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特許7514747情報処理システム、機器コントローラ、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】情報処理システム、機器コントローラ、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20220101AFI20240704BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240704BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20240704BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240704BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240704BHJP
   G01V 8/10 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06F3/01 510
G06F3/16 650
G06T19/00 600
G09G5/00 510G
G09G5/00 550C
G01V8/10 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020200274
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088045
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】林 航平
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120556(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011892(WO,A1)
【文献】特開平07-073338(JP,A)
【文献】特開2020-112975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0481
G06F 3/01
G06F 3/16
G06T 19/00
G09G 5/00
G09G 5/377
G09G 5/36
G01V 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機である家電機器に関連する情報を示す表示、または前記家電機器を操作するための操作部のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる制御部と、
カメラと、
調整対象の指標である周囲の温度または湿度を検出可能な検出部と、
を備え、
前記検出部は、検出された前記指標が所定条件を満たすか否かを判定し、
前記制御部は、前記カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入る場合に前記操作部を表示させ、前記検出部により検出された前記指標が前記所定条件を満たすことを含む表示条件が成立する場合には、前記カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入らない場合でも前記操作部を表示させる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記所定条件は、前記検出部により検出された前記指標である周囲の温度が高温注意に対応する閾値以上であること、または、前記検出部により検出された前記指標である周囲の温度が低温注意に対応する閾値以下であることのうち少なくとも一方である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記所定条件は、前記検出部により検出された前記指標である周囲の温度が特定物品に対応して設定された閾値以上であること、または、前記検出部により検出された前記指標である周囲の湿度が前記特定物品に対応して設定された閾値以上であることのうち少なくとも一方である、
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記検出部は、周囲に存在する物品として、前記特定物品を検出可能であり、
前記表示条件は、前記検出部により前記特定物品が検出され、且つ、前記所定条件が満たされることである、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記特定物品は、カメラまたは楽器である、
請求項3または請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
記制御部は、前記検出部により検出された前記周囲の状態が第1条件を満たす場合に、前記第1条件に応じた前記操作部を表示させ、前記検出部により検出された前記周囲の状態が前記第1条件とは異なる第2条件を満たす場合に、前記第2条件に応じた前記操作部を表示させる、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記家電機器の動作状態に関するユーザの所定の操作が受け付けられた場合、前記家電機器の動作状態を変更する前に、前記家電機器の変更後の動作状態のシミュレーション結果を可視化した像を含む前記表示を、周囲の風景に重ねて表示させる、
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
空気調和機である家電機器に関連する情報を示す表示、または前記家電機器を操作するための操作部のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる制御部と、
カメラと、
調整対象の指標である周囲の温度または湿度を検出可能な検出部と、
を備え、
前記検出部は、検出された前記指標が所定条件を満たすか否かを判定し、
前記制御部は、前記カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入る場合に前記操作部を表示させ、前記検出部により検出された前記指標が前記所定条件を満たすことを含む表示条件が成立する場合には、前記カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入らない場合でも前記操作部を表示させる、
機器コントローラ。
【請求項9】
コンピュータに、
空気調和機である家電機器に関連する情報を示す表示、または前記家電機器を操作するための操作部のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる表示ステップと、
調整対象の指標である周囲の温度または湿度を検出させる検出ステップと、
を実行させ、
前記検出ステップは、検出された前記指標が所定条件を満たすか否かを判定することを含み、
前記表示ステップは、カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入る場合に前記操作部を表示させ、前記検出ステップで検出された前記指標が前記所定条件を満たすことを含む表示条件が成立する場合には、前記カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入らない場合でも前記操作部を表示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理システム、機器コントローラ、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車載システムにおいて、拡張現実の画像情報を利用者に提供する表示技術が知られている。家電機器に関する情報処理システムは、利便性の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-142792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利便性の向上を図ることができる情報処理システム、機器コントローラ、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報処理システムは、制御部と、カメラと、検出部とを持つ。前記制御部は、空気調和機である家電機器に関連する情報を示す表示、または前記家電機器を操作するための操作部のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる。前記検出部は、調整対象の指標である周囲の温度または湿度を検出可能である。前記検出部は、検出された前記指標が所定条件を満たすか否かを判定する。前記制御部は、前記カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入る場合に前記操作部を表示させ、前記検出部により検出された前記指標が前記所定条件を満たすことを含む表示条件が成立する場合には、前記カメラにより撮影された画像に前記家電機器が入らない場合でも前記操作部を表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態のスマートグラスが使用される使用環境の一例を示す図。
図2】第1実施形態のスマートグラスの物理構成を示す斜視図。
