(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】生物学的液体サンプルを採取するデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20240704BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20240704BHJP
G01N 33/493 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N33/52 B
G01N33/493 B
(21)【出願番号】P 2022516401
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2020075812
(87)【国際公開番号】W WO2021052984
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-09-08
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】522099124
【氏名又は名称】イキ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン,ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,モルガーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブイスー,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ファブロ,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】カルヴ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】リュンビエール,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】コショワ,シリル
(72)【発明者】
【氏名】コー,ジャン-クリストフ
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-535576(JP,A)
【文献】特開平11-248700(JP,A)
【文献】特開平10-197526(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0022639(US,A1)
【文献】米国特許第06566051(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/10
G01N 33/52
G01N 33/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的液体サンプルを収集するデバイス(12、112、212、312)であって、前記生物学的液体サンプルは、前記生物学的液体を分析する可搬読取り器(14、314)に挿入できることを意図し、前記デバイス(12、112、212、312)は、
-長手方向軸(L)に沿って延在し、色が変化する複数の反応要素(32、132、232、332)を上面上に備える透明又は半透明条片(30、130、230、330)であって、前記反応要素(32、132、232、332)は、前記長手方向軸(L)に沿って順に配置する、条片(30、130、230、330)と、
-前記長手方向軸(L)に沿って延在する吸収組立体(28、128、228、328)であって、
生物学的液体蓄積部分(37、137、237、337)、
前記複数の反応要素(32、132、232、332)の上部にわたり配置する、生物学的液体拡散帯(38、138、238、338)
を備える吸収組立体(28、128、228、328)と、
-2つの横端部の間で前記長手方向軸(L)に沿って延在する筐体(16、116、216、316)と
を備え、前記筐体(16、116、216)は、
筐体底部(24、124、224、324)であって、前記条片(30、130、230、330)は、前記筐体底部(24、124、224、324)内に配置し、前記条片(30、130、230、330)の下面は、前記筐体底部(24、124、224、324)に面して配置し、各前記反応要素(32、132、232、332)は、前記条片(30、130、230、330)の透明性によって、前記筐体底部(24、124、224、324)の開口(52、152、252、352)に面して配置される、筐体底部(24、124、224、324)と、
前記拡散帯(38、138、238)の上部にわたり配置する上側カバー(26、126、226、326)であって、前記複数の反応要素(32、132、232、332)と接触する状態で前記拡散帯(38、138、238、338)を押圧するように構成した第1の押圧面を形成する少なくとも1つの突出パターン(60、172、288)を備える上側カバー(26、126、226、326)と、
前記生物学的液体蓄積部分(37、137、237、337)へのアクセスをもたらすように構成したアクセス開口(56、156、256、356)と
を備える、デバイス(12、112、212、312)。
【請求項2】
前記生物学的液体蓄積部分(37、137、237、337)は、前記アクセス開口(56、156、256、356)を通じて配置することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(12、112、212、312)。
【請求項3】
前記吸収組立体(228)は、単一吸取紙であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス(212、312)。
【請求項4】
-前記生物学的液体蓄積部分(37、137)は、前記拡散帯(38、138)とは別個の吸収貯蔵帯(36、136)を備え、
-前記筐体(16、216)は、第2の押圧面(64、131)を備え、前記第2の押圧面(64、131)は、前記拡散帯(38、138)の接触パッド(42、142)と接触する状態で前記吸収貯蔵帯(36、136)の少なくとも1つの接触部分(40、140)を押圧するように構成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス(12、112)。
【請求項5】
-前記吸収貯蔵帯(136)及び前記拡散帯(138)は、全体的に、順に長手方向に配置し、前記貯蔵帯(136)は、前記長手方向軸(L)に沿って並進移動可能であるように構成し、
