(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】陳列台
(51)【国際特許分類】
A47F 5/11 20060101AFI20240704BHJP
A47F 5/10 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/10 C
(21)【出願番号】P 2021054790
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】森 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】田邉 航平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 成美
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3166853(JP,U)
【文献】特開2019-180958(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195952(JP,U)
【文献】実開昭62-31463(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0313355(US,A1)
【文献】特開平8-10114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/11
A47F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙製の陳列台(1)であって、
背板(10)と、
前記背板に接続され、物品を陳列可能に形成される雛壇部(6)と、
前記背板の上端に連設され、前記雛壇部を少なくとも側方に避けた位置に配置され、表面が情報を提示するための提示面(S1)となる連結板(12)と、を備え、
前記背板と前記連結板とが設置面(GL)に沿った横臥姿勢にされた場合、前記雛壇部は前記背板に沿うように折り畳まれ、
前記背板が引き起こされて起立姿勢にされた場合、前記雛壇部は前記背板と共に引き起こされて前記背板から前方に向かって下がる階段状に形成され、前記連結板は前記背板の上端から前方に向かって下方に傾斜した傾斜姿勢にされ、
前記連結板は、階段状に形成された前記雛壇部の一部に側方から係合し、自身を前記傾斜姿勢に保持すると共に前記雛壇部を階段状に保持する保持片(17)を有していることを特徴とする陳列台。
【請求項2】
前記背板の下端に連設され、前記雛壇部が接続される底板(11)を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の陳列台。
【請求項3】
前記雛壇部は、
前面板(21)と上面板(22)とを折り曲げて1つの段差を形成する少なくとも1つの段部材(7)と、
前記上面板と前記前面板との表面の少なくとも一部を覆うように設けられる少なくとも1つの段カバー(8)と、を有し、
前記段カバーの表面は、情報を提示するための第2の提示面(S2)となることを特徴とする請求項1または2に記載の陳列台。
【請求項4】
少なくとも前記段部材の前記上面板には取付穴(25)が形成され、
前記段カバーには取付片(33,34)が形成され、
前記段カバーは、前記取付片を前記取付穴に差し込むことで、前記段部材に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の陳列台。
【請求項5】
前記連結板は、前記雛壇部を露出させる開口部(15)を囲むようにU字状または環状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の陳列台。
【請求項6】
前記背板が前記起立姿勢にされた場合に、前記背板の上端部に形成された差込穴(16)に差し込まれることで立設される追加パネル(9)を更に備え、
前記追加パネルの表面は、情報を提示するための第3の提示面(S3)となることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の陳列台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の陳列に使用される厚紙製の陳列台に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の棚段を形成する棚段部材を備えた多段式陳列台が知られている(特許文献1)。棚段部材は、背壁および底壁の内面に取り付けられている。背壁と底壁とは、一対の側壁によって定められた角度で連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、店頭に置かれる陳列台では、商品(物品)の説明やPOP(Point Of Purchase)広告等の情報が提示されることがある。顧客への有効な訴求効果を考慮すると、陳列台の正面から情報が目視できることが好ましい。しかしながら、上記した多段式陳列台では、側面(側壁の外面)を情報の提示面として活用することはできるが、多段式陳列台の正面に情報の提示面を確保することが難しかった。また、上記した多段式陳列台では一対の側壁の間に棚段が配置されるため、多段式陳列台を側方から見たときに商品(物品)が側壁に隠れてしまい、側方から商品(物品)を確認することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記課題を考慮し、情報提示の実効性を高めることができ、側方からでも物品を確認することができる陳列台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、厚紙製の陳列台であって、背板と、前記背板に接続され、物品を陳列可能に形成される雛壇部と、前記背板の上端に連設され、前記雛壇部を少なくとも側方に避けた位置に配置され、表面が情報を提示するための提示面となる連結板と、を備え、前記背板と前記連結板とが設置面に沿った横臥姿勢にされた場合、前記雛壇部は前記背板に沿うように折り畳まれ、前記背板が引き起こされて起立姿勢にされた場合、前記雛壇部は前記背板と共に引き起こされて前記背板から前方に向かって下がる階段状に形成され、前記連結板は前記背板の上端から前方に向かって下方に傾斜した傾斜姿勢にされ、前記連結板は、階段状に形成された前記雛壇部の一部に側方から係合し、自身を前記傾斜姿勢に保持すると共に前記雛壇部を階段状に保持する保持片を有している。
【0007】
この場合、前記背板の下端に連設され、前記雛壇部が接続される底板を更に備えてもよい。
【0008】
この場合、前記雛壇部は、前面板と上面板とを折り曲げて1つの段差を形成する少なくとも1つの段部材と、前記上面板と前記前面板との表面の少なくとも一部を覆うように設けられる少なくとも1つの段カバーと、を有し、前記段カバーの表面は、情報を提示するための第2の提示面としてもよい。
