(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
(21)【出願番号】P 2020193967
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小野田 博行
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002863(JP,A)
【文献】特開2009-168294(JP,A)
【文献】特開2007-209783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽フランジ部に浴槽蓋を載置し、浴槽内に設けた洗浄ノズルから浴槽壁面に対して、湯水と洗剤とを混合した洗浄水を噴射する洗浄工程と、洗浄工程後に湯水を噴射して洗浄水を洗い流すすすぎ工程とを有する浴槽洗浄運転を実行させる制御装置を備えた浴槽洗浄装置であって、
洗浄ノズルから噴射される湯水の流量を検出するための流量検出手段を備え、
制御装置は、すすぎ工程において湯水を噴射する実行時間であるすすぎ時間を、流量検出手段が検出する検出流量に応じて決定される第1すすぎ時間と、浴槽の種類に基づいて設定される第2すすぎ時間とのうちの長い方の時間をすすぎ時間として設定するように構成されている浴槽洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽洗浄装置において、
制御装置は、第1すすぎ時間を、すすぎ工程が開始されてから所定の時間が経過した時点における流量検出手段の検出流量に基づいて決定するように構成されている浴槽洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置において、
第2すすぎ時間は
、浴槽の種類となる浴槽形状に対応して複数の設定レベルが選択可能に設けられている浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽を自動で洗浄する浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽洗浄装置は、浴槽に浴槽蓋で蓋をして、浴槽内に設置する洗浄ノズルから浴槽壁面に対して湯水と洗剤とを混合した洗浄水を噴射する洗浄工程を行った後、洗浄ノズルから湯水のみを噴射して浴槽内の洗浄水を洗い流すすすぎ工程を行っている。すすぎ工程におけるすすぎ時間を洗浄ノズルへの湯水の供給流量に応じて設定することにより、湯水の供給流量が変動したとしても、必要かつ十分なすすぎを行うことができるという技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴槽には、浴室内の設計、使い勝手、リラックスした入浴の実現等のため、浴槽形状や浴槽サイズ等を含めて様々な種類の浴槽が存在する。浴槽洗浄運転のすすぎ工程において浴槽内の様々な部位に付着した洗浄水を洗い流すのに必要となるすすぎ時間は、浴槽の種類によって異なり得るが、従来の浴槽洗浄装置では、様々な浴槽の種類に対応させることについて全く考慮されていない。そのため、湯水の供給流量に応じてすすぎ時間を設定しただけでは、浴槽の種類によっては浴槽内の洗浄水を落としきれない場合があった。また、すすぎ時間について浴槽の種類毎に応じて設定した複数の制御装置を予め準備することも考えられるが、これでは、浴槽洗浄装置の汎用性に劣るという問題が生じる。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、すすぎ工程において湯水の流量だけでなく浴槽の種類にも対応して適切なすすぎを実現可能とする浴槽洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る浴槽洗浄装置は、
