の各々は、物理量の一例である。
【0140】
基板処理装置100Aは、複数の排気機構300を更に備える。複数の排気機構300の各々は、気体を外部に排出する。具体的には、複数の排気機構300の各々は、排気配管と、バルブとを含む。排気配管にはバルブが配置される。バルブは、排気配管を開閉する。排気配管の一端は、気体供給管261に接続される。バルブが開くことにより、気体供給管261から気体は排気配管を通って外部に排出される。
【0141】
以上、
図9を参照して説明したように、実施形態1によれば、判定部12は、複数の圧力計253で検出された圧力に基づいて、複数の気泡供給管180の各々の状態が異常であるか否かを判定できる。具体的には、判定部12は、気泡供給管180Aの状態が異常であるか否かを判定できる。判定部12は、気泡供給管180Bの状態が異常であるか否かを判定できる。判定部12は、気泡供給管180Cの状態が異常であるか否かを判定できる。判定部12は、気泡供給管180Dの状態が異常であるか否かを判定できる。
【0142】
<実施形態2>
図10を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置100Bを説明する。
図10は、基板処理装置100Bが判定処理を実行している状態を示す図である。実施形態2に係る基板処理装置100Bが、調整バルブ219Aの開度OAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0143】
実施形態2では、調整バルブ219Aは、物理量検出部の一例である。調整バルブ219Aは、気体供給管261Aに供給する気体の流量を制御する。調整バルブ219Aは、調整バルブ219Aの開度OAnを示す情報を制御装置U4に出力する。調整バルブ219Aの開度OAnは、物理量の一例である。
【0144】
流量制御部11は、気泡供給管180Aの状態を判定する時に、気体供給部200を制御することで、気体供給管261Aに第1流量F1の気体を供給する。具体的には、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを調節し、気体供給管261Aに第1流量F1の気体を供給する。従って、気体供給管261Aを通って第1流量F1の気体が気泡供給管180Aに供給される。その結果、処理液LQ中に、気泡供給管180Aの複数の気泡供給孔Gから複数の気泡が供給される。
【0145】
判定部12は、調整バルブ219Aから出力された開度OAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。nは1又は2である。詳細には、判定部12は、第1時間t1に検出された開度OA1と、第2時間t2に検出された開度OA2とを比較し、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。開度OA1は、基準物理量の一例である。開度OA1は、第1時間t1に検出された開度(以下、「基準開度OA1」と記載する場合がある。)を示す。開度OA2は、検出物理量の一例である。開度OA2は、第2時間t2に検出された開度(以下、「検出開度OA2」と記載する場合がある。)を示す。基準開度OA1は、記憶装置20に記憶されている。
【0146】
ここで
図11を参照して、複数の気泡供給孔Gの状態と、開度OAnとの関係について説明する。
図11は、気泡供給管180Aに供給される気体の流量と、基準開度OA1と検出開度OA2との絶対差ΔOAとの関係を示すグラフである。
図11において、横軸は気泡供給管180Aに供給される気体の流量を示し、縦軸は基準開度OA1と検出開度OA2との絶対差ΔOAを示している。基準開度OA1は、孔径260μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aを、基板処理装置100Bに配置した時の開度を示す。換言すれば、孔径260μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aは、初期状態(正常な状態)の気泡供給管180Aを示す。
【0147】
図11において、検出開度OA21は、60個の気泡供給孔Gの内の5個の気泡供給孔Gが塞がれた気泡供給管180Aを、基板処理装置100Bに配置した時の検出開度を示す。絶対差ΔOA21は、基準開度OA1と検出開度OA21との絶対差を示す。
【0148】
また、検出開度OA22は、60個の気泡供給孔Gの内の10個の気泡供給孔Gが塞がれた気泡供給管180Aを、基板処理装置100Bに配置した時の開度を示す。絶対差ΔOA22は、基準開度OA1と検出開度OA22との絶対差を示す。
【0149】
更に、検出開度OA23は、孔径300μmの60個の気泡供給孔Gを有する気泡供給管180Aを、基板処理装置100Bに配置した時の開度を示す。絶対差ΔOA23は、基準開度OA1と検出開度OA23との絶対差を示す。
【0150】
図11に示すように、絶対差ΔOA22は、絶対差ΔOA21より大きかった。従って、判定部12は、開度OAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定できる。その結果、気泡供給管180Aを目視で確認する必要がない。よって、複数の気泡供給孔Gの状態を容易に確認できる。
【0151】
また、絶対差ΔOA21、絶対差ΔOA22、及び、絶対差ΔOA23は、流量を小さくすればするほど、大きくなった。従って、第1流量F1で、複数の気泡供給孔Gの状態の変化が小さくても、絶対差ΔOAは大きくなる。その結果、基板処理と判定処理とを同時に実行できる。
【0152】
詳細には、判定部12は、基準開度OA1と検出開度OA2との絶対差ΔOAに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であるか否かを判定する。具体的には、判定部12は、絶対差ΔOAが閾値TH以上である場合に、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であると判定する。閾値THは、複数の気泡供給孔Gが小さくなったり塞がったり大きくなったり広がったりして、複数の気泡供給孔Gの状態が異常である時の数値を示す。また、判定部12は、絶対差ΔOAが閾値TH未満である場合に、複数の気泡供給孔Gの状態が正常であると判定する。
