IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/02 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
F28D7/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021021512
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124001
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】金子 毅
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雄太
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2006-0023299(KR,A)
【文献】実開昭56-162477(JP,U)
【文献】特許第2539405(JP,B2)
【文献】特開2003-240453(JP,A)
【文献】特開2020-020514(JP,A)
【文献】特開2004-097867(JP,A)
【文献】実開昭58-165473(JP,U)
【文献】国際公開第2019/048651(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1377406(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が接線方向に沿って導入されて下方に向かって前記第1流体が流れるサイクロン流路と、
前記サイクロン流路の下方に位置して前記サイクロン流路よりも流路面積が大きい下部空間を形成する下部筐体と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、前記下部空間に連通する第1出口流路と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、第2流体が導入される第2入口流路と、
前記サイクロン流路の内周側に位置する第2出口流路と、
前記第2入口流路と前記第2出口流路とを接続する第2中間流路と、
を備え
前記第2入口流路は、前記第1出口流路の流路壁を隔てて前記第1出口流路と前記内周側及び前記外周側で隣り合う
熱交換器。
【請求項2】
第1流体が接線方向に沿って導入されて下方に向かって前記第1流体が流れるサイクロン流路と、
前記サイクロン流路の下方に位置して前記サイクロン流路よりも流路面積が大きい下部空間を形成する下部筐体と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、前記下部空間に連通する第1出口流路と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、第2流体が導入される第2入口流路と、
前記サイクロン流路の内周側に位置する第2出口流路と、
前記第2入口流路と前記第2出口流路とを接続する第2中間流路と、
を備え、
前記下部筐体に接続され、前記下部空間と外部とを連通する下部連通部
を備える
熱交換器。
【請求項3】
第1流体が接線方向に沿って導入されて下方に向かって前記第1流体が流れるサイクロン流路と、
前記サイクロン流路の下方に位置して前記サイクロン流路よりも流路面積が大きい下部空間を形成する下部筐体と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、前記下部空間に連通する第1出口流路と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、第2流体が導入される第2入口流路と、
前記サイクロン流路の内周側に位置する第2出口流路と、
前記第2入口流路と前記第2出口流路とを接続する第2中間流路と、
を備え、
前記下部空間内に配置されたストレーナ
を備える
熱交換器。
【請求項4】
前記第2入口流路は、前記サイクロン流路における前記外周側の流路壁を隔てて前記サイクロン流路と隣り合う
請求項1乃至3の何れか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第2出口流路は、前記サイクロン流路における前記内周側の流路壁を隔てて前記サイクロン流路と隣り合う
請求項1乃至4の何れか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記サイクロン流路は、螺旋状の仕切り壁によって上下方向の流路幅が規定されている
