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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A47J27/00 103Q
A47J27/00 105Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021010295
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114132
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】藤川 弘康
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-183848(JP,A)
【文献】特開平08-243014(JP,A)
【文献】特開平07-000298(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0061176(KR,A)
【文献】中国実用新案第209629431(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端外面に対向して一対の釜持手が設けられた内釜を備える炊飯器であって、
釜持手は、内釜の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態と、内釜の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態とに、釜持手の位置が切換え可能な構成とし、
釜持手は、内釜の上端外面に固定される支持台と、支持台に取り付けられる持手軸と、持手軸に軸支される持手金具と、持手金具に取り付けられる持手部とを備え、
持手金具は、持手軸が貫通される回転軸孔を有し、
持手金具の回転軸孔を長孔形状とし、釜持手が第1状態のときに持手金具を持手軸に対して内釜の径方向にスライド移動させて回転可能にして第2状態に切換え可能な構成とし、
支持台には、基端部側に第1突起が設けられ、先端部側に第2突起が設けられ、
持手金具が第1突起及び第2突起に当接して釜持手が第1状態の姿勢に保持され、
釜持手が第1状態のときに持手金具をスライド移動させ第1突起の当接位置から外れると持手金具が回動可能となり、
釜持手が第2状態のときに持手金具を上方へ回動させ第2突起に当接すると釜持手が第1状態となる姿勢に保持される、炊飯器。
【請求項2】
上端外面に対向して一対の釜持手が設けられた内釜を備える炊飯器であって、
釜持手は、内釜の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態と、内釜の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態とに、釜持手の位置が切換え可能な構成とし、
釜持手は、内釜の上端外面に固定される支持台と、支持台に取り付けられる持手軸と、持手軸に軸支される持手金具と、持手金具に取り付けられる持手部とを備え、
持手金具は、持手軸が貫通される回転軸孔を有し、
持手金具の回転軸孔を長孔形状とし、釜持手が第1状態のときに持手金具を持手軸に対して内釜の径方向にスライド移動させて回転可能にして第2状態に切換え可能な構成とし、
持手金具にカム板が取り付けられ、
釜持手が第1状態の姿勢位置に固定されるようにカム板を持手軸に係合させて持手金具をロックする構成とする炊飯器。
【請求項3】
上端外面に対向して一対の釜持手が設けられた内釜を備える炊飯器であって、
釜持手は、内釜の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態と、内釜の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態とに、釜持手の位置が切換え可能な構成とし、
釜持手は、内釜の上端外面に固定される支持台と、支持台に取り付けられる持手軸と、持手軸に軸支される持手金具と、持手金具に取り付けられる持手部とを備え、
持手金具は、持手軸が貫通される回転軸孔を有し、
持手金具の回転軸孔を長孔形状とし、釜持手が第1状態のときに持手金具を持手軸に対して内釜の径方向にスライド移動させて回転可能にして第2状態に切換え可能な構成とし、
持手金具にバネ材が取り付けられ、
釜持手が第1状態の姿勢位置に固定されるようにバネ材を持手軸に係合させて持手金具をロックする構成とする炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の釜持手が設けられた内釜を備える炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器に使用される内釜の釜持手は、内釜の径方向外方に突出した姿勢で内釜に固定された固定式のもの(特許文献1の図13)、下方に自重で折り畳まれる可倒式のもの(特許文献2の図2等)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-193927号公報
【文献】特開平7-194320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定式の釜持手を設けた内釜では、上下二段等からなる炊飯器用の専用置台の下段に炊飯器を設置する際、左右の釜持手を含む横幅が専用置台の横幅を超えてしまい、専用置台に対して並行に左右の釜持手を配置すると、釜持手が専用置台の枠に干渉してしまう場合がある。そのため、専用置台に対して、釜持手が四角形状の棚の対角に配置されるようにしなければならないという配慮が必要となり、取り扱いが面倒なものであった。
