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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】背のう
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A45F3/04 400B
A45F3/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021078369
(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公開番号】P2022172536
(43)【公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390022482
【氏名又は名称】株式会社エムアンドケイヨコヤ
(74)【代理人】
【識別番号】230100022
【弁護士】
【氏名又は名称】山田 勝重
(74)【代理人】
【識別番号】100084319
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 智重
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】横谷 晶明
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-046561(JP,A)
【文献】特開2005-168839(JP,A)
【文献】特開2019-013455(JP,A)
【文献】特開2008-023053(JP,A)
【文献】米国特許第06619523(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納本体内に収納物を収納可能な収納部と、
使用者の背中に密着する背当て部と、
前記使用者の肩に掛け回される一対の背負いベルトと、
前記収納部を前記一対の背負いベルトに対して接合する接合部と、
を備え、
前記接合部は、前記収納部における振動を和らげた状態で前記一対の背負いベルトへ伝達することを可能とする緩衝機構を備え
前記緩衝機構は、前記収納部が、その重量に応じて、前記背当て部に対して上下方向に相対的に変位することを可能とする一対のコイルばねを備え、
前記接合部は、基部と、前記基部に対して、上下方向に相対的に変位可能な変位部と、を備え、
前記変位部は板材を備え、前記板材の左右方向両端に、上下に延びるように一対の軸部材が固定され、
前記基部は基材を備え、前記基材の前面には、前記一対の軸部材のそれぞれに対応する位置に、上下に延びる一対の筒状部が設けられ、
前記一対のコイルばねは、前記一対の筒状部内にそれぞれ配置されるとともに、上下の端部が、前記変位部と前記基部とのそれぞれに固定され、
前記一対の背負いベルトは、上端部が前記背当て部の上部に支持され、下端部が前記収納本体の底部に支持され、
前記基材は前記背当て部を構成することを特徴とする背のう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負いベルトを肩に掛け回すことによって使用者が背負う背のう、特にランドセルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のランドセルは、左右一対の各背負いベルトを備え、これらの背負いベルトは、使用者の左右の肩部に背のう部本体を背負わせるべく掛け回され、背のう部本体の背当て部の上方にその上端部が支持され、背のう部本体の背当て部の下端部側で支持される。背負いベルトは、掛け回す使用者の肩部のサイズに対応するように長さを調整可能とされ、この調整によって、使用者の背中に背当て部が接触するように配置することで、使用者に対する負担を軽減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3230393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のランドセルでは、使用者の歩行などによって生じる、背のう部本体、及び、内部の収納物の振動が使用者に伝わりやすく、特に、収納物の量が多く、背のう部本体の重量が大きい場合や、使用者が筋力の少ない年少者である場合には、振動が使用者に大きな負担を強いる恐れがあった。
【0005】
そこで本発明は、背のうを背負った使用者の歩行時、移動時、上下変位時、電車の乗車時などにおいて、収納物が納められた収納部、又は、収納部内での収納物の振動によって使用者に与えられる衝撃をことができる背のうを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の背のうは、内部に収納物を収納可能な収納部と、使用者の肩に掛け回される一対の背負いベルトと、
収納部を一対の背負いベルトに対して接合する接合部と、を備え、接合部は、収納部における振動を和らげた状態で一対の背負いベルトへ伝達することを可能とする緩衝機構を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の背のうは、使用者の背中に密着する背当て部を備え、一対の背負いベルトは背当て部に支持されることが好ましい。
【0008】
本発明の背のうにおいて、緩衝機構は、収納部が、その重量に応じて、背当て部に対して上下方向に相対的に変位することを可能とする弾性部材を備えることが好ましい。
【0009】