請求項1乃至の何れか一項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば発電用ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC:Gas Turbine Combined Cycle)プラントでは、ガスタービンに供給する燃料の温度制御のために燃料系統に、燃料加熱装置(FGH:Fuel Gas Heater)を設置している。燃料加熱装置では、排熱回収ボイラー(HRSG:Heat Recovery Steam Generators)からの加熱水と熱交換することで、燃料ガスを加熱している。すなわち燃料加熱装置は、熱交換器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-115557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した燃料加熱装置において、燃料ガスは、硫黄(S)分が含まれることから、この硫黄分と燃料加熱装置の容器や伝熱管などに含まれる鉄(Fe)分とが反応することで、硫化鉄(FeS)の粒子が異物として生成されることがある。そのため、燃料加熱装置、すなわち熱交換器において、この異物が伝熱面に付着すると、伝熱面における熱伝達率が低下して、熱交換効率が低下してしまう。また、長期間利用していると、異物が堆積し流路が閉塞してしまうおそれがある。そのため、伝熱面に異物が付着し難くすることが望ましい。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、異物が付着し難い熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器は、
第1流体が接線方向に沿って導入されて下方に向かって前記第1流体が流れるサイクロン流路と、
前記サイクロン流路の下方に位置して前記サイクロン流路よりも流路面積が大きい下部空間を形成する下部筐体と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、前記下部空間に連通する第1出口流路と、
前記サイクロン流路の外周側に位置し、第2流体が導入される第2入口流路と、
前記サイクロン流路の内周側に位置する第2出口流路と、
前記第2入口流路と前記第2出口流路とを接続する第2中間流路と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、熱交換器において、異物の除去が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る熱交換器の模式的な外観図である。
図2A】一実施形態に係る第1流路の概要を説明するための模式的な図である。
図2B】幾つかの実施形態に係る第2流路の概要を説明するための模式的な図である。
図2C】他の実施形態に係る第1流路の概要を説明するための模式的な図である。
図3A図1図2A及び図2BにおけるA-A矢視断面図である。
図3B図1図2A及び図2BにおけるB-B矢視断面図である。
図3C図1図2A及び図2BにおけるC-C矢視断面図である。
図3D図1図2A及び図2BにおけるD-D矢視断面図である。
図3E図1図2A及び図2BにおけるE-E矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0010】
図1は、一実施形態に係る熱交換器の模式的な外観図である。
図2Aは、一実施形態に係る第1流路の概要を説明するための模式的な図である。
図2Bは、幾つかの実施形態に係る第2流路の概要を説明するための模式的な図である。
図2Cは、他の実施形態に係る第1流路の概要を説明するための模式的な図である。
図3Aは、図1図2A及び図2BにおけるA-A矢視断面図である。
図3Bは、図1図2A及び図2BにおけるB-B矢視断面図である。
図3Cは、図1図2A及び図2BにおけるC-C矢視断面図である。
図3Dは、図1図2A及び図2BにおけるD-D矢視断面図である。
図3Eは、図1図2A及び図2BにおけるE-E矢視断面図である。
【0011】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、第1流体と第2流体との間で熱交換をさせるためのものである。幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、例えば比較的温度が低い燃料ガスFGと、比較的温度が高い水Wとの間での熱交換に用いることができる。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、例えばガスタービン等で燃料として用いられる燃料ガスの昇温のために用いることができる。
なお、説明の便宜上、以下の説明では、第1流体が燃料ガスFGであり、第2流体が水Wであるものとする。
【0012】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、第1流体が接線方向に沿って導入されて下方に向かって第1流体が流れるサイクロン流路13と、サイクロン流路13の下方に位置してサイクロン流路13よりも流路面積が大きい下部空間15を形成する下部筐体33とを備える。本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器1は、サイクロン流路13の外周側に位置し、下部空間15に連通する第1出口流路17と、サイクロン流路13の外周側に位置し、第2流体が導入される第2入口流路23とを備える。本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器1は、サイクロン流路13の内周側に位置する第2出口流路27と、第2入口流路23と第2出口流路27とを接続する第2中間流路25とを備える。