図3】第1実施形態のスマートグラスの機能構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態のシーン1の制御例を示す図。
図5】第1実施形態のシーン2の制御例を示す図。
図6】第1実施形態のシーン2の制御例の変形例を示す図。
図7】第1実施形態のシーン3の制御例を示す図。
図8】第1実施形態のシーン4の制御例を示す図。
図9】第1実施形態のシーン5の制御例を示す図。
図10】第1実施形態のシーン5の制御例を示す図。
図11】第1実施形態のシーン5の制御例の変形例を示す図。
図12】第1実施形態のシーン6の制御例を示す図。
図13】第1実施形態のシーン6の制御例の変形例を示す図。
図14】第1実施形態のシーン7の制御例を示す図。
図15】第1実施形態の気流の流れのシミュレーション結果の一例を示す図。
図16】第1実施形態の壁に対する粒子の衝突時の動きに関する設定条件を示す図。
図17】第1実施形態の気流を可視化した像の第1表示例を示す図。
図18】第1実施形態の気流を可視化した像の第2表示例を示す図。
図19】第1実施形態で用いられる座標系を示す図。
図20】第2実施形態の制御例を示す図。
図21】第3実施形態の端末装置を示す図。
図22】第4実施形態の情報処理システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の情報処理システム、機器コントローラ、およびプログラムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。本明細書で「画像」とは、静止画に限定されず、動画(映像)も含む。
【0008】
(第1実施形態)
[1.使用環境の一例]
まず、第1実施形態のスマートグラス1が使用される使用環境について説明する。スマートグラス1は、「情報処理装置」の一例であり、家電機器を操作する機器コントローラである。本実施形態のスマートグラス1は、「情報処理システム」の一例でもある。
【0009】
図1は、スマートグラス1が使用される使用環境の一例を示す図である。スマートグラス1は、例えば、ユーザUの自宅で使用される。ユーザUの自宅は、例えば、エアコン2、扇風機3、窓4、および換気扇5などを備える。ただし、扇風機3、窓4、および換気扇5は、存在しなくてもよい。
【0010】
エアコン2は、例えばヒートポンプを含み、冷房運転、暖房運転、または除湿運転などの空気調和運転を行う装置である。エアコン2は、「空気調和機」、「家電機器」、および「第1家電機器」のそれぞれ一例である。エアコン2は、例えば当該エアコン2の吹出口から気流を室内に吹き出すことで、室内の空気の温度や湿度を調整する。本明細書で「家電機器の動作」または「家電機器の動作状態」とは、家電機器自体の動作に限定されず、家電機器の動作による結果物(例えば空気調和機から吹き出される気流の動き)なども含み得る。
【0011】
エアコン2は、例えば、温度センサ2aと、湿度センサ2bと、通信モジュール2cとを有する。温度センサ2aは、エアコン2が設置された部屋の温度を検出する。湿度センサ2bは、エアコン2が設置された部屋の湿度を検出する。通信モジュール2cは、エアコン2を操作する機器コントローラ(例えば、スマートグラス1)と通信を行う。なお、「空気調和機」は、エアコンに限定されず、空気清浄機などでもよい。
【0012】
扇風機3は、エアコン2の動作(例えば、エアコン2から吹き出される気流)に影響を与える家電機器(第2家電機器)の一例である。扇風機3は、運転されることでエアコン2から吹き出される気流の少なくとも一部の流れ方向を変化させる。本実施形態では、扇風機3は、状態の少なくとも一部(例えば、扇風機3が向いている向き)についての情報がスマートグラス1により取得可能な要素の一例である。
【0013】
窓4および換気扇5の各々は、エアコン2の動作(例えば、エアコン2から吹き出される気流)に影響を与える物品の一例である。窓4の開閉状態や換気扇5の動作状態に応じてエアコン2から吹き出される気流の少なくとも一部の流れ方向が変化する。本実施形態では、窓4および換気扇5の各々は、状態についての情報(例えば、窓4の開閉状態や換気扇5の動作状態)がスマートグラス1により取得できない要素の一例である。
【0014】
[2.スマートグラスの物理構成]
次に、スマートグラス1の物理構成について説明する。
図2は、スマートグラス1の物理構成を示す斜視図である。スマートグラス1は、ユーザUが頭に装着して使用するウェアラブル型の情報処理装置である。スマートグラス1は、例えば、フレーム10、レンズ20、投影部30、カメラ40、マイク50、通信モジュール60、および制御基板70を有する。
【0015】
フレーム10は、一般的な眼鏡のフレームと同様であり、ユーザUが装着可能な鼻掛け部および耳掛け部などを含む。レンズ20は、フレーム10に取り付けられ、ユーザUの目の前に位置する。レンズ20は、例えば透明な素材で形成されるとともに、投影部30により画像が投影可能な表示面20aを有する。ユーザUは、レンズ20を通して周囲の風景を見ることができる。
【0016】
投影部30は、例えば小型のプロジェクタを有し、制御基板70により生成された表示用情報を画像として表示面20aに投影する。これにより、ユーザUは、仮想空間技術により表現された表示を周囲の風景に重ねて見ることができる。本明細書でいう「仮想空間技術」とは、いわゆるXRを意味し、拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(MR:Mixed Reality)、仮想現実(VR:Virtual Reality)、または代替現実(SR:Substitutional Reality)などを意味する。本実施形態の投影部30は、拡張現実または複合現実により表現された表示を出力する。仮想現実または代替現実により表示が出力される例については、後述する。
【0017】
投影部30は、「情報出力部」の一例である。ただし、情報出力部は、上記例に限定されず、ユーザUの目に直接に画像を投影する網膜投影型の投影部などでもよい。この場合、レンズ20は不要である。
【0018】
カメラ40は、例えばフレーム10に設けられ、スマートグラス1の周囲(例えば前方)を撮影する。マイク50は、例えばフレーム10に設けられ、スマートグラス1の周囲の音を取得する。
【0019】
通信モジュール60は、エアコン2の通信モジュール2cと通信可能である。通信モジュール60は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または赤外線通信により通信を行う通信モジュールであるが、これらに限定されない。通信モジュール60は、エアコン2の通信モジュール2cと通信することで、エアコン2の温度センサ2aおよび湿度センサ2bの検出結果を、エアコン2から取得する。
【0020】
制御基板70は、回路基板と、回路基板に実装された複数の電子部品を含む。制御基板70は、スマートグラス1を統括的に制御する。制御基板70は、投影部30による表示や、通信モジュール60による通信などを制御する。制御基板70については、詳しく後述する。
【0021】
[3.スマートグラスの機能構成]
図3は、スマートグラス1の機能構成を示すブロック図である。制御基板70は、例えば、検出部110、受付部120、制御部130、および記憶部140を有する。検出部110、受付部120、および制御部130は、制御基板70に搭載されたCPU(Central Processing Unit)のようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。記憶部140は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどにより実現される。
【0022】
[3.1 検出部]
検出部110は、カメラ40で撮影された画像、マイク50で収音された音、または通信モジュール60により受信した情報に基づき、以下に説明する処理を行う。検出部110は、例えば、家電機器検出部111、状態検出部112、物品検出部113、周囲環境検出部114、および操作検出部115を有する。
【0023】
家電機器検出部111は、カメラ40により撮影された画像に基づき、カメラ40の画角にどのような家電機器が存在するかを判定する。例えば、記憶部140には、検出対象の家電機器の特徴量が登録された家電機器情報I1が記憶されている。「家電機器の特徴量」とは、家電機器の大きさ、形状、色、設置位置(例えばユーザUから見た設置高さ)などである。家電機器検出部111は、カメラ40により撮影された画像と、家電機器情報I1に含まれる各家電機器の特徴量とを比較することで、検出対象として予め設定された家電機器(例えば、スマートグラス1により操作可能な家電機器、例えばエアコン2)がカメラ40により撮影された画像に存在するか否かを判定する。なお、検出対象として設定される家電機器は、ユーザUにより追加や変更が可能である。
【0024】
本実施形態では、家電機器検出部111は、カメラ40により撮影された画像に基づき、操作対象の家電機器(第1家電機器、例えばエアコン2)に加え、操作対象の家電機器の動作に影響を与える別の家電機器(第2家電機器、例えば扇風機3)を検出する。家電機器検出部111は、カメラ40により撮影された第2家電機器の画像と、家電機器情報I1に含まれる家電機器の特徴量と比較することで、第2家電機器の存在に加え、第2家電機器の動作状態を検出する。例えば、家電機器検出部111は、扇風機3の動作状態として、扇風機3の動作の有無、扇風機3の向き、および首振りの有無などを検出する。
