(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240704BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240704BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240704BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240704BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240704BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240704BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240704BHJP
H10K 59/126 20230101ALI20240704BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240704BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20240704BHJP
H05B 44/00 20220101ALI20240704BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240704BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 348A
G09F9/30 349C
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H05B33/02
H10K50/10
H10K59/10
H10K59/126
H10K59/12
H10K50/115
H05B44/00
H01L29/78 618B
H01L29/78 618C
H01L29/78 618E
H01L27/088 331E
H01L27/088 E
(21)【出願番号】P 2022190081
(22)【出願日】2022-11-29
(62)【分割の表示】P 2019571122の分割
【原出願日】2019-01-28
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2018021216
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018025658
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】及川 欣聡
(72)【発明者】
【氏名】吉住 健輔
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213468(JP,A)
【文献】特開2015-144251(JP,A)
【文献】特開2017-063192(JP,A)
【文献】特開2017-034051(JP,A)
【文献】特開2017-183312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062539(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372497(US,A1)
【文献】特開2016-157937(JP,A)
【文献】特開2017-147445(JP,A)
【文献】国際公開第2017/144994(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
G09F 9/30
H10K 50/10
H05B 33/14
H05B 33/02
H10K 59/10
H10K 59/126
H10K 59/12
H10K 50/115
H05B 44/00
H01L 29/786
H01L 27/088
H01L 21/8234
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、
ゲートが前記第1のトランジスタのソース又はドレインと電気的に接続される第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続される表示素子と、を有する表示装置であって、
酸化物半導体層と、導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、を有し、
前記酸化物半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第2のトランジスタは、シリコン半導体を有し、
前記表示素子は、発光素子であり、
前記第1の絶縁体は、前記酸化物半導体層の上方に位置する領域を有し、
前記導電体は、前記第1の絶縁体の上方に位置する領域を有し、
前記第2の絶縁体は、前記酸化物半導体層の上面の一部及び前記酸化物半導体層の側面の一部と接し、
前記第3の絶縁体は、前記第2の絶縁体の上方に位置する領域を有し、
断面視において前記第1の絶縁体の一部は、前記導電体の側面と、前記第3の絶縁体の側面との間に位置する領域を有し、
断面視において前記第2の絶縁体の一部は、前記導電体の側面と、前記第3の絶縁体の側面との間に位置する領域を有し、
前記第4の絶縁体は、前記第1の絶縁体の上面、前記導電体の上面及び前記第3の絶縁体の上面と接し、
前記酸化物半導体層は、第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置する第3の領域と、を有し、
前記導電体は、前記第3の領域と重なるように配置された領域を有し、
前記第2の絶縁体は、前記第1の領域、および前記第2の領域と接し、
前記酸化物半導体層は、前記表示素
子と、前記シリコン半導体との間の
領域を有する、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
遮光膜を有し、
前記遮光膜は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタと重なる領域を有する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置、及び表示装置の作製方法に関する。本発明の一態様は、トランジスタ、及びトランジスタの作製方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
トランジスタに適用可能な半導体材料として、金属酸化物を用いた酸化物半導体が注目されている。例えば、特許文献1では、複数の酸化物半導体層を積層し、当該複数の酸化物半導体層の中で、チャネルとなる酸化物半導体層がインジウム及びガリウムを含み、且つインジウムの割合をガリウムの割合よりも大きくすることで、電界効果移動度(単に移動度、またはμFEと言う場合がある)を高めた半導体装置が開示されている。
【0004】
半導体層に用いることのできる金属酸化物は、スパッタリング法などを用いて形成できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層に用いることができる。また、多結晶シリコンや非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられる。また、金属酸化物を用いたトランジスタは、非晶質シリコンを用いた場合に比べて高い電界効果移動度を有するため、駆動回路を設けた高機能の表示装置を実現できる。
【0005】
また、拡張現実(AR:Augmented Reality)又は仮想現実(VR:Virtual Reality)用の表示装置として、ウェアラブル型の表示装置や、据え置き型の表示装置が普及しつつある。ウェアラブル型の表示装置としては、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)や眼鏡型の表示装置等がある。据え置き型の表示装置としては、例えば、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等、表示面と使用者の距離が近い表示装置においては使用者が画素を視認しやすく、粒状感を強く感じてしまうことから、ARやVRの没入感や臨場感が薄れる場合がある。そのようなことから、使用者に画素を視認されないように精細な画素を備える表示装置が望まれる。
【0008】
上記に鑑み、本発明の一態様は、精細度が高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、消費電力が低い表示装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、信頼性が高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、第1の導電体と、第2の導電体と、第3の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、を有する。第1の導電体および第2の導電体は、第1の酸化物の上に、互いに離隔して配置される。第1の絶縁体は、第1の導電体および第2の導電体の上に配置され、かつ開口を有し、該当開口は、第1の導電体と第2の導電体の間に重畳する。第3の導電体は、開口の中に配置され、第2の絶縁体は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第3の導電体と、の間に配置され、第2の酸化物は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、の間に配置される。
【0011】
また、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、構造体と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、第1の導電体と、第2の導電体と、第3の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、を有する。第1の導電体および第2の導電体は、第1の酸化物の上に、互いに離隔して配置される。第1の絶縁体は、第1の導電体および第2の導電体の上に配置され、かつ開口を有し、該当開口は、第1の導電体と第2の導電体の間に重畳する。第3の導電体は、開口の中に配置される。第2の絶縁体は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第3の導電体と、の間に配置される。第2の酸化物は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、の間に配置される。構造体は、表示素子を有する層と同じ層に配置され、構造体は、第1のトランジスタと重なる領域を有する。
【0012】
また、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第2のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、第1の導電体と、第2の導電体と、第3の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、を有する。第1の導電体および第2の導電体は、第1の酸化物の上に、互いに離隔して配置される。第1の絶縁体は、第1の導電体および第2の導電体の上に配置され、かつ開口を有し、該当開口は、第1の導電体と第2の導電体の間に重畳する。第3の導電体は、開口の中に配置される。第2の絶縁体は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第3の導電体と、の間に配置される。第2の酸化物は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、の間に配置される。第1のトランジスタを有する層は、表示素子を有する層と、第2のトランジスタが有する層との間に位置する。
【0013】
また、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第2のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、遮光膜と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、第1の導電体と、第2の導電体と、第3の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、を有する。第1の導電体および第2の導電体は、第1の酸化物の上に、互いに離隔して配置される。第1の絶縁体は、第1の導電体および第2の導電体の上に配置され、かつ開口を有し、該当開口は、第1の導電体と第2の導電体の間に重畳する。第3の導電体は、開口の中に配置される。第2の絶縁体は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第3の導電体と、の間に配置される。第2の酸化物は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、の間に配置される。第1のトランジスタを有する層は、表示素子を有する層と、第2のトランジスタが有する層との間に位置し、遮光膜は、表示素子の上方に位置し、遮光膜、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは、重なる領域を有する。
【0014】
前述の表示装置において、第2のトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有すると好ましい。
【0015】
また、前述の表示装置において、第2のトランジスタは、nチャネル型とすることができる。
【0016】
また、前述の表示装置において、第2のトランジスタは、pチャネル型とすることができる。
【0017】
前述の表示装置において、さらに第3の絶縁体を有し、第3の絶縁体は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体、および第2の酸化物と、第1の絶縁体と、の間に配置され、第3の絶縁体は、第1の絶縁体より酸素透過性が低いと好ましい。
【0018】
前述の表示装置において、さらに第3の絶縁体を有し、第3の絶縁体は、第1の酸化物、第1の導電体、および第2の導電体と、第1の絶縁体と、の間に配置され、第3の絶縁体は、第1の絶縁体より酸素透過性が低く、第2の酸化物は、第1の絶縁体に接すると好ましい。
【0019】
前述の表示装置において、さらに第4の導電体と、第5の導電体と、を有し、第4の導電体は、第1の導電体と第1の酸化物の間に配置され、第5の導電体は、第2の導電体と第1の酸化物の間に配置され、第1の導電体の一部は、第1の酸化物の上面に接し、第2の導電体の一部は、第1の酸化物の上面に接すると好ましい。
【0020】
前述の表示装置において、第1の導電体と第2の導電体の距離は、開口のチャネル長方向の長さより短いと好ましい。
【0021】
また、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、を有する。第2の酸化物は、第1の酸化物上に位置し、第1の絶縁体は、第2の酸化物上に位置し、導電体は、第1の絶縁体上に位置する。第2の絶縁体は、第1の酸化物の上面の一部、第1の酸化物の側面の一部、及び第2の酸化物の側面の一部と接する。第3の絶縁体は、第2の絶縁体上に位置し、第2の酸化物の一部、及び第1の絶縁体の一部は、導電体の側面と、第3の絶縁体の側面との間に位置する。第4の絶縁体は、第2の酸化物の上面、第1の絶縁体の上面、導電体の上面、及び第3の絶縁体の上面と接する。第1の酸化物は、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置する第3の領域と、を有し、導電体は、第3の領域と重畳するように、第3の領域の上方に位置し、第2の絶縁体は、第1の領域、および第2の領域と接し、第1の領域、及び第2の領域の抵抗は、第3の領域の抵抗より低い。
【0022】
また、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、構造体と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、を有する。第2の酸化物は、第1の酸化物上に位置し、第1の絶縁体は、第2の酸化物上に位置し、導電体は、第1の絶縁体上に位置する。第2の絶縁体は、第1の酸化物の上面の一部、第1の酸化物の側面の一部、及び第2の酸化物の側面の一部と接する。第3の絶縁体は、第2の絶縁体上に位置し、第2の酸化物の一部、及び第1の絶縁体の一部は、導電体の側面と、第3の絶縁体の側面との間に位置する。第4の絶縁体は、第2の酸化物の上面、第1の絶縁体の上面、導電体の上面、及び第3の絶縁体の上面と接する。第1の酸化物は、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置する第3の領域と、を有し、導電体は、第3の領域と重畳するように、第3の領域の上方に位置し、第2の絶縁体は、第1の領域、および第2の領域と接し、第1の領域、及び第2の領域の抵抗は、第3の領域の抵抗より低く、構造体は、表示素子を有する層と同じ層に配置され、構造体は、第1のトランジスタと重なる領域を有する。
【0023】
また、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第2のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、を有する。第2の酸化物は、第1の酸化物上に位置し、第1の絶縁体は、第2の酸化物上に位置し、導電体は、第1の絶縁体上に位置する。第2の絶縁体は、第1の酸化物の上面の一部、第1の酸化物の側面の一部、及び第2の酸化物の側面の一部と接する。第3の絶縁体は、第2の絶縁体上に位置し、第2の酸化物の一部、及び第1の絶縁体の一部は、導電体の側面と、第3の絶縁体の側面との間に位置する。第4の絶縁体は、第2の酸化物の上面、第1の絶縁体の上面、導電体の上面、及び第3の絶縁体の上面と接する。第1の酸化物は、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域と第2の領域と間に位置する第3の領域と、を有し、導電体は、第3の領域と重畳するように、第3の領域の上方に位置し、第2の絶縁体は、第1の領域、および第2の領域と接し、第1の領域、及び第2の領域の抵抗は、第3の領域の抵抗より低く、第1のトランジスタを有する層は、表示素子を有する層と、第2のトランジスタが有する層との間に位置する。
【0024】
また、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第2のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、遮光膜と、を有する表示装置である。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、を有する。第2の酸化物は、第1の酸化物上に位置し、第1の絶縁体は、第2の酸化物上に位置し、導電体は、第1の絶縁体上に位置する。第2の絶縁体は、第2の酸化物の上面の一部、第1の酸化物の側面の一部、及び第2の酸化物の側面の一部と接する。第3の絶縁体は、第2の絶縁体上に位置し、第2の酸化物の一部、及び第1の絶縁体の一部は、導電体の側面と、第3の絶縁体の側面との間に位置する。第4の絶縁体は、第2の酸化物の上面、第1の絶縁体の上面、導電体の上面、及び第3の絶縁体の上面と接する。第1の酸化物は、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域と第2の領域と間に位置する第3の領域と、を有し、導電体は、第3の領域と重畳するように、第3の領域の上方に位置し、第2の絶縁体は、第1の領域、および第2の領域と接し、第1の領域、及び第2の領域の抵抗は、第3の領域の抵抗より低く、遮光膜は、表示素子の上方に位置し、遮光膜、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは、重なる領域を有する。
【0025】
また、前述の表示装置において、第2のトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有すると好ましい。
【0026】
また、前述の表示装置において、第2のトランジスタは、nチャネル型とすることができる。
【0027】
また、前述の表示装置において、第2のトランジスタは、pチャネル型とすることができる。
【0028】
また、前述の表示装置において、第1の領域、および第2の領域は、リン、およびホウ素のいずれか一以上を有すると好ましい。
【0029】
また、前述の表示装置において、第1の領域、および第2の領域は、第3の領域よりも、水素を多く有すると好ましい。
【0030】
また、前述の表示装置において、第2の酸化物は、第1の領域の一部、および第2の領域の一部と重畳すると好ましい。
【0031】
前述の表示装置において、さらに、第5の絶縁体を有し、第5の絶縁体は、第1の絶縁体の上面、および第2の酸化物の側面の一部と接し、第1の酸化物は、さらに第4の領域と、第5の領域と、を有し、第4の領域は、第1の領域と第3の領域との間に位置し、第5の領域は、第2の領域と第3の領域との間に位置し、第4の領域、及び第5の領域の抵抗は、第3の領域の抵抗より低く、かつ第1の領域、及び第2の領域の抵抗より高いと好ましい。
【0032】
また、前述の表示装置において、第4の領域、および第5の領域は、リン、およびホウ素のいずれか一以上を有すると好ましい。
【0033】
また、前述の表示装置において、第1の領域および第2の領域は、第4の領域および第5の領域よりも、リン、またはホウ素を多く有すると好ましい。
【0034】
前述の表示装置において、第1の領域、第2の領域、第4の領域、および第5の領域は、第3の領域よりも、水素を多く有すると好ましい。
【0035】
また、前述の表示装置において、第1の領域および第2の領域は、第4の領域および第5の領域よりも、水素を多く有すると好ましい。
【0036】
また、前述の表示装置において、第2の酸化物は、第4の領域の一部、および第5の領域の一部と重畳すると好ましい。
【0037】
前述の表示装置において、第1の酸化物および第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有すると好ましい。
【0038】
前述の表示装置において、第1の酸化物における元素Mに対するInの原子数比は、第2の酸化物おける元素Mに対するInの原子数比より大きいと好ましい。
【0039】
前述の表示装置において、さらに第3の酸化物を有し、第3の酸化物は、第1の酸化物の下に配置されると好ましい。
【0040】
前述の表示装置において、第1の酸化物、第2の酸化物、および第3の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有すると好ましい。
【0041】
前述の表示装置において、第1の酸化物における元素Mに対するInの原子数比は、第2の酸化物および第3の酸化物における元素Mに対するInの原子数比より大きいと好ましい。
【0042】
前述の表示装置において、表示素子は液晶素子とすることができる。
【0043】
前述の表示装置において、表示素子は発光素子とすることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一態様により、精細度が高い表示装置を提供できる。また、本発明の一態様により、消費電力が低い表示装置を提供できる。また、本発明の一態様により、信頼性が高い表示装置を提供できる。また、本発明の一態様により、新規な表示装置を提供できる。
【0045】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図10】(A)トランジスタの上面図。(B)、(C)トランジスタの断面図。
【
図11】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図12】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図13】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図14】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図15】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図16】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図17】(A)トランジスタの上面図。(B)、(C)トランジスタの断面図。
【
図18】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図19】(A)トランジスタの上面図。(B)、(C)トランジスタの断面図。
【
図20】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図21】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図22】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図23】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図24】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図25】(A)トランジスタの上面図。(B)、(C)トランジスタの断面図。
【
図26】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図27】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図28】(A)トランジスタの上面図。(B)、(C)トランジスタの断面図。
【
図30】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図31】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図32】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図33】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図34】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図35】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図36】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図37】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図38】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図39】(A)トランジスタの上面図。(B)、(C)トランジスタの断面図。
【
図41】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図42】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図43】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図44】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図45】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図46】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図47】(A)トランジスタの作製方法を示す上面図。(B)、(C)トランジスタの作製方法を示す断面図。
【
図48】(A)トランジスタの上面図。(B)、(C)トランジスタの断面図。
【
図50】(A)表示装置のブロック図。(B)、(C)表示装置の回路図。
【
図51】(A)、(B)、(C)表示装置の回路図。
【
図52】(A)、(C)、(D)表示装置の回路図。(B)表示装置のタイミングチャート。
【
図53】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)発光素子の構造を説明する図。
【
図54】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)電子機器の例を示す斜視図。
【
図55】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)電子機器の例を示す斜視図。
【
図56】(A)、(B)、(C)、(D)電子機器の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0048】
また、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
【0049】
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。
【0050】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0051】
また、本明細書等において、トランジスタが有するソースとドレインの機能は、トランジスタの極性や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0052】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0053】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」や「絶縁層」という用語は、「導電膜」や「絶縁膜」という用語に相互に交換することが可能な場合がある。
【0054】
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い(pチャネル型トランジスタでは、Vthよりも高い)状態をいう。
【0055】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0056】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0057】
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
【0058】
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
【0059】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、コネクターやICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
【0060】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置及びその作製方法について説明する。
【0061】
本発明の一態様である表示装置は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、を有する。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、第1の導電体と、第2の導電体と、第3の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、を有する。第1の導電体および第2の導電体は、第1の酸化物の上に、互いに離隔して配置される。第1の絶縁体は、第1の導電体および第2の導電体の上に配置され、かつ開口を有し、該当開口は、第1の導電体と第2の導電体の間に重畳する。第3の導電体は、該開口の中に配置される。第2の絶縁体は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第3の導電体と、の間に配置される。第2の酸化物は、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体及び第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、の間に配置される。
【0062】
また、本発明の一態様である表示装置は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタと電気的に接続される表示素子と、を有する。第1のトランジスタは、第1の酸化物と、第2の酸化物と、導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、を有する。第2の酸化物は、第1の酸化物上に位置し、第1の絶縁体は、第2の酸化物上に位置する。導電体は、第1の絶縁体上に位置する。第2の絶縁体は、第1の酸化物の上面の一部、第1の酸化物の側面の一部、及び第2の酸化物の側面の一部と接する。第3の絶縁体は、第2の絶縁体上に位置する。また、第2の酸化物の一部、及び第1の絶縁体の一部は、導電体の側面と、第3の絶縁体の側面との間に位置する。第4の絶縁体は、第2の酸化物の上面、第1の絶縁体の上面、導電体の上面、及び第3の絶縁体の上面と接する。また、第1の酸化物は、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置する第3の領域と、を有する。導電体は、第3の領域と重畳するように、第3の領域の上方に位置する。第2の絶縁体は、第1の領域、および第2の領域と接し、第1の領域、及び第2の領域の抵抗は、第3の領域の抵抗より低い。
【0063】
このような構成とすることで、トランジスタが画素内で占める面積が小さくなり、極めて高精細な画像を表示することができる。そのため、表示面と使用者の距離が近い機器、特に携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、及び電子書籍端末などに好適に用いることができる。また、仮想現実(VR:Virtual Reality)機器や、拡張現実(AR:Augmented Reality)機器などにも好適に用いることができる。また、消費電力が低い表示装置とすることができる。また、信頼性が高い表示装置とすることができる。
【0064】
<構成例1>
図1に、本発明の一態様である表示装置700の上面図を示す。表示装置700は、シール材712により貼りあわされた第1の基板701と第2の基板705を有する。また第1の基板701、第2の基板705、及びシール材712で封止される領域において、第1の基板701上に画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706が設けられる。また画素部702には、複数の表示素子が設けられる。
【0065】
また、第1の基板701の第2の基板705と重ならない部分に、FPC716(FPC:Flexible printed circuit)が接続されるFPC端子部708が設けられている。FPC716によって、FPC端子部708及び信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706のそれぞれに各種信号等が供給される。
【0066】
ゲートドライバ回路部706は、複数設けられていてもよい。また、ゲートドライバ回路部706及びソースドライバ回路部704は、それぞれ半導体基板等に別途形成され、パッケージされたICチップの形態であってもよい。当該ICチップは、第1の基板701上、またはFPC716に実装することができる。
【0067】
画素部702に設けられる表示素子としては、液晶素子、発光素子などが挙げられる。液晶素子としては、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、半透過型の液晶素子などを用いることができる。また、発光素子としては、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、QLED(Quantum-dot LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。また、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子や、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。
【0068】
表示素子として液晶素子及びEL(Electro Luminescence)素子を用いる構成について、
図2及び
図3を用いて説明する。なお、
図2及び
図3は、それぞれ
図1に示す一点鎖線Q-Rにおける断面図である。
図2は、表示素子として液晶素子を用いた構成であり、
図3は、発光素子を用いた構成である。
【0069】
<表示装置の共通部分に関する説明>
図2及び
図3に示す表示装置は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。引き回し配線部711は、信号線710を有する。画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
図2及び
図3では、トランジスタ750、およびトランジスタ752のチャネル長方向の断面を示している。
【0070】
図2及び
図3に示すように、トランジスタ750上に絶縁体280、絶縁体274及び絶縁体281が設けられる。絶縁体280、絶縁体274及び絶縁体281中に導電体301a、導電体301b、導電体305a及び導電体305bが埋設されている。導電体301aは、トランジスタ750のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、導電体301bは、トランジスタ750のソース又はドレインの他方と電気的に接続される。導電体305aは、トランジスタ752のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、導電体305bは、トランジスタ752のソース又はドレインの他方と電気的に接続される。ここで、導電体301a、導電体301b、導電体305a及び導電体305bの上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0071】
