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特許75148802成分接着剤組成物およびそれらを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】2成分接着剤組成物およびそれらを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/08 20060101AFI20240704BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C09J175/08
C09J11/06
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072816
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2019500617の分割
【原出願日】2017-05-22
(65)【公開番号】P2022105094
(43)【公開日】2022-07-12
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】62/360,686
(32)【優先日】2016-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・ワイ・ゲルファー
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・シエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・バラス
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-048377(JP,A)
【文献】特開2005-157198(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053147(US,A1)
【文献】特開平09-067556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/08
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのイソシアネートを含むイソシアネート成分と、
少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールからなるポリオール成分と、
任意成分としての溶剤と、からなり、
前記ブチレンオキシド系ポリオールが、ポリブチレンオキシドホモポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドコポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリエチレンオキシドコポリマーポリオール、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、2成分接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのイソシアネートが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、イソシアネートプレポリマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのイソシアネートが、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(TODI)、ポリマーイソシアネート、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのイソシアネートが、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ-およびトリイソシアネート、ウンデカンジ-およびトリイソシアネート、ならびにドデカンジ-およびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、2-メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびダイマー、トリマー、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのイソシアネートが、4-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、2-ブチル-2-エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4-ジイソシアナト-4-メチル-ペンタン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
前記ブチレンオキシド系ポリオールが、150g/mol~12,000g/molの分子量を含む、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記ブチレンオキシド系ポリオールが、2~4の官能価を含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記溶剤が、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
積層体を形成するための方法であって、
少なくとも1つのイソシアネートを含むイソシアネート成分と、
少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールからなるポリオール成分と、
任意成分としての溶剤と、からなる反応物を接触させることによって接着剤組成物を形成することと、
前記接着剤組成物の層をフィルムの表面に塗布することと、
前記層を別のフィルムの表面と接触させて積層体を形成することと、
前記接着剤組成物を硬化させることと、を含み、
