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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20240704BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240704BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20240704BHJP
【FI】
F25B47/02 530C
F25B47/02 530K
F25B1/00 101H
F24F11/41
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020141604
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037456
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-004148(JP,A)
【文献】特開平04-292761(JP,A)
【文献】特開平10-318635(JP,A)
【文献】実開昭54-153049(JP,U)
【文献】実開昭58-087070(JP,U)
【文献】実開平01-106862(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0130532(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F25B 1/00
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内熱交換器と、
室外熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する圧縮機と、
前記第2の配管に設けられた減圧器と、
前記室内熱交換器と前記吐出口との間で前記第1の配管に接続された第1の端部と、前記室外熱交換器と前記減圧器との間で前記第2の配管に接続された第2の端部と、を有し、前記冷媒が流れることが可能な、バイパス配管と、
前記バイパス配管に設けられ、前記バイパス配管において前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記冷媒が流れることを可能にする第1の状態と、前記バイパス配管における前記第1の端部と前記第2の端部との間での前記冷媒の流れを遮断する第2の状態と、に切替可能な弁と、
前記室外熱交換器と前記吸入口との間で前記第1の配管に熱的に接続されるとともに、前記第1の端部と前記弁との間で前記バイパス配管に熱的に接続された、第1の蓄熱材と、
前記弁を制御する制御装置と、
前記室内熱交換器と前記減圧器との間で前記第2の配管に熱的に接続されるとともに、前記第2の端部と前記弁との間で前記バイパス配管に熱的に接続された、第2の蓄熱材と、
を具備する空気調和機。
【請求項2】
前記制御装置は、暖房運転時に前記弁を前記第2の状態にし、除霜運転時に前記弁を前記第1の状態にする、請求項1の空気調和機。
【請求項3】
前記室内熱交換器と熱交換する気流を生成する室内送風ファン、
をさらに具備し、
前記制御装置は、前記室内送風ファンを制御し、前記除霜運転時に前記室内送風ファンの回転数を前記暖房運転時の前記室内送風ファンの最大回転数よりも低減させる、
請求項2の空気調和機。
【請求項4】
前記室外熱交換器と熱交換する気流を生成する室外送風ファン、
をさらに具備し、
前記制御装置は、前記室外送風ファンを制御し、前記除霜運転時に前記室外送風ファンを停止させる、
請求項2又は請求項3の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和機は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。例えば暖房運転時において、冷媒は、室内熱交換器で凝縮し、室外熱交換器で蒸発する。
【0003】
暖房運転時において、霜が室外熱交換器に付着し、室外熱交換器の熱交換を妨げることがある。空気調和機は、霜を除去するため、例えば種々の除霜運転を行う。例えばリバース方式の除霜運転において、空気調和機は、一時的に冷房運転を行うことで室外熱交換器を蒸発器とし、室外熱交換器に付着した霜を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-047955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リバース方式の除霜運転では、室内熱交換器が凝縮器となるため、室内の温度が低下する虞がある。
【0006】
本発明が解決する課題の一例は、除霜運転時に室内の温度が低下することを抑制可能な空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和機は、室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、減圧器と、バイパス配管と、弁と、第1の蓄熱材と、制御装置と、第2の蓄熱材とを備える。前記第1の配管は、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。前記第2の配管は、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。前記圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。前記減圧器は、前記第2の配管に設けられる。前記バイパス配管は、前記室内熱交換器と前記吐出口との間で前記第1の配管に接続された第1の端部と、前記室外熱交換器と前記減圧器との間で前記第2の配管に接続された第2の端部と、を有し、前記冷媒が流れることが可能である。前記弁は、前記バイパス配管に設けられ、前記バイパス配管において前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記冷媒が流れることを可能にする第1の状態と、前記バイパス配管における前記第1の端部と前記第2の端部との間での前記冷媒の流れを遮断する第2の状態と、に切替可能である。前記第1の蓄熱材は、前記室外熱交換器と前記吸入口との間で前記第1の配管に熱的に接続されるとともに、前記第1の端部と前記弁との間で前記バイパス配管に熱的に接続される。前記制御装置は、前記弁を制御する。前記第2の蓄熱材は、前記室内熱交換器と前記減圧器との間で前記第2の配管に熱的に接続されるとともに、前記第2の端部と前記弁との間で前記バイパス配管に熱的に接続される。
