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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】ウエハ載置台
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240704BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240704BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021132886
(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公開番号】P2023027640
(43)【公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹林 央史
(72)【発明者】
【氏名】久野 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 靖也
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-108816(JP,A)
【文献】特開2014-053481(JP,A)
【文献】特開2019-021803(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065710(WO,A1)
【文献】特開2020-205379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/67-21/683
H01L 21/86
H05H 1/00-1/54
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形のウエハ載置面を有する中央部の外周に、環状のフォーカスリング載置面を有する外周部を備えたセラミック基材と、
金属を含有する冷却基材と、
前記セラミック基材と前記冷却基材とを接合する接合層と、
を備え、
前記セラミック基材の前記外周部は、厚みが1mm以下であり電極を内蔵しておらず、
前記セラミック基材と前記冷却基材との熱膨張係数差は、1×10 -6 /K以下である、
ウエハ載置台。
【請求項2】
前記冷却基材は、少なくとも、フォーカスリング吸着用電源、バイアス用高周波電源及びソース用高周波電源に接続される、
請求項1に記載のウエハ載置台。
【請求項3】
前記接合層は、金属接合層である、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
前記金属接合層の周囲は、前記金属接合層が露出しないように絶縁材で覆われている、
請求項3に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
前記セラミック基材の前記中央部は、前記外周部よりも厚く、ウエハ吸着用電極を内蔵すると共に、前記ウエハ載置面とは反対側の面と前記ウエハ吸着用電極との間に高周波電極を内蔵し、
前記高周波電極は、前記冷却基材に接続され、
前記ウエハ吸着用電極は、前記冷却基材に接続されることなく、ウエハ吸着用電源に接続される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項6】
前記セラミック基材の前記中央部は、前記外周部よりも厚く、ウエハ吸着用電極を内蔵し、前記ウエハ載置面とは反対側の面と前記ウエハ吸着用電極との間に高周波電極を内蔵しておらず、
前記ウエハ吸着用電極は、前記冷却基材に接続されることなく、ウエハ吸着用電源に接続される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項7】
前記セラミック基材の前記中央部は、前記外周部よりも厚く、ウエハ吸着用電極を内蔵し、前記ウエハ載置面とは反対側の面と前記ウエハ吸着用電極との間に高周波電極を内蔵しておらず、
前記ウエハ吸着用電極は、前記冷却基材に接続され、
前記冷却基材は、ウエハ吸着用電源に接続される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項8】
前記セラミック基材の前記中央部は、前記セラミック基材の前記外周部と同じ厚みであり、電極を内蔵しておらず、
前記冷却基材は、ウエハ吸着用電源に接続される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項9】
前記冷却基材は、電力供給用の貫通孔を有していない、