浴槽フランジ部に浴槽蓋を載置し、浴槽内に設けた洗浄ノズルから浴槽壁面に対して、湯水と洗剤とを混合した洗浄水を噴射する洗浄工程と、洗浄工程後に湯水を噴射して洗浄水を洗い流すすすぎ工程とを有する浴槽洗浄運転を実行させる制御装置を備えた浴槽洗浄装置であって、
洗浄ノズルから噴射される湯水の流量を検出するための流量検出手段を備え、
制御装置は、すすぎ工程において湯水を噴射する実行時間であるすすぎ時間を、流量検出手段が検出する検出流量に応じて決定される第1すすぎ時間と、浴槽の種類に基いて設定される第2すすぎ時間とのうちの長い方の時間をすすぎ時間として設定するように構成されている。
【0007】
洗浄工程において噴射され、浴槽内に付着した洗浄水を洗い流すのに必要なすすぎ時間は、湯水の流量によって異なるが、浴槽形状や浴槽サイズ等の浴槽の種類によっても異なる時間となる。例えば、浴槽フランジ部と浴槽蓋との境界部位に付着した洗浄水を洗い流すのに必要なすすぎ時間は、浴槽の種類としての浴槽形状がシンプルな場合と複雑な場合とでは異なる時間となる。
【0008】
本発明の前記構成によれば、制御装置は、浴槽内に付着した洗浄水を洗い流すのに必要なすすぎ時間として、湯水の流量に応じて決定された第1すすぎ時間と、浴槽の種類に基づいて設定された第2すすぎ時間とを比較して、長い方のすすぎ時間をすすぎ工程における最終的なすすぎ時間として設定する。このように浴槽の種類毎に個別に設定できる第2すすぎ時間を設けることで、すすぎ工程のすすぎ時間として、湯水の流量だけでなく、様々な浴槽の種類に対しても最適なすすぎ時間の設定ができる。また、第1すすぎ時間と第2すすぎ時間のうちの長い方の時間をすすぎ工程のすすぎ時間とするので、湯水の流量の変動にも対応し、かつ様々な浴槽の種類にも対応して、すすぎ不足が生じることがない適切なすすぎ時間を設定できる。従って、ひとつの制御装置で、湯水の流量だけでなく、様々な浴槽の種類にも対応して適切なすすぎを実現可能な浴槽洗浄装置を提供することができる。
【0009】
前記浴槽洗浄装置において、
制御装置は、第1すすぎ時間を、すすぎ工程が開始されてから所定の時間が経過した時点における流量検出手段の検出流量に基づいて決定するように構成されているものとすることができる。
【0010】
洗浄ノズルの湯水の噴射開始当初は噴射する湯水の流量が不安定で流量検出手段の検出流量にバラツキが生じやすいが、湯水の噴射開始から時間が経過すると洗浄ノズルから噴射される湯水の流量は安定する。従って、第1すすぎ時間は、すすぎ工程の開始により洗浄ノズルから湯水が噴射されてから所定の時間が経過した時点における流量検出手段の検出流量に基づいて決定することで、安定した噴射時の湯水の流量に基づいて第1すすぎ時間が設定されるため、より適切なすすぎ時間を設定できる。
【0011】
前記浴槽洗浄装置において、
第2すすぎ時間は、浴槽の種類となる浴槽形状に対応して複数の設定レベルが選択可能に設けられているものとすることができる。
【0012】
例えば、浴槽フランジ部と浴槽蓋との境界部位に付着した洗浄水は、浴槽フランジ部内周縁の形状がストレートとなったシンプルな浴槽形状では比較的簡単に洗い流され、一方、浴槽フランジ部内周縁の形状が内向きに出張る窪みを有するような複雑な浴槽形状では念入りに湯水を掛けないと洗い流され難い。従って、第2すすぎ時間は、浴槽フランジ部内周縁の形状がストレートのシンプルな浴槽形状では短いすすぎ時間が選択でき、浴槽フランジ部内周縁の形状が内向きに出張る窪みを有するような複雑な浴槽形状では長いすすぎ時間が選択できるように、浴槽形状に対応して複数の設定レベルが選択可能に設けられることで、様々な浴槽形状に対応して、より適切なすすぎ時間を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態による浴槽洗浄装置の全体構成を示す模式図である。
【
