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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/50 20210101AFI20240704BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20240704BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20240704BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240704BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240704BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240704BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240704BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240704BHJP
【FI】
H01M50/50 101
H01G11/12
H01G11/74
H01M10/04 Z
H01M50/209
H01M50/262 Z
H01M50/296
H01M50/548 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020158383
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052170
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197670(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003664(WO,A1)
【文献】特開2018-170179(JP,A)
【文献】特開2018-137036(JP,A)
【文献】特開2007-242593(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0056495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/209
H01M 50/262
H01M 50/296
H01M 50/548
H01M 10/04
H01G 11/12
H01G 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電モジュールと、
第1方向において前記蓄電モジュールを挟むように積層される一対の集電板と、
前記蓄電モジュールと前記集電板とを前記第1方向に拘束する一対の拘束板と、
を備える、蓄電装置であって、
前記蓄電モジュールは、
前記第1方向において両端に電流取出面を有し、
少なくとも一方の前記集電板は、
前記電流取出面に電気的に接触する平板部と、
前記平板部に接続され前記蓄電モジュールから電流を取り出す取出部と、
を有し、
前記取出部は、
前記第1方向からみて前記平板部の縁に設けられた外縁部から、前記第1方向と直交する第2方向へ延びる第1の片部と、
前記第1方向へ延び、前記取出部を前記拘束板の端子台に取り付ける取付部を有する第2の片部と、
前記取出部を構成する板材が屈曲し、前記第1の片部と前記第2の片部とを接続する屈曲部と、を有し、
前記取出部における、前記外縁部との接続部から前記取付部の間には、当該取出部に作用する応力を緩和するバネ部があり、
前記バネ部は、前記屈曲部以外に前記板材が曲がる第1の曲げ部を少なくとも有し、
前記バネ部は、前記第1の片部に形成される、蓄電装置。
【請求項2】
前記屈曲部は、前記接続部よりも、前記第1方向における前記端子台とは反対側の位置に配置される、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記バネ部は、前記接続部から見て、前記第1の曲げ部とは反対側へ前記板材が曲がる第2の曲げ部を更に有する、請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記バネ部は、前記第1の曲げ部、前記第2の曲げ部、及び前記第1の曲げ部と前記第2の曲げ部とを接続する延在部を有し、
前記第1の曲げ部は、第1屈曲点、及び前記第1屈曲点から離間した第2屈曲点を有し、
前記第2の曲げ部は、第3屈曲点、及び前記第3屈曲点から離間した第4屈曲点を有し、