【0009】
上記空気調和機において、前記制御装置は、暖房運転時に前記弁を前記第2の状態にし、除霜運転時に前記弁を前記第1の状態にする。
【0010】
上記空気調和機は、前記室内熱交換器と熱交換する気流を生成する室内送風ファンをさらに備える。前記制御装置は、前記室内送風ファンを制御し、前記除霜運転時に前記室内送風ファンの回転数を前記暖房運転時の前記室内送風ファンの最大回転数よりも低減させる。
【0011】
上記空気調和機は、前記室外熱交換器と熱交換する気流を生成する室外送風ファンをさらに備える。前記制御装置は、前記室外送風ファンを制御し、前記除霜運転時に前記室外送風ファンを停止させる。
【0012】
以上の空気調和機によれば、例えば、除霜運転時に室内の温度が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一つの実施形態に係る暖房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
図2図2は、上記実施形態の冷房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
図3図3は、上記実施形態の空気調和機の構成を機能的に示すブロック図である。
図4図4は、上記実施形態の空気調和機の除霜運転制御の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、上記実施形態の除霜運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
図6図6は、上記実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、一つの実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、一つの実施形態に係る暖房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。空気調和機10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和機10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和機であっても良い。
【0016】
図1に示すように、空気調和機10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0017】
空気調和機10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、四方弁25と、減圧器26と、インバータ回路27とを有する。室内機12は、室内熱交換器31と、室内送風ファン32とを有する。
【0019】
冷媒配管13は、例えば、銅又はアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管41と、第2の配管42とを有する。第1の配管41は、室外熱交換器21と室内熱交換器31とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、及び四方弁25は、第1の配管41に設けられる。第2の配管42は、室内熱交換器31と室外熱交換器21とを接続する。減圧器26は、第2の配管42に設けられる。
【0020】
暖房運転において、冷媒は、第1の配管41を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、第2の配管42を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。図1の矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示す。
【0021】
図2は、本実施形態の冷房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。図2に示すように、冷房運転において、冷媒は、第2の配管42を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、第1の配管41を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。図2の矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示す。
【0022】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、又は凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に向かって送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0023】
室外熱交換器21は、例えば、内部に微小な冷媒流路を複数形成された扁平多穴管を伝熱管として有する、いわゆるマイクロチャネル熱交換器の熱交換機である。室外熱交換器21は、複数の板状の伝熱フィンと各伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、いわゆるクロスフィン熱交換器であっても良いし、他の種類の熱交換機であっても良い。
【0024】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。圧縮機23は、例えば、インバータ制御により運転周波数を変更可能である。
【0025】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、気体状の冷媒と液体状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過した気体状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。
