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特許7514833半導体装置、OTP読出回路及びOTP回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】半導体装置、OTP読出回路及びOTP回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 17/18 20060101AFI20240704BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G11C17/18
G11C5/14 500
G11C5/14 550
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021530544
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2020023082
(87)【国際公開番号】W WO2021005956
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2019125829
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(72)【発明者】
【氏名】竹中 省治
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-520473(JP,A)
【文献】特許第6494139(JP,B1)
【文献】特開2005-332964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 17/18
G11C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回のみデータをプログラム可能な第1のOTPセルを有するOTP回路と、
前記データを読み出すための読出可能電圧を生成する読出可能信号出力部とを備え、
前記OTP回路は、前記読出可能信号出力部からの前記読出可能電圧により前記第1のOTPセルにプログラムされたデータを読み出し、
前記読出可能信号出力部は、
前記OTP回路に備えられた前記第1のOTPセルと同一構成からなる第2のOTPセルと、第2の定電流が流れる第2の定電流源を備え、
前記第2のOTPセルは、第2トランジスタを有し、
前記第2の定電流源の電流が前記第2トランジスタに流れることにより生成された前記読出可能電圧を前記OTP回路に出力する、OTP読出回路。
【請求項2】
前記OTP回路は、第1の定電流が流れる第1の定電流源を備え、
前記第1のOTPセルは、
第1ゲートに前記第1の定電流源から電流が供給され、第1ソースが第1抵抗を介してグランドに接続された第1トランジスタと、
第2ゲートに前記第1の定電流源から電流が供給され、第2ソースがグランドに接続されたメモリトランジスタとを有し、
前記第1トランジスタと前記メモリトランジスタとは、カレントミラー回路を構成し、前記メモリトランジスタにプログラムされたデータを読み出す、請求項に記載のOTP読出回路。
【請求項3】
前記第1のOTPセルは、
第1ゲートに書き込み電圧が印加され、第1ソースが第1抵抗を介してグランドに接続された第1トランジスタと、
第2ゲートと第2ソースに前記書き込み電圧が印加され、ドレインがグランドに接続されたメモリトランジスタとを有し、
前記第1トランジスタと前記メモリトランジスタとは、カレントミラー回路を構成し、
前記メモリトランジスタに電流を流すことにより前記メモリトランジスタにデータをプログラムする、請求項に記載のOTP読出回路。
【請求項4】
前記第1のOTPセルにプログラムされたデータは、トリミング情報である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のOTP読出回路。
【請求項5】
前記第1のOTPセルにプログラムされたデータは、外部機器の補正情報である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のOTP読出回路。
【請求項6】
前記OTP回路は、前記第1の定電流源により電流を流し、前記第1トランジスタの第1閾値電圧と前記メモリトランジスタの、前記第1閾値電圧より大きい第2閾値電圧とを徐々に上昇させ、前記第1トランジスタに電流が流れた後に前記メモリトランジスタにプログラムされたデータをデータプログラム前後の電流量の変動率を表すプログラム倍率がおよそ最大となる電圧で読み出す、請求項に記載のOTP読出回路。
【請求項7】
1回のみデータをプログラム可能な第1のOTPセルと、
定電流が流れる定電流源とを備え、
