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特許7514872広帯域アンテナモジュール及びこれを備える移動端末
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】広帯域アンテナモジュール及びこれを備える移動端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/371 20150101AFI20240704BHJP
   H01Q 9/04 20060101ALI20240704BHJP
   H01Q 9/40 20060101ALI20240704BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01Q5/371
H01Q9/04
H01Q9/40
H01Q13/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022023108
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2022171556
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0055717
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518063665
【氏名又は名称】エルジー ユープラス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LG Uplus Corp.
【住所又は居所原語表記】32, Hangang-daero, Yongsan‐gu, Seoul, 04389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヒョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チャ ウォンジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ユシン
(72)【発明者】
【氏名】チン ウォンウィ
(72)【発明者】
【氏名】キム チョンファン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウクォン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0090834(US,A1)
【文献】特開平06-260829(JP,A)
【文献】特開2006-074422(JP,A)
【文献】特開2003-092510(JP,A)
【文献】国際公開第2008/072411(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0071871(US,A1)
【文献】特開2005-086603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/371
H01Q 9/04
H01Q 9/40
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地部と給電部を含む基板と、
前記基板上に形成されるアンテナ素子を含み、
前記アンテナ素子は、
前記給電部に連結される給電点と、
前記給電点から第1方向に延びる第1放射部と、
前記給電点から第2方向に延び、前記第1放射部とはV字状をなす第2放射部と、
前記第2放射部の基板と離間した端部から基板と水平に延びて形成された水平部と、前記水平部の端部で前記基板に向かって折り曲げられた垂直部を含む、第3放射部と、
前記第2放射部から前記基板に向かって垂直に延びる接地ラインとを含む、広帯域アンテナモジュール。
【請求項2】
前記第1放射部及び前記第2放射部は前記給電点から離れるにつれて幅が広くなる、請求項1に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項3】
前記第1放射部の長さと前記第2放射部の長さは互いに異なる、請求項1に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項4】
前記第2放射部は、
前記基板から離隔した位置で前記基板と平行な水平部をさらに含む、請求項1に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項5】
前記第2放射部は前記水平部の端部であって前記基板に向かって折り曲げられた接地ラインをさらに含む、請求項4に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項6】
前記第3放射部と前記基板の間に位置する少なくとも一つの絶縁柱をさらに含む、請求項1に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項7】
前記アンテナ素子は前記基板上に取り付けられる、請求項1に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項8】
