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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】陳列台
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/11 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A47F5/11
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020140952
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036641
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 成美
(72)【発明者】
【氏名】田中 千春
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明人
(72)【発明者】
【氏名】森 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】田邉 航平
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-060877(JP,U)
【文献】特開2005-304733(JP,A)
【文献】実開昭62-141371(JP,U)
【文献】特開2006-239387(JP,A)
【文献】実開平04-019528(JP,U)
【文献】特公昭37-005524(JP,B1)
【文献】特表2001-511381(JP,A)
【文献】特開2021-126253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙製の陳列台(1)であって、
少なくとも1つの第1開口部(14U,14D)が穿設され、前記第1開口部の周囲に情報を提示するための第1提示面(S1)が設けられた第1側板(3)と、
少なくとも1つの第2開口部(24U,24D)が穿設され、前記第2開口部の周囲に情報を提示するための第2提示面(S2)が設けられ、上端部で前記第1側板に連結された第2側板(4)と、
前記第1開口部の下縁部に連設された少なくとも1つのトレイ部(8U,8D)と、
上下方向に延びた折畳線(L11)に沿って折曲可能に形成され、前記第1側板と前記第2側板との間に連結された少なくとも1つの支持部(7)と、
前記第2開口部の下縁部と前記トレイ部との間に架設された連動板(25U,25D)と、を備え、
前記第1側板と前記第2側板とが前記折畳線で折り込まれた前記支持部を挟み込んだ折畳状態において、前記トレイ部は、前記第1開口部の内側で前記第1開口部の下縁部を中心に跳ね上げられた起立姿勢(P30)となり、
前記第1側板と前記第2側板とが上端部を中心に回動して下部を広げられ、前記支持部が前記第1側板と前記第2側板との間に直線状に架設された使用状態において、前記トレイ部は、前記第1開口部の下縁部を中心に下方に回動して前記第2開口部の下縁部に当接した横臥姿勢(P31)となり、
前記折畳状態において、前記連動板は、前記第2開口部の内側で前記第2開口部の下縁部を中心に跳ね上げられた連動起立姿勢(P20)となり、
前記使用状態において、前記連動板は、前記トレイ部を引きながら前記第2開口部の下縁部を中心に下方に回動し、前記横臥姿勢となった前記トレイ部の下面に当接する連動横臥姿勢(P21)となることを特徴とする陳列台。
【請求項2】
前記支持部は、最も下方に位置する前記トレイ部の下側に設けられ、前記使用状態において前記横臥姿勢となった前記トレイ部を支持することを特徴とする請求項1に記載の陳列台。
【請求項3】
前記トレイ部は、
前記使用状態で前記連動板に当接する下面板(40U,40D)と、
前記下面板の上面に積層される底パッド(44U,44D)と、を有し、
前記連動板には被係合部(30U,30D)が形成され、前記下面板には前記使用状態で前記被係合部に係合する係合部(45U,45D)が形成され、
前記底パッドは、少なくとも前記係合部を覆う部分が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の陳列台。
【請求項4】
前記第1側板と前記第2側板との上端部に形成された差込穴(38)に差し込まれた状態で前記第1側板と前記第2側板とに対し立設される追加パネル(9)を更に備えたことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の陳列台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の陳列に使用される厚紙製の陳列台に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプ製の前部柱と後部柱とを上端でピンを介して回動自在に連結し、逆V状に立設した左右一対の柱と、一対の柱間に設けられた載置板と、を備えた脚立式販売台が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭61-60877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した脚立式販売台の柱(前部柱、後部柱)はパイプ製であるため、柱に販売する商品の広告等の情報を提示することができなかった。また、上記した脚立式販売台の柱は、スチール等の金属製のパイプで構成されていると推定される。金属製パイプを含む脚立式販売台は、高い強度を有しているが、重量が重く取り扱い難いという問題があった。例えば、店頭では広告や場所を変えて商品を販売することがあるため、広告を提示できず重い脚立式販売台は店頭で使い難かった。また、不要となった脚立式販売台は粗大ごみとして廃棄しなければならず、廃棄に際し、多くの手間とコストがかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、情報の提示や取り扱いを容易にすることができる陳列台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、厚紙製の陳列台であって、少なくとも1つの第1開口部が穿設され、前記第1開口部の周囲に情報を提示するための第1提示面が設けられた第1側板と、少なくとも1つの第2開口部が穿設され、前記第2開口部の周囲に情報を提示するための第2提示面が設けられ、上端部で前記第1側板に連結された第2側板と、前記第1開口部の下縁部に連設された少なくとも1つのトレイ部と、上下方向に延びた折畳線に沿って折曲可能に形成され、前記第1側板と前記第2側板との間に連結された少なくとも1つの支持部と、を備え、前記第1側板と前記第2側板とが前記折畳線で折り込まれた前記支持部を挟み込んだ折畳状態において、前記トレイ部は、前記第1開口部の内側で前記第1開口部の下縁部を中心に跳ね上げられた起立姿勢となり、前記第1側板と前記第2側板とが上端部を中心に回動して下部を広げられ、前記支持部が前記第1側板と前記第2側板との間に直線状に架設された使用状態において、前記トレイ部は、前記第1開口部の下縁部を中心に下方に回動して前記第2開口部の下縁部に当接した横臥姿勢となる。
