(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】半導体発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20240704BHJP
H01L 33/40 20100101ALI20240704BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/40
(21)【出願番号】P 2021524731
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2020019313
(87)【国際公開番号】W WO2020246215
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019105735
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】政元 啓明
(72)【発明者】
【氏名】大屋 満明
(72)【発明者】
【氏名】林 茂生
(72)【発明者】
【氏名】廣木 均典
(72)【発明者】
【氏名】粂 雅博
(72)【発明者】
【氏名】西川 学
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/163083(WO,A1)
【文献】特開2013-048199(JP,A)
【文献】特開2013-012709(JP,A)
【文献】国際公開第2012/144046(WO,A1)
【文献】特開2012-114329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0291714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物半導体からなる半導体層と、
前記半導体層上に配置された、給電部と前記給電部から延伸する延伸部とを有する電極とを備え、
前記給電部の幅は、前記延伸部の幅より大きく、
前記電極は、前記半導体層側に配置された電極層と、前記電極層の上に配置された配線層とを有し、
前記電極層は、前記給電部に配置された第1金属層と、前記第1金属層よりも前記延伸部側に配置され且つ前記第1金属層と直接接続する第2金属層とを有し、
前記第1金属層及び前記第2金属層は、前記半導体層にオーミック接続し、
前記第1金属層の導電率は、前記第2金属層の導電率よりも高く、
前記配線層は、前記第1金属層及び前記第2金属層上に連続して配置される
半導体発光素子。
【請求項2】
前記第2金属層は、前記給電部に配置され、
前記第2金属層が配置された前記給電部の領域において、前記第2金属層の最大幅は前記給電部の最大幅以下で、前記延伸部の最大幅より大きい
請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記第2金属層は、前記延伸部に配置され、
前記第2金属層が配置された前記延伸部の領域において、前記第2金属層の最大幅は前記延伸部の最大幅以下で、前記給電部の最大幅より小さい
請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記第2金属層は、前記給電部から前記延伸部の方向への位置に対する前記電極層の幅の微分値が極小となる位置を含む領域、または前記微分値が不連続となる位置を含む領域に配置されている
請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記延伸部において、前記第2金属層の前記第1金属層側とは反対側に位置し且つ前記第2金属層に直接接続する第3金属層が配置され、
前記第1金属層と前記第3金属層は同一材料で形成される
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記延伸部において、前記第3金属層の前記第2金属層側とは反対側に位置し且つ前記第3金属層に直接接続する第4金属層が配置され、
前記第2金属層と前記第4金属層は同一材料で形成される
請求項5に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記第2金属層と前記第4金属層とは離間している
請求項6に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記電極は、前記延伸部における前記給電部側と反対側に分岐部を有し、
前記第4金属層は、前記分岐部に配置されている
請求項6
または7に記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記電極は、前記延伸部における前記給電部側と反対側に分岐部を有し、
前記第2金属層は、前記分岐部に配置されている
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項10】
前記延伸部は、前記給電部側と反対側に、前記給電部側の幅よりも幅の小さい部分を有する
請求項1~
9のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項11】
前記延伸部は、前記延伸部の延伸方向先端に向かって前記幅が段差状に狭くなるように前記幅が変化している
請求項10に記載の半導体発光素子。
【請求項12】
前記延伸部は、前記延伸部の延伸方向先端に向かって幅が漸次狭くなる
請求項10に記載の半導体発光素子。
【請求項13】
前記電極層と前記配線層の間に拡散バリア層を有する
請求項1~
12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項14】
前記拡散バリア層は前記第2金属層と同一材料で構成される
請求項
13に記載の半導体発光素子。
【請求項15】
前記延伸部において、前記配線層の配線抵抗値は、前記電極層の配線抵抗値よりも小さい
請求項1~
14のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子は、照明用途又はディスプレイ用途等の様々な機器の光源として利用されている。種々の光源の中でも、大きな光出力の領域では、例えば、LEDは、DRL(Daytime Running Lights)及びHL(Head Lamp)等の車載用照明装置の光源に用いられている。
【0003】
半導体発光素子は、例えば、活性層(発光層)と、活性層の両側の半導体層と、電極とを備える。電極は、半導体層とオーミック接触する電極層と、電極層に積層された配線層とを有する。平面視において、電極は、幅が変化する部分を有するように形成されることがある。この場合、電極を構成する電極層及び配線層の各々に、幅が変化する部分が形成される。
【0004】
しかしながら、電極に幅が変化する部分が存在すると、電極の幅が狭くなる部分で電極層の電流密度が局所的に大きくなり、エレクトロマイグレーション(EM)が発生して電極層が劣化するおそれがある。
【0005】
従来、電流密度が大きくなる部分でのエレクトロマイグレーションを抑制するために、電流密度が大きくなる部分において電極層を分断して、その電極層を分断した部分に絶縁層を設ける技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、エレクトロマイグレーションを抑制することができるものの、駆動電圧が増加するという課題がある。
【0008】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制できる半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る半導体発光素子の一態様は、化合物半導体からなる半導体層と、前記半導体層上に配置された、給電部と前記給電部から延伸する延伸部とを有する電極とを備え、前記給電部の幅は、前記延伸部の幅より大きく、前記電極は、前記半導体層側に配置された電極層と、前記電極層の上に配置された配線層とを有し、前記電極層は、前記給電部に配置された第1金属層と、前記第1金属層よりも前記延伸部側に配置され且つ前記第1金属層と直接接続する第2金属層とを有し、前記第1金属層及び前記第2金属層は、前記半導体層にオーミック接続し、前記第1金属層の導電率は、前記第2金属層の導電率よりも高く、前記配線層は、前記第1金属層及び前記第2金属層上に連続して配置される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、基板を準備する工程を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、半導体積層構造を形成する工程を示す図である。
【
図2C】
図2Cは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、半導体積層構造をエッチングする工程を示す図である。
【
図2D】
図2Dは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、絶縁膜を形成する工程を示す図である。
【
図2E】
図2Eは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、p側電極を形成する工程を示す図である。
【
図2F】
図2Fは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、n側電極のn側電極層における第1金属層及び第3金属層を形成する工程を示す図である。
【
図2G】
図2Gは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、n側電極のn側電極層における第2金属層を形成する工程を示す図である。
【
図2H】
図2Hは、実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法において、n側電極のn側配線層を形成する工程を示す図である。
【
図3】
図3は、比較例1の半導体発光素子のn側電極周辺の構成と横方向(延伸部の延伸方向)におけるn側電極のn側電極層の電流密度とを示す図である。
【
図4】
図4は、比較例2の半導体発光素子のn側電極周辺の構成と横方向(延伸部の延伸方向)におけるn側電極のn側電極層の電流密度とを示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る半導体発光素子のn側電極周辺の構成と横方向(延伸部の延伸方向)におけるn側電極のn側電極層の電流密度とを示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る半導体発光素子のn側電極におけるn側電極層の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る半導体発光素子のn側電極におけるn側電極層の他の変形例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る半導体発光素子のn側電極におけるn側電極層のさらに他の変形例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る半導体発光素子のn側電極のn側電極層において、n側電極の幅が変化する位置(幅変化位置)から延伸部の延伸方向の距離と、電流密度との関係を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1に係る半導体発光素子のn側電極のn側電極層の複数のバリエーションの各々において、第2金属層が設けられる所望の範囲を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1の変形例1に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態1の変形例1に係る半導体発光素子の他の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態1の変形例2に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態1の変形例2に係る半導体発光素子の他の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態1の変形例3に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態1の変形例3に係る半導体発光素子の他の構成を示す図である。
