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特許7514832黒色のベータ-スポジュメンケイ酸リチウムガラスセラミック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】黒色のベータ-スポジュメンケイ酸リチウムガラスセラミック
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/12 20060101AFI20240704BHJP
   C03C 10/04 20060101ALI20240704BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20240704BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C03C10/12
C03C10/04
C03C21/00 101
C03B32/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021530155
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2019062521
(87)【国際公開番号】W WO2020112468
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】62/773,590
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クリック,キャロル アン
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,チアン
(72)【発明者】
【氏名】ユベール,マテュー ジェラール ジャック
(72)【発明者】
【氏名】スミス,シャーリーン マリー
(72)【発明者】
【氏名】ホイッティア,アラナ マリー
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529201(JP,A)
【文献】特表2014-515722(JP,A)
【文献】特開平09-035234(JP,A)
【文献】特表2015-529184(JP,A)
【文献】特表2010-519986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00-35/26
40/00-40/04
C03C 1/00-23/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスセラミックであって、
二ケイ酸リチウムを含む第1の主結晶相と、
β-スポジュメンを含む第2の主結晶相と、
マグネタイトおよびβ-石英を含む副結晶相と
を含み、
前記ガラスセラミックは、以下の色座標:
:15.0~35.0、
:-3.0~3.0および
:-5.0~5.0
により特徴付けられる、
ガラスセラミック。
【請求項2】
前記副結晶相が、更に、クリストバライトおよびリン酸リチウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のガラスセラミック。
【請求項3】
前記ガラスセラミックが、
0.9MPa・m0.5以上2.0MPa・m0.5以下の破壊靭性および/または
50質量%超の結晶化度
を有する、請求項1または2記載のガラスセラミック。
【請求項4】
前記ガラスセラミックの中心が、
55.0質量%~75.0質量%のSiO
2.0質量%~20.0質量%のAl
5.0質量%~20.0質量%のLiO、
0質量%超~5.0質量%のNaO、
0.5質量%~5.0質量%のTiO
1.0質量%~6.0質量%のP
0.5質量%~10.0質量%のZrO
0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnOおよび
0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe
を含む、かつ/または
前記ガラスセラミックの中心が、
55.0質量%~75.0質量%のSiO
2.0質量%~20.0質量%のAl
0質量%~5.0質量%のB
5.0質量%~20.0質量%のLiO、
0質量%~5.0質量%のNaO、
0質量%~4.0質量%のKO、
0質量%~8.0質量%のMgO、
0質量%~10.0質量%のZnO、
0.5質量%~5.0質量%のTiO
1.0質量%~6.0質量%のP
0.5質量%~10.0質量%のZrO
0質量%~0.4質量%のCeO
0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnO
0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe
0.1質量%~5.0質量%のNiO、
0.1質量%~5.0質量%のCo
0質量%~4.0質量%のMnO+MnO+Mn
0質量%~2.0質量%のCr
0質量%~2.0質量%のCuOおよび
0質量%~2.0質量%のV
を含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載のガラスセラミック。
【請求項5】
前記ガラスセラミックがイオン交換されていて、前記ガラスセラミックの表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層を備える、請求項1から4までのいずれか1項記載のガラスセラミック。
【請求項6】
前記圧縮深さが、少なくとも0.05tであり、tが、ガラスセラミックの厚さである、かつ/または
前記圧縮深さが、少なくとも40μmである、
請求項5記載のガラスセラミック。
【請求項7】
消費者向け電子製品であって、
前面、背面および側面を含むハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジング内に設けられた電気部品であって、少なくともコントローラ、メモリおよび前記ハウジングの前記前面に設けられたかまたは隣接して設けられたディスプレイを備える電気部品と、
前記ディスプレイ上に配設されたカバーガラスと
を備え、
前記ハウジングの少なくとも一部が、請求項1から6までのいずれか1項記載のガラスセラミックを含む、
消費者向け電子製品。
【請求項8】
前駆体ガラスベース物品をセラミック化して、ガラスセラミックを形成するステップを含む方法であって、
前記ガラスセラミックが、
二ケイ酸リチウムを含む第1の主結晶相と、
β-スポジュメンを含む第2の主結晶相と、
マグネタイトおよびβ-石英を含む副結晶相と
を含み、
前記ガラスセラミックが、以下の色座標:
:15.0~35.0、
:-3.0~3.0および
:-5.0~5.0
により特徴付けられる、
方法。
【請求項9】
前記セラミック化を、500℃以上900℃以下の温度で生じさせる、かつ/または
前記セラミック化を、4時間以上16時間以下の期間にわたって生じさせる、かつ/または
前記方法が、前記ガラスセラミックをイオン交換するステップをさらに含む、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記副結晶相が、更に、クリストバライトおよびリン酸リチウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,590号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、ガラスセラミック組成物に関する。より詳細には、本明細書は、電子デバイス用のハウジング内に形成することができる黒色のβ-スポジュメンケイ酸リチウムガラスセラミックに関する。
【背景技術】
【0003】
ポータブル電子デバイス、例えば、スマートフォン、タブレットおよびウェアラブルデバイス(例えば、時計およびフィットネストラッカ)は、ますます小型になり、複雑になり続けている。そのように、このようなポータブル電子デバイスの少なくとも1つの外面に従来から使用されている材料もより複雑になり続けている。例えば、ポータブル電子デバイスが、消費者の需要を満たすために小型になり、薄くなるにつれて、これらのポータブル電子デバイスに使用されるハウジングも小型になり、薄くなり、その結果、これらのコンポーネントを形成するために使用される材料について、より高い性能が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、より高い性能、例えば、耐損傷性およびポータブル電子デバイスに使用するのに見栄えのよい外観を示す材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様(1)によると、ガラスセラミックが提供される。ガラスセラミックは、二ケイ酸リチウムを含む第1の主結晶相と、β-スポジュメンを含む第2の主結晶相と、副結晶相として、マグネタイト、β-石英、クリストバライトおよびリン酸リチウムのうちの少なくとも1つとを含み、ガラスセラミックは、以下の色座標:L:15.0~35.0、a:-3.0~3.0およびb:-5.0~5.0により特徴付けられる。
【0006】
態様(2)によると、副結晶相が、マグネタイトおよびβ-石英を含む、態様(1)記載のガラスセラミックが提供される。
【0007】
態様(3)によると、ガラスセラミックが、0.9MPa・m0.5以上2.0MPa・m0.5以下の破壊靭性を有する、態様(1)または(2)記載のガラスセラミックが提供される。
【0008】
態様(4)によると、ガラスセラミックが、1.0MPa・m0.5以上1.5MPa・m0.5以下の破壊靭性を有する、態様(1)から(3)までのいずれか1つ記載のガラスセラミックが提供される。
【0009】
態様(5)によると、ガラスセラミックの中心が、55.0質量%~75.0質量%のSiO、2.0質量%~20.0質量%のAl、5.0質量%~20.0質量%のLiO、0質量%超~5.0質量%のNaO、0.5質量%~5.0質量%のTiO、1.0質量%~6.0質量%のP、0.5質量%~10.0質量%のZrO、0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnOおよび0.1質量%~5.0質量%のFeO+Feを含む、態様(1)から(4)までのいずれか1つ記載のガラスセラミックが提供される。
【0010】
態様(6)によると、ガラスセラミックの中心が、55.0質量%~75.0質量%のSiO、2.0質量%~20.0質量%のAl、0質量%~5.0質量%のB、5.0質量%~20.0質量%のLiO、0質量%~5.0質量%のNaO、0質量%~4.0質量%のKO、0質量%~8.0質量%のMgO、0質量%~10.0質量%のZnO、0.5質量%~5.0質量%のTiO、1.0質量%~6.0質量%のP、0.5質量%~10.0質量%のZrO、0質量%~0.4質量%のCeO、0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnO、0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe、0.1質量%~5.0質量%のNiO、0.1質量%~5.0質量%のCo、0質量%~4.0質量%のMnO+MnO+Mn、0質量%~2.0質量%のCr、0質量%~2.0質量%のCuOおよび0質量%~2.0質量%のVを含む、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載のガラスセラミックが提供される。
【0011】
態様(7)によると、ガラスセラミックが、50質量%超の結晶化度を有する、態様(1)から(6)までのいずれか1つ記載のガラスセラミックが提供される。
【0012】
態様(8)によると、ガラスセラミックがイオン交換されていて、ガラスセラミックの表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層を備える、態様(1)から(7)までのいずれか1つ記載のガラスセラミックが提供される。
【0013】
態様(9)によると、圧縮深さが、少なくとも0.05tであり、tが、ガラスセラミックの厚さである、態様(8)記載のガラスセラミックが提供される。
【0014】
態様(10)によると、圧縮深さが、少なくとも40μmである、態様(8)または(9)記載のガラスセラミックが提供される。