【0013】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、第1円環流路19と、第2円環流路21とを備える。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、サイクロン流路13と、第1出口流路17と、第1円環流路19と、第2円環流路21と、第2入口流路23と、第2中間流路25と、第2出口流路27とが内部に形成されている上部筐体31とを備える。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、上部筐体31の外部に設けられた、第1供給流路101と、第1排出流路103と、第2供給流路201と、第2排出流路203とを備える。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1は、下部筐体33の外部に設けられた下部連通部105を備える。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、上部筐体31と下部筐体33とを例えばフランジ結合することによって、上部筐体31に対する下部筐体33の着脱が容易となる。
【0014】
なお、幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、上部筐体31は、円筒形状を有している。そこで、以下の説明では、単に周方向と称した場合、円筒形状を有する上部筐体31の軸線AXを中心とした周方向を指すものとする。同様に、以下の説明では、単に径方向と称した場合、軸線AXを中心とした径方向を指すものとし、以下の説明では、単に軸方向と称した場合、軸線AX方向を指すものとする。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、上部筐体31の姿勢は、軸線AX方向が鉛直方向と一致するように設定されているものとする。
【0015】
幾つか実施形態に係る熱交換器1は、例えば積層造形法によって造形することができる。
【0016】
(第1供給流路101)
幾つかの実施形態に係る第1供給流路101は、第1流体(燃料ガスFG)が流通する不図示の上流側の配管に接続されて、該配管からの第1流体を熱交換器1に供給するための配管である。幾つかの実施形態に係る第1供給流路101は、例えば上部筐体31の上方に配置されている。幾つかの実施形態に係る第1供給流路101は、サイクロン流路13に接続されている。
【0017】
(サイクロン流路13)
幾つかの実施形態に係るサイクロン流路13は、後述する第2排出流路203の外周側に位置し、第2排出流路203の外周を取り囲むように螺旋状に延在する流路である。幾つかの実施形態に係るサイクロン流路13は、螺旋状の仕切り壁35によって上下方向の流路幅が規定されている。また、幾つかの実施形態に係るサイクロン流路13は、外周側の壁部と内周側の壁部とによって螺旋の中心軸を中心とする径方向の流路幅が規定される。
なお、第1供給流路101から第1流体がサイクロン流路13の接線方向に導入される場合、螺旋状の仕切り壁35が存在しなくても、第1流体はサイクロン流路13内を螺旋状に旋回しながら下方へ向かって流れる。したがって、幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、螺旋状の仕切り壁35は必須ではない。
幾つかの実施形態に係るサイクロン流路13は、下方の端部が下部空間15に接続されている。
【0018】
(下部空間15)
幾つかの実施形態に係る下部空間15は、下部筐体33の内周面33aと、上部筐体31の下部隔壁311の下面311aとによって画定される、熱交換器1の内部空間である。
幾つかの実施形態に係る下部空間15は、サイクロン流路13よりも流路面積が大きい。
なお、幾つかの実施形態では、下部空間15は、下部隔壁311の開口311bを介してサイクロン流路13と接続されている。また、幾つかの実施形態では、下部空間15は、下部隔壁311の複数の開口311cを介して第1出口流路17と接続されている。
幾つかの実施形態では、下部空間15は、下部筐体33の外部に設けられた下部連通部105と接続されている。
【0019】
なお、図2Cに示した他の実施形態では、下部空間15にストレーナ60を設けてもよい。他の実施形態に係るストレーナ60は、例えば第1流体としての燃料ガスFG中に含まれる硫黄(S)分に起因して発生する硫化鉄(FeS)の粒子を効果的に捕集するためのものである。
図2Cに示した他の実施形態では、サイクロン流路13の下端は、下部隔壁311の開口311b及びストレーナ60の開口部61を介してストレーナ60における異物の捕集面62よりも下方まで延びているとよい。
【0020】
(下部連通部105)
