(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】物流費管理システム、物流費管理方法、及び物流費管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240704BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2021014009
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2020060896
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 二仁
(72)【発明者】
【氏名】福本 真己
(72)【発明者】
【氏名】池田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 昌平
(72)【発明者】
【氏名】谷口 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-318839(JP,A)
【文献】特開2018-147110(JP,A)
【文献】特開平09-062738(JP,A)
【文献】UNISYS Aシリーズ 戦略的物流情報システム IND・IE/LOGシステム解説書 ,1995年03月,p.1-2,3-83
【文献】浜崎 章洋,ロジスティクスの基礎知識,第2版,株式会社海事プレス社,2020年03月01日,p.38-39,ISBN : 978-4-905781-58-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた物流費管理システムであって、
前記制御部は、
配送依頼情報を取得する配送依頼情報取得手段と、
取得した配送依頼情報に対して、
必要な場所へ車の割り振りする配車処理を実行して傭車料情報を生成する配車処理手段と、
傭車料情報の仕訳情報を作成する仕訳情報作成手段と、
自家物流費に関する仕訳情報を取得する仕訳情報取得手段と、
傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成する分析表作成手段と、
配賦に利用する、作業員日報を含む非会計情報を取得して、取得した作業員日報を集約して配賦基準を作成する配賦基準作成手段と、
を備え、
前記分析表作成手段は、自家物流費に関する仕訳情報の配賦対象について、前記配賦基準で配賦処理を実行することを特徴とする物流費管理システム。
【請求項2】
前記配送依頼情報取得手段は、基幹システムから配送依頼情報を取得することを特徴とする請求項
1に記載の物流費管理システム。
【請求項3】
前記仕訳情報取得手段は、会計システムから自家物流費に関する仕訳情報を取得することを特徴とする請求項
1に記載の物流費管理システム。
【請求項4】
前記配賦基準作成手段は、基幹システ
ムから作業員日報を取得することを特徴とする請求項
1に記載の物流費管理システム。
【請求項5】
制御部を備えた情報処理装置
が実行
する物流費管理方法であって、
前記制御部において実行される、
配送依頼情報を取得する配送依頼情報取得工程と、
取得した配送依頼情報に対して、
必要な場所へ車の割り振りする配車処理を実行して傭車料情報を生成する配車処理工程と、
傭車料情報の仕訳情報を作成する仕訳情報作成工程と、
自家物流費に関する仕訳情報を取得する仕訳情報取得工程と、
傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成する分析表作成工程と、
配賦に利用する、作業員日報を含む非会計情報を取得して、取得した作業員日報を集約して配賦基準を作成する配賦基準作成工程と、
を含み、
前記分析表作成工程では、自家物流費に関する仕訳情報の配賦対象について、前記配賦基準で配賦処理を実行することを特徴とする物流費管理方法。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置
に実行させるための物流費管理プログラムであって、
前記制御部
に、
配送依頼情報を取得する配送依頼情報取得工程と、
取得した配送依頼情報に対して、
必要な場所へ車の割り振りする配車処理を実行して傭車料情報を生成する配車処理工程と、
傭車料情報の仕訳情報を作成する仕訳情報作成工程と、
自家物流費に関する仕訳情報を取得する仕訳情報取得工程と、
傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成する分析表作成工程と、
配賦に利用する、作業員日報を含む非会計情報を取得して、取得した作業員日報を集約して配賦基準を作成する配賦基準作成工程と、
を実行させるための物流費管理プログラムであり、