【0015】
態様(11)によると、消費者向け電子製品が提供される。消費者向け電子製品は、前面、背面および側面を含むハウジングと、少なくとも部分的にハウジング内に設けられた電気部品であって、少なくともコントローラ、メモリおよびハウジングの前面に設けられたかまたは隣接して設けられたディスプレイを備える電気部品と、ディスプレイ上に配設されたカバーガラスとを備え、ハウジングの少なくとも一部が、態様(1)から(7)までのいずれか1つ記載のガラスセラミックを含む。
【0016】
態様(12)によると、消費者向け電子製品が提供される。消費者向け電子製品は、前面、背面および側面を含むハウジングと、少なくとも部分的にハウジング内に設けられた電気部品であって、少なくともコントローラ、メモリおよびハウジングの前面に設けられたかまたは隣接して設けられたディスプレイを備える電気部品と、ディスプレイ上に配設されたカバーガラスとを備え、ハウジングの少なくとも一部が、態様(8)から(10)までのいずれか1つ記載のガラスセラミックを含む。
【0017】
態様(13)によると、方法が提供される。方法は、前駆体ガラスベース物品をセラミック化して、ガラスセラミックを形成するステップを含み、ガラスセラミックが、二ケイ酸リチウムを含む第1の主結晶相と、β-スポジュメンを含む第2の主結晶相と、副結晶相として、マグネタイト、β-石英、クリストバライトおよびリン酸リチウムのうちの少なくとも1つとを含み、ガラスセラミックが、以下の色座標:L:15.0~35.0、a:-3.0~3.0およびb:-5.0~5.0により特徴付けられる。
【0018】
態様(14)によると、セラミック化を、500℃以上900℃以下の温度で生じさせる、態様(13)記載の方法が提供される。
【0019】
態様(15)によると、セラミック化を、4時間以上16時間以下の期間にわたって生じさせる、態様(13)または(14)記載の方法が提供される。
【0020】
態様(16)によると、ガラスセラミックをイオン交換するステップをさらに含む、態様(13)から(15)までのいずれか1つ記載の方法が提供される。
【0021】
態様(17)によると、前駆体ガラスベース物品が、55.0質量%~75.0質量%のSiO、2.0質量%~20.0質量%のAl、5.0質量%~20.0質量%のLiO、0質量%超~5.0質量%のNaO、0.5質量%~5.0質量%のTiO、1.0質量%~6.0質量%のP、0.5質量%~10.0質量%のZrO、0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnOおよび0.1質量%~5.0質量%のFeO+Feを含む、態様(13)から(16)までのいずれか1つ記載の方法が提供される。
【0022】
態様(18)によると、前駆体ガラスベース物品が、55.0質量%~75.0質量%のSiO、2.0質量%~20.0質量%のAl、0質量%~5.0質量%のB、5.0質量%~20.0質量%のLiO、0質量%~5.0質量%のNaO、0質量%~4.0質量%のKO、0質量%~8.0質量%のMgO、0質量%~10.0質量%のZnO、0.5質量%~5.0質量%のTiO、1.0質量%~6.0質量%のP、0.5質量%~10.0質量%のZrO、0質量%~0.4質量%のCeO、0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnO、0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe、0.1質量%~5.0質量%のNiO、0.1質量%~5.0質量%のCo、0質量%~4.0質量%のMnO+MnO+Mn、0質量%~2.0質量%のCr、0質量%~2.0質量%のCuOおよび0質量%~2.0質量%のVを含む、態様(13)から(17)までのいずれか1つ記載の方法が提供される。
【0023】
態様(19)によると、ガラスが提供される。ガラスは、55.0質量%~75.0質量%のSiO、2.0質量%~20.0質量%のAl、5.0質量%~20.0質量%のLiO、0質量%超~5.0質量%のNaO、0.5質量%~5.0質量%のTiO、1.0質量%~6.0質量%のP、0.5質量%~10.0質量%のZrO、0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnOおよび0.1質量%~5.0質量%のFeO+Feを含む。
【0024】
態様(20)によると、0質量%~5.0質量%のB、0質量%~4.0質量%のKO、0質量%~8.0質量%のMgO、0質量%~10.0質量%のZnO、0質量%~0.4質量%のCeO、0質量%~5.0質量%のNiO、0質量%~5.0質量%のCo、0質量%~4.0質量%のMnO+MnO+Mn、0質量%~2.0質量%のCr、0質量%~2.0質量%のCuOおよび0質量%~2.0質量%のVをさらに含む、態様(19)記載のガラスが提供される。
【0025】
態様(21)によると、0.1質量%~5.0質量%のNiOおよび0.1質量%~5.0質量%のCoのうちの少なくとも一方をさらに含む、態様(19)または(20)記載のガラスが提供される。
【0026】
更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明で説明されるであろうし、部分的には、その説明から当業者に容易に明らかであるかまたは以下の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面を含む、本明細書に記載された実施形態を実施することにより認識されるであろう。
【0027】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、種々の実施形態を記載し、特許請求される主題の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、種々の実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載された種々の実施形態を示し、説明と共に、特許請求される主題の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本明細書に開示され、説明された実施形態に係る、その表面上に圧縮応力層を有するガラスセラミックの断面を概略的に示す図である。
図2A】本明細書に開示されたガラスセラミックのいずれかが組み込まれた例示的な電子デバイスの平面図である。
図2B図2Aの例示的な電子デバイスの斜視図である。
図3】実施形態に係るガラスセラミックのX線回折分析である。
図4】実施形態に係るガラスセラミックのトンネル電子顕微鏡画像である。
図5図4のガラスセラミックのより高い倍率でのトンネル電子顕微鏡画像である。
図6】鉄を強調した元素マッピングを伴う図5のトンネル電子顕微鏡画像である。
図7】ニッケルを強調した元素マッピングを伴う図5のトンネル電子顕微鏡画像である。
図8】チタンを強調した元素マッピングを伴う図5のトンネル電子顕微鏡画像である。
図9】コバルトを強調した元素マッピングを伴う図5のトンネル電子顕微鏡画像である。
図10】ケイ素を強調した元素マッピングを伴う図5のトンネル電子顕微鏡画像である。
図11】アルミニウムを強調した元素マッピングを伴う図5のトンネル電子顕微鏡画像である。
図12】ジルコニウムおよびリンを強調した元素マッピングを伴う図5のトンネル電子顕微鏡画像である。
図13】イオン交換処理の前後の実施形態に係るガラスセラミックのリングオンリング強度のワイブルプロットである。
図14】リングオンリング試験装置の概略図である。
図15】種々の時間にわたってイオン交換された実施形態に係るガラスセラミックの表面下の深さの関数として電子マイクロプローブにより測定されたNaO濃度(モル%)のプロットである。
図16】実施形態に係るイオン交換されたガラスセラミックの摩耗圧力の関数としての保持強度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここから、種々の実施形態に係る黒色のβ-スポジュメンケイ酸リチウムガラスセラミックについて詳細に言及するものとする。特に、黒色のβ-スポジュメンケイ酸リチウムガラスセラミックは、見栄えのよい外観を有し、高い強度および破壊靭性を示す。したがって、黒色のβ-スポジュメンケイ酸リチウムガラスセラミックは、ポータブル電子デバイスにおけるハウジングとして使用するのに適している。
【0030】
以下の説明において、図面に示される幾つかの図を通して、同じ参照符号は、同じかまたは対応する部分を指定する。特に断らない限り、例えば、「頂部」、「底部」、「外側」、「内側」等の用語は、便宜上の用語であり、限定的な用語として解釈されるべきではないことも理解される。群が、要素の群のうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせからなると記載される場合には、この群は、個々にまたは互いに組み合わせてのいずれかで記載される任意の数の要素からなることができると理解される。特に断らない限り、値の範囲が記載された場合、この範囲は、この範囲の上限および下限の両方ならびにそれらの間の任意の範囲を含む。本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」、「an」および対応する定冠詞「the」は、特に断らない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。また、本明細書および図面に開示された種々の特徴は、任意かつ全ての組み合わせで使用することができるとも理解される。
【0031】
特に断らない限り、本明細書に記載されたガラスの全ての組成は、質量パーセント(質量%)で表現され、成分は、酸化物ベースで提供される。特に断らない限り、全ての温度は、摂氏(℃)で表現される。
【0032】
「実質的に」および「約」という用語は、本明細書において、任意の定量的な比較、値、測定または他の表現に起因する場合がある固有の不確実性の程度を表すのに利用することができることが留意される。また、これらの用語は、本明細書において、定量的な表現が当該主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、記載された基準から変化することができる程度を表すのにも利用される。例えば、「KOを実質的に含まない」ガラスは、KOが能動的にガラスに添加されていないかまたはバッチ処理されていないが、夾雑物として非常に少量、例えば、約0.01質量%未満の量で存在する場合があるガラスである。本明細書で利用する場合、「約」という用語が、値を修正するのに使用される場合、正確な値も開示される。
【0033】
ガラスセラミックは、第1の主結晶相と、第2の主結晶相と、副結晶相と、残部ガラス相とを含有する。第1および第2の主結晶相は、独立して、副結晶相よりガラスセラミックの大きな質量割合として存在する。したがって、副結晶相は、ガラスセラミックの質量%に関して、第1および第2の主結晶相のいずれかの質量%未満の濃度で存在する。
【0034】
実施形態において、第1の主結晶相は、二ケイ酸リチウムを含み、第2の主結晶相は、β-スポジュメンを含む。本明細書で利用する場合、β-スポジュメンは、β-スポジュメン固溶体を指す場合がある。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、ガラスセラミックの二ケイ酸リチウム結晶は連結して、強化された本体強度および破壊靭性を生じさせることができる。
【0035】
一部の実施形態では、ガラスセラミックは、マグネタイト、β-石英、クリストバライトおよびリン酸リチウムのうちの少なくとも1つを含む副結晶相を含む。実施形態において、ガラスセラミックは、2つ以上の副結晶相を含有する。一部の実施形態では、追加の結晶相が、ガラスセラミック中に存在することができる。
【0036】