【0007】
この場合、前記支持部は、最も下方に位置する前記トレイ部の下側に設けられ、前記使用状態において前記横臥姿勢となった前記トレイ部を支持してもよい。
【0008】
この場合、前記第2開口部の下縁部と前記トレイ部との間に架設された連動板を更に備え、前記折畳状態において、前記連動板は、前記第2開口部の内側で前記第2開口部の下縁部を中心に跳ね上げられた連動起立姿勢となり、前記使用状態において、前記連動板は、前記トレイ部を引きながら前記第2開口部の下縁部を中心に下方に回動し、前記横臥姿勢となった前記トレイ部の下面に当接する連動横臥姿勢となることとしてもよい。
【0009】
この場合、前記トレイ部は、前記使用状態で前記連動板に当接する下面板と、前記下面板の上面に積層される底パッドと、を有し、前記連動板には被係合部が形成され、前記下面板には前記使用状態で前記被係合部に係合する係合部が形成され、前記底パッドは、少なくとも前記係合部を覆う部分が着脱可能に設けられてもよい。
【0010】
この場合、前記第1側板と前記第2側板との上端部に形成された差込穴に差し込まれた状態で前記第1側板と前記第2側板とに対し立設される追加パネルを更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、陳列台に情報を容易に提示することができ、陳列台の取り扱いを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る陳列台を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る陳列台の第1側板のブランクを示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る陳列台の第2側板のブランクを示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る陳列台の補強板のブランクを示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る陳列台の接合板のブランクを示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る陳列台の支持部のブランクを示す平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る陳列台の上段トレイ部のブランクを示す平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る陳列台の下段トレイ部のブランクを示す平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る陳列台の追加パネルのブランクを示す平面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る陳列台を示す平面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る陳列台を示す底面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る陳列台(折畳状態)を示す斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係る陳列台(折畳状態)を示す側面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る陳列台を折畳状態から使用状態に変形させる途中を示す側面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る陳列台(使用状態)を示す側面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る陳列台の下段トレイ部を示す斜視図である。
図17】本発明の一実施形態に係る陳列台に追加パネルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てた状態での方向や位置を基準にしている。
【0014】
[陳列台]
図1ないし図9を参照して、陳列台1について説明する。図1は陳列台1を示す斜視図である。図2は第1側板3のブランク3Aを示す平面図である。図3は第2側板4のブランク4Aを示す平面図である。図4は補強板5のブランク5Aを示す平面図である。図5は接合板6のブランク6Aを示す平面図である。図6は支持部7のブランク7Aを示す平面図である。図7は上段トレイ部8Uのブランク8AUを示す平面図である。図8は下段トレイ部8Dのブランク8ADを示す平面図である。図9は追加パネル9のブランク9Aを示す平面図である。
【0015】
図1に示すように、陳列台1は、第1側板3と第2側板4とを上端で連結し、側面から見て略A字状に形成されている。陳列台1には、商品(図示せず)を載せるための上段・下段トレイ部8U,8Dが設けられている。陳列台1は、段ボールシート(厚紙)で、概ね略脚立状に形成されている。
【0016】
陳列台1は、本体部2と、上段トレイ部8Uと、下段トレイ部8Dと、を備えている。本体部2は、第1側板3と、第2側板4と、一対の補強板5と、接合板6と、一対の支持部7と、を有している。また、詳細は後述するが、陳列台1には、必要に応じて追加パネル9が取り付けられるようになっている(後述する図17参照)。なお、一対の補強板5は同一形状であるため、以下の説明では1つの補強板5について説明する。これと同じ理由で、以下、1つの支持部7について説明する。
【0017】
第1側板3、第2側板4、補強板5、接合板6、支持部7、上段トレイ部8U、下段トレイ部8Dおよび追加パネル9は、それぞれ、段ボールシートから成るブランク3A~7A,8AU,8AD,9Aで構成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(後述する図2および図11等参照)とを貼り付けた紙製の両面段ボールシートである。ブランク3A~7A,8AU,8AD,9Aは、一枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、図2ないし図9は表ライナ9B側(外面側)を示している。本明細書では、中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0018】
[第1側板のブランク]
図2に示すように、第1側板3のブランク3Aは、第1本体部10と、一対の第1側片11と、第1上片12と、第1差込形成片13と、を有している。なお、一対の第1側片11は図3において左右対称に形成されているため、以下の説明では、一対であることを明記した場合を除いて、1つの第1側片11に着目して説明する。
【0019】
<第1本体部>