【0005】
一方、可倒式の釜持手を設けた内釜では、内釜を洗うとき等のお手入れ時等の際、釜持手が動くことにより、取り扱いに注意を要し、作業性に劣るものであった。また、保温機能を有しない炊飯器では、炊飯後、内釜を取り出して、内釜のご飯を電子ジャー等に移し替えるときに内釜を傾けたりひっくり返したりする等の際、釜持手が動いて作業がしづらいというものでもあった。
【0006】
このように、内釜の釜持手が固定式のものと可倒式のものとは、状況によって一長一短がある構成となっていた。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、様々な状況に応じて内釜の釜持手の姿勢位置を対応可能な構成にして、使用者の使い勝手を向上することが可能な炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る炊飯器は、
上端外面に対向して一対の釜持手が設けられた内釜を備える炊飯器であって、
釜持手は、内釜の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態と、内釜の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態とに、釜持手の位置が切換え可能な構成とし、
釜持手は、内釜の上端外面に固定される支持台と、支持台に取り付けられる持手軸と、持手軸に軸支される持手金具と、持手金具に取り付けられる持手部とを備え、
持手金具は、持手軸が貫通される回転軸孔を有し、
持手金具の回転軸孔を長孔形状とし、釜持手が第1状態のときに持手金具を持手軸に対して内釜の径方向にスライド移動させて回転可能にして第2状態に切換え可能な構成とし、
支持台には、基端部側に第1突起が設けられ、先端部側に第2突起が設けられ、
持手金具が第1突起及び第2突起に当接して釜持手が第1状態の姿勢に保持され、
釜持手が第1状態のときに持手金具をスライド移動させ第1突起の当接位置から外れると持手金具が回動可能となり、
釜持手が第2状態のときに持手金具を上方へ回動させ第2突起に当接すると釜持手が第1状態となる姿勢に保持される、構成とする。
【0009】
前記構成より、内釜を洗うとき等のお手入れ時等には、釜持手を内釜の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態とすることで、釜持手が動くことなく固定され、お手入れ作業を行いやすくすることができる。また、炊飯後に内釜を取り出したり持ち運んだり、また、内釜内のご飯を電子ジャー等に移し替えるときに内釜を傾けたりひっくり返したりする等の作業の際も、内釜の釜持手を第1状態とすることにより、釜持手が動くことなく固定されるから、前記のような作業を行いやすくすることができる。
【0010】
一方、専用置台の下段に炊飯器を設置する際は、釜持手を内釜の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態とすることで、左右の釜持手を含む内釜の横幅をコンパクトにできるので、内釜の釜持手が専用置台の枠に干渉しないようにすることができる。従って、内釜の釜持手の配置を気にせず好きな向きにして炊飯器を専用置台に載置することができる。例えば、専用置台に対して、左右の釜持手の向きを並行に配置させて、内釜を専用置台に載せたり取り出したりする作業を行いやすくすることができる。
【0011】
このように、内釜の釜持手の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換え可能とすることにより、一つの内釜で様々な状況に対応して取り扱いを便利にすることができ、使い勝手を向上することができる。
【0013】
また、簡単な操作で釜持手の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換えられるようにすることができる。従って、釜持手の姿勢位置の切換えを状況に応じてその場で簡単に行うことができ、使い勝手を向上することができる。また、釜持手の姿勢位置を切換え可能とする構成を簡単な構成で実現することができる。従って、このような姿勢位置の切換えが可能な釜持手を容易に製造でき、また、コストも抑えることができる。
【0014】
また、本発明に係る炊飯器は、
上端外面に対向して一対の釜持手が設けられた内釜を備える炊飯器であって、
釜持手は、内釜の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態と、内釜の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態とに、釜持手の位置が切換え可能な構成とし、
釜持手は、内釜の上端外面に固定される支持台と、支持台に取り付けられる持手軸と、持手軸に軸支される持手金具と、持手金具に取り付けられる持手部とを備え、
持手金具は、持手軸が貫通される回転軸孔を有し、
持手金具の回転軸孔を長孔形状とし、釜持手が第1状態のときに持手金具を持手軸に対して内釜の径方向にスライド移動させて回転可能にして第2状態に切換え可能な構成において、