実施形態において、ガラスセラミックの総結晶化度は、強化された機械的特性、例えば、硬度、ヤング率および耐引掻き性を提供するのに十分に高い。本明細書で利用する場合、総結晶化度は、質量%で提供され、測定されたサンプルの総重量に対するガラスセラミック中に存在する全ての結晶相の質量%の合計を指す。実施形態において、総結晶化度は、約50質量%以上、例えば、約55質量%以上、約60質量%以上、約65質量%以上、約70質量%以上、約75質量%以上またはそれ以上である。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラスセラミックの総結晶化度は、約50質量%以上約75質量%以下、例えば、約55質量%以上約70質量%以下または約60質量%以上約65質量%以下ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲である。ガラスセラミックの総結晶化度は、X線回折(XRD)結果のリートヴェルド定量分析により決定される。
【0037】
ガラスセラミックは、不透明または半透明である。実施形態において、ガラスセラミックは、可視範囲(380nm~760nm)において、約10%未満、例えば、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満またはそれ未満の透過率を示す。本明細書で利用する場合、透過率は、全透過率を指し、150mm積分球を使用するPerkin Elmer Lambda 950 UV/Vis/NIR分光光度計を使用して測定される。サンプルは、広角散乱光の収集を可能にする球の入口ポートに取り付けられ、参照スペクトラロン反射率ディスクが、球の出口ポート上に配置される。全透過率は、オープンビームベースライン測定に関連して生成される。ガラスセラミックの厚さが、透過率に影響を及ぼす場合があることを理解されたい。例えば、より厚いガラスセラミックは、より低い透過率を示す場合がある。
【0038】
実施形態において、ガラスセラミックは、黒色である。ガラスセラミックは、以下の色座標:L 15.0~35.0、a -3.0~3.0およびb -5.0~5.0により特徴付けることができる。一部の実施形態では、ガラスセラミックのL値は、15.0~35.0、例えば、16.0~34.0、17.0~33.0、18.0~32.0、19.0~31.0、20.0~30.0、26.0~29.0、27.0~28.0ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲であってよい。一部の実施形態では、ガラスセラミックのa値は、-3.0~3.0、例えば、-2.8~2.8、-2.6~2.6、-2.4~2.4、-2.2~2.2、-2.0~2.0、-1.8~1.8、-1.6~1.6、-1.4~1.4、-1.2~1.2、-1.0~1.0、-0.8~0.8、-0.6~0.6、-0.4~0.4、-0.2~0.2、0ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲であってよい。一部の実施形態では、ガラスセラミックのb値は、-5.0~5.0、例えば、-4.5~4.5、-4.0~4.0、-3.5~3.5、-3.0~3.0、-2.5~2.5、-2.0~2.0、-1.5~1.5、-1.0~1.0、-0.5~0.5、0ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲であってよい。本明細書で利用する場合、色座標は、反射モードのSCI UVC条件下でX-rite Ci7 F02光源を使用して測定される。
【0039】
実施形態において、ガラスセラミックは、高い破壊靭性を有することができる。高い破壊靭性は、少なくとも部分的に、ガラスセラミックの結晶相集合体により達成される。一部の実施形態では、ガラスセラミックは、約0.9MPa・m0.5以上約2.0MPa・m0.5以下、例えば、約1.0MPa・m0.5以上約1.9MPa・m0.5以下、約1.1MPa・m0.5以上約1.8MPa・m0.5以下、約1.2MPa・m0.5以上約1.7MPa・m0.5以下、約1.3MPa・m0.5以上約1.6MPa・m0.5以下、約1.4MPa・m0.5以上約1.5MPa・m0.5以下ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の破壊靭性を有することができる。一部の実施形態では、ガラスセラミックは、約1.0MPa・m0.5以上約1.5MPa・m0.5以下の破壊靭性を有することができる。破壊靭性は、以下に記載されているように、シェブロンノッチ付きショートバー(CNSB)法により測定される。
【0040】
実施形態において、ガラスセラミックは、高い強度を有することができる。高い強度は、少なくとも部分的に、ガラスセラミックの結晶相集合体により達成される。一部の実施形態では、ガラスセラミックは、約290MPa以上、例えば、約300MPa以上、約310MPa以上、約320MPa以上、約330MPa以上、約340MPa以上、約350MPa以上、約360MPa以上、約370MPa以上、約380MPa以上、約390MPa以上またはそれ以上の強度を有する。実施形態において、ガラスセラミックは、約290MPa以上約400MPa以下、例えば、約300MPa以上約390MPa以下、約310MPa以上約380MPa以下、約320MPa以上約370MPa以下、約330MPa以上約360MPa以下、約340MPa以上約350MPa以下およびこれらの終点により形成される任意かつ全ての部分範囲の強度を有する。この強度は、以下に記載されるリングオンリング試験により測定される強度を指す。
【0041】
ここから、β-スポジュメンケイ酸リチウムガラスセラミックの組成を記載するものとする。本明細書に記載されたガラスセラミックの実施形態では、構成成分(例えば、SiO、Al、LiO、NaO等)の濃度は、特に断らない限り、酸化物ベースの質量パーセント(質量%)で与えられる。以下に、実施形態に係るガラスセラミックの成分を、個々に検討する。1つの成分の種々に列挙された範囲はいずれも、任意の他の成分について種々に列挙された範囲のいずれかと個々に組み合わせることができると理解されたい。
【0042】
本明細書に開示されたガラスセラミックの実施形態では、SiOが、最大成分である。SiOは、一次ネットワーク形成剤として機能し、ネットワーク構造を安定化させる。SiOは、所望のβ-スポジュメンおよびケイ酸リチウム結晶相の形成に必須である。SiO含量が低すぎると、所望のβ-スポジュメンおよびケイ酸リチウム結晶相を形成することができなくなる場合がある。純粋なSiOは、比較的低いCTEを有し、アルカリを含まない。一方、純粋なSiOは、高い融点を有する。したがって、ガラスセラミック中のSiOの濃度が高すぎると、ガラスセラミックを形成するのに使用される前駆体ガラス組成物の成形性は、より高い濃度のSiOがガラスを融解する困難性を増大させるため低下する場合があり、これは、次に、前駆体ガラスの成形性に悪影響を及ぼす。実施形態において、ガラス組成物は、一般的には、約55.0質量%以上、例えば、約56.0質量%以上、約57.0質量%以上、約58.0質量%以上、約59.0質量%以上、約60.0質量%以上、約61.0質量%以上、約62.0質量%以上、約63.0質量%以上、約64.0質量%以上、約65.0質量%以上、約66.0質量%以上、約67.0質量%以上、約68.0質量%以上、約69.0質量%以上、約70.0質量%以上、約71.0質量%以上、約72.0質量%以上、約73.0質量%以上または約74.0質量%以上の量で、SiOを含む。実施形態において、ガラス組成物は、約75.0質量%以下、例えば、約74.0質量%以下、約73.0質量%以下、約72.0質量%以下または約71.0質量%以下、約70.0質量%以下、約69.0質量%以下、約68.0質量%以下、約67.0質量%以下、約66.0質量%以下、約65.0質量%以下、約64.0質量%以下、約63.0質量%以下、約62.0質量%以下、約61.0質量%以下、約60.0質量%以下、約59.0質量%以下、約58.0質量%以下、約57.0質量%以下または約56.0質量%以下の量で、SiOを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかを、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラス組成物は、約55.0質量%以上約75.0質量%以下、例えば、約56.0質量%以上約74.0質量%以下、約57.0質量%以上約73.0質量%以下、約58.0質量%以上約72.0質量%以下、約59.0質量%以上約71.0質量%以下、約60.0質量%以上約70.0質量%以下、約61.0質量%以上約69.0質量%以下、約62.0質量%以上約68.0質量%以下、約63.0質量%以上約67.0質量%以下、約64.0質量%以上約66.0質量%以下または約65.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、SiOを含む。一部の実施形態では、ガラスセラミックは、約65質量%以上約75質量%以下の量で、SiOを含む。
【0043】
ガラスセラミックは、Alも含む。Alの含有は、β-スポジュメン結晶相の形成に必要であるが、Alの量が多すぎると、ガラス組成物から形成されるガラス溶融物中のその四面体配位のために、ガラスセラミックを形成するのに使用される前駆体ガラス組成物の粘性を増大させ、ガラス組成物の成形性が低下する場合がある。Al含量が少なすぎると、β-スポジュメン結晶相の形成が困難となる場合があり、ガラスセラミックの化学的耐久性が低下する場合がある。一方、Alの濃度が、ガラス組成物中のSiOの濃度およびアルカリ酸化物の濃度と釣り合っている場合、Alは、ガラス溶融物の液相線温度を低下させることができ、それにより、液相線粘性を向上させ、ガラス組成物の特定の成形プロセスとの適合性を改善することができる。Al含量が多すぎると、ガラスセラミック中に形成される二ケイ酸リチウム結晶の量が不必要に減少し、連結構造の形成が妨げられる場合がある。SiOと同様に、Alは、ネットワーク構造を安定化させる。実施形態において、ガラス組成物は、一般的には、約2.0質量%以上、例えば、約3.0質量%以上、約4.0質量%以上、約5.0質量%以上、約6.0質量%以上、約7.0質量%以上、約8.0質量%以上、約9.0質量%以上、約10.0質量%以上、約11.0質量%以上、約12.0質量%以上、約13.0質量%以上、約14.0質量%以上、約15.0質量%以上、約16.0質量%以上、約17.0質量%以上、約18.0質量%以上または約19.0質量%以上の濃度で、Alを含む。実施形態において、ガラス組成物は、約20.0質量%以下、例えば、約19.0質量%以下、約18.0質量%以下、約17.0質量%以下、約16.0質量%以下、約15.0質量%以下、約14.0質量%以下、約13.0質量%以下、約12.0質量%以下、約11.0質量%以下、約10.0質量%以下、約9.0質量%以下、約8.0質量%以下、約7.0質量%以下、約6.0質量%以下、約5.0質量%以下、約4.0質量%以下または約3.0質量%以下の量で、Alを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。他の実施形態では、ガラス組成物は、約2.0質量%以上約20.0質量%以下、例えば、約3.0質量%以上約19.0質量%以下、約4.0質量%以上約18.0質量%以下、約5.0質量%以上約17.0質量%以下、約6.0質量%以上約16.0質量%以下、約7.0質量%以上約15.0質量%以下、約8.0質量%以上約14.0質量%以下、約9.0質量%以上約13.0質量%以下、約10.0質量%以上約12.0質量%以下または約11質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、Alを含む。実施形態において、ガラス組成物は、約7.0質量%以上約11.0質量%以下の量で、Alを含む。
【0044】
実施形態のガラスセラミックは、Bをさらに含むことができる。Bの含有により、ガラス組成物の融解温度が低下する。加えて、三方晶配位状態にあるBの存在により、ガラス組成物の構造が広がり、クラック形成が生じる前に、ガラスがある程度の変形を許容することを可能にする。実施形態において、ガラス組成物は、0質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上または約4.5質量%以上の量で、Bを含む。実施形態において、ガラス組成物は、約5.0質量%以下、例えば、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下の量で、Bを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラス組成物は、約0質量%以上約5.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約4.5質量%以下、約1.0質量%以上約4.0質量%以下、約1.5質量%以上約3.5質量%以下、約2.0質量%以上約3.0質量%以下または約2.5質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、Bを含む。
