(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】ターボチャージャ用のシャフト支持装置、およびターボチャージャ用のシャフト支持装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
F02B 37/18 20060101AFI20240704BHJP
F16C 17/10 20060101ALI20240704BHJP
F16C 17/26 20060101ALI20240704BHJP
F16C 35/02 20060101ALI20240704BHJP
F16C 43/02 20060101ALI20240704BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
F02B37/18 B
F02B37/18 Z
F16C17/10 Z
F16C17/26
F16C35/02 B
F16C43/02
F16J15/16 B
(21)【出願番号】P 2021040669
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉見 壮司
(72)【発明者】
【氏名】大高 一馬
(72)【発明者】
【氏名】二江 貴也
(72)【発明者】
【氏名】諫山 秀一
(72)【発明者】
【氏名】矢野 正義
(72)【発明者】
【氏名】惠比寿 幹
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0097345(US,A1)
【文献】特開2017-072195(JP,A)
【文献】特表2013-530337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0182440(US,A1)
【文献】特開2016-186241(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150436(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/070980(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/00 - 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトを挿通させる筒状のブッシュと、
前記シャフトの一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部と、を備え、
前記シャフトは、
軸部と、
前記シャフトの他端側において前記軸部の外周面より突出する他端側突出部であって、前記シャフトの前記他端側から前記一端側に向かって前記シャフトの軸線からの距離が小さくなる第1シャフト側傾斜面、を有する他端側突出部と、
前記シャフトの前記一端側で且つ前記圧力受け部が接続される位置よりも前記他端側において前記軸部の前記外周面より突出する一端側突出部であって、前記シャフトの前記一端側から前記他端側に向かって前記シャフトの前記軸線からの距離が小さくなる第2シャフト側傾斜面、を有する一端側突出部と、
を含み、
前記ブッシュは、
前記軸部が挿通される周面部と、
前記ブッシュの他端側に形成されるとともに前記他端側突出部の少なくとも一部が挿通される他端側開口部であって、前記ブッシュの前記他端側から一端側に向かって前記ブッシュの軸線からの距離が小さくなる第1ブッシュ側傾斜面、を有する他端側開口部と、
前記ブッシュの前記一端側に形成されるとともに前記一端側突出部の少なくとも一部が挿通される一端側開口部であって、前記ブッシュの前記一端側から前記他端側に向かって前記ブッシュの前記軸線からの距離が小さくなる第2ブッシュ側傾斜面、を有する一端側開口部と、
を含
み、
前記シャフトは、前記一端側突出部よりも前記一端側で且つ前記圧力受け部が接続される位置よりも前記他端側において前記軸部の前記外周面より突出するつば部を含み、
前記つば部は、前記第2シャフト側傾斜面の外周端よりも外周側に延在する当接面であって、前記ブッシュの前記一端側の端面に当接し、前記シャフトの前記軸線に直交する方向に沿って前記ブッシュの前記一端側の前記端面の外周縁よりも外周側まで延在する当接面を有する、
ターボチャージャ用のシャフト支持装置。
【請求項2】
前記一端側突出部は、前記軸部と一体となるように構成され、
前記他端側突出部は、前記軸部と別体となるように構成された、
請求項
1に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置。
【請求項3】
前記シャフトの前記他端側開口部から突出した他端部に接続されたレバーをさらに備え、
前記他端側突出部は、前記レバーと一体となるように構成された、
請求項
2に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置。
【請求項4】
前記第1シャフト側傾斜面は、前記シャフトの
前記軸線に沿った断面において、前記シャフトの
前記軸線に対して直線状に傾斜したシャフト側テーパ面を含み、
前記第1ブッシュ側傾斜面は、前記ブッシュの
前記軸線に沿った断面において、前記ブッシュの
前記軸線に対して直線状に傾斜したブッシュ側テーパ面を含む、
請求項1乃至
3の何れか1項に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置。
【請求項5】
前記第1シャフト側傾斜面は、前記シャフトの
前記軸線に沿った断面において、前記シャフトの前記一端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面を含み、
前記第1ブッシュ側傾斜面は、前記ブッシュの
前記軸線に沿った断面において、前記ブッシュの前記一端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面を含む、
請求項1乃至
3の何れか1項に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置。
【請求項6】
シャフトと、
前記シャフトを挿通させる筒状のブッシュと、
前記シャフトの一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部と、を備えるターボチャージャ用のシャフト支持装置の組立方法であって、
前記シャフトは、
軸部
と、
前記シャフトの前記一端側で且つ前記圧力受け部が接続される位置よりも他端側において前記軸部の外周面より突出する一端側突出部であって、前記シャフトの前記一端側から前記他端側に向かって前記シャフトの軸線からの距離が小さくなる第2シャフト側傾斜面、を有する一端側突出部と、
を含み、
前記ブッシュは、
前記軸部が挿通される周面部と、
前記ブッシュの他端側に形成される他端側開口部であって、前記ブッシュの前記他端側から一端側に向かって前記ブッシュの軸線からの距離が小さくなる第1ブッシュ側傾斜面、を有する他端側開口部と、
を含み、
前記シャフトは、前記一端側突出部よりも前記一端側で且つ前記圧力受け部が接続される位置よりも前記他端側において前記軸部の前記外周面より突出するつば部を含み、
前記つば部は、前記第2シャフト側傾斜面の外周端よりも外周側に延在する当接面であって、前記ブッシュの前記一端側の端面に当接し、前記シャフトの前記軸線に直交する方向に沿って前記ブッシュの前記一端側の前記端面の外周縁よりも外周側まで延在する当接面を有し、
前記ターボチャージャ用のシャフト支持装置の組立方法は、
前記シャフトを前記ブッシュの前記一端側から前記ブッシュに挿通するシャフト挿通ステップと、
前記シャフトの
前記他端側から前記一端側に向かって前記シャフトの
前記軸線からの距離が小さくなる第1シャフト側傾斜面、を有する他端側突出部を、前記シャフトの
前記他端側において前記軸部の
前記外周面より突出し、且つ前記他端側開口部に少なくとも一部が挿通されるように、前記シャフトの前記他端側から前記軸部に取り付ける他端側突出部取付ステップと、を備える、