【0025】
状態検出部112は、周囲の状態を検出する。「周囲の状態」とは、スマートグラス1を装着したユーザUの周囲の状態を意味し、例えばユーザUが位置する部屋に関する状態を意味する。本実施形態では、状態検出部112は、通信モジュール60により受信したエアコン2の温度センサ2aおよび湿度センサ2bの検出結果に基づき、ユーザUが位置する部屋の温度および湿度を検出する。これに代えて、状態検出部112は、スマートグラス1に温度センサおよび/または湿度センサが設けられる場合、スマートグラス1に設けられた温度センサおよび/または湿度センサの検出結果に基づき、ユーザUが位置する部屋の温度および/または湿度を検出してもよい。またこれに代えて、スマートグラス1は、外部のネットワーク(例えばインターネット)を介して気象情報を取得し、気象情報に基づいてユーザUの住居が位置する地域の外気温などを検出してもよい。
【0026】
さらに、状態検出部112は、上記のようにして検出された部屋の温度および/または湿度が所定条件を満たすか否かを判定する。例えば、記憶部140には、各種閾値が登録された閾値情報I2が記憶されている。閾値情報I2は、周囲の状況が所定条件を満たすか否かを判定するための各種閾値を含む。
【0027】
例えば、状態検出部112は、検出された部屋の温度と、閾値情報I2に含まれる高温注意用の閾値(熱中症リスクの閾値、例えば28℃)とを比較することで、高温注意の条件を満たすか否かを判定する。同様に、状態検出部112は、検出された部屋の温度と、閾値情報I2に含まれる低温注意用の閾値(例えば10℃)とを比較することで、低温注意の条件を満たすか否かを判定する。また、状態検出部112は、エアコン2が動作していない状態で検出された外気温に基づいて、高温注意の条件を満たすか否か、および/または低温注意の条件を満たすか否かを判定してもよい。また、状態検出部112は、検出された部屋の湿度と、後述する特定物品に応じた高湿度注意用の閾値(例えば湿度70%)とを比較することで、特定物品に応じた高湿度注意の条件を満たすか否かを判定する。状態検出部112は、検出された部屋の湿度と、低湿度注意用の閾値(例えば30%)とを比較することで、低湿度注意の条件を満たすか否かを判定してもよい。これら各種閾値は、ユーザUによって追加や変更が可能であってもよい。
【0028】
物品検出部113は、カメラ40により撮影された画像に基づき、カメラ40の画角に特定物品が存在するか否かを判定する。例えば、特定物品は、温度または湿度の管理が必要な物品であり、カメラや楽器などである。例えば、記憶部140には、各特定物品の特徴量が登録された物品情報I3が記憶されている。特定物品の特徴量とは、特定物品の代表的な大きさ、形状、色などである。物品検出部113は、カメラ40により撮影された画像と、物品情報I3に含まれる特定物品の特徴量とを比較することで、検出候補である特定物品がカメラ40により撮影された画像に存在するか否かを判定する。特定物品は、ユーザUにより追加や変更が可能である。例えば、ユーザUは、特定物品をカメラ40により撮影することで特定物品の登録を行うことができる。
【0029】
周囲環境検出部114は、カメラ40により撮影された画像に基づき、ユーザUの周囲環境を検出する。ユーザUの周囲の環境は、例えばユーザUが位置する部屋の間取りおよび部屋に配置された物品(例えば家具)を意味する。周囲環境検出部114により検出されたユーザUの周囲環境を示す情報は、周囲環境情報I4として記憶部140に記憶される。
【0030】
操作検出部115は、カメラ40により撮影された画像に基づき、操作対象の家電機器(例えばエアコン2)に対するユーザUの操作を検出する。本実施形態では、後述する表示制御部132により家電機器を操作するための操作部D2(図4参照)が仮想空間技術により表示される。操作検出部115は、ユーザUに対して表示された仮想的な操作部D2の表示位置(ユーザUから見える位置)とカメラ40により撮影された画像に含まれるユーザUの指先の位置との位置関係、およびユーザUの指先の動きなどに基づき、操作対象の家電機器に対するユーザUの操作を検出する。これに代えて/加えて、操作検出部115は、マイク50に対するユーザUの音声入力に基づき、操作対象の家電機器に対するユーザUの操作を検出してもよい。
【0031】
[3.2 受付部]
受付部120は、状態についての情報を取得できない要素(例えば、窓4や換気扇5)に関するユーザUの入力を受け付ける。例えば、後述する表示制御部132は、情報を取得できない要素の状態を問い合わせる質問をユーザUに対して表示させる。そして、受付部120は、上記質問に対するユーザUの入力(ユーザUの回答)に基づき、情報を取得できない要素の状態を取得する。上記質問に対するユーザUの入力は、例えば、操作検出部115により検出されるユーザUの動作でもよいし、マイク50に対するユーザUの音声入力でもよい。また、受付部120は、操作対象の家電機器が配置された部屋の間取りまたは物品の配置の片方または両方を示すユーザUの入力を受け付けてもよい。
【0032】
[3.3 制御部]
制御部130は、検出部110により検出された情報、および受付部120により受け付けられた情報に基づき、以下に説明する処理を行う。制御部130は、例えば、計算部131、表示制御部132、および操作制御部133を有する。
【0033】
計算部131は、家電機器の動作状態に関するシミュレーションを行う。例えば、計算部131は、エアコン2からの気流の流れに関するシミュレーションを行う。計算部131による計算の具体例については詳しく後述する。
【0034】
表示制御部132は、家電機器に関連する情報を示す表示D1(図4参照)、または家電機器を操作するための操作部D2(図4参照)のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる。例えば、表示制御部132は、操作対象の家電機器の状態(ステータス)を含む表示D1を表示する。「家電機器の状態」とは、例えば、家電機器の電源のON/OFFの状態、実行中の運転モード、選択可能(変更可能)な運転モードの候補、タイマー設定の状態などのうち1つ以上である。本実施形態の表示制御部132は、表示D1に表示される家電機器の状態の1つとして、計算部131によりシミュレートされたエアコン2からの気流の流れを可視化した像FI(図5参照)を表示可能である。表示制御部132による表示の具体例については、後述するシーンごとの説明のなかで詳しく述べる。
【0035】
操作制御部133は、操作検出部115により検出された仮想空間上の操作部D2に対するユーザUの操作に基づき、家電機器を操作するための制御指令を選択または生成し、選択または生成した制御指令を、通信モジュール60を通じて操作対象の家電機器に送信する。
【0036】
本実施形態では、操作制御部133は、エアコン2に対して制御指令を送信する場合、気流の目標位置そのものを示す情報を送信するのではなく、赤外線リモコンで制御される一般的なエアコンに対する制御指令と同様に、左右方向で選択可能な複数段階の送風方向のうち何番目の送風方向を選択するか、上下方向に選択可能な複数段階の送風方向のうち何番目の送風方向を選択するか、または選択可能な複数段階の送風強さのうち何番目の送風強さを選択するか、といった制御指令をエアコン2に送信する。このようなエアコン2で選択可能な制御内容は、制御指令情報I5として記憶部140に予め記憶されている。制御指令情報I5は、例えば、外部ネットワーク(例えばインターネット)を通じてエアコン2の製造メーカのウェブサイトから取得可能である。操作制御部133による制御の具体例については、後述するシーンごとの説明のなかで詳しく述べる。
【0037】
[3.制御例]
以下では、スマートグラス1を用いた家電機器の制御例を、いくつかのシーンに分けて説明する。以下では、操作対象の家電機器(第1家電機器)としてエアコン2が該当し、操作対象の家電機器に影響を与える家電機器(第2家電機器)として扇風機3が該当する例を取り上げて説明する。
【0038】
[3.1 シーン1]
図4は、シーン1の制御例を示す図である。シーン1は、エアコン2が動作していない場合を示すシーンである。図4中の(a)は、スマートグラス1がエアコン2を発見した瞬間を示す図である。図4中の(b)は、スマートグラス1がエアコン2を発見した後の状態を示す図である。本実施形態では、表示制御部132は、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合、表示D1および操作部D2を表示していない(図4中の(a)参照)。一方で、表示制御部132は、カメラの画角にエアコン2が入る場合(すなわち、カメラ40により撮影された画像にエアコン2が入ることが家電機器検出部111により検出された場合)、周囲の風景に重ねて表示D1および操作部D2を表示させる(図4中の(b)参照)。
【0039】
表示D1は、カメラ40の画角に含まれる家電機器の種類(エアコンであること)および型式番号、エアコン2の状態、エアコン2が設置された部屋の状態、エアコン2から取得された情報(部屋の温度および湿度)などを示す情報D1aを含む。情報D1aは、例えば文字情報で表示される。一方で、操作部D2は、エアコン2の冷房運転を開始させるボタンB1a、エアコン2の自動運転を開始させるボタンB1b、エアコン2の暖房運転を開始させるボタンB1c、エアコン2のタイマーの設定変更を行うボタンB1dなどを含む。本明細書でいう「ボタン」とは、説明の便宜上の呼称であり、押す動作に限らず、スライドやその他の動作で操作されるものも含む。「ボタン」は、「アイコン」または「操作子」と読み替えられてもよい。