図3】浴槽洗浄運転のすすぎ工程を説明するためのフローチャートである。
【
図4】第1すすぎ時間及び第2すすぎ時間の例についてのテーブルを示す表である。
【
図5】浴槽形状の種類として浴槽フランジ部の形状の例を示す浴槽の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、実施形態の浴槽洗浄装置1は、様々な種類の浴槽5に対して設置可能な装置であり、装置の主な構成として、洗浄ユニット2、制御ユニット(制御装置)3を備えている。この浴槽洗浄装置1による浴槽洗浄運転の際は、浴槽フランジ部51に浴槽蓋52を載置して浴槽5の上端開口に蓋がされる。
【0015】
浴槽5には、底壁に洗浄水又は湯水を噴射する洗浄ノズル53と、自動開閉式の排水栓54とが設置されている。浴槽上面の浴槽フランジ部51には、排水栓54の開閉駆動部55と、洗剤タンク56とが設置されている。
【0016】
浴槽洗浄装置1は、熱源機となる給湯器4が接続されている。給湯器4は、本体内にバーナ及び熱交換器(図示せず)を備え、ガス供給管41から供給される燃料ガスをバーナで燃焼させて熱交換器で給水管42から供給される水を加熱して出湯管43により湯を出湯するように構成されている。洗浄ユニット2には、給湯器4の出湯管43から引き出された注湯管44が接続され、給湯器4で加熱した湯が供給される。
【0017】
図2に示すように、洗浄ユニット2は、ケース21内に、給湯配管22と洗剤配管23とが配設されている。給湯配管22は、上流端に給湯器4からの注湯管44が接続され、下流端に洗浄管24が接続されている。洗浄管24の下流端には洗浄ノズル53が接続され、洗浄管24を通じて洗浄ノズル53に湯水や洗浄水を供給する。洗剤配管23は、上流端に洗剤タンク56から引き出された洗剤管25が接続され、下流端が給湯配管22に接続されている。洗剤配管23と給湯配管22との合流部にはベンチュリ66が設けられている。洗剤配管23には、洗剤弁61が配設され、洗剤弁61が開弁されると洗剤タンク56内の洗剤原液が給湯配管22内の湯と混合される。注湯管44、給湯配管22及び洗浄管24は、給湯器4で加熱した湯水を洗浄ノズル53へ供給する給湯路となる。
【0018】
また、給湯配管22には、上流側から、流量調整弁62、注湯弁63、逆止弁64、逃し弁65がこの順に設けられている。逃し弁65には排水管26が接続されている。流量調整弁62と注湯弁63との間の給湯配管22には流量センサ(流量検出手段)6が配設されている。流量センサ6は、注湯管44から供給される湯水の流量を検出し、この流量センサ6で検出する検出流量が洗浄ノズル53から噴射される湯水の流量に相当する。すなわち、流量センサ6は、すすぎ工程の際に洗浄ノズル53から噴射される湯水の流量を検出するための流量検出手段となる。
【0019】
制御ユニット3は、浴槽洗浄装置1に電力を供給するとともに、浴槽洗浄装置1の動作を制御するものである。制御ユニット3は、マイクロコンピュータ等の演算処理手段、RAMやROM等の記憶手段、時間経過をカウントするタイマー等を備えている。記憶手段には、浴槽洗浄運転に関するプログラム、各種の情報等が記憶されている。制御ユニット3には、浴槽洗浄装置1を遠隔操作するための洗浄専用リモコン7が通信線により通信可能に接続されている。なお、洗浄専用リモコン7は、制御ユニット3と無線により通信可能に接続されてもよい。洗浄専用リモコン7のスイッチ操作により、制御ユニット3は、浴槽洗浄運転を実行させる動作を制御する。
【0020】