ターボチャージャ用のシャフト支持装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャフトとシャフトを挿通させる筒状のブッシュとを備えるターボチャージャ用のシャフト支持装置、および該シャフト支持装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャに用いられるバルブ装置は、弁体を回動操作するバルブ軸と、バルブ軸を摺動自在に支持するブッシュ(軸受)と、を備えるものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のバルブ装置は、バルブ軸に外側に膨らむ球面形状の軸側段差面が設けられており、筒状のブッシュの軸方向における中央の内面に内側に凹む球面形状の受側段差面が設けられている。そして、軸側段差面と受側段差面とを軸方向に圧接する構造になっている。特許文献1に記載のバルブ装置は、軸側段差面と受側段差面との間に隙間を生じさせないことで、ブッシュに対してバルブ軸が傾いた場合であっても、バルブ軸とブッシュの間を通って排気ガスが外部へ漏れ出るのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のバルブ装置では、ブッシュに対してバルブ軸が傾いた場合にブッシュの軸方向の一端側や他端側において、ブッシュとバルブ軸とが接触(片当たり)する虞がある。ブッシュとバルブ軸との接触する際の接触面圧が高いと、ブッシュやバルブ軸が摩耗や損傷する虞がある。
【0005】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、シャフトやブッシュの摩耗や損傷を抑制できるターボチャージャ用のシャフト支持装置、および該シャフト支持装置の組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態にかかるターボチャージャ用のシャフト支持装置は、
シャフトと、
前記シャフトを挿通させる筒状のブッシュと、
前記シャフトの一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部と、を備え、
前記シャフトは、
軸部と、
前記シャフトの他端側において前記軸部の外周面より突出する他端側突出部であって、前記シャフトの前記他端側から前記一端側に向かって前記シャフトの軸線からの距離が小さくなる第1シャフト側傾斜面、を有する他端側突出部と、を含み、
前記ブッシュは、
前記軸部が挿通される周面部と、
前記ブッシュの他端側に形成されるとともに前記他端側突出部の少なくとも一部が挿通される他端側開口部であって、前記ブッシュの前記他端側から一端側に向かって前記ブッシュの軸線からの距離が小さくなる第1ブッシュ側傾斜面、を有する他端側開口部と、を含む。
【0007】
本開示の一実施形態にかかるターボチャージャ用のシャフト支持装置の組立方法は、
シャフトと、
前記シャフトを挿通させる筒状のブッシュと、
前記シャフトの一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部と、を備えるターボチャージャ用のシャフト支持装置の組立方法であって、
前記シャフトは、軸部を含み、
前記ブッシュは、
前記軸部が挿通される周面部と、
前記ブッシュの他端側に形成される他端側開口部であって、前記ブッシュの前記他端側から一端側に向かって前記ブッシュの軸線からの距離が小さくなる第1ブッシュ側傾斜面、を有する他端側開口部と、を含み、
前記ターボチャージャ用のシャフト支持装置の組立方法は、
前記シャフトを前記ブッシュの前記一端側から前記ブッシュに挿通するシャフト挿通ステップと、
前記シャフトの他端側から前記一端側に向かって前記シャフトの軸線からの距離が小さくなる第1シャフト側傾斜面、を有する他端側突出部を、前記シャフトの他端側において前記軸部の外周面より突出し、且つ前記他端側開口部に少なくとも一部が挿通されるように、前記シャフトの前記他端側から前記軸部に取り付ける他端側突出部取付ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、シャフトやブッシュの摩耗や損傷を抑制できるターボチャージャ用のシャフト支持装置、および該シャフト支持装置の組立方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
【
図2】第1の実施形態におけるシャフトとブッシュを説明するための説明図である。
【
図3】第1の実施形態にかかるシャフト支持装置の組立方法を説明するための説明図である。
【
図4】第1の実施形態にかかるシャフト支持装置の組立方法の変形例を説明するための説明図である。
【
図5】第2の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
【
図6】第3の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
【
図7】第4の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
【
図8】シャフト支持装置の圧力受け部の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
幾つかの実施形態にかかるシャフト支持装置1は、
図1に示されるように、シャフト2と、シャフト2を挿通させる筒状のブッシュ3と、シャフト2の一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部11と、を備える。
【0012】
以下、シャフト2の軸線LSの延在する方向(図中上下方向)をシャフト2の軸方向と定義し、軸線LSに直交する方向をシャフト2の径方向と定義する。ブッシュ3の軸線LBの延在する方向(図中上下方向)をブッシュ3の軸方向と定義し、軸線LBに直交する方向をブッシュ3の径方向と定義する。シャフト2およびブッシュ3の軸方向のうち、圧力受け部11が位置する側(図中下側)を一端側と定義し、上記軸方向のうち、一端側とは反対側(図中上側)を他端側と定義する。なお、ブッシュ3の軸線LBは、シャフト2の軸線LSに平行であってもよいし、軸線LSと交差していてもよい。
【0013】
(シャフト)
シャフト2は、シャフト2の軸方向に沿って延びる軸部21と、シャフト2の他端側(図中上側)において軸部21の外周面22より突出する他端側突出部4と、シャフト2の一端側(図中下側)において軸部21の外周面22より突出する一端側突出部6と、を含む。一端側突出部6は、シャフト2の圧力受け部11が接続される位置P1よりも他端側に位置し、他端側突出部4よりも一端側に位置している。
【0014】
他端側突出部4は、シャフト2の他端側から一端側に向かってシャフト2の軸線LSからの距離が小さくなる第1シャフト側傾斜面41を有する。図示される実施形態では、他端側突出部4は、軸部21と別体となるように構成されており、軸部21の外周面22を囲む環状に形成されている。他端側突出部4は、上記第1シャフト側傾斜面41と、第1シャフト側傾斜面41の外周端からシャフト2の径方向に沿って該径方向における内側に延在する第1シャフト側背面42と、第1シャフト側傾斜面41の内周端から第1シャフト側背面42の内周端までに亘りシャフト2の軸方向に沿って延在する第1シャフト側内周面43と、を有する。他端側突出部4は、第1シャフト側内周面43が軸部21の外周面22に嵌合することで、軸部21に固定されている。なお、他の幾つかの実施形態では、他端側突出部4は、軸部21と一体となるように構成されていてもよい。この場合には、シャフト2の形成時に、例えば、削り出し加工などにより、軸部21と他端側突出部4が一体的に形成される。
【0015】
一端側突出部6は、シャフト2の一端側から他端側に向かってシャフト2の軸線LSからの距離が小さくなる第2シャフト側傾斜面61を有する。図示される実施形態では、一端側突出部6は、軸部21と別体となるように構成されており、軸部21の外周面22を囲む環状に形成されている。一端側突出部6は、上記第2シャフト側傾斜面61と、第2シャフト側傾斜面61の外周端からシャフト2の径方向に沿って該径方向における内側に延在する第2シャフト側背面62と、第2シャフト側傾斜面61の内周端から第2シャフト側背面62の内周端までに亘りシャフト2の軸方向に沿って延在する第2シャフト側内周面63と、を有する。一端側突出部6は、第2シャフト側内周面63が軸部21の外周面22に嵌合することで、軸部21に固定されている。なお、他の幾つかの実施形態では、一端側突出部6は、軸部21と一体となるように構成されていてもよい。この場合には、シャフト2の形成時に、例えば、削り出し加工などにより、軸部21と一端側突出部6が一体的に形成される。
【0016】
(ブッシュ)
ブッシュ3は、圧力受け部11よりも他端側に位置している。ブッシュ3は、シャフト2の軸部21が挿通される周面部31と、ブッシュ3の他端側(図中上側)に形成された他端側開口部5と、ブッシュ3の一端側(図中下側)に形成された一端側開口部7と、を含む。ブッシュ3は、周面部31、他端側開口部5および一端側開口部7を含む内面32により形成された挿通孔32Aにシャフト2が挿通されている。
