(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】可変密度マッピングカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 5/287 20210101AFI20240704BHJP
【FI】
A61B5/287 200
(21)【出願番号】P 2020548763
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 US2019020749
(87)【国際公開番号】W WO2019177809
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-04
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ケー. オルソン
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-502912(JP,A)
【文献】特表2001-505450(JP,A)
【文献】特開2017-056199(JP,A)
【文献】特表2014-512226(JP,A)
【文献】米国特許第05722401(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/287
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面アレイカテーテルであって、
近位端及び遠位端を有しており、長手方向軸を画定する細長いカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位端に連結されている可撓性の平面アレイであって、組織に適合するように構成されており、前記長手方向軸と実質的に平行に延在するとともに共通の平面内に位置する2つ以上の支柱を有しており、前記支柱の各々がその上に取り付けられた複数の電極を有している、平面アレイと、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結されているカテーテルハンドルと、
前記カテーテルシャフト内の管腔及び前記平面アレイの前記支柱のうちの1つを通って延在しているプルワイヤと、を備えており、
前記平面アレイはさらに、前記支柱間の調整可能な相対間隔によって構成されており、これにより、前記複数の電極の面積密度が可変であり、
前記プルワイヤは、前記カテーテルハンドル及び前記平面アレイの遠位端に連結されており、
前記プルワイヤは、前記カテーテルハンドルでの臨床医による前記プルワイヤの作動に応答し、前記支柱のうちの1つ以上を偏向させ、それによって、隣接する前記支柱をまたがる前記電極の相対間隔を調整するように構成されており、
前記平面アレイはさらに、
前記複数の電極が、前記支柱の各々の長さに沿って第1の間隔で等間隔に配置されており、1つの前記支柱上の前記複数の電極の各々が、隣接する前記支柱上の対応する前記電極と第2の間隔で等間隔に配置される第1の構成と、
隣接する前記支柱をまたがる対応する前記電極の間隔が、前記支柱の各々の長さに沿った前記電極の間隔よりも長く、既知の距離である第2の構成と、で動作するように構成されている、平面アレイカテーテル。
【請求項2】
前記第1の構成において、前記第2の間隔が、前記第1の間隔と等しい、
請求項1に記載の平面アレイカテーテル。
【請求項3】
前記複数の電極のうちの1つ以上がスポット電極であり、前記支柱のうちの1つ以上が前記複数の電極に通信可能及び機械的に結合されている可撓性電子回路基板を有している、請求項1または2に記載の平面アレイカテーテル。
【請求項4】
前記複数の電極の隣接する電極間の中心間距離は、0.1~4ミリメートルであり、前記複数の電極は、接触した組織の電気的特性を少なくとも2つの実質的な横方向に沿ってサンプリングするように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の平面アレイカテーテル。
【請求項5】
前記複数の電極は、前記平面アレイカテーテルと接触する前記組織の電気的特性を収集するように構成されており、前記組織の収集された電気特性は、前記組織に対する前記平面アレイカテーテルの向きとは無関係である、請求項4に記載の平面アレイカテーテル。
【請求項6】
前記複数の電極は、前記接触した組織の電気的特性をサンプリングするように構成されており、前記サンプリングされた電気的特性は、前記組織に対する前記平面アレイカテーテルの向きとは無関係に、前記接触した組織の電気的特性を集合的に示す、請求項4に記載の平面アレイカテーテル。
【請求項7】
前記平面アレイが、前記平面アレイの隣接する前記支柱上の電極を含む双極電極対を有している、請求項4~6のいずれか一項に記載の平面アレイカテーテル。
【請求項8】
前記平面アレイが、前記平面アレイの隣接する前記支柱をまたがって斜めに延在する双極電極対を有している、請求項1~7のいずれか一項に記載の平面アレイカテーテル。
【請求項9】
前記双極電極対は、前記接触した組織の電気的特性をサンプリングするように構成されており、前記サンプリングされた電気的特性は、前記組織に対する前記平面アレイカテーテルの向きとは無関係に、前記接触した組織の電気的特性を集合的に示す、請求項7に記載の平面アレイカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月13日に出願された米国仮出願第62/642,413号の優先権を主張し、これは、本明細書に完全に開示されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、例えば、心臓不整脈を診断するための高密度マッピングカテーテルに関する。本開示は特に、高密度アレイに配置された複数の電極を含む可撓性平面カテーテル又はバスケットカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
長年、カテーテルは心臓の医療処置に使用されてきた。カテーテルは、より侵襲的な処置なしではアクセス不可能である身体内の特定の位置に配置されている間、例えば、心臓不整脈を診断及び治療するために使用することができる。
【0004】
従来のマッピングカテーテルは、例えば、カテーテルの長手方向軸を取り囲み、白金又は他の何らかの金属から構築された複数の隣接するリング電極を含むことができる。これらのリング電極は比較的剛性である。同様に、従来のアブレーションカテーテルは、治療を送達する(例えば、RFアブレーションエネルギーを送達する)ための比較的剛性の先端電極を含んでもよく、また、複数の隣接するリング電極を含んでもよい。これらの従来のカテーテル及びそれらの比較的剛性の(または非適合性の)金属電極を使用する場合、特に鋭い勾配および起伏が存在する場合、心臓組織との良好な電気的接触を維持することは困難であり得る。
【0005】
心筋をマッピングする場合、心臓の鼓動は、特に不安定または不規則である場合、電極と組織との間の十分な接触を十分な長さの時間維持することを困難にする。これらの問題は、輪郭のある、不規則な、または小柱のある表面で悪化する。電極と組織との間の接触を十分に維持することができない場合、質の高い病変または正確なマッピングは結果として生じにくい。
【0006】
電気生理学的マッピングの間、臨床医は、不整脈のような心臓状態を完全に診断するため、及び/又は、治療レジメンの有効性を検証するために、2つのマッピングカテーテルを必要とすることがある。臨床医は、心腔(例えば、左心房)の一般的な電気生理学的マッピングを行うために、全体的マッピングカテーテルを使用することができる。関心領域(例えば、肺静脈)について、臨床医は、関心領域のより細かい電気生理学的マッピングを行うために、局所マッピングカテーテルをさらに使用してもよい。
【0007】
前述の議論は、本発明の分野を例示することのみを意図しており、請求の範囲を否定するものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、例えば、心不整脈を診断するための高密度マッピングカテーテルに関する。特に、本開示は、カテーテルシャフトの遠位端に連結された平面型エンドエフェクタ及びバスケット型エンドエフェクタの両方に関する。平面型エンドエフェクタ及びバスケット型エンドエフェクタは、電極と接触する組織の電気生理学的マッピングを容易にするために、電極のアレイを有することができる。本開示の様々な実施形態は、調整可能な電極アレイ密度を有する可撓性のマッピングカテーテルを対象とする。可変の電極アレイ密度は、電気生理学マップの所望の粒度を容易にする。
【0009】
本開示の態様は、細長いカテーテルシャフトと、可撓性の平面アレイと、を備えている平面アレイカテーテルを対象とする。細長いカテーテルシャフトは、近位端及び遠位端を有しており、長手方向軸を画定する。可撓性の平面アレイは、カテーテルシャフトの遠位端に連結されている。平面アレイは、組織に適合し、長手方向軸と実質的に平行に延在し、共通の平面内に位置する2つ以上の支柱を有している。支柱の各々は、その上に取り付けられた複数の電極を有している。平面アレイは、支柱間に調整可能な相対間隔を有しており、これによる複数の電極の可変の面積密度を有している。より具体的な実施形態では、平面アレイは、複数の電極が支柱の各々の長さに沿って、及び、隣接する支柱にまたがって等間隔で配置される第1の構成と、隣接する支柱をまたがる電極の間隔が大きくなる第2の構成と、で動作する。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態は、細長いカテーテルシャフトと、可撓性バスケットカテーテルと、複数の電極と、を備えているバスケットカテーテルに関する。細長いカテーテルシャフトは、近位端及び遠位端を有している。可撓性バスケットカテーテルは、複数のスプラインを有しており、カテーテルシャフトの遠位端に連結されており、組織に適合する。複数の電極は、スプラインに取り付けられている。バスケットカテーテルは、スプライン間の調整可能な相対間隔を有しており、それによる複数の電極の可変の面積密度を有している。特定の実施形態では、スプラインは、カテーテルの長手方向軸の周りにおいて円周方向に均等に分布された複数のスプラインを有する全体的電気生理学マッピング構成と、カテーテルの長手方向軸の周りにおいて円周方向に不均一に分布された複数のスプラインを有する局所電気生理学マッピング構成と、で動作する。
【0011】
本開示の前述及び他の態様、特徴、詳細、有用性、並びに利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読むこと、並びに添付の図面を検討することから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
様々な例示的な実施形態は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【0013】
【
図1A】本開示の様々な実施形態に一致する、全体的マッピングのために構成された電気生理学的カテーテルのバスケットエンドエフェクタの等角側面図である。
【0014】
【
図1B】本開示の様々な実施形態に一致する、局所マッピングのためのより集中した電極アレイを容易にするために再配置された多数のバスケットスプラインを有する、
図1Aのバスケットエンドエフェクタの等角側面図である。
【0015】
【
図1C】本開示の様々な実施形態に一致する、
図1Aのバスケットエンドエフェクタの端面図である。
【0016】
【
図1D】本開示の様々な実施形態に一致する、
図1Bのバスケットエンドエフェクタの端面図である。
【0017】
【
図1E】本開示の様々な実施形態に一致する、
図1Bのバスケットエンドエフェクタの近位部分の拡大等角側面図である。
【0018】
【
図1F】本開示の様々な実施形態に一致する、
図1Bのバスケットエンドエフェクタの近位部分の拡大等角側面図である。
【0019】
【
図1G】本開示の様々な実施形態に一致する、
図1Aのカテーテルシャフトの断面端面図である。
【0020】
【