前記第1のOTPセルは、
第1ゲートに前記定電流源から電流が供給され、第1ソースが第1抵抗を介してグランドに接続された第1トランジスタと、
第2ゲートに前記定電流源から電流が供給され、第2ソースがグランドに接続されたメモリトランジスタとを有し、
前記第1トランジスタと前記メモリトランジスタとは、カレントミラー回路を構成し、
前記定電流源により電流を流し、前記第1トランジスタの第1閾値電圧と前記メモリトランジスタの、前記第1閾値電圧より大きい第2閾値電圧とを徐々に上昇させ、前記第1トランジスタに電流が流れた後に前記メモリトランジスタにプログラムされたデータをデータプログラム前後の電流量の変動率を表すプログラム倍率がおよそ最大となる電圧で読み出す、OTP回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、OTP読出回路及びOTP回路に関する。
【背景技術】
【0002】
OTP(ワンタイムプログラマブル)セルを有するOTP回路を備えたLSI(大規模集積回路)において、電源が投入されて電源電圧が基準電圧源の基準電圧になると、電源オンをリセットするためのリセット解除信号が制御回路に出力される。制御回路は、リセット解除信号により動作し、OTP回路もリセット解除信号により動作する。制御回路は、OTPセルにデータをプログラムし、OTPセルからデータを読み出し、読み出したデータをトリミング情報として出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-195746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基準電圧源の基準電圧がばらつくため、例えば、上限値2.1Vにならないと、リセット解除信号が制御回路とOTP回路に出力されない。このため、OTPセルの読出電圧が例えば、1.8Vであっても、リセットが解除されないため、OTPセルからデータを読み出しできない。
【0005】
本実施の形態は、セルフで記憶素子のデータを読み出すことができる半導体装置、OTP読出回路及びOTP回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一態様によれば、半導体装置は、データを記憶する第1記憶素子と、前記第1記憶素子と同一構成からなる第2記憶素子を備え、前記第2記憶素子の状縦に基づいて前記第1記憶素子の前記データが読み出し可能であると判断し、読出可能信号を出力する読出可能信号出力部とを備える。
【0007】
本実施の形態の一態様によれば、1回のみデータをプログラム可能な第1のOTPセルと、定電流が流れる定電流源とを備え、前記第1のOTPセルは、第1ゲートに前記定電流源から電流が供給され、第1ソースが第1抵抗を介してグランドに接続された第1トランジスタと、第2ゲートに前記定電流源から電流が供給され、第2ソースがグランドに接続されたメモリトランジスタとを有し、前記第1トランジスタと前記メモリトランジスタとは、カレントミラー回路を構成し、前記定電流源により電流を流し、前記メモリトランジスタのゲート-ソース間電圧Vth1と前記第1トランジスタのゲート-ソース間電圧Vth2とを徐々に上昇させ、Vth1とVth2との差分を用いて前記第1トランジスタに電流が流れた後に、前記メモリトランジスタにプログラムされたデータを、データプログラム前後の電流量の変動率を表すプログラム倍率が最大となる電圧で読み出す。
【発明の効果】
【0008】
本実施の形態によれば、セルフで記憶素子のデータを読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るOTP回路を備えたLSIの基本構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るOTP読出回路を備えたLSIを示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るOTP読出回路に有するOTP回路の概略構成図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るOTP読出回路に有する読出完了電圧出力部の概略構成図である。
図5図5は、図3に示すOTP回路の具体的な回路構成図である。
図6図6は、図4に示す読出完了電圧出力部の具体的な回路構成図である。
図7図7は、図3に示すOTP回路の具体的な回路のデータ読み出し時の動作を説明する図である。
図8図8は、図3に示すOTP回路の具体的な回路のデータをプログラムする時の動作を説明する図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るOTP読出回路において、図5に示すOTP回路内にバイアス回路を設けた場合にリード条件がピンポイントに設定できる様子を示す図である。
