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特許7514859パーキンソン病の治療に使用するための新規なカテコールアミンプロドラッグ
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  • 特許-パーキンソン病の治療に使用するための新規なカテコールアミンプロドラッグ 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】パーキンソン病の治療に使用するための新規なカテコールアミンプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07H 17/02 20060101AFI20240704BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240704BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240704BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240704BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240704BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240704BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C07H17/02 CSP
A61K31/706
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/00
A61P25/30
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021560668
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2020063915
(87)【国際公開番号】W WO2020234275
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】PA201900610
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】591143065
【氏名又は名称】ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】ヨルゲンセン,モルテン
(72)【発明者】
【氏名】ジュール,マルチン
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン,クラウス,ジェルビッグ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/026934(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/097092(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/101917(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K 31/7
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Id)
【化1】

(式中、R1及びR2は、以下のa)~c):
a)R1は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択され、及びR2は、以下の置換基(i)であること、又は
b)R1は、以下の置換基(i)であり、及びR2は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択されること、又は
c)R1及びR2は、両方とも以下の置換基(i)
【化2】

によって表されること
に従い、
R3は、H及び-C(O)C~Cアルキルから選択され、
*は、結合点を示し、
置換基(i)上の結合点での炭素原子は、S立体配置であり、
ただし、R1又はR2の一方が置換基(i)であり、及びR3がHである場合、R1又はR2の他方は、直鎖-C(O)C~Cアルキルであることができない)
による化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項2】
R1は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択され、及びR2は、置換基(i)である、請求項1に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項3】
R1は、置換基(i)であり、及びR2は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項4】
R1及びR2は、両方とも置換基(i)によって表される、請求項1に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項5】
R1又はR2は、-C(O)メチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項6】
R3は、-C(O)メチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項7】
R3は、Hである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項8】
R1及びR2の一方は、Hであり、R1及びR2の一方は、置換基(i)であり、R3は、Hである、請求項1又は5に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項9】
(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[[(4aR,10aR)-1-プロピル-6-[(2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[g]キノリン-7-イル]オキシ]-3,4,5-トリアセトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチルアセテート;及び
(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又は前記化合物のいずれかの薬剤として許容される塩。
【請求項10】
(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;及び
(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又は前記化合物のいずれかの薬剤として許容される塩。
【請求項11】
以下の式:
【化3】

の、請求項1に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項12】
以下の式:
【化4】

の、請求項1に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項13】
以下の式:
【化5】

の、請求項1に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項14】
薬物として使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項15】
治療有効量の、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩と、1種又は複数の薬剤として許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項16】
経口投与のための錠剤及びカプセル剤から選択される経口医薬組成物である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群及びアルツハイマー病から選択される神経変性疾患若しくは障害又は精神分裂病、注意欠陥多動障害及び薬物嗜癖から選択される神経精神患若しくは障害の治療で使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【請求項18】
パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群及びアルツハイマー病から選択される神経変性疾患若しくは障害又は精神分裂病、注意欠陥多動障害及び薬物嗜癖から選択される神経精神患若しくは障害の治療に用いる、請求項15または16に記載の医薬組成物
【請求項19】
パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群及びアルツハイマー病から選択される神経変性疾患若しくは障害の治療のための、又は精神分裂病、注意欠陥多動障害及び薬物嗜癖から選択される神経精神疾患若しくは障害の治療のための薬物の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーパミンアゴニスト(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオールのプロドラッグである化合物と、パーキンソン病並びに/又は限定されないが、下肢静止不能症候群、ハンチントン病及びアルツハイマー病など、及びまた限定されないが、精神分裂病、注意欠陥多動障害及び薬物嗜癖などの神経精神疾患及び障害など、ドーパミンアゴニストでの治療が治療上有益な他の症状の治療でのその使用とを提供する。本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物も提供する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病(PD)は、年齢と共に一層蔓延する一般的な神経変性疾患であり、世界的に推定で七百万人~一千万人の人々に影響を及ぼす。パーキンソン病は、運動性及び非運動性の両方の症状を特徴とする多面的な疾患である。運動性症状としては、安静時振せん(震え)、動作緩慢/無動症(動作の緩慢さ及び欠如)、筋固縮、姿勢の安定性及び歩行機能不全が挙げられ、非運動性症状としては、神経精神障害(例えば、鬱病、精神病性症状、不安、感情鈍麻、軽度認知障害及び認知症)並びに自律神経障害及び睡眠障害(Poewe et al.,Nature Review,(2017)vol3 article 17013:1-21)が挙げられる。
【0003】
パーキンソン病の病態生理の重要な顕著な特徴は、線条体及び他の脳領域へのドーパミン作動性神経支配を提供する黒質緻密部における色素性ドーパミン作動性神経細胞の減少である。かかる進行性神経変性は、ドーパミン線条体レベルの低下を引き起こし、その結果、最終的に大脳基底核回路網の一連の変化が生じ、最後にパーキンソン病の4つの主要運動特徴が現れる。線条体におけるドーパミンの主要な標的は、組織分布的突起が突出した、D1又はD2受容体を選択的に発現する中型有棘GABA作動性神経細胞(MSN)からなる。線条体淡蒼球系「間接的経路」とも呼ばれる、外側淡蒼球に投射するGABA作動性MSNは、D2受容体(MSN-2)を発現する。線条体黒質系「直接経路」とも呼ばれる、黒質網様部及び内側淡蒼球に投射するGABA作動性-MSNは、D1受容体(MSN-1)を発現する。ニューロン減少のためのドーパミンの欠乏により、2つの経路の活性が不均衡となり、その結果、視床及び皮質出力活性が著しく減少し、最終的に運動機能不全が生じる(Gerfen et al,Science(1990)250:1429-32;Delong,(1990)Trends in Neuroscience 13:281-5;Alexander et Crutcher,(1990)Trends in Neuroscience 13:266-71及び概説に関してはPoewe et al.,Nature Review(2017)vol.3 article 17013:1-21)。
【0004】
パーキンソン病に罹患しており、且つ運動性症状のコントロールを目標とする患者に利用可能な最も有効な治療戦略は、主に間接的及び直接的ドーパミンアゴニストである。古典的且つ金標準の療法としては、脳において脱カルボキシル化されてドーパミンを形成するL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)の慢性的な経口摂取が挙げられる。他のアプローチは、D1及びD2受容体サブタイプの両方に作用するアポモルヒネ又はプラミペキソール、ロピニロール及びD2受容体サブタイプに対して優勢に向けられる他のアゴニストなどのドーパミン受容体アゴニストの投与を含む。D1及びD2受容体サブタイプの両方の活性化のため並びに間接的-直接的経路の全体論的な再平衡のため(すなわちD2アゴニストのみが間接的経路の機能不全を逆戻りさせる)、最適なMR(動かすと症状が軽減すること)は、L-DOPA及びアポモルヒネの両方の使用で得られる。
【0005】
以下に示す構造を有するL-DOPA及びアポモルヒネは、現在、臨床的使用において最も有効なPD薬物である。
【化1】
【0006】
L-DOPAは、ドーパミンのプロドラッグであり、運動性パーキンソン病の治療における最も有効な薬物であり続けている。しかしながら、治療の数年(すなわちハネムーン期間)後、疾患の固有の進行(すなわちドーパミン作動性神経細胞の持続した減少)及びL-DOPAの乏しい薬物動態学的(PK)プロファイルのために合併症が起こる。その合併症としては、1)薬物の最適な「時間通りの効果」中に起こる異常な不随意運動であるジスキネジア、及び2)その期間中にL-DOPAのポジティブな効果が徐々に減少し、症状が再び現れるか又は悪化する変動外の期間(Sprenger and Poewe,CNS Drugs(2013),27:259-272)が挙げられる。
【0007】
直接ドーパミン受容体アゴニストは、ドーパミン自己受容体並びに中型有棘神経細胞MSN-1及びMSN-2上に位置するシナプス後ドーパミン受容体を活性化することができる。アポモルヒネは、1,2-ジヒドロキシベンゼン(カテコール)部位を有するドーパミンアゴニストのクラスに属する。フェネチルアミンモチーフと組み合わせた場合、カテコールアミンは、アポモルヒネの場合と同様に経口バイオアベイラビリティが低いか又は全くない場合が多い。アポモルヒネは、臨床的に、非経口送達(一般に断続的な皮下投与又はポンプによる日中の連続的な非経口的注入)ではあるが、PD治療に使用される。アポモルヒネに関して、動物研究から、経皮送達又は植込錠によって可能性のある投与形態が提供され得ることが示されている。しかしながら、植込錠からのアポモルヒネの送達がサルで研究された場合(Bibbiani et al.,Chase Experimental Neurology(2005),192:73-78)、大部分の事例において、植込手術後の局所的刺激及び他の合併症を防ぐために動物を免疫抑制薬デキサメタゾンで治療しなければならなかったことが判明した。吸入及び舌下製剤などのPDにおけるアポモルヒネ療法の代替の送達戦略が広範に探求されている(例えば、Grosset et al.,Acta Neurol Scand.(2013),128:166-171及びHauser et al.,Movement Disorders(2016),Vol.32(9):1367-1372を参照されたい)。しかしながら、これらの試みは、PDの治療に対して依然として臨床的になされていない。
【0008】
カテコールアミンの非経口製剤の代替法は、経口投与ができるように遊離カテコールヒドロキシル基をマスクするプロドラッグの使用を含む。しかしながら、臨床的使用のためのプロドラッグの開発に伴う既知の問題は、ヒトにおける親化合物への転化を予測することに伴う困難さである。
【0009】
十二指腸送達のための全体的に被覆されたN-プロピル-アポモルヒネ(NPA)(国際公開第02/100377号パンフレット)及びD1-様アゴニストAdrogolide、A-86929のジアセチルプロドラッグ(Giardina and Williams;CNS Drug Reviews(2001),Vol.7(3):305-316)など、カテコールアミンの種々のエステルプロドラッグが文献で報告されている。Adrogolideは、経口投与後に男性において広範な肝初回通過代謝を受け、その結果、低い経口バイオアベイラビリティ(約4%)を有する。PD患者において、静脈内(IV)Adrogolideは、L-DOPAと同等の抗パーキンソン有効性を有する(Giardina and Williams;CNS Drug Reviews(2001),Vol.7(3):305-316)。
【0010】
カテコールアミンのエステルプロドラッグに加えて、代替のプロドラッグアプローチは、対応するメチレン-ジ-オキシ(MDO)アセタールとして、ホルムアルデヒド以外の他のアルデヒドから誘導されるアセタール又は種々のケトンから誘導されるケタールとして2つのカテコールヒドロキシル基のマスキングを含む。このプロドラッグの原理は、例えば、Campbell et al.,Neuropharmacology(1982);21(10):953-961並びに米国特許第4543256号明細書、国際公開第2009/026934号パンフレット及び国際公開第2009/026935号パンフレットに記述されている。
【0011】
カテコールアミンプロドラッグの提案されるさらに他のアプローチは、例えば、国際公開第2001/078713号パンフレット及びLiu et al.,Bioorganic Med.Chem.(2008),16:3438-3444で提案されるエノン誘導体の形成である。カテコールアミンプロドラッグのさらなる例については、例えば、Sozio et al.,Exp.Opin.Drug Disc.(2012);7(5):385-406を参照されたい。
【0012】
以下に化合物(I)として示される化合物(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオールは、国際公開第2009/026934号パンフレットに開示されている。トランス異性体は、化合物がラットにおいて低い経口バイオアベイラビリティを有することを示唆する薬理学的データを含む、Liu eat al.,J.Med.Chem.(2006),49:1494-1498、次いでLiu et al.,Bioorganic Med.Chem.(2008),16:3438-3444に以前に開示された。最初に、Cannon et al.,J.Heterocyclic Chem.(1980);17:1633-1636にラセミ化合物が開示された。
【化2】