【0009】
この場合、少なくとも前記段部材の前記上面板には取付穴が形成され、前記段カバーには取付片が形成され、前記段カバーは、前記取付片を前記取付穴に差し込むことで、前記段部材に対して着脱可能に取り付けられてもよい。
【0010】
この場合、前記連結板は、前記雛壇部を露出させる開口部を囲むようにU字状または環状に形成されてもよい。
【0011】
この場合、前記背板が前記起立姿勢にされた場合に、前記背板の上端部に形成された差込穴に差し込まれることで立設される追加パネルを更に備え、前記追加パネルの表面は、情報を提示するための第3の提示面とされてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、情報提示の実効性を高めることができ、陳列台の側方からでも物品を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る陳列台を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る陳列台の支持本体のブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る陳列台の背面補強部材のブランクを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る陳列台の連結補強部材のブランクを示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る陳列台の下段部材のブランクを示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る陳列台の中段部材のブランクを示す平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る陳列台の上段部材のブランクを示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る陳列台の中段カバーのブランクを示す平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る陳列台の上段カバーのブランクを示す平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る陳列台の追加パネルのブランクを示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る陳列台の支持部の組立手順を説明する斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る陳列台の雛壇本体を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る陳列台の雛壇部の組立手順を説明する斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る陳列台(折畳状態)を示す斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る陳列台を使用状態から折畳状態(または折畳状態から使用状態)にする過程を示す側面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る陳列台(使用状態)を示す側面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る陳列台に追加パネルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態の変形例に係る陳列台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、陳列台を組み立てた状態での方向や位置を基準にしている。
【0015】
[陳列台]
図1ないし
図10を参照して、陳列台1について説明する。
図1は陳列台1を示す斜視図である。
図2は支持本体3のブランク3Aを示す平面図である。
図3は背面補強部材4のブランク4Aを示す平面図である。
図4は連結補強部材5のブランク5Aを示す平面図である。
図5は下段部材7Lのブランク7LAを示す平面図である。
図6は中段部材7Mのブランク7MAを示す平面図である。
図7は上段部材7Uのブランク7UAを示す平面図である。
図8は中段カバー8Mのブランク8MAを示す平面図である。
図9は上段カバー8Uのブランク8UAを示す平面図である。
図10は追加パネル9のブランク9Aを示す平面図である。
【0016】
図1に示すように、陳列台1は、物品(図示せず)を陳列可能に形成される階段状の雛壇部6を有している。陳列台1は、板紙や段ボール等の厚紙製で、全体として三角柱を横に寝かせたような形状を成している。詳細は後述するが、陳列台1は、輸送時や不使用時等において、平坦に折り畳むことができるように構成されている。
【0017】
陳列台1は、支持部2と、雛壇部6と、を備えている。また、陳列台1には必要に応じて追加パネル9が取り付けられるようになっている(
図17参照)。支持部2は、支持本体3と、背面補強部材4と、連結補強部材5と、を有している(
図1では図示せず)。雛壇部6は、2つの下段部材7Lと、中段部材7Mと、上段部材7Uと、下段カバー8Lと、中段カバー8Mと、上段カバー8Uと、を有している。なお、詳細は後述するが、下段カバー8Lは支持本体3の一部として設けられている。また、2つの下段部材7Lは、同一形状であるため、以下、1つの下段部材7Lについて説明する。また、本明細書では、下段部材7L、中段部材7Mおよび上段部材7Uに共通する説明では、単に「段部材7」と呼び、符号に算用数字のみを付す。これと同様に、下段カバー8L、中段カバー8Mおよび上段カバー8Uに共通する説明では、単に「段カバー8」と呼び、符号に算用数字のみを付す。
【0018】
支持本体3、段部材7、段カバー8および追加パネル9は、一枚の板紙から成るブランク3A,7LA,7MA,7UA,8MA,8UA,9A(
図2、
図5~
図10参照)を組み立てることで形成される。板紙は、例えば、両面がコーティングされた多層抄きの厚紙である。背面補強部材4および連結補強部材5は、一枚の段ボールシートから成るブランク4A,5A(
図3および
図4参照)を組み立てることで形成される。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ(図示せず)とを貼り付けた紙製の両面段ボールシートである。各々のブランク3A~5A,7LA,7MA,7UA,8MA,8UA,9Aは、板紙または段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、
図2、
図5~
図10は、板紙の表面側を示し、図中に示す「V」は紙の繊維(紙目)が延びる「紙目方向」を示し、「W」は紙目方向に直交する「直交方向」を示している。また、
図3および