図2A】本開示の様々な実施形態に一致する、局所マッピングのために構成された電気生理学マッピングカテーテルの平面エンドエフェクタの等角平面図である。
【0021】
【
図2B】本開示の種々の実施形態と一致する、全体的マッピングを行うために横方向に拡張されたスプラインを有する、
図2Aの平面エンドエフェクタの等角上面図である。
【0022】
【
図3A】本開示の様々な実施形態に一致する、全体的マッピングのために構成された電気生理学的カテーテルのバスケットエンドエフェクタの等角側面図である。
【0023】
【
図3B】本開示の様々な実施形態に一致する、局所マッピングのためのより集中した電極アレイを容易にするために再配置された多数のバスケットスプラインを有する、
図3Aのバスケットエンドエフェクタの等角側面図である。
【0024】
【
図3C】本開示の様々な実施形態に一致する、バスケット支柱を反転させた、
図3Aのバスケットエンドエフェクタの等角側面図である。
【0025】
【
図4A】本開示の様々な実施形態に一致する、局所マッピングのために構成された電気生理学マッピングカテーテルの平面エンドエフェクタの等角平面図である。
【0026】
【
図4B】本開示の種々の実施形態と一致する、全体的マッピングを行うために横方向に拡張されたスプラインを有する、
図4Aの平面エンドエフェクタの等角上面図である。
【0027】
【
図5A】本開示の様々な実施形態に一致する、電気生理学的マッピングカテーテルの遠位端から延在し、全体的マッピングのために構成された、複数の展開されたカテーテルレットの等角側面図である。
【0028】
【
図5B】本開示の様々な実施形態に一致する、局所マッピングのために構成された、
図5Aの複数の展開されたカテーテルレットの上面図である。
【0029】
【
図6A】本開示の様々な実施形態に一致する、全体的マッピングのために構成された、電気生理学的マッピングカテーテルの遠位端から延びる複数の展開されたカテーテルレットの等角側面図である。
【0030】
【
図6B】本開示の様々な実施形態に一致する、局所マッピングのために構成された、
図6Aの複数の展開されたカテーテルレットの上面図である。
【0031】
本明細書で説明される様々な実施形態は、修正および代替の形態に従うが、その態様は、例として図面に示され、詳細に説明される。しかし、その意図は、説明する特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解すべきである。それどころか、本発明は、特許請求の範囲に定義された態様を含む本開示の範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替物を包含するものである。加えて、本出願を通して使用される「例」という用語は、単に例示のためのものであり、限定のためのものではない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、例えば、心不整脈を診断するための高密度マッピングカテーテルに関する。特に、本開示は、カテーテルシャフトの遠位端に連結されている平面型エンドエフェクタ及びバスケット型エンドエフェクタの両方に関する。平面型エンドエフェクタ及びバスケット型エンドエフェクタは、電極と接触する組織の電気生理学的マッピングを容易にするために、電極のアレイを有することができる。本開示の様々な実施形態は、調整可能な電極アレイ密度を有する可撓性のマッピングカテーテルを対象とする。可変の電極アレイ密度は、電気生理学マップの可変の粒度を容易にする。
【0033】
既存の電気生理学マッピングバスケットカテーテルでは、バスケットを構成するスプラインは、長手方向軸に対して隣接するスプラインに対して半径方向に固定される。電極のスプライン間の間隔は、バスケットの拡張サイズ及び/又は組織接触に関連する撓みによって実質的に制御される。さらに、スプライン間電極間隔は、シースからの展開の程度にさらに依存してもよい。これらの場合、臨床医は、スプラインの半径方向間隔、または結果として生じるスプライン間電極対間の間隔を最小限に制御する。その結果、臨床医は、所望の粒度または全体的フレームのいずれかを有する電気生理学的マップを生成することができない場合がある。本開示の態様は、バスケットカテーテル内の1つ以上のスプラインの長手方向軸を中心とした臨床医の制御された回転を容易にする。バスケットカテーテル内の1つ以上のスプラインの相対位置を制御することによって、臨床医は、バスケットカテーテルの中に高密度及び/又は低密度の電極領域を作り出すことができる。例えば、いくつかの用途では、スプライン間で追加の電気生理学的情報を取得することが望ましい場合がある。それらの間に追加のスプラインを移動させることによって、マッピング忠実度が大幅に改善される。さらに、このようなバスケットカテーテルの調整可能性は、配向に依存しない感知/全極技術(これは、以下により詳細に議論される)のような、進歩した電気生理学的マッピングの実施にさらに利益を与え得る。
【0034】
本開示によるバスケットカテーテルのいくつかの実施形態は、全てのスプラインが他のスプラインに対して独立して移動可能であってもよいが、1つ以上のスプラインが調整可能で残りのスプラインが静止していても、多くのより細かい粒度の電気生理学的マッピング用途に十分であり得る。バスケットカテーテルのスプラインが高密度構成に配置されると、臨床医は、マッピングを強化するためにバスケットカテーテルの高密度領域を標的組織と接触させるように操作することができる。
【0035】
さらに他の実施形態では、バスケットカテーテルの個々のスプラインは、調節可能でなくてもよい。その代わりに、スプラインを円周方向において不均一に分布させて、高密度及び低密度の電極アレイ領域を作り出すことができる。心腔の全体的な電気生理学的マッピングを行うために、例えば、バスケットの特定のスプライン上のみの電極(例えば、バスケットの周りに均等に分布されたスプライン上の電極)をサンプリングすることができる。使用に際して、臨床医は、バスケットカテーテルを回転させて、バスケットカテーテルの高密度電極アレイ領域を関心のある組織領域に向けて、局所的な電気生理学的マッピングを行うことができる。
【0036】
本開示のさらなる実施形態は、平面アレイなどの電気生理学マッピングカテーテルを対象とする。このような実施形態では、平面アレイの支柱は、可変の電極アレイ密度を容易にするように横方向に調節可能であってもよい。例えば、平面アレイの中央支柱は、平面アレイの遠位部分とカテーテルハンドルとの間にプルワイヤが延在すること容易にすることができる。臨床医による作動に応じて、プルワイヤは、平面アレイの遠位部分を近位側に引っ張り、支柱を静的位置から横方向外側に膨らませる。その結果、支柱をまたがる電極間隔が増加し、全体的な電気生理学マップが容易になる。忠実度を高めた局所マッピングが望まれる場合、プルワイヤは解放され、平面アレイは、隣接する支柱をまたがる電極間隔を減少させながら、その静的構成に戻る。
【0037】
心筋の電気生理学的マッピングを行うために、ペーシングが行われる。ペーシング処置の間、隣接する電極は、双極対に割り当てられ、各双極対は、対の間の組織の電気的特性をサンプリングする。得られた電気信号は、制御回路によって受信され、処理される。制御回路は、各双極対からの信号サンプルを、双極対によってサンプリングされた組織の位置に関連付けることによって、電気生理学的マッピングを展開する。各双極対からの電位図は分析されてもよく、様々な電気的特性は、色分け(または他の視覚的指示スキーム、例えば、シェーディング、パターニングなど)によって電気生理学マップ上に視覚的に示されてもよい。いくつかの実施形態では、色分けは、各位置における電位図(例えば、平均、平均、最大など)に基づいてもよい。他の実施形態では、サンプリングウィンドウ中に電気信号がしきい値電圧を超える(または電圧勾配が符号を変化させる)回数を、マップ上に視覚的に表示することができる。さらに他の実施形態では、時間ウィンドウ中にサンプリングされた総エネルギーを表示することができる。分別アカウンティングの様々な他の方法が知られており、電気生理学マップ上に表示される色分けの1つ以上の要因として使用することができる。
【0038】
本開示の態様は、電気生理学的マッピングのための双極対を形成する電極間の、調整可能であって既知の間隔を有する電気生理学的マッピングカテーテルを対象とする。本開示のより高度な実施形態は、方向独立感知/全極性技術(「OIS/OT」)および関連するアルゴリズムを利用してもよい。OIS/OTおよび関連するアルゴリズムは、2014年2月25日に出願された米国仮出願第61/944,426号、2015年2月25日に出願された米国出願第15/118,522号、及び、2014年1月16日に出願された国際出願第PCT/US2014/011940にさらに詳細に論じられており、それらは本明細書に完全に開示されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
バスケットのスプラインの長さに沿った電極間隔は一定であり得るが、臨床医は、隣接するスプライン上の電極間の相対距離を調節することができる。スプラインの相対動作が知られているので、隣接するスプライン上の電極間の距離も決定することができる。横方向及び長手方向の両方における双極対間の電極間隔が知られているので、OIS/OTなどの高度なアルゴリズムを、本開示による調整可能なバスケットカテーテルから受信した信号に適用することができる。同様に、平面アレイでは、本開示によれば、支柱に沿った電極間隔は一定であり、既知であるが、臨床医は、支柱をまたがる電極間の距離を調整することができる。
【0040】
本開示のいくつかの特定の態様では、8つのスプラインを有しているバスケットカテーテルが開示される。各スプラインは、イントロデューサを出ると半円形に戻る形状記憶材料から構成される。各スプラインは、第1の構成では、他のスプラインに対してバスケットの周りにおいて円周方向に均等に分布される。拡張されると、8つのスプラインは、実質的に球形のバスケットを形成する。各スプラインは、スプラインの長さに沿って延在する電極の列を有している。電極は、スプラインの長さに沿って均等に分布されてもよく、または特殊な用途のためにスプラインの長さに沿って不均等に分布されてもよい。例えば、電極の分布は、バスケットカテーテルが、例えば、心臓不整脈を診断することが意図されるバスケットの遠位端に向かって重み付けされてもよい。多くの心不整脈は、肺静脈の1つ以上から発する迷入電気信号によって誘発される。左心房への経中隔アプローチを仮定すると、バスケットの遠位端(その高密度の電極を含む)は、肺静脈と共に配向される。
【0041】
本開示のいくつかの特定の態様では、5つの支柱を含む平面アレイカテーテルが開示される。支柱の各々は、カテーテルシャフトの長手方向軸と整列され、それと平行に延びることができる。各支柱は、近位端及び遠位端で平面アレイの他の支柱に連結される。各支柱は、支柱の長さに沿って延在する電極の列を有している。電極は、支柱の長さ方向に沿って、及び、平面アレイの隣接する支柱間に均等に分布する。本開示による電気生理学的平面アレイカテーテルのいくつかの特定の実施形態では、平面アレイは、8つの支柱を含んでもよく、各支柱は、2ミリメートル(「mm」)間隔で支柱の長さに沿って延在する8つの電極を有している。隣接する支柱上の電極間の間隔も2mmである。しかしながら、カテーテルシャフトの長手方向軸に沿った1つ以上の支柱の横方向作動は、低密度電極アレイ領域構成における電極間隔を4mmに増加させ、高密度電極アレイ構成における電極間隔を1mmに減少させる。
【0042】