化合物(I)は、混合D1及びD2活性を有するドーパミン受容体アゴニストである。化合物(I)の3つのプロドラッグ誘導体が当技術分野で公知である。
【0013】
Liu et al.,J.Med.Chem.(2006),49:1494-1498及びLiu et al.,Bioorganic Med.Chem.(2008),16:3438-3444は、ラットにおいて活性化合物(I)に転化されることが示された、以下に示す式(Ia)のエノン誘導体を開示している。
【化3】
【0014】
国際公開第2009/026934号パンフレット及び国際公開第2009/026935号パンフレットは、以下の式(Ib)を有する(6aR,10aR)-7-プロピル-6,6a,7,8,9,10,10a,11-オクタヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4’,5’:5,6]ベンゾ[1,2-g]キノリン、メチレンジオキシ(MDO)誘導体を含む、化合物(I)の2種類のプロドラッグ誘導体を開示している。
【化4】
【0015】
ラット及びヒト肝細胞における化合物(I)への化合物(Ib)の転化は、国際公開第2010/097092号パンフレットにおいて実証されている。さらに、化合物(Ia)及び(Ib)並びに活性「親化合物」(I)の生体内薬理学は、パーキンソン病に関して様々な動物モデルにおいて試験されている(国際公開第2010/097092号パンフレット)。化合物(I)並びに化合物(Ia)及び(Ib)の両方とも有効であると判明しており、化合物(Ia)及び(Ib)が生体内で化合物(I)に転化されると示されている。3種すべての化合物が、L-dopa及びアポモルヒネに関して確認されたよりも長い作用持続時間を有することが報告された。
【0016】
国際公開第2009/026934号パンフレット及び国際公開第2009/026935号パンフレットで開示されている化合物(I)の他のプロドラッグは、式(Ic)の従来のエステルプロドラッグである。
【化5】
【0017】
この分野で長年にわたって関心の対象となっているにもかかわらず、PDの治療のための効率的で、忍容性がよく且つ経口的に作用する薬の開発に関する要求は、依然として明らかに対処されていない。連続的なドーパミン作動性刺激を提供し得る、作用安定なPKプロファイルを与える混合D1/D2アゴニストのプロドラッグ誘導体は、かかる未対処の要求を満たし得る。
【0018】
パーキンソン病の治療のためのレボドパグリコシル誘導体は、腸の輸送を示す生体外実験によって支持された国際公開第2006/056604号パンフレットにおいて提案されている。しかしながら、生体内での経口バイオアベイラビリティは、実証されていない。アポモルヒネのグリコシド誘導体は、国際公開第03/080074号パンフレットに開示されているが、アポモルヒネへの変換は、実証されていない。
【0019】
腸管吸収を改善するためのベンジル又はスモールアルキルによるカルビドパ誘導体のカテコールヒドロキシ基のマスキングは、国際公開第2004/052841号パンフレットで示唆されているが、そのような化合物のプロドラッグの可能性は、実証されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、パーキンソン病の治療のための新規な化合物に関する。より具体的には、本発明は、化合物(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール(化合物(I))のプロドラッグ誘導体である、化合物(I)の新しいグリコシル誘導体、エステル誘導体及びエーテル誘導体に関する。本発明の化合物は、化合物(I)の経口送達に特に有用であることが証明されている。
【0021】
したがって、本発明は、式(Id)
【化6】

(式中、R1及びR2は、以下のa)~c):
a)R1は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択され、及びR2は、以下の置換基(i)であること、又は
b)R1は、以下の置換基(i)であり、及びR2は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択されること、又は
c)R1及びR2は、両方とも以下の置換基(i)
【化7】