請求項1~4,7~8のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハにプラズマを利用してCVDやエッチングなどを行うためにウエハ載置台が用いられる。例えば、特許文献1に開示されたウエハ載置台は、セラミック基材と冷却基材とを備え、セラミック基材は、円形のウエハ載置面を備えた中央部と、前記中央部の外周側に環状のフォーカスリング載置面を備えた外周部とを有している。ウエハ載置面に載置されるウエハは、セラミック基材の中央部に埋設されたウエハ吸着用電極に直流電圧が印加されることによりウエハ載置面に静電吸着される。フォーカスリング載置面に載置されるフォーカスリングは、セラミック基材の外周部に埋設されたフォーカスリング吸着用電極に直流電圧が印加されることによりフォーカスリング載置面に静電吸着される。冷却基材には、プラズマを生成させるためのソース用の高周波を発生する第1高周波電源と、ウエハにイオンを引き込むためのバイアス用の高周波を発生する第2高周波電源とが接続される。一般に、バイアス用の高周波は、ソース用の高周波に比べると周波数が低く振幅が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-206804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたウエハ載置台では、セラミック基材の外周部にフォーカスリング吸着用電極を埋設しているため、バイアス用の高周波によるフォーカスリングへのイオンの引き込みが非効率になるという問題があった。すなわち、セラミック基材の外周部にフォーカスリング吸着用電極を埋設すると、外周部を厚くせざるを得ない。そうすると、バイアス用の高周波が印加される冷却基材とフォーカスリング載置面との距離が大きくなる。その結果、冷却基材とフォーカスリング載置面との間のリアクタンスが大きくなるため、バイアス用の高周波によるフォーカスリングへのイオンの引き込みが非効率になる。特に、バイアス用の高周波はソース用の高周波に比べると周波数が低いためリアクタンスが大きくなりやすい。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、バイアス用の高周波によるフォーカスリングへのイオンの引き込みを効率よく行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウエハ載置台は、
円形のウエハ載置面を有する中央部の外周に、環状のフォーカスリング載置面を有する外周部を備えたセラミック基材と、
金属を含有する冷却基材と、
前記セラミック基材と前記冷却基材とを接合する接合層と、
を備え、
前記セラミック基材の前記外周部は、厚みが1mm以下であり電極を内蔵していない、
ものである。
【0007】
このウエハ載置台では、セラミック基材の外周部は、電極を内蔵しておらず、その厚みが1mm以下である。そのため、フォーカスリング吸着用電圧を冷却基材に印加した場合、フォーカスリングをフォーカスリング載置面に静電吸着することができる。また、バイアス用の高周波電圧を冷却基材に印加した場合、冷却基材とフォーカスリング載置面との間のリアクタンスが小さくなるため、バイアス用の高周波電圧によるフォーカスリングへのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。
【0008】
本発明のウエハ載置台において、前記冷却基材は、少なくとも、フォーカスリング吸着用電源、ソース用高周波電源及びバイアス用高周波電源に接続されるものとしてもよい。こうすれば、冷却基材を、フォーカスリング吸着用電極、ソース用高周波電極及びバイアス用高周波電極として利用することができる。
【0009】
本発明のウエハ載置台において、前記接合層は、金属接合層であってもよい。こうすれば、接合層を冷却基材の一部とみなすことができる。そのため、接合層が樹脂などの絶縁層である場合に比べて、冷却基材とフォーカスリング載置面との間のリアクタンスをより小さくすることができる。この場合、前記金属接合層の周囲は、前記金属接合層が露出しないように絶縁材で覆われていることが好ましい。こうすれば、金属接合層を保護することができる。
【0010】
本発明のウエハ載置台において、前記セラミック基材の前記中央部は、前記外周部よりも厚く、ウエハ吸着用電極を内蔵すると共に、前記ウエハ載置面とは反対側の面と前記ウエハ吸着用電極との間に高周波電極を内蔵していてもよく、前記高周波電極は、前記冷却基材に接続されていてもよく、前記ウエハ吸着用電極は、前記冷却基材に接続されることなく、ウエハ吸着用電源に接続されるものとしてもよい。
【0011】
本発明のウエハ載置台において、前記セラミック基材の前記中央部は、前記外周部よりも厚く、ウエハ吸着用電極を内蔵し、前記ウエハ載置面とは反対側の面と前記ウエハ吸着用電極との間に高周波電極を内蔵していなくてもよく、前記ウエハ吸着用電極は、前記冷却基材に接続されることなく、ウエハ吸着用電源に接続されるものとしてもよい。こうすれば、高周波電極をセラミック基材に内蔵する場合に比べて構造が簡素になる。
【0012】
本発明のウエハ載置台において、前記セラミック基材の前記中央部は、前記外周部よりも厚く、ウエハ吸着用電極を内蔵し、前記ウエハ載置面とは反対側の面と前記ウエハ吸着用電極との間に高周波電極を内蔵していなくてもよく、前記ウエハ吸着用電極は、前記冷却基材に接続されていてもよく、前記冷却基材は、ウエハ吸着用電源に接続されるものとしてもよい。こうすれば、ウエハ吸着用電極を冷却基材に接続することなくウエハ吸着用電源に接続する場合に比べて、構造が簡素になる。また、ウエハ吸着用電極は高周波電極としても機能する。