【0153】
次に、
図12を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理方法を説明する。
図12は、実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図12に示すように、基板処理方法は、工程S101~工程S107を含む。基板処理方法は、基板処理装置100Bによって実行される。
【0154】
まず、工程S101において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQに複数の基板Wを浸漬する。
【0155】
次に、工程S102において、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを検出開度OA2に調節し、気泡供給管180Aに第1流量F1の気体を供給する。
【0156】
次に、工程S103において、調整バルブ219Aは、検出開度OA2を示す情報を制御装置U4に出力する。
【0157】
次に、工程S104において、判定部12は、基準開度OA1と検出開度OA2との絶対差ΔOAが閾値TH以上であるか否かを判定する。
【0158】
工程S104で判定部12は、絶対差ΔOAが閾値TH以上である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であると判定し、処理は、工程S105に進む。
【0159】
工程S105において、判定部12は、気泡供給管180Aの状態が異常であることを報知する。例えば、判定部12は、ディスプレイ又は外部端末に情報を表示する。
【0160】
一方、工程S104で判定部12は、絶対差ΔOAが閾値TH未満である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が正常であると判定し、処理は、工程S106に進む。
【0161】
次に、工程S106において、流量制御部11は、バルブ211Aを閉じて、気体供給管261Aに気体を供給することを停止する。
【0162】
次に、工程S107において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQから複数の基板Wを引き上げる。そして、基板処理方法が終了する。
【0163】
以上、
図10から
図12を参照して説明したように、実施形態2によれば、判定部12は、調整バルブ219Aで検出された開度OAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。その結果、圧力計253Aを設ける必要がなくなる。
【0164】
<実施形態3>
図13及び
図14を参照して、本発明の実施形態3に係る基板処理装置100Aを説明する。
図13及び
図14は、実施形態3に係る基板処理方法を示すフローチャートである。実施形態3に係る基板処理装置100Aが、調整バルブ219Aの開度OAnにも基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する点で、実施形態3は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態3が実施形態1と異なる点を主に説明する。なお、実施形態3に係る基板処理装置100Aは、
図1から
図3に示す基板処理装置100Aと同じである。
【0165】
図13及び
図14に示すように、基板処理方法は、工程S201~工程S218を含む。基板処理方法は、基板処理装置100Aによって実行される。なお、実施形態3に係る基板処理方法は、実施形態2に係る基板処理方法を実行した後、実施形態1に係る基板処理方法を実行するものである。
【0166】
まず、工程S201において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQに複数の基板Wを浸漬する。
【0167】
次に、工程S202において、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを検出開度OA2に調節し、気泡供給管180Aに第1流量F1の気体を供給する。
【0168】
次に、工程S203において、調整バルブ219Aは、検出開度OA2を示す情報を制御装置U4に出力する。
【0169】
次に、工程S204において、判定部12は、基準開度OA1と検出開度OA2との絶対差ΔOAが閾値TH以上であるか否かを判定する。
【0170】
工程S204で判定部12は、絶対差ΔOAが閾値TH未満である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が正常であると判定し、処理は、工程S205に進む。
【0171】
次に、工程S205において、流量制御部11は、バルブ211Aを閉じて、気体供給管261Aに気体を供給することを停止する。
【0172】
次に、工程S206において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQから複数の基板Wを引き上げる。そして、基板処理方法が終了する。
【0173】
一方、工程S204で判定部12は、絶対差ΔOAが閾値TH以上である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であると判定し、処理は、工程S207に進む。
【0174】
次に、工程S207において、判定部12は、流量制御部11は、バルブ211Aを閉じて、気体供給管261Aに気体を供給することを停止する。
【0175】
次に、