によって表されること
に従い、
R3は、H及び-C(O)C~Cアルキルから選択され、
*は、結合点を示し、
置換基(i)上の結合点での炭素原子は、S立体配置であり、
ただし、R1又はR2の一方が置換基(i)であり、及びR3がHである場合、R1又はR2の他方は、直鎖-C(O)C~Cアルキルであることができない)
の化合物又はその薬剤として許容される塩に関する。
【0022】
本発明の一態様は、式(Id)による化合物又はその薬剤として許容される塩と、1種又は複数の薬剤として許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0023】
本発明の別の態様は、薬物として使用される、式(Id)による化合物に関する。
【0024】
本発明の別の態様は、パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神疾患若しくは障害の治療で使用するための、式(Id)による化合物又はその薬剤として許容される塩に関する。
【0025】
本発明の別の態様は、パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神疾患若しくは障害の治療の方法であって、治療有効量の、式(Id)による化合物又はその薬剤として許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
【0026】
本発明の別の態様は、パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害の治療のための、又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神疾患若しくは障害の治療のための薬物を製造するための、式(Id)による化合物又はその薬剤として許容される塩の使用に関する。
【0027】
定義
結合点
本発明に関連して、置換基(i)上での結合点での炭素原子は、(i)のアノマー位置にあることが理解される。
【0028】
本発明の化合物
本発明により包含される化合物の参照は、本発明の化合物の遊離物質(例えば、遊離塩基又は両性イオン)、本発明の化合物の薬剤として許容される塩、酸付加塩又は塩基付加塩など、並びに本発明の化合物及びその薬剤として許容される塩の多形及び無形質形態を含む。さらに、本発明の化合物及びその薬剤として許容される塩は、非溶媒和状態及び水、エタノール等の薬剤として許容される溶媒との溶媒和状態で潜在的に存在し得る。溶媒和状態及び非溶媒和状態の両方が本発明によって包含される。
【0029】
薬剤として許容される塩:
本発明に関連して、薬剤として許容される塩は、非毒性、すなわち生理学的に許容される塩を表すことが意図される。
【0030】
「薬剤として許容される塩」という用語は、親分子における窒素原子上の無機酸及び/又は有機酸で形成される塩である、薬剤として許容される酸付加塩を含む。前記酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、亜硝酸、硫酸、安息香酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、グルタミン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、ゲンチシン酸、サッカリン及びスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から選択され得る。
【0031】
薬剤として許容される塩を形成するのに有用な酸及び塩基の他の例は、例えば、Stahl and Wermuth(Eds),Handbook of Pharmaceutical salts.Properties,selection,and use,Wiley-VCH2008に記載されている。
【0032】
プロドラッグ
本発明に関連して、「プロドラッグ」又は「プロドラッグ誘導体」という用語は、哺乳動物、好ましくはヒトなどの生体対象に投与した後、体内で薬理学的活性部位に転化される化合物を意味する。転化は、好ましくは、マウス、ラット、イヌ、ミニブタ、ウサギ、サル及び/又はヒトなどの哺乳動物内で起こる。本発明に関連して、「化合物(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオールのプロドラッグ」、又は「式(I)の化合物のプロドラッグ」、又は「化合物(I)のプロドラッグ」は、投与後、体内で化合物(4aR,10aR)プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオールに転化される化合物であると理解される。前記投与は、当技術分野で公知の医薬組成物の従来の投与経路により、好ましくは経口投与であり得る。
【0033】
本発明に関連して、「親化合物」及び「親分子」という用語は、対応するプロドラッグの転化で得られる薬理学的活性部位を意味する。例えば、化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)の1つ又は本発明の化合物のいずれかの「親化合物」は、式(I)の化合物であると理解される。
【0034】
置換基
これに関連して、所与の範囲は、互換可能に「-」(ダッシュ)又は「~」で示され得る。例えば、「C-Cアルキル」という用語は、「C~Cアルキル」と同等である。
【0035】
「アルキル」という用語は、特に明記しない限り、1個~最大で10個(両端値を含む)の炭素原子を有する直鎖(すなわち非分岐)又は分岐飽和炭化水素を指す。同様に、「C~Cアルキル」という用語は、特に明記しない限り、1個~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐炭化水素を意味する。そのような基の例には、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル及びn-ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。「直鎖C~Cアルキル」という用語は、1個~最大で6個(両端値を含む)の炭素原子を含む直鎖(すなわち非分岐)飽和炭化水素を指す。そのような基の例には、メチル、エチル、1-プロピル、1-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルが含まれる。
【0036】
「カルボニル」という用語は、-C(O)-基を表す。
【0037】
「アルキルカルボニル」という用語は、カルボニル基を介して親分子部分に結合している、本明細書で定義されるアルキル基を指す。同様に、「-C(O)C~Cアルキル」という用語は、カルボニル基を介して親分子部分に結合している、本明細書で定義されるC~Cアルキルを指す。
【0038】
薬物動態学的定義及び略語
本明細書で使用される「PKプロファイル」は、「薬物動態学的プロファイル」の略語である。本明細書に記載の薬物動態学的プロファイル及び薬物動態学的パラメーターは、ノンコンパートメントモデリングを用いて、本発明の化合物を経口投与した後、式(I)の化合物について得られた血漿中濃度-時間データに基づく。略されたPKパラメーターは、以下の通りである。Cmax(最大濃度);tmax(Cmaxまでの時間);t1/2(半減期);AUC0-24(投与時から投与後24時間までの曲線下面積)及び「24時間での曝露」は、投与の24時間後に測定された式(I)の化合物の血漿濃度である。
【0039】
治療有効量
本発明に関連して、化合物の「治療有効量」という用語は、前記化合物の投与を含む治療的介入において所定の疾患及びその合併症の臨床症状を軽減するか、阻止するか、部分的に阻止するか、取り除くか又は遅らせるのに十分な量を意味する。これを達成するのに適した量は、「治療有効量」と定義される。それぞれの目的に有効な量は、例えば、疾患又は損傷の重症度並びに対象の体重及び全身状態に応じて異なる。適切な投薬量の決定は、熟練した医師の一般の技術の範囲内にすべてある通常の実験を用いて、値のマトリックスを構築し、そのマトリックスにおける様々なポイントを試験することによって達成されることが理解されるであろう。
【0040】
本発明に関連して、本発明の化合物の「治療有効量」とは、本発明の前記化合物が好ましくは経口経路によって哺乳動物、好ましくはヒトに投与された場合、所定の疾患及びその合併症の臨床症状を軽減するか、阻止するか、部分的に阻止するか、取り除くか又は遅らせるのに十分な化合物(I)の量を提供することができる、本発明の前記化合物の量を意味する。
【0041】
治療及び処置
本発明に関連して、「治療」又は「処置」は、疾患の臨床症状を緩和するか、阻止するか、部分的に阻止するか、取り除くか又はその進行を遅らせる目的のための患者の管理及びケアを示すことが意図される。治療されるべき患者は、好ましくは、哺乳動物、特にヒトである。
【0042】
治療のための症状
本発明の化合物は、パーキンソン病及び/又はドーパミンアゴニストでの治療が治療上有益である他の症状など、神経変性疾患及び障害の治療に対して意図される。
【0043】
治療の適応症は、運動性及び/又は非運動性障害を特徴とし、且つその根底にある病態生理の一部が線条体仲介回路網の機能不全である様々な中枢神経系疾患を含む。かかる機能性障害は、限定されないが、パーキンソン病(PD)、下肢静止不能症候群、ハンチントン病及びアルツハイマー病などの神経変性疾患だけでなく、限定されないが、精神分裂病、注意欠陥多動障害及び薬物嗜癖などの神経精神疾患でも見られる。
【0044】
神経変性疾患及び障害に加えて、ドーパミン作動性代謝回転の増加が有益であり得る他の症状において、認知の様々な面を含む精神機能が改善される。それは、抑うつ症患者において正の効果も有し得、食欲抑制薬として肥満症の治療及び薬物嗜癖の治療でも使用され得る。それは、微細脳機能障害(MBD)、ナルコレプシー、注意欠陥多動障害及び精神分裂病の潜在的にネガティブな症状、ポジティブな症状及び認知症状を改善し得る。
【0045】
下肢静止不能症候群(RLS)及び周期性四肢運動障害(PLMD)は、ドーパミンアゴニストで臨床的に治療される別の適応症である。さらに、性交不能、勃起機能不全、SSRI誘発性機能障害、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)及び特定の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)も、ドーパミンアゴニストで治療することにより改善される可能性がある。ドーパミンは、循環器系及び腎系の調節に関与し、したがって、腎不全及び高血圧症は、本発明の化合物の代替の適応症と見なされ得る。
【0046】
本発明は、上記の疾患及び障害を治療するための、本発明の化合物の使用を包含する。
【0047】
併用
本発明の一実施形態において、式(Id)の化合物は、単独の活性化合物としてスタンドアローン治療で使用される。本発明の他の実施形態において、式(Id)の化合物は、パーキンソン病などの神経変性疾患又は障害の治療に有用な他の薬剤と併用して使用され得る。式(Id)の化合物と、神経変性疾患又は障害の治療に有用である他の化合物とを治療有効量で併用投与することを含む、本発明の方法に関連して本明細書で使用される「併用使用」、「~と併用して」及び「~の組み合わせ」等の用語は、前記他の化合物と共にいずれかの順序で式(Id)の化合物を同時に又は逐次投与することを意味することが意図される。
【0048】
2種類の化合物は、同時に又は2種類の化合物の投与間に時間を挟んで投与され得る。2種類の化合物は、同一医薬製剤若しくは組成物の一部として又は別々の医薬製剤若しくは組成物において投与され得る。2種類の化合物は、同日又は異なる日に投与され得る。それらは、同じ経路、例えば経口投与、皮下注射、経皮投与、デポー、筋肉内注射若しくは静脈内注射などにより、又は一方の化合物が例えば経口投与されるか若しくはデポーによって投与され、もう一方の化合物が例えば注入される異なる経路により投与され得る。2種類の化合物は、1日、1週若しくは1か月に1回若しくは2回などの同じ投与計画又は間隔により、又は例えば一方が1日に1回投与され、もう一方が1日、若しくは週、若しくは月に2回投与される異なる投与計画によって投与され得る。
【0049】
一部の場合、治療される患者は、式(Id)の化合物での治療が開始される際、神経変性疾患又は障害の治療で有用な1種又は複数の他の化合物での治療を既に受けていることができる。他の場合、神経変性疾患又は障害の治療に有用な1種又は複数の他の化合物での治療が開始される際、患者は、式(Id)の化合物での治療を既に受けていることができる。他の場合、式(Id)の化合物での治療及び神経変性疾患又は障害の治療に有用な1種又は複数の他の化合物での治療は、同時に開始される。
【0050】
併用治療のための化合物
本発明に関連して、式(Id)の化合物と併せて使用される化合物は、例えば、L-DOPA、ドロキシドパ、フォリグラックス、セレジリン又はラサギリンなどのMAO-B阻害剤、エンタカポン又はトルカポンなどのCOMT阻害剤、イストラデフィリンなどのアデノシン2aアンタゴニスト、アマンタジン又はメマンチンなどの抗グルタミン酸剤、リバスチグミン、ドネペジル又はガランタミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びクエチアピン、クロザピン、リスペリドン、ピマバンセリン、オランザピン、ハロペリドール、アリピプラゾール又はブレクスピプラゾールなどの抗精神病薬から選択され得る。
【0051】
小分子に加えて、併用される化合物は、例えば、抗体標的化α-シヌクレイン、Tau又はA-βタンパク質など、神経変性疾患又は障害の治療における新興生物製剤アプローチも包含し得る。
【0052】
投与経路
単独の活性化合物として又は他の活性化合物と併せて、式(Id)の化合物を含む医薬組成物は、経口、経直腸、経鼻、経頬粘膜、舌下、経肺、経皮及び非経口的(例えば、皮下、筋肉内及び静脈内)経路などのいずれかの適切な経路による投与のために特に製剤化され得る。本発明に関連して、経口経路が好ましい投与経路である。
【0053】
その経路は、処置される対象の全身状態及び年齢、処置される状態の性質並びに活性成分に応じて異なると理解される。
【0054】
医薬製剤及び賦形剤
以下において、「賦形剤」又は「薬剤として許容される賦形剤」という用語は、限定されないが、担体、充填剤、希釈剤、付着防止剤、結合剤、コーティング、着色剤、崩壊剤、風味、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、吸着剤、甘味料、溶媒、賦形剤及び補助剤などの医薬品賦形剤を意味する。
【0055】
本発明は、本明細書において実験セクションで開示される化合物の1つなど、式(Id)の化合物を含む医薬組成物も提供する。本発明は、式(Id)の化合物を含む医薬組成物を製造するプロセスも提供する。本発明による医薬組成物は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,22th edition(2013),Edited by Allen,Loyd V.,Jr.に開示される技術など、従来の技術に従い、薬剤として許容される賦形剤を用いて製剤化され得る。
【0056】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、好ましくは、経口投与のための医薬組成物である。経口投与のための医薬組成物としては、錠剤、カプセル剤、粉剤及び顆粒などの固形経口剤形、並びに液剤、乳剤、懸濁剤及びシロップ剤などの液体経口剤形、並びに適切な液体に溶解又は懸濁される粉末及び顆粒が挙げられる。
【0057】
固形経口剤形は、個々の単位(例えば、錠剤又はハード若しくはソフトカプセル剤)として提供されることができ、それぞれが所定の量の活性成分、好ましくは1種又は複数の適切な賦形剤を含有する。適切な場合、固形剤形は、腸溶コーティングなどのコーティングを用いて製造され得るか、又は当技術分野でよく知られている方法に従って遅延性若しくは徐放性などの活性成分の放出制御を提供するように製剤化され得る。適切な場合、固形剤形は、例えば、口腔内分散性錠剤など、唾液中で崩壊する剤形であることもできる。
【0058】
固形経口剤形に適した賦形剤の例としては、限定されないが、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、ラクトース、マンニトール、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ショ糖、シクロデキストリン、タルカム、ゼラチン、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びセルロースの低級アルキルエーテルが挙げられる。同様に、固形製剤は、モノステアリン酸グリセリン又はヒプロメロースなど、当技術分野で公知の遅延性又は徐放性製剤のための賦形剤を含み得る。固体材料が経口投与のために使用される場合、製剤は、例えば、活性成分を固形賦形剤と混合し、続いてその混合物を従来の錠剤化機器で圧縮することによって製造され得るか、又は例えば粉末状、ペレット状若しくはミニ錠剤状の製剤をハードカプセル内に入れられ得る。固形賦形剤の量は、大幅に異なるが、通常、投薬単位あたり約25mg~約1gの範囲である。
【0059】
液体経口剤形は、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、経口ドロップ剤又は液体充填カプセル剤として提供され得る。液体経口剤形は、水性又は非水性液中の溶液又は懸濁液のための粉末としても提供され得る。液体経口剤形に適した賦形剤の例としては、限定されないが、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ソルビトール、ポリソルベート、モノグリセリド及びジグリセリド、シクロデキストリン、ヤシ油、パーム油及び水が挙げられる。液体経口剤形は、例えば、水性又は非水性液中に活性成分を溶解若しくは懸濁することにより、又は水中油型若しくは油中水型液体エマルジョンに活性成分を組み込むことにより製造され得る。
【0060】
着色剤、風味及び保存剤等のさらなる賦形剤が固形及び液体経口製剤に使用され得る。
【0061】
非経口投与のための医薬組成物としては、注射又は注入のための滅菌水溶液及び非水溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、注射又は注入のための濃縮物並びに使用前に注射又は注入のために滅菌溶液又は分散液に溶解される滅菌粉末が挙げられる。非経口製剤に適した賦形剤の例としては、限定されないが、水、ヤシ油、パーム油及びシクロデキストリンの溶液が挙げられる。水性製剤は、必要に応じて適切に緩衝化し、十分な生理食塩水又はグルコースで等張性を付与されるべきである。
【0062】
他のタイプの医薬組成物としては、坐剤、吸入剤、クリーム剤、ゲル剤、経皮パッチ、植込錠及び口腔内又は舌下投与のための製剤が挙げられる。
【0063】
医薬製剤に使用される賦形剤は、意図する投与経路に適合し、活性成分と適合性であることが必須である。
【0064】
用量
一実施形態において、本発明の化合物は、1日あたり約0.0001~約5mg/kg体重の量で投与される。特に、1日量は、1日あたり0.001~約2mg/kg体重の範囲であり得る。正確な投薬量は、処置すべき対象の頻度及び投与形式、性別、年齢、体重及び全身状態、処置すべき状態の性質及び重症度、処置されるべき付随する疾患、処置の所望の効果並びに当業者に公知の他の因子に応じて異なる。
【0065】
成人の一般的な経口投薬量は、本発明の化合物0.1~100mg/日の範囲であり、例えば0.05~50mg/日、0.1~10mg/日又は0.1~5mg/日の範囲である。好都合には、本発明の化合物は、約0.01~50mg、例えば0.05mg、0.1mg、0.2mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg又は50mgまでの量で前記化合物を含有する単位剤形で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1a】本発明の化合物の化合物(Id)への変換を図示したものである。実線の矢印:生体外及び生体内で実証された変換。点線の矢印:生体外で実証された変換。縞の矢印:生体内で実証された変換。白抜きの矢印:変換は実証されず。図は、よりよい概要を提供するために図1a及び1bに分割されている。
図1b】同上。
図2a】実施例3による経口投与後に得られる、ウィスターラットにおけるPKプロファイルである。プロファイルは、それぞれの化合物に対して対象3匹からの平均血漿中濃度に基づく。X軸:時間(時間);Y軸:化合物(I)の血漿濃度(pg/mL)2a:以下の化合物の投与後に得られたプロファイル 四角(黒塗り):化合物(Ia);◆:化合物(Ib);●:化合物(4);X:化合物(7)及び▲:化合物(9)。2b:以下の化合物の投与後に得られたプロファイル 四角(黒塗り):化合物(Ia)、◆:化合物(Ib)、▲:A6、□:A2。
図2b】同上。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明者らは、デュアルD1/D2アゴニストである(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール[化合物(I)]のプロドラッグである新規な化合物を同定した(例えば、国際公開第2009/026934号パンフレットを参照されたい)。
【0068】
化合物は、化合物(I)のグリコシル誘導体、エステル誘導体及びエーテル誘導体である。
【0069】
ウィスターラットにおける本発明の代表的な化合物の経口投与は、血漿中の化合物(I)の全身曝露を提供することが見出され、化合物(I)の経口活性プロドラッグとしての前記化合物の有用性を示唆している。
【0070】
すべての化合物について、化合物(I)287μg/kgに対応する化合物(Ib)300μg/kgの用量に等しくなるように分子量によって用量が補正された。
【0071】
ウィスターラットへの化合物(Ia)及び(Ib)の経口投与により、化合物(I)の初期及び高ピーク血漿濃度が得られることが見出された。かかる高ピーク濃度は、ヒトにおいて、例えば悪心、嘔吐及びめまいなどのドーパミン作動性副作用を伴う可能性がある。対照的に、本発明の化合物について、急速なピーク血漿濃度を回避する、化合物(I)の持続的曝露を伴うより遅い吸収速度が観察された。さらに、得られた化合物(I)のAUCは、化合物(Ia)及び(Ib)の投与後に得られるAUCよりも一般に低いが、ウィスターラットにおける化合物(I)の血漿曝露は、24時間を通して維持される。しかしながら、副作用を誘発すると予想される化合物(I)のピーク濃度が低いことから、より高い用量の本発明の化合物を投与して、化合物(Ia)及び(Ib)を投与することから達成可能な濃度と比較して、化合物(I)のより高い総血漿中濃度が潜在的に達成され得る。化合物(Ic)のPK特性を調査した際、本発明者らは、化合物(I)の血漿中濃度が非常に低く、経口投与のための化合物(I)のプロドラッグとして化合物(Ic)が不適当なままであることを見出し、本発明の化合物の経口バイオアベイラビリティは、非常に予測不可能であることが確認された。ウィスターラットにおけるPK研究のPKパラメーターを表4に列挙し、PKプロファイルを図2に示す。生体内で評価されたすべての化合物は、化合物(I)への変換を示した。
【0072】
本発明の化合物の式(I)の化合物への生物変換も、実施例1に記載されるように、ヒト血漿及び/又はヒト肝細胞中でのインキュベーションによって評価されている。親化合物(I)自体について、血漿アッセイで短い半減期が観察された。化合物(I)は、形成されたと同時に代謝されているため、これは、化合物(I)の出現の検出が場合により困難であるか、又はごく少量のみが検出される理由を説明する可能性が高い。例えば、化合物(4)は、生体内で変換を示したが、生体外では、化合物(I)の出現は、検出できなかった。一部の化合物について、生体外試験で化合物(I)の直接の出現は、観察されなかったが、図1の図から、これらの化合物が化合物(I)に変換されると考えるのが妥当である。例えば、アセチル化グリコシド誘導体である化合物(6)は、化合物(I)に変換される化合物(7)に変換される。別の例は、アセチル化ビスグリコシド誘導体である化合物(8)である。この化合物について、生体外での変換は、実証できなかった(化合物は、生体内で試験されていない)。しかしながら、図1において、図を全体として見ると、化合物(8)が化合物(5)、(9)、(2)の1つ以上を介して化合物(I)に変換されていると考えるのが妥当である。化合物(2)について、血漿インキュベーションは、化合物(I)の代謝産物であり、別のアッセイでプロドラッグとしての適合性がテストされており、国際公開第2019/101917号パンフレットに記載されているように、生体外及び生体外の両方で化合物(I)に変換されることが示されている、グルクロニド誘導体への変換を示した(図1を参照されたい)。さらに、再度図を全体として見ると、化合物(2)が化合物(4)を介して化合物(I)に変換されているというのが妥当に思われる。
【0073】
本発明の化合物について、変換は、生体外又は生体内及び生体外の両方で評価された(以下の表1及び図1を参照されたい)。
【0074】
【表1】
【0075】
グリコシド誘導体は、本発明の好ましい実施形態である。
【0076】
したがって、結論として、本発明の化合物は、化合物(I)の経口活性プロドラッグとして有用であり、且つ既知のプロドラッグ(Ia)及び(Ib)で確認されるピークCmaxを回避し、化合物(Ic)よりも著しく高い化合物(I)のAUCが得られるPKプロファイルを提供することがラットにおいて確認された。
【0077】
最終的に、先行技術の化合物(Ib)に伴う重要な問題は、この化合物が5-HT2B受容体のアゴニストであることである。長期間の曝露後の心臓弁膜症(VHD)の病因と5-HT2B受容体アゴニストが関連していることから、かかる化合物は、慢性疾患の治療での使用に適していない(Rothman et al.,Circulation(2000),102:2836-2841及びCavero and Guillon,J.Pharmacol.Toxicol.Methods(2014),69:150-161)。したがって、本発明の化合物のさらなる利点は、5-HT2Bアゴニストでないことである(実施例2及び表3を参照されたい)。
【0078】
本発明の化合物は、パーキンソン病及び/又はドーパミンアゴニストでの治療が治療上有益である他の症状など、神経変性疾患及び障害の治療において有用である。経口投与に適している化合物は、パーキンソン病における新規な治療パラダイムを提供する可能性を有する。
【0079】
本発明の一実施形態において、化合物は、神経変性疾患又は障害のスタンドアローン治療として使用される。本発明の他の実施形態において、化合物は、L-DOPA、ドロキシドパ、フォリグラックス、セレジリン若しくはラサギリンなどのMAO-B阻害剤、エンタカポン若しくはトルカポンなどのCOMT阻害剤、イストラデフィリンなどのアデノシン2aアンタゴニスト、アマンタジン若しくはメマンチンなどの抗グルタミン酸剤、リバスチグミン、ドネペジル若しくはガランタミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びクエチアピン、クロザピン、リスペリドン、ピマバンセリン、オランザピン、ハロペリドール、アリピプラゾール若しくはブレクスピプラゾールなどの抗精神病薬からなる群から選択される化合物など、PD治療のための他の薬剤と併せて、又は抗体標的化α-シヌクレイン、Tau若しくはA-βタンパク質と併せて使用される。
【0080】
本発明の実施形態
以下において、本発明の実施形態が開示される。第1実施形態は、E1で示され、第2実施形態は、E2で示される。
【0081】
E1.式(Id)
【化8】