【0013】
本発明のウエハ載置台において、前記セラミック基材の前記中央部は、前記セラミック基材の前記外周部と同じ厚みであり、電極を内蔵していなくてもよく、前記冷却基材は、ウエハ吸着用電源に接続されるものとしてもよい。こうすれば、セラミック基材の全体の厚みを薄くすることができるし、構造も簡素になる。
【0014】
本発明のウエハ載置台において、前記冷却基材は、電力供給用の貫通孔を有していなくてもよい。こうすれば、温度の特異点の生成を抑制することができる。
【0015】
本発明のウエハ載置台において、前記セラミック基材と前記冷却基材との熱膨張係数差は1×10-6/K以下であってもよい。こうすれば、高温と低温とで繰り返し使用したとしても耐久性が高くなる。例えば、セラミック基材がアルミナ製の場合には、冷却基材はSiSiCTi製かAlSiC製が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ウエハ載置台10の縦断面図。
図2】ウエハ載置台10の平面図。
図3】ウエハ載置台10の製造工程図。
図4】絶縁膜42の代わりにOリング44を採用したときの部分断面図。
図5】絶縁膜42の代わりに樹脂層46を採用したときの部分断面図。
図6】ウエハ載置台110の縦断面図。
図7】ウエハ載置台210の縦断面図。
図8】ウエハ載置台310の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1はウエハ載置台10の縦断面図(ウエハ載置台10の中心軸を含む面で切断したときの断面図)、図2はウエハ載置台10の平面図(但しフォーカスリング78は省略)である。以下の説明において、上下、左右、前後などを用いて説明することがあるが、上下、左右、前後は、相対的な位置関係に過ぎない。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0018】
ウエハ載置台10は、ウエハWにプラズマを利用してCVDやエッチングなどを行うために用いられるものであり、半導体プロセス用のチャンバ94の内部に設けられた設置板96に固定されている。ウエハ載置台10は、セラミック基材20と、冷却基材30と、接合層40とを備えている。
【0019】
セラミック基材20は、円形のウエハ載置面22aを有する中央部22の外周に、環状のフォーカスリング載置面24aを有する外周部24を備えている。以下、フォーカスリングは「FR」と略すことがある。ウエハ載置面22aには、ウエハWが載置され、FR載置面24aには、フォーカスリング78が載置される。セラミック基材20は、アルミナ、窒化アルミニウムなどに代表されるセラミック材料で形成されている。FR載置面24aは、ウエハ載置面22aに対して一段低くなっている。外周部24は、電極(FR吸着用電極や高周波(RF)電極)を内蔵していない。外周部24の厚みは1mm以下であり、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。
【0020】
セラミック基材20の中央部22は、ウエハ載置面22aに近い側から順に、ウエハ吸着用電極26とRF電極28とを内蔵している。これらの電極26,28は、例えばW、Mo、WC、MoCなどを含有する材料によって形成されている。ウエハ吸着用電極26は、円板状又はメッシュ状の単極型の静電電極である。セラミック基材20のうちウエハ吸着用電極26よりも上側の層は誘電体層として機能する。ウエハ吸着用電極26には、ウエハ吸着用直流電源52が給電端子54を介して接続されている。給電端子54は、冷却基材30及び接合層40を上下方向に貫通する貫通穴に配置された絶縁管55を通過して、セラミック基材20の下面からウエハ吸着用電極26に至るように設けられている。給電端子54は、RF電極28と電気的に絶縁するように設けられている。給電端子54のうちウエハ吸着用直流電源52とウエハ吸着用電極26との間には、ローパスフィルタ(LPF)53が設けられている。RF電極28は、セラミック基材20の中央部22のうちウエハ吸着用電極26とセラミック基材20の下面との間に設けられている。RF電極28は、ウエハ側のソース用RF電極及びバイアス用RF電極として機能する。RF電極28は、RF電極28から冷却基材に向かって延びるビア29を介して接合層40及び冷却基材30と導通している。
【0021】
冷却基材30は、金属を含有する導電性の円板部材である。冷却基材30は、内部に冷媒が循環可能な冷媒流路32を備えている。この冷媒流路32は、図示しない冷媒供給路及び冷媒排出路に接続されており、冷媒排出路から排出された冷媒は温度調整されたあと再び冷媒供給路に戻される。冷却基材30は、金属を含有する導電材料で作製されている。導電材料としては、例えば、複合材料や金属などが挙げられる。複合材料としては、金属複合材料(メタル・マトリックス・コンポジット(MMC)ともいう)などが挙げられ、MMCとしては、Si,SiC及びTiを含む材料やSiC多孔質体にAl及び/又はSiを含浸させた材料などが挙げられる。Si,SiC及びTiを含む材料をSiSiCTiといい、SiC多孔質体にAlを含浸させた材料をAlSiCといい、SiC多孔質体にSiを含浸させた材料をSiSiCという。金属としては、Ti,Mo,Al及びそれらの合金などが挙げられる。