アレイ内の(2つ以上の方向における)隣接する電極間の公知の間隔は、例えば、心筋組織の配向特異的電気特性の単純化されたロバストなOIS/OT様評価を容易にする。いくつかの実施形態では、既知の間隔は、サンプリングされた組織の電気的活性化方向及び最大電圧振幅の2方向評価を直接可能にする。さらに、既知の電極間隔は、対角双極対の使用を可能にする。互いに直交する2つの対角双極対は、同じ組織領域の電気的特性を測定する。直交する双極対の間の読み取り値の変動は、接触した組織の配向固有の電気的特性に起因し得る。本開示の実施形態は、中間電極をスキップするとともに、アレイ内の隣接する電極によって生成されるよりも大きな電極間隔構成を有する双極対を形成することによって、低減された複雑さの間引きをさらに容易にすることができる。間引きは、より低い粒度分解能で組織の電気的特性を決定するために使用され得る。さらに、臨床医は、様々な双極間隔で平面アレイの状況性能を評価することができる。様々な実施形態では、本開示と一致して、隣接する双極対は、様々な間隔を有してもよく、互いに対する様々な空間的配向を容易にするように配向されてもよい。間引きは、本明細書に開示されるように、スプライン/支柱をまたがる電極内間隔の機械的調節と関連して、またはそれとは独立して使用されてもよい。
【0043】
2つ以上の垂直方向に沿った既知の電極間隔の利点は、x、y方向の平均双極電圧のみに基づく電界ベクトルの簡略化された計算を含む。また、既知の電極間隔は、波面に対して様々な向きで双極エレクトログラム信号を生成するOIS/OT様方法を容易にすることができ、その結果、臨床医は、任意のカテーテル向きを使用することができる。最後に、アレイの既知の電極間隔は、電圧、分別及び/又は活性化パターンのバランスのとれた統合されたビューを容易にし、これらは、既知の間隔で隣接する電極から容易にサンプリングされ得る。次いで、この情報を使用して、発散及びカールを計算することができる(すなわち、起動方向から焦点及びロータコアを検出/位置決めすることができる)。
【0044】
本明細書に開示される電極は、リング電極及び/又は基板(例えば、可撓性回路基板)上のプリント(スポット)電極であってもよい。有利には、プリント電極は、リング電極よりも接近して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、0.1mm離間したプリント電極を平面アレイカテーテル内に配置することができる。より典型的には、リング電極及びプリント電極は、0.5mm~4mm離間されてもよい。このような電極間隔は、例えば、多くの心臓血管用途において、望ましい電気生理学的マッピング粒度を容易にすることが見出されている。
【0045】
短い電極間間隔(例えば、2mm×2mm)は、アブレーションラインギャップを示す組織の電気的特性(例えば、電圧)をサンプリングするために望ましい場合がある。試験において、電極アレイ内の短い電極間間隔を有する本開示の実施形態は、数ミリメートルだけ分離された病変間の低電圧経路のサンプリングを介してアブレーションラインギャップを検出した。高密度電極アレイ(及び、本開示のOIS/OTアルゴリズムに基づく電位図信号処理)を欠く従来技術の電気生理学マッピングアレイは、このような微細なアブレーションラインギャップを検出することができない。
【0046】
本開示の態様は、電気生理学的マッピングのための平面アレイカテーテル及びバスケットカテーテルを対象とする。より具体的には、本開示の多くの実施形態は、プリント回路基板(例えば、可撓性プリント回路基板)を利用して、(部分的に)平面アレイ支柱及び/又はバスケットスプラインを形成する。さらに、本開示の態様は、平面アレイ支柱及び/又はバスケットスプラインに沿って配置された複数の電極を有している。そのような実施形態では、平面アレイ支柱及び/又はバスケットスプラインは、可撓性回路基板に導電的に結合された電極を有してもよい。独立してアドレス可能な電極は、電極と接触している組織の電気生理学的測定を容易にする。多くの実施形態では、処理回路は、組織の向きに依存しない電気的特性を決定するために、互いに直交する電極の双極対をサンプリングする。電極の双極対間の距離は、心電図忠実度の向上を促進するために知られていることが望ましい。可撓性回路基板上の電極のこの既知の位置決めは、既存の回路基板アセンブリ技術(例えば、一般に「ピックアンドプレース」マシン及び回路基板印刷技術と呼ばれる表面実装技術部品配置システム)によって達成され得る。さらに、平面アレイ支柱及び/又はバスケットスプラインの互いに対する調整可能性は、支柱/スプラインをまたがる電極の既知の空間的位置決めが既知であるように制御可能でなければならない。
【0047】
従来のマッピングカテーテル設計は、心臓からの電気信号を検出し、測定し、表示するために双極電極構成を採用する。しかしながら、このような従来のマッピングカテーテル設計は、心臓の電気波面に対する双極電極対の向きに関連する誤差を生じやすく、向きに依存したであろう表示信号及びマッピング結果をもたらし、実際には真の(または所望の)組織特性を反映しない場合がある。このリスクを軽減するために、本開示の態様は、正確な電気生理学的マッピング結果を生成するために、様々な向きで複数の双極電極対構成をサンプリングすることができる信号処理技法を対象とする。このような信号処理技術を容易にするために、本開示に一致する電気生理学的マッピングカテーテル(例えば、平面アレイ及びバスケット)は、既知の間隔および様々な配向を有する電極の双極対を利用し得る。
【0048】
心臓内の電気信号の活性化方向と整列したような双極対配置は、双極電極と接触している正常または正常に近い組織を通って進行する脱分極を反映する大きな振幅信号を示す。例えば、双極対が電気信号の活性化方向に垂直に、または瘢痕組織の近くに整列される、双極対の他の整列は、より低い振幅の分画された信号を示し得る。本開示の様々な態様は、波面に対するカテーテルの方向の制御が不十分であるにもかかわらず、信号振幅と信号方向性とを分離するOIS/OT様信号処理アルゴリズムを対象とする。
【0049】
例えば、電極の第1の双極対は、x方向に接触組織を通過する電気信号をサンプリングし、電極の第2の双極対は、y方向に接触組織を通過する第2の電気信号をサンプリングする。次いで、信号処理回路を使用して、その位置についての真の電気信号を決定してもよい。2つの双極対は、実質的に同じ位置にあり、同じ組織体積と接触しているが、心臓を通って進行する電気的活性化波面の方向性のために、組織の異なる電気的特性をサンプリングすることができる。例えば、電気的活性化波面は、典型的には、洞房結節及び房室結節から発する。しかしながら、妨害電気信号は、1つ以上の肺静脈(例えば、肺静脈内の算術焦点)から発することもある。
【0050】
重要なことに、組織の重要な電気的特性の決定を容易にするために、第1の双極対の間の距離及び第2の双極対の間の距離は、既知でなければならない。
【0051】
本明細書に開示される高密度電極アレイの使用は、例えば、カテーテルの相対的な配向及び電気的波面に関連する効果とは無関係である電圧測定値のサンプリングを容易にし、心筋(および瘢痕境界)の電気生理学的マッピングの信頼性及び正確性をはるかに向上させる。さらに、本開示の実施形態は、電極分布から実質的に独立した電気信号タイミング情報の収集から利益を得る。また、電極の高密度アレイは、サンプリングされた電気信号を、隣接(または近接)双極対からサンプリングされた他の電気信号と比較することによって、双極対からのサンプリングされた電気信号を検証するために使用されてもよい。高密度アレイにおける電極の規則的な間隔は、OIS/OTアルゴリズム及び/又は他の信号処理技術、例えば、En値(垂直双極信号の推定値)、ラプラス方程式の出力、活性化方向、伝導速度などから出力される様々なメトリックの精度をさらに改善する。本開示のそのような態様は、2014年2月25日に出願された米国仮出願第61/944,426号、2015年2月25日に出願された米国出願第15/118,522号、及び、2014年1月16日に出願された国際出願第PCT/US2014/011940にさらに詳細に論じられており、それらは本明細書に完全に開示されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
本開示の様々な実施形態の詳細は、図面を特に参照して以下に記載される。
【0053】
図1Aは、全体的マッピングのために構成された電気生理学的カテーテルのバスケットエンドエフェクタ101(バスケットカテーテルとも呼ばれる)の等角側面図であり、
図1Bは、本開示の様々な実施形態に一致する、局所マッピングのための高密度アレイ領域を形成するように再配置された多数のバスケットスプライン110
1-8を有する
図1Aのバスケットエンドエフェクタ101の等角側面図である。
【0054】
図1Aのバスケットカテーテル101は、拡張構成で示されている。バスケット101は、近位端でカテーテルシャフト105に連結されるとともに、遠位端で遠位キャップ115に(または互いに)連結される複数のスプライン110
1-8から構成される。本実施形態は、8つのスプライン110
1-8から構成されるバスケットを提示するが、3つ以上のスプラインを有するバスケットカテーテルが容易に想定され、そのデザインは、意図される医療用途および所望の電気生理学的マッピング粒度に依存する。バスケットの拡張/収縮を容易にするために、展開部材120がバスケットの長手方向軸に沿って延在する。いくつかの実施形態では、展開部材120は、カテーテルハンドルと遠位キャップ115との間に延在するプルワイヤであってもよい。プルワイヤの作動は、バスケットの膨張/収縮を引き起こす。他の実施形態では、展開部材120は、バスケットを拡張/収縮させるためにカテーテルハンドル上のマニピュレータによって作動される管腔であってもよい。さらに別の実施形態では、スプライン110
1-8は、展開部材120を無用とする、イントロデューサを出た後に半円形に戻る形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成されてもよい。
【0055】
本実施形態では、スプライン110
1-8の各々は、それぞれのスプラインの長さにおいて分散された複数の電極111
1-N含む。
図1A~1Gに示されている実施形態では、各スプラインの長さに沿って定期的に分布した電極111
1-Nを示しているが、他の実施形態では、スプラインに沿って不均一に分布した電極を含んでもよい。例えば、肺静脈電気生理学マッピングの用途では、バスケットの遠位部分のみが、肺静脈の近位の組織と接触し得る。したがって、電極111
1-Nの分布は、肺静脈に近接した位置での強化された電気生理マッピングの粒度を容易にするために、バスケット101の遠位端に重点を置くことができる。
【0056】
電極1111-Nは、電極と接触している組織の電気的特性の測定を容易にするために、様々な双極構成で使用されてもよい。直交配向双極対の組合せは、二つの直交方向における組織の配向固有電気特性を測定することができる。第1の双極対は、スプライン110の長さに沿って一対の電極111を含むことができ、カテーテルの長手方向軸と実質的に平行な向きでの組織電気特性データの収集を容易にする。第2の直交双極対は、隣接するスプライン110をまたがって横方向に延在することができ、カテーテルの長手方向軸を実質的に横切る配向での組織電気特性データの収集を容易にする。この電気データの収集を容易にするために、これらの双極電極対は、信号処理回路によって独立にアドレス指定可能であってもよい。信号処理回路は、2組の双極対からの受信信号を分析して、電極と接触している組織の向きに依存しない電気生理学的情報を決定する。
【0057】
本開示に一致する様々な実施形態では、スプライン110は、可撓性電子回路基板から形成されてもよい。電極111の各々は、可撓性電子回路基板に結合され、可撓性電子回路基板の内部層または外部層に沿って延在する電気トレースを介して信号処理回路に通信可能に結合される。いくつかの特定の実施形態では、スプライン110の各々は、ニチノールによって構成されてもよい。そのような実施形態では、可撓性回路は、ニチノールに直接結合されてもよく、または代替的に、可撓性回路は、ニチノールスプラインを内部に収容するペバックスチュービングに直接結合されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、電極111は、0.5mm2の総表面積で、直径が0.8ミリメートルであってもよい。バスケットカテーテル101上の電極111は、サイズ及び形状が均一である必要はない。例えば、本開示に一致する実施形態は、より小さいサイズの電極(例えば、直径0.8mm)と、より大きいサイズの電極(複数可)を含むことができる。小さいサイズの電極は電気生理学的マッピングのためである。大きいサイズの電極は、電気生理学的マッピングと、インピーダンスまたはハイブリッドベースのカテーテルナビゲーションシステム(例えば、MediGuide(登録商標)システム、および/またはEnSite NavX(登録商標)システム)における局在化を容易にするのに十分な大きさのインピーダンスとの両方を有することができる。1つの特定の実施形態では、より小さい電気生理学的マッピング電極は、組織との直接接触のためにスプラインの外部に面する表面に結合され得、より大きい非接触ナビゲーション電極は、スプライン110の内部に面する表面に結合される。