本発明の背のうにおいて、接合部は、基部と、基部に対して、上下方向に相対的に変位可能な変位部と、を備え、弾性部材は、上下の端部が、変位部と基部とのそれぞれに固定されたコイルばねであることが好ましい。
【0010】
本発明の背のうにおいて、背当て部は、基部の基材に固定されていることが好ましい。
【0011】
本発明の背のうにおいて、基部の基材は背当て部を構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、背のうを背負った使用者が、歩行、移動、若しくは、上下変位を含む運動を行っているとき、又は、電車などの乗り物に乗車しているときなどにおいて、収納物が納められた収納部、又は、収納部内での収納物の振動によって使用者に与えられる衝撃を和らげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るランドセルの構成を示す側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るランドセルの構成を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態における変位部が基部に対して変位していない状態を示す、接合部の斜視図である。
図4】本発明の実施形態における変位部が基部に対して下方に変位した状態を示す、接合部の斜視図である。
図5図3の接合部の正面図であって、一部を切り欠いて、軸部材と筒状部を含む構造を示す断面図としたものである。
図6】(a)は図5のVIA部分の拡大断面図、(b)は(a)に対応する断面図であって、図4に示す状態を表した図である。
図7】本発明の実施形態に係るランドセルを背負った使用者が階段を登るときの様子を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るランドセルを背負った使用者が階段を降りるときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る背のうについて図面を参照しつつ詳しく説明する。各図には、基準座標としてX-Y-Z座標が示されている。以下の説明において、Z1-Z2方向を上下方向、X1-X2方向を前後方向、Y1-Y2方向を左右方向と称する。X1-X2方向とY1-Y2方向は互いに垂直であり、これらを含むX-Y平面はZ1-Z2方向に垂直である。
【0015】
図1図2は、本実施形態に係るランドセル10の構成を示す側面図である。図1においては、接合部50を覆うカバー51を破線として、接合部50の外観構成を示しており、図2においては、接合部50の内部構造を示すように上下方向に沿って切断した断面で示している。
【0016】
図1図2に示すように、背のうとしてのランドセル10は、収納部20と、背当て部30と、一対の背負いベルト40と、緩衝機構としての接合部50と、を備える。本実施形態では、背当て部30が接合部50の基部70の基材71に固定された例を示すが、背当て部30は設けずに上記基材71を背当て部として構成し、基材71に一対の背負いベルト40を直接支持させてもよい。
【0017】
全体として箱状をなす収納部20は、蓋板22を開くことで内部の収納本体21の上部を開口することを可能とされ、収納本体21内に教科書や学用品などの収納物を収納可能にしている。
【0018】
一対の背負いベルト40は、使用者の左右の肩部に収納部20を背負わせるべくそれぞれ掛け回される。この背負いベルト40は、背当て部30の上部31にその上端部41が支持され、収納本体21の底部21aに下端部42が支持される。一対の背負いベルト40を使用者の左右の肩部にそれぞれ掛け回すことにより、背当て部30は使用者の背中に密着し、収納部20が使用者によって背負われた状態となる。
【0019】
図3図4は、接合部50の構成を示す斜視図であって、図3は、変位部60が基部70に対して変位していない状態を示し、図4は、変位部60が基部70に対して下方に変位した状態を示す。図5は、図3の状態の接合部50の正面図であって、一部を切り欠いて、軸部材63と筒状部73を含む構造を示す断面図としたものである。図6(a)は図5のVIA部分の拡大断面図、図6(b)は図6(a)に対応する断面図であって、図4に示す状態を表した図である。
【0020】
図3図4に示すように、接合部50は、収納部20が固定される変位部60と、背当て部30が固定される基部70と、を備える。変位部60は、基部70に対して、上下方向(Z1-Z2方向)、すなわち、使用者U(図7図8参照)がランドセル10を背負ったときの鉛直方向に変位可能とされている。
【0021】
図1図2に示すように、接合部50は、上下方向への変位可能な状態で、中空筒状のカバー51によって覆われている。カバー51は、筒状の前側(X1側)が収納部20に固定され、後側(X2側)が背当て部30に固定されている。カバー51は、接合部50が最大量変位しても被覆状態を維持するように、空間的に余裕を持って配置され、弾性変形可能に構成されている。このようなカバー51としては、例えば、蛇腹状に形成された、ゴム材、皮革材、合成皮革材が挙げられ、収納部20、背当て部30、及び、背負いベルト40と同じ材料で構成すると全体として統一感が得られる。
【0022】
図3図4に示すように、変位部60は、前後方向(X1-X2方向)に直交して配置される板材61と、案内部62と、軸部材63と、案内孔64と、固定ねじ65と、を備える。変位部60を構成する各部材は、内部に収納物が収納された収納部20の重量、及び、そのような収納部20の変位に対して耐久性を有する材料、例えば、硬質のプラスチックや金属で構成される。