-前記接触部分(140)は、前記吸収貯蔵帯(136)の端部に配置し、前記接触部分(140)は、前記長手方向軸(L)に沿って前記吸収貯蔵帯(136)を押すことによって前記第2の押圧面(131)に衝突させ、前記拡散帯(138)の前記接触パッド(142)と接触するように構成することを特徴とする、請求項4に記載のデバイス(112)。
【請求項6】
前記拡散帯(38、138)及び前記吸収貯蔵帯(36、136)はそれぞれ、拡散吸取紙、及び前記拡散吸取紙とは別個の貯蔵吸取紙を備え、前記貯蔵吸取紙は、前記拡散吸取紙の液体吸収機能よりも大きい液体吸収機能を備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載のデバイス(12、112)。
【請求項7】
前記拡散帯(38、138、238)は、前記長手方向軸(L)に沿って連続的に配置した複数の組付けパッド(44、144)を備え、各前記反応要素(32、132、232)は、単一組付けパッド(44、144)の下に配置し、前記拡散帯(38、138、238)は、前記組付けパッド(44、144)のそれぞれの間に材料凹部を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス(12、112、212)。
【請求項8】
前記アクセス開口(156、256)は、前記筐体(116、216)の横端部(220)の一方の上に配置することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(112、212)。
【請求項9】
前記筐体(216)は、前記筐体(216)の内側に2つの対向する長手方向壁を備え、前記長手方向壁は、前記吸収組立体(228)の取外し可能支持体(276)と協働する案内路(278)を形成し、前記取外し可能支持体(276)は、前記アクセス開口(256)を通じて前記筐体(224)に挿入するように構成することを特徴とする、請求項8に記載のデバイス(212)。
【請求項10】
前記アクセス開口(56)は、前記筐体の前記カバー(26)上、又は前記筐体底部(24)上に配置することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的液体サンプルを収集するデバイスに関する。本発明は、特に、尿マーカー値を分析する目的で尿サンプルを収集するカートリッジに適用される。
【背景技術】
【0002】
医療従事者の間で、尿又は他には唾液等の生物学的液体サンプルを分析できることは一般的である。生物学的液体との接触により色が変化し得るいくつかの反応要素を備える条片を使用することは、公知である。条片を生物学的液体中に浸漬した後、反応要素は色を変化させることができる。色を読み取り、解釈する第1の公知の様式は、肉眼で色の変化を検出し、生物学的液体中の化合物濃度に対応する色の表に従って、この変化を解釈することである。別の様式は、医療従事者がかさばる高額な装置を使用して、反応要素を備える条片の分析を可能にすることである。
【0003】
この問題を克服する試みは、既に行われており、これは、一般の人が、自分で、例えば尿を含む容器内に反応要素を備える条片を浸漬し、自分で、試薬の色の変化を肉眼で分析し、条片に備えられた使用説明書に従って色を解釈するという提案によるものである。
【0004】
この家庭での解決策は、ユーザに常に確実に通知するものではなく、ユーザは、使用説明書に対する色の変化の区別が困難である場合があり、ユーザは、生物学的液体中に条片を浸漬する時間を必ずしも習得しているわけではなく、ユーザは、浸漬終了から試薬の色の解釈までの間の待ち時間も常に習得しているわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、こうした欠点を完全に革新的な手法で克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的で、第1の態様によれば、本発明は、生物学的液体サンプルを収集するデバイスに関し、デバイスは、生物学的液体を分析する可搬読取り器に挿入できることを意図し、デバイスは、長手方向軸に沿って延在し、色が変化する複数の反応要素をその上面に備える透明又は半透明条片であって、反応要素は、長手方向軸に沿って順に配置される、条片と、長手方向軸に沿って延在し、生物学的液体蓄積部分を備える吸収組立体と、複数の反応要素の上部にわたり配置される生物学的液体拡散帯と、2つの横端部の間で長手方向軸に沿って延在する筐体とを備え、筐体は、筐体底部であって、条片は、筐体底部内に配置され、条片の下面は、筐体底部に面して配置され、各反応要素は、条片を通じた透明性によって筐体底部の開口に面して配置される、筐体底部と、拡散帯の上部にわたり配置される上側カバーであって、複数の反応要素と接触させて拡散帯を押圧するように構成した第1の押圧面を形成する少なくとも1つの突出パターンを備える上側カバーと、生物学的液体蓄積部分へのアクセスをもたらすように構成したアクセス開口とを備える。
【0007】
本発明は、以下で明らかにする実施形態及び変形形態により実施され、こうした実施形態及び変形形態は、個々に、又はあらゆる技術的に動作可能な組合せに従って実施されると考慮されたい。
【0008】
有利には、生物学的液体蓄積部分は、アクセス開口を通じて配置することができる。吸収組立体は、単一吸取紙とし得る。
【0009】
有利には、生物学的液体蓄積部分は、拡散帯とは別個の吸収貯蔵帯を備えることができ、筐体は、拡散帯の接触パッドと接触する状態で吸収貯蔵帯の少なくとも1つの接触部分を押圧するように構成した第2の押圧面を備えることができるる。
【0010】
有利には、吸収貯蔵帯及び拡散帯は、全体的に、長手方向に順に配置され、貯蔵帯は、長手方向軸に沿って並進移動可能であるように構成することができ、接触部分は、吸収貯蔵帯の端部に配置することができ、接触部分は、長手方向軸に沿って吸収貯蔵帯を押し込むことによって、第2の押圧面に衝突させ、拡散帯の接触パッドと接触するように構成することができる。
【0011】
有利には、拡散帯及び吸収貯蔵帯はそれぞれ、拡散吸取紙、及び拡散吸取紙とは別個の貯蔵吸取紙を備えることができ、貯蔵吸取紙は、拡散吸取紙の液体吸収機能よりも大きい液体吸収機能を備える。
【0012】
有利には、拡散帯は、長手方向軸に沿って連続的に配置した複数の組付けパッドを備えることができ、各反応要素は、単一組付けパッドの下に配置され、拡散帯は、組付けパッドのそれぞれの間に材料凹部を備えることができる。
【0013】