【0022】
冷却基材30は、FR吸着用直流電源56に給電端子58を介して接続され、ソース用RF電源62に給電端子64を介して接続され、バイアス用RF電源72に給電端子74を介して接続されている。冷却基材30とFR吸着用直流電源56との間には、LPF57が配置され、冷却基材30とソース用RF電源62との間には、ハイパスフィルタ(HPF)63が配置され、冷却基材30とバイアス用RF電源72との間には、HPF73が配置されている。バイアス用RFは、ソース用のRFに比べると周波数が低く振幅が大きい。ソース用RFの周波数は、例えば数10~数100MHzであり、バイアス用RFの周波数は、例えば数百kHzである。
【0023】
接合層40は、セラミック基材20の下面と冷却基材30の上面とを接合する。本実施形態では、接合層40は、金属接合層である。金属接合層は、例えば、はんだや金属ロウ材で形成された層であってもよい。金属接合層は、例えばTCB(Thermal compression bonding)により形成される。TCBとは、接合対象の2つの部材の間に金属接合材を挟み込み、金属接合材の固相線温度以下の温度に加熱した状態で2つの部材を加圧接合する公知の方法をいう。セラミック基材20の外周部24の側面、接合層40の外周、冷却基材30の側面及び冷却基材30の上面のうち接合層40で覆われていない部分は、絶縁膜42で被覆されている。絶縁膜42としては、例えばアルミナやイットリアなどの溶射膜が挙げられる。
【0024】
次に、ウエハ載置台10の製造例を図3を用いて説明する。図3はウエハ載置台10の製造工程図である。まず、モールドキャスト法によって円盤状の第1~第3セラミック成形体81~83を作製し、第2及び第3セラミック成形体82,83の上面にそれぞれ電極ペーストを印刷して電極パターン86,88を形成する(図3A参照)。モールドキャスト法とは、セラミック原料粉末とモールド化剤とを含むセラミックスラリーを成形型内に注入し、その成形型内でモールド化剤を化学反応させてセラミックスラリーをモールド化させることにより成形体を得る周知の方法をいう。モールド化剤としては、例えば、イソシアネート及びポリオールを含み、ウレタン反応によりモールド化するものとしてもよい。電極ペーストは、例えばW、Mo、WC、MoCなどの導電材にセラミック粉末を添加したスラリーである。第2セラミック成形体82の上面に印刷された電極パターン86はウエハ吸着用電極26と同形状であり、第3セラミック成形体83の上面に印刷された電極パターン88はRF電極28と同形状である。
【0025】
続いて、第1セラミック成形体81と、上面に電極パターン86が印刷された第2セラミック成形体82と、上面に電極パターン88が印刷された第3セラミック成形体83とを積層し、得られた積層体をホットプレス焼成することにより、セラミック焼結体90を得る(図3B参照)。これにより、電極パターン86はウエハ吸着用電極26になり、電極パターン88はRF電極28になる。
【0026】
続いて、得られたセラミック焼結体90の両面に研削加工又はブラスト加工等を施すことにより形状や厚みを調整すると共に、上下方向の穴(給電端子54を挿入するための穴90aやビア29を挿入するための穴90bなど)を形成する(図3C参照)。
【0027】
続いて、セラミック焼結体90の穴90aに給電端子54を挿入してウエハ吸着用電極26に接合し、穴90bに接続端子89を挿入してRF電極28に接合する(図3D)。その後、セラミック焼結体90と冷却基材30とを接合層40によって接合して接合体92を得る(図3E)。冷却基材30には、予めセラミック焼結体90の穴90a,90bのそれぞれと対向する位置に上下方向に貫通する穴30a,30bを設けておき、接合する際に給電端子54を穴30aに挿入し、接続端子89を穴30bに挿入する。セラミック焼結体90がアルミナ製の場合、冷却基材30はSiSiCTi製かAlSiC製であることが好ましい。
【0028】
SiSiCTiプレートは、例えば、平均粒径が10μm以上25μm以下の炭化珪素原料粒子を39~51質量%含有すると共に、Ti及びSiが含まれるように選択された1種以上の原料を含有し、炭化珪素を除く原料に由来するSi及びTiについてSi/(Si+Ti)の質量比が0.26~0.54である粉体混合物を作製する。原料としては、例えば炭化珪素と金属Siと金属Tiとを用いることができる。その場合、炭化珪素を39~51質量%、金属Siを16~24質量%、金属Tiを26~43質量%となるように混合するのが好ましい。次に、得られた粉体混合物を一軸加圧成形により円盤状の成形体を作製し、その成形体を不活性雰囲気下でホットプレスにより1370~1460℃で焼結させることにより、SiSiCTiプレートを得る。
【0029】
