(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】吸収性物品、及び吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/537 20060101AFI20240704BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240704BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61F13/537 220
A61F13/53 100
A61F13/53 300
A61F13/534 110
(21)【出願番号】P 2020213037
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019231044
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔵前 亮太
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-086148(JP,A)
【文献】特開2019-122717(JP,A)
【文献】特開2018-079036(JP,A)
【文献】特開2019-130272(JP,A)
【文献】特開2019-213624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の繊維シートと、第2の繊維シートと、これらの繊維シートの間に配された吸水性ポリマーとを備えた吸収性シート
を備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、表面シートと、透湿性の裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配された前記吸収性シートとを備え、
前記吸収性シートは、JIS P8141に準じて各繊維シートのクレム吸水高さを測定したときに、第1の繊維シートのクレム吸水高さが、第2の繊維シートのクレム吸水高さよりも高
く、
前記吸収性シートにおける第1の繊維シートが肌対向面側に配されている、吸収性物品。
【請求項2】
第1の繊維シートのクレム吸水高さが20mm以上であり、第2の繊維シートのクレム吸水高さが30mm以下である、請求項1に記載の
吸収性物品。
【請求項3】
KES-F8通気性試験機を用いて各繊維シートの通気抵抗を測定したときに、第2の繊維シートの通気抵抗が、第1の繊維シートの通気抵抗よりも低い、請求項1又は2に記載の
吸収性物品。
【請求項4】
第1の繊維シートは、クレープ率が5%以上の紙であり、
第2の繊維シートは、クレープ率が1%未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の
吸収性物品。
【請求項5】
前記紙の繊維間距離が30μm以下である、請求項4に記載の
吸収性物品。
【請求項6】
前記紙の繊維が一方向への配向性向を有している、請求項4又は5に記載の
吸収性物品。
【請求項7】
第1の繊維シートを構成する繊維の配向性向と、第2の繊維シートを構成する繊維の配向性向とが互いに一致している、請求項1~6のいずれか一項に記載の
吸収性物品。
【請求項8】
第2の繊維シートは親水性不織布である、請求項1~7のいずれか一項に記載の
吸収性物品。
【請求項9】
第1の繊維シートと、第2の繊維シートとが接着剤によって接合されており、
両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介さずに前記接着剤によって直接接合された部位と、両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介して前記接着剤によって接合された部位とを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の
吸収性物品。
【請求項10】
第2の繊維シートにおける前記接着剤の塗布面積は、第1の繊維シートにおける前記接着剤の塗布面積よりも大きい、請求項9に記載の
吸収性物品。
【請求項11】
前記接着剤が塗布された部位において、第1の繊維シートにおける前記接着剤の坪量が、第2の繊維シートにおける前記接着剤の坪量よりも高い、請求項9又は10に記載の
吸収性物品。
【請求項12】
1.7kPaの圧力付与下にて測定された
前記吸収性シートの厚みが0.3mm以上4mm以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の
吸収性物品。
【請求項13】
第1の繊維シートのクレム吸水高さと第2の繊維シートのクレム吸水高さとの差が100mm以上50mm以下である、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法であって、
第1の繊維シート及び第2の繊維シートのうち少なくとも一方の繊維シートに接着剤を塗布し、
前記繊維シートにおける前記接着剤の塗布面に、吸水性ポリマーを散布し、
前記両繊維シートの間に前記吸水性ポリマーが配されるように、前記各繊維シートを重ね合わせ、
重ね合わせた前記各繊維シートを押圧し、然る後に、
押圧された前記各繊維シートを切断
して吸収性シートを得、
前記吸収性シートにおける第1の繊維シートを、前記吸収性物品の肌対向面側に配する、吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性シート及び吸収性物品、並びに吸収性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液吸収性の向上を目的として、二枚のシートの間に吸水性ポリマーを配したシート状物及びこれを備えた吸収性物品が開発されている。例えば特許文献1には、少なくとも150mmH2O以上の耐水性を有する疎水性不織布と、水分拡散性を有する親水性シートと、前記疎水性不織布と前記親水性シートとの間に介在する、平均粒径が500μm以下のSAP粒子からなるSAP層とで構成された、3層構造を持つ吸水性耐水性シートが開示されている。
【0003】
特許文献2には、吸水性樹脂及び接着剤を含有してなる吸収層が、不織布により該吸収層の上方及び下方から挟持された構造を有する吸水シート構成体であって、該吸水性樹脂の含有量が100~1000g/m2、該吸水性樹脂の質量平均粒径が50~800μm、かつ該吸水性樹脂の粒径速度指数が0.12秒/μm以下、吸水シート構成体の剥離強度が、0.05~3.0N/7cmである吸水シート構成体が開示されている。この吸水シート構成体は、吸収性物品に適用可能であることも同文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-325799号公報
【文献】国際公開2011/086843号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載の吸水性シートは、その構成部材として疎水性不織布を用いて通気性を高めたり、あるいは、吸水性ポリマーを所定の位置に保持させて液吸収性を向上させたりする等の特定の性能に着目して、その性能向上を目的とするものであった。しかし、これらの文献に記載の吸水性シートは、実際の使用場面において、シート面方向への液拡散性、液吸収性、及び液吸収後の通気性を高いレベルで兼ね備えたものではなかった。
【0006】
したがって、本発明の課題は、液拡散性、液吸収性、及び通気性を兼ね備えた吸収性シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の繊維シートと、第2の繊維シートと、これらの繊維シートの間に配された吸水性ポリマーとを備えた吸収性シートであって、