【0045】
実施形態のガラスセラミックは、LiOをさらに含む。ガラスセラミックにリチウムを加えることにより、イオン交換プロセスが可能となり、さらに、前駆体ガラス組成物の軟化点が低下する。また、LiOは、前駆体ガラスがセラミック化されて、ガラスセラミックを形成する場合に、β-スポジュメンおよびケイ酸リチウム結晶相の形成に必須のリチウムを提供する。LiO含量が多すぎると、前駆体ガラスの形成が困難となる。実施形態において、ガラス組成物は、一般的には、約5.0質量%超、例えば、約5.5質量%以上、約6.0質量%以上、約6.5質量%以上、約7.0質量%以上、約7.5質量%以上、約8.0質量%以上、約8.5質量%以上、約9.0質量%以上、約9.5質量%以上、約10.0質量%以上、約10.5質量%以上、約11.0質量%以上、約11.5質量%以上、約12.0質量%以上、約12.5質量%以上、約13.0質量%以上、約13.5質量%以上、約14.0質量%以上、約14.5質量%以上、約15.0質量%以上、約15.5質量%以上、約16.0質量%以上、約16.5質量%以上、約17.0質量%以上、約17.5質量%以上、約18.0質量%以上、約18.5質量%以上、約19.0質量%以上または約19.5質量%以上の量で、LiOを含む。一部の実施形態では、ガラス組成物は、約20.0質量%以下、例えば、約19.5質量%以下、約19.0質量%以下、約18.5質量%以下、約18.0質量%以下、約17.5質量%以下、約17.0質量%以下、約16.5質量%以下、約16.0質量%以下、約15.5質量%以下、約15.0質量%以下、約14.5質量%以下、約14.0質量%以下、約13.5質量%以下、約13.0質量%以下、約12.5質量%以下、約12.0質量%以下、約11.5質量%以下、約11.0質量%以下、約10.5質量%以下、約10.0質量%以下、約9.5質量%以下、約9.0質量%以下、約8.5質量%以下、約8.0質量%以下、約7.5質量%以下、約7.0質量%以下、約6.5質量%以下、約6.0質量%以下または約5.5質量%以下の量で、LiOを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラス組成物は、約5.0質量%超約20.0質量%以下、例えば、約5.5質量%以上約19.5質量%以下、約6.0質量%以上約19.0質量%以下、約6.5質量%以上約18.5質量%以下、約7.0質量%以上約18.0質量%以下、約7.5質量%以上約17.5質量%以下、約8.0質量%以上約17.0質量%以下、約8.5質量%以上約16.5質量%以下、約9.0質量%以上約16.0質量%以下、約9.5質量%以上約15.5質量%以下、約10.0質量%以上約15.0質量%以下、約10.5質量%以上約14.5質量%以下、約11.0質量%以上約14.0質量%以下、約11.5質量%以上約13.5質量%以下、約12.0質量%以上約13.0質量%以下、約12.5質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、LiOを含む。一部の実施形態では、ガラス組成物は、約6.0質量%以上約11.0質量%以下、約7質量%以上約20質量%以下または約7質量%以上約15質量%以下の量で、LiOを含む。
【0046】
ガラスセラミックは、LiOに加えて、1種以上のアルカリ金属酸化物を含むことができる。アルカリ金属酸化物は、例えば、イオン交換プロセスによるガラスセラミックの化学強化をさらに促進する。また、ガラスセラミック中のアルカリ金属酸化物(例えば、LiO、NaOおよびKOならびにCsOおよびRbOを含む他のアルカリ金属酸化物)を、「RO」と呼ぶ場合があり、RO含量は、質量%で表現することができる。一部の実施形態では、ガラスセラミックは、アルカリ金属酸化物の混合物、例えば、LiOとNaOとの組み合わせ、LiOとKOとの組み合わせまたはLiOとNaOとKOとの組み合わせを含むことができる。ガラスセラミック中のアルカリ金属酸化物の混合物の含有により、より速くかつより効率的なイオン交換をもたらすことができる。
【0047】
ガラスセラミックは、追加のアルカリ金属酸化物として、NaOを含むことができる。NaOは、ガラスセラミックのイオン交換性に役立ち、また、前駆体ガラス組成物の融点を低下させ、前駆体ガラス組成物の成形性を改善する。NaOが存在すると、必要なセラミック化処理の長さも短くなる。ただし、NaOを、ガラス組成物に加えすぎると、CTEが高くなりすぎる場合がある。また、NaOは、ガラスセラミック中の残部ガラスの粘性を低下させることもでき、これにより、セラミック化処理中にガラスセラミックに形成されるクラックを減少させることができる。実施形態において、ガラス組成物は、一般的には、0.0質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上または約4.5質量%以上の量で、NaOを含む。一部の実施形態では、ガラス組成物は、約5.0質量%以下、例えば、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下の量で、NaOを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラス組成物は、0.0質量%以上約5.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約4.5質量%以下、約1.0質量%以上4.0質量%以下、約1.5質量%以上約3.5質量%以下、約2.0質量%以上約3.0質量%以下または約2.5質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、NaOを含む。
【0048】
ガラスセラミックは、追加のアルカリ金属酸化物として、KOを含むことができる。KOは、ガラスセラミックのイオン交換性に役立つことができる。実施形態において、ガラス組成物は、一般的には、0.0質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上または約3.5質量%以上の量で、KOを含む。一部の実施形態では、ガラス組成物は、約4.0質量%以下、例えば、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下の量で、KOを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラス組成物は、0.0質量%以上約4.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約3.5質量%以下、約1.0質量%以上3.0質量%以下、約1.5質量%以上約2.5質量%以下または約2.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、KOを含む。
【0049】
実施形態において、ガラスセラミックは、Pを含むことができる。Pは、バルク核形成を生じさせるための核形成剤として機能する。Pの濃度が低すぎると、前駆体ガラスは結晶化しない場合がありまたは望ましくない表面結晶化を受ける場合がある。Pの濃度が高すぎると、形成中の冷却時の前駆体ガラスの失透を制御しにくくなる場合がある。また、ガラスセラミック中にPが存在すると、ガラスセラミック中の金属イオンの拡散率を上昇させることができ、これにより、ガラスセラミックのイオン交換効率を上昇させることができる。実施形態において、ガラスセラミック中のPの量は、約1.0質量%以上、例えば、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上、約4.5質量%以上、約5.0質量%以上または約5.5質量%以上であってよい。実施形態において、ガラスセラミック中のPの量は、約6.0質量%以下、例えば、約5.5質量%以下、約5.0質量%以下、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下または約1.5質量%以下であってよい。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラス組成物は、約1.0質量%以上約6.0質量%以下、例えば、約1.5質量%以上約5.5質量%以下、約2.0質量%以上約5.0質量%以下、約2.5質量%以上約4.5質量%、約3.0質量%以上約4.0質量%以下または約4.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、Pを含む。
【0050】
実施形態において、ガラスセラミックは、ZrOを含むことができる。ZrOは、前駆体ガラス組成物中のネットワーク形成剤または中間体として機能する。ZrOは、成形中のガラス組成物の失透を減少させることにより、ガラス組成物の安定性を向上させ、また、液相線温度を低下させる。ZrOを加えると、ガラスセラミックの化学的耐久性も向上し、残部ガラスの弾性率も上昇する。実施形態において、ガラスセラミック中のZrOの量は、約0.5質量%以上、例えば、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上、約4.5質量%以上、約5.0質量%以上、約5.5質量%以上、約6.0質量%以上、約6.5質量%以上、約7.0質量%以上、約7.5質量%以上、約8.0質量%以上、約8.5質量%以上、約9.0質量%以上または約9.5質量%以上である。実施形態において、ガラスセラミック中のZrOの量は、約10.0質量%以下、例えば、約9.5質量%以下、約9.0質量%以下、約8.5質量%以下、約8.0質量%以下、約7.5質量%以下、約7.0質量%以下、約6.5質量%以下、約6.0質量%以下、約5.5質量%以下、約5.0質量%以下、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下または約1.0質量%以下である。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラスセラミック中のZrOの量は、約0.5質量%以上約10.0質量%以下、例えば、約1.0質量%以上約9.5質量%以下、約1.5質量%以上約9.0質量%以下、約2.0質量%以上約8.5質量%以下、約2.5質量%以上約8.0質量%以下、約3.0質量%以上約7.5質量%以下、約3.5質量%以上約7.0質量%以下、約4.0質量%以上約6.5質量%以下、約4.5質量%以上約6.0質量%以下または約5.0質量%以上約5.5質量%以下ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲である。一部の実施形態では、ガラスセラミック中のZrOの量は、約2.0質量%以上約4.0質量%以下である。
【0051】
実施形態のガラスセラミックは、ZnOをさらに含むことができる。ZnOは、融剤としても機能し、前駆体ガラスの製造コストを低下させる。ガラスセラミックにおいて、ZnOは、β-スポジュメン結晶中に部分固溶体として存在することができる。実施形態において、ガラス組成物は、一般的には、約0.0質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上、約4.5質量%以上、約5.0質量%以上、約5.5質量%以上、約6.0質量%以上、約6.5質量%以上、約7.0質量%以上、約7.5質量%以上、約8.0質量%以上、約8.5質量%以上、約9.0質量%以上または約9.5質量%以上の濃度で、ZnOを含む。実施形態において、ガラス組成物は、約10.0質量%以下、例えば、約9.5質量%以下、約9.0質量%以下、約8.5質量%以下、約8.0質量%以下、約7.5質量%以下、約7.0質量%以下、約6.5質量%以下、約6.0質量%以下、約5.5質量%以下、約5.0質量%以下、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下の量で、ZnOを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラス組成物は、約0.0質量%以上約10.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約9.5質量%以下、約1.0質量%以上約9.0質量%以下、約1.5質量%以上約8.5質量%以下、約2.0質量%以上約8.0質量%以下、約2.5質量%以上約7.5質量%以下、約3.0質量%以上約7.0質量%以下、約3.5質量%以上約6.5質量%以下、約4.0質量%以上約6.0質量%以下、約4.5質量%以上約5.5質量%以下または約5.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、ZnOを含む。実施形態において、ガラスセラミックは、ZnOを実質的に含まないまたは含まないことができる。