【0026】
四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器31と、圧縮機23の吐出口23bと、アキュムレータ24とに接続される。四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器31、圧縮機23の吐出口23b、及びアキュムレータ24のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0027】
図1に示すように、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室内熱交換器31へ流れ、室外熱交換器21で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0028】
図2に示すように、冷房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。さらに、冷房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器31で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0029】
減圧器26は、例えば、電磁膨張弁である。なお、減圧器26は、他の減圧器であっても良い。減圧器26としての電磁膨張弁は、例えば、圧縮機23の吸入口23aの温度又は圧力に応じて開度を制御され、通過する冷媒の量を調節する。
【0030】
インバータ回路27は、圧縮機23をインバータ制御し、圧縮機23の運転周波数を変更する。インバータ回路27は、例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のインバータ回路である。なお、インバータ回路27は、この例に限られない。
【0031】
室内機12の室内熱交換器31は、例えば、複数の板状の伝熱フィンと各伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、いわゆるクロスフィン熱交換器である。室内熱交換器31は、他の種類の熱交換器であっても良い。室内熱交換器31は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、又は凝縮器として放熱する。
【0032】
室内送風ファン32は、室内熱交換器31に向かって送風し、室内熱交換器31と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン32は、室内熱交換器31と熱交換する気流を生成する。
【0033】
以上のように各要素が配置された空気調和機10において、第1の配管41は、第1の領域41aと、第2の領域41bと、第3の領域41cと、第4の領域41dとを有する。第1の領域41aは、室外熱交換器21と四方弁25との間における第1の配管41の一部である。第2の領域41bは、四方弁25とアキュムレータ24との間における第1の配管41の一部である。第3の領域41cは、圧縮機23の吐出口23bと四方弁25との間における第1の配管41の一部である。第4の領域41dは、四方弁25と室内熱交換器31との間における第1の配管41の一部である。
【0034】
第2の配管42は、第5の領域42aと、第6の領域42bとを有する。第5の領域42aは、室内熱交換器31と減圧器26との間における第2の配管42の一部である。第6の領域42bは、減圧器26と室外熱交換器21との間における第2の配管42の一部である。
【0035】
本実施形態の室外機11は、バイパス配管51と、デフロスト弁52と、第1の蓄熱材53と、第2の蓄熱材54と、温度センサ55とをさらに有する。デフロスト弁52は、弁の一例である。
【0036】
バイパス配管51は、第1の配管41と第2の配管42との間で冷媒が流れることを可能にするバイパスである。バイパス配管51は、冷媒配管13に含まれる。このため、バイパス配管51は、銅又はアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒は、バイパス配管51を通り、バイパス配管51を流れることができる。
【0037】
バイパス配管51は、第1の端部51aと第2の端部51bとを有する。第1の端部51aは、室内熱交換器31と圧縮機23の吐出口23bとの間で第1の配管41に接続される。言い換えると、第1の端部51aは、第1の配管41の第4の領域41dに接続される。第2の端部51bは、室外熱交換器21と減圧器26との間で第2の配管42に接続される。言い換えると、第2の端部51bは、第2の配管42の第6の領域42bに接続される。なお、バイパス配管51は、二点を接続する配管に限られず、三以上の点を接続する分岐した配管であっても良い。
【0038】
デフロスト弁52は、例えば、電磁弁である。なお、デフロスト弁52は、他の弁であっても良い。デフロスト弁52は、第1の端部51a及び第2の端部51bから離間した位置で、バイパス配管51に設けられる。なお、デフロスト弁52は、第1の端部51a又は第2の端部51bの近傍に位置しても良い。
【0039】
デフロスト弁52は、制御に応じて開状態と閉状態とに切り替え可能である。開状態は第1の状態の一例である。閉状態は第2の状態の一例である。開状態のデフロスト弁52は、開かれており、バイパス配管51において第1の端部51aと第2の端部51bとの間で冷媒が流れることを可能にする。閉状態のデフロスト弁52は、閉じられており、バイパス配管51における第1の端部51aと第2の端部51bとの間の冷媒の流れを遮断する。
【0040】
デフロスト弁52は、単に開閉可能であっても良いし、冷媒の流量を段階的又は連続的に調節可能であっても良い。言い換えると、デフロスト弁52は、バイパス配管51を流れる冷媒の量を調節する。
【0041】