【0017】
他端側開口部5は、周面部31よりもブッシュ3の他端側に形成され、他端側突出部4の少なくとも一部が挿通されている。他端側開口部5は、ブッシュ3の他端側から一端側に向かってブッシュ3の軸線LBからの距離が小さくなる第1ブッシュ側傾斜面51を有する。第1ブッシュ側傾斜面51は、隙間を挟んで第1シャフト側傾斜面41に対向している。
【0018】
一端側開口部7は、周面部31よりもブッシュ3の一端側に形成され、一端側突出部6の少なくとも一部が挿通されている。一端側開口部7は、ブッシュ3の一端側から他端側に向かってブッシュ3の軸線LBからの距離が小さくなる第2ブッシュ側傾斜面71を有する。第2ブッシュ側傾斜面71は、隙間を挟んで第2シャフト側傾斜面61に対向している。
【0019】
周面部31は、第1ブッシュ側傾斜面51(他端側開口部5)の一端および第2ブッシュ側傾斜面71(一端側開口部7)の他端の夫々に連なるとともに、ブッシュ3の軸方向に沿って延在している。周面部31は、周面部31を挿通する軸部21との間に隙間が形成されている。ブッシュ3は、上記内面32と、他端側の端面33と、一端側の端面34と、他端側の端面33の外周端と一端側の端面34の外周端とを繋ぐ外面35と、を含む。他端側の端面33は、第1ブッシュ側傾斜面51(他端側開口部5)の他端からブッシュ3の径方向に沿って該径方向における外側に向かって延在している。一端側の端面34は、第2ブッシュ側傾斜面71(一端側開口部7)の一端からブッシュ3の径方向に沿って該径方向における外側に向かって延在している。
【0020】
図示される実施形態では、ターボチャージャ10は、不図示のタービン翼を収容するタービンケーシング12を備える。タービンケーシング12には、タービンケーシング12の内部に形成された内部空間13と、タービンケーシング12の外部とを連通させる貫通孔14が形成されている。ブッシュ3は、ブッシュ3の外面35が貫通孔14に嵌合することで、タービンケーシング12に固定されている。
【0021】
(圧力受け部)
圧力受け部11には、流体の圧力が作用する。図示される実施形態では、圧力受け部11は、タービンケーシング12の内部空間13に配置された弁体11Aを含む。弁体11Aは、シャフト2の一端側開口部7(ブッシュ3)から一端側に突出した一端部23に機械的に接続されている。シャフト支持装置1は、シャフト2をシャフト2の回転軸を中心に回転させるためのアクチュエータ15を備える。弁体11Aは、シャフト2の回転軸を中心とした回転に連動して上記回転軸周りに回転することで、流体が流れる流路を開閉するように構成されている。弁体11Aは、不図示のタービン翼を迂回するウェイストゲート流路を開閉するためのウェイストゲートバルブの弁体であってもよい。
【0022】
内部空間13には、不図示のエンジンから排出されてタービンケーシング12の内部に導かれた高温高圧の排ガスが流れる。内部空間13に面する弁体11A(圧力受け部11)には、内部空間13内の排ガスの圧力Pが作用する。この圧力Pによりシャフト2の一端部23には、シャフト2の軸方向に垂直な方向の力F1が加えられる。なお、他の幾つかの実施形態では、圧力受け部11は、ターボチャージャ10の不図示のコンプレッサ翼を収容するコンプレッサケーシングの内部に形成された内部空間に配置されていてもよい。この場合には、圧力受け部11には、コンプレッサケーシングの内部に導かれた流体(例えば、空気)の圧力が作用する。
【0023】
図2は、第1の実施形態におけるシャフトとブッシュを説明するための説明図である。シャフト支持装置1は、シャフト2の他端側開口部5(ブッシュ3)から他端側に突出した他端部24に機械的に接続されたレバー8を備える。シャフト2は、レバー8により他端側が支持されている。このため、
図2に示されるように、圧力受け部11に上記流体の圧力Pが作用すると、シャフト2がブッシュ3に対して傾斜し、ブッシュ3の一端側および他端側の夫々において、シャフト2とブッシュ3とが接触することがある。ここで、ブッシュ3の他端側は、ブッシュ3の一端側よりも圧力受け部11から離隔しているため、ブッシュ3の一端側に比べて、圧力受け部11が受けた圧力により作用するモーメントが大きく、シャフト2とブッシュ3とが接触したときの接触面圧が大きくなる傾向がある。すなわち、ブッシュ3の他端側におけるシャフト2とブッシュ3との間の接触面圧CP1は、ブッシュ3の一端側におけるシャフト2とブッシュ3との間の接触面圧CP2よりも大きくなる。このため、ブッシュ3の他端側において、シャフト2やブッシュ3の摩耗や損傷を抑制する必要がある。
【0024】
幾つかの実施形態にかかるシャフト支持装置1は、
図1に示されるように、上述したシャフト2と、上述したブッシュ3と、上述した圧力受け部11と、を備える。シャフト2は、第1シャフト側傾斜面41を有する他端側突出部4を含み、ブッシュ3は、第1ブッシュ側傾斜面51を有する他端側開口部5を含む。
【0025】
上記の構成によれば、
図2に示されるように、圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、ブッシュ3の他端側において、第1シャフト側傾斜面41と第1ブッシュ側傾斜面51とが接触する。第1シャフト側傾斜面41および第1ブッシュ側傾斜面51の夫々は、他端側から一端側に向かって径方向における内側に傾斜しているので、互いの接触面積が大きなものになる。第1シャフト側傾斜面41と第1ブッシュ側傾斜面51との間の接触面積を大きくすることで、第1シャフト側傾斜面41と第1ブッシュ側傾斜面51との接触面圧CP1を低減できるため、ブッシュ3の他端側において、シャフト2とブッシュ3の接触により生じるシャフト2やブッシュ3の摩耗や損傷を抑制できる。
【0026】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、上述したシャフト2は、第1シャフト側傾斜面41を有する他端側突出部4と、第2シャフト側傾斜面61を有する一端側突出部6と、を含む。上述したブッシュ3は、第1ブッシュ側傾斜面51を有する他端側開口部5と、第2ブッシュ側傾斜面71を有する一端側開口部7と、を含む。
【0027】
上記の構成によれば、
図2に示されるように、圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、ブッシュ3の一端側において、第2シャフト側傾斜面61と第2ブッシュ側傾斜面71とが接触する。第2シャフト側傾斜面61および第2ブッシュ側傾斜面71の夫々は、一端側から他端側に向かって径方向における内側に傾斜しているので、互いの接触面積が大きなものになる。第2シャフト側傾斜面61と第2ブッシュ側傾斜面71との間の接触面積を大きくすることで、第2シャフト側傾斜面61と第2ブッシュ側傾斜面71との接触面圧CP2を低減できるため、ブッシュ3の一端側において、シャフト2とブッシュ3の接触により生じるシャフト2やブッシュ3の摩耗や損傷を抑制できる。
【0028】
上記の構成によれば、圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、ブッシュ3の一端側と他端側との両方においてシャフト2とブッシュ3とを接触させることで、ブッシュ3の一端側および他端側の夫々における接触面圧CP1、CP2を緩和できる。これにより、ブッシュ3の一端側や他端側において、シャフト2とブッシュ3の接触により生じるシャフト2やブッシュ3の摩耗や損傷を抑制できる。
【0029】
(シャフト支持装置の組立方法)
図3は、第1の実施形態にかかるシャフト支持装置の組立方法を説明するための説明図である。
図3では、シャフト2の他端側突出部4および一端側突出部6の夫々は、軸部21と別体となるように構成されている。以下、
図3に基づいてシャフト支持装置1の組立方法100を説明する。第1に、例えば圧入により、軸部21にシャフト2の他端側から一端側突出部6を取り付ける(一端側突出部取付ステップS1)。なお、圧力受け部11とシャフト2の接続は、軸部21に一端側突出部6を取り付ける前に行ってもよいし、軸部21に一端側突出部6を取り付けた後に行ってもよい。軸部21と一端側突出部6とが一体となるように構成されている場合には、上記一端側突出部取付ステップS1を行う必要はない。第2に、一端側突出部6が取り付けられた軸部21(シャフト2)をブッシュ3の一端側からブッシュ3の挿通孔32Aに挿通する(シャフト挿通ステップS2)。第3に、第1シャフト側傾斜面41を有する他端側突出部4を、シャフト2の他端側において軸部21の外周面22より突出し、且つ前記他端側開口部5に少なくとも一部が挿通されるように、例えば圧入により、シャフト2の他端側から軸部21に取り付ける(他端側突出部取付ステップS3)。第4に、他端側突出部4が取り付けられたシャフト2の他端部24とレバー8の接続を行う(レバー接続ステップS4)。組立方法100は、ステップS1、S2、S3およびS4を備える。S1の後に、S2が行われ、S2の後にS3が行われる。また、S3の後にS4が行われる。