【0052】
実施形態のガラスセラミックは、MgOをさらに含むことができる。ガラス中にMgOが存在すると、弾性率を上昇させることができる。MgOは、融剤としても機能し、前駆体ガラスの製造コストを低下させる。ガラスセラミックにおいて、MgOは、β-スポジュメン結晶中に部分固溶体として存在することができる。実施形態において、ガラスセラミック中のMgOの量は、約0.0質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上、約4.5質量%以上、約5.0質量%以上、約5.5質量%以上、約6.0質量%以上、約6.5質量%以上、約7.0質量%以上または約7.5質量%以上である。実施形態において、ガラスセラミック中のMgOの量は、約8.0質量%以下、例えば、約7.5質量%以下、約7.0質量%以下、約6.5質量%以下、約6.0質量%以下、約5.5質量%以下、約5.0質量%以下、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下である。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラスセラミック中のMgOの量は、約0.0質量%以上約8.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約7.5質量%以下、約1.0質量%以上約7.0質量%以下、約1.5質量%以上約6.5質量%以下、約2.0質量%以上約6.0質量%以下、約2.5質量%以上約5.5質量%以下、約3.0質量%以上約5.0質量%以下、約3.5質量%以上約4.5質量%以下または約4.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲である。
【0053】
実施形態のガラスセラミックは、TiOをさらに含むことができる。TiOは、核形成剤として機能することができ、場合によっては、着色剤として機能することができる。実施形態では、ガラスは、約0.5質量%以上、例えば、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約2.5質量%以上、約3.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上または約4.5質量%以上の量で、TiOを含むことができる。実施形態において、ガラスは、約5.0質量%以下、例えば、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下または約2.5質量%以下の量で、TiOを含むことができる。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。他の実施形態では、ガラスは、約0.5質量%以上約5.0質量%以下、例えば、約1.0質量%以上約4.5質量%以下、約1.5質量%以上約4.0質量%以下、約2.0質量%以上約3.5質量%以下または約2.5質量%以上約3.0質量%以下ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、TiOを含むことができる。
【0054】
実施形態において、ガラスセラミックは、場合により、1種以上の清澄剤を含むことができる。一部の実施形態では、清澄剤は、例えば、SnO+SnOおよび/またはAsを含むことができる。実施形態において、SnO+SnOは、0.5質量%以下、例えば、0.05質量%以上0.5質量%以下、0.1質量%以上0.4質量%以下または0.2質量%以上0.3質量%以下ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、ガラス組成物中に存在することができる。実施形態において、ガラスセラミックは、ヒ素およびアンチモンの一方または両方を含まないことができまたは実質的に含まないことができる。
【0055】
実施形態において、ガラスセラミックは、CeOを含むことができる。CeOは、0質量%以上約0.4質量%以下、例えば、約0.1質量%以上約0.3質量%以下または約0.2質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、ガラスセラミック中に存在することができる。
【0056】
ガラスセラミックは、所望の黒色および不透明度を生じさせるために着色剤を含む。着色剤は、FeO+Fe、NiO、Co、TiO、MnO+MnO+Mn、Cr、CuOおよび/またはVから選択することができる。一部の実施形態では、ガラスセラミックは、所望の色空間の達成を可能にする、FeO+Fe、NiOおよびCoの混合物を含む。着色剤は、ガラスセラミック中のマグネタイト相に分配することができる。
【0057】
一部の実施形態では、ガラスは、FeO+Feが約0.1質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上または約4.5質量%以上の量で含まれるように、FeOおよび/またはFeを含む。一部の実施形態では、ガラスは、約5.0質量%以下、例えば、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下の量で、FeO+Feを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラスは、約0.1質量%以上約5.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約4.5質量%以下、約1.0質量%以上約4.0質量%以下、約1.5質量%以上約3.5質量%以下、約2.0質量%以上約3.0質量%以下または約2.5質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、FeO+Feを含むことができる。実施形態において、ガラスは、約1.0質量%以上約4.0質量%以下の量で、FeO+Feを含むことができる。
【0058】
一部の実施形態では、ガラスは、約0.1質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上または約4.5質量%以上の量で、NiOを含む。一部の実施形態では、ガラスは、約5.0質量%以下、例えば、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下の量で、NiOを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラスは、約0.1質量%以上約5.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約4.5質量%以下、約1.0質量%以上約4.0質量%以下、約1.5質量%以上約3.5質量%以下、約2.0質量%以上約3.0質量%以下または約2.5質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、NiOを含むことができる。実施形態において、ガラスは、約0.5質量%以上約1.5質量%以下の量で、NiOを含むことができる。
【0059】
一部の実施形態では、ガラスは、約0.1質量%以上、例えば、約0.5質量%以上、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、約2.0質量%以上、約3.5質量%以上、約4.0質量%以上または約4.5質量%以上の量で、Coを含む。一部の実施形態では、ガラスは、約5.0質量%以下、例えば、約4.5質量%以下、約4.0質量%以下、約3.5質量%以下、約3.0質量%以下、約2.5質量%以下、約2.0質量%以下、約1.5質量%以下、約1.0質量%以下または約0.5質量%以下の量で、Coを含む。実施形態において、上記範囲のいずれかは、任意の他の範囲と組み合わせることができると理解されたい。実施形態において、ガラスは、約0.1質量%以上約5.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約4.5質量%以下、約1.0質量%以上約4.0質量%以下、約1.5質量%以上約3.5質量%以下、約2.0質量%以上約3.0質量%以下または約2.5質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、Coを含むことができる。実施形態において、ガラスは、約0.1質量%以上約0.4質量%以下の量で、Coを含むことができる。
【0060】
実施形態において、ガラスセラミックは、MnO+MnO+Mnを0質量%以上約4.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約3.5質量%以下、約1.0質量%以上約3.0質量%以下、約1.5質量%以上約2.5質量%以下または約2.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量でガラスセラミック中に含ませることができるように、MnO、MnOおよび/またはMnを含むことができる。
【0061】
実施形態において、Crを、0質量%以上約2.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約1.5質量%以下または約1.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、ガラスセラミック中に含ませることができる。
【0062】
実施形態において、CuOを、0質量%以上約2.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約1.5質量%以下または約1.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、ガラスセラミック中に含ませることができる。
【0063】
実施形態において、Vを、0質量%以上約2.0質量%以下、例えば、約0.5質量%以上約1.5質量%以下または約1.0質量%ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の量で、ガラスセラミック中に含ませることができる。
【0064】
上記から、実施形態に係るガラスセラミックは、任意の適切な方法、例えば、スロット成形、フロート成形、圧延プロセス、フュージョン成形プロセス、成形プロセス等により形成された前駆体ガラス物品から形成されていることができる。前駆体ガラス物品は、それが形成される様式により特徴付けることができる。例えば、前駆体ガラス物品がフロート成形可能(すなわち、フロートプロセスにより形成される)、ダウンドロー可能、および特に、フュージョン成形可能またはスロットドロー可能(すなわち、ダウンドロープロセス、例えば、フュージョンドロープロセスまたはスロットドロープロセスにより形成される)であると特徴付けることができる。
【0065】
本明細書に記載された前駆体ガラス物品の一部の実施形態は、ダウンドロープロセスにより形成することができる。ダウンドロープロセスは、比較的元の表面を有し、均一な厚さを有するガラス物品を製造する。ガラス物品の平均曲げ強度は、表面欠陥の量およびサイズにより制御されるため、最小限の接触を有する元の表面は、より高い初期強度を有する。加えて、ダウンドローされたガラス物品は、費用のかかる研削および研磨なしに、その最終用途に使用することができる、非常に平坦で滑らかな表面を有する。
【0066】