セラミック焼結体90と冷却基材30との接合は、金属接合材を用いて行う。例えば、アルミナ製のセラミック焼結体90とSiSiCTi製の冷却基材30との間に金属接合材を挟んでTCB接合を行う。具体的には、金属接合材の固相線温度以下(例えば、固相線温度から20℃引いた温度以上固相線温度以下)の温度でセラミック焼結体90と冷却基材30との積層体を加圧してTCB接合し、その後室温に戻す。これにより、金属接合材は接合層40になる。このときの金属接合材としては、Al-Mg系接合材やAl-Si-Mg系接合材を使用することができる。例えば、Al-Si-Mg系接合材(88.5重量%のAl、10重量%のSi、1.5重量%のMgを含有し、固相線温度が約560℃)を用いてTCB接合する場合、真空雰囲気下、540~560℃に加熱した状態でセラミック焼結体90を0.5~2.0kg/mm2 の圧力で数時間かけて加圧する。金属接合材は、TCB接合の前に冷却基材30の穴30a,30bと対向する位置にそれぞれ穴を設けておく。金属接合材は、厚みが100μm前後のものを用いるのが好ましい。
【0030】
続いて、セラミック焼結体90の外周を切削して段差を形成することにより、中央部22と外周部24とを備えたセラミック基材20とする。また、冷却基材30のうち接続端子89が挿入されている穴30bに導電材を充填することによりビア29とし、給電端子54が挿入されている穴30aに絶縁管55を配置する(図3F)。
【0031】
続いて、セラミック基材20の外周部24の側面、接合層40の周囲、冷却基材30の側面及び冷却基材30の上面のうち露出している部分を、セラミック粉末を用いて溶射することにより絶縁膜42を形成する(図3G)。これにより、ウエハ載置台10を得る。
【0032】
次に、ウエハ載置台10の使用例について図1を用いて説明する。チャンバ94の設置板96には、上述したようにウエハ載置台10が設置されている。チャンバ94の天井面には、プロセスガスを多数のガス噴射孔からチャンバ94の内部へ放出するシャワーヘッド98が配置されている。
【0033】
ウエハ載置台10のFR載置面24aには、フォーカスリング78が載置され、ウエハ載置面22aには、円盤状のウエハWが載置される。フォーカスリング78は、ウエハWと干渉しないように上端部の内周に沿って段差を備えている。この状態で、ウエハ吸着用電極26にウエハ吸着用直流電源52の直流電圧を印加してウエハWをウエハ載置面22aに吸着させる。それと共に、冷却基材30にFR吸着用直流電源56の直流電圧を印加してフォーカスリング78をFR載置面24aに吸着させる。そして、チャンバ94の内部を所定の真空雰囲気(又は減圧雰囲気)になるように設定し、シャワーヘッド98からプロセスガスを供給しながら、冷却基材30にソース用RF電源62からのソース用RF電圧とバイアス用RF電源72からのバイアス用RF電圧とを印加する。すると、セラミック基材20の中央部22に内蔵されたRF電極28とシャワーヘッド98との間でプラズマが発生する。そして、そのプラズマを利用してウエハWにCVD成膜を施したりエッチングを施したりする。ソース用RF電圧は、プラズマを生成するために印加されるものであり、バイアス用RF電圧は、ウエハWやフォーカスリング78にイオンを引き込むために印加されるものである。なお、ウエハWがプラズマ処理されるのに伴ってフォーカスリング78も消耗するが、フォーカスリング78はウエハWに比べて厚いため、フォーカスリング78の交換は複数枚のウエハWを処理したあとに行われる。
【0034】
本実施形態では、セラミック基材20の外周部24の厚さが1mm以下である。そのため、冷却基材30に印加されるバイアス用RF電圧によってフォーカスリング78に効率よくイオンが引き込まれる。それと共に、冷却基材30に印加されるソース用RF電圧によってフォーカスリング78の上空においても効率よくプラズマが生成する。一方、ウエハ吸着用電極26には、ウエハ吸着用直流電源52からの直流電圧が印加される。これにより、ウエハWはウエハ載置面22aに吸着される。そのため、ウエハWが高温化したとしても、ウエハWの熱を冷却基材30へ効率よく逃がすことができる。また、冷却基材30には、FR吸着用直流電源56からの直流電圧が印加される。これにより、フォーカスリング78は、FR載置面24aに吸着される。そのため、フォーカスリング78が高温化したとしても、フォーカスリング78の熱を冷却基材30へ効率よく逃がすことができる。更に、セラミック基材20の外周部24(誘電体層として機能する)の厚みは1mm以下であるため、フォーカスリング78をFR載置面24aに十分な力で吸着することができる。接合層40は金属接合層であり熱伝導率が高いため、ウェハWやフォーカスリング78の熱を冷却基材30へより効率よく逃がすことができる。
【0035】
以上説明したウエハ載置台10では、セラミック基材20の外周部24は、電極を内蔵しておらず、その厚みが1mm以下である。そのため、FR吸着用電圧を冷却基材30に印加した場合、フォーカスリング78をFR載置面24aに静電吸着することができる。また、バイアス用のRF電圧を冷却基材30に印加した場合、冷却基材30とFR載置面24aとの間のリアクタンスが小さくなるため、バイアス用のRF電圧によるフォーカスリング78へのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。