【
図17】
図17は、実施の形態1の変形例3に係る半導体発光素子のさらに他の構成を示す図である。
【
図18】
図18は、実施の形態1の変形例4に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図19】
図19は、実施の形態1の変形例4に係る半導体発光素子の他の構成を示す図である。
【
図20】
図20は、実施の形態1の変形例4に係る半導体発光素子のさらに他の構成を示す図である。
【
図21】
図21は、実施の形態1の変形例5に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図22】
図22は、実施の形態2に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図23】
図23は、実施の形態2の変形例1に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図24】
図24は、実施の形態2の変形例2に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【
図25】
図25は、実施の形態2の変形例2に係る半導体発光素子の他の構成を示す図である。
【
図26】
図26は、実施の形態2の変形例2に係る半導体発光素子のさらに他の構成を示す図である。
【
図27】
図27は、実施の形態2の変形例3に係る半導体発光素子の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態)
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、工程及び工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
【0013】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(実施の形態1)
[半導体発光素子]
まず、実施の形態1に係る半導体発光素子1の構成について、
図1を用いて説明する。
図1において、(a)は、実施の形態1に係る半導体発光素子1の平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1の垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1の水平断面図である。なお、
図1では、各部材の位置関係を分かりやすくするために、(a)の平面図にも便宜的にハッチングを施している。このことは、以下の図面においても同様である。
【0015】
図1に示すように、実施の形態1に係る半導体発光素子1は、半導体積層構造10と、半導体積層構造10に設けられたn側電極20及びp側電極30とを有する。本実施の形態において、半導体発光素子1は、一方側にn側電極20及びp側電極30の両方が形成された片面電極構造の発光ダイオード(LED)チップである。
【0016】
半導体積層構造10は、基板11と、n型半導体層12(第1導電型半導体層)と、発光層となる活性層13と、p型半導体層14(第2導電型半導体層)とを有する。n型半導体層12、活性層13及びp型半導体層14は、基板11に形成された半導体積層体である。具体的には、n型半導体層12、活性層13及びp型半導体層14は、基板11の上に、この順で積層されている。
【0017】
n型半導体層12、活性層13及びp型半導体層14は、化合物半導体からなる。本実施の形態において、n型半導体層12、活性層13及びp型半導体層14は、GaN等のIII-V族化合物半導体によって構成されている。
【0018】
n側電極20は、第1電極であり、n型半導体層12の上に配置されている。具体的には、n側電極20は、p型半導体層14及び活性層13の一部を除去することで部分的にn型半導体層12を露出させた露出領域に形成されている。一方、p側電極30は、第2電極であり、p型半導体層14の上に配置されている。
【0019】
本実施の形態において、半導体積層構造10の上には、絶縁膜40が形成されている。そして、n側電極20は、絶縁膜40の開口部から露出するn型半導体層12の上に形成され、p側電極30は、絶縁膜40の開口部から露出するp型半導体層14の上に形成されている。なお、絶縁膜40は、例えば、SiO2等からなる酸化膜である。
【0020】
n側電極20は、n型半導体層12側に配置されたn側電極層21と、n側電極層21の上に配置されたn側配線層22とを有する。具体的には、n側電極層21は、n型半導体層12の上に積層されており、n側配線層22は、n側電極層21の上に積層されている。なお、n型半導体層12とn側電極層21とは接触しており、また、n側電極層21とn側配線層22とは接触している。本実施の形態において、n側電極層21とn側配線層22とは、上面視において、同一形状である。
【0021】
n側電極20は、給電部E1と、給電部E1から延伸する延伸部E2とを有する。給電部E1は、n側電極20において給電端子100が接続される部分である。つまり、給電部E1には、電子が供給される。給電端子100は、例えば、バンプ又はワイヤ等である。延伸部E2は、給電部E1に給電された電子をn型半導体層12に配電する。本実施の形態において、延伸部E2の延伸方向と直交する方向において、給電部E1の幅は、延伸部E2の幅より大きい。つまり、延伸部E2の幅は、給電部E1の幅よりも小さい。したがって、n側電極20は、幅が変化する部分を有する。つまり、n側電極層21及びn側配線層22の各々は、幅が変化する部分を有する。
【0022】
n側電極層21は、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置された第2金属層21bとを有する。本実施の形態において、第2金属層21bは、第1金属層21aと直接接続している。第1金属層21a及び第2金属層21bは、金属材料によって構成されている。
【0023】
n側電極層21は、さらに、延伸部E2において第3金属層21cを有する。第3金属層21cは、金属材料によって構成されている。第3金属層21cは、第2金属層21bの第1金属層21a側とは反対側に位置している。したがって、第2金属層21bは、延伸部E2の延伸方向において、第1金属層21aと第3金属層21cとの間に位置している。つまり、n側電極層21は、延伸部E2の延伸方向において第1金属層21aと第3金属層21cとに分断されており、その分断された部分には、第2金属層21bが設けられている。本実施の形態において、第3金属層21cは、第2金属層21bに直接接続している。
【0024】
第2金属層21bは、少なくとも延伸部E2の延伸方向に対してn側電極層21の幅が変化する位置近傍に配置されている。本実施の形態において、第2金属層21bは、n側電極層21の幅が変化する位置を跨いでいる。つまり、第2金属層21bは、給電部E1と延伸部E2との両方に形成されている。
【0025】
第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cの各々は、n型半導体層12に接触している。具体的には、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cは、n型半導体層12にオーミック接続している。
【0026】
第1金属層21aの導電率は、第2金属層21bの導電率よりも高い。また、第3金属層21cの導電率は、第2金属層21bの導電率よりも高い。さらに、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cは、活性層13で発生した光を反射するために、光反射性を有する金属材料によって構成されているとよい。本実施の形態において、第1金属層21aと第3金属層21cとは、同一材料で形成されている。
【0027】
第1金属層21a及び第3金属層21cは、例えば、アルミニウム(Al)、または、アルミニウムを含む合金によって構成することができる。本実施の形態において、第1金属層21a及び第3金属層21cは、アルミニウムによって構成されている。
【0028】
第1金属層21a及び第3金属層21cよりも導電率が低い第2金属層21bは、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)の中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料、あるいは、これらの少なくとも1種類の金属材料を含む合金によって構成することができる。本実施の形態において、第2金属層21bは、チタンによって構成されている。
【0029】
また、n側電極層21の上に積層されたn側配線層22は、n側電極層21の第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cの上に連続して配置されている。つまり、n側配線層22は、給電部E1及び延伸部E2にわたって連続して形成されている。
【0030】
n側配線層22の給電部E1に対応する部分には、給電端子100が接続される。n側配線層22の給電部E1から電子が給電されることで、n側電極20の給電部E1から延伸部E2にかけて電流が流れ、n側電極20の給電部E1及び延伸部E2の全域に配電される。
【0031】
n側配線層22は、金属材料によって構成されている。n側配線層22の配線抵抗値は、n側電極層21の配線抵抗値よりも小さくなっているとよい。つまり、n側配線層22は、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cで構成されるn側電極層21の平均配線抵抗値よりも低い配線抵抗値の金属材料によって構成されているとよい。特に、延伸部E2において、n側配線層22の配線抵抗値は、延伸部E2におけるn側電極層21の配線抵抗値(平均配線抵抗値)よりも小さくなっているとよい。n側配線層22は、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)の中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料、あるいは、これらの少なくとも1種類の金属材料を含む合金によって構成することができる。
【0032】
p側電極30は、p型半導体層14側に配置されたp側電極層31と、p側電極層31の上に配置されたp側配線層32とを有する。本実施の形態において、p側電極30は、p側電極層31を構成する金属材料とp側配線層32を構成する金属材料とが相互拡散することを抑制するために、p側拡散バリア層33を有する。p側拡散バリア層33は、p側電極層31とp側配線層32との間に配置される。
【0033】
p側電極層31は、p型半導体層14の上に積層されており、p側拡散バリア層33は、p側電極層31の上に積層されており、p側配線層32は、p側拡散バリア層33の上に積層されている。なお、p側電極層31とp側拡散バリア層33とp側配線層32とは、上面視において、同一形状である。