前記延在部は、平面部であるとともに前記第2屈曲点と前記第3屈曲点とを接続し、前記延在部は、前記第2方向と平行な方向において、前記第2屈曲点から前記第3屈曲点まで延在する、請求項3に記載の蓄電装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、積層された複数の蓄電モジュールを備える蓄電装置が知られている。また、従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池が知られている。複数の蓄電モジュールは積層されて、積層方向の両端部から拘束板で拘束される。積層方向の端部の端部の蓄電モジュールに対しては、平板部を有する集電板が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-213990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような蓄電装置では、集電板が、蓄電モジュールからの電流を取り出す取出部を有する。このような取出部には、蓄電装置に振動が作用することによって、破断などの不具合が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、振動時における集電板の取出部の破断を抑制できる蓄電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の蓄電装置は、蓄電モジュールと、第1方向において蓄電モジュールを挟むように積層される一対の集電板と、蓄電モジュールと集電板とを第1方向に拘束する一対の拘束板と、を備える、蓄電装置であって、蓄電モジュールは、第1方向において両端に電流取出面を有し、少なくとも一方の集電板は、電流取出面に電気的に接触する平板部と、平板部に接続され蓄電モジュールから電流を取り出す取出部と、を有し、取出部は、第1方向からみて平板部の縁に設けられた外縁部から、第1の方向と直交する方向へ延びる第1の片部と、第1方向へ延び、取出部を拘束板の端子台に取り付ける取付部を有する第2の片部と、取出部を構成する板材が屈曲し、第1の片部と第2の片部とを接続する屈曲部と、を有し、取出部における、外縁部との接続部から取付部の間には、当該取出部に作用する応力を緩和するバネ部があり、バネ部は、屈曲部以外に板材が曲がる第1の曲げ部を少なくとも有する。
【0007】
この蓄電装置では、少なくとも一方の集電板は、蓄電モジュールからの電流を取り出す取出部を有する。従って、取出部は、端子台に接続されることで、当該端子台へ電流を取り出すことができる。ここで、取出部は、第1方向からみて平板部の縁に設けられた外縁部から、第1方向と直交する方向へ延びる第1の片部と、第1方向へ延び、取出部を端子台に固定する取付部を有する第2の片部と、取出部を構成する板材が屈曲し、第1の片部と第2の片部とを接続する屈曲部と、を有する。このような形状においては、第1の片部と第2の片部との間の屈曲部は、端子台への取付時における変形の起点の一つとして機能する。また、屈曲部と、端子台への取付位置との間の距離は短い。従って、第2の片部が取付部で取り付けられたときに、取付位置付近での応力が大きくなってしまう可能性がある。当該状態で振動が発生した場合、取出部に破断が生じる可能性がある。これに対し、取出部における、外縁部との接続部から取付部の間には、取出部に作用する応力を緩和するバネ部がある。バネ部は、屈曲部以外に板材が曲がる第1の曲げ部を少なくとも有する。このようなバネ部が取出部の接続部から取付部の間に形成されることで、取出部の取付位置付近に集中する応力を緩和することができる。以上により、振動時における集電板の取出部の破断を抑制できる。
【0008】
バネ部は、接続部から見て、第1の曲げ部とは反対側へ板材が曲がる第2の曲げ部を更に有してよい。この場合、第1の片部の板材は、第1の曲げ部によって基準形状とは異なる位置に配置されていたものが、第2の曲げ部によって元の基準形状に戻ることができる。これにより、取出部の形状が、基準形状から過度に変更されない状態に保たれる。
【0009】
バネ部は、第1の片部に形成されてよい。第1の片部は、第1方向と直交する方向へ延びるため、蓄電装置に第1方向への振動が作用すると、第1方向の一方側と他方側に交互に撓むように変形する。ここで、バネ部は当該撓みの節部として機能することができるため、第1の片部の振動による変形を小さくすることができる。
【0010】
屈曲部は、接続部よりも、第1方向における端子台とは反対側の位置に配置されてよい。この場合、第2の片部の端子台との取付位置と、屈曲部との間の距離を大きくすることができる。前述のように、屈曲部は、端子台への取付時における変形の起点の一つとして機能する部分である。従って、取付位置と屈曲部との間の距離を大きくすることで変形代が大きくなり、取付部周辺に集中する応力を緩和することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、振動時における集電板の取出部の不具合を抑制できる蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2】蓄電装置のうち、Z軸方向の負側の端部付近の構成の展開斜視図である。
図3】正極端子と端子台との接続構造の斜視図である。
図4】正極端子と端子台との接続構造の断面図である。
図5】正極端子の端子台取付時の変形の様子を示す図である。
図6】正極端子の振動時の変形の様子を示す図である。
図7】比較例に係る蓄電装置の正極端子を示す図である。
図8】変形例に係る蓄電装置の正極端子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0014】
図1を参照して、本実施形態に係る蓄電装置1について説明する。図1は、蓄電装置1の側面図である。
【0015】
蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、モジュール積層体2と、拘束部材4と、を備えている。モジュール積層体2は、積層された複数の蓄電モジュール3を含んでいる。拘束部材4は、モジュール積層体2に対して、積層方向(第1方向)の両側から拘束荷重を付加する。蓄電モジュール3は、積層方向から見て、例えば矩形状を有する。本明細書では、説明の便宜上、積層方向をZ軸方向とし、積層方向から見た蓄電モジュール3の長手方向をY軸方向とし、蓄電モジュール3の短手方向をX軸方向としている。なお、積層方向とは、蓄電モジュール3と一対の集電板5A,5B(後述)を積層する方向である。
【0016】
モジュール積層体2は、複数(本実施形態では7つ)の蓄電モジュール3と、複数(本実施形態では8つ)の集電板5と、を含む。蓄電モジュール3は、一例としてバイポーラ電池である。蓄電モジュール3は、例えばニッケル水素二次電池及びリチウムイオン二次電池等の二次電池である。ただし、蓄電装置1は、上記二次電池に限られず、例えば電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置1は、ニッケル水素二次電池である。
【0017】
複数の蓄電モジュール3は、集電板5を介して積層されている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3同士は、集電板5を介して電気的に接続されている。本実施形態では、図3に示されるように、複数の(8つ)の集電板5は、Z軸方向における一端側の集電板5Aと、他端側の集電板5Bと、蓄電モジュール3間に介在する複数(6つ)の集電板5Cと、によって構成されている。集電板5Cは、Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間に設けられている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間において、集電板5Cは、互いに対向する電極積層体の電極露出部間に接触配置されている。
【0018】
集電板5A,5Bは、複数の蓄電モジュール3のうち積層端に位置する蓄電モジュール3のZ軸方向の正側及び負側に設けられている。これにより、集電板5A,5Bは、積層方向であるZ軸方向において蓄電モジュール3を挟むように積層される。図1に示されるように、一方の集電板5Aには、負極端子7(取出部)が接続されている。他方の集電板5Bには、正極端子6(取出部)が接続されている。負極端子7及び正極端子6は、集電板5A,5Bの縁部からY軸方向に突出している。負極端子7及び正極端子6を介して、蓄電装置1の充放電が実施される。なお、負極端子7及び正極端子6は、蓄電装置1のY軸方向の負側の端部に設けられる。また、本実施形態では、負極端子7は、X軸方向の正側に寄った位置に設けられ、正極端子6は、X軸方向の負側に寄った位置に設けられる。
【0019】
拘束部材4は、モジュール積層体2をZ軸方向の両側から挟む一対の拘束板8(負極端子7側の拘束板8A及び正極端子6側の拘束板8B)と、一対の拘束板8を連結する複数の連結部材9と、を含む。一対の拘束板8は、蓄電モジュール3と集電板5A,5Bとを積層方向であるZ軸方向に拘束する。連結部材9は、一対の拘束板8を介してZ軸方向にモジュール積層体2に拘束荷重を付加する。本実施形態では、連結部材9は、一対の拘束板8を締結するボルト9a及びナット9bによって構成されている。
【0020】
拘束板8は、Z軸方向から見た蓄電モジュール3及び集電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。拘束板8は、Z軸方向から見てモジュール積層体2と重なる本体部11と、本体部11からX軸方向に延在すると共にZ軸方向から見てモジュール積層体2と重ならない縁部10と、を有する。本実施形態では、一対の縁部10は、X軸方向における本体部11の両側に設けられている。すなわち、本体部11は、一対の縁部10に挟まれている。縁部10は、Z軸方向の外側(Z軸方向における蓄電モジュール3とは反対側)を向く外面10aと、Z軸方向の内側(Z軸方向における蓄電モジュール3側)を向く内面10bと、を有している。本体部11は、Z軸方向の外側を向く外面11aと、Z軸方向の内側を向く内面11bと、を有している。外面10aは、外面11aよりもZ軸方向の内側に位置している。内面10bは、内面11bよりもZ軸方向の内側に位置している。
【0021】
一対の縁部10は、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に延在する外縁部分である。一対の縁部10は、Z軸方向から見てモジュール積層体2と重ならないように配置されている。各縁部10には、ボルト9aが挿通される複数の挿通孔10cが設けられている。各縁部10において、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に沿って互いに離間するように配置されている。本実施形態では、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向における縁部10の一端から他端まで等間隔に配置されている。
