(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
E04F15/02 101G
(21)【出願番号】P 2020183888
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 容一
(72)【発明者】
【氏名】東郷 道彦
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 勝也
(72)【発明者】
【氏名】岡島 功洋
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-027289(JP,A)
【文献】実開昭56-129453(JP,U)
【文献】特開平07-018888(JP,A)
【文献】特開2018-150677(JP,A)
【文献】実開昭59-019743(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ材と、点検用扉と、点検用扉支持材を備え、
点検用扉支持材は、
デッキ材を支持する部材の側面に取り付けられるものであり、デッキ材と点検用扉との間に形成される隙間に対向する箇所が上方に開口する凹部を有する部材であることを特徴とする簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の庭等に設置される簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の庭にデッキが設置されることがある。しかし、元々、デッキ材を設置したい場所に雨水桝やハンドホールが設置されている場合があるし、それらが設置されていない場合であっても、デッキ材に照明等の設備を設置したいこともある。そのような種々の状況や要望が存在する下で、元々ハンドホールが設置されているような場合には設備に容易にアクセスできる必要があるし、照明等が設置される場合にはデッキ材下面に電気配線を這わせたり、その後の設備メンテナンスを行ったりする必要がある。このようなことから、デッキ材下面の空間について、メンテナンスのできる構造が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、デッキ材下面の空間について、メンテナンスのできるデッキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、デッキ材と、点検用扉と、点検用扉支持材を備え、点検用扉支持材は、デッキ材を支持する部材の側面に取り付けられるものであり、デッキ材と点検用扉との間に形成される隙間に対向する箇所が上方に開口する凹部であることを特徴とする簡易構造物とすることで前述の課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
点検扉用扉により、デッキ材下面の空間について、メンテナンスができる。また、点検用扉支持材は、デッキ材と点検用扉との間に形成される隙間に対向する箇所が上方に開口する凹部であり、当該凹部は排水用の凹部であるため、排水を良好に行える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図5】点検用扉を取り外した状態でのデッキの拡大斜視図
【
図7】点検用扉の取手を上げた状態でのデッキの側断面図
【
図8】点検用扉を取り外した状態でのデッキの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例)
以下、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~8は、本発明に係る簡易構造物の実施形態であって、住宅の庭に設置されるデッキに適用した場合を示している。
図1に示すように、本デッキは、住宅の反対側を前と規定し、前からの正面視により左右を規定した場合において、後側の縁を建物の外壁に沿わせて設置され、建物のテラス窓からデッキに降りられるようにしている。本デッキは、前後左右に立設された支柱2の上に、前後に間隔をおいて複数の大引3が架け渡され、大引3の上にデッキ材4が前後方向に向けられて左右方向に並べて複数架け渡されている。
【0009】
図2は、
図1の住宅部分を除き、本デッキを拡大した図である。本デッキの左側には点検口1が設けられており、当該点検口1には点検用扉11が嵌め込まれている。
図3は、
図2において点検用扉11を取り外した状態を示した図である。
図3からは、点検用扉11が点検用扉支持材12の上に支持されていることを理解することができる。
【0010】
それぞれのデッキ材4の小口には、小口キャップ41が嵌め込まれている。デッキ材4は、木粉を混ぜた合成樹脂を押出成形した合成木材であり、小口キャップ41も押出成形等によって成形した合成木材である。小口キャップ41は、
図2及び3に示されるように、その高さがデッキ材4の高さよりも大きいものが用意された上で、小口キャップ41の上端がデッキ材4の上端と面一となるように調整して取付けられている。
【0011】
(点検用扉及び点検用扉の支持構造)
図4は、点検用扉11の斜視図である。本デッキの本体部に用いられているデッキ材4と同じように、木粉を混ぜた合成樹脂を押出成形した合成木材が点検用扉11に対しても用いられている。点検用扉11の下面には、点検口根太111が取り付けられている。また、点検用扉11の上面には、取手13が点検用扉11の前後位置の略中央であって、上で定義した左右方向でいうところの本デッキの右手側に設けられている。取手13は、180度回転して持ち手側を上に向けることができるようにされている。
【0012】
図5は、点検用扉11を取り外した状態であって、点検口1が開放された状態における本デッキの一部を拡大した斜視図である。