幾つかの実施形態に係る下部連通部105は、上述したように、下部筐体33の下方の外部に設けられていて下部空間15に接続された流路である。下部連通部105には開閉弁107が設けられている。開閉弁107が開かれると、下部空間15と熱交換器1の外部とが下部連通部105を介して連通される。開閉弁107が閉じられると、下部連通部105を介した下部空間15と熱交換器1の外部との連通が遮断される。
【0021】
(第1出口流路17)
幾つかの実施形態に係る第1出口流路17は、サイクロン流路13の外周側に位置し、下部空間15に連通する流路である。
幾つかの実施形態に係る第1出口流路17は、図3Eに示すように、下部空間15に近い下部の領域では、周方向に間隔を空けて複数形成された開口311cのそれぞれに接続された、比較的径が小さい円形断面を有する流路群である。
幾つかの実施形態に係る第1出口流路17は、図3Dに示すように、下部空間15から離れた位置で、円環形状の断面を有する流路である。
幾つかの実施形態に係る第1出口流路17は、上端が第1円環流路19に接続されている。
【0022】
(第1円環流路19)
幾つかの実施形態に係る第1円環流路19は、図3Cに示すように、第1出口流路17の上方において、サイクロン流路13の外周側で第1出口流路17よりも内外径が大きな円環形状を有する流路である。幾つかの実施形態に係る第1円環流路19の径方向外側の壁部は、上部筐体31の周壁313である。
幾つかの実施形態に係る第1円環流路19は、上部筐体31の周壁313に形成された開口313aを介して第1排出流路103に接続されている。
【0023】
(第1排出流路103)
幾つかの実施形態に係る第1排出流路103は、第1円環流路19からの第1流体を熱交換器1の外部に排出するための配管である。幾つかの実施形態に係る第1排出流路103は、第1流体(燃料ガスFG)が流通する不図示の下流側の配管に接続されている。
【0024】
(第2供給流路201)
幾つかの実施形態に係る第2供給流路201は、第2流体(水W)が流通する不図示の上流側の配管に接続されて、該配管からの第2流体を熱交換器1に供給するための配管である。幾つかの実施形態に係る第2供給流路201は、例えば上部筐体31の側方に配置されている。幾つかの実施形態に係る第2供給流路201は、図3Bに示すように、上部筐体31の周壁313に形成された開口313bを介して第2円環流路21に接続されている。
【0025】
(第2円環流路21)
幾つかの実施形態に係る第2円環流路21は、図3Bに示すように、後述する第2入口流路23の上方において、サイクロン流路13の外周側で、例えば、上述した第1円環流路19と同等の内外径となる円環形状を有する流路である。幾つかの実施形態に係る第2円環流路21の径方向外側の壁部は、上部筐体31の周壁313である。
幾つかの実施形態に係る第2円環流路21は、下部において第2入口流路23の上端と接続されている。
【0026】
(第2入口流路23)
幾つかの実施形態に係る第2入口流路23は、サイクロン流路13の外周側に位置し、第2流体が導入される流路である。
幾つかの実施形態に係る第2入口流路23は、図3Cに示すように、第2円環流路21に近い比較的上部の領域では、周方向に間隔を空けて複数配置された、比較的径が小さい円形断面を有する流路群である。
幾つかの実施形態に係る第2入口流路23は、図3Dに示すように、第2円環流路21から離れた位置では、円環形状の断面を有する流路である。なお、幾つかの実施形態に係る第2入口流路23は、図3Dに示すように、第1出口流路17を挟んで径方向内側と外側とに配置されている。
幾つかの実施形態に係る第2入口流路23は、下端が第2中間流路25に接続されている。
【0027】
(第2中間流路25)
幾つかの実施形態に係る第2中間流路25は、後述するようにサイクロン流路13の内周側に位置する第2出口流路27と、第2入口流路23とを接続する流路である。
幾つかの実施形態に係る第2中間流路25は、径方向に延在する層状の流路であり、上下方向に沿って、サイクロン流路13と、比較的径が小さい複数の第1出口流路17の流路群とが貫通している。
【0028】
(第2出口流路27)
幾つかの実施形態に係る第2出口流路27は、サイクロン流路13の内周側に位置する路であり、軸線AX方向に沿って延在している。
幾つかの実施形態に係る第2出口流路27は、下端が第2中間流路25に接続され、上端が第2排出流路203に接続されている。
【0029】
(第2排出流路203)
幾つかの実施形態に係る第2排出流路203は、第2出口流路27からの第2流体を熱交換器1の外部に排出するための配管である。幾つかの実施形態に係る第2排出流路203は、第2流体(水)が流通する不図示の下流側の配管に接続されている。
【0030】
(流体の流れについて)
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、第1流体及び第2流体は、以下のように熱交換器1の内部を流通する。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、第1流体は、第1供給流路101→サイクロン流路13→下部空間15→第1出口流路17→第1円環流路19→第1排出流路103の順に熱交換器1の内部を流通する。