【0022】
ボルト9aの頭部は、拘束板8Aの外面10a上に配置されている。ボルト9aの軸部の先端部(ネジ先)は、拘束板8Bの外面10aから突出している。ボルト9aの先端部には、ナット9bが螺合されている。ナット9bは、拘束板8Bの外面10a上に配置されている。これにより、複数の蓄電モジュール3及び複数の集電板5が、拘束板8A,8Bによって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されている。また、Z軸方向の拘束荷重がモジュール積層体2に対して付加されている。
【0023】
集電板5Aと拘束板8Aとの間には、絶縁板20Aが設けられる。また、集電板5Bと拘束板8Bとの間には、絶縁板20Bが設けられる。絶縁板20A,20Bは、集電板5A,5Bと拘束板8A,8Bとの間の絶縁性を確保するための部材である。
【0024】
次に、図2を参照して、蓄電装置1のうち、Z軸方向における端部付近の構成について更に詳細に説明する。図2は、蓄電装置1のうち、Z軸方向の負側の端部付近の構成の展開斜視図である。なお、図2では、Z軸方向の負側(正極端子6側)に対応する端部付近の構成について説明するが、Z軸方向の正側(負極端子7側)に対応する端部付近も同趣旨の構成を有する。
【0025】
図2に示すように、蓄電装置1は、Z軸方向の負側の端部付近において、Z軸方向の端部の蓄電モジュール3と、集電板5Bと、絶縁板20Bと、拘束板8Bと、を備える。蓄電モジュール3、集電板5B、絶縁板20B、及び拘束板8Bは、Y軸方向を長手方向とする長方形板状の形状を有している。
【0026】
蓄電モジュール3は、電極板の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極と、セパレータとを複数枚積層することによって構成された積層体13によって構成される。また、積層体13の側面には枠状のシール部材14(枠体)が設けられることで、当該シール部材14でシールされている。積層体13の内部には、液体として電解液が封入される。なお、蓄電モジュール3はZ軸方向において両端に電流取出面13aを有する。電流取出面13aは、蓄電モジュール3から電流を取り出す面であり、シール部材14から積層体13の電極が露出することによって形成される。
【0027】
集電板5Bは、蓄電モジュール3に対して設けられた平板状の平板部15と、上述の正極端子6と、を有する。平板部15は、蓄電モジュール3の電流取出面13aと接触する。平板部15は、Z軸方向から見たときに、全域が電流取出面13aと重なる形状・大きさに形成されている。正極端子6は、平板部15のY軸方向の負側の外縁部15aに形成される。これにより、一対の集電板5A(図1参照)及び集電板5Bは、積層方向における両端側の電流取出面13aを挟むように設けられる。なお、本実施形態では、蓄電モジュール3が複数積層されている。従って、集電板5A(図1参照)はZ軸方向の正側の蓄電モジュール3のZ軸方向の正側の電流取出面13aと接触し、集電板5BはZ軸方向の負側の蓄電モジュール3のZ軸方向の負側の電流取出面13aと接触する。ただし、蓄電装置1は一つの蓄電モジュール3を有していてもよい。この場合、集電板5A,5Bは、一つの蓄電モジュール3の両側の電流取出面13aを挟むように設けられる。
【0028】
絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの間に設けられる、樹脂などの絶縁性の材料によって形成される部材である。絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁性を確保するために設けられた部材である。絶縁板20Bは、Z軸方向から見て集電板5Bの平板部15の全域と重なるように配置される。これにより、集電板5Bと拘束板8Bとが対向する箇所には、絶縁板20Bが介在することで、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁性が確保される。なお、絶縁板20BのY軸方向の負側のカバー部24には、後述の端子台17を覆う端子台保護部16が形成される。絶縁板20Bの更に詳細な構成については後述する。
【0029】
拘束板8Bは、上述の通り、平板状の本体部11と、ボルト挿通用の挿通孔10cが形成された一対の縁部10と、を備える。拘束板8BのY軸方向の負側の外縁部8aには、端子台17が設けられる。当該端子台17には、正極端子6及び図示されない配線などが接続される。
【0030】
次に、図3及び図4を参照して、正極端子6と端子台17との接続構造について、詳細に説明する。図3は、正極端子6と端子台17との接続構造の斜視図である。図4は、正極端子6と端子台17との接続構造の断面図である。なお、図3からは、蓄電モジュール3は省略されている。なお、以降の説明においては、蓄電モジュール3から漏れる液体の流れとの関係を考慮して、集電板5Bが蓄電モジュール3よりも鉛直方向における下側に配置されている姿勢を基準として説明を行う。すなわち、液体は、Z軸方向の正側から負側へ向かって流れる。以降の説明では、Z軸方向の正側を「上」と称し、Z軸方向の負側を「下」と称する場合がある。なお、Z軸方向の正側にも、拘束板8A、集電板5A及び絶縁板20Aが設けられており、当該拘束板8A、集電板5A及び絶縁板20Aも図3等に示すZ軸方向の負側の拘束板8B、集電板5B及び絶縁板20Bと上下対称をなして同趣旨の構成を有している。従って、Z軸方向の正側を下側に向けた場合、蓄電モジュール3から漏れた液体は、Z軸方向の負側から正側へ流れるため、拘束板8A側の絶縁板20Aが当該液体を受ける。