(式中、R1及びR2は、以下のa)~c):
a)R1は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択され、及びR2は、以下の置換基(i)であること、又は
b)R1は、以下の置換基(i)であり、及びR2は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択されること、又は
c)R1及びR2は、両方とも以下の置換基(i)
【化9】

によって表されること
に従い、
R3は、H及び-C(O)C~Cアルキルから選択され、
*は、結合点を示し、
置換基(i)上の結合点での炭素原子は、S立体配置であり、
ただし、R1又はR2の一方が置換基(i)であり、及びR3がHである場合、R1又はR2の他方は、直鎖-C(O)C~Cアルキルであることができない)
による化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0082】
E2.R1は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び-C(O)C~Cアルキルから選択され、及びR2は、置換基(i)である、実施形態1による化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0083】
E3.R1は、以下の置換基(i)であり、及びR2は、H、C~Cアルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C~Cアルキルから選択される、実施形態1による化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0084】
E4.R1及びR2は、両方とも置換基(i)によって表される、実施形態1による化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0085】
E5.R1又はR2は、-C(O)メチルである、実施形態1~4のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0086】
E6.R3は、-C(O)メチルである、実施形態1~5のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0087】
E7.R3は、Hである、実施形態1~5のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0088】
E8.R1及びR2の一方は、Hであり、R1及びR2のもう一方は、置換基(i)であり、R3は、Hである、実施形態1及び5のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0089】
E9.化合物(1):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(2):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(3):(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(4):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
化合物(5):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(6):(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(7):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
化合物(8):[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[[(4aR,10aR)-1-プロピル-6-[(2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[g]キノリン-7-イル]オキシ]-3,4,5-トリアセトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチルアセテート;及び
化合物(9):(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)
からなる群から選択される、実施例1による化合物又はこれらの化合物のいずれかの薬剤として許容される塩。
【0090】
E10.化合物(1):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(2):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(3):(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(4):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
化合物(5):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(6):(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
化合物(7):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
化合物(8):[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[[(4aR,10aR)-1-プロピル-6-[(2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[g]キノリン-7-イル]オキシ]-3,4,5-トリアセトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチルアセテート;
化合物(9):(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール);
A2:(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オール;及び
A6:(4aR,10aR)-7-メトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オール
からなる群から選択される、化合物又はこれらの化合物のいずれかの薬剤として許容される塩。
【0091】
E11.化合物(4):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
化合物(7):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;及び
化合物(9):(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)
からなる群から選択される、実施例1による化合物又はこれらの化合物のいずれかの薬剤として許容される塩。
【0092】
E12.以下の式:
【化10】