JIS P8141に準じて両繊維シートのクレム吸水高さを測定したときに、第1の繊維シートのクレム吸水高さが、第2の繊維シートのクレム吸水高さよりも高い、吸収性シートを提供するものである。
【0008】
また本発明は、前記吸収性シートを備える吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液拡散性、液吸収性、及び通気性を高いレベルで兼ね備えた吸収性シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の吸収性シートの一実施形態を示す断面模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の吸収性シートの別の実施形態を示す断面模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の吸収性シートの別の実施形態を示す斜視模式図である。
【
図4】
図4は、吸収性シートの製造に用いられる製造装置の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の吸収性シートの一実施形態が示されている。同図に示す吸収性シート1は、第1の繊維シート11と、第2の繊維シート12と、両繊維シート11,12の間に配された吸水性ポリマー13の粒子とを備えている。同図に示す吸水性ポリマー13の粒子は、シート面方向に複数配されている。同図に示す第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12の外面はいずれも、他の部材が存在していないが、後述するように、吸収性物品の構成部材等の他の部材が各繊維シート11,12の外面に配されることは妨げられない。
【0012】
第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12は、これらのクレム吸水高さが異なるように構成されている。詳細には、後述する測定方法に基づいてクレム吸水高さを測定したときに、第1の繊維シート11のクレム吸水高さが、第2の繊維シート12のクレム吸水高さよりも高いものである。各繊維シートがこのような物性を有していることによって、第1の繊維シート11側では、該繊維シート11に液を保持しやすくして、シート面方向への液拡散性を向上させることができるとともに、拡散させた液を各吸水性ポリマー13に接触させて、各吸水性ポリマー13の利用効率を向上させることができる。その結果、液吸収性を高めることができる。これに加えて、第2の繊維シート12側では、第1の繊維シート11と比較して、第2の繊維シート12自体の液保持性が低くなっているので、通気性が向上したものとなる。
【0013】
上述の効果を顕著にする観点から、第1の繊維シート11のクレム吸水高さC1は、好ましくは20mm以上、より好ましくは25mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、60mm以下が現実的である。同様の観点から、第2の繊維シート12のクレム吸水高さC2は、C1>C2を条件として、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下であり、1mm以上が現実的である。また同様の観点から、吸収性シート1の第1の繊維シート11側における外面を、吸収性シート1と液とが最初に接する面である受液面として用いることも好ましい。このような構成となっていることによって、第2の繊維シート12側の外面を用いた場合と比較して、吸水性ポリマー13の利用効率を高めることができるので、液吸収性に優れるという利点がある。各繊維シート11,12のクレム吸水高さC1,C2は、例えば繊維シートの坪量や厚み、あるいは繊維シートを構成する繊維の材質を変更することによって適宜調整することができる。
【0014】
また同様の観点から、第1の繊維シート11のクレム吸水高さC1と、第2の繊維シート12のクレム吸水高さC2との差(C1-C2)は、C1>C2を条件として、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、更に好ましくは20mm以上であり、好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下、更に好ましくは40mm以下である。
【0015】
クレム吸水高さは、例えば、JIS P8141の試験方法に準じて、以下の方法で測定することができる。詳細には、測定対象の繊維シートを、該繊維シートの厚みを変えないよう注意して吸収性シート1から取り出す。測定対象の繊維シートが他の部材と接着剤によって接合している場合には、その接着剤をコールドスプレー等の冷却手段で固化させてから取り出す。また測定対象の繊維シートに吸水性ポリマー13が付着している場合、同様にコールドスプレー等を用いて接着剤を固化させてから吸水性ポリマー13を取り除く。測定対象の繊維シートを、幅30mm、長さ100mm以上の寸法にカットしてサンプルとする。
【0016】
吸収性シートの平面視形状が長方形状等の一方向に長い形状である場合には、吸収性シートの長手方向と、サンプルの長手方向とを一致させるように、測定対象の繊維シートをカットする。吸収性シートの平面視形状が正方形状である場合には、任意の一辺に沿う方向と、サンプルの長手方向とを一致させるようにカットして、サンプルとする。また吸収性シートの平面視形状が円形等の非多角形状である場合には、吸収性シート1の平面視での図心を中心とする仮想円と、該仮想円の中心を通り且つ該仮想円を30°おきに切断する仮想放射状線とを考えたときに、仮想放射状線の延びる方向と、サンプルの長手方向とが一致するように、測定対象の繊維シートを仮想放射状線で30°おきに切断して、サンプルとする。また、吸収性シート1が吸収性物品に組み込まれている場合には、測定対象の繊維シートを、上述の方法に従って吸収性物品及び吸収性シート1から取り出すとともに、吸収性物品の長手方向とサンプルの長手方向とが一致するように、上述の寸法にカットする。
【0017】
吸収性シートの平面視形状、あるいは、吸収性物品への組み込みの有無によらず、カットに際しては、押し切りカッターなど、サンプルを押しつぶす可能性のある切断方法は、結果に影響を及ぼす可能性が高く、好ましくない。そのため、カットに際しては、ナイフ、カッター、剃刀等を用いてサンプルの切断面が潰れないようにカットする。カットした各サンプルを用いて、JIS P8141に準じて、5分後のクレム吸水高さ(mm)を測定する。以上の測定を各サンプルに対して10回行い、それらの算術平均値を当該サンプルのクレム吸水高さ(mm)とする。
【0018】
本発明に用いられる繊維シートは、繊維の集合体であり、1.7kPaの圧力付与下にて測定された厚みが5mm以下のものである。繊維シートの厚みは、例えばレーザー式変位計を用いて測定することができる。各繊維シート11,12の構成繊維としては、例えば木材パルプ、コットン及び麻等の天然パルプ、マーセル化パルプ及び化学架橋パルプ等の改質パルプ、ポリエチレン及びポリプロピレン等の樹脂を含んで構成される合成繊維、又はこれらの繊維に親水化処理又は疎水化処理を施した繊維等の各種繊維が挙げられる。各繊維シート11,12の形態としては、紙、織布、又は不織布である。各繊維シート11,12は、単層であっても多層であってもよい。また各繊維シート11,12は、1つの繊維集合体(単層及び多層を問わない)のみから構成されていてもよく、あるいは第1の繊維集合体と、該集合体とは別の繊維集合体又は繊維集合体以外の他のシート材料とを重ね合わせたマルチプライの積層構造を有していてもよい。液吸収性と通気性との高いレベルでの両立を図る観点から、各繊維シート11,12は、いずれも単層のシートであることが好ましい。