導電体301a、導電体301b、導電体305a、導電体305b及び絶縁体281上に絶縁体361が設けられる。絶縁体361中に導電体311、導電体313、導電体331、容量素子790、導電体333、導電体335、信号線710、導電体315、導電体317及び導電体337が埋設されている。導電体311は、導電体301aと電気的に接続される。導電体331は、導電体313を介して導電体301bと電気的に接続される。導電体311及び導電体313はトランジスタ750と電気的に接続され、配線としての機能を有する。導電体333及び導電体335は、容量素子790と電気的に接続される。導電体315は、導電体305aと電気的に接続される。導電体337は、導電体317を介して導電体305bと電気的に接続される。導電体315及び導電体317はトランジスタ752と電気的に接続され、配線としての機能を有する。ここで、導電体331、導電体333、導電体335及び導電体337の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0072】
導電体331、導電体333、導電体335、導電体337及び絶縁体361上に絶縁体363が設けられる。絶縁体363中に導電体341、導電体343、導電体347、導電体353、導電体355及び導電体357が埋設されている。導電体351は、導電体341を介して導電体331と電気的に接続される。導電体353、導電体355及び導電体357は、導電体347を介して導電体337と電気的に接続される。ここで、導電体351、導電体353、導電体355及び導電体357の上面の高さと、絶縁体363の上面の高さは同程度にできる。
【0073】
絶縁体214、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281、絶縁体361及び絶縁体363は、層間膜として機能し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。例えば、絶縁体363の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0074】
導電体351及び絶縁体363上に導電層772が設けられる。導電層772は、導電体301b、導電体313、導電体331、導電体341及び導電体351を介してトランジスタ750と電気的に接続される。導電層772は、表示素子の画素電極としての機能を有する。ここで、導電体351の上面の高さと、絶縁体363の上面の高さは同程度にでき、また、絶縁体363の上面は平坦性が高く形成される。したがって、導電体351及び絶縁体363上に形成される導電層772は、平坦性が高く形成される。導電層772の平坦性が高いことにより、表示素子から射出される光を効率良く取り出すことができ、輝度の高い表示装置とすることができる。また、消費電力の低い表示装置とすることができる。
【0075】
導電体353、導電体355、導電体357及び絶縁体363上に接続電極760が設けられる。接続電極760は、導電体353、導電体355、導電体357等を介してトランジスタ752と電気的に接続される。なお、
図2及び
図3では接続電極760と導電体353の間のプラグとして機能する導電体として、導電体353、導電体355及び導電体357の3つを示しているが本発明の一態様はこれに限られない。プラグとして機能する導電体を1つとしてもよいし、2つとしてもよい。また、4つ以上としてもよい。プラグとして機能する導電体を複数設けることで、接触抵抗を小さくできる。
【0076】
FPC端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して電気的に接続される。
【0077】
本実施の形態で用いるトランジスタは、チャネル形成領域に酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることができる。該トランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くできる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くでき、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくできるため、消費電力を低減する効果を奏する。
【0078】
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、シリコンウェハ等により形成された駆動回路を適用しない構成も可能であり、表示装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0079】
トランジスタ750及びトランジスタ752の詳細は、後述する。
【0080】
なお、画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えば、いずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記ゲートドライバ回路部706についてもソースドライバ回路部704と同様である。
【0081】
図2及び
図3に示すように、容量素子790は下部電極321と、上部電極325と、を有する。また、下部電極321と上部電極325との間には、絶縁体323が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁体323が挟持された積層型の構造である。なお、
図2及び
図3では絶縁体381上に容量素子790を設ける例を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。絶縁体381と異なる絶縁体上に、容量素子790を設けてもよい。
【0082】
容量素子790上に絶縁体361が設けられる。絶縁体361中に導電体333及び導電体335が埋設されている。導電体333及び導電体335は、容量素子790と電気的に接続される。ここで、導電体333及び導電体335の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0083】
導電体333、導電体335及び絶縁体361上に絶縁体363が設けられる。絶縁体363中に導電体343が埋設されている。導電体343は、導電体333及び導電体335を介して容量素子790と電気的に接続され、配線としての機能を有する。また、導電体343上に絶縁体363が設けられる。なお、
図2及び
図3ではプラグとして機能する導電体として、導電体333及び導電体335の2つを示しているが本発明の一態様はこれに限られない。プラグとして機能する導電体を1つとしてもよいし、3つ以上としてもよい。プラグとして機能する導電体を複数設けることで、接触抵抗を小さくできる。
【0084】
容量素子790の作製方法の一例について説明する。まず、絶縁体381上に、下部電極321となる導電膜と、絶縁体323となる絶縁膜と、上部電極325となる導電膜とを形成する。次に、上部電極325を形成する。次に、絶縁体323及び下部電極321を形成することで、容量素子790を作製できる。または、上部電極325を形成し、次に絶縁体323を形成し、次に下部電極321を形成してもよい。または、上部電極325及び絶縁体323を形成し、次に下部電極321を形成してもよい。
【0085】
信号線710は、銅元素を含む材料等の低抵抗な材料を用いると、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となるため好ましい。
【0086】
図2及び
図3において、導電体301a、導電体301b、導電体305a及び導電体305bは同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電体311、導電体313、下部電極321、信号線710、導電体315及び導電体317は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電体331、導電体333、導電体335及び導電体337は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電体341、導電体343及び導電体347は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電体351、導電体353、導電体355及び導電体357は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電層772及び接続電極760は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。このような構成とすることで、工程を簡略にすることができる。なお、これらはそれぞれ異なる層に形成されてもよい。また、それぞれは異なる種類の材料を有してもよい。
【0087】
第1の基板701及び第2の基板705として、例えば、絶縁体基板、半導体基板、または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0088】
また、第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばプラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。第1の基板701に可撓性を有する基板を用いる場合には、第1の基板701とトランジスタ750等との間に、水や水素に対するバリア性を有する絶縁層を設けることが好ましい。
【0089】
第1の基板701と第2の基板705の間には、構造体778が設けられる。構造体778は柱状のスペーサであり、第1の基板701と第2の基板705の間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いていても良い。
図2に示すように、構造体778は、液晶素子775を有する層と同じ層に配置されると好ましい。また、
図3に示すように、構造体778は、発光素子782の上方に配置されると好ましい。
【0090】
図2及び
図3に示すように、トランジスタ750及びトランジスタ752は、構造体778と重なる領域を有することが好ましい。トランジスタ750等と構造体778が重なる領域を有することで、表示装置に圧力が加えられた場合に該トランジスタに不要な圧力が加わることを抑制でき、機械的強度の高い表示装置とすることができる。また、トランジスタに不要な圧力が加わることを抑制することで、トランジスタの電気特性の変動を抑制でき、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0091】
第2の基板705側には、遮光膜738と、着色膜736と、これらに接する絶縁膜734と、が設けられる。遮光膜738は、隣接する領域から発せられる光を遮る機能を有する。または、遮光膜738は、外光がトランジスタ750等に達するのを遮る機能を有する。
図2に示すように、遮光膜738は、液晶素子775の上方に配置されると好ましい。また、
図3に示すように、遮光膜738は、発光素子782の上方に配置されると好ましい。
【0092】
<液晶素子を用いる表示装置の構成例>
図2に示す表示装置700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電層772、導電層774、及びこれらの間に液晶層776を有する。導電層774は、第2の基板705側に設けられ、共通電極としての機能を有する。また、導電層772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電層772は、絶縁体363上に形成され、画素電極として機能する。
【0093】
導電層772には、可視光に対して透光性の材料、または反射性の材料を用いることができる。透光性の材料としては、例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。反射性の材料としては、例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いるとよい。
【0094】
導電層772に反射性の材料を用いると、表示装置700は反射型の液晶表示装置となる。一方、導電層772に透光性の材料を用いると、透過型の液晶表示装置となる。反射型の液晶表示装置の場合、視認側に偏光板を設ける。一方、透過型の液晶表示装置の場合、液晶素子を挟むように一対の偏光板を設ける。
【0095】
また、
図2には図示しないが、液晶層776と接する配向膜を設ける構成としてもよい。また、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)、及びバックライト、サイドライトなどの光源を適宜設けることができる。
【0096】
液晶層776には、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。
【0097】
また、液晶素子のモードとしては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモードなどを用いることができる。
【0098】
また、液晶層776に高分子分散型液晶や、高分子ネットワーク型液晶などを用いた、散乱型の液晶を用いることもできる。このとき、着色膜736を設けずに白黒表示を行う構成としてもよいし、着色膜736を用いてカラー表示を行う構成としてもよい。
【0099】
また、液晶素子の駆動方法として、継時加法混色法に基づいてカラー表示を行う、時間分割表示方式(フィールドシーケンシャル駆動方式ともいう)を適用してもよい。その場合、着色膜736を設けない構成とすることができる。時間分割表示方式を用いた場合、例えばR(赤色)、G(緑色)、B(青色)のそれぞれの色を呈する副画素を設ける必要がないため、画素の開口率を向上させることや、精細度を高められるなどの利点がある。
【0100】
<発光素子を用いる表示装置>
図3に示す表示装置700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電層772、EL層786、及び導電膜788を有する。EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。
【0101】
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
【0102】
図3に示す表示装置700には、絶縁体363上に導電層772の一部を覆う絶縁膜730が設けられる。ここで、発光素子782は透光性の導電膜788を有し、トップエミッション型の発光素子である。なお、発光素子782は、導電層772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電層772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造としてもよい。
【0103】
また、着色膜736は発光素子782と重なる位置に設けられ、遮光膜738は絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ回路部704に設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、絶縁膜734で覆われている。また、発光素子782と絶縁膜734の間は封止膜732で充填されている。なお、EL層786を画素毎に島状または画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
【0104】
<表示装置に入力装置を設ける構成例>
また、
図2及び
図3に示す表示装置700に入力装置を設けてもよい。当該入力装置としては、例えば、タッチセンサ等が挙げられる。
【0105】
例えばセンサの方式としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、これら2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0106】
なお、タッチパネルの構成は、入力装置を一対の基板の内側に形成する、所謂インセル型のタッチパネル、入力装置を表示装置700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネル、または表示装置700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルなどがある。
【0107】
<構成例2>
図2及び
図3に示した表示装置700と異なる構成について、
図4及び
図5を用いて説明する。なお、
図4及び
図5は、それぞれ
図1に示す一点鎖線Q-Rにおける断面図である。
図4は、表示素子として液晶素子を用いた構成であり、
図5は、発光素子を用いた構成である。
【0108】
図4及び
図5に示す表示装置700Aは、
図2及び
図3に示した表示装置700と比較して、以下の点で主に相違している。表示装置700Aは、トランジスタ750に代えてトランジスタ750Aを有し、トランジスタ754に代えてトランジスタ754Aを有する。トランジスタ750及びトランジスタ754と、トランジスタ750A及びトランジスタ754Aとはトランジスタの構成が異なる。トランジスタの詳細な説明については、後述する。
【0109】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0110】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0111】
(実施の形態2)
先の実施の形態で示した表示装置と、異なる構成の例について説明する。以下では、先の実施の形態と重複する部分は説明を省略する場合がある。また、以下で示す図面において、先の実施の形態と同様の機能を有する部分についてはハッチングパターンを同じくし、符号を付さない場合もある。
【0112】
表示素子として液晶素子を用いる構成について、
図6及び
図7を用いて説明する。表示素子として発光素子を用いる構成について、
図8及び
図9を用いて説明する。なお、
図6乃至
図9は、それぞれ
図1に示す一点鎖線Q-Rにおける断面図である。
【0113】
<変形例1>
表示素子として液晶素子を用いる構成について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6に示す表示装置700において、画素部702はトランジスタ750及び容量素子790を有する。ソースドライバ回路部704はトランジスタ441を有する。
図6に示す表示装置700は、画素部702が有するトランジスタと、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタが、異なる層に形成されている点で、
図2に示した表示装置と異なる。
図6では、トランジスタ750、およびトランジスタ441のチャネル長方向の断面を示している。トランジスタ750及び容量素子790は、先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0114】
トランジスタ441は、基板402上に設けられ、ゲート電極として機能する導電体443、ゲート絶縁体として機能する絶縁体445、基板402の一部からなる半導体領域447、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域449a、および低抵抗領域449bを有する。トランジスタ441は、pチャネル型又はnチャネル型のいずれでもよい。なお、
図6では、基板402として単結晶半導体基板(例えば、単結晶シリコン基板)を用いる場合を示している。ソースドライバ回路に高速動作が求められる場合は、基板402として単結晶半導体基板を用いることが好ましい。トランジスタ441は、素子分離層403によって他のトランジスタ(図示しない。)と電気的に分離される。素子分離層403の形成は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法や、STI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることができる。
【0115】
ここで、
図6に示すトランジスタ441はチャネルが形成される半導体領域447(基板402の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域447の側面および上面を、絶縁体445を介して、導電体443が覆うように設けられている。なお、導電体443は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ441は半導体基板の凸部を利用していることからフィン型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
【0116】
なお、
図6に示すトランジスタ441は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、トランジスタ441は、プレーナー型トランジスタであってもよい。また、トランジスタ441は、薄膜の半導体層を有するトランジスタであってもよい。薄膜の半導体層を有するトランジスタを用いることで、大型ガラス基板のような大面積の基板にも容易に形成することができる。また、薄膜の半導体層としては、例えば、多結晶シリコン、非晶質シリコン、微結晶シリコン、単結晶シリコン、ペンタセン等の有機半導体、または酸化物半導体等を用いることができる。
【0117】
図6に示すように、基板402上に絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409及び絶縁体411が設けられる。絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409及び絶縁体411中に導電体451が埋設されている。導電体451は、トランジスタ441のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。ここで、導電体451の上面の高さと、絶縁体411の上面の高さは同程度にできる。
【0118】
導電体451及び絶縁体411上に絶縁体413及び絶縁体214が設けられる。絶縁体413及び絶縁体214中に導電体453が埋設されている。導電体453は、導電体451と電気的に接続される。ここで、導電体453の上面の高さと、絶縁体214の上面の高さは同程度にできる。
【0119】
導電体453及び絶縁体214上に絶縁体216が設けられる。絶縁体216中に導電体455が埋設されている。導電体455は、導電体453と電気的に接続される。ここで、導電体455の上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。
【0120】
導電体453及び絶縁体216上に絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274及び絶縁体281が設けられる。絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274及び絶縁体281中に導電体305が埋設されている。導電体305は、導電体455と電気的に接続される。ここで、導電体305の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0121】
導電体305及び絶縁体281上に絶縁体361が設けられる。絶縁体361中に導電体317及び導電体337が埋設されている。導電体337は、導電体317を介して導電体305と電気的に接続される。ここで、導電体337の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0122】
絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409、絶縁体411及び絶縁体413は、層間膜として機能し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。例えば、絶縁体411の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409、絶縁体411及び絶縁体413は、絶縁体216等に用いることができる絶縁体を用いることができる。
【0123】
図6において、導電体301a、導電体301b及び導電体305は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。このような構成とすることで、工程を簡略にすることができる。なお、導電体301a、導電体301b及び導電体305はそれぞれ異なる層に形成されてもよい。また、導電体301a、導電体301b及び導電体305はそれぞれ異なる種類の材料を有してもよい。
【0124】
図6に示すように、トランジスタ750及びトランジスタ441は、遮光膜738と重なる領域を有することが好ましい。トランジスタ750等と遮光膜738が重なる領域を有することで、トランジスタ750等に外光が達するのを抑制できる。トランジスタに達する光を抑制することで、トランジスタの電気特性の変動を抑制でき、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0125】
図6に示した表示装置700と異なる構成について、
図7を用いて説明する。
【0126】
図7に示す表示装置700Aは、
図6に示した表示装置700と比較して、以下の点で主に相違している。表示装置700Aは、トランジスタ750に代えてトランジスタ750Aを有する。トランジスタ750と、トランジスタ750Aとはトランジスタの構成が異なる。トランジスタの詳細な説明については、後述する。
【0127】
<変形例2>
表示素子として発光素子を用いる構成について、
図8及び
図9を用いて説明する。
図8に示す表示装置において、画素部702はトランジスタ421、トランジスタ754及び容量素子790を有する。ソースドライバ回路部704はトランジスタ441を有する。
図8に示す表示装置は、画素部702が有するトランジスタと、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタが、異なる層に形成されている点で、
図3に示した表示装置と異なる。
図8では、トランジスタ421、トランジスタ754、およびトランジスタ441のチャネル長方向の断面を示している。トランジスタ441、トランジスタ754及び容量素子790は、先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0128】
トランジスタ421は、基板402上に設けられ、ゲート電極として機能する導電体423、ゲート絶縁体として機能する絶縁体425、基板402の一部からなる半導体領域427、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域429a、および低抵抗領域429bを有する。トランジスタ441は、pチャネル型又はnチャネル型のいずれでもよい。
【0129】
ここで、
図8ではトランジスタ441としてフィン型トランジスタを例示したが、本発明の一態様はこれに限られない。
図8に示すトランジスタ441は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、トランジスタ441は、プレーナー型トランジスタであってもよい。また、トランジスタ441は、薄膜の半導体層を有するトランジスタであってもよい。
【0130】
図8に示すように、基板402上に絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409及び絶縁体411が設けられる。絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409及び絶縁体411中に導電体431が埋設されている。導電体431は、トランジスタ421のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。ここで、導電体431の上面の高さと、絶縁体411の上面の高さは同程度にできる。
【0131】
導電体451及び絶縁体411上に絶縁体413及び絶縁体214が設けられる。絶縁体413及び絶縁体214中に導電体433が埋設されている。導電体433は、導電体431と電気的に接続される。ここで、導電体433の上面の高さと、絶縁体214の上面の高さは同程度にできる。
【0132】
導電体433及び絶縁体214上に絶縁体216が設けられる。絶縁体216中に導電体435が埋設されている。導電体435は、導電体433と電気的に接続される。ここで、導電体435の上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。
【0133】
導電体433及び絶縁体216上に絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274及び絶縁体281が設けられる。絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274及び絶縁体281中に導電体309が埋設されている。導電体309は、導電体455と電気的に接続される。ここで、導電体309の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0134】
導電体309及び絶縁体281上に絶縁体361が設けられる。絶縁体361中に導電体319及び導電体331が埋設されている。導電体331は、導電体319を介して導電体313と電気的に接続される。ここで、導電体331の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0135】
図8において、導電体431及び導電体451は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電体433及び導電体453は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示しているまた、導電体435及び導電体455は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電体301a、導電体301b、導電体313及び導電体305は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。また、導電体311、導電体313、導電体319、下部電極321、信号線710及び導電体317は同じ層に形成され、同じ種類の材料を有する例を示している。このような構成とすることで、工程を簡略にすることができる。なお、これらはそれぞれ異なる層に形成されてもよい。また、それぞれ異なる種類の材料を有してもよい。
【0136】
図8に示すように、トランジスタ754と、トランジスタ421は重なる領域を有する。トランジスタ754と、トランジスタ421が重なる領域を有することで、トランジスタが画素内で占める面積が小さくなり、画素を小さくすることができる。また、高精細な表示装置とすることができる。
【0137】
図8に示すように、トランジスタ754、トランジスタ421及びトランジスタ441は、遮光膜738と重なる領域を有することが好ましい。トランジスタ754等と遮光膜738が重なる領域を有することで、トランジスタ754等に外光が達するのを抑制できる。トランジスタに達する光を抑制することで、トランジスタの電気特性の変動を抑制でき、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0138】
図8に示した表示装置700と異なる構成について、
図9を用いて説明する。
【0139】
図9に示す表示装置700Aは、
図8に示した表示装置700と比較して、以下の点で主に相違している。表示装置700Aは、トランジスタ754に代えてトランジスタ754Aを有する。トランジスタ754と、トランジスタ754Aとはトランジスタの構成が異なる。トランジスタの詳細な説明については、後述する。
【0140】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0141】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0142】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ及びその作製方法について説明する。
【0143】
<トランジスタの構成例>
図10(A)、
図10(B)、および
図10(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200、およびトランジスタ200周辺の上面図および断面図である。画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、トランジスタ200を適用することができる。
【0144】
図10(A)は、トランジスタ200の上面図である。また、
図10(B)、および
図10(C)は、トランジスタ200の断面図である。ここで、
図10(B)は、
図10(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、
図10(C)は、
図10(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図10(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0145】
図2、
図3、
図6及び
図8に示す表示装置700は、トランジスタ750、トランジスタ752及びトランジスタ754として、
図10(A)、
図10(B)、および
図10(C)に示すトランジスタ200を適用した例を示している。
【0146】
[トランジスタ200]
図10に示すように、トランジスタ200は、基板(図示しない。)の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、酸化物230bの上に、互いに離隔して配置された導電体242a、および導電体242bと、導電体242aおよび導電体242b上に配置され、導電体242aと導電体242bの間に重畳して開口が形成された絶縁体280と、開口の中に配置された導電体260と、酸化物230b、導電体242a、導電体242b、および絶縁体280と、導電体260と、の間に配置された絶縁体250と、酸化物230b、導電体242a、導電体242b、および絶縁体280と、絶縁体250と、の間に配置された酸化物230cと、を有する。ここで、
図10(B)及び
図10(C)に示すように、導電体260の上面は、絶縁体250、絶縁体254、絶縁体244、酸化物230c、および絶縁体280の上面と略一致することが好ましい。なお、以下において、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cをまとめて酸化物230という場合がある。また、導電体242aおよび導電体242bをまとめて導電体242という場合がある。
【0147】
図10に示すトランジスタ200では、導電体242aおよび導電体242bの導電体260側の側面が、概略垂直な形状を有している。なお、
図10に示すトランジスタ200は、これに限られるものではなく、導電体242aおよび導電体242bの側面と底面がなす角が、10°以上80°以下、好ましくは、30°以上60°以下としてもよい。また、導電体242aおよび導電体242bの対向する側面が、複数の面を有していてもよい。
【0148】
また、
図10に示すように、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、導電体242b、および酸化物230cと、絶縁体280と、の間に絶縁体244および絶縁体254が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体254は、
図10(B)及び
図10(C)に示すように、酸化物230cの側面、導電体242aの上面と側面、導電体242bの上面と側面、酸化物230aおよび酸化物230bの側面、ならびに絶縁体224の上面に接することが好ましい。絶縁体254は、さらに絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)の側面に接することが好ましい。絶縁体244は絶縁体254の上面に接して配置されることが好ましい。
【0149】
なお、トランジスタ200では、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)と、その近傍において、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200では、導電体260を2層の積層構造として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体260が、単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのそれぞれが2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0150】
例えば、酸化物230cが第1の酸化物と、第1の酸化物上の第2の酸化物からなる積層構造を有する場合、第1の酸化物は、酸化物230bと同様の組成を有し、第2の酸化物は、酸化物230aと同様の組成を有することが好ましい。
【0151】
ここで、導電体260は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体242aおよび導電体242bは、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。上記のように、導電体260は、絶縁体280の開口、および導電体242aと導電体242bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。ここで、導電体260、導電体242aおよび導電体242bの配置は、絶縁体280の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ200において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体260を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ200の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、表示装置を高精細にすることができる。また、表示装置を狭額縁にすることができる。
【0152】
また、