前記第1放射部と前記第2放射部は互いに対向して設けられる、請求項1に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項9】
前記基板上に取り付けられる少なくとも一つ以上のミリ波素子をさらに含み、
前記アンテナ素子とミリ波素子は互いに重ならない、請求項1に記載の広帯域アンテナモジュール。
【請求項10】
接地部と給電部を含む基板と、
前記基板上に形成され、互いに離隔して直交配置される複数のアンテナ素子を含み、
前記アンテナ素子は、
前記給電部に連結される給電点と、
前記給電点から第1方向に延びる第1放射部と、
前記給電点から第2方向に延びる第2放射部と、
前記第2放射部の基板と離間した端部から基板と水平に延びて形成された水平部と、前記水平部の端部で前記基板に向かって折り曲げられた垂直部を含む第3放射部と、
前記第2放射部から前記基板に向かって垂直に延びる接地ラインとを含む、広帯域アンテナモジュール。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の広帯域アンテナモジュールと、
前記広帯域アンテナモジュールが取り付けられるハウジングを含む、移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は広帯域アンテナモジュールに関し、より具体的には、進歩した技術と既存の技術に基づく通信技術が共存する状況において、2つの技術による無線通信を両立できるアンテナモジュール及びこれを備える移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP標準団体の総会で5G構造についての論議が進行される過程において、2020年以前に早い常用化需要を有した国の通信業体を満たさなければならないという要求と、新しいサービス創出が可能な標準技術を研究して開発するための時間が必要であるという要求が提起された。
【0003】
このように相反する2つの要求を論議する過程において、色々な構造候補案が論議された結果、早い常用化を希望する業体のための方案の1つとして、新しい5G標準であるNR(New Radio)技術を既存の4G標準の3GPP LTE(Long Term Evolution)システムと共に使用して、LTEカバレッジとNRカバレッジを同時に提供するNSA(Non Standalone)構造が導入された。
【0004】
現在のNSA構造において、5Gサービスは、既存の4Gサービスに基づいて端末と網の間のデータ処理速度を向上させるために、端末がデータをやり取りする経路(即ち、セクション)を変更する方式である。例えば、5Gを支援する端末(以下、便宜上“5G端末”という)がNRカバレッジ内にあれば、5G基地局(gNB)と通信し、LTEカバレッジ内にあれば、4G基地局(eNB)と通信する。勿論、音声通話のための経路、即ち、IMS(IP Multi-Media Subsystem)セクションは通話品質の向上のために、位置に関係なく4G基地局を維持することもある。
【0005】
結局、5G端末は、5Gサービスだけではなく4Gサービスも利用する必要があるので、アンテナの数が必然的に増加する。また、端末の種類によって様々な周波数帯域で無線通信が可能なアンテナを再設計する必要があるので、R&D費用が増加し、現実的に既存のLTE開発者がすぐ5Gアンテナ市場に進入することが容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は広帯域アンテナモジュールに関し、LTE通信とNR技術による無線通信を全て行えるアンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、接地部と給電部を含む基板と、該基板上に形成されるアンテナ素子を含み、該アンテナ素子は、給電部に連結される給電点(feeding point)と、給電点から第1方向に延びる第1放射部と、第1放射部とV字状をなすように給電点から第2方向に延び、第1放射部とはV字状をなす第2放射部を含む、広帯域アンテナモジュールを提供する。
【0008】
第1放射部及び第2放射部は給電点から離れるにつれて幅が広くなる。
【0009】
第1放射部の長さと第2放射部の長さは互いに異なる。
【0010】
第2放射部は基板から第1距離離隔した位置で基板と平行な水平部をさらに含む。
【0011】
第2放射部は、水平部の端部であって、基板に向かって折り曲げられた接地ラインをさらに含む。
【0012】
第2放射部は基板に向かって折り曲げられた接地ラインをさらに含む。
【0013】
第2放射部から延びて形成された第3放射部を含む。
【0014】
第3放射部は、基板と平行な水平部と、該水平部の端部で基板に向かって折り曲げられた垂直部を含む。
【0015】
第3放射部と基板の間に位置する少なくとも一つの絶縁柱をさらに含む。
【0016】
アンテナ素子は基板上に取り付けられる。
【0017】
第1放射部と第2放射部は互いに対向して設けられる。
【0018】
基板上に取り付けられる少なくとも一つのミリ波素子をさらに含み、アンテナ素子とミリ波素子は互いに重ならないように構成される。