図14に示す工程S208において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQから複数の基板Wを引き上げる。
【0176】
次に、工程S209において、バルブ170bが所定期間、開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQの一部は、排液配管170aを通って外部に排出される。所定期間は、所定深さHAから所定深さHBに変化するための期間を示す。
【0177】
次に、工程S210において、流量制御部11は、流量計217Aで計測された流量に基づいて、調整バルブ219Aの開度OAnを調節し、気泡供給管180Aに第2流量F2の気体を供給する。
【0178】
次に、工程S211において、圧力計253Aは、気体供給管261Aを介して検出圧力PA2を検出する。
【0179】
次に、工程S212において、流量制御部11は、バルブ211Aを閉じて、気泡供給管180Aに気体を供給することを停止する。
【0180】
次に、工程S213において、判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAがいずれの範囲に属するかを判定する。
【0181】
工程S213で判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第2閾値TH2以上第1閾値TH1未満である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が正常であると判定し、基板処理方法が終了する。
【0182】
また、工程S213で判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第1閾値TH1以上である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が異常である(複数の気泡供給孔Gが詰まっている)と判定し、処理は、工程S214に進む。
【0183】
工程S214において、バルブ170bが所定期間、開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQは、排液配管170aを通って外部に排出される。所定期間は、内槽112内から処理液LQが無くなる期間を示す。
【0184】
次に、工程S215において、バルブ190bが開かれると、洗浄液が内槽112内に供給される。
【0185】
次に、工程S216において、バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている洗浄液は、排液配管170aを通って外部に排出される。そして、基板処理方法が終了する。
【0186】
一方、工程S213で判定部12は、基準圧力PA1と検出圧力PA2との差分ΔPAが第2閾値TH2以下である場合には、複数の気泡供給孔Gの状態が異常である(複数の気泡供給孔Gが広がっている)と判定し、処理は、工程S217に進む。
【0187】
工程S217において、バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQは、排液配管170aを通って外部に排出される。
【0188】
次に、工程S218において、気泡供給管180Aが、新たな気泡供給管180Aに交換される。そして、基板処理方法が終了する。
【0189】
以上、
図13から
図14を参照して説明したように、実施形態3によれば、判定部12は、調整バルブ219Aで検出された検出開度OAnに基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態を判定する。その結果、基板Wを処理する時の第1流量F1で、複数の気泡供給孔Gの状態の変化を判定できる。その結果、基板処理と判定処理とを同時に実行できる。
【0190】
更に判定部12が、調整バルブ219Aで検出された検出開度OA2に基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であると判定した後、圧力計253Aで検出された検出圧力PA2に基づいて、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であるか否かを確定する。その結果、複数の気泡供給孔Gの状態が異常であることを、精度よく確認できる。
【0191】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態及び実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0192】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0193】
(1)実施形態1では、判定部12は、複数の気泡供給管180の各々の状態が異常であるか否かを判定したが、本発明はこれに限定されない。判定部12は、複数の気泡供給管180の内から選択された1個の状態が異常であるか否かを判定し、選択された1個の状態が、複数の気泡供給管180の各々の状態であるとしてもよい。その結果、圧力計253Bと、圧力計253Cと、圧力計253Dとを設けなくてもよい。
【0194】
(2)実施形態1では、判定部12は、複数の気泡供給管180の各々の状態が異常であるか否かを、1本ずつ判定したが、本発明はこれに限定されない。判定部12は、複数の気泡供給管180の各々の状態が異常であるか否かを、同時に判定してもよい。その結果、判定処理の時間を短縮できる。
【0195】
(3)実施形態1では、気泡供給管180Aは、第1方向D10に延びているが、本発明はこれに限定されない。気泡供給管180Aは、第2方向D20に延びていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0197】
12 判定部
100B 基板処理装置
110 処理槽
180A 気泡供給管
253A 圧力計(物理量検出部)
261A 気体供給管
G 気泡供給孔(開口)
LQ 処理液
W 基板