有利には、アクセス開口は、筐体の横端部の1つの上に配置することができる。筐体は、筐体の内側に、吸収組立体の取外し可能支持体と協働する案内路を形成する、2つの対向する長手方向壁を備えることができ、取外し可能支持体は、アクセス開口を通じて筐体に挿入するように構成される。
【0014】
代替的に、アクセス開口は、筐体のカバー上、又は筐体底部上に配置することができる。
【0015】
本発明の他の利点、目的及び特徴は、説明の目的で、限定せずに、図面を参照しながら行う以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】生物学的液体サンプル分析システムの斜視概略図であり、システムは、本発明の第1の実施形態による生物学的液体サンプル収集デバイスと、デバイスによって収集した生物学的液体サンプルを分析する読取り器とを備える。
【
図2】本発明の第1の実施形態による、生物学的液体サンプル収集デバイスの斜視分解概略上面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、生物学的液体サンプル収集デバイスの斜視分解概略底面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による、生物学的液体蓄積部分の第1の配置に従った生物学的液体サンプル収集デバイスの斜視概略上面図である。
【
図6】
図4のデバイスの斜視分解概略底面図である。
【
図7】
図4のデバイスを透明にした、斜視概略上面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態による、生物学的液体蓄積部分の第2の配置に従った生物学的液体サンプル収集デバイスの斜視概略上面図である。
【
図10】
図9のデバイスを透明にした斜視概略上面図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態による、生物学的液体サンプル収集デバイスの斜視概略上面図である。
【
図13】
図12の収集デバイスの斜視概略上面図であり、生物学的液体蓄積部分は、デバイスの筐体から引き抜かれている。
【
図15】
図14の筐体底部、及び反応要素を備える条片の斜視分解概略上面図である。
【
図18】本発明の第4の実施形態による、生物学的液体サンプル収集デバイスの斜視概略上面図である。
【
図19】
図18の収集デバイスの斜視概略上面図であり、生物学的液体蓄積部分は、デバイスの筐体から引き抜かれている。
【
図21】第4の実施形態による生物学的液体を分析するシステムの斜視概略図であり、システムは、生物学的液体サンプルを分析する読取り器と、生物学的液体サンプル収集デバイスとを備え、生物学的液体サンプル収集デバイスは、分析読取り器に挿入されていない。
【
図22】
図21のシステムの斜視概略図であり、生物学的液体サンプル収集デバイスは、まず、第1の押込みで、生物学的液体サンプルを分析する読取り器に挿入される。
【
図23】
図21のシステムの斜視概略図であり、生物学的液体サンプル収集デバイスは、第2の押込みで、生物学的液体サンプルを分析する読取り器に挿入される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1によれば、生物学的液体サンプルを分析するシステム10は、生物学的液体サンプルを収集するデバイス12又はカートリッジと、生物学的液体サンプルを分析する可搬読取り器14とを備える。これらの要素を互いに配置する目的で、収集デバイス12及び読取り器14の全体の向きに関して、限定はしないが、左右の向きは、長手方向軸Lに沿って画定され、上部及び底部、又は上側及び下側の向きは、垂直軸Vに沿って画定される。生物学的液体サンプル収集デバイス12は、生物学的液体を分析する可搬読取り器14に挿入されることを意図する。収集デバイス12は、全体的に、長手方向軸Lに沿って2つの左横端部18と右横端部20との間に延在する筐体16を備え、筐体16は、長手方向Dで読取り器14の開口22に並進挿入されるように構成される。非限定的な例として、長手方向軸Lに沿って約10センチメートルの長さ、及び垂直軸Vに沿って1センチメートル未満の厚さ、及び長手方向軸Lに横断する軸に沿って1センチメートル以内の幅をもつ収集デバイス12は、必要に応じ得ることが規定される。
【0018】
図2及び
図3、並びに第1の実施形態によれば、
図1の収集デバイス12は、筐体16を備え、筐体16は、下側要素又は筐体底部24と、筐体16の上部を閉鎖可能にする上側要素又はカバー26とを備える。収集デバイス12は、吸収組立体28を備え、吸収組立体28は、長手方向軸Lに沿って延在し、筐体16内に配置されるように構成される。収集デバイス12は、条片30も備え、条片30は、長手方向に延在し、色が変化する複数の反応要素32、34をその上面に備え、反応要素32、34は、長手方向軸Lに沿って順に配置される。本発明の文脈において、用語「色の変化」は、反応要素32、34を生物学的液体と接触させた際に反応要素32、34に色が展開すること、例えば、限定はしないが、酸性度(又は他では「pH」と表す)を示すオレンジから青への色の変化を意味するはずであるが、適切な反応要素32、34と接触させた生物学的液体中に亜硝酸塩を検出した際、色の出現、即ち、反応要素の白色態様からピンクの色合いへの色の出現も意味する。非限定的な例として、既に示した収集デバイス12の寸法により、10個の反応要素32、34を備え得る条片30は、筐体16に適合し、生物学的液体の十分に網羅的な分析に適している。
【0019】
液体を吸収することができる吸収紙等の吸収組立体28は、生物学的液体を受け入れ、反応要素32、34と接触する状態で拡散させる役割を有する。この目的で、この第1の実施形態によれば、吸収組立体28は、生物学的液体を蓄積するように設けた吸収貯蔵帯36と、毛管作用によって、条片30の反応要素32、34上の吸収貯蔵帯36上に既に蓄積してある生物学的液体を拡散するように構成した拡散帯38とを備える。したがって、吸収貯蔵帯36は、拡散帯38と接触するように構成した少なくとも一部分を備える。
【0020】