【0019】
本発明の他の側面によれば、接地部と給電部を含む基板と、該基板上に形成され、互いに離隔して直交配置される複数のアンテナ素子を含んでなり、該アンテナ素子は、給電部に連結される給電点と、該給電点から第1方向に延びる第1放射部と第1放射部とV字状をなすように給電点から第2方向に延びる第2放射部を含む、広帯域アンテナモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の広帯域アンテナモジュールは、一つのアンテナ素子で800MHzから5000MHzに至る広帯域の信号を全て送受信できるので、アンテナの数を減らすことができる。
【0021】
また広帯域アンテナモジュールを用いると、端末モデルによって毎回アンテナを設計する必要がないので、R&D期間を短縮し、費用を節減することができる。
【0022】
本発明の適用可能性の追加範囲は以下の詳細な説明から明らかになる。なお、本発明の思想及び範囲内での様々な変更及び修訂は当業者が明確に理解できるので、詳細な説明及び本発明の好ましい実施例のような特定の実施例はただ例示に過ぎないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施例による移動通信網の構造を説明する図である。
図2】一実施例による広帯域アンテナモジュールを示す図である。
図3A】一実施例による広帯域アンテナモジュールを示す図である。
図3B図3Aの一実施例による広帯域アンテナモジュールの反射係数を示すグラフである。
図4A】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図4B】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図5A】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図5B】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図5C】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図6A】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図6B】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図7A】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図7B】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図8A】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図8B】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図8C】他の実施例による広帯域アンテナモジュールと反射係数を示すグラフである。
図9A】MIMOアンテナの一実施例を示す図である。
図9B図9Aの広帯域アンテナモジュールの反射係数を示すグラフである。
図10A】さらに他の実施例による広帯域アンテナモジュールを示す平面図である。
図10B】さらに他の実施例による広帯域アンテナモジュールを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明し、図面符号に関係なく同一又は対応する構成要素には同じ参照番号を付してこれについての重複説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は本明細書の作成の容易性のみを考慮して付与又は混用されるものであって、それ自体が互いに区別される意味又は役割を有するとはいえない。
【0025】
また、本明細書に開示された実施例を説明するにおいて、関連する公知技術に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を曖昧にする可能性があると判断される場合は、詳しい説明を省略する。また、添付図面は本明細書に開示された実施例に対する容易な理解を助けるためのものであり、添付図面により本明細書に開示する技術的思想は制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物又は代替物を含むと理解されるべきである。
【0026】
本明細書において、「第1」、「第2」等の用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこのような用語によって限定されてはならない。これら用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる、或いは「接続されて」いると言及された場合には、該他の構成要素に直接連結または接続されていることも意味するが、それらの間に別の構成要素が介在する場合も含むと理解されるべきである。
【0027】