前記分析表作成工程では、自家物流費に関する仕訳情報の配賦対象について、前記配賦基準で配賦処理を実行することを特徴とする物流費管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流費管理システム、物流費管理方法、及び物流費管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物流が発生する業界では、ドライバー不足の深刻化などを受け、荷主企業の物流コストは上昇傾向にある。物流コストを分析するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、傭車による物流費と自家物流費(例えば、人件費、設備・保管に係る費用等)を併せた物流コストの分析を行うことに関して何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、傭車による物流費と自家物流費を併せた物流コストの分析を行うことが可能な物流費管理システム、物流費管理方法、及び物流費管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた物流費管理システムであって、前記制御部は、配送依頼情報を取得する配送依頼情報取得手段と、取得した配送依頼情報に対して配車処理を実行して傭車料情報を生成する配車処理手段と、傭車料情報の仕訳情報を作成する仕訳情報作成手段と、自家物流費に関する仕訳情報を取得する仕訳情報取得手段と、傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成する分析表作成手段と、を備えている。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、さらに、配賦に利用する非会計情報を取得して、配賦基準を作成する配賦基準作成手段を備え、前記分析表作成手段は、自家物流費に関する仕訳情報の配賦対象について、前記配賦基準で配賦処理を実行することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記配送依頼情報取得手段は、基幹システムから配送依頼情報を取得することにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記仕訳情報取得手段は、会計システムから自家物流費に関する仕訳情報を取得することにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、配賦に利用する非会計情報は、作業員日報を含み、前記配賦基準作成手段は、基幹システム等から作業員日報を取得することにしてもよい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される物流費管理方法であって、前記制御部において実行される、配送依頼情報を取得する配送依頼情報取得工程と、取得した配送依頼情報に対して配車処理を実行して傭車料情報を生成する配車処理工程と、傭車料情報の仕訳情報を作成する仕訳情報作成工程と、自家物流費に関する仕訳情報を取得する仕訳情報取得工程と、傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成する分析表作成工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される物流費管理プログラムであって、前記制御部において、配送依頼情報を取得する配送依頼情報取得工程と、取得した配送依頼情報に対して配車処理を実行して傭車料情報を生成する配車処理工程と、傭車料情報の仕訳情報を作成する仕訳情報作成工程と、自家物流費に関する仕訳情報を取得する仕訳情報取得工程と、傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成する分析表作成工程と、を実行させるための物流費管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、傭車による物流費と自家物流費を併せた物流コストの分析を行うことが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、JILSが提供している物流費コスト表の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態のデータの発生元を整理した図である。
【
図3】
図3は、運送SLNからのデータフローの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、会計システムからのデータフローの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る物流費管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6A】
図6Aは、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の全体の動作の概略を説明するためのフローを示す図である。
【
図6B】
図6Bは、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の全体の動作の概略を説明するためのフローを示す図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図10】
図10は、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図11】
図11は、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図12】
図12は、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図13】
図13は、本実施の形態に係る物流費管理システムの制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