【0023】
板材61は、上下方向に沿って2つの長辺が延びる矩形板状をなしており、その前面(X1側の面)には、左右方向(Y1-Y2方向)の両端の長辺(Z1-Z2方向に沿って延びる辺)に沿って、長板状の案内部62がそれぞれ積層配置されている。
【0024】
板材61の背面(X2側の面)には、左右方向両端の長辺近傍に、上下に延びるように、円柱状の一対の軸部材63がそれぞれ固定されている。
【0025】
板材61には、厚み方向に貫通するとともに、上下方向に沿って延びる長孔状の案内孔64が、左右対称に一対設けられている。これらの案内孔64には、それぞれ、固定ねじ65の軸部が挿通されており、この軸部の先端は基部70の基材71に固定されている。この構成によって、板材61が基部70に対して上下に変位するときに、固定ねじ65が案内孔64内で摺動変位することにより、板材61の変位方向が上下方向に規制される。
【0026】
基部70は、基材71と、側方支持部72と、筒状部73(図5図6参照)と、弾性部材としてのコイルばね74と、を備える。基部70を構成する各部材は、コイルばね74を除いて、内部に収納物が収納された収納部20の重量、及び、このような収納部20の変位に対して耐久性を有する材料、例えば、硬質のプラスチックや金属で構成される。コイルばね74は、収納部20の荷重や繰り返される変位に対して、弾性力を維持できるような耐久性を有した金属で構成することが好ましい。
【0027】
基材71は、変位部60の板材61と対向して配置され、上下方向に沿って2つの長辺が延びる矩形板状をなしている。基材71の上記一対の長辺からは、前側(X1側)へ延びる板状の側方支持部72がそれぞれ設けられている。一対の側方支持部72の左右方向(Y1-Y2方向)における間隔は、変位部60の板材61の幅とほぼ同一であり、内側に板材61を内包可能なサイズである。
【0028】
側方支持部72の前端部72aは、左右方向内側へ屈曲させてなる。これにより、基部70は、左右の前端部72aの間の前面が開放され、また、上下面も開放された、全体として筐体状(箱状)の形状を有する。
【0029】
基材71と側方支持部72で囲まれる空間、すなわち全体筐体状の基部70の内部空間、の内部に変位部60の板材61を配置すると、板材61によって基部70の前面が閉じられた筐体状になるとともに、板材61の左右方向の両端部が、前側(X1側)は前端部72aに接触又は近接し、後側(X2側)は基材71に接触又は近接した状態になり、板材61の前後方向の移動が規制される。
【0030】
このとき、板材61の左右方向の両端部が、基部70の側方支持部72の内面に接触又は近接するため、変位部60は、左右方向の位置を規制される。さらに、変位部60の案内部62が、側方支持部72の前端部72aに接触することにより、変位部60は前端部72aによって左右方向の位置が規制される。
【0031】
変位部60は、以上述べた、基部70の基材71、側方支持部72、及び、前端部72aとの関係により、前後方向及び左右方向を規制されつつ、上下方向に沿って変位可能となる。別言すると、変位部60は、基部70の基材71、側方支持部72、及び、前端部72aに対して面接触しながら上下にスライド可能である。
【0032】
図5に示すように、基材71の前面(X1側の面)には、基材71に対向配置したときの板材61の一対の軸部材63のそれぞれに対応する位置に、上下に延びる、一対の中空の筒状部73が設けられている。筒状部73は基材71の下側に設けられている。一方、軸部材63は板材61の上側に設けられている。
【0033】
図5に示すように、軸部材63の軸方向の下側の位置には、径方向外側へ広がるフランジ部63aが形成されている。このフランジ部63aには、筒状部73内に配置された、弾性部材としてのコイルばね74(圧縮コイルばね)の上端部が固定されている。コイルばね74は、その弾性力によって上下方向に伸縮可能となるように、筒状部73内に配置されており、下端部は筒状部73の底壁73aに固定されている。
【0034】
図3図5、及び、図6(a)に示す状態では、コイルばね74の弾性力によってフランジ部63aが上側へ押し上げられ、上下方向において、変位部60の板材61の背面全体が基部70の基材71の前面全体に対向する。
【0035】
これに対して、図4図6(b)に示す状態では、変位部60に下向きの荷重がかかることで、コイルばね74の弾性力に抗して変位部60が全体として下降している。このとき、図6(b)に示すように、コイルばね74は、下降したフランジ部63aと底壁73aとの間で収縮している。このようにコイルばね74が収縮することにより、変位部60の下降による衝撃や振動は和らげられた状態で基材71へ伝達される。このため、収納部20が下降するときの衝撃や振動は、基部70に接合された背当て部30に支持された背負いベルト40を掛け回された使用者の肩に対して、緩和された状態で伝えられる。
【0036】
上述の通り、変位部60は、基部70の基材71、側方支持部72、及び、前端部72aとの関係により、前後方向及び左右方向を規制されつつ、上下方向に沿って変位する。このため、使用者によるランドセル10の背負い姿勢、一対の背負いベルト40の長さ等の違い、収納部20の振動状態などによって、一対のコイルばね74の弾性変形が互いに均等でない場合であっても、接合部50がねじれて変位することはなく、前後方向及び左右方向を規制されつつ上下方向に沿って振動させることができ、収納部20の振動を、左右方向において均等に和らげることができ、使用者に伝わる振動を確実かつ安定して吸収することが可能となる。