この目的で、好ましくは、拡散帯38及び吸収貯蔵帯36はそれぞれ、拡散吸取紙、及び拡散吸取紙とは別個の貯蔵吸取紙を備え、貯蔵吸取紙は、拡散吸取紙の液体吸収機能よりも大きい液体吸収機能を備える。貯蔵吸取紙は、分析に必要な量の生物学的液体を吸収可能にし、更に、生物学的液体を拡散吸取紙に急速に移動可能にするはずである。非限定的な例として、2から3ミリメートルの間の厚さを有し、平方センチメートルあたり200から300ミリグラムの液体の間に含まれる液体吸収機能を有する貯蔵吸取紙は、収集デバイス12に適することができ、この種の貯蔵吸取紙は、10秒間に3から5cmの間に含まれる液体前進速度を含むことが発見された。1ミリメートル未満の厚さ、好ましくは0.2から0.6ミリメートルの間の厚さを含み、平方センチメートルあたり20から40ミリグラムの液体の間に含まれる吸収能力を含む拡散吸取紙は、収集デバイス12に適することができ、この種の拡散吸取紙は、10秒間に0.5から1.5cmの間に含まれる液体前進速度を含むことも発見された。
【0021】
図2及び
図3の第1の実施形態によれば、吸収貯蔵帯36及び拡散帯38は、全体的に、長手方向に順に配置される。吸収貯蔵条片36は、筐体16の右横端部20から、接触部分40を形成する第2の端部まで延在し、拡散帯38は、筐体16の左横端部18から、接触パッド42を形成する第2の端部まで延在する。接触部分40は、拡散帯38と接触するように構成される。接触部分40は、拡散帯38の端部の接触パッド42の上部にわたり配置される。
【0022】
条片30は、拡散帯38の下に配置される。より詳細には、複数の反応要素32、34を備える条片30の上面は、拡散帯38が反応要素32、34を圧迫することができるように拡散帯38の下面に面し、拡散帯38を通じた毛管作用によって拡散した生物学的液体と接触する状態で反応要素32、34が反応することを可能にする。
【0023】
図2及び
図3に表される第1の実施形態によれば、拡散帯を通じた生物学的液体の拡散は、拡散帯38の端部からの接触パッド42と接触する状態で、吸収貯蔵帯36の接触部分40から、拡散帯38の接触パッド40の反対側の端部まで実施される。この目的で、反応要素32、34が拡散帯38と接触する際、反応要素32、34は、長手方向Dで拡散する生物学的液体と接触する。特に、連続する反応要素32と34との間での汚染現象又は汚染物を回避するため、拡散帯38は、複数の組付けパッド44、46を備え、複数の組付けパッド44、46は、長手方向軸Lに沿って連続的に配置され、長手方向軸Lに沿って拡散帯38の材料凹部48、50によって互いから分離している。各反応要素32は、1つの組付けパッド44と接触する状態で配置されるように構成され、拡散帯38は、組付けパッド44、46のそれぞれの間に材料凹部を備える。
【0024】
好ましくは、
図2及び
図3で表されるように、組付けパッド44、46は、拡散帯38の長手方向縁部に沿って配置され、したがって、連続細穴の形態で一連の組付けパッド44、46を形成する。本実施形態により、生物学的液体が、拡散帯38のもう一方の長手方向縁部に沿って拡散することを可能にする。このもう一方の縁部とは、細穴を形成する縁部の反対側の縁部である。この目的で、生物学的液体は、組付けパッド44、46に連続的に、徐々に、順に含浸することができる。
【0025】
図2及び
図3によれば、条片30は、長手方向軸Lに沿って筐体底部24内に配置されるように構成される。条片30の下面、即ち、反応要素32、34が配置される条片30の面とは反対の条片30の面は、筐体底部24に面して配置される。条片30の上面上に配置した反応要素32、34の色の変化の読取りを実施できるようにするため、条片30は、好ましくは、透明条片30であり、条片の各反応要素32、34は、条片30を通じた透明性によって、筐体底部24の開口52に面して配置される。
【0026】
図2及び
図3の第1の実施形態によれば、筐体底部24の開口52は、長手方向に延在する開口52であり、長手方向軸Lに沿って条片30の長さよりもわずかに短い長さ、及び長手方向軸Lに横断する方向で条片30の幅よりもわずかに短い幅をもつため、条片30を筐体底部24の開口52の外周部に圧迫させることができる。
【0027】
横移動に対して条片30を固定保持できるようにするため、条片30は、長手方向に延在する筐体底部24の第1の縁部の第1の横壁51と、筐体底部24上に配置した条片30の横停止部53のピンとの間に配置されるように構成される。長手方向軸Lに沿った並進移動に対して条片30を固定保持できるようにするため、条片30は、筐体底部24の左端部の横断壁55と、筐体底部24の左端部の横断壁55の反対側の、筐体底部24上に配置されるもう一方の横断壁57との間に配置されるように構成される。条片30は、特に、筐体16内で反応要素32、34を固定保持し、筐体16の外側の不純物から反応要素32、34を保護可能にすることを留意されたい。
【0028】
図2及び
図3によれば、筐体底部24は、長手方向移動及び横移動の両方に対して拡散帯38を固定保持できるように構成される。この目的で、条片30の横停止部53のピンは、拡散帯38の細穴又は材料凹部48、50の間に配置されるように構成される。細穴を備えていない拡散帯38の縁部は、長手方向に延在する筐体底部24の第2の縁部の第2の横壁59に当接配置されるように構成される。
【0029】
図2及び
図3によれば、吸収貯蔵条片36は、全体に平行六面体形状である。筐体底部24は、複数の横断支持タブ64を備え、複数の横断支持タブ64は、筐体底部24の各長手方向縁部の間に延在し、筐体16の内側に突出する。複数の横断支持タブ64の横断支持タブ64は、筐体16を閉鎖した際にバランスの取れた状態で吸収貯蔵帯36を保持できるように、筐体底部24の右横端部20から規則的に離間する。
【0030】
図2及び
図3によれば、筐体16のカバー26は、吸収貯蔵帯36を受け入れるように構成した筐体54を備える。筐体54は、カバー26の内面の材料を低減することによって形成される。筐体54は、カバー26の右横端部20から長手方向に延在し、全体に長方形であり、長手方向軸Lに沿った並進移動及び横移動の両方に対して吸収貯蔵帯36を固定保持することを可能にする。吸収貯蔵帯36の筐体54は、収集デバイス12の筐体16の外側から吸収貯蔵帯36の一部分に直接アクセス可能にするアクセス開口56を備える。アクセス開口56の反対側に配置される吸収貯蔵帯36の部分は、生物学的液体蓄積部分37を形成する。
【0031】
図2及び
図3によれば、カバー26の内面は、カバー26の内面上に突出する圧迫タブ60を備え、圧迫タブ60は、カバー26の左横端部18から吸収貯蔵条片36の筐体54まで長手方向に延在する。圧迫タブ60は、筐体16の内側に向かって突出パターンを形成し、タブ60は、拡散帯38を圧迫するように構成される。圧迫タブ60に加えて、カバー26の内面は、拡散帯38の組付けパッド44、46を圧迫するように構成した圧迫スタッド62を備える。
【0032】
図2及び