【0031】
図3及び図4に示すように、端子台17は、台座部31と、締結部32と、を備える。台座部31は、X軸方向に長手方向を有する直方体状の形状を有する。台座部31は、拘束板8Bの外縁部8a(図4参照)から、Y軸方向の負側に突出するように設けられる。台座部31は、少なくとも蓄電モジュール3よりもY軸方向の負側まで突出する。台座部31の上下方向の大きさは、外縁部8aの上下方向の大きさと略同一である。台座部31は、拘束板8Bの本体部11の外縁部8aのX軸方向の負側の領域における一部分において、X軸方向に延びるように設けられている。
【0032】
締結部32は、台座部31のY軸方向の負側の端面から、突出するボルトによって構成されている。締結部32は、Y軸方向の負側へ向かって、当該Y軸方向と平行に延びる。なお、締結部32は、台座部31の内部に設けられた円筒状の支持金具33に支持される(図4参照)。なお、支持金具33は、台座部31のY軸方向の負側の端面において締結部32から外周側へ向かって広がるフランジ部33aを有する(図4参照)。この締結部32に対しては、後述の正極端子6の第2の片部42、及び配線36に接続されたワッシャ37が、締結部32に締結されたナット38に押圧される形で取り付けられる(図3参照)。
【0033】
図3に示すように、絶縁板20Bは、本体部21と、カバー部24と、を有する。本体部21は、集電板5Bの平板部15と拘束板8の本体部11との間に配置される平板状の部分である。本体部21は、Y軸方向に長手方向を有する長方形状をなしている。カバー部24は、本体部21のY軸方向の負側の外縁部21aから下方へ向かって延びる。カバー部24は、外縁部21aに沿ってX軸方向に延びる。端子台保護部16は、カバー部24からY軸方向の負側へ突出するように設けられる。端子台保護部16は、内部に端子台17を収容するような、箱形の形状を有している。
【0034】
端子台保護部16は、本体部21からY軸方向の負側へ延びる上壁部22と、カバー部24からY軸方向負側へ延びる一対の側壁部23,23と、上壁部22及び側壁部23,23のY軸方向の負側の端部においてカバー部24と平行に広がる端壁部26と、を有する。上壁部22は、端子台17の台座部31を上から覆うように配置される。側壁部23,23は、端子台17をX軸方向の両側から覆うように配置される。端壁部26は、Y軸方向において、端子台17の台座部31のY軸方向の負側の端部と略同位置に配置される。端壁部26は、端子台17の位置において、当該端子台17が露出するように開口している。
【0035】
端子台保護部16の上壁部22には、他の領域よりも下方へ向かって窪んだ凹部27が形成されている。凹部27は、蓄電モジュール3から液体が漏れた場合に、当該液体を受けてためておく機能を有する。凹部27は、底面27aと、長辺部27b,27cと、短辺部27d,27eと、を有する。底面27aは、上壁部22の他の領域よりも下方の位置でXY平面と平行に広がる。長辺部27bは、上壁部22のY軸方向の負側の端部付近の位置において、X軸方向に平行に延びる。長辺部27bは、端壁部26よりもY軸方向の正側に離間した位置に設けられる。長辺部27bは、Y軸方向において、本体部21の外縁部21aに対応する位置において、X軸方向に平行に延びる。短辺部27d,27eは、X軸方向において、端子台17の両端部からそれぞれ外側へ離間する位置において、Y軸方向に平行に延びる。なお、凹部27は、本体部21のうち、正極端子6が通過する箇所にも形成されている。凹部27は、集電板5Bの平板部15よりもY軸方向の正側の位置に設けられた段差部21bまで延びている(図4参照)。凹部27の長辺部27bのX軸方向の両端部には、端壁部26まで延びる溝部28,28が形成される。溝部28,28は、凹部27に貯まった液体を、端子台17を回避した位置にて、端壁部26側へ排出できる。
【0036】
次に、正極端子6の構成について詳細に説明する。図3に示すように、正極端子6は、第1の片部41と、第2の片部42と、屈曲部47を有することで、X軸方向から見て略L字状に構成される。第1の片部41は、積層方向(ここではZ軸方向)からみて平板部15の縁に設けられた外縁部15aから、積層方向と直交する方向(ここではY軸方向)へ延びる板状の部分である。なお、第1の片部41が積層方向と直交する方向へ延びる状態とは、積層方向に対して完全に90°をなしている状態に加え、製造誤差等の影響により、積層方向に対して若干傾斜した状態も含まれるものとする。第1の片部41は、平板部15の外縁部15aから、平板部15が広がる方向(ここではY軸方向)へ延びる板状の部分である。第2の片部42は、Z軸方向へ延び、正極端子6を端子台17に取り付ける貫通孔43(取付部)を有する部分である。なお、取付部の構造は、貫通孔43に限定されず、端子台17との取付構造によって適宜変更可能である。第2の片部42は、第1の片部41の先端部から端子台17側(下側)へ積層方向に沿って屈曲し、端子台17に押圧された状態で取り付けられる板状の部分である。第2の片部42の略中央位置には、Y軸方向に貫通する貫通孔43が形成される。当該貫通孔43には、締結部32が挿通される。第1の片部41及び第2の片部42は、いずれもX軸方向に平行に広がっており、両者のX軸方向の大きさは同一である。屈曲部47は、正極端子6を構成する板材が屈曲し、第1の片部41と第2の片部42とを接続する部分である。