前記ブチレンオキシド系ポリオールが、ポリブチレンオキシドホモポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドコポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリエチレンオキシドコポリマーポリオール、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
本出願は、2016年7月11日に出願された米国仮出願第62/360,686号の
利益を主張する。
【0002】
本開示は、接着剤組成物に関する。より詳しくは、本開示は、積層フィルムと共に使用
するための、改善された耐薬品性および耐熱性、ならびに加水分解安定性を有する2成分
接着剤組成物と、それらを作製する方法とに関する。
【発明の概要】
【0003】
接着剤組成物は、多種多様な目的に有用である。例えば、接着剤組成物は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、金属、紙、またはセロファン等の基材
を一緒に固着させて複合フィルム、すなわち、積層体を形成するために使用される。様々
な積層最終使用用途における接着剤の使用が一般に知られている。例えば、接着剤は、パ
ッケージング産業において、特に食品パッケージングのために使用されるフィルム/フィ
ルムおよびフィルム/ホイル積層体の製造に使用され得る。積層用途で使用される接着剤
、すなわち「積層接着剤」は、一般に、溶剤系、水系、および無溶剤系の3つのカテゴリ
ーに分類することができる。接着剤の性能は、カテゴリーによって、また接着剤が塗布さ
れる用途によって変わる。
【0004】
溶剤系積層接着剤のカテゴリーには多くの種類がある。1つの特定の種類としては、2
成分ポリウレタン系積層接着剤が挙げられる。典型的には、2成分ポリウレタン系積層接
着剤は、イソシアネートおよび/またはポリウレタンプレポリマーを含む第1の成分と、
1つ以上のポリオールを含む第2の成分とを含む。ポリウレタンプレポリマーは、ポリイ
ソシアネートと、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとの反
応によって得ることができる。第2の成分は、ポリエーテルポリオールおよび/またはポ
リエステルポリオールである。各成分は、任意選択的に、1つ以上の添加剤を含むことが
できる。そのような系で使用される一般的な溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エ
チル、トルエン等が挙げられ、それらのすべてが、ポリウレタンのイソシアネート基の早
期反応を防ぐために水分を含んでいないものでなければならない。
【0005】
2つの成分を所定の比率で混合し、それによって接着剤組成物を形成する。次いで、溶
剤中に担持された接着剤組成物はフィルム/ホイル基材上に塗布される。塗布した接着剤
組成物から溶剤を蒸発させる。次いで、別のフィルム/ホイル基材を他の基材と接触させ
て、硬化性積層構造体を形成する。その積層構造体を硬化させて2つの基材を一緒に固着
させる。溶剤系積層接着剤は、乾燥しているが依然として未硬化である接着剤組成物の高
い粘度に起因して、当技術分野において「グリーン強度」として知られている良好な早期
接着剤強度を示す傾向がある。
【0006】
溶剤系接着剤に関する重要な考慮事項としては、耐薬品性および耐熱性ならびに加水分
解安定性が挙げられる。接着剤がホットフィルおよびレトルト用途等の食品パッケージン
グに使用されるとき、これらの考慮事項は特に重要である。従来のポリエーテルおよび/
またはポリエステル系ポリウレタン接着剤は、ポリエーテルおよびポリエステル主鎖の固
有の欠点に起因して、これらの用途ではあまり望ましくない性能を示す。ポリエーテルポ
リオールは、しばしば、耐薬品性および耐熱性に乏しいが、ポリエーテル結合はポリエス
テル結合よりも湿気に対して耐性がある。一方、ポリエステルポリオールは、より高い耐
薬品性および耐熱性を示すが、特に高温ではしばしば耐加水分解性が低い。
【0007】
したがって、改善された耐薬品性および耐熱性ならびに加水分解安定性を有する2成分
ポリウレタン系積層接着剤組成物と、それらを作製する方法とが望ましい。
【0008】
溶剤系2成分接着剤組成物を開示する。この接着剤組成物は、少なくとも1つのイソシ
アネートを含むイソシアネート成分を含む。少なくとも1つのイソシアネートは、イソシ
アネートプレポリマー、イソシアネートモノマー、ポリイソシアネート(例えば、ダイマ
ー、トリマーなど)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択すること
ができる。
【0009】
接着剤組成物は、少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールを含むポリオール成
分をさらに含む。少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールは、ポリブチレンオキ
シドポリオール、ポリブチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーポリオール、ポ
リブチレンオキシド-ポリエチレンオキシドコポリマーポリオール、およびそれらの2つ
以上の組み合わせからなる群から選択することができる。少なくとも1つのブチレンオキ
シド系ポリオールの包含により、既存の2成分接着剤組成物と比較して、開示される接着
剤組成物の耐薬品性および耐熱性ならびに加水分解安定性が改善される。
【0010】
積層体を形成するための方法も開示される。その方法は、少なくとも1つのブチレンオ
キシド系ポリオールを含む少なくとも1つのポリオールを含む接着剤組成物を形成するこ
とと、その接着剤組成物の層をフィルムの表面に塗布することと、その層を別のフィルム
の表面と接触させて積層体を形成することと、その接着剤組成物を硬化させることと、を