【0019】
吸水性ポリマー13は、一般に、水の吸収及び保持が可能なヒドロゲル材料を用いることができ、例えばアクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられ、具体的には、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩が挙げられる。吸水性ポリマー13の形状は特に制限されず、例えば、球状、房状、塊状、俵状、繊維状、不定形状及びこれらの組み合わせの粒子であり得る。吸収性シート1の製造時における吸水性ポリマー13の散布の均一性を高めて、液吸収性能を高める観点から、吸水性ポリマー13は同一の形状の粒子を用いることが好ましく、球状の粒子であることも好ましい。
【0020】
以上の構成を有する吸収性シート1は、第1の繊維シート11のクレム吸水高さが、第2の繊維シート12のクレム吸水高さと異なるものとなっており、第1の繊維シート11のクレム吸水高さが高いので、第1の繊維シート11には、該繊維シート11に液を保持しやすくして、シート面方向への液拡散性を向上させることができる。その結果、第1の繊維シート11に保持された液を吸水性ポリマー13の各粒子に吸収させることができるので、吸水性ポリマー13の利用効率を向上させて、液吸収性を高めることができる。これに加えて、第2の繊維シート12側では、第1の繊維シート11と比較してクレム吸水高さが低く、第2の繊維シート12自体の液保持性が低くなっているので、吸収した液の蒸発によって生じた蒸気を第2の繊維シート12を介して外部に逃しやすくすることができ、良好な通気性を有する。この点は、後述するように、吸収性シート1を備えた吸収性物品としたときに、該吸収性物品の着用時の蒸れを低減して、着用者の使用感を向上させる点で有利である。
【0021】
上述した効果を顕著なものとする観点から、第2の繊維シート12の通気抵抗R2が第1の繊維シート11の通気抵抗R1よりも低いことが好ましい。詳細には、第1の繊維シート11の通気抵抗R1は、好ましくは0.1kPa・s/m以上、より好ましくは0.2kPa・s/m以上、更に好ましくは0.3kPa・s/m以上であり、好ましくは0.8kPa・s/m以下、より好ましくは0.6kPa・s/m以下、更に好ましくは0.4kPa・s/m以下である。また第2の繊維シート12の通気抵抗R2は、第1の繊維シート11の通気抵抗R1よりも低いことを条件として、好ましくは0.005kPa・s/m以上、より好ましくは0.01kPa・s/m以上、更に好ましくは0.02kPa・s/m以上であり、好ましくは0.3kPa・s/m以下、より好ましくは0.2kPa・s/m以下、更に好ましくは0.1kPa・s/m以下である。上述した通気抵抗は、低ければ低いほど通気性が高いものであり、例えばKES-F8通気性試験機(カトーテック株式会社製、AUTOMATIC AIR-PERMEABILITY TESTER KES-F8-AP1)により測定できる。
【0022】
また同様の観点から、第1の繊維シート11の通気抵抗R1と、第2の繊維シート12の通気抵抗R2との差(R1-R2)は、R1>R2を条件として、好ましくは0.07kPa・s/m以上、より好ましくは0.15kPa・s/m以上、更に好ましくは0.2kPa・s/m以上であり、好ましくは0.7kPa・s/m以下、より好ましくは0.5kPa・s/m以下、更に好ましくは0.4kPa・s/m以下である。
【0023】
シート面方向へ液を拡散させやすくして、吸水性ポリマー13の利用効率を更に高め、高い液吸収性を実現する観点から、第1の繊維シート11は紙であることが好ましい。紙とは、JIS P0001の規定に準じて、パルプ等の植物繊維その他の繊維を膠着させて、好ましくは湿式で製造したものを指す。
【0024】
第1の繊維シート11が紙である場合、クレープ(襞)が設けられていることが好ましく、また、第1の繊維シート11のクレープ率F1は好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上であり、30%以下が現実的である。また、このようなクレープ率とすることによって、繊維シートの毛管力を高くすることができるので、上述したクレム吸水高さを有する繊維シートを容易に得ることができる。このような繊維シートは、例えば繊維シートに対して、公知のクレープ処理を上述のクレープ率となるように施せばよい。
【0025】
クレープ率は、例えば以下の方法に基づいて、水中伸度法で測定することができる。測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。測定対象の繊維シートを、皺が延在している方向に25mm、及びそれに直交する方向に100mmのサイズで切断して測定試料を作製し、該測定試料を水中に1分間浸漬した後引き上げ、前記直交する方向への寸法の変化量から次式でクレープ率を算出する。測定は3回行い、その算術平均値をクレープ率(%)とする。前記直交方向において100mmのサイズを確保できない場合は、前記直交方向において最低30mm以上のサイズで切断して、クレープ率を求めることができる。
クレープ率(%)=((水に浸漬した後の寸法(mm))/(水に浸漬する前の寸法(mm))-1)×100
【0026】
第1の繊維シート11が紙である場合、その構成繊維の繊維間距離が好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下であり、5μm以上が現実的である。繊維間距離がこのような範囲となっていることによって、第1の繊維シート11の見かけ密度を高めやすくすることができるので、上述したクレム吸水高さを有する繊維シートを容易に得ることができる。
【0027】
繊維シートの繊維間距離は、例えば、以下に示すWrotnowskiの仮定に基づく式(1)により求めることができる。下記式(1)は一般に、繊維集合体の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrotnowskiの仮定の下では、繊維は円柱状であり、それぞれの繊維は交わることなく規則正しく並んでいる。測定対象の繊維シートが単層構造である場合、その繊維シートの繊維間距離は、繊維シートの厚みt及び坪量W、並びに繊維の密度ρ及び繊維径Dに基づいて下記式(1)で求められる。
【0028】
測定対象の繊維シートが多層構造である場合、その多層構造のシートの繊維間距離は以下の手順に従って求められる。
まず、下記式(1)により、多層構造を構成する各繊維層の繊維間距離を算出する。その際、下記式(1)で用いる厚みt、坪量W、繊維の密度ρ及び繊維径Dは、それぞれ、測定対象の層についてのものを用いる。厚みt、坪量W及び繊維径Dは、それぞれ、複数の測定点における測定値の算術平均値である。
厚みt(mm)は以下の方法にて測定する。まず、測定対象のシートを長手方向50mm×幅方向50mmに切断し該シートの切断片を作製する。ただし、小さな吸収性物品からシートを採取する場合など、測定対象のシートとしてこの大きさの切断片を作製できない場合は、可能な限り大きな切断片を作製する。次に、この切断片を平板上に載せ、その上に平板状のガラス板を載せ、ガラス板を含めた荷重が49Paになるようにガラス板上に重りを均等に載せた上で、該切断片の厚みを測定する。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65±5%、測定機器にはマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX-1000)を用いる。切断片の厚みの測定は、まず、該切断片の切断面の拡大写真を得る。この拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写しこむ。次に、前記切断片の切断面の拡大写真にスケールを合わせ、該切断片の厚み、すなわち測定対象のシートの厚みを測定する。以上の操作を3回行い、3回の算術平均値を、測定対象のシートの厚みtとする。なお、測定対象のシートが積層品の場合は、繊維径及び/又は繊維密度の違いからその境界を判別し、厚みを算出する。