【0030】
幾つかの実施形態にかかるターボチャージャ用のシャフト支持装置1の組立方法100は、
図3、
図4に示されるように、上述したシャフト2と、上述したブッシュ3と、上述した圧力受け部11と、を備えるターボチャージャ用のシャフト支持装置1の組立方法である。ここで、シャフト2は、上述した軸部21を少なくとも含み、ブッシュ3は、上述した周面部31と、上述した第1ブッシュ側傾斜面51を有する他端側開口部5と、を少なくとも含む。ターボチャージャ用のシャフト支持装置1の組立方法100は、シャフト2をブッシュ3の一端側からブッシュ3(の挿通孔32A)に挿通するシャフト挿通ステップS2と、上述した第1シャフト側傾斜面41を有する他端側突出部4を、シャフト2の他端側において軸部21の外周面22より突出し、且つ前記他端側開口部5に少なくとも一部が挿通されるように、シャフト2の他端側から軸部21に取り付ける他端側突出部取付ステップS3と、を少なくとも備える。シャフト支持装置1の組立方法100は、一端側突出部取付ステップS1やレバー接続ステップS4をさらに備えていてもよい。
【0031】
上記の方法によれば、シャフト支持装置1の組立を簡単に行うことができるため、シャフト支持装置1の組立工数や製造コストを低減できる。
【0032】
図4は、第1の実施形態にかかるシャフト支持装置の組立方法の変形例を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した一端側突出部6は、軸部21と一体となるように構成され、他端側突出部4は、軸部21と別体となるように構成されている。
【0033】
上記の構成によれば、シャフト支持装置1は、シャフト2の軸部21および一端側突出部6をブッシュ3の一端側からブッシュ3に挿入後に、ブッシュ3の他端側において軸部21に他端側突出部4を取り付けることで、組立てられる。すなわち、上述したシャフト支持装置1の組立方法における、軸部21に一端側突出部6を取り付けるステップS1を行わなくてよい。この場合には、シャフト支持装置1の組立を簡単に行うことができるため、シャフト支持装置1の組立工数や製造コストを低減できる。
【0034】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述したシャフト支持装置1は、シャフト2の他端側開口部5から突出した他端部24に接続されたレバー8を備える。上述した他端側突出部4は、レバー8と一体となるように構成されている。この場合には、レバー8の形成時に、例えば、削り出し加工などにより、レバー8と他端側突出部4が一体的に形成される。
【0035】
上記の構成によれば、他端側突出部4とレバー8とを一体とすることで、軸部21に他端側突出部4を取り付ける際に、他端側突出部4と一緒にレバー8も取り付けることができる。仮に他端側突出部4とレバー8とが別体である場合には、他端側突出部4を軸部21に取り付け後に、レバー8が軸部21に取り付けられる。上記の構成によれば、他端側突出部4とレバー8とが別体である場合に比べて、シャフト支持装置1の組立を簡単に行うことができるため、シャフト支持装置1の組立工数や製造コストを低減できる。
【0036】
幾つかの実施形態では、上述した第1シャフト側傾斜面41は、
図1に示されるようなシャフト2の軸線LSに沿った断面において、シャフト2の軸線LSに対して直線状に傾斜したシャフト側テーパ面41Aを含む。また、上述した第1ブッシュ側傾斜面51は、
図1に示されるようなブッシュ3の軸線LBに沿った断面において、ブッシュ3の軸線LBに対して直線状に傾斜したブッシュ側テーパ面51Aを含む。ブッシュ側テーパ面51Aは、隙間を挟んでシャフト側テーパ面41Aに対向している。
【0037】
シャフト側テーパ面41Aおよびブッシュ側テーパ面51Aの夫々は、軸方向の他端側から一端側に向かって径方向における内側に傾斜している。図示される実施形態では、シャフト側テーパ面41Aは、第1シャフト側傾斜面41の一端(内周端)から他端(外周端)までに亘り形成されている。ブッシュ側テーパ面51Aは、第1ブッシュ側傾斜面51の一端(内周端)から他端(外周端)までに亘り形成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、シャフト側テーパ面41Aは、第1シャフト側傾斜面41の一部に形成されていてもよいし、ブッシュ側テーパ面51Aは、第1ブッシュ側傾斜面51の一部に形成されていてもよい。
【0038】
上記の構成によれば、第1シャフト側傾斜面41は、シャフト2の軸線LSに対して直線状に傾斜したシャフト側テーパ面41Aを含み、第1ブッシュ側傾斜面51は、ブッシュ3の軸線LBに対して直線状に傾斜したブッシュ側テーパ面51Aを含む。この場合には、第1シャフト側傾斜面41のシャフト側テーパ面41Aと、第1ブッシュ側傾斜面51のブッシュ側テーパ面51Aとの間の接触面積が大きなものになるので、第1シャフト側傾斜面41と第1ブッシュ側傾斜面51との接触面圧を効果的に低減できる。
【0039】
幾つかの実施形態では、上述した第2シャフト側傾斜面61は、
図1に示されるようなシャフト2の軸線LSに沿った断面において、シャフト2の軸線LSに対して直線状に傾斜したシャフト側テーパ面61Aを含む。また、上述した第2ブッシュ側傾斜面71は、
図1に示されるようなブッシュ3の軸線LBに沿った断面において、ブッシュ3の軸線LBに対して直線状に傾斜したブッシュ側テーパ面71Aを含む。ブッシュ側テーパ面71Aは、隙間を挟んでシャフト側テーパ面61Aに対向している。
【0040】
シャフト側テーパ面61Aおよびブッシュ側テーパ面71Aの夫々は、軸方向の一端側から他端側に向かって径方向における内側に傾斜している。図示される実施形態では、シャフト側テーパ面61Aは、第2シャフト側傾斜面61の一端(外周端)から他端(内周端)までに亘り形成されている。ブッシュ側テーパ面71Aは、第2ブッシュ側傾斜面71の一端(外周端)から他端(内周端)までに亘り形成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、シャフト側テーパ面61Aは、第2シャフト側傾斜面61の一部に形成されていてもよいし、ブッシュ側テーパ面71Aは、第2ブッシュ側傾斜面71の一部に形成されていてもよい。
【0041】
上記の構成によれば、第2シャフト側傾斜面61は、シャフト2の軸線LSに対して直線状に傾斜したシャフト側テーパ面61Aを含み、第2ブッシュ側傾斜面71は、ブッシュ3の軸線LBに対して直線状に傾斜したブッシュ側テーパ面71Aを含む。この場合には、第2シャフト側傾斜面61のシャフト側テーパ面61Aと、第2ブッシュ側傾斜面71のブッシュ側テーパ面71Aとの間の接触面積が大きなものになるので、第2シャフト側傾斜面61と第2ブッシュ側傾斜面71との接触面圧を効果的に低減できる。
【0042】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
幾つかの実施形態にかかるシャフト支持装置1は、
図5に示されるように、上述したシャフト2と、上述したブッシュ3と、上述した圧力受け部11と、を備える。シャフト2は、第1シャフト側傾斜面41を有する他端側突出部4を含み、ブッシュ3は、第1ブッシュ側傾斜面51を有する他端側開口部5を含む。上述した第1シャフト側傾斜面41は、シャフト2の軸線LSに沿った断面において、シャフト2の一端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面41Bを含み、上述した第1ブッシュ側傾斜面51は、ブッシュ3の軸線LBに沿った断面において、ブッシュ3の一端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面51Bを含む。凹曲面51Bは、隙間を挟んで凸曲面41Bに対向している。
【0043】