含む。この方法によって形成された積層体も開示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示による2成分接着剤組成物は、イソシアネート成分およびポリオール成分を含む
。その成分を混合して接着剤組成物を形成することができる。
【0012】
イソシアネート成分
イソシアネート成分は、少なくとも1つのイソシアネートを含む。イソシアネートは、
イソシアネートプレポリマー、イソシアネートモノマー、ポリイソシアネート(例えばダ
イマー、トリマー等)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択するこ
とができる。本明細書で使用される場合、「ポリイソシアネート」は、2つ以上のイソシ
アネート基を含有する任意の化合物である。
【0013】
さらに、少なくとも1つのイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリ
イソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、およびそれらの2つ以上の組み合わせから
なる群から選択することができる。「芳香族ポリイソシアネート」は、1つ以上の芳香族
環を含有するポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」は芳香族環を含
有しない。「脂環式ポリイソシアネート」は、化学鎖が環構造を有する脂肪族ポリイソシ
アネートのサブセットである。
【0014】
適切な芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3-および1,4-フェニレンジイソ
シアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート
、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,4’-ジフェニルメタン
ジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
(4,4’-MDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(
TODI)、ポリマーイソシアネート、およびそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ
るが、それらに限定されない。
【0015】
適切な脂肪族ポリイソシアネートは、直鎖または分枝鎖アルキレン残基中に3~16個
の炭素原子、または4~12個の炭素原子を有する。適切な脂環式または脂環式ジイソシ
アネートは、シクロアルキレン残基中に、有利には4~18個の炭素原子、好ましくは6
~15個の炭素原子を有する。当業者は、脂環式ジイソシアネートは同時に、イソホロン
ジイソシアネート等の環状的および脂肪族的に結合されたNCO基を意味することを当業
者は十分に理解している。これとは対照的に、脂環式ジイソシアネートは、脂環式環、例
えばH12MDIに直接結合されたNCO基のみを有するものを意味すると理解される。
【0016】
脂肪族および脂環式ポリイソシアネートの例としては、シクロヘキサンジイソシアネー
ト、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、
プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネ
ート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート
、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、
ノナンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、例えば4-イソシアナトメチル-
1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ-およびトリイソシアネート、
ウンデカンジ-およびトリイソシアネート、ならびにドデカンジ-およびトリイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(H
DI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、2-メチルペンタン
ジイソシアネート(MPDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
ト/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ノルボルナ
ンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチ
ルキシリレンジイソシアネート、およびダイマー、トリマー、ならびに上記の混合物が挙
げられる。
【0017】
追加のイソシアネート、例えば4-メチル-シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート
、2-ブチル-2-エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)-イソシアナトメ
チル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキ
シルイソシアネート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、お
よび1,4-ジイソシアナト-4-メチル-ペンタンも本開示による使用に適する。
【0018】
本開示に従う使用のためのポリウレタンプレポリマーは、1.5を超える、または2~
6の間、または2.5~4の間の化学量論比(NCO/OH)でのポリイソシアネートと
イソシアネート反応性成分との反応生成物からなる。ポリイソシアネートは、芳香族イソ
シアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネートから選択される。ポリ