【0034】
p側電極層31は、p型半導体層14に接触している。具体的には、p側電極層31は、p型半導体層14にオーミック接続している。
【0035】
本実施の形態において、p側電極層31及びp側配線層32は、金属材料によって構成されている。p側電極層31は、活性層13で発生した光を反射するために、光反射性を有する金属材料によって構成されているとよい。
【0036】
p側電極層31は、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)の中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料、あるいは、これらの少なくとも1種類の金属材料を含む合金によって構成することができる。本実施の形態において、p側電極層31は、銀によって構成されている。
【0037】
また、p側配線層32は、例えば、金(Au)によって構成されており、p側拡散バリア層33は、例えば、チタン(Ti)によって構成されている。
【0038】
このように構成される半導体発光素子1では、n側電極20及びp側電極30に所定の駆動電圧が印加されることで、活性層13で光が生成される。活性層13で生成された光は、p側電極30側ではなく基板11側から取り出される。つまり、半導体発光素子1の光取り出し方向は、
図1の紙面の下方向である。
【0039】
[半導体発光素子の製造方法]
次に、実施の形態1に係る半導体発光素子1の製造方法について、
図2A~
図2Hを用いて説明する。
図2A~
図2Hは、実施の形態1に係る半導体発光素子1の製造方法を説明するための図である。
【0040】
まず、
図2Aに示すように、基板11を準備する。本実施の形態では、基板11には半導体からなる透光性基板として、GaNからなるウエハ(GaN基板)を用いている。
【0041】
次に、
図2Bに示すように、基板11の上に、有機金属気相エピタキシャル成長法(MOVPE法)により、n型半導体層12と、活性層13と、p型半導体層14とを順に積層することで、半導体積層構造10を形成する。
【0042】
本実施の形態において、n型半導体層12は、n型窒化物半導体層(例えばGaN層)であり、活性層13は、窒化物半導体発光層であり、p型半導体層14は、p型窒化物半導体層である。活性層13を構成する窒化物半導体発光層は、少なくともGaとNとを含み、必要に応じて適量のInを含ませることで、所望の発光波長を得ることができる。本実施の形態では、活性層13はInGaN層であり、発光ピーク波長が450nmとなるようにIn組成比を設定している。
【0043】
次に、
図2Cに示すように、半導体積層構造10に対して、p型半導体層14と活性層13とn型半導体層12との一部をドライエッチングにより除去することで、n型半導体層12の一部をp型半導体層14及び活性層13から露出させる。これにより、n型半導体層12の一部に露出領域を形成することができる。
【0044】
次に、
図2Dに示すように、n型半導体層12の露出領域を含む半導体積層構造10の上面全体に絶縁膜40を成膜する。本実施の形態では、絶縁膜40として、SiO
2からなる酸化膜を成膜した。
【0045】
その後、図示しないが、絶縁膜40の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりp型半導体層14に対応する位置におけるレジストに開口部を形成し、弗酸によるエッチングによりレジストの開口部内の絶縁膜40を除去する。これにより、p型半導体層14が露出する。
【0046】
次に、
図2Eに示すように、p型半導体層14の露出領域内に、p側電極30を形成する。具体的には、EB蒸着法を用いて、p側電極層31、p側拡散バリア層33及びp側配線層32となる金属膜を順次成膜して金属積層膜を形成し、レジストリフトオフ法によりレジストと余分な金属積層膜を除去することで、絶縁膜40を除去したp型半導体層14の露出領域内にp側電極30を形成する。これにより、p側電極層31、p側拡散バリア層33及びp側配線層32の積層構造からなるp側電極を形成することができる。
【0047】
本実施の形態では、p型半導体層14に近い側から離れる方向に向かって、p側電極層31となるAg層(膜厚0.2μm)とp側拡散バリア層33となるTi層(膜厚0.7μm)とp側配線層32となるAu層(膜厚1.0μm)とを順に成膜した。なお、p側電極層31、p側拡散バリア層33及びp側配線層32となる金属膜の成膜方法は、EB蒸着法に限るものではなく、スパッタ法であってもよい。
【0048】
また、p側電極30は、絶縁膜40と離間するように形成されていてもよい。つまり、p側電極層31と絶縁膜40とは離間していてもよい。この場合、p側電極30と絶縁膜40との間からp型半導体層14が露出する。
【0049】
その後、図示しないが、全体を覆うようにレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりn型半導体層12に対応する位置におけるレジストに開口部を形成し、弗酸によるエッチングによりレジストの開口部内の絶縁膜40を除去する。これにより、n型半導体層12が露出する。
【0050】
次に、
図2Fに示すように、n型半導体層12の露出領域内の一部に、第1金属層21a及び第3金属層21cを形成する。具体的には、EB蒸着法を用いて、第1金属層21a及び第3金属層21cとなる第1金属膜を成膜し、レジストリフトオフ法によりレジストと余分な第1金属膜を除去することで、絶縁膜40を除去したn型半導体層12の露出領域内に、離間した第1金属層21a及び第3金属層21cを形成する。これにより、同一材料によって構成された第1金属層21a及び第3金属層21cがn型半導体層12に接するように形成される。なお、第1金属膜を除去した部分は、第1金属層21a及び第3金属層21cが形成されておらず、n型半導体層12が再び露出することになる。
【0051】
n型半導体層12上に直接積層される第1金属層21a及び第3金属層21cは、n型半導体層12に対するオーミックコンタクト層として機能するとともに、光を反射する反射層として機能するので、Al等を含む金属材料によって構成されているとよい。本実施の形態では、第1金属層21a及び第3金属層21cとして、Al層(膜厚0.3μm)を形成した。なお、第1金属層21a及び第3金属層21cとなる第1金属膜の成膜方法は、EB蒸着法に限るものではなく、スパッタ法であってもよい。
【0052】
また、第1金属層21a及び第3金属層21cは、絶縁膜40と離間するように形成されていてもよい。つまり、第1金属層21a及び第3金属層21cの各々と絶縁膜40とは離間していてもよい。この場合、第1金属層21a及び第3金属層21cの各々と絶縁膜40との間からn型半導体層12が露出する。
【0053】
次に、
図2Gに示すように、第1金属層21aと第3金属層21cとの間のn型半導体層12の露出領域に、第2金属層21bを形成する。具体的には、全体を覆うようにレジストを塗布し、フォトリソグラフィにより第2金属層21bに対応する位置におけるレジストに開口部を形成し、EB蒸着法を用いて、第2金属層21bとなる第2金属膜を成膜し、レジストリフトオフ法によりレジストと余分な第2金属膜を除去することで、n型半導体層12が露出した露出領域に第2金属層21bを形成する。これにより、第1金属層21aと第3金属層21cとの間に埋め込まれるとともにn型半導体層12に接するようにして第2金属層21bが形成される。
【0054】
n型半導体層12上に直接積層される第2金属層21bは、n型半導体層12に対するオーミックコンタクト層として機能するとともに、光を反射する反射層として機能する。さらに、第2金属層21bは、第1金属層21a及び第3金属層21cよりもエレクトロマイグレーション耐性が高く、かつ、第1金属層21a及び第3金属層21cよりも導電率が低い金属材料によって構成されているとよい。したがって、第2金属層21bを構成する金属材料としては、例えば、Ti、W、Cr等を用いることができる。本実施の形態では、第2金属層21bとして、Ti層(膜厚0.3μm)を形成した。なお、第2金属層21bとなる第2金属膜の成膜方法は、EB蒸着法に限るものではなく、スパッタ法であってもよい。
【0055】
このように、第1金属層21aと第3金属層21cとの間に第2金属層21bを形成することで、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cによって構成されたn側電極層21を形成することができる。
【0056】
次に、
図2Hに示すように、n側電極層21の上にn側配線層22を形成する。具体的には、全体を覆うようにレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりn側電極層21に対応する位置におけるレジストに開口部を形成し、EB蒸着法を用いて、n側配線層22となる第3金属膜を成膜し、レジストリフトオフ法によりレジストと余分な第3金属膜を除去することで、n側電極層21の上にn側配線層22を形成する。つまり、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cにわたって、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cの上に、n側配線層22を形成する。
【0057】
n側電極層21上に積層されるn側配線層22は、n側電極層21よりもエレクトロマイグレーション耐性が高く、かつ、n側電極層21よりも平均配線抵抗値が低い金属材料によって構成されているとよい。したがって、n側配線層22を構成する金属材料としては、例えば、Au、Cu、Ag等を用いることができる。本実施の形態では、n側配線層22として、Au層(膜厚1.0μm)を形成した。なお、n側配線層22となる第3金属膜の成膜方法は、EB蒸着法に限るものではなく、スパッタ法であってもよい。
【0058】
このように、n側電極層21の上にn側配線層22を形成することで、n側電極層21及びn側配線層22の積層構造からなるn側電極20を形成することができる。
【0059】
以上のようにして、
図1に示される本実施の形態に係る半導体発光素子1を製造することができる。
【0060】
[作用効果など]
次に、本実施の形態における半導体発光素子1の作用効果について、
図3~
図5を用いて説明する。
【0061】
図3の(a)は、比較例1の半導体発光素子1Xのn側電極20X周辺の構成を示す垂直断面図であり、
図3の(b)は、
図3の(a)のB-B線における同n側電極20Xのn側電極層21Xの水平断面図であり、
図3の(c)は、横方向(延伸部の延伸方向)における同n側電極20Xのn側電極層21Xの電流密度を示す図である。
【0062】
図4の(a)は、比較例2の半導体発光素子1Yのn側電極20Y周辺の構成を示す垂直断面図であり、
図4の(b)は、
図4の(a)のB-B線における同n側電極20Yのn側電極層21Yの水平断面図であり、
図4の(c)は、横方向(延伸部の延伸方向)における同n側電極20Yのn側電極層21Yの電流密度を示す図である。
【0063】
図5の(a)は、実施の形態1に係る半導体発光素子1のn側電極20周辺の構成を示す垂直断面図であり、
図5の(b)は、
図5の(a)のB-B線における同n側電極20のn側電極層21の水平断面図であり、
図5の(c)は、横方向(延伸部の延伸方向)における同n側電極20のn側電極層21の電流密度を示す図である。
【0064】
なお、
図3の(a)、
図4の(a)及び