本明細書に記載された前駆体ガラス物品の一部の実施形態は、スロットドロープロセスにより形成されていることができる。スロットドロープロセスは、フュージョンドロー法とは異なる。スロットドロープロセスでは、溶融原料ガラスは、ドロータンクに提供される。ドロータンクの底部は、スロットの長さを伸ばすノズル付きの開口スロットを有する。溶融ガラスは、スロット/ノズルを通って流れ、連続ガラス物品として下方に、アニーリング領域にドローされる。
【0067】
ガラスセラミックは、任意の適切な条件下で前駆体ガラスをセラミック化することにより形成することができる。セラミック化サイクルは、核形成ステップおよび成長ステップを含む。一部の実施形態では、セラミック化サイクルは、3つの別個の温度での3つの別個の熱処理ステップを含むことができる。
【0068】
実施形態において、核形成ステップおよび成長ステップ(またはセラミック化ステップ)を、約500℃以上、例えば、約525℃以上、約550℃以上、約575℃以上、約600℃以上、約625℃以上、約650℃以上、約675℃以上、約700℃以上、約725℃以上、約750℃以上、約775℃以上、約800℃以上、約825℃以上、約850℃以上、約875℃以上の温度で行う。実施形態において、核形成ステップおよび成長ステップを、約500℃以上約900℃以下、例えば、約525℃以上約875℃以下、約550℃以上約850℃以下、約575℃以上約825℃以下、約600℃以上約800℃以下、約625℃以上約775℃以下、約650℃以上約750℃以下、約675℃以上約725℃以下または約700℃ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の温度で行う。
【0069】
実施形態において、セラミック化サイクルの個々のステップを、約1.0時間以上、例えば、約1.5時間以上、約2.0時間以上、約2.5時間以上、約3.0時間以上、約3.5時間以上、約4.0時間以上、約4.5時間以上、約5.0時間以上、約5.5時間以上または約6.0時間以上、約6.5時間以上、約7.0時間以上、約7.5時間以上または約8.0時間以上の期間継続する。実施形態において、セラミック化サイクルの個々のステップを、約1.0時間以上約8.0時間以下、例えば、約1.5時間以上約7.5時間以下、約2.0時間以上約7.0時間以下、約1.5時間以上約6.5時間以下、約2.0時間以上約6.0時間以下、約2.5時間以上約5.5時間以下、約3.0時間以上約5.0時間以下、約3.5時間以上約4.5時間以下または約4.0時間ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の期間継続する。
【0070】
実施形態において、セラミック化サイクルを、約1.0時間以上、例えば、約1.5時間以上、約2.0時間以上、約2.5時間以上、約3.0時間以上、約3.5時間以上、約4.0時間以上、約4.5時間以上、約5.0時間以上、約5.5時間以上または約6.0時間以上、約6.5時間以上、約7.0時間以上、約7.5時間以上、約8.0時間以上、約8.5時間以上、約9.0時間以上、約9.5時間以上、約10.0時間以上、約10.5時間以上、約11.0時間以上、約11.5時間以上、約12.0時間以上、約12.5時間以上、約13.0時間以上、約13.5時間以上、約14.0時間以上、約14.5時間以上、約15.0時間以上または約15.5時間以上の合計期間継続する。実施形態において、セラミック化サイクルを、約4時間以上約16.0時間以下、例えば、約4.5時間以上約15.5時間以下、約5.0時間以上約15.0時間以下、約5.5時間以上約14.5時間以下、約6.0時間以上約14.0時間以下、約6.5時間以上約13.5時間以下、約7.0時間以上約13.0時間以下、約7.5時間以上約12.5時間以下、約8.0時間以上約12.0時間以下、約8.5時間以上約11.5時間以下、約9.0時間以上約11.0時間以下、約9.5時間以上約10.5時間以下または約10.0時間ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の合計期間継続する。
【0071】
実施形態において、前駆体ガラス物品および/または核形成物品は、セラミック化される前に、機械加工されて、実質的に最終的な幾何学的形状部分を形成することができる。機械加工は、種々の厚さを有するスロット、孔および領域の形成を含むことができる。実施形態において、ガラスは、加工されたエッジプロファイルおよび/または三次元形状を有することができる。
【0072】
実施形態において、ガラスセラミックは、例えば、電子デバイスハウジング(ただし、これには限定されない)等の用途に耐損傷性であるセラミックを生じさせるイオン交換により、化学的に強化もされている。化学強化プロセスにより、ガラスセラミック物品の強度、例えば、リングオンリング強度を向上させることができる。図1を参照して、ガラスセラミックは、ガラスセラミックの表面から圧縮深さ(DOC)まで延在する圧縮応力下にある第1の領域(例えば、図1における第1および第2の圧縮層120,122)と、DOCからガラスセラミックの中央または内部領域まで延在する引張応力または中央張力(CT)下にある第2の領域(例えば、図1における中央領域130)とを有する。本明細書で使用する場合、DOCは、ガラスセラミック内の応力が圧縮から引張に変化する深さを指す。DOCでは、応力は、正(圧縮)応力から負(引張)応力に交差し、このため、ゼロの応力値を示す。
【0073】
当技術分野において通常使用される慣例によれば、圧縮または圧縮応力は、負(<0)の応力として表され、引張または引張応力は、正(>0)の応力として表される。ただし、本説明全体を通して、CSは、正または絶対値、すなわち、本明細書に列挙されるように、CS=|CS|として表される。圧縮応力(CS)は、ガラスの表面で最大を有し、CSは、関数に従って、表面からの距離dにより変化する場合がある。再度図1を参照して、第1の圧縮層120は、第1の表面110から深さdまで延在し、第2の圧縮層122は、第2の表面112から深さdまで延在する。これらのセグメントは合わさって、ガラスセラミック100の圧縮またはCSを規定する。
【0074】
両圧縮応力領域(図1における120,122)の圧縮応力は、ガラスセラミックの中央領域(130)に蓄積された張力により釣り合わされている。DOC値は、イオン交換処理中にガラスセラミック物品内で交換されるイオンの濃度プロファイル、例えば、測定された濃度がイオン交換処理前のガラスセラミック物品中の濃度に実質的に等しくなるガラスセラミック物品の表面下の深さに基づいて近似させることができる。
【0075】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、残部ガラス相およびβ-スポジュメン結晶相に含まれるリチウムイオンは、イオン交換プロセス中に、イオン交換溶液からのナトリウムおよび/またはカリウムイオンと交換される(これらにより置き換えられる)ことができる。β-スポジュメン結晶相のイオン交換性は、ガラスセラミックをイオン交換して圧縮応力層を生成する効果を高める。同様に、残部ガラス相中のナトリウムイオンは、イオン交換プロセス中に、イオン交換溶液からのカリウムイオンと交換される(これにより置き換えられる)ことができる。二ケイ酸リチウム結晶相中のリチウムイオンは、表面アモルファス化メカニズムによりイオン交換することができる。
【0076】
ガラスをイオン交換溶液に曝すことにより、ガラスセラミック中に圧縮応力層を形成することができる。実施形態において、イオン交換溶液は、溶融硝酸塩を含有することができる。一部の実施形態では、イオン交換溶液は、溶融KNO、溶融NaNO、溶融LiNOまたはそれらの組み合わせであってよい。実施形態において、イオン交換溶液は、約100%以下の溶融KNO、例えば、約95%以下の溶融KNO、約90%以下の溶融KNO、約85%以下の溶融KNO、約80%以下の溶融KNO、約75%以下の溶融KNO、約70%以下の溶融KNO、約65%以下の溶融KNO、約60%以下の溶融KNOまたはそれ以下を含むことができる。特定の実施形態では、イオン交換溶液は、約20%以上の溶融NaNO、例えば、約25%以上の溶融NaNO、約30%以上の溶融NaNO、約35%以上の溶融NaNO、約40%以上の溶融NaNOまたはそれ以上を含むことができる。実施形態において、イオン交換溶液は、約80%の溶融KNOおよび約20%の溶融NaNO、約75%の溶融KNOおよび約25%の溶融NaNO、約70%の溶融KNOおよび約30%の溶融NaNO、約65%の溶融KNOおよび約35%の溶融NaNOまたは約60%の溶融KNOおよび約40%の溶融NaNOならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲を含むことができる。実施形態において、イオン交換溶液は、KNO、NaNOおよびLiNOの混合物を含む溶融塩浴であってよい。実施形態において、例えば、他のナトリウム塩およびカリウム塩、例えば、亜硝酸、リン酸または硫酸ナトリウムまたはカリウム等を、イオン交換溶液中で使用することができる。実施形態において、イオン交換溶液は、ガラスセラミックへの銀イオンの交換のために、銀塩、例えば、硝酸銀を含むことができる。ガラスセラミックへの銀イオンの交換により、抗微生物および/または抗菌特性を有するガラスセラミック物品を製造することができる。実施形態において、イオン交換溶液は、ケイ酸、例えば、約1質量%以下のケイ酸を含有することができる。
【0077】
ガラスセラミックを、ガラスセラミックをイオン交換溶液の浴に浸漬すること、イオン交換溶液をガラスセラミック上に噴霧することまたは何等かの方法でイオン交換溶液をガラスセラミックに物理的に塗工することにより、イオン交換溶液に曝すことができる。ガラスセラミックに曝す際に、イオン交換溶液は、実施形態によれば、400℃以上500℃以下、例えば、410℃以上490℃以下、420℃以上480℃以下、430℃以上470℃以下または440℃以上460℃以下ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の温度にあってよい。実施形態において、ガラスセラミックを、4時間以上48時間以下、例えば、8時間以上44時間以下、12時間以上40時間以下、16時間以上36時間以下、20時間以上32時間以下または24時間以上28時間以下ならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の期間、イオン交換溶液に曝すことができる。
【0078】
イオン交換プロセスを、例えば、米国特許出願公開第2016/0102011号明細書に開示されるように、改善された圧縮応力プロファイルを提供する処理条件下において、イオン交換溶液中で行うことができる。同文献は、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【0079】
イオン交換プロセスを行った後、ガラスセラミックの表面における組成は、形成されたままのガラスセラミック(すなわち、イオン交換プロセスを受ける前のガラスセラミック)の組成とは異なる場合があると理解されたい。これは、形成されたままのガラスセラミックのガラス相中のある種のアルカリ金属イオン、例えば、LiまたはNa等がそれぞれ、より大きなアルカリ金属イオン、例えば、NaまたはK等により置き換えられることにより生じる。一方、ガラス物品の深さの中心またはその付近におけるガラスセラミックの組成は、実施形態において、イオン交換処理により最も影響を受けにくいであろうし、形成されたままのガラスセラミックと実質的に同じまたは同じ組成を有することができる。
【0080】