本実施形態におけるデフロスト弁52は二方弁である。しかし、デフロスト弁52は、三方弁のような他の弁であっても良い。例えばデフロスト弁52が三方弁である場合、デフロスト弁52は、バイパス配管51における第1の端部51aと第2の端部51bとの間の冷媒の流れを遮断しつつ、バイパス配管51の一部において冷媒が流れることを可能にしても良い。例えば、分岐するバイパス配管51が第1の配管41における所定の位置に接続された第3の端部を有する場合、デフロスト弁52は、バイパス配管51において第1の端部51aと上記第3の端部との間で冷媒が流れることを可能にし、バイパス配管51における第1の端部51aと第2の端部51bとの間の冷媒の流れを遮断しても良い。
【0042】
バイパス配管51は、第7の領域51cと、第8の領域51dとを有する。第7の領域51cは、第1の端部51aとデフロスト弁52との間におけるバイパス配管51の一部である。第8の領域51dは、デフロスト弁52と第2の端部51bとの間におけるバイパス配管51の一部である。
【0043】
第1の蓄熱材53及び第2の蓄熱材54は、例えば、ブロック状の容器に充填された潜熱蓄熱材を有する。潜熱蓄熱材は、例えば、塩化カルシウムである。第1の蓄熱材53及び第2の蓄熱材54は、他の潜熱蓄熱材を有しても良い。本実施形態における第1の蓄熱材53及び第2の蓄熱材54は、例えば、約10℃乃至約100℃の温度帯で使用可能な蓄熱材である。
【0044】
第1の蓄熱材53及び第2の蓄熱材54は、上述の例に限られず、例えば、顕熱蓄熱材のような他の蓄熱材であっても良いし、他の温度帯で使用可能な蓄熱材であっても良い。また、第1の蓄熱材53及び第2の蓄熱材54は、互いに異なる蓄熱材であっても良い。
【0045】
第1の蓄熱材53は、室外熱交換器21と圧縮機23の吸入口23aとの間で第1の配管41に熱的に接続される。さらに、第1の蓄熱材53は、第1の端部51aとデフロスト弁52との間でバイパス配管51に熱的に接続される。本実施形態では、第1の蓄熱材53は、第2の領域41bと第7の領域51cとに熱的に接続される。
【0046】
第2の領域41bと第7の領域51cとは、第1の蓄熱材53を貫通し、第1の蓄熱材53の潜熱蓄熱材に接触する。これにより、第1の蓄熱材53が、第2の領域41bと第7の領域51cとに熱的に接続される。第1の蓄熱材53は、例えば、第2の領域41b及び第7の領域51cよりも、蓄積可能な熱量(蓄熱容量)が大きい。
【0047】
第2の領域41b及び第7の領域51cは、金属で作られており、第1の蓄熱材53の潜熱蓄熱材に密着する。このため、第2の領域41bと潜熱蓄熱材との間、及び第7の領域51cと潜熱蓄熱材との間では、熱伝導が生じやすい。
【0048】
第2の蓄熱材54は、室内熱交換器31と減圧器26との間で第2の配管42に熱的に接続される。さらに、第2の蓄熱材54は、第2の端部51bとデフロスト弁52との間でバイパス配管51に熱的に接続される。本実施形態では、第2の蓄熱材54は、第5の領域42aと第8の領域51dとに熱的に接続される。
【0049】
第5の領域42aと第8の領域51dとは、第2の蓄熱材54を貫通し、第2の蓄熱材54の潜熱蓄熱材に接触する。これにより、第2の蓄熱材54が、第5の領域42aと第8の領域51dとに熱的に接続される。第2の蓄熱材54は、例えば、第5の領域42a及び第8の領域51dよりも、蓄熱容量が大きい。
【0050】
第5の領域42a及び第8の領域51dは、金属で作られており、第2の蓄熱材54の潜熱蓄熱材に密着する。このため、第5の領域42aと潜熱蓄熱材との間、及び第8の領域51dと潜熱蓄熱材との間では、熱伝導が生じやすい。
【0051】
第2の蓄熱材54は、インバータ回路27の素子にさらに熱的に接続される。例えば、第2の蓄熱材54とインバータ回路27の素子とが、金属や熱伝導シートのような熱伝導性が高い部材を介して互いに熱的に接続される。なお、第2の蓄熱材54は、インバータ回路27から離間していても良い。
【0052】
温度センサ55は、室外熱交換器21に設けられる。温度センサ55は、室外熱交換器21を流れる冷媒の温度を検出する。例えば、温度センサ55は、室外熱交換器21を流れる冷媒の飽和温度が取得可能な位置に配置される。
【0053】
制御装置14は、例えば、室外制御装置61と、室内制御装置62とを有する。室外制御装置61と室内制御装置62とは、互いに電気配線により電気的に接続される。室外制御装置61及び室内制御装置62のうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置61及び室内制御装置62のいずれか一方を有しても良い。
【0054】
室外制御装置61は、室外機11の室外送風ファン22、圧縮機23、四方弁25、減圧器26、インバータ回路27、及びデフロスト弁52を制御する。室内制御装置62は、室内機12の室内送風ファン32を制御する。制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、及び他の運転を行う。室内制御装置62は、例えば、リモートコントローラから信号を入力されても良いし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されても良い。
【0055】
図3は、本実施形態の空気調和機10の構成を機能的に示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の空気調和機10は、室外ファン駆動回路71と、室内ファン駆動回路72と、弁駆動回路73とをさらに有する。
【0056】
室外ファン駆動回路71は、室外送風ファン22の駆動回路である。室内ファン駆動回路72は、室内送風ファン32の駆動回路である。弁駆動回路73は、デフロスト弁52の駆動回路である。
【0057】
制御装置14は、インバータ回路27、温度センサ55、室外ファン駆動回路71、室内ファン駆動回路72、及び弁駆動回路73に接続される。制御装置14は、温度取得部81と、運転切替部82と、室外ファン制御部83と、室内ファン制御部84と、圧縮機制御部85と、弁制御部86とを備える。
【0058】
温度取得部81は、温度センサ55を用いて、室外熱交換器21を流れる冷媒の温度を取得する。例えば、温度取得部81は、温度センサ55の出力信号から、室外熱交換器21を流れる冷媒の温度を算出する。運転切替部82は、空気調和機10における冷房運転と、暖房運転と、除湿運転と、除霜運転とを切り替える。