図3の第1の実施形態によれば、筐体16を閉鎖した際、即ち、例えば、限定はしないが、クリップ留めによってカバー26の外周部を筐体底部24の外周部で固定した際、吸収貯蔵条片36は、拡散帯38と接触し、拡散帯38は、反応要素32、34と接触する。より詳細には、筐体16を閉鎖すると、筐体54の内面は、吸収貯蔵帯36を圧迫する。したがって、吸収貯蔵帯36は、筐体54の内面と横断タブ64との間で圧縮され、このため、吸収貯蔵帯36の接触部分40は、拡散帯38の接触パッド42に圧迫接触する。この目的で、生物学的液体を収集デバイス12の蓄積部分37に蓄積する場合、生物学的液体は、吸収貯蔵条片36から拡散帯38に拡散することができる。
【0033】
筐体16を閉鎖すると、長手方向圧迫タブ60は、筐体底部24に向かう圧力を拡散条片38上に加える。更に、筐体16を閉鎖すると、圧迫スタッド62は、圧迫力を拡散帯38上に与え、組付けパッド44、46を反応要素32、34に対して圧迫接触することを可能にする。拡散帯38上での長手方向圧迫タブ60によって加えられる圧迫力と、圧迫スタッド62によって加えられる圧迫力とを関連付けることにより、反応要素32、34に対する組付けパッド44、46の確実で耐久性のある接触を可能にし、したがって、生物学的液体が拡散帯38上に存在する場合、反応要素32、34と生物学的液体との確実な反応を可能にし、これにより、反応要素32、34に色の変化をもたらすことができる。
【0034】
図2及び
図3の収集デバイス12の第1の実施形態によれば、条片30、好ましくは透明条片30は、収集デバイス12の組立て応力に耐える得るように、可撓性とし得ることが有利である。この目的で、条片30は、プラスチック材料製の条片30であることが有利である。例えば、非限定的に、ガラス又は更にはポリメタクリル酸メチル等の他の材料による解決策を考慮することができる。反応要素32、34の色変化を自動的に読み取る目的で、即ち、例えば、限定はしないが、光学読取り型技術による読取り支援により、条片30は必ずしも透明でなくてよく、半透明材料のように光の透過を可能にするだけでよい。第1の実施形態の代替として、アクセス開口56は、筐体底部24上に配置しておくこともできる。また、筐体底部24上に第1のアクセス開口を設け、カバー26上に第2のアクセス開口を設けておくことが可能である。
【0035】
図4、
図5及び
図6によれば、収集デバイス112の第2の実施形態が示される。この第2の実施形態は、吸収貯蔵帯136が、もはや並進移動に対し固定されるカバー126の筐体内に配置されていないという点で、第1の実施形態とは異なる。吸収要素128は、横アクセス開口156を通じて配置される吸収貯蔵帯136を備え、横アクセス開口156は、筐体116の右横端部120の右横面に配置されるため、吸収貯蔵帯136の生物学的液体貯蔵部分137が、筐体116の外側に配置されるように構成される。貯蔵部分137は、有利には、キャップ166によって覆われるように構成され、収集デバイス112の手動操作を可能にし、貯蔵部分137を読取り器14に挿入する際、収集デバイス112を直接把持し、貯蔵部分137に触れる必要がない。この第2の実施形態によれば、吸収貯蔵帯136は、長手方向Lに沿って並進移動可能であるように配置される。
【0036】
より詳細には、
図5及び
図6によれば、吸収貯蔵帯136は、その左端部からその右端部まで、連続的に、拡散帯138と接触するように構成される接触部分140と、案内リング170内に配置されるように構成される並進案内部分168と、生物学的液体貯蔵部分137とを備える。吸収貯蔵帯136及び拡散帯138は、第1の実施形態と概ね同様に、全体に長手方向に順に配置される。
【0037】
案内リング170は、吸収貯蔵帯136の案内部分168に固着配置される。案内リング170は、横アクセス開口156から筐体116の内側に延在する案内レールと協働する。案内リング170は、筐体116の内側に同時に延在するように構成され、案内レール上に部分的に配置され、筐体116の外側にも部分的に配置され、キャップ166を貯蔵部分137上に並進配置した際、キャップ166の第1の端停止部を形成するようにする。
【0038】
より詳細には、案内リング170は、上側要素と下側要素とを備え、それぞれ、ほぞ等の雄要素及び雌要素を備え、吸収貯蔵条片136を並進案内する部分168は、固定開口171を備え、下側要素の雌要素が吸収貯蔵帯136を通過するのを可能にし、案内リング170の2つの要素を結合可能にする。案内リング170は、吸収貯蔵帯136を並進させる間、案内部分168を保持するように構成される。
【0039】
筐体のカバー126は、圧迫区分127を備え、圧迫区分127は、拡散帯138の組付けパッド144、146の上に配置され、筐体116を閉鎖して組付けパッド144、146を反応要素132、134と接触させた際に拡散帯138の組付けパッド144、146を圧迫するように構成される。筐体のカバー126は、摺動区分129を備え、摺動区分129は、圧迫区分127の反対側に隆起する状態で配置され、案内リング170を並進摺動させるように構成され、案内レールは、この摺動区分129内に配置される。カバー126は、傾斜移行区分131を備え、傾斜移行区分131は、圧迫区分127及び摺動区分129を接続する。拡散帯138の端部の接触パッド142は、カバー126の移行区分の下に少なくとも部分的に配置される。
【0040】
図7及び
図8によれば、吸収貯蔵帯136の接触部分140は、案内リング170の初期位置によれば、拡散帯138の接触パッド142とは接触せずに配置されるように構成される。この初期位置によれば、案内リング170は、貯蔵部分137上に並進配置された際にキャップ166のための第1の端停止部を形成する。
【0041】
図9、
図10及び
図11によれば、案内リング170は、キャップ166が筐体116の横アクセス開口156の外周部に当接するまで、キャップ166に対する押込み動作Pによって摺動区分129の内側に並進摺動するように構成され、横アクセス開口156の外周部は、キャップ166の第2の端停止部を形成する。案内リング170が長手方向軸Lに沿って摺動区分129の内側に並進する間、吸収貯蔵帯136の接触部分140は、カバー126の移行区分131の内面に衝突し、拡散帯138の接触パッド142の方に屈曲する。言い換えれば、移行区分131の内面は、吸収貯蔵帯136の接触部分140のためのカバー126の押込み面である。キャップ166が横アクセス開口156の外周部に当接すると、
図10及び
図11によれば、吸収貯蔵帯136の接触部分140は、移行区分131が拡散帯138の接触パッド142と圧迫接触するまで移行区分131の内面に対して屈曲する。