【0040】
本実施形態では、表示制御部132は、状態検出部112により検出された周囲の状態が第1条件を満たす場合(例えば、部屋の温度が高く、部屋の温度が第1閾値以上の場合)に、第1条件に応じた操作部D2(冷房運転のボタンB1aを強調表示した操作部D2)を表示させる(図4中の(b)参照)。一方で、表示制御部132は、状態検出部112により検出された周囲の状態が第1条件とは異なる第2条件を満たす場合(例えば、部屋の温度が低く、部屋の温度が第2閾値以下の場合)に、第2条件に応じた操作部D2(暖房運転のボタンB1cを強調表示した操作部D2)を表示させる。
【0041】
本実施形態では、表示制御部132は、状態検出部112により検出された周囲の状態が該当する条件に応じて、複数のボタンB1a,B1b,B1cのなかでユーザUによる操作可能性が高い順(優先度が高い順)に上側から配置する。例えば、部屋の温度が高い場合は、冷房運転のボタンB1aが上段に配置され、自動運転のボタンB1bが中段に配置され、暖房運転のボタンB1cが下段に配置される。この表示順は、部屋の温度が低い場合は逆になる。また本実施形態では、図4中の(b)に示すように、ユーザUによる操作可能性が相対的に高いボタン(例えば冷房運転のボタンB1a)が他のボタン(例えばボタンB1b,B1c,B1d)と比べて大きく表示される。一方で、ユーザUによる操作可能性が相対的に低いボタン(例えば暖房運転のボタンB1c)が他のボタン(例えばボタンB1a,B1b,B1d)と比べて小さく表示される。
【0042】
[3.2 シーン2]
図5は、シーン2の制御例を示す図である。シーン2は、シーン1の続きを示すシーンである。図5中の(a)は、ユーザUが冷房運転のボタンB1aを操作した瞬間を示す図である。図5中の(b)は、ユーザUが冷房運転のボタンB1aを操作した後の状態を示す図である。本実施形態では、ユーザUが操作部D2に対して操作すると、操作検出部115によりユーザUの操作が検出される。操作制御部133は、操作検出部115により検出されたユーザUの操作内容に対応する制御指令を制御指令情報I5から選択し、選択した制御指令をエアコン2に送信する。これにより、エアコン2の動作が開始される。
【0043】
表示制御部132は、操作検出部115により検出されたユーザUの操作内容と、エアコン2の変更後の設定状態とに基づき、部屋内の気流の流れ(例えば、気流の風量および風向)に関するシミュレーションを行う。そして、表示制御部132は、気流の流れのシミュレーション結果を可視化した像FIを含む表示D1を表示させる。すなわち、表示制御部132は、気流の流れのシミュレーション結果を可視化した像FIを、周囲の風景に重ねて表示させる。
【0044】
図5に示すように、気流の仮想的な像FIにおける気流の向き(風向)は、例えば、空間内の各地点における流れ方向(ベクトル)を示す矢印により表示される。また、空間上の向きのないステータスについては,色の濃淡によって表示される。例えば、気流の仮想的な像FIにおける風量は、空間内の各地点における風量の大きさ(スカラ)を示す色の濃淡により表示される.例えば、風量が多い領域ほど色が濃く、風量が少ない領域ほど色が薄く表示される。これに代えて、気流の仮想的な像FIは、気流に含まれる粒子の流れにより表示されてもよい。この場合の例については、詳しく後述する。
【0045】
本実施形態では、表示制御部132は、スマートグラス1を装着したユーザUが移動または向きを変えた場合、その新しい位置または新しい向きに応じた気流の仮想的な像FIを表示させる。例えば、スマートグラス1を装着したユーザUがエアコン2とは反対側を向いた場合、表示制御部132は、エアコン2から吹き出されてユーザUの後方に流れる気流の仮想的な像FIを含む表示D1を表示させる。
【0046】
本実施形態では、表示制御部132は、家電機器の動作状態の変更直後のシミュレーション結果を示す内容と、家電機器の動作状態の変更から一定時間経過後のシミュレーション結果を示す内容とを切り替え可能に表示させる。例えば、エアコン2に関して言えば、部屋が暑いうちはエアコン2の稼働状態が高くなり、エアコン2から吹き出される気流の量が多い。一方で、部屋が冷えた後はエアコン2の稼働状態は室温を維持する程度の低い稼働状態で十分となり、エアコン2から吹き出される気流の量は相対的に少ない。
【0047】
そこで、計算部131は、エアコン2の動作状態に関するユーザUの所定の操作が受け付けられた場合(例えば、部屋が暑い状態で冷房運転のボタンB1aが押された場合や、部屋が冷たい状態で暖房運転のボタンB1cが押された場合)、エアコン2の動作状態の変更直後(例えば動作開始直後)のシミュレーション結果と、部屋の温度が安定した後のエアコン2の動作状態のシミュレーション結果とをそれぞれ導出する。そして、表示制御部132は、エアコン2の動作状態の変更直後(例えば動作開始直後)のシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIと、部屋の温度が安定した後のエアコン2の動作状態のシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIとを、ユーザUの操作に応じて切り替え可能に表示させる。このような構成によれば、ユーザUは、エアコン2の動作状態の変更直後の気流と、部屋の温度が安定した後の動作状態の気流の流れとを容易に認識することができる。
【0048】
また、表示制御部132は、エアコン2の動作状態の複数の観点によるシミュレーション結果として、気流ベースのシミュレーション結果を可視化した内容と、部屋の温度ベースのシミュレーション結果を可視化した内容とを、ユーザUの操作に応じて切り替え可能に表示させてもよい。
【0049】
図6は、シーン2の制御例の変形例を示す図である。本変形例では、表示制御部132は、表示D1として、エアコン2の動作状態の変更直後(例えば動作開始直後)のシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FI1と、部屋の温度が安定した後のエアコン2の動作状態のシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FI2とを重ねて表示する。このような構成によっても、ユーザUは、エアコン2の動作状態の変更直後の気流と、部屋の温度が安定した後の動作状態の気流の流れとを容易に認識することができる。
【0050】
[3.3 シーン3]
図7は、シーン3の制御例を示す図である。シーン3は、状態検出部112により周囲の状態が所定条件を満たすことが検出された場合を示すシーンである。本実施形態では、表示制御部132は、上述したように、カメラ40の画角にエアコン2が入る場合(すなわち、カメラ40により撮影された画像にエアコン2が入ることが家電機器検出部111により検出された場合)、エアコン2を操作するための操作部D2を表示させる。一方で、表示制御部132は、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合、エアコン2を操作するための操作部D2を非表示にする。
【0051】
ただし、本実施形態では、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合でも、状態検出部112により周囲の状態が所定条件を満たすことが検出された場合、エアコン2に関連する情報を示す表示D1と、エアコン2を操作するための操作部D2とを表示させる。「周囲の状態が所定条件を満たす場合」とは、例えば、状態検出部112により上述した高温注意または低温注意の条件が満たされる場合である。
【0052】
表示制御部132は、状態検出部112により高温注意の条件を満たすことが検出された場合、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合でも、部屋の温度が高いことを示す注意喚起D3と、エアコン2の状態を示す表示D1と、冷房運転のボタンB1aおよび操作しないことを選択するボタンB1eを含む操作部D2とを表示させる(図7参照)。一方で、表示制御部132は、状態検出部112により低温注意の条件を満たすことが検出された場合、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合でも、部屋の温度が低いことを示す注意喚起D3と、エアコン2の状態を示す表示D1と、暖房運転のボタンB1cおよび操作しないことを選択するボタンB1eを含む操作部D2を表示させる。
【0053】
[3.4 シーン4]
図8は、シーン4の制御例を示す図である。シーン4は、温度または湿度の管理が必要な特定物品SI(例えばカメラや楽器)がカメラ40の画角に入る場合を示すシーンである。本実施形態では、表示制御部132は、上述したように、カメラ40の画角にエアコン2が入る場合、エアコン2を操作するための操作部D2を表示させる。一方で、表示制御部132は、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合、エアコン2を操作するための操作部D2を非表示にする。
【0054】