持手金具にカム板が取り付けられ、釜持手が第1状態の姿勢位置に固定されるようにカム板を持手軸に係合させて持手金具をロックする構成、又は、持手金具にバネ材が取り付けられ、釜持手が第1状態の姿勢位置に固定されるようにバネ材を持手軸に係合させて持手金具をロックする構成とすることができる。これにより、釜持手を第1状態の姿勢位置に固定されるように確実にロックできる。従って、釜持手が第1状態のときに不用意に動かないように固定することができ、また、不用意に釜持手が第1状態から第2状態に切換わるような誤動作の心配もない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1の炊飯器を示す正面図である。
図2】実施形態1の炊飯器の内釜において、釜持手の姿勢位置が第1状態の場合と第2状態の場合とを示す正面図である。
図3】実施形態1の炊飯器の内釜において、釜持手の姿勢位置が第1状態の場合の釜持手部分を拡大して示す斜視図である。
図4】実施形態1における内釜の釜持手の構成部品を分解して示す分解斜視図である。
図5】実施形態1における内釜の釜持手の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換える過程を示す模式図である。
図6】実施形態2における内釜の釜持手の構成部品を分解して示す分解斜視図である。
図7】実施形態2における内釜の釜持手の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換える過程を示す模式図である。
図8】専用置台に炊飯器が設置された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の炊飯器は、三升以上等の大量にご飯を炊くことができる業務用のガス炊飯器に適用したものであるが、本発明は、業務用ガス炊飯器に限らず、電気式の炊飯器や家庭用の炊飯器(ガス炊飯器又は電気炊飯器)に適用することもできる。また、本実施形態の炊飯器6は、図8に示すように、専用置台5の上下二段の棚50に設置して使用することができる。
【0017】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1の炊飯器6は、内釜10と、内釜10を包囲する上ケース41と、上ケース41を配設し且つガスバーナを収容する下ケース42とを備えている。内釜10の上方開放部には蓋40が配設される。内釜10は、上端外面の対向位置に一対の釜持手1が上ケース41の外面よりも外方に突出するように設けられている。下ケース42には、ガスホースを接続する接続管44が突設され、また、下ケース42の外面に点火レバー43が設けられている。点火レバー43を押し下げることでガスバーナが点火され、内釜10が加熱されて炊飯が実行される。
【0018】
内釜10の釜持手1は、図2に示すように、内釜10の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態(図2(a))と、内釜10の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態(図2(b))とに、釜持手1の姿勢位置を切換えできるように構成されている。
【0019】
釜持手1は、図3図4に示すように、内釜10の上端外面に固定される支持台100と、支持台100に取り付けられる持手軸13と、持手軸13に軸支される持手金具11と、持手金具11に取り付けられる持手部12とを備えている。支持台100は、内釜10の上方外面にリベット等で固定される基台101と、基台101の両端から内釜10の径方向外方へ突出する一対の水平台102と、一対の水平台102の先端側の所定範囲に垂下する垂下台103とを有する。また、水平台102の下面には、第1突起22と第2突起23とが下方に突出するように設けられている。第1突起22及び第2突起23は、一対の垂下台103の対向する面側に設けられ、第1突起22は水平台102の基端部側に設けられ、第2突起23は水平台102の先端部側に設けられている。
【0020】
持手軸13は、一対の垂下台103の対向位置に設けられた丸孔10aに貫通させて取り付けられる。持手金具11は、略コ字状に形成されており、持手軸13に回転可能に軸支される一対の回転板111と、回転板111の基端部相互を連結する連結板112とを有する。持手部12は、一対の回転板111の先端部に差込軸14を介してネジ止めして取り付けられる。
【0021】
一対の回転板111の基端部には、持手軸13が貫通される回転軸孔11aが対向した位置に設けられている。回転軸孔11aは、回転板111の長手方向に延びる楕円形をした長孔形状に形成されている。回転軸孔11aの長孔形状の短径は、持手軸13が挿通可能な大きさに設定されている。回転軸孔11aの長手方向の両端のうち、回転板111の先端部側寄りの端部を一端131とし、基端部側寄りの端部を他端132とする。
【0022】
一対の回転板111の一方には、回転軸孔11aの一端131の近傍にカム板2が回転自在に設けられている。カム板2は、持手軸13に上方から係合可能な円弧状カム部20と、カム板2を上方に回転操作するために下向きに突出する操作突部21とが設けられている。
【0023】
内釜10に釜持手1を組み付けるには、支持台100を内釜10の上方外面にリベット等で固定し、支持台100の垂下台103の丸孔10aに、カム板2を取り付けた回転板111の回転軸孔11aを合わせて持手軸13を挿通させて持手金具11を取り付け、持手金具11の回転板111の先端側部分に差込軸14を介して持手部12を取り付けることで、釜持手1が内釜10に組み付けられる。