図10図10は、図5に示すOTP回路内にバイアス回路を設けない場合にリード条件が広がる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る半導体装置、OTP読出回路について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、参照される図面は模式的なものである。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、共通する参照符号を付す。
【0011】
(第1の実施形態)
実施の形態に係る半導体装置は、データを記憶する第1記憶素子と、第1記憶素子と同一構成からなる第2記憶素子を備え、第2記憶素子の状態に基づいて第1記憶素子のデータが読み出し可能であると判断し、読出可能信号を出力する読出可能信号出力部とを備える。第1記憶素子及び第2記憶素子の各々は、不揮発性メモリであり、例えば、メモリセルからなるOTPセル、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM( Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等である。
【0012】
実施の形態に係る半導体装置によれば、読出可能信号出力部は、第2記憶素子の状態に基づいて第1記憶素子のデータが読み出し可能であると判断し、読出可能信号を出力する。このため、セルフで第1記憶素子のデータを読み出すことができる。
【0013】
以下、半導体装置の第1記憶素子及び第2記憶素子がOTPセルである場合に、OTPセルを備えたOTP回路及びOTPセルに記憶されたデータを読み出すOTP読出回路について説明する。図1は実施形態に係るOTP回路を備えたLSIの基本構成を示す。このLSIは、可変電源31とオペアンプ32とで構成される基準電圧源30と、パワーオンリセット回路(POR回路)33と、制御回路14と、制御回路14に接続されるOTP回路10a,10bとを備えている。
【0014】
OTP回路10a,10bの各々は、複数のOTPセルを有し、各々のOTPセルは、1ビットのデータをプログラム(書き込み)でき、データを読み出しできる。OTP回路10a,10bは、例えば、8ビットデータで構成されている。
【0015】
基準電圧源30は、基準電圧をPOR回路33の反転入力端子(-)に出力する。POR回路33は、コンパレータから構成され、非反転入力端子(+)に入力される電圧VDDと反転入力端子に入力される基準電圧VREFとを比較し、電圧VDDが基準電圧になったとき、リセット解除信号XUVLOを制御回路14に出力する。
【0016】
制御回路14は、デジタル回路で構成され、リセット解除信号により起動するとともに、リセット解除信号をOTP回路10a,10bに出力する。OTP回路10a,10bは、リセット解除信号により動作する。制御回路14は、OTP回路10a,10b内のOTPセルにデータ(PROG)をプログラムし、また、入力信号(DIN)を入力して、OTP回路10a,10b内のOTPセルから1ビットずつデータとEND信号とを読み出すことができる。
【0017】
また、制御回路14は、OTP回路10a内のOTPセルから読み出したデジタルデータをアナログデータに変換して、このアナログデータを基準電圧源30の電圧を可変するためのトリミング情報として出力することもできる。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係るOTP読出回路を備えたLSIを示す図である。図1に示すLSIでは、OTP回路10aが制御回路14からのリセット解除信号によりOTPセルにプログラムされたデータを読み出していたが、図2に示す第1の実施形態に係るOTP読出回路3は、制御回路14からのリセット解除信号を入力することなく、基準電圧源30の基準電圧がばらついても、セルフで、OTPセルからデータを読み出すことを特徴とする。
【0019】
図2に示すLSIは、図1に示すLSIに対して、OTP読出回路3が異なるので、ここでは、OTP読出回路3を主に説明する。OTP読出回路3は、制御回路14に接続されるOTP回路1aと、OTP回路1aに接続される読出可能信号出力部2とを備える。
【0020】
OTP回路1aは、複数のOTPセルを有し、各々のOTPセルは、1ビットのデータをプログラムでき、データを読み出しできる。OTP回路1aは、例えば、8ビットデータで構成されている。
【0021】
制御回路14は、OTP回路1a,10b内のOTPセルにデータ(PROG)をプログラムし、また、入力信号(DIN)を入力して、OTP回路1a,10bから1ビットずつデータとEND信号とを読み出す。