【0059】
いくつかの実施形態では、スプライン110上およびスプライン間の両方の電極111のすべての間に等しい間隔を有することが望ましい場合があるが、双極対を形成する電極のそれぞれの間の相対的な間隔の知識は、電極と接触する組織の配向固有の電気特性データを正確に捕捉するのに十分である。いくつかの特定の実施形態では、電極の双極対のうちの1つまたは複数のエッジ間の間隔は、2~2.5ミリメートルとすることができる。さらに他の特定の実施形態では、双極対の電極の中心間の間隔は、0.5~4ミリメートルとすることができる。
【0060】
いくつかの特定の実施形態では、バスケット101上の電極111のいくつかは、多目的であってもよく、一方、他の電極は単一目的である。例えば、電極のいくつかは、ナビゲーション及び電気生理学マッピング電極の両方として機能することができ、他の電極は、電気生理学マッピング電極としてのみ機能することができ、さらに他の電極は、ナビゲーション電極としてのみ機能することができる。
【0061】
図1Bに示すように、4つのスプライン110
1,3,5,7が残りの4つのスプライン110
2,4,6,8に対して回転され、高密度アレイ領域112が作成される。高密度アレイ領域は、関心領域の局所マッピングに使用することができる。例えば、心腔の全体的なマッピングに続いて、別のカテーテルを使用して局所的なマッピングが行われることが多い。本開示のバスケットカテーテル101’は、高密度アレイ領域112
1-2内の電極アレイ密度を調整することによって、全体的なマッピング操作と局所的なマッピング操作の両方を実行することができる。可動スプラインスプライン110
1,3,5,7の作動は、カテーテルハンドル上の臨床医の入力を介して達成されてもよい。局所電気生理学マッピングが完了すると、可動スプラインスプライン110
1,3,5,7は、(
図1Aに示されるように)全体的マッピングのために、円周方向に均等に分布した位置に戻されてもよい。本開示の様々な実施形態では、1つまたは複数のスプライン110を回転可能に調整して、電極アレイ密度の増加又は減少を容易にすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、互いに対向する整合スプライン(例えば、スプライン110
2,6)は、独立して調整可能であってもよく、または他の実施形態では、従属的であり、同時に作動されてもよい。
【0062】
図1Cは、本開示の様々な実施形態に一致する、
図1Aのバスケットカテーテル101の端面図である。
図1Aに示すように、それぞれのバスケットスプライン110は、隣り合うスプラインから約θ
Aだけ回転的にオフセットされる。本実施形態では、8つのスプライン110の各々の等しい間隔は、約45°のスプライン間のオフセット、θ
Aをもたらす。バスケットカテーテル101は、領域(例えば、心腔)の全体的な電気生理学的マッピングを行うために、そのような構成をとることができる。
図1Aでは、スプライン110間の既知の角度は、電極111
1-N間の間隔を既知とする。種々の実施形態では、電極双極対は、隣接するスプライン110の間に延在することができ、それらの間の既知の距離は、双極対と接触する組織の種々の電気的特性を決定するために使用され得る。
【0063】
図1Cにさらに示されるように、遠位キャップ115は、スプライン110
1-8の遠位端を互いに(カテーテルの長手方向軸の近くで)連結すること、及び、それに接触する組織に対する意図しない外傷を防止するカテーテルの最遠位表面を提供すること、を含む、いくつかの目的を果たし得る。
【0064】
図1Dは、
図1Bに示す構成のバスケットカテーテル101’の端面図である。
図1Dに示されるように、スプライン110
1-8の1つ以上は、局所電気生理学マッピングデバイス(ならびに、
図1A及び1Cに示されるような全体的電気生理学マッピングデバイス)としてのバスケットカテーテル101’の使用を容易にするための、高密度アレイ領域112
1-2を生成するように作動される。高密度アレイ領域112は、一例において、約30°のスプライン間の角度、θ
Cを示す。高密度アレイ領域112のためにさらなる粒度のマッピングが望まれる場合には、スプライン間の角度、θ
Cは、さらに減少することができる。いくつかの特定の実施形態では、隣接スプライン間の電極111
1-Nの距離として0.5ミリメートル以下を達成することが望ましい場合がある。バスケットカテーテル101’の局所マップ構成が、高密度アレイ領域112
1-2の外部にスプライン110を含む場合、そのようなスプライン間の角度θ
Bは、例えば、約60°であり得る。いくつかの実施形態では、すべてのスプラインは、1つまたは複数の高密度アレイ領域112
1-2を形成することができる。本実施形態は、2つの高密度アレイ領域112
1-2を示しているが、いくつかのより具体的な実施形態では、さらなるマッピング粒度が所望される場合、すべてのスプラインは、単一の高密度アレイ領域に構成されてもよい。
【0065】
図1Eは、
図1Aのバスケットカテーテル100の近位部分の拡大等角側面図である。
図1Eに示されるように、スプライン110
1-8のうちの1つ以上の回転作動は、例えば、1つ以上のシャフト105、106、107、109を回転させることによって達成されてもよい。シャフトは、カテーテルの長さにわたって延在してもよく、カテーテルハンドル上の制御部に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のスプライン110
1-8は静止していてもよく、他のスプラインは回転可能に作動されてもよい。例えば、カテーテルシャフト105および内側シャフト109は、カテーテルハンドルに静的に連結され得る。したがって、スプライン110
2、4、6、8は、カテーテルアセンブリに対して相対的な角度構成を維持しており、アセンブリ全体を回転させることなく回転することはできない。他の実施形態では、カテーテルシャフト105および内側シャフト109の一方または両方を回転可能に作動させて、スプライン110
2,4,6,8の調節を容易にすることができる。スプライン110
3,7に連結された第1の中間シャフト106と、スプライン110
1、5連結された第2の中間シャフト107とは、カテーテルハンドルにおいて臨床医によって回転可能に作動されてもよい。したがって、バスケットカテーテルを使用する治療および/または診断処置中の臨床医は、スプライン110
1,3,5,7(およびいくつかの実施形態ではスプライン110
2,4,6,8)の角度位置を独立して調整することができる。他のスプラインに対するスプラインの角度位置を独立して調節することによって、臨床医は、電気生理学マップの分解能を変更し得る。例えば、心腔の初期の全体的な電気生理学的マッピングを行った後、臨床医は、関心領域内に追加のスプラインを移動させることによって、関心領域内の電気生理学的マップの分解能をさらに改善することができる(例えば、
図1Bを参照)。
【0066】
いくつかの実施形態において、スプライン110
1-8の各々の調節は、他のものから独立していてもよい。
図1Eに示すように、スプラインの対(例えば、スプライン110
2and6,スプライン110
3and7、スプライン110
1and5、及び、スプライン110
4and8)は、同じシャフト105、106、107、109に結合されるため、互いに依存して回転可能である。さらに、いくつかの実施形態は、独立して調節可能であるシャフトの各々のための個々の作動機構を有するカテーテルハンドルを対象とするが、より具体的な実施形態は、調節可能なスプライン110のすべてのために単一の多段作動機構を利用してもよい(例えば、
図1Gを参照)。
【0067】
いくつかの実施形態は、例えば、イントロデューサからバスケットが出たときにバスケットカテーテルの自動展開を容易にする形状記憶合金で形成されたスプライン110を含み得るが、
図1A~Gの実施形態は、遠位キャップに連結され、カテーテルシャフト105の近位端のカテーテルハンドルまで近位に向けて延びる展開部材120(例えば、プルワイヤ)を含む。プルワイヤの作動はバスケットの拡張/収縮をもたらす。他の実施形態では、展開部材120は、バスケットを拡張/収縮させるためにカテーテルハンドル上のマニピュレータによって作動され得る管腔であり得る。展開部材120は、内側シャフト109内の管腔を通って延びることができる。
【0068】
図1Fは、
図1Bに示されるような第2の構成101’におけるバスケットカテーテルの近位部分の拡大等角側面図である。
図1Fに示されるように、エラストマーキャップ108は、シャフト105、106、107、109の遠位端にオーバーモールド(または他の方法で結合)され、スプライン110
1-8の近位部分を部分的に封入する。エラストマーキャップ108は、スプライン110の相対動作を容易にすると同時に、体液からシャフト間の隙間空間を密封する。重要なことに、エラストマーキャップ108は、臨床医の作動が中断された後に、スプラインのホームポジションへの戻りを容易にする。ホームポジションは、例えば、全体的マッピング構成、局所マッピング構成、またはそれらの間の何らかの構成とすることができる。
【0069】
図1Gは、イントロデューサ104内のバスケットカテーテル101の外側シャフト105の断面端面図である。外側シャフト105は、第1及び第2の中間シャフト106,107、及び、内側シャフト109を収容している。いくつかの実施形態では、内側シャフト109は、カテーテルの遠位端と近位端との間に配線、潅注などを送達するための管腔135を含む。外側シャフト、第1および第2の中間シャフト、ならびに内側シャフトはすべて、カテーテルの遠位端で1つ以上のスプラインに連結される。
【0070】
カテーテルハンドル上の制御装置の使用者の作動に応答して、第1のキー機構130を含む内側シャフト109の第1の回転動作131が生じる。内側シャフト109を回転させると、内側シャフトに結合されたスプラインも回転する。
【0071】
内側シャフトが第1の回転動作131(ホームポジションから約30°)を完了した後に生じる第2の回転動作133の間、第1のキー機構130は、第2の中間シャフト107の第2のキー機構132に接触する。第1及び第2のキー機構間の接触は、第2の中間シャフトを内側シャフトと共に回転させる。その結果、内側シャフトと第2の中間シャフトの両方に連結されたスプラインは、第2の回転動作133のときに一緒に回転する。約60°の動作の後、第1のキー機構130は、第1の中間シャフト106上のストップ134に接触し、これは、内部シャフト及び第2の中間シャフトのさらなる回転動作を阻止する。本実施形態では、外側シャフト105と第1中間シャフト106の両方のスプライン、及びシャフト自体は回転しない。したがって、内側シャフト109及び第2の中間シャフト107に連結されたスプラインの回転は、局所的な電気生理学的マッピング構成と全体的な電気生理学的マッピング構成との間のバスケットカテーテルの再構成を容易にする。
【0072】
図2Aは、局所マッピング(第1の構成)のために構成された電気生理学マッピングカテーテルの、平面エンドエフェクタ201の等角上面図であり、
図2Bは、第2の構成における、
図2Aの平面エンドエフェクタ201’の等角上面図である。
図2Bに示されるように、スプラインは、本開示の様々な実施形態と一致して、全体的マッピングを行うために横方向に拡張される。
【0073】