一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる、或いは「直接接続されて」いると言及された場合には、それらの間に別の構成要素が介在しないと理解されるべきである。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0028】
本発明による移動通信網は、4G標準である3GPP LTE(Long Term Evolution)及び/又は5G標準であるNR(New Radio)に基づいて構成されるが、これは一つの実施例に過ぎず、4G標準及び5G標準に定義されたネットワークエレメントと他の網(例えば、IoT網)のデバイスと相互連動するように構成される。
【0029】
図1は実施例による移動通信網の構造を説明する図であり、特に、3GPP標準上のNSA(Non Standalone)システムの構造を示す。
【0030】
NSAシステムはNR(New Radio)技術を既存のLTEシステムと共に使用して、LTEカバレッジとNRカバレッジを同時に提供するシステムであって、NRカバレッジのみを提供するSA(Stand Alone)システムとは区分される。
【0031】
5G NR使用を支援する基地局は、gNBとen-gNBの2つに定義される。前者はNRカバレッジのみを提供するSA(Stand Alone)システムのみで使用され、後者はNSA(Non Standalone)システムに使用される基地局である。
【0032】
gNBはNR技術及び5G Coreとの連動を支援する次世代基地局であり、en-gNBはNR技術及び5G Coreとの連動を支援しながら、同時にLTEシステムのコアであるEPCと基地局であるeNBと連動する新しい形態の基地局である。eNBはLTE技術とEPC(Enhanced Packet Core)との連動を支援するLTEシステムで使用される基地局である。
【0033】
一つ以上のRX/TXを支援する端末が一つ以上の基地局が制御するリソースを同時に使用する技術をDC(Dual Connectivity)と呼ぶが、5G NSA構造は3GPP標準団体で定義するDC技術に基づく。
【0034】
図1を参照すると、実施例による移動通信網は、UE(User Equipment、10)、eNB(Evolved Node B、20)、S-GW(Serving Gateway、30)、P-GW(Packet Data Network Gateway、40)、MME(Mobility Management Entity、50)、HSS(Home Subscriber Server、60)及びPDN(Packet Data Network、90)を含む。
【0035】
UE10はLTE及び/又はNR標準によるユーザ端末であって、LTE UuインターフェースによりeNB20と連結される。ここで、LTE Uuインターフェースは無線インターフェースであって、制御メッセージを送受信するための制御平面及びユーザデータを提供するためのユーザ平面が定義される。
【0036】
UE10はNR標準を支援する基地局であるgNB(図示せず)又はLTE及びNR標準を全て支援する基地局であるEn-gNB22とも連動される。
【0037】
eNB20はUE10に無線インターフェースを提供する装置であって、無線ベアラー制御、無線許可制御、動的無線リソース割り当て、負荷制御(Load balancing)及びセル間干渉制御などの無線リソース管理機能を提供する。
【0038】
S-GW30はE-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)とEPC(Evolved Packet Core)の終端であって、eNB20間のハンドオーバー及び3GPPシステム間のハンドオーバーの時に基準点(Anchoring point)となる。ここで、E-UTRANは少なくとも一つのeNB20で構成され、EPCはS-GW30、P-GW40及びMME50で構成される。
【0039】
P-GW40はUE10を外部PDN(Packet Data Network、100)と連結させて、パケットフィルタリング機能を行う。また、P-GW40はUE10にIP住所を割り当て、3GPPシステムとnon-3GPPシステムの間のハンドオーバーの時に移動性アンカリングポイント(Mobility anchoring point)として動作する。特に、P-GW40はPCRFからPCC(Policy and Charging Control)の規則を受信して、それを該当サービスの流れに適用し、UE10/SDF(Service Date Flow)ごとの課金機能を提供する。
【0040】
MME50はUE10のネットワーク連結のためのアクセス制御機能、ネットワークリソース割り当て機能、トラッキング(Tracking)機能、ページング(Paging)機能、ローミング(roaming)機能、ハンドオーバー(Handover)機能などを提供する。MME50は複数のeNB20を管理し、既存の2G/3Gネットワークへのハンドオーバーのために所定のシグナリングを行ってゲートウェイを選択することができる。
【0041】