【0059】
室外ファン制御部83は、室外送風ファン22を制御する。例えば、室外ファン制御部83は、室外ファン駆動回路71を制御することで、室外送風ファン22のモータの回転数を制御する。
【0060】
室内ファン制御部84は、室内送風ファン32を制御する。例えば、室内ファン制御部84は、室内ファン駆動回路72を制御することで、室内送風ファン32のモータの回転数を制御する。
【0061】
圧縮機制御部85は、圧縮機23を制御する。例えば、圧縮機制御部85は、インバータ回路27を制御することで、インバータ制御により圧縮機23の運転周波数を制御する。
【0062】
弁制御部86は、デフロスト弁52を制御する。例えば、弁制御部86は、弁駆動回路73を制御することで、デフロスト弁52のアクチュエータを駆動し、デフロスト弁52を開状態と閉状態との間で切り替える。
【0063】
以上説明された空気調和機10において、室外熱交換器21は、暖房運転時に蒸発器として冷媒の吸熱を行い、低温となる。このため、空気中の水分が室外熱交換器21の外面において結露し、室外熱交換器21に霜として付着することがある。空気調和機10は、暖房運転時に室外熱交換器21に付着した霜を除去するために除霜運転を行う。
【0064】
図4は、本実施形態の空気調和機10の除霜運転制御の一例を示すフローチャートである。以下に、本実施形態の空気調和機10の除霜運転制御の一例について説明する。なお、空気調和機10の除霜運転制御は、以下に説明される例に限られない。
【0065】
上述のように、空気調和機10は、暖房運転時に室外熱交換器21に付着した霜を除去するため、除霜運転を行う。すなわち、空気調和機10は、暖房運転から除霜運転に切り替わる。以下の制御においてデフロスト弁52が開閉されるが、初期状態である暖房運転時においてデフロスト弁52は閉じている。なお、冷房運転時においても、デフロスト弁52は閉じている。
【0066】
図4に示すように、まず、例えば運転切替部82が、空気調和機10が暖房運転を行っているか否かを判定する(S101)。空気調和機10が暖房運転を行っている場合(S101:Yes)、温度取得部81が、第1の基準時から所定の時間が経過しているか否かを判定する(S102)。第1の基準時は、例えば、暖房運転が開始した時刻か、前回のS102の判定が行われた時刻である。
【0067】
S102において、第1の基準時から所定の時間が経過していなかった場合(S102:No)、S101に戻って運転切替部82が再度判定を行う。S102において、第1の基準時から所定の時間が経過した場合(S102:Yes)、温度取得部81が、温度センサ55を用いて室外熱交換器21を流れる冷媒の温度(蒸発温度)を検出する(S103)。
【0068】
次に、運転切替部82が、蒸発温度が閾値Ts以下であるか否かを判定する(S104)。閾値Tsは、例えば、室外熱交換器21の外面への霜の付着が生じる蒸発温度である。なお、閾値Tsは、この例に限られない。閾値Tsは、予め設定されても良いし、運転切替部82により算出されても良い。蒸発温度が閾値Tsより高い場合(S104:No)、S101に戻って運転切替部82が再度判定を行う。
【0069】
室外熱交換器21の外面に霜が付着すると、室外送風ファン22が生成した気流と室外熱交換器21を通る冷媒との間の熱交換が妨げられ、蒸発温度が低下する。S104において、蒸発温度が閾値Ts以下である場合(S104:Yes)、運転切替部82は、空気調和機10に除霜運転を開始させる(S105)。
【0070】
除霜運転時には、まず、圧縮機制御部85がインバータ回路27を制御することで、圧縮機23の運転周波数を暖房運転時の運転周波数よりも上昇させる。次に、弁制御部86が、デフロスト弁52を開状態にする。
【0071】
図5は、本実施形態の除霜運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。図5に示すように、デフロスト弁52が開状態になると、第4の領域41dの冷媒が、バイパス配管51を通って第6の領域42bへ流れることができる。このため、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温高圧の気体状の冷媒(ホットガス)が、バイパス配管51を通って室外熱交換器21に流入する。ホットガスが室外熱交換器21を通ることで、室外熱交換器21の温度が上昇する。これにより、室外熱交換器21に付着した霜が溶けて除去される。
【0072】
さらに、除霜運転時には、室外ファン制御部83が室外送風ファン22を停止させる。一般的に、室外送風ファン22が回転していると、室外送風ファン22により生成された気流が室外熱交換器21を冷やす。本実施形態では、室外送風ファン22が停止することで、室外熱交換器21の温度が上昇しやすくなり、室外熱交換器21に付着した霜が溶けやすくなる。
【0073】
さらに、除霜運転時には、室内ファン制御部84が室内送風ファン32の回転数を、暖房運転時の室内送風ファンの最大回転数よりも低減させる。例えば、暖房運転時には、室内ファン制御部84は、室内送風ファン32の回転数を、室内の温度や利用者による設定に応じて、0(停止)乃至高速の間で設定する。一方、除霜運転時には、室内ファン制御部84は、室内送風ファン32の回転数を、0(停止)乃至低速の間で設定する。すなわち、室内ファン制御部84は、除霜運転時に室内送風ファン32を停止させ、又は低速で回転させる。
【0074】
以上のように、除霜運転では、デフロスト弁52が開き、室外送風ファン22が停止し、室内送風ファン32が停止又は低速回転する。なお、除霜運転はこの例に限られない。例えば、除霜運転時に、バイパス配管51の第1の端部51aと室内熱交換器31との間に設けられた弁が閉じられても良い。
【0075】
次に、温度取得部81が、第2の基準時から所定の時間が経過しているか否かを判定する(S106)。第2の基準時は、例えば、前回のS102の判定が行われた時刻か、前回のS106の判定が行われた時刻である。
【0076】