図4は、表ライナ9B側を示し、図中に示す「X」は中しん9Aと平行となる「段方向」を示し、「Y」は段方向に直交する「流れ方向」を示している。
【0019】
[支持本体のブランク]
図2に示すように、支持本体3のブランク3Aは、背面本体板101と、底板11と、連結本体板121と、下段カバー8Lと、を有している。なお、下段カバー8Lは、支持本体3の一部として設けられているが、雛壇部6の一部でもある。
【0020】
<背面本体板、底板、>
背面本体板101は、紙目方向よりも直交方向に幅広い略四角形状に形成されている。底板11は、背面本体板101よりも紙目方向に長い略四角形状に形成されている。底板11は、第1折曲線L1を介して背面本体板101の紙目方向の一端(下端)に連設されている。
【0021】
<連結本体板>
連結本体板121は、2本の平行な第2折曲線L2を介して背面本体板101の紙目方向の他端(上端)に連設されている。連結本体板121の紙目方向の最大寸法は、底板11の紙目方向の寸法よりも長く設定されている。連結本体板121は、背面本体板101に連設された本体基部131と、本体基部131の直交方向の両端に連設された一対の本体アーム部141と、を有している。一対の本体アーム部141は、本体基部131から紙目方向の他方に向かって延設されている。本体基部131および一対の本体アーム部141は幅をもった帯状に形成され、連結本体板121は四角形状の開口部151を囲むように概ねU字状(コ字状)に形成されている。本体基部131の紙目方向の他端には、2本の平行な第1折返し線L11を介して基端折返し片132が連設されている。各々の本体アーム部141の紙目方向の他端(先端)には、2本の平行な第2折返し線L12を介して先端折返し片142が連設されている。
【0022】
ここで、基端折返し片132および一対の先端折返し片142を除いた連結本体板121の表面は、情報を提示するための提示面S1とされている。提示面S1は、連結本体板121における開口部151を除いたU字状の領域である。図示は省略するが、提示面S1には、物品の説明や広告等の情報が印刷されている。
【0023】
<下段カバー>
下段カバー8Lは、底板11の紙目方向の一端(前端)に連設されている。下段カバー8Lは、第3折曲線L3を介して底板11の前端に連設された下段前面カバー31Lと、下段屈曲線L23Lを介して下段前面カバー31Lの紙目方向の一端(上端)に連設された下段上面カバー32Lと、を有している。下段前面カバー31Lおよび下段上面カバー32Lは、底板11よりも直交方向に幅狭い略四角形状に形成されている。下段上面カバー32Lの紙目方向の寸法は、下段前面カバー31Lの紙目方向の寸法よりも長く設定されている。下段上面カバー32Lの先端には、直交方向に間隔をあけて一対の下段上面取付片34Lが連設されている。各々の下段上面取付片34Lは、下段上面取付折線L25Lを介して下段上面カバー32Lに連設され、基端から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。
【0024】
[背面補強部材のブランク]
図3に示すように、背面補強部材4のブランク4Aは、額縁部103の段方向の両端に連設された一対の背面補強板102を有している。各々の背面補強板102は、第3折返し線L13を介して額縁部103に連設されている。各々の背面補強板102は、背面本体板101よりも僅かに小さな四角形状に形成されている。額縁部103の段方向の長さは、段ボールシートの厚みよりも僅かに長く設定されている。額縁部103には、流れ方向に間隔をあけて一対の差込穴16が穿設されている。各々の差込穴16は、2本の第3折返し線L13を僅かに越えて一対の背面補強板102にはみ出すように形成されている。
【0025】
[連結補強部材のブランク]
図4に示すように、連結補強部材5のブランク5Aは、補強基部133と、一対の補強アーム部143と、基部折返し板134と、一対のアーム折返し板144と、を有している。
【0026】
補強基部133と一対の補強アーム部143とは、支持本体3の連結本体板121と概ね同一形状であって、略四角形状の開口部152を囲むように略U字状に形成されている。各々の補強アーム部143の自由端側、且つ開口部152の縁部には、保持折線L21を介して略四角形状の保持片17が連設されている。一対の保持片17は、開口部152の縁部から互いに接近する方向に延設されている。基部折返し板134は、第4折返し線L14を介して補強基部133の段方向の一端(開口部152とは逆側)に連設されている。基部折返し板134は、補強基部133と略同等の四角形状に形成されている。一対のアーム折返し板144は、第5折返し線L15を介して一対の補強アーム部143の流れ方向の外端(開口部152とは逆側)に連設されている。各々のアーム折返し板144は、補強アーム部143と略同等の四角形状に形成されている。
【0027】
なお、第1~第3折曲線L1~L3、第1~第3折返し線L11~L13、下段屈曲線L23L、下段上面取付折線L25Lおよび保持折線L21は、それぞれ、板紙の表面または段ボールシートの裏面(裏ライナ)から厚み方向に潰した汎用罫線である。第4折返し線L14および第5折返し線L15は、繋ぎ目と、繋ぎ目よりも長い切目とを交互に並べたミシン目状に形成されている。汎用罫線やミシン目状の線は、主に、裏面を内側に向けるように折り曲げる(正折りする)機能を有している。なお、これらの線は、汎用罫線等に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができるものであれば如何なるものでもよい。
【0028】
[下段部材のブランク]
図5に示すように、下段部材7Lのブランク7LAは、下段下面板20Lと、下段前面板21Lと、下段上面板22Lと、下段後面板23Lと、下段継代片24Lと、を有している。下段下面板20L、下段前面板21L、下段上面板22L、下段後面板23Lおよび下段継代片24Lは、この順に紙目方向の一方から他方に向かって一列に並べられ、下段折曲線L22Lを介して連設されている。詳細は後述するが、下段部材7Lは開口部151,152の内側に配置されるため、ブランク7LAの直交方向の寸法は開口部151,152の直行方向の長さ(横幅)よりも短く設定されている。また、下段部材7Lは下段カバー8Lよりも直交方向に短く形成されている。
【0029】
下段下面板20Lと下段上面板22Lとは、略同一の四角形状に形成されている。下段前面板21Lと下段後面板23Lとは略同一の四角形状に形成され、これらの紙目方向の寸法は下段下面板20L等の紙目方向の寸法よりも短く設定されている。下段継代片24Lは、基端から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。下段上面板22Lの紙目方向の一側(やや前寄り)には、直交方向に間隔をあけて一対の下段取付穴25Lが形成されている。各々の下段取付穴25Lは、紙目方向に一直線上に切り込まれたスリットと、このスリットから後方に向かって略台形状に突き出した開口とによって構成されている。