図10に示すように、導電体260は、絶縁体250の内側に設けられた導電体260aと、導電体260aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体260bと、を有することが好ましい。
【0153】
また、トランジスタ200は、基板(図示しない。)の上に配置された絶縁体214と、絶縁体214の上に配置された絶縁体216と、絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、を有することが好ましい。絶縁体224の上に酸化物230aが配置されることが好ましい。
【0154】
また、トランジスタ200の上に、層間膜として機能する絶縁体274、および絶縁体281が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体274は、導電体260、絶縁体250、絶縁体254、絶縁体244、酸化物230c、および絶縁体280の上面に接して配置されることが好ましい。
【0155】
絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274は、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体280より水素透過性が低いことが好ましい。また、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体274は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体274は、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体280より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0156】
ここで、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250は、絶縁体280および絶縁体281と、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体274によって離隔されている。ゆえに、絶縁体280および絶縁体281に含まれる水素などの不純物や、過剰な酸素が、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、および絶縁体250に混入するのを抑制することができる。
【0157】
また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)が設けられることが好ましい。なお、プラグとして機能する導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)が設けられる。つまり、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体281の開口の内壁に接して絶縁体241が設けられる。また、絶縁体241の側面に接して導電体240の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240の第2の導電体が設けられる構成にしてもよい。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体240の第1の導電体および導電体240の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240を単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0158】
また、トランジスタ200は、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。例えば、酸化物230のチャネル形成領域となる金属酸化物としては、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。バンドギャップの大きい酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタ200は、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さいため、低消費電力の表示装置を提供できる。
【0159】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。また、酸化物230として、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、または酸化ガリウムを用いてもよい。
【0160】
また、
図10(B)に示すように、酸化物230bは、導電体242と重ならない領域の膜厚が、導電体242と重なる領域の膜厚より薄くなる場合がある。これは、導電体242aおよび導電体242bを形成する際に、酸化物230bの上面の一部を除去することにより形成される。酸化物230bの上面には、導電体242となる導電膜を成膜した際に、当該導電膜との界面近傍に抵抗の低い領域が形成される場合がある。このように、酸化物230bの上面の導電体242aと導電体242bの間に位置する、抵抗の低い領域を除去することにより、当該領域にチャネルが形成されることを防ぐことができる。
【0161】
本発明の一態様により、サイズが小さいトランジスタを有し、精細度が高い表示装置を提供することができる。または、オン電流が大きいトランジスタを有し、輝度が高い表示装置を提供することができる。または、動作が速いトランジスタを有し、動作が速い表示装置を提供することができる。または、電気特性が安定したトランジスタを有し、信頼性が高い表示装置を提供することができる。または、オフ電流が小さいトランジスタを有し、消費電力が低い表示装置を提供することができる。
【0162】
本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200の詳細な構成について説明する。
【0163】
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。また、導電体205は、絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。ここで、導電体205の上面の平坦性を良好にすることが好ましい。例えば、導電体205上面の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.5nm以下、より好ましくは0.3nm以下にすればよい。これにより、導電体205の上に形成される、絶縁体224の平坦性を良好にし、酸化物230a、酸化物230bおよび酸化物230cの結晶性の向上を図ることができる。
【0164】
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(ボトムゲートともいう。)電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のVthを制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のVthを0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0165】
また、導電体205は、酸化物230におけるチャネル形成領域よりも、大きく設けるとよい。特に、
図10(C)に示すように、導電体205は、酸化物230のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
【0166】
上記構成を有することで、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0167】
また、
図10(C)に示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。また、導電体205は、必ずしも各トランジスタに一個ずつ設ける必要はない。例えば、導電体205を複数のトランジスタで共有する構成にしてもよい。
【0168】
また、導電体205は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205を単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0169】
また、導電体205の下に水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電体を用いてもよい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電体を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一またはすべての拡散を抑制する機能とする。
【0170】
導電体205の下に、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることにより、導電体205が酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205の第1の導電体としては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。
【0171】
絶縁体214は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0172】
例えば、絶縁体214として、酸化アルミニウムまたは窒化シリコンなどを用いることが好ましい。これにより、水または水素などの不純物が絶縁体214よりも基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体214よりも基板側に、拡散するのを抑制することができる。
【0173】
また、層間膜として機能する絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体281は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体281として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンなどを適宜用いればよい。
【0174】
また、絶縁体216を積層構造にしてもよい。例えば、絶縁体216において、少なくとも導電体205の側面と接する部分に、絶縁体214と同様の絶縁体を設ける構成にしてもよい。このような構成にすることで、絶縁体216に含まれる酸素によって、導電体205が酸化されることを抑制できる。あるいは、導電体205により、絶縁体216に含まれる酸素が吸収されるのを抑制することができる。
【0175】
絶縁体222および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
【0176】
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。本明細書では、加熱により離脱する酸素を過剰酸素と呼ぶことがある。例えば、絶縁体224は、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどを適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
【0177】
絶縁体224として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、または3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0178】
また、
図10(C)に示すように、絶縁体224は、絶縁体254と重ならず、且つ酸化物230bと重ならない領域の膜厚が、それ以外の領域の膜厚より薄くなる場合がある。絶縁体224において、絶縁体254と重ならず、且つ酸化物230bと重ならない領域の膜厚は、上記酸素を十分に拡散できる膜厚であることが好ましい。
【0179】
絶縁体222は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274によって、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250などを囲むことにより、外方から水または水素などの不純物がトランジスタ200に侵入することを抑制することができる。
【0180】
さらに、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物230が有する酸素が、基板側へ拡散することを低減できるので、好ましい。また、導電体205が、絶縁体224や、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0181】
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0182】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0183】
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などを含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0184】
なお、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。例えば、絶縁体222の下に絶縁体224と同様の絶縁体を設ける構成にしてもよい。
【0185】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0186】
なお、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0187】
酸化物230a、酸化物230bおよび酸化物230cは、結晶性を有することが好ましく、特に、CAAC-OSを用いることが好ましい。CAAC-OSなどの結晶性を有する酸化物は、不純物や欠陥(酸素欠損など)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物230bから酸素が引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
【0188】
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。この場合、酸化物230cは、酸化物230aに用いることができる金属酸化物を用いることが好ましい。具体的には、酸化物230cに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230cに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230cに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0189】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0190】
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする。)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いてもよい。また、酸化物230cを積層構造としてもよい。例えば、In-Ga-Zn酸化物と、当該In-Ga-Zn酸化物上のGa-Zn酸化物との積層構造、またはIn-Ga-Zn酸化物と、当該In-Ga-Zn酸化物上の酸化ガリウムとの積層構造を用いることができる。別言すると、In-Ga-Zn酸化物と、Inを含まない酸化物との積層構造を、酸化物230cとして用いてもよい。
【0191】
具体的には、酸化物230aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、または1:1:0.5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230bとして、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、または3:1:2[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230cを積層構造とする場合の具体例としては、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と、Ga:Zn=2:1[原子数比]との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と、Ga:Zn=2:5[原子数比]との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と、酸化ガリウムとの積層構造などが挙げられる。
【0192】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。酸化物230a、酸化物230cを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は高いオン電流、および高い周波数特性を得ることができる。なお、酸化物230cを積層構造とした場合、上述の酸化物230bと、酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くする効果に加え、酸化物230cが有する構成元素が、絶縁体250側に拡散するのを抑制することが期待される。より具体的には、酸化物230cを積層構造とし、積層構造の上方にInを含まない酸化物を位置させるため、絶縁体250側に拡散しうるInを抑制することができる。絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能するため、Inが拡散した場合、トランジスタの特性不良となる。したがって、酸化物230cを積層構造とすることで、信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0193】
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物230のチャネル形成領域となる金属酸化物としては、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。このようなトランジスタを用いることで、低消費電力の表示装置を提供できる。
【0194】
酸化物230b上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体242(導電体242a、および導電体242b)が設けられる。導電体242としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0195】
酸化物230と接するように上記導電体242を設けることで、酸化物230の導電体242近傍において、酸素濃度が低減する場合がある。また、酸化物230の導電体242近傍において、導電体242に含まれる金属と、酸化物230の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、酸化物230の導電体242近傍の領域において、キャリア密度が増加し、当該領域は、低抵抗領域となる。
【0196】
ここで、導電体242aと導電体242bの間の領域は、絶縁体280の開口に重畳して形成される。これにより、導電体242aと導電体242bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0197】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対して安定であるため好ましい。
【0198】
絶縁体250は、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0199】
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素拡散を抑制することが好ましい。これにより、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0200】
また、当該金属酸化物は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、当該金属酸化物は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁体を、絶縁体250と当該金属酸化物との積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT:Equivalent oxide thickness)の薄膜化が可能となる。
【0201】
具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0202】
導電体260は、
図10では2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0203】
導電体260aは、上述の、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0204】
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
【0205】
また、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0206】
また、
図10(A)及び
図10(C)に示すように、酸化物230bの導電体242と重ならない領域、言い換えると、酸化物230のチャネル形成領域において、酸化物230の側面が導電体260で覆うように配置されている。これにより、第1のゲート電極としての機能する導電体260の電界を、酸化物230の側面に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。
【0207】
絶縁体254は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、
図10(B)及び
図10(C)に示すように、絶縁体254は、酸化物230cの側面、導電体242aの上面と側面、導電体242bの上面と側面、酸化物230aの側面、酸化物230bの側面、ならびに絶縁体224の上面に接することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体280に含まれる水素が、導電体242a、導電体242b、酸化物230a、酸化物230bおよび絶縁体224の上面または側面から酸化物230に侵入するのを抑制することができる。
【0208】
さらに、絶縁体254は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体280または絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0209】
絶縁体254は、スパッタリング法を用いて成膜されることが好ましい。絶縁体254を、酸素を含む雰囲気でスパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体224の絶縁体254と接する領域近傍に酸素を添加することができる。これにより、当該領域から、絶縁体224を介して酸化物230中に酸素を供給することができる。ここで、絶縁体254が、上方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が酸化物230から絶縁体280へ拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体222が、下方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が酸化物230から基板側へ拡散することを防ぐことができる。このようにして、酸化物230のチャネル形成領域に酸素が供給される。これにより、酸化物230の酸素欠損を低減し、トランジスタのノーマリーオン化を抑制することができる。
【0210】
絶縁体254としては、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0211】
絶縁体244は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体244は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、
図10(B)及び
図10(C)に示すように、絶縁体244は、絶縁体254に接するように配置されることが好ましい。この様な構成とすることで、絶縁体280に含まれる水素が、導電体260、酸化物230cおよび絶縁体250の側面から酸化物230に侵入するのを抑制することができる。
【0212】
このように、水素に対してバリア性を有する絶縁体254および絶縁体244によって、絶縁体224、絶縁体250、および酸化物230を覆うことで、絶縁体280は、絶縁体254または絶縁体244によって、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250と離隔されている。これにより、トランジスタ200の外方から水素などの不純物が浸入することを抑制できるので、トランジスタ200に良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
【0213】
さらに、絶縁体244は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体244は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体244が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、導電体260が、絶縁体280が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0214】
絶縁体244としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁体を用いればよい。絶縁体244として、組成式がAlNx(xは0より大きく2以下の実数、好ましくは、xは0.5より大きく1.5以下の実数)を満たす窒化物絶縁体を用いることが好ましい。これにより、絶縁性に優れ、且つ熱伝導性に優れた膜とすることができるため、トランジスタ200を駆動したときに生じる熱の放熱性を高めることができる。また、絶縁体244として、窒化アルミニウムチタン、窒化チタンなどを用いることもできる。この場合、スパッタリング法を用いて成膜することで、成膜ガスに酸素またはオゾンなどの酸化性の強いガスを用いずに成膜することができるので、好ましい。また、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどを用いることもできる。
【0215】
また、絶縁体244としては、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。この場合、絶縁体244は、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて成膜されることが好ましい。ALD法は、被覆性の良好な成膜法なので、絶縁体244の凹凸によって、段切れなどが形成されるのを防ぐことができる。
【0216】
絶縁体280は、絶縁体244および絶縁体254を介して、絶縁体224、酸化物230、および導電体242上に設けられる。例えば、絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンなどを有することが好ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどの材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
【0217】
絶縁体280中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
【0218】
絶縁体274は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、上方から絶縁体280に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁体274としては、例えば、絶縁体214、絶縁体254等に用いることができる絶縁体を用いればよい。
【0219】
また、絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体281を設けることが好ましい。絶縁体281は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0220】
また、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、および絶縁体244に形成された開口に、導電体240aおよび導電体240bを配置する。導電体240aおよび導電体240bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240aおよび導電体240bの上面の高さは、絶縁体281の上面と、同一平面上としてもよい。
【0221】
なお、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241aが設けられ、その側面に接して導電体240aの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242aが位置しており、導電体240aが導電体242aと接する。同様に、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241bが設けられ、その側面に接して導電体240bの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242bが位置しており、導電体240bが導電体242bと接する。
【0222】
導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240aおよび導電体240bは積層構造としてもよい。
【0223】
また、導電体240を積層構造とする場合、酸化物230a、酸化物230b、導電体242、絶縁体244、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281と接する導電体には、上述の、水または水素などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280に添加された酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。また、絶縁体281より上層から水または水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
【0224】
絶縁体241aおよび絶縁体241bとしては、例えば、絶縁体244等に用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体241aおよび絶縁体241bは、絶縁体254および絶縁体244に接して設けられるので、絶縁体280などから水または水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
【0225】
絶縁体241aおよび絶縁体241bの形成には、ALD法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることができる。
【0226】
また、図示しないが、導電体240aの上面、および導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0227】
また、図示しないが、当該導電体を覆うように、抵抗率が1.0×1013Ωcm以上1.0×1015Ωcm以下、好ましくは5.0×1013Ωcm以上5.0×1014Ωcm以下の絶縁体を設けることが好ましい。当該導電体上に上記のような抵抗率を有する絶縁体を設けることで、当該絶縁体は、絶縁性を維持しつつ、トランジスタ200A、当該導電体等の配線間に蓄積される電荷を分散し、該電荷によるトランジスタや、該トランジスタを有する電子機器の特性不良や静電破壊を抑制することができ、好ましい。
【0228】
<トランジスタの構成材料>
トランジスタに用いることができる構成材料について説明する。
【0229】
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
【0230】
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
【0231】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
【0232】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などがある。
【0233】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体(絶縁体214、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274など)で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、またはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、または酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの金属窒化物を用いることができる。
【0234】
また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
【0235】
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0236】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0237】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0238】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0239】
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0240】
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0241】
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0242】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0243】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0244】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
【0245】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0246】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0247】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0248】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0249】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0250】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
【0251】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0252】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0253】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0254】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
【0255】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0256】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0257】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0258】
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0259】
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0260】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよい。
【0261】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0262】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0263】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0264】
[不純物]
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0265】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0266】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0267】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
【0268】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
【0269】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0270】
[真空ベークの効果]