図5の(a)に示される矢印は、電子の流れを示している。
【0065】
図3の(a)及び(b)に示されるように、比較例1の半導体発光素子1Xにおけるn側電極20Xは、基板11上のn型半導体層12の上に形成されたn側電極層21Xと、n側電極層21Xの上に形成されたn側配線層22Xとを有する。
【0066】
平面視において、n側電極20Xは、幅が変化する部分を有するように形成されている。具体的には、n側電極20Xは、給電部E1と、給電部E1から延伸し且つ給電部E1よりも幅が小さい延伸部E2とを有する。つまり、n側電極20X(n側電極層21X及びn側配線層22X)は、幅が変化する部分を有する。
【0067】
このように構成された比較例1の半導体発光素子1Xでは、
図3の(c)に示すように、n側電極20Xの幅が変化する部分において、n側電極層21Xの電流密度が局所的に大きくなってエレクトロマイグレーション(EM)の臨界値を超えることがある。この結果、n側電極20Xにおける幅が変化する部分において、エレクトロマイグレーションが発生してn側電極層21Xが劣化するおそれがある。
【0068】
そこで、n側電極20Xの幅が変化する部分でのエレクトロマイグレーションを抑制するために、比較例2の半導体発光素子1Yの構造を検討した。
【0069】
図4の(a)及び(b)に示されるように、比較例2の半導体発光素子1Yにおけるn側電極20Yは、比較例1の半導体発光素子1Xと同様に、基板11上のn型半導体層12の上に形成されたn側電極層21Yと、n側電極層21Yの上に形成されたn側配線層22Yとを有する。
【0070】
また、比較例2の半導体発光素子1Yでは、比較例1の半導体発光素子1Xと同様に、n側電極20Yの幅が変化している。具体的には、n側電極20Yは、給電部E1と、給電部E1から延伸し且つ給電部E1よりも幅が小さい延伸部E2とを有する。つまり、n側電極20Y(n側電極層21Y及びn側配線層22Y)は、幅が変化する部分を有する。
【0071】
一方、比較例2の半導体発光素子1Yでは、比較例1の半導体発光素子1Xと異なり、n側電極20Yの幅が変化する部分において、n側電極層21Yが分断されており、そのn側電極層21Yが分断された部分に絶縁層50Yが設けられている。つまり、n側電極20Yは、分離された2つのn側電極層21Yと、2つのn側電極層21Yの間に埋め込まれた絶縁層50Yとを有する。
【0072】
このように構成された比較例2の半導体発光素子1Yのn側電極20Yにおいては、
図4の(c)に示すように、絶縁層50Yが設けられた部分でn側電極層21Yの電流密度をゼロにすることができる。したがって、n側電極20Yの幅が変化する部分においてエレクトロマイグレーションが発生することを抑制することができる。
【0073】
しかしながら、
図4に示される比較例2の半導体発光素子1Yでは、
図4の(a)に示すように、n側電極20Yとn型半導体層12とのオーミック接合面積が減少し、駆動電圧が増加する。
【0074】
これに対して、本実施の形態に係る半導体発光素子1では、
図5の(a)及び(b)に示すように、n側電極20は、n側電極層21と、n側電極層21の上に配置されたn側配線層22とを有しており、n側電極層21は、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0075】
このように構成されたn側電極20においては、
図5の(a)に示すように、第2金属層21bが設けられた部分で、n側電極層21を流れる横方向の電流の一部をn側配線層22にバイパスさせることができる。これにより、
図5の(c)に示すように、第2金属層21bが設けられた部分でn側電極層21の横方向の電流密度を小さくすることができる。したがって、n側電極20の幅が変化する部分において、電流密度がエレクトロマイグレーションの臨界値を超える部分を無くすことができる。また、絶縁層ではなく導電性を有する第2金属層21bを用いることで、n側電極層21において電流密度がゼロになる部分が生じない。このため、本実施の形態に係る半導体発光素子1では、
図4に示される比較例2の半導体発光素子1Yと比べて、n側電極20とn型半導体層12とのオーミック接合面積を大きくすることができる。したがって、駆動電圧の増加を抑制することができる。
【0076】
以上、本実施の形態に係る半導体発光素子1によれば、n側電極20に幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。
【0077】
しかも、本実施の形態に係る半導体発光素子1では、光反射率が高いアルミニウムによって第1金属層21a及び第3金属層21cを構成し、電流密度が高くなる部分にのみ反射率が高くないチタンによって第2金属層21bを構成している。これにより、n側電極層22の平均反射率が低下することを抑制できるので、光取り出し効率が低下することを抑制できる。
【0078】
また、本実施の形態に係る半導体発光素子1では、n側電極20の延伸部E2において、n側配線層22の配線抵抗値は、延伸部E2におけるn側電極層21の配線抵抗値(平均配線抵抗値)よりも小さくなっている。
【0079】
この構成により、n側電極層21とn側配線層22とを並列回路としたときに、給電部E1から延伸部E2に向かってn側電極20に供給される電子は、n側電極層21よりもn側配線層22に流れやすくなる。つまり、n側配線層22への電流バイパス量を増加させることができる。したがって、エレクトロマイグレーションを一層効果的に抑制することができる。
【0080】
なお、本実施の形態に係る半導体発光素子1のように、n側電極20の幅が急激に変化する場合、n側電極20の幅が変化する位置は明確であるが、
図6に示すように、n側電極20の幅が滑らかに変化する場合、n側電極20の幅が変化する位置は、給電部E1から延伸部E2に向かう方向への位置xに対するn側電極層21の幅Lの微分値(dL/dx)が極小となる位置である。
【0081】
一方、
図5の(b)に示すように、n側電極20の幅が急激に変化する場合、給電部E1から延伸部E2に向かう方向への位置xに対するn側電極層21の幅Lの微分値(dL/dx)は、不連続となる。
【0082】
したがって、n側電極20におけるn側電極層21の第2金属層21bは、給電部E1から延伸部E2に向かう方向への位置xに対するn側電極層21の幅Lの微分値が極小となる位置を含む領域、又は、前記微分値が不連続となる位置を含む領域に配置されているとよい。
【0083】
また、
図7の(a)~(c)に示すように、n側電極20におけるn側電極層21の第2金属層21bの少なくとも一部が給電部E1に配置されている場合、第2金属層21bが配置された給電部E1の領域において、第2金属層21bの最大幅W
21bは、給電部E1の最大幅W
E1以下で、且つ、延伸部E2の最大幅W
E2より大きくなっているとよい。
【0084】
また、
図8の(a)~(c)に示すように、n側電極20におけるn側電極層21の第2金属層21bの少なくとも一部が延伸部E2に配置されている場合、第2金属層21bが配置された延伸部E2の領域において、第2金属層21bの最大幅W
21bは、延伸部E2の最大幅W
E2以下で、且つ、給電部E1の最大幅W
E1より小さくなっているとよい。
【0085】
ここで、
図3に示すように、n側電極20Xの幅が不連続に変化する場合、幅変化位置の延伸部E2側が最も電流密度が高くなる。そこで、
図5に示すように、幅変化位置を含む領域に第2金属層21bを設けることによって、n側電極20における第2金属層21bが配置された領域において電流の一部が上部のn側配線層22にバイパスするため、n側電極20における横方向(延伸方向)の電流密度ピーク値を低減することができる。逆に、幅変化位置を含まず、幅変化位置の延伸部E2側のすぐ近傍(例えば幅変化位置から10μm以内の距離)の位置から延伸部E2側にかけて第2金属層21bを配置した場合は、その面積によらず、n側電極20が幅変化位置近傍の横方向の電流密度を所望の値まで低減することができなかった。また、幅変化位置よりも延伸方向とは逆側の位置では、第2金属層21bが配置されていなくてもn側電極20の幅が広くなるために電流密度は下がるので、幅変化位置よりも延伸方向の位置と比べて遠くまで第2金属層21bを配置する必要はない。
【0086】
図9は、0.5mm角の半導体発光素子1を1Aで駆動したときの、延伸部E2の各測定位置におけるn側電極の最大電流密度を示すグラフである。n側電極は、
図1(a)に示すように、給電部E1は半導体発光素子1の外周に沿って配置され、延伸部E2は、給電部E1から半導体発光素子1の中央部に向かって延びるように配置されている。n側電極は膜厚1.2μmのアルミニウムで構成され、延伸部E2の幅は50μmとして、延伸部E2内における測定位置を変化させて、各地点での最大電流密度を求めた。
図9に示すように、幅変化位置から100μmの距離までの横方向の最大電流密度は、アルミニウムのエレクトロマイグレーションが発生するおそれがあるとされる値(1×10
5[A/cm
2])を超えていた。よって、幅変化位置から延伸方向に対して100μmの位置までチタンからなる第2金属層21bを配置させることで、横方向の最大電流密度をエレクトロマイグレーションの発生する値以下にすることができる。実際の使用に際しては、エレクトロマイグレーションの発生しない範囲の最大電流密度に抑えればよいので、半導体発光素子1の構成、n側電極20を構成する材料、または、延伸部E2の幅などの条件によって、第2金属層21bの配置範囲を適宜設定してもよい。
【0087】
またここで、
図6に示すように、n側電極20の幅が滑らかに変化する場合、幅変化位置の定義を、給電部E1から延伸部E2に向かう方向への位置xに対するn側電極層21の幅Lの微分値(dL/dx)が極小となる位置とする。ここで、延伸部E2の幅が一定である場合は、一定幅の領域のうち最も給電部E1側に近いところが最も電流密度が高くなる。そこで、微分に基づく幅変化位置よりも延伸部E2側の電流密度が最も高い部分を含む領域に第2金属層21bを設けることによって、横方向の電流密度ピーク値を低減することができる。この場合、n側電極20の幅が不連続に変化する場合のように、幅変化位置に必ずしも第2金属層21bを配置する必要はない。また、幅変化位置では最大電流密度が発生する位置よりも電極幅は広くなっており、電極幅が広くなる効果で電流密度が下がるので、幅変化位置よりも延伸方向と逆側の位置では、幅変化位置よりも延伸方向の位置と比べて遠くまで第2金属層21bを配置する必要はない。実際の使用に際しては、エレクトロマイグレーションの発生しない範囲の最大電流密度に抑えればよいので、半導体発光素子1の構成、n側電極20を構成する材料、延伸部E2の幅などの条件によって、第2金属層21bの配置範囲を適宜設定してもよい。
【0088】
なお、延伸部E2の幅が漸次変化している場合は、電流密度の高くなる位置は形状に依存して変化する。
【0089】
以上より、第2金属層21bは、幅変化位置から延伸方向に向かって100μm以内の場所に配置されていることが望ましい。
【0090】
ここで、
図10の(a)及び(b)に示すように、第2金属層21bは、給電部E1及び延伸部E2の両方にわたって設けられていてもよい。この場合、第2金属層21bは、
図10の(a)に示すように、n側電極層21の幅が変化する位置x
0を基準に延伸方向に100μmを超える領域にまで設けられていてもよいし、
図10の(b)に示すように、n側電極層21の幅が変化する位置x
0を基準に延伸方向に100μm以内の領域のみに設けられていてもよい。
【0091】
また、
図10の(c)及び(d)に示すように、第2金属層21bは、延伸部E2のみに設けられていてもよい。この場合、第2金属層21bは、