【0030】
[中段部材のブランク、上段部材のブランク]
図6に示すように、中段部材7Mのブランク7MAは、中段下面板20Mと、中段前面板21Mと、中段上面板22Mと、中段後面板23Mと、中段継代片24Mと、を有し、これらは中段折曲線L22Mを介して連設されている。また、
図7に示すように、上段部材7Uのブランク7UAは、上段下面板20Uと、上段前面板21Uと、上段上面板22Uと、上段後面板23Uと、上段継代片24Uと、を有し、これらは上段折曲線L22Uを介して連設されている。なお、中段部材7M(ブランク7MA)および上段部材7U(ブランク7UA)は、下段部材7L(ブランク7LA)とサイズが異なるものの概ね同一構造であるため、中段部材7Mの各部の名称には「下段」との語句に代えて「中段」との語句が付され、上段部材7Uの各部の名称には「下段」との語句に代えて「上段」との語句が付されている。このため、以下の説明では、下段部材7Lと同様の説明は省略し、下段部材7Lと異なる点について説明する。また、本明細書では、下段部材7L、中段部材7Mおよび上段部材7Uに共通する説明では、各部の名称から「上段、中段、下段」との語句を省略した名称とし、符号の末尾の「L,M,U」を省略する。
【0031】
中段下面板20Mと中段下面板20Mとは、下段下面板20L等よりも紙目方向の寸法が短い四角形状に形成されている。中段上面板22Mの紙目方向の一側(やや前寄り)には、直交方向に間隔をあけて一対の中段取付穴25Mが形成されている。各々の中段取付穴25Mは、紙目方向に一直線上に切り込まれたスリットと、このスリットから前方に向かって略台形状に突き出した開口とによって構成されている。つまり、中段取付穴25Mの台形状の開口は、下段取付穴25Lの台形状の開口とは逆向きに突出している。
【0032】
上段下面板20Uと上段下面板20Uとは、中段下面板20M等よりも紙目方向の寸法が短い四角形状に形成されている。上段上面板22Uの紙目方向の他端部(後端部)には、直交方向に間隔をあけて一対の上段取付穴25Uが形成されている。各々の上段取付穴25Uは、上段後面板23Uとの境界線上(上段折曲線L22U)に沿って切り込まれたスリットと、このスリットから前方に向かって略台形状に突き出した開口とによって構成されている。
【0033】
なお、下段折曲線L22L、中段折曲線L22Mおよび上段折曲線L22Uは、それぞれ汎用罫線であるが、これらは汎用罫線等に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができるものであれば如何なるものでもよい。
【0034】
[中段カバーのブランク]
図8に示すように、中段カバー8Mのブランク8MAは、中段前面カバー31Mと、中段上面カバー32Mと、一対の中段前面取付片33Mと、一対の中段上面取付片34Mと、を有している。
【0035】
中段前面カバー31Mと中段上面カバー32Mとは、紙目方向に並べられ、中段屈曲線L23Mを介して連設されている。中段前面カバー31Mは下段カバー8Lの下段前面カバー31Lと略同一の四角形状に形成され、中段上面カバー32Mは下段カバー8Lの下段上面カバー32Lと略同一の四角形状に形成されている。一対の中段前面取付片33Mは、直交方向に間隔をあけて配置され、中段前面取付折線L24Mを介して中段前面カバー31Mの自由端に連設されている。一対の中段上面取付片34Mは、直交方向に間隔をあけて配置され、中段上面取付折線L25Mを介して中段上面カバー32Mの自由端に連設されている。各々の中段前面取付片33Mと各々の中段上面取付片34Mとは、基端から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。
【0036】
[上段カバーのブランク]
図9に示すように、上段カバー8Uのブランク8UAは、上段前面カバー31Uと、上段上面カバー32Uと、一対の上段前面取付片33Uと、一対の上段上面取付片34Uと、を有している。上段前面カバー31Uと上段上面カバー32Uとは上段屈曲線L23Uを介して連設されている。一対の上段前面取付片33Uは上段前面取付折線L24Uを介して上段前面カバー31Uに連設され、一対の上段上面取付片34Uは上段上面取付折線L25Uを介して上段上面カバー32Uに連設されている。なお、上段カバー8U(ブランク8UA)は、中段カバー8M(ブランク8MA)とサイズが異なるものの概ね同一構造であるため、上段カバー8Uの各部の名称には「中段」との語句に代えて「上段」との語句が付されている。このため、以下の説明では、中段カバー8Mと同様の説明は省略し、中段カバー8Mと異なる点について説明する。また、本明細書では、下段カバー8L、中段カバー8Mおよび上段カバー8Uに共通する説明では、各部の名称から「上段、中段、下段」との語句を省略した名称とし、符号の末尾の「L,M,U」を省略する。
【0037】
上段上面カバー32Uは、中段上面カバー32Mよりも紙目方向の寸法が長い四角形状に形成されている。上段前面カバー31Uは、中段前面カバー31Mと略同一の四角形状に形成されている。
【0038】
ここで、取付片33,34を除く段カバー8の表面は、情報を提示するための第2の提示面S2とされている。図示は省略するが、第2の提示面S2には、提示面S1と同様に、広告等の情報が印刷されている。
【0039】
なお、中段屈曲線L23M、中段前面取付折線L24M、中段上面取付折線L25M、上段屈曲線L23U、上段前面取付折線L24Uおよび上段上面取付折線L25Uは、それぞれ汎用罫線であるが、これらは汎用罫線等に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができるものであれば如何なるものでもよい。
【0040】
[追加パネルのブランク]
図10に示すように、追加パネル9のブランク9Aは、パネル折返線L16(例えば汎用罫線)を介して直交方向に連設された一対のパネル40と、一対のパネル40の直交方向の両端から外側に延設された二対の差込片41と、を有している。一対のパネル40は略同一の四角形状に形成され、各々のパネル40(追加パネル9)の表面は情報を提示するための第3の提示面S3とされている。図示は省略するが、第3の提示面S3には、提示面S1等と同様に、広告等の情報が印刷されている。二対の差込片41は、それぞれ、紙目方向に間隔をあけて配置され、先端側が略三角形状に形成されている。
【0041】
[陳列台の組立]
次に、
図11ないし
図13を参照して、陳列台1の組立手順の一例について説明する。
図11は支持部2の組立手順を説明する斜視図である。
図12は雛壇本体6Aを示す斜視図である。