【0022】
また、制御回路14は、OTP回路1aから読み出したデジタルデータをアナログデータに変換して、このアナログデータをトリミング情報として基準電圧源30に出力することもできる。
【0023】
OTP回路1aは、1回のみデータをプログラム可能なOTPセルを有する。読出可能信号出力部2は、OTP回路1a内のOTPセルにプログラムされたデータを読み出すための読出可能電圧を生成し、生成された読出可能電圧をOTP回路1aに出力する。OTP回路1aは、読出可能信号出力部2からの読出可能電圧によりOTPセルにプログラムされたデータを読み出す。
【0024】
OTP回路1aは、概略的には、図3に示すように、定電流源11と、OTPセルを有するメモリセル情報取得部12と、センスアンプ13とを備えている。定電流源11は、メモリセル情報取得部12に定電流を流すことで、OTPセルに印加される電圧を上昇させ、OTPセルに一定電流を流す。センスアンプ13は、OTPセルに一定電流が流れると、OTPセルにプログラムされたデータを読み出して出力する。
【0025】
読出可能信号出力部2は、定電流源21と、OTPセルを有するメモリセル情報取得部22と、コンパレータ23とを備えている。定電流源21は、OTP回路1aに有する定電流源11と同一構成からなる。メモリセル情報取得部22に有するOTPセルは、OTP回路1a内のメモリセル情報取得部12に有するOTPセルと同一構成からなる。
【0026】
定電流源21は、メモリセル情報取得部22に定電流を流すことで、OTPセルに印加される電圧を上昇させ、OTPセルに一定電流を流す。コンパレータ23は、メモリセル情報取得部22の出力電圧が基準電圧E1(例えば1V)以上の場合に、メモリセル情報取得部12に有するOTPセルにプログラムされたデータを読み出すための読出可能電圧RVOをOTP回路1aのXRST端子に出力する。
【0027】
このように構成された第1の実施形態に係るOTP読出回路3によれば、読出可能信号出力部2内のメモリセル情報取得部22に定電流が流れて、OTPセルに印加される電圧が上昇して、OTPセルに一定電流が流れる。すると、コンパレータ23からメモリセル情報取得部12に有するOTPセルのデータを読み出すための読出可能電圧RVOがOTP回路1aのXRST端子に出力される。
【0028】
OTP回路1aでは、XRST端子に読出完了電圧RVOが入力されると、定電流源11が動作して、メモリセル情報取得部12に定電流が流れて、OTPセルに一定電流が流れる。即ち、メモリセル情報取得部12に有するOTPセルとメモリセル情報取得部22に有するOTPセルとは、同一構成のOTPセルからなるので、メモリセル情報取得部12に有するOTPセルの読出可能電圧とメモリセル情報取得部22に有するOTPセルの読出可能電圧とは、同じになる。このため、読出可能信号出力部2からの読出可能電圧によりOTPセルのデータを読み出すことができる。
【0029】
従って、制御回路14等の外部からのリセット解除信号を入力することなく、また、基準電圧源30の基準電圧がばらついても、セルフで、OTP読出回路3は、OTP回路1a内のOTPセルからデータを読み出すことができる。従って、他の回路が動作するのに必要な電源電圧に達していなくても、その電圧よりも低い電圧でOTPセルのデータを読み出すことができ、LSIの電源立ち上げ後に直ちにトリミングを行うことができる。
【0030】
(OTP読出回路3の具体的構成例)
次に、OTP読出回路3の具体的構成例を説明する。図5は、図3に示すOTP回路1aの具体的な回路構成図である。図5において、定電流源11は、MOSFETQ1~Q7と、スイッチS1~S6と、抵抗R1~R2とを有している。MOSFETQ1,Q2,Q5,Q6,Q7は、Pチャネルからなり、ソースが電源VDDに接続される。MOSFETQ3,Q4は、Nチャネルからなり、ソースが抵抗R1を介してグランドVSSに接続される。MOSFETQ3のゲートは,グランドVSSに接続され、MOSFETQ4のゲートは、抵抗R2を介してグランドVSSに接続される。MOSFETQ3の構成は、MOSFETQ4の構成とは異なる。
【0031】
メモリセル情報取得部12は、MOSFETQ8~Q10と、トランジスタMSと、トランジスタMRと、抵抗R3,R4と、OTPメモリトランジスタM0(OTPセル、メモリトランジスタに相当)を有している。MOSFETQ8とトランジスタMSと抵抗R3との直列回路は、MOSFETQ6のドレインとグランドVSSとの間に接続される。MOSFETQ9とトランジスタMR(第1トランジスタに相当)と抵抗R4との直列回路は、MOSFETQ7のドレインとグランドVSSとの間に接続される。
【0032】