実施形態において、イオン交換されたガラスセラミック物品は、約250MPa以上、例えば、約260MPa以上、約270MPa以上、約280MPa以上、約290MPa以上、約300MPa以上、約310MPa以上、約320MPa以上、約330MPa以上、約340MPa以上、約350MPa以上、約360MPa以上、約370MPa以上、約380MPa以上、約390MPa以上、約400MPa以上、約410MPa以上、約420MPa以上、約430MPa以上、約440MPa以上、約450MPa以上、約460MPa以上、約470MPa以上、約480MPa以上、約490MPa以上、約500MPa以上、約510MPa以上、約520MPa以上、約530MPa以上、約540MPa以上、約550MPa以上、約560MPa以上、約570MPa以上、約580MPa以上、約590MPa以上、約600MPa以上、約610MPa以上、約620MPa以上、約630MPa以上または約640MPa以上の表面圧縮応力を有することができる。実施形態において、イオン交換されたガラスセラミック物品は、約250MPa以上約650MPa以下、例えば、約260MPa以上約640MPa以下、約270MPa以上約630MPa以下、約280MPa以上約620MPa以下、約290MPa以上約610MPa以下、約300MPa以上約600MPa以下、約310MPa以上約590MPa以下、約320MPa以上約580MPa以下、約330MPa以上約570MPa以下、約340MPa以上約560MPa以下、約350MPa以上約550MPa以下、約360MPa以上約540MPa以下、約370MPa以上約530MPa以下、約380MPa以上約520MPa以下、約390MPa以上約510MPa以下、約400MPa以上約500MPa以下、約410MPa以上約490MPa以下、約420MPa以上約480MPa以下、約430MPa以上約470MPa以下、約440MPa以上約460MPa以下または約450MPaならびに前述の値の間の全ての範囲および部分範囲の表面圧縮応力を有することができる。
【0081】
実施形態において、イオン交換されたガラスセラミック物品は、約400μm以上、例えば、約410μm以上、約420μm以上、約430μm以上、約440μm以上、約450μm以上、約460μm以上、約470μm以上、約480μm以上、約490μm以上、約500μm以上またはそれ以上の圧縮応力層の深さ(圧縮深さ)を有することができる。実施形態において、イオン交換されたガラスセラミック物品は、約40μm以上、例えば、約50μm以上、約60μm以上、約70μm以上、約80μm以上、約90μm以上、約100μm以上またはそれ以上の圧縮深さを有することができる。実施形態において、圧縮深さは、約40μm以上500μm以下、例えば、約50μm以上約480μm以下、約60μm以上約460μm以下、約70μm以上約440μm以下、約80μm以上約420μm以下、約90μm以上約400μm以下、約100μm以上約380μm以下、約120μm以上約360μm以下、約140μm以上約340μm以下、約160μm以上約320μm以下、約180μm以上約300μm以下、約200μm以上約280μm以下、約220μm以上約260μm以下または約240μmならびにこれらの終点により形成される任意かつ全ての部分範囲であってよい。
【0082】
実施形態において、イオン交換されたガラスセラミック物品は、約0.05t以上(tは、ガラスセラミック物品の厚さである)、例えば、約0.1t以上、約0.15t以上、約0.2t以上またはそれ以上の圧縮応力層の深さ(圧縮深さ)を有することができる。実施形態において、ガラスセラミック物品は、約0.05t以上0.25t以下(tは、ガラスセラミック物品の厚さである)、例えば、約0.1t以上0.2t以下または約0.05tならびにこれらの終点により形成される任意かつ全ての部分範囲の圧縮深さを有することができる。
【0083】
実施形態において、イオン交換されたガラスセラミックは、高い強度を有することができる。一部の実施形態では、イオン交換されたガラスセラミックは、リングオンリング試験において、約100kgf(約980N)以上、例えば、約105kgf(約1029N)以上、約110kgf(約1078N)以上、約115kgf(約1127N)以上またはそれ以上の破損荷重を有する。リングオンリング試験を、以下で説明する。
【0084】
ガラスセラミック物品は、高い体強度および高い耐摩耗性を有することができる。高い耐摩耗性および高い強度は、ガラスセラミック物品の摩耗後に得られる保持強度測定値により特徴付けることができる。保持強度は、以下に記載されるように、摩耗リングオンリング試験手順に従って測定することができる。一部の実施形態では、ガラスセラミック物品は、厚さが0.8mmであり、60kgf(約588N)以上の45psi(約310kPa)摩耗後の摩耗リングオンリング試験における破損荷重により測定される保持強度を有することができる。
【0085】
ガラスセラミック物品は、任意の適切な幾何学的形状を有することができる。実施形態において、ガラスセラミック物品は、約0.4mm以上、例えば、約0.5mm以上、約0.6mm以上、約0.7mm以上、約0.8mm以上、約0.9mm以上、約1.0mm以上、約1.5mm以上、約2.0mm以上またはそれ以上の厚さを有することができる。実施形態において、ガラスセラミック物品は、約0.4mm以上約2.0mm以下、例えば、約0.5mm以上約1.5mm以下、約0.6mm以上約1.0mm以下、約0.7mm以上約0.9mm以下、約0.8mmならびにこれらの終点により形成される任意かつ全ての部分範囲の厚さを有することができる。実施形態において、ガラスセラミック物品は、約0.8mm以上約1.0mm以下の範囲の厚さを有する。
【0086】
本明細書に開示されたガラスセラミック物品を、別の物品、例えば、ディスプレイ(またはディスプレイ物品)を有する物品(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステム等を含む消費者向け電子機器)、建築物品、輸送物品(例えば、自動車、列車、航空機、船舶等)、器具物品または幾らかの耐引掻き性、耐摩耗性もしくはそれらの組み合わせを必要とする任意の物品に組み込むことができる。本明細書に開示されたガラスセラミック物品のいずれかが組み込まれた例示的な物品を、図2Aおよび図2Bに示す。具体的には、図2Aおよび図2Bに、前面204、背面206および側面208を有するハウジング202と、ハウジング内の少なくとも部分的に内側または全体にあり、少なくともコントローラ、メモリおよびハウジングの前面にあるかまたはそれに隣接しているディスプレイ210を備える電気部品(図示せず)と、ディスプレイ上にあるようにハウジングの前面またはその上にあるカバー基板212とを含む消費者向け電子デバイス200を示す。一部の実施形態では、ハウジング202の少なくとも一部は、本明細書に開示されたガラスセラミック物品のいずれかを含むことができる。
【実施例
【0087】
以下の実施例により、実施形態をさらに明確にするものとする。これらの実施例は、上記された実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
【0088】
以下の表1に列挙された成分(質量%)を有するガラスセラミックを調製し、セラミック化した。サンプルは、0.8mmの厚さを有した。セラミック化サイクルは、室温から625℃の核形成温度への5℃/分の昇温速度、625℃で4時間の保持、5℃/分の昇温速度で740℃への昇温および740℃で1時間の保持を含んだ。得られた表1のサンプルは、β-スポジュメン、二ケイ酸リチウム、β-石英およびマグネタイトを含む相集合体を示し、黒色の外観を有していた。
【0089】
セラミック化後、表1で報告されたガラスセラミックサンプルを、60質量%のKNOおよび40質量%のNaNOを含む溶融塩浴中、470℃の温度で4時間イオン交換した。
【0090】
【表1】
【0091】
ガラスセラミックの相集合体を、セラミック化サンプルのX線回折(XRD)分析を使用して決定した。ガラスセラミックの外観は、サンプルの観察に基づく印象である。反射色座標を、SCI UVC条件下でX-rite Ci7 F02光源を使用して測定した。前駆体ガラスについて、液相線温度を、ASTM C829-81(2015)表題「Standard Practice for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method」に準拠して測定した。液相線粘度を決定するために、液相線温度でのガラスの粘度を、ASTM C965-96(2012)表題「Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point」に準拠して測定する。破壊靭性値(K1C)を、Reddy, K.P.R. et al, 「Fracture Toughness Measurement of Glass and Ceramic Materials Using Chevron-Notched Specimens」 J. Am. Ceram. Soc., 71 [6], C-310-C-313 (1988)に開示されているシェブロンノッチ付きショートバー(CNSB)法により測定した。ただし、Y を、Bubsey, R.T. et al., 「Closed-Form Expressions for Crack-Mouth Displacement and Stress Intensity Factors for Chevron-Notched Short Bar and Short Rod Specimens Based on Experimental Compliance Measurements」 NASA Technical Memorandum 83796, pp. 1-30 (October 1992)の等式5を使用して計算する。
【0092】
表1におけるサンプル1のX線回折分析を図3に示す。図3に示されるように、サンプル1の黒色ガラスセラミックは、β-スポジュメン、二ケイ酸リチウム、β-石英およびマグネタイトを含む相集合体により特徴付けられる。
【0093】
図4および図5において異なる倍率で示されるように、トンネル電子顕微鏡(TEM)を利用して、表1のサンプル1を分析した。図5のTEM画像を、元素マッピングを使用して分析した。元素マッピングされた画像は、以下のとおりである:図6は鉄をマッピングし、図7はニッケルをマッピングし、図8はチタンをマッピングし、図9はコバルトをマッピングし、図10はケイ素をマッピングし、図11はアルミニウムをマッピングし、図12はジルコニウムおよびリンをマッピングする。
【0094】
0.8mmの厚さを有するガラスセラミックを、表1におけるサンプル1の組成およびセラミック化計画により製造し、ついで、NaNO浴中において、470℃の温度で3時間の期間イオン交換した。サンプルのリングオンリング強度を、以下に記載されるように、イオン交換処理の前後で測定した。リングオンリング試験の結果のワイブルプロットを図13に示す。図13に示されるように、イオン交換処理により、ガラスセラミックの破損荷重が顕著に増大する。
【0095】
リングオンリング(RoR)試験は、平坦なガラス標本を試験するための表面強度測定であり、ASTM C1499-09(2013)表題「Standard Test Method for Monotonic Equibiaxial Flexural Strength of Advanced Ceramics at Ambient Temperature」は、本明細書に記載されたRoR試験法の基礎となる。ASTM C1499-09は、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。特に断らない限り、標本を、リングオンリング試験の前に研磨しなかった。
【0096】
RoR試験では、図14に示すように、サンプルを、異なるサイズの2つの同心リングの間に配置して、等二軸曲げ強度(すなわち、2つの同心リングの間で曲げに供された場合、材料が耐えることができる最大応力)を決定する。RoR構成400では、ガラスセラミック物品410を、直径D2を有する支持リング420により支持する。力Fを、荷重セル(図示せず)によって、直径D1を有する荷重リング430によりガラスセラミック物品の表面に加える。
【0097】
荷重リングと支持リングとの直径の比D1/D2は、0.2~0.5の範囲にあってよい。一部の実施形態では、D1/D2は、0.5である。荷重リングおよび支持リング430,420は、支持リングの直径D2の0.5%以内に同心に整列されるべきである。試験に使用される荷重セルは、選択された範囲内の任意の荷重で±1%以内の精度でなければならない。試験を、23±2℃の温度および40±10%の相対湿度で行う。
【0098】
固定具設計のために、荷重リング430の突出表面の半径rは、h/2≦r≦3h/2の範囲にある。式中、hは、ガラスベース物品410の厚さである。荷重リングおよび支持リング430,420は、硬度HRc>40の硬化鋼製である。RoR固定具は市販されている。