イソシアネートと反応してポリウレタンプレポリマーを形成することができる適切な化合
物としては、ヒドロキシル基、アミノ基、およびチオ基を有する化合物が挙げられる。イ
ソシアネート反応性成分は、イソシアネート反応性成分の総重量に基づいて5~100重
量パーセントの1つ以上のブチレンオキシド系ポリオールを含むことができる。その化合
物の例としては、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリエーテル、ポリアクリレート
、ポリカーボネートポリオール、およびそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。イ
ソシアネート反応性成分の平均ヒドロキシル価は、5~2,000mgKOH/g、平均
モル質量は62~20,000g/molであり得る。好ましくは、イソシアネート反応
性成分の平均OH価は、14~850mgKOH/グラム、より好ましくは56~500
mgKOH/グラム、最も好ましくは110~450である。イソシアネート反応性成分
の平均官能価は、1~6、または1.8~4、または2~3であり得る。ポリオール成分
の平均分子量は、25~12,000g/mol、または250~6,000g/mol
、または350~3,000g/molであり得る。
【0019】
ポリイソシアネート基を有する化合物、例えばイソシアネート成分のイソシアネートプ
レポリマーは、パラメータ「%NCO」によって特徴付けることができ、それは化合物の
重量に基づいたポリイソシアネート基の重量基準の量である。パラメータ%NCOは、A
STM D 2572-97(2010)の方法によって測定される。開示されたイソシ
アネート成分は、少なくとも3重量%、または少なくとも5重量%、または少なくとも7
重量%の%NCOを有する。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、30重量
%、または25重量%、または22重量%、または19重量%を超えない%NCOを有す
る。
【0020】
いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、ASTM D2196の方法によっ
て測定して、25℃で300mPa・s~20,000mPa・sの粘度を有する。
【0021】
イソシアネート成分は、任意選択的に、1つ以上の触媒を含むことができる。本開示に
よる使用に好適な少なくとも1つの触媒の例には、ジラウリン酸ジブチルスズ、酢酸亜鉛
、2,2-ジモルホリノジエチルエーテル、およびそれらの組み合わせが含まれるがこれ
らに限定されない。
【0022】
ポリオール成分
接着剤組成物は、少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールを含むポリオール成
分をさらに含む。少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールは、ポリブチレンオキ
シドホモポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドコポリマ
ーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリエチレンオキシドコポリマーポリオール、お
よびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0023】
本開示による使用に適するポリブチレンオキシド系ポリオールとしては、分子量150
g/mol~12,000g/molおよび官能価1.0~6.0、好ましくは分子量2
50~4,000g/molおよび官能価2.0~4.0、最も好ましくは分子量350
~2,000および官能価2.0~3.0を有する、ポリブチレンオキシドホモポリマー
ポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドコポリマーポリオール、ポ
リブチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドコポリマーポリオール、およびポリブチレ
ンオキシド-ポリエチレンオキシドコポリマーポリオールが挙げられるが、それらに限定
されない。ポリブチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドおよびポリブチレン-ポ
リエチレンオキシドをベースとするコポリマーポリオールは、10%~100%のポリブ
チレンオキシド、好ましくは30%~100%のポリブチレンオキシド、最も好ましくは
50%~100重量%のポリブチレンオキシドを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールは、例えば
上記したプレポリマーを製造するための反応物としてイソシアネート成分中にのみ存在す
ることができる。他の実施形態では、少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールは
上記のようにポリオール成分中にのみ存在することができる。さらに他の実施形態では、
少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールはイソシアネート成分とポリオール成分
の両方に存在することができる。両方の成分において、それぞれの成分中のブチレンオキ
シド系ポリオールは、同じ種類のブチレンオキシド系ポリオールまたは異なる種類のブチ
レンオキシド系ポリオールであり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、イソシアネート成分対ポリオール成分の化学量論比は、1:
1以上、例えば1.2:1以上、または例えば1.4:1以上である。他の実施形態では
、イソシアネート成分対ポリオール成分の化学量論比は、2.5:1以下、例えば2:1
以下、または1.8:1以下である。一般に、工業用途(例えば、パイプ)のイソシアネ