ただし、本実施形態では、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合でも、状態検出部112により検出された周囲の状態が所定条件を満たし(例えば、部屋の温度が特定物品SIに対応する特定閾値以上の場合、または部屋の湿度が特定物品SIに対応する特定閾値以上の場合)を満たし、且つ、カメラ40の画角に特定物品SIが入る場合(すなわち、カメラ40により撮影された画像に特定物品SIが入ることが物品検出部113により検出された場合)、エアコン2を操作するための操作部D2を表示させる。特定物品SIの種類と、その特定物品SIに応じた温度または湿度の閾値との対応関係は、閾値情報I2の一部として記憶部140に記憶されている。
【0055】
例えば、表示制御部132は、状態検出部112により部屋の湿度が特定物品SIに対応する特定閾値以上であることが検出され、且つ、カメラ40の画角に特定物品が入る場合、カメラ40の画角にエアコン2が入らない場合でも、特定部品SIに対して部屋の湿度が高いことを示す注意喚起D4と、エアコン2の状態を示す表示D1と、エアコン2の除湿運転を開始するためのボタンB1fおよび操作しないことを選択するボタンB1eを含む操作部D2とを表示させる(図8参照)。一方で、表示制御部132は、状態検出部112により部屋の温度が特定物品SIに対応する特定閾値以上であることが検出され、且つ、カメラ40の画角に特定物品SIが入る場合、特定部品SIに対して部屋の温度が高いことを示す注意喚起D4と、エアコン2の状態をカメラ40の画角にエアコン2が入らない場合でも、エアコン2の状態を示す表示D1と、エアコン2の冷房運転のボタンB1aおよび操作しないことを選択するボタンB1eを含む操作部D2とを表示させる。
【0056】
[3.5 シーン5]
図9は、シーン5の制御例を示す図であり、操作部D2として第1態様の操作部D21が表示されている場合を示す図である。シーン5は、エアコン2が動作している場合を示すシーンである。本実施形態では、表示制御部132は、操作部D2として第1態様の操作部D21が表示されている場合、スマートグラス1を装着したユーザUの移動または向きを変える動きに対して操作部D2の表示を追従させない。一方で、表示制御部132は、操作部D2として、第1態様とは異なる第2態様の操作部D22が表示されている場合、スマートグラス1を装着したユーザUの移動または向きを変える動きに対して操作部D2の表示を追従させる。
【0057】
詳しく述べると、本実施形態では、表示制御部132は、エアコン2が動作している状態で、カメラ40の画角にエアコン2が入る場合、操作部D2として、エアコン2を操作するための第1態様の操作部D21を表示させる。第1態様の操作部D21は、エアコン2の気流の詳細設定ができない操作部である。例えば、第1態様の操作部D21は、エアコン2の運転を停止させるボタンB2a、エアコン2の温度設定の操作画面へ遷移させるボタンB2b、およびエアコン2の気流設定の操作画面へ遷移させるボタンB2cを含む。エアコン2の気流設定の操作画面を表示させるボタンB2cは、そのボタンB2cを押すだけでは気流の詳細設定はできない。このため、エアコン2の気流設定の操作画面へ遷移させるボタンB2cを含む操作部D2は、「エアコン2の気流の詳細設定できない操作部」の一例である。
【0058】
表示制御部132は、操作部D2として第1態様の操作部D21が表示されている場合、ユーザUの移動または向きを変える動きに対して操作部D2の表示を追従させない。「操作部D2の表示を追従させない」とは、例えば、カメラ40の画角からエアコン2が外れる場合、表示制御部132により操作部D2が表示されない(操作部D2を非表示にする)ことを意味する。すなわち、スマートグラス1を装着したユーザUがエアコン2とは異なる方向を見た場合、ユーザUの視界からエアコン2が消えることに応じて、操作部D2の表示も消える。
【0059】
図10は、シーン5の続きを示す図であり、操作部D2として第2態様の操作部D22が表示されている場合を示す図である。本実施形態では、表示制御部132は、第1態様の操作部D21における特定のボタン(例えば、気流設定のボタンB2c)が操作されることで、第1態様の操作部D21から遷移させた第2態様の操作部D22を表示させる。第2態様の操作部D22は、エアコン2の気流の詳細設定ができる操作部である。例えば、第2態様の操作部D22は、エアコン2の風量を変更する操作子B3a、エアコン2の左右方向の風向を変更する操作子B3b、エアコン2の上下方向の風向きを変更する操作子B3c、気流の設定変更を中止するキャンセルボタンB3d、および気流の設定変更の内容を確定してエアコン2に指示する送信ボタンB3eを含む。
【0060】
ここで本実施形態では、ユーザUにより上述した操作子B3a,B3b,B3cが操作されただけではエアコン2の動作は変更されず、送信ボタンB3eが押された時点で設定変更の内容が確定し、エアコン2の動作が変更される。本実施形態では、計算部131は、エアコン2の動作状態に関するユーザUの所定の操作(例えば操作子B3a,B3b,B3cのいずれかに対する操作)が受け付けられた場合、エアコン2の変更後の動作状態(例えば、操作子B3a,B3b,B3cに対する操作に応じた変更後の気流の強さや向き)を予測するシミュレーションを行う。
【0061】
そして、表示制御部132は、エアコン2の動作状態を変更する前に、周囲の風景に対して、計算部131によるエアコン2の変更後の動作状態のシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIを含む表示D1を重ねて表示する。本実施形態では、エアコン2の動作状態が確定される前(例えば、送信ボタンB3eが押される前)に、操作子B3a,B3b,B3cのいずれかが複数回に亘り操作された場合、操作子B3a,B3b,B3cが操作される度に、計算部131により上記シミュレーションが再度行われ、そのシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIを含む表示D1がその都度、更新されて表示される(すなわち、切り替えて表示される)。
【0062】
表示制御部132は、操作部D2として第2態様の操作部D22が表示されている場合、スマートグラス1を装着したユーザUの移動または向きを変える動きに対して操作部D2の表示を追従させる。「操作部D2の表示を追従させる」とは、例えば、カメラ40の画角からエアコン2が外れる場合でも、表示制御部132により操作部D22をユーザUの見える範囲内に表示し続けることを意味する。すなわち、スマートグラス1を装着したユーザUがエアコン2とは異なる方向を見た場合でも、ユーザUの視界に操作部D2の表示が残る。
【0063】
ここで上述したように、本実施形態の表示制御部132は、スマートグラス1を装着したユーザUがエアコン2とは異なる方向を見た場合、その方向で見た場合の上記気流の仮想的な像FIを表示させる。すなわち、スマートグラス1を装着したユーザUがエアコン2とは反対側を向いた場合、エアコン2から吹き出されてユーザUの後方に流れる気流の仮想的な像FIが表示される。この状態で、ユーザUにより操作子B3a,B3b,B3cが操作されると、表示制御部132は、操作子B3a,B3b,B3cに対する操作に応じてユーザUの後方に流れる気流の仮想的な像FIを変更する。これにより、ユーザUは、例えば自分の後方や側方における気流の仮想的な像FIを確認しながら、操作子B3a,B3b,B3cを操作することで気流の設定を調整することができる。
【0064】
図11は、シーン5の制御例の変形例を示す図である。本変形例では、表示制御部132は、エアコン2の動作状態に関するユーザUの所定の操作が受け付けられた場合(例えば、ユーザUにより操作子B3a,B3b,B3cの1つ以上が操作された場合)、表示D1として、エアコン2の動作状態の変更前のシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIAと、エアコン2の動作状態の変更後のシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIBとを重ねて表示させる。このような構成によれば、ユーザUは、動作状態の変更前の様子と、動作状態の変更後の様子とを容易に比較することができる。これにより、ユーザUの利便性をさらに高めることができる。
【0065】
[3.6 シーン6]
図12は、シーン6を示す図である。本実施形態では、操作制御部133は、仮想空間上にユーザUによって配置されたオブジェクトOB(対象物)の位置に基づき家電機器の1つ以上の動作パラメータを導出し、導出した1つ以上の動作パラメータを家電機器に送信する。
【0066】
例えば、表示制御部132は、操作部D2に代えて/加えて、仮想空間上にオブジェクトOBを配置可能である。オブジェクトOB自体は、表示制御部132により生成される仮想的なものである。ユーザUは、例えば指先の操作により、仮想空間上でオブジェクトOBの位置を変更可能である。図12に示す例では、オブジェクトOBに向けてエアコン2から気流が流れるように、オブジェクトOBの位置に応じてエアコン2の動作状態が変更される場合である。
【0067】