凸曲面41Bは、シャフト2の軸方向の他端側から一端側に向かうにつれて軸線LSからの距離が小さくなるような曲り形状を有する。凹曲面51Bは、ブッシュ3の軸方向の他端側から一端側に向かうにつれて軸線LBからの距離が小さくなるような曲り形状を有する。図示される実施形態では、凸曲面41Bは、第1シャフト側傾斜面41の一端(内周端)から他端(外周端)までに亘り形成されている。凹曲面51Bは、第1ブッシュ側傾斜面51の一端(内周端)から他端(外周端)までに亘り形成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、凸曲面41Bは、第1シャフト側傾斜面41の一部に形成されていてもよいし、凹曲面51Bは、第1ブッシュ側傾斜面51の一部に形成されていてもよい。
【0044】
上記の構成によれば、第1シャフト側傾斜面41は、シャフト2の一端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面41Bを含み、第1ブッシュ側傾斜面51は、ブッシュ3の一端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面51Bを含む。この場合には、第1シャフト側傾斜面41の凸曲面41Bと、第1ブッシュ側傾斜面51の凹曲面51Bとの間の接触面積が大きなものになるので、第1シャフト側傾斜面41と第1ブッシュ側傾斜面51との接触面圧を効果的に低減できる。
【0045】
幾つかの実施形態にかかるシャフト支持装置1は、
図5に示されるように、上述したシャフト2は、第1シャフト側傾斜面41を有する他端側突出部4と、第2シャフト側傾斜面61を有する一端側突出部6と、を含む。上述したブッシュ3は、第1ブッシュ側傾斜面51を有する他端側開口部5と、第2ブッシュ側傾斜面71を有する一端側開口部7と、を含む。上述した第2シャフト側傾斜面61は、シャフト2の軸線LSに沿った断面において、シャフト2の他端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面61Bを含み、上述した第2ブッシュ側傾斜面71は、ブッシュ3の軸線LBに沿った断面において、ブッシュ3の他端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面71Bを含む。凹曲面71Bは、隙間を挟んで凸曲面61Bに対向している。
【0046】
凸曲面61Bは、シャフト2の軸方向の一端側から他端側に向かうにつれて軸線LSからの距離が小さくなるような曲り形状を有する。凹曲面71Bは、ブッシュ3の軸方向の一端側から他端側に向かうにつれて軸線LBからの距離が小さくなるような曲り形状を有する。図示される実施形態では、凸曲面61Bは、第2シャフト側傾斜面61の一端(外周端)から他端(内周端)までに亘り形成されている。凹曲面71Bは、第2ブッシュ側傾斜面71の一端(外周端)から他端(内周端)までに亘り形成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、凸曲面61Bは、第2シャフト側傾斜面61の一部に形成されていてもよいし、凹曲面71Bは、第2ブッシュ側傾斜面71の一部に形成されていてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、第2シャフト側傾斜面61は、シャフト2の他端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面61Bを含み、第2ブッシュ側傾斜面71は、ブッシュ3の他端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面71Bを含む。この場合には、第2シャフト側傾斜面61の凸曲面61Bと、第2ブッシュ側傾斜面71の凹曲面71Bとの間の接触面積が大きなものになるので、第2シャフト側傾斜面61と第2ブッシュ側傾斜面71との接触面圧を効果的に低減できる。
【0048】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
幾つかの実施形態では、
図6に示されるように、上述したシャフト2は、一端側突出部6よりも一端側で且つ前記圧力受け部11が接続される位置P1よりも他端側において軸部21の外周面22より突出するつば部9を含む。つば部9は、第2シャフト側傾斜面61の外周端よりも外周側に延在する当接面91を含む。当接面91は、ブッシュ3の一端側の端面34に当接する。
【0049】
図示される実施形態では、つば部9は、シャフト2や一端側突出部6とは別体となるように構成されており、軸部21の外周面22を囲む円板状に形成されている。当接面91は、シャフト2の軸線LSに直交する方向に沿って一端側の端面34の外周縁よりも外周側まで延在している。なお、他の幾つかの実施形態では、つば部9は、シャフト2又は一端側突出部6の少なくとも一方と一体に構成されていてもよい。
【0050】
上記の構成によれば、つば部9の当接面91をブッシュ3の一端側の端面に当接させることで、ブッシュ3の一端側においてシャフト2とブッシュ3との間をシールできる。圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、シャフト2がつば部9を含まない場合に比べて、ブッシュ3の一端側におけるシャフト2とブッシュ3との間の隙間を小さなものにできる。これにより、シャフト2とブッシュ3との間の隙間を通じた流体の漏洩を効果的に抑制できる。なお、
図6では、第1の実施形態におけるシャフト2がつば部9を含む構成を図示しているが、第2の実施形態におけるシャフト2がつば部9を含む構成にしてもよい。
【0051】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態にかかるシャフト支持装置の構成を概略的に示す概略断面図である。
図7では、シャフト2がブッシュ3に対して傾斜した状態を図中二点鎖線で示している。
幾つかの実施形態にかかるシャフト支持装置1は、
図7に示されるように、上述したシャフト2と、上述したブッシュ3と、上述した圧力受け部11と、を備える。シャフト2は、上述した軸部21と、上述したシャフト側傾斜面61を有する一端側突出部6と、を含む。ブッシュ3は、上述した周面部31と、上述したブッシュ側第1傾斜面71を有する一端側開口部7と、ブッシュ3の他端側に形成される他端側開口部5と、を含む。
【0052】
他端側開口部5は、ブッシュ3の他端側から一端側に向かってブッシュ3の軸線LBからの距離が小さくなるブッシュ側第2傾斜面52を有する。ブッシュ側第2傾斜面52は、隙間を挟んで軸部21の外周面22に対向している。他端側開口部5は、
図7に示されるように、シャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、前記シャフト2との間に隙間53が形成されるように構成されている。換言すると、他端側開口部5は、シャフト2の稼働域の外側にブッシュ側第2傾斜面52が位置するように構成されており、シャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、ブッシュ側第2傾斜面52に軸部21の外周面22が干渉(接触)しない形状に構成されている。
【0053】
図示される実施形態では、ブッシュ側第2傾斜面52は、ブッシュ3の軸線LBに沿った断面において、ブッシュ3の他端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面52Aを含む。凸曲面52Aは、ブッシュ3の軸方向の一端側から他端側に向かうにつれて軸線LBからの距離が大きくなるような曲り形状を有する。凸曲面52Aは、ブッシュ側第2傾斜面52の一端(内周端)から他端(外周端)までに亘り形成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、ブッシュ側第2傾斜面52は、ブッシュ3の軸線LBに沿った断面において、ブッシュ3の一端側から他端側に向けて径方向における外側に直線状に傾斜した直線状部を含んでいてもよいし、ブッシュ3の軸線LBに沿った断面において、ブッシュ3の一端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面を含んでいてもよい。
【0054】
上記の構成によれば、圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、ブッシュ3の一端側において、一端側突出部6のシャフト側傾斜面61と、一端側開口部7のブッシュ側第1傾斜面71とが接触する。シャフト側傾斜面61およびブッシュ側第1傾斜面71の夫々は、一端側から他端側に向かって径方向における内側に傾斜しているので、互いの接触面積が大きなものになる。シャフト側傾斜面61とブッシュ側第1傾斜面71との間の接触面積を大きくすることで、シャフト側傾斜面61とブッシュ側第1傾斜面71との接触面圧を低減できるため、ブッシュ3の一端側において、シャフト2とブッシュ3の接触により生じるシャフト2やブッシュ3の摩耗や損傷を抑制できる。