S106において、第2の基準時から所定の時間が経過していなかった場合(S106:No)、温度取得部81は第2の基準時から所定の時間が経過するまで待機する。S106において、第2の基準時から所定の時間が経過した場合(S106:Yes)、温度取得部81が、温度センサ55を用いて蒸発温度を検出する(S107)。
【0077】
次に、運転切替部82が、蒸発温度が閾値Tsより高いか否かを判定する(S108)。蒸発温度が閾値Ts以下である場合(S108:No)、S106に戻って温度取得部81が再度判定を行う。
【0078】
S108において、蒸発温度が閾値Tsより高い場合(S108:Yes)、運転切替部82は、空気調和機10に除霜運転を終了させ、暖房運転を開始させる(S109)。
【0079】
暖房運転時には、まず、圧縮機制御部85がインバータ回路27を制御することで、圧縮機23の運転周波数を除霜運転時の運転周波数よりも低下させる。なお、圧縮機制御部85は、暖房運転時に、圧縮機23の運転周波数を除霜運転時の運転周波数以上にしても良い。次に、弁制御部86が、デフロスト弁52を閉状態にする。
【0080】
図1に示すように、デフロスト弁52が閉状態になると、第4の領域41dの冷媒が、バイパス配管51を通って第6の領域42bへ流れることを制限される。このため、圧縮機23の吐出口23bから吐出された冷媒は、バイパス配管51を通らず、第4の領域41dを通って室内熱交換器31に流入する。
【0081】
さらに、暖房運転時には、室外ファン制御部83が室外送風ファン22を回転させ、室内ファン制御部84が室内送風ファン32を回転させる。暖房運転時の室内送風ファン32の最大回転数は、除霜運転時の室内送風ファン32の回転数よりも高い。
【0082】
以上のように、暖房運転では、デフロスト弁52が閉じ、室外送風ファン22が回転し、室内送風ファン32が回転する。なお、暖房運転はこの例に限られない。室外送風ファン22及び室内送風ファン32の回転数は、室内の温度や利用者による設定に応じて変化しても良い。
【0083】
次に、S101に戻って運転切替部82が再度判定を行う。空気調和機10が冷房運転若しくは除湿運転に切り替えられ、又は空気調和機10の運転が停止し、空気調和機10が暖房運転を行っていない場合(S101:No)、除霜運転制御は終了する。
【0084】
上述のように、暖房運転時には、デフロスト弁52が閉状態となる。このため、圧縮機23の吐出口23bから吐出された冷媒は、第4の領域41dを通って室内熱交換器31に流入する。しかし、圧縮機23の吐出口23bから吐出された冷媒の一部は、バイパス配管51の第7の領域51cに流入することができる。このため、第7の領域51cに流入した高温の冷媒から、第7の領域51cに熱的に接続された第1の蓄熱材53に熱が伝導し、第1の蓄熱材53が蓄熱する。
【0085】
第1の蓄熱材53は、第1の配管41の第2の領域41bに熱的に接続されている。このため、第1の蓄熱材53は、蓄熱するとともに、第2の領域41bを通る低温の冷媒に熱を与える。これにより、第2の領域41bの冷媒は、昇温加圧され、アキュムレータ24を通り圧縮機23の吸入口23aに流入する。これにより、圧縮機23に液体状の冷媒が流入する液バックが抑制される。
【0086】
さらに、室内熱交換器31を通過した冷媒は、第2の配管42の第5の領域42aを流れる。このため、第5の領域42aを流れる中温の冷媒から、第5の領域42aに熱的に接続された第2の蓄熱材54に熱が伝導し、第2の蓄熱材54が蓄熱する。
【0087】
上述のように、除霜運転時には、デフロスト弁52が開状態となる。このため、第4の領域41dの冷媒の一部が、バイパス配管51を通って第6の領域42bへ流れる。なお、第4の領域41dの冷媒の他の一部は、暖房運転時と同じく室内熱交換器31に流入する。
【0088】
圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温高圧の気体状の冷媒の一部がバイパス配管51を流れる。このため、第7の領域51cにおいて、冷媒から第1の蓄熱材53に熱が伝導する。バイパス配管51を流れる冷媒は、第7の領域51cで第1の蓄熱材53に熱を奪われた後、第8の領域51dを流れる。
【0089】
また、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温高圧の気体状の冷媒の他の一部は、室内熱交換器31を通過し、第5の領域42aを流れる。室内送風ファン32が停止又は低速回転を行っているため、除霜運転時に第5の領域42aを流れる冷媒の温度は、暖房運転時に第5の領域42aを流れる冷媒の温度よりも高い。第5の領域42aを流れる冷媒から、第2の蓄熱材54に熱が伝導する。
【0090】
第5の領域42aを流れる冷媒から第2の蓄熱材54に伝導した熱と、第2の蓄熱材54が蓄えた熱とは、バイパス配管51の第8の領域51dを流れる冷媒に伝導する。これにより、バイパス配管51を流れる冷媒は、第7の領域51cで第1の蓄熱材53に熱を奪われるが、第8の領域51dで第2の蓄熱材54に熱を与えられる。第2の蓄熱材54により昇温加圧させられた冷媒(ホットガス)は、第6の領域42bで減圧器26を通過した冷媒と合流し、室外熱交換器21に流入する。
【0091】
上述のように、バイパス配管51を流れる冷媒は、第1の蓄熱材53により熱を奪われるが、第2の蓄熱材54により熱を与えられる。これにより、バイパス配管51を流れる冷媒(ホットガス)が高温に保たれる。高温の冷媒が室外熱交換器21を流れることで、室外熱交換器21の温度が上昇し、室外熱交換器21に付着した霜が除去される。
【0092】
室外熱交換器21を昇温させ霜を除去するため、室外熱交換器21を流れる冷媒は冷やされる。室外熱交換器21を通過した冷媒は、第1の配管41の第1の領域41aを通って第2の領域41bを流れる。第7の領域51cを流れる冷媒から第1の蓄熱材53に伝導した熱と、第1の蓄熱材53が蓄えた熱とは、第2の領域41bを流れる冷媒に伝導する。これにより、第2の領域41bを流れる低温の冷媒は、昇温加圧され、アキュムレータ24を通り圧縮機23の吸入口23aに流入する。
【0093】