【0036】
また、冷却基材30は、FR吸着用直流電源56、ソース用RF電源62及びバイアス用RF電源72に接続されている。そのため、冷却基材30及び金属接合層である接合層40を、FR吸着用電極、FR側のソース用RF電極及びFR側のバイアス用RF電極として利用することができる。
【0037】
更に、接合層40は、金属接合層であるため、冷却基材30の一部とみなすことができる。そのため、接合層40が樹脂などの絶縁層である場合に比べて、冷却基材30とフォーカスリング載置面24aとの間のリアクタンスをより小さくすることができる。また、接合層40の周囲は接合層40が露出しないように絶縁膜42で覆われているため、接合層40を保護することができる。
【0038】
更にまた、セラミック基材20の中央部22は、外周部24よりも厚く、ウエハ吸着用電極26を内蔵すると共に、ウエハ載置面22aとは反対側の面とウエハ吸着用電極26との間にRF電極28を内蔵している。RF電極28は、冷却基材30に接続され、ウエハ吸着用電極26は、冷却基材30に接続されることなく、ウエハ吸着用直流電源52に接続される。そのため、ウエハ載置面22aにウエハWを吸着させた状態で、ウエハWへのイオンの引き込みを行いながらウエハWの上空において効率よくプラズマが生成する。
【0039】
そしてまた、セラミック基材20は、アルミナ基体であることが好ましく、冷却基材30は、SiSiCTiプレートであることが好ましい。こうすれば、セラミック基材20と冷却基材30とは熱膨張係数の差が1×10-6/K以下と小さいため、高温と低温とで繰り返し使用したとしても耐久性が高くなる。40~570℃の線熱膨張係数は、アルミナが7.7×10-6/Kであり、SiSiCTiが7.8×10-6/Kである。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、接合層40の外周を絶縁膜42で被覆したが、その代わりに、図4に示すOリング44や図5に示す樹脂層46を採用してもよい。図4及び図5において、上述した実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付した。図4では、セラミック基材20の外周部24と接合層40の側面と冷却基材30の上面とで囲まれた空間には、Oリング44が配置されている。図5では、その空間に樹脂を充填することにより、樹脂層46が形成されている。Oリング44や樹脂層46の材質としては、絶縁性を有するものが好ましく、絶縁性と耐プラズマ性を有するものがより好ましい。具体的な材質としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロカーボンなど)やシリコーン樹脂などが挙げられる。接合層40は、Oリング44や樹脂層46を採用した場合でも、絶縁膜42と同様に保護される。なお、図4及び図5において、冷却基材30の側面及び冷却基材30の上面のうち接合層40で被覆されていない部分を絶縁膜(例えばセラミック溶射膜)で被覆してもよい。
【0042】
上述した実施形態のウエハ載置台10では、セラミック基材20の中央部22はウエハ吸着用電極26及びRF電極28を内蔵していたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、図6図8のウエハ載置台110~310のように構成してもよい。なお、図6図8において、上述した実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付した。
【0043】
図6に示すウエハ載置台110では、セラミック基材120の中央部122は、ウエハ吸着用電極26を内蔵するが、RF電極を内蔵しない。そのため、セラミック基材120の全体の厚み(中央部122の厚み)は、上述した実施形態の中央部22よりも薄くすることができる。フォーカスリング178の厚さは、中央部122の厚みに応じて、上述した実施形態のフォーカスリング78よりも薄くすることができる。外周部124は、外周部24と同じく、厚みが1mm以下で電極を内蔵しない。そのため、FR吸着用電圧を冷却基材30に印加した場合、フォーカスリング178をFR載置面24aに静電吸着することができる。また、バイアス用のRF電圧を冷却基材30に印加した場合、冷却基材30とFR載置面24aとの間のリアクタンスが小さいため、バイアス用のRF電圧によるフォーカスリング178へのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。金属接合層である接合層40は、実質的にFR吸着用電極、FR側のソース用RF電極、FR側のバイアス用RF電極、ウエハ側のソース用RF電極及びウエハ側のバイアス用RF電極を兼用する。ウエハ載置台110では、ウエハ載置台10のように高周波電極28をセラミック基材20に内蔵する場合に比べて、構造が簡素になる。
【0044】