【0042】
任意で、摺動区分129は、案内リング170に対する戻止め型固定手段を備えることができ、固定手段は、案内リング170が案内キャップ166によって停止位置内で第2の端停止部に対して押下された際に案内リング170を固定するように構成される。固定手段は、有利には、特定の引抜き力がキャップ166に加えられるか又は貯蔵部分137に直接加えられてようやく動作させることができる。非限定的な例として、固定手段は、少なくとも1つのボスを案内レール上に備えることができ、案内リング170は、このボスを乗り越えるのに十分な力で挿入されなければならない。このボスは、収集デバイス112への吸収貯蔵帯136の効果的な挿入の確認を示す触感をもたらすことができ、吸収貯蔵帯136の接触部分140が、拡散帯138の接触パッド142と接触していることを保証する。
【0043】
図5及び
図6によれば、第2の実施形態は、筐体底部124が複数の筐体底部開口152、153を備え、筐体底部開口152、153は、長手方向軸Lに沿って順に配置されるという点でも第1の実施形態とは異なる。条片130の上面に配置した反応要素132、134の色変化の読取りを実施できるようにするため、条片130の各反応要素132、134は、条片130を通じた透明性によって、別の反応要素134に関連する筐体底部124の別の開口154とは異なる筐体底部124の単一開口152に面して配置される。第1の実施形態によれば、単一の長手方向に延在する筐体底部124が適し得るが、筐体底部124内の複数の開口152、124から構成される解決策は、筐体底部124の全体的な構造の強化を可能にする。
【0044】
図4及び
図5によれば、第2の実施形態は、カバー126の上面が第1のボス172と第2のボス174とを備え、各ボス172、174が筐体116の外側に向かって突出しているという点でも第1の実施形態とは異なる。有利には、第1のボス172は、カバー126の圧迫区分127の自由端の近傍に配置され、拡散帯138の左端部と垂直に位置合わせされるようにし、第2のボス174は、カバー126の移行区分131とカバー126の圧迫区分127との間に跨いで配置される。第1のボス172及び第2のボス174は、生物学的液体を分析する可搬読取り器14に拡散帯138を挿入する間、拡散帯138の長手方向軸Lに沿った平面の保持を保証可能にし、第1のボス172及び第2のボス174は、読取り器14の壁に対して摩擦挿入され、拡散帯138に圧力を加えるようにする。第1のボス172及び第2のボス174は、反応要素132、134上で拡散帯138の組付けパッド144、146の間の接触を強化するのに寄与する。本発明によれば、拡散帯138の長手方向軸Lに沿った長さに応じて、単一ボス、又はカバー126の上面にわたり分散される複数のボスも適し得ることを了解されたい。全体的に、第1のボス172及び第2のボス174は、行程の終端において収集デバイス112を読取り器の基部上に押圧することを可能にし、この手法は、遊びのある状態で行われる。
【0045】
図12、
図13及び
図14によれば、収集デバイス212の第3の実施形態が示される。この第3の実施形態は、特に、第2の実施形態と同様に、筐体216が横アクセス開口256を備え、横アクセス開口256が筐体216の右端部220の右横面上に配置されるという点で第1の実施形態とは異なる。収集デバイス212は、収集デバイス212を操作するハンドル266を備え、ハンドル266は、横アクセス開口256の外周部に対して当接配置されるように構成される。
【0046】
図13及び
図14によれば、第3の実施形態は、操作ハンドル266が、筐体216への吸収組立体228の完全な挿入及び筐体216からの吸収組立体228の引抜きを可能にするという点で第2の実施形態とは異なる。更に、特に第3の実施形態に対し、収集デバイス212は、筐体216に挿入する又は筐体216から引き抜くように構成した吸収組立体228の取外し可能支持体276を備え、取外し可能支持体276は、操作ハンドル266を備える第1の端部から、横アクセス開口256を通じて筐体216に挿入されるように構成した第2の端部まで長手方向に延在する。
【0047】
図14及び
図15によれば、収集デバイス212の筐体底部224は、互いに対向し、互いから十分に離間する2つの長手方向壁を備え、吸収組立体228を筐体216に挿入した際に吸収組立体228の取外し可能支持体276を案内するように構成した案内路278を形成する。反応要素232、234を備える条片230は、筐体224の底部で長手方向に配置されるように構成され、条片230の端部のそれぞれは、筐体底部224の切欠き280、282内に保持されるように構成される。
【0048】
任意で、案内路278、及び吸収組立体228の取外し可能支持体276は、取外し可能支持体276の戻止め型固定手段を備え、取外し可能支持体276を操作するハンドル266が筐体216の横アクセス開口256の外周部に当接した際に吸収組立体228を固定保持するようにする。
【0049】
反応要素232、234を備えない条片230の面は、長手方向に延在する開口252に面する筐体底部224を圧迫する状態で配置されるように構成され、開口252は、長手方向軸Lに沿って条片30の長さよりもわずかに短い長さ、及び長手方向軸Lに横断する方向で条片230の幅よりもわずかに短い幅をもつため、条片230を筐体底部224の開口252の外周部に圧迫させることができる。
【0050】
図14によれば、特に第3の実施形態に対して、吸収組立体228は、単一吸収要素を備え、単一吸収要素は、長手方向に延在し、全体的に平行六面体要素を形成する。単一吸収要素は、例えば、限定はしないが、貯蔵吸取紙型であってよい。単一吸収要素は、拡散帯238として働き、生物学的液体の蓄積も可能にする。言い換えれば、単一吸収要素は、生物学的液体蓄積部分237と、拡散帯238とを備え、蓄積部分237を拡散帯238として使用することもできる。
【0051】
図14によれば、取外し可能支持体276の操作を容易にする目的で、取外し可能支持体276は、その外周部上に吸収組立体228を保持するように構成され、取外し可能支持体276の上又は下から吸収組立体228の上面及び下面に直接アクセス可能であるようにする。この目的で、取外し可能支持体276は、吸収組立体228を保持する横壁284を備え、各保持横壁284は、吸収組立体228の上側面及び下側面を圧迫する突縁286を備える。この目的で、生物学的液体蓄積部分237も、単一吸収要素を形成する吸収組立体228の上側面又は下側面上に良好に画定することができ、拡散帯238自体は、吸収組立体228の上面又は底面のいずれかとして識別することができる。