の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0093】
E13.以下の式:
【化11】

の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0094】
E14.以下の式:
【化12】

の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0095】
E15.A2:(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オール;及び
A6:(4aR,10aR)-7-メトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オール
からなる群から選択される、化合物又はこれらの化合物のいずれかの薬剤として許容される塩。
【0096】
E16.化合物(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール(化合物(I))のプロドラッグである化合物であって、前記プロドラッグが、(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール287μg/kgに対応する用量でウィスターラットに経口投与された場合、前記プロドラッグは、(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオールのCmaxが500~1500pg/mL、例えば750~1250pg/mL、例えば800~1200pg/mLであり、及びtmaxが1.0~3.0時間、例えば1.2~2.8時間、例えば1.5~2.5時間であるPKプロファイルを提供する、化合物又は前記化合物の薬剤として許容される塩。
【0097】
E17.化合物(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール(化合物(I))のプロドラッグであり、前記プロドラッグが、(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール287mg/kgに対応する用量でウィスターラットに経口投与された場合、前記プロドラッグは、(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロ-ベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオールのAUC0-24が10000pgh/mLを超えるものを超える、例えば11000pgh/mLを超える、例えば12000pgh/mLを超える、例えば13000pgh/mLを超える、例えば14000pgh/mLを超える、例えば15000pgh/mLを超える、例えば16000pgh/mLを超える、例えば17000pgh/mLを超える、PKプロファイルを提供する、実施形態16に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0098】
E18.前記PKプロファイルは、本明細書の実施例3に記載のPK実験によって得られたものである、実施形態16~17のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0099】
E19.治療で使用するための、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0100】
E20.薬物として使用するための、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0101】
E21.前記薬物は、経口投与のための錠剤又はカプセル剤などの経口薬物である、実施形態20による薬物として使用するための化合物又は薬剤として許容される塩。
【0102】
E22.治療有効量の、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩と、1種又は複数の薬剤として許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【0103】
E23.経口投与のためのものである、実施形態22による医薬組成物。
【0104】
E24.経口医薬組成物である、実施形態22~23のいずれかによる医薬組成物。
【0105】
E25.固形経口剤形である、実施形態22~24のいずれかによる医薬組成物。
【0106】
E26.経口投与のための錠剤又はカプセル剤である、実施形態22~25のいずれかによる医薬組成物。
【0107】
E27.パーキンソン病などの神経変性疾患又は障害の治療において有用である他の薬剤をさらに含む、実施形態22~26のいずれかによる医薬組成物。
【0108】
E.28.L-DOPA、ドロキシドパ、フォリグラックス、セレジリン若しくはラサギリンなどのMAO-B阻害剤、エンタカポン若しくはトルカポンなどのCOMT阻害剤、イストラデフィリンなどのアデノシン2aアンタゴニスト、アマンタジン若しくはメマンチンなどの抗グルタミン酸剤、リバスチグミン、ドネペジル若しくはガランタミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びクエチアピン、クロザピン、リスペリドン、ピマバンセリン、オランザピン、ハロペリドール、アリピプラゾール若しくはブレクスピプラゾールなどの抗精神病薬又は抗体標的化α-シヌクレイン、Tau若しくはA-βタンパク質からなる群から選択される化合物をさらに含む、実施形態22~27のいずれかによる医薬組成物。
【0109】
E29.パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害の治療又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神疾患若しくは障害の治療に使用するための、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0110】
E30.実施形態29による治療で使用するためのものであり、前記神経変性疾患又は障害は、パーキンソン病である、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0111】
E31.実施形態29~30のいずれかによる治療で使用するためのものであり、前記化合物は、パーキンソン病などの神経変性疾患又は障害の治療において有用である他の薬剤と併せて使用される、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0112】
E32.実施形態29~31のいずれかによる治療で使用するためのものであり、前記化合物は、L-DOPA、ドロキシドパ、フォリグラックス、セレジリン若しくはラサギリンなどのMAO-B阻害剤、エンタカポン若しくはトルカポンなどのCOMT阻害剤、イストラデフィリンなどのアデノシン2aアンタゴニスト、アマンタジン若しくはメマンチンなどの抗グルタミン酸剤、リバスチグミン、ドネペジル若しくはガランタミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びクエチアピン、クロザピン、リスペリドン、ピマバンセリン、オランザピン、ハロペリドール、アリピプラゾール若しくはブレクスピプラゾールなどの抗精神病薬からなる群から選択される化合物と併せて、又は抗体標的化α-シヌクレイン、Tau若しくはA-βタンパク質と併せて使用される、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0113】
E33.実施形態29~32のいずれかによる治療で使用するためのものであり、前記治療は、前記化合物の経口投与によって行われる、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0114】
E34.実施形態29~33のいずれかによる治療で使用するためのものであり、前記化合物は、経口投与のための錠剤又はカプセル剤などの医薬組成物中に含まれる、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩。
【0115】
E35.パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神疾患若しくは障害の治療の方法であって、治療有効量の、実施例1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【0116】
E36.前記神経変性疾患又は障害は、パーキンソン病である、実施形態35による方法。
【0117】
E37.実施形態1~18のいずれかによる前記化合物又はその薬剤として許容される塩は、パーキンソン病などの神経変性疾患又は障害の治療において有用である他の薬剤と併せて使用される、実施形態35~36のいずれかによる方法。
【0118】
E38.実施形態1~18のいずれかによる前記化合物又はその薬剤として許容される塩は、L-DOPA、ドロキシドパ、フォリグラックス、セレジリン若しくはラサギリンなどのMAO-B阻害剤、エンタカポン若しくはトルカポンなどのCOMT阻害剤、イストラデフィリンなどのアデノシン2aアンタゴニスト、アマンタジン若しくはメマンチンなどの抗グルタミン酸剤、リバスチグミン、ドネペジル若しくはガランタミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びクエチアピン、クロザピン、リスペリドン、ピマバンセリン、オランザピン、ハロペリドール、アリピプラゾール若しくはブレクスピプラゾールなどの抗精神病薬からなる群から選択される化合物と併せて、又は抗体標的化α-シヌクレイン、Tau若しくはA-βタンパク質と併せて使用される、実施形態35~37のいずれかによる方法。
【0119】
E39.前記投与は、経口経路によって行われる、実施形態35~38のいずれかによる方法。
【0120】
E40.実施形態1~18のいずれかによる前記化合物又はその薬剤として許容される塩は、経口投与のための錠剤又はカプセル剤などの経口医薬組成物中に含まれる、実施形態35~39のいずれかによる方法。
【0121】
E41.パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害の治療のための、又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神疾患若しくは障害の治療のための薬物の製造における、実施形態1~18のいずれかによる化合物又はその薬剤として許容される塩の使用。
【0122】
E42.前記神経変性疾患又は障害は、パーキンソン病である、実施形態41による方法。
【0123】
E43.前記薬物は、パーキンソン病などの神経変性疾患又は障害の治療において有用である他の薬剤と併せて使用される、実施形態41~42のいずれかによる使用。
【0124】
E44.前記薬物は、L-DOPA、ドロキシドパ、フォリグラックス、セレジリン若しくはラサギリンなどのMAO-B阻害剤、エンタカポン若しくはトルカポンなどのCOMT阻害剤、イストラデフィリンなどのアデノシン2aアンタゴニスト、アマンタジン若しくはメマンチンなどの抗グルタミン酸剤、リバスチグミン、ドネペジル若しくはガランタミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びクエチアピン、クロザピン、リスペリドン、ピマバンセリン、オランザピン、ハロペリドール、アリピプラゾール若しくはブレクスピプラゾールなどの抗精神病薬からなる群から選択される化合物と併せて、又は抗体標的化α-シヌクレイン、Tau若しくはA-βタンパク質と併せて使用される、実施形態41~43のいずれかによる使用。
【0125】
E45.前記薬物は、経口投与のための錠剤又はカプセル剤などの経口薬物である、実施形態41~44のいずれかによる使用。
【0126】
本発明に関連して、置換基(i)上の結合点の炭素原子(実施形態1に示す)は、(i)のアノマー位置にあることが理解される。
【0127】
本明細書に記載の刊行物、特許出願及び特許を含むすべての参考文献は、その全体として、且つ各参考文献が個々に及び具体的に参照により組み込まれるかのように示され且つその全体が記載されているのと同程度に(法律によって認められる最大限度まで)参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
見出し及び小見出しは、本明細書において便宜的に使用され、本発明を限定するものと決して解釈されるべきではない。
【0129】
1つ又は複数の要素に言及する場合に「含む」、「有する」、「包含する」又は「含有する」などの用語を用いた、本発明のいずれかの態様又は本発明の態様の本明細書における説明は、別段の指定がない限り又は文脈に明確に矛盾がない限り、その1つ又は複数の特定の要素「からなる」、「から本質的になる」又は「実質的に含む」、本発明の同様の態様又は本発明の態様に対する支持を提供することが意図される(例えば、特定の要素を含むと本明細書に記載される組成物は、別段の指定がない限り又は文脈に明確に矛盾がない限り、その要素からなる組成物も述べていると理解されるべきである)。
【0130】
本明細書におけるいずれかの及びすべての実施例又は例示的な用語(「例えば(for instance)」、「例えば(for example)」、「例として」、「など」及び「それ自体」など)の使用は、単に本発明をより明確にすることが意図され、別段の指定がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【0131】
本明細書に記載の本発明の種々の態様、実施形態、実行及び特徴は、別々に又はいずれかの組み合わせで特許請求され得ると理解されるべきである。
【0132】
本発明は、適用可能な法律によって認められる通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正形態及び均等物を包含する。
【0133】
本発明の化合物
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】
【表5】
【0138】
【表6】
【0139】
実験セクション
本発明の化合物の製造
式(Id)の化合物は、有機化学分野で公知の合成方法又は当業者によく知られた修正形態と共に、以下に記載の方法によって製造される。本明細書で使用される出発原料は、市販されているか、又は当技術分野で公知の慣例的な方法、例えば“Compendium of Organic Synthetic Methods,Vol.I-XII”(Wiley-Interscience出版)などの標準参考図書に記載の方法によって製造することができる。好ましい方法としては、限定されないが、以下の方法が挙げられる。
【0140】
そのスキームは、本発明の化合物の合成に有用な方法を表す。それらは、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【0141】
LC-MS法
以下に同定される方法を用いてLC-MS分析データを得た。
【0142】
方法25:
MS:イオン源:(APPI)、温度450℃ OR/RNG 20/200V OR/RNG 5/100V
質量:100~1000amu
HPLC:カラム:dC-18 4.6×30mm 3μm Atlantis(Waters)
カラム温度:40℃、勾配、逆相、イオンペアリング
溶媒A:100%HO 0.05%TFA
溶媒B:95%ACN 5%HO 0.035%TFA
流量:3.3ml/分、注入量:15μL
勾配:2.4分で2%Bから100%B、2%B 0.4分、合計実施時間:2.8分、UV:254nm。
ELSD:ガラスチューブ:21℃、蒸発チャンバー:40℃、圧力:2.3bar。
【0143】
方法550:カラムマネジャー、二成分溶媒マネジャー、試料オーガナイザー、PDA検出器(254nMで操作)、ELS検出器及び陽イオンモードで動作するAPPI源を備えたTQ-MSを含む、Waters AquityからなるWaters Aquity UPLC-MSでLC-MSを行った。
LC条件:カラムは、水+0.05%トリフルオロ酢酸(A)及びアセトニトリル/水(95:5)+0.05%トリフルオロ酢酸からなる二成分勾配1.2ml/分を用いて、60℃で動作する、Acquity UPLC BEH C18 1.7μm;2.1×50mmであった。
勾配:
0.00分 10%B
1.00分 100%B
1.01分 10%B
1.15分 10%B
合計実施時間:1.15分
【0144】
方法10-90AB(Shimadzu LC-20AD&MS 2010):
方法名:10-90AB
装置:Shimadzu LC-20AD&MS 2020
MSモード:ポジティブ
MS範囲:100~1000
CDL温度 250℃
ヒートブロック温度 28℃
噴霧ガス流量 1.5L/分
LC条件:カラムは、Luna-C18(2)2.0×30mm(3μm粒子)であり、水+0.037%TFA(A)及びMeCN+0.018%TFA(B)の勾配0.8mL/分(0.01~1.51分)及び1.2mL/分(1.52~2.00分)を用いて、40℃で操作した。
勾配:
0.01分 10%B
0.01~1.15分 10~90%B
1.15~1.65分 90%B
1.65~1.66分 90~10%B
1.66~2.00分 10%B
合計実施時間:2.00分
【0145】
方法AB10(Agilent 1200&1956A):
装置:Agilent 1200&MS 1956A
MSモード:ポジティブ
MS範囲:100~1000
MSフラグメンター 70V
乾燥ガス流量 12L/分
ネブライザー圧力 55psig
乾燥ガス温度 350℃
キャピラリー電圧 2500V
LC条件:カラムは、Luna-C18(2)2.0×50mm、5μmであり、水+0.037%TFA(A)及びMeCN+0.018%TFA(B)の勾配0.8mL/分を用いて、40℃で操作した。
勾配:
0.00分 10%B
0.01~0.40分 10%B
0.40~3.40分 10~100%B
3.40~3.85分 100%B
3.85~3.86分 100~10%B
3.86~4.50分 10%B
合計実施時間:4.50分
【0146】
方法AB01(Agilent 1200&6120):
装置:Agilent 1200&MS 6120
MSモード:ポジティブ
MS範囲:100~1000
MSフラグメンター 70V
乾燥ガス流量 12L/分
ネブライザー圧力 40psig
乾燥ガス温度 350℃
キャピラリー電圧 3500V
LC条件:カラムは、Luna-C18(2)2.0×50mm、5μmであり、水+0.037%TFA(A)及びMeCN+0.018%TFA(B)の勾配0.8mL/分を用いて、40℃で操作した。
勾配:
0.00分 1%B
0.01~0.40分 1%B
0.40~3.40分 1~90%B
3.40~3.85分 90~100%B
3.85~3.86分 100~1%B
3.86~4.50分 1%B
合計実施時間:4.50分
【0147】
方法DELIVER-K(Agilent 1200&6110):
装置:Agilent 1200&MS 6110
MSモード:ポジティブ
MS範囲:100~1000
MSフラグメンター 70V
乾燥ガス流量 12L/分
ネブライザー圧力 40psig
乾燥ガス温度 350℃
キャピラリー電圧 2500V
LC条件:カラムは、Halo-C18 3.0×30mm、2.7μmであり、水+0.037%TFA(A)及びMeCN+0.018%TFA(B)の勾配0.8mL/分を用いて、40℃で操作した。
勾配:
0.01分 5%B
0.01~1.60分 5~95%B
1.60~2.50分 95~100%B
2.50~2.52分 100~5%B
2.52~3.00分 5%B
合計実施時間:3.00分
【0148】
方法AB25-MS1500(Agilent 1200&1956A):
装置:Agilent 1200&MS 1956A
MSモード:ポジティブ
MS範囲:100~1500
MSフラグメンター 70V
乾燥ガス流量 12L/分
ネブライザー圧力 55psig
乾燥ガス温度 350℃
キャピラリー電圧 2500V
LC条件:カラムは、Luna-C18(2)2.0×50mm、5μmであり、水+0.037%TFA(A)及びMeCN+0.018%TFA(B)の勾配0.8mL/分を用いて、40℃で操作した。
勾配:
0.00分 25%B
0.01~0.40分 25%B
0.40~3.40分 25~100%B
3.40~3.85分 100%B
3.85~3.86分 100~25%B
3.86~4.50分 25%B
合計実施時間:4.50分
【0149】
方法AB00(Agilent 1200&1956A):
装置:Agilent 1260&MS 6120
MSモード:ポジティブ
MS範囲:100~1000
MSフラグメンター 70V
乾燥ガス流量 12L/分
ネブライザー圧力 40psig
乾燥ガス温度 350℃
キャピラリー電圧 2500V
LC条件:カラムは、Luna-C18(2)2.0×50mm、5μmであり、水+0.037%TFA(A)及びMeCN+0.018%TFA(B)の勾配0.6mL/分を用いて、40℃で操作した。
勾配:
0.00分 0%B
0.01~0.40分 0%B
0.40~3.40分 0~80%B
3.40~3.85分 80~100%B
3.85~3.86分 100~0%B
3.86~4.50分 0%B
合計実施時間:4.50分
【0150】
化学成分の略語
Ac:アセチル
AcOH:酢酸
ACl:塩化アセチル
ACN:アセトニトリル
BF-OEt:三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート
Bn:ベンジル
BnCl:塩化ベンジル
DCM:ジクロロメタン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:ジメチルホルムアミド
EtOAc:酢酸エチル
Me:メチル
MeI:ヨウ化メチル
MeOH:メタノール
MeCN:アセトニトリル
MOM:メトキシメチル
MOMCl:塩化メトキシメチル
MS:モレキュラーシーブス
Pd/C:パラジウム炭素
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TMSCH2N2:トリメチルシリルジアゾメタン
TMSI:ヨウ化トリメチルシリル
【0151】
本発明の化合物の製造 - 一般的方法
例えば、国際公開第2009/026934号パンフレットに開示されるように製造することができる(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール塩酸塩[化合物(I)]を、本発明の化合物を合成するための基質として使用した。
【0152】
両方のカテコールヒドロキシル基がグリコシル基に結合しているプロドラッグは、BF-OEtなどのルイス酸の存在下において、(2R,3R,4S,5R,6R)-2-(アセトキシメチル)-6-(2,2,2-トリクロロ-1-イミノエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテートなどのグリコシル供与体の過剰量との反応により、(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオールから調製することができる。これは、R3がエステル基である以下のスキームに示される。その後の水酸化アルカリによる鹸化により、(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)について本明細書に記載されているように、保護されていないビスグリコシドが得られる。より少ないグリコシル供与体を使用する同様の方法で、カテコール7-ヒドロキシル基がエステル化又は保護されていないグリコシドである、本発明の化合物を調製することができる。エステル基は、(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(ここで、R3=Ac、R2=Me)について本明細書に記載されているように、ハロゲン化アシルとの反応により、保護されたモノグリコシド中の遊離カテコールヒドロキシルに導入することができる。
【化13】
【0153】
6-カテコールヒドロキシル基がグリコシル化され、7-カテコールヒドロキシルが非置換である類似体は、以下に概説するように、グリコシル化とそれに続く水素化分解により、(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールから入手することができる((2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテートについて本明細書に記載されている)。鹸化により、保護されていないグリコシドが得られる一方、7-カテコールヒドロキシル基上の基は、以下に示すように、水素化分解ステップの後に操作でき(また、(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテートについて例示されている)、ここで、R3=Ac、R1=Acである。
【化14】
【0154】
(4aR,10aR)-7-メトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールから(2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-メトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール及び4つのグリコシドヒドロキシル基上に異なるエステル基を有するその類似体への代替的な経路を以下に示す。グリコシル化により、エステル保護されたグリコシドが得られ、これは、鹸化によってマスキングを外すことができる。その後のアシル化により、グリコシド上に異なるエステル基が導入されるであろう。(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールから出発することで、メチルエーテルがベンジルエーテルで置換された対応する類似体が得られるであろう。位置異性体基質(すなわち(4aR,10aR)-6-メトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-オール又は(4aR,10aR)-6-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-オール)を使用することで、上記の一般化学を使用して、対応する保護されたモノグリコシドからも入手可能な「反対の」グリコシドが入手できることは、さらに明らかである。
【化15】
【0155】
化合物(I)をBnClとトリエチルアミン又はKCOなどの塩基とで処理すると、(4aR,10aR)-6-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-オール及び(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールの混合物が得られ、これらの位置異性体は、分離することができる。BnClの代わりにMeIを使用すると、メチルエーテルの対応する混合物が得られ、これは、分離することができる。
【化16】
【0156】
(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オール及び(4aR,10aR)-7-メトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールへの選択的経路が本明細書に提供される。
【0157】
本発明の中間体
【化17】