【0055】
ブッシュ3の他端側は、ブッシュ3の一端側よりも圧力受け部11から離隔しているため、ブッシュ3の一端側に比べて、作用するモーメントが大きく、シャフト2とブッシュ3とが接触したときの接触面圧が大きくなる傾向がある。このため、ブッシュ3の他端側において、シャフト2やブッシュ3の摩耗や損傷を抑制する必要がある。
【0056】
上記の構成によれば、圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、シャフト側傾斜面61とブッシュ側第1傾斜面71とを接触させることで、シャフト2のブッシュ3に対する傾きを制限できる。すなわち、シャフト2の可動域を制限できる。ブッシュ側第2傾斜面52を有する他端側開口部5は、圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、シャフト2との間に隙間53が形成されるように構成されている。この場合には、シャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、ブッシュ3の他端側開口部5にシャフト2が接触することを抑制できる。これにより、ブッシュ3の他端側において、シャフト2とブッシュ3の接触により生じるシャフト2やブッシュ3の摩耗や損傷を抑制できる。
【0057】
幾つかの実施形態では、
図7に示されるように、上述したシャフト2は、一端側突出部6よりも一端側で且つ圧力受け部11が接続される位置P1よりも他端側において軸部21の外周面22より突出するつば部9を含む。つば部9は、シャフト側傾斜面61の外周端よりも外周側に延在する当接面91を含む。当接面91は、ブッシュ3の一端側の端面34に当接する。
【0058】
上記の構成によれば、つば部9の当接面91をブッシュ3の一端側の端面34に当接させることで、ブッシュ3の一端側においてシャフト2とブッシュ3との間をシールできる。圧力受け部11に流体の圧力Pが作用してシャフト2がブッシュ3に対して傾斜したときに、シャフト2がつば部9を含まない場合に比べて、ブッシュ3の一端側におけるシャフト2とブッシュ3との間の隙間を小さなものにできる。これにより、シャフト2とブッシュ3との間の隙間を通じた流体の漏洩を効果的に抑制できる。
【0059】
また、上記の構成によれば、つば部9の当接面91をブッシュ3の一端側の端面34に当接させることで、圧力受け部11に流体の圧力が作用したときの、シャフト2のブッシュ3に対する傾きを制限できる。すなわち、シャフト2の可動域を制限できる。この場合には、他端側開口部5(のブッシュ側第2傾斜面52)とシャフト2(の外周面22)との間の隙間を小さくすることが可能になる。他端側開口部5とシャフト2との間の隙間を小さくすることで、他端側開口部5にシャフト2が接触することを抑制しつつ、シャフト2とブッシュ3の間の隙間を通じた流体の漏洩を効果的に抑制できる。また、上記の構成によれば、つば部9により流体の漏洩を抑制することで、他端側開口部5(のブッシュ側第2傾斜面52)とシャフト2(の外周面22)との間の隙間を大きなものにすることが可能になる。他端側開口部5とシャフト2との間の隙間を大きくすることで、ブッシュ3の他端側開口部5にシャフト2が接触することを効果的に抑制できる。
【0060】
上述した幾つかの実施形態にかかるシャフト支持装置1は、弁体11A以外の圧力受け部11に適用可能である。
【0061】
図8は、シャフト支持装置の圧力受け部の一例を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した圧力受け部11は、上述した弁体11Aの代わりに、可変ノズル機構101の被嵌合部102に嵌合する嵌合部11Bを含む。圧力受け部11以外の構成は、上述した幾つかの実施形態と同様である。可変ノズル機構101は、回転中心RCを中心に回転可能な連結リング103と、排ガスが流れる排ガス流路に配置された少なくとも1つのノズルベーン104と、ノズルベーン104の夫々と連結リング103とを連動させる少なくとも一つの連結レバー105を含む駆動装置106であって、連結リング103の回転に応じてノズルベーン104の翼角を変化させるように構成された駆動装置106と、を含む。図示される実施形態では、被嵌合部102は、連結リング103の外周縁に形成された第1の切り欠き部からなる。嵌合部11Bは、上記第1の切り欠き部(被嵌合部102)に回転摺動可能に収容されている。連結リング103の外周縁には、少なくとも1つの第2の切り欠き部107が形成されている。第2の切り欠き部107の夫々に、連結レバー105の一端が回転摺動可能に収容されている。連結レバー105の他端がノズルベーン104に連結されている。連結リング103の回転に応じて、ノズルベーン104の夫々が回転中心RBを中心に回転する。これにより、ノズルベーン104の翼角が変化する。
【0062】
嵌合部11Bは、シャフト2の一端側開口部7(ブッシュ3)から一端側に突出した一端部23(
図1参照)に機械的に接続されている。嵌合部11Bは、上述したアクチュエータ15によるシャフト2をシャフト2の回転軸を中心に回転させる回転力を、被嵌合部102を介して連結リング103に伝達するように構成されている。連結リング103は、被嵌合部102を介して伝達された上記回転力により、連結リング103を回転中心RCを中心に回転させる。この嵌合部11Bには、連結リング103などを介して、ノズルベーン104が排ガスから受ける圧力が伝達される。このため、嵌合部11Bに接続されたシャフト2がブッシュ3に対して傾斜することがある。
【0063】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0064】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0065】
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかるターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)は、
シャフト(2)と、
前記シャフト(2)を挿通させる筒状のブッシュ(3)と、
前記シャフト(2)の一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部(11)と、を備え、
前記シャフト(2)は、
軸部(21)と、
前記シャフト(2)の他端側において前記軸部(21)の外周面(22)より突出する他端側突出部(4)であって、前記シャフト(2)の前記他端側から前記一端側に向かって前記シャフト(2)の軸線(LS)からの距離が小さくなる第1シャフト側傾斜面(41)、を有する他端側突出部(4)と、を含み、
前記ブッシュ(3)は、
前記軸部(21)が挿通される周面部(31)と、
前記ブッシュ(3)の他端側に形成されるとともに前記他端側突出部(4)の少なくとも一部が挿通される他端側開口部(5)であって、前記ブッシュ(3)の前記他端側から一端側に向かって前記ブッシュ(3)の軸線(LB)からの距離が小さくなる第1ブッシュ側傾斜面(51)、を有する他端側開口部(5)と、を含む。
【0066】
ブッシュ(3)の他端側は、ブッシュ(3)の一端側よりも圧力受け部(11)から離隔しているため、ブッシュ(3)の一端側に比べて、作用するモーメントが大きく、シャフト(2)とブッシュ(3)とが接触したときの接触面圧が大きくなる傾向がある。このため、ブッシュ(3)の他端側において、シャフト(2)やブッシュ(3)の摩耗や損傷を抑制する必要がある。
上記1)の構成によれば、圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、ブッシュ(3)の他端側において、他端側突出部(4)の第1シャフト側傾斜面(41)と、他端側開口部(5)の第1ブッシュ側傾斜面(51)とが接触する。第1シャフト側傾斜面(41)および第1ブッシュ側傾斜面(51)の夫々は、他端側から一端側に向かって径方向における内側に傾斜しているので、互いの接触面積が大きなものになる。第1シャフト側傾斜面(41)と第1ブッシュ側傾斜面(51)との間の接触面積を大きくすることで、第1シャフト側傾斜面(41)と第1ブッシュ側傾斜面(51)との接触面圧を低減できるため、ブッシュ(3)の他端側において、シャフト(2)とブッシュ(3)の接触により生じるシャフト(2)やブッシュ(3)の摩耗や損傷を抑制できる。