例えば、物流が発生する業界では、ドライバー不足の深刻化などを受け、荷主企業の物流コストは上昇傾向にある。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の調査によると、2016年の荷主企業の売上高物流コスト比率は、4.97%となり、前年比0.34pt、過去20年で最大の上昇率となっている。
【0017】
今後に目を転じても、労働力不足のさらなる深刻化、働き方改革に伴うコストアップなどにより、物流コストの上昇トレンドは続くことが予想される。そのため、荷主企業では物流費を含めた利益管理および物流費の削減を求めている。
【0018】
しかしながら、従来は、実際は物流費の実態把握に苦労している状態であり、傭車による物流費と自家物流費(人件費、設備・保管に係る費用等)を併せた物流コストの分析を行うことができなった。
図1は、JILSが提供している物流費コスト表の一例を示す図である。
図1に示す物流費コスト表は、支払物流費・自家物流費を管理コスト毎に細分化し、それぞれの内容・比率について記載されている資料である。
【0019】
具体的には、自家物流費については全て財務会計に情報としては集約されているが、物流費コスト表)の粒度で管理できている企業が少ない。物流費コスト表の粒度で管理するには事務コスト、情報の鮮度に課題がある。
【0020】
具体的には、以下のような実態があるため細かい粒度での管理が難しい。(1)配送の手配やその計上については運用が統一化されていないケースが多く、データの粒度、精度にばらつきがある状態である。(2)料金情報についてもタリフ管理されていないケースが多く、運送会社からの請求書が正になっており正確な金額を把握できていない。(3)データ収集も別途Excel管理しているケースや結果だけ入力されているケースが多く、集約・集計に時間がかかる。
【0021】
本実施の形態では、傭車による物流費と自家物流費(人件費、設備・保管に係る費用等)を併せた物流コストの分析を行うことが可能なシステムを提供する。運送会社向けのシステムを利用して、荷主企業の物流コストを認識可能とする。財務会計に入って来る前の補助簿、固定資産や給与情報にはより細かな粒度が入っているので、それらを財務会計の情報にプラスして、財務会計、管理会計の仕組みを利用することで物流費コスト表の精緻作成をシステム的に補助する。これにより、物流費を分析するための物流費コスト分析表に準拠した情報を出力することで、荷主企業の物流費分析・削減のツールとして利用することが可能となる。
【0022】
図2は、本実施の形態のデータの発生元を整理した図である。
図3は、運送SLNからのデータフローの一例を示す図である。
図4は、会計システムからのデータフローの一例を示す図である。全てが物流費コスト表の粒度では連携されないため、管理会計の配賦機能を利用し、分析表の粒度で按分する。顧客によって粒度や手法は異なる、例えば、物流人件費の場合は、配賦元金額を「物流部門の賃金」とし、配賦基準を「物流部門の社員の日報時間」とする。また、財務会計、管理会計を利用することにより、月次推移表、前年対比表、予算実績比較表を出力可能である。
【0023】
[2.構成]
本実施形態に係る物流費管理システム100の構成の一例について、
図5を参照して説明する。
図5は、物流費管理システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
物流費管理システム100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、物流費管理システム100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0025】
物流費管理システム100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。物流費管理システム100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0026】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、物流費管理システム100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、物流費管理システム100と、基幹システム400、会計システム500、給与システム600やサーバ200等とを通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0027】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置114で出力すること等をいい、例えば、モニタ114への表示出力やプリンタ114での印刷出力することの他、外部にデータを送信することを含む。
【0028】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。また、記憶部106は、データテーブル106aを備えている。
【0029】
データテーブル106aは、例えば、配送依頼情報、傭車料情報、傭車料情報の仕訳情報、自家物流費に関する仕訳情報、非会計情報(例えば、作業員日報)、配賦基準、物流分析表等の各種データを格納するためのテーブルである。
【0030】
配送依頼情報は、発地、着地、処理区分(調達、移動、販売)、集荷日、配送日のデータを含んでいてもよい。傭車料情報は、発地、着地、処理区分、集荷日、配送日、配車依頼先、計上基準日、計上日、依頼先区分金額のデータを含んでいてもよい。傭車料情報の仕訳情報は、計上日、借方勘定科目、借方補助科目、借方金額、貸方勘定科目、貸方金額のデータを含んでいてもよい。