一般的に、圧縮機23の吸入口23aに吸入された冷媒の温度及び圧力が低いほど、圧縮機23の吐出口23bから吐出される冷媒の温度及び圧力も低くなる。本実施形態では、第2の領域41bを通る冷媒が昇温加圧されることで、圧縮機23の吐出口23bから吐出される冷媒の温度及び圧力が低くなることが抑制される。さらに、圧縮機23にかかる負荷が低減するとともに、圧縮機23に液体状の冷媒が流入する液バックが抑制される。
【0094】
以上のように、除霜運転時において、第1の蓄熱材53が圧縮機23の吸入口23aに吸入される冷媒を加熱する。すなわち、第7の領域51c、第1の蓄熱材53、及び第2の領域41bが、吸入口23aに吸入される冷媒を加熱する熱回路として機能する。また、第2の蓄熱材54が、第1の蓄熱材53に熱を奪われた冷媒を再加熱する。すなわち、第5の領域42a、第2の蓄熱材54、及び第8の領域51dが、第5の領域42aを流れる冷媒から第8の領域51dを流れる冷媒へ熱を回収する熱回路として機能する。これにより、本実施形態の空気調和機10は、除霜運転時に室外熱交換器21に供給される冷媒の温度が低下することを抑制し、室外熱交換器21に付着した霜を速やかに除去することができる。
【0095】
除霜運転は、例えば、約5分行われる。第1の蓄熱材53及び第2の蓄熱材54は、約5分間、冷媒に熱を与えることが可能な蓄熱容量を有する。なお、除霜運転時間と、第1の蓄熱材53及び第2の蓄熱材54の蓄熱容量とは、この例に限られない。
【0096】
空気調和機10は、室外熱交換器21に霜が付着した場合、一時的に冷房運転を行うリバース方式の除霜運転を行うことも可能である。しかし、リバース方式の除霜運転では、室内熱交換器31が蒸発器として機能するため、室内の気温が低下するとともに、暖房運転に復帰するまで時間がかかる。これに対し、上述のように、バイパス配管51を通じて室外熱交換器21に高温の冷媒を供給する本実施形態の除霜運転は、室内熱交換器31が暖房運転と同じく凝縮器として機能するため、室内の温度が低下することが抑制されるとともに、暖房運転への復帰までの時間が短くなる。
【0097】
また、上述のように、インバータ回路27の素子は、第2の蓄熱材54に熱的に接続される。空気調和機10の運転中、インバータ回路27の素子の温度は、第2の配管42を流れる冷媒の温度より高くなる。このため、インバータ回路27の素子の熱は、第2の蓄熱材54に伝導する。言い換えると、インバータ回路27の素子は、第2の蓄熱材54によって冷却される。
【0098】
以上説明された実施形態に係る空気調和機10において、バイパス配管51は、室内熱交換器31と吐出口23bとの間で第1の配管41に接続された第1の端部51aと、室外熱交換器21と減圧器26との間で第2の配管42に接続された第2の端部51bと、を有する。バイパス配管51に設けられたデフロスト弁52は、バイパス配管51において第1の端部51aと第2の端部51bとの間で冷媒が流れることを可能にする開状態と、バイパス配管51における第1の端部51aと第2の端部51bとの間での冷媒の流れを遮断する閉状態と、に切替可能である。第1の蓄熱材53は、室外熱交換器21と吸入口23aとの間で第1の配管41に熱的に接続されるとともに、第1の端部51aとデフロスト弁52との間でバイパス配管51に熱的に接続される。例えば、暖房運転時において、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温の冷媒は、第1の配管41を通って室内熱交換器31に流入するとともに、バイパス配管51のうち少なくとも第1の端部51aとデフロスト弁52との間の部分に流入する。このため、バイパス配管51に流入する高温の冷媒から、第1の蓄熱材53に熱が伝導し、第1の蓄熱材53が蓄熱する。例えば、除霜運転時には、デフロスト弁52が開かれるとともに、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温の冷媒がバイパス配管51を通って室外熱交換器21に流入する。高温の冷媒が室外熱交換器21を通ることで、室外熱交換器21に付着した霜が溶けて除去される。冷媒は、室外熱交換器21において冷やされるが、蓄熱した第1の蓄熱材53から伝熱され、室外熱交換器21と吸入口23aとの間で昇温する。これにより、吸入口23aに吸入される冷媒の温度が低くなることが抑制され、ひいては圧縮機23の吐出口23bから吐出される冷媒の温度が低くなることが抑制されるとともに、圧縮機23の効率が低下することも抑制される。従って、本実施形態の空気調和機10は、バイパス配管51を通って室外熱交換器21に流入する冷媒の温度を高く保つことで、リバース方式の除霜運転のように一時的に冷房運転を行うことなく室外熱交換器21に付着した霜を速やかに除去することができるとともに、空気調和機10の暖房能力が低下することを抑制できる。さらに、本実施形態の空気調和機10は、除霜運転時における冷房運転が不要となるため、室内の温度を低下させることを抑制できるとともに、除霜運転から暖房運転への復帰を早めることができる。また、本実施形態の空気調和機10は、複雑な配管、切替装置、及び制御が不要であり、コストの増大を抑制できる。加えて、暖房運転時においても、第1の蓄熱材53は、第1の配管41の室外熱交換器21と吸入口23aとの間の部分と、バイパス配管51と、の間で熱を伝導する。これにより、圧縮機23の吸入口23aに吸入される冷媒が昇温加圧され、圧縮機23において液バックが生じることが抑制される。
【0099】
第2の蓄熱材54は、室内熱交換器31と減圧器26との間で第2の配管42に熱的に接続されるとともに、第2の端部51bとデフロスト弁52との間でバイパス配管51に熱的に接続される。例えば、暖房運転時において、室内熱交換器31で凝縮した中温の冷媒から、第2の蓄熱材54に熱が伝導し、第2の蓄熱材54が蓄熱する。例えば、除霜運転時には、バイパス配管51を通る冷媒は、第1の蓄熱材53への熱伝導により冷やされるが、第2の蓄熱材54から伝熱され、デフロスト弁52と第2の端部51bとの間で昇温する。これにより、本実施形態の空気調和機10は、室外熱交換器21に流入する冷媒の温度が低くなることを抑制し、室外熱交換器21に付着した霜を速やかに除去することができる。
【0100】
