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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 1/00 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
F23L1/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020139877
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035507
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-278621(JP,A)
【文献】実開昭51-075630(JP,U)
【文献】実開昭58-032248(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L1/00
F23D14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筐を備え、燃焼筐内に、複数のバーナを横方向に並べて収納した燃焼室と、燃焼室に対し仕切板で仕切られた、燃焼室の下側の給気室とが設けられ、給気室の前面が、複数のバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドで閉塞され、給気室にファンから供給された空気が、給気室の前部から各バーナに燃焼用の一次空気として供給されると共に、仕切板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に燃焼用の二次空気として供給されるようにした燃焼装置であって、
ファンからの空気を給気室に流入させる空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との一方の壁面に開設されるものにおいて、
給気室に、空気流入口に対向して、空気流入口から流入した空気の一部を空気流入口側に跳ね返す衝立板が設けられ、衝立板は、平面視で、長手方向中央部から長手方向の各端部に向けて空気流入口を開設した給気室の壁面に近付くように傾斜していることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
燃焼筐を備え、燃焼筐内に、複数のバーナを横方向に並べて収納した燃焼室と、燃焼室に対し仕切板で仕切られた、燃焼室の下側の給気室とが設けられ、給気室の前面が、複数のバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドで閉塞され、給気室にファンから供給された空気が、給気室の前部から各バーナに燃焼用の一次空気として供給されると共に、仕切板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に燃焼用の二次空気として供給されるようにした燃焼装置であって、
ファンからの空気を給気室に流入させる空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との両壁面に亘って開設され、ファンからの空気が空気流入口から給気室に前方に向かって横方向他方に傾斜した方向成分を持って流入するものにおいて、
給気室に、空気流入口に対向して、空気流入口から流入した空気の一部を空気流入口側に跳ね返す衝立板が設けられ、衝立板は、給気室の後壁面に開設された空気流入口の部分に対向する第1の板部と、給気室の横方向一方の側壁面に開設された空気流入口の部分に対向し、平面視で、前方に向かって横方向一方に傾斜した第2の板部とを有することを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
燃焼筐を備え、燃焼筐内に、複数のバーナを横方向に並べて収納した燃焼室と、燃焼室に対し仕切板で仕切られた、燃焼室の下側の給気室とが設けられ、給気室の前面が、複数のバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドで閉塞され、給気室にファンから供給された空気が、給気室の前部から各バーナに燃焼用の一次空気として供給されると共に、仕切板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に燃焼用の二次空気として供給されるようにした燃焼装置であって、
ファンからの空気を給気室に流入させる空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との少なくとも一方の壁面に開設され、ファンは、燃焼筐の外側で、給気室よりも高い位置に設けられ、ファンの下側に配置されたダクトを介して空気流入口に空気が供給されるものにおいて、