【0067】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)であって、
前記シャフト(2)は、
前記シャフト(2)の前記一端側で且つ前記圧力受け部(11)が接続される位置(P1)よりも前記他端側において前記軸部(21)の前記外周面(22)より突出する一端側突出部(6)であって、前記シャフト(2)の前記一端側から前記他端側に向かって前記シャフト(2)の軸線(LS)からの距離が小さくなる第2シャフト側傾斜面(61)、を有する一端側突出部(6)を含み、
前記ブッシュ(3)は、
前記ブッシュ(3)の前記一端側に形成されるとともに前記一端側突出部(6)の少なくとも一部が挿通される一端側開口部(7)であって、前記ブッシュ(3)の前記一端側から前記他端側に向かって前記ブッシュ(3)の軸線(LB)からの距離が小さくなる第2ブッシュ側傾斜面(71)、を有する一端側開口部(7)を含む。
【0068】
上記2)の構成によれば、圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、ブッシュ(3)の一端側において、一端側突出部(6)の第2シャフト側傾斜面(61)と、一端側開口部(7)の第2ブッシュ側傾斜面(71)とが接触する。第2シャフト側傾斜面(61)および第2ブッシュ側傾斜面(71)の夫々は、一端側から他端側に向かって径方向における内側に傾斜しているので、互いの接触面積が大きなものになる。第2シャフト側傾斜面(61)と第2ブッシュ側傾斜面(71)との間の接触面積を大きくすることで、第2シャフト側傾斜面(61)と第2ブッシュ側傾斜面(71)との接触面圧を低減できるため、ブッシュ(3)の一端側において、シャフト(2)とブッシュ(3)の接触により生じるシャフト(2)やブッシュ(3)の摩耗や損傷を抑制できる。
【0069】
上記2)の構成によれば、圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、ブッシュ(3)の一端側と他端側との両方においてシャフト(2)とブッシュ(3)とを接触させることで、ブッシュ(3)の一端側および他端側の夫々における接触面圧を緩和できる。これにより、ブッシュ(3)の一端側や他端側において、シャフト(2)とブッシュ(3)の接触により生じるシャフト(2)やブッシュ(3)の摩耗や損傷を抑制できる。
【0070】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)であって、
前記一端側突出部(6)は、前記軸部(21)と一体となるように構成され、
前記他端側突出部(4)は、前記軸部(21)と別体となるように構成された。
【0071】
上記3)の構成によれば、シャフト支持装置(1)は、シャフト(2)の軸部(21)および一端側突出部(6)をブッシュ(3)の一端側からブッシュ(3)に挿入後に、ブッシュ(3)の他端側において軸部(21)に他端側突出部(4)を取り付けることで、組立てられる。この場合には、シャフト支持装置(1)の組立を簡単に行うことができるため、シャフト支持装置(1)の組立工数や製造コストを低減できる。
【0072】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)であって、
前記シャフト(2)の前記他端側開口部(5)から突出した他端部に接続されたレバー(8)をさらに備え、
前記他端側突出部(4)は、前記レバー(8)と一体となるように構成された。
【0073】
上記4)の構成によれば、他端側突出部(4)とレバー(8)とを一体とすることで、軸部(21)に他端側突出部(4)を取り付ける際に、他端側突出部(4)と一緒にレバー(8)も取り付けることができる。仮に他端側突出部(4)とレバー(8)とが別体である場合には、他端側突出部(4)を軸部(21)に取り付け後に、レベー(8)が軸部(21)に取り付けられる。上記の構成によれば、他端側突出部(4)とレバー(8)とが別体である場合に比べて、シャフト支持装置(1)の組立を簡単に行うことができるため、シャフト支持装置(1)の組立工数や製造コストを低減できる。
【0074】
5)幾つかの実施形態では、上記2)から上記4)までの何れかに記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)であって、
前記シャフト(2)は、前記一端側突出部(6)よりも前記一端側で且つ前記圧力受け部(11)が接続される位置よりも前記他端側において前記軸部(21)の前記外周面より突出するつば部(9)を含み、
前記つば部(9)は、前記第2シャフト側傾斜面(61)の外周端よりも外周側に延在する当接面(91)であって、前記ブッシュ(3)の前記一端側の端面に当接する当接面(91)を有する。
【0075】
上記5)の構成によれば、つば部(9)の当接面(91)をブッシュ(3)の一端側の端面に当接させることで、ブッシュ(3)の一端側においてシャフト(2)とブッシュ(3)との間をシールできる。圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、シャフト(2)がつば部(9)を含まない場合に比べて、ブッシュ(3)の一端側におけるシャフト(2)とブッシュ(3)との間の隙間を小さなものにできる。これにより、シャフト(2)とブッシュ(3)との間の隙間を通じた流体の漏洩を効果的に抑制できる。
【0076】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)であって、
前記第1シャフト側傾斜面(41)は、前記シャフト(2)の軸線(LS)に沿った断面において、前記シャフト(2)の軸線(LS)に対して直線状に傾斜したシャフト側テーパ面(41A)を含み、
前記第1ブッシュ側傾斜面(51)は、前記ブッシュ(3)の軸線(LB)に沿った断面において、前記ブッシュ(3)の軸線(LB)に対して直線状に傾斜したブッシュ側テーパ面(51A)を含む。
【0077】
上記6)の構成によれば、第1シャフト側傾斜面(41)は、シャフト(2)の軸線(LS)に対して直線状に傾斜したシャフト側テーパ面(41A)を含み、第1ブッシュ側傾斜面(51)は、ブッシュ(3)の軸線(LB)に対して直線状に傾斜したブッシュ側テーパ面(51A)を含む。この場合には、第1シャフト側傾斜面(41)のシャフト側テーパ面(41A)と、第1ブッシュ側傾斜面(51)のブッシュ側テーパ面(51A)との間の接触面積が大きなものになるので、第1シャフト側傾斜面(41)と第1ブッシュ側傾斜面(51)との接触面圧を効果的に低減できる。
【0078】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)であって、
前記第1シャフト側傾斜面(41)は、前記シャフト(2)の軸線(LS)に沿った断面において、前記シャフト(2)の前記一端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面(41B)を含み、
前記第1ブッシュ側傾斜面(51)は、前記ブッシュ(3)の軸線(LB)に沿った断面において、前記ブッシュ(3)の前記一端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面(51B)を含む。
【0079】
上記7)の構成によれば、第1シャフト側傾斜面(41)は、シャフト(2)の一端側に向けて凸状に湾曲した凸曲面(41B)を含み、第1ブッシュ側傾斜面(51)は、ブッシュ(3)の一端側に向けて凹状に湾曲した凹曲面(51B)を含む。この場合には、第1シャフト側傾斜面(41)の凸曲面(41B)と、第1ブッシュ側傾斜面(51)の凹曲面(51B)との間の接触面積が大きなものになるので、第1シャフト側傾斜面(41)と第1ブッシュ側傾斜面(51)との接触面圧を効果的に低減できる。
【0080】
8)本開示の少なくとも一実施形態にかかるターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)は、
シャフト(2)と、
前記シャフト(2)を挿通させる筒状のブッシュ(3)と、
前記シャフト(2)の一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部(11)と、を備え、
前記シャフト(2)は、
軸部(21)と、
前記シャフト(2)の前記一端側で且つ前記圧力受け部(11)が接続される位置(P1)よりも他端側において前記軸部(21)の外周面(22)より突出する一端側突出部(6)であって、前記シャフト(2)の前記一端側から前記他端側に向かって前記シャフト(2)の軸線(LS)からの距離が小さくなるシャフト側傾斜面(61)、を有する一端側突出部(6)と、を含み、