ート成分対ポリオール成分の比は、接着剤から食品へのイソシアネートの移動が安全性の
懸念である消費財用途(例えば、食品パッケージング)の比よりも相対的に高くなり得る
【0026】
いくつかの実施形態では、溶剤を接着剤組成物に組み込んで溶剤系接着剤を形成するこ
とができる。本開示による使用に適する溶剤の例としては、酢酸エチル、メチルエチルケ
トン、トルエン、およびそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、任意に、接着剤組成物に含められ得る
。このような添加剤の例としては、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー改質剤、接着促進剤
、酸化防止剤、充填剤、着色剤、界面活性剤、触媒、溶剤、およびこれらの2つ以上の組
み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒は、任意に、接着剤組成物に含まれ得る。
【0029】
接着剤組成物の配合
開示される接着剤組成物のイソシアネート成分およびポリオール成分は、別々に作るこ
とができ、所望ならば、接着剤組成物を使用することが所望されるときまで貯蔵できるこ
とが企図される。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分およびポリオール成分の
両方がそれぞれ25℃で液体である。接着剤組成物を使用することが望ましい場合、イソ
シアネート成分およびポリオール成分を互いに接触させて一緒に混合する。これらの2つ
の成分を接触させると、イソシアネート基がヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形
成する硬化反応が開始することが企図される。2つの成分を接触させることによって形成
される接着剤組成物は、「硬化性混合物」と称され得る。
【0030】
接着剤組成物を使用して積層体を形成する方法も開示される。いくつかの実施形態では
、接着剤組成物、例えば上記で論述した接着剤組成物は液体状態にある。いくつかの実施
形態では、組成物は25℃で液体である。組成物が25℃で固体であるとしても、必要に
応じて組成物を加熱して液体状態にしてもよい。組成物の層をフィルムの表面に塗布する
。「フィルム」は、1つの寸法が0.5mm以下であり、他の2つの寸法が両方とも1c
m以上である任意の構造体である。ポリマーフィルムは、ポリマーまたはポリマーの混合
物から作製されるフィルムである。ポリマーフィルムの組成物は、典型的には、80重量
パーセント以上の1つ以上のポリマーである。いくつかの実施形態では、硬化性混合物の
層の厚さは1~5μmである。
【0031】
いくつかの実施形態では、別のフィルムの表面を硬化性混合物の層と接触させて未硬化
積層体を形成する。いくつかの実施形態では、未硬化積層体は、接着剤組成物中に存在す
る未反応ポリイソシアネート基の量が、ポリオール成分との接触前のイソシアネート成分
中に存在するポリイソシアネート基の量と比較してモル基準で、少なくとも50%、また
は少なくとも75%、または少なくとも90%である時に作製される。未硬化積層体は、
硬化性混合物中に存在する未反応ポリイソシアネート基の量が100%未満、または97
%未満、または95%未満である時にさらに作製される。
【0032】
次いで、硬化性混合物を硬化させるか、または硬化することが可能になる。未硬化積層
体は、例えば加熱されていてもされていなくてもよいニップローラに通すことによって、
加圧することができる。未硬化積層体を加熱して硬化反応を促進することができる。
【0033】
適切なフィルムとしては、紙、織布および不織布、金属ホイル、ポリマー、ならびに金
属化ポリマーフィルムが挙げられる。フィルムは任意選択的にその上に画像がインクで印
刷される表面を有する。インクは接着剤組成物と接触してもよい。いくつかの実施形態で
は、フィルムはポリマーフィルムおよび金属被覆ポリマーフィルムであり、より好ましく
はポリマーフィルムである。
【実施例
【0034】
本開示を例示的な実施例および比較例(まとめて「実施例」)によってさら詳細に説明
する。しかし、本開示の範囲は、当然ながら、実施例に記載された配合物に限定されない
。むしろ、実施例は本開示の単なる例示である。
【0035】
固着強度測定
幅15mmまたは25.4mm(1インチ)のストリップに切断した積層体サンプルに
ついて90°T型剥離試験を行い、1インチのストリップを、10インチ/分の速度で、
50Nローディングセルを備えたThwing Albert(商標)QC-3A剥離試
験機で引っ張った。積層体を形成する2つのフィルムが分離する、すなわち剥離するとき
、引っ張り中の力の平均を記録する。フィルムの1つが伸張または破断した場合、その最
大力または破断時の力を記録する。記録する値は、3つの別々の積層体サンプルについて
行われた試験の平均である。
【0036】
不良モード(「FM」)または不良のモード(「MOF」)は次のように記録する。「
FS」は伸びているフィルムを示し;「FT」は裂けるかまたは破断しているフィルムを
示し;「AF」は接着不良を示し、その場合一次フィルム上の接着剤は二次フィルムに付
着していない;「AT」は接着剤転移(adhesive transfer)を示し、
その場合接着剤は一次フィルムに付着せず、二次フィルムに転移される;「AS」は接着
剤の分割または凝集破壊を示し、その場合接着剤は一次フィルムと二次フィルムの両方で
見られる;「MT」は金属化フィルムからの金属の二次フィルムへの転移を示している(
「PMT」は部分的な金属の転移を示す)。
【0037】
初期固着、または「グリーン」固着は、積層体の作製後できるだけ早く試験する。追加
のT型剥離試験は、例えば1日後および7日後等の下記の時間間隔で行われる。
【0038】
ボイルインバッグ試験手順
積層体を、上記のように、「プレラム」フィルム、Prelam Al、およびGF-
19、ならびに92-LBTおよびGF-19から作製する。1つの層のポリエチレンフ