トランジスタMRのゲートとOTPメモリトランジスタM0(OTPセル、メモリトランジスタに相当)のゲートとは、MOSFETQ7のドレインに接続される。トランジスタMRのソースは、抵抗R4を介してグランドに接続され、OTPメモリトランジスタM0のソースは、グランドに接続される。
【0033】
トランジスタMRのドレインは、MOSFETQ9のソースに接続され、OTPメモリトランジスタM0のドレインは、MOSFETQ10のソースに接続される。即ち、トランジスタMRとOTPメモリトランジスタM0とは、カレントミラー回路を構成している。
【0034】
センスアンプ13は、MOSFETQ11~Q13と、OTPメモリトランジスタM1、スイッチS7~S12と、抵抗R5と、コンデンサC1,C2、インバータIN1~IN5を有している。電源VDDとグランドVSSとの間には、MOSFETQ11とMOSFETQ10とOTPメモリトランジスタM0とが接続される。電源VDDとグランドVSSとの間には、MOSFETQ12とMOSFETQ13とOTPメモリトランジスタM1とが接続される。
【0035】
MOSFETQ11とMOSFETQ12とは、フリップフロップ回路を構成する。MOSFETQ12のドレインからインバータIN1~IN3を介してOTPメモリトランジスタM0から読み出されたデータがDOUT端子から出力される。
【0036】
図6は、図3に示す読出可能信号出力部2の具体的な回路構成図である。図6において、定電流源21は、MOSFETQ21~Q27と、スイッチS21~S26と、抵抗R11~R12とを有している。MOSFETQ21,Q22,Q25,Q26,Q27は、Pチャネルからなり、ソースが電源VDDに接続される。MOSFETQ23,Q24は、Nチャネルからなり、ソースが抵抗R11を介してグランドVSSに接続される。MOSFETQ23のゲートは,グランドVSSに接続され、MOSFETQ24のゲートは、抵抗R12を介してグランドVSSに接続される。MOSFETQ23の構成は、MOSFETQ24の構成とは異なる。
【0037】
メモリセル情報取得部22は、MOSFETQ28~Q30と、トランジスタMSと、トランジスタMR、OTPメモリトランジスタM0(OTPセルに対応)、抵抗R13~R15とを有している。MOSFETQ28とトランジスタMSと抵抗R13との直列回路は、MOSFETQ26のドレインとグランドVSSとの間に接続される。MOSFETQ29とトランジスタMRと抵抗R14との直列回路は、MOSFETQ27のドレインとグランドVSSとの間に接続される。
【0038】
なお、図6に示すメモリセル情報取得部22内のトランジスタMSとトランジスタMRとOTPメモリトランジスタM0とは、図5に示すメモリセル情報取得部12内のトランジスタMSとトランジスタMRとOTPメモリトランジスタM0と同一構成であることを示している。
【0039】
コンパレータ23は、MOSFETQ31~Q37と、スイッチS27~S31と、抵抗R16~R18と、コンデンサC3、インバータIN7~IN8を有している。電源VDDには、MOSFETQ31のソースとMOSFETQ32のソースとMOSFETQ33のソースとMOSFETQ34のソースとMOSFETQ37のソースとが接続される。
【0040】
MOSFETQ31のドレインとグランドVSSとの間には、MOSFETQ30とOTPメモリトランジスタM0と抵抗R15との直列回路が接続される。MOSFETQ32のドレインとグランドVSSとの間には、抵抗R16と抵抗R17との直列回路が接続される。MOSFETQ37のゲートは、MOSFETQ31のゲートとMOSFETQ32のゲートとに接続される。MOSFETQ37のドレインは、スイッチS29の一端に接続され、スイッチS29の他端は、抵抗R16と抵抗R17との間に接続される。電源VDDの電圧を抵抗R16と抵抗R17との比で検出可能であり、電源VDDの電圧がすごく低い場合でも検出可能である。
【0041】
MOSFETQ33のドレインにはMOSFETQ35のドレインが接続され、MOSFETQ34のドレインにはMOSFETQ36のドレインが接続され、MOSFETQ35のソースとMOSFETQ36のソースとは抵抗R18を介してグランドVSSに接続される。
【0042】
MOSFETQ36のゲートは,グランドVSSに接続され、MOSFETQ35のゲートは、抵抗R17を介してグランドVSSに接続される。MOSFETQ35の構成は、MOSFETQ36の構成とは異なる。MOSFETQ36のドレインに接続されるインバータIN7から読出可能電圧RVOが出力される。
【0043】
次に、図5及び図6を参照しながら、読出可能信号出力部2の動作及びOTP回路1aのデータの読み出しを説明する。
【0044】