ここでは、金属酸化物に含まれる、弱いZn-O結合について説明し、該結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減する方法の一例について示す。
【0271】
金属酸化物を用いたトランジスタにおいて、トランジスタの電気特性の不良に繋がる欠陥の一例として酸素欠損がある。例えば、膜中に酸素欠損が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、閾値電圧がマイナス方向に変動しやすく、ノーマリーオン特性となりやすい。これは、金属酸化物に含まれる酸素欠損に起因したドナーが生成され、キャリア濃度が増加するためである。トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作時に動作不良が発生しやすくなる、または非動作時の消費電力が高くなるなどの、様々な問題が生じる。
【0272】
また、モジュールを作製するための接続配線を形成する工程における熱処理により、閾値電圧の変動、寄生抵抗の増大、などのトランジスタの電気特性の劣化、該電気特性の劣化に伴う電気特性のばらつきの増大、などの問題がある。これらの問題は、製造歩留りの低下に直結するため、対策の検討は重要である。また、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができるストレス試験でも電気特性の劣化が生じる。該電気特性の劣化は、製造の過程で行われる高温処理、またはストレス試験時に与えられる電気的なストレスによって金属酸化物中で酸素欠損が形成されることに起因すると推測される。
【0273】
金属酸化物中には、金属原子との結合が弱く、酸素欠損となりやすい酸素原子が存在する。特に、金属酸化物がIn-Ga-Zn酸化物である場合は、亜鉛原子と酸素原子とが弱い結合(弱いZn-O結合、ともいう)を形成しやすい。ここで、弱いZn-O結合とは、製造の過程で行われる高温処理、またはストレス試験時に与えられる電気的なストレスによって切断される程度の強さで結合した、亜鉛原子と酸素原子の間に生じる結合である。弱いZn-O結合が金属酸化物中に存在すると、熱処理または電流ストレスによって、該結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸素欠損が形成されることにより、熱処理に対する耐性、ストレス試験における耐性などといった、トランジスタの安定性が低下する。
【0274】
一つの亜鉛原子に複数の酸素原子が結合している場合において、該亜鉛原子と酸素原子との結合(Zn-O結合)は弱い場合がある。ガリウム原子と比べて、亜鉛原子は、酸素原子との結合が弱い。したがって、一つの亜鉛原子に結合している酸素原子が多いほど、該亜鉛原子は酸素原子を欠損しやすい。すなわち、亜鉛原子と酸素原子との間に生じる結合は、その他の金属との結合よりも弱いと推測される。
【0275】
また、金属酸化物中に不純物が存在する場合、弱いZn-O結合が形成されやすいと推測される。金属酸化物中の不純物としては、例えば、水分子や水素がある。金属酸化物中に水分子や水素が存在することで、水素原子が、金属酸化物を構成する酸素原子と結合する(OH結合ともいう。)場合がある。金属酸化物を構成する酸素原子は、In-Ga-Zn酸化物が単結晶である場合、金属酸化物を構成する金属原子4つと結合している。しかしながら、水素原子と結合した酸素原子は、2つまたは3つの金属原子と結合している場合がある。酸素原子に結合している金属原子の数が減少することで、該酸素原子は欠損しやすくなる。なお、OH結合を形成している酸素原子に亜鉛原子が結合している場合、該酸素原子と該亜鉛原子との結合は弱いと推測される。
【0276】
また、弱いZn-O結合は、複数のナノ結晶が連結する領域に存在する歪みに形成される場合がある。ナノ結晶は六角形を基本とするが、該歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する。該歪みでは、原子間の結合距離が一様でないため、弱いZn-O結合が形成されていると推測される。
【0277】
また、弱いZn-O結合は、金属酸化物の結晶性が低い場合に形成されやすいと推測される。金属酸化物の結晶性が高い場合、金属酸化物を構成する亜鉛原子は、酸素原子4つまたは5つと結合している。しかし、金属酸化物の結晶性が低くなると、亜鉛原子と結合する酸素原子の数が減少する傾向がある。亜鉛原子に結合する酸素原子の数が減少すると、該亜鉛原子は欠損しやすくなる。すなわち、亜鉛原子と酸素原子との間に生じる結合は、単結晶で生じる結合よりも弱いと推測される。
【0278】
上記の弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することで、熱処理または電流ストレスによる酸素欠損の形成を抑制し、トランジスタの安定性を向上させることができる。なお、弱いZn-O結合を構成する酸素原子のみを低減し、弱いZn-O結合を構成する亜鉛原子が減少しない場合、該亜鉛原子近傍に酸素原子を供給すると、弱いZn-O結合が再形成される場合がある。したがって、弱いZn-O結合を構成する亜鉛原子および酸素原子を低減することが好ましい。
【0279】
弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減する方法の一つとして、金属酸化物を成膜した後、真空ベークを実施する方法が挙げられる。真空ベークとは、真空雰囲気下で行う加熱処理のことである。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。なお、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。また、加熱処理時の基板の温度は、300℃以上、好ましくは400℃以上とすればよい。
【0280】
真空ベークを実施することで、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することができる。また、真空ベークによって金属酸化物に熱が与えられるため、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減した後、金属酸化物を構成する原子が再配列することで、4つの金属原子と結合している酸素原子が増える。したがって、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減するとともに、弱いZn-O結合が再形成されるのを抑制することができる。
【0281】
また、金属酸化物中に不純物が存在する場合、真空ベークを実施することで、金属酸化物中の水分子または水素を放出し、OH結合を低減することができる。金属酸化物中のOH結合が減少することで、4つの金属原子と結合している酸素原子の割合が増える。また、水分子または水素が放出される際、金属酸化物を構成する原子が再配列することで、4つの金属原子と結合している酸素原子が増える。したがって、弱いZn-O結合が再形成されるのを抑制することができる。
【0282】
以上のように、金属酸化物を成膜した後、真空ベークを実施することで、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することができる。したがって、該工程により、トランジスタの安定性を向上することができる。また、トランジスタの安定性が向上することで、材料や形成方法の選択の自由度が高くなる。
【0283】
<トランジスタの作製方法1>
次に、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200について、作製方法を
図11乃至
図16を用いて説明する。また、
図11乃至
図16において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(C)は、(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお、各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0284】
まず、基板(図示しない。)を準備し、当該基板上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0285】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0286】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、表示装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、表示装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、表示装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0287】
また、ALD法は、原子の性質である自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができるので、極薄の成膜が可能、アスペクト比の高い構造への成膜が可能、ピンホールなどの欠陥の少ない成膜が可能、被覆性に優れた成膜が可能、および低温での成膜が可能、などの効果がある。また、ALD法には、プラズマを利用した成膜方法PEALD(Plasma Enhanced ALD)法も含まれる。プラズマを利用することで、より低温での成膜が可能となり好ましい場合がある。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
【0288】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
【0289】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、トランジスタの生産性を高めることができる場合がある。
【0290】
本実施の形態では、絶縁体214として、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する。また、絶縁体214は、多層構造としてもよい。例えば、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。または、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。
【0291】
次に絶縁体214上に、導電体205となる導電膜を成膜する。導電体205となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。また、導電体205となる導電膜は、多層膜とすることができる。本実施の形態では、導電体205となる導電膜としてタングステンを成膜する。
【0292】
次に、リソグラフィー法を用いて、導電体205となる導電膜を加工し、導電体205を形成する。
【0293】
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理後にドライエッチング処理を行うことができる。
【0294】
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、導電体205となる導電膜上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。導電体205となる導電膜のエッチングは、レジストマスクを除去してから行ってもよいし、レジストマスクを残したまま行ってもよい。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。導電体205となる導電膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去してもよい。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
【0295】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0296】
次に、絶縁体214上、導電体205上に絶縁体216となる絶縁膜を成膜する。絶縁体216となる絶縁膜は、導電体205の上面、および側面と接するように形成する。絶縁体216となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体216となる絶縁膜として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0297】
ここで、絶縁体216となる絶縁膜の膜厚は、導電体205の膜厚以上とすることが好ましい。例えば、導電体205の膜厚を1とすると、絶縁体216となる絶縁膜の膜厚は、1以上3以下とする。本実施の形態では、導電体205の膜厚を150nmとし、絶縁体216となる絶縁膜の膜厚を350nmとする。
【0298】
次に、絶縁体216となる絶縁膜にCMP処理を行うことで、絶縁体216となる絶縁膜の一部を除去し、導電体205の表面を露出させる。これにより、上面が平坦な、絶縁体216と、導電体205を形成することができる(
図11参照。)。絶縁体216と導電体205の上面の平坦性を向上させることにより、酸化物230b、酸化物230cを形成するCAAC-OSの結晶性を向上させることができる。
【0299】
なお、絶縁体216および導電体205の作製方法は上記に限られるものではない。例えば、絶縁体214の上に絶縁体216となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜に開口を設け、当該開口に埋め込むように導電体205を形成してもよい。
【0300】
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222として、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水が、絶縁体222を通じてトランジスタ200の内側へ拡散することが抑制され、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
【0301】
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0302】
次に、絶縁体222上に絶縁体224となる絶縁膜を成膜する。絶縁体224となる絶縁膜成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0303】
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0304】
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁体224の成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体224に含まれる水、水素などの不純物を除去することなどができる。また、加熱処理は、絶縁体222の成膜後などのタイミングで行うこともできる。
【0305】
ここで、絶縁体224に過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁体224内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に、脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プラズマ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁体224に含まれる水、水素などの不純物を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
【0306】
次に、絶縁体224上に、酸化物230aとなる酸化膜230A、酸化物230bとなる酸化膜230B、および導電体242となる導電膜242Aを順に成膜する(
図11参照。)。なお、上記酸化膜は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A、および酸化膜230B上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
【0307】
酸化膜230A、酸化膜230Bおよび導電膜242Aの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0308】
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bをスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットなどを用いることができる。また、ターゲットには、直流(DC)電源または、高周波(RF)電源などの交流(AC)電源が接続され、ターゲットの電気伝導度に応じて、必要な電力を印加することができる。
【0309】
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224に供給される場合がある。したがって、酸化膜230Aのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
【0310】
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。また、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該酸化膜の結晶性を向上させることができる。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。酸化物230bとなる酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を、30%を超えて100%以下、好ましくは70%以上100%以下として成膜すると、酸素過剰型の酸化物半導体が形成される。酸素過剰型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い信頼性が得られる。
【0311】
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比](2:2:1[原子数比])、あるいは1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
【0312】
また、酸化膜230A及び酸化膜230Bの成膜において、スパッタリングガスを高純度化することが好ましい。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスや希ガスは、露点が-60℃以下、好ましくは-100℃以下にまで高純度化したガスを用いる。高純度化されたスパッタリングガスを用いて成膜することで、酸化物230に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
【0313】
また、スパッタリング法で酸化膜230A及び酸化膜230Bを成膜する場合、スパッタリング装置が有する成膜室内の水分を可能な限り除去することが好ましい。例えば、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、成膜室内を高真空(5×10-7Paから1×10-4Pa程度まで)に排気することが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、成膜室内のH2Oに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10-4Pa以下とすることが好ましく、5×10-5Pa以下とすることがより好ましい。
【0314】
ここで、絶縁体222、絶縁体224、酸化膜230A、および酸化膜230Bを、大気に暴露することなく成膜すると好ましい。例えば、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いればよい。
【0315】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。加熱処理によって、酸化膜230A、および酸化膜230B中の水、水素などの不純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
【0316】
次に、酸化膜230A、酸化膜230Bおよび導電膜242Aを島状に加工して、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bを形成する。なお、当該工程において、絶縁体224の酸化物230aと重ならない領域の膜厚が薄くなることがある(
図12参照。)。
【0317】
ここで、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bは、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。また、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bと絶縁体222の上面のなす角が低い角度になる構成にしてもよい。その場合、酸化物230a、および酸化物230bの側面と絶縁体222の上面のなす角は60°以上70°未満が好ましい。この様な形状とすることで、これより後の工程において、絶縁体254などの被覆性が向上し、鬆などの欠陥を低減することができる。または、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bの側面は、絶縁体222の上面に対し、概略垂直にしてもよい。酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bの側面が、絶縁体222の上面に対し、概略垂直であることで、複数のトランジスタ200を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。
【0318】
また、導電体層242Bの側面と導電体層242Bの上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、導電体層242B層の端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とする。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
【0319】
なお、酸化膜230A、酸化膜230Bおよび導電膜242Aの加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0320】
また、ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起因した不純物が酸化物230a、および酸化物230bなどの表面または内部に付着または拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
【0321】
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いたウェット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理、または熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0322】
ウェット洗浄としては、シュウ酸、リン酸、またはフッ化水素酸などを炭酸水または純水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行う。
【0323】
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いることができる。
【0324】
次に、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bの上に、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を成膜する。
【0325】
ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜は、加工してダミーゲートとして使用する。ダミーゲートとは、仮のゲート電極のことである。つまり、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を加工することで、仮のゲート電極を形成し、後の工程において該ダミーゲートを除去し、代わりに導電膜等によるゲート電極を形成する。従って、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜は微細加工が容易であり、かつ、除去も容易な膜を用いることが好ましい。
【0326】
ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体、半導体、または導電体を用いることができる。具体的には、ポリシリコン、微結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン、アルミニウム、チタン、タングステンなどの金属膜などを用いればよい。または、塗布法を用いて、炭素を含む膜、SOG(Spin On Glass)、樹脂膜などを形成してもよい。例えば、フォトレジスト、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。炭素を含む膜、SOG、樹脂膜を塗布法によって形成することで、ダミーゲート膜の表面を平坦にすることができる。このように、ダミーゲート膜の表面を平坦にすることで、微細加工が容易となり、さらに、除去も容易である。
【0327】
また、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜は、異なる膜種を用いて多層膜とすることもできる。例えば、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を導電膜と該導電膜上に樹脂膜を形成する2層構造の膜とすることができる。ダミーゲート膜をこのような構造とすることで、例えば、後のCMP工程において、該導電膜がCMP処理のストッパ膜として機能する場合がある。または、CMP処理の終点検出が可能となる場合があり、加工ばらつきの低減が可能となる場合がある。
【0328】
次に、リソグラフィー法によって、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜をエッチングし、ダミーゲート層262Aを形成する(
図13参照。)。ダミーゲート層262Aは、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230と重なるように形成する。
【0329】
次に、酸化物230a、酸化物230b、導電体層242Bおよびダミーゲート層262Aを覆うように、絶縁膜254Aを成膜する。続いて、絶縁膜254Aの上に絶縁膜244Aを成膜してもよい(
図13参照。)。絶縁膜254Aおよび絶縁膜244Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて成膜することができる。
【0330】
絶縁膜254Aは、水素などの不純物や、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。スパッタリング法によって、酸素を含むガスを用いて酸化アルミニウム膜を成膜することによって、絶縁体224中へ酸素を注入することができる。つまり、絶縁体224は過剰酸素を有することができる。
【0331】
絶縁膜244Aは、水素などの不純物や、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、ALD法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。被覆性に優れたALD法を用いることで、ダミーゲート層262Aなどにより形成された段差部においても、均一な厚さを有する絶縁膜244Aを形成することができる。また、ALD法を用いることで、緻密な薄膜を成膜することができる。このように被覆性に優れ、緻密な薄膜を成膜することが出来るので、例えば、絶縁膜254Aにボイドやピンホールなどの欠陥が生じても、絶縁膜244Aによって覆うことができる。
【0332】
また、絶縁膜244Aとして、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを、成膜してもよい。例えば、絶縁膜244Aとして、アルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリングで、窒化アルミニウム膜を成膜する場合、成膜ガスの全流量に対する窒素ガスの流量を30%以上100%以下、好ましくは40%以上100%以下、より好ましくは50%以上100%以下とすることが好ましい。
【0333】
また、絶縁膜244Aとして、高温で基板加熱を行いながら、酸化アルミニウムを成膜してもよい。絶縁膜244A成膜時の基板加熱温度は、200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは350℃以上にすればよい。このとき、絶縁膜254AとしてALD法を用いて酸化アルミニウムを成膜しておくことにより、上記の温度で絶縁膜244Aを成膜したときに、ダミーゲート層262Aが変形することを防ぐことができる。
【0334】
また、絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方の成膜後に、フッ素の添加を行ってもよい。絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方へのフッ素の添加は、フッ素系のガス(例えば、CF4など)を含む雰囲気でプラズマ処理を行う、またはフッ素を含むガスをドーピングすることで、行うことができる。絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方へフッ素を添加することにより、当該膜中に含まれる水素を、フッ素によって終端化またはゲッタリングすることが期待できる。
【0335】
以上により、絶縁体224に含まれる過剰酸素が外方へ拡散することを防止し、また外方から水や水素のような不純物の絶縁体224への侵入を防止することができる。尚、絶縁膜244Aの成膜は省略することができる。
【0336】
次に、絶縁膜244A上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0337】
次に、絶縁体280となる絶縁膜、ダミーゲート層262A、絶縁膜254A、および絶縁膜244Aの一部を、ダミーゲート層262Aの一部が露出するまで除去し、絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254および絶縁体244を形成する(
図14参照。)。絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254および絶縁体244の形成にはCMP処理を用いることが好ましい。
【0338】
また、上述のようにダミーゲート層262Aを、例えば、導電膜と該導電膜上に樹脂膜を形成する2層構造の膜とすることで、CMP工程において、該導電膜がCMP処理のストッパ膜として機能する場合がある。または、該導電膜がCMP処理の終点検出が可能となる場合があり、ダミーゲート262の高さのばらつきの低減が可能となる場合がある。
図14(B)に示すように、ダミーゲート262の上面と、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体280の上面が略一致する。
【0339】
次に、ダミーゲート262を除去し、開口263を形成する(
図15参照。)。ダミーゲート262の除去は、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはアッシングなどを用いて行うことができる。または、適宜、上記の処理を複数組み合わせて行ってもよい。例えば、アッシング処理の後に、ウェットエッチング処理を行うなどがある。ダミーゲート262を除去することにより、開口263から導電体層242Bの表面の一部が露出する。
【0340】
次に、導電体層242Bの開口263から露出している部分を除去することで、酸化物230bの表面の一部が露出し、導電体242aおよび導電体242bを形成することができる。当該除去は、ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いて行うことができる。本実施の形態ではドライエッチングを用いる。ドライエッチングを用いることで微細加工ができるので好ましい。ここで、導電体242aと導電体242bの間から露出した、酸化物230bの上面の一部が除去される場合がある。
【0341】
このとき、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254をマスクとして用いて、導電体242a、および導電体242bを形成する。よって、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254に形成された開口263は、導電体242aと導電体242bの間の領域に重畳することになる。これにより、後の工程において、導電体242aと導電体242bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0342】
次に、酸化膜230Cの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、100℃以上400℃以下で行えばよく、例えば200℃で行えばよい。あるいは、酸化膜230Cの成膜温度と同じ温度で行うことが好ましい。ここで、成膜温度とは、成膜中の基板温度に限らず、成膜装置の設定温度の場合を含む。例えば、酸化膜230Cを300℃で成膜する場合、当該加熱処理の温度は300℃とすることが好ましい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、例えば、真空雰囲気で行ってもよい。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。真空雰囲気では、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。
【0343】
次に、開口263に埋め込むように、酸化膜230Cを成膜する。
【0344】
また、当該加熱処理後、大気に暴露することなく、連続して酸化膜230Cの成膜を行うことが好ましい。例えば、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いて、加熱処理と成膜処理を異なるチャンバーで、連続して行うことが好ましい。このような処理を行うことによって、酸化物230aおよび酸化物230bの表面などに吸着している水分、水素、炭素などの不純物を除去し、さらに酸化物230aおよび酸化物230b中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。当該加熱処理により除去される不純物には、水素と炭素の結合を有する不純物や、水素と酸素の結合を有する不純物なども含まれる。さらに、外気に曝さず連続で加熱処理と成膜を行うことで、水素などの不純物が酸化物230に再侵入することを防ぐことができる。また、後述する絶縁膜250Aの成膜前にも同様の加熱処理を行ってもよい。
【0345】
酸化膜230Cの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。酸化膜230Cに求める特性に合わせて、酸化膜230A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230Cとなる酸化膜を成膜すればよい。酸化膜230Cとして、In-Ga-Zn酸化物や、Inを含まない酸化物を用いることができる。Inを含まない酸化物として、Ga-Zn酸化物や、酸化ガリウムなどを用いることができる。また、酸化膜230Cとして、In-Ga-Zn酸化物とInを含まない酸化物の積層構造を用いてもよい。酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、4:2:4.1[原子数比]]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはGa:Zn=2:5[原子数比]のターゲットを用いて成膜することができる。
【0346】
また、酸化膜230Cは、第1の酸化膜と、第1の酸化膜上の第2の酸化膜からなる積層構造を有していてもよく、酸化膜230Bの形成に用いたターゲットと同様のターゲットを用いて第1の酸化膜を形成し、酸化膜230Aの形成に用いたターゲットと同様のターゲットを用いて第2の酸化膜を形成してもよい。
【0347】
酸化膜230Cの成膜は、基板を加熱しながら行うことが好ましい。このとき、基板温度を300℃以上にすることで、酸化膜230Bおよび酸化膜230C中の酸素欠損を低減することができる。また、例えば、後述する絶縁膜250Aの成膜温度と同じ温度で成膜してもよい。また、基板を加熱しながら成膜することで、酸化膜230Cおよび酸化物230bの結晶性の向上を図ることができる。
【0348】
特に、酸化膜230Cの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が酸化物230aおよび酸化物230bに供給される場合がある。したがって、酸化膜230Cのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。また、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該酸化膜の結晶性を向上させることができる。
【0349】
次に、絶縁膜250Aの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、100℃以上400℃以下で行えばよく、例えば200℃で行えばよい。あるいは、絶縁膜250Aの成膜温度と同じ温度で行うことが好ましい。ここで、成膜温度とは、成膜中の基板温度に限らず、成膜装置の設定温度の場合を含む。例えば、絶縁膜250Aを350℃で成膜する場合、当該加熱処理の温度は350℃とすることが好ましい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、例えば、真空雰囲気で行ってもよい。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。真空雰囲気では、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。