【0052】
任意で、吸収組立体228の面の一方に、第1の実施形態及び第2の実施形態の拡散帯38に図示されるような細穴型パターンを形成することが可能である。この目的で、一連の厚さ低減領域は、吸収組立体228の一方の面上に長手方向軸Lに沿って連続的に配置され、それぞれ、厚さ非低減領域によって分離され、細穴の形態の拡散帯238を形成することができる。したがって、拡散帯238の反対側の吸収組立体228の表面は、蓄積部分237として規定することができ、生物学的液体は、蓄積部分237として作用する表面から拡散帯238として作用する表面に拡散させることができる。
【0053】
図16及び
図17、並びに第3の実施形態によれば、筐体216が閉鎖され、吸収組立体228を備える取外し可能支持体276が完全に筐体216内に配置した際、即ち、ハンドル266が横アクセス開口256の外周部に当接した際、吸収組立体228は、条片230の反応要素232、234と接触しない。反応要素232、324と、拡散帯238として作用する単一吸収要素を形成する吸収組立体228の表面との間の垂直軸Vに沿った距離dは、1ミリメートル未満とすることができ、この距離dは、吸収組立体228の保持横壁284の突縁286の垂直軸Vに沿った厚さに対応し得る。
【0054】
したがって、この目的で、収集デバイス212は、それ自体で、生物学的液体を反応要素232、234と接触させることが可能ではない。第3の実施形態の収集デバイス212は、この収集デバイス212が、生物学的液体を分析する読取り器14に挿入された場合にのみ、生物学的液体が反応要素232、234と接触するように構成される。
【0055】
この目的で、
図16によれば、筐体216のカバー226は、その右端部に、横アクセス開口256の近傍で、斜面形斜めの傾斜部分288を備え、この斜め傾斜部分288は、カバー面226から横アクセス開口256まで上方に延在する。この斜め傾斜部分は、読取り器14の壁に当接し、下向きの垂直推力で収集デバイス212を漸進的に摺動させ、分析読取り器14の内側停止部と接触させるように構成される。また、反応要素232、234を、反応要素232、234上で生物学的液体を拡散するように構成した単一吸収要素に接触させるため、分析読取り器14の内側停止部は、収集デバイス12に対する垂直下向き推力の間、条片230を吸収組立体228に向かって押しつぶすように構成され、条片230の反応要素232、234は、吸収組立体228と条片230との間で圧縮接触され、分析読取り器14の基部の突起と直接接触する状態で配置される。条片230が押しつぶされると、条片230の2つの端部はそれぞれ、収集デバイス212の筐体底部224の切欠き280、282から排出される。
【0056】
図18、
図19及び
図20によれば、収集デバイス312の第4の実施形態が示される。この第4の実施形態は、第3の実施形態の一変形形態である。筐体316は、横アクセス開口356を備え、横アクセス開口356は、第3の実施形態と同様に、筐体316の右端部の右横面上に配置される。収集デバイス312は、操作ハンドル366を備え、操作ハンドル366は、長手方向D1での挿入、及びD1とは反対の方向での引抜きを可能にし、筐体316の吸収組立体328を完全にする。更に、第3のモードの実施形態と同様に、収集デバイス312は、筐体316に挿入される又は筐体316から引き抜かれるように構成した吸収組立体328の取外し可能支持体376を備え、取外し可能支持体376は、操作ハンドル366を備える第1の端部から、横アクセス開口356を通じて筐体316に挿入されるように構成した第2の端部まで長手方向に延在する。
【0057】
図19及び
図20によれば、収集デバイス312の筐体316は、筐体上部324と、互いに対向し互いから十分に離間する2つの長手方向壁323とを備え、2つの長手方向壁323は、取外し可能支持体376を筐体316に挿入した際に吸収組立体328の取外し可能支持体376を案内するように構成した案内路378を形成する。反応要素332、334を備える条片330は、吸収組立体328の取外し可能支持体376の案内路378を形成する2つの長手方向壁323の間で、筐体上部324で長手方向に配置されるように構成され、条片330の端部のそれぞれは、筐体上部324の切欠き380、382内に保持されるように構成される。本発明によれば、生物学的液体を収集するデバイスの筐体上部又は筐体底部という名称は、等価とみなすことができ、収集デバイス及びデバイスの読取り器の全体の向きは、表示のためであることが了解されよう。これらの名称は、本発明を説明する図に対する直観的で明確な説明を可能にするものにすぎない。より一般的には、説明する収集デバイスの全体的な向きのいずれも、本発明に対する限定的な制約条件ではない。
【0058】
任意で、案内路378、及び吸収組立体328の取外し可能支持体376は、取外し可能支持体376の戻止め型固定手段を備え、取外し可能支持体376が筐体316の横アクセス開口356の外周部に当接した際に吸収組立体328を固定保持し得る。
【0059】
取外し可能支持体376は、それぞれ、その第1の端部から第2の端部まで、操作ハンドル366と、次に、組付けパッド379と、最後に、吸収組立体328の支持部分385とを備え、操作ハンドル366は、保護要素377によって境界を定められ、保護要素366は、好ましくは台形形状であり、収集デバイス312を導入するように設けられた読取り器筐体の開口を閉鎖するように構成され、組付けパッド379は、電子識別タグ381を中に配置するように構成され、収集デバイス312の筐体316に対して取外し可能支持体376の停止部383を形成する。支持部分385は、吸収組立体328を支持するタブ329、即ち、吸収組立体328が載置されるタブ329を備え、支持タブ329は、タブ329上での吸収組立体328の保持を可能にする横壁384を備えることができる。筐体底部を備えない収集デバイス312の筐体316において、取外し可能支持体376を収集デバイス312の筐体316に挿入すると、吸収組立体328の支持タブ329は、収集デバイス312の筐体底部として働く。
【0060】
第3の実施形態に比較可能な態様では、反応要素332、334を備えない条片330の面は、筐体上部324内の複数の開口352、354の反対側の筐体上部324に対して当接配置されるように構成される。より詳細には、条片330上に配置した反応要素332、334の色変化の読取りを実施できるようにするため、条片330の各反応要素332、334は、条片330を通じた透明性によって、開口上部324内の複数の開口のうちの単一開口352に面して配置され、この単一開口352は、別の反応要素334と関連する筐体上部324内の別の開口354とは異なる。