まず、読出可能信号出力部2の定電流源21において、スイッチS22,S23がオンすると、MOSFETQ21,Q22,Q23,Q24,Q25,Q26,Q27がオンする。MOSFETQ23のゲートは、グランドに接続され、MOSFETQ24のゲートには抵抗R12が接続されているため、MOSFETQ23のゲートとMOSFETQ24のゲートとに電位差Vthが発生する。この電位差Vthが定電圧源となり、定電圧源によりMOSFETQ25,Q26,Q27に電流が流れる。
【0045】
MOSFETQ26に流れる電流により、MOSFETQ28,Q29,Q30のゲート電位が上昇する。このため、MOSFETQ26→MOSFETQ28→トランジスタMS→抵抗R13の経路で電流が流れる。また、MOSFETQ27→MOSFETQ29→トランジスタMR→抵抗R14の経路で電流が流れる。
【0046】
MOSFETQ30のゲート電位とOTPメモリトランジスタM0のゲート電位が上昇し、MOSFETQ31→MOSFETQ30→OTPメモリトランジスタM0→抵抗R15の経路で電流が流れる。すると、MOSFETQ32から抵抗R16と抵抗R17に電流が流れる。MOSFETQ35のゲートには、抵抗R17に流れる電流と抵抗R17とにより発生する電圧が印加され、MOSFETQ36のゲートは、グランドに接続されているため、MOSFETQ35のゲートとMOSFETQ36のゲートとには、電位差Vthが発生する。
【0047】
電位差Vthがコンパレータ23の基準電圧E1となり、トランジスタMS、トランジスタMR、OTPメモリトランジスタM0に一定電流が流れたときの電圧、即ち読出可能電圧(電圧VDDよりも低い電圧)と、基準電圧E1(例えば1V)である電位差Vthとが比較される。読出可能電圧が電位差Vth未満の場合には、読出可能電圧がインバータIN7からRVO端子に出力されないが、読出可能電圧が電位差Vth以上になると、読出可能電圧がインバータIN7からRVO端子に出力される。
【0048】
次に、図5及び図7に示すOTP回路1aのデータの読み出しを説明する。OTP回路1aに読出可能電圧が入力されると、スイッチS2,S3がオンし、MOSFETQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7がオンする。MOSFETQ3のゲートは、グランドに接続され、MOSFETQ4のゲートには抵抗R1が接続されているため、MOSFETQ3のゲートとMOSFETQ4のゲートとに電位差Vthが発生する。この電位差Vthが定電圧源となり、定電圧源によりMOSFETQ5,Q6,Q7に電流が流れる。
【0049】
MOSFETQ6に流れる電流により、MOSFETQ8,Q9,Q10のゲート電位が上昇する。このため、MOSFETQ6→MOSFETQ8→トランジスタMS→抵抗R3の経路で電流IGATEが流れる。また、MOSFETQ7→MOSFETQ9→トランジスタMR→抵抗R4の経路で電流が流れる。
【0050】
ここで、抵抗R4の一端をトランジスタMRのソースに接続し、OTPメモリトランジスタM0のソースをグランドVSSに接続したので、OTPメモリトランジスタM0には大きな電流が流れ、トランジスタMRには電流はほとんど流れない。OTPメモリトランジスタM0に大きな電流が流れることで、OTPメモリトランジスタM0からデータ“1”をDOUT端子に読み出すことができる。
【0051】
図8は、図3に示すOTP回路1aの具体的な回路のデータをプログラムする時の動作を説明する図である。図8のデータプログラム時の構成は、図7のデータ読み出し時の構成に対して、スイッチS13~S16を追加している。スイッチS13は書き込み電圧とMOSFETQ9のドレインとの間に接続し、スイッチS14は書き込み電圧とOTPメモリトランジスタM0のソースとの間に接続する。スイッチS15の一端はOTPメモリトランジスタM0のソースに接続し、他端はグランドに接続する。スイッチS16の一端はOTPメモリトランジスタM0のドレインに接続し、他端はグランドに接続する。書き込み電圧は、例えば7Vとし、制御回路14から供給される。
【0052】
OTPメモリトランジスタM0にデータをプログラムする時には、スイッチS13,S14,S16をオンさせる。すると、OTPメモリトランジスタM0のゲートとソースとに7Vが印加され、OTPメモリトランジスタM0のドレインに0Vが印加されるので、OTPメモリトランジスタM0はオンし、大きな電流がOTPメモリトランジスタM0に流れ込む。このため、OTPメモリトランジスタM0にデータがプログラムされる。
【0053】
なお、OTPセルにプログラムされたデータは、基準電圧源30の基準電圧を補正するためのトリミング情報であってもよい。このトリミング情報をOTPセルから読み出して可変電源31の電圧を補正することで、基準電圧を補正することができる。