A1:(4aR,10aR)-6,7-ビス(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン
化合物(I)の塩酸塩(10.75g)及びKCO(17.5g)を、真空下で脱気し且つNでパージしたフラスコに加え、その後、DMF(107mL)及び塩化ベンジル(8.55mL)を添加し、混合物を室温で18時間、次に100℃で5時間、さらに室温で19時間撹拌した。KCO(7.48g)及び塩化ベンジル(6.29mL)を添加し、混合物を100℃で5時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(500mL)とヘプタン(250mL)とに分配した。水相をヘプタン(3×100mL)で洗浄し、合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物(14.6g)を得た。
【0158】
A2-HI:(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールヨウ化水素酸塩
(4aR,10aR)-6,7-ビス(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン(11.9g)を、排気し且つNでパージしたフラスコに加え、その後、MeCN(180mL)を添加した。混合物を均一になるまで撹拌し、その後、ヨウ化トリメチルシリル(10.0mL)を添加し、混合物をN下において室温で2時間撹拌した。MeOH(5.5mL)を添加し、混合物を1時間撹拌した。酢酸イソプロピル/ヘプタン(10/150mL)を添加し、混合物を0℃に冷却し、1時間撹拌した。固体を回収し、酢酸イソプロピル/ヘプタン(3/47mL)で洗浄し、乾燥させて、表題化合物(7.6g)を得た。
LCMS(方法550)、保持時間=0.55分、[M+H]=352.5m/z。
H NMR(600MHz,CDCl)δ 10.42(bs,1H),7.43-7.33(m,4H),7.26(d,J=1.0Hz,1H),6.78(d,J=8.3Hz,1H),6.58(d,J=8.3Hz,1H),5.72(s,1H),5.08(s,2H),3.71(dd,J=11.70,15.0Hz,1H),3.58(d,J=11.70,1H),3.25-3.11(m,4H),2.94-2.86(m,1H),2.77-2.57(m,2H),2.26(dd,J=11.70Hz,17.0Hz 1H),2.19(d,J=13.80,1H),2.01-1.92(m,2H),1.80-1.69(m,1H),1.56-1.53(m,1H),1.39(qd,J=3.60Hz,13.30Hz,1H),1.06(t,J=7.2Hz,3H).
【化18】
【0159】
A3:(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-6-(メトシキメトキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン
DMF(400mL)中の(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールヨウ化水素酸塩(20g)の混合物にN下において0℃でゆっくりとNaH(4.17g、60%分散)を添加した。混合物を0℃で30分間撹拌した後、MOMCl(3.5mL)を0℃で滴下して添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、水(400mL)に注ぎ、20分間撹拌し、次にEtOAc(300mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(500mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物(20g)を得た。
【0160】
A4:(4aR,10aR)-6-(メトシキメトキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-オール
MeOH(140mL)中の(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-6-(メトシキメトキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン(20g)の溶液にN下においてPd/C(10%、30g)を添加した。懸濁液を真空下で脱気し、Hでパージした。混合物をH(50psi)下において室温で12時間撹拌した後、触媒を濾別した。濾液を濃縮して、表題化合物(15.4g)を得た。
【0161】
A5:(4aR,10aR)-7-メトキシ-6-(メトシキメトキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン
MeOH(150mL)中の(4aR,10aR)-6-(メトキシメトキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-オール(15g)の溶液に(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ヘキサン中2M、246mL)を室温で0.5時間かけて滴下して添加した。混合物を濃縮して、表題化合物(15g)を得た。
【0162】
A6:(4aR,10aR)-7-メトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オール
MeOH(150mL)中の4M HCl中、(4aR,10aR)-7-メトキシ-6-(メトシキメトキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン(15g)の溶液を室温で1時間撹拌した後、濃縮した。残留物を水(100mL)に溶解し、水層をNaHCOでpH7~8に塩基性化した。水層をEtOAc(100mL及び50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物(7g)を得た。
LCMS(方法25)、保持時間=0.95分、[M+H]=276.1m/z。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 6.70(d,J=8.4Hz,1H),6.62(d,J=8.0Hz,1H),5.71(br s,1H),3.86(s,3H),3.07-3.18(m,2H),3.01(dd,J=5.2,17.6Hz,1H),2.72-2.89(m,2H),2.58-2.68(m,1H),2.29-2.44(m,2H),2.24(dd,J=12.0,17.6Hz,1H),1.97(d,J=13.2Hz,1H),1.70-1.92(m,3H),1.54-1.63(m,2H),1.10-1.23(m,1H),0.93(t,J=7.2Hz,3H).
【0163】
本発明の例示的な化合物
【化19】