浴槽洗浄運転の工程は、給湯器4から供給される湯水を洗浄ノズル53から浴槽壁面に噴射する予備洗浄工程と、湯水に洗剤を混入させた洗浄水を洗浄ノズル53から浴槽壁面に噴射する洗浄工程と、湯水を洗浄ノズル53から浴槽壁面に噴射して洗浄水を洗い流すすすぎ工程とを、この順に行う。なお、浴槽5内に浴槽水が溜まっている場合に備えて、予備洗浄工程の前に排水栓54を開栓状態にして所定の排水待機時間の経過を待って浴槽5内の浴槽水を排水させる排水工程を行うようにしてもよい。本実施形態では、制御ユニット3は、すすぎ工程において湯水を噴射する実行時間であるすすぎ時間を、湯水の流量と浴槽5の種類とに基づいて決定するように構成されている。
【0021】
以下に、浴槽洗浄運転の各工程のうち、すすぎ工程について、
図3に示すフローチャートに従って説明する。すすぎ工程は、制御ユニット3が以下の処理を行うことにより実行される。なお、すすぎ工程の前の洗浄工程が終了した段階では注湯弁63が閉弁状態にされる。
【0022】
図3を参照して、すすぎ工程が開始されると、注湯弁63を開弁し、また、タイマーにより時間経過のカウントを開始する(ステップS1)。すすぎ工程が開始されてから所定時間(例えば、10秒)が経過(ステップS2で「YES」)すると、この時点における流量センサ6の検出流量に応じて第1すすぎ時間を決定する(ステップS3)。流量センサ6の検出流量は、現在実行するすすぎ工程の際に洗浄ノズル53から噴射される湯水の流量に相当する。また、制御ユニット3は、設置された浴槽5の種類に基づいて選択されている第2すすぎ時間を記憶手段から読み込む(ステップS4)。ここで、第1すすぎ時間及び第2すすぎ時間は、現在実行するすすぎ工程において湯水を噴射する実行時間であるすすぎ時間として、どちらかに設定する候補の時間である。
【0023】
第1すすぎ時間は、現在実行するすすぎ工程において洗浄ノズル53から噴射される湯水の流量に応じて決定されるすすぎ時間である。第1すすぎ時間は、ある湯水の流量において必要かつ十分なすすぎを行うのに必要なすすぎ時間である。この第1すすぎ時間は、事前に湯水の流量を変えて実証したすすぎ時間であり、湯水の流量が少なくなるに従ってすすぎ時間が長くなる関係となっている。この湯水の流量と第1すすぎ時間との関係は、例えば、湯水の流量範囲を所定範囲毎に区切って複数の流量範囲に分けて、各流量範囲に対応して異なる第1すすぎ時間を設定した情報として制御ユニット3に記憶させている。すなわち、この第1すすぎ時間についての関係は、テーブル又は関数として制御ユニット3の記憶手段に記憶させて保存されている。
【0024】
本実施形態では、第1すすぎ時間についての関係は、
図4(A)に示すように、湯水の流量範囲を3つの範囲に分けて、各流量範囲に対応して異なる第1すすぎ時間を設定した関係を定めたテーブルAとされている。制御ユニット3は、前記ステップS3において、このテーブルAを参照して、現状の湯水の流量として流量センサ6が検出した検出流量に対応する第1すすぎ時間を決定するようにしている。
【0025】
第1すすぎ時間を決定する際の湯水の流量は、すすぎ工程が開始されてから所定時間が経過した時点における流量センサ6の検出流量が用いられる(ステップS2で「YES」、ステップS3)。これは、洗浄ノズル53からの湯水の噴射開始当初は噴射する湯水の流量が不安定で流量センサ6の検出流量にバラツキが生じやすいため、洗浄ノズル53から噴射する湯水の流量が安定するまで湯水の噴射開始から所定時間の経過を待って、第1すすぎ時間を決定するようにしている。これにより、洗浄ノズル53からの噴射が安定した噴射時の湯水の流量に基づいて第1すすぎ時間が決定されるため、より適切なすすぎ時間(すすぎ工程の実際のすすぎ時間)を設定することができる。
【0026】
第2すすぎ時間は、本浴槽洗浄装置1が設置される浴槽5の種類に基づいて設定されたすすぎ時間である。第2すすぎ時間は、浴槽5の種類毎に一定流量の湯水の噴射により必要かつ十分なすすぎを行うのに必要なすすぎ時間である。この第2すすぎ時間は、事前に、様々な浴槽5の種類毎に一定流量(例えば、6.0L/min)の湯水を噴射して実証したすすぎ時間である。
【0027】