【0037】
以降の説明では、平板部15と正極端子6との間の境界部を第1の片部41の接続部46と称する。正極端子6を端子台17に押圧して取り付けたとき、正極端子6は全体的に変形する(図5参照)。このとき、接続部46は、第1の片部41及び第2の片部42の変形の起点となる。前述の屈曲部47は、第1の片部41と第2の片部42との間の境界部に対応する。屈曲部47は、変形後においても変位が少ない箇所である。従って、屈曲部47は、第2の片部42の変形の起点となる。また、以降の説明において正極端子6に関して「長さ」と称した場合は、X軸方向からの断面視において、正極端子の各片部41,42を構成する板材の中立軸の長さに対応するものとする。例えば、第1の片部41の長さは、バネ部50の曲げを真直ぐに引き延ばしたときの板材における、接続部46と屈曲部47との間のY軸方向の寸法に等しくなる。
【0038】
正極端子6には、当該正極端子6に作用する応力を緩和するバネ部50が形成される。このバネ部50は、正極端子6を締結部32及びナット38を用いて端子台17に押圧された状態で取り付けた後、正極端子6に作用する応力を緩和することができる。
【0039】
図4を参照して、バネ部50の詳細な構成について説明する。なお、以降の説明では、正極端子6の「基準形状」という語を用いて説明を行う場合がある。基準形状とは、バネ部50を設けない場合の正極端子6の形状のことであり、具体的には図7に示す形状のことである。基準形状における第1の片部41の断面形状は、接続部46と屈曲部47との間において、Y軸方向に対して平行に延びており、且つ、途中で曲がることなく直線状に延びている。基準形状における第2の片部42の断面形状は、屈曲部47から下方向に対して平行に延びており、且つ、途中で曲がることなく直線状に延びている。
【0040】
このように基準形状を定義した場合、バネ部50は、正極端子6の長さを基準形状の長さに比して長くするように、板材を変形させて基準形状とは異なる位置に配置させる箇所と定義される。本実施形態では、バネ部50は、第1の片部41に形成される。従って、第1の片部41は、バネ部50の箇所において、基準形状SL(図4において仮想線で表示)からずれた位置に配置されている。一方、第2の片部42にはバネ部50が形成されていない。従って、第2の片部42は、基準形状と同じ形状となる。
【0041】
具体的に、正極端子6における、接続部46から貫通孔43の間には、当該正極端子6に作用する応力を緩和するバネ部50がある。バネ部50は、屈曲部47以外に、正極端子6を構成する板材が曲がる曲げ部51(第1の曲げ部)を有する。曲げ部51は、接続部46から見て、第1の片部41の板材が下側へ曲がった部分である。なお、屈曲部47から見た場合は、曲げ部51では板材は上側へ曲がっている。以降の曲げ部51,52の説明では、特段の注意がない場合は、接続部46から見たときの様子を示すものとする。ここでは、曲げ部51は、第1の片部41の板材をY軸方向の負側へ進むに従って下方へ傾斜するように曲げている。曲げ部51は、板材を屈曲させる屈曲点51a,51bを有する。屈曲点51aは、曲げ部51のY軸方向の正側の端部に形成され、屈曲点51bは曲げ部51のY軸方向の負側の端部に形成される。屈曲点51aでは、板材は、下方へ傾斜するように屈曲する。なお、本実施形態では、屈曲点51aは、接続部46の位置に形成される。屈曲点51bでは、板材は、下方へ傾斜していた状態から、Y軸方向へ平行な状態に戻るように屈曲する。第1の片部41は、屈曲点51bからY軸方向の負側へ向かって当該Y軸方向と平行に延在する延在部53を有する。
【0042】
バネ部50は、接続部46から見て、曲げ部51とは反対側へ板材が曲がる曲げ部52(第2の曲げ部)を更に有する。曲げ部52は、接続部46から見て、第1の片部41の板材が上側へ曲がった部分である。ここでは、曲げ部52は、第1の片部41の板材をY軸方向の負側へ進むに従って上方へ傾斜するように曲げている。曲げ部52は、板材を屈曲させる屈曲点52a,52bを有する。屈曲点52aは、曲げ部52のY軸方向の正側の端部に形成され、屈曲点52bは曲げ部52のY軸方向の負側の端部に形成される。屈曲点52aでは、板材は、上方へ傾斜するように屈曲する。屈曲点52bでは、板材は、上方へ傾斜していた状態から、Y軸方向へ平行な状態に戻るように屈曲する。第1の片部41は、屈曲点52bからY軸方向の負側へ向かって当該Y軸方向と平行に延在する延在部54を有する。
【0043】
上述のような曲げ部51,52により、延在部53は、基準形状SLよりも下側の位置、すなわち平板部15よりも一段下がった位置に配置される。延在部54は、基準形状SLと同位置、すなわち平板部15と同一の高さ位置に配置される。すなわち、第1の片部41は、曲げ部51にて一段下がり、曲げ部52にて元の位置に戻るような形状となる。