【0061】
図19及び
図20によれば、第3の実施形態に比較可能な様態では、吸収組立体328は、単一吸収要素を備え、単一吸収要素は、長手方向に延在し、全体的に平行六面体要素を形成する。単一吸収要素328は、例えば、限定はしないが、貯蔵吸取紙型であってよい。単一吸収要素328は、拡散帯338として働き、生物学的液体の蓄積も可能にする。言い換えれば、単一吸収要素328は、生物学的液体蓄積部分337と、拡散帯338とを備え、蓄積部分337は、拡散帯338として作用する。
【0062】
図21によれば、第4の実施形態による、収集デバイス312及び生物学的液体サンプルを分析する読取り器314の透明な長手方向断面が表される。筐体316を閉鎖した際、即ち、吸収組立体328を備える取外し可能支持体376を筐体316内に当接配置した際、吸収組立体328は、条片330の反応要素332、334と接触しない。反応要素332、324と、拡散帯338として働く吸収組立体328の表面との間の垂直軸Vに沿った距離d1は、1ミリメートル未満とし得る。
【0063】
したがって、この目的で、収集デバイス312は、それ自体、生物学的液体と反応要素332、334との接触を可能するものではない。第4の実施形態の収集デバイス312は、この収集デバイス312が、生物学的液体サンプルを分析する読取り器314に挿入された場合にのみ、生物学的液体が反応要素332、334と接触するように構成される。
【0064】
この目的で、
図21によれば、吸収組立体328の支持タグ329の右端部は、斜面部分357を備え、斜面部分357は、垂直軸に沿った支持タブ329の残部よりも厚さが厚く、斜面部分は、識別ラベル381の組付けパッド379に向かって下向き傾斜部を備える。
【0065】
図22によれば、収集デバイス312が第1の押込みP1により導入されると、斜面部分357は、収集デバイス312がサンプル分析読取り器314に完全に挿入される前、即ち、保護要素377がサンプル分析読取り器314の筐体の開口を閉鎖する前、サンプル分析読取り器314の第1の張出し部315に当接するように構成される。この時点において、吸収組立体328は、条片330の反応要素332、334と接触していない。
【0066】
図23によれば、収集デバイス312の挿入により、サンプル分析読取り器314の筐体の第1の張出し部315によって形成される停止部を越える際、即ち、収集デバイス312の第2の押込みP2の間、収集デバイス312の保護要素377によってサンプル分析読取り器314の筐体の開口が閉鎖されるまで、斜面部分357は、第1の張出し部315の上部の上に配置され、条片330の反応要素332、334の方に吸収組立体328の支持タブ329を上昇させ、吸収組立体328を反応要素と接触させるようにする。より詳細には、斜面部分357が第1の張出し部315の上部を越えて押し込まれると、取外し可能支持体376の案内路378を形成する、対向する長手方向壁323は、互いから離れ、案内路378の取外し可能支持体376を解放し、取外し可能支持体376は、条片330の反応要素332、334の方向で第1の張出し部315によって押し込まれる。
【0067】
サンプル分析読取り器314は、第2の張出し部317を備えてもよく、第2の張出し部317も、条片330の反応要素332、334の方に吸収組立体328の支持タブ329の自由端を上昇させ、したがって、条片330の反応要素332、334に向かう吸収組立体328の接触を改善するように構成されることを留意されたい。
【0068】
4つの説明した実施形態に共通して、各収集デバイス12、112、212、312の各筐体16、116、216、316は、筐体16、116、216、316の壁上に配置した突起を備え、分析読取り器14、314の位置センサと協働する検出停止部を形成ることもでき、したがって、分析読取り器14、314が、分析読取り器14、314内に正確に配置された収集デバイス12、112、212、312の有無を制御可能するようにする。
【0069】
同様に4つの説明した実施形態に共通する様式で、各収集デバイス12、112、212、312の各筐体16、116、216、316は、電子識別ラベルを備えることができ、電子識別ラベルは、例えば、カバー26、126、226上に接着剤で留めて配置されるか、又は更には第4の実施形態によれば、取外し可能支持体376上に接着剤で留めて配置され、各収集デバイス12、112、212の追跡可能性を保証するようにする。
【0070】
同様に4つの説明した実施形態に共通して、
図12、
図13及び
図14に示すように、筐体216、より詳細には筐体の上側カバー226は、横案内フィン227も備えることができ、分析読取り器14、314への収集カートリッジの挿入を促進可能にする。案内フィン227は、分析読取り器14、314に特定の案内手段と協働できるように構成される。
【0071】
収集デバイス12、112、212、312の4つの説明した実施形態によれば、
図1の分析読取り器14、314は、実施形態のそれぞれに適合するようないくつかの変形形態を備え得ることを留意されたい。非限定的な例は、
図21、
図22及び
図23で示される。
【0072】
4つの説明した実施形態は、筐体底部24、124、224内の開口52、152、252、352、又は筐体上部324及び条片30、130、230、330を通じた、各反応要素32、132、232、332上での光の反射による光学読取りに特に適しており、分析読取り器14、314による、反応要素32、132、232、332の色変化の検出を可能にする、したがって、読取り器14による、分析すべき生物学的液体サンプルの特性の自動分析を可能にすることに留意されたい。
【0073】
本発明は、尿型の生物学的液体の分析に特に有利であることに留意されたい。尿との接触により色が変化する反応要素32、132、232、332は、例えば、限定はしないが、尿の水素電位を介した、pHで示される尿の酸性度、又は更には尿濃度及び尿のクレアチニン濃度の監視に関係する情報を提供することができる。尿酸濃度も、可能な監視因子である。
【0074】
当然、単に例として示す本発明の主題の詳細な説明は、決して限定を構成するものではなく、技術的等価物も本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。