化合物(1):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
DCM(200mL)中の(2R,3R,4S,5R,6R)-2-(アセトキシメチル)-6-(2,2,2-トリクロロ-1-イミノエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(T-4;市販、4.21g)、4Å MS(2g)及び(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オールヨウ化水素酸塩(2g)の混合物にBF-OEt(2.2mL)の溶液を-20℃で1時間かけて滴下して添加した。反応混合物を室温まで温めた後、飽和NaHCO水溶液(100mL)とDCM(20mL×2)との間で分配した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を分取HPLC(Xtimate C18 10μm 250mm×50mmカラム;移動相:[水(0.04%NHO)-ACN];ACN%:51%~72%、29分)により精製して、表題化合物(0.8g)を得た。
LCMS(方法10-90AB)、保持時間=0.96分、[M+H]=682.3m/z。
QC-LC-MS(方法AB10)、保持時間=2.5分、[M+H]=682.3m/z。
H NMR:(400MHz DMSO)δ 7.53(d,J=7.2Hz,2H),7.32-7.40(m,3H),6.87-6.96(m,2H),5.29-5.37(m,2H),5.09(s,2H),4.94-5.04(m,2H),4.09-4.13(m,1H),3.96-4.01(m,2H),3.14-3.22(m,5H),2.85(s,1H),2.12-2.30(m,2H),2.03-2.14(m,1H),1.96(t,J=11.2Hz,9H),1.70-1.80(m,2H),1.40-1.69(m,7H),1.06-1.23(m,1H),0.87(t,J=7.2Hz,3H).
【0164】
化合物(2):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
THF(20mL)中の(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(400mg)の溶液にPd/C(0.2g、50%(w/w))及びAcOH(0.067mL)をN下で添加した。懸濁液を真空下で脱気し、Hでパージした。混合物をH(30psi)下において室温で12時間撹拌した後、触媒を濾別した。濾液を濃縮し、GX281セミ分取装置(Phenomenex Luna C18 100×30mm、5μm粒子カラムを、25mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~15分 10~40%B;15.1~17分 100%B;17.1~20分 10%Bを用いて室温で操作した)を使用した分取HPLCで精製して、表題化合物(210mg)を得た。
QC-LCMS(方法AB01)、保持時間=2.66分、[M+H]=592.2m/z。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.51(s,1H),6.79(q,J=8.4Hz,2H),5.14-5.33(m,3H),4.78(d,J=8.0Hz,1H),4.27(dd,J=5.6,12.8Hz,1H),4.10(dd,J=1.6,12.0Hz,1H),3.71-3.72(m,1H),3.31(d,J=11.6Hz,1H),3.07-3.12(m,1H),2.95-3.00(m,3H),2.76-2.84(m,1H),2.52-2.57(m,2H),2.13-2.17(m,1H),2.11(s,3H),2.08(s,3H),2.02(s,6H),1.86-1.98(m,3H),1.77-1.80(m,1H),1.59-1.67(m,2H),1.14-1.23(m,1H),0.96(t,J=7.6Hz,3H).
【化20】
【0165】
化合物(1):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
DCM(300mL)中の(2R,3R,4S,5R,6R)-2-(アセトキシメチル)-6-(2,2,2-トリクロロ-1-イミノエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(T-4;市販、6.31g)、4Åモレキュラーシーブス(3g)及び(4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-オール(3g)の溶液にBF-OEt(3.4mL)を-10℃で1時間かけて滴下して添加した。反応混合物を温めた後、飽和NaHCO水溶液(100mL)とDCM(20mL×2)との間で分配した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、Shimadzu LC20AP装置(Xtimate C18 250×50mm、10μm粒子カラムを、80mL/minの水+0.04%NHO(A)及びMeCN(B)の勾配:0~28分 51~72%B;28.1~33分 100%B;33.1~37分 51%Bを用いて室温で操作した)を使用した分取HPLCで精製して、表題化合物(2g)を得た。
【0166】
化合物(3):(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
DCM(10mL)中の(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(1g)及びDIPEA(0.44mL)の混合物に塩化アセチル(0.15mL)をN下において0℃で滴下して添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、水(20mL)とDCM(10mL×3)との間で分配した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、分取HPLC Shimadzhu LC20AP装置(Phenomenex Luna C18 250×50mm、10μm粒子カラムを、80mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~20分 15~45%B;20.1~25分 100%B;25.1~30分 15%Bを用いて室温で操作した)で精製して、表題化合物(0.59g)を得た。
QC-LCMS(方法AB01)、保持時間=2.64分、[M+H]=634.3m/z。
H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.54 6.95(d,J=8.4Hz,1H),6.87(d,J=8.4Hz,1H),5.20-5.28(m,2H),5.10-5.15(m,1H),4.96(d,J=7.4Hz,1H),4.37(dd,J=4.0,12.4Hz,1H),3.95(d,J=8.4Hz,1H),3.58-3.60(m,1H),3.02-3.19(m,5H),2.83(s,1H),2.58(s,2H),2.33(s,3H),2.26-2.29(m,1H),2.10(s,3H),1.97-2.05(m,12H),1.67-1.85(m,1H),1.63-1.64(m,2H),1.20-1.23(m,1H),0.98(t,J=7.6Hz,3H).
【0167】
化合物(4):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール
MeOH(42mL)及びHO(14mL)中のNaOH(0.25M、47mL)の溶液に(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(1g)をN下において0℃で添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を濃縮した。残留物を2つの同様の実験からの残留物と合わせた。合わせた材料を、GX281装置(Phenomenex Luna C18 100×30mm、5μm粒子カラムを、25mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~15分 1~10%B;15.1~17分 100%B;17.1~20分 1%Bを用いて室温で操作した)を使用した分取HPLCで精製して、表題化合物(0.23g)を得た。
H NMR(400MHz,DO):δ 8.41 6.91(d,J=8.4Hz,1H),6.81(d,J=8.4Hz,1H),4.80(d,J=7.8Hz,1H),3.79-3.82(m,1H),3.57-3.72(m,1H),3.29-3.55(m,9H),3.10-3.16(m,2H),2.71-2.80(m,1H),2.37(dd,J=12.0,16.0Hz,1H),1.58-1.97(m,6H),1.38-1.40(m,1H),0.96(t,J=7.2Hz,3H).
QC-LCMS(方法AB01)、保持時間=1.95分、[M+H]=424.2m/z。
【化21】
【0168】
化合物(5):(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
DCM(50mL)中の(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール塩酸塩(1g)の撹拌溶液にBF-OEt(0.83mL)を室温で添加した。反応混合物を-20℃に冷却した後、(2R,3R,4S,5R,6R)-2-(アセトキシメチル)-6-(2,2,2-トリクロロ-1-イミノエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(T-4;市販、3.31g)をDCM(50mL)中の溶液として滴下して添加した。反応物を-20℃で1時間及び室温で3時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO水溶液(100mL)とDCM(200mL×2)との間で分配した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、Shimadzu LC20AP装置を使用した分取HPLC(Phenomenex Luna C18 250×50mm、10μm粒子カラムを、80mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~20分 10~40%B;20.1~25分 100%B;25.1~30分 10%Bを用いて室温で操作した)で精製して、表題化合物(0.5g)を得た。この材料を、同様の方法で調製したバッチ(0.3g)と合わせた。合わせた材料を、GX281装置(Phenomenex Luna C18 100×30mm、5μm粒子カラムを、25mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~15分 1~30%B;15.1~17分 100%B;17.1~20分 1%Bを用いて室温で操作した)を使用した分取HPLCで精製して、表題化合物(0.20g)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.13(br s,1H),6.82(d,J=8.4Hz,1H),6.56(d,J=8.4Hz,1H),5.32-5.35(m,2H),4.95-5.07(m,2H),4.14-4.21(m,2H),4.03(d,J=10.4Hz,1H),3.10(dd,J=4.4,16.4,Hz,1H),2.92(d,J=11.2Hz,1H),2.81(dd,J=17.6,5.2Hz,1H),2.66-2.76(m,1H),2.36-2.46(m,1H),2.25-2.35(m,1H),2.11-2.21(m,1H),2.03-2.10(m,2H),1.98-2.03(m,9H),1.94-1.97(m,1H),1.95(s,3H),1.83(d,J=10.8Hz,1H),1.57-1.67(m,1H),1.54(d,J=12.8Hz,1H),1.36-1.50(m,2H),1.01-1.14(m,1H),0.85(t,J=7.2Hz,3H).
QC-LCMS(方法AB01)、保持時間=2.66分、[M+H]=592.3m/z。
【0169】
化合物(6):(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
DCM(8mL)中の(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(0.8g)の撹拌溶液にDIPEA(0.47mL)及び塩化アセチル(0.15mL)をN下において0℃で添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、HO(50mL)とDCM(100mL×2)との間で分配した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、GX281装置(Phenomenex Luna C18 100×30mm、5μm粒子カラムを、25mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~15分 5~45%B;15.1~17分 100%B;17.1~20分 5%Bを用いて室温で操作した)を使用した分取HPLCで精製して、表題化合物(0.25g)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.03(d,J=8.8Hz,1H),6.92(d,J=8.8Hz,1H),5.38-5.45(m,2H),4.98-5.07(m,2H),4.18-4.22(m,1H),4.10(d,J=2.4Hz,1H),4.06(d,J=2.0Hz,1H),3.19(d,J=16.0Hz,1H),2.94(d,J=1.6Hz,1H),2.67-2.69(m,2H),2.34(d,J=2.0Hz,2H),2.20(s,3H),2.03-2.15(m,2H),1.97-2.03(m,13H),1.82(d,J=10.4Hz,1H),1.44-1.61(m,5H),0.98-1.10(m,1H),0.86(t,J=7.2Hz,3H).
QC-LCMS(方法DELIVER-K)、保持時間=1.58分、[M+H]=634.2m/z。
【化22】
【0170】
化合物(7):(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール
MeOH(24mL)及び水(8mL)中の(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(0.8g)の撹拌溶液にNaOH(270mg)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で3時間撹拌した後、濃縮した。残留物を、Shimadzhu LC20AP装置を使用した分取HPLC(Phenomenex Luna C18 250×50mm、10μm粒子カラムを、80mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~20分 1~25%B;20.1~25分 100%B;25.1~30分 1%Bを用いて室温で操作した)で精製して、表題化合物(0.20g)を得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d)δ 8.21(s,1H),6.91(d,J=8.4Hz,1H),6.50(d,J=8.4Hz,1H),4.48(d,J=7.2Hz,1H),3.35-4.0(m,5H),3.20-3.30(m,4H),3.06-3.18(m,3H),3.00(d,J=10.4Hz,1H),2.72-2.89(m,2H),2.36-2.47(m,1H),2.17-2.34(m,2H),2.07(dd,J=11.6,17.2Hz,1H),1.85(d,J=11.6Hz,1H),1.39-1.70(m,5H),1.04-1.17(m,1H),0.86(t,J=7.2Hz,3H).
QC-LCMS(方法AB01)、保持時間=1.87分、[M+H]=424.2m/z。
【化23】
【0171】
化合物(8):[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[[(4aR,10aR)-1-プロピル-6-[(2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[g]キノリン-7-イル]オキシ]-3,4,5-トリアセトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチルアセテート
DCM(100mL)中の(4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジオール塩酸塩(2g)の撹拌溶液に(2R,3R,4S,5R,6R)-2-(アセトキシメチル)-6-(2,2,2-トリクロロ-1-イミノエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(T-4;市販、13.2g)を添加した。混合物を-20℃に冷却した後、BF3-OEt(3.3mL)を滴下して添加した。反応物を-20℃で1時間及び室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮した。残留物を、Agela FI-H600G装置(Agela Innoval ods-2 250×80mm、10μm粒子カラムを、160mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~20分 22~52%B;20.1~25分 100%B;25.1~30分 22%Bを用いて室温で操作した)を使用した分取HPLCで精製して、表題化合物(3.0g)を得た。この材料0.5gを、GX281装置(Waters Atlantis T3 150×30mm、5μm粒子カラムを、25mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~13分 15~55%B;13.1~15分 100%B;15.1~18分 15%Bを用いて室温で操作した)を使用した分取HPLCで再精製して、表題化合物(0.25g)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 6.92-6.99(m,2H),5.69(d,J=7.6Hz,1H),5.43-5.49(m,2H),5.20-5.30(m,1H),4.99-5.14(m,4H),4.28(dd,J=4.8,12.8,Hz,1H),4.12-4.15(m,2H),4.01-4.04(m,2H),3.70-3.82(m,1H),3.15(dd,J=4.8,16.4Hz,2H),2.89-3.03(m,2H),2.65-2.77(m,1H),2.43(dd,J=10.8,16.0Hz,1H),2.25-2.36(m,1H),2.10-2.23(m,1H),2.05(s,3H),2.04(s,3H),2.02(s,3H),2.01(s,3H),1.96-2.00(m,9H),1.92(s,3H),1.74-1.87(m,1H),1.32-1.70(m,6H),0.99-1.16(m,1H),0.86(t,J=7.2Hz,3H).
QC-LCMS(方法AB25-MS1500)、保持時間=2.05分、[M+H]=922.3m/z。
【0172】
化合物(9):(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)
MeOH(30mL)及びHO(10mL)中の[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[[(4aR,10aR)-1-プロピル-6-[(2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[g]キノリン-7-イル]オキシ]-3,4,5-トリアセトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチルアセテート(1.0g)の溶液にNaOH(434mg)を0℃で添加した。混合物を0℃で3時間撹拌した後、濃縮した。残留物を、Shimadzhu LC20AP装置を使用した分取HPLC(Phenomenex Luna C18 250×50mm、10μm粒子カラムを、80mL/minの水+0.225%ギ酸(A)及びMeCN(B)の勾配:0~20分 1~20%B;20.1~25分 100%B;25.1~30分 1%Bを用いて室温で操作した)で精製して、表題化合物(0.20g)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.03(d,J=8.4Hz,1H),6.82(d,J=8.4Hz,1H),4.87(d,J=7.6Hz,1H),4.60(d,J=7.6Hz,1H),3.72(d,J=10.0Hz,1H),3.60(d,J=10.0Hz,1H),3.39-3.51(m,2H),3.19-3.33(m,6H),3.08-3.18(m,3H),2.99-3.06(m,1H),2.94(d,J=10.0Hz,1H),2.65-2.77(m,1H),2.43(m,1H),2.27-2.37(m,1H),2.00-2.21(m,3H),1.82(d,J=12.0Hz,1H),1.35-1.67(m,5H),0.97-1.11(m,1H),0.85(t,J=7.2Hz,3H).
QC-LCMS(方法AB00)、保持時間=2.18分、[M+H]=586.3m/z。
【実施例
【0173】
本発明の化合物の生体外及び生体内での特徴付け
実施例1:ヒト血漿及び肝細胞における化合物の変換
実施例1a:ヒト血漿における本発明の化合物の変換
凍結したヒト血漿を解凍し、3200×gで5分間遠心分離して、破片を除去した。次に、上清のpH値を測定し、1%リン酸又は1N水酸化ナトリウムを添加して、7.4±0.1に調整した。2μLの投与溶液(試験化合物の場合には50μM、陽性対照(臭化プロパンテリン)の場合には100μM)を98μLのブランク血漿と混合して、最終濃度の1mMの試験化合物及び2mMの陽性対照を達成した。混合物をインキュベートし、試料を、水浴中、37℃において0、0.5、1、2、4及び6時間の所定の時点で(繰り返し)インキュベーション物から取り出した。対応する各時点で10μLの阻害剤並びに20μLのアスコルビン酸及び2μLのギ酸(20%)を添加し、次に400μLの「停止溶液」(200ng/mLトルブタミド及び200ng/mLラベタロールの50%ACN/MeOH溶液)を添加して、タンパク質を沈殿させる。物質を完全に混合した後、4,000rpmで20分間遠心分離した。次に、上清のアリコート(50μL)を各ウェルから試料プレートに移し、100μLの超純水と混合した。プレートを800rpmで約10分間振とうした後、LC-MS/MS分析に供した。
【0174】
実施例1b:ヒト肝細胞における本発明の化合物の変換
インキュベーションは、96ウェルプレート中において1mMの化合物濃度で2回行った。肝細胞濃度は、5%CO、相対湿度95%のインキュベーター内において、37℃での最終インキュベーションに使用された0.5×10細胞/mLであった。培地対照試料は、細胞の非存在下において0分及び60分で含まれていた。最終インキュベーションでの総有機物濃度は、≦1%(DMSO≦0.1%)であった。対照(7-エトキシクマリン及び7-ヒドロキシクマリン)を3mMで並行してインキュベートした。2μLの投与溶液(試験化合物の場合には50mM、陽性対照の場合には100mM)を98μLの100mM PBSと混合して、最終濃度の1μMの試験化合物及び2μMの陽性対照を達成した。混合物をインキュベートし、試料を、水浴中、37℃において0、0.5、1、2、4及び6時間の所定の時点で(繰り返し)インキュベーション物から取り出した。各試料に10μLの阻害剤並びに20μLのアスコルビン酸及び2μLのギ酸(20%)を添加し、続いて400μLの停止溶液(200ng/mLトルブタミド及び200ng/mLラベタロールの50%ACN/MeOH溶液)を添加した。物質を完全に混合した後、4,000rpmで20分間遠心分離した。各ウェルからの上清のアリコート(50μL)を試料プレートに移し、100μLの超純水と混合した。プレートを800rpmで約10分間振とうした後、LC-MS/MS分析に供した。
【0175】
血漿及び肝細胞のインキュベーション試料の分析に使用される装置
質量分析計(LC-MS/MS)Shimadzu LC 20-AD Shimadzu UHPLC API 4000。分析カラム ACQUITY UPLC(登録商標)BEHフェニル 1.7μm 2.1×50mm。移動相A:水中0.1%ギ酸。移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸。2.0分で95/5%から5/95に移動する勾配。流量0.7mL/分。試験アイテム及び追加された分析標準(ラベタロール又はトルブタミド)のMRMモニタリング(多重反応モニタリング)。
【0176】
実施例2:5-HT2Bアゴニスト活性及び結合アッセイ
5-HT2Bアゴニスト活性アッセイ
HTRF検出法を用いて、Eurofins/Cerep(France)により、イノシトール一リン酸(IP1)産生に対する化合物の作用を測定して、ヒト5-HT2B受容体での化合物(I)、(Ia)及び(Ib)のアゴニスト活性の評価を行った。簡潔には、ヒト5-HT2B受容体がトランスフェクトCHO細胞において発現された。10mM Hepes/NaOH(pH7.4)、4.2mM KCl、146mM NaCl、1mM CaCl、0.5mM MgCl、5.5mMグルコース及び50mM LiClを含有するバッファー中に細胞を懸濁し、次いで密度4100細胞/ウェルにおいてマイクロプレートに分配し、バッファー(基礎コントロール)、試験化合物又は参照アゴニストの存在下において37℃で30分間インキュベートした。刺激されたコントロールの測定のために、個々のアッセイウェルは、1μM 5-HTを含有した。インキュベーション後、細胞を溶解し、蛍光受容体(フルオロフェン(fluorophen)D2標識化IP1)及び蛍光供与体(ユーロピウムクリプテートで標識化された抗IP1抗体)を添加した。室温において60分後、λ(Ex)337nm並びにλ(Em)620及び665nmにおいて、マイクロプレートリーダー(Rubystar,BMG)を使用して蛍光の移行を測定した。665nmで測定されたシグナルを620nmで測定されたシグナルで割ることにより、IP1濃度を決定した(比率)。その結果を1μM 5-HTに対するコントロールの応答のパーセントとして表した。標準参照アゴニストは、5-HTであり、それを数通りの濃度でそれぞれの実験で試験して、濃度反応曲線を作成し、その曲線から、そのEC50値は、ドーパミン機能性アッセイについて上述のように計算される。
【0177】
5-HT2B結合アッセイ
ヒト5-HT2B受容体に対する化合物の親和性の評価をEurofins/Cerep(フランス(France))で放射性リガンド結合アッセイにおいて決定した。50mM トリスHCl(pH7.4)、5mM MgCl、10μMパージリン及び0.1%アスコルビン酸を含有するバッファー中の試験化合物の非存在下又は存在下において、ヒト5HT2B受容体を発現するCHO細胞から調製された膜ホモジネートを0.2nM[125I](±)DOI(1-(4-ヨード-2,5-ジメトキシフェニル)プロパン-2-アミン)と共に室温で60分間インキュベートした。非特異的な結合は、1μM(±)DOIの存在下において決定される。インキュベーション後、0.3%ポリエチレンイミン(PEI)で予浸されたガラス繊維フィルター(GF/B,Packard)を通して、試料を真空下において迅速に濾過し、96試料細胞ハーベスター(Unifilter,Packard)を使用して、氷冷50mMトリスHClで数回すすいだ。フィルターを乾燥させ、シンチレーションカクテル(Microscint 0,Packard)を使用してシンチレーション計数器(Topcount,Packard)において放射能についてカウントした。コントロール放射性リガンド特異的な結合の抑制パーセントとして結果を表す。標準参照化合物は、(±)DOIであり、それを数通りの濃度でそれぞれの実験で試験して、競合曲線が得られ、その曲線からそのIC50が計算される。
【0178】
【表7】
【0179】
実施例3:ラットにおけるPK実験
すべての実験に関して、約0.68mLの血液試料を尾又は舌下静脈から採取し、予め冷却されており、且つ水中のアスコルビン酸80μL及び100mMD-糖酸1,4ラクトン40μLからなる安定化溶液で調製されたK3EDTAチューブに血液試料を入れた。チューブを6~8回穏やかに反転させ、十分に混合し、次いで湿った氷上に置いた。遠心分離するまで、回収チューブを湿った氷上に30分までの間置いた。湿った氷から除去した後、遠心分離を直ちに開始した。遠心分離が終了した直後に試料を湿った氷上に戻した。予め冷却されたギ酸(20%)を含有する適切に標識された3つのクライオチューブのそれぞれに血漿130μLの3つの副試料を移した(チューブは、予めスパイクされており、使用前に冷蔵保存された)。チューブの蓋を直ちに取り換え、穏やかに6~8回反転させることにより、血漿溶液を完全に混合した。サンプリング後60分以内に試料を名目上-70℃において凍結保存した。遠心条件は、4℃で3000Gにおいて10分間であった。回収後、血漿を氷水上に置いた。約-70℃での最終保存。
【0180】
固相抽出又は直接タンパク質沈殿に続いて、UPLC-MS/MSによって血漿試料を分析した。応答を補正する内標準を使用した、化合物(I)の特異的な質量/電荷トランジションのモニタリングによる陽イオンモードでのエレクトロスプレーを用いたMS検出。適切なノンコンパートメント技術を用いて標準ソフトウェアを使用して、濃度-時間データを分析し、誘導PKパラメーターの推定値を得た。
【0181】
化合物(Ia)を投与することからの化合物(I)の分析に使用される装置:
質量分析計(LC-MS/MS)Waters Acquity-Sciex API 5000。分析カラムWaters BEH UPLC Phenyl 100×2.1mmカラム、粒径1.7μm。移動相A:20mMギ酸アンモニウム(水性)+0.5%ギ酸。移動相B:アセトニトリル。6.1分で95/5%から2/98%に移動する勾配。流量0.5mL/分。試験アイテム及び追加された分析標準のMRMモニタリング(多重反応モニタリング)。
投与及び血液サンプリング:Charles River Laboratories,Sulzfeld,GermanyによってHanウィスターラットが供給された。自動制御の人工的な12時間の明及び暗サイクルを維持した。Brogaardenから入手した標準実験室食餌(Altromin1324ペレット)がラットに与えられた。ラットは、食餌に自由にアクセスできた。研究(4週間の毒性研究)中、経管栄養法によってラットに(Ia)の用量を1日1回経口投与した。(Ia)300μg/kgが投与されたラットから、雄のサテライト動物3匹からの血液試料)を29日目の以下の時点:投与後0.5、1、2、4、6、8、12及び24時間で採取した。
【0182】
化合物(Ib)の投与からの化合物(I)の分析に使用される装置:
質量分析計(LC-MS/MS)Waters Acquity -Sciex API5000。分析カラムWaters BEH UPLC Phenyl 100×2.1mmカラム、粒径1.7μm。移動相A:20mMギ酸アンモニウム(水性)+0.5%ギ酸。移動相B:アセトニトリル。6.1分で95/5%から2/98に移動する勾配。流量0.5mL/分。試験アイテム及び追加された分析標準のMRMモニタリング。
投与及び血液サンプリング:Charles River Laboratories(UK)によってHanウィスターラットが供給された。自動制御の人工的な12時間の明及び暗サイクルを維持した。標準実験室食餌(Teklad 2014C Diet)がラットに与えられた。ラットは、食餌に自由にアクセスできた。研究(26週間の毒性研究)中、経管栄養法によってラットに(Ib)の用量を1日1回経口投与した。(Ib)300μg/kgが投与されたラットから、雄のサテライト動物3匹からの血液試料を182日目の以下の時点:投与後0.5、1、2、4、8及び24時間で採取した。
【0183】
化合物(Ic)、化合物7、化合物(4)、化合物(9)、A6及びA2の投与からの化合物(I)の分析に使用される装置:
質量分析計(LC-MS/MS)Waters Acquity-Waters Xevo TQ-S。分析カラムAcquity BEH C18 100×2.1mm、1.7μm。移動相A:20mMギ酸アンモニウム+0.2%ギ酸。移動相B:アセトニトリル+0.2%ギ酸。11.0分で95/5%から5/95%に移動する勾配。流量0.3mL/分。試験アイテム及び追加された分析標準のMRMモニタリング。
【0184】
投与及び血液サンプリング:Envigo,UKによってHanウィスターラットが供給された。自動制御の人工的な12時間の明及び暗サイクルを維持した。標準実験室食餌Teklad 2014Cがラットに与えられた。ラットは、食餌に自由にアクセスできた。試験化合物を単回経口経管栄養法で雄のHanウィスターラットに経管栄養法によって経口投与した。ラットには、494μg/kgの(Ic)、487μg/kgの化合物(7)、487μg/kgの化合物(4)、674μg/kgの化合物(9)、359μg/kgのA6及び551μg/kgのA2を投与した。雄の動物3匹からの血液試料を1日目の以下の時点:投与後0.125、0.25、0.5、1、2、4、8及び24時間で採取した。
【0185】
【表8】
本発明は以下の態様を含み得る。
[1]
式(Id)
【化1】