また、MME50はHSS60と連動して接続UE10に対する認証及び保安設定の手順を行い、遊休端末に関する位置情報を管理する。MME50はHSS60から認証ベクトルを得、該当認証ベクトルを用いてUE10と相互認証を行う。認証手順が完了すると、MME50はUE10とMME50の間の保安のための保安キーを設定する。
【0042】
HSS60はユーザプロファイル(Subscriber profile)が貯蔵されたデータベースであって、MME50にユーザ認証情報及びユーザプロファイルを提供する。
【0043】
UuはUE10とeNB20の間の無線インターフェースであって、制御平面及びユーザ平面を提供する。
【0044】
S1-UはeNB20とS-GW30の間のインターフェースであって、ユーザ平面を提供する。この時、ベアラーごとのGTPトンネリングが提供される。
【0045】
S5はS-GW30とP-GW40の間のインターフェースであって、制御平面及びユーザ平面を提供する。この時、ユーザ平面はベアラーごとのGTPトンネリングを提供し、制御平面はGTPトンネル管理を提供する。
【0046】
SGiはP-GW40とPDN90の間のインターフェースであって、ユーザ平面及び制御平面を定義する。ユーザ平面ではIETF基盤のIPパケットフォーワディング(Forwarding)プロトコールが使用され、制御平面ではDHCPとRADIUS/Diameterのようなプロトコールが使用される。
【0047】
S11はMME50とS-GW30の間のインターフェースであって制御平面が定義され、ベアラーごとのGTPトンネリングが提供される。
【0048】
X2は2つのeNB20又は互いに異なるRAT(Radio Access Technology)を支援する2つの基地局(eNB20とEn-gNB22)の間のインターフェースであって、制御平面及びユーザ平面を提供する。制御平面ではX2-APプロトコールが使用され、ユーザ平面ではX2ハンドオーバーの時、データフォーワディング(Forwarding)のためにベアラーごとのGTP(GPRS Tunneling Protocol)トンネリングを提供する。
【0049】
S6aはHSS60とMME50の間のインターフェースであって、制御平面が提供され、UE加入情報及び認証情報を交換するために使用される。
【0050】
図2は実施例による広帯域アンテナモジュール100を示す図である。本発明の広帯域アンテナモジュール100は、基板120と、基板120上に取り付けられるアンテナ素子110で構成される。基板120は絶縁層とその上に形成された回路配線を含み、複数の層からなる印刷回路基板120を意味し、アンテナ給電のための給電部121と大面積の伝導性物質からなる接地部122を含む。
【0051】
給電部121は電源部から電源が印加されて、送信しようとする電気的信号をアンテナ素子110に給電する。接地部122は回路上で電位値が0と定義される平面であって、アンテナ素子110が接地部122に連結されると、アンテナ信号送信の安定性を確保できる。
【0052】
給電部121と接地部122を含む基板120上に載置されるアンテナ素子110は伝導性物質を含み、金属板を折り曲げて具現するか、又はプラスチックフレームにめっきして具現できる。
【0053】
この実施例のアンテナ素子110は、給電部121と連結される給電点111、給電点111からV字状に延びる第1放射部112と第2放射部113、第2放射部113を基板120と連結する接地ライン116、及び第2放射部113から延びる第3放射部114を含む。
【0054】
図3Bは一実施例による広帯域アンテナモジュール100の周波数による反射係数を示すグラフである。
【0055】
本発明のアンテナ素子110は広帯域の信号を送受信することを特徴とし、図3Bを参照すると、望ましくは、1710MHz以上5000MHz以下の周波数帯域で動作可能なアンテナ素子110に関する。さらに低周波帯域(800MHz)でも共振して低周波帯域の信号を送受信することもできる。
【0056】
図2に示したアンテナ素子110は最適の形状であり、一部の構成を省略又は変形することができる。一部の構成を省略するか、又は形状が図2の形状とは異なる場合にも、共振は変わることができるが、これも広帯域無線通信可能なアンテナ素子110に関するので、本発明に含まれる。
【0057】
この実施例のアンテナ素子110は、基板120に連結された接続部、基板120から離隔する方向に延びる連結部、及び基板120から所定の距離離隔して基板120と平行に配置された水平部を含む。
【0058】
接続部は給電部121に連結される給電点111を含む。給電点111は給電された信号を放射部112、113に伝達して放射するようにするポイントであって、アンテナの主要構成要素である。
【0059】
アンテナ素子110と基板120の接地部122を連結する接地ライン116が基板120に結合し、第3放射部114の端部が基板120上に結合される。接地ライン116と第3放射部114は低周波帯域の信号と関連があり、これについては図4ないし図8の実施例を参照して後述する。
【0060】
連結部は垂直部114aや接地ライン116のように基板120に垂直方向に延びることもでき、給電点111から延びた第1放射部112と第2放射部113のように傾いて斜めに延びることもできる。