【0031】
自家物流費に関する仕訳情報は、計上日、借方勘定科目、借方補助科目、借方金額、貸方勘定科目、貸方補助科目、貸方金額のデータを含んでいてもよい。作業員日報は、日付、担当者、作業内容、作業時間のデータを含んでいてもよい。配賦基準は、作業内容、作業内容毎に集計した作業時間、配賦基準(作業内容毎に集計した作業時間/総作業時間)のデータを含んでいてもよい。
【0032】
制御部102は、物流費管理システム100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、配送依頼情報取得部102aと、配車処理部102bと、仕訳情報作成部102cと、仕訳情報取得部102dと、配賦基準作成部102eと、分析表作成部102fと、を備えている。
【0033】
配送依頼情報取得部102aは、例えば、基幹システム400から配送依頼情報を取得して、データテーブル106aに格納する。
【0034】
配車処理部102bは、配送依頼情報取得部102aで取得した配送依頼情報に対して配車処理を実行して傭車料情報を生成して、データテーブル106aに格納する。
【0035】
仕訳情報作成部102cは、傭車料情報の仕訳情報を作成して、データテーブル106aに格納する。
【0036】
仕訳情報取得部102dは、例えば、会計システム500から自家物流費に関する仕訳情報を取得して、データテーブル106aに格納する。
【0037】
配賦基準作成部102eは、例えば、基幹システム400等から配賦に利用する非会計情報を取得して、配賦基準を作成して、データテーブル106aに格納する。非会計情報は、作業員日報を含んでいてもよい。
【0038】
分析表作成部102fは、傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成して、データテーブル106aに格納する。所定の物流分析表は、JILSの物流コスト分析表であることにしてもよい。なお、本発明の物流分析表は、JILSの物流コスト分析表に限られるものではなく、他の分析表を使用してもよい。
【0039】
この場合、分析表作成部102fは、自家物流費に関する仕訳情報の配賦対象について、配賦基準作成部102eで作成した配賦基準に従って配賦処理を実行することにしてもよい。
【0040】
[3.具体例]
図5~
図13を参照して、本実施の形態における物流費管理システム100の制御部102の処理の具体例を説明する。
図6A及び
図6Bは、本実施の形態における物流費管理システム100の制御部102の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。
【0041】
(全体の処理)
図6A及び
図6Bを参照して、本実施の形態における物流費管理システム100の制御部102の全体の処理の概略を説明する。
【0042】
図6A及び
図6Bにおいて、まず、配送依頼情報取得部102aは、基幹システム400と連携して、基幹システム400の各処理に伴う配送依頼情報を取得する(ステップS1)。ここで、配送依頼情報は、発注~仕入の調達依頼、受注~売上の販売輸送、移動指示~移動の社内輸送に伴う配送依頼の情報を含む。
【0043】
配車処理部102bは、配送依頼情報に対して配車処理を実行して、傭車料情報を生成する(ステップS2)。すなわち、それぞれの配送依頼に対して、傭車先や物流子会社に依頼した内容とその輸送費を計上する。
【0044】
仕訳情報作成部102cは、傭車料情報の仕訳情報を作成(集約)する(ステップS3)。
【0045】
仕訳情報取得部102dは、例えば、会計システム500から自家物流費(その他の物流費)に関する仕訳情報を取得する(ステップS4)。
【0046】
配賦基準作成部102eは、配賦に利用する非会計情報を取得して、配賦基準を作成する(ステップS5)。具体的には、会計システム500上で詳細な管理ができない情報については、物流費管理システム100内で按分・配賦処理を行うため、非会計情報の取込を行う。非会計情報は、例えば、作業員日報や倉庫内資産分類別面積比等を含むことにしてもよい。配賦基準作成部102eは、例えば、基幹システム400等から作業員日報を取得してもよい。
【0047】
分析表作成部102fは、傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表(例えば、JILSの物流コスト分析表)にマッピングし、物流分析表を作成する(ステップS6)。分析表作成部102fは、物流分析表にマッピングする前に、自家物流費に関する仕訳情報の配賦対象について、配賦基準作成部102eで作成した配賦基準に従って配賦処理を実行することにしてもよい。
【0048】
具体的には、配賦については、例えば、物流部門の人員の作業員日報の時間で物流部門の賃金を按分することで、どの作業でコストがかかっているかの判断に利用してもよい。例えば、物流人件費について、配賦元金額を「物流部門の賃金」、配賦基準を「物流部門の社員の日報時間(非会計情報の作業員日報)」として、現場作業員の合計賃金×現場作業員の各処理別の総作業時間/現場作業員の総作業時間で按分してもよい。
【0049】
上記情報を収集、集約、また非会計情報と組み合わせを行うことで、