【0037】
これに対して、本実施形態のような筐体状の基部70を有さずに、左右に配置した一対のコイルばねのみで収納部20の振動を受ける構成とした場合には、左右方向における振動が互いに均等でないときには、左右方向において、振動吸収効果が異なってしまうため、例えば、使用者の一方の肩に強い振動が伝達されてしまうおそれがあり、又は、緩衝効果が小さくなってしまうおそれがある。
【0038】
図7図8を参照して接合部50による緩衝効果の例について説明する。図7(a)、(b)は肩SHに背負いベルト40を掛け回してランドセル10を背負った使用者Uが階段STを登るときの様子を示す図、図8(a)、(b)はランドセル10を背負った使用者Uが階段を降りる様子を示す図である。
【0039】
図7(a)の状態から使用者Uが後側の右足を上げて階段STを登る動作を行うと、体が前方上側へ移動するのに合わせてランドセル10の収納部20が斜め上方の方向D1へ浮き上がるように変位しようとする。この動きにおいて、図7(a)の状態では、収納部20の重量によって、図4図6(b)に示すように、変位部60は基部70に対して下方に位置しているのに対して、階段STを上がる動作によって、変位部60が上方に変位しようとする。このときに軸部材63と底壁73aとの間でコイルばね74の弾性力によって、変位部60が急激に上昇することが抑えられ、変位部60はゆっくりと上方へ変位する。このような作用により、使用者Uが階段STを登るときに、収納部20が急激に浮き上げることによって生じる衝撃を和らげることができる。
【0040】
一方、図8(a)、(b)に示すように、使用者Uが前側の左足と後側の右足を順に下ろして階段STを降りる動作を行うと、前足の着地の際(図8(a))に収納部20が下方向D2へ変位し、さらに、後足を下ろす際に収納部20が上方向D3へ変位する。
【0041】
この一連の動作において、図8(a)の状態では、収納部20の重量によって、図4図6(b)に示す状態へ向かって、変位部60は基部70に対して下方に変位する。この状態から、図8(b)に示すように階段STの上の段にあった右足を下ろすと、基部70の下方への変位と、高い位置にあった収納部20の慣性と、により、収納部20は、図3図6(a)に示す状態へ向かって、上方へ変位しようとする。
【0042】
図8(a)、(b)のいずれの状態においても、変位部60の変位に対して、軸部材63と底壁73aとの間でコイルばね74の弾性力によって、変位部60が急激に上昇又は下降することが抑えられ、変位部60はゆっくりと変位する。このような作用により、使用者Uが階段STを降りるときにも、収納部20が急激に変位することによる衝撃を和らげることができる。
【0043】
以下に変形例について説明する。
上記実施形態においては、軸部材63のフランジ部63aにコイルばね74の上端部を固定していたが、軸部材63の変位に伴ってコイルばね74の上端部を変位させることができればこの構成に限定されない。例えば、軸部材63の底面や、軸部材63の下部の外周面に、コイルばね74の上端部を固定してもよい。
【0044】
弾性部材としては、上記実施形態のコイルばね74のように、軸部材63を上方へ付勢することができれば、コイルばね74以外の弾性部材であってもよい。また、上記実施形態のコイルばね74のような圧縮コイルばねではなく、軸部材63を上方から引き上げるような弾性部材を用いてもよい。例えば引張りばねを基部70の基材71側に設け、軸部材63を上方から引っ張るように構成してもよい。
【0045】
上記実施形態においては、軸部材63と筒状部73を一対ずつ設けていたが、緩衝機構として機能し、互いに対応する数を設けてあれば、その数や位置は上記実施形態の構成に限定されない。例えば、数としては3つ以上でもよく、配置としては、左右方向の両端部ではなく、より中央側でもよい。
【0046】
軸部材63の外形形状と筒状部73の内面構造とが互いに対応していれば、軸部材63の形状は、上記実施形態のような円柱状に限定されず、例えば、軸直交断面が楕円や多角形の形状、又は、板状としてもよい。板状とした場合、十分な幅を有する形状であれば、軸部材を1つのみとすることもできる。
【0047】
緩衝機構としては、軸部材63と筒状部73は設けずに、例えば、基部70の基材71と変位部60の板材61とを弾性変形可能なばね材で互いに連結して、基部70の基材71、側方支持部72、及び、前端部72aで囲まれる空間内で、基材71、側方支持部72、及び、前端部72aで前後方向及び上下方向の位置を規制された状態の変位部60を上下に変位させるようにしてもよい。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 ランドセル(背のう)
20 収納部
21 収納本体
21a 底部
22 蓋板
30 背当て部
31 背当て部の上部
40 背負いベルト
41 上端部
42 下端部
50 接合部(緩衝機構)
51 カバー
60 変位部
61 板材
62 案内部
63 軸部材
63a フランジ部
64 案内孔
65 固定ねじ
70 基部
71 基材
72 側方支持部
72a 前端部
73 筒状部
73a 底壁
74 コイルばね(弾性部材)
SH 肩
ST 階段
U 使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8