電気生理学マッピングカテーテルの平面アレイ201は、本発明の様々な実施形態と一致する、電極2111-Nの高密度アレイを含む。平面アレイ201は、電極2111-Nの可撓性アレイを形成する。この電極アレイは、カテーテルシャフト205の長手方向軸と実質的に平行な平面内に延在する支柱2101-5の可撓性フレームワークに結合される。支柱の各々は、隣接する支柱2101-5上の電極2111-N間の厳密な間隔を達成するために、互いに正確に、横方向に分離され、支柱は、遠位端および近位端(例えば、遠位先端215およびブッシング208において)で互いに結合される。
【0074】
図2Aに示すように、5つの支柱210
1-5の各々は複数の電極211を保持することができ、支柱の長さに沿った電極の間隔は同一(または少なくとも既知)である。同様に、アレイの支柱210をまたがる電極211間の間隔も、等しくてもよい(または少なくとも既知であってもよい)。その結果、間隔が既知の複数の電極双極対となる。例えば、いくつかの実施形態では、双極対の中心間電極間隔は、0.5~4mmであってもよい。さらにより具体的な実施形態では、双極対の中心間電極間隔は、0.5ミリメートル未満(例えば、0.1mm)であってもよい。本実施形態は、等しい中心間間隔を有する双極対を対象とするが、本開示に一致する電極アレイの様々な他の実施形態は、等しいエッジ間間隔を有する電極アレイを含むことができる。例えば、いくつかの実施態様において、エッジ間電極間隔は、0.5~4mmであってもよい。さらにより具体的な実施形態では、エッジ間電極間隔は、0.5ミリメートル未満(例えば、0.1mm)であってもよい。アレイ201の電極211が異なる相対サイズ(または表面積)を有する場合、エッジ間の間隔を考慮することが望ましい場合がある。
【0075】
図2Aの平面アレイ201は、5つの支柱210
1-5を示すが、カテーテルは、電気生理学的用途のための所望の電極間隔に基づいて、それぞれの支柱間の間隔を有する、より多くのまたはより少ない支柱を備えてもよい。加えて、
図2Aに示される平面アレイ201は22個の電極211を示しているが、平面アレイは22個よりも多くても少なくてもよく、各支柱は隣接する支柱と同じ数の電極を有する必要はない。
【0076】
いくつかの実施形態において、電極2111-Nは、診断、治療及び/又はマッピング処置で使用することができる。例えば、限定するものではないが、電極211は、電気生理学的検討、ペーシング、心臓マッピング、及び、アブレーションに使用することができる。いくつかの実施形態では、電極211は、単極アブレーションまたは双極アブレーションを実行してもよい(例えば、電極の双極対の使用を介して)。この単極性または双極性アブレーションは、病変の特定の線またはパターンを作り出す可能性がある。いくつかの実施形態では、電極211は、電気生理学的検討/マッピングに使用することができる電気信号を心臓から受信することができる。重要なことは、支柱210上の隣接する電極と隣接する支柱上の電極との間の電極間隔が同じなので(または他の方法で知られているので)、相対的な向きが変化する双極対をサンプリングして、双極対と接触している組織の電気的特性を決定することができることである。サンプリングされた電気特性は、カテーテル配向に基づく信号効果を除去するために処理されてもよい。いくつかの実施形態では、電極211は、心臓マッピングに関連する位置または位置感知機能を実行し得る(例えば、カテーテル201の位置および/または配向を決定する)。
【0077】
平面アレイ201は、ブッシング208(コネクタとも呼ばれる)においてカテーテルシャフト205の遠位端に連結される。カテーテルシャフト205はまた、カテーテルシャフトの長手方向軸を規定し得る。本実施形態では、支柱2101-5の各々は、長手方向軸に実質的に平行である。カテーテルシャフト205は、患者の曲がりくねった血管系に通すことができるように、可撓性材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト205は、カテーテルシャフトの長さに沿って配置された1つまたは複数のリング電極を含むことができる。リング電極は、例えば、診断、治療、局在化および/またはマッピング処置のために使用され得る。一実施形態では、平面アレイ201は、ミネソタ州セントポールのSt.Jude Medical、Inc.によって販売されているMediGuideTMシステムのような電磁位置確認システムと共に使用するように構成された磁界センサを含んでもよい。
【0078】
平面アレイ201は、組織(例えば、心臓組織)に適合するように適応され得る。例えば、平面アレイが組織に接触する場合、各支柱2101-5は、組織に適合するように独立して偏向してもよい。平面アレイが組織に適合して偏向する能力は、平面アレイが、輪郭形成された、不規則な、または小柱形成された組織と接触する場合に、特に有益であり得る。いくつかの実施形態では、支柱210(または支柱の下部構造)は、ニチノールおよび/または可撓性基板などの可撓性またはばね状材料から構成されてもよい。平面アレイ支柱2101-5の構造(例えば、支柱の長さおよび/または径、ならびに素材を含む)は、所望の弾性、可撓性、折り畳み性、適合性、および剛性特性を達成するように調整することができる。さらに、いくつかの実施形態では、支柱の近位端から支柱の遠位端まで、または平面アレイ201を形成する複数の支柱の間で、またはその間で、1つまたは複数の特性を変化させることが望ましい場合がある。ニチノールおよび/または可撓性基材のような材料の折り畳み性は、身体内へのカテーテルの送達中であろうと、処置の終わりに身体からのカテーテルの除去中であろうと、送達シースまたはイントロデューサ―内への平面アレイの挿入を容易にするという追加の利点を提供する。
【0079】
その上に配置された高密度電極アレイを含む平面アレイカテーテルは、例えば、(1)心臓の壁上の特定のサイズの領域の局所伝播マップを画定すること、(2)アブレーションのための複雑に分割された心房電位図を識別すること、(3)より高い電位図解像度のための電極間の局所化された焦点電位を識別すること、および/または(4)アブレーションのための領域をより正確に標的化することのために使用され得る。さらに、本明細書に記載されるカテーテルは、心外膜および/または心内膜用途に適用され得る。例えば、本明細書に記載される平面アレイの実施形態は、電極の平面アレイが心筋表面と心膜との間に配置される心外膜処置において使用されてもよい。あるいは、平面アレイの実施形態は、心筋の内面を掃引および/または分析し、心臓組織の電気的特性の高密度マップを作成するために、心内膜処置において使用されてもよい。
【0080】
本開示に開示される平面アレイ201の様々な実施形態が、支柱2101-5に結合されたリング電極2111-Nで描かれているが、支柱に結合されたスポット型電極を有する実施形態が容易に想像される。さらに、さらなる実施形態では、平面アレイの支柱は、プリント回路製造技術に適合する可撓性薄膜を含むことができ、及び/又は支柱の構造要素(例えば、ニチノールベースの構造要素)に結合されたそのような薄膜を有することができる。そのような実施形態では、スポット型電極は、支柱自体の上に印刷されてもよい。本開示の可撓性プリント回路の実施形態では、プリント電極は、1つまたは複数の薄膜層上またはその内部に延在するトレースを介して、信号処理回路および/またはドライバ回路に電気的に結合されてもよい。多くの電気生理学的マッピング適用例が高い信号忠実度を必要とするので、アナログ信号の伝送長を制限し、伝送線路自体を遮蔽し、および/またはアナログ信号をアナログ信号のソースに近いデジタル信号に変換することが望ましい。したがって、本開示の態様は、信号処理回路(例えば、アナログ/デジタル変換器、ノイズフィルタリングおよびバンドパスフィルタなどの信号調整)、および/またはドライバ回路を、支柱2101-5上に、それに近接して配置することを対象とする。
【0081】
リング電極211
1-Nを含む平面アレイ201の実施形態では、高密度電極アレイのリング電極は、同じタイプの電極または様々な電極タイプを含むことができる。例えば、より小さい表面積を有する電極は、電気生理学的マッピングのためにのみ使用され得、一方、より大きい表面積の電極は、マッピング、組織アブレーション、および/または局在化のために使用され得る。いくつかの特定の実施形態では、電極アレイは、1つまたは複数のわずかに拡大されたリング電極を含むことができる。これらのわずかに拡大された電極は、例えば、マッピングおよびナビゲーションシステムにおける可撓性アレイのより正確な位置特定のために使用され得る。所望であれば、双極アブレーションのために、これらの拡大された電極間にアブレーション電流を駆動すること、または代替的に、これらの拡大されたリング電極のうちの1つ以上と、例えば、患者(例えば、患者の背中)に配置されたパッチ電極との間で、単極モードでアブレーション電流を駆動することも可能であり得る。同様に、いくつかの実施形態の電極211
1-Nはすべて、単極または双極アブレーション療法を実施することができる。あるいは、または同時に、電流は、1つ以上の拡大電極と任意の1つまたは全ての電極との間を流れることができる。この単極または双極アブレーション療法技術は、特定の病変線または病変パターンを作成するために使用され得る。
図2Aにも見られるように、支柱210
1-5の1つまたは複数が一緒になる遠位チップ215が存在してもよい。この遠位チップ215は、X線透視法による視覚化を提供するために、金属または他の放射線不透過性材料から構成されてもよい。遠位チップ215は、支柱210
1-5間の(半)独立した平面動作をさらに容易にすることができる。
【0082】
本開示のいくつかの実施形態では、マッピングカテーテル201は、カテーテルシャフト205の長さにわたって延在する操縦ワイヤを含んでもよい。カテーテルシャフト205が平面アレイ201の支柱210
1-5に連結するブッシング208に到達するよりも前に、操縦ワイヤは、操縦ワイヤの近位端から力を受け、患者の血管系を通してカテーテルシャフト205および平面アレイ201を操縦することを容易にする1つ以上の操縦リングに連結され得る。さらに
図2Aに示すように、支柱210
1-5の各々は、支柱の長さに沿って分散された複数の電極211
1-Nを含む。本実施形態では、各電極は、隣り合う各電極から等間隔(D
A)に配置されている。制御回路が平面アレイ201内の電極の双極対からの電気信号をサンプリングすると、双極対の各々は、電極と接触している組織の健全性を示す様々な電気特性を検出する。5つの支柱210
1-5は、電極211
1-Nが間隔をあけた関係を維持するように設計されており、その結果、各々の双極対の電極が既知の距離にわたって組織の電気生理学的データを捕捉する。
【0083】
本開示の多くの実施形態は、電気生理学的マッピングに向けられているが、本開示の実施形態はまた、(同様に)ペーシングのために構成されてもよい。例えば、1つ以上の電極2111-Nは、例えば心臓組織にペーシング信号を送信してもよい。
【0084】
図2A-Bには示されていないが、平面アレイカテーテル201の種々の実施形態は、1つ以上の潅注ポートを含み得る。例えば、近位潅注剤ポートは、近位ブッシング208の遠位端上/遠位端に配置されてもよく、支柱210
1-5に支持される電極に、またはその近くに潅注剤を送達するように配置される近位潅注剤ポートは、この実施形態ではカテーテルシャフト205の遠位端上に取り付けられる、近位ブッシングの遠位端から出てもよい。いくつかのより具体的な実施形態では、第2の遠位潅注ポートは、支柱210
1-5の遠位交差部であって、遠位チップ215上またはその近くに配置されてもよい。さらに別の実施形態では、所望であれば、複数の潅注ポートを支柱210に沿った様々な位置に設けることができる。2つ以上の潅注剤ポートが平面アレイ201の近位端および/または遠位端に配置される場合、支柱210の近位/遠位頂点またはその付近でのより均一な潅注剤分布が促進され得る。
【0085】
図2Bの平面アレイの第2の構成201’に示されるように、支柱210
3は、臨床医によって近位側231に作動されている。作動は、支柱210