【0029】
坪量W(g/m2)は、測定対象のシートを所定の大きさ(例えば12cm×6cmなど)にカットし、質量測定後に、その質量測定値を、該所定の大きさから求まる面積で除することで求められる(「坪量W(g/m2)=質量÷所定の大きさから求められる面積」)。4回測定し、その算術平均値を坪量とする。
繊維の密度ρ(g/cm3)は、密度勾配管を使用して、JIS L1015における密度勾配管法の測定方法に準じて測定する。
繊維径D(μm)は、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、繊維の伸びる方向に直交する方向にカットした繊維の繊維断面を10本測定し、その算術平均値を繊維径とする。
次に、各層の繊維間距離に、多層構造全体の厚みに占める該層の厚みの割合を乗じ、さらに、そうして得られた各層の数値を合計することで、目的とする多層構造のシートの構成繊維の繊維間距離が求められる。
【0030】
【0031】
第1の繊維シート11が紙である場合、その紙の繊維が一方向への配向性向を有していることも好ましい。このような構成となっていることによって、一枚の繊維シートでクレム吸水高さが高い方向と低い方向とをそれぞれ形成することができるので、配向性向を有する方向に液拡散性を高め、吸水性ポリマーの利用効率を高めることができるとともに、配向性向を有する方向と直交する方向には液の意図しない拡散を防ぐことができる。特に、後述するように、一方向への配向性向を有する吸収性シート1を、配向性向を有する方向と吸収性物品の長手方向とが互いに一致するように組み込んだ場合に、吸収性物品の長手方向への液拡散性を高めて吸水性ポリマーの利用効率を高めることができるとともに、吸収性物品の幅方向への意図しない拡散を抑制することで幅方向からの液モレを防ぐことができる。配向性向とは、後述する測定方法に従って測定される値であり、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上となっているものである。
【0032】
繊維シートを構成する繊維の配向性向は、引張圧縮試験機(株式会社島津製作所製、AG-IS)を用いて測定する。繊維シートの一方向及びこれに直交する方向に沿って、長さ150mm×幅50mmの寸法で試験片を切り出す。繊維シートが正方形又は長方形の形状である場合には、試験片は、任意の一辺に沿う方向を長手方向とし、該方向に直交する方向を幅方向として、上述の寸法となるように切り出せばよい。この試験片について、チャック間距離を100mmとし、該試験片の長手方向に伸長させるように引張速度300mm/minで引っ張り、破断時の最大荷重(N)を記録する。この実験を5つの試験片を用意して行い、それぞれの最大荷重を測定し、それらの算術平均値を長手方向引張強度(N)とする。同様に、前記寸法を有する5つの試験片について、その幅方向に伸張させるように引っ張り、それぞれの破断時の最大荷重(N)を測定し、それらの算術平均値を幅方向引張強度(N)とする。
【0033】
前記方法によって得られた長手方向引張強度及び幅方向引張強度に基づいて、以下の式(2)から配向性向を算出する。下記式(2)から算出された配向性向が50%以上である場合には、「試験片の長手方向に沿う方向に配向性向を有する」とし、下記式(2)から算出された配向性向が50%未満である場合には、「試験片の幅方向に沿う配向性向を有する」とする。試験片の長手方向及び幅方向は、切り出した繊維シートにおける一方向及びこれに直交する方向にそれぞれ対応している。
配向性向(%)=100×([長手方向引張強度(N)]/([長手方向引張強度(N)]+[幅方向引張強度(N)]))・・・式(2)
【0034】
第2の繊維シート12について説明すると、該繊維シート12は、上述した方法によって測定されたクレープ率F2が1%未満であることが好ましい。第2の繊維シート12をこのようなクレープ率とすることによって、第2の繊維シート12内に液を保持させにくくして、通気性が更に高いシートとすることができ、また、第1の繊維シート11と比較して低いクレム吸水高さを有する繊維シートを容易に得ることができる。
【0035】
第1の繊維シート11における毛管力の発現と、第2の繊維シート12における通気性とを両立させる観点から、第1の繊維シート11のクレープ率F1と、第2の繊維シートのクレープ率F2との差(F1-F2)は、F1>F2を条件として、好ましくは4%以上、より好ましくは9%以上、更に好ましくは14%以上であり、30%以下が現実的である。
【0036】
また、第2の繊維シート12は、親水性繊維の繊維集合体から構成された親水性不織布であることが好ましい。親水性繊維から構成された繊維シートを用いることによって、吸収された液が、第2の繊維シート12の外面に到達しやすくなるので、液を外気に触れやすくして、液の蒸発を効率よく促進させることができる。また不織布を繊維シートとして用いることによって、該繊維シートの液保持性を低減して、通気性を一層向上させることができる。
【0037】
吸収性シート1において、クレム吸水高さが高い方向と低い方向とをそれぞれ形成して、液拡散性を高めて吸水性ポリマーの利用効率を更に高める方向と、液の意図しない拡散を更に抑制する方向とを有する吸収性シートを容易に形成する観点から、第1の繊維シート11を構成する繊維の配向性向と、第2の繊維シート12を構成する繊維の配向性向とは、互いに一致していることが好ましい。詳細には、各繊維シート11,12をそれぞれ同一の方向に切り出した各試験片について、上述した方法で配向性向を算出したときに、各繊維シート11,12の配向性向が、同一の方向について、ともに好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0038】
図2及び
図3には、吸収性シート1の別の実施形態が示されている。以下の説明では、上述した実施形態と異なる部分のみを説明し、その他の部分に関しては上述の説明が適宜適用される。また、上述の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付してある。
【0039】
図2及び
図3に示す吸収性シート1は、第1の繊維シート11と、第2の繊維シート12と、両繊維シート11,12の間に配された吸水性ポリマー13の複数の粒子とを備える。これに加えて、第1の繊維シート11と、第2の繊維シート12とが、接着剤15によって互いに接合されていることが好ましい。このような構成になっていることによって、両繊維シート11,12間の接着強度が高く、吸収性シート1の強度を高めることができる。
図2に示す接着剤15は、各繊維シート11,12における吸水性ポリマー13に対向する面にそれぞれ配されている。同図に示す第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12の外面はいずれも、接着剤15や他の部材が存在していない。
【0040】
特に、両繊維シート11,12が接着剤15によって互いに接合されている場合、第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12は、吸水性ポリマー13を介さずに、接着剤15によって直接接合されている部位17(以下、これを単に「直接接合部位17」ともいう。)と、両繊維シート11,12が吸水性ポリマー13を介して接着剤15によって接合された部位18(以下、これを「間接接合部位18」ともいう。)とを有することが好ましい。このような構成となっていることによって、吸水性ポリマー13を吸収性シート1の所定の位置に保持させて、吸水性ポリマー13の意図しない移動や偏在をより低減できるとともに、吸収性シート1の液吸収性をより高めることができる。