図5に示されるように、点検口1の前後には、点検用扉支持材12が点検用扉11を支持できるように、デッキ材4より張り出す形で設けられている。この点検用扉支持材12は、形材であり、上方に開口する凹部123を有する部材である。凹部123は、排水溝として機能する。
図5の2つの矢印は雨水等が流れる向きを示している。
【0013】
(点検口を備えたデッキの構造)
図6は、
図2のA-A間側断面図である。
図6に示すように、大引3は、略凸型断面の中空アルミ形材よりなり、下面に一対のフィン31を長手方向に沿って有している。支柱2は、略正方形断面のアルミ形材よりなり、
図1に示すように、上端部を大引3の一対のフィン31間に挿入し、ネジで固定してある。複数の支柱2の下端部は、
図6に示すように、地面に埋め込んだ束石に金具で固定してある。
【0014】
(点検口の構造)
図6に示すように、点検口1は、隣接する大引3の間に架け渡されるデッキ材4の一部分を切断することにより形成される開口部である。点検口1が配置される両隣の大引3の側面立ち上がり部分からデッキ材4を超え開口部までにかけて略L状アングルの金具である点検用扉支持材12が固定されている。点検用扉支持材12の垂直部121は、大引3の側面に対してボルトナットにより固定されている。点検用扉支持材12の水平部122は、デッキ材4の下面に対してネジ止めにより固定がされていることで、デッキ材4が撓まないようにしてある。開口部から飛び出た点検用扉支持材12は点検用扉11の前後両側面に接した下縁部分を支持する。点検用扉11は、デッキ材4と同じ部材であるが、開口部に応じた大きさに切断されて調整されており、開口部の大きさよりは一回り小さいものとなっている。
点検用扉11の前後両側面に接した上縁部分には、点検用扉11を開閉する際に、デッキ材4の開口部側の端に接触して破損することを防ぐための扉用保護部14が設けられている。また、デッキ材4の開口部側の端部にも、同様に、開口部側保護部42が設けられている。扉用保護部14および開口部側保護部42は、具体的には、アルミ形材に塗装をしたエッジ材である。
【0015】
図6から理解されるように、デッキ材4と点検用扉11との間に形成される隙間に対向する箇所において、点検用扉支持材12は、上方に開口する凹部123を有する形材とされている。このような形材とされている理由は、点検用扉支持材12がフラットな形状であると、この隙間に侵入した雨水等が逃げ場を失い、滞留してしまうことから、デッキ材4が滞留水に長期間に亘って接した場合に傷んでしまう虞や、或いは、点検用扉支持材12が腐食してしまう虞があるところ、それを防止するためである。隙間に入り込んだ雨水等は、点検用扉支持材12の左右両端から速やかに流下し、滞留することがない。本実施形態の凹部の形状は、当脚台形を逆さにしたような形状となっているが、Rが付いているものでも良いし、三角形を逆さにしたような形状でもよく、雨水等を滞留させずに排水できる形状とされていれば、どのような形状であってもよい。
また、点検扉支持形材12の凹部123が排水溝を兼ねているため、別途、排水手段を設ける必要がない。
【0016】
図6に示されるように、取手13は点検用扉11の前後位置の略中央に設けられ、また、左右位置でも略中央であって、上で定義した左右方向でいうところの本デッキの右手側に設けられている。取手13は、軸131に対して180度回転して持ち手側を上に向けることができようにされている。
図7は、取手13を上げた状態である。取手13を上げた状態とすることによって、これを把持して、点検用扉11を持ち上げて、外すことが可能となる。
【0017】
図8は、点検用扉11を取り外した状態である。開口部5は、デッキ材4の下面の空間を点検するのに十分な大きさを有しており、ここから、デッキ材4の下方に存在する雨水枡(図示せず)等にアクセスしたり、デッキ材4下の空間に配設されている電気部品や配線(図示せず)のメンテナンスを行ったりすることができる。
【0018】
以上に述べたように、本発明の実施形態としての簡易構造物によれば、デッキ材4の下方空間の点検や下方空間に配設された設備のメンテンナンスを行うことができる。また、点検用扉支持材12は、デッキ材4と点検用扉11との間に形成される隙間に対向する箇所が上方に開口する凹部であり、当該凹部は排水用の凹部であることから、隙間に入り込んだ雨水等が点検用扉支持材12の左右両端から速やかに流下し、滞留することがない。このため、デッキ材4が傷んでしまう虞や、点検用扉支持材12が腐食してしまう虞がない。
【0019】
以上、本発明に係る実施例の簡易構造物について、図面を参照して詳述し、その構造について説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、点検用扉支持材12は大引3に固定されるL字状アングルでなく、材質や大きさによって点検用扉支持材12が堅牢なものであって、デッキ材4の下面への固定のみで十分な支持力を得られるものであれば、点検用扉支持材12は大引3にも固定されるL字状アングルでなくとも、途中に排水機能を果たす凹部さえあれば、デッキ材4の下面のみに固定される直線状であっても良い。また、点検口1が設けられる位置は、最前方の大引3と2番手の大引3との間でなくとも、2番手の大引3と3番手の大引3の間であってもよい。さらに、デッキ材4の材質は合成木でなく天然木であっても、他の成形品であってもよい。
【0020】
また、前述の実施例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 点検口
11 点検用扉
111 点検口根太
12 点検用扉支持材
121 垂直部
122 水平部
123 凹部
13 取手
131 軸
14 扉用保護部
2 支柱
3 大引
31 フィン
4 デッキ材
41 小口キャップ
42 開口部側保護部