給気室に、空気流入口に対向して、空気流入口から流入した空気の一部を空気流入口側に跳ね返す衝立板が設けられ、空気流入口の少なくとも一部分の上縁から給気室の内方に張り出す庇部が設けられることを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
請求項記載の燃焼装置であって、前記ファンは、前記燃焼筐の外側で、前記給気室よりも高い位置に設けられ、ファンの下側に配置されたダクトを介して前記空気流入口に空気が供給されるものにおいて、
前記給気室の後壁面に開設された空気流入口の部分の少なくとも横方向他方寄りの半部の上縁から給気室の内方に張り出す庇部が設けられることを特徴とする燃焼装置。
【請求項5】
前記庇部の前記給気室の内方への張り出し長さは、前記分布孔のうち少なくとも庇部が設けられた前記空気流入口の上縁部分に最も近い分布孔が下方から見て庇部に重なるように設定されることを特徴とする請求項又は記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼筐を備え、燃焼筐内に、複数のバーナを横方向に並べて収納した燃焼室と、燃焼室に対し仕切板で仕切られた、燃焼室の下側の給気室とが設けられ、給気室の前面が、複数のバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドで閉塞され、給気室にファンから供給された空気が、給気室の前部から各バーナに燃焼用の一次空気として供給されると共に、仕切板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に燃焼用の二次空気として供給されるようにした燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置では、一般的に、ファンからの空気を給気室に流入させる空気流入口を給気室の底面に開設しているが、空気流入口を給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との少なくとも一方の壁面に開設した燃焼装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、上記後者の従来例のものは、ファンを燃焼筐の外側の給気室と同等かそれより高い位置に配置できる。そのため、ファンを燃焼筐よりも下方に配置する必要がある上記前者の従来例のものに比し、ファンを含む燃焼装置全体の高さ寸法を短縮できる利点がある。
【0004】
然し、上記後者の従来例のものは、給気室に空気流入口から空気が上向きの方向成分を殆ど持たずに流入するため、空気流入口に近い仕切板の部分に形成した分布孔には空気が流れにくくなる。従って、空気流入口を開設した壁面に近い燃焼室の部分では、二次空気が不足して燃焼不良を生じやすくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-59114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との少なくとも一方の壁面に開設される燃焼装置であって、空気流入口に近い仕切板の部分に形成した分布孔にも空気が流れやすくなるようにしたものを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、燃焼筐を備え、燃焼筐内に、複数のバーナを横方向に並べて収納した燃焼室と、燃焼室に対し仕切板で仕切られた、燃焼室の下側の給気室とが設けられ、給気室の前面が、複数のバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドで閉塞され、給気室にファンから供給された空気が、給気室の前部から各バーナに燃焼用の一次空気として供給されると共に、仕切板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に燃焼用の二次空気として供給されるようにした燃焼装置であって、ファンからの空気を給気室に流入させる空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との少なくとも一方の壁面に開設されるものにおいて、給気室に、空気流入口に対向して、空気流入口から流入した空気の一部を空気流入口側に跳ね返す衝立板が設けられることを前提としている。
【0008】
この前提によれば、空気流入口から流入した空気の一部が衝立板に当たって空気流入口側に跳ね返るため、空気流入口に近い仕切板の部分に形成した分布孔にも空気が流れやすくなる。従って、空気流入口を開設した壁面に近い燃焼室の部分における二次空気不足を抑制することができる。
【0010】
ここで、本発明、空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との一方の壁面に開設される場合、衝立板、平面視で、長手方向中央部から長手方向の各端部に向けて空気流入口を開設した給気室の壁面に近付くように傾斜したものとすることを特徴とする。これによれば、衝立板の各端部から空気流入口の端部に隣接する給気室の壁面部分に沿って空気が流れやすくなり、この壁面部分に近い仕切板の部分に形成した分布孔にも空気が流れやすくなって、燃焼室の二次空気の分布がより均一になる。