図13は雛壇部6の組立手順を説明する斜視図である。ここでは、一例として、作業者が手作業で組み立てる場合について説明する。なお、背面本体板101および段部材7の上面板22には、接着位置を示すマーカー(例えば、切目や切り欠き等)が形成されている。しかし、これらのマーカーは、必須ではなく、省略されてもよい。また、組立に使用する接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤や水性エマルジョン系接着剤等を用いてもよいし、両面テープを用いてもよい。
【0042】
<支持部の組立>
まず、
図11および
図13を参照して、支持部2の組立手順について説明する。
【0043】
(背板の形成)
作業者は、背面補強部材4の一対の背面補強板102を2本の第3折返し線L13に沿って裏側に折り返し、一対の背面補強板102の裏面同士を接着する。これにより、背面補強部材4は二重壁構造となる。なお、額縁部103に開口した一対の差込穴16を塞がないように、接着剤は背面補強板102の先端側に塗布することが好ましい。
【0044】
続いて、作業者は、額縁部103(差込穴16)を連結本体板121側(上方)に向けた背面補強部材4を支持本体3の背面本体板101の表面に接着する。背面補強部材4が背面本体板101に接着されることで、三重壁構造となる背板10が形成される(
図13参照)。このように、背板10を積層構造とすることで、剛性を高めることができる。
【0045】
(連結板の形成)
次に、作業者は、連結補強部材5の基部折返し板134を第4折返し線L14に沿って裏側に折り返して補強基部133の裏面に接着し、一対のアーム折返し板144を第5折返し線L15に沿って裏側に折り返して一対の補強アーム部143の裏面に接着する。これにより、連結補強部材5(保持片17を除く)は二重壁構造となる。
【0046】
続いて、作業者は、二重壁構造の連結補強部材5を支持本体3の連結本体板121の裏面に接着する。具体的には、補強基部133の表面は本体基部131の裏面に接着され、一対の補強アーム部143の表面は一対の本体アーム部141の裏面に接着される。また、作業者は、基端折返し片132を2本の第1折返し線L11に沿って裏側に折り返して基部折返し板134の表面に接着し、四重壁構造となる連結基部13を形成する(
図13参照)。さらに、作業者は、一対の先端折返し片142を2本の第2折返し線L12に沿って裏側に折り返して一対のアーム折返し板144の表面に接着し、一対の連結アーム部14を形成する(
図13参照)。一対の連結アーム部14は、その先端側のみを四重壁構造とし、その他の部分を三重壁構造としている。連結基部13と一対の連結アーム部14とが形成されることで、開口部15を囲むような略U字状の連結板12が形成される(
図13参照)。このように、連結板12を積層構造とすることで、剛性を高めることができる。
【0047】
以上によって、支持部2の組み立てが完了する。
【0048】
<段部材の組立および積層>
次に、
図12を参照して、段部材7の組立手順および積層手順について説明する。
【0049】
作業者は、下面板20、前面板21、上面板22、後面板23および継代片24を、折曲線L22に沿って内向きに巻くように折り曲げ、継代片24を下面板20の内面に接着する。これにより、角筒形状となる段部材7が形成される。
【0050】
次に、作業者は、2つの下段部材7Lを前後方向に並べて配置し、後方に配置された下段部材7Lの下段前面板21Lと前方に配置された下段部材7Lの下段後面板23Lとを接着する。なお、全ての段部材7は、上面板22(取付穴25)を上方に向け、且つ前面板21を前方に向けた姿勢とされ、積層される。
【0051】
続いて、作業者は、中段部材7Mを、2つの下段部材7Lを跨ぐようにして積層し、2つの下段上面板22Lに接着する。中段部材7Mは、前方に配置された下段部材7Lの前端よりも後方にオフセットした位置で固定される。なお、中段部材7Mの接着作業は、前方の下段上面板22Lに示されたマーカーを基準にして行われるとよい。
【0052】
次に、作業者は、上段部材7Uを中段部材7Mの後方に積層し、中段部材7Mに接着する。上段部材7Uは、中段部材7Mの前端よりも後方にオフセットし、且つ後方に配置された下段部材7Lの後端に揃えられた位置で固定される。なお、上段部材7Uの接着作業は、中段上面板22Mに示されたマーカーを基準にして行われるとよい。
【0053】
以上によって、2つの下段部材7L、中段部材7Mおよび上段部材7Uが三段に積層されて、階段状(雛壇状)の雛壇本体6Aが形成される。各々の段部材7は、上面板22と前面板21とを折り曲げて1つの段差を形成する。
【0054】
<雛壇部の組立>
次に、
図1および
図13を参照して、雛壇部6の組立手順について説明する。
【0055】
(雛壇本体の固定)
図13に示すように、作業者は、雛壇本体6Aの2つの下段部材7Lを、支持部2(支持本体3)の底板11の裏面に接着する。詳細には、雛壇本体6A(各下段部材7Lの下段下面板20L)は、底板11と左右方向の中心線を合わせ、且つ後方に配置された下段部材7Lの後端(下段後面板23L)を第1折曲線L1に合わせた位置で底板11に接着される。次に、作業者は、背面本体板101を第1折曲線L1に沿って上方に折り曲げ、底板11に対して背板10を引き起こす(
図1参照)。また、作業者は、後方に配置された下段部材7Lの下段後面板23Lと上段部材7Uの上段後面板23Uとを、背面本体板101の裏面に接着する(
図1参照)。
【0056】
以上のように、雛壇本体6Aは、底板11と背板10とに接続される(
図1参照)。
【0057】
(段カバーの取付)
次に、
図1および
図13に示すように、作業者は、段カバー8を雛壇本体6Aに取り付ける。段カバー8は、取付片33,34を取付穴25に差し込むことで、段部材7に対して着脱可能に取り付けられる。
【0058】
詳細には、作業者は、下段カバー8Lの下段前面カバー31Lを第3折曲線L3に沿って上方に折り曲げ、下段上面カバー32Lを下段屈曲線L23Lに沿って後方に折り曲げる。そして、作業者は、一対の下段上面取付片34Lを下段上面取付折線L25Lで軽く折り曲げながら、下段部材7Lの下段上面板22Lに形成された一対の下段取付穴25Lに差し込む。下段前面カバー31Lは下段前面板21Lとの間に空間を挟んで対向し、下段上面カバー32Lは下段取付穴25Lよりも前方において下段上面板22Lに積層される(
図16も参照)。このように、最下段の下段部材7Lが、底板11の前端に連設された下段カバー8Lに覆われる。
【0059】
作業者は、中段カバー8Mの中段前面カバー31Mと中段上面カバー32Mとを中段屈曲線L23Mで略直角に折り曲げる。また、作業者は、一対の中段前面取付片33Mを中段前面取付折線L24Mで軽く折り曲げながら下段部材7Lの一対の下段取付穴25Lに差し込み、一対の中段上面取付片34Mを中段上面取付折線L25Mで軽く折り曲げながら中段部材7Mの一対の中段取付穴25Mに差し込む。中段前面カバー31Mは中段前面板21Mとの間に空間を挟んで対向し、中段上面カバー32Mは中段取付穴25Mよりも前方において中段上面板22Mに積層される(