【0061】
水平部は基板120から所定距離(例えば、10mm~25mm)離隔して配置され、これにより基板120上の接地部122と距離を置いて水平部を配置することができる。水平部と基板120の距離を維持するために絶縁柱119(図9Aを参照)をさらに備える。
【0062】
絶縁柱119は絶縁物質からなり、アンテナ素子110の基板120との距離が変わるか又は形状が変わることを防止する。第1放射部112、第3放射部114の二か所を支持することが示されているが、絶縁柱119の数は増減できる。
【0063】
図3A図2の広帯域アンテナモジュール100を側方向から見た形態であり、基板120上の給電部121と接地部122を示している。図3B図3Aに示した形態のアンテナ素子110の反射係数を示す図である。
【0064】
反射係数とは、アンテナ素子110の給電部121に印加された信号が再度反射される程度を示し、図3Bのグラフは周波数帯域による反射係数を示す。
【0065】
反射係数が大きいほど反射される信号のサイズも大きく、反射係数が小さい場合、アンテナ素子110が放射して信号を送信できることを意味する。
【0066】
即ち、反射係数(return loss)が-5dB以上の負数である場合、該当周波数帯域の信号を送信でき、これをアンテナ素子110の共振周波数と呼ぶ。
【0067】
一般的には共振周波数は、アンテナ素子110の長さ及び給電部121に連結された給電点111と接地部122に連結された接地点(ground point)115の位置によって変わる。
【0068】
この実施例のアンテナは高周波帯域である1710~5000MHzの第1周波数帯域及び低周波帯域である824~894MHzの第2周波数帯域で動作する。第1周波数帯域の幅が約3300MHzの広帯域であるので、様々な信号をカバーすることができる。
【0069】
地域及び通信サービス供給者によって異なる周波数帯域の信号を用いるので、広帯域信号をカバーするアンテナモジュールは外国に行くか又は他の通信会社を利用する場合にも使用でき、地域及び通信会社によって異なるアンテナモジュールを取り付ける必要がない。
【0070】
また、低周波帯域の信号もカバーでき、動作可能な周波数帯域が広いという長所がある。
【0071】
全体アンテナ素子110の構成が各周波数帯域のアンテナ性能に影響を及ぼすが、より大きな影響を及ぼす構成は第1周波数帯域と第2周波数帯域が少し異なる。
【0072】
第1周波数帯域は給電部121に連結された給電点111から延びた第1放射部112と第2放射部113が大きな影響を及ぼし、第2周波数帯域は第3放射部114と接地ライン116の有無に大きな影響を受ける。
【0073】
以下では、アンテナ素子110の各構成がアンテナ性能を及ぼす影響を具体的に説明するために、様々なアンテナ素子110の実施例について説明する。
【0074】
図4ないし図8は他の実施例による広帯域アンテナモジュール100と周波数による反射係数を示すグラフである。
【0075】
図4Aに示すアンテナ素子110aは図3Aに示すアンテナ素子110の給電点111から延びた第1放射部112が省略された実施例である。
【0076】
図3Aに示す第1放射部112と第2放射部113は給電点111を中心として対称的な構造であり、V字状に基板120から離れる方向に延びる。
【0077】
給電部121で第1方向に延びる第1放射部112は端部がフローティングされた形態、即ち、接地されず、電気的に開放している状態である。
【0078】
第2放射部113は第3放射部114及び接地ライン116に連結され、第1放射部112と第2放射部113の長さには差があり得る。
【0079】
このように第1放射部112と第2放射部113は長さ及び連結された構成配置が異なるので、第1放射部112による共振周波数と第2放射部113による共振周波数が変わり、それにより共振可能な周波数帯域が広くなる。
【0080】
図4B図3Aの実施例と図4Aの実施例の反射係数を示すグラフである。図3Aのように、第2放射部113とV字状に対向する形態の第1放射部112を含むアンテナ素子110の反射係数(reference)と、図4Aのように、第1放射部112が省略されたアンテナ素子110aの反射係数(図4A、第1放射部を省略)を示している。
【0081】
図3Aのアンテナ素子110の反射係数を参考すると、無線信号を送受信できる基準反射係数以下の反射係数を有する部分、即ち、帯域幅(BW:Band width)が3683MHzであり、広帯域である。
【0082】
一方、図4Aのアンテナ素子110aの反射係数を参照すると、帯域幅が1180MHzである。図4Aのアンテナ素子110aの帯域幅は図3Aの実施例の帯域幅より、利用可能な周波数帯域が半分以下に狭くなる。
【0083】
図4Bのグラフから、給電部121に連結された給電点111から対称構造に延びた第1放射部112と第2放射部113を備えたアンテナ素子110は広帯域信号をカバーできることを確認できる。
【0084】