【0011】
尚、空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との両壁面に亘って開設され、ファンからの空気が空気流入口から給気室に前方に向かって横方向他方に傾斜した方向成分を持って流入する場合、給気室の横方向一方の側壁面の空気流入口の前端部の前方に隣接する壁面部分の近傍には空気がかなり流れ難くなる。そこで、本発明は、この場合、衝立板を、給気室の後壁面に開設された空気流入口の部分に対向する第1の板部と、給気室の横方向一方の側壁面に開設された空気流入口の部分に対向し、平面視で、前方に向かって横方向一方に傾斜した第2の板部とを有するものとすることを特徴とする。これによれば、第2の板部の前端から給気室の横方向一方の側壁面の空気流入口の前端部の前方に隣接する壁面部分に沿って空気が流れやすくなり、上記の不具合を解消できる。
【0012】
また、ファンが燃焼筐の外側で、給気室よりも高い位置に設けられ、ファンの下側に配置されたダクトを介して空気流入口に空気が供給される場合には、空気流入口の近傍のダクト下面部分で空気が上方に跳ね返り、この空気が衝立板から跳ね返った空気に空気流入口に近い仕切板の部分の下方位置でぶつかって渦を生ずることがある。そして、渦が発生すると、空気流入口に近い仕切板の部分に形成した分布孔への空気の流入が阻害されてしまう。
【0013】
そこで、本発明は、ファンが燃焼筐の外側で、給気室よりも高い位置に設けられ、ファンの下側に配置されたダクトを介して空気流入口に空気が供給される場合には、空気流入口の上縁の少なくとも一部から給気室の内方に張り出す庇部を設けることを特徴とする。これによれば、空気流入口の近傍のダクト下面部分で上方に跳ね返った空気が、庇部に当たり、衝立板で跳ね返って庇部の上方に向かう空気にぶつからなくなる。その結果、空気流入口に近い仕切板の部分の下方位置での渦の発生が抑制され、空気流入口に近い仕切板の部分に形成した分布孔にも良好に空気が流入する。
【0014】
尚、空気流入口が給気室の後壁面と横方向一方の側壁面との両壁面に亘って開設され、ファンからの空気が空気流入口から給気室に前方に向かって横方向他方に傾斜した方向成分を持って流入するものであって、ファンが燃焼筐の外側で、給気室よりも高い位置に設けられ、ファンの下側に配置されたダクトを介して空気流入口に空気が供給される場合には、給気室の後壁面に開設された空気流入口の部分の横方向他方寄りの半部において、ダクト下面部分での空気の上方への跳ね返りが顕著になる。従って、この場合には、給気室の後壁面に開設された空気流入口の部分の少なくとも横方向他方寄りの半部の上縁から給気室の内方に張り出す庇部を設ければよい。
【0015】
また、庇部の給気室の内方への張り出し長さは、分布孔のうち少なくとも庇部が設けられた空気流入口の上縁部分に最も近い分布孔が下方から見て庇部に重なるように設定されることが望ましい。これによれば、空気流入口の上縁部分に最も近い分布孔の下方位置での渦の発生で当該分布孔への空気の流入が阻害されることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態の燃焼装置の斜め前上方から見た斜視図。
図2】本発明の第1実施形態の燃焼装置の斜め後ろ上方から見た斜視図。
図3】本発明の第1実施形態の燃焼装置の平面図。
図4図3のIV-IV線で切断した切断側面図。
図5図4のV-V線で切断した切断底面図。
図6図4のVI-VI線で切断した切断正面図。
図7】本発明の第2実施形態の図5に対応する切断底面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図4を参照して、本発明の実施形態の燃焼装置は、燃焼筐1を備えている。燃焼筐1の上面は開放されており、燃焼筐1の上に被加熱物として図示省略した給湯用熱交換器が設置される。燃焼筐1内には、燃焼室2と燃焼室2の下側の給気室3とが設けられている。給気室3は、燃焼室2に対し仕切板4で仕切られている。
【0018】
燃焼室2には、前後方向に長手のバーナ5が横方向に並べて複数収納されている。各バーナ5は、上端に前後方向の間隔を存してスリット状の複数の炎孔51を有すると共に、下部に前端の流入口52から後方にのびる混合管部53を有している。そして、混合管部53で生成された混合気(燃料ガスと燃焼用の一次空気との混合ガス)が炎孔51から噴出して燃焼する。尚、燃焼筐1の前板部11と横方向一方の側板部12には、夫々フレームロッド13と点火電極14が配置されている。
【0019】