【0350】
次に、絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて成膜することができる。絶縁膜250Aとして、CVD法により、酸化窒化シリコンを成膜することが好ましい。または、絶縁膜250Aとしては、ALD法を用いて、酸化シリコン、酸化ハフニウム、または酸化ガリウムなどを成膜することが好ましい。例えば、絶縁膜250Aとして、酸化シリコンと、酸化シリコン上の酸化ガリウムの積層膜を用いてもよい。なお、絶縁膜250Aを成膜する際の成膜温度は、300℃以上450℃未満、好ましくは300℃以上400℃未満、特に350℃前後とすることが好ましい。例えば、絶縁膜250Aを、350℃で成膜することで、不純物が少ない絶縁体を成膜することができる。
【0351】
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、当該酸素プラズマに絶縁膜250Aを曝すことで、絶縁膜250Aへ酸素を導入することができる。
【0352】
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁膜250Aの水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
【0353】
次に、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを成膜する。導電膜260Aaおよび導電膜260Abの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。例えば、CVD法を用いることが好ましい。本実施の形態では、ALD法を用いて、導電膜260Aaを成膜し、CVD法を用いて導電膜260Abを成膜する(
図15参照。)。
【0354】
次に、CMP処理によって、酸化膜230C、絶縁膜250A、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを絶縁体280が露出するまで研磨することによって、酸化物230c、絶縁体250および導電体260(導電体260aおよび導電体260b)を形成する(
図16参照。)。
【0355】
次に加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁体280の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。または、絶縁体274となる絶縁膜の成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、100℃以上400℃以下で行えばよく、例えば200℃で行えばよい。
あるいは、該絶縁膜の成膜温度と同じ温度で行うことが好ましい。ここで、成膜温度とは、成膜中の基板温度に限らず、成膜装置の設定温度の場合を含む。例えば、該絶縁膜を250℃で成膜する場合、当該加熱処理の温度は250℃とすることが好ましい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、例えば、真空雰囲気で行ってもよい。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。真空雰囲気では、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。
【0356】
次に、絶縁体280上に、絶縁体274となる絶縁膜を形成する(
図16参照。)。絶縁体274となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁体274となる絶縁膜としては、例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することによって、絶縁体280が有する水素を酸化物230へ拡散することを抑制することができる場合がある。
【0357】
次に加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁体280の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
【0358】
次に絶縁体274上に、絶縁体281となる絶縁膜を成膜してもよい。絶縁体281となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる(
図16参照。)。
【0359】
次に、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274および絶縁体281に、導電体242aおよび導電体242bに達する開口を形成する。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。
【0360】
次に、絶縁体241となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を異方性エッチングして絶縁体241を形成する。当該絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁体241となる絶縁膜としては、酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、ALD法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。また、ALD法やCVD法を用いて、窒化シリコン膜を成膜してもよい。ALD法を用いて窒化シリコン膜を成膜する場合、シリコンおよびハロゲンを含むプリカーサや、アミノシラン類のプリカーサを用いることができる。シリコンおよびハロゲンを含むプリカーサとして、SiCl4、SiH2Cl2、Si2Cl6、Si3Cl8等を用いることができる。また、アミノシラン類のプリカーサとして、1価、2価、または3価のアミノシラン類を用いることができる。また、窒化ガスとしてアンモニアや、ヒドラジンを用いることができる。また、異方性エッチングは、例えばドライエッチング法などを行えばよい。開口の側壁部をこのような構成とすることで、外方からの酸素の透過を抑制し、次に形成する導電体240aおよび導電体240bの酸化を防止することができる。また、導電体240aおよび導電体240bから、水、水素などの不純物が外部に拡散することを防ぐことができる。
【0361】
次に、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜は、水、水素など不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を含む積層構造とすることが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化チタンなどと、タングステン、モリブデン、銅など、と、の積層とすることができる。導電体240となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0362】
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体281を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(
図10参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体281の一部が除去する場合がある。
【0363】
以上により、
図10に示すトランジスタ200を作製することができる。
図11乃至
図16に示すように、本実施の形態に示すトランジスタの作製方法を用いることで、トランジスタ200を作製することができる。
【0364】
本発明の一態様により、サイズが小さいトランジスタを有し、精細度が高い表示装置を提供することができる。または、オン電流が大きいトランジスタを有し、輝度が高い表示装置を提供することができる。または、動作が速いトランジスタを有し、動作が速い表示装置を提供することができる。または、電気特性が安定したトランジスタを有し、信頼性が高い表示装置を提供することができる。または、オフ電流が小さいトランジスタを有し、消費電力が低い表示装置を提供することができる。
【0365】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0366】
先に示したものとは異なるトランジスタ、およびトランジスタの作製方法の一例について説明する。なお、以降に示す各トランジスタにおいて、<トランジスタの構成例>に示したトランジスタ(
図10参照。)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、各トランジスタの構成材料については<トランジスタの構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
【0367】
<トランジスタの変形例1-1>
図17(A)、
図17(B)、および
図17(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200A、およびトランジスタ200A周辺の上面図および断面図である。画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、トランジスタ200Aを適用することができる。また、トランジスタ200Aについて、作製方法を
図18に示す。また、
図17及び
図18において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、
図17(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Aのチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(C)は、
図17(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Aのチャネル幅方向の断面図でもある。各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0368】
図17に示すトランジスタ200Aは、絶縁体244を有しておらず、絶縁体254が、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、および導電体242bと、絶縁体280と、の間に配置される点において、
図10に示すトランジスタ200と異なる。つまり、
図17に示すトランジスタ200Aでは、酸化物230cの側面が絶縁体280と接する構成になっている。
【0369】
また、
図17に示すトランジスタ200Aでは、導電体242aおよび導電体242bの導電体260側の側面が、テーパー形状を有している。ここで、導電体242aおよび導電体242bの当該側面と底面がなす角は、10°以上80°以下、好ましくは、30°以上60°以下にすればよい。これにより、酸化物230の導電体242aおよび導電体242b近傍の領域にも、導電体260の電界の寄与を大きくし、トランジスタ200Aのオン電流および周波数特性の向上を図ることができる。なお、
図17に示すトランジスタ200Aは、これに限られるものではなく、導電体242aおよび導電体242bの側面が底面に対して概略垂直でもよい。また、導電体242aおよび導電体242bの対向する側面が、複数の面を有していてもよい。
【0370】
図17に示すトランジスタ200Aは、ダミーゲート262を形成せずに作製することができるのでトランジスタの作製工程を簡略化することができて好ましい。
【0371】
図17に示すトランジスタ200Aは、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bを形成するまでは、
図10に示すトランジスタ200の作製方法と同様である。よって、
図11および
図12に係るトランジスタ200の作製方法を参酌することができる。
【0372】
次に、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bの上に、絶縁体254となる絶縁膜を成膜する。
【0373】
次に、絶縁体254となる絶縁膜上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。次に、絶縁体280となる絶縁膜にCMP処理を行い、上面が平坦な絶縁体280を形成する。
【0374】
次に、絶縁体280の一部、絶縁体254となる絶縁膜の一部、および導電体層242Bの一部を除去して、酸化物230bに達する開口264を形成する(
図18参照。)。該開口は、酸化物230a、酸化物230b、および導電体205と重なるように形成することが好ましい。開口264を形成することで、導電体242a、導電体242b、および絶縁体254が形成される。ここで、導電体242aと導電体242bの間から露出した、酸化物230bの上面の一部が除去される場合がある。
【0375】
開口264の形成には、ウェットエッチング法を用いてもよいが、微細加工が可能な点からドライエッチング法を用いるほうが好ましい。また、開口264の形成は、絶縁体280上にハードマスクを形成して行うことが好ましい。当該ハードマスクは、導電体を用いてもよいし、絶縁体を用いてもよい。
【0376】
また、絶縁体280の一部、絶縁体254となる絶縁膜の一部、および導電体の一部の加工は、それぞれ異なる条件で加工してもよい。例えば、絶縁体280の一部をドライエッチング法で加工し、絶縁体254となる絶縁膜の一部をウェットエッチング法で加工し、導電体層242Bの一部をドライエッチング法で加工してもよい。
【0377】
図17に示すトランジスタ200Aの作製方法の、以降の工程については、
図10に示すトランジスタ200の作製方法と同様である。よって、
図15および
図16に係るトランジスタ200の作製方法を参酌することができる。
【0378】
<トランジスタの変形例1-2>
図19(A)、
図19(B)、および
図19(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200B、およびトランジスタ200B周辺の上面図および断面図である。画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、トランジスタ200Bを適用することができる。また、トランジスタ200Bについて、作製方法を
図20乃至
図24に示す。また、
図19乃至
図24において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、
図19(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Bのチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(C)は、
図19(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Bのチャネル幅方向の断面図でもある。各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0379】
図19に示すトランジスタ200Bは、導電体242aと酸化物230bの間に導電体243aが配置され、導電体242bと酸化物230bの間に導電体243bが配置される点において、
図10に示すトランジスタ200と異なる。ここで、導電体242a(導電体242b)は、導電体243a(導電体243b)の上面および導電体260側の側面と、酸化物230bの上面に接して設けられている。ここで、導電体243は、導電体242に用いることができる導電体を用いればよい。さらに、導電体243の膜厚は、少なくとも導電体242より厚いことが好ましい。
【0380】
また、
図19に示すトランジスタ200Bは、導電体242aと導電体242bの距離が、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254に形成される開口263のチャネル長方向の長さより短い点において、
図10に示すトランジスタ200と異なる。
【0381】
図19に示すトランジスタ200Bは、上記のような構成を有することにより、酸化物230の導電体242aおよび導電体242b近傍の領域にも、導電体260の電界の寄与を大きくすることができる。これにより、トランジスタ200の実質的なチャネル長を短くし、オン電流および周波数特性の向上を図ることができる。
【0382】
また、導電体243a(導電体243b)は、導電体240a(導電体240b)と重畳して設けられることが好ましい。このような構成にすることで、導電体240a(導電体240b)を埋め込む開口を形成するエッチングにおいて、当該開口の底部に導電体243a(導電体243b)が設けられるので、酸化物230bがオーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
【0383】
また、
図19に示すトランジスタ200Bでは、導電体242aおよび導電体242bの導電体260側の側面が、概略垂直な形状を有している。なお、
図19に示すトランジスタ200Bは、これに限られるものではなく、導電体242aおよび導電体242bの側面と底面がなす角が、10°以上80°以下、好ましくは、30°以上60°以下としてもよい。また、導電体242aおよび導電体242bの対向する側面が、複数の面を有していてもよい。
【0384】
図19に示すトランジスタ200Bは、酸化物230bとなる酸化膜230Bを成膜するまでは、
図10に示すトランジスタの作製方法と同様である。よって、
図11に係るトランジスタの作製方法を参酌することができる。
【0385】
次に、酸化膜230Bの上に、導電体層243Aとなる導電膜を成膜する。導電体層243Aとなる導電膜の成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0386】
次に、導電体層243Aとなる導電膜の一部を除去して、導電体層243Aを形成する(
図20参照。)。
図20では、導電体層243Aが開口を有する形状にしたが、本実施の形態はこれに限られるものではない。本工程では、導電体層243Aとなる導電膜から、導電体243aと導電体243bの間の領域に当たる部分を除去できればよい。例えば、導電体層243Aとなる導電膜を、導電体243aに対応する島状の導電体と、導電体243bに対応する島状の導電体と、に分割してもよい。
【0387】
導電体層243Aとなる導電膜の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0388】
次に、酸化物230bおよび導電体層243Aの上に導電膜242Aを成膜する。導電膜242Aの成膜は、
図12に係るトランジスタの作製方法を参酌することができる。
【0389】
以降、ダミーゲート層262Aを形成し、絶縁膜254Aおよび絶縁膜244Aを成膜する(
図21参照。)までは、
図10に示すトランジスタの作製方法と同様である。よって、
図12および
図13に係るトランジスタの作製方法を参酌することができる。
【0390】
例えば、絶縁膜244Aとして、高温で基板加熱を行いながら、酸化アルミニウムを成膜してもよい。絶縁膜244A成膜時の基板加熱温度は、200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは350℃以上にすればよい。このとき、絶縁膜254AとしてALD法を用いて酸化アルミニウムを成膜しておくことにより、上記の温度で絶縁膜244Aを成膜したときに、ダミーゲート層262Aが変形することを防ぐことができる。
【0391】
また、絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方の成膜後に、フッ素の添加を行ってもよい。絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方へのフッ素の添加は、フッ素系のガス(例えば、CF4など)を含む雰囲気でプラズマ処理を行う、またはフッ素を含むガスをドーピングすることで、行うことができる。絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方へフッ素を添加することにより、当該膜中に含まれる水素を、フッ素によって終端化またはゲッタリングすることが期待できる。
【0392】
次に、絶縁膜244A上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0393】
次に、絶縁体280となる絶縁膜、ダミーゲート層262A、絶縁膜254A、および絶縁膜244Aの一部を、ダミーゲート層262Aの一部が露出するまで除去し、絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254および絶縁体244を形成する。絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254および絶縁体244の形成にはCMP処理を用いることが好ましい。詳細については、
図14に係るトランジスタの作製方法を参酌することができる。
【0394】
次に、ダミーゲート262を除去し、開口263を形成する(
図15参照。)。ダミーゲート262の除去は、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはアッシングなどを用いて行うことができる。または、適宜、上記の処理を複数組み合わせて行ってもよい。例えば、アッシング処理の後に、ウェットエッチング処理を行うなどがある。ダミーゲート262を除去することにより、開口263から導電体層242Bの表面の一部が露出する。
【0395】
次に、絶縁体280、絶縁体244、絶縁体254、および導電体層242Bの上に、ダミー膜265を成膜する(
図22参照。)。ダミー膜265は開口263の側壁に成膜される必要があり、ダミー膜の厚さによって、導電体242aと導電体242bの距離、つまり実質的なチャネル長が決まる。このため、ダミー膜265は、被覆性が高く、膜厚の微調整が比較的容易なALD法を用いて成膜することが好ましい。ダミー膜265の膜厚は、トランジスタ200Bに求められる電気特性に合わせて適宜設定すればよいが、例えば、5nmに設定することで、チャネル長を実質的に10nm縮めることができる。なお、ダミー膜265は、最終的には除去されるので、微細加工が容易であり、かつ、除去も容易な膜を用いることが好ましい。
【0396】
次に、ダミー膜265に異方性エッチングを行い、ダミー膜265の開口263の側壁に接する部分のみを残存させる。さらに、残存したダミー膜265をマスクとして用いて、導電体層242Bをエッチングすることで、導電体242a、および導電体242bを形成する(
図23参照。)。なお、ダミー膜265のエッチングと導電体層242Bのエッチングは連続して行ってもよい。また、導電体242aと導電体242bの間から露出した、酸化物230bの上面の一部が除去される場合がある。
【0397】
このとき、残存したダミー膜265をマスクとして用いて、導電体242a、および導電体242bを形成する。よって、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254に形成された開口263は、導電体242aと導電体242bの間の領域に重畳することになる。これにより、後の工程において、導電体242aと導電体242bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0398】
次に、残存したダミー膜265を、等方性エッチングを用いて、選択的に除去する(
図24参照。)。等方性エッチングとしては、例えば、ウェットエッチングまたは、反応性ガスを用いたエッチングを用いればよい。このようにして、導電体242aと導電体242bの距離を、開口263のチャネル長方向の長さより短くすることができる。
【0399】
図19に示すトランジスタの作製方法の、以降の工程については、
図10に示すトランジスタの作製方法と同様である。よって、
図15および
図16に係るトランジスタの作製方法を参酌することができる。
【0400】
<トランジスタの変形例1-3>
図25(A)、
図25(B)、および
図25(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200C、およびトランジスタ200C周辺の上面図および断面図である。画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、トランジスタ200Cを適用することができる。また、トランジスタ200Cについて、作製方法を
図26及び
図27に示す。また、
図25乃至
図27において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、
図25(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Cのチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(C)は、
図25(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Cのチャネル幅方向の断面図でもある。各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0401】
図25に示すトランジスタ200Cは、絶縁体244を有しておらず、絶縁体254が、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、および導電体242bと、絶縁体280と、の間に配置される点において、
図19に示すトランジスタ200Bと異なる。つまり、
図25に示すトランジスタ200Cでは、酸化物230cの側面が絶縁体280と接する構成になっている。
【0402】
また、
図25に示すトランジスタ200Cでは、導電体242aおよび導電体242bの導電体260側の側面が、概略垂直な形状を有している。なお、
図25に示すトランジスタ200Cは、これに限られるものではなく、導電体242aおよび導電体242bの側面と底面がなす角が、10°以上80°以下、好ましくは、30°以上60°以下としてもよい。また、導電体242aおよび導電体242bの対向する側面が、複数の面を有していてもよい。
【0403】
図25に示すトランジスタ200Cは、ダミーゲート262を形成せずに作製することができるのでトランジスタの作製工程を簡略化することができて好ましい。
【0404】
図25に示すトランジスタ200Cは、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、導電体242bおよび導電体層242Bを形成するまでは、
図19に示すトランジスタ200Bの作製方法と同様である。よって、
図11、
図12、および
図20に係るトランジスタの作製方法を参酌することができる。
【0405】
次に、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、導電体242bおよび導電体層242Bの上に、絶縁体254となる絶縁膜を成膜する。
【0406】
次に、絶縁体254となる絶縁膜上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。次に、絶縁体280となる絶縁膜にCMP処理を行い、上面が平坦な絶縁体280を形成する。
【0407】
次に、絶縁体280の一部、絶縁体254となる絶縁膜の一部、および導電体層242Bの一部を除去して、酸化物230bに達する開口264aを形成する(
図26参照。)。該開口は、酸化物230a、酸化物230b、および導電体205と重なるように形成することが好ましい。開口264を形成することで、導電体242a、導電体242b、および絶縁体254が形成される。ここで、導電体242aと導電体242bの間から露出した、酸化物230bの上面の一部が除去される場合がある。
【0408】
開口264の形成には、ウェットエッチング法を用いてもよいが、微細加工が可能な点からドライエッチング法を用いるほうが好ましい。また、開口264の形成は、絶縁体280上にハードマスクを形成して行うことが好ましい。当該ハードマスクは、導電体を用いてもよいし、絶縁体を用いてもよい。
【0409】
また、絶縁体280の一部、絶縁体254となる絶縁膜の一部、および導電体の一部の加工は、それぞれ異なる条件で加工してもよい。例えば、絶縁体280の一部をドライエッチング法で加工し、絶縁体254となる絶縁膜の一部をウェットエッチング法で加工し、導電体層242Bの一部をドライエッチング法で加工してもよい。
【0410】
次に、絶縁体280の開口264aをサイドエッチングして、開口264bを形成する(
図27参照。)。絶縁体280のサイドエッチングには、ウェットエッチングまたは、反応性ガスを用いたエッチングなどの、等方性エッチングを用いればよい。例えば、開口264bの側壁を開口264aより5nm後退させることで、導電体242a(導電体242b)を開口264bの側壁より5nm突出させることができる。このようにして、導電体242aと導電体242bの距離を、開口264bのチャネル長方向の長さより短くすることができる。
【0411】
図25に示すトランジスタの作製方法の、以降の工程については、
図10に示すトランジスタの作製方法と同様である。よって、
図15および
図16に係るトランジスタの作製方法を参酌することができる。
【0412】
<トランジスタの変形例2-1>
図28(A)、
図28(B)および
図28(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200D、およびトランジスタ200D周辺の上面図および断面図である。画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、トランジスタ200Dを適用することができる。
【0413】
図28(A)は、トランジスタ200Dの上面図である。
図28(B)および
図28(C)は、トランジスタ200Dの断面図である。ここで、
図28(B)は、
図28(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Dのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図28(C)は、
図28(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Dのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図28(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、
図29は、
図28(B)における酸化物230bおよびその近傍の拡大図である。
【0414】
図4、
図5、
図7及び
図9に示す表示装置700Aは、トランジスタ750A、トランジスタ752A及びトランジスタ754Aとして、
図28(A)、
図28(B)、および
図28(C)に示すトランジスタ200Dを適用した例を示している。
【0415】
図28に示すように、トランジスタ200Dは、基板(図示しない。)の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、酸化物230bの上面に互いに離隔して形成された層253aおよび層253bと、酸化物230b上に配置され、層253aと層253bの間に重畳して開口が形成された絶縁体280と、開口の中に配置された導電体260と、酸化物230b、および絶縁体280と、導電体260と、の間に配置された絶縁体250と、酸化物230b、および絶縁体280と、絶縁体250と、の間に配置された酸化物230cと、を有する。ここで、
図28(B)および
図28(C)に示すように、導電体260の上面は、絶縁体250、酸化物230c、および絶縁体280の上面と略一致することが好ましい。
【0416】
なお、以下において、層253aおよび層253bをまとめて層253という場合がある。
【0417】
また、
図28に示すように、絶縁体224、酸化物230a、および酸化物230bと、絶縁体280と、の間に絶縁体254が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体254は、
図28(B)及び
図28(C)に示すように、層253aの上面と側面、層253bの上面と側面、酸化物230aおよび酸化物230bの側面、ならびに絶縁体224の上面に接することが好ましい。絶縁体254は、さらに絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)の側面に接することが好ましい。
【0418】
ここで、導電体260は、トランジスタのゲート電極として機能し、層253aおよび層253bは、それぞれソース領域またはドレイン領域として機能する。上記のように、導電体260は、絶縁体280および絶縁体254の開口、および層253aと層253bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。ここで、導電体260、層253aおよび層253bの配置は、絶縁体280および絶縁体254の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ200Dにおいて、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体260を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ200Dの占有面積の縮小を図ることができる。これにより、表示装置を高精細にすることができる。また、表示装置を狭額縁にすることができる。
【0419】
また、トランジスタ200Dの上に、層間膜として機能する絶縁体274、および絶縁体281が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体274は、導電体260、絶縁体250、酸化物230c、および絶縁体280の上面に接して配置されることが好ましい。
【0420】
絶縁体222、絶縁体254、および絶縁体274は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254、および絶縁体274は、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体280より水素透過性が低いことが好ましい。また、絶縁体222、絶縁体254および絶縁体274は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254および絶縁体274は、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体280より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0421】
ここで、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、および絶縁体250は、絶縁体280および絶縁体281から、絶縁体254、酸化物230c、および絶縁体274によって離隔されている。ゆえに、絶縁体280および絶縁体281に含まれる水素などの不純物や、過剰な酸素が、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、および絶縁体250に、混入するのを抑制することができる。
【0422】
また、トランジスタ200Dと電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)が設けられることが好ましい。なお、プラグとして機能する導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)が設けられる。つまり、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体281の開口の内壁に接して絶縁体241が設けられる。
【0423】
また、トランジスタ200Dは、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。
【0424】
ここで、酸化物230は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素を添加されることで、キャリア密度が増大し、低抵抗化する場合がある。このような元素としては、代表的にはホウ素やリンが挙げられる。また、ホウ素やリン以外にも、水素、炭素、窒素、フッ素、硫黄、塩素、チタン、希ガス等を用いることができる。また、希ガスの代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。また、酸化物230は、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどの金属元素の中から選ばれるいずれか一つまたは複数の金属元素を添加してもよい。上述した中でも、添加される元素は、ホウ素、及びリンが好ましい。ホウ素およびリンの添加には、アモルファスシリコン、または低温ポリシリコンの製造ラインの装置を使用することができるため、設備投資を抑制することができる。上記元素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)などを用いて測定すればよい。
【0425】
層253は、酸化物230に上記の元素が添加されて形成された層である。
図28(B)および
図29に示すように、層253aおよび層253bは、導電体260を挟んで対向して形成されており、上面が絶縁体254および酸化物230cと接することが好ましい。上面視において、層253aおよび層253bの導電体260側の側面は、導電体260の側面と略一致する、または、層253aおよび層253bの一部が導電体260と重畳する、ことが好ましい。ここで、層253の上記元素の濃度は、酸化物230の層253が形成されていない部分の上記元素の濃度と、同等、またはそれよりも高いことが好ましい。また、層253に含まれる酸素欠損の量は、酸化物230の層253が形成されていない部分の酸素欠損の量と、同等、またはそれよりも高いことが好ましい。これにより、層253は、酸化物230の層253が形成されていない部分と比較して、キャリア密度が大きく、抵抗が低くなる。
【0426】
酸化物230において、導電体260と重畳する領域を領域234とし、絶縁体254と重畳する領域を領域231(領域231a、および領域231b)とし、領域234と領域231の間の領域を領域232(領域232a、および領域232b)とする。