【0041】
図2及び
図3に示す直接接合部位17は、吸水性ポリマー13が配されている領域における吸水性ポリマー13の粒子どうしの隙間にそれぞれ形成されている。直接接合部位17は、これをシート厚み方向に断面視したときに、接着剤15が柱状となって両繊維シート11,12どうしを直接接合している。また
図3に示すように、直接接合部位17は、吸収性シート1をシート平面方向に視たときに、規則的な又は不規則的な散点状となって複数形成されている。
【0042】
また
図2に示すように、間接接合部位18は、吸収性シート1を断面視したときに、第1の繊維シート11における接着剤15の塗布部位、吸水性ポリマー13の存在部位、及び第2の繊維シート12における接着剤15の塗布部位がそれぞれ厚み方向で重なっている部位である。
【0043】
接着剤15としては、吸水性ポリマー13の液吸収に伴う膨潤変化に追随して伸長し得る柔軟性を有するものを用いることが好ましい。このような原料としては、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、シアノアクリレート、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル等をはじめとするビニルモノマーの(共)重合体(エチレン酢酸ビニル共重合体など)等を一種以上含有するアクリル系接着剤、ポリジメチルシロキサンポリマー重合体等を含有するシリコーン系接着剤、並びに、天然ゴム等を含む天然ゴム系接着剤、ポリイソプレン、クロロプレン等を一種以上含有するイソプレン系接着剤、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)を一種以上含有するスチレン系接着剤等といった、ゴム系接着剤等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
図2に示すように、接着剤15が、各繊維シート11,12における吸水性ポリマー13に対向する面にそれぞれ配されている場合、第1の繊維シート11に配されている接着剤と、第2の繊維シート12に配されている接着剤とは、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0044】
これらのうち、柔軟性及び伸縮性に優れ、吸水性ポリマーの膨潤後においても繊維シート11,12間が直接接合された状態を維持しておくとともに、収縮力を発現させて、両繊維シート11,12間に吸水性ポリマー13を保持させやすくする観点から、接着剤15としてゴム系接着剤を用いることが好ましく、またゴム系接着剤のうちスチレン系接着剤を用いることが更に好ましい。
【0045】
接着剤の柔軟性と、シートへの接着性とを両立させる観点から、接着剤15は、ホットメルト接着剤であることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、例えば、上述した各種接着剤に、石油樹脂やポリテルペン樹脂等の粘着付与剤、パラフィン系オイル等の可塑剤、並びに、必要に応じてフェノール系、アミン系、リン系、ベンズイミダゾール系などの酸化防止剤を含むものとすることができる。
【0046】
また
図2に示すように、第1の繊維シート11の吸水性ポリマー13と対向する面と、第2の繊維シート12の吸水性ポリマー13と対向する面とのそれぞれに接着剤15が塗布されていることが好ましい。このような構成となっていることによって、各繊維シート11,12に塗布された接着剤どうしを結合させて、吸収性シート1に直接接合部位17を効率良く形成するとともに、吸水性ポリマー13の適切な位置での担持と、吸水性ポリマー13が膨潤可能な空間の確保とを両立させることができる。これに加えて、接着剤15が、各繊維シート11,12を構成する繊維間の空隙に存在しやすくすることができるので、各繊維シート11,12と接着剤15との界面での剥離が生じづらくなるという利点もある。
【0047】
図2及び
図3に示すように、第2の繊維シート12における接着剤15の塗布面積が、第1の繊維シート11における接着剤15の塗布面積よりも大きいことが好ましい。このような構成になっていることによって、接着剤15の塗布面積が第1の繊維シート11よりも大きい第2の繊維シート12上に吸水性ポリマー13を均一に保持して、吸水性ポリマー13の意図しない移動や脱落を抑制するとともに、接着剤15の塗布面積が第2の繊維シート12よりも小さい第1の繊維シート11側からの通液性を確保して、液吸収性をより一層高めることができる。両繊維シート11,12の塗布面積は、同一の形状及び面積を有する両繊維シート11,12を、シートの重ならない部分が生じないように積層して比較するものとする。接着剤15の塗布面積は、例えば各繊維シート11、12の接着剤15が付着している側の面に対して、インクトナー等を用いて接着剤15の存在部位を可視化し、その部位の面積を画像処理ソフト等を用いて、それぞれ算出することができる。識別が困難な場合、コールドスプレーなどを用いて両シートを剥がしてから測定しても良い。
【0048】
各繊維シート11,12における接着剤15が塗布された部位についてそれぞれ着目すると、第1の繊維シート11に塗布された接着剤15の第1坪量は、第2の繊維シート12に塗布された接着剤15の第2坪量よりも高いことが好ましい。このような構成となっていることによって、第1の繊維シート11に塗布された接着剤15を介して、第2の繊維シート12との直接接合部位17を形成しやすくするとともに、第2の繊維シート12に塗布された接着剤15を介して吸水性ポリマー13を適切な位置に保持させることができるので、液の吸収性能を更に向上させることができる。
【0049】
同様の観点から、第1坪量は、好ましくは400g/m2以下、より好ましくは250g/m2以下、更に好ましくは100g/m2以下であり、また、20g/m2以上が現実的である。また第2坪量は、好ましくは30g/m2以下、より好ましくは15g/m2以下、更に好ましくは10g/m2以下であり、また、2g/m2以上が現実的である。
【0050】
上述した第1坪量及び第2坪量は、各繊維シート11,12において接着剤15が塗布されている塗布部のみを対象として、それぞれ測定、算出されるものである。詳細には、吸収性シート1における各繊維シート11,12をそれぞれ分離したあと、接着剤15が付着した第1の繊維シート11の質量A1(g)を計測する。また、第1の繊維シート11の接着剤15が付着している側の面に対して、インクトナー等を用いて接着剤15の存在部位を可視化し、この状態で、画像処理ソフトを用いて、接着剤15の存在部位の総面積S(m2)を計測する。次いで、第1の繊維シート11を有機溶媒に浸漬させて、付着した接着剤15を溶解させたあとの繊維シートの質量A2(g)を計測する。第1坪量(g/m2)は、「(A1-A2)/S」として算出することができる。同様に、第2坪量(g/m2)は、第2の繊維シート12を対象として、上述した方法と同様に算出することができる。
【0051】
吸収性シートの厚みは、液吸収性向上の観点から、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.6mm以上である。また、吸収性シート又は該シートを含む吸収性物品を使用したときの使用者の使用感向上の観点から、吸収性シートの厚みは、好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下である。上述した吸収性シートの厚みは、1.7kPaの圧力付与下にて測定された吸収性シート全体の厚みである。