図16も参照)。このように、下段部材7Lの下段取付穴25Lよりも後方と、中段部材7Mの中段取付穴25Mよりも前方とが中段カバー8Mに覆われる。
【0060】
作業者は、上段カバー8Uの上段前面カバー31Uと上段上面カバー32Uとを上段屈曲線L23Uで略直角に折り曲げ、一対の上段前面取付片33Uを上段前面取付折線L24Uで軽く折り曲げながら一対の中段取付穴25Mに差し込み、一対の上段上面取付片34Uを上段上面取付折線L25Uで軽く折り曲げながら上段部材7Uの一対の上段取付穴25Uに差し込む。上段前面カバー31Uは上段前面板21Uとの間に空間を挟んで対向し、上段上面カバー32Uは上段上面板22Uに積層される(
図16も参照)。このように、中段部材7Mの中段取付穴25Mよりも後方と、上段部材7Uの上段取付穴25Uよりも前方とが上段カバー8Uに覆われる。
【0061】
以上のように、段カバー8は、段部材7の上面板22と前面板21との表面の少なくとも一部を覆うように設けられる。段カバー8が段部材7に覆設されることで雛壇部6が形成され、陳列台1の組み立てが完了する(
図1参照)。なお、上記した陳列台1の組立手順は一例であり、当該組立手順は矛盾のない範囲で変更されてもよい。
【0062】
[陳列台の作用]
次に、
図1、
図14ないし
図17を参照して、陳列台1の作用について説明する。
図14は陳列台1(折畳状態)を示す斜視図である。
図15は陳列台1を使用状態から折畳状態(または折畳状態から使用状態)にする過程を示す側面図である。
図16は陳列台1(使用状態)を示す側面図である。
図17は陳列台1に追加パネル9を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0063】
陳列台1は、運搬時や保管時には折畳状態にされ(
図14参照)、店頭に設置して物品を陳列(展示)する場合には使用状態にされる(
図1参照)。
【0064】
<折畳状態>
図14および
図15を参照して、折畳状態にした陳列台1について説明する。背板10と連結板12とが設置面GLに沿った横臥姿勢にされた場合、雛壇部6は背板10に沿うように折り畳まれる。
【0065】
具体的に説明すると、背板10は、第1折曲線L1に沿って前方に倒されて横臥姿勢となり、折り畳まれた雛壇部6を挟んで底板11に対向している。連結板12は、背板10の先端から前方に向かって延びた横臥姿勢となる。連結板12の連結基部13は折り畳まれた雛壇部6を挟んで底板11に対向し、連結板12の一対の連結アーム部14は雛壇部6を側方に避けた位置に配置されて底板11に対向している。一対の連結アーム部14の先端側(前側)は、底板11(折り畳まれた雛壇部6)よりも前方に配置されている。
【0066】
また、雛壇部6は、連結板12の開口部15の内側に配置されている。雛壇部6を形成する段部材7は、長方形断面となる角筒形状であるため(
図16も参照)、長方形から平行四辺形に変形させることができ(
図15参照)、さらに平坦に変形する(潰す)ことができる(
図14参照)。すなわち、
図15に示すように、前面板21と後面板23とは背板10と共に前方に倒れ、上面板22および後面板23は、前面板21および下面板20の上に重なるように対向する。段カバー8も段部材7と同様であって、前面カバー31が背板10と共に前方に倒れることで、上面カバー32が前面カバー31の上に重なるように対向する。したがって、雛壇部6は、概ね平坦に折り畳まれ、底板11と背板10との間に挟まれる(
図14参照)。
【0067】
<使用状態>
次に、
図1、
図15および
図16を参照して、折畳状態の陳列台1を使用状態にする場合について説明する。横臥姿勢とされた背板10が引き起こされて起立姿勢にされた場合、雛壇部6は背板10と共に引き起こされて背板10から前方に向かって下がる階段状に形成される。
【0068】
具体的に説明すると、ユーザは、背板10を底板11に対して略直立になるように引き起こす(
図15参照)。すると、前面板21と後面板23とは前方に倒れた状態から背板10と共に引き起こされ、上面板22は下面板20から上方に離れる(
図15参照)。背板10が略直立になると、前面板21(後面板23)と上面板22(下面板20)とが略直交し、段部材7は長方形断面となる角筒形状となる(
図16参照)。また、段カバー8も段部材7と同様であって、前面カバー31が背板10と共に引き起こされることで、上面カバー32と略直交し、段カバー8は略L字状断面となる(
図16参照)。すなわち、背板10を底板11に対して引き起こすだけで、雛壇部6は階段状に形成される(
図1および
図16参照)。
【0069】
連結板12は、引き起こされる背板10によって後方に引っ張られ、背板10の上端から前方に向かって下方に傾斜した傾斜姿勢にされる(
図1および
図16参照)。連結板12の一対の保持片17は、階段状に形成された雛壇部6の一部に側方から係合する。具体的に説明すると、
図1に示すように、ユーザは、一対の連結アーム部14を左右方向の外側に撓ませ、一対の保持片17を保持折線L21に沿って折り曲げながら下段カバー8Lの下段前面カバー31Lと下段部材7Lの下段前面板21Lとの間の空間に差し込む。連結板12(連結アーム部14)は傾斜姿勢であるため、保持片17も傾斜した状態で当該空間に差し込まれる。保持片17は、下段前面カバー31Lと下段前面板21Lとの間で前後方向に移動不能に配置される。このように、一対の保持片17が雛壇部6の前端部(一部)に係合することで、連結板12自身が傾斜姿勢に保持されると共に雛壇部6が階段状に保持される。
【0070】
以上によって、陳列台1が使用状態になる(
図1および
図16参照)。陳列台1は店頭等に設置され、複数の物品が雛壇部6の段カバー8(上面カバー32)上に載置される。使用状態の陳列台1を側方から見て、雛壇部6の上面カバー32(上段上面カバー32Uの後部を除く)は、連結板12よりも上方に位置している(
図1および
図16参照)。雛壇部6は階段状に形成されているため、後方の物品が前方の物品に隠されることがない。また、連結板12(連結補強部材5)の提示面S1のおよび段カバー8の第2の提示面S2には、陳列する物品の説明や広告等の情報が印刷されており、物品の販売促進を図ることができる。なお、提示面S1や第2の提示面S2には、POP(Point of Purchase)広告等が貼付されたり、ユーザによって広告等が書き込まれたりしてもよい。
【0071】
図17に示すように、この陳列台1では、必要に応じて追加パネル9を取り付けることができる。追加パネル9を使用する場合、ユーザは、追加パネル9の一対のパネル40をパネル折返線L16に沿って折り返し、二重壁構造となった追加パネル9の各差込片41(
図10参照)を背板10(背面補強部材4)の上端面に開口した各差込穴16(