1,2,4,5(遠位チップ215を介して)の側方偏向を引き起こし、それが次に、隣り合う支柱上の電極211
1-N間の距離をD
AからD
B(D
Bが既知の距離である)に変化させる。勿論、支柱210の長さに沿って延びる電極間の距離は、作動に応じて変化しないであろう。隣接する支柱間の電極間隔の変化は、標的組織の可変粒度電気生理学マッピングを容易にする。支柱の偏向は、カテーテルの長手方向軸に対して少なくとも横方向に、標的組織のより全体的なマッピングを容易にする。
【0086】
図3Aは、全体的マッピングのために構成された電気生理学的カテーテルのバスケットエンドエフェクタ301の等角側面図であり、
図3Bは、局所マッピングのための1つ以上の高密度アレイ領域を形成するために、第2の構成301’に配置された、いくつかのバスケットスプライン310
1-8を有する、
図3Aのバスケットエンドエフェクタ301の等角側面図である。
【0087】
図3Aのバスケットエンドエフェクタ301は、拡張構成で示されている。バスケットエンドエフェクタ301は、近位端でカテーテルシャフト305に連結され、遠位端で自由である複数のスプライン310
1-8から構成される。本実施形態は、8つのスプライン310
1-8からなるバスケットを提示するが、3つ以上のスプラインを有するバスケットカテーテルが容易に想定される。設計は、意図される臨床適用および所望の電気生理学的マッピング粒度に依存し得る。バスケットの拡張/収縮を容易にするために、スプライン310
1-8は、イントロデューサを出た後に半円形状に戻る形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成されてもよい。さらに他の実施形態では、各スプラインは、作動時にスプラインを拡張および/または収縮させて所望の形状を形成する1つまたは複数のステアリングワイヤに結合することができる。
【0088】
図3Aでは、スプライン310の各々は、スプラインの長さに分散された複数の電極311
1-Nを含む。電極311
1-Nは、電極と接触する組織の電気特性の測定を容易にするために、様々な双極構成で使用されてもよい。直交配向双極対の組合せは、二つの直交方向における組織の配向固有電気特性を測定するために使用することができる。第1の双極対は、スプライン310の長さに沿った一対の電極311を含み得、カテーテルの長手方向軸と実質的に平行な配向での組織電気特性データの収集を容易にする。第2の直交双極対は、隣接するスプライン310をまたがって横方向に延在することができ、カテーテルの長手方向軸を実質的に横切る配向での組織電気特性データの収集を容易にする。この電気データの収集を容易にするために、これらの双極電極対は、信号処理回路によって独立にアドレス指定可能であってもよい。信号処理回路は、2組の双極対からの受信信号を分析して、電極と接触している組織の向きに依存しない電気生理学的情報を決定する。
【0089】
本開示と一致する種々の実施形態では、スプライン310は、可撓性電子回路基板から形成されてもよい。電極311の各々は、可撓性電子回路基板に結合され、可撓性プリント電子回路基板の内部層または外部層に沿って延在する電気トレースを介して信号処理回路に通信可能に結合される。いくつかの特定の実施形態では、スプライン310の各々は、ニチノールによって構成されてもよい。そのような実施形態では、可撓性回路は、ニチノールに直接結合されてもよく、または代替的に、可撓性回路は、ニチノールスプラインを内部に収容するペバックスチュービングに直接結合されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、スプライン310上およびスプライン間の両方の電極311のすべての間に等しい間隔を有することが望ましい場合があるが、双極対を形成する電極のそれぞれの間の相対的な間隔の知識は、電極と接触している組織の配向固有の電気的特性データを正確に捕捉するのに十分である。
【0091】
いくつかの特定の実施形態では、バスケットエンドエフェクタ301上の電極311のいくつかは、多目的であってもよく、一方、他の電極は、単一目的である。例えば、電極のいくつかは、ナビゲーションおよび電気生理学マッピング電極の両方として機能することができ、他の電極は、電気生理学マッピング電極としてのみ機能することができ、さらに他の電極は、ナビゲーション電極としてのみ機能することができる。
【0092】
図3Bに示すように、4つのスプライン310
1,3,5,7が残りの4つのスプライン310
2,4,6,8に対して回転され、高密度アレイ領域312が作成される。高密度アレイ領域は、関心領域の局所マッピングに使用することができる。例えば、心腔の全体的なマッピングに続いて、別のカテーテルを使用して局所的なマッピングが行われることが多い。本発明のバスケットカテーテル301’は、高密度アレイ領域312
1-2を介して電極アレイ密度を調節することによって、全体的および局所的なマップ操作の両方を行うことができる。可動スプライン310
1,3,5,7の作動は、カテーテルハンドル上の臨床医の入力を介して達成されてもよい。局所電気生理学マッピングが完了すると、可動スプライン310
1,3,5,7は、(
図3Aに示されるように)全体的マッピングのためのそれぞれの位置に戻されてもよい。本開示の様々な実施形態では、1つまたは複数のスプライン310を回転可能に調整して、電極アレイ密度の増加又は減少を促進することができる。さらに、いくつかの実施形態では、互いに対向する整合スプライン(例えば、スプライン310
2,6)は、独立して調整可能であってもよく、または他の実施形態では、従属的であり、同時に作動されてもよい。
【0093】
図3Cは、遠位端でカテーテルシャフト305に連結され、近位端で自由である複数のスプライン310
1-8からなるバスケットエンドエフェクタ301の等角側面図である。
図3Cでは、バスケットスプライン310が反転している。本実施形態は、8つのスプライン310
1-8からなるバスケットを提示するが、3つ以上のスプラインを有するバスケットカテーテルが容易に想定される。バスケットの拡張/収縮を容易にするために、スプライン310
1-8は、イントロデューサを出た後に半円形状に戻る形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成されてもよい。さらに他の実施形態では、各スプラインは、作動時にスプラインを操縦して所望の形状を形成する1つ以上の操縦ワイヤに連結されてもよい。
【0094】
スプライン3101-8の反転構成は、カテーテルシャフト305がバスケットエンドエフェクタ301の遠位端の近くに配置されるのを許容し、バスケットエンドエフェクタ301のより正確な位置決めを容易にする。さらに、最も遠位の電極311は、カテーテルシャフト305への結合点の近くでスプライン310上に配置される。その結果、最も遠位の電極は、電気生理学的診断中に電極-組織接触に悪影響を及ぼし得るスプライン屈曲の影響を受けにくい。
【0095】
図4Aは、局所マッピング(第1の構成)のために構成された電気生理学的マッピングカテーテルの平面エンドエフェクタ401の等角上面図であり、
図4Bは、全体的マッピング(第2の構成)を行うために、横方向に拡張された支柱410
1-5を有する、
図4Aの平面エンドエフェクタ401’の等角上面図である。
【0096】
電気生理学マッピングカテーテルの平面アレイ401は、本発明の様々な実施形態に一致する、電極4111-Nの高密度アレイを含む。平面アレイ401は、電極4111-Nの可撓性アレイを形成する。この電極アレイは、カテーテルシャフト405の長手方向軸と実質的に平行な平面内に延在する支柱4101-5の可撓性フレームワークに結合される。支柱の各々は、隣接する支柱4101-5上の電極4111-N間の厳密な間隔を達成するために、互いに正確に、横方向に分離され、支柱は、それぞれの近位端(例えば、ブッシュ408で)で相互に連結され、それぞれの遠方端で自由である。
【0097】
図4Aに示されるように、5つの支柱410
1-5の各々は複数の電極411を保持することができ、支柱の長さに沿った電極の間隔は同一(または少なくとも既知)である。同様に、アレイの支柱410をまたがる電極411間の間隔も、等しくてもよい(または少なくとも既知であってもよい)。その結果、間隔が既知の複数の電極双極対となる。
【0098】
図4Aの平面アレイ401は、5つの支柱410
1-5を示すが、カテーテルは、所与の電気生理学的用途のための所望の電極間隔に基づいて、それぞれの支柱間の間隔を有する、より多くのまたはより少ない支柱を備えてもよい。さらに、
図4Aに示す平面アレイ401は、20個の電極411を有するが、平面アレイは、20個より多いまたは少ない電極を含んでもよく、各支柱は、隣接する支柱と同数の電極を有する必要はない。
【0099】
いくつかの実施形態において、電極4111-Nは、診断、治療及び/又はマッピング処置で使用されることがある。例えば、限定するものではないが、電極411は、電気生理学的検討、ペーシング、心臓マッピング、及び、アブレーションに使用することができる。いくつかの実施形態では、電極411は、単極アブレーションまたは双極アブレーションを実行してもよい(例えば、電極の双極対の使用を介して)。この単極性または双極性アブレーションは、病変の特定の線またはパターンを作り出す可能性がある。いくつかの実施形態では、電極411は、電気生理学的検討/マッピングに使用することができる電気信号を心臓から受信することができる。重要なことは、支柱410上の隣接する電極と隣接する支柱上の電極との間の電極間隔が同じなので(または他の方法で知られているので)、相対的な向きが変化する双極対をサンプリングして、双極対と接触している組織の電気的特性を決定することができることである。サンプリングされた電気特性は、カテーテル配向に基づく信号効果を除去するために処理されてもよい。いくつかの実施形態では、電極411は、心臓マッピングに関連する位置または位置感知機能を実行し得る(例えば、カテーテル401の位置および/または配向を決定する)。
【0100】
平面アレイ401は、組織(例えば、心臓組織)に適合するように適応され得る。例えば、平面アレイが組織に接触する場合、各支柱4101-5は、組織に適合するように独立して偏向してもよい。平面アレイが組織に適合して偏向する能力は、平面アレイが、輪郭形成された、不規則な、または小柱形成された組織と接触する場合に、特に有益であり得る。いくつかの実施形態では、支柱410(または支柱の下部構造)は、ニチノールおよび/または可撓性基板などの可撓性またはばね状材料から構成されてもよい。
【0101】
本開示で開示される平面アレイ401の様々な実施形態が、支柱4101-5に結合されたリング電極4111-Nで示されるが、支柱に結合されたスポット型電極を有する実施形態が容易に想定される。さらに、さらなる実施形態では、平面アレイの支柱は、プリント回路製造技術に適合する可撓性薄膜を含むことができ、及び/又は支柱の構造要素(例えば、ニチノールベースの構造要素)に結合されたそのような薄膜を有することができる。そのような実施形態では、スポット型電極は、支柱自体の上に印刷されてもよい。本開示の可撓性プリント回路の実施形態では、プリント電極は、1つまたは複数の薄膜層上またはその内部に延在するトレースを介して、信号処理回路および/またはドライバ回路に電気的に結合されてもよい。
【0102】
本開示のいくつかの実施形態では、平面アレイ401は、カテーテルシャフト405の長さにわたって延在する操縦ワイヤを含んでもよい。カテーテルシャフト405が平面アレイ41の支柱410
1-5に連結するブッシング408に到達するよりも前に、操縦ワイヤは、操縦ワイヤの近位端から力を受け、患者の血管系を通してカテーテルシャフト405および平面アレイ401を操縦することを容易にする1つ以上の操縦リングに連結され得る。
図4Aにさらに示されるように、支柱410
1-5の各々は、支柱の長さに沿って分散された複数の極411
1-Nを含む。本実施形態では、各電極は、隣り合う各電極から等間隔(D
A)に配置されている。制御回路が平面アレイ401内の電極の双極対からの電気信号をサンプリングすると、双極対の各々は、電極と接触している組織の健全性を示す様々な電気特性を検出する。5つの支柱410