図29に示すように、領域234は、領域231aと領域231bの間に位置し、領域232aは領域231aと領域234の間に位置し、領域232bは領域231bと領域234の間に位置する。ここで、領域231は、領域234と比較して、キャリア密度が高く、低抵抗な領域である。また、領域232は、領域234と比較して、キャリア密度が高く、低抵抗な領域であり、領域231と比較して、キャリア密度が低く、高抵抗な領域である。または、領域232は、領域231と同等なキャリア密度を有し、同等な抵抗を有していてもよい。よって、領域234はトランジスタ200Dのチャネル形成領域として機能し、領域231はソース領域またはドレイン領域として機能し、領域232は接合領域として機能する。
【0427】
このような構成にすることで、酸化物230のチャネル形成領域とソース領域またはドレイン領域との間に、オフセット領域が形成されるのを防ぎ、実効的なチャネル長が導電体260の幅より大きくなるのを抑制することができる。これにより、トランジスタ200Dのオン電流を大きく、S値を良好にすることができる。
【0428】
酸化物230にソース領域またはドレイン領域として機能する領域231を形成することで、金属で形成されたソース電極およびドレイン電極を設けることなく、領域231にプラグとして機能する導電体240を接続することができる。酸化物230に接して金属で形成されたソース電極およびドレイン電極を設けると、トランジスタ200Dの作製工程または後工程において、高温の熱処理を行った場合、金属で形成されたソース電極およびドレイン電極が酸化し、トランジスタ200Dのオン電流、S値が劣化する場合がある。しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタでは、金属で形成されたソース電極およびドレイン電極を設ける必要がない。よって、トランジスタ200Dの作製工程または後工程において高温の熱処理を行っても、良好なオン電流、S値を示すトランジスタとすることができる。例えば、本実施の形態に示すトランジスタでは、トランジスタ200Dの作製後に、750℃以上800℃以下程度の高温がかかるプロセスを行うことができる。
【0429】
また、上記のように、層253に酸素欠損を形成する元素を添加して、熱処理を行うことで、チャネル形成領域として機能する領域234に含まれる水素を、層253に含まれる酸素欠損で捕獲できる場合がある。これにより、トランジスタ200Dに安定な電気特性を与え、トランジスタ200Dの信頼性の向上を図ることができる。
【0430】
なお、
図29では、層253が、酸化物230bの膜厚方向において、酸化物230bと絶縁体254、および酸化物230cの界面近傍に形成されているが、これに限られない。例えば、層253は、酸化物230bの膜厚と概略同じ厚さを有していてもよいし、酸化物230aにも、形成されていてもよい。また、
図29では、層253が領域231、および領域232に形成されているが、これに限らない。例えば、領域231のみに形成されていてもよいし、領域231と、領域232の一部と、に形成されていてもよいし、領域231と、領域232と、領域234の一部と、に形成されていてもよい。
【0431】
また、酸化物230において、各領域の境界を明確に検出することが困難な場合がある。各領域内で検出される金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともいう。)していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0432】
また、
図28(C)に示すように、絶縁体224は、酸化物230bと重ならない領域の膜厚が、それ以外の領域の膜厚より薄くなることが好ましい。このような構成にすることで、導電体260の下端部をより下側に位置させることができるので、第1のゲート電極としての機能する導電体260の電界を、酸化物230の側面に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200Dのオン電流を増大させることができる。また、絶縁体224を、酸化物230bおよび酸化物230aと重畳させて、島状に設ける構成にしてもよい。
【0433】
層253aと層253bの間の領域は、絶縁体280の開口に重畳して形成される。これにより、層253aと層253bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0434】
また、絶縁体250と導電体260aの間に、酸化物230として用いることができる金属酸化物を設けてもよい。このとき、該金属酸化物は、導電体260と同様にゲート電極として機能する。金属酸化物を設けることにより、絶縁体250、および酸化物230の少なくとも一方に酸素を供給することができ、好ましい。また、該金属酸化物として、酸素の透過を抑制する機能を有する金属酸化物を用いることにより、絶縁体250、または絶縁体280に含まれる酸素によって、導電体260が酸化されることを抑制できる。あるいは、絶縁体250に含まれる酸素が、導電体260に吸収されることを抑制できる。
【0435】
また、
図28(A)及び
図28(C)に示すように、酸化物230bの層253と重ならない領域、言い換えると、酸化物230のチャネル形成領域において、酸化物230の側面を導電体260で覆うように配置されている。これにより、第1のゲート電極としての機能する導電体260の電界を、酸化物230の側面に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200Dのオン電流を増大させることができる。
【0436】
絶縁体254は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200Dに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、
図28(B)及び
図28(C)に示すように、絶縁体254は、酸化物230cの側面の一部、層253aの上面と側面、層253bの上面と側面、すなわち、酸化物230bの上面の一部と、側面の一部、酸化物230aの側面、ならびに絶縁体224の上面に接することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体280に含まれる水素が、酸化物230a、酸化物230bおよび絶縁体224の上面または側面から酸化物230に侵入するのを抑制することができる。
【0437】
また、絶縁体254は、積層構造としてもよい。絶縁体254を積層構造とする場合、スパッタリング法を用いて形成された第1の絶縁体上にALD法を用いて第2の絶縁体を形成してもよい。このとき、第1の絶縁体と、第2の絶縁体は上述した材料から選ばれた、同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。例えば、第1の絶縁体として、スパッタリング法により形成された酸化アルミニウムを用い、第2の絶縁体として、ALD法により形成された酸化アルミニウムを用いてもよい。ALD法により形成される膜は被覆性が高く、酸化物230などの構造体による段差部にも高い均一性を有する膜を形成することができる。また、スパッタリング法により形成された第1の絶縁膜における成膜不良を補てんすることができ、好ましい。
【0438】
このように、水素に対してバリア性を有する絶縁体254によって、絶縁体224、および酸化物230を覆うことで、絶縁体280は、絶縁体224、および酸化物230と離隔されている。これにより、トランジスタ200Dの外方から水素などの不純物が浸入することを抑制できるので、トランジスタ200Dに良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
【0439】
また、絶縁体254としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁体を用いればよい。絶縁体254として、組成式がAlNx(xは0より大きく2以下の実数、好ましくは、xは0.5より大きく1.5以下の実数)を満たす窒化物絶縁体を用いることが好ましい。これにより、絶縁性に優れ、且つ熱伝導性に優れた膜とすることができるため、トランジスタ200Dを駆動したときに生じる熱の放熱性を高めることができる。また、絶縁体254として、窒化アルミニウムチタン、窒化チタンなどを用いることもできる。この場合、スパッタリング法を用いて成膜することで、成膜ガスに酸素またはオゾンなどの酸化性の強いガスを用いずに成膜することができるので、好ましい。また、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどを用いることもできる。
【0440】
また、後述するが、絶縁体254は、層253a、および層253bを形成する際の保護膜としての機能を有してもよい。層253a、および層253bの形成にイオンインプランテーション法やイオンドーピング法を用いる場合、保護膜として絶縁体254を設けることで、酸化物230の表面がイオンやプラズマに直接曝されることが無く、層253a、および層253bの形成における酸化物230のダメージを抑制できるため、好ましい。ここで、酸化物230のダメージとは、酸化物230中における、過度の酸素欠損の形成や、過度の酸化物230の結晶性の低下などをいう。例えば、絶縁体254として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンなどを用いることができる。
【0441】
絶縁体280は、絶縁体254を介して、絶縁体224、および酸化物230上に設けられる。
【0442】
また、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、および絶縁体254に形成された開口に、導電体240aおよび導電体240bを配置する。導電体240aおよび導電体240bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240aおよび導電体240bの上面の高さは、絶縁体281の上面と、同一平面上としてもよい。
【0443】
なお、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241aが設けられ、その側面に接して導電体240aの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には層253aが位置しており、導電体240aが層253aと接する。同様に、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241bが設けられ、その側面に接して導電体240bの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には層253bが位置しており、導電体240bが層253bと接する。
【0444】
また、導電体240を積層構造とする場合、酸化物230a、酸化物230b、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281と接する導電体には、上述の、水または水素などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。
【0445】
<トランジスタの作製方法2>
次に、
図28に示す、本発明の一態様に係るトランジスタ200Dについて、作製方法を
図30乃至
図38を用いて説明する。また、
図30乃至
図38において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Dのチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(C)は、(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Dのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、<トランジスタの作製方法1>に示すトランジスタ200と同符号を付記した構成要素は、<トランジスタの作製方法1>を参酌することができる。
【0446】
図28に示すトランジスタ200Dは、絶縁体224を形成するまでは、
図10に示すトランジスタ200の作製方法と同様である。よって、
図11に係るトランジスタ200の作製方法を参酌することができる。
【0447】
次に、絶縁体224上に、酸化物230aとなる酸化膜230A、および酸化物230bとなる酸化膜230Bを順に成膜する(
図30参照。)。
【0448】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。
【0449】
次に、酸化膜230A、および酸化膜230Bを島状に加工して、酸化物230a、および酸化物230bを形成する。なお、当該工程において、絶縁体224の酸化物230aと重ならない領域の膜厚が薄くなることがある(
図31参照。)。
【0450】
ここで、酸化物230a、および酸化物230bは、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。
【0451】
また、酸化物230bの側面と酸化物230bの上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230b層の端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とする。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
【0452】
また、ドライエッチングなどの処理によって付着または拡散した不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いたウェット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理、または熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0453】
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いることができる。または、絶縁膜254Aの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、100℃以上400℃以下で行えばよく、例えば200℃で行えばよい。あるいは、絶縁膜254Aの成膜温度と同じ温度で行うことが好ましい。ここで、成膜温度とは、成膜中の基板温度に限らず、成膜装置の設定温度の場合を含む。例えば、絶縁膜254Aを200℃で成膜する場合、当該加熱処理の温度は200℃とすることが好ましい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、例えば、真空雰囲気で行ってもよい。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。真空雰囲気では、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。
【0454】
次に、酸化物230a、および酸化物230bを覆って、絶縁体254となる絶縁膜254Aを成膜する(
図32参照。)。絶縁膜254Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて成膜することができる。
【0455】
絶縁膜254Aは、水素などの不純物や、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。スパッタリング法によって、酸素を含むガスを用いて酸化アルミニウム膜を成膜することによって、絶縁体224中へ酸素を注入することができる。つまり、絶縁体224は過剰酸素を有することができる。また、絶縁膜254Aとして、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、窒化アルミニウムを含む絶縁体、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンなどを用いることができる。
【0456】
また、絶縁膜254Aとして、高温で基板加熱を行いながら、酸化アルミニウムを成膜してもよい。絶縁膜254A成膜時の基板加熱温度は、200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは350℃以上にすればよい。
【0457】
また、絶縁膜254Aは、積層構造としてもよい。
【0458】
次に、絶縁膜254Aの上に、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を成膜する。
【0459】
次に、リソグラフィー法によって、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜をエッチングし、ダミーゲート層262Aを形成する(
図33参照。)。ダミーゲート層262Aは、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230と重なるように形成する。
【0460】
次に、ダミーゲート層262Aをマスクとして、酸化物230bにドーパント257を添加する(
図33参照。)。これにより、酸化物230bのダミーゲート層262Aと重畳していない領域に、ドーパント257を含む、層253aおよび層253bが形成される。なお、
図33において、ドーパント257が、酸化物230bのダミーゲート層262Aと重畳する領域に拡散して添加される様子を示している。このため、層253aおよび層253bの一部は、ダミーゲート層262Aと重畳する領域にも形成されている。このように、ダミーゲート層262Aのチャネル長方向の長さによって、層253aと層253bの間の距離、つまりチャネル長を制御することができる。
【0461】
ドーパント257の添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、ドーパントを、イオン、ドナー、アクセプター、不純物または元素などと言い換えてもよい。
【0462】
ドーパント257としては、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素などを用いればよい。このような元素としては、代表的には、ホウ素、またはリンが挙げられる。また、水素、炭素、窒素、フッ素、硫黄、塩素、チタン、希ガス等を用いてもよい。また、希ガスの代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。また、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどの金属元素の中から選ばれるいずれか一つまたは複数の金属元素を添加してもよい。上述した中でもドーパント257としては、ホウ素、及びリンが好ましい。ホウ素、リンをドーパント257として用いる場合、アモルファスシリコン、または低温ポリシリコンの製造ラインの装置を使用することができるため、設備投資を抑制することができる。
【0463】
また、
図33では、ドーパント257を絶縁体214の上面に略垂直に添加しているが、これに限られず、ドーパント257の添加を絶縁体214の上面に対して傾斜させて行ってもよい。絶縁体214の上面に対して傾斜させてドーパントを添加させることにより、ダミーゲート層262Aと重畳する領域の一部に層253aおよび層253bを形成することが容易になる。
【0464】
また、本実施の形態の作成方法では、ドーパント257は、絶縁膜254Aを介して酸化物230に添加される。当該作成方法とすることで、絶縁膜254Aにもドーパント257が添加される。すなわち、酸化物230、及び絶縁膜254Aの双方がドーパント257に含まれる元素を有する。また、絶縁膜254Aが過剰酸素を有する場合、ドーパント257によって、外部への過剰酸素の拡散を抑制できる場合がある。
【0465】
以上のように、層253を形成することにより、後の工程で形成する導電体260を、層253aと層253bの間に自己整合的に配置することができる。
【0466】
次に、絶縁膜254A、およびダミーゲート層262A上に、絶縁膜280Aを成膜する(
図34参照。)。絶縁膜280Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0467】
次に、絶縁膜280A、およびダミーゲート層262Aの一部を、ダミーゲート層262Aの一部が露出するまで除去し、絶縁体280、およびダミーゲート262を形成する(
図35参照。)。絶縁体280、およびダミーゲート262の形成にはCMP処理を用いることが好ましい。
【0468】
また、上述のようにダミーゲート層262Aを、例えば、導電膜と該導電膜上に樹脂膜を形成する2層構造の膜とすることで、CMP工程において、該導電膜がCMP処理のストッパ膜として機能する場合がある。または、該導電膜がCMP処理の終点検出が可能となる場合があり、ダミーゲート262の高さのばらつきの低減が可能となる場合がある。
図35(B)に示すように、ダミーゲート262の上面と、絶縁体280の上面が略一致する。
【0469】
次に、ダミーゲート262、およびダミーゲート262と重畳する絶縁膜254Aの一部を除去し、開口263を形成する(
図36参照。)。ダミーゲート262、および絶縁膜254Aの除去は、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはアッシングなどを用いて行うことができる。または、適宜、上記の処理を複数組み合わせて行ってもよい。例えば、アッシング処理の後に、ウェットエッチング処理を行うなどがある。絶縁膜254Aの一部を除去することにより、絶縁体254を形成する。ダミーゲート262、および絶縁膜254Aを除去することにより、開口263から酸化物230bの表面の一部が露出する。このとき、開口263から層253の表面の一部が露出する場合がある。
【0470】
次に、酸化膜230Cの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、100℃以上400℃以下で行えばよく、例えば200℃で行えばよい。あるいは、酸化膜230Cの成膜温度と同じ温度で行うことが好ましい。ここで、成膜温度とは、成膜中の基板温度に限らず、成膜装置の設定温度の場合を含む。例えば、酸化膜230Cを300℃で成膜する場合、当該加熱処理の温度は300℃とすることが好ましい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、例えば、真空雰囲気で行ってもよい。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。真空雰囲気では、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。
【0471】
次に、開口263に埋め込むように、酸化膜230Cを成膜する。
【0472】
次に、絶縁膜250Aの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。
【0473】
次に、絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aの成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0474】
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。
【0475】
次に、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを成膜する(
図37参照。)。
【0476】
次に、CMP処理によって、酸化膜230C、絶縁膜250A、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを絶縁体280が露出するまで研磨することによって、酸化物230c、絶縁体250および導電体260(導電体260aおよび導電体260b)を形成する(
図38参照。)。
【0477】
次に加熱処理を行っても良い。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。
【0478】
次に、絶縁体280上に、絶縁体274となる絶縁膜を形成する(
図38参照。)。絶縁体274の成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0479】
次に加熱処理を行っても良い。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。
【0480】
次に絶縁体274上に、絶縁体281となる絶縁体を成膜してもよい。絶縁体281となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる(
図38参照。)。
【0481】
次に、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274および絶縁体281に、層253aおよび層253bに達する開口を形成する。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。
【0482】
次に、絶縁体241となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を異方性エッチングして絶縁体241を形成する。
【0483】
次に、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。
【0484】
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体281を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(
図28参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体281の一部が除去する場合がある。
【0485】
以上により、
図28に示すトランジスタ200Dを作製することができる。
【0486】
先の<トランジスタの変形例2>で示したものとは異なるトランジスタ、およびトランジスタの作製方法の一例について説明する。
【0487】
<トランジスタの変形例2-2>
図39(A)、
図39(B)、および
図39(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200E、およびトランジスタ200E周辺の上面図および断面図である。画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、トランジスタ200Eを適用することができる。
図39(A)は、トランジスタ200Eの上面図である。
図39(B)は、
図39(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Eのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図39(C)は、
図39(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Eのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図39(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、
図40は、
図39(B)における酸化物230bおよびその近傍の拡大図である。
【0488】
図39に示すように、トランジスタ200Eは、基板(図示しない。)の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、酸化物230bの上面に、互いに離隔して形成された層252a、および層252bと、酸化物230b上に配置され、層252aと層252bの間に重畳して開口が形成された絶縁体280と、開口の中に配置された導電体260と、酸化物230b、および絶縁体280と、導電体260と、の間に配置された絶縁体250と、酸化物230b、および絶縁体280と、絶縁体250と、の間に配置された酸化物230cと、を有する。ここで、
図39(B)及び
図39(C)に示すように、導電体260の上面は、絶縁体250、絶縁体244、酸化物230c、および絶縁体280の上面と略一致することが好ましい。また、層252aの、酸化物230cと重畳しない領域に層253aが形成されることが好ましい。また、層252bの、酸化物230cと重畳しない領域に層253bが形成されることが好ましい。なお、層252aおよび層252bをまとめて層252という場合がある。
【0489】
また、
図39に示すように、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cと、絶縁体280と、の間に絶縁体244および絶縁体254が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体254は、
図39(B)及び
図39(C)に示すように、酸化物230cの側面、層252aの上面と側面、層252bの上面と側面、酸化物230aおよび酸化物230bの側面、ならびに絶縁体224の上面に接することが好ましい。絶縁体244は絶縁体254の上面、および酸化物230cの側面に接して配置されることが好ましい。絶縁体254は、さらに絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)の側面に接することが好ましい。
【0490】
ここで、導電体260は、トランジスタのゲート電極として機能し、層252aおよび層253a、ならびに層252bおよび層253bは、それぞれソース領域またはドレイン領域として機能する。上記のように、導電体260は、絶縁体280の開口、および層252aと層252bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。ここで、導電体260、層252aおよび層252bの配置は、絶縁体280の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ200Eにおいて、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。
【0491】
また、層間膜として機能する絶縁体274は、導電体260、絶縁体250、絶縁体244、酸化物230c、および絶縁体280の上面に接して配置されることが好ましい。
【0492】
絶縁体254及び絶縁体244は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体254及び絶縁体244は、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体280より水素透過性が低いことが好ましい。また、絶縁体254および絶縁体244は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体254および絶縁体244は、絶縁体224、絶縁体250および絶縁体280より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0493】
ここで、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250は、絶縁体280および絶縁体281から、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体274によって離隔されている。ゆえに、絶縁体280および絶縁体281に含まれる水素などの不純物や、過剰な酸素が、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250に、混入するのを抑制することができる。
【0494】
また、トランジスタ200Eと電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)が設けられることが好ましい。なお、導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)が設けられる。つまり、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体281の開口の内壁に接して、絶縁体241が設けられる。
【0495】
ここで、酸化物230は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素を添加されることで、キャリア密度が増大し、低抵抗化する場合がある。このような元素としては、先の<トランジスタの作製方法>に示した元素を用いることができる。
【0496】
層252は、酸化物230に上記の元素が添加されて形成された層である。
図39(B)および
図40に示すように、層252aおよび層252bは、導電体260を挟んで対向して形成されており、上面が絶縁体254および酸化物230cと接することが好ましい。上面視において、層252aおよび層252bの導電体260側の側面は、導電体260の側面と略一致する、または、層252aおよび層252bの一部が導電体260と重畳する、ことが好ましい。ここで、層252の上記元素の濃度は、酸化物230の層252および層253が形成されていない部分の上記元素の濃度と、同等、またはそれよりも高いことが好ましい。また、層252に含まれる酸素欠損の量は、酸化物230の層252および層253が形成されていない部分の酸素欠損の量と、同等、またはそれよりも高いことが好ましい。これにより、層252は、酸化物230の層252および層253が形成されていない部分と比較して、キャリア密度が大きく、抵抗が低くなる。
【0497】
層253は、層252の一部にさらに上記の元素が添加されて形成された層である。
図39(B)および
図40に示すように、層253は上面が絶縁体254と接することが好ましい。ここで、層253の上記元素の濃度は、層252の上記元素の濃度と、同等、またはそれよりも高いことが好ましい。また、層253に含まれる酸素欠損の量は、層252に含まれる酸素欠損の量と、同等、またはそれよりも高いことが好ましい。これにより、層253は、層252と比較して、キャリア密度が大きく、抵抗が低くなる。
【0498】
酸化物230において、導電体260と重畳する領域を領域234とし、層253と重畳する領域を領域231(領域231a、および領域231b)とし、層252と重畳し、かつ層253と重畳しない領域を領域232(領域232a、および領域232b)とする。
図40に示すように、領域234は、領域231aと領域231bの間に位置し、領域232aは領域231aと領域234の間に位置し、領域232bは領域231bと領域234の間に位置する。ここで、領域231は、領域234と比較して、キャリア密度が高く、低抵抗な領域である。また、領域232は、領域234と比較して、キャリア密度が高く、低抵抗な領域であり、領域231と比較して、キャリア密度が低く、高抵抗な領域である。よって、領域234はトランジスタ200Eのチャネル形成領域として機能し、領域231はソース領域またはドレイン領域として機能し、領域232は接合領域として機能する。
【0499】
また、上記のように、層252および層253に酸素欠損を形成する元素を添加して、熱処理を行うことで、チャネル形成領域として機能する領域234に含まれる水素を、層252および層253に含まれる酸素欠損で捕獲できる場合がある。これにより、トランジスタ200Eに安定な電気特性を与え、信頼性の向上を図ることができる。
【0500】
なお、
図40では、層252が、酸化物230bの膜厚方向において、酸化物230bと絶縁体254の界面近傍に形成されているが、これに限られない。例えば、層252は、酸化物230bの膜厚と概略同じ厚さを有していてもよいし、酸化物230aにも、形成されていてもよい。また、
図40では、層252が領域231、および領域232に形成されているが、これに限らない。例えば、領域231のみに形成されていてもよいし、領域231と、領域232の一部と、に形成されていてもよいし、領域231と、領域232と、領域234の一部と、に形成されていてもよい。
【0501】
層252aと層252bの間の領域は、絶縁体280の開口に重畳して形成される。これにより、層252aと層252bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0502】
絶縁体254については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0503】
絶縁体244は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200Eに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体244は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、
図39(B)及び
図39(C)に示すように、絶縁体244は、絶縁体254の上面、および酸化物230cの側面に接するように配置されることが好ましい。この様な構成とすることで、絶縁体280に含まれる水素が、導電体260、酸化物230cおよび絶縁体250の側面から酸化物230に侵入するのを抑制することができる。
【0504】
このように、水素に対してバリア性を有する絶縁体254および絶縁体244によって、絶縁体224、絶縁体250、および酸化物230を覆うことで、絶縁体280は、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250と離隔されている。これにより、トランジスタ200Eの外方から水素などの不純物が浸入することを抑制できるので、トランジスタ200Eに良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
【0505】
さらに、絶縁体244は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体244は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体244が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、導電体260が、絶縁体280が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0506】