【0052】
上述した
図1並びに
図2及び
図3に示す実施形態の吸収性シート1は、これをこのままで用いてもよい。この場合、吸収性シート1は一枚で用いてもよく、これを積層等した状態で複数枚用いてもよい。吸収性シート1を複数枚用いる場合、
図1に示す実施形態の吸収性シート1のみ、又は
図2及び
図3に示す実施形態の吸収性シート1のみを用いてもよく、
図1に示す実施形態の吸収性シート1と、
図2及び
図3に示す実施形態の吸収性シート1とを組み合わせて用いてもよい。
【0053】
また、上述した
図1並びに
図2及び
図3に示す実施形態の吸収性シート1は、これを吸収性物品の構成部材として用いることができる。典型的には、吸収性物品は、着用者の前後方向に沿う長手方向と、該長手方向と直交する幅方向とを有しており、表面シートと、裏面シートとを備え、表面シートと裏面シートとの間に本発明の吸収性シートを配した状態で用いることができる。吸収性物品としては、例えば尿漏れパッド、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等が挙げられる。吸収性物品の液吸収性の向上を図る観点から、吸収性シート1を吸収性物品の構成部材として用いる場合、吸収性シート1は、これを積層した状態で複数枚用いてもよく、吸収性シート1に加えて、吸収体を更に積層して用いてもよい。吸収性シート1に吸収体を積層して用いる場合、吸収体は吸収性シート1の中央領域に少なくとも配置されることが好ましい。
【0054】
吸収性物品に用いられる表面シートは、吸収性物品を適正な位置で着用した場合において、吸収性物品を着用する着用者の肌に向けられる面(以下、これを「肌対向面」ともいう。)側を構成するシートであり、裏面シートは、吸収性物品を着用する着用者の肌とは反対側に向けられる面(以下、これを「非肌対向面」ともいう。)側を構成するシートである。吸収性物品に用いられる表面シート及び裏面シートは、吸収性物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シートとしては、例えば液透過性の各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができる。裏面シートとしては、液難透過性若しくは撥水性の樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
【0055】
吸収性物品に用いられる吸収体は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊体、吸水性ポリマーの堆積体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
【0056】
特に、吸収性シート1を吸収性物品の構成部材として用いる場合、吸収性シート1における第1の繊維シート11が受液面となるように配されることが好ましい。すなわち、第1の繊維シート11が肌対向面側に配されるように、吸収性シート1を配することが好ましい。また、第1の繊維シート11にクレープが施されている場合、クレープの延びる方向と、吸収性物品の長手方向とが互いに一致するように配されていることも好ましい。更に、第1の繊維シート11、又は両繊維シート11,12の構成繊維が一方向への配向性向を有する場合、配向性向を有する方向と、吸収性物品の長手方向とが互いに一致するように配されていることも好ましい。このように吸収性シートを配置することによって、表面シート側からの液の引き込み性と、吸収性シートでの液の保持性とを両立して高め、液吸収性の高い吸収性物品となる。また、表面シートに付着及び透過した液を吸収性シート側に引き込みやすくして、表面シートのドライ感を向上させることができるので、吸収性物品の着用者の使用感が向上するという利点もある。更に、吸収された液に由来する蒸気を第2の繊維シート12側から蒸発させやすくして、吸収性物品の着用時の蒸れを低減することができるので、吸収性物品の着用者の使用感が向上するという利点もある。第2の繊維シート12側からの蒸気の蒸発は、吸収性物品の裏面シートとして透湿性のものを用いた場合に特に効果的である。
【0057】
以上は本発明の吸収性シート及び該シートを備える吸収性物品に関する説明であったところ、以下に本発明の吸収性シートの好適な製造方法を説明する。
図4には、本製造方法に好適に用いられる製造装置100の一実施形態が示されている。本製造方法は、両繊維シート11,12が接着剤15によって互いに接合されている吸収性シート1を製造する場合に好適である。
【0058】
図4に示す製造装置100は、第1原反ロール110と、第2原反ロール120とを備えている。第1原反ロール110は、長尺帯状の第1の繊維シート11を搬送方向Rに沿って繰り出して、後述する第1接着剤塗布部130に供給できるようになっている。第2原反ロール120は、長尺帯状の第2の繊維シート12を搬送方向Rに沿って繰り出して、後述する第2接着剤塗布部140に供給できるようになっている。
【0059】
製造装置100は、第1接着剤塗布部130と、第2接着剤塗布部140とを備えている。第1接着剤塗布部130は、第1原反ロール110から供給された第1の繊維シート11の一方の面に、接着剤15を連続的に又は間欠的に塗布できるようになっている。同図に示す第1接着剤塗布部130は、接着剤15を間欠的に塗布する形態となっている。第2接着剤塗布部140は、第2原反ロール120から供給された第2の繊維シート12の一方の面に、接着剤15を連続的に又は間欠的に塗布できるようになっている。同図に示す第2接着剤塗布部140は、接着剤15を連続的に塗布する形態となっている。
図4では、第1の繊維シート11に塗布される接着剤15と、第2の繊維シート12に塗布される接着剤15とは、ともに同じ種類の接着剤を塗布している状態が示されているが、異種の接着剤を用いてもよい。
【0060】
製造装置100は、ポリマー散布部150を備えている。ポリマー散布部150は、第2の繊維シート12の上方に位置し、第2の繊維シート12の接着剤15が塗布された面上に吸水性ポリマー13を散布できるようになっている。
【0061】
製造装置100は、プレスロール160を更に備えていることが好ましい。プレスロール160は、吸水性ポリマー13を含む第2の繊維シート12上に、ガイドロール161を介して第1の繊維シート11を重ね合わせた積層体を押圧するものである。これによって、直接接合部位17が多く形成した長尺帯状の吸収性シート1を形成することができる。
【0062】
製造装置100は、プレスロール160の下流に、シート切断部を備えていてもよい(図示せず)。シート切断部は、長尺帯状の吸収性シート1を所定の位置で切断して、所定の寸法を有する吸収性シート1を形成するものである。シート切断部としては、例えば搬送方向Rに直交する方向に沿って延びるカッター刃を有するカッターロール等を用いることができる。
【0063】
上述の構成を有する製造装置100を用いた吸収性シートの製造方法は以下のとおりである。まず、両繊維シート11,12のうち少なくとも一方の繊維シートに、好ましくは第1の繊維シート11の一方の面と、第2の繊維シート12の一方の面とのそれぞれに、接着剤15を塗布する。
図4に示す形態では、第1の繊維シート11の一方の面に、第1接着剤塗布部130から供給された接着剤15を塗布する。また、第2の繊維シート12の一方の面に、第2接着剤塗布部140から供給された接着剤15を塗布する。接着剤15の塗布は、一方の繊維シートに行った後、他方の繊維シートに順次行ってもよく、各繊維シート11,12に同時に行ってもよい。両繊維シート11,12のうち一方の繊維シートにのみ接着剤15を塗布する場合には、第1接着剤塗布部130又は第2接着剤塗布部140のいずれかから接着剤15を供給して塗布すればよい。