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、第2流体は、第2供給流路201→第2円環流路21→第2入口流路23→第2中間流路25→第2出口流路27→第2排出流路203順に熱交換器1の内部を流通する。
【0031】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、上述したように熱交換器1の内部を流通する過程で、第1流体と第2流体との間で熱交換される。
例えば、図3Dに示すように、第1流体が流れる流路と第2流体が流れる流路とが壁部を介して隣り合っている領域において伝熱量が大きくなる。
例えば、図3Dに示すように、第2出口流路27とサイクロン流路13とは、円筒壁部41を介して径方向で隣り合っている。
サイクロン流路13と径方向内側の第2入口流路23とは、円筒壁部42を介して径方向で隣り合っている。
径方向内側の第2入口流路23と第1出口流路17とは、円筒壁部43を介して径方向で隣り合っている。
第1出口流路17と径方向外側の第2入口流路23とは、円筒壁部44を介して径方向で隣り合っている。
【0032】
このように構成される幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、サイクロン流路13を第2流体との熱交換を行う流路とすれば、サイクロン流路13の内壁面、すなわち円筒壁部41、42においてサイクロン流路13を向いた壁面が伝熱面となる。サイクロン流路13を流れる流体は、サイクロン流路13において旋回流となり流速を大きくし易くなる。そのため、該伝熱面において異物が付着し難くなるとともに、異物が付着したとしても、流体の流れによって除去され易くなる。これにより、該伝熱面での熱伝達率の低下が抑制され、熱交換効率の低下が抑制される。また、幾つかの実施形態に係る熱交換器1を長期間使用しても、異物の堆積による流路の閉塞のおそれが少ない。
また、幾つかの実施形態に係る熱交換器1によれば、サイクロン流路13よりも流路面積が大きい下部空間15において、流体の流速が低下することで流体から異物を分離させ易くなる。これにより、下部空間15よりも下流側に流れる異物を抑制して、下部空間15よりも下流側における異物の流路壁面への付着や流路の閉塞などの不具合を抑制できる。
【0033】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、第2入口流路23は、サイクロン流路13における外周側の流路壁(円筒壁部42)を隔ててサイクロン流路13と隣り合うとよい。
これにより、サイクロン流路13を流れる第1流体と、第2入口流路23を流れる第2流体との間で効率的に熱交換できる。
【0034】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、第2出口流路27は、サイクロン流路13における内周側の流路壁(円筒壁部41)を隔ててサイクロン流路13と隣り合うとよい。
これにより、サイクロン流路13を流れる第1流体と、第2出口流路27を流れる第2流体との間でも積極的に熱交換できる。
【0035】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、第2入口流路23は、第1出口流路17の流路壁(円筒壁部43、44)を隔てて第1出口流路17と内周側及び外周側で隣り合うとよい。
これにより、第1出口流路17を流れる第1流体と、第2入口流路23を流れる第2流体との間でも積極的に熱交換できる。
【0036】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、サイクロン流路13は、螺旋状の仕切り壁35によって上下方向の流路幅が規定されているとよい。
螺旋状の仕切り壁35によって上下方向の流路幅が規定されることで、螺旋状の仕切り壁35が設けられていない場合と比べて、サイクロン流路13における流体の流速を大きくし易くなる。
【0037】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、下部筐体33に接続され、下部空間15と外部とを連通する下部連通部105を備えるとよい。
これにより、熱交換器1を分解しなくても下部空間15に堆積された異物を下部空間15の外部に排出できるので、下部空間15に堆積された異物の除去が容易となる。
【0038】
幾つかの実施形態に係る熱交換器1では、下部空間15内に配置されたストレーナ60を備えるとよい。
これにより、下部空間15よりも下流側への異物の流入をさらに抑制できる。
なお、ストレーナ60は、下部筐体33に着脱可能とすることで、ストレーナ60の交換や清掃が容易となる。
【0039】
なお、第1供給流路101と第1排出流路103との間に差圧計を設置し、第1供給流路101と第1排出流路103との差圧が予め設定された閾値を超えたときに、開閉弁107を開くように不図示の制御装置で制御するようにしてもよい。これにより、異物の排出を自動化できる。