制御装置14は、暖房運転時にデフロスト弁52を閉状態にし、除霜運転時にデフロスト弁52を開状態にする。これにより、本実施形態の空気調和機10は、暖房運転時に冷媒がバイパス配管51を通ることを抑制し、高温の冷媒の全てを室内熱交換器31で凝縮させることができる。さらに、除霜運転時に圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温の冷媒がバイパス配管51を通って室外熱交換器21に流入するため、本実施形態の空気調和機10は、リバース方式の除霜運転のように一時的に冷房運転を行うことなく室外熱交換器21に付着した霜を速やかに除去することができる。
【0101】
室内送風ファン32は、室内熱交換器31と熱交換する気流を生成する。制御装置14は、除霜運転時に室内送風ファン32の回転数を暖房運転時の室内送風ファン32の最大回転数よりも低減させる。例えば、制御装置14は、除霜運転時に、室内送風ファン32を停止させ、又は室内送風ファン32を低速回転させる。これにより、除霜運転時に冷媒が室内熱交換器31で冷やされることが抑制され、室内熱交換器31を通過した冷媒がバイパス配管51を通過した冷媒を冷やすことが抑制される。従って、本実施形態の空気調和機10は、除霜運転時に室外熱交換器21に流入する冷媒の温度を高く保つことで、室外熱交換器21に付着した霜を速やかに除去することができる。
【0102】
室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。制御装置14は、除霜運転時に室外送風ファン22を停止させる。これにより、本実施形態の空気調和機10は、除霜運転時に気流が室外熱交換器21を冷やすことを抑制し、ひいては室外熱交換器21に付着した霜を速やかに除去することができる。
【0103】
以上の説明において、温度センサ55が室外熱交換器21を流れる冷媒の蒸発温度を検出し、運転切替部82は当該蒸発温度に基づいて判定を行う。しかし、本実施形態の空気調和機10は、この例に限られない。例えば、温度センサ55が室外熱交換器21の外面の温度、又は外気温を検出し、温度センサ55により検出された温度に基づき運転切替部82が判定を行っても良い。
【0104】
図6は、本実施形態の制御装置14のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置14は、例えば、図6に示すようなハードウェア構成のコンピュータ100により実現される。
【0105】
コンピュータ100は、例えば、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶装置104と、インターフェース(I/F)106とを有する。CPU101、ROM102、RAM103、記憶装置104、及びI/F106は、バスにより接続されている。
【0106】
CPU101は、記憶装置104に記憶されたプログラムをRAM103に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりすることができる。ROM102には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶装置104からRAM103に読み出すスタートプログラムが記憶されている。
【0107】
記憶装置104は、例えば、フラッシュメモリである。記憶装置104は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、及びデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されても良い。
【0108】
I/F106は、例えば、四方弁25、インバータ回路27、温度センサ55、室外ファン駆動回路71、室内ファン駆動回路72、及び弁駆動回路73に接続するためのインターフェース装置である。I/F106は、例えば、四方弁25を駆動するための駆動回路を介して、四方弁25に接続される。
【0109】
本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供され得る。
【0110】
また、本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。また、本実施形態のプログラムを、ROM102等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
【0111】
このようなコンピュータ100を制御装置14として機能させるためのプログラムは、温度取得モジュールと、運転切替モジュールと、室外ファン制御モジュールと、室内ファン制御モジュールと、圧縮機制御モジュールと、弁制御モジュールと、を含むモジュール構成となっている。コンピュータ100は、実際のハードウェアとしてはプロセッサ(CPU101)が記憶媒体(記憶装置104等)からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置(RAM103)上にロードされる。これにより、プロセッサ(CPU101)は、図3の温度取得部81、運転切替部82、室外ファン制御部83、室内ファン制御部84、圧縮機制御部85、及び弁制御部86として機能する。なお、コンピュータ100は、温度取得部81、運転切替部82、室外ファン制御部83、室内ファン制御部84、圧縮機制御部85、及び弁制御部86の構成の一部又は全部がハードウェアにより実現されていても良い。
【0112】
以上の実施形態において、空気調和機10は、四方弁25により冷媒が流れる方向を変更し、冷房運転と暖房運転とを行うことができる。しかし、空気調和機10は、四方弁25を持たず、暖房運転及び除霜運転のみを行うことが可能であっても良い。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
10…空気調和機、14…制御装置、21…室外熱交換器、22…室外送風ファン、23…圧縮機、23a…吸入口、23b…吐出口、26…減圧器、31…室内熱交換器、32…室内送風ファン、41…第1の配管、42…第2の配管、51…バイパス配管、51a…第1の端部、51b…第2の端部、52…デフロスト弁、53…第1の蓄熱材、54…第2の蓄熱材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6