【0044】
ここで、延在部53は、蓄電モジュール3のシール部材14の下方に配置される。シール部材14は、基準形状SLよりも低い位置まで延びている。すなわち、シール部材14は、曲げ部51,52及び延在部53によって形成される凹形状に入り込むように配置される。そして、延在部53は、絶縁板20Bの凹部27に入り込むように配置される。このように、第1の片部41は、絶縁板20B及びシール部材14と干渉しないように回避しながら、蓄電モジュール3を低い位置に配置可能としている。以上より、蓄電装置1をコンパクトにすることができる。また、当該構造により、凹部27にて、蓄電モジュール3からの液体も受け止めて水抜きすることができる。上述のような構成により、曲げ部51は、Y軸方向において、絶縁板20Bの段差部21bとシール部材14との間の空間に配置される。曲げ部52は、Y軸方向において、絶縁板20Bの凹部27の長辺部27bとシール部材14との間の空間に配置される。
【0045】
次に、本実施形態に係る蓄電装置1の作用・効果について説明する。なお、以下の作用・効果は、集電板5A側の構造においても奏される。
【0046】
蓄電装置1では、集電板5Bは、蓄電モジュール3からの電流を取り出す正極端子6を有し、拘束板8Bは、正極端子6と接続される端子台17を有する。従って、正極端子6は、端子台17に接続されることで、当該端子台17へ電流を取り出すことができる。ここで、正極端子6は、Z軸方向(積層方向)からみて平板部15の縁に設けられた外縁部15aから、Y軸方向(積層方向と直交する方向)へ延びる板状の第1の片部41と、Z軸方向へ延び、正極端子6を端子台17に固定する貫通孔43を有する第2の片部42と、正極端子6を構成する板材が屈曲し、第1の片部41と第2の片部42とを接続する屈曲部47と、を有する。
【0047】
ここで、図5を参照して、第2の片部42を端子台17に押圧した状態で取り付けた場合の正極端子6の変形態様について説明する。図5の仮想線は、変形後の正極端子6を示している。また、仮想線内には、正極端子6に作用する応力の分布が示されている。色が濃い箇所ほど、大きな応力が作用することを意味する。なお、図5においては、応力分布を見やすくするために、正極端子6に対するハッチングは省略されている。正極端子6のような断面L字状の形状においては、図5に示すように、屈曲部47は、端子台17への取付時における変形の起点の一つとして機能する。また、屈曲部47と、端子台17への取付位置(貫通孔43)との間の距離は短い。従って、第2の片部42が端子台17に押圧された状態で取り付けられたときに、取付位置付近での応力が大きくなってしまう(例えば、応力集中箇所RP1参照)。当該状態で振動が発生した場合、応力集中箇所RP1にてダメージを受け、正極端子6に破断が生じる可能性がある。なお、応力集中箇所RP1のように、正極端子6の製造時の加工によるものではなく、取付時の応力によって結果的に曲がる部分は、本発明における曲げ部には該当しない。
【0048】
これに対し、正極端子6における、外縁部15aとの接続部46から貫通孔43の間には、正極端子6に作用する応力を緩和するバネ部50がある。バネ部50は、屈曲部47以外に板材が曲がる曲げ部51を少なくとも有する。このようなバネ部50が正極端子6の接続部46から貫通孔43の間に形成されることで、正極端子6の取付位置付近に集中する応力を緩和することができる。図5に示すように、正極端子6においては、屈曲部47に加えて、接続部46も一つの変形の起点として機能する。従って、接続部46と取付位置との間の何れかの箇所にバネ部50が存在すれば、応力集中箇所RP1に集中する応力をバネ部50において分散させることができる。以上により、振動時における集電板5Bの正極端子6の破断を抑制できる。なお、正極端子6の全長を長くすると、抵抗が増加する。しかし、本願発明者らは、当該抵抗増加のデメリットよりも、応力緩和の効果の方がメリットが大きいことを見出したことで、上記構成を採用した。
【0049】
比較例として、図7に示す正極端子106について説明する。正極端子106は、基準形状SLを有している。図7(a)に示すように基準形状SLの正極端子106は、第1の片部141にバネ部が形成されていない。従って、第1の片部141の板材の長さは、本実施形態の第1の片部41に比して短い。すると、図1の片部141の曲げは小さく(図7(a)の仮想線参照)第1の片部141が分散させることのできる応力集中箇所RP1の応力は、本実施形態に比して小さい。従って、応力集中箇所RP1にてダメージを受ける可能性が大きくなる。
【0050】
バネ部50は、正極端子6を構成する板材が曲がる曲げ部51を少なくとも有している。板材が曲がることで、その分だけ正極端子6の板材を長くすることができる。この場合、正極端子6の取付位置付近に集中する応力に対して、正極端子6全体が大きく曲がり易くなることで、応力を分散させて緩和することができる。例えば、図5に示すように、曲げ部51,52が存在している分だけ、板材が長くなるので、第1の片部41が(図7(a)の第1の片部141に比して)大きく上側へ湾曲することができる。すると、屈曲部47付近も緩やかに湾曲するため、応力集中箇所RP付近での歪みを緩やかにすることで、応力を正極端子6全体に分散させることができる。