【0024】
釜持手1は、持手金具11の回転軸孔11aの一端131に持手軸13が配置される位置では、回転板111の基端部の上端が水平台102の下面に突設する第1突起22及び第2突起23に当接して、持手金具11が下方へ倒れる方向に回転することが阻止され、持手金具11及び持手部12が水平となった姿勢に保持される。この釜持手1の状態が、釜持手1が内釜10の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態である(図5(a)参照)。この第1状態では、カム板2の円弧状カム部20が持手軸13に上方から係合することにより、持手金具11が内釜10の径方向外方に移動しないようにロックされる。これにより、釜持手1は、この第1状態の姿勢位置に固定されるようにカム板2によって確実にロックされる。従って、第1状態のときに、釜持手1が不用意に動かないように固定され、また、釜持手1が不用意に第1状態から次に述べる第2状態に切換わるような誤動作を起こす心配もない。よって、釜持手1の第1状態では、内釜10は、いわば固定式の釜持手1を有するものとして使用することができる。
【0025】
図5を参照して、第1状態の釜持手1において、カム板2の操作突部21を内釜10側へ押してカム板2を上方に回転させると(図5(a)(b)参照)、円弧状カム部20の持手軸13への係合が外れてカム板2によるロックが解除される。このロック解除状態で持手部12を外方へ引っ張ると、持手金具11は、回転板111の回転軸孔11aの他端132に持手軸13が当接されるまでスライド移動する(図5(c)参照)。すると、持手金具11の回転板111は、基端部の上端に水平台102の下面の第1突起22が当接していた位置から外れるため、持手金具11及持手部12が自重によって下方へ回転して下向きに折り畳まれる(図5(d)参照)。この釜持手1の状態が、釜持手1が内釜10の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態である。釜持手1の第2状態では、内釜10は、いわば可倒式の釜持手1を有するものとして使用することができる。このようにして、内釜10の釜持手1の姿勢位置を第1状態から第2状態へと切換えることができる。
【0026】
第2状態の釜持手1において、持手部12を持ち上げて持手金具11を上方へ回転させると(図5(d)→図5(c))、回転板111の上端に水平台102の下面の第2突起23が当接して回転板111が水平姿勢に保持され、この状態で持手部12を内釜10側へ押し込むと、持手金具11は、回転板111の回転軸孔11aの一端131に持手軸13が当接するまでスライド移動する(図5(c)→図5(b))。同時に、カム板2が持手軸13に押し上げられて、円弧状カム部20が持手軸13に上方から係合する(図5(a))。これにより、釜持手1が第1状態の姿勢位置となり固定される。このようにして、内釜10の釜持手1の姿勢位置を第2状態から第1状態へと切換えることができる。
【0027】
以上のように、実施形態1における内釜10は、釜持手1の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換え可能な構成となっている。この構成より、内釜10を洗うとき等のお手入れ時等には、釜持手1を内釜10の径方向外方に突出した姿勢の位置に固定される第1状態とすることで、釜持手1が動くことなく固定され、お手入れ作業を行いやすくすることができる。また、炊飯後に内釜10を取り出したり持ち運んだり、また、内釜10内のご飯を電子ジャー等に移し替えるときに内釜10を傾けたりひっくり返したりする等の作業の際も、内釜10の釜持手1を第1状態とすることにより、釜持手1が動くことなく固定されるから、前記のような作業を行いやすくすることができる。
【0028】
一方、図8に示すように、専用置台5の下段の棚50に炊飯器6を設置する際は、釜持手1を内釜10の外面に沿って倒した姿勢の位置に折り畳まれる第2状態とすることで、左右の釜持手1を含む内釜10の横幅をコンパクトにできるので、内釜10の釜持手1が専用置台5の枠51に干渉しないようにすることができる。従って、内釜10の釜持手1の配置を気にせず好きな向きにして炊飯器6を専用置台5に載置することができる。例えば、専用置台5に対して、左右の釜持手1の向きを並行に配置させて、内釜10を専用置台5に載せたり取り出したりする作業を行いやすくすることができる。
【0029】
このように、内釜10の釜持手1の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換え可能とすることにより、一つの内釜10で様々な状況に対応して取り扱いを便利にすることができ、使い勝手を向上することができる。
【0030】
また、持手金具11の回転軸孔11aを長孔形状とし、釜持手1が第1状態のときに持手金具11を持手軸13に対して内釜10の径方向にスライド移動させて回転可能にして第2状態に切換え可能な構成とする(図5参照)。これにより、簡単な操作で釜持手1の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換えられるようにすることができる。従って、釜持手1の姿勢位置の切換えを状況に応じてその場で簡単に行うことができ、使い勝手を向上することができる。また、釜持手1の姿勢位置を切換え可能とする構成を簡単な構成で実現することができる。従って、このような姿勢位置の切換えが可能な釜持手1を容易に製造でき、また、コストも抑えることができる。