図5A及び図5Bは給電部121に連結された第1放射部112,112bと第2放射部113,113bの形状が異なる実施例を示しており、図5C図5A及び図5Bのアンテナ素子110,110bによる反射係数グラフである。
【0085】
図5Aに示す第1放射部112と第2放射部113は給電点111から離隔するにつれて広くなるテーパ状であり、図5Bの実施例によれば、第1放射部112bと第2放射部113bの幅は一定である。
【0086】
図5Cの反射係数グラフを参照すると、図5Aのアンテナ素子110の帯域幅(BWa)は3610MHzであり、図5Bのアンテナ素子110bの帯域幅(BWb)は2675MHzである。
【0087】
即ち、第1放射部112と第2放射部113がV字状の対称形状になるように配置することも帯域幅の拡張を助け、さらに第1放射部112と第2放射部113がテーパ状に拡張することも帯域幅の拡張を助ける。
【0088】
図5Aのように、給電点111から第1放射部112と第2放射部113の端部までの直線距離が様々であるので、カバー可能な周波数の帯域が広くなる。
【0089】
図5Aの実施例のように、テーパ状に幅が広がる第1放射部112と第2放射部113を有するアンテナ素子110の帯域幅は、図5Bのように同一の幅に延びる第1放射部112と第2放射部113を有するアンテナ素子110の帯域幅よりも広い。
【0090】
従って、図5Aのアンテナ素子110を用いてより広い帯域幅の広帯域アンテナモジュール100を具現することができる。
【0091】
図6Aないし図8Cを参照しながら、アンテナ素子110の各構成の有無によって低周波帯域、即ち、第2周波数帯域に及ぼす影響について説明する。
【0092】
図6Aは給電点111から延びる第1放射部112と第2放射部113のみを含む実施例であり、接地ライン116と第3放射部114が省略された形態のアンテナ素子110cを示している。
【0093】
図6B図3Aによるアンテナ素子110の反射係数(図3Aを参照)と図6Aによるアンテナ素子110cの反射係数(図6Aを参照)を示すグラフである。
【0094】
図3Aによるアンテナ素子110の反射係数(reference)は830MHz付近の第2周波数帯域において下方にピークを形成する。
【0095】
しかし、図6Aに示すように、接地ライン116と第3放射部114が省略されたアンテナ素子110cでは、第1周波数帯域の信号は広帯域を満たすが、第2周波数帯域の信号で共振を起こさないので、低周波帯域の信号を送受信することができない。
【0096】
低周波であるほどより長い放射部が必要であり、第1放射部112と第2放射部113は第3放射部114に比べて相対的に短いので、高周波帯域(第1周波数帯域)の信号を利用する無線通信を担当し、第3放射部114は第1放射部112及び第2放射部113に比べて相対的に長いので、低周波帯域(第2周波数帯域)の信号を用いる無線通信を担当する。
【0097】
従って、図6Aに示すように、第3放射部114が省略されたアンテナ素子110cは第2周波数帯域で共振できず、第2周波数帯域の信号は送受信できない。
【0098】
図7A図6Aの実施例に第3放射部114のみが追加され、図3Aの実施例から接地ライン116が省略された形態のアンテナ素子110dを示している。
【0099】
長い第3放射部114を含むので、図3Aの実施例のアンテナ素子110のように、図7Aのアンテナ素子110dも第2周波数帯域において反射係数が負の値に大きくなり得る。しかし、5dB以下には落ちないので、図7Aのアンテナ素子110dは実質的に第2周波数帯域の信号をカバーすることができない。
【0100】
図8Aは接地ライン116を含むが、第3放射部114の長さが短く、基板120まで伸びる垂直部114aが省略されたアンテナ素子110の実施例を示している。
【0101】
図8Bは接地ライン116のみを含み、第3放射部114が省略されたアンテナ素子110fの実施例を示している。
【0102】
図8C図8Aのアンテナ素子110eと図8Bのアンテナ素子110fの反射係数を示すグラフである。
【0103】
図8Bのように、第3放射部114が省略されたアンテナ素子110fは第2周波数帯域の信号を放射可能な放射部がないので、第2周波数帯域で共振が起こらない。
【0104】
一方、図8Aのように、第3放射部114の端部が基板120に連結されていないアンテナ素子110eは、第3放射部114の長さが短くなる問題がある。
【0105】
制限された空間において放射部の長さを確保するために、図3Aのように第3放射部114の端部114aが基板120の方に向かうように折り曲げてアンテナ長さを短縮して構成することができる。
【0106】
反面、図8Aのように、第3放射部114の端部が基板120から離隔した状態に配置されるアンテナ素子110eは、第2周波数帯域のインピーダンスが図3Aの実施例とは異なるので、低周波帯域の信号については不安定な効率を有する。
【0107】
従って、広帯域の第1周波数帯域(1710~5000MHz)と低周波帯域の第2周波数帯域(824~894MHz)において安定な信号を送受信できる広帯域アンテナモジュール100を具現するためには、図3Aのように、給電点111で対称に延びる第1放射部112と第2放射部113、接地ライン116及び端部が基板120に向かって延びる第3放射部114を含むアンテナ素子110が必要である。