【0051】
なお、バネ部50は、正極端子6に作用する応力を緩和する。これにより、振動時における集電板5Bの正極端子6の破断を抑制することができる。
【0052】
バネ部50は、第1の片部41の平板部15に対する接続部46から見て、曲げ部51とは反対側(上側)へ板材が曲がる曲げ部52を更に有してよい。この場合、第1の片部41の板材は、曲げ部51によって基準形状SLとは異なる位置に配置されていたものが、曲げ部52によって元の基準形状SLに戻ることができる。これにより、正極端子6の形状が、基準形状SLから過度に変更されない状態に保たれる。例えば、図8(b)に示すような形状を採用した場合、屈曲部の位置も変更されるので、端子台17付近の形状も再設計する必要が生じる可能性がある。これに対し、図4に示すように、曲げ部52において第1の片部41が元の基準形状SLに戻るため、端子台17付近の形状を変更する必要がなくなる。また、曲げ部52が板材を上側へ曲げることで、屈曲部47の位置を高くして取付位置(貫通孔43)から遠ざけることができるため、応力集中箇所RP付近での歪みを(図8(b)の構造に比して)低減できる。
【0053】
バネ部50は、第1の片部41に形成されてよい。第1の片部41は、積層方向と交差する方向であるY軸方向へ延びるため、蓄電装置1に積層方向への振動V1が作用すると、積層方向の一方側と他方側に交互に撓むように変形する(変形方向D1参照)。ここで、比較例に係る正極端子106の第1の片部141は、全域にわたってY軸方向に真っ直ぐ延びるため、接続部46と屈曲部47を振動の節部として、大きく振動する(変形方向D2参照)。この場合、第1の片部141が上側の蓄電モジュール3(図4参照)に接触することで、当該蓄電モジュール3に振動が伝わる可能性がある。これに対し、本実施形態においては、バネ部50は撓みの節部として機能することができるため、第1の片部41の振動による変形を小さくすることができる。具体的に、図6に示すように、延在部53が、曲げ部51と曲げ部52を節部として振動する。また、延在部54が、曲げ部52と屈曲部47を節部として振動する。延在部53,54は、基準形状SLの第1の片部141の全長よりも短いため、変形が小さくなる。そのため、延在部53,54が蓄電モジュール3に接触することを回避できるため、蓄電モジュール3に振動が伝わることを抑制できる。
【0054】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、図8(a)に示すような正極端子206を採用してよい。正極端子206では、第1の片部241の曲げ部252が大きく立ち上がり、延在部54が基準形状SLよりも上側に配置される。この場合、第1の片部241と第2の片部242との間の屈曲部247は、第1の片部241の平板部15に対する接続部46よりも、上側(積層方向における端子台17とは反対側)の位置に配置される。この場合、第2の片部242の端子台17との取付位置(貫通孔43)と、屈曲部247との間の距離を大きくすることができる。前述の通り、屈曲部247は、端子台17への取付時における変形の起点の一つとして機能する部分である。従って、取付位置と屈曲部247との間の距離を大きくすることで変形代が大きくなり、取付部周辺に集中する応力を緩和することができる。
【0056】
また、図8(b)に示すような正極端子306を採用してよい。正極端子306では、第1の片部341が曲げ部52(図4参照)を有しておらず、基準形状SLから一段下がった延在部353が、そのまま第2の片部342との間の屈曲部347まで延びている。このように、バネ部50が曲げ部51を一つしか有していなくても、板材を長くすることができ、且つ、振動時の上下方向の変形も小さくするできるため、上述と同様の効果を得ることができる。
【0057】
その他、上述の実施形態及び変形例では、曲げ部51は、接続部46から見て板材を下側へ曲げていたが上側に曲げてもよい。
【0058】
バネ部の位置は特定されず、屈曲部に形成されてもよく、第2の片部に形成されてもよい。また、バネ部の曲げ部の数は限定されず、三つ以上であってもよい。
【0059】
また、上述の実施形態及び変形例では、曲げ部は、真っ直ぐに傾斜していたが、曲げ部の曲げ態様は特に限定されない。例えば、曲げ部は、湾曲するような態様で曲がっていてもよく、階段状に曲がってもよく、傾斜角度が徐々に変化するように曲がってもよい。
【0060】
上述のようなバネ部は、正極端子6及び負極端子7の少なくとも一方に形成されていればよい。
【符号の説明】
【0061】
1…蓄電装置、3…蓄電モジュール、5A,5B…集電板、6,206,306…正極端子(取出部)、7…負極端子(取出部)、8A,8B…拘束板、15…平板部、17…端子台、41,241,341…第1の片部、42,242,342…第2の片部、43…貫通孔(取付部)、46…接続部、47,247,347…屈曲部、50…バネ部、51…曲げ部(第1の曲げ部)、52,252…曲げ部(第2の曲げ部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8