ィルムが他の層のポリエチレンフィルムと接触するように、9インチ×12インチ(23
cm×30.5cm)の積層体シートを折り曲げて約9インチ×6インチ(23cm×1
5.25cm)の二重層とする。縁をペーパーカッターでトリミングして、約5インチ×
7インチ(12.7cm×17.8cm)の折り畳み片とする。2つの長辺と1つの短辺
を端部でヒートシールして4インチ×6インチ(10.2cm×15.2cm)の内部サ
イズを有する完成したパウチとする。ヒートシールは、276kPa(40psi)の油
圧で1秒間、177℃(350°F)で行う。各テスト用に複数のパウチを作製する。
【0039】
パウチは、100±5mLの「1:1:1ソース」(等しい重量部のケチャップ、酢、
および植物油のブレンド)で開口部から充填する。充填中は、試験中にヒートシールが破
損する可能性があるため、ヒートシール領域上にソースがはねないようにする。充填後、
パウチの上部を、パウチの内側への空気の閉じ込めを最小限に抑えるようにしてシールす
る。
【0040】
試験中にパウチからの漏れの原因となる可能性がある欠陥がシーリングにないことを確
認するために各パウチの4つの側面すべてについてシールの完全性を検査する。疑わしい
パウチは廃棄し、試験用に許容されるパウチと交換する。場合によっては、試験中に新し
い追加の欠陥が発生したか否かを確認するために、積層体の欠陥に印を付ける。
【0041】
ポットを2/3まで水で満たし、それを沸騰させる。沸騰したら、ポットに蓋をして、
水および蒸気の損失を最小限にする。試験中にポットを観察して、沸騰を維持するのに十
分な水が存在することを確認する。パウチを沸騰水に入れ、30分間沸騰し続ける。パウ
チを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、および/または漏れの程度を
、存在する場合、印をつけた既存の欠陥と比較する。その観察を記録する。次いで、パウ
チを切り開き、空にし、石鹸と水ですすぐ。1つ以上の1インチ(2.54cm)のスト
リップをパウチから切り出し、積層体固着強度を上で記載した標準固着強度試験に従って
測定する。これはパウチの内容物を取り除いた後にできるだけ早く行う。パウチの内部を
検査し、他のあらゆる視認できる欠陥を記録する。
【0042】
軟化剤試験手順
積層体を、上記した「プレラム」フィルム、Prelam AlおよびGF-19、な
らびに92-LBTおよびGF-19から作製する。1つの層のポリエチレンフィルムが
他の層のポリエチレンフィルムと接触するように、積層体の9インチ×12インチ(23
cm×30.5cm)シートのうちの1つを折り曲げて約9インチ×6インチ(23cm
×15.25cm)の二重層とする。縁をペーパーカッターでトリミングして、約5イン
チ×7インチ(12.7×17.8cm)の折り畳み片とする。2つの長辺と1つの短辺
を端部でヒートシールして4インチ×6インチ(10.2cm×15.2cm)の内部サ
イズを有する完成したパウチとする。ヒートシールは、276kPa(40psi)の油
圧で1秒間、177℃(350°F)で行う。各テスト用に複数のパウチを作製する。
【0043】
パウチには、開口側から、スーパーマーケットから購入した柔軟剤、この場合は、Th
e Dial Corporation,Henkel Companyによって調製さ
れたPurex Mountain Breeze Ultraを100±5mL充填す
る。充填後、パウチの上部を、パウチの内側への空気の閉じ込めを最小限に抑えるように
してシールする。
【0044】
試験中にパウチからの漏れの原因となる可能性がある欠陥がシーリングにないことを確
認するためにパウチの4つの側面すべてについてシールの完全性を検査する。疑わしいパ
ウチは廃棄し、試験用に許容されるパウチと交換する。場合によっては、試験中に新しい
追加の欠陥が発生したか否かを確認するために、積層体の欠陥に印を付ける。
【0045】
次いで、パウチを、65℃に前もって設定した対流式オーブンに入れる。その温度で3
0日間エージングした後、パウチを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離
、および/または漏れの程度を、存在する場合には、印をつけた既存の欠陥と比較した。
その観察を記録する。次いで、パウチを切り開き、空にし、石鹸と水ですすぐ。1つ以上
の1インチ(2.54cm)のストリップをパウチから切り出し、積層体固着強度を上記
した標準固着強度試験に従って測定する。これはパウチの内容物を取り除いた後にできる
だけ早く行う。パウチの内部を検査し、他のあらゆる視認できる欠陥を記録する。
【0046】
組成物の調製
実施例を調製するために使用される原料のいくつかについては、下記の表1で名称およ
び商業的供給者が分かる。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例IE1、IE2、およびCE1は、イソシアネート成分、例えばイソシアネート
プレポリマーを、ポリオール成分、例えば水酸基を有する化合物と、溶剤中で一緒に組み
合わせることによって、配合する。これらの実施例は表2に列記した配合に従って調製す
る。表2の配合は各成分についてグラム数で示している。
【0049】
【表2】
【0050】
例示の実施例1(「IE1」)
100グラムのADCOTE(商標)L76-205、10グラムのVORAPEL(
商標)T5001、および60グラムの酢酸エチルを混合して50パーセント固溶体を得
る。次いで、その溶液を、1.7lb/リームの塗布重量で予め積層されたアルミニウム
ホイルフィルム(Prelam AL)に塗布し、続いて、それを、NORDMECCA
NICA(商標)LABO COMBI(商標)パイロットラミネーターを用いて低密度
ポリエチレンフィルム(GF-19)と積層する。積層構造体の固着強度を、積層直後(
グリーン固着)、積層1日後、7日後、および14日後の間隔で、前述の試験プロトコル
に従って測定する。14日後に、積層構造体を使用してパウチを作製する。そのパウチを