1-5は、電極411
1-Nが間隔をあけた関係を維持するように設計されており、その結果、各々の双極対の電極が既知の距離にわたって組織の電気生理学的データを捕捉する。
【0103】
第2の構成で示されるように、
図4Bの平面アレイ401’は、臨床医によって作動された支柱410
1-5を含む。作動は、隣り合う支柱上の電極411
1-N間の距離をD
AからD
Bに変化させる(D
Bは既知の距離である)。勿論、支柱410の長さに沿って延びる電極間の距離は、作動に応じて変化しないであろう。隣接する支柱間の電極間隔の変化は、標的組織の可変粒度電気生理学マッピングを容易にする。支柱の偏向は、カテーテルの長手方向軸に対して少なくとも横方向に、標的組織のより全体的なマッピングを容易にする。
【0104】
図5Aは、電気生理学的マッピングカテーテル501の遠位端582から延在し、全体的マッピングのために構成された、複数の展開されたカテーテルレット576Aの等角側面図である。
【0105】
図5Aでは、カテーテルレット576Aの各々の遠位部分588は、遠位部分がシース572を越えて延びるときに「L」字形を形成する。この実施形態では、カテーテルレット576Aは、シース572の長手方向軸(軸A-Aによってさらに画定される)と概ね平行である近位部分586と、カテーテルレットが完全に伸長したときにシースに対して垂直に伸長するカテーテルレットの遠位部分とを有する。このカテーテルレット構成は、約90°の角度を作り出す。したがって、各カテーテルレットの遠位部分588およびその上の対応する電極584は、軸A-Aに対して垂直に延在する平面上に配置される。
【0106】
複数のカテーテルレット576Aは、肺静脈の洞および口などの複雑な心内膜トポロジーの変形に適合するように撓むことができる。複数のカテーテルレット576Aの可撓性は、(例えば、肺静脈分離のための)組織の「ワンショット」アブレーション治療を容易にする。電極584はまた、電気生理学的診断のために利用され得る。様々な患者のトポロジーを容易にするために、カテーテルレット576Aの延長部は、所与の患者の解剖学的構造に適合するように変更されてもよい(例えば、部分的にまたは完全に展開されてもよい)。さらに、各カテーテルレットは、不規則な表面に応答して屈曲することができ、それによって、電極アレイ全体にわたる改善された組織接触を容易にする。
【0107】
複数のカテーテルレット576Aの各々は、1つ以上の電極584を含み得る。電極は、電気生理学的マッピングおよび/または組織へのアブレーション治療の送達のために使用され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルレットは、2つ以上の電極を含むことができる。例えば、第2の電極584は、カテーテルレットに沿って近位に配置され得る。第2の電極584は、組織と接触するように延長されると、電気生理学的マッピングおよび/または組織へのアブレーション治療の送達をさらに容易にすることができる。あるいは、第2の電極584は、磁気ベースの、インピーダンスベースの、またはハイブリッドタイプのカテーテル位置特定を容易にするための位置特定電極として機能し得る。
【0108】
図5Aに示されるように、電気生理学的マッピングカテーテル501は、領域の全体的な電気生理学的マッピングのための第1の構成で構成される。しかしながら、いくつかの用途では、全く異なるカテーテルを必要とせずに、組織の局所電気生理学マッピングを行うことがさらに望ましい場合がある。
【0109】
図5Bは、局所マッピングのために構成された
図5Aの複数の展開されたカテーテルレット(第2の構成501’)の上面図である。
図5Bでは、多数のカテーテルレット576Aが軸A-Aに対して回転されて、高密度アレイ領域512
1-2を形成している。高密度アレイ領域では、2つ以上のカテーテルレット(およびそれによってそれらのそれぞれの電極584)が近接して配置される。これらの高密度アレイ領域において、増加した電気生理学的マッピング密度が達成され得る。
【0110】
図6Aは、電気生理学的マッピングカテーテル601の遠位端682から延びる複数の展開されたカテーテルレット696の等角側面図であり、カテーテルレットは、本開示の様々な実施形態に一致する、全体的マッピングのために構成される。展開されると、マッピングカテーテル601は、全体的なマッピング構成において、D
1の直径を有する。
【0111】
図6Aでは、各カテーテルレット696の遠位部分602は、カテーテルレットがシース672を越えて延びるときに、中間領域600と共に「L」字形を形成する。各カテーテルレットの遠位部分および中間領域は、カテーテルレットがシースから延びるときに、近位部分698(軸A-Aによってさらに画定される)に実質的に垂直である平面に沿って延びる。したがって、各カテーテルレットの遠位部分602および中間領域600は、軸A-Aに対して垂直に延びる平面上に配置される。
【0112】
複数の複合カテーテルレット696は、複雑な心内膜トポロジーの変化に適合するように撓むことができる。複数のカテーテルレット696の可撓性は、電極684Aを介した組織の「ワンショット」アブレーション治療を可能にすることができる。各カテーテルレット696の遠位部分602上の電極684Aはまた、電気生理学的診断のために利用され得る。様々な患者のトポロジーを容易にするために、カテーテルレット696の延長部は、所与の患者の解剖学的構造に適合するように変更されてもよい(例えば、部分的にまたは完全に展開されてもよい)。さらに、各カテーテルレットは、不規則な表面に応答して屈曲することができ、それによって、電極アレイ全体にわたる改善された組織接触を容易にする。
【0113】
複数のカテーテルレット696の各々は、1つ以上の電極を含み得る。例えば、本実施形態では、遠位部分602は、1つ以上の電極684Aを含んでもよく、中間領域600は、1つ以上の電極684Bを含んでもよい。電極は、電気生理学的マッピングおよび/または組織へのアブレーション治療の送達のために使用され得る。いくつかの特定の実施形態では、電極684Aは、アブレーション治療および/または電気生理学的診断を行うために使用されてもよく、電極684Bは、電気生理学的診断を行うために使用されてもよい。カテーテルレットは、第3の電極684Cをさらに含むことができる。第3の電極684Cは、磁気ベース、インピーダンスベース、またはハイブリッドタイプのカテーテル位置特定システム内でのカテーテル601の遠位先端の位置特定を容易にするための位置特定電極として機能することができる。
【0114】
図6Aに示されるように、電気生理学的マッピングカテーテル601は、領域の全体的な電気生理学的マッピングのための第1の構成で構成される。しかしながら、いくつかの用途では、全く異なるカテーテルを必要とせずに、組織の局所電気生理学マッピングを行うことがさらに望ましい場合がある。
図6Bは、
図6Aの複数の展開されたカテーテルレットの上面図であり、カテーテルレットは、局所マッピングのために構成される(第2の構成601’)。この第2の局所マッピング構成では、マッピングカテーテルの直径はD
1より小さいD
2である。
【0115】
図6Bでは、多数のカテーテルレット696が、軸A-Aに対して回転されて、高密度アレイ領域612が形成されている。高密度アレイ領域では、2つ以上のカテーテルレット(およびそれによってそれらのそれぞれの電極684A)が近接して配置される。この高密度アレイ領域では、増大した電気生理学的マッピング密度を達成することができる。
図5Bを参照して上述したように、
図6Bの実施形態は、2つ以上の高密度アレイ領域を有するようにさらに構成されてもよい。
【0116】
2016年10月28日に出願された米国仮出願第62/414,634号、2017年10月13日に出願された米国仮出願第62/572,186号、および2017年10月25日に出願された米国仮出願第15/793,093号は全て、概して可撓性の高密度マッピングカテーテルに関するものであり、参照により本明細書に完全に記載されているかのように組み込まれる。
【0117】
高密度電極カテーテルの様々な実施形態が本明細書に開示されるが、本開示の教示は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、以下の特許および特許出願に容易に適用され得る。:2013年1月16日に出願された米国仮出願第61/753,429号;2007年5月23日に出願された米国仮出願第60/939,799号;2007年9月11日に出願された米国出願第11/853,759号、現在2012年5月29日に発行された米国特許第8,187,267号;2007年7月3日に出願された米国仮出願第60/947,791号;2008年7月3日に出願された米国出願第12/167,736号、現在2012年6月26日に発行された米国特許第8,206,404号;2011年1月20日(371日)に出願された米国出願第12/667,338であって、米国特許出願公開第2011/0118582A1号;2009年12月31日に出願された米国出願第12/651,074号であって、米国特許出願公開第2010/0152731A1号;2009年5月7日に出願された米国出願第12/436,977号であって、米国特許出願公開第2010/0286684A1号;2010年3月12日に出願された米国出願第12/723,110号であって、米国特許出願公開第2010/0174177A1号;2010年6月16日に出願された米国仮出願第61/355,242号;2010年12月30日に出願された米国出願第12/982,715号であって、米国特許出願公開第2011/0288392A1号;2011年6月14日に出願された米国出願第13/159,446号であって、米国特許出願公開第2011/0313417A1号;2011年6月16日に出願された国際出願第PCT/US2011/040629号であって、国際出願公開第WO2011/159861A2;2011年6月16日に出願された米国出願第13/162,392号であって、米国特許出願公開第2012/0010490A1号;2012年12月16日に出願された米国出願第13/704,619号であって、この出願は、国際公開第WO2011/159955 A1として公開された2011年6月16日に出願された国際出願第PCT/US2011/040781号の国内段階である。
【0118】
さらなる情報および例は、2018年6月7日に出願された米国仮出願第62/681,928号に見出すことができ、これは、本明細書に完全に開示されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
本開示の様々な実施形態は、OIS/OTアルゴリズムと共に高密度電極カテーテルを使用することを対象とするが、本開示の教示は、様々な他のアルゴリズムタイプに容易に適用され得る。例えば、本開示と一致する実施形態は、以下の刊行物に開示される電極信号後処理技術および電気生理学マッピングアルゴリズムを利用することができ、これは、本明細書に完全に開示されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。: Magtibay et al. JAHA 2017(J Am Heart Assoc.2017;6:e006447.DOI: 10.1161/JAHA.117.006447)(例えば、6ページ及び7ページ、ならびに「Omnipoles Provide the Largest Possible Bipolar Voltages」と題するセクションを参照);及び、Haldar et al. Circulation AE 2017 (Circ Arrhythm Electrophysiol. 2017; 10: e005018DOI: 10.1161/CIR CEPCEP.117.005018)(例えば、6ページ、「Omnipolar Voltage Amplitude Correlates to Largest Measurable Bipolar Vpp」と題するセクション及び