第1本体部10は、段方向(上下方向)に長い略長方形状に形成されている。第1本体部10には、上下2つの第1開口部14U,14Dが穿設されている。2つの第1開口部14U,14Dは、第1本体部10のやや上寄りに配置され、流れ方向(左右方向)の中央にて間隔をあけて上下一列に整列している。2つの第1開口部14U,14Dは、それぞれ、流れ方向(左右方向)に略同一幅となる略長方形状の開口である。下方に位置する第1開口部14Dは、上方に位置する第1開口部14Uよりも段方向(上下方向)に長く形成されている。
【0020】
上方の第1開口部14Uの下縁部には、連結折線L1Uを介して第1連結片15Uが連設されている。下方の第1開口部14Dの下縁部には、連結折線L1Dを介して第1連結片15Dが連設されている。下方の第1開口部14Dの上縁部には、2本の第1枠折返線L2を介して第1枠補強片16が連設されている。2本の第1枠折返線L2の間隔は段ボールシートの厚みと略同一で、2本の第1枠折返線L2の間には第1枠額縁部16Fが設けられている。
【0021】
第1本体部10(第1側板3)では、第1開口部14U,14Dの周囲に情報を提示するための第1提示面S1が設けられている。つまり、第1提示面S1は、第1本体部10における2つの第1開口部14U,14Dを除いた枠状の領域である。図示は省略するが、第1提示面S1の表面(第1本体部10の表ライナ9B)には、広告等の情報が印刷される。
【0022】
<第1側片>
一対の第1側片11は、2本の第1側折返線L3を介して第1本体部10の流れ方向(左右方向)の両端に連設されている。2本の第1側折返線L3の間隔は段ボールシートの厚みと略同一で、2本の第1側折返線L3の間には第1側額縁部11Fが設けられている。なお、第1側片11の上端は第1本体部10から離れるに従って下方に傾斜している。また、第1側片11の下部(下方の第1開口部14Dよりも下方)は、流れ方向の外側から切り欠かれ、上部よりも幅狭く形成されている。
【0023】
<第1上片>
第1上片12は、2本の第1上折返線L4を介して第1本体部10の上端に連設されている。2本の第1上折返線L4の間隔は段ボールシートの厚みと略同一で、2本の第1上折返線L4の間には第1上額縁部12Fが設けられている。第1上片12は、略台形状の外形を有している。
【0024】
<第1差込形成片>
第1差込形成片13は、第1上片12の流れ方向の中央領域を、第1本体部10の上端から先端に向かって略長方形状に切り込むことで形成されている。第1差込形成片13は、2本の第1上折返線L4を介して第1本体部10の上端に連設されている。第1差込形成片13の範囲では、2本の第1上折返線L4の間隔は段ボールシートの厚みよりも短くなっている。2本の第1上折返線L4の間には、第1差込額縁部13Fが設けられている。
【0025】
[第2側板のブランク]
図3に示すように、第2側板4のブランク4Aは、第2本体部20と、一対の第2側片21と、第2上片22と、第2差込形成片23と、を有している。なお、第2側板4のブランク4Aは、第1側板3のブランク3Aと概ね同一形状である。例えば、第2本体部20(第2開口部24U,24D、第2提示面S2)、第2側片21、第2上片22および第2差込形成片23等は、第1本体部10(第1開口部14U,14D、第1提示面S1)、第1側片11、第1上片12および第1差込形成片13等に対応している。また、第1側板3のブランク3Aの構成に対応する第2側板4のブランク4Aの構成には、「第1」との語句に代えて「第2」との語句を付している。以下、第1側板3のブランク3Aと同様または対応する構成の説明は省略する。
【0026】
<第2本体部>
第2本体部20には、上下2つの第2開口部24U,24Dが穿設されている。上方の第2開口部24Uの下縁部には、連動板25Uが連設されている。連動板25Uは、基端連動折線L5Uを介して第2開口部24Uの下縁部に連設された連動本体板26Uと、先端伸縮折線L6Uを介して連動本体板26Uの先端に連設された第2連結片27Uと、を有している。連動本体板26Uの略中央には、係合穴30U(被係合部)が穿設(形成)されている。係合穴30Uは、略正方形状に形成された開口である。
【0027】
下方の第2開口部24Dの下縁部には、連動板25Dが連設されている。連動板25Dは、連動本体板26D(基端連動折線L5D、係合穴30D)と、第2連結片27D(先端伸縮折線L6D)と、を有している。連動本体板26Dは連動本体板26Uよりも段方向に長く形成され、第2連結片27Dは第2連結片27Uよりも段方向に長く形成されている。下方の第2開口部24Dの上縁部には、2本の第2枠折返線L7(第2枠額縁部28F)を介して第2枠補強片28が連設されている。
【0028】
第1側板3の第1提示面S1と同様に、第2本体部20(第2側板4)では、第2開口部24U,24Dの周囲に情報を提示する(広告等を印刷する)ための第2提示面S2が設けられている。
【0029】
<第2側片、第2上片、第2差込形成片>
一対の第2側片21は、2本の第2側折返線L8(第2側額縁部21F)を介して第2本体部20の流れ方向(左右方向)の両端に連設されている。第2上片22は、2本の第2上折返線L9(第2上額縁部22F)を介して第2本体部20の上端に連設されている。第2差込形成片23(第2差込額縁部23F)は、第2上片22の流れ方向の中央領域を、第2本体部20の上端から先端に向かって略長方形状に切り込むことで形成されている。
【0030】
[補強板のブランク]
図4に示すように、補強板5のブランク5Aは、第1・第2側板3,4の第1・第2本体部10,20と概ね同一形状に形成されている。補強板5(ブランク5A)は、段方向(上下方向)に長い略長方形状に形成されている。補強板5には、上下2つの内側開口部31U,31Dが穿設されている。補強板5の上部には、略長方形状の逃し凹部32が凹設されている。
【0031】
[接合板のブランク]
図5に示すように、接合板6のブランク6Aは、2本の固定折線L10を介して連設された一対の固定片33を有している。2本の固定折線L10の間隔は段ボールシートの厚みと略同一で、2本の固定折線L10の間には連結額縁部33Fが設けられている。
【0032】
[支持部のブランク]
図6に示すように、支持部7のブランク7Aは、一対の脚部34と、一対の継代片35と、を有している。一対の脚部34は、段方向(上下方向)に延びた折畳線L11を介して連設されている。各々の脚部34は倒立した略L字状に形成され、連結された一対の脚部34は倒立した略U字状に形成されている。一対の継代片35は、継代折線L12を介して一対の脚部34の流れ方向の両端に連設されている。
【0033】
なお、連結折線L1U,L1D、第1枠折返線L2、第1側折返線L3、第1上折返線L4、基端連動折線L5U,L5D、第2枠折返線L7、第2側折返線L8、第2上折返線L9および固定折線L10は、それぞれ、段ボールシートを裏ライナ9Cの側から厚み方向に潰した汎用罫線である。先端伸縮折線L6U,L6D、折畳線L11および継代折線L12は、それぞれ、汎用罫線上にミシン目を形成したリード罫である。汎用罫線は、主に、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。リード罫は、正折りまたは表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(逆折りする)機能を有している。これらは、汎用罫線やリード罫に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができるものであれば如何なるものでもよい。