図6-Bに示すような物流分析表を出力してもよい。本データが累積してくると、月次推移表、前年対比表、予算実績比較表といった情報が出力可能である。会計ソリューションがベースになっているため、会計ソリューションの上記書式を利用した分析も可能となっている。
【0050】
図7~
図13は、本実施の形態における物流費管理システム100の制御部102の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
図7~
図13を参照して、
本実施の形態における物流費管理システム100の制御部102の処理の具体例を説明する。
【0051】
(S1:基幹システムから配送依頼情報を取得)
配送依頼情報取得部102aは、基幹システム400と連携して、基幹システム400の各処理に伴う配送依頼情報を取得する。
【0052】
図7(A)は、基幹システム400で入力される発注情報の一例を示している。同図に示す例では、1行目は、納入先「〇〇株式会社」、配送手段「引取」、納期「2020/2/20」、仕入先住所「兵庫県神戸市」、納入倉庫「大阪倉庫」となっている。配送手段が「引取」でないものは、配送する必要はない。
【0053】
図7(B)は、基幹システム400で入力される移動指示情報の一例を示している。同図に示す例では、1行目は、移動元倉庫「大阪倉庫」、移動先倉庫「滋賀倉庫」、出庫日「2020/2/22」、入庫日「2020/2/22」となっている。同一の発着のものはオーダーとしては集約する。
【0054】
図7(C)は、基幹システム400で入力される受注情報の一例を示している。同図に示す例では、1行目は、納品先「株式会社〇〇」、配送手段「引取」、納期「2020/2/22」、納入先住所「奈良県奈良市」、納入倉庫「大阪倉庫」となっている。配送手段が「引取」のものは、配送する必要はない。
【0055】
配送依頼情報取得部102aは、基幹システム400から発注情報、移動指示情報、受注情報を取得して、取得した発注情報、移動指示情報、受注情報に基づいて、調達、社内間移動、販売の配送依頼情報を生成する。配送依頼情報は、発地、着地、処理区分(調達、移動、販売)、集荷日、配送日のデータを含んでいてもよい。処理区分は、「発注情報」の場合は「調達」、移動指示情報の場合は「移動」、受注情報の場合は「販売」とする。
【0056】
図7(D)は、調達の配送依頼情報の一例を示している。同図に示す例では、1行目は、発地「〇〇株式会社」、着地「大阪倉庫」、処理区分「調達」、集荷日「2020/2/20」、配送日「2020/2/20」となっている。
【0057】
図7(E)は、社内間輸送の配送依頼情報の一例を示している。同図に示す例では、発地「大阪倉庫」、着地「滋賀倉庫」、処理区分「移動」、集荷日「2020/2/22」、配送日「2020/2/22」となっている。
【0058】
図7(F)は、販売の配送依頼情報の一例を示している。同図に示す例では、1行目は、発地「大阪倉庫」、着地「株式会社△△」、処理区分「販売」、集荷日「2020/2/23」となっている。
【0059】
(S2:配送依頼情報に対する配車処理)
配車処理部102bは、配送依頼情報に対して配車処理を実行して、傭車料情報を生成する。
【0060】
図8は、傭車料情報の一例を示す図である。同図に示す例では、1行目は、発地「〇〇株式会社」、着地「大阪倉庫」、処理区分「調達」、集荷日「2020/2/20」、配送日「2020/2/20」、配車依頼先「○○運送会社」、計上基準日「配送日」、2020/2/20」、依頼先区分「対専業者」、金額「12,000」となっている。計上基準日及び依頼先区分は不図示の仕入先マスタに登録しておくことにより、システム内部で判断可能である。
【0061】
(S3:傭車料情報の仕訳情報を作成)
仕訳情報作成部102cは、傭車料情報の仕訳情報を作成(集約)する。
【0062】
図9(A)は、傭車料情報の一部を示す図である。同図に示す例では、1行目は、計上日「2020/2/20」、処理区分「調達」、配車依頼先「○○運送会社」、区分「対専業者」、金額「12,000」となっている。
【0063】
図9(B)は、傭車料情報の仕訳情報の一例を示す図である。同図に示す例では、1行目は、計上日「2020/2/20」、借方勘定科目「傭車費(調達)」、借方補助科目「対専業者」、借方金額「12,000」、未払金「12,000」となっている。
【0064】
(S4:会計システム500から自家物流費に関する仕訳情報を取得)
仕訳情報取得部102dは、例えば、会計システム500から自家物流費(その他の物流費)に関する仕訳情報を取得する。
【0065】
図10は、自家物流費に関する仕訳情報の一例を示す図である。同図に示す例では、1行目は、計上日「2020/2/29」、借方勘定科目「保管費」、借方補助科目「対専業者」、貸方部門「物流部門」、借方金額「12,000」、貸方勘定科目「未払金」、貸方金額「12,000」となっている。
【0066】
(S5:配賦基準を作成)
配賦基準作成部102eは、例えば、基幹システム400等から配賦に利用する非会計情報(例えば、作業員日報)を取得して、配賦基準を作成する。ここでは、自社の物流部門の賃金を作業内容で按分するために、現場の作業員日報を配賦基準として利用する場合を説明する。
【0067】
配賦基準作成部102eは、基幹システム400等から作業員日報を取得し、作業員日報を集約して配賦基準を作成する。
【0068】
図11(A)は、作業員日報の一例を示す図である。作業員日報は、日付、担当者、作業内容、作業時間のデータを含んでいてもよい。同図に示す例では、1行目は、日付「2020/2/2」、担当者「担当者A」、作業内容「配送作業」、作業時間「5」となっている。