図10の(c)に示すように、n側電極層21の幅が変化する位置x
0を基準に延伸方向に100μm以内の領域のみに設けられていてもよいし、
図10の(d)に示すように、n側電極層21の幅が変化する位置x
0を基準に延伸方向に100μmを超える領域にまで設けられていてもよい。
【0092】
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1に係る半導体発光素子1Aについて、
図11を用いて説明する。
図11において、(a)は、実施の形態1の変形例1に係る半導体発光素子1Aの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Aの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Aの水平断面図である。
【0093】
本変形例に係る半導体発光素子1Aは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1に対して、n側電極20Aの構成が異なる。
【0094】
具体的には、
図11の(b)及び(c)に示すように、本変形例に係る半導体発光素子1Aのn側電極20Aは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1のn側電極20と同様に、n側電極層21Aとn側配線層22Aとを有するが、本変形例に係る半導体発光素子1Aにおけるn側電極20Aのn側電極層21Aは、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cに加えて、第4金属層21d及び第5金属層21eを有する。
【0095】
本変形例においても、n側電極20Aは、給電部E1と延伸部E2とを有しており、第4金属層21dは、延伸部E2において、第3金属層21cの第2金属層21b側とは反対側に位置している。第4金属層21dは、第3金属層21cに直接接続している。本変形例において、第4金属層21dは、第2金属層21bと同一材料で形成されている。具体的には、第4金属層21dは、第2金属層21bと同様に、チタンによって構成されている。
【0096】
また、第5金属層21eは、延伸部E2において、第4金属層21dの第3金属層21c側とは反対側に位置している。第5金属層21eは、第4金属層21dに直接接続している。本変形例において、第5金属層21eは、第1金属層21aと同一材料で形成されている。具体的には、第5金属層21eは、第1金属層21a及び第3金属層21cと同様に、アルミニウムによって構成されている。
【0097】
第4金属層21d及び第5金属層21eは、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cと同様に、n型半導体層12に接触している。具体的には、第4金属層21d及び第5金属層21eは、n型半導体層12にオーミック接続している。
【0098】
また、本変形例におけるn側電極20Aでは、幅が変化する位置(幅変化位置)が複数設けられている。したがって、n側電極層21A及びn側配線層22Aの各々に幅変化位置が複数設けられている。
【0099】
具体的には、本変形例におけるn側電極20Aでは、上記実施の形態1におけるn側電極20と同様に、給電部E1と延伸部E2との境界部分が幅変化位置になっているとともに、延伸部E2の一部に幅変化位置が設けられている。つまり、本変形例におけるn側電極20Aは、2段階に幅が変化しており、n側電極20Aには2つの幅変化位置が存在している。
【0100】
本変形例において、n側電極20Aの延伸部E2では、延伸部E2の延伸方向先端に向かって幅が段差状に狭くなるように幅が変化している。そして、n側電極層21Aの第4金属層21dは、延伸部E2のこの幅変化位置の近傍に設けられている。
【0101】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Aによれば、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、n側電極20Aは、n側電極層21Aと、n側電極層21Aの上に配置されたn側配線層22Aとを有しており、n側電極層21Aは、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0102】
この構成により、n側電極20Aに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0103】
しかも、本変形例に係る半導体発光素子1Aにおけるn側電極20Aには、電流経路方向に対して幅変化位置が複数存在しており、n側電極層21Aにおける複数の幅変化位置のそれぞれに、第1金属層21aよりも導電率が低い金属層が設けられている。具体的には、n側電極層21Aの2つの幅変化位置の一方には第2金属層21bが設けられ、n側電極層21Aの2つの幅変化位置の他方には第4金属層21dが設けられている。この構成により、n側電極20Aに幅変化位置が複数設けられていて電流密度が高くなる箇所が複数存在する場合であっても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを効果的に抑制することができる。
【0104】
なお、本変形例におけるn側電極20Aの延伸部E2では、n側電極層21Aの電流密度が大きくなる部分として幅が変化する部分が設けられており、n側電極層21Aの延伸部E2における幅が変化する部分に第4金属層21dが設けられていたが、これに限らない。例えば、n側電極層21Aの電流密度が大きくなる部分は、n側電極20Aの延伸部E2に設けられた屈曲部であってもよい。屈曲部では、電気力線が密になり電流密度が高くなる。n側電極層21Aの延伸部E2に屈曲部が設けられている場合、屈曲部の近傍に第4金属層21dを設ければよい。
【0105】
また、本変形例における半導体発光素子1Aでは、n側電極20Aのn側電極層21Aの延伸部E2の一部に幅変化位置が存在していたが、これに限るものではなく、
図12に示すように、n側電極層21Aの延伸部E2に幅変化位置が存在していなくてもよい。
【0106】
(実施の形態1の変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2に係る半導体発光素子1Bについて、
図13を用いて説明する。
図13において、(a)は、実施の形態1の変形例2に係る半導体発光素子1Bの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Bの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Bの水平断面図である。
【0107】
本変形例に係る半導体発光素子1Bは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1に対して、n側電極20Bの形状が異なる。
【0108】
具体的には、
図13の(c)に示すように、本変形例におけるn側電極20Bの延伸部E2は、給電部E1側と反対側に、給電部E1側の幅よりも幅の小さい部分を有する。したがって、延伸部E2におけるn側電極層21B及びn側配線層22Bの各々は、給電部E1側と反対側に、給電部E1側の幅よりも幅の小さい部分を有する。
【0109】
本変形例において、n側電極20Bの延伸部E2は、延伸部E2の延伸方向先端に向かって幅が漸次狭くなる形状である。具体的には、n側電極20Bの延伸部E2は、延伸部E2の延伸方向先端に向かって先細りのテーパ状である。したがって、n側電極層21B及びn側配線層22Bの各々が、延伸部E2の延伸方向先端に向かって先細りのテーパ状になっている。より具体的には、n側電極層21Bにおいては、第2金属層21bの延伸部E2の部分と第3金属層21cとで略二等辺三角形のテーパ状になっている。
【0110】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Bでも、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、n側電極20Bは、n側電極層21Bと、n側電極層21Bの上に配置されたn側配線層22Bとを有しており、n側電極層21Bは、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0111】
これにより、n側電極20Bに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0112】
しかも、本変形例に係る半導体発光素子1Bでは、n側電極20Bの延伸部E2が、給電部E1側と反対側に給電部E1側の幅よりも幅の小さい部分を有する。
【0113】
この構成により、n側電極20Bの面積を小さくすることができるので、p側電極30の面積(つまり発光面積)を大きくすることができる。これにより、半導体発光素子1Bの光出力を向上させることができる。この場合、n側電極20Bの延伸部E2では先端に近づくにしたがって電流量が少なくなるため、本変形例のように、延伸部E2の給電部E1側とは反対側(先端側)の幅を小さくしても電流密度はあまり大きくならないのでエレクトロマイグレーションの発生を抑制することができる。つまり、電流密度がエレクトロマイグレーションの臨界値を超えない程度にn側電極20Bの延伸部E2の先端を細くしてn側電極20の面積を小さくするとともにp側電極30の面積を大きくするとよい。このように、本変形例に係る半導体発光素子1Bによれば、エレクトロマイグレーションの抑制効果を維持しつつ、半導体発光素子1Bの光出力を向上させることができる。
【0114】
なお、
図13に示される半導体発光素子1Bでは、延伸部E2の全体が先細りのテーパ状となっていたが、これに限るものではなく、例えば、
図14に示すように、延伸部E2の一部(
図14では第3金属層21c)が先細りのテーパ状となっていてもよい。
【0115】
(実施の形態1の変形例3)
次に、実施の形態1の変形例3に係る半導体発光素子1Cについて、
図15を用いて説明する。
図15において、(a)は、実施の形態1の変形例3に係る半導体発光素子1Cの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Cの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Cの水平断面図である。
【0116】
本変形例に係る半導体発光素子1Cは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1に対して、n側電極20Cの構成が異なる。
【0117】
具体的には、
図15の(a)及び(c)に示すように、本変形例に係る半導体発光素子1Cのn側電極20Cは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1のn側電極20と同様に、n側電極層21Cとn側配線層22Cとを有するが、本変形例に係る半導体発光素子1Cにおけるn側電極20Cのn側電極層21Cは、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cに加えて、第4金属層21d及び第5金属層21eを有する。
【0118】
また、本変形例でも、n側電極20Cは、給電部E1と延伸部E2とを有しているが、本変形例におけるn側電極20Cは、延伸部E2における給電部E1側と反対側に分岐部DPを有する。具体的には、延伸部E2では、分岐部DPで2つの枝電極に分岐されている。n側電極20Cに分岐部DPを設けることで、少ない電極面積で半導体発光素子1Cの全体に効率的に給電することができる。なお、本変形例において、分岐部DPで分岐した後の電極(枝電極)の幅は、分岐部DPで分岐する電極の幅よりも小さくなっている。