、1部のオイル、1部のケチャップ、および1部の酢からなる混合物で満す。次いで、そ
のパウチを100℃の水中で30分間煮沸し(ボイルインバッグ)してから、それらを切
り開き、きれいに洗浄し、不良モードについて調べる。ボイルインバッグ処理後の積層体
の固着強度を測定し、記録する。積層構造体の固着強度および不良モードに関する結果を
表3に要約する。
【0051】
例示の実施例2(「IE2」)
100グラムのADCOTE(商標)L76-205、10グラムのVORAPEL(
商標)T5001、および60グラムの酢酸エチルを混合して50パーセント固溶体を得
る。次いで、その溶液を、1.7lb/リームの塗布重量でポリエチレンテレフタレート
フィルム(92-LBT)に塗布し、続いて、それを、NORDMECCANICA(商
標)LABO COMBI(商標)パイロットラミネーターを用いて低密度ポリエチレン
フィルム(GF-19)と積層する。積層構造体の固着強度を、積層直後(グリーン固着
)、積層1日後、7日後、および14日後の間隔で、前述の試験プロトコルに従って測定
する。14日後に、積層構造体を使用してパウチを作製する。そのパウチを、1部のオイ
ル、1部のケチャップ、および1部の酢からなる混合物で充填する。次いで、そのパウチ
を100℃の水中で30分間煮沸し(ボイルインバッグ)してから、それらを切り開き、
きれいに洗浄し、不良モードについて調べる。ボイルインバッグ処理後の積層体の固着強
度を測定し、記録する。積層構造体の固着強度および不良モードに関する結果を表3に要
約する。
【0052】
比較例1(「CE1」)
100グラムのADCOTE(商標)L76-205、7.5グラムのVORAPEL
(商標) CP 450、および57.5グラムの酢酸エチルを混合して50%固溶体を
得る。次いで、その溶液を、1.7lb/リームの塗布重量で予め積層されたアルミニウ
ムホイルフィルム(Prelam AL)に塗布し、続いて、それを、NORDMECC
ANICA(商標)LABO COMBI(商標)パイロットラミネーターを用いて低密
度ポリエチレンフィルム(GF-19)と積層する。積層構造体の固着強度を、積層直後
(グリーン固着)、積層1日後、7日後、および14日後の間隔で、前述の試験プロトコ
ルに従って測定する。14日後に、積層構造体を使用してパウチを作製する。そのパウチ
を、1部のオイル、1部のケチャップ、および1部の酢からなる混合物で満す。次いで、
そのパウチを100℃の水中で30分間煮沸し(ボイルインバッグ)してから、それらを
切り開き、きれいに洗浄し、不良モードについて調べる。ボイルインバッグ処理後の積層
体の固着強度を測定し、記録する。積層構造体の固着強度および不良モードに関する結果
を表3に要約する。
【0053】
【表3】
【0054】
表3に示すように、IE1、IE2、およびCE1はすべて同様な固着強度を示す。し
かし、不良モードは各例ごとに異なる。さらに、少なくとも1つのブチレンオキシド系ポ
リオールを含むポリオール成分を含有するIE1およびIE2は、驚くべきことに、ボイ
ルインバッグ試験後にトンネリングを示さなかった。これは、ボイルインバッグ試験後に
、ブチレンオキシド系ポリオールを含有していなかったCE1で観察されたトンネリング
とは対照的である。
【0055】
【表4】
【0056】
例示の実施例3(「IE3」)
100グラムのADCOTE(商標)L76-205、10グラムのVORAPEL(
商標)T5001、および60グラムの酢酸エチルを混合して50%固溶体を得る。次い
で、その溶液を、1.7lb/リームの塗布重量で金属化ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムに塗布し、続いて、それを、NORDMECCANICA(商標)LABO CO
MBI(商標)パイロットラミネーターを用いてポリアミドフィルムと積層する。得られ
た積層体を一次基材として使用する前に60℃のオーブン中に1時間放置し、次いで、N
ORDMECCANICA(商標)LABO COMBI(商標)を使用して同じ接着剤
を積層体のポリエチレンテレフタレート側に塗布し、次いで、4ミルの低密度ポリエチレ
ンフィルムと積層する。ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとの間の固着強度は
、積層直後、および積層1日後、7日後、14日後の間隔で測定する。14日後に、積層
構造体を用いてパウチを作製し、市販の柔軟剤を充填する。次いで、そのパウチを65℃
に前もって設定したオーブン中に30日間置き、次いで、それらを切り開き、きれいに洗
浄し、不良モードについて調べる。エージング試験後の積層体の固着強度を測定し、記録
する。積層構造体の固着強度および不良モードに関する結果を表5に要約する。
【0057】
例示の実施例4(「IE4」)
最初に、IE4で使用するためのプレポリマーを以下の手順に従って調製する。機械的
撹拌および温度制御装置を備えた4つ口フラスコからなる実験室用ガラス反応器を使用し
てプレポリマーを製造する。プレポリマーは、両方ともブチレンオキシド系ポリオールで
ある、VORAPEL(商標)D3201およびVORAPEL(商標)T5001をベ
ースとしている。窒素パージ下で、45℃で予備溶融した1068.8グラムのISON
ATE VORAPEL(商標)125Mを最初にフラスコに入れる。反応器温度を50
℃に設定する。撹拌しながら、584.8グラムのVORAPEL(商標)T5001を
反応器に入れ、続いて146.2グラムのVORAPEL(商標)D3201を添加する
。反応器の温度が85℃を超える場合には、氷水浴によって冷却する。80℃で4時間反
応させた後、NCO含有量が12.15%のプレポリマーが得られる。
【0058】
次に、上記の方法によって製造した33グラムのプレポリマー、40グラムのADCO
TE(商標)88×102、60グラムのADCOTE(商標)86×116、および2
3グラムの酢酸エチルを最初に混合して50%固溶体を得る。次いで、その溶液を、1.