第2すすぎ時間は、概して、浴槽形状が複雑な形のものほど、すすぎ時間が長くなる関係となっている。例えば、浴槽フランジ部51に載置された浴槽蓋52と浴槽フランジ部51との境界部位に付着した洗浄水は、浴槽形状や浴槽サイズ等の浴槽5の種類によっては残存しやすい。そのため、浴槽フランジ部51と浴槽蓋52との境界部位に付着した洗浄水を洗い流すのに、浴槽フランジ部51内周縁の形状がストレートのシンプルな浴槽形状では比較的短いすすぎ時間で洗い流すことができ、一方、浴槽フランジ部51内周縁の形状が内向きに出張る窪みを有するような複雑な浴槽形状ではきれいに洗い流すのに比較的長いすすぎ時間を必要とする。この浴槽5の種類となる浴槽形状と第2すすぎ時間との関係は、例えば、様々な浴槽形状に対応できるように選択可能な複数の設定レベルが設けられ、各設定レベルに対応して異なる第2すすぎ時間が設定された情報として制御ユニット3に記憶させている。すなわち、この第2すすぎ時間についての関係は、テーブル又は関数として制御ユニット3の記憶手段に記憶させて保存されている。
【0028】
本実施形態では、第2すすぎ時間についての関係は、
図4(B)に示すように、3種類の浴槽形状に対応できるように選択可能な3つの設定レベルが設けられ、各設定レベルに対応して異なる第2すすぎ時間を設定した関係を定めたテーブルBとされている。
【0029】
前記3種類の浴槽形状は、例えば、
図5に示すように、最もシンプルな形状として浴槽フランジ部51内周縁の形状がストレートで全体形状がスクエアな浴槽形状のタイプ(
図5(a)参照)、少し複雑な形状として浴槽フランジ部51内周縁の形状が内向きに少し出張る窪みを有し全体形状が丸みを帯びた浴槽形状のタイプ(
図5(b)参照)、複雑な形状として浴槽フランジ部51内周縁の形状が内向きに大きく出張る窪みを有し全体形状がひょうたん形風の浴槽形状のタイプ(
図5(c))とする。
【0030】
テーブルBでは、設定レベル1、2、3の順に、長い第2すすぎ時間が割り当てられている。各設定レベルと浴槽形状との対応関係として、設定レベル1は、最もシンプルな浴槽形状(
図5(a))に対応し、設定レベル2は、少し複雑な浴槽形状(
図5(b))に対応し、設定レベル3は、複雑な浴槽形状(
図5(c))に対応させている。なお、第2すすぎ時間についての関係は、前記3種類に限らず、様々な浴槽5の種類毎に対応して任意の数の設定レベルと各設定レベルに対応する第2すすぎ時間を定めたデータとすることができる。
【0031】
本浴槽洗浄装置1において第2すすぎ時間の設定は、例えば、本浴槽洗浄装置1の現場施工時に、洗浄専用リモコン7にて浴槽選択モードにして、その現場の浴室に設置される浴槽5の浴槽形状が該当する設定レベルを選択することで、制御ユニット3により、選択された設定レベル又はテーブルBに基づいて選択された設定レベルに対応する第2すすぎ時間自体が設定される。なお、設定レベルの選択は、制御ユニット3に設けたディップスイッチ等の操作で行うことでもよい。
【0032】
第2すすぎ時間に関する選択結果(選択された設定レベル又は選択された設定レベルに対応する第2すすぎ時間)は、制御ユニット3の記憶手段に記憶させて保存される。制御ユニット3は、前記ステップS4において、記憶手段に選択された設定レベルが記憶されている場合はテーブルBを参照して選択された設定レベルに対応する第2すすぎ時間を読み込み、また、記憶手段に選択された設定レベルに対応する第2すすぎ時間が記憶されている場合はその第2すすぎ時間を読み込むようにする。
【0033】
なお、第2すすぎ時間についての関係は、テーブルBのような浴槽形状との関係を定めたものに限らず、浴槽5の広さや深さ等の浴槽サイズとの関係を定めたものでもよいし、浴槽形状及び浴槽サイズとの関係を定めたものでもよいし、その他の浴槽5の種類との関係を定めたものでもよい。
【0034】