前記ブッシュ(3)は、
前記軸部(21)が挿通される周面部(31)と、
前記ブッシュ(3)の一端側に形成されるとともに前記一端側突出部(6)の少なくとも一部が挿通される一端側開口部(7)であって、前記ブッシュ(3)の前記一端側から他端側に向かって前記ブッシュ(3)の軸線(LB)からの距離が小さくなるブッシュ側第1傾斜面(71)を有する一端側開口部(7)と、
前記ブッシュ(3)の前記他端側に形成される他端側開口部(5)であって、前記ブッシュ(3)の前記他端側から前記一端側に向かって前記ブッシュ(3)の軸線(LB)からの距離が小さくなるブッシュ側第2傾斜面(52)を有する他端側開口部(5)と、を含み、
前記他端側開口部(5)は、前記シャフト(2)が前記ブッシュ(3)に対して傾斜したときに、前記シャフト(2)との間に隙間が形成されるように構成された。
【0081】
上記8)の構成によれば、圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、ブッシュ(3)の一端側において、一端側突出部(6)のシャフト側傾斜面(61)と、一端側開口部(7)のブッシュ側第1傾斜面(71)とが接触する。シャフト側傾斜面(61)およびブッシュ側第1傾斜面(71)の夫々は、一端側から他端側に向かって径方向における内側に傾斜しているので、互いの接触面積が大きなものになる。シャフト側傾斜面(61)とブッシュ側第1傾斜面(71)との間の接触面積を大きくすることで、シャフト側傾斜面(61)とブッシュ側第1傾斜面(71)との接触面圧を低減できるため、ブッシュ(3)の一端側において、シャフト(2)とブッシュ(3)の接触により生じるシャフト(2)やブッシュ(3)の摩耗や損傷を抑制できる。
【0082】
ブッシュ(3)の他端側は、ブッシュ(3)の一端側よりも圧力受け部(11)から離隔しているため、ブッシュ(3)の一端側に比べて、作用するモーメントが大きく、シャフト(2)とブッシュ(3)とが接触したときの接触面圧が大きくなる傾向がある。このため、ブッシュ(3)の他端側において、シャフト(2)やブッシュ(3)の摩耗や損傷を抑制する必要がある。
上記8)の構成によれば、圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、シャフト側傾斜面(61)とブッシュ側第1傾斜面(71)とを接触させることで、シャフト(2)のブッシュ(3)に対する傾きを制限できる。ブッシュ側第2傾斜面(52)を有する他端側開口部(5)は、圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、シャフト(2)との間に隙間が形成されるように構成されている。この場合には、シャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、ブッシュ(3)の他端側開口部(5)にシャフト(2)が接触することを抑制できる。これにより、ブッシュ(3)の他端側において、シャフト(2)とブッシュ(3)の接触により生じるシャフト(2)やブッシュ(3)の摩耗や損傷を抑制できる。
【0083】
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載のターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)であって、
前記シャフト(2)は、前記一端側突出部(6)よりも前記一端側で且つ前記圧力受け部(11)が接続される位置(P1)よりも前記他端側において前記軸部(21)の前記外周面(22)より突出するつば部(9)を含み、
前記つば部(9)は、前記シャフト側傾斜面(61)の外周端よりも外周側に延在する当接面(91)であって、前記ブッシュ(3)の前記一端側の端面に当接する当接面(91)を有する。
【0084】
上記9)の構成によれば、つば部(9)の当接面(91)をブッシュ(3)の一端側の端面に当接させることで、ブッシュ(3)の一端側においてシャフト(2)とブッシュ(3)との間をシールできる。圧力受け部(11)に流体の圧力が作用してシャフト(2)がブッシュ(3)に対して傾斜したときに、シャフト(2)がつば部(9)を含まない場合に比べて、ブッシュ(3)の一端側におけるシャフト(2)とブッシュ(3)との間の隙間を小さなものにできる。これにより、シャフト(2)とブッシュ(3)との間の隙間を通じた流体の漏洩を効果的に抑制できる。
【0085】
また、上記9)の構成によれば、つば部(9)の当接面(91)をブッシュ(3)の一端側の端面に当接させることで、圧力受け部(11)に流体の圧力が作用したときの、シャフト(2)のブッシュ(3)に対する傾きを制限できる。この場合には、他端側開口部(5)とシャフト(2)との間の隙間を小さくすることが可能になる。他端側開口部(5)とシャフト(2)との間の隙間を小さくすることで、他端側開口部(5)にシャフト(2)が接触することを抑制しつつ、シャフト(2)とブッシュ(3)の間の隙間を通じた流体の漏洩を効果的に抑制できる。また、上記9)の構成によれば、つば部(9)により流体の漏洩を抑制することで、他端側開口部(5)とシャフト(2)との間の隙間を大きなものにすることが可能になる。他端側開口部(5)とシャフト(2)との間の隙間を大きくすることで、ブッシュ(3)の他端側開口部(5)にシャフト(2)が接触することを効果的に抑制できる。
【0086】
10)本開示の少なくとも一実施形態にかかるターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)の組立方法(100)は、
シャフト(2)と、
前記シャフト(2)を挿通させる筒状のブッシュ(3)と、
前記シャフト(2)の一端側に接続された、流体の圧力が作用する圧力受け部(11)と、を備えるターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)の組立方法であって、
前記シャフト(2)は、軸部(21)を含み、
前記ブッシュ(3)は、
前記軸部(21)が挿通される周面部(31)と、
前記ブッシュ(3)の他端側に形成される他端側開口部(5)であって、前記ブッシュ(3)の前記他端側から一端側に向かって前記ブッシュ(3)の軸線(LB)からの距離が小さくなる第1ブッシュ側傾斜面(51)、を有する他端側開口部(5)と、を含み、
前記ターボチャージャ用のシャフト支持装置(1)の組立方法は、
前記シャフト(2)を前記ブッシュ(3)の前記一端側から前記ブッシュ(3)に挿通するシャフト挿通ステップ(S2)と、
前記シャフト(2)の前記他端側から一端側に向かって前記シャフト(2)の軸線(LS)からの距離が小さくなる第1シャフト側傾斜面(41)、を有する他端側突出部(4)を、前記シャフト(2)の他端側において前記軸部(21)の外周面(22)より突出し、且つ前記他端側開口部(5)に少なくとも一部が挿通されるように、前記シャフト(2)の前記他端側から前記軸部(21)に取り付ける他端側突出部取付ステップ(S3)と、を備える。
【0087】
上記10)の方法によれば、シャフト支持装置(1)の組立を簡単に行うことができるため、シャフト支持装置(1)の組立工数や製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0088】
1 シャフト支持装置
2 シャフト
3 ブッシュ
4 他端側突出部
5 他端側開口部
6 一端側突出部
7 一端側開口部
8 レバー
9 つば部
10 ターボチャージャ
11 圧力受け部
11A 弁体
11B 嵌合部
12 タービンケーシング
13 内部空間
14 貫通孔
15 アクチュエータ
21 軸部
22 外周面
23 一端部
24 他端部
31 周面部
32 内面
32A 挿通孔
33 他端側の端面
34 一端側の端面
35 外面
41 第1シャフト側傾斜面
41A シャフト側テーパ面
41B 凸曲面
42 第1シャフト側背面
43 第1シャフト側内周面
51 第1ブッシュ側傾斜面
51A ブッシュ側テーパ面
51B 凹曲面
52 ブッシュ側第2傾斜面
53 隙間
61 第2シャフト側傾斜面
61A シャフト側テーパ面
61B 凸曲面
62 第2シャフト側背面
63 第2シャフト側内周面
71 第2ブッシュ側傾斜面
71A ブッシュ側テーパ面
71B 凹曲面
91 当接面
100 シャフト支持装置の組立方法
101 可変ノズル機構
102 被嵌合部
103 連結リング
104 ノズルベーン
105 連結レバー
106 駆動装置
CP1,CP2 接触面圧
F1 力
LB ブッシュの軸線
LS シャフトの軸線
P 圧力
P1 接続位置
RB,RC 回転中心