【0031】
実施形態2
実施形態2では、釜持手1が第1状態の姿勢位置に固定するためにバネ材3を用いたものである。すなわち、実施形態1では、カム板2を用いたのに対し、実施形態2では、カム板2に代えて、図6図7に示すように、バネ材3を持手金具11に取り付けるようにしたものである。
【0032】
バネ材3は、略コ字状に折り曲げた線材から形成され、持手金具11の連結板112に沿わせた連結軸部32と、連結軸部32の両端から回転板111に沿わせて連設する一対の揺動軸部31とを有する。連結軸部32の中央位置には、連結板112に向かって円弧状に突出する凸部30が形成され、揺動軸部31の基端部寄りの位置には、略S字状に屈曲させて持手軸13に上方から係合する係合凹部33が形成されている。
【0033】
バネ材3は、連結軸部32の凸部30を連結板112の中央位置に開口形成した横長孔15に差し込み、また、揺動軸部31の先端部を持手部12の脚部12a内に差し込むことで、持手金具11に取り付けられる。
【0034】
実施形態2における釜持手1は、図7(a)に示すように、第1状態として、持手金具11の回転軸孔11aの一端131に持手軸13が配置される位置にあるとき、バネ材3の係合凹部33が持手軸13に上方から弾性的に係合して、持手金具11が内釜10の径方向外方に移動しないようにロックされる。これにより、釜持手1は、この第1状態の姿勢位置に固定されるようにバネ材3によって確実にロックされる。従って、第1状態のとき、釜持手1は、不用意に動いたり第1状態から第2状態に切換わるような誤動作を起こす心配もない。よって、釜持手1の第1状態では、内釜10は、いわば固定式の釜持手1を有するものとして使用することができる。
【0035】
第1状態から第2状態へ切換えるには、持手金具11をバネ材3の弾性力に抗して強制的に引っ張ると、図7(b)に示すように、バネ材3の係合凹部33による持手軸13への係合が外れてバネ材3によるロックが解除され、持手金具11は、回転板111の回転軸孔11aの他端132に持手軸13が当接されるまでスライド移動する。すると、持手金具11の回転板111は、基端部の上端に水平台102の下面の第1突起22が当接していた位置から外れるため、図7(c)に示すように、持手金具11及持手部12が自重によって下方へ回転して下向きに折り畳まれる。これにより、内釜10の釜持手1の姿勢位置が第1状態から第2状態へと切換わる。この釜持手1の第2状態では、内釜10は、いわば可倒式の釜持手1を有するものとして使用することができる。
【0036】
第2状態から第1状態へ切換えるには、持手部12を持ち上げて持手金具11を上方へ回転させ、回転板111の上端に水平台102の下面の第2突起23が当接して回転板111が水平姿勢に保持された状態で(図7(c)→図7(b))、持手部12を内釜10側へ押し込むと、持手金具11は、回転板111の回転軸孔11aの一端131に持手軸13が当接するまでスライド移動する(図7(b)→図7(a))。同時に、バネ材3の係合凹部33が持手軸13に上方から係合する。これにより、釜持手1が第1状態の姿勢位置となり固定される。このようにして、内釜10の釜持手1の姿勢位置を第2状態から第1状態へと切換えることができる。
【0037】
以上のように、実施形態2でも、内釜10の釜持手1の姿勢位置を第1状態と第2状態とに切換え可能とすることにより、一つの内釜10で様々な状況に対応して取り扱いを便利にすることができ、使い勝手を向上することができる。実施形態2のその他の構成及び作用効果は、実施形態1の場合と同様である。
【0038】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。
例えば、持手金具11における長孔形状の回転軸孔11aとして、長手方向の両端に持手軸13の軸径と略同径以上の孔部を形成し、この両端の各孔部の間に持手軸13の直径よりも少し狭くなったくびれ部を形成したダルマ形の回転軸孔11aを設けるようにしてもよい。この場合、釜持手1が第1状態のとき、持手軸13がダルマ形回転軸孔11aの一方の孔部に配置されると、くびれ部によって持手軸13の移動が規制されることで、持手部12を外方へ強く引っ張らない限り、持手金具11が内釜10の径方向外方に移動することを阻止できる。従って、実施形態1、2のようにカム板2やバネ材3を用いなくても、釜持手1を第1状態の姿勢位置に固定することができる。また、持手部12を外方へ強く引っ張ってダルマ形回転軸孔11aの他方の孔部に持手軸13を配置すると持手金具11及び持手部12が下方へ回転して第2状態の姿勢位置とすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 釜持手
2 カム板
3 バネ材
5 専用置台
6 炊飯器
10 内釜
10a 丸孔
11 持手金具
11a 回転軸孔
12 持手部
12a 脚部
13 持手軸
14 差込軸
15 横長孔
20 円弧状カム部
21 操作突部
22 第1突起
23 第2突起
30 凸部
31 揺動軸部
32 連結軸部
33 係合凹部
40 蓋
41 上ケース
42 下ケース
43 点火レバー
44 接続管
50 棚
51 枠
100 支持台
101 基台
102 水平台
103 垂下台
111 回転板
112 連結板
131 一端
132 他端

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8