ここで、操作制御部133は、オブジェクトOBの位置に応じてエアコン2の動作状態が変更される場合、オブジェクトOBの位置を示す情報をエアコン2に送信するわけではない。本実施形態では、オブジェクトOBの位置に応じたエアコン2の適切な動作パラメータが計算部131により求められる。エアコン2の動作パラメータは、例えば、赤外線リモコンで動く一般的なエアコンに対する制御指令と同様に、左右方向で選択可能な複数段階の送風方向のうち何番目の送風方向を選択するか、上下方向で選択可能な複数段階の送風方向のうち何番目の送風方向を選択するか、または選択可能な複数段階の送風強さのうち何番目の送風強さを選択するか、といったパラメータ(制御指令)であり、制御指令情報I5から選択される。
【0068】
図13は、シーン6における変形例を示す図である。図13に示す例は、オブジェクトOBに向けてエアコン2から気流が流れないように、オブジェクトOBの位置に応じてエアコン2の動作状態が変更される例である。例えば、ユーザUは、風を当てたくない場所(ベッドや観葉植物の配置場所)にオブジェクトOBを配置することで、部屋内の特定の場所にだけは風が当たらないようにしつつ部屋の温度または湿度を整えることができる。
【0069】
[3.7 シーン7]
図14は、シーン7を示す図である。本実施形態では、計算部131は、操作対象の家電機器(第1家電機器)とは別の家電機器(第2家電機器)が存在する場合、第2家電機器の影響を反映したシミュレーションを行う。例えば、計算部131は、家電機器検出部111により扇風機3が検出された場合、扇風機3の影響を反映したエアコン2からの気流の流れのシミュレーションを行う。
【0070】
本実施形態では、家電機器検出部111は、カメラ40により撮影された画像に基づき、扇風機3の首の向き(扇風機3の風向き)を特定する。そして、計算部131は、特定された扇風機3の風向きを反映させてエアコン2からの気流の流れのシミュレーションを行う。そして、表示制御部132は、扇風機3の風向きを反映させてエアコン2からの気流の流れのシミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIを含む表示D1を表示させる。
【0071】
なお、家電機器検出部111は、スマートグラス1と扇風機3との間で通信を行うことや、カメラ40により羽根車の回転角度を検出可能な時間間隔で撮影された複数枚の扇風機の画像に基づき扇風機3の風量を示す情報を取得してもよい。この場合、制御部130は、特定された扇風機3の風向きと風量を反映させてエアコン2からの気流の流れのシミュレーションを行い、そのシミュレーションの結果を可視化した気流の仮想的な像FIを含む表示D1を表示させてもよい。
【0072】
本実施形態では、計算部131は、状態についての情報を取得できない要素(例えば窓4または換気扇5)の状態を示すユーザUの入力が受付部120により受け付けられた場合、受付部120により受け付けられたユーザUの入力の内容に基づき、上記要素の状態(例えば、窓4の開閉状態、換気扇5の動作状態)を反映したシミュレーションを行う。そして、表示制御部132は、上記要素の状態を反映させてエアコン2からの気流の流れのシミュレーションの結果を可視化した気流の仮想的な像FIを含む表示D1を表示させる。なお、状態についての情報を取得できない要素(例えば窓4または換気扇5)の状態は、カメラ40により取得されてもよい。
【0073】
[4.気流に関するシミュレーション]
次に、気流に関するシミュレーションの一例について説明する。
【0074】
[4.1 周囲環境情報の取得]
本実施形態では、計算部131は、カメラ40により撮影された画像に基づき家電機器が配置された部屋の間取りまたは部屋内の物品(例えば家具)の配置の片方または両方を認識し(すなわち、周辺環境検出部114より検出し)、認識した部屋の間取りおよび物品の配置を周囲環境情報I4として記憶部140に記憶する。そして、計算部131は、認識した部屋の間取りに応じた壁および部屋内の物品の表面をエアコン2からの気流の流れの制約条件として気流の流れのシミュレーションを行う。
【0075】
なお、制御部130は、カメラ40による周囲環境情報の取得に代えて/加えて、受付部120により家電機器が配置された部屋の間取りまたは部屋内の物品の配置の片方または両方を示すユーザUの入力を受付部120により受け付けてもよい。この場合、受付部120は、ユーザUの入力に基づく内容を周囲環境情報I4の全部または一部として記憶部140に記憶する。そして、計算部131は、ユーザUから入力された部屋の間取りに応じた壁および部屋内の物品の表面をエアコン2からの気流の流れの制約条件として気流の流れのシミュレーションを行う。
【0076】
[4.2 粒子による近似]
図15は、気流の流れのシミュレーション結果の一例を示す図である。本実施形態の計算部131は、気流の流れそのものを完全に計算することに代えて、気流に含まれる複数の粒子Pの動きを計算することでシミュレーションの計算量を低減している。また本実施形態の計算部131は、複数の粒子Pの動きを完全に計算することに代えて、エアコン2の1つ以上の動作パラメータ(段階的に設定された気流の風量や風向)に対応して予め用意されたシミュレーション結果(複数の粒子Pの動き)を、そのまままたは部屋の間取りや部屋内の物品の位置に応じた補正を行って用いることで、必要なシミュレーション結果を導出する。そして、表示制御部132は、導出されたシミュレーション結果を可視化した気流の流れの仮想的な像FIを表示させる。具体的には、粒子Pには下記条件を与えられ、気流に関するシミュレーションが行われる。
【0077】
(1)粒子Pの初期状態(エアコン2から吹き出された直後の状態)
(1-1)気流の風量は、複数の粒子Pの初速度の大きさの平均で近似する。複数の粒子Pに対しては、一定の分布に従う初速度の大きさを与える。
(1-2)気流の風向は、複数の粒子Pの初速度の方向の平均で近似する。複数の粒子Pに対しては、一定の分布に従う初速度の方向を与える。
(1-3)粒子Pの初期位置は、エアコン2の付近で分布状に発生するものとする。
(1-4)粒子Pの初速度が大きいほど粒子Pの発生数を増加させる。これにより、粒子Pの速度が早い場合に、離散的に見えることを抑制することができる。また、粒子Pの初速度が大きいほど粒子Pの発生数を増加させることで、気流の風量を表現することができる。
【0078】
(2)粒子Pのその後の動作(エアコン2から吹き出されてから一定時間経過後の状態)
(2-1)粒子Pの移動速度は、時間経過とともに減速。
(2-2)部屋の壁や物品の表面(以下ではこれらを纏めて「壁」と称する)との衝突では、粒子Pの速度は大きく減らず、壁に対する反射角は入射角よりも大きく設定する。これについては詳しく後述する。
(2-3)粒子Pには、一定時間経過後に上方に向く加速度が作用する。なお、加速度は冷房運転と暖房運転で異なる値が設定される。
(2-4)粒子Pの消滅条件は、一定時間が経過すること。ただし,壁に対して衝突した数が多いほど早く消滅する。
【0079】
図16は、壁Wに対する粒子Pの衝突時の動きに関する設定条件を示す図である。一般的に、空気の粒子Pは、壁Wに衝突した場合、入射角αと反射角β1とが等しくなることが知られている。ただし、本実施形態では、シミュレーションの計算量を低減するため、壁Wで反射した粒子Pと、壁Wに向かって進む後続の粒子Pとの衝突は生じないものとして取り扱う。そのため、本実施形態では、粒子Pが壁Wに衝突する場合、反射角β2が入射角αよりも大きくなるように(すなわち、粒子Pが壁Wの近くに流れるように)反射角β2が設定される。これにより、後続の粒子Pとの衝突を計算せずに、壁Wに衝突した粒子Pの実際に近い動きを近似することができる。
【0080】
[4.3 あたり判定]
本実施形態では、計算部131は、「あたり判定」と称する処理を行う。「あたり判定」は、粒子Pの動きを求めるシミュレーションにおいて、エアコン2から吹き出された粒子Pのうちスマートグラス1を装着したユーザUに単位時間当たりに当たる粒子Pの個数をカウントする処理である。ユーザUに当たる粒子Pの個数は、ユーザUが感じる気流の強さと相関関係を有する。すなわち、ユーザUに当たる粒子Pの個数が少ないほど、ユーザUは弱い風を感じる。一方で、ユーザUに当たる粒子Pの個数が多いほど、ユーザUは強い風を感じる。このため、ユーザUに当たる粒子Pの個数を求めることで、ユーザUが感じる風の強さを数値化することができる。
【0081】
ここで、計算部131は、冷房運転が行われる場合、実際のユーザUの身体の高さに対応する位置にあたり判定用の領域を配置し、その領域に対する粒子Pの衝突数(通過数)をカウントする。一方で、計算部131は、暖房運転が行われる場合、実際のユーザUの身体の高さよりも低い位置(例えば、ユーザUの足元付近の高さ位置)に判定用の領域を配置し、その領域に対する粒子Pの衝突数(通過数)をカウントする。このような構成によれば、暖房運転におけるユーザUの感覚をより正確に反映することができる。
【0082】
[4.4 気流の仮想的な像の表示例]
図15に示すように、表示制御部132は、シミュレーション結果を可視化した気流の仮想的な像FIとして、複数の粒子Pの動きを表示させる。すなわち、エアコン2の吹出口の付近から吹き出された複数の粒子Pの動きが表示される。このような粒子Pの動きは、気流の流れを線や矢印で示す場合と比べてユーザUにとって直感的に分かりやすいものとなる。
【0083】