図11参照)に差し込む。追加パネル9は、差込穴16に差し込まれることで背板10に対し立設される。また、追加パネル9の第3の提示面S3には、陳列する物品の説明や広告等の情報が印刷されており、物品の販売促進を図ることができる。なお、第3の提示面S3には、POP広告等が貼付されたり、ユーザによって広告等が書き込まれたりしてもよい。また、追加パネル9の使用は必須ではなく、不要であれば追加パネル9は取り付けられなくてもよい。
【0072】
以上説明した本実施形態に係る陳列台1は板紙や段ボール等の厚紙製であり、連結板12には開口部15を囲むような枠状の提示面S1が設けられていた。また、陳列台1が使用状態にされることで、提示面S1を有する連結板12が傾斜姿勢にされていた。この構成によれば、提示面S1に、広告等の情報を印刷したり、POP広告等を貼付したりすることができ、顧客は提示面S1に提示された広告等の情報を正面から目視することができる。これにより、顧客への情報提示の実効性を高めることができ、高い訴求効果を期待することができる。また、陳列台1では、雛壇部6の側面を覆うような側壁を省略することができるため(
図16参照)、顧客は側方から物品を確認することもできる。さらに、厚紙製の陳列台1は、例えば金属製の陳列台に比べて、軽く容易に持ち運ぶことができ、容易に廃棄することもできる。これにより、広告等の情報の提示や取り扱いを容易にすることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る陳列台1では、雛壇部6が折畳み可能に構成され、折り畳まれた雛壇部6は背板10と共に引き起こされて階段状に形成されていた。この構成によれば、陳列台1が折畳状態から使用状態になることに連動して、雛壇部6を階段状に変形させることができる。これにより、ユーザは、横臥姿勢となった背板10を引き起こすこと以外に特別な操作を行うことなく、自動的に雛壇部6の変形を行うことができる。
【0074】
また、本実施形態に係る陳列台1によれば、使用状態にする際、設置面GL上に配置された底板11を基準に背板10を引き起こすことができる。また、互いに直交した底板11と背板10とによって雛壇部6を支持することができるため、背板10のみで雛壇部6を支持する場合に比べて、陳列台1の剛性を向上させることができる。これにより、陳列台1を設置面GL上に安定して配置することができると共に、物品を確りと支持することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る陳列台1では、第2の提示面S2を有する段カバー8が段部材7に覆設される構成とした。この構成によれば、連結板12の提示面S1に加えて、第2の提示面S2にも広告等の情報を提示することができる。これにより、情報を提示可能な面積が拡大されるため、訴求力を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態に係る陳列台1では、段カバー8が段部材7に着脱できる構成とした。この構成によれば、異なる広告等の情報が提示された段カバー8に交換することができる。これにより、例えば、陳列する物品が変わっても、変更後の物品に対応した情報を第2の提示面S2に提示することができる。その結果、陳列する物品の変更に柔軟に対応することができ、陳列する物品が変わる度に陳列台1全部を交換したり廃棄したりする必要が無くなるため、導入コストを低減することができると共にゴミ(廃棄量)を削減することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る陳列台1によれば、最下段(最前部)の段カバー8が底板11に連続しているため、当該段カバー8と底板11との継目が陳列台1の最前面に表れることがなく、良好な意匠を構成することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る陳列台1によれば、連結板12がU字状に形成されているため、雛壇部6を囲むように提示面S1を形成することができる。これにより、雛壇部6に配置された物品の周囲に広告等の情報が提示されるため、情報の視認性が向上し、有効な購買促進を図ることができる。
【0079】
また、本実施形態に係る陳列台1によれば、背板10が起立姿勢にされた場合に、背板10の上端に立設された追加パネル9(第3の提示面S3)に広告等の情報を提示することができる。これにより、情報の提示範囲を拡張することができる。
【0080】
なお、本実施形態に係る陳列台1では、雛壇部6が底板11上に設けられていたが、底板11は省略されてもよい(図示せず)。すなわち、雛壇部6は、背板10のみに接続されていてもよい(図示せず)。この場合、下段カバー8Lは中段カバー8M等と同様に別部材で形成され、取付片が下段前面カバー31Lにも連設され、この取付片を差し込むための取付穴が下段前面板21Lに形成されてもよい(図示せず)。
【0081】
また、本実施形態に係る陳列台1では、背面補強部材4が背面本体板101に接着されることで、背板10が三重壁構造とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一枚の壁とされた背面補強部材(図示せず)を背面本体板101に接着し、背板10を二重壁構造としてもよい(図示せず)。この場合、追加パネル9は、背面補強部材と背面本体板101との間に差し込まれて立設されてもよい(図示せず)。また、背面補強部材4が省略され、背板10が背面本体板101のみで構成されてもよい(図示せず)。この場合、追加パネル9は、接着等の手法で背板10に固定されてもよい。
【0082】
また、本実施形態に係る陳列台1では、雛壇部6が三段の階段状に形成されていたが、これに限らず、雛壇部6は少なくとも一段の階段状に形成されていればよい(図示せず)。つまり、雛壇部6は、少なくとも1つの段部材7を備えていればよい。
【0083】
また、本実施形態に係る陳列台1では、2つの下段部材7Lが前後方向に並設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、後方の下段部材7Lを省略し、前方の下段部材7Lのみで中段部材7Mを支持してもよい(図示せず)。
【0084】
また、本実施形態に係る陳列台1では、段カバー8の前面カバー31が段部材7の前面板21との間に空間を挟んで対向していたが、これに限らず、前面カバー31は前面板21に接していてもよい(図示せず)。この場合、連結板12の保持片17は、筒状の段部材7に差し込まれてもよい(図示せず)。また、段カバー8は段部材7に対し着脱可能に覆設されていたが、これに限らず、段カバー8は接着等の手法で段部材7に固定されてもよい(図示せず)。この場合、取付片33,34や取付穴25は省略される(図示せず)。さらに、段カバー8が省略され、雛壇部6が段部材7(雛壇本体6A)のみで形成されてもよい(図示せず)。この場合、取付穴25は省略され、第2の提示面S2は段部材7の表面に形成されてもよい。
【0085】