【0064】
各繊維シート11,12に塗布された接着剤どうしを結合させて、吸収性シート1に直接接合部位17を効率良く形成する観点から、第1接着剤塗布部130における塗布方法は、接着剤15の塗布部における接着剤15の坪量を多くするように調整可能な方法であることが好ましく、詳細には、スパイラル塗布、サミット塗布、オメガ塗布などといった接着剤15の非塗布部が形成されるパターン塗布方法を採用することが好ましい。同様の観点から、第2接着剤塗布部140における塗布方法は、接着剤15を低い坪量で且つ連続的に塗布可能な方法であることが好ましく、詳細には、スプレー塗布又はコーター塗布を採用することが好ましく、コーター塗布を採用することが特に好ましい。各繊維シート11,12に塗布される坪量は、上述した範囲となるようにそれぞれ調整すればよい。
【0065】
次いで、第2の繊維シート12における接着剤15の塗布面に、ポリマー散布部150から吸水性ポリマー13を散布する。吸水性ポリマー13は、第2の繊維シート12における接着剤15に接着して担持される。吸水性ポリマー13は、第2の繊維シート12のシート面方向に均一に散布されることが好ましい。吸水性ポリマー13の散布においては、目的とする吸収性シート1に応じて、第2の繊維シート12のシート面方向における吸水性ポリマー13の散布量を変化させてもよい。
【0066】
続いて、各繊維シート11,12における接着剤の塗布面どうしが対向するように、各繊維シート11,12を重ね合わせる。各繊維シート11,12を重ね合わせることによって得られた積層体は、両繊維シート11,12の間に吸水性ポリマー13が配されたものとなる。この積層体は、必要に応じて、プレスロール160に導入せずに、シート切断部に直接供給して、本発明の吸収性シートとしてもよい。あるいは、両繊維シート11,12を予め重ね合わせずに、両繊維シート11,12をプレスロール160に直接導入して、押圧しながら重ね合わせてもよい。
【0067】
続いて、重ね合わせた各繊維シート11,12をプレスロール160間に導入して、押圧する。これによって、各繊維シート11,12に塗布された接着剤15を直接結合させやすくすることができるので、直接接合部位17を容易に形成させることができる。これに加えて、吸水性ポリマー13と接着剤15との接着性を高めることができる。その結果、液吸収性と吸水性ポリマーの保持性とを両立して高めることができる。
【0068】
製造物の意図しない破壊を抑制しつつ、直接接合部位17を効率よく形成する観点から、表面が柔らかいプレスロール160を用いて、各繊維シート11,12を比較的高い圧力で押圧することが好ましい。このような条件で各繊維シート11,12を押圧することによって、吸水性ポリマー13によって生じた各繊維シート11,12の凹凸にプレスロールの周面を追従させることができるので、各繊維シート11,12に塗布された接着剤15を直接結合させやすくするように効率よく加圧することができる。このようなプレスロール160の材質としては、例えば硬質ゴム、シリコンゴム、シリコンスポンジ等を用いることができる。
【0069】
最後に、シート切断部によって、長尺帯状の吸収性シート1を所定の寸法に切断して、本発明の吸収性シートとする。
【0070】
吸収性シート1を、接着剤15を用いない態様で製造する場合には、例えば特開平8-246395号公報の
図3に記載の方法で製造することができる。具体的には、一方の繊維シートを湿式抄紙等によって抄造し、湿潤状態の繊維シートに対して吸水性ポリマー13を散布して、吸水に起因した吸水性ポリマー13の粘着性を発現させて、繊維シートに固定する。その後、吸水性ポリマー13を散布した面に、他方の繊維シートを重ね合わせて積層体とし、この積層体をヤンキードライヤ等の公知の乾燥手段で乾燥することによって、製造することができる。
【0071】
吸収性シート1を接着剤15を用いない態様で製造する場合の別の形態としては、一方の繊維シートに吸水性ポリマー13を散布し、その後、水を更に散布し、吸水性ポリマー13の粘着性を発現させて、繊維シートに固定する。その後、吸水性ポリマー13を散布した面に、他方の繊維シートを重ね合わせて積層体とし、この積層体を上述した乾燥手段で乾燥することによって、製造することもできる。
【0072】
以上の工程を経て、本発明の吸収性シートが製造される。この吸収性シートは、液拡散性、液吸収性、及び通気性を高いレベルで兼ね備えるものである。本発明の好適な態様によれば、吸水性ポリマーが所定の位置に固定されながらも十分に膨潤することができるので、高い液吸収性能を効果的に発揮できる。
【0073】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
【0074】
上述した本発明の実施形態に関し、更に以下の吸収性シート及び吸収性物品を開示する。
【0075】
<1>
第1の繊維シートと、第2の繊維シートと、これらの繊維シートの間に配された吸水性ポリマーとを備えた吸収性シートであって、
JIS P8141に準じて各繊維シートのクレム吸水高さを測定したときに、第1の繊維シートのクレム吸水高さが、第2の繊維シートのクレム吸水高さよりも高い、吸収性シート。
【0076】
<2>
第1の繊維シートのクレム吸水高さが20mm以上であり、第2の繊維シートのクレム吸水高さが30mm以下である、前記<1>に記載の吸収性シート。
<3>
第1の繊維シートのクレム吸水高さは、好ましくは20mm以上、より好ましくは25mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、60mm以下が現実的である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性シート。
<4>
第2の繊維シートのクレム吸水高さは、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下であり、1mm以上が現実的である、前記<1>~<3>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<5>
第1の繊維シート11のクレム吸水高さC1と、第2の繊維シート12のクレム吸水高さC2との差(C1-C2)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、更に好ましくは20mm以上であり、好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下、更に好ましくは40mm以下である、前記<1>~<4>のいずれか一に記載の吸収性シート。
【0077】
<6>
KES-F8通気性試験機を用いて各繊維シートの通気抵抗を測定したときに、第2の繊維シートの通気抵抗が、第1の繊維シートの通気抵抗よりも低い、前記<1>~<5>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<7>
第1の繊維シート11の通気抵抗R1と、第2の繊維シート12の通気抵抗R2との差(R1-R2)は、好ましくは0.07kPa・s/m以上、より好ましくは0.15kPa・s/m以上、更に好ましくは0.2kPa・s/m以上であり、好ましくは0.7kPa・s/m以下、より好ましくは0.5kPa・s/m以下、更に好ましくは0.4kPa・s/m以下である、前記<6>に記載の吸収性シート。
<8>