【0040】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0041】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器1は、第1流体が接線方向に沿って導入されて下方に向かって第1流体が流れるサイクロン流路13と、サイクロン流路13の下方に位置してサイクロン流路13よりも流路面積が大きい下部空間15を形成する下部筐体33とを備える。本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器1は、サイクロン流路13の外周側に位置し、下部空間15に連通する第1出口流路17と、サイクロン流路13の外周側に位置し、第2流体が導入される第2入口流路23とを備える。本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器1は、サイクロン流路13の内周側に位置する第2出口流路27と、第2入口流路23と第2出口流路27とを接続する第2中間流路25と、を備える。
【0042】
上記(1)の構成によれば、サイクロン流路13を第2流体との熱交換を行う流路とすれば、サイクロン流路13の内壁面(円筒壁部41、42においてサイクロン流路13を向いた壁面)が伝熱面となる。サイクロン流路13を流れる流体は、サイクロン流路13において旋回流となり流速を大きくし易くなる。そのため、伝熱面において異物が付着し難くなるとともに、異物が付着したとしても、流体の流れによって除去され易くなる。これにより、伝熱面での熱伝達率の低下が抑制され、熱交換効率の低下が抑制される。
また、上記(1)の構成によれば、サイクロン流路13よりも流路面積が大きい下部空間15において、流体の流速が低下することで流体から異物を分離させ易くなる。これにより、下部空間15よりも下流側に流れる異物を抑制して、下部空間15よりも下流側における異物の流路壁面への付着や流路の閉塞などの不具合を抑制できる。
【0043】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、第2入口流路23は、サイクロン流路13における外周側の流路壁(円筒壁部42)を隔ててサイクロン流路13と隣り合うとよい。
【0044】
上記(2)の構成によれば、サイクロン流路13を流れる第1流体と、第2入口流路23を流れる第2流体との間で効率的に熱交換できる。
【0045】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、第2出口流路27は、サイクロン流路13における内周側の流路壁(円筒壁部41)を隔ててサイクロン流路13と隣り合うとよい。
【0046】
上記(3)の構成によれば、サイクロン流路13を流れる第1流体と、第2出口流路27を流れる第2流体との間でも積極的に熱交換できる。
【0047】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、第2入口流路23は、第1出口流路17の流路壁(円筒壁部43、44)を隔てて第1出口流路17と内周側及び外周側で隣り合うとよい。
【0048】
上記(4)の構成によれば、第1出口流路17を流れる第1流体と、第2入口流路23を流れる第2流体との間でも積極的に熱交換できる。
【0049】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、サイクロン流路13は、螺旋状の仕切り壁35によって上下方向の流路幅が規定されているとよい。
【0050】
上記(5)の構成によれば、螺旋状の仕切り壁35によって上下方向の流路幅が規定されることで、螺旋状の仕切り壁35が設けられていない場合と比べて、サイクロン流路13における流体の流速を大きくし易くなる。
【0051】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、下部筐体33に接続され、下部空間15と外部とを連通する下部連通部105を備えるとよい。
【0052】
上記(6)の構成によれば、熱交換器1を分解しなくても下部空間15に堆積された異物を下部空間15の外部に排出できるので、下部空間15に堆積された異物の除去が容易となる。
【0053】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、下部空間15内に配置されたストレーナ60を備えるとよい。
【0054】
上記(7)の構成によれば、下部空間15よりも下流側への異物の流入をさらに抑制できる。
【符号の説明】
【0055】
1 熱交換器
13 サイクロン流路
15 下部空間
17 第1出口流路
23 第2入口流路
25 第2中間流路
27 第2出口流路
33 下部筐体
35 仕切り壁
41、42、43、44 円筒壁部
60 ストレーナ
105 下部連通部
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E