【0054】
また、OTPセルにプログラムされたデータは、トリミング情報に限定されるものではない。OTPセルにプログラムされたデータは、例えば、OTPセルに、表示パネルや写真機等の外部機器の補正情報をプログラムし、OTP読出回路は、プログラムされた補正情報を読み出し、補正情報を用いて表示パネルや写真機のパラメータ等を補正するようにしてもよい。
【0055】
また、OTPセルにプログラムされたデータは、センサの作り込みばらつきを補正(トリミング)するための情報(気圧センサ、ジャイロ等)、LEDの作り込みばらつきを補正するための情報、パワートランジスタを駆動するドライバをパワートランジスタに合わせて補正する情報、IC自身のばらつきを補正し出力精度を向上させる情報、セットにより起動シーケンスを変更する情報、部品の温度により特性を補正する情報、ウェハのロット番号(Wa.Lot.No.)や組み立てロット番号(Lot.No.)等の製造時のトレースを行える情報、セットの異常を検知しどんな保護が行われてシステムを遮断したかの情報、モータ駆動における初期位置を補正する情報であってもよい。これらの情報をOTPセルにプログラムし、OTPセルから情報を読み出してもよい。
【0056】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施形態に係るOTP回路について説明する。図5に示すOTP回路1aにおいては、OTPメモリトランジスタM0にデータをプログラムする前の電流量に対して、データをプログラムした後の電流量は、大幅に変動する。ここで、データをプログラムする前とプログラムした後の電流量の変動率をプログラム倍率という。
【0057】
データをプログラムした後のOTPメモリトランジスタM0のゲート-ソース間の電位差Vthは、プログラム前からプログラム後で、例えば0.8Vから2Vにシフトする。この電位差Vthは、プログラム倍率が最大となる電圧で飽和する。
【0058】
このため、プログラム倍率が最大となる電圧で、データを読み出しやすくするために、電位差Vthの差分を用いてデータを読み出す。このため、図6に示すトランジスタMRとOTPメモリトランジスタM0とからなるカレントミラー回路を採用している。
【0059】
また、OTPメモリトランジスタM0にプログラムされたデータを読み出すとき、バイアス回路からなる定電流源11により、トランジスタMRとOTPメモリトランジスタM0に定電流を流し、トランジスタMRとOTPメモリトランジスタM0のゲート-ソース間電圧Vgs=ドレイン-ソース間電圧Vdsを徐々に上昇させていく。
【0060】
このとき、低い電位差Vth1(第1閾値電圧)を有するトランジスタMRに先に電流が流れて、高い電位差Vth2(第2閾値電圧)を有するプログラムされたOTPメモリトランジスタM0は、後に電流が流れる。このため、トランジスタMRに電流が流れた後に、OTPメモリトランジスタM0にプログラムされたデータをプログラム倍率がおよそ最大となる電圧で、読み出すことができる。
【0061】
図9に、OTP回路1a内にバイアス回路を設けた場合に、データのリード条件をピンポイントに設定できる様子を示す。図9では、電圧Vgsとプログラム倍率との関係を示している。ゲート-ソース間電圧Vgsを上昇させていき、所定電圧になると、プログラム倍率が最大となる。
【0062】
このため、OTPメモリトランジスタM0にプログラムされたデータを読み出す時に、プログラム倍率がおよそ最大となる電圧でデータを読み出すことで、データ読み出しの安定化を図ることができる。また、プログラム倍率がおよそ最大となる電圧でデータを読み出すので、プログラム時間を短縮することができる。
【0063】
なお、図10にOTP回路1a内にバイアス回路を設けない場合に、データのリード条件が広がる様子を示す。
【0064】
以上のように、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1a,10a,10b OTP回路
2 読出可能信号出力部
3 OTP読出回路
11,21 定電流源
12,22 メモリセル情報取得部
13 センスアンプ
23 コンパレータ
14 制御回路
30 基準電圧源
31 可変電源
32 オペアンプ
33 パワーオンリセット回路(POR回路)
Q1~Q13,Q21~Q36 MOSFET
MS,MR トランジスタ
M0,M1 OTPメモリトランジスタ
S1~S12,S21~S31 スイッチ
R1~R5,R11~R18 抵抗
IN1~IN8 インバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10