【0034】
[上段トレイ部のブランク]
図7に示すように、上段トレイ部8Uのブランク8AUは、下面板40Uと、一対の側壁部41Uと、後壁部42Uと、前壁部43Uと、底パッド44Uと、を有している。なお、一対の側壁部41Uは図7において左右対称に形成されているため、以下の説明では、一対であることを明記した場合を除いて、1つの側壁部41Uに着目して説明する。
【0035】
<下面板>
下面板40Uは、略四角形状に形成されている。下面板40Uの段方向(左右方向)の寸法は、第1開口部14Uの左右幅よりも短く設定されている。下面板40Uの流れ方向(前後方向)の寸法は、第1連結片15Uと連動板25Uとの段方向の寸法を合わせた寸法よりも長く形成されている。下面板40Uには、係合片45U(係合部)が形成されている。係合片45Uは、下面板40Uの中央から後方にずれた位置に略U字状の切り込みを入れることで形成されている。係合片45Uは、段方向に延びた係合折線L20Uの両端から前方に向かって幅広くなる略台形状に形成されている。
【0036】
<側壁部>
一対の側壁部41Uは、下面板40Uの段方向(左右方向)の両端から外側に延設されている。側壁部41Uは、外側壁50Uと、内側壁51Uと、一対の外折込片52Uと、一対の内折込片53Uと、を有している。
【0037】
(外側壁、内側壁)
外側壁50Uは、第1折曲線L21Uを介して下面板40Uの段方向の端部に連設されている。内側壁51Uは、2本の第2折曲線L22Uを介して外側壁50Uの先端に連設されている。2本の第2折曲線L22Uの間隔は段ボールシートの厚みと略同一で、2本の第2折曲線L22Uの間には側方額縁部51FUが設けられている。内側壁51Uの先端部、且つ流れ方向の中央よりも前側には、係合凹部54Uが凹設されている。
【0038】
(外折込片、内折込片)
一対の外折込片52Uは、第3折曲線L23Uを介して外側壁50Uの流れ方向の両端に連設されている。一対の内折込片53Uは、第3折曲線L23Uを介して内側壁51Uの流れ方向の両端に連設されている。各内折込片53Uと内側壁51Uとの境界付近には、段方向の先端から基端に向かって略L字状にスリット55Uが切り込まれている。
【0039】
<後壁部>
後壁部42Uは、下面板40Uの流れ方向の一端(後端)から一方(後方)に延設されている。後壁部42Uは、外後壁60Uと、内後壁61Uと、を有している。外後壁60Uは、第4折曲線L24Uを介して下面板40Uの後端に連設されている。内後壁61Uは、2本の第5折曲線L25Uを介して外後壁60Uの先端に連設されている。2本の第5折曲線L25Uの間隔は段ボールシートの厚みと略同一で、2本の第5折曲線L25Uの間には後方額縁部61FUが設けられている。内後壁61Uの段方向の両端の基端側には凹みが形成され、内後壁61Uの段方向の両端の先端側には相対的に突出した一対の後方凸部62Uが形成されている。
【0040】
<前壁部>
前壁部43Uは、下面板40Uの流れ方向の他端(前端)から他方(前方)に延設されており、図7において後壁部42Uと略上下対称となる形状を有している。前壁部43Uは、第4折曲線L24Uを介して下面板40Uの前端に連設された外前壁70Uと、2本の第5折曲線L25U(前方額縁部71FU)を介して外前壁70Uの先端に連設された内前壁71Uと、を有している。内前壁71Uの段方向の両端の先端側には、相対的に突出した一対の前方凸部72Uが形成されている。
【0041】
<底パッド>
底パッド44Uは、内前壁71Uの先端から前方に延設されている。底パッド44Uは、下面板40Uと概ね同じ大きさとなる略長方形状に形成されている。底パッド44Uは、固定パッド73Uと、開閉パッド74Uと、を有している。固定パッド73Uは、第6折曲線L26Uを介して内前壁71Uの先端に連設されている。開閉パッド74Uは、第7折曲線L27Uを介して固定パッド73Uの先端に連設されている。固定パッド73Uの段方向の両端の先端側には、一対の係合凸部75Uが形成されている。開閉パッド74Uの先端の段方向の中央部には、半円形状の摘み片76Uが摘み折線L28Uを介して連設されている。
【0042】
[下段トレイ部のブランク]
図8に示すように、下段トレイ部8Dのブランク8ADは、下面板40Dと、一対の側壁部41Dと、後壁部42Dと、前壁部43Dと、底パッド44Dと、を有している。なお、下段トレイ部8Dのブランク8ADは、上段トレイ部8Uのブランク8AUと概ね同じ構成であり、下面板40D、側壁部41D、後壁部42D、前壁部43Dおよび底パッド44Dは、下面板40U、側壁部41U、後壁部42U、前壁部43Uおよび底パッド44Uに対応している。また、上段トレイ部8Uのブランク8AUの構成に対応する下段トレイ部8Dのブランク8ADの構成には、上段トレイ部8Uのブランク8AUの構成と同一の算用数字に、「U」に代えて「D」を付加した符号を付すこととする。以下、上段トレイ部8Uのブランク8AUと同様または対応する構成の説明は省略する。
【0043】
下面板40D、外側壁50D、内側壁51D、側方額縁部51FDおよび固定パッド73Dは、それぞれ、上段トレイ部8Uの対応構成よりも流れ方向(前後方向)に長く形成されている。開閉パッド74Dは、上段トレイ部8Uの開閉パッド74Uよりも流れ方向(前後方向)に短く形成されている。内側壁51Dの先端部に凹設された係合凹部54Dは、内側壁51Dの流れ方向の中央よりも後側に形成されている。
【0044】
[追加パネルのブランク]
図9に示すように、追加パネル9のブランク9Aは、パネル折返線L13を介して段方向に連設された一対の面板80と、一対の面板80の段方向の両端から外側に延設された一対の差込片81と、を有している。一対の面板80は、同じ大きさとなる略長方形状に形成されている。各面板80には、広告等の情報が印刷されている(図示せず)。各差込片81は、面板80の流れ方向の中央部に配置され、角部を面取りされた長方形状に形成されている。
【0045】
なお、第1~第5折曲線L21U~L25U,L21D~L25D、係合折線L20U,L20D、摘み折線L28U,L28Dおよびパネル折返線L13は汎用罫線であり、第6~第7折曲線L26U~L27U,L26D~L27Dはリード罫である。これらは、汎用罫線やリード罫に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができるものであれば如何なるものでもよい。
【0046】
また、本明細書では、説明を簡単にするため、第1開口部14U,14Dと第2開口部24U,24Dとをまとめて表現する場合には、単に「開口部14,24」と呼び、符号には算用数字のみを付す。また、上段トレイ部8Uと下段トレイ部8Dとをまとめて表現する場合には「トレイ部8」と呼び、符号には算用数字のみを付す。
【0047】
[陳列台の組立]