図7に示すウエハ載置台210では、セラミック基材220の中央部222は、ウエハ吸着用電極26を内蔵するが、RF電極を内蔵しない。そのため、セラミック基材220の全体の厚み(中央部222の厚み)は、上述した実施形態の中央部22よりも薄くすることができる。フォーカスリング278の厚さは、中央部222の厚みに応じて、上述した実施形態のフォーカスリング78よりも薄くすることができる。また、ウエハ吸着用電極26と接合層40とは、導電性のビア27で接続されている。そのため、図1に示した給電端子54やウエハ吸着用直流電源52は不要になり、FR吸着用直流電源56はウエハ吸着用直流電源を兼用する。外周部224は、外周部24と同じく、厚みが1mm以下で電極を内蔵しない。そのため、FR吸着用電圧を冷却基材30に印加した場合、フォーカスリング278をFR載置面24aに静電吸着することができる。また、バイアス用のRF電圧を冷却基材30に印加した場合、冷却基材30とFR載置面24aとの間のリアクタンスが小さいため、バイアス用のRF電圧によるフォーカスリング278へのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。金属接合層である接合層40は、実質的にFR吸着用電極、FR側のソース用RF電極及びFR側のバイアス用RF電極を兼用する。ウエハ吸着用電極26は、ウエハ側のソース用RF電極及びウエハ側のバイアス用RF電極を兼用する。ウエハ載置台210では、ウエハ載置台10,110と比べて、RF電極を兼用するウエハ吸着用電極26とウエハ載置面22aとの間のリアクタンスがより小さくなるため、ウエハWへのイオンの引き込みやウエハWの上空でのプラズマの生成をより効率よく行うことできる。ウエハ載置台210では、ウエハ載置台10,110のようにウエハ吸着用電極26を冷却基材30に接続することなくウエハ吸着用直流電源52に接続する場合に比べて、構造が簡素になる。また、冷却基材30に電源を供給するための貫通孔を設ける必要がないため、温度の特異点の生成を抑制することができる。
【0045】
図8に示すウエハ載置台310では、セラミック基材320の中央部322は、ウエハ吸着用電極もRF電極も内蔵しない。この場合、セラミック基材320の全体の厚み(中央部322の厚み)は、図1図6及び図7の中央部22,122,222よりも薄くすることができる。フォーカスリング378の厚さは、中央部322の厚みに応じて薄くすることができる。図8では、中央部322の厚みは、外周部324の厚みと同じにした。外周部324は、外周部24と同じく、厚みが1mm以下で電極を内蔵しない。そのため、FR吸着用電圧を冷却基材30に印加した場合、フォーカスリング378をFR載置面24aに静電吸着することができる。また、バイアス用のRF電圧を冷却基材30に印加した場合、冷却基材30とFR載置面24aとの間のリアクタンスが小さいため、バイアス用のRF電圧によるフォーカスリング378へのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。ウエハ載置台310では、ウエハ載置台10,110,210に比べてセラミック基材320の全体の厚みを薄くすることができるし、構造も簡素になる。また、冷却基材30に電源を供給するための貫通孔を設ける必要がないため、温度の特異点の生成を抑制することができる。なお、中央部322の厚さは、強度や絶縁耐圧を考慮して、外周部324よりも厚くしてもよい。
【0046】
上述した実施形態の冷却基材30は、冷媒流路32を有するものとしたが、冷媒流路32を有していなくてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、セラミック成形体をモールドキャスト法によって作製したが、特にこれに限定されない。例えば、テープ成形体を複数枚積層してセラミック成形体を作製してもよい。あるいは、図3Aの第1及び第3セラミック成形体81,83の代わりに第1及び第3セラミック焼結体を使用し、第1及び第3セラミック焼結体の間にセラミック粉末層を形成し、その状態でホットプレス焼成することにより、ウエハ吸着用電極26とRF電極28とを内蔵したセラミック焼結体90を作製してもよい。
【0048】
上述した実施形態のセラミック基材20には、必要に応じてヒータ電極を埋設してもよい。
【実施例
【0049】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0050】
[実施例1]
実施例1は、図1に示すウエハ載置台10であって、セラミック基材20としてアルミナ基体を用い、冷却基材30としてSiSiCTiプレートを用い、接合層40としてAl-Si-Mg系接合材のTCB接合層を用いたものとした。アルミナの誘電率は10[F/m]であった。ウエハ載置面22aの直径を300[mm]、FR載置面24aの外径及び内径をそれぞれ340[mm]及び305[mm]、ウエハ載置面22aからウエハ吸着用電極26までの距離Dwc(図1参照)を0.5[mm]、ウエハ載置面22aからRF電極28までの距離Dwp(図1参照)を2.5[mm]、FR載置面24aから接合層40までの距離Df(図1参照、実施例1では外周部24の厚みと同じ)を0.5[mm]とした。