絶縁体244としては、絶縁体254に用いることができる材料を用いることができる。絶縁体244としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁体を用いればよい。また、絶縁体244として、窒化アルミニウムチタン、窒化チタンなどを用いることもできる。また、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどを用いることもできる。
【0507】
また、絶縁体244は、ALD法を用いて成膜されることが好ましい。ALD法は、被覆性の良好な成膜法なので、絶縁体254の凹凸によって、段切れなどが形成されるのを防ぐことができる。
【0508】
絶縁体280は、絶縁体244および絶縁体254を介して、絶縁体224、および酸化物230上に設けられる。
【0509】
また、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、および絶縁体244に形成された開口に、導電体240aおよび導電体240bを配置する。
【0510】
なお、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241aが設けられ、その側面に接して導電体240aの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には層253aが位置しており、導電体240aが層253aと接する。同様に、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241bが設けられ、その側面に接して導電体240bの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には層253bが位置しており、導電体240bが層253bと接する。
【0511】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体(絶縁体214、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274など)で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。
【0512】
図39に示すトランジスタ200Eについて、作製方法を
図41乃至
図47を用いて説明する。また、
図41乃至
図47において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Eのチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(C)は、(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200Eのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図39に示すトランジスタ200Eは、酸化物230a及び酸化物230bを形成するまでは、
図28に示すトランジスタ200Dの作製方法と同様である。よって、
図30および
図31に係るトランジスタ200Dの作製方法を参酌することができる。
【0513】
次に、絶縁体224、酸化物230a、および酸化物230bの上に、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を成膜する。ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜の成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0514】
次に、リソグラフィー法によって、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜をエッチングし、ダミーゲート層262Aを形成する(
図41参照。)。ダミーゲート層262Aは、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230と重なるように形成する。
【0515】
次に、ダミーゲート層262Aをマスクとして、酸化物230bにドーパント256を添加する(
図41参照。)。これにより、酸化物230bのダミーゲート層262Aと重畳していない領域に、ドーパント256を含む、層252aおよび層252bが形成される。このように、ダミーゲート層262Aのチャネル長方向の長さによって、層252aと層252bの間の距離、つまりチャネル長を制御することができる。
【0516】
ドーパント256の添加方法については、<トランジスタの作製方法>に示したドーパント257の添加方法の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0517】
また、
図41では、ドーパント256を絶縁体214の上面に略垂直に添加しているが、これに限られず、ドーパント256の添加を絶縁体214の上面に対して傾斜させて行ってもよい。絶縁体214の上面に対して傾斜させてドーパントを添加させることにより、ダミーゲート層262Aと重畳する領域の一部にも層252aおよび層252bを形成することができる場合がある。
【0518】
次に、酸化物230a、酸化物230b、およびダミーゲート層262Aを覆って、絶縁膜254Aを成膜する(
図42参照。)。絶縁膜254Aの成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0519】
次に、ダミーゲート層262Aおよび絶縁膜254Aのダミーゲート層262Aと接する部分をマスクとして、酸化物230bにドーパント257を添加する(
図42参照。)。これにより、酸化物230bの該マスクと重畳していない領域に、ドーパント257を含む、層253aおよび層253bが形成される。このように、絶縁膜254Aの膜厚によって、層252の中で層253が形成されていない部分(
図40に示す領域232aおよび領域232bに相当する。)のチャネル長方向の長さを制御することができる。
【0520】
ドーパント257の添加方法は、上記のドーパント256の添加方法と同様の方法を用いることができる。このとき、ドーパント257が、絶縁膜254Aのダミーゲート層262Aと接していない部分を貫通できるように、十分なエネルギーを与えることが好ましい。また、ドーパント257としては、ドーパント256と同様に、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素などを用いればよい。
【0521】
また、
図42では、ドーパント257を絶縁体214の上面に略垂直に添加しているが、これに限られず、ドーパント257の添加を絶縁体214の上面に対して傾斜させて行ってもよい。絶縁体214の上面に対して傾斜させてドーパントを添加させることにより、絶縁膜254Aのダミーゲート層262Aと接する部分と重畳する領域の一部にも層253aおよび層253bを形成することができる場合がある。
【0522】
また、本実施の形態の作成方法では、ドーパント257は、絶縁膜254Aを介して酸化物230に添加される。当該作成方法とすることで、絶縁膜254Aにもドーパント257が添加される。すなわち、酸化物230、及び絶縁膜254Aの双方がドーパント257に含まれる元素を有する。また、絶縁膜254Aが過剰酸素を有する場合、ドーパント257によって、外部への過剰酸素の拡散を抑制できる場合がある。
【0523】
なお、本実施の形態においては、ドーパント257の添加を絶縁膜254Aの成膜後に行ったが、これに限られるものではない。例えば、後述する絶縁膜244Aの成膜後にドーパント257の添加を行ってもよい。これにより、酸化物230bのダミーゲート層262A、絶縁膜254Aの基板垂直方向に延伸する部分、および絶縁膜244Aの基板垂直方向に延伸する部分と重畳していない領域に、ドーパント257を含む、層253aおよび層253bが形成される。
【0524】
以上のように、層252および層253を形成することにより、後の工程で形成する導電体260を、層252aおよび層253aと、層252bおよび層253bと、の間に自己整合的に配置することができる。
【0525】
次に、絶縁膜254Aの上に絶縁膜244Aを成膜する(
図43参照。)。絶縁膜244Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて成膜することができる。
【0526】
絶縁膜244Aは、水素などの不純物や、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、ALD法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。被覆性に優れたALD法を用いることで、ダミーゲート層262Aなどにより形成された段差部においても、均一な厚さを有する絶縁膜244Aを形成することができる。また、ALD法を用いることで、緻密な薄膜を成膜することができる。このように被覆性に優れ、緻密な薄膜を成膜することが出来るので、例えば、絶縁膜254Aにボイドやピンホールなどの欠陥が生じても、絶縁膜244Aによって覆うことができる。
【0527】
また、絶縁膜244Aとして、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを、成膜してもよい。例えば、絶縁膜244Aとして、アルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリングで、窒化アルミニウム膜を成膜する場合、成膜ガスの全流量に対する窒素ガスの流量を30%以上100%以下、好ましくは40%以上100%以下、より好ましくは50%以上100%以下とすることが好ましい。
【0528】
以上により、絶縁体224に含まれる過剰酸素が外方へ拡散することを防止し、また外方から水や水素のような不純物の絶縁体224への侵入を防止することができる。尚、絶縁膜244Aの成膜は省略することができる場合がある。
【0529】
次に、絶縁膜244A上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。
【0530】
次に、絶縁体280となる絶縁膜、ダミーゲート層262A、絶縁膜254A、および絶縁膜244Aの一部を、ダミーゲート層262Aの一部が露出するまで除去し、絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254Bおよび絶縁体244を形成する(
図44参照。)。絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254Bおよび絶縁体244の形成にはCMP処理を用いることが好ましい。
【0531】
また、上述のようにダミーゲート層262Aを、例えば、導電膜と該導電膜上に樹脂膜を形成する2層構造の膜とすることで、CMP工程において、該導電膜がCMP処理のストッパ膜として機能する場合がある。または、該導電膜がCMP処理の終点検出が可能となる場合があり、ダミーゲート262の高さのばらつきの低減が可能となる場合がある。
図44(B)に示すように、ダミーゲート262の上面と、絶縁体254B、絶縁体244および絶縁体280の上面が略一致する。
【0532】
次に、ダミーゲート262を除去し、開口263を形成する(
図45参照。)。ダミーゲート262の除去は、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはアッシングなどを用いて行うことができる。または、適宜、上記の処理を複数組み合わせて行ってもよい。例えば、アッシング処理の後に、ウェットエッチング処理を行うなどがある。ダミーゲート262を除去することにより、開口263から酸化物230bの表面の一部が露出する。
【0533】
次に、絶縁体254Bのダミーゲート262と接していた部分を、等方性エッチングを用いて、選択的に除去し、絶縁体254を形成する(
図45参照。)。ここで、上面視において、絶縁体254の側面と、絶縁体244の側面は概略一致することが好ましく、これらの側面が、開口263の側壁になる。等方性エッチングとしては、例えば、ウェットエッチングまたは、反応性ガスを用いたエッチングを用いればよい。絶縁体254Bの一部をエッチングする際に、絶縁体244は、エッチングストッパーとして機能することが好ましい。これにより、絶縁体254Bの一部をエッチングしたときに、絶縁体280までエッチングされるのを防ぐことができる。絶縁体254Bの一部を除去することにより、開口263から層252の表面の一部が露出する場合がある。
【0534】
次に、酸化膜230Cの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。該加熱処理については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0535】
次に、開口263に埋め込むように、酸化膜230Cを成膜する。酸化膜230Cの成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0536】
次に、絶縁膜250Aの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。該加熱処理については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0537】
次に、絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aの成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0538】
次に、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを成膜する(
図46参照。)。導電膜260Aaおよび導電膜260Abの成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0539】
次に、CMP処理によって、酸化膜230C、絶縁膜250A、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを絶縁体280が露出するまで研磨することによって、酸化物230c、絶縁体250および導電体260(導電体260aおよび導電体260b)を形成する(
図47参照。)。
【0540】
次に、絶縁体280上に、絶縁体274となる絶縁膜を形成する(
図47参照。)。絶縁体274となる絶縁膜の成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0541】
次に絶縁体274上に、絶縁体281となる絶縁体を成膜してもよい(
図47参照。)。絶縁体281となる絶縁膜の成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0542】
次に、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274および絶縁体281に、層253aおよび層253bに達する開口を形成する。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。
【0543】
次に、絶縁体241となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を異方性エッチングして絶縁体241を形成する。絶縁体241となる絶縁膜を成膜、及び絶縁体241の形成については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0544】
次に、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の成膜については先の記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。
【0545】
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体281を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(
図39参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体281の一部が除去する場合がある。
【0546】
以上により、
図39に示すトランジスタ200Eを作製することができる。
【0547】
<トランジスタの変形例2-3>
図48(A)、
図48(B)、および
図48(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200F、およびトランジスタ200F周辺の上面図および断面図である。画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、トランジスタ200Fを適用することができる。
図48(A)は、トランジスタ200Fの上面図である。また、
図48(B)は、
図48(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Fのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図48(C)は、
図48(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Fのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図48(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、
図49は、
図48(B)における酸化物230bおよびその近傍の拡大図である。
【0548】
図48及び
図49に示すトランジスタ200Fは、層252aの一部、および層252bの一部が導電体260と重畳している点において、
図39に示すトランジスタ200Eと異なる。
図49に示すように、層252aの一部、および層252bの一部は、領域232a及び領域232bに形成されており、導電体260と重畳している。層252の導電体260と重畳する部分を形成することで、酸化物230のチャネル形成領域とソース領域またはドレイン領域との間に、オフセット領域が形成されるのをより確実に防ぎ、実効的なチャネル長が導電体260の幅より大きくなるのを抑制することができる。これにより、トランジスタ200Fのオン電流を大きくし、S値を良好にすることができる。
【0549】
上記の通り、絶縁膜254Aの膜厚によって、層252の中で層253が形成されていない部分(
図49に示す領域232aおよび領域232bに相当する。)のチャネル長方向の長さを制御することができる。よって、層252aの一部、および層252bの一部を導電体260と重畳させる場合、絶縁膜254Aの膜厚を大きくすればよい。例えば、絶縁膜254Aの膜厚を、酸化膜230Cと絶縁膜250Aの膜厚の和より大きくすればよい。
【0550】
以上、本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態など示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0551】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置について、説明する。
【0552】
図50(A)に示す表示装置は、画素部502と、駆動回路部504と、保護回路506と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
【0553】
画素部502や駆動回路部504が有するトランジスタに、本発明の一態様のトランジスタを適用することができる。また保護回路506にも、本発明の一態様のトランジスタを適用してもよい。
【0554】
画素部502は、X行Y列(X、Yはそれぞれ独立に2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動する複数の画素回路501を有する。
【0555】
駆動回路部504は、ゲート線GL_1乃至GL_Xに走査信号を出力するゲートドライバ504a、データ線DL_1乃至DL_Yにデータ信号を供給するソースドライバ504bなどの駆動回路を有する。ゲートドライバ504aは、少なくともシフトレジスタを有する構成とすればよい。またソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
【0556】
端子部507は、外部の回路から表示装置に電源、制御信号、及び画像信号等を入力するための端子が設けられた部分をいう。
【0557】
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図50(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GL、またはソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DL等の各種配線に接続される。
【0558】
また、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bは、それぞれ画素部502と同じ基板上に設けられていてもよいし、ゲートドライバ回路またはソースドライバ回路が別途形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)をCOGやTAB(Tape Automated Bonding)によって基板に実装する構成としてもよい。
【0559】
また、
図50(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、
図50(B)及び
図50(C)に示す構成とすることができる。
【0560】
図50(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL等が接続されている。
【0561】
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
【0562】
また、
図50(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552と、トランジスタ554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL_a、電位供給線VL_b等が接続されている。
【0563】
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。トランジスタ554のゲートに与えられる電位に応じて、発光素子572に流れる電流が制御されることにより、発光素子572からの発光輝度が制御される。
【0564】
図50(C)に示した画素回路501中のトランジスタ554として、nチャネル型のトランジスタを用いる例を、
図51(A)に示す。
図51(A)に示す画素回路501は、トランジスタ552と、トランジスタ554aと、容量素子562と、発光素子572aと、を有する。トランジスタ552はnチャネル型のトランジスタ、トランジスタ554aはnチャネル型のトランジスタである。例えば、トランジスタ552として、先の実施の形態に示したチャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを適用し、トランジスタ554aとしてチャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタを適用できる。
【0565】
また、例えば、トランジスタ552及びトランジスタ554aとして、先の実施の形態に示したチャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを適用できる。このような構成とすることで、トランジスタが画素内で占める面積が小さくなり、極めて高精細な画像を表示することができる。
【0566】
図51(A)に示す画素回路501において、トランジスタ552のソースまたはドレインの一方は、データ線DL_nと電気的に接続される。トランジスタ552のソースまたはドレインの他方は、容量素子562の一方の電極、およびトランジスタ554aのゲートと電気的に接続される。容量素子562の他方の電極は、電位供給線VL_aと電気的に接続される。トランジスタ552のゲートは、走査線GL_mと電気的に接続される。トランジスタ554aのソースまたはドレインの一方は、電位供給線VL_aと電気的に接続される。トランジスタ554aのソースまたはドレインの他方は、発光素子572aの一方の電極と電気的に接続される。発光素子572aの他方の電極は、電位供給線VL_bと電気的に接続される。電位供給線VL_aには低電源電位VSSが与えられ、電位供給線VL_bには高電源電位VDDが与えられる。
【0567】
図51(A)に示す画素回路501と異なる構成を
図51(B)に示す。
図51(B)に示す画素回路501において、トランジスタ552のソースまたはドレインの一方は、データ線DL_nと電気的に接続される。トランジスタ552のソースまたはドレインの他方は、容量素子562の一方の電極、およびトランジスタ554aのゲートと電気的に接続される。トランジスタ552のゲートは、走査線GL_mと電気的に接続される。トランジスタ554aのソースまたはドレインの一方は、電位供給線VL_aと電気的に接続される。トランジスタ554aのソースまたはドレインの他方は、容量素子562の他方の電極、および発光素子572aの一方の電極と電気的に接続される。発光素子572aの他方の電極は、電位供給線VL_bと電気的に接続される。電位供給線VL_aには高電源電位VDDが与えられ、電位供給線VL_bには低電源電位VSSが与えられる。
【0568】
図50(C)に示した画素回路501中のトランジスタ554として、pチャネル型のトランジスタを用いる例を、
図51(C)に示す。
図51(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552と、トランジスタ554bと、容量素子562と、発光素子572aと、を有する。トランジスタ552はnチャネル型のトランジスタ、トランジスタ554bはpチャネル型のトランジスタである。例えば、トランジスタ552として、先の実施の形態に示したチャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを適用し、トランジスタ554bとして、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタを適用できる。
【0569】
図51(C)に示す画素回路501において、トランジスタ552のソースまたはドレインの一方は、データ線DL_nと電気的に接続される。トランジスタ552のソースまたはドレインの他方は、容量素子562の一方の電極、およびトランジスタ554bのゲートと電気的に接続される。容量素子562の他方の電極は、電位供給線VL_aと電気的に接続される。トランジスタ552のゲートは、走査線GL_mと電気的に接続される。トランジスタ554bのソースまたはドレインの一方は、電位供給線VL_aと電気的に接続される。トランジスタ554aのソースまたはドレインの他方は、発光素子572aの一方の電極と電気的に接続される。発光素子572aの他方の電極は、電位供給線VL_bと電気的に接続される。電位供給線VL_aには高電源電位VDDが与えられ、電位供給線VL_bには低電源電位VSSが与えられる。
【0570】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0571】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0572】
(実施の形態5)
画素に表示される階調を補正するためのメモリを備える画素回路と、これを有する表示装置について説明する。先の実施の形態で例示したトランジスタは、以下で例示する画素回路に用いられるトランジスタに適用することができる。
【0573】
<回路構成>
図52(A)に、画素回路400の回路図を示す。画素回路400は、トランジスタM1、トランジスタM2、容量C1、及び回路401を有する。また画素回路400には、配線S1、配線S2、配線G1、及び配線G2が接続される。
【0574】
トランジスタM1は、ゲートが配線G1と、ソース及びドレインの一方が配線S1と、他方が容量C1の一方の電極と、それぞれ接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線G2と、ソース及びドレインの一方が配線S2と、他方が容量C1の他方の電極、及び回路401と、それぞれ接続する。
【0575】
回路401は、少なくとも一の表示素子を含む回路である。表示素子としては様々な素子を用いることができるが、代表的には有機発光素子やLED素子などの発光素子、液晶素子、またはMEMS素子等を適用することができる。
【0576】
トランジスタM1と容量C1とを接続するノードをN1、トランジスタM2と回路401とを接続するノードをN2とする。
【0577】
画素回路400は、トランジスタM1をオフ状態とすることで、ノードN1の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とすることで、ノードN2の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とした状態で、トランジスタM1を介してノードN1に所定の電位を書き込むことで、容量C1を介した容量結合により、ノードN1の電位の変位に応じてノードN2の電位を変化させることができる。
【0578】
ここで、トランジスタM1、トランジスタM2のうちの一方または両方に、前述の実施の形態で例示した、酸化物半導体が適用されたトランジスタを適用することができる。そのため極めて低いオフ電流により、ノードN1及びノードN2の電位を長期間に亘って保持することができる。なお、各ノードの電位を保持する期間が短い場合(具体的には、フレーム周波数が30Hz以上である場合等)には、シリコン等の半導体を適用したトランジスタを用いてもよい。
【0579】
<駆動方法例>
続いて、
図52(B)を用いて、画素回路400の動作方法の一例を説明する。
図52(B)は、画素回路400の動作に係るタイミングチャートである。なおここでは説明を容易にするため、配線抵抗などの各種抵抗や、トランジスタや配線などの寄生容量、及びトランジスタのしきい値電圧などの影響は考慮しない。
【0580】
図52(B)に示す動作では、1フレーム期間を期間T1と期間T2とに分ける。期間T1はノードN2に電位を書き込む期間であり、期間T2はノードN1に電位を書き込む期間である。
【0581】
〔期間T1〕
期間T1では、配線G1と配線G2の両方に、トランジスタをオン状態にする電位を与える。また、配線S1には固定電位である電位Vrefを供給し、配線S2には第1データ電位Vwを供給する。
【0582】
ノードN1には、トランジスタM1を介して配線S1から電位Vrefが与えられる。また、ノードN2には、トランジスタM2を介して第1データ電位Vwが与えられる。したがって、容量C1には電位差Vw-Vrefが保持された状態となる。
【0583】
〔期間T2〕
続いて期間T2では、配線G1にはトランジスタM1をオン状態とする電位を与え、配線G2にはトランジスタM2をオフ状態とする電位を与える。また、配線S1には第2データ電位Vdataを供給する。配線S2には所定の定電位を与える、またはフローティングとしてもよい。
【0584】
ノードN1には、トランジスタM1を介して第2データ電位V
dataが与えられる。このとき、容量C1による容量結合により、第2データ電位V
dataに応じてノードN2の電位が電位dVだけ変化する。すなわち、回路401には、第1データ電位V
wと電位dVを足した電位が入力されることとなる。なお、
図52(B)ではdVが正の値であるように示しているが、負の値であってもよい。すなわち、電位V
dataが電位V
refより低くてもよい。
【0585】
ここで、電位dVは、容量C1の容量値と、回路401の容量値によって概ね決定される。容量C1の容量値が回路401の容量値よりも十分に大きい場合、電位dVは第2データ電位Vdataに近い電位となる。
【0586】
このように、画素回路400は、2種類のデータ信号を組み合わせて表示素子を含む回路401に供給する電位を生成することができるため、画素回路400内で階調の補正を行うことが可能となる。
【0587】
また画素回路400は、配線S1及び配線S2に供給可能な最大電位を超える電位を生成することも可能となる。例えば発光素子を用いた場合では、ハイダイナミックレンジ(HDR)表示等を行うことができる。また、液晶素子を用いた場合では、オーバードライブ駆動等を実現できる。
【0588】
<適用例>
〔液晶素子を用いた例〕
図52(C)に示す画素回路400LCは、回路401LCを有する。回路401LCは、液晶素子LCと、容量C2とを有する。
【0589】
液晶素子LCは、一方の電極がノードN2及び容量C2の一方の電極と、他方の電極が電位Vcom2が与えられる配線と接続する。容量C2は、他方の電極が電位Vcom1が与えられる配線と接続する。
【0590】
容量C2は保持容量として機能する。なお、容量C2は不要であれば省略することができる。
【0591】
画素回路400LCは、液晶素子LCに高い電圧を供給することができるため、例えばオーバードライブ駆動により高速な表示を実現すること、駆動電圧の高い液晶材料を適用することなどができる。また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、使用温度や液晶素子LCの劣化状態等に応じて階調を補正することもできる。
【0592】
〔発光素子を用いた例〕
図52(D)に示す画素回路400ELは、回路401ELを有する。回路401ELは、発光素子EL、トランジスタM3、及び容量C2を有する。
【0593】
トランジスタM3は、ゲートがノードN2及び容量C2の一方の電極と、ソース及びドレインの一方が電位VHが与えられる配線と、他方が発光素子ELの一方の電極と、それぞれ接続される。容量C2は、他方の電極が電位Vcomが与えられる配線と接続する。発光素子ELは、他方の電極が電位VLが与えられる配線と接続する。
【0594】
トランジスタM3は、発光素子ELに供給する電流を制御する機能を有する。容量C2は保持容量として機能する。容量C2は不要であれば省略することができる。
【0595】
なお、ここでは発光素子ELのアノード側がトランジスタM3と接続する構成を示しているが、カソード側にトランジスタM3を接続してもよい。そのとき、電位VHと電位VLの値を適宜変更することができる。
【0596】
画素回路400ELは、トランジスタM3のゲートに高い電位を与えることで、発光素子ELに大きな電流を流すことができるため、例えばHDR表示などを実現することができる。また、また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、トランジスタM3や発光素子ELの電気特性のばらつきの補正を行うこともできる。
【0597】
なお、
図52(C)及び
図52(D)で例示した回路に限られず、別途トランジスタや容量などを追加した構成としてもよい。
【0598】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0599】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置に用いることができる発光素子について説明する。
【0600】
≪発光素子の基本的な構造≫
図53(A)には、一対の電極間にEL層を挟んでなる発光素子を示す。具体的には、第1の電極1101と第2の電極1102との間に発光層を含むEL層1103が挟まれた構造を有する。
【0601】
図53(B)には、一対の電極間に複数(
図53(B)では、2層)のEL層(1103a、1103b)を有し、EL層の間に電荷発生層1104を挟んでなる積層構造(タンデム構造)の発光素子を示す。このようなタンデム構造の発光素子は、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
【0602】
なお、電荷発生層1104は、第1の電極1101と第2の電極1102に電圧を印加したときに、一方のEL層(1103aまたは1103b)に電子を注入し、他方のEL層(1103bまたは1103a)に正孔を注入する機能を有する。従って、
図53(B)において、第1の電極1101に第2の電極1102よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層1104からEL層1103aに電子が注入され、EL層1103bに正孔が注入される。
【0603】
電荷発生層1104は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層1104に対する可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層1104は、第1の電極1101や第2の電極1102よりも低い導電率であっても機能する。
【0604】
図53(C)には、EL層1103の積層構造について示す。
図53(C)において、第1の電極1101が陽極として機能する場合、EL層1103は、第1の電極1101上に、正孔(ホール)注入層1111、正孔(ホール)輸送層1112、発光層1113、電子輸送層1114、電子注入層1115が順次積層された構造を有する。
図53(B)に示すタンデム構造のように複数のEL層を有する場合も、各EL層が、陽極側から上記のように順次積層される構造とする。なお、第1の電極1101が陰極で、第2の電極1102が陽極の場合は、積層順は逆になる。
【0605】
EL層(1103、1103a、1103b)に含まれる発光層1113は、それぞれ発光物質や複数の物質を適宜組み合わせて有しており、所望の発光色を呈する蛍光発光や燐光発光が得られる構成とすることができる。また、発光層1113を発光色の異なる積層構造としてもよい。なお、この場合、積層された各発光層に用いる発光物質やその他の物質は、それぞれ異なる材料を用いればよい。また、
図53(B)に示す複数のEL層(1103a、1103b)から、それぞれ異なる発光色が得られる構成としてもよい。この場合も各発光層に用いる発光物質やその他の物質を異なる材料とすればよい。
【0606】
また、発光素子において、EL層(1103、1103a、1103b)で得られた発光を両電極間で共振させることにより、得られる発光を強める構成としてもよい。例えば、