【0119】
第4金属層21dは、延伸部E2において、第3金属層21cの第2金属層21b側とは反対側に位置している。第4金属層21dは、分岐部DPに配置されている。また、第4金属層21dは、第3金属層21cに直接接続している。本変形例において、第4金属層21dは、第2金属層21bと同一材料で形成されている。具体的には、第4金属層21dは、第2金属層21bと同様に、チタンによって構成されている。
【0120】
また、第5金属層21eは、延伸部E2において、第4金属層21dの第3金属層21c側とは反対側に位置している。第5金属層21eは、分岐部DPで分岐した後の枝電極に配置されている。第5金属層21eは、第4金属層21dに直接接続している。本変形例において、第5金属層21eは、第1金属層21aと同一材料で形成されている。具体的には、第5金属層21eは、第1金属層21a及び第3金属層21cと同様に、アルミニウムによって構成されている。
【0121】
第4金属層21d及び第5金属層21eは、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cと同様に、n型半導体層12に接触している。具体的には、第4金属層21d及び第5金属層21eは、n型半導体層12にオーミック接続している。
【0122】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Cによれば、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、n側電極20Cは、n側電極層21Cと、n側電極層21Cの上に配置されたn側配線層22Cとを有しており、n側電極層21Cは、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0123】
この構成により、n側電極20Cに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0124】
しかも、本変形例に係る半導体発光素子1Cにおけるn側電極20Cは、延伸部E2における給電部E1側と反対側に分岐部DPを有する。n側電極20Cの分岐部DPが設けられた箇所では、n側電極層21Cの電流密度が大きくなる。例えば、分岐部DPで分岐した後の複数の電極(枝電極)の幅の和が分岐前の電極の幅よりも小さくなると、分岐部DPでの電流密度が大きくなる。
【0125】
そこで、本変形例に係る半導体発光素子1Cにおけるn側電極20Cでは、n側電極層21Cの分岐部DPに第4金属層21dが配置されている。
【0126】
この構成により、n側電極20Cに分岐部DPが存在していても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを効果的に抑制することができる。
【0127】
なお、本変形例におけるn側電極20Cの延伸部E2には、Y字状に分岐するように分岐部DPが設けられていたが、これに限らない。例えば、n側電極20Cの延伸部E2には、T字状に分岐するように分岐部DPが設けられていてもよい。この場合、分岐前後で電極幅の和が等しくても分岐部は屈曲部となるので、分岐部で電気力線が密になって電流密度が大きくなる。したがって、T字状に分岐するようにn側電極20Cの延伸部E2に分岐部DPが設けられていても、n側電極層21Cの分岐部DPに第4金属層21dを設けることで、エレクトロマイグレーションを効果的に抑制することができる。
【0128】
なお、分岐部DPに設けられる第4金属層21dは、分岐部DPの中心を基準に分岐方向に±100μm以内の領域に少なくとも一部が存在するとよい。
【0129】
また、本変形例における半導体発光素子1Cでは、n側電極層21Cの分岐部DPに第4金属層21dが設けられていたが、これに限るものではない。例えば、
図16に示すように、n側電極層21Cは、第4金属層21d及び第5金属層21eを有しておらず、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cのみを有している場合は、n側電極層21Cの分岐部DPには第2金属層21bが設けられてもよい。
【0130】
また、本変形例における半導体発光素子1Cのn側電極20Cでは、給電部E1から1つの延伸部E2が延伸していたが、これに限らない。例えば、
図17に示すように、給電部E1から複数(
図17では4本)の延伸部E2が延伸していてもよい。この場合、n側電極層21Cにおける複数の延伸部E2の各々の分岐部DPに第4金属層21dを設けるとよい。なお、複数の延伸部E2の全ての分岐部DPに第4金属層21dを設けなくてもよい。この場合、第2金属層21bは、分岐部DPの中心を基準に分岐方向に±100μm以内の領域に少なくとも一部が存在するとよい。
【0131】
(実施の形態1の変形例4)
次に、実施の形態1の変形例4に係る半導体発光素子1Dについて、
図18を用いて説明する。
図18において、(a)は、実施の形態1の変形例4に係る半導体発光素子1Dの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Dの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Dの水平断面図である。
【0132】
本変形例に係る半導体発光素子1Dは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1に対して、n側電極20Dの構成が異なる。
【0133】
具体的には、
図18の(b)に示すように、本変形例に係る半導体発光素子1Dのn側電極20Dは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1のn側電極20において、さらに、n側拡散バリア層23を有する。つまり、本変形例におけるn側電極20Dは、n側電極層21とn側配線層22とに加えて、n側拡散バリア層23を有する。
【0134】
n側拡散バリア層23は、n側電極層21とn側配線層22との間に配置されている。本変形例において、n側拡散バリア層23は、n側電極層21及びn側配線層22の各々に接しているが、これに限らない。n側拡散バリア層23は、n側電極層21を構成する金属材料とn側配線層22を構成する金属材料とが相互拡散することを抑制する。例えば、n側拡散バリア層23は、n側電極層21に含まれるアルミニウムとn側配線層22に含まれる金との相互拡散を抑制する。
【0135】
n側拡散バリア層23は、例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)及びタングステン(W)の中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料、あるいは、これらの少なくとも1種類の金属材料を含む合金によって構成することができる。
【0136】
一例として、n側電極層21の第1金属層21a及び第3金属層21cをAl層(膜厚0.3μm)とし、n側電極層21の第2金属層21bをTi層(膜厚0.3μm)とし、n側配線層22をAu層(膜厚1.0μm)とした場合、n側拡散バリア層23は、モリブデンによって構成されたMo層(膜厚0.375μm)である。
【0137】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Dによれば、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、n側電極20Dは、n側電極層21と、n側電極層21の上に配置されたn側配線層22とを有しており、n側電極層21は、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0138】
この構成により、n側電極20Dに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0139】
また、本変形例に係る半導体発光素子1Dにおけるn側電極20Dは、n側電極層21とn側配線層22との間にn側拡散バリア層23を有する。
【0140】
この構成により、n側拡散バリア層23によって、n側電極層21を構成する金属材料とn側配線層22を構成する金属材料とが相互拡散することを抑制できる。したがって、長期信頼性に優れた半導体発光素子1Dを実現することができる。
【0141】
なお、本変形例における半導体発光素子1Dでは、n側拡散バリア層23とn側電極層21とを異なる材料によって構成したが、これに限らない。例えば、n側拡散バリア層23は、n側電極層21の第2金属層21bと同一材料で構成されていてもよい。この場合、n側電極層21の第2金属層21bとn側拡散バリア層23とを一体にして、
図19に示される半導体発光素子1Eのn側電極20Eのように、n側電極層21Eの第2金属層21bをn側拡散バリア層として機能させてもよい。
図19に示される半導体発光素子1Eでは、n側電極層21Eの第2金属層21bをTi層にしている。
【0142】
図19に示される半導体発光素子1Eのn側電極20Eは、n側電極層21Eの第2金属層21bとなるTi層とn側電極層21Eの上のn側拡散バリア層となるTi層とを別々に成膜することで形成することができる。例えば、第1金属層21a及び第3金属層21c(例えばAl層)と第2金属層21b(例えばTi層)とを成膜してn側電極層21Eを形成し、その後、n側電極層21Eの上に、EB蒸着法又はスパッタ法等で第2金属層21bと同一材料のn側拡散バリア層(例えばTi層)を成膜してフォトリソグラフィ法によって所定形状に形成する。
【0143】
また、n側電極層21Eの第2金属層21bとなるTi層とn側電極層21Eの上のn側拡散バリア層となるTi層とを別々に成膜するのではなく同時に成膜してもよい。例えば、第1金属層21a及び第3金属層21c(例えばAl層)を島状に成膜して、その後、島状の第1金属層21a及び第3金属層21cを覆うようにしてEB蒸着法又はスパッタ法等でn側拡散バリア層となる第2金属層21b(例えばTi層)を成膜してフォトリソグラフィ法によって所定形状に形成する。これにより、
図20に示されるような半導体発光素子1Fのn側電極20Fを形成することができる。つまり、n側拡散バリア層としても機能するn側電極層21Fの第2金属層21b及びn側配線層22の各々は、離間した第1金属層21a及び第3金属層21cの間の部分で窪んだ形状となる。このように、n側電極層21Fの第2金属層21bと拡散バリア層とを一体にして同時に形成することで、製造工程を削減することができる。
【0144】
(実施の形態1の変形例5)
次に、実施の形態1の変形例5に係る半導体発光素子1Gについて、
図21を用いて説明する。
図21において、(a)は、実施の形態1の変形例5に係る半導体発光素子1Gの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Gの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Gの水平断面図であり、(d)は、(a)のC-C線における同半導体発光素子1Gの垂直断面図であり、(e)は、(d)のD-D線における同半導体発光素子1Gの水平断面図である。
【0145】
本変形例に係る半導体発光素子1Gは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1に対して、p側電極30Gの構成が異なる。
【0146】
具体的には、