【0051】
[実施例2]
実施例2は、図8に示すウエハ載置台310であって、各部材の材料は実施例1と同じとした。ウエハ載置面22aの直径、FR載置面24aの外径及び内径は実施例1と同じとした。ウエハ載置面22aから接合層40までの距離D(図8参照)を0.5[mm]とした。この距離Dは、接合層40がFR吸着用電極、FR側のソース用RF電極、FR側のバイアス用RF電極、ウエハ吸着用電極、ウエハ側のソース用RF電極及びウエハ側のバイアス用RF電極を兼用することから、実施例1の距離Dwc,Dwp,Dfに相当する。
【0052】
[比較例1]
比較例1は、実施例1において、セラミック基材20の外周部24の厚みを2.5[mm]とし、その外周部24のうちFR載置面24aから深さ0.5[mm]のところにFR吸着用電極を埋設し、FR吸着用電極給電端子(接合層や冷却基材とは電気的に絶縁)を介してFR吸着用直流電源に接続した以外は、実施例1と同様とした。
【0053】
[実施例3]
実施例3は、実施例1において、距離Dwc(図1参照)を1.0[mm]、距離Dwp(図1参照)を3.0[mm]、距離Df(図1参照、実施例3では外周部24の厚みと同じ)を1.0[mm]とした以外は、実施例1と同様とした。
【0054】
[実施例4]
実施例4は、実施例2において、距離D(図8参照)を1.0[mm]とした以外は、実施例2と同様とした。
【0055】
[比較例2]
比較例2は、実施例3において、セラミック基材20の外周部24の厚みを3.0[mm]とし、その外周部24のうちFR載置面24aから深さ1.0[mm]のところにFR吸着用電極を埋設し、FR吸着用電極給電端子(接合層や冷却基材とは電気的に絶縁)を介してFR吸着用直流電源に接続した以外は、実施例3と同様とした。
【0056】
[結果]
実施例1,2及び比較例1について、ソース用RF電圧の周波数を50[MHz]、バイアス用電圧の周波数を500[kHz]、ウエハ吸着用直流電圧及びFR吸着用直流電圧を3[kV]に設定した。被吸着物の接触率(ウエハ載置面22aとウエハWとの接触率及びFR載置面24aとフォーカスリング78との接触率)は100[%]とした。実施例3,4及び比較例2について、ソース用RF電圧の周波数を50[MHz]、バイアス用電圧の周波数を500[kHz]、ウエハ吸着用直流電圧及びFR吸着用直流電圧を9[kV]に設定した。被吸着物の接触率は100[%]とした。
【0057】
バイアス用RF電圧を冷却基材に印加したときのFR載置面と接合層との間のリアクタンスを求めた。そうしたところ、実施例1,2では101[Ω]であったが、比較例1では507[Ω]であった。また、実施例3,4では203[Ω」であったが、比較例2では609[Ω]であった。ソース用のRF電圧を冷却基材に印加したときのFR載置面と接合層との間のリアクタンスを求めた。そうしたところ、実施例1,2では1.0[Ω]であったが、比較例1では5.1[Ω]であった。また、実施例3,4では2.0[Ω]であったが、比較例2では6.1[Ω]であった。
【0058】
このように、実施例1,2では、比較例1に比べて、バイアス用のRF電圧が冷却基材に印加されたときのFR載置面と接合層との間のリアクタンスが小さいため、バイアス用のRF電圧によるフォーカスリングへのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。実施例3,4についても、比較例2に比べて、これと同じことがいえる。また、実施例1,2では、比較例1に比べて、ソース用のRF電圧が冷却基材に印加されたときのFR載置面と接合層との間のリアクタンスが小さいため、ソース用のRF電圧によるフォーカスリング上方のプラズマの発生を効率よく行うことができる。実施例3,4についても、比較例2に比べて、これと同じことがいえる。
【符号の説明】
【0059】
10,110,210,310 ウエハ載置台、20,120,220,320 セラミック基材、22,122,222,322 中央部、22a ウエハ載置面、24,124,224,324 外周部、24a フォーカスリング載置面、26 ウエハ吸着用電極、27 ビア、28 RF電極、29 ビア、30 冷却基材、30a 穴、30b 穴、32 冷媒流路、40 接合層、42 絶縁膜、44 Oリング、46 樹脂層、52 ウエハ吸着用直流電源、53,57 ローパスフィルタ、54,58,64,74 給電端子、55 絶縁管、56 FR吸着用直流電源、62 ソース用RF電源、63,73 ハイパスフィルタ、72 バイアス用RF電源、78,178,278,378 フォーカスリング、81 第1セラミック成形体、82 第2セラミック成形体、83 第2セラミック成形体、86,88 電極パターン、89 接続端子、90 セラミック焼結体、90a,90b 穴、92 接合体、94 チャンバ、96 設置板、98 シャワーヘッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8