次に、図1ないし図8図10ないし図13を参照して、陳列台1の組立手順の一例について説明する。図10は陳列台1を示す平面図である。図11は陳列台1を示す底面図である。図12は陳列台1(折畳状態)を示す斜視図である。図13は陳列台1(折畳状態)を示す側面図である。ここでは、一例として、作業者が手作業で組み立てる場合について説明する。なお、第1・第2側板3,4、補強板5、支持部7および上段・下段トレイ部8U,8Dには、接着位置を示すマーカー(例えば、切目や切り欠き等)が形成されている。しかし、これらのマーカーは、必須ではなく、省略されてもよい。また、組立に使用する接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤や水性エマルジョン系接着剤等を用いてもよいし、両面テープを用いてもよい。
【0048】
<本体部の組立>
作業者は、内側開口部31U,31Dを第1開口部14U,14Dに一致させた状態で第1側板3の第1本体部10の裏面に補強板5を接着する(図2および図4参照)。
【0049】
作業者は、一対の第1側片11を2本の第1側折返線L3に沿って裏側に折り返し、一対の第1側片11を補強板5に接着する(図11参照)。また、作業者は、第1上片12および第1差込形成片13を2本の第1上折返線L4に沿って裏側に折り返し、第1上片12を補強板5に接着し、第1差込形成片13を第1本体部10の裏面(裏ライナ9C)に接着する。一対の第1側額縁部11Fは補強板5の左右外端面を覆うように配置され、第1上額縁部12Fは補強板5の上端面を覆うように配置される。第1差込額縁部13Fは第1上額縁部12Fよりも細く形成され、第1差込形成片13は補強板5の逃し凹部32(図4参照)に嵌り込むため、第1差込形成片13は第1上片12の表面から凹むように設けられる(図10参照)。
【0050】
作業者は、第1枠補強片16を2本の第1枠折返線L2に沿って裏側に折り返し、第1枠補強片16を補強板5(上下の内側開口部31U,31Dの間)に接着する。第1枠額縁部16Fは、補強板5の内側開口部31Dの上縁部を覆うように配置される。
【0051】
以上によって、第1側板3と補強板5とが一体化され、第1補強側板36を構成する(図1および図11参照)。第1補強側板36の左右両側部は、第1本体部10と第1側片11とで補強板5を挟んだ三重壁となっている。第1補強側板36の上部は、第1本体部10と第1上片12とで補強板5を挟んだ三重壁となっている。第1補強側板36の他の部分は、二重壁となっている。なお、詳細な説明は省略するが、第2側板4と補強板5も、上記と同様の手順で一体化され、第1補強側板36と同様となる第2補強側板37を構成する(図1および図11参照)。
【0052】
次に、作業者は、接合板6の一対の固定片33を2本の固定折線L10に沿って折り返し、連結額縁部33Fを上方に向け、一対の固定片33を第1上片12および第2上片22に接着する(図2図3および図10参照)。第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)とは、接合板6を介して上端部で連結される。また、接合板6(一対の固定片33)は隙間を挟んで第1・第2差込形成片13,23に対向するため、第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)との上端部には一対の差込穴38が形成される(図10参照)。一対の差込穴38は、平面から見て接合板6(連結額縁部33F)を挟んで前後方向に対向しているため、前後方向に僅かに離れて開口している(図10参照)。
【0053】
次に、作業者は、一対の支持部7の継代片35を継代折線L12に沿って内側に折り曲げ、一対の支持部7を第1補強側板36の下部と第2補強側板37の下部との左右両側に架け渡すように配置し、二対の継代片35を第1・第2補強側板36,37に接着する(図1図6図11参照)。具体的には、各継代片35は、第1・第2側片11,21の下部に形成された切り欠きの内側にて補強板5に接着される(図1および図11参照)。一対の支持部7は、第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)との間に連結される。各支持部7の脚部34の下端は、第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)との下端と略一致している。
【0054】
以上によって、本体部2が完成する。第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)とは、上端部(接合板6の2本の固定折線L10)を中心に回動可能に構成されている。第1補強側板36と第2補強側板37とは、互いに裏面を対向させて重なる折畳状態(図12および図13参照)と、互いに下部を広げられた使用状態(図1参照)と、の間で回動する。折畳状態では、一対の支持部7(二対の脚部34)は折畳線L11で内側に折り込まれ、第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)とは折り込まれた一対の支持部7を挟み込んでいる(図12参照)。使用状態では、一対の支持部7が第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)との間に直線状に架設され、本体部2は側面から見て略A字状に構成される(図1参照)。なお、一対の支持部7が「直線状」に架設されるとは、厳密な意味で直線状であることを要求するものではなく、僅かに折畳線L11で折れ曲がり概ね直線状であることを含む意味である。
【0055】
<トレイ部の組立>
次に、作業者は、上段トレイ部8Uおよび下段トレイ部8Dを組み立てる。なお、上段トレイ部8Uと下段トレイ部8Dとの組立手順は略同一であるため、ここでは、上段トレイ部8Uの組立手順を説明する。
【0056】
作業者は、外側壁50Uを第1折曲線L21Uに沿って上方に折り曲げ、内側壁51Uおよび側方額縁部51FUを2本の第2折曲線L22Uに沿って内側に折り曲げる(図7および図12参照)。外側壁50Uは下面板40Uに対して立設され、内側壁51Uは僅かな隙間を挟んで外側壁50Uの内面に対向配置される。また、作業者は、外折込片52Uと内折込片53Uとを第3折曲線L23Uに沿って内側に折り曲げ、第4折曲線L24U上に配置する。
【0057】
続いて、作業者は、外後壁60Uを第4折曲線L24Uに沿って上方に折り曲げ、内後壁61Uおよび後方額縁部61FUを2本の第5折曲線L25Uに沿って内側に折り曲げる(図7および図12参照)。外後壁60Uは下面板40Uに対して立設され、内後壁61Uは外折込片52Uおよび内折込片53Uを挟んで外後壁60Uの内面に対向配置される。また、内後壁61Uの一対の後方凸部62Uは、内側壁51Uと内折込片53Uとの間のスリット55U(図7参照)に係合する。これにより、後壁部42Uが起立した状態に保持される。
【0058】