【0108】
所望の周波数帯域の範囲によって、一部の構成は省略できる。例えば、第2周波数帯域の信号は不要な場合、給電点111から延びた第1放射部112と第2放射部113のみを備えるか、又は接地ライン116のみをさらに備えることもできる。
【0109】
本発明のアンテナモジュール100はアンテナ素子110が基板120上に取り付けられ、アンテナモジュール100自体を移動端末に取り付けて広帯域無線信号を送受信することができる。
【0110】
端末ケースを用いる実施例やケースに取り付ける形態などのアンテナは、端末の機種によってアンテナの設計を変わる必要があるので、設計費用が増加する問題がある。
【0111】
本発明のアンテナモジュール100を端末に取り付けることにより、端末のアンテナを具現でき、移動端末のモデルによってアンテナの設計を変わるR&D期間を短縮し、費用を節減することができる。
【0112】
図9AはMIMOアンテナの実施例及び周波数による反射係数を示すグラフである。本発明のアンテナ素子110は2つ以上を備えてMIMOシステムを具現できる。
【0113】
MIMO(Multi Input Multi Output)は同一の周波数帯域の信号を同時に送受信できる複数のアンテナを備えて信号送信の速度を2倍以上に向上させる技術である。
【0114】
MIMOアンテナは送信側で2つ、受信側で2つのアンテナを有する2x2システムであるが、送信側で4つ、受信側で4つのアンテナを有する4x4システムなどを例示することができる。
【0115】
図9Aに示すMIMOアンテナは2x2システムのための配置であり、2つのアンテナの配置が垂直又は水平であり、基板120内において最大に離隔した位置に配置できる。
【0116】
これにより、基板120上に位置する2つのアンテナ素子110の間の干渉(interference)を最小化することができる。
【0117】
干渉を最小化することは、2つのアンテナを隔離(isolation)することであり、2つのアンテナの間の隔離度が高いほど干渉が最小化されて、各アンテナ素子110の性能が最上の状態を維持することができる。
【0118】
図9B図9Aの2つのアンテナ素子110の反射係数を示す図であり、アンテナ素子110が1つである図3Aの実施例と図9Aのように、アンテナ素子110が垂直に配置された2つを含む場合、類似する反射係数パターンを示す。
【0119】
2つのアンテナ素子110が互いに離隔して直交配置される場合、放射パターンも互いに直交して放射パターンの間に干渉が少なく隔離度も増加する。
【0120】
よって、図9Aのように2つのンテナ素子110が配置される場合にも、反射係数は類似し、アンテナ周波数の特性を維持することができる。
【0121】
図10A及び図10Bはさらに他の実施例による広帯域アンテナモジュール100を示す平面図であり、図10Aは2x2システムのMIMOアンテナを備える広帯域アンテナモジュール100であり、図10Bは4x4システムのMIMOアンテナを備える広帯域アンテナモジュール100である。
【0122】
広帯域アンテナモジュール100は基板120上に複数のアンテナ素子110が互いに干渉を最小化するように離隔して配置される。
【0123】
また、6GHz以下の周波数帯域だけではなく、25GHz以上のmmWave(ミリ波)5G信号を送受信するためのアレイアンテナをさらに取り付けることができる。アレイアンテナはミリ波信号により無線通信を行うので、他のアンテナ素子110との干渉が深刻ではない。
【0124】
よって、図10A及び図10Bのように各アンテナ素子110を離隔して配置した後に残る空間に配置することができる。
【0125】
本発明の広帯域アンテナモジュール100は、1つのアンテナ素子110で800MHzから5000MHzに至る広帯域の信号を全て送受信できるので、アンテナの個数を減らすことができる。
【0126】
また、広帯域アンテナモジュール100を利用すると、端末モデルによって毎回アンテナを設計する必要がないので、R&D期間を短縮し、費用を節減することができる。
【0127】
以上、本発明の実施例による広帯域アンテナモジュール100について具体的な実施形態で説明したが、これは例示であり、本発明はこれに限られず、この明細書に開示した基礎思想による最も広い範囲を有することと解釈すべきである。
【0128】
当業者は開示した実施形態を組み合わせ、置き換えして摘示していない実施形態を実施できるが、それも本発明の権利範囲から外れるものではない。以外にも当業者はこの明細書に基づいて実施形態を容易に変更又は変形することができ、かかる変更又は変形も本発明の権利範囲に属することは明らかである。
【符号の説明】
【0129】
100: 広帯域アンテナモジュール
110: アンテナ素子
111: 給電点
112: 第1放射部
113: 第2放射部
114: 第3放射部
115: 接地点
116: 接地ライン
120: 基板
130: アレイアンテナ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B