【0069】
図11(B)は、作業員日報に基づいて集計(作成)した配賦基準の一例を示す図である。配賦基準は、作業内容、作業内容毎に集計した作業時間、配賦基準(作業内容毎に集計した作業時間/総作業時間)のデータを含んでいてもよい。同図に示す例では、1行目は、作業内容「配送作業」、作業時間「50」、配賦基準「50%(=50/100)となっている。S4で取り込んだ仕訳情報の賃金を作業別の日報結果(配賦基準)で按分する。
【0070】
(S6:物流分析表作成)
分析表作成部102fは、傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報をJILSの物流分析表にマッピングし、物流分析表を作成する。分析表作成部102fは、物流分析表にマッピングする前に、自家物流費に関する仕訳情報の配賦対象について、配賦基準作成部102eで作成した配賦基準に従って配賦処理を実行することにしてもよい。
【0071】
図12(A)は、賃金を作業内容で按分する配賦基準で配賦する場合の按分対象仕訳の一例を示している。同図に示す例では、計上日「2020/2/29」、借方勘定科目「賃金」、貸方部門「物流部門」、借方金額「10,000」となっている。
【0072】
図12(B)は、配賦基準の按分率を説明するための図である。同図に示す例では、1行目は、作業内容「配送作業」、作業時間「50」、配賦基準「50%」、配賦計算「10,000×0.5」となっている。
【0073】
図12(C)は、按分した按分結果の一例を示す図である。同図に示す例では、1行目は、計上日「2020/2/29」、借方勘定科目「賃金」、貸方部門「物流部門」、借方金額「5,000」となっている。なお、按分結果で端数が出た場合は最も金額が大きいところに算入する等ルールを採用してもよい。
【0074】
図13は、JILSの物流分析表に傭車料情報及び自家物流費の仕訳情報をマッピングした場合の例を示す図である。
図13(A)は、科目情報、
図13(B)は、JILS分析表、
図13(C)は、JILS分析表に傭車料情報及び自家物流費の仕訳情報をマッピングした出力イメージを示している。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態によれば、配送依頼情報を取得する配送依頼情報取得部102aと、取得した配送依頼情報に対して配車処理を実行して傭車料情報を生成する配車処理部102bと、傭車料情報の仕訳情報を作成する仕訳情報作成部102cと、自家物流費に関する仕訳情報を取得する仕訳情報取得部102dと、傭車料情報の仕訳情報と自家物流費に関する仕訳情報を所定の物流分析表にマッピングして、物流分析表を作成する分析表作成部102fと、を備えているので、傭車による物流費と自家物流費を併せた物流コストの分析を行うことが可能となる。
【0076】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0079】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0080】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0081】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0082】
また、物流費管理システム100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0083】
例えば、物流費管理システム100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて物流費管理システム100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0084】
また、このコンピュータプログラムは、物流費管理システム100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0085】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0086】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0087】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0088】
また、物流費管理システム100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、物流費管理システム100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0089】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0090】
100 物流費管理システム
102 制御部
102a 配送依頼情報取得部
102b 配車処理部
102c 仕訳情報作成部
102d 仕訳情報取得部
102e 配賦基準作成部
102f 分析表作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a データテーブル
200 サーバ
300 ネットワーク
400 基幹システム
500 会計システム
600 給与システム