次に、作業者は、外前壁70Uを第4折曲線L24Uに沿って上方に折り曲げ、内前壁71Uおよび前方額縁部71FUを2本の第5折曲線L25Uに沿って内側に折り曲げる(図7および図12参照)。外前壁70Uは下面板40Uに対して立設され、内前壁71Uは外折込片52Uおよび内折込片53Uを挟んで外前壁70Uの内面に対向配置される。また、内前壁71Uの一対の前方凸部72Uはスリット55Uに係合し、前壁部43Uが起立した状態に保持される。また、各外・内折込片52U,53Uは後・前壁部42U,43Uに内包されているため、一対の側壁部41Uが起立した状態に保持される。
【0059】
また、作業者は、固定パッド73Uを第6折曲線L26Uに沿って逆折りする。底パッド44Uは下面板40Uの上面に積層され、摘み片76Uは摘み折線L28Uに沿って逆折りされて内後壁61Uに重なる(図12参照)。固定パッド73Uは下面板40Uの係合片45U(図7参照)よりも前方に重なり、一対の係合凸部75Uは一対の内側壁51Uの係合凹部54Uに係合する(図12参照)。これにより、固定パッド73Uは下面板40Uに積層された状態に保持される。一方、開閉パッド74Uは、係合片45Uを含む下面板40Uの後方に重なっている。開閉パッド74Uは、第7折曲線L27Uを中心に回動可能(着脱可能)に設けられており、摘み片76Uを摘まんで開閉パッド74Uを上方に回動させることで、係合片45Uが露出する(図14も参照(下段トレイ部8Dを示している))。
【0060】
以上によって、上段トレイ部8Uが完成する。なお、下段トレイ部8Dも、上記と同様の手順で組み立てられる。
【0061】
<トレイ部を本体部に取り付ける工程>
次に、作業者は、上段トレイ部8Uおよび下段トレイ部8Dを、本体部2に取り付ける。なお、上段トレイ部8Uと下段トレイ部8Dとの取付手順は略同一であるため、ここでは、上段トレイ部8Uの取付手順を説明する。また、トレイ部8の取付時には、一例として、本体部2は折畳状態にされていることとする。
【0062】
作業者は、上段トレイ部8Uの下面板40Uの下面に、第1開口部14Uの下縁部から延設された第1連結片15Uを接着し、第2開口部24Uの下縁部から延設された連動板25Uの第2連結片27Uを接着する(図13参照)。第1連結片15Uと第2連結片27Uとが下面板40Uに接着された状態で、第1連結片15Uと第2連結片27Uとの先端同士は突き合わされている。上段トレイ部8Uは、第1開口部14Uの下縁部と第2開口部24Uの下縁部とに連設される。連動板25Uは、第2開口部24Uの下縁部と上段トレイ部8Uとの間に架設される。
【0063】
以上によって、本体部2に対する上段トレイ部8Uの取り付けが完了する。なお、下段トレイ部8Dは、上記と同様の手順で、第1開口部14Dの下縁部と第2開口部24Dの下縁部とに連設される。
【0064】
上段トレイ部8Uおよび下段トレイ部8Dが本体部2に取り付けられることで、陳列台1が完成する。なお、完成した陳列台1の外側から目視可能な面には、略表ライナ9Bが表れている。また、上記した陳列台1の組立手順は一例であり、当該組立手順は矛盾のない範囲で変更されてもよい。
【0065】
[陳列台の作用]
次に、図1図10ないし図17を参照して、陳列台1の作用について説明する。完成した陳列台1は、運搬時や保管時には折畳状態にされ(図12参照)、店頭に設置して商品を陳列(展示)する場合には使用状態にされる(図1参照)。なお、図16では、下段トレイ部8Dを図示し、上段トレイ部8Uの図示を省略しているが、上段・下段トレイ部8U,8Dの作用は略同様である。
【0066】
<折畳状態>
図13に示すように、陳列台1を折畳状態にすると、第1連結片15U,15Dは立設され、連動板25U,25Dは屈曲して立設される。詳細には、折畳状態において、第1連結片15U,15Dは、第1開口部14U,14Dの内側で第1開口部14U,14Dの下縁部を中心に跳ね上げられ、下方から上方に向かって僅かに後方に傾斜した接合起立姿勢P10となる。また、折畳状態において、連動板25U,25D(連動本体板26U,26D)は、第2開口部24U,24Dの内側で第2開口部24U,24Dの下縁部を中心に跳ね上げられ、下方から上方に向かって僅かに前方に傾斜した連動起立姿勢P20となる。なお、連動板25U,25Dの第2連結片27U,27Dは、先端伸縮折線L6U,L6Dで下方に屈曲し、第1連結片15U,15Dと同じように傾斜した姿勢になる。したがって、トレイ部8は、第1連結片15U,15Dおよび第2連結片27U,27Dに固定されているため、折畳状態において、第1開口部14U,14Dの内側で第1開口部14U,14Dの下縁部を中心に跳ね上げられ、下方から上方に向かって僅かに後方に傾斜した起立姿勢P30になる。
【0067】
<使用状態>
図1に示すように、第1補強側板36(第1側板3)と第2補強側板37(第2側板4)が上端部を中心に回動して下部を広げられると、陳列台1は使用状態になる。図14に示すように、第1・第2補強側板36,37の下部が広げられる過程において、第1連結片15U,15Dと連動板25U,25Dとは互いに逆方向に引っ張られる。このため、陳列台1を使用状態にすると(正確には、折畳状態から使用状態にする過程で)、第1連結片15U,15Dは、連結折線L1U,L1Dを中心に後下方に回動する。また、連動板25U,25D(連動本体板26U,26D)は、トレイ部8を引きながら第2開口部24U,24Dの下縁部(基端連動折線L5U,L5D)を中心に前下方に回動する。また、連動板25U,25Dの第2連結片27U,27Dは屈曲前の状態に戻される。
【0068】
図15に示すように、第1連結片15U,15Dと連動板25U,25Dとの回動に連動して、トレイ部8は、第1開口部14U,14Dの下縁部を中心に下方に回動して第2開口部24U,24Dの下縁部に当接した横臥姿勢P31となる。使用状態において、第1連結片15U,15Dは、第1開口部14U,14Dの下縁部から後方に略水平に延び、横臥姿勢P31となったトレイ部8の下面(下面板40U,40D)に当接する接合横臥姿勢P11となる。また、連動板25U,25Dは、第2開口部24U,24Dの下縁部から前方に略水平に延び、横臥姿勢P31となったトレイ部8の下面に当接する連動横臥姿勢P21となる。
【0069】
また、図1図11および図15に示すように、陳列台1を使用状態にすると、折り込まれた一対の支持部7は広げられ、第1補強側板36と第2補強側板37との間に直線状に架設される。一対の支持部7は、(最も下方に位置する)下段トレイ部8Dの下側に設けられ、使用状態において横臥姿勢P31となった下段トレイ部8Dを支持する。正確には、一対の脚部34の上端が、接合横臥姿勢P11となった第1連結片15Dと連動横臥姿勢P21となった連動板25Dとの下面に当接する。これにより、下段トレイ部8Dを一対の支持部7によって確りと支持することができる。
【0070】
次に、図16に示すように、使用者は、下段トレイ部8Dの開閉パッド74Dを開き、下面板40Dに形成された係合片45Dを露出させて下方に押し込む。係合片45Dは、連動板25Dに形成された係合穴30Dに圧入される(係合する)(図11も参照)。これにより、下段トレイ部8Dが連動板25Dに固定される。最後に、使用者は、開閉パッド74Dを閉じて、下面板40U,40Dにできた開口を覆い隠す(図1参照)。なお、下段トレイ部8Dと同様に、上段トレイ部8Uも、係合片45Uを介して連動板25Uに固定される。