7lb/リームの塗布重量で金属化ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、続い
て、それを、NORDMECCANICA(商標)LABO COMBI(商標)パイロ
ットラミネーターを用いてポリアミドフィルムと積層する。得られた積層体を一次基材と
して使用する前に60℃のオーブンに1時間放置する。NORDMECCANICA(商
標)LABO COMBI(商標)を使用して同じ接着剤を積層体のPET側に塗布し、
次いでそれを4ミルの低密度ポリエチレンフィルムと積層する。ポリエチレンとポリエチ
レンテレフタレートとの間の固着強度は、積層直後、および積層1日後、7日後、14日
後の間隔で測定する。14日後に、積層構造体を用いてパウチを作製し、市販の柔軟剤を
充填する。次いで、そのパウチを65℃に前もって設定したオーブン中に30日間置き、
そしてそれらを切り開き、きれいに洗浄し、不良モードについて調べる。エージング試験
後の積層体の固着強度を測定し、記録する。積層構造体の固着強度および不良モードに関
する結果を表5に要約する。
【0059】
比較例2(「CE2」)
次いで、その溶液を、1.7lb/リームの塗布重量で金属化ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムに塗布し、続いて、それを、NORDMECCANICA(商標)LABO
COMBI(商標)パイロットラミネーターを用いてポリアミドフィルムと積層する。
得られた積層体を一次基材として使用する前に60℃のオーブンに1時間放置する。NO
RDMECCANICA(商標)LABO COMBI(商標)を使用して同じ接着剤を
積層体のPET側に塗布し、次いでそれを4ミルの低密度ポリエチレンフィルムと積層す
る。ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとの間の固着強度は、積層直後、および
積層1日後、7日後、14日後の間隔で測定する。14日後に、積層構造体を用いてパウ
チを作製し、市販の柔軟剤を充填する。次いで、そのパウチを65℃に前もって設定した
オーブン中に30日間置き、次いで、それらを切り開き、きれいに洗浄し、不良モードに
ついて調べる。エージング試験後の積層体の固着強度を測定し、記録する。積層構造体の
固着強度および不良モードに関する結果を表5に要約する。
【0060】
【表5】
【0061】
表5に示すように、IE3は軟化剤試験後に良好な固着強度を示し、トンネリングを示さなかった。IE4とCE2は同等の固着強度データおよび不良モードを示した。高温軟化剤試験の後、IE4は、トンネリングを示さず、CE2よりも格段に良好な固着強度を示した。このデータに基づいて、驚くべきことに、2成分溶剤系接着剤組成物のイソシアネート成分およびポリオール成分の一方または両方にブチレンオキシド系ポリマーを含ませると、接着剤の耐薬品性および耐熱性ならびに加水分解安定性が改善されることが見出された。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
少なくとも1つのイソシアネートを含むイソシアネート成分と、
少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールを含むポリオール成分と、を含む2成分接着剤組成物。
項2.
前記少なくとも1つのイソシアネートが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、イソシアネートプレポリマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、項1に記載の組成物。
項3.
前記少なくとも1つのイソシアネートが、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(TODI)、ポリマーイソシアネート、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、項1または2に記載の組成物。
項4.
前記少なくとも1つのイソシアネートが、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、例えば4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ-およびトリイソシアネート、ウンデカンジ-およびトリイソシアネート、ならびにドデカンジ-およびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、2-メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびダイマー、トリマー、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、項1~3のいずれかに記載の組成物。
項5.
前記少なくとも1つのイソシアネートが、4-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、2-ブチル-2-エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4-ジイソシアナト-4-メチル-ペンタン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、項1~4のいずれかに記載の組成物。
項6.
前記少なくとも1つのイソシアネートが、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性成分との反応生成物であるプレポリマーを含む、項1~5のいずれかに記載の組成物。
項7.
前記イソシアネート反応性成分が、ヒドロキシル基、アミノ基、チオ基、およびそれらの2つ以上の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、項1~6のいずれかに記載の組成物。
項8.
前記ブチレンオキシド系ポリオールが、ポリブチレンオキシドホモポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドコポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド-ポリエチレンオキシドコポリマーポリオール、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、項1~7のいずれかに記載の組成物。
項9.
前記ブチレンオキシド系ポリオールが、150g/mol~12,000g/molの分子量を含む、項1~8のいずれかに記載の組成物。
項10.
前記ブチレンオキシド系ポリオールが、1~6の官能価を含む、項1~9のいずれかに記載の組成物。
項11.
粘着付与剤、可塑剤、レオロジー改質剤、接着促進剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、界面活性剤、触媒、溶剤、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、項1~10のいずれかに記載の組成物。
項12.
メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される溶剤をさらに含む、項1~11のいずれかに記載の組成物。
項13.
少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールとの反応生成物である少なくとも1つのプレポリマーを含むイソシアネート成分と、
少なくとも1つのポリオールを含むポリオール成分と、を含む2成分接着剤組成物。
項14.
前記イソシアネート反応性成分が、前記イソシアネート反応性成分の総重量に基づいて5~100重量パーセントのブチレンオキシド系ポリオールを含む、項13に記載の組成物。
項15.
積層体を形成するための方法であって、
少なくとも1つのイソシアネートを含むイソシアネート成分と、
少なくとも1つのブチレンオキシド系ポリオールを含むポリオール成分と、を含む反応物を接触させることによって接着剤組成物を形成することと、
前記接着剤組成物の層をフィルムの表面に塗布することと、
前記層を別のフィルムの表面と接触させて積層体を形成することと、
前記接着剤組成物を硬化させることと、を含む、方法。
項16.
項15に記載の方法によって形成される積層体。