給気室3には、ファン6から空気が供給される。ファン6は、ファンケーシング61内にモータ62で駆動される羽根車を有するシロッコファンで構成されている。給気室3に供給された空気の一部は、仕切板4に形成した多数の分布孔41を介して燃焼室2に燃焼用の二次空気として供給される。また、仕切板4の前端には、上方に屈曲する起立板部42と、起立板部42の上端から前方に屈曲して燃焼筐1の前板部11に達する上板部43とが設けられており、給気室3の前部31は、起立板部42の前側で上方に立ち上がっている。給気室3の前面は、ガスマニホールド7で閉塞される。また、起立板部42には、各バーナ5の流入口52に臨む各開口44が形成されており、ガスマニホールド7には、各開口44に対向する各ノズル71が設けられている。そして、各ノズル71から各バーナ5の流入口52に燃料ガスが供給されると共に、給気室3に供給された空気の一部が給気室3の前部31から各バーナ5の流入口52に燃焼用の一次空気として供給されるようにしている。
【0020】
また、給気室3の後壁面32と横方向一方(図5で左方)の側壁面33との少なくとも一方の壁面に、ファン6からの空気を給気室3に流入させる空気流入口34が開設される。本実施形態では、空気流入口34を給気室3の後壁面32と横方向一方の側壁面33との両壁面に亘って開設している。ファン6は、燃焼筐1の横方向一方の外側で、給気室3よりも高い位置に設けられている。ファン6の下側には、給気室3の横方向一方の側壁面33の外側から給気室3の後壁面32の外側に亘って延在するダクト8が設けられている。図5を参照して、ダクト8の上面には、横方向一方の後側に位置させて、ファン6の接続口81が開設されている。そして、ファン6からの空気が、図5に矢印aで示す如く、給気室3に前方(図5の上方)に向かって横方向他方(図5の右方)に傾斜した方向成分を持って流入するようにしている。
【0021】
給気室3には、空気流入口34に対向して、空気流入口34から流入した空気の一部を、図4の矢印bで示す如く、空気流入口34側に跳ね返す衝立板35が設けられている。これによれば、衝立板35に当たって空気流入口34側に跳ね返る空気の影響で、空気流入口34に近い仕切板4の部分に形成した分布孔41にも空気が流れやすくなる。従って、空気流入口34を開設した壁面に近い燃焼室2の部分、即ち、燃焼室2の後壁面及び横方向一方の側壁面に近い部分における二次空気不足を抑制することができる。尚、衝立板35の上縁は、空気流入口34から流入してきた空気を効果的に空気流入口34側に跳ね返すことができるように、空気流入口34の上下方向中央部の高さ以上の高さに位置している。
【0022】
また、衝立板35は、給気室3の後壁面32に開設された空気流入口34の部分に対向する第1の板部351と、給気室3の横方向一方の側壁面33に開設した空気流入口34の部分に対向する第2の板部352とを有している。第1の板部351の横方向他方(図5の右方)の端部は、給気室3の後壁面32に開設された空気流入口34の部分の横方向他方の端部よりも横方向他方に位置し、第2の板部352の前端部は、給気室3の横方向一方の側壁面33に開設された空気流入口34の部分の前端部よりも前方に位置する。
【0023】
ところで、給気室3の横方向一方の側壁面33の空気流入口34の前端部の前方に隣接する壁面部分の近傍には空気がかなり流れ難くなる。そこで、第2の板部352を、平面視で、前方(図5で上方)に向かって横方向一方(図5で左方)に傾斜させている。これによれば、図5の矢印cで示す如く、第2の板部352の前端から給気室3の横方向一方の側壁面33の空気流入口34の前端部の前方に隣接する壁面部分に沿って空気が流れやすくなる。そのため、この壁面部分に近い仕切板4の部分に形成した分布孔41にも空気が流入しやすくなり、燃焼室2の二次空気の分布がより均一になる。
【0024】
尚、給気室3の横方向一方の側壁面33の空気流入口34の前端部より第2の板部352の前端部が前方に位置していることで、空気流入口34の前端部の前方に隣接する壁面部分に沿って空気が一層流れやすくなる。また、衝立板35の第1の板部351は、第2の板部352の後端から横方向他方(図5で右方)に向けて前方に傾斜してのびる部分351aと、当該部分351aの横方向他方の端部から横方向他方にのびる部分351bとを有しているが、部分351aを省略し、衝立板35の第2の板部352の前端から図5に仮想線で示す如く横方向他方にのびるように第1の板部351を形成することも可能である。
【0025】
また、ファン6が燃焼筐1の外側で、給気室3よりも高い位置に設けられ、ファン6の下側に配置されたダクト8を介して空気流入口34に空気が供給される場合には、空気流入口34の近傍のダクト8の下面部分で空気が上方に跳ね返り、この空気が衝立板35から跳ね返った空気に空気流入口34に近い仕切板4の部分の下方位置でぶつかって渦を生ずることがある。そして、渦が発生すると、空気流入口34に近い仕切板4の部分に形成した分布孔41への空気の流入が阻害されてしまう。特に、本実施形態の如く、空気流入口34が給気室3の後壁面32と横方向一方の側壁面33との両壁面に亘って開設され、ファン6からの空気が空気流入口34から給気室3に前方に向かって横方向他方に傾斜した方向成分を持って流入する場合、給気室3の後壁面32に開設した空気流入口34の部分の横方向他方寄りの半部において、空気流入口34の近傍のダクト8の下面部分で空気が図4の矢印dで示す如く上方に跳ね返りやすくなる。