【0071】
以上によって、トレイ部8は、第1開口部14U,14Dの下縁部と第2開口部24U,24Dの下縁部との間に略水平に架け渡された状態で固定され、陳列台1を使用できる状態(完全な使用状態)になる(図1参照)。陳列台1は店頭等に設置され、複数の商品がトレイ部8に陳列される。また、第1・第2側板3,4の第1・第2提示面S1,S2(図1図10および図16等参照)には、トレイ部8に陳列する商品の広告や情報等が印刷されており、商品の販売促進を図ることができる。また、第1・第2提示面S1,S2には、POP(Point of Purchase)広告等が貼付されたり、ユーザが広告等を書き込んだりしてもよい。
【0072】
図17に示すように、本実施形態に係る陳列台1では、必要に応じて追加パネル9を取り付けることができる。追加パネル9を使用する場合、作業者は、追加パネル9の一対の面板80をパネル折返線L13に沿って折り返し、追加パネル9の各差込片81を本体部2の上端面に開口した各差込穴38(図10参照)に差し込む。追加パネル9は、差込穴38に差し込まれた状態で第1側板3と第2側板4とに対し立設される。ここで、一対の差込穴38は前後方向に僅かに離間しているため(図10参照)、一対の面板80は下部で前後方向に僅かに離間することになる(図17参照)。このように、追加パネル9は側面から見て略A字状(逆V字状)になるため、前後方向に倒れることなく、本体部2(第1・第2側板3,4)に対して安定して立設させることができる。なお、追加パネル9の使用は必須ではなく、不要であれば追加パネル9は取り付けられなくてもよい。
【0073】
以上説明した本実施形態に係る陳列台1は段ボール製(厚紙製)であり、第1・第2側板3,4には開口部14,24を囲むような枠状の第1・第2提示面S1,S2が設けられていた。この構成によれば、第1・第2提示面S1,S2に、広告等の情報を印刷したり、POP広告等を貼付したりすることができる。また、段ボール製の陳列台1は、金属製の陳列台に比べて、軽く容易に持ち運ぶことができ、容易に廃棄することもできる。これにより、広告等の情報の提示や取り扱いを容易にすることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る陳列台1では、2つのトレイ部8が、連動板25U,25Dを介して第2開口部24U,24Dの下縁部に連設されていた。この構成によれば、陳列台1が折畳状態から使用状態になることに連動して、トレイ部8を起立姿勢P30から横臥姿勢P31に姿勢変更することができる。これにより、ユーザは第1側板3と第2側板4とを開閉すること以外に特別な操作を行うことなく、自動的にトレイ部8の姿勢変更を行うことができる。
【0075】
また、本実施形態に係る陳列台1では、下面板40U,40Dが使用状態で連動板25U,25Dに当接し、下面板40U,40Dの係合片45U,45D(係合部)が連動板25U,25Dの係合穴30U,30D(被係合部)に嵌合する構成とした。この構成によれば、トレイ部8を横臥姿勢P31に保持することができる。また、開閉パッド74U,74Dによって、係合片45U,45Dを押し込むことで下面板40U,40Dにできた開口を隠すことができる。これにより、美観のよいトレイ部8を構成することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る陳列台1によれば、第1・第2側板3,4の上端に立設された追加パネル9に広告等の情報を提示することができる。これにより、情報の提示範囲を拡張することができる。
【0077】
なお、本実施形態に係る陳列台1では、2つの第1開口部14U,14Dおよび2つの第2開口部24U,24Dが、それぞれ上下一列に並んで開口し、2つのトレイ部8が上下一列に並んで配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1開口部14U(第2開口部24U)が第1側板3(第2側板4)の左右方向の一方に寄せられた位置に開口し、第1開口部14D(第2開口部24D)が第1側板3(第2側板4)の左右方向の他方に寄せられた位置に開口してもよい(図示せず)。つまり、2つの第1開口部14U,14Dおよび2つの第2開口部24U,24Dは、それぞれ斜めに配置されてもよい。また、2つの第1開口部14U,14Dおよび2つの第2開口部24U,24Dが、それぞれ左右に一列に並んで開口してもよい(図示せず)。そして、2つのトレイ部8は、斜めに配置されてもよいし、左右一列に並んで配置されてもよい。
【0078】
また、例えば、第1・第2側板3,4に、1つの開口部14,24が穿設されてもよいし、3つ以上の開口部14,24が穿設されてもよい(図示せず)。つまり、第1側板3には少なくとも1つの第1開口部が穿設され、第2側板4には少なくとも1つの第2開口部が穿設され、少なくとも1つのトレイ部8が設けられていればよい。
【0079】
また、全ての開口部14,24(内側開口部31U,31D)が左右方向に同じ幅で形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上段の第1開口部14U(第2開口部24U)と下段の第1開口部14D(第2開口部24D)とで、左右方向の幅が異なっていてもよい(図示せず)。なお、トレイ部8の左右方向の幅も上記と同様である。
【0080】
また、全ての開口部14,24は、略長方形状に形成されていたが、これに限らず、例えば、上方に向かって左右幅が広くなる台形状であってもよいし、開口部14,24の上縁部がアーチ状に形成されていてもよい(図示せず)。
【0081】
また、本実施形態に係る陳列台1では、第1側板3と第2側板4とが接合板6を介して連結されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、接合板6を省略し、第1側板3と第2側板4の何れか一方の上端部から延ばした接続片を、第1側板3と第2側板4の何れか他方の上端部に接合してもよい(図示せず)。
【0082】
また、本実施形態に係る陳列台1では、下段トレイ部8Dが上段トレイ部8Uよりも前後方向に長く形成されていたが、これに限らず、下段トレイ部8Dが上段トレイ部8Uよりも前後方向に短く形成されてもよいし、上段トレイ部8Uと下段トレイ部8Dとが前後方向に同じ長さであってもよい(図示せず)。また、上段・下段トレイ部8U,8Dは、第1・第2本体部10,20の表面(第1・第2提示面S1,S2)から前後方向の両側に突き出していたが、これに限らず、第1・第2本体部10,20の表面から突き出さない長さに形成されてもよい(図示せず)。つまり、トレイ部8は、前後方向に並ぶ2つの開口部14,24に架設可能な長さに形成されていればよい。
【0083】