再び
図3を参照して、制御ユニット3は、ステップS3及びステップS4により第1すすぎ時間と第2すすぎ時間を取得すると、これら第1すすぎ時間と第2すすぎ時間とを比較して、長い方のすすぎ時間(ステップS5で「YES」又は「NO」)を最終的なすすぎ時間、すなわち、本すすぎ工程の実際のすすぎ時間として設定(ステップS6又はステップS7)する。すなわち、ステップS3での第1すすぎ時間(流量と対応)の方が、ステップS4での第2すすぎ時間(浴槽形状に対応)よりも長い場合及び第1すすぎ時間と第2すすぎ時間とが等しい場合(ステップS5で「YES」)は、最終的なすすぎ時間として、第1すすぎ時間を設定(ステップS6)する。一方、ステップS4での第2すすぎ時間(浴槽形状に対応)の方が、ステップS3での第1すすぎ時間(流量に対応)よりも長い場合(ステップS5で「NO」)は、最終的なすすぎ時間として、第2すすぎ時間を設定(ステップS7)する。なお、ステップS5では、「第1すすぎ時間=第2すすぎ時間」の場合は、第1すすぎ時間を設定(ステップS5で「YES」→ステップS6)するが、この場合、同じ時間であるから第2すすぎ時間を設定してもよい。
【0035】
そして、ステップS6又はステップS7で設定されたすすぎ時間(本すすぎ工程の実際のすすぎ時間)が経過(ステップS8で「YES」)すると、注湯弁63を閉弁し、また、タイマーのカウントを停止(ステップS9)して、すすぎ工程を終了する。
【0036】
以上のように、本実施形態の浴槽洗浄装置1によれば、すすぎ工程の実際のすすぎ時間として、湯水の流量に応じて第1すすぎ時間を設定するだけでなく、様々な浴槽形状(浴槽5の種類)毎に対応して個別に第2すすぎ時間を設定することで、第1すすぎ時間と第2すすぎ時間とを比較して最適なすすぎ時間を設定できる。また、第1すすぎ時間と第2すすぎ時間のうちの長い方の時間をすすぎ工程の実際のすすぎ時間とするので、湯水の流量の変動にも対応し、かつ様々な浴槽形状にも対応して、すすぎ不足が生じることがない適切なすすぎ時間を設定できる。従って、浴槽形状(浴槽5の種類)毎に対応したすすぎ工程の制御プログラム又は制御回路を備えた制御ユニット3を用意しなくても、ひとつの制御ユニット3で、様々な浴槽形状にも対応してすすぎ不足の無い適切なすすぎを実現できる。
【0037】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されず、特許請求の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。
例えば、すすぎ工程中、湯水の流量の検出を定期的に行うようにしてもよい。この場合、
図3のフローチャートにおいて、ステップS8のすすぎ時間経過の判断で「NO」の場合、一定時間経過後に、処理をステップS3の流量検出及び第1すすぎ時間決定に移行させるようにする。これにより、すすぎ工程中、給湯器4を経由する他栓の使用開始又は使用停止等により洗浄ノズル53から噴射する湯水の流量が変動した場合、第1すすぎ時間が再設定(
図3のステップS3)され、すすぎ工程の実際のすすぎ時間も再設定(
図3のステップS6又はステップS7)され、すすぎ工程中の湯水の流動変動に直ちに対応して、より適切なすすぎ時間の設定ができる。
【符号の説明】
【0038】
1 浴槽洗浄装置
2 洗浄ユニット
3 制御ユニット(制御装置)
4 給湯器
5 浴槽
6 流量センサ(流量検出手段)
7 洗浄専用リモコン
21 ケース
22 給湯配管
23 洗剤配管
24 洗浄管
25 洗剤管
26 排水管
41 ガス供給管
42 給水管
43 出湯管
44 注湯管
51 浴槽フランジ部
52 浴槽蓋
53 洗浄ノズル
54 排水栓
55 開閉駆動部
56 洗剤タンク
61 洗剤弁
62 流量調整弁
63 注湯弁
64 逆止弁
65 逃し弁
66 ベンチュリ