図4を参照)。
【0120】
本明細書で提示される様々な実施形態は、可撓性電子回路に結合されたスポット電極の適用を受け入れることができ、可撓性電子回路は、それぞれ平面カテーテルおよびバスケットカテーテルのスプラインおよび支柱を(部分的に)備えることもできる。さらに他の実施形態は、スプラインおよび支柱に圧着またはスエージ加工され、当技術分野で周知の材料を含むリング電極の使用を対象とすることができる。リング電極は、リード線を用いて信号処理回路に電気的に結合される。スプライン及び支柱に沿って配置されたリング電極は、それらの間に既知の間隔を有する電極の双極対を形成する。さらに他の実施形態では、リング電極は、本明細書に開示される様々なカテーテルのスプラインおよび/または支柱の少なくとも一部を備える可撓性回路基板上にスエージ加工または圧着されてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態が、ある程度の特殊性を伴って上記で説明されたが、当業者は、本開示の精神から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を行うことができる。上記の説明に含まれるか、または添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものにすぎず、限定するものではないと解釈されるべきであることが意図される。本教示から逸脱することなく、詳細または構造の変更を行うことができる。前述の説明および以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての修正および変形を網羅することを意図している。
【0122】
本明細書では、様々な装置、システム、および方法の様々な実施形態について説明する。本明細書に記載され、添付の図面に示されるような実施形態の全体的な構造、機能、製造、および使用の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、実施形態は、そのような特定の詳細なしに実施されてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。他の例では、周知の動作、構成要素、および要素は、本明細書で説明される実施形態を曖昧にしないように、詳細には説明されていない。当業者は、本明細書に記載され図示された実施形態が非限定的な例であることを理解し、したがって、本明細書に開示された特定の構造および機能の詳細は、代表的なものであってもよく、必ずしも実施形態の範囲を限定するものではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解することができる。
【0123】
本明細書全体を通して「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、「実施形態」などと言及することは、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味し、したがって、本明細書全体を通して場所における「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「1つの実施形態において」、「1つの実施形態において」などの語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を言及しているわけではない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。したがって、1つの実施形態に関連して図示または説明された特定の特徴、構造、または特性は、限定することなく、1つまたは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と、全体的にまたは部分的に組み合わせることができる。
【0124】
用語「近位」および「遠位」は、患者を治療するために使用される器具の一端を操作する臨床医に関して本明細書全体にわたって使用されてもよいことが理解されるであろう。用語「近位」は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、用語「遠位」は、臨床医から最も遠くに位置する部分を指す。簡潔さおよび明瞭さのために、「垂直」、「水平」、「上」、および「下」などの空間用語が、図示された実施形態に関して本明細書で使用されてもよいことがさらに理解されるであろう。しかし、外科用器具は、多くの向きおよび位置で使用され得、これらの用語は、限定的かつ絶対的であることを意図されない。
【0125】
参照により本明細書に組み込まれると言われている特許、出版物、または他の開示材料は、その全体または一部が、組み込まれた材料が、本開示に記載されている既存の定義、ステートメント、または他の開示材料と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する材料に取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載されている既存の定義、ステートメント、または他の開示材料と矛盾する任意の材料またはその一部は、組み込まれた材料と既存の開示材料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
平面アレイカテーテルであって、
近位端及び遠位端を有しており、長手方向軸を画定する細長いカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位端に連結されている可撓性の平面アレイであって、組織に適合するように構成されており、前記長手方向軸と実質的に平行に延在するとともに共通の平面内に位置する2つ以上の支柱を有しており、前記支柱の各々がその上に取り付けられた複数の電極を有している、平面アレイと、を備えており、
前記平面アレイはさらに、前記支柱間の調整可能な相対間隔によって構成されており、これにより、前記複数の電極の面積密度が可変である、平面アレイカテーテル。
(項目2)
前記平面アレイはさらに、
前記複数の電極が、前記支柱の各々の長さに沿って、及び、隣接する前記支柱をまたがって、等間隔に配置される第1の構成と、
隣接する前記支柱をまたがる前記電極の間隔が、前記支柱の各々の長さに沿った前記電極の間隔とは異なる第2の構成と、で動作するように構成されている、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目3)
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結されているカテーテルハンドルと、
前記カテーテルシャフト内の管腔及び前記平面アレイの前記支柱のうちの1つを通って延在しているプルワイヤと、をさらに備えており、
前記プルワイヤは、前記カテーテルハンドル及び前記平面アレイの前記遠位端に連結されており、
前記プルワイヤは、前記カテーテルハンドルでの臨床医による前記プルワイヤの作動に応答し、前記支柱のうちの1つ以上を偏向させ、それによって、隣接する前記支柱をまたがる前記電極の相対間隔を調整するように構成されている、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目4)
前記複数の電極のうちの1つ以上がスポット電極であり、前記支柱のうちの1つ以上が前記複数の電極に通信可能及び機械的に結合されている可撓性電子回路基板を有している、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目5)
前記複数の電極の隣接する電極間の中心間距離は、0.1~4ミリメートルであり、前記複数の電極は、接触した組織の電気的特性を少なくとも2つの実質的な横方向に沿ってサンプリングするように構成されている、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目6)
前記複数の電極は、前記平面アレイカテーテルと接触する前記組織の電気的特性を収集するように構成されており、前記組織の収集された電気特性は、前記組織に対する前記平面アレイカテーテルの向きとは無関係である、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目7)
前記複数の電極は、前記接触した組織の電気的特性をサンプリングするように構成されており、前記サンプリングされた電気的特性は、前記組織に対する前記平面アレイカテーテルの向きとは無関係に、前記接触した組織の電気的特性を集合的に示す、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目8)
前記平面アレイが、前記平面アレイの隣接する前記支柱上の電極を含む双極電極対を有している、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目9)
前記平面アレイが、前記平面アレイの隣接する前記支柱をまたがって斜めに延在する双極電極対を有している、項目1に記載の平面アレイカテーテル。
(項目10)
前記双極電極対は、前記接触した組織の電気的特性をサンプリングするように構成されており、前記サンプルは、前記組織に対する前記平面アレイカテーテルの向きとは無関係に、前記接触した組織の電気的特性を集合的に示す、項目8に記載の平面アレイカテーテル。
(項目11)
バスケットカテーテルであって、
近位端及び遠位端を有している細長いカテーテルシャフトと、
複数のスプラインを有しており、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に連結されており、組織に適合するように構成されている可撓性バスケットカテーテルと、
前記スプラインに取り付けられている電極と、を備えており、
前記バスケットカテーテルはさらに、前記スプライン間の調整可能な相対間隔によって構成されており、これにより、前記複数の電極の面積密度が可変である、バスケットカテーテル。
(項目12)
前記スプラインは、
前記カテーテルの長手方向軸の周りにおいて円周方向に均等に分布された前記複数のスプラインを有する全体的電気生理学的マッピング構成と、
前記カテーテルの長手方向軸の周りにおいて円周方向に不均一に分布された複数のスプラインを有する局所電気生理学的マッピング構成と、で動作するように構成されている、項目11に記載のバスケットカテーテル。
(項目13)
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結されている作動機構をさらに備えており、
前記作動機構は、臨床医からの制御入力に応答し、前記カテーテルの長手方向軸の周りで前記スプラインのうちの1つ以上を回転させ、それによって、前記スプラインをまたがる前記電極の相対間隔を変化させるように構成されている、項目11に記載のバスケットカテーテル。
(項目14)
前記バスケットカテーテルは、前記局所電気生理学マッピング構成において、1つ以上の高密度電極アレイ領域を形成する、項目12に記載のバスケットカテーテル。
(項目15)
前記電極はスポット電極であり、前記スプラインは前記複数の電極に通信可能及び機械的に結合されている可撓性電子回路基板を有している、項目11に記載のバスケットカテーテル。
(項目16)
前記スプラインの長さに沿った前記電極間の中心間距離は、0.1~4ミリメートルであり、前記複数の電極は、接触した組織の電気的特性を少なくとも2つの実質的な横方向に沿ってサンプリングするように構成されている、項目11に記載のバスケットカテーテル。
(項目17)
前記複数の電極は、前記バスケットカテーテルと接触する組織の電気的特性を収集するように構成されており、前記組織の収集された電気的特性は、前記組織に対する前記バスケットカテーテルの向きとは無関係である、項目11に記載のバスケットカテーテル。
(項目18)
前記複数の電極は、前記接触した組織の電気的特性をサンプリングするように構成されており、前記サンプリングされた電気的特性は、前記組織に対する前記バスケットカテーテルの向きとは無関係に、前記接触した組織の電気的特性を集合的に示す、項目11に記載のバスケットカテーテル。