本実施形態では、表示制御部132は、上述した「当たり判定」の結果に基づいて数値化された「ユーザUが感じる風の強さ」を示す指標D1bを含む表示D1を表示する。本実施形態では、指標D1bは、バーのような表示態様で表示される。すなわち、ユーザUに風が当たっていない状態を「0」とし、ユーザUに一定以上の風が当たる状態を「100」とし、その間のどの程度のレベルでユーザUに風が当たっているのかが表示される。なお、指標D1bは、上記例に代えて、レベルに応じて色が異なるカラーバーや、「そよ風」や「暴風」といった文字、またはこれらの組み合わせで表現されてもよい。
【0084】
図17は、気流を可視化した像FIの第1表示例を示す図である。本変形例では、エアコン2から吹き出された複数の粒子Pのなかで、ユーザUに当たりそうにない粒子PAは第1色(例えば青色)で表示される。一方で、エアコン2から吹き出された複数の粒子Pのなかで、ユーザUに当たりそうな粒子PBは第2色(例えば赤色)で表示される。このような第1表示例によっても、どの程度のレベルでユーザUに風が当たるのかをユーザUに分かりやすく伝えることができる。
【0085】
図18は、気流を可視化した像FIの第2表示例を示す図である。本変形例では、エアコン2から吹き出された複数の粒子Pのなかで、ユーザUに直近の単位時間で当たっている粒子PCは第1色(例えば黄色)で表示される。エアコン2から吹き出された複数の粒子Pのなかで、過去にユーザUに当たった粒子PDは第2色(例えば赤色)で表示される。エアコン2から吹き出された複数の粒子Pのなかで、粒子PB,PC以外の粒子Pである粒子PEは第3色(例えば青色)で表示される。このような第2表示例によっても、どの程度のレベルでユーザUに風が当たるのかをユーザUに分かりやすく伝えることができる。
【0086】
[4.5 座標系の設定]
図19は、本実施形態で用いられる座標系を示す図である。本実施形態では、3つの座標系が用いられる。
(1)エアコン2の位置を基準とした座標系(第1座標系S1)
(2)ユーザU(スマートグラス1)の位置を基準とした座標系(第2座標系S2)
(3)エアコン2が配置された部屋の実空間内の座標を示す座標系(第3座標系S3)
【0087】
本実施形態では、計算部131は、エアコン2の動作状態に関するシミュレーション(例えば粒子Pの動きを求めるシミュレーション)は、第1座標系S1で行う。ただし、計算部131は、壁(部屋の壁または物品の表面)に対する粒子Pの衝突とその後の流れについては、第1座標系S1では計算しない。そして、表示制御部132は、第1座標系S1で行われたシミュレーションの結果を、第3座標系S3の内容に変換して保持する。すなわち、表示制御部132は、第1座標系S1で行われたシミュレーションの結果を、第3座標系S3における部屋の実空間内の座標に関連付けて保持する。第3座標系S3は、第1座標系S1とは基準位置が異なる座標系の一例である。
【0088】
一方で、計算部131は、上述した「あたり判定」に関する処理を第2座標系S2で行う。例えば、計算部131は、第1座標系S1で求められた粒子Pの動きを求めるシミュレーションの結果の内容を第2座標系S2に変換し、第2座標系S2で設定された「あたり判定」のための領域に対して衝突する粒子Pの個数をカウントする。また、表示制御部132は、表示D1および操作部D2の表示位置を、第2座標系S2において決定する。
【0089】
計算部131は、上述した第3座標系S3に変換された上記シミュレーションの結果を用いて、第3座標系S3において壁W(部屋の壁または物品の表面)に対する粒子Pの衝突とその後の流れを計算し、第1座標系S1で計算された上記シミュレーションの結果を補正する。第3座標系S3では、エアコン2が配置された部屋の間取りおよび物品(例えば家具)が設定されている。
【0090】
そして、表示制御部132は、第3座標系S3で補正された上記シミュレーションの結果に基づいて気流を可視化した像FI(複数の粒子Pの動き)示す画像を生成し、生成した画像を表示D1の一部として表示させる。この場合、表示制御部132は、カメラ40の画角にエアコン2が入る度に、エアコン2と第3座標系S3との位置関係を設定し直す。これにより、エアコン2と第3座標系S3との最初の位置関係が正しく設定されなかった場合でも、エアコン2と第3座標系S3との位置関係が修正される。
【0091】
このような座標系によれば、スマートグラス1が激しく動く(カメラ40が激しく動く)場合でも処理が遅延することが生じにくくなる。また、シミュレーションに関する計算が第1座標系S1または第3座標系S3で行われると、スマートグラス1自身の座標が誤っていても、影響を受けにくくなる。また、エアコン2から吹き出された風は、風向変更による回転などを考慮すると、第1座標系S1のほうが計算のアルゴリズムや計算式を組み立てやすい。さらに、その風(近似する粒子P)はシミュレーション結果であるために、粒子Pとエアコン2のような相対位置の取得がないため、エアコン2基準のほうが計算は容易となる。
【0092】
座標系に関する第1変形例として、計算部131は、壁(部屋の壁または物品の表面)に対する粒子Pの衝突も含め気流に関する全てのシミュレーションを第1座標系S1で行い、第1座標系S1で保持されたシミュレーション結果が表示D1として表示されてもよい。このような第1変形例の構成によれば、スマートグラス1が激しく動く(カメラ40が激しく動く)と処理が遅延する場合があり得るが、スマートグラス1が認識している現在の座標にずれがあっても影響を少なくすることができる。
【0093】
座標系に関する第2変形例として、計算部131は、壁(部屋の壁または物品の表面)に対する粒子Pの衝突も含め気流に関する全てのシミュレーションを第2座標系S2で行い、第2座標系S2で保持されたシミュレーション結果が表示D1として表示されてもよい。このような第2変形例の構成によれば、スマートグラス1が激しく動く(カメラ40が激しく動く)と処理が遅延する場合があり得るが、そのような場合を除けば問題なく計算および表示を行うことができる。
【0094】
座標系に関する第3変形例として、計算部131は、気流に関する全てのシミュレーションを第3座標系S3で行い(すなわち、部屋の実空間内の座標に関連付けてエアコン2の動作状態のシミュレーションを行い)、第3座標系S3で保持されたシミュレーション結果が表示D1として表示されてもよい。すなわち、計算に用いる座標はスマートグラス1の動きによってぶれたりせず、計算の結果を実座標に対応付けるものである。このような第3変形例の構成によれば、スマートグラス1自身の座標が誤っていれば、結果も誤ったものになってしまうが、スマートグラス1が動いても気流の流れを計算し直すことが抑制されるため,エアコン2を見失ったり、カメラ40が激しく動いたりしても影響を少なくすることができる。
【0095】
[5.利点]
本実施形態では、スマートグラス1は、エアコン2に関連する情報を示す表示D1、またはエアコン2を操作するための操作部D2のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる制御部130を有する。このような構成によれば、一般的な機器コントローラと比べて、ボタンの表示サイズや配置を動的に変更することができる。これにより、ユーザUに対してより使いやすいユーザインターフェスを提供することができ、ユーザUの利便性の向上を図ることができる。
【0096】
本実施形態では、制御部130は、検出部110により検出された周囲の状態が第1条件を満たす場合に、第1条件に応じた操作部D2を表示させ、検出部110により検出された周囲の状態が第1条件とは異なる第2条件を満たす場合に、第2条件に応じた操作部D2を表示させる。このような構成によれば、状況に応じて操作部D2の表示が変更される。これにより、ユーザUの利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0097】
本実施形態では、制御部130は、カメラ40により撮影された画像にエアコン2が入る場合に操作部D2を表示させ、カメラ40により撮影された画像にエアコン2が入らない場合でも、検出部110により検出された周囲の状態が所定条件を満たす場合に操作部D2を表示させる。このような構成によれば、暑い場合や寒い場合、湿度が高い場合などにユーザUに対して任意のタイミングで提案を行うことができる。これにより、ユーザUの利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0098】
本実施形態では、制御部130は、周囲の状態が所定条件を満たし、且つ、特定物品SIが検出された場合に、操作部D2を表示させる。このような構成によれば、暑さや湿度に弱い物品がある場合にユーザUに対して任意のタイミングで提案を行うことができる。これにより、ユーザUの利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0099】
ここで、一般的な赤外線リモコンでは、「風向の変更」を行う場合に、どのように操作すれば実際に風がどこに向くか分かりにくい場合がある。また、部屋全体を意識した気流設定を行うことは困難である。しかしながら本実施形態では、気流の仮想的な像FIが表示される。これより、エアコン2の気流を設定する際、例えば何段右に向ければ自分のほうに風が来るのか分かりやすく、設定してイメージが違えば調節するという作業を行うことが抑制される。これにより、ユーザUの利便性のさらなる向上を図ることができる。また、3次元的な情報を用いるため,別角度から見た気流の全体像なども確認可能であり、部屋全体を意識した気流設定を行うことが容易になる。