第1の繊維シートの通気抵抗は、好ましくは0.1kPa・s/m以上、より好ましくは0.2kPa・s/m以上、更に好ましくは0.3kPa・s/m以上である、前記<1>~<7>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<9>
第1の繊維シートの通気抵抗は、好ましくは0.8kPa・s/m以下、より好ましくは0.6kPa・s/m以下、更に好ましくは0.4kPa・s/m以下である、前記<1>~<8>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<10>
第2の繊維シートの通気抵抗は、好ましくは0.005kPa・s/m以上、より好ましくは0.01kPa・s/m以上、更に好ましくは0.02kPa・s/m以上である、前記<1>~<9>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<11>
第2の繊維シートの通気抵抗は、好ましくは0.3kPa・s/m以下、より好ましくは0.2kPa・s/m以下、更に好ましくは0.1kPa・s/m以下である、前記<1>~<10>のいずれか一に記載の吸収性シート。
【0078】
<12>
第1の繊維シートは、クレープ率が5%以上の紙であり、
第2の繊維シートは、クレープ率が1%未満である、前記<1>~<11>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<13>
第1の繊維シートはクレープ(襞)が設けられていることが好ましく、そのクレープ率は好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上であり、30%以下が現実的である、前記<12>に記載の吸収性シート。
<14>
第1の繊維シート11のクレープ率F1と、第2の繊維シートのクレープ率F2との差(F1-F2)は、好ましくは4%以上、より好ましくは9%以上、更に好ましくは14%以上であり、30%以下が現実的である、前記<12>又は<13>に記載の吸収性シート。
【0079】
<15>
前記紙の繊維間距離が30μm以下である、前記<12>~<14>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<16>
第1の繊維シートの構成繊維の繊維間距離が好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下であり、5μm以上が現実的である、前記<12>~<15>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<17>
前記紙の繊維が一方向への配向性向を有している、前記<12>~<16>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<18>
第1の繊維シートを構成する繊維の配向性向と、第2の繊維シートを構成する繊維の配向性向とが互いに一致している、前記<1>~<17>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<19>
第2の繊維シートは親水性不織布である、前記<1>~<18>のいずれか一に記載の吸収性シート。
【0080】
<20>
第1の繊維シートと、第2の繊維シートとが接着剤によって接合されており、
両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介さずに前記接着剤によって直接接合された部位と、両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介して前記接着剤によって接合された部位とを有する、前記<1>~<19>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<21>
両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介さずに前記接着剤によって直接接合された部位は、前記吸水性ポリマーが配されている領域における該吸水性ポリマーの粒子どうしの隙間に形成されている、前記<20>に記載の吸収性シート。
<22>
両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介さずに前記接着剤によって直接接合された部位は、シート厚み方向断面視において、該接着剤が柱状となって両繊維シートどうしを直接接合している、前記<20>又は<21>に記載の吸収性シート。
<23>
両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介さずに前記接着剤によって直接接合された部位は、シート平面視において、規則的な又は不規則的な散点状となって複数形成されている、前記<20>~<22>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<24>
両繊維シートが前記吸水性ポリマーを介さずに前記接着剤によって直接接合された部位は、前記吸水性ポリマーの膨潤後においても両繊維シート間が直接接合された状態を維持している、前記<20>~<23>のいずれか一に記載の吸収性シート。
【0081】
<25>
第1の繊維シートの前記吸水性ポリマーと対向する面と、第2の繊維シートの前記吸水性ポリマー13と対向する面とのそれぞれに前記接着剤が塗布されている、前記<20>~<24>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<26>
第2の繊維シートにおける前記接着剤の塗布面積は、第1の繊維シートにおける前記接着剤の塗布面積よりも大きい、前記<20>~<25>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<27>
前記接着剤が塗布された部位において、第1の繊維シートにおける前記接着剤の坪量が、第2の繊維シートにおける前記接着剤の坪量よりも高い、前記<20>~<26>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<28>
第1の繊維シートにおける前記接着剤の坪量は、好ましくは400g/m2以下、より好ましくは250g/m2以下、更に好ましくは100g/m2以下であり、また、20g/m2以上が好ましい、前記<27>に記載の吸収性シート。
<29>
第2の繊維シートにおける前記接着剤の坪量は、好ましくは30g/m2以下、より好ましくは15g/m2以下、更に好ましくは10g/m2以下であり、また、2g/m2以上が好ましい、前記<27>又は<28>に記載の吸収性シート。
【0082】
<30>
1.7kPaの圧力付与下にて測定された厚みが、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.6mm以上であり、好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下である、前記<1>~<29>に記載の吸収性シート。
<31>
前記<1>~<30>のいずれか一に記載の吸収性シートを備える吸収性物品。
<32>
前記吸収性シートにおける第1の繊維シートが肌対向面側に配されている、前記<31>に記載の吸収性物品。
<33>
第1の繊維シート及び第2の繊維シートのうち少なくとも一方の繊維シートに接着剤を塗布し、
前記繊維シートにおける前記接着剤の塗布面に、吸水性ポリマーを散布し、
前記両繊維シートの間に前記吸水性ポリマーが配されるように、前記各繊維シートを重ね合わせ、
重ね合わせた前記各繊維シートを押圧し、然る後に、
押圧された前記各繊維シートを切断する、吸収性シートの製造方法。
【符号の説明】
【0083】
1 吸収性シート
11 第1の繊維シート
12 第2の繊維シート
13 吸水性ポリマー