また、本実施形態に係る陳列台1では、下段カバー8Lが底板11に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。下段カバー8Lは、中段カバー8M等と同様に、底板11とは別部材であってもよい。この場合、取付片が下段前面カバー31Lにも連設され、この取付片を差し込むための取付穴が底板11に形成されてもよい(図示せず)。
【0086】
また、本実施形態に係る陳列台1では、連結補強部材5が連結本体板121に接着されることで、連結板12が三重壁構造(一部は四重壁構造)とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、基部折返し板134やアーム折返し板144を省略して一枚の壁とされた連結補強部材(図示せず)を連結本体板121に接着し、連結板12を二重壁構造(一部は三重壁構造)としてもよい(図示せず)。また、連結補強部材5が省略され、連結板12が連結本体板121のみで構成されてもよい(図示せず)。この場合、一対の保持片17は一対の本体アーム部141の先端部に連設されることが好ましい。また、連結本体板121に基端折返し片132や先端折返し片142が設けられていたが、これに限らず、基端折返し片132と先端折返し片142の一方または両方が省略されてもよい(図示せず)。
【0087】
また、本実施形態に係る陳列台1では、背板10に連設された連結基部13と、連結基部13から延びる一対の連結アーム部14とによって、連結板12が、雛壇部6を露出させる開口部15を囲むようにU字状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図18に示すように、一対の連結アーム部14の先端に連結先端部18が架設され、連結板12は開口部15を囲むように矩形環状に形成されてもよい。これにより、陳列台1の最前列(連結先端部18)にも広告等の情報を提示することができ、さらに高い訴求効果を期待することができる。また、他の例として、連結基部13を省略し、連結板12が一対の連結アーム部14と連結先端部18とでU字状に形成されてもよい(図示せず)。また、開口部15は、略四角形状に形成されていたが、これに限らず、例えば、四角形以外の多角形状であってもよいし、円形状(楕円形状)であってもよい(図示せず)。
【0088】
また、本実施形態に係る陳列台1では、連結板12(連結本体板121、連結補強部材5)が、連結基部13(本体基部131、補強基部133)と一対の連結アーム部14(本体アーム部141、補強アーム部143)とを有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、連結基部13(本体基部131、補強基部133)が省略され、連結板12が連結アーム部14(本体アーム部141、補強アーム部143)のみで形成されてもよい(図示せず)。また、連結アーム部14は、使用状態において底板11の前端まで延びていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、連結アーム部14は底板11の前端よりも前方に延設されてもよいし、連結アーム部14の先端が底板11の前端よりも後方に位置するような長さであってもよい(図示せず)。また、一対の連結アーム部14のいずれか一方を省略してもよい(図示せず)。
【0089】
また、本実施形態に係る陳列台1では、一対の保持片17が連結補強部材5に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。一対の保持片17は、連結補強部材5に代えて、連結本体板121に設けられてもよい(図示せず)。他にも、保持片17が、連結補強部材5と連結本体板121とに二対設けられ、重ねられて二重壁構造とされてもよい(図示せず)。また、例えば、陳列台1(雛壇部6)の左右幅が狭い場合等、一対の保持片17の何れか一方を省略してもよい(図示せず)。
【0090】
また、本実施形態に係る陳列台1では、保持片17が、連結アーム部14の先端側(前側)に設けられ、最下段の下段カバー8Lと下段部材7Lとの間に差し込まれていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、保持片17は、中段カバー8M(上段カバー8U)と中段部材7M(上段部材7U)との間の空間に差し込むことができるように、連結アーム部14の前後方向の中間に設けられてもよい(図示せず)。また、保持片17は、段カバー8と段部材7との間の空間に代えて、角筒状の段部材7に差し込まれてもよい(図示せず)。また、保持片17の先端側に切目を入れて二股にし、保持片17の切目が前面カバー31や前面板21等を挟み込むことで係合してもよい(図示せず)。また、1つの連結アーム部14に複数の保持片17が設けられ、雛壇部6の複数箇所に係合するようにしてもよい(図示せず)。
【0091】
また、本実施形態に係る陳列台1では、背板10の上端部に、追加パネル9を取り付けるための一対の差込穴16が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。追加パネル9は省略されてもよく、差込穴16も省略されてもよい(図示せず)。
【0092】
また、本実施形態に係る陳列台1では、折畳状態にされると、背板10が前方に倒れ、底板11との間に雛壇部6を挟み込んでいたが(
図14等参照)、本発明はこれに限定されない。陳列台1の折畳状態の他の例として、底板11と同一平面を成すように背板10を後方に倒し、雛壇部6を後方に引き倒して折り畳んでもよい(図示せず)。この場合、背板10と底板11とは略同一平面を成し、折り畳まれた雛壇部6は背板10と底板11との上面に載置され、連結板12は第2折曲線L2で折り返されて背板10と底板11とに対向する。
【0093】
また、
図14等では、追加パネル9を取り外した状態で、陳列台1を折畳状態にしていたが、追加パネル9を取り付けた陳列台1を折畳状態にしてもよい(図示せず)。
【0094】
また、本実施形態に係る陳列台1は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシート、複両面段ボールシートまたは厚紙(ボール紙やチップボール紙等)等で形成されていてもよい。また、陳列台1の各部の寸法(幅、奥行き、高さ)や形状、段ボールシートの厚みや中しん9Aが延びる方向等は自由に変更してもよい。
【0095】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る陳列台における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0096】
1 陳列台
6 雛壇部
7 段部材
8 段カバー
9 追加パネル
10 背板
11 底板
12 連結板
15 開口部
16 差込穴
17 保持片
21 前面板
22 上面板
25 取付穴
33,34 取付片
GL 設置面
S1 提示面
S2 第2の提示面
S3 第3の提示面