図21の(a)、(d)及び(e)に示すように、本変形例に係る半導体発光素子1Gのp側電極30Gは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1のp側電極30がp型GaN層上に配置されるのに対し、酸化物半導体層34上に配置される構成になっている。
【0147】
酸化物半導体層34は、p型半導体層14の上に配置される。本変形例において、酸化物半導体層34は、p型半導体層14に接触している。
【0148】
酸化物半導体層34は、化合物半導体によって構成されている。酸化物半導体層34としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)、酸化インジウム亜鉛(IZO;Indium Zinc Oxide)、酸化亜鉛(ZnO;Zinc Oxide)、又は、InGaZnO
x(IGZO)等の透明金属酸化物からなる透明導電膜を用いることができる。これにより、活性層13で生成された光を酸化物半導体層34を透過させて外部に取り出すことができる。つまり、活性層13で生成された光は、基板11側ではなくp側電極30G側から取り出される。この場合、半導体発光素子1Gの光取り出し方向は、
図21の紙面の上方向である。なお、本変形例において、酸化物半導体層34は、ITOによって構成されたITO膜である。
【0149】
また、酸化物半導体層34は、p型半導体層14との界面に薄いオーミックコンタクト層を含んでもよい。例えば、Ni、Pd、Pt、Cr、Mn、Ta、Cu及びFeの中から選ばれる1種類の単体、又は、これらのいずれか1種類を含む合金等を、p型半導体層14に接する側の酸化物半導体層34に含めることで、オーミックコンタクトのコンタクト抵抗値を低減することができる。
【0150】
本変形例において、p側電極30Gは、n側電極20と同様の構成であり、p型半導体層14側に配置されたp側電極層31Gと、p側電極層31Gの上に配置されたp側配線層32とを有する。具体的には、p側電極層31Gは、酸化物半導体層34の上に積層されており、p側配線層32は、p側電極層31Gの上に積層されている。なお、p側電極層31Gとp側配線層32とは、上面視において、同一形状である。
【0151】
p側電極30Gは、n側電極20と同様に、給電部E1と、給電部E1から延伸する延伸部E2とを有する。給電部E1は、p側電極30Gにおいて給電端子100が接続される部分である。p側電極30Gにおいて、延伸部E2の延伸方向と直交する方向において、給電部E1の幅は、延伸部E2の幅より大きい。つまり、p側電極30Gにおいて、延伸部E2の幅は、給電部E1の幅よりも小さい。したがって、p側電極30Gは、幅が変化する部分を有する。つまり、p側電極層31G及びp側配線層32の各々は、幅が変化する部分を有する。
【0152】
p側電極層31Gは、給電部E1に配置された第1金属層31aと、第1金属層31aよりも延伸部E2側に配置された第2金属層31bとを有する。本変形例において、第2金属層31bは、第1金属層31aと直接接続している。第1金属層31a及び第2金属層31bは、金属材料によって構成されている。
【0153】
p側電極層31Gは、さらに、延伸部E2において第3金属層31cを有する。第3金属層31cは、金属材料によって構成されている。第3金属層31cは、第2金属層31bの第1金属層31a側とは反対側に位置している。したがって、第2金属層31bは、延伸部E2の延伸方向において、第1金属層31aと第3金属層31cとの間に位置している。つまり、p側電極層31Gは、延伸部E2の延伸方向において第1金属層31aと第3金属層31cとに分断されており、その分断された部分には、第2金属層31bが設けられている。本変形例において、第3金属層31cは、第2金属層31bに直接接続している。
【0154】
第2金属層31bは、少なくとも延伸部E2の延伸方向に対してp側電極層31の幅が変化する位置近傍に配置されている。本変形例において、第2金属層31bは、p側電極層31Gの幅が変化する位置を跨いでいる。つまり、第2金属層31bは、給電部E1と延伸部E2との両方に形成されている。
【0155】
p側電極30Gにおいて、第1金属層31a、第2金属層31b及び第3金属層31cの各々は、酸化物半導体層34に接触している。したがって、第1金属層31a、第2金属層31b及び第3金属層31cは、酸化物半導体層34に対するオーミックコンタクト層として機能する材料によって構成されているとよい。
【0156】
また、第1金属層31aの導電率は、第2金属層31bの導電率よりも高い。また、第3金属層31cの導電率は、第2金属層31bの導電率よりも高い。本変形例において、第1金属層31aと第3金属層31cとは、同一材料で形成されている。
【0157】
第1金属層31a及び第3金属層31cは、例えば、Al、Agの中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料、あるいは、これらの少なくとも1種類の金属材料を含む合金によって構成することができる。本変形例において、第1金属層31a及び第3金属層31cは、アルミニウムによって構成されている。
【0158】
第1金属層31a及び第3金属層31cよりも導電率が低い第2金属層31bは、例えば、Ti、W、Crの中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料、あるいは、これらの少なくとも1種類の金属材料を含む合金によって構成することができる。本変形例において、第2金属層31bは、チタンによって構成されている。
【0159】
また、p側電極層31Gの上に積層されたp側配線層32は、p側電極層31Gの第1金属層31a、第2金属層31b及び第3金属層31cの上に連続して配置されている。つまり、p側配線層32は、給電部E1及び延伸部E2にわたって連続して形成されている。p側配線層32の給電部E1に対応する部分には、給電端子100が接続される。
【0160】
p側配線層32は、金属材料によって構成されている。p側配線層32の配線抵抗値は、p側電極層31Gの配線抵抗値よりも小さいとよい。つまり、p側配線層32は、第1金属層31a、第2金属層31b及び第3金属層31cで構成されるp側電極層31Gの平均配線抵抗値よりも低い配線抵抗値の金属材料によって構成されているとよい。特に、延伸部E2において、p側配線層32の配線抵抗値は、延伸部E2におけるp側電極層31Gの配線抵抗値(平均配線抵抗値)よりも小さくなっているとよい。p側配線層32は、例えば、Cu、Ag、Auの中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料、あるいは、これらの少なくとも1種類の金属材料を含む合金によって構成することができる。
【0161】
このように構成されるp側電極30Gは、n側電極20と同様の構成であるので、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1のn側電極20と同様の方法で形成することができる。一例として、p側電極30Gは、酸化物半導体層34であるITO層(膜厚0.2μm)上に形成されており、p側電極層31Gの第1金属層31a及び第3金属層31cがAl層(膜厚0.3μm)で、p側電極層31Gの第2金属層31bがTi層(膜厚0.3μm)で、p側配線層32がAu層(膜厚1.0μm)である。
【0162】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Gによれば、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、n側電極20は、n側電極層21と、n側電極層21の上に配置されたn側配線層22とを有しており、n側電極層21は、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0163】
この構成により、n側電極20に幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0164】
さらに、本変形例に係る半導体発光素子1Gによれば、p側電極30Gは、p側電極層31Gと、p側電極層31Gの上に配置されたp側配線層32とを有しており、p側電極層31Gは、給電部E1に配置された第1金属層31aと、第1金属層31aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層31aよりも導電率が低い第2金属層31bとを有する。
【0165】
この構成により、p側電極30Gに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。
【0166】
なお、本変形例に係る半導体発光素子1Gにおいて、p側電極30Gは、p側拡散バリア層を有していなかったが、p側電極30Gは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、p側拡散バリア層33を有していてもよい。この場合、p側拡散バリア層は、p側電極層31Gとp側配線層32との間に配置される。
【0167】
また、本変形例に係る半導体発光素子1Gにおいて、p側電極30Gに対して、上記実施の形態1の変形例1~5におけるn側電極20の構成を適用してもよい。
【0168】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る半導体発光素子1Hについて、
図22を用いて説明する。
図22において、(a)は、実施の形態2に係る半導体発光素子1Hの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Hの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Hの水平断面図である。
【0169】
本実施の形態に係る半導体発光素子1Hは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1に対して、n側電極20Hの構成が異なる。
【0170】
具体的には、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1では、n側電極20のn側電極層21は、第1金属層21a、第2金属層21b及び第3金属層21cを有していたが、本実施の形態に係る半導体発光素子1Hでは、
図22の(b)及び(c)に示すように、n側電極20Hのn側電極層21Hは、第3金属層21cを有しておらず、第1金属層21a及び第2金属層21bのみによって構成されている。本実施の形態では、n側電極層21Hの第2金属層21bは、延伸部E2の全体にわたって形成されている。
【0171】
以上、本実施の形態に係る半導体発光素子1Hによれば、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、n側電極20Hは、n側電極層21Hと、n側電極層21Hの上に配置されたn側配線層22とを有しており、n側電極層21Hは、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0172】
この構成により、n側電極20Hに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0173】
(実施の形態2の変形例1)
次に、実施の形態2の変形例1に係る半導体発光素子1Iについて、
図23を用いて説明する。
図23において、(a)は、実施の形態2に係る半導体発光素子1Iの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Iの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Iの水平断面図である。