【0099】
RoR試験について意図された破損メカニズムは、荷重リング430内の表面430aから生じるガラスセラミック物品410の破損を観察することである。この領域の外側、すなわち、荷重リング430と支持リング420との間で発生する破損は、データ分析から省略される。しかしながら、ガラスセラミック物品410の薄さおよび高強度のために、標本の厚さhの1/2を超える大きな撓みが時折観察される。したがって、荷重リング430の下から生じる高い割合の破損を観察することは珍しいことではない。リングの内側および下の両方の応力発生(応力ゲージ分析により収集)ならびに各標本における破損の発生を知らなければ、応力を、正確に計算することができない。したがって、RoR試験は、測定された応答として、破損時のピーク荷重に焦点を当てている。
【0100】
ガラスベース物品の強度は、表面欠陥の存在により決まる。ただし、ガラスの強度は、本質的に統計的であるため、所定のサイズの欠陥が存在する可能性を正確に予測することはできない。したがって、確率分布を、得られたデータの統計学的表現として使用することができる。
【0101】
0.8mmの厚さを有するガラスセラミックを、表1におけるサンプル1の組成およびセラミック化計画により製造し、ついで、NaNO浴中において、470℃の温度で4時間、7時間および16時間の期間イオン交換した。ついで、イオン交換されたガラスセラミック中のNaO濃度を、電子マイクロプローブで測定して、イオン交換されたガラスセラミックの表面下の深さの関数として、NaO濃度プロファイルを決定した。イオン交換されたガラスセラミックの測定されたNaO濃度プロファイルを、図15に示す。
【0102】
0.8mmの厚さを有するガラスセラミックを、表1におけるサンプル1の組成およびセラミック化計画により製造し、ついで、NaNO浴中において、470℃の温度で3時間の期間イオン交換した。サンプルのリングオンリング強度を、イオン交換処理の後および標準化された摩耗時間についての種々の摩耗圧力での摩耗粒子による摩耗後に測定した。利用された摩耗圧力を、0psi(約0kPa)(摩耗せず)、5psi(約35kPa)、15psi(約103kPa)、25psi(約172kPa)および45psi(約310kPa)とした。摩耗により、ガラスセラミックの表面に欠陥が導入された。リングオンリング試験における種々の摩耗圧力について摩耗されかつイオン交換されたガラスセラミック物品の破損荷重により測定された保持強度を、図16に示す。
【0103】
本明細書に記載された全ての組成成分、関係および比は、特に断らない限り、質量%で提供される。本明細書に開示された全ての範囲は、範囲が開示される前または後に明示的に記載されているか否かにかかわらず、広く開示された範囲により包含される任意かつ全ての範囲および部分範囲を含む。
【0104】
当業者には、特許請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に対して、種々の修正および変形を行うことができることが明らかであろう。このため、本明細書は、このような修正および変形が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入るのであれば、本明細書に記載された種々の実施形態の修正および変形を包含することが意図される。
【0105】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0106】
実施形態1
ガラスセラミックであって、
二ケイ酸リチウムを含む第1の主結晶相と、
β-スポジュメンを含む第2の主結晶相と、
副結晶相として、マグネタイト、β-石英、クリストバライトおよびリン酸リチウムのうちの少なくとも1つと
を含み、
前記ガラスセラミックは、以下の色座標:
:15.0~35.0、
:-3.0~3.0および
:-5.0~5.0
により特徴付けられる、
ガラスセラミック。
【0107】
実施形態2
前記副結晶相が、マグネタイトおよびβ-石英を含む、実施形態1記載のガラスセラミック。
【0108】
実施形態3
前記ガラスセラミックが、0.9MPa・m0.5以上2.0MPa・m0.5以下の破壊靭性を有する、実施形態1または2記載のガラスセラミック。
【0109】
実施形態4
前記ガラスセラミックが、1.0MPa・m0.5以上1.5MPa・m0.5以下の破壊靭性を有する、実施形態1から3までのいずれか1つ記載のガラスセラミック。
【0110】
実施形態5
前記ガラスセラミックの中心が、
55.0質量%~75.0質量%のSiO
2.0質量%~20.0質量%のAl
5.0質量%~20.0質量%のLiO、
0質量%超~5.0質量%のNaO、
0.5質量%~5.0質量%のTiO
1.0質量%~6.0質量%のP
0.5質量%~10.0質量%のZrO
0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnOおよび
0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe
を含む、実施形態1から4までのいずれか1つ記載のガラスセラミック。
【0111】
実施形態6
前記ガラスセラミックの中心が、
55.0質量%~75.0質量%のSiO
2.0質量%~20.0質量%のAl
0質量%~5.0質量%のB
5.0質量%~20.0質量%のLiO、
0質量%~5.0質量%のNaO、
0質量%~4.0質量%のKO、
0質量%~8.0質量%のMgO、
0質量%~10.0質量%のZnO、
0.5質量%~5.0質量%のTiO
1.0質量%~6.0質量%のP
0.5質量%~10.0質量%のZrO
0質量%~0.4質量%のCeO
0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnO
0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe
0.1質量%~5.0質量%のNiO、
0.1質量%~5.0質量%のCo
0質量%~4.0質量%のMnO+MnO+Mn
0質量%~2.0質量%のCr
0質量%~2.0質量%のCuOおよび
0質量%~2.0質量%のV
を含む、実施形態1から5までのいずれか1つ記載のガラスセラミック。
【0112】
実施形態7
前記ガラスセラミックが、50質量%超の結晶化度を有する、実施形態1から6までのいずれか1つ記載のガラスセラミック。
【0113】
実施形態8
前記ガラスセラミックがイオン交換されていて、前記ガラスセラミックの表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層を備える、実施形態1から7までのいずれか1つ記載のガラスセラミック。
【0114】
実施形態9
前記圧縮深さが、少なくとも0.05tであり、tが、ガラスセラミックの厚さである、実施形態8記載のガラスセラミック。
【0115】
実施形態10
前記圧縮深さが、少なくとも40μmである、実施形態8または9記載のガラスセラミック。
【0116】
実施形態11
消費者向け電子製品であって、
前面、背面および側面を含むハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジング内に設けられた電気部品であって、少なくともコントローラ、メモリおよび前記ハウジングの前記前面に設けられたかまたは隣接して設けられたディスプレイを備える電気部品と、
前記ディスプレイ上に配設されたカバーガラスと
を備え、
前記ハウジングの少なくとも一部が、実施形態1から7までのいずれか1つ記載のガラスセラミックを含む、
消費者向け電子製品。
【0117】
実施形態12
消費者向け電子製品であって、
前面、背面および側面を含むハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジング内に設けられた電気部品であって、少なくともコントローラ、メモリおよび前記ハウジングの前記前面に設けられたかまたは隣接して設けられたディスプレイを備える電気部品と、
前記ディスプレイ上に配設されたカバーガラスと
を備え、
前記ハウジングの少なくとも一部が、実施形態8から10までのいずれか1つ記載のガラスセラミックを含む、
消費者向け電子製品。
【0118】
実施形態13
前駆体ガラスベース物品をセラミック化して、ガラスセラミックを形成するステップを含む方法であって、
前記ガラスセラミックが、
二ケイ酸リチウムを含む第1の主結晶相と、
β-スポジュメンを含む第2の主結晶相と、
副結晶相として、マグネタイト、β-石英、クリストバライトおよびリン酸リチウムのうちの少なくとも1つと
を含み、
前記ガラスセラミックが、以下の色座標:
:15.0~35.0、
:-3.0~3.0および
:-5.0~5.0
により特徴付けられる、
方法。
【0119】
実施形態14
前記セラミック化を、500℃以上900℃以下の温度で生じさせる、実施形態13記載の方法。
【0120】
実施形態15
前記セラミック化を、4時間以上16時間以下の期間にわたって生じさせる、実施形態13または14記載の方法。
【0121】
実施形態16
前記ガラスセラミックをイオン交換するステップをさらに含む、実施形態13から15までのいずれか1つ記載の方法。
【0122】
実施形態17
前記前駆体ガラスベース物品が、
55.0質量%~75.0質量%のSiO
2.0質量%~20.0質量%のAl
5.0質量%~20.0質量%のLiO、
0質量%超~5.0質量%のNaO、
0.5質量%~5.0質量%のTiO
1.0質量%~6.0質量%のP
0.5質量%~10.0質量%のZrO
0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnOおよび
0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe
を含む、実施形態13から16までのいずれか1つ記載の方法。
【0123】
実施形態18
前記前駆体ガラスベース物品が、
55.0質量%~75.0質量%のSiO
2.0質量%~20.0質量%のAl
0質量%~5.0質量%のB
5.0質量%~20.0質量%のLiO、
0質量%~5.0質量%のNaO、
0質量%~4.0質量%のKO、
0質量%~8.0質量%のMgO、
0質量%~10.0質量%のZnO、
0.5質量%~5.0質量%のTiO
1.0質量%~6.0質量%のP
0.5質量%~10.0質量%のZrO
0質量%~0.4質量%のCeO
0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnO
0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe
0.1質量%~5.0質量%のNiO、
0.1質量%~5.0質量%のCo
0質量%~4.0質量%のMnO+MnO+Mn
0質量%~2.0質量%のCr
0質量%~2.0質量%のCuOおよび
0質量%~2.0質量%のV
を含む、実施形態13から17までのいずれか1つ記載の方法。
【0124】
実施形態19
55.0質量%~75.0質量%のSiO
2.0質量%~20.0質量%のAl
5.0質量%~20.0質量%のLiO、
0質量%超~5.0質量%のNaO、
0.5質量%~5.0質量%のTiO
1.0質量%~6.0質量%のP
0.5質量%~10.0質量%のZrO
0.05質量%~0.5質量%のSnO+SnOおよび
0.1質量%~5.0質量%のFeO+Fe
を含む、ガラス。
【0125】
実施形態20
0質量%~5.0質量%のB
0質量%~4.0質量%のKO、
0質量%~8.0質量%のMgO、
0質量%~10.0質量%のZnO、
0質量%~0.4質量%のCeO
0質量%~5.0質量%のNiO、
0質量%~5.0質量%のCo
0質量%~4.0質量%のMnO+MnO+Mn
0質量%~2.0質量%のCr
0質量%~2.0質量%のCuOおよび
0質量%~2.0質量%のV
をさらに含む、実施形態19記載のガラス。
【0126】
実施形態21
0.1質量%~5.0質量%のNiOおよび
0.1質量%~5.0質量%のCo
のうちの少なくとも一方をさらに含む、実施形態19または20記載のガラス。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16