(式中、R1及びR2は、以下のa)~c):
a)R1は、H、C1~C6アルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C1~C6アルキルから選択され、及びR2は、以下の置換基(i)であること、又は
b)R1は、以下の置換基(i)であり、及びR2は、H、C1~C6アルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C1~C6アルキルから選択されること、又は
c)R1及びR2は、両方とも以下の置換基(i)
【化2】

によって表されること
に従い、
R3は、H及び-C(O)C1~C6アルキルから選択され、
*は、結合点を示し、
置換基(i)上の結合点での炭素原子は、S立体配置であり、
ただし、R1又はR2の一方が置換基(i)であり、及びR3がHである場合、R1又はR2の他方は、直鎖-C(O)C1~C6アルキルであることができない)
による化合物又はその薬剤として許容される塩。
[2]
R1は、H、C1~C6アルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C1~C6アルキルから選択され、及びR2は、置換基(i)である、[2]に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[3]
R1は、置換基(i)であり、及びR2は、H、C1~C6アルキル、ベンジル及び直鎖-C(O)C1~C6アルキルから選択される、[2]に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[4]
R1及びR2は、両方とも置換基(i)によって表される、[2]に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[5]
R1又はR2は、-C(O)メチルである、[2]~[4]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[6]
R3は、-C(O)メチルである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[7]
R3は、Hである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[8]
R1及びR2の一方は、Hであり、R1及びR2の一方は、置換基(i)であり、R3は、Hである、[1]又は[5]に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[9]
(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-(ベンジルオキシ)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-7-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
(2R,3R,4S,5R,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5R,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-アセトキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート;
(2S,3R,4S,5S,6R)-2-(((4aR,10aR)-6-ヒドロキシ-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-7-イル)オキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;
[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[[(4aR,10aR)-1-プロピル-6-[(2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[g]キノリン-7-イル]オキシ]-3,4,5-トリアセトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチルアセテート;及び
(2R,2’R,3S,3’S,4S,4’S,5R,5’R,6S,6’S)-6,6’-(((4aR,10aR)-1-プロピル-1,2,3,4,4a,5,10,10a-オクタヒドロベンゾ[g]キノリン-6,7-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)
からなる群から選択される、[1]に記載の化合物又は前記化合物のいずれかの薬剤として許容される塩。
[10]
薬物として使用するための、[1]~[9]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[11]
治療有効量の、[1]~[9]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩と、1種又は複数の薬剤として許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
[12]
経口投与のための錠剤又はカプセル剤などの経口医薬組成物である、[11]に記載の医薬組成物。
[13]
パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神患若しくは障害の治療で使用するための、[1]~[9]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩。
[14]
パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神患若しくは障害の治療の方法であって、治療有効量の、[1]~[9]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
[15]
パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群若しくはアルツハイマー病などの神経変性疾患若しくは障害の治療のための、又は精神分裂病、注意欠陥多動障害若しくは薬物嗜癖などの神経精神疾患若しくは障害の治療のための薬物の製造における、[1]~[9]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬剤として許容される塩の使用。
図1a
図1b
図2a
図2b