【0100】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、スマートグラス1は、家電機器に関連する情報を示す表示D1を行うが、操作部D2を表示しない点で第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0101】
図20は、第2実施形態の制御例を示す図である。本実施形態では、表示制御部132は、エアコン2に関連する情報を示す表示D1を行うが、操作部D2を表示しない。ユーザUは、エアコン2の状態や気流の仮想的な像FIを確認しながら、実際に存在する一般的な赤外線リモコンRCを用いてエアコン2を操作する。
【0102】
このような構成によっても、ユーザUは、エアコン2の状態や気流の仮想的な像FIを仮想空間技術による表示D1を確認しながらエアコン2の操作を行える。このため、ユーザUの利便性が向上する。
【0103】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、ユーザUが操作する情報処理装置がスマートグラス1ではなく、スマートフォンまたはタブレット端末のような端末装置1Aである点で第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0104】
図21は、第3実施形態の端末装置1Aを示す図である。端末装置1Aは、第1実施形態のスマートグラス1と同様に、カメラ40、マイク50、通信モジュール60、および制御基板70を有する。端末装置1Aは、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである表示装置30Aを有する。表示装置30Aは、表示画面に重ねて配置された静電容量式のタッチセンサを含む。
【0105】
端末装置1Aには、上述した検出部110、受付部120、および制御部130を実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。端末装置1Aは、「情報処理装置」の一例であり、家電機器を操作する機器コントローラである。本実施形態の端末装置1Aは、「情報処理システム」の一例である。
【0106】
本実施形態では、表示制御部132は、カメラ40によりリアルタイムで撮影された周囲の風景を表示装置30Aの表示画面に表示させる。そして、表示制御部132は、仮想空間技術による表示D1および/または操作部D2を、表示装置30Aの表示画面に表示させる。すなわち、表示制御部132は、仮想空間技術による表示D1および/または操作部D2を表示装置30Aと、カメラ40によりリアルタイムで撮影された周囲の風景とを表示画面上に重ねて表示する。表示D1は、家電機器の状態を示す表示D1aおよび/またはエアコン2からの気流を可視化した像FIを含む。操作検出部115は、表示装置30Aの表示画面に対するユーザUの操作に基づき、ユーザUの操作を受け付ける。
【0107】
このような構成によれば、新たなデバイスの導入することなく、必要な場面でアプリケーションプログラムを起動することで拡張現実のリモコンを利用することができる。このため、ユーザUの利便性が向上する。
【0108】
本実施形態の端末装置1Aは、第1実施形態のスマートグラス1に関して説明した全ての制御例を実現可能である。例えば、ユーザUが端末装置1Aをエアコン2とは反対側に向けた場合、表示制御部132は、エアコン2から吹き出されてユーザUの後方に流れる気流の仮想的な像FIを含む表示D1を表示させる。本実施形態に関する説明は、第1実施形態に関する説明における「スマートグラス1」を「端末装置1A」と読み替え、「スマートグラス1を装着したユーザU」を「端末装置1Aを保持したユーザU」と読み替えればよい。本実施形態で「ユーザUが向きを変えた場合」とは、「ユーザUが端末装置1Aの向きを変えた場合」を含み得る。
【0109】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態のスマートグラス1の機能の一部が別装置に設けられた点で第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0110】
図22は、第4実施形態の情報処理システム200を示す図である。情報処理システム200は、ホスト装置210と、1つ以上のスマートグラス1(または端末装置1A)を含む。ホスト装置210は、上述した検出部110、受付部120、および制御部130のうち一部または全部の機能を有する。ホスト装置210は、スマートグラス1(または端末装置1A)と通信可能である。ホスト装置210は、例えば、家庭内に配置されるコンピュータであるが、外部のネットワーク上のサーバ装置などでもよい。
【0111】
このような構成によれば、第1実施形態と同様に、ユーザUの利便性が向上する。本実施形態によれば、ホスト装置210の計算結果を複数人のユーザUで共有することができ、複数人のユーザUで同じ内容を見ることができる。これにより、ユーザUの利便性がさらに向上する場合がある。
【0112】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態および変形例は上記例に限定されない。例えば、表示D1および操作部D2の表示は、拡張現実(AR)や複合現実(MR)に限定されず、仮想現実(VR)や代替現実(SR)などでもよい。例えば、表示D1が重ねられる周囲の風景は、仮想現実により表示されるものでもよい。また、過去の家電機器の動作状態などが代替現実により表示されてもよい。
【0113】
また、スマートグラス1や端末装置1Aは、エアコン2を操作する装置に限定されない。例えば、スマートグラス1は、周囲の風景と重ねてレシピを表示してもよい。レシピは、「家電機器に関連する情報」の一例である。この場合、ユーザUは、レシピを見ながら料理をすることができるとともに、手を洗わず操作できるため、画面が小さくて見えなかったり押せなかったりすることが解消される。
【0114】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、情報処理システムは、家電機器に関連する情報を示す表示、または家電機器を操作するための操作部のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる制御部を持つことにより、利便性の向上を図ることができる。
【0115】
以下、いくつかの情報処理システムについて付記する。
[1]:家電機器に関連する情報を示す表示、または前記家電機器を操作するための操作部のうち一方または両方を仮想空間技術により表示させる制御部、
を備えた情報処理システム。
[2]:[1]に記載の情報処理システムにおいて、
前記制御部は、前記家電機器の動作状態に関するユーザの所定の操作が受け付けられた場合、前記家電機器の変更直後の動作状態のシミュレーション結果を可視化した像と、前記家電機器の変更から一定時間経過後の動作状態のシミュレーション結果を可視化した像とを重ねてまたは切り替え可能に表示させる。
[3]:[1]または[2]に記載の情報処理システムにおいて、
前記制御部は、第1態様で前記操作部が表示されている場合、ユーザの移動または向きを変える動きに対して前記操作部の表示を追従させず、前記第1態様とは異なる第2態様で前記操作部が表示されている場合、前記ユーザの移動または向きを変える動きに対して前記操作部の表示を追従させる。
[4]:[3]に記載の情報処理システムにおいて、
前記家電機器は、空気調和機であり、
前記第1態様の操作部は、前記空気調和機の気流の詳細設定ができない操作部であり、
前記第2態様の操作部は、前記空気調和機の気流の詳細設定ができる操作部である。
[5]:[1]から[4]のうちいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記制御部は、前記家電機器の位置を基準とした座標系で前記家電機器の動作状態のシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果の内容を含む前記表示を表示させる。
[6]:[1]から[4]のうちいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記制御部は、前記家電機器が配置された部屋の実空間内の座標に関連付けて前記家電機器の動作状態のシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果の内容を含む前記表示を表示させる。
[7]:[1]から[4]のうちいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記制御部は、前記家電機器の位置を基準とした座標系で前記家電機器の動作状態のシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果を前記家電機器が配置された部屋の実空間内の座標に関連付けた内容に変換し、変換した前記シミュレーション結果の内容を含む前記表示を表示させる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1…スマートグラス、2…エアコン(家電機器、第1家電機器)、3…扇風機(第2家電機器)、40…カメラ、70…制御基板、110…検出部、120…受付部、130…制御部、200…情報処理システム。
図1
図2
図3
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