図53(C)において、第1の電極1101を反射電極とし、第2の電極1102を半透過・半反射電極とすることにより微小光共振器(マイクロキャビティ)構造を形成し、EL層1103から得られる発光を強めることができる。
【0607】
なお、発光素子の第1の電極1101が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。具体的には、発光層1113から得られる光の波長λに対して、第1の電極1101と、第2の電極1102との電極間距離がmλ/2(ただし、mは自然数)近傍となるように調整するのが好ましい。
【0608】
また、発光層1113から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、第1の電極1101から発光層1113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、第2の電極1102から発光層1113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は自然数)近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層1113における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
【0609】
このような光学調整を行うことにより、発光層1113から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度の良い発光を得ることができる。
【0610】
但し、上記の場合、第1の電極1101と第2の電極1102との光学距離は、厳密には第1の電極1101における反射領域から第2の電極1102における反射領域までの総厚ということができる。しかし、第1の電極1101や第2の電極1102における反射領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極1101と第2の電極1102の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、第1の電極1101と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には第1の電極1101における反射領域と、所望の光が得られる発光層における発光領域との光学距離であるということができる。しかし、第1の電極1101における反射領域や、所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極1101の任意の位置を反射領域、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
【0611】
図53(C)に示す発光素子が、マイクロキャビティ構造を有する場合、EL層が共通であっても異なる波長の光(単色光)を取り出すことができる。従って、異なる発光色を得るための塗り分け(例えば、RGB)が不要となり、高精細化が可能となる。また、着色層(カラーフィルタ)との組み合わせも可能である。また、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能なため、低消費電力化を図ることができる。
【0612】
なお、第1の電極1101と第2の電極1102の少なくとも一方は、透光性を有する電極(透明電極、半透過・半反射電極など)とする。透光性を有する電極が透明電極の場合、透明電極の可視光の透過率は、40%以上とする。また、半透過・半反射電極の場合、半透過・半反射電極の可視光の反射率は、20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とする。また、これらの電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
【0613】
また、第1の電極1101と第2の電極1102の一方が、反射性を有する電極(反射電極)である場合、反射性を有する電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、この電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
【0614】
≪発光素子の具体的な構造および作製方法≫
次に、発光素子の具体的な構造および作製方法について説明する。なお、
図53(A)乃至
図53(D)において、符号が共通である場合は説明も共通とする。
【0615】
<第1の電極および第2の電極>
第1の電極1101および第2の電極1102を形成する材料としては、上述した素子構造における両電極の機能が満たせるのであれば、以下に示す材料を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを適宜用いることができる。
【0616】
図53に示す発光素子において、
図53(C)のように積層構造を有するEL層1103を有し、第1の電極1101が陽極である場合、第1の電極1101上にEL層1103の正孔注入層1111、正孔輸送層1112が真空蒸着法により順次積層形成される。また、
図53(D)のように、積層構造を有する複数のEL層(1103a、1103b)が電荷発生層1104を挟んで積層され、第1の電極1101が陽極である場合、第1の電極1101上にEL層1103aの正孔注入層1111a、正孔輸送層1112aが真空蒸着法により順次積層形成されるだけでなく、EL層1103a、電荷発生層1104が順次積層形成された後、電荷発生層1104上にEL層1103bの正孔注入層1111b、正孔輸送層1112bが同様に順次積層形成される。
【0617】
<正孔注入層および正孔輸送層>
正孔注入層(1111、1111a、1111b)は、陽極である第1の電極1101や電荷発生層(1104)からEL層(1103、1103a、1103b)に正孔(ホール)を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。
【0618】
正孔注入性の高い材料としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物等の遷移金属酸化物が挙げられる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、等を用いることができる。また、低分子化合物である、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)等の芳香族アミン化合物、等を用いることができる。また、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)である、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等を用いることができる。または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)等の酸を添加した高分子系化合物、等を用いることもできる。
【0619】
また、正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料を用いることもできる。この場合、アクセプター性材料により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔注入層(1111、1111a、1111b)で正孔が発生し、正孔輸送層(1112、1112a、1112b)を介して発光層(1113、1113a、1113b)に正孔が注入される。なお、正孔注入層(1111、1111a、1111b)は、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料からなる単層で形成しても良いが、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とをそれぞれ別の層で積層して形成してもよい。
【0620】
正孔輸送層(1112、1112a、1112b)は、正孔注入層(1111、1111a、1111b)によって、第1の電極1101や電荷発生層1104から注入された正孔を発光層(1113、1113a、1113b)に輸送する層である。なお、正孔輸送層(1112、1112a、1112b)は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送層(1112、1112a、1112b)に用いる正孔輸送性材料は、特に正孔注入層(1111、1111a、1111b)のHOMO準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有するものを用いることが好ましい。
【0621】
正孔注入層(1111、1111a、1111b)に用いるアクセプター性材料としては、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム等が挙げられる。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。その他、キノジメタン誘導体やクロラニル誘導体などの有機アクセプターを用いることができる。特に、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)のように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基やシアノ基)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましい。
【0622】
正孔注入層(1111、1111a、1111b)および正孔輸送層(1112、1112a、1112b)に用いる正孔輸送性材料としては、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
【0623】
正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール骨格を有する化合物やフラン骨格を有する化合物)や芳香族アミン骨格を有する化合物等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。さらに、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)などの高分子化合物を用いることもできる。
【0624】
但し、正孔輸送性材料は、上記に限られることなく公知の様々な材料を1種または複数種組み合わせて正孔輸送性材料として正孔注入層(1111、1111a、1111b)および正孔輸送層(1112、1112a、1112b)に用いることができる。なお、正孔輸送層(1112、1112a、1112b)は、各々複数の層から形成されていてもよい。すなわち、例えば第1の正孔輸送層と第2の正孔輸送層とが積層されていてもよい。
【0625】
図53(D)に示す発光素子において、EL層1103aの正孔輸送層1112a上に発光層1113aが真空蒸着法により形成される。また、EL層1103aおよび電荷発生層1104が形成された後、EL層1103bの正孔輸送層1112b上に発光層1113bが真空蒸着法により形成される。
【0626】
<発光層>
発光層(1113、1113a、1113b)は、発光物質を含む層である。なお、発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、複数の発光層(1113a、1113b)に異なる発光物質を用いることにより異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にある発光色を組み合わせて得られる白色発光)とすることができる。さらに、一つの発光層が異なる発光物質を有する積層構造であってもよい。
【0627】
また、発光層(1113、1113a、1113b)は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)を有していてもよい。
【0628】
発光層(1113、1113a、1113b)に用いることができる発光物質としては、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質、または三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質を用いることができる。なお、上記発光物質としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0629】
一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)が挙げられ、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。
【0630】
また、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、燐光を発する物質(燐光材料)や熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。
【0631】
燐光材料としては、有機金属錯体、金属錯体(白金錯体)、希土類金属錯体等が挙げられる。これらは、物質ごとに異なる発光色(発光ピーク)を示すため、必要に応じて適宜選択して用いる。
【0632】
青色または緑色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が450nm以上570nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)3])のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)3])のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)3])のようなイミダゾール骨格を有する有機金属錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)のように電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体等が挙げられる。
【0633】
緑色または黄色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)3])のようなピリミジン骨格を有する有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])のようなピリジン骨格を有する有機金属錯体、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)2(acac)])などの有機金属錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0634】
黄色または赤色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が570nm以上750nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dibm)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)3])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)2(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属錯体、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:[PtOEP])のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0635】
発光層(1113、1113a、1113b)に用いる有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)としては、発光物質(ゲスト材料)のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。なお、上述した正孔輸送性材料として挙げたものや、後述する電子輸送性材料として挙げられる材料をこのような有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)として用いることもできる。
【0636】
発光物質が蛍光材料である場合、ホスト材料としては一重項励起状態のエネルギー準位が大きく、三重項励起状態のエネルギー準位が小さい有機化合物を用いるのが好ましい。例えば、アントラセン誘導体やテトラセン誘導体なども好適である。
【0637】
発光物質が燐光材料である場合、ホスト材料としては発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい有機化合物を選択すれば良い。例えば、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物なども好適である。
【0638】
また、発光層(1113、1113a、1113b)に複数の有機化合物を用いる場合、励起錯体を形成する化合物を燐光発光物質と混合して用いることが好ましい。なお、このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を得ることができる。この場合、様々な有機化合物を適宜組み合わせて用いることができるが、効率よく励起錯体を形成するためには、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。
【0639】
TADF材料とは、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起準位と一重項励起準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。また、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様のスペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、10-6秒以上、好ましくは10-3秒以上である。
【0640】
TADF材料としては、例えば、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。その他のTADF材料としては、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(PIC-TRZ)等のπ電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物を用いることができる。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
【0641】
なお、TADF材料を用いる場合、他の有機化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0642】
上記の材料を適宜用いることにより、発光層(1113、1113a、1113b)を形成することができる。また、上記の材料は、低分子材料や高分子材料と組み合わせることにより発光層(1113、1113a、1113b)の形成に用いることができる。
【0643】
図53(D)に示す発光素子においては、EL層1103aの発光層1113a上に電子輸送層1114aが形成される。また、EL層1103aおよび電荷発生層1104が形成された後、EL層1103bの発光層1113b上に電子輸送層1114bが形成される。
【0644】
<電子輸送層>
電子輸送層(1114、1114a、1114b)は、電子注入層(1115、1115a、1115b)によって、第2の電極1102から注入された電子を発光層(1113、1113a、1113b)に輸送する層である。なお、電子輸送層(1114、1114a、1114b)は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送層(1114、1114a、1114b)に用いる電子輸送性材料は、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
【0645】
電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。また、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)のような高分子化合物を用いることもできる。
【0646】
また、電子輸送層(1114、1114a、1114b)は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層した構造であってもよい。
【0647】
次に、
図53(D)に示す発光素子において、EL層1103aの電子輸送層1114a上に電子注入層1115aが真空蒸着法により形成される。その後、EL層1103aおよび電荷発生層1104が形成され、EL層1103bの電子輸送層1114bまで形成された後、上に電子注入層1115bが真空蒸着法により形成される。
【0648】
<電子注入層>
電子注入層(1115、1115a、1115b)は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層(1115、1115a、1115b)には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層(1115、1115a、1115b)にエレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、上述した電子輸送層(1114、1114a、1114b)を構成する物質を用いることもできる。
【0649】
また、電子注入層(1115、1115a、1115b)に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層(1114、1114a、1114b)に用いる電子輸送性材料(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0650】
なお、
図53(D)に示す発光素子において、発光層1113bから得られる光を増幅させる場合には、第2の電極1102と、発光層1113bとの光学距離が、発光層1113bが呈する光の波長λの1/4未満となるように形成するのが好ましい。この場合、電子輸送層1114bまたは電子注入層1115bの膜厚を変えることにより、調整することができる。
【0651】
<電荷発生層>
図53(D)に示す発光素子において、電荷発生層1104は、第1の電極(陽極)1101と第2の電極(陰極)1102との間に電圧を印加したときに、EL層1103aに電子を注入し、EL層1103bに正孔を注入する機能を有する。なお、電荷発生層1104は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていてもよい。なお、上述した材料を用いて電荷発生層1104を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0652】
電子受容体としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。
【0653】
電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第2、第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
【0654】
なお、本実施の形態で示す発光素子の作製には、蒸着法などの真空プロセスや、スピンコート法やインクジェット法などの溶液プロセスを用いることができる。
【0655】
なお、本実施の形態で示す発光素子のEL層(1103、1103a、1103b)を構成する各機能層(正孔注入層(1111、1111a、1111b)、正孔輸送層(1112、1112a、1112b)、発光層(1113、1113a、1113b)、電子輸送層(1114、1114a、1114b)、電子注入層(1115、1115a、1115b))や電荷発生層1104は、上述した材料に限られることはなく、それ以外の材料であっても各層の機能を満たせるものであれば組み合わせて用いることができる。一例としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)、中分子化合物(低分子と高分子の中間領域の化合物:分子量400~4000)、無機化合物(量子ドット材料等)等を用いることができる。また、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。
【0656】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
【0657】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置を備える電子機器について説明する。
【0658】
図54(A)は、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
【0659】
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
【0660】
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ8006と筐体8001が一体となっていてもよい。
【0661】
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部8002はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像することも可能である。
【0662】
カメラ8000の筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
【0663】
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
【0664】
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントを有しており、ファインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該マウントには電極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
【0665】
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部8102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
【0666】
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0667】
なお、
図54(A)では、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子機器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8000の筐体8001に、表示装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
【0668】
図54(B)は、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
【0669】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリ8206が内蔵されている。
【0670】
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動きを捉え、その情報をもとに使用者の視線の座標を算出することにより、使用者の視線を入力手段として用いることができる。
【0671】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使用者の視線を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知することにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させてもよい。
【0672】
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0673】
図54(C)、
図54(D)及び
図54(E)は、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
【0674】
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると好適である。表示部8302を湾曲して配置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。なお、本実施の形態においては、表示部8302を1つ設ける構成について例示したが、これに限定されず、例えば、表示部8302を2つ設ける構成としてもよい。この場合、使用者の片方の目に1つの表示部が配置されるような構成とすると、視差を用いた3次元表示等を行うことも可能となる。
【0675】
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、極めて精細度が高いため、
図54(E)のようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より臨場感の高い映像を表示することができる。
【0676】
【0677】
図55(A)乃至
図55(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0678】
図55(A)乃至
図55(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、
図55(A)乃至
図55(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、
図55(A)乃至
図55(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0679】
図55(A)乃至
図55(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0680】
図55(A)は、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、大画面、例えば、50インチ以上、又は100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
【0681】
図55(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコン又は単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。又は、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
【0682】
図55(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0683】
図55(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0684】
図55(E)、
図55(F)及び
図55(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図55(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、
図55(F)が携帯情報端末9201を展開した状態又は折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、
図55(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0685】
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有する。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。
【0686】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0687】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0688】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置を備える電子機器について説明する。
【0689】
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を備えるものである。従って、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
【0690】
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、又はそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。また、表示部の画面サイズとしては、対角20インチ以上、対角30インチ以上、対角50インチ以上、対角60インチ以上、又は対角70インチ以上とすることもできる。
【0691】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0692】
本発明の一態様の電子機器又は照明装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
【0693】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0694】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0695】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。
【0696】
図56(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7500が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0697】
表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0698】
図56(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。又は、表示部7500にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7500に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キー又はタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7500に表示される映像を操作することができる。
【0699】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0700】
図56(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7500が組み込まれている。
【0701】
表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0702】
図56(C)及び
図56(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
【0703】
図56(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7500、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0704】
また、
図56(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7500を有する。
【0705】
図56(C)及び
図56(D)において、表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0706】
表示部7500が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7500が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0707】
表示部7500にタッチパネルを適用することで、表示部7500に画像又は動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0708】
また、
図56(C)及び
図56(D)に示すように、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311又は情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7500に表示される広告の情報を、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311又は情報端末機7411を操作することで、表示部7500の表示を切り替えることができる。
【0709】
また、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0710】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0711】
214、216、222、224、244、254、280、274、281:絶縁体、301a、301b、305a、305b、311、313、315、317:導電体、321:下部電極、323:絶縁体、325:上部電極、331、333、335、337、341、343、347、351、353、355、357:導電体、361、363:絶縁体、421、441:トランジスタ、700、700A:表示装置、701、705:基板、702:画素部、704:ソースドライバ回路部、708:FPC端子部、711:引き回し配線部、712:シール材、716:FPC、730:絶縁膜、732:封止膜、734:絶縁膜、736:着色膜、750、750A、752、752A、754、754A:トランジスタ、760:接続電極、772:導電層、775:液晶素子、778:構造体、780:異方性導電膜、782:発光素子、786:EL層、788:導電膜、790:容量素子