【0174】
本変形例に係る半導体発光素子1Iは、上記実施の形態2に係る半導体発光素子1Hに対して、n側電極20Iの構成が異なる。
【0175】
具体的には、
図23の(c)に示すように、上記実施の形態1の変形例2に係る半導体発光素子1Bと同様に、本変形例におけるn側電極20Iの延伸部E2は、給電部E1側と反対側に、給電部E1側の幅よりも幅の小さい部分を有する。したがって、延伸部E2におけるn側電極層21I及びn側配線層22Iの各々は、給電部E1側と反対側に、給電部E1側の幅よりも幅の小さい部分を有する。
【0176】
本変形例において、n側電極20Iの延伸部E2は、延伸部E2の延伸方向先端に向かって幅が漸次狭くなる形状である。具体的には、n側電極20Iの延伸部E2は、延伸部E2の延伸方向先端に向かって先細りのテーパ状である。したがって、n側電極層21I及びn側配線層22Iの各々が、延伸部E2の延伸方向先端に向かって先細りのテーパ状になっている。より具体的には、n側電極層21Iにおいては、第2金属層21bの延伸部E2の部分が略二等辺三角形のテーパ状になっている。
【0177】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Iでも、上記実施の形態2に係る半導体発光素子1Hと同様に、n側電極20Iは、n側電極層21Iと、n側電極層21Iの上に配置されたn側配線層22Iとを有しており、n側電極層21Iは、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0178】
これにより、n側電極20Iに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0179】
しかも、本変形例に係る半導体発光素子1Iでは、上記実施の形態1の変形例2に係る半導体発光素子1Bと同様に、n側電極20Iの延伸部E2が、給電部E1側と反対側に給電部E1側の幅よりも幅の小さい部分を有する。
【0180】
この構成により、上記実施の形態1の変形例2に係る半導体発光素子1Bと同様の効果を奏する。つまり、n側電極20Iの面積を小さくしてp側電極30の面積(つまり発光面積)を大きくすることができるので、エレクトロマイグレーションの抑制効果を維持しつつ、半導体発光素子1Iの光出力を向上させることができる。また、この場合、n側電極20Bの延伸部E2では先端に近づくにしたがって電流量が少なくなるため、本変形例のように、延伸部E2の給電部E1側とは反対側(先端側)の幅を小さくしても電流密度はあまり大きくならないのでエレクトロマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0181】
(実施の形態2の変形例2)
次に、実施の形態2の変形例2に係る半導体発光素子1Jについて、
図24を用いて説明する。
図24において、(a)は、実施の形態2の変形例2に係る半導体発光素子1Jの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Jの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Jの水平断面図である。
【0182】
本変形例に係る半導体発光素子1Jは、上記実施の形態2に係る半導体発光素子1Hに対して、n側電極20Jの構成が異なる。
【0183】
具体的には、
図24の(b)に示すように、本変形例に係る半導体発光素子1Jのn側電極20Jは、上記実施の形態2に係る半導体発光素子1Hのn側電極20Hにおいて、さらに、n側拡散バリア層23を有する。つまり、本変形例におけるn側電極20Jは、上記実施の形態1の変形例4に係る半導体発光素子1Dと同様に、n側電極層21Hとn側配線層22とに加えて、n側電極層21Hとn側配線層22との間に配置されたn側拡散バリア層23を有する。
【0184】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Jによれば、上記実施の形態2に係る半導体発光素子1Hと同様に、n側電極20Jは、n側電極層21Hと、n側電極層21Hの上に配置されたn側配線層22とを有しており、n側電極層21Hは、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0185】
この構成により、n側電極20Jに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0186】
また、本変形例に係る半導体発光素子1Jにおけるn側電極20Jは、n側電極層21Hとn側配線層22との間にn側拡散バリア層23を有する。
【0187】
この構成により、上記実施の形態1の変形例4に係る半導体発光素子1Dと同様の効果を奏する。つまり、n側拡散バリア層23によって、n側電極層21Hを構成する金属材料とn側配線層22を構成する金属材料とが相互拡散することを抑制できる。したがって、長期信頼性に優れた半導体発光素子1Jを実現することができる。
【0188】
なお、本変形例における半導体発光素子1Jでは、n側拡散バリア層23とn側電極層21Hとを異なる材料によって構成したが、これに限らない。例えば、n側拡散バリア層23は、n側電極層21Hの第2金属層21bと同一材料で構成されていてもよい。この場合、
図19に示される半導体発光素子1Eと同様に、n側電極層21Hの第2金属層21bとn側拡散バリア層23とを一体にして、
図25に示されるような半導体発光素子1Kとしてもよい。つまり、
図25に示される半導体発光素子1Kのn側電極20Kのように、n側電極層21Kの第2金属層21bをn側拡散バリア層として機能させてもよい。
【0189】
図25に示される半導体発光素子1Kのn側電極20Kは、n側電極層21Kの第2金属層21bとなるTi層とn側電極層21Kの上のn側拡散バリア層となるTi層とを別々に成膜することで形成することができるが、同時に成膜してもよい。例えば、第1金属層21a(例えばAl層)を形成し、その後、第1金属層21aを覆うようにしてEB蒸着法又はスパッタ法等でn側拡散バリア層となる第2金属層21b(例えばTi層)を成膜してフォトリソグラフィ法によって所定形状に形成する。これにより、
図26に示されるような半導体発光素子1Lのn側電極20Lを形成することができる。つまり、n側拡散バリア層としても機能するn側電極層21Lの第2金属層21b及びn側配線層22の各々は、延伸部E2で窪んだ形状となる。
【0190】
(実施の形態2の変形例3)
次に、実施の形態2の変形例3に係る半導体発光素子1Mについて、
図27を用いて説明する。
図27において、(a)は、実施の形態2の変形例3に係る半導体発光素子1Mの平面図であり、(b)は、(a)のA-A線における同半導体発光素子1Mの垂直断面図であり、(c)は、(b)のB-B線における同半導体発光素子1Mの水平断面図である。
【0191】
本変形例に係る半導体発光素子1Mは、
図21に示される上記実施の形態1の変形例5に係る半導体発光素子1Gに対して、p側電極30Mの構成が異なる。
【0192】
具体的には、上記実施の形態1の変形例5に係る半導体発光素子1Gでは、p側電極30Gのp側電極層31Gは、第1金属層31a、第2金属層31b及び第3金属層31cを有していたが、本変形例に係る半導体発光素子1Mでは、
図27の(b)及び(c)に示すように、p側電極30Mのp側電極層31Mは、第3金属層31cを有しておらず、第1金属層31a及び第2金属層31bのみによって構成されている。本変形例では、p側電極層31Mの第2金属層31bは、延伸部E2の全体にわたって形成されている。
【0193】
以上、本変形例に係る半導体発光素子1Mによれば、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、n側電極20は、n側電極層21と、n側電極層21の上に配置されたn側配線層22とを有しており、n側電極層21は、給電部E1に配置された第1金属層21aと、第1金属層21aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層21aよりも導電率が低い第2金属層21bとを有する。
【0194】
この構成により、n側電極20に幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0195】
さらに、本変形例に係る半導体発光素子1Mによれば、p側電極30Mは、p側電極層31Mと、p側電極層31Mの上に配置されたp側配線層32とを有しており、p側電極層31Mは、給電部E1に配置された第1金属層31aと、第1金属層31aよりも延伸部E2側に配置され且つ第1金属層31aよりも導電率が低い第2金属層31bとを有する。
【0196】
この構成により、p側電極30Mに幅が変化する部分が設けられていても、駆動電圧の増加を抑制しつつ、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。
【0197】
なお、本変形例に係る半導体発光素子1Mにおいて、p側電極30Mは、p側拡散バリア層を有していなかったが、p側電極30Mは、上記実施の形態1に係る半導体発光素子1と同様に、p側拡散バリア層33を有していてもよい。この場合、p側拡散バリア層は、p側電極層31Mとp側配線層32との間に配置される。
【0198】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る半導体発光素子について、実施の形態1、2及びその変形例に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態1、2及びその変形例に限定されるものではない。
【0199】
例えば、上記の実施の形態1、2及びその変形例に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施の形態1、2及びその変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0200】
一例として、上記実施の形態1の変形例1に係る半導体発光素子1Aのn側電極20Aの構成は、実施の形態2に係る半導体発光素子1Hのn側電極20Hにも適用することができる。また、上記実施の形態1の変形例3に係る半導体発光素子1Cのn側電極20Cの構成は、実施の形態2に係る半導体発光素子1Hのn側電極20Hにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本開示に係る半導体発光素子は、照明用途又はディスプレイ用途等の様々な機器の光源として有用である。
【符号の説明】
【0202】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K、1L、1M、1X、1Y 半導体発光素子
10 半導体積層構造
11 基板
12 n型半導体層
13 活性層
14 p型半導体層
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20H、20I、20J、20K、20L、20X、20Y n側電極
21、21A、21B、21C、21E、21F、21H、21I、21K、21L n側電極層
21a、31a 第1金属層
21b、31b 第2金属層
21c、31c 第3金属層
21d 第4金属層
21e 第5金属層
22、22A、22B、22C、22I n側配線層
23 n側拡散バリア層
30、30G、30M p側電極
31、31G、31M p側電極層
32 p側配線層
33 p側拡散バリア層
34 酸化物半導体層
40 絶縁膜
100 給電端子
E1 給電部
E2 延伸部