また、本実施形態に係る陳列台1では、トレイ部8が、第1連結片15U,15Dを介して第1開口部14U,14Dの下縁部に連設され、連動板25U,25Dを介して第2開口部24U,24Dの下縁部に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、連動板25U,25Dを省略し、トレイ部8が、第1連結片15U,15Dを介して第1開口部14U,14Dの下縁部のみに連設されてもよい(図示せず)。また、他にも、第1連結片15U,15Dおよび連動板25U,25Dを省略し、トレイ部8の下面板40U,40Dを切り込んで形成された接合片が第1開口部14U,14Dの下縁部に接着されてもよい(図示せず)。さらに、他にも、トレイ部8が第1開口部14U,14Dの下縁部に粘着テープ等で接続されてもよい(図示せず)つまり、トレイ部8は、少なくとも第1開口部14U,14Dの下縁部に連設されていればよい。
【0084】
また、本実施形態に係る陳列台1では、一対の支持部7が第1・第2側板3,4の左右両側に設けられていたが、これに限らず、例えば、1つの支持部7が、第1・第2側板3,4の左右方向の中央部に設けられてもよい(図示せず)。一対の支持部7が第1・第2側板3,4の下部に設けられていたが、これに限らず、支持部7が第1・第2側板3,4の上下方向の中間に設けられてもよい(図示せず)。つまり、少なくとも1つの支持部7が、上下方向に延びた折畳線L11に沿って折曲可能に形成され、第1側板3と第2側板4との間に連結されていればよい。
【0085】
また、本実施形態に係る陳列台1では、各々の側板3,4を補強するために1枚の補強板5が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。補強板5は、各々の側板3,4を補強するために2枚以上設けられてもよいし、省略されてもよい(図示せず)。また、第1・第2側板3,4の第1・第2側片11,21や第1・第2上片12,22も省略されてもよい(図示せず)。
【0086】
また、本実施形態に係る陳列台1では、底パッド44U,44Dの開閉パッド74U,74Dが回動可能(開閉可能)に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定パッド73U,73Dと開閉パッド74U,74Dとが分離しており、開閉パッド74U,74Dが着脱可能に設けられてもよい(図示せず)。また、例えば、第7折曲線L27U,L27Dを省略して底パッド44U,44Dを一枚の板とし、底パッド44U,44D全体が回動可能(着脱可能)に設けられてもよい(図示せず)。つまり、底パッド44U,44Dは、少なくとも係合片45U,45Dを覆う部分が着脱可能に設けられていればよい。なお、「着脱可能」とは、下面板40U,40Dに積層された底パッド44U,44D(開閉パッド74U,74D)が下面板40U,40Dから完全に離脱することのみを意味するものではなく、上記した実施形態のように、開閉パッド74U,74Dが第7折曲線L27U,L27D周りに回動すること等も含む意味である。
【0087】
また、本実施形態に係る陳列台1では、下面板40U,40Dに形成された係合片45U,45Dが連動板25U,25Dに形成された係合穴30U,30Dに係合していたが、本発明はこれに限定されない。下面板40U,40Dに穴(係合部の他の例)を穿設し、連動板25U,25Dに当該穴に係合する片部(被係合部の他の例)を形成してもよい(図示せず)。また、係合片45U,45Dおよび係合穴30U,30D等は、省略されてもよい(図示せず)。
【0088】
また、本実施形態に係る陳列台1では、下面板40U,40D上に底パッド44U,44Dが敷かれ、トレイ部8の底部が二重壁構造となっていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、底パッド44U,44Dを省略し、トレイ部8の底部が下面板40U,40Dのみで構成されてもよい。(図示せず)。また、本実施形態に係る陳列台1では、トレイ部8の側壁部41U,41D、後壁部42U,42Dおよび前壁部43U,43Dが、額縁部51FU,51FD,61FU,61FD,71FU,71FDを有する二重壁構造であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、側方額縁部51FU,51FD、後方額縁部61FU,61FDおよび前方額縁部71FU,71FDのうち少なくとも1つを省略してもよい(図示せず)。また、内側壁51U,51D、内後壁61U,61Dおよび内前壁71U,71Dのうち少なくとも1つを省略し、側壁部41U,41D、後壁部42U,42Dおよび前壁部43U,43Dのうち少なくとも1つを一重壁としてもよい(図示せず)。
【0089】
また、本実施形態に係る陳列台1では、第1側板3と第2側板4との上端部に、追加パネル9を取り付けるための一対の差込穴38が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1・第2側板3,4の第1・第2差込形成片13,23を省略し、接合板6の連結額縁部33Fに左右一対の差込穴が開口していてもよい(図示せず)。この場合、左右一対の差込穴は、左右に隣接すると共に前後にずれて設けられ、隣接部分で連通している。追加パネル9の一対の差込片81は重ねられた状態で、左右一対の差込穴に斜めに差し込まれる。これにより、追加パネル9の前後方向への倒れを抑制することができる。なお、追加パネル9は省略されてもよく、差込穴38(第1・第2差込形成片13,23)も省略されてもよい(図示せず)。
【0090】
また、本実施形態に係る陳列台1では、第1・第2提示面S1,S2や追加パネル9に広告等の情報が印刷されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1・第2提示面S1,S2や追加パネル9には情報の印刷をせず、POP広告等を貼付したり、ユーザが広告等を書き込んだりする領域として用いてもよい。また、例えば、チョークを用いて書き込むことができるように、第1・第2提示面S1,S2や追加パネル9を黒板調にしてもよい(図示せず)。
【0091】
また、本実施形態に係る陳列台1は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシート、複両面段ボールシートまたは厚紙(ボール紙やチップボール紙等)等で形成されていてもよい。また、陳列台1の各部の寸法(幅、奥行き、高さ)や形状、段ボールシートの厚みや中しん9Aが延びる方向等は自由に変更してもよい。
【0092】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る陳列台における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0093】
1 陳列台
3 第1側板
4 第2側板
7 支持部
8D 下段トレイ部(トレイ部)
8U 上段トレイ部(トレイ部)
9 追加パネル
14U,14D 第1開口部
24U,24D 第2開口部
25U,25D 連動板
30U,30D 係合穴(被係合部)
38 差込穴
40U,40D 下面板
44U,44D 底パッド
45U,45D 係合片(係合部)
L11 折畳線
P20 連動起立姿勢
P21 連動横臥姿勢
P30 起立姿勢
P31 横臥姿勢
S1 第1提示面
S2 第2提示面
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