【0026】
そこで、本実施形態では、給気室34の後壁面32に開設された空気流入口34の部分の横方向他方寄りの半部の上縁から給気室3の内方に張り出す庇部36を設けている。尚、空気流入口34の上縁の庇部36を設ける部分は、他の部分よりも下方に位置している。また、図5を参照して、庇部36の給気室3の内方への張り出し長さは、仕切板4に形成した分布孔41のうち少なくとも庇部36が設けられた空気流入口34の上縁部分に最も近い♯1の分布孔41が下方から見て庇部36に重なるように設定されている。本実施形態では、♯1の分布孔41に加えて上記上縁部分に2番目に近い♯2の分布孔41も下方から見て庇部36に重なるようにしている。
【0027】
これによれば、図4に示す如く、空気流入口34の近傍のダクト8の下面部分で矢印dの如く上方に跳ね返った空気が、庇部36に当たり、衝立板35で矢印bの如く跳ね返って庇部36の上方に向かう空気にぶつからなくなる。その結果、空気流入口34に近い仕切板4の部分の下方位置での渦の発生が抑制され、空気流入口34に近い仕切板4の部分に形成した♯1や♯2の分布孔41にも良好に空気が流入し、燃焼室3の二次空気の分布が一層均一になる。
【0028】
尚、給気室34の後壁面32に開設された空気流入口34の部分の横方向他方寄りの半部よりも横方向一方に位置する部分にも庇部36を形成することが可能である。然し、これでは、庇部36が衝立板35の第2の板部352の後端部に近付き過ぎて、通気抵抗が増加してしまう。そこで、本実施形態では、給気室34の後壁面32に開設された空気流入口34の部分の横方向他方寄りの半部にのみ庇部36を形成している。
【0029】
次に、図7に示す第2実施形態について説明する。第2実施形態の基本的な構造は上記第1実施形態のものと特に異ならず、第1実施形態と同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、給気室3の後壁面32にのみ空気流入口34を開設したことである。また、給気室3には、空気流入口34に対向して、空気流入口34から流入した空気の一部を空気流入口34側に跳ね返す横方向に長手の衝立板35が設けられている。この衝立板35の上縁は、図示しないが、第1実施形態と同様に、空気流入口34の上下方向中央部の高さ以上の高さに位置している。また、衝立板35は、平面視で、長手方向中央部から長手方向の各端部に向けて空気流入口34を開設した給気室3の壁面である後壁面32に近付くように傾斜、即ち、後方に傾斜している。これによれば、空気流入口34の横方向の各端部に隣接する給気室3の後壁面32部分に沿って空気が流れやすくなり、この後壁面32部分に近い仕切板4の部分に形成した分布孔41にも空気が流れやすくなる。尚、第2実施形態では、衝立板35の長手方向中央部から長手方向端部に向かう後方への傾斜角度が一定であるが、長手方向端部に近付くにつれて後方への傾斜角度が次第に増加するように衝立板35を湾曲させてもよい。
【0030】
また、空気流入口34の中央部を含む所定範囲の上縁から給気室3の内方に張り出す庇部36が設けられている。庇部36の給気室3の内方への張り出し長さは、第1実施形態と同様に、仕切板4に形成した分布孔41のうち少なくとも庇部36が設けられた空気流入口34の上縁部分に最も近い♯1の分布孔41と2番目に近い♯2の分布孔41とが下方から見て庇部36に重なるように設定されている。そのため、第1実施形態と同様に、空気流入口34の近傍のダクト8の下面部分で上方に跳ね返った空気が、庇部36に当たり、衝立板35で跳ね返って庇部36の上方に向かう空気にぶつからなくなる。その結果、空気流入口34に近い仕切板4の部分の下方位置での渦の発生が抑制され、空気流入口34に近い仕切板4の部分に形成した♯1や♯2の分布孔41にも良好に空気が流入する。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、衝立板35の前方に十分に空気が流れるように、衝立板35の一部に凹欠部や開口を形成することも可能である。また、給気室3の横方向一方の側壁面33のみに空気流入口34を開設する場合にも、同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1…燃焼筐、2…燃焼室、3…給気室、31…給気室の前部、32…給気室の後壁面、33…給気室の横方向一方の側壁面、34…空気流入口、35…衝立板、351…第1の板部、352…第2の板部、36…庇部、4…仕切板、41…分布板、5…バーナ、6